IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 押尾産業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-注出口具 図1
  • 特許-注出口具 図2
  • 特許-注出口具 図3
  • 特許-注出口具 図4
  • 特許-注出口具 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】注出口具
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/38 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
B65D33/38
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021037536
(22)【出願日】2021-03-09
(65)【公開番号】P2022137845
(43)【公開日】2022-09-22
【審査請求日】2022-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】391003794
【氏名又は名称】押尾産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正昭
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正和
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-082826(JP,A)
【文献】特開2015-101382(JP,A)
【文献】特開2021-001002(JP,A)
【文献】特開2017-165706(JP,A)
【文献】特開2018-103582(JP,A)
【文献】特開2018-203334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流体を収容する容器の開口部分に取り付けられる注出口具であって、
筒本体部と前記筒本体部の下部に前記筒本体部と一体に連なった取付部とを有するとともに前記流体の流路を形成する注出部と、前記取付部の下面に貼り付けられるガスバリア部材とを備え、
前記ガスバリア部材の周縁部分には、前記取付部の下面に貼り付けられる部分から前記取付部の外周面に沿って折り曲げてなる折曲部が設けられていて、
前記取付部の下面の周縁部分には、切り欠きが設けられ、
前記切り欠きには、前記折曲部の一部が収容されていて、
前記容器は、2つのシート部材が貼り合わされることで構成される袋状容器であり、
前記取付部の外周面には、径方向外方へ突出するとともに前記容器を構成する前記2つのシート部材と互いに対向した状態で挟まれる接着シート片が設けられていて、
前記取付部の外周面において、前記接着シート片は、前記切り欠きの上側の部分に隙間を空けて取り付けられていて、
前記切り欠きの上下方向における長さは、前記折曲部における前記取付部の外周面に沿って折り曲げられた部分から先端までの長さよりも長く設定されている注出口具。
【請求項2】
前記取付部は、前記筒本体部と一体に連なった取付本体部と、前記取付本体部から径方向外方に突出する2つの張出部とを有し、
前記2つの張出部のうちの一方の張出部は、前記取付本体部を挟んで、前記2つの張出部のうちの他方の張出部と反対側に突出しており、
前記切り欠きは、前記一方の張出部の下面の先端に設けられているとともに、前記他方の張出部の下面の先端に設けられている請求項1に記載の注出口具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に流体を収容する容器の開口部分に取り付けられる注出口具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包装袋等の容器の開口部分に取り付けられる注出口具において、内部に形成された流路を通じた容器内への酸素等の外気の流入を抑制するように構成された注出口具が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、円筒状の内筒状本体部とその下部に一体に連なった容器接合用筒を有し、内部に流体の流路を形成するスパウトと、スパウトの内筒状本体部との螺合により脱着自在に装着されたキャップとを備えた注出口具が開示されている。容器接合用筒は、内筒状本体部に一体に連なった筒状基部と、筒状基部の外面から径方向外方に張り出している張出片を備えている。内筒状本体部及び筒状基部の内部は、流体の流路を構成している。また、キャップは、スパウトの内筒状本体部及び筒状基部の内部に挿入されてスパウト内部の流路を閉塞する有底筒状の栓体を有している。
【0004】
こうした構造の注出口具では、内筒状本体部の外面から透過した酸素が、内筒状本体部の内部を軸方向に流れて容器内に流入する。特許文献1に記載される注出口具では、こうした酸素の流入を抑制するために、キャップの栓体の外面にスパウトの筒状基部の内面に密着する部位を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-90271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の注出口具に付与されたガスバリア機能は、容器に付与されたガスバリア機能に対して十分とは言い難い。このため、注出口具を通じて容器内へ酸素が流入するおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明者らは、キャップの栓体の下端及び容器接合用筒の下端にシート状のガスバリア部材を貼り付けた注出口具を開発した。