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  • 特許-配管支持ユニット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】配管支持ユニット
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/00 20060101AFI20240717BHJP
   E03B 7/07 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
F16L3/00 D
E03B7/07 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020107155
(22)【出願日】2020-06-22
(65)【公開番号】P2022001780
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000151025
【氏名又は名称】株式会社タブチ
(74)【代理人】
【識別番号】100170449
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英彦
(72)【発明者】
【氏名】坂本 武司
(72)【発明者】
【氏名】三宅 邦子
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-136316(JP,A)
【文献】特開平05-209424(JP,A)
【文献】特開2019-065694(JP,A)
【文献】特開2005-233661(JP,A)
【文献】特開2018-053495(JP,A)
【文献】特開2005-188578(JP,A)
【文献】特開2013-040459(JP,A)
【文献】特開2008-274697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 3/00 - 3/26
E03B 7/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路の上流側に配置される一次側配管、及び当該一次側配管に対して下流側に配される二次側配管を支持するベース部と、
前記一次側配管及び前記二次側配管を、前記一次側配管の軸線方向に所定の間隔を空けた状態で支持する配管支持部と、
前記一次側配管及び前記二次側配管と、
前記ベース部との間に形成される空隙に配される規制部とを有し、
前記規制部が、前記一次配管および前記二次配管と前記ベース部との間に形成される空間に配置されており、前記ベース部を基準として、前記一次側配管及び前記二次側配管の前記ベース部側への近接が許容される近接限界位置に到達するように形成されており、
前記一次側配管及び前記二次側配管のいずれか一方又は双方が、止水栓を有するものであり、
前記規制部が、各止水栓の下方に位置するように設けられていることを特徴とする配管支持ユニット。
【請求項2】
前記ベース部が、板状に形成されており、
前記規制部は、前記ベースを切り起こして立設されていることを特徴とする請求項1に記載の配管支持ユニット。
【請求項3】
前記規制部が、前記ベース部とは異なる支持材の接続により前記ベース部と一体化されていることを特徴とする請求項1または2に記載の配管支持ユニット。
【請求項4】
前記配管支持部が、前記一次側配管及び前記二次側配管を軸線周りに所定の方向に回動させて固定する角度調整部を有し、前記一次側配管及び前記二次側配管が前記角度調整部によって支持されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の配管支持ユニット。
【請求項5】
前記一次側配管及び前記二次側配管のいずれか一方又は双方が、エルボ部を有し、
前記エルボ部が、前記配管支持部に支持されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の配管支持ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道配管等の配管を支持する配管支持ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、水道メータ(上水道用の水量計)と、当該水道メータの上流側に接続される一次側配管と、当該水道メータの下流側に接続される二次側配管とを、水道流路上に配置するためのメータユニットが知られている(例えば、特許文献1)。水道メータは、そのようなメータユニットに組み付けられ、例えば、マンションの玄関に設けられたパイプシャフト内の限られた空間に設置される。
【0003】
