(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】換気口キャップに装着自在の防虫・防蝙蝠構造
(51)【国際特許分類】
F24F 7/04 20060101AFI20240717BHJP
F24F 7/00 20210101ALI20240717BHJP
【FI】
F24F7/04 B
F24F7/00 D
(21)【出願番号】P 2020139641
(22)【出願日】2020-08-20
【審査請求日】2023-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】520318041
【氏名又は名称】株式会社マストライズ・ジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】太田 達宏
(72)【発明者】
【氏名】東 喜信
(72)【発明者】
【氏名】峯戸松 毅浩
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-065575(JP,A)
【文献】特開平10-180146(JP,A)
【文献】特開平07-309129(JP,A)
【文献】特開2002-106902(JP,A)
【文献】特開2006-105521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/04
F24F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周面に多数のエア流通孔を形成した半球状のエア流通カバー本体を
換気口キャップを構成する半球状のキャップ本体の
キャップ開口部から内部に嵌入収納するように構成すると共に、
半球状のエア流通カバー本体は略中央から左右に二分割してキャップ開口部から嵌入収納可能に構成し
つつ、キャップ開口部を閉塞する部分に係合突起を設け、しかも、
係合突起を係合させることにより、左右に二分割したエア流通カバー本体
がキャップ
本体内部で一体接合してキャップ開口部を閉塞するように構成したことを特徴とする換気口キャップに装着自在の防虫・防蝙蝠構造。
【請求項2】
半球状のエア流通カバー本体は可撓性の合成樹脂により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の換気口キャップに装着自在の防虫・防蝙蝠構造。
【請求項3】
多数のエア流通孔は、小孔のメッシュ状に形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の換気口キャップに装着自在の防虫・防蝙蝠構造。
【請求項4】
多数のエア流通孔は、多数の円環状細帯体を上下に一定間隔を保持して並設することにより、各細帯体間に形成した横長孔としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の換気口キャップに装着自在の防虫・防蝙蝠構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、換気口キャップに装着自在の防虫・防蝙蝠構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内と室外との空気の流通を促進するために換気口が外壁帯に設けられている。
【0003】
かかる換気口は、外壁に空気流通口を開口し、防雨のために球状で先端部が開口したキャップが外方から装着されている。キャップを外壁に装着する際には、キャップと換気口との結合をより強固にする為に、キャップと換気口との接触面はシリコン等でコーキング処理が施される。キャップの開口内部には、空気の整流を目的とする鎧戸式の羽と、鎧戸式の羽よりも室内側に防虫を目的とする網戸とが設けられている。換気口は係る構造により、防虫網の清掃をする際には換気口からキャップを取り外す工程が必要となる。この工程は煩雑で手間を取るため、より容易に清掃可能な換気口の防虫構造が求められていた。
【0004】
そのために、換気口キャップ用防虫網の清掃装置(例えば、特許文献1)や、清掃を容易とするために換気ダクトに設けられた防虫装置(例えば、特許文献2)が開示されている。