当該注出口具によれば、ガスバリア部材の周縁部分に容器接合用筒の外周面に沿って折り曲げてなる折曲部を設けるようにしている。ガスバリア部材に折曲部を設けると、容器接合用筒の外周面に沿うことができない部分が生じて、しわが寄るおそれがある。この場合、折曲部にしわが寄ったままの状態で容器接合用筒を容器の開口部分に取り付けると、容器接合用筒と容器とを十分に密着させることができず、当該しわによって形成された隙間を通じた容器内への酸素の侵入が生じるおそれがある。このため、酸素バリア性の観点からは、なお改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明は、内部に流体を収容する容器の開口部分に取り付けられる注出口具であって、筒本体部と前記筒本体部の下部に前記筒本体部と一体に連なった取付部とを有するとともに前記流体の流路を形成する注出部と、前記取付部の下面に貼り付けられるガスバリア部材とを備え、前記ガスバリア部材の周縁部分には、前記取付部の下面に貼り付けられる部分から前記取付部の外周面に沿って折り曲げてなる折曲部が設けられていて、前記取付部の下面の周縁部分には、切り欠きが設けられ、前記切り欠きには、前記折曲部の一部が収容されている。
【0009】
上記の構成によれば、折曲部の一部、とくに、取付部の外周面に沿わない部分を切り欠きに収容することが可能となる。折曲部において、取付部の外周面に沿わない部分を少なくできるため、折曲部でのしわの発生を抑制できる。したがって、折曲部に生じたしわによって形成された隙間を通じて容器内へ酸素が侵入することを抑えられる。
【0010】
なお、容器の内部に収容される流体は、液体、粘性体に限らず、固体(固形物、顆粒、粉体等)も含む。
上記の構成において、前記取付部は、前記筒本体部と一体に連なった取付本体部と、前記取付本体部から径方向外方に突出する2つの張出部とを有し、前記2つの張出部のうちの一方の張出部は、前記取付本体部を挟んで、前記2つの張出部のうちの他方の張出部と反対側に突出しており、前記切り欠きは、前記一方の張出部の下面の先端に設けられているとともに、前記他方の張出部の下面の先端に設けられていることが好ましい。
【0011】
張出部の下面の先端に対して形成される折曲部には、折り重なりが生じやすい。上記構成によれば、この折り重なりを切り欠きによって収容できるため、折り重なりに起因した折曲部でのしわの発生を好適に抑制できる。
【0012】
上記の構成において、前記容器は、2つのシート部材が貼り合わされることで構成される袋状容器であり、前記取付部の外周面には、径方向外方へ突出するとともに前記容器を構成する前記2つのシート部材と互いに対向した状態で挟まれる接着シート片が設けられ、前記取付部の外周面において、前記切り欠きと前記接着シート片とは上下方向に離間して設けられていることが好ましい。
【0013】
上記の構成によれば、取付部の外周面において切り欠きと接着シート片とは上下方向に離間して設けられていることから、切り欠きの機能と、接着シート片の機能とをそれぞれ安定的に発揮させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、酸素バリア性に優れた注出口具が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態の注出口具の斜視図。
図2】注出口具の縦断面図。
図3】シート体を取り外した状態の注出口具の下面図。
図4】シート体の貼り付け方法のうち接着工程及び切出工程を説明する説明図。
図5】(a)~(c)は、シート体の貼り付け方法のうち折曲工程を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した注出口具について説明する。
本実施形態の注出口具1は、合成樹脂製の袋状容器の開口部分に取り付けられて、袋状容器の内部に収容された流体を注出するための流路を形成する。袋状容器は、互いに対向する2つのシート部材が貼り合わされることで袋状に構成されている。注出口具1は、袋状容器の開口部分、すなわち互いに対向する2つのシート部材の間でヒートシールにより接着固定される。本実施形態の袋状容器は、ポリエチレン製の薄膜状の複数層のシートの間にアルミニウム箔層が積層された多層構造シートにより成形されている。なお、以下の説明では、図1に示す上下、左右を、注出口具1の上下、左右として説明する。
【0017】
図1及び図2に示すように、注出口具1は、内部に流体の流路Cを形成する注出部2と、注出部2との螺合により注出部2に脱着可能に装着された蓋部4と、ガスバリア部材としてのシート体5とを備えている。
【0018】
図2に示すように、注出部2は、内部に流路Cを形成している。注出部2は、注出部2の全長に亘って形成された円筒状の筒本体部20と、筒本体部20の下部に筒本体部20と一体に形成された取付部30とを備えている。筒本体部20の内周面は、上下方向に径が変化しないストレート形状に形成されている。筒本体部20の内周面は、凹凸の存在しない平坦面として形成されている。なお、上下方向は筒本体部20の軸方向であり、左右方向は筒本体部20の径方向である。
【0019】
筒本体部20の上部の外周面には、雄螺子21が周方向に延びるように形成されている。また、筒本体部20の上下方向中間部の外周面には、径方向に突出する環状突部22が周方向全体に形成されている。さらに、環状突部22の上部には、複数のラチェット23が形成されている。
【0020】