上述のメータユニットは、水平に設けられたベース部と、当該ベース部の両端側に立設された角度調整部とを有したものとされ、両角度調整部に、前記一次側配管及び前記二次側配管が支持されたものとされている。そのため、前記一次側配管及び前記二次側配管は、メータユニットのベース部に対して宙に浮いた状態で支持されている。すなわち、前記一次側配管及び前記二次側配管と、前記ベース部との間に空間が生じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6407223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のメータユニットは、上述のように一次側配管及び二次側配管と、メータユニットのベース部との間に空間が存在する。そのため、前記メータユニットを施工場所に組み付ける際又は水道メータをメータユニットに組み付ける際に前記一次側配管及び前記二次側配管に押し下げの力が働くと、角度調整部やベース部が撓んで、前記一次側配管及び前記二次側配管が変形する問題がある。また、前記一次側配管及び前記二次側配管が撓むと水道メータ等の組み付けが困難になる問題がある。さらに、長期に亘ってメータユニットを使用した場合、メータユニットに上述の撓みが発生し、水道メータの取替が困難になるという問題がある。
【0006】
例えば、水道メータは、計量誤差の観点から8年毎の交換が必要であり、交換に際して、上述のようにメータユニットの撓みや変形により、一次側配管及び二次側配管への水道メータの組み付けや位置決めが困難になる問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、一次側配管及び二次側配管の撓みを抑制することが可能で、水道メータ等との接続性が良い配管支持ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上述した課題を解決すべく提供される本発明の配管支持ユニットは、流路の上流側に配置される一次側配管、及び当該一次側配管に対して下流側に配される二次側配管を支持するベース部と、前記一次側配管及び前記二次側配管を、前記一次側配管の軸線方向に所定の間隔を空けた状態で支持する配管支持部と、前記一次側配管及び前記二次側配管と、前記ベース部との間に形成される空隙に配される規制部とを有し、前記規制部が、前記ベース部を基準として、前記一次側配管及び前記二次側配管の前記ベース部側への近接が許容される近接限界位置に到達するように形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
上述した配管支持ユニットは、規制部がベース部を基準として、前記一次側配管及び前記二次側配管の前記ベース部側への近接が許容される近接限界位置に到達するものとされている。そのため、一次側配管及び二次側配管が撓んで前記ベース部側に近接しても規制部により、近接限界位置を超えて配管がベース部に近接することを抑制できる。すなわち、一次側配管及び二次側配管が、規制部に接触することにより、一次側配管及び二次側配管が撓むことを抑制できる。これにより、一次側配管及び二次側配管が撓むことによる変形や破損、位置決め精度の低下等を抑制できる。
【0010】
また、上述した近接限界位置は、一次側配管及び二次側配管を押下げした際に前記一次側配管及び前記二次側配管が撓むことを許容する範囲とされている。そのため、上述した配管支持ユニットにおいて、近接限界位置は、前記一次側配管及び前記二次側配管に対して、ベース部側にごく僅かな隙間を空けた位置等、とすると良い。これにより、前記一次側配管及び前記二次側配管と規制部とは、非接触であるが、ベース部側に向けて許容範囲を超える押圧力が作用した際に、前記一次側配管及び前記二次側配管が撓んで規制部と接触することになり、上下方向に位置ズレ等するのを抑制できる。また、一次側配管及び二次側配管と、規制部とを非接触とすると、例えば、両者の接触部分において錆が発生する等の不具合も抑制できる。また、一次側配管、二次側配管、ベース部及び配管支持部等に寸法誤差がある場合であっても、前記隙間の範囲で寸法誤差を許容することができる。
【0011】
(2)上述した課題を解決すべく提供される本発明の配管支持ユニットは、前記規制部が、前記ベース部に対して立設されていることが望ましい。
【0012】
かかる構成によれば、規制部により、一次側配管及び二次側配管を押下げ方向と沿う方向に支持することができる。これにより、規制部の強度を確保することができるので、規制部を必要以上に肉厚等に形成する必要がない。従って、配管支持ユニットの軽量化が期待できる。ここで、規制部は、一次側配管とベース部との間に配される一次側規制部と、二次側配管とベース部との間に配される二次側規制部とを有するものとするとよい。また、規制部は、ベース部を切り起こして形成したものや、溶接や接着などにより、ベース部材とは別の部材で形成したものなど各種の手段で形成するとよい。また、規制部は、上述した一次側規制部と、二次側規制部との2つの部材に分かれたものだけではなく、一体化して形成されたものや2つ以上の部材で形成されたものでもよい。
【0013】