【0005】
特許文献1に開示の清掃装置は、防虫網の面と概ね平行に隣接して回転可能に支持された櫛状のブラシと、ブラシに連結された回転駆動部材と、より構成されている。かかる構成により、特許文献1に開示の清掃装置は、回転駆動部材を操作してブラシを回転させ、ブラシによって防虫網の汚れを落とす構成となっている。これにより、特許文献1に開示の清掃装置は、換気口が備える防虫網の清掃作業を簡単かつ迅速に実施可能となる。
【0006】
特許文献2に開示の防虫装置は、換気ダクトに脱着自在な防虫装置であって、筒型の本体ドラムと、本体ドラムの一方の開口部を覆うように固着された防虫網と、本体ドラムの下部に設けられたポケット部と、より構成されている。かかる構成により、特許文献2に開示の防虫装置は、清掃作業をする際には本体ドラムを換気ダクトから取り出して蓄積した虫の死骸等を破棄することができる。このように、特許文献2に開示の防虫装置は、効率良くかつ衛生的に防虫装置の清掃を室内で実施することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平7-174380号公報
【文献】特開2019-2664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示の清掃装置は、換気口の網戸よりも室内側に清掃装置が設けられているために、網戸から落とされた汚れを取り除く際には、屋外側から掻き取りブラシを換気口キャップに差し込んで掻き出す必要があった。しかも、清掃装置は、換気口毎に設ける必要があり、導入費用や維持管理費用等のコスト面が高くなる虞があった。
【0009】
また、特許文献2に開示の防虫装置は、清掃する際には室内から行う必要がある。そのため、各室内への入室許可を得たり、部屋から別の部屋へと屋内を移動し回ったりと清掃作業が煩雑となる虞があった。
【0010】
しかも、かかる換気口キャップには虫だけではなく蝙蝠などが侵入して生息することが多く、糞による汚損が激しくその清掃には清掃専門家が行わないと完全な清掃作業が行い難い欠点もあった。汚損された換気口キャップを清掃するに際しては、換気口キャップと換気口とをコーキングするシリコン等を除去しなければならない。このように、汚損した換気口キャップを取り外す作業は煩雑である。かつ、キャップ内壁面などに付着した虫や獣の汚物除去作業も行うことについて嫌悪感を持つ素人には実行しがたく専門家に依頼すると高額な料金がかかるためそのまま放置して生活衛生環境に種々の問題を生起している。
【0011】
この発明では、周面に多数のエア流通孔を形成した半球状のエア流通カバー本体を左右に二分割してキャップ開口部からキャップ本体内に嵌入して内部で半球状に組立て、キャップ開口部を閉塞するように構成して上記の課題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、周面に多数のエア流通孔を形成した半球状のエア流通カバー本体を半球状のキャップ本体の開口部から内部に嵌入収納するように構成すると共に、半球状のエア流通カバー本体は略中央から左右に二分割してキャップ開口部から嵌入収納可能に構成し、しかも、キャップ本体の内部に嵌入した二分割の半球状のエア流通カバー本体はキャップ内部で一体接合して組立可能とすることにより半球状のエア流通カバー本体によってキャップ開口部を閉塞するように構成したこととした。
【0013】
また、半球状のエア流通カバー本体は可撓性の合成樹脂により形成されていることとした。
【0014】
また、多数のエア流通孔は、小孔のメッシュ状に形成されていることとした。
【0015】
また、多数のエア流通孔は、多数の円環状細帯体を上下に一定間隔を保持して並設することにより、各細帯体間に形成した横長孔とした。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、周面に多数のエア流通孔を形成した半球状のエア流通カバー本体を半球状のキャップ本体の内部に嵌入収納自在に構成したことにより、エア流通カバー本体とキャップ本体は1つの球状体を形成することとなる。これにより、虫・蝙蝠・鳥類・ゴミ等は、キャップ本体内に侵入することができなくなり、巣を作ったり、居付くこともできなくなる。