図1及び図2に示すように、取付部30は、筒本体部20の下部において筒本体部20と一体に連なった取付本体部30aと、取付本体部30aから径方向外方へ突出する2つの張出部30bとを有している。2つの張出部30bは、左右方向に突出している。すなわち、2つの張出部30bのうち一方の張出部は、取付本体部30aを挟んで、2つの張出部30bのうちの他方の張出部と反対側に突出している。取付部30は、上面視で略菱形状をなしている。
【0021】
2つの張出部30bのうち一方の張出部は、取付本体部30aから左右方向のうち一方に突出する略三角板状の4つの板部と、各板部の間を連結する3つの連結部とを有している。
【0022】
4つの板部は、上側に設けられた上側板部31と、下側に設けられた下側板部32と、上側板部31及び下側板部32の間に設けられた2つの中間板部33とにより構成されている。上側板部31と、下側板部32と、2つの中間板部33とは、上下方向において互いに平行に設けられている。上側板部31、下側板部32、及び2つの中間板部33の各側面は、袋状容器の開口部分が接着固定される部分である。上側板部31、下側板部32、及び2つの中間板部33の各側面は、凹凸のない平坦面として形成されている。下側板部32と2つの中間板部33とは、互いに同一形状かつ同じ大きさをなしている。一方、上側板部31は、下側板部32と2つの中間板部33とに比べて、一回り大きい形状をなしている。上側板部31、下側板部32、及び2つの中間板部33は、取付本体部30aから離れるほど、すなわち取付本体部30aと反対側の先端に近付くほど、先細りになっている。上側板部31における取付本体部30aと反対側の先端は、端面をなしている。下側板部32における取付本体部30aと反対側の先端は、上下方向に延びる端辺をなしている。これは、下側板部32と同一形状をなしている中間板部33についても同様である。
【0023】
3つの連結部は、上側板部31と中間板部33との間に設けられる連結部34と、2つの中間板部33の間に設けられる連結部35と、中間板部33と下側板部32との間に設けられる連結部36とにより構成されている。各連結部34,35,36は、同一形状をなしている。連結部34は、取付本体部30aから径方向外方すなわち左右方向のうち一方に突出している。連結部34は、長方形板状をなしている。連結部34の上面は、上側板部31の下面と連結されている。連結部34の下面は、中間板部33の上面と連結されている。連結部34の板厚方向は、上下方向及び左右方向と直交する方向である。連結部34における取付本体部30aと反対側の先端は、上下方向に延びる端辺をなしている。連結部34の先端の端辺は、上側板部31の先端の端面と、中間板部33の先端の端辺とに連なっている。これは、連結部34と同一形状をなしている連結部35,36についても同様である。また、2つの張出部30bのうち他方の張出部についても、2つの張出部30bのうち一方の張出部と同様に、取付本体部30aから左右方向のうち他方に突出する略三角板状の4つの板部と、各板部の間を連結する3つの連結部とを有している。
【0024】
下側板部32の下面32aは、後に説明する蓋部4の蓋本体部41の底面45aとともにシート体5が貼り付けられる面である。下側板部32の下面32aは、左右方向に水平で凹凸のない平坦面として形成されている。
【0025】
2つの張出部30bの先端には、左右方向に突出する接着シート片37がそれぞれ設けられている。接着シート片37は、長方形板状をなしている。接着シート片37の板厚は、上側板部31、下側板部32、及び2つの中間板部33の板厚よりも小さく設定されている。接着シート片37の左右方向の一端は、2つの中間板部33及び3つの連結部34の先端に接続されている。接着シート片37は、その板厚方向において袋状容器を構成する2つのシート部材と互いに対向した状態で介在されている。接着シート片37は、袋状容器を構成する2つのシート部材がヒートシールにより接着固定する際の接着強度を高めるために設けられている。下側板部32、及び2つの中間板部33の各外周面と、接着シート片37の板厚方向の両側面とは、袋状容器の開口部分がヒートシールにより接着固定される部分である。
【0026】
蓋部4は、注出部2の内側に挿入される有底円筒状の蓋本体部41と、蓋本体部41の上端部から径方向外方へ延びるフランジ部42と、フランジ部42の外方端部から下方へ延びる外筒部43とを備えている。
【0027】
図2に示すように、蓋本体部41は、円筒状の周壁44と、周壁44の下端縁に設けられた底壁45とを備えた中空体として形成されている。蓋本体部41の上面は開放されている。蓋本体部41が注出部2の内側に挿入されていることにより、蓋本体部41の底壁45が筒本体部20及び取付部30の流路Cを閉塞している。
【0028】
蓋本体部41の周壁44の内周面は、上下方向に径が変化しないストレート形状に形成されている。また、周壁44の外周面の上部には、径方向に突出する突部46が全周に亘って形成されており、突部46の下端部は、下方ほど縮径するテーパ面46aとして形成されている。周壁44の外周面は、突部46が形成されていない部分では、上下方向に径が変化しないストレート形状に形成されており、その内周面は凹凸の存在しない平坦面として形成されている。底壁45の底面45aは、左右方向に水平で凹凸のない平坦面として形成されている。
【0029】
蓋本体部41の周壁44の外径は、注出部2の筒本体部20及び取付部30の内径より少し小さく形成されている。これにより、蓋部4が注出部2に取り付けられた状態では、蓋本体部41の周壁44の外周面と、注出部2の筒本体部20及び取付部30の内周面との間に、幅L1の隙間が形成されている。幅L1は、約0~0.1mm程度である。また、周壁44の上部に形成された突部46の突出長は、幅L1に等しい。なお、幅L1の大きさは適宜に変更可能である。幅L1の大きさは、取付部30の内周側下面の角部Hによるシート体5の切り裂き易さを考慮して設定することができる。また、突部46の突出長は、幅L1と異なっていてもよく、適宜に変更可能である。例えば、幅L1よりも小さくてもよい。