(3)上述した課題を解決すべく提供される本発明の配管支持ユニットは、前記配管支持部が、前記一次側配管及び前記二次側配管を所定の支持位置において支持可能なものであり、前記規制部が、前記支持位置に対して前記軸線方向に外れた位置に設けられることが望ましい。
【0014】
かかる構成によれば、一次側配管及び二次側配管が撓む方向、すなわち、前記支持位置に対して前記軸線方向に外れた位置に規制部を設けることができる。そのため、規制部を、撓み方向と沿う方向(前記軸線方向と交差する方向)に設けることができるので、一次側配管及び二次側配管が撓むことによる変形や破損を抑制できる。
【0015】
(4)上述した課題を解決すべく提供される本発明の配管支持ユニットは、前記一次側配管及び前記二次側配管のいずれか一方又は双方が、止水栓を有するものであり、前記規制部が、前記止水栓の下方に位置するように設けられていることが望ましい。
【0016】
かかる構成によれば、止水栓のような操作時に負荷が掛かる部材に対して、規制部が下方から支持することができるので、止水栓の操作により、一次側配管や二次側配管が撓わんで変形したり、破損したりすることを抑制できる。規制部は、止水栓の中央部下方に位置するように設けることが望ましい。これにより、止水栓に掛かる負荷方向と規制部による支持方向とを一致させることができ、一次側配管及び二次側配管の撓みをより低減できる。
【0017】
(5)上述した課題を解決すべく提供される本発明の配管支持ユニットは、前記規制部が、前記ベース部と一体的に形成されていることが望ましい。
【0018】
かかる構成によれば、例えば、1枚の板材を加工して配管支持ユニットを形成できるので、部品構成が簡素化できる。これにより、コストダウンや配管支持ユニットの強度確保が期待できる。規制部は、例えば、板材を切り起こして折り曲げ加工することにより、形成することが可能である。
【0019】
(6)上述した課題を解決すべく提供される本発明の配管支持ユニットは、前記規制部が、前記ベース部とは異なる支持材の接続により前記ベース部と一体化されていることが望ましい。
【0020】
かかる構成によれば、ベース部の加工性が悪い場合であっても、例えば、予め加工された支持材を、前記ベース部に接続することで規制部を形成することができる。これにより、規制部の形状の自由度を高めることができる。また、規制部をベース部と別部材で構成することにより、一次側配管の種類や径寸法が変わった場合でも、容易に対応することができる。規制部の接続は、溶接や接着など、各種の手段を用いればよい。
【0021】
上述した課題を解決すべく提供される本発明の配管支持ユニットは、前記ベース部、前記配管支持部及び前記規制部のいずれか一つ又は全てが、ステンレスで形成されていることが望ましい。
【0022】
かかる構成によれば、配管支持ユニットが錆びることを抑制できる。これにより、例えば、配管支持ユニットが、湿気の多い場所や、雨水や結露などにより水が付着するような場所に用いた場合であっても、配管支持性能が低下することを抑制できる。また、例えば、配管支持部をステンレスで形成すれば、配管支持部が錆びて配管と固着することを抑制できる。また、規制部をステンレスで形成すれば、規制部が錆びて、配管との間隔が変動することを抑制できる。
【0023】
(7)上述した課題を解決すべく提供される本発明の配管支持ユニットは、前記配管支持部が、前記一次側配管及び前記二次側配管を軸線周りに所定の方向に回動させて固定する角度調整部を有し、前記一次側配管及び前記二次側配管が前記角度調整部によって支持されていることが望ましい。
【0024】
かかる構成によれば、角度調整部は、配管の接続方向を調整できる。これにより、角度調整部が配管の接続方向を微調整できるので、接続した部分に無理な負荷が掛かることを抑制できる。また、配管や配管支持ユニットに寸法誤差があっても、当該寸法誤差を許容できる。
【0025】
ここで、一次側配管及び二次側配管に対して水道メータを接続する作業は、ミリ単位での位置決め精度が求められ、熟練を要する難易度の高いものである。また、水道メータの交換のために既設の水道メータを取り外したときに一次側配管及び二次側配管が変位してしまうと、新しい水道メータを取り付けるときに、一次側配管及び二次側配管と水道メータとの位置調整を精度良く行った後、位置調整した状態を維持しつつ配管接続するという煩わしい作業を行わねばならなくなってしまう。そのため、一次側配管及び二次側配管を位置決め精度よく支持して維持できるようにすれば、これらの配管に対する水道メータの接続作業をより一層容易かつ精度良く行えるようになると考えられる。
【0026】
かかる知見に基づけば、本発明の配管支持ユニットは、前記一次側配管及び前記二次側配管の間に水道メータが接続されるものとして好適に利用できる。
【0027】
上述の通り、本発明の配管支持ユニットは、一次側配管及び二次側配管を位置決め精度良く支持した状態で維持できるものである。そのため、本発明の配管支持ユニットによれば、ミリ単位での位置決め精度が求められる難易度の高い水道メータの接続作業であっても、容易かつ精度良く行うことができる。従って、本発明の配管支持ユニットによれば、一次側配管と二次側配管に対する水道メータを接続作業の作業効率を大幅に向上させることができる。