【0017】
しかも、キャップ本体の開口を下向きとなるように設けた場合、エア流通カバー本体によって侵入を防がれた虫やごみは、重力に従ってキャップ本体の外側に落ちることとなる。これにより、キャップ本体内に虫の死骸やごみが蓄積することを防ぐ効果もある。
【0018】
また、給気及び排気の送風効率を低下させない効果がある。具体的には、エア流通孔の開口面積が小さいエア流通カバー本体は、給気及び排気の送風効率を低下させることとなる。また、エア流通孔の開口面積が大きいエア流通カバー本体は、キャップ内部へ虫・蝙蝠・鳥類・ゴミ等を侵入させることとなる。
【0019】
しかしながら、球状に形成されるエア流通カバー本体は、板状に形成されるエア流通カバー本体と比較して表面積が広くなる為、多くのエア流通孔を設けることができる。これにより、エア流通孔1つあたりの開口面積を小さく維持したまま、十分な送風効率の獲得を実現する。
【0020】
また、エア流通カバー本体は略中央から左右に二分割してキャップ開口部から嵌入収納させることができるように構成し、しかも、キャップ本体の内部に嵌入した二分割の半球状のエア流通カバー本体はキャップ内部で一体に接合可能とし、かつ、接合した二分割の半球状のエア流通カバー本体は換気口キャップを閉塞するように構成したことにより、エア流通カバー本体とキャップ本体が備える開口の閉塞をより強固なものとし、虫・蝙蝠・鳥類・ゴミ等の侵入を確実に防ぐことができる。
【0021】
仮に、エア流通カバー本体が一部材で構成された半球体である場合、エア流通カバー本体の形状は、キャップ本体の開口に入る大きさと形状に制限される。しかし、エア流通カバー本体を左右に二分割してキャップ本体内で組み合わせて一体とすることにより、エア流通カバー本体の周縁部を外側に広げた構造とすることができる。周縁を外側に広げたエア流通カバー本体の構造は、キャップ本体内に嵌入させると、キャップ本体内部の壁面に対して外側に向けての押圧力を生起する。これにより、エア流通カバー本体とキャップ本体との閉塞をより強固なものとし、虫・蝙蝠・鳥類・ゴミ等が隙間から侵入することを防ぐ。
【0022】
また、エア流通カバー本体を左右に二分割とすることで、キャップ本体の開口が不用意に広げられることによる雨の侵入をも防ぐことができる。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、メンテナンス性の向上を実現することができる。具体的には、エア流通カバー本体は、可撓性の合成樹脂により形成されている。そのため、金属製のエア流通カバー本体と比較して、軽量で持ち運び性に優れている。また、劣悪な環境下であっても腐食することがないため、エア流通カバー本体の交換頻度を少なくすることができる。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、多数のエア流通孔は小孔のメッシュ状に形成している為、可及的に小さなサイズの昆虫や蝙蝠の侵入を防ぐことが可能となる。
【0025】
請求項4に記載の発明によれば、多数のエア流通孔は、多数の円環状細帯体を一定間隔を保持して半球状に並設することにより、各細帯体間に形成した横長孔としている為、高い強度を備えることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明に係る防虫・防蝙蝠構造を説明する正面図である。
【
図2】本発明に係る防虫・防蝙蝠構造を説明する側面図である。
【
図5】本発明に係る防虫・防蝙蝠構造の実施例を説明する図である。
【
図6】第1の実施形態に係るエア流通カバー本体の正面図である。
【
図7】第1の実施形態に係るエア流通カバー本体の背面図である。
【
図8】第1の実施形態に係るエア流通カバー本体の平面図である。
【
図9】第1の実施形態に係るエア流通カバー本体の底面図である。
【
図10】第1の実施形態に係るエア流通カバー本体の側面図である。
【
図11】第1の実施形態に係るエア流通カバー本体の右上前方斜視図である。
【
図12】第1の実施形態に係るエア流通カバー本体の右上後方斜視図である。