【0030】
図3に示すように、取付本体部30aの内周面には、複数の突条38が設けられている。取付本体部30aの内周面は、複数の突条38以外に凹凸の存在しない面として形成されている。複数の突条38は、下面視で、蓋本体部41の周壁44の外周面と筒本体部20及び取付部30の内周面との間に形成された幅L1の隙間に位置している。また、突条38は、取付本体部30aの内周面に8つ設けられている。突条38は、上下方向に延びている。突条38は、取付本体部30aの内周面において等間隔に設けられている。突条38の上下方向における長さは、取付本体部30aの上下方向における長さと同程度である。突条38の高さは、幅L1よりも小さく設定されている。
【0031】
図2に示すように、蓋本体部41の上下方向の長さは、注出部2の筒本体部20及び取付部30の上下方向の長さに合わせて設定されている。具体的には、蓋本体部41において、フランジ部42の下面から底壁45の底面45aまでの長さは、筒本体部20の上端面から取付部30の下側板部32の下面32aまでの長さと等しくなっている。これにより、蓋部4が注出部2に取り付けられた状態では、注出部2の筒本体部20の上端面が蓋部4のフランジ部42の下面に当接するとともに、底壁45の底面45aが下側板部32の下面32aと面一になっている。
【0032】
外筒部43は、蓋本体部41の外周面との間に所定の間隔を形成した状態で、蓋本体部41を取り囲むような形状に形成されている。外筒部43は、蓋本体部41と同一中心の円筒状をなしている。外筒部43の内周面には、注出部2の筒本体部20の雄螺子21と螺合する雌螺子47が周方向に延びるように設けられている。
【0033】
図1及び図2に示すように、外筒部43の下端には、蓋部4の開閉履歴を証明する公知のタンパーエビデント機能を構成するキャップリング48が連結されている。キャップリング48は、注出部2の筒本体部20に設けられたラチェット23の位置に対応するように、外筒部43の下端縁と筒本体部20の環状突部22との間の位置に取り付けられており、蓋部4を開栓方向に回動させて開栓する際に破断される。これにより、袋状容器が開栓された状態であることが示される。
【0034】
注出部2及び蓋部4は、従来公知の合成樹脂材料で成形されている。公知の合成樹脂材料としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、エチレン-プロピレン共重合体等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0035】
図2及び図3に示すように、ガスバリア部材としてのシート体5は、取付部30の下側板部32の下面32a及び蓋本体部41の底壁45の底面45aに貼り付けられている。シート体5は、下面32aの外周形状よりも一回り大きい形状に形成されている。シート体5の周縁部分には、取付部30の外周面に沿って上方に折り曲げられた状態で取付部30の外周面に接着固定される折曲部50が設けられている。本実施形態では、折曲部50は、下側板部32の外周面のうち下側の部分に対して、全周にわたって接着固定されている。折曲部50は、シート体5の周縁全体に設けられている。これにより、シート体5は、注出口具1の下面全体を覆うような態様で貼り付けられている。
【0036】
シート体5は、薄膜状の複数層のシートからなる多層構造シートにより構成されている。シート体5は、基材層と、基材層の下面側に積層されたガスバリア層と、基材層の上面側に積層された熱融着層を備えている。シート体5の材質は特に限定されないが、例えば、ポリエチレン層、ポリプロピレン層、ポリエチレンテレフタレート層、エチレンビニル-アルコール共重合体層、アクリル層等の熱可塑性樹脂層や、アルミニウム箔層、セラミック蒸着フィルム層等が積層された多層構造シートを用いることができる。シート体5の材質として、ポリエチレン層を採用する場合には、ポリエチレン層のなかに高密度ポリエチレンを含有させることが好ましい。高密度ポリエチレンが含有されている場合には、低密度ポリエチレンが含有される場合よりも、開封時にシート体5が伸び過ぎることを抑制できる。なお、図1図2図4図5では、シート体5の厚みを誇張して図示している。
【0037】
下側板部32の外周側下面、すなわち下側板部32の下面32aの周縁部分には、切り欠き100が設けられている。切り欠き100は、2つの張出部30bがあることに対応して、下側板部32の下面32aにおいて、取付本体部30aと反対側の先端にそれぞれ設けられている。図3に示すように、切り欠き100は、下面視で略三角形状をなしている。切り欠き100の略三角形状を構成する辺のうち、2つの辺は取付部30の外周面と接している。切り欠き100の略三角形状を構成する辺のうち、残り1つの辺は左右方向と直交する方向に沿って直線状に延びている。切り欠き100は、折曲部50の一部を収容する。すなわち、切り欠き100には、折曲部50の一部として、とくに、取付部30の外周面に沿わない部分を収容する。図2に示すように、切り欠き100は、取付本体部30aと反対側の先端に近付くほど、上下方向に深くなっている。取付部30の左右方向における側面において、切り欠き100と接着シート片37とは上下方向において離間して設けられている。切り欠き100の上下方向における長さは、折曲部50における取付部30の外周面に沿って折り曲げられた部分から先端までの長さよりも長く設定されている。
【0038】
注出口具1の下面に対してシート体5を貼り付ける方法について、その一例を以下に記載する。