【0028】
(8)上述した課題を解決すべく提供される本発明の配管支持ユニットは、前記一次側配管及び前記二次側配管のいずれか一方又は双方が、エルボ部を有し、前記エルボ部が、前記配管支持部に支持されていることが望ましい。
【0029】
かかる構成によれば、エルボ部によって、一次側配管及び二次側配管のいずれか一方又は双方の配管方向を直交する方向に変換できる。そのため、例えば、配管支持ユニットの幅寸法を小さくできるほか、外部の配管も軸方向に広げることなく作業を行える。従って、本発明の配管支持ユニットによれば、施工に際して軸線方向に要するスペースをコンパクトにすることができる。これにより、一次側配管や二次側配管の接続利便性が向上する。従って、配管支持ユニットの設置場所に対する汎用性を高めることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、一次側配管及び二次側配管の撓みを抑制することが可能で、水道メータ等との接続性が良い配管支持ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明に係る配管支持ユニットの一実施形態を示す正面図である。
図2図1の一部を省略した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の配管支持ユニット10の一実施形態について、図1及び図2に基づいて以下に詳細を説明する。本実施形態では、例えば、水道流路上に設けられる水道配管用の配管支持ユニット10を例として、以下に説明する。
【0033】
配管支持ユニット10は、ベース部20、配管支持部30、及び規制部40等を有している。ベース部20は、流路の上流側に配置される一次側配管50a、及び一次側配管50aに対して下流側に配される二次側配管50bを支持するものとされている。
【0034】
ベース部20は、略矩形状の板状に形成されており、図示状態(通常の設置状態)においてベース部20に対して上下方向に間隔を空けて一次側配管50a及び二次側配管50bが配置される。ベース部20は、一次側配管50a及び二次側配管50bの軸線方向に沿う両端側にリブ21,21(図2参照)が折り曲げ加工により形成されている。これにより、ベース部20は、長手方向に対して交差する方向(図1の状態において上下方向)に荷重が作用したとしても変形等が生じないように補強されている。また、ベース部20は、例えば、錆びつきを抑制するためにステンレスにより形成されたものや各種の金属材料を用いることができる。なお、ベース部20に金属材料を用いる場合は、錆びつきを抑制するために、メッキや防錆処理等が施されたものを用いるとよい。ベース部20は、各種の樹脂やFRP、CFRP等の各種繊維強化プラスチックを用いてもよい。
【0035】
ベース部20の下方側には、2つの支持脚部22が設けられている。支持脚部22は、接地面5に接地される接地板22aと、接地板22a上に立設されたネジ部22bと、ネジ部22bを固定する2つのナット22c,22c等を有している。支持脚部22は、ベース部20に挿通されたネジ部22bに、ベース部20を介して両側からナット22c,22cで挟み込むことにより固定される。従って、ネジ部22bのベース部20からの突出量を調整することにより、支持脚部22の接地面5からの距離を調整することが可能である。ベース部20は、支持脚部22の接地板22aを設置場所の接地面5に接地させて、接着剤等により固定できる。なお、ベース部20が直接接地面5に固定されるものでもよい。
【0036】
ここで、一次側配管50aは、一次側配管50aの軸線方向に沿ってベース部20上に配置される止水栓51aと、止水栓51aの上流側に接続されたL字状のエルボ部52aを有したものとされている。また、二次側配管50bは、一次側配管50aの下流側において、一次側配管50aの軸線方向に所定の間隔を空けた状態で配置される止水栓51bと、止水栓51bの下流側に接続された逆L字状のエルボ部52bを有したものとされている。
【0037】
また、本実施形態では、一次側配管50aにおける止水栓51aと、二次側配管50bにおける止水栓51bとの間に水道メータ70が接続可能なものとされている。配管支持ユニット10に水道メータ70を配置することにより、配管支持ユニット10を水道メータ70と一体化して提供することができる。これにより、配管支持ユニット10を外部の配管(図示しない)の一次側と二次側とに接続するだけで、当該外部の配管に水道メータ70を導入することができる。従って、定期的(例えば、8年毎)な水道メータ70の交換を容易に行うことができる。また、配管支持ユニット10に予め水道メータ70を接続しておくことにより、配管支持ユニット10のユニット単位で水道メータ70の交換や導入が行えるので、作業性の向上が期待できる。なお、水道メータ70は、適宜設けることができ、配管支持ユニット10が、水道メータ70を備えないものとしてもよい。なお、止水栓51、エルボ部52、水道メータ70の接続には各種の接続ナットやシール部材を使用することができる。