【
図13】第2の実施形態に係るエア流通カバー本体の右上前方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
この発明は、周面に多数のエア流通孔を形成した半球状のエア流通カバー本体を半球状のキャップ本体の開口部から内部に嵌入収納するように構成すると共に、半球状のエア流通カバー本体は略中央から左右に二分割してキャップ開口部から嵌入収納可能に構成し、しかも、キャップ本体の内部に嵌入した二分割の半球状のエア流通カバー本体はキャップ内部で一体接合して組立可能とすることにより半球状のエア流通カバー本体によってキャップ開口部を閉塞するように構成したことを特徴とする換気口キャップに装着自在の防虫・防蝙蝠構造を要旨とする。
【0028】
また、半球状のエア流通カバー本体は可撓性の合成樹脂により形成されていることを特徴とする。また、半球状のエア流通孔は、小孔のメッシュ状、あるいは多数の円環状細帯体を一定間隔を保持して半球状に並設することにより各細帯体間に形成した横長孔であることを特徴とする。
【0029】
本発明にかかる防虫・防蝙蝠構造を図面に基づき詳細に説明する。なお、
図1から
図4は、本発明に係る防虫・防蝙蝠構造の実施例を説明する図である。
図5、本発明に係る防虫・防蝙蝠構造において半球状のエア流通カバー本体をキャップ本体に嵌入収納する様子を説明する図である。
図6から
図12は、第1の実施形態に係る防虫・防蝙蝠構造10におけるエア流通カバー11Aの形状を各視点から説明する図である。
図13は、第2の実施形態に係る防虫・防蝙蝠構造における流通カバーの形状を斜視的に説明する図である。
【0030】
本発明にかかる防虫・防蝙蝠構造10は、
図1に示すように、周面に多数のエア流通孔12を形成した半球状のエア流通カバー本体11を半球状のキャップ本体21の開口部21aから内部に嵌入収納するように構成すると共に、半球状のエア流通カバー本体11は略中央から左右に二分割(左右四半分割体13L・13R)してキャップ開口部21aから嵌入収納可能に構成している。
【0031】
しかも、防虫・防蝙蝠構造10は、キャップ本体21の内部に嵌入した二分割の半球状のエア流通カバー本体11はキャップ20内部で一体接合して組立可能とすることにより半球状のエア流通カバー本体11によってキャップ開口部21aを閉塞するように構成したことを特徴とする換気口キャップ20に装着自在である。
【0032】
また、防虫・防蝙蝠構造10が備える半球状のエア流通カバー本体11は、可撓性の合成樹脂により形成されている。
【0033】
すなわち、防虫・防蝙蝠構造10は、
図1から
図4に示すように、換気口のキャップ20に自在に着脱される物である。換気口のキャップ20は、室内と室外との空気の流通を促進するために外壁30(
図2から
図4を参照)に穿設された換気口31(
図2から
図4を参照)に外方からカバーリングされたキャップであり、外から害虫や害獣が侵入しないように、また雨露が侵入防止を目的として内部に鎧戸状の羽体22(
図3及び
図4を参照)が設けられている。
【0034】
また、防虫・防蝙蝠構造10は、
図5に示すように、かかる換気口キャップ20に装着されるものである。具体的には、防虫・防蝙蝠構造10を構成する後述するエア流通カバー本体11は左四半分割体13Lと右四半分割体13Rとに分割する可撓性の合成樹脂素材で構成し、左四半分割体13Lと右四半分割体13Rはそれぞれが単独でキャップ本体21の開口部21a内に収納される。開口部21a内に収納された左四半分割体13Lと右四半分割体13Rは、後述する係合突起14によって一体となるように係合される。
【0035】
このように、本発明の防虫・防蝙蝠構造10は、嵌入収納キャップ本体21の開口部21aを内側から閉塞するものである。本発明にかかる防虫・防蝙蝠構造10の実施形態について、以下の順で具体的に説明する。
(1)第1の実施形態:
(2)第2の実施形態:
【0036】
なお、本発明における換気口キャップ20は、金属製の半円弧状のキャップ本体21を採用している。キャップ本体21の下面には、下方向きの開口部21aを開口させている。すなわち、換気口キャップ20は、外壁30に半球状に突出したキャ