図4に示すように、シート体5を構成する多層構造シート60は、ガスバリア層60aと、ガスバリア層60aの両面にそれぞれ積層された熱融着層60b,60cとからなる3層構造のシートである。まず、シート体5を構成する多層構造シート60は長尺状をなしている。多層構造シート60はロール状に巻き取られたロール70として配置されている。注出口具1の下面に対してシート体5を貼り付けるにあたっては、接着工程と、切出工程と、折曲工程とを順に行う。接着工程は、ロール70から送り出された多層構造シート60を注出口具1に対して接着する工程である。切出工程は、多層構造シート60から注出口具1に対する接着部分を切り出す工程である。折曲工程は、シート体5に折曲部50を形成する工程である。
【0039】
図4に示すように、接着工程においては、まず、熱融着層60cを下側にした状態で多層構造シート60を製造ラインへ供給する。製造ラインへ供給された多層構造シート60の下方位置には、シート体5が貼り付けられていない状態の注出口具1を保持するための所定の保持治具71が配置されている。シート体5が貼り付けられていない状態の注出口具1は、製造ラインへ供給された多層構造シート60の下方位置において、上下反転した状態、すなわち注出口具1の下面である下面32a及び底面45aを上方に向けた状態で保持されている。製造ラインへ供給された多層構造シート60の上方位置には、シールバー等の加熱装置72が配置されている。加熱装置72は、多層構造シート60を加熱する。保持治具71を多層構造シート60に向けて移動させることで、多層構造シート60の熱融着層60c側の面に注出口具1の下面32a及び底面45aを当接させる。加熱装置72により多層構造シート60を加熱しつつ、多層構造シート60を注出口具1の下面32a及び底面45aに向けて押圧する。これにより、注出口具1の下面32a及び底面45aに対して多層構造シート60が熱溶着される。そして、下面32a及び底面45aに対して熱溶着された多層構造シート60は、切出工程に供される。なお、上記接着工程において、多層構造シート60が加熱装置72に接着しないように、加熱装置72にはテフロン(登録商標)等の表面処理が施されている。
【0040】
切出工程においては、レーザーや刃物等の切断装置73を用いて、取付部30の外周面に沿って多層構造シート60を切断して、多層構造シート60におけるシート体5に相当する部位を切り出す。切出工程において多層構造シート60から切り出されたシート体5に相当する部位は、取付部30の外周形状よりも一回り大きい形状に切り出される。多層構造シート60から切り出されたシート体5に相当する部位の周縁部分には、取付部30から側方へ突出する突出部分50aが設けられる。当該突出部分50aは、シート体5の曲げ代になる。切出工程の後、多層構造シート60の巻き取り処理を行うことによって、保持治具71の内部には、シート体5が貼り付けられた注出口具1が残る。そして、切出工程においてシート体5が貼り付けられた注出口具1は、折曲工程に供される。
【0041】
図5(a)~(c)に示すように、折曲工程においては、折曲治具74と保持治具71との協働によりシート体5に折曲部50が形成される。折曲治具74は、内側に押込み孔75aが形成される有底筒状の折曲型75と、折曲型75を加熱するヒータ76とにより構成されている。押込み孔75aは、取付部30の外周形状に対応して断面略菱形状をなしている。押込み孔75aの断面形状は、取付部30の外周形状よりも一回り大きい形状をなしている。押込み孔75aの断面形状は、突出部分50aが設けられたシート体5の外周形状よりも一回り小さい形状をなしている。
【0042】
図5(a)に示すように、切出工程の後、シート体5が貼り付けられた注出口具1は、保持治具71に保持された状態のままで、折曲治具74に対向する位置に配置される。そして、図5(b)に示すように、保持治具71に向けて折曲治具74を接近させることで、保持治具71に把持された注出口具1を折曲型75の押込み孔75aの内部に押し込む。これにより、シート体5は、突出部分50aが折曲型75の内周面に接することで取付部30の外周面に沿った形状に折り曲げられる。ヒータ76は、折曲型75を加熱することで、シート体5の突出部分50aを加熱する。これにより、シート体5の突出部分50aは、取付部30に熱溶着される。シート体5の突出部分50aのうち取付部30の外周面に沿った形状に折り曲げられた部分は、折曲部50になる。ここで、折曲型75の押込み孔75aの内部に注出口具1が押し込まれる際、注出口具1の下面32a及び底面45aと押込み孔75aの底面との間には空間が形成される。下面32a及び底面45aと押込み孔75aの底面との間に形成される空間は、注出口具1の下面32a及び底面45aと押込み孔75aの底面とが近付くほど小さくなる。注出口具1の下面32a及び底面45aと押込み孔75aの底面とが当接した場合においても、切り欠き100と押込み孔75aの底面とは当接しないことから、切り欠き100と押込み孔75aの底面との間の空間Sは残る。取付部30の外周面に沿った形状に折り曲げられる折曲部50の一部、とくに、取付部30の外周面に沿わない部分は、切り欠き100と押込み孔75aの底面との間の空間S、すなわち切り欠き100に収容される。取付部30の外周面に沿わない部分が切り欠き100に収容されることから、それ以外の折曲部50は、取付部30の外周面に沿うように押し拡げられて、取付部30の外周面に沿いやすくなる。
【0043】
その後、図5(c)に示すように、保持治具71から折曲治具74を離間させる。なお、上記折曲工程において、突出部分50aが折曲型75に接着しないように、折曲型75にはテフロン(登録商標)等の表面処理が施されている。これにより、下面32a及び底面45aにシート体5が貼り付けられた注出口具1が得られる。