【0038】
エルボ部52aは、一次側配管50aにおける止水栓51aの上流側に接続されている。また、エルボ部52bは、二次側配管50bにおける止水栓51bの下流側に接続されている。エルボ部52a,52bは、一次側配管50a及び二次側配管50bの配管方向を直交する方向に変換できる。これにより、一次側配管50aや二次側配管50bの接続利便性が向上する。従って、配管支持ユニット10の設置場所に対する汎用性を高めることができる。
【0039】
また、エルボ部52aには、一次側配管50aの軸線方向に沿った上流側に支持用のネジ軸53aが形成されている。また、同様にエルボ部52bには、一次側配管50aの軸線方向に沿った下流側に支持用のネジ軸53bが形成されている。両ネジ軸53a,53bは、後述する配管支持部30における角度調整部32a,32bの一部を構成し、配管支持部30の支持位置31a,31bに回動可能に支持される。
【0040】
配管支持部30は、一次側配管50a及び二次側配管50bを、一次側配管50aの軸線方向に所定の間隔を空けた状態で支持するものとされている。また、配管支持部30は、一次側配管50aの上流側に位置するエルボ部52aの上流側と、二次側配管50bの下流側に位置するエルボ部52bの下流側とのそれぞれに立設されている。配管支持部30は、例えば、ベース部20の折り曲げ加工により形成することができる。なお、配管支持部30は、金属、樹脂等で形成された板材等を溶接や接着等によって接合することで形成してもよい。また、配管支持部30は、錆びつきを抑制するために、上述したベース部20と同様にステンレスで形成するとよい。これにより、配管支持部30が錆びて配管50a,50bと固着することを抑制できる。
【0041】
配管支持部30は、例えば、一次側配管50aを支持する一次側配管支持部30aと、二次側配管50bを支持する二次側配管支持部30bとを有するものとされている。また、一次側配管支持部30a及び二次側配管支持部30bは、一次側配管50a及び二次側配管50b(以下、単に配管50a,50bとも称する)をそれぞれ所定の支持位置31a,31bにおいて支持している。支持位置31a,31bは、一次側配管支持部30a及び二次側配管支持部30bの上端付近に形成されている。そのため、配管支持部30は、配管50a,50bをベース部20との間隔を空けた状態で、一体的に支持することができる。
【0042】
また、配管支持部30は、配管50a,50bを軸線周りに所定の方向に回動させて固定する角度調整部32a,32bを有し、配管50a,50bが角度調整部32a,32bによって支持されている。角度調整部32a,32bは、支持位置31a,31bに形成されている。
【0043】
また、角度調整部32a,32bは、エルボ部52a,52bに形成されたネジ軸53a,53bと、ネジ軸53a,53bを固定するナット54a,54b等を有している。ネジ軸53a,53bは、支持位置31a,31bに形成されたそれぞれの開孔に挿通され、ナット54a,54bにより配管支持部30a,30bに固定される。これにより、配管50a,50bは、ネジ軸53a,53bの軸線周りに回動が可能であり、配管50a,50bの接続方向を調整できる。また、角度調整部32a,32bは、配管50a,50bの接続方向を微調整できるので、接続した部分に無理な負荷が掛かることを抑制できる。また、配管50a,50bや配管支持ユニット10に寸法誤差があっても、当該寸法誤差を許容できる。また、配管支持ユニット10に接続される外部の配管(図示しない)の配置に位置ずれがあった場合でも、配管50a,50bの角度を微調整して接続することができる。
【0044】
また、角度調整部32a,32bは、水道メータ70を配管50a,50bに接続する際に、配管50a,50bを回動させて水道メータ70を所定の方向に向けることも可能にしている。なお、角度調整部32a,32bは、適宜設けることができ、配管支持ユニット10が角度調整部32a,32bを備えないものとしてもよい。
【0045】
図1に示すように、規制部40は、配管50a,50bと、ベース部20との間に形成される空隙に配されており、ベース部20に対して立設されている。また、図2に示すように本実施形態では、規制部40が配管50a,50bの管径よりも小さく、幅方向に沿って上端が平坦に形成されている。そのため、一次側配管50a及び二次側配管50bを押下げ方向と沿う方向に支持することができる。これにより、規制部40の強度を確保することができるので、規制部40を必要以上に肉厚等に形成する必要がない。従って、配管支持ユニット10の軽量化が期待できる。ここで、規制部40は、一次側配管50aとベース部20との間に配される一次側規制部40aと、二次側配管50bとベース部20との間に配される二次側規制部40bとを有するものとするとよい。
【0046】