ップ本体21を備え、下方に空気流通機能のためのキャップ開口部21aを開口している。必要により該キャップ20は半円弧状ではなく縦長方形状の半筒状に形成されたものもあるが、本発明では、
図1及び
図2に示すように、半円弧状のキャップ本体21を備えた換気口キャップを採用した防虫・防蝙蝠構造10を説明する。
【0037】
(1)第1の実施形態:
第1の実施形態における防虫・防蝙蝠構造10が具備する多数のエア流通孔12Aは、
図6から
図12に示すように、小孔のメッシュ状に形成されている。
【0038】
すなわち、本実施形態にかかる防虫・防蝙蝠構造10は、可撓性の合成樹脂製とする半球状のエア流通カバー本体11と、エア流通カバー本体11に設けられた多数のエア流通孔12Aと、より構成されている。
【0039】
エア流通カバー本体11は、
図1、
図4、
図5、
図7、
図10、および
図12に示すように、エア流通カバー本体11の中心部よりも背面側寄りに切欠いた切欠き部15が形成されている。
【0040】
切欠き部15は、防虫・防蝙蝠構造10を換気口キャップ20に嵌入させる際に隙間を形成しない範囲で大きさを自由に選択できるが、可能な限り大きく形成することが望ましい。なぜなら、換気口キャップ20のキャップ本体21の内部構造は、必ずしも半円弧状に形成されているとは限らない。また、換気口キャップ20によっては、大きく形成された羽体22などの障害物を備えている場合もある。仮に、防虫・防蝙蝠構造10に切欠き部15を設けなければ、換気口キャップ20の内部構造によっては、防虫・防蝙蝠構造10が挿入時に障害物による規制を受けることとなり、防虫・防蝙蝠構造10を満足に嵌入できない場合もあり得る。
【0041】
このように、切欠き部15を設けることは、本発明に係る防虫・防蝙蝠構造10が様々な形状の換気口キャップ20に対応することを可能とする。
【0042】
また、エア流通カバー本体11は、可撓性の合成樹脂素材により構成し、半球状のエア流通カバー本体11は略中央から二分割してキャップ開口部21aから嵌入収納可能なように左右四半分割体13L・13Rに構成している。
【0043】
左右四半分割体13L・13Rに構成する目的は、半球状のキャップ本体21の半円弧状の開口部21aから内部に容易に嵌入収納することができるように小型の半球状に構成することにある。
【0044】
左右四半分割体13L・13Rには、キャップ本体21の内部に嵌入収納した場合にキャップ内部で一体接合可能なように固定用の係合突起14を設けている。
【0045】
係合突起14は、左右四半分割体13L・13Rそれぞれの周縁部に密着対向するように付設された板状体である。係合突起14は、左右四半分割体13L・13Rをキャップ本体21の内部に収納した後に、手動操作でこれらを一体に係合させる。
【0046】
係合突起14を付設する数は、防虫・防蝙蝠構造を嵌入させる換気口キャップ20の形状に応じて変えることができる。例えば、換気口キャップ20が大きな開口を備える場合であれば、複数個の係合突起14を等間隔となるように左右四半分割体13L・13Rそれぞれの周縁部に付設することで、左右四半分割体13L・13Rの係合をより確実なものとすることができる。
【0047】
係合突起14は、左右四半分割体13L・13Rを確実に一体となるように係合することができるものであれば、形を自由に選択することができる。例えば、
図6から
図12に示す板状体の他、円形や三角形、その他の意匠を施したものであってもよい。
【0048】
すなわち、係合突起14は、かかる構成により、左右四半分割体13L・13Rを一体に接合して半球状のエア流通カバー本体11を形成する。なお、左右四半分割体13L・13Rがキャップ本体21内に嵌入収納された状態は
図5に示す。
【0049】
エア流通孔12Aは、
図6から
図12に示すように、略矩形状の開孔である。この開孔の大きさは、一辺を約1~3ミリメートルで構成することが好ましい。これにより、エア流通孔12Aは、空気は十分に通るが、虫の出入りができない構造となる。
【0050】