【0044】
本実施形態の注出口具1の作用について説明する。
本実施形態の注出口具1は、合成樹脂製の袋状容器の開口部分にヒートシールにより取り付けて使用される。
【0045】
注出口具1は、注出部2の筒本体部20及び取付部30の内側に蓋部4の蓋本体部41が挿入されて組み付けられている。蓋本体部41は底壁45を有する有底筒状に形成されており、底壁45によって注出部2の筒本体部20及び取付部30内の流路Cが閉塞されている。
【0046】
開封前の状態では、注出部2に蓋部4が組み付けられて、注出部2の筒本体部20の雄螺子21と蓋部4の外筒部43の雌螺子47とが係合している。このとき、筒本体部20の上端面が蓋部4のフランジ部42の下面に当接するとともに、筒本体部20の上部では、筒本体部20の内周面が蓋本体部41の外周面に形成された突部46の外周面に当接している。これにより、注出部2と蓋部4の組付け状態が安定するとともに、注出部2と蓋部4との間を介しての酸素の流入が抑制されている。
【0047】
一方で、注出口具1では、筒本体部20の外周面から酸素が透過し、筒本体部20及び取付部30から縦軸方向に流入することが考えられる。また、蓋本体部41の内部には外気が存在し、底壁45を透過して流入しようとすることが考えられる。さらに、取付部30の外周面から酸素が透過して流入することが考えられる。
【0048】
これに対して、注出部2の取付部30の下面32aから蓋本体部41の底面45aにかけて、ガスバリア部材としてのシート体5が接合されていることから、シート体5によって酸素の流通が遮断される。つまり、筒本体部20及び取付部30から縦軸方向に流入する酸素や、底壁45から流入しようとする酸素は、シート体5によって遮断されて、袋状容器内へ流入することが抑制される。また、取付部30には、袋状容器がヒートシールで接合されていることから、袋状容器によって酸素の流通が遮断される。
【0049】
本実施形態の注出口具1では、シート体5の周縁部分である突出部分50aを、取付部30の外周面に沿って折り曲げた状態で固定して折曲部50としている。これにより、シート体5と袋状容器とを好適に溶着させることができる。
【0050】
本実施形態の注出口具1では、折曲部50の一部、とくに、取付部30の外周面に沿わない部分を切り欠き100に収容することが可能となる。折曲部50において、取付部30の外周面に沿わない部分を少なくできるため、折曲部50でのしわの発生を抑制できる。これにより、折曲部50にしわが寄ったままの状態で取付部30を袋状容器の開口部分に取り付けることを抑えられるため、取付部30と袋状容器とを十分に密着させることができる。したがって、折曲部50に生じたしわによって形成された隙間を通じて袋状容器内へ酸素が侵入することを抑えられる。
【0051】
つまり、取付部30の外周面から流入する酸素は、袋状容器を構成する多層構造シート及びシート体5を構成する多層構造シートによって遮断されて、袋状容器内へ侵入することが抑制される。これにより、開封前の酸素バリア性が良好となる。
【0052】
注出口具1が取り付けられた袋状容器の開封処理について説明する。
まず、蓋部4を回動操作して、筒本体部20の雄螺子21と外筒部43の雌螺子47との係合を解除する。蓋部4は注出部2に対して上方へ移動し、取付部30の下面32aから蓋本体部41の底面45aに亘って接合されたシート体5が蓋部4とともに上方へ引っ張られる。
【0053】
取付部30の下面32a及び蓋本体部41の底面45aでは、筒本体部20及び取付部30の内周面と蓋本体部41の外周面との間に幅L1の隙間が形成されている。隙間の幅L1は、約0~0.1mm程度と狭い。そのため、隙間の存在によりシート体5が上方へ引っ張られ易くなり、シート体5が取付部30の下面32aの角部Hに当たり易い。また、隙間の幅L1が狭いことにより、隙間においてシート体5が伸び過ぎることが抑制されて、角部Hに当たった際に切り裂かれる。
【0054】
蓋部4の回動に伴って、タンパーエビデント機能を構成するキャップリング48が分断される。雄螺子21と雌螺子47との係合が完全に解除されて、注出部2の筒本体部20及び取付部30から蓋本体部41を抜き出し、蓋部4を注出部2から取り外すと、注出口具1は開栓される。これにより、筒本体部20及び取付部30の流路Cから袋状容器内の流体を注出可能となる。
【0055】
袋状容器の流体を注出した後、閉栓する際には、注出部2の筒本体部20及び取付部30の内側に蓋部4の蓋本体部41を挿入し、蓋部4を回動操作することで、雄螺子21と雌螺子47とを係合させる。このとき、蓋本体部41の外周面に形成された突部46の下端部には、下方ほど縮径するテーパ面46aが形成されていることから、筒本体部20の上端部がテーパ面46aに誘導されながら蓋本体部41の外周面と外筒部43の内周面との間の隙間をスムーズに進んでいく。これにより、筒本体部20及び取付部30の流路Cから袋状容器内の流体の注出が遮断される。
【0056】
本実施形態の効果を説明する。
(1)折曲部50の一部、とくに、取付部30の外周面に沿わない部分を切り欠き100に収容することが可能となる。折曲部50において、取付部30の外周面に沿わない部分を少なくできるため、折曲部50でのしわの発生を抑制できる。したがって、折曲部50に生じたしわによって形成された隙間を通じて袋状容器内へ酸素が侵入することを抑えられる。これにより、酸素バリア性に優れた注出口具1が得られる。
【0057】
(2)張出部30bの下面32aの先端に対して形成される折曲部50には、折り重なりが生じやすい。本実施形態では、切り欠き100を張出部30bの下面32aの先端に配置している。したがって、折曲部50に生じ得るその折り重なりを切り欠き100によって収容できるため、折り重なりに起因した折曲部50でのしわの発生を好適に抑制できる。