規制部40は、図1及び図2に示すように、例えば、ベース部20を形成する板材を切り起こしてL字形状に折り曲げ加工することにより、ベース部20と一体的に形成されている。従って、例えば、1枚の板材を加工して配管支持ユニット10を形成できるので、部品構成が簡素化できる。これにより、コストダウンや配管支持ユニット10の強度確保が期待できる。
【0047】
また、規制部40は、ベース部20や配管支持部30と同様にステンレスで形成することが望ましい。これにより、規制部40が錆びて、配管50a,50bとの間隔が変動することを抑制できる。ベース部20、配管支持部30及び規制部40をステンレスで形成することにより、配管支持ユニット10が錆びることを抑制できる。また、例えば、配管支持ユニット10が、湿気の多い場所や、雨水、結露などにより水が付着するような場所に用いられた場合であっても、配管支持性能が低下することを抑制できる。
【0048】
また、規制部40は、ベース部20を基準として、配管50a,50bのベース部20側への近接が許容される近接限界位置に到達するように形成されている。そのため、配管50a,50bが、撓んでベース部20側に近接しても規制部40により、近接限界位置を超えて配管50a,50bがベース部20に近接することを抑制できる。すなわち、配管50a,50bが、規制部40に接触(当接)することにより、配管50a,50bが撓むことを抑制できる。これにより、配管50a,50bが撓むことによる変形や破損を抑制できる。
【0049】
また、上述した近接限界位置は、配管50a,50bを押下げした際に配管50a,50bが撓むことを許容する範囲とされている。すなわち、近接限界位置は、配管50a,50bに対して、ベース部20側にごく僅かな隙間を空けた位置とされている。そのため、配管50a,50bと規制部40とは、非接触であるが、ベース部20側への押圧力が作用した際に、配管50a,50bが撓んで規制部40と接触することにより、上下方向に位置ズレすることが抑制される。上述したように配管50a,50bが、規制部40と非接触とされているので、錆が発生することを抑制できる。また、一次側配管50a、二次側配管50b、ベース部20及び配管支持部30等に寸法誤差がある場合であっても、前記隙間の範囲で寸法誤差を許容することができる。
【0050】
規制部40は、配管支持部30を構成する一次側配管支持部30a及び二次側配管支持部30bに対して、配管50a,50bの軸線方向に外れた位置に設けられている。具体的には、図2に示すように、規制部40は、支持位置31a,31bに対し、ベース部20の長手方向中央側に外れた位置に、規制部40a,40bが設けられている。そのため、配管50a,50bは、それぞれ支持位置31a,31bに加え、規制部40a,40bの2箇所において、下方から支持される。そのため、規制部40は、配管支持部30との組み合わせにより、配管50a,50bが軸線方向に対して交差する方向(図1の状態において上下方向)への応力を受けても、撓みや湾曲が生じないように支持することができる。
【0051】
また、本実施形態のように、配管50a,50bが、止水栓51a,51bを有するものである場合は、規制部40a,40bが、止水栓51a,51bの下方に位置するように設けられていることが望ましい。これにより、止水栓51a,51bのような操作時に負荷が掛かる部材に対して、規制部40が下方から支持することができるので、止水栓51a,51bの操作により、一次側配管50aや二次側配管50bが撓んで変形することや破損することを抑制できる。規制部40a,40bは、止水栓51a,51bの中央部下方に位置するように設けることが望ましい。これにより、止水栓51a,51bに掛かる負荷方向と規制部40による支持方向とを一致させることができ、配管50a,50bの撓みをより低減できる。
【0052】
以上が、本発明の配管支持ユニット10に係る一実施形態であるが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、各種の変形を行うことができる。
【0053】
本実施形態では、ベース部20が、配管50a,50bの双方を支持するものとしたが、ベース部20が、配管50a,50bの一方のみを支持するものや配管50を3つ以上支持するものであってもよい。配管50を3つ以上設ける場合は、例えば、配管50が軸線方向に沿って複数列設けられたものとしてもよい。また、配管50は、水道配管に用いるものだけではなく、各種の液体や気体等の流体を搬送するものに適用することができる。また、配管50には、止水栓51やエルボ部52の他に各種の配管部材を備えたものとすることができる。
【0054】
また、本実施形態では、配管支持部30が、配管50a,50bを、一次側配管50aの軸線方向に所定の間隔を空けた状態で支持するようにしているが、配管支持部30の配置は、これに限定されるものではなく、配管50の形状に応じて各種の位置に配置することができる。また、配管支持部30が、配管50を上下方向から支持するものや配管50の幅方向から支持するものなど各種の方向から支持することが可能である。