エア流通孔12Aがエア流通カバー本体11に多数設けられることにより、エア流通カバー本体11はメッシュ形態を形成することとなる。これにより、本実施形態に係る防虫・防蝙蝠構造10は、給気および排気を阻害することなく、虫の侵入を可及的に防ぐことができる。
【0051】
(2)第2の実施形態:
第2の実施形態における防虫・防蝙蝠構造10が具備する多数のエア流通孔12Bは、
図13に示すように、多数の円環状細帯体16を上下に一定間隔を保持して並設することにより、各細帯体の間に形成した横長孔としている。
【0052】
本実施形態にかかる防虫・防蝙蝠構造10において、エア流通カバー本体11が備えるエア流通孔12B以外の構成は、上述した第1の実施形態と同じ構成である。そのため、エア流通孔12B以外の構成は、第1の実施形態と同じ符号を付すとともに、詳細な説明を省略する。
【0053】
すなわち、本実施形態におけるエア流通孔12Bは、
図13に示すように、エア流通カバー本体に形成された横長孔である。より具体的には、本実施形態におけるエア流通カバー本体11には、多数の円環状細帯体16が一定間隔を保持して並設されている。これにより、複数個の円環状細帯体16は、周縁部16aに四方を囲繞することにより横長孔を形成する。すなわち、エア流通孔12Bの周縁部は、円環状細帯体16の周縁部16aと一致している。なお、図中の符号11’は、円環状細帯体16を繋いだ縦方向のリブを示し、横長孔の形成を確実にしている。
【0054】
円環状細帯体16は、平面視において略水平方向、あるいは略垂直方向に設ける等、自由な方向に設けることができる。なお、本実施形態における円環状細帯体16は、
図13に示すように、平面視において略水平方向に設けている。
【0055】
円環状細帯体16の大きさは特に限定されるものではないが、例えば、長手方向を1cm~5cmとし、短手方向を1mm~5mmとするように範囲を限定することができる。また同様に、エア流通孔12Bの大きさは限定されるものではないが、例えば、長手方向を1cm~5cmとし、短手方向を1mm~5mmとするように範囲を限定することができる。
【0056】
エア流通孔12Bが係る構成よりなることで、エア流通カバー本体11は、可撓性の合成樹脂素材により所定の強度を備えた構成となる。また、本実施形態にかかるエア流通カバー本体11の構造は、第1の実施形態と比較して簡易化されている。これにより、工場の製造ラインでの大量生産が可能となる。
【0057】
本発明にかかるエア流通孔12の構成は以上の通りである。エア流通孔12が上述する構成からなることで、本発明に係る防虫・防蝙蝠構造10は、給気および排気を阻害することなく、虫の侵入を可及的に防ぐことができる。
【0058】
また、本発明に係る防虫・防蝙蝠構造10は、
図1及び
図2に示すように、可撓性の合成樹脂素材の特徴を活かして、換気口キャップ20に自在に着脱することができる。しかも、キャップ本体21は、内部が半円弧状に形成されているので、その内部に球状のエア流通カバー本体11を半々別々に或いは半球状の状態に組立てて収納し、キャップ内部で組当てれば、エア流通カバー本体11は球状特性によりキャップ内部で転動してキャップ開口部21aを内側から閉塞することとなる。
【0059】
このようにフイルターとしてのエア流通カバー本体11をキャップ本体21内部に収納することができる。
【0060】
他方、清掃のためエア流通カバー本体11を除去する際には開口部21aからエア流通カバー本体11の係合突起14を係合の解除をして半円弧状のエア流通カバー本体11をその半分の左右四半分割体13L・13Rに分離解体して細分化されたエア流通カバー本体11をキャップ本体21の開口部21aから容易に引き出して清掃するなり、或いは新しいエア流通カバー本体11に取り換えることができる。
【符号の説明】
【0061】
10 防虫・防蝙蝠構造
11 エア流通カバー本体
11’ 縦方向リブ
12(12A,12B) エア流通孔
13L 左四半分割体
13R 右四半分割体
14 係合突起
15 切欠き部
16 円環状細帯体
16a 円環状細帯体の周縁部
20 換気口キャップ
21 キャップ本体
21a キャップ本体開口部
22 羽体
30 外壁
31 換気口