【0058】
(3)接着シート片37を設けない場合、取付部30と2つのシート部材との間の接着固定が不十分になることがある。特に、取付部30の左右方向における端面では、袋状容器を構成する2つのシート部材の境界部分に位置することから、2つのシート部材との間で接着固定が不十分になることがある。本実施形態では、接着シート片37を設けることによって、袋状容器を構成する2つのシート部材の間に接着シート片37を介在させるようにしている。これにより、取付部30の左右方向における端面では、接着シート片37の両側面が袋状容器を構成する2つのシート部材と接着固定することから、袋状容器を構成する2つのシート部材がヒートシールにより接着固定する際の接着強度を高められる。
【0059】
(4)取付部30の外周面において切り欠き100と接着シート片37とは上下方向に離間して設けられていることから、切り欠き100の機能と、接着シート片37の機能とをそれぞれ安定的に発揮させることができる。
【0060】
(5)切り欠き100の上下方向における長さは、折曲部50の上下方向における長さよりも長く設定されている。この場合、切り欠き100によって形成される空間Sをより大きく確保できるため、折曲部50の一部をより多く収容できる。これにより、折曲部50でのしわの発生を好適に抑制できる。
【0061】
(6)取付本体部30aの内周面に複数の突条38が設けられることから、蓋本体部41の中心軸が取付部30の内周面の中心に位置するように、蓋本体部41を取付部30に対してガイドすることができる。これにより、注出部2に対して蓋部4を良好に取り付けることができる。
【0062】
上記実施形態は次のように変更してもよい。また、以下の他の実施形態は、技術的に矛盾しない範囲において、互いに組み合わせることができる。
・上記実施形態の注出口具1では、蓋本体部41の上下方向の長さは、注出部2の筒本体部20の上端面が蓋部4のフランジ部42の下面に当接した状態で、蓋本体部41の底面45aが注出部2の取付部30の下面32aと面一となるように設定したが、これに限らない。例えば、蓋本体部41におけるフランジ部42の下面から底壁45の底面45aまでの長さが、筒本体部20の上端面から取付部30の下面32aまでの長さより僅かに長くなるようにしてもよい。こうすると、蓋部4が注出部2に取り付けられた状態では、筒本体部20の上端面が蓋部4のフランジ部42の下面に当接するとともに、蓋本体部41の底壁45が注出部2の取付部30の下面32aより下方に突出する。この突出長は、約0.1~0.5mm程度であることが好ましい。
【0063】
このように、蓋本体部41の底壁45が取付部30の下面32aより下方に僅かに突出していると、多層構造シートを圧着して接合する際に、蓋本体部41の底面45aに対してのシール圧を高めることができる。これにより、多層構造シートが強固に接合され、シート体5の接合強度を向上させることができる。
【0064】
・上記実施形態の注出口具1では、筒本体部20の内周面は上下方向に径が変化しないストレート形状に形成されており、蓋本体部41の周壁44の外周面との間に、幅L1の隙間が形成されていたが、これに限定されない。例えば、筒本体部20の内径は、上下方向に変化してもよい。
【0065】
・取付部30は、上面視で略菱形状をなしていたが、これに限らない。例えば、取付部30は、略筒形状をなしていてもよい。なお、取付部30は、略菱形状等の左右方向に細長い形状である方がヒートシールによる接着強度は増す。
【0066】
・取付部30は、4つの板部によって構成されていたが、これに限らない。例えば、取付部30は、3つ以下の板部によって構成されていてもよいし、5つ以上の板部によって構成されていてもよい。また、取付部30は、複数の板部によって構成されるのではなく、単一の板部によって構成されていてもよい。
【0067】
・取付部30を構成する上側板部31、下側板部32、及び中間板部33の形状は適宜変更可能であり、例えば、これらは同一形状であってもよいし、互いに異なる形状であってもよい。
【0068】
・取付部30を構成する上側板部31、下側板部32、及び中間板部33の各側面は、凹凸のない平坦面として形成されているものに限らず、凹凸を有する面として形成されていてもよい。
【0069】
・筒本体部20の上下方向中間部の外周面に形成された環状突部22の形状は、適宜変更可能であり、例えば、円形状であってもよいし、六角形状であってもよい。また、筒本体部20の上下方向中間部の外周面に、環状突部22が形成されていなくてもよい。
【0070】
・筒本体部20には、ラチェット23が形成されていなくてもよい。
・注出口具1は、タンパーエビデント機能が設けられていなくてもよい。すなわち、外筒部43の下端には、タンパーエビデント機能を構成するキャップリング48が連結されていなくてもよい。
【0071】
・蓋部4の蓋本体部41の形状は、適宜変更可能である。蓋部4の蓋本体部41の形状は、例えば、中実状であってもよいし、有底円筒状の蓋本体部41においてその開口部分が閉塞されたものであってもよい。
【0072】
・蓋本体部41の周壁44の内周面は、上下方向に径が変化しないストレート形状に形成されていたが、これに限らない。例えば、周壁44の内周面は、テーパ面が形成されている等により内径が変化していてもよい。
【0073】
・蓋本体部41の周壁44の外周面は、上下方向に径が変化しないストレート形状に形成されていたが、これに限らない。例えば、周壁44の外周面は、テーパ面が形成されている等により外径が変化していてもよい。
【0074】