【0055】
本実施形態では、規制部40が、止水栓51におけるバルブ軸の下方に位置するように設けられているが、規制部40は、配管50を支持できる位置であれば、各種の位置に配置することができる。また、規制部40は、一つの配管50に対して、単数のものだけではなく複数設けられるものでもよい。また、規制部40の形状も各種の形状とすることができる。規制部40の形状は、例えば、上端部が平坦なもの、尖っているもの、分岐しているものでもよい。また、規制部40が形成する上述の近接限界位置は、配管50の形状や撓みの度合いに応じて、適宜変更できる。
【0056】
本実施形態では、規制部40が、ベース部20に対して立設されているものとしたが、規制部40は、ベース部20に対して各種の方向に設けることができる。また、規制部40は、配管50の撓みを規制できるものであれば、上記実施形態において例示したものの他に各種の形状のものを採用できる。例えば、規制部40は、先端がピン状のもの、先端が分岐したもの、配管50の形状に沿う形状を有するものなどとすることも可能である。
【0057】
本実施形態では、配管50a,50bの双方が、それぞれ止水栓51を有するものとしたが、配管50a,50bの一方のみに止水栓51が設けられるものでもよい。また、配管50a,50bが止水栓51を有しないものでもよい。その他、配管50a,50bの一方に止水栓51が複数設けられるものでもよい。また、止水栓51に代えて、各種のバルブや逆止弁等の弁が設けられるものでもよい。
【0058】
本実施形態では、規制部40が、ベース部20と一体的に形成されているものを例示したが、規制部40が、ベース部20とは異なる支持材の接続によりベース部20と一体化されているものでもよい。これにより、ベース部20の加工性が悪い場合であっても、例えば、予め加工された支持材を、ベース部20に接続することで規制部40を形成することができる。これにより、規制部40の形状の自由度を高めることができる。規制部40の接続は、溶接や接着など、各種の手段を用いればよい。また、規制部40は、ベース部20とは別の部材で形成されたものであってもよい。
【0059】
本実施形態では、ベース部20、配管支持部30及び規制部40がステンレスで形成されていることを例示したが、ベース部20、配管支持部30及び規制部40がステンレスで形成されているものだけには限定されず、各種の素材を用いることができる。例えば、配管支持ユニット10を構成する部材が、各種金属や各種の樹脂やFRP、CFRP等の繊維強化プラスチック又はこれらの組合せで形成されていてもよい。なお、金属を使用する場合は、金属表面を防錆処理したり、メッキ等を施したりするとよい。
【0060】
本実施形態では、配管支持部30が、角度調整部32を有するものとしたが、角度調整部32を有しないものとしてもよい。また、本実施形態では、角度調整部32が、配管50を軸線周りに所定の方向への回動を許容するものとしたが、配管50の形状に応じて、角度調整方向を変更することが可能である。
【0061】
本実施形態では、配管50a,50bの間に水道メータ70が接続されるものを例示したが、水道メータ70が接続されないものでもよい。また、水道メータ70に代えて、各種の計測メータが接続されるものや計測メータ以外のセンサや配管等が接続されるものでもよい。
【0062】
本実施形態では、配管50a,50bの双方が、エルボ部52a,52bを有し、エルボ部52a,52bが、配管支持部30a,30bに支持されているものを例示したが、配管50a,50bのいずれか一方がエルボ部52を有するものや、配管50a,50bの双方が、エルボ部52を有しないものとしてもよい。また、配管50が複数のエルボ部52を有するものとしてもよい。
【0063】
以上が本発明の配管支持ユニットに係る実施形態であるが、本発明は上述した実施形態や変形例において例示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示及び精神から他の実施形態があり得ることは当業者に容易に理解できよう。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の配管支持ユニットは、水道配管等の各種の流体搬送用の配管に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0065】
5 :接地面
10 :配管支持ユニット
20 :ベース部
30 :配管支持部
30a:配管支持部
30b:配管支持部
31a:支持位置
31b:支持位置
32 :角度調整部
32a:角度調整部
32b:角度調整部
40 :規制部
40a:一次側規制部
40b:二次側規制部
50 :配管
50a:一次側配管
50b:二次側配管
51 :止水栓
51a:止水栓
51b:止水栓
52 :エルボ部
52a:エルボ部
52b:エルボ部
53a:ネジ軸
53b:ネジ軸
図1
図2