・蓋本体部41の底壁45の底面45aは、左右方向に水平で凹凸のない平坦面として形成されていたが、これに限らない。例えば、底面45aに蓋本体部41を射出成形する際のゲートの跡が設けられており、当該ゲートの跡によって底面45aに凹凸が形成されていてもよい。
【0075】
・蓋本体部41の外筒部43の形状は、円筒状に限らず、適宜変更可能である。例えば、外筒部43の外周面は、上面視で楕円形状をなしていてもよいし、上面視で六角形状をなしていてもよい。
【0076】
・複数の突条38は、取付本体部30aの内周面に設けられたが、これに限らない。例えば、複数の突条38は、蓋本体部41の周壁44の外周面に設けられてもよい。
・突条38の数は、8つに限らず、7つ以下であってもよいし、9つ以上であってもよいし、適宜変更可能である。
【0077】
・突条38は、取付本体部30aの内周面において等間隔に設けられていたが、互いに異なる間隔で設けられていてもよい。
・突条38の上下方向における長さは、取付本体部30aの上下方向における長さと同程度に限らず、取付本体部30aの上下方向における長さよりも短くてもよいし、筒本体部20及び取付部30の上下方向における長さと同程度であってもよい。また、突条38の上下方向における長さは、隣り合う突条38と互いに異なっていてもよい。
【0078】
・突条38の高さは、幅L1と同程度であってもよい。
・取付本体部30aの内周面に突条38を設けたが、突条38を設けないようにしてもよい。この場合、取付本体部30aの内周面は、凹凸の存在しない平坦面として形成されている。
【0079】
・折曲部50の構成は適宜変更可能である。例えば、上記実施形態では、シート体5の周縁全体に突出部分50aを設けて、当該周縁全体に折曲部50が形成されるように構成していたが、これに限らない。例えば、シート体5の周縁全体のうちの一部分に突出部分50aを形成してもよい。この場合、折曲部50は、取付部30の外周面の一部分に接着固定されている。折曲部50は、意図的に設けられた突出部分50aを折り曲げて形成されるものに限らず、シート体5の切り出し誤差や貼り付け誤差等により生じたシート体5の周縁の突出部分50aを折り曲げて形成されるものであってもよい。
【0080】
・折曲部50は、熱溶着によって取付部30の外周面に接着固定されていたが、取付部30に対して折曲部50を固定する態様は適宜変更可能である。例えば、折曲部50は、取付部30に対してその一部分のみを接着する構成であってもよい。また、折曲部50は、取付部30に対して接着することなく、取付部30の外周面に沿って単に折り曲げたのみの構成であってもよい。
【0081】
・切り欠き100の上下方向における長さは、折曲部50の上下方向における長さと同程度に設定されてもよいし、折曲部50の上下方向における長さよりも短く設定されてもよい。
【0082】
・接着シート片37は、切り欠き100と左右方向において接続されていてもよい。また、接着シート片37は、取付部30の外周面において切り欠き100の上側の部分に隙間を空けることなく取り付けられていてもよい。すなわち、切り欠き100と接着シート片37とは上下方向に離間していなくてもよい。この場合、接着シート片37の下端における板厚方向の両側面は、折曲部50によって覆われていてもよい。折曲工程において、折曲部50の左右方向における端部は、接着シート片37の下端における板厚方向の両側面に熱溶着されることで貼り付けられる。
【0083】
・取付部30の外周面には、接着シート片37が設けられなくてもよい。
・切り欠き100は、2つの張出部30bの下面32aの先端にそれぞれ設けられていたが、いずれか一方の張出部30bの下面32aのみに設けられてもよい。
【0084】
・切り欠き100は、下面視で略三角形状をなしていたが、その形状は適宜変更可能である。例えば、切り欠き100の略三角形状を構成する辺のうち、取付部30の外周面と接していない直線状に延びていた辺は、その延びる態様を変更することが可能である。例えば、より取付本体部30a側に湾曲する形状をなしていてもよいし、より取付本体部30aと反対側に湾曲する形状をなしていてもよい。
【0085】
・切り欠き100は、取付本体部30aと反対側の先端に近付くほど、上下方向に深くなっていたが、これに限らない。例えば、切り欠き100は、取付本体部30aと反対側の先端に近付いた場合でも上下方向に同じ深さであってもよいし、取付本体部30aと反対側の先端に近付くほど上下方向に浅くなっていてもよい。
【0086】
・切り欠き100は、下側板部32の下面32aの先端に設けられたが、その形成位置は適宜変更可能である。例えば、切り欠き100は、下側板部32の下面32aにおいて、その先端以外の周縁部分に設けるようにしてもよい。
【0087】
・シート体5の形状、大きさ、層構造は、適宜変更可能である。なお、シート体5の層構造は、少なくともガスバリア層を備えるものであればよい。例えば、シート体5の層構造は、ガスバリア層60aの片面のみに熱融着層を備えるものであってもよいし、シート体5に強度を付与するための基材層を備えるものであってもよい。また、接着剤等によりシート体5を注出口具1の下面32a及び底面45aに貼り付ける構成とした場合には、熱融着層を省略することができる。
【0088】
・シート体5を貼り付ける方法は、上記実施形態のような接着工程に限らず、適宜変更可能である。例えば、注出口具1の下面32a及び底面45aが下方を向いた状態で、多層構造シートを下方から接着するようにしてもよい。また、注出口具1の一つずつに、枝葉状態の多層構造シートを接着してもよい。
【0089】
・切出工程において、多層構造シートを各注出口具1の取付部30の周縁に沿ってレーザーを照射することで多層構造シートを切り出していたが、これに限らない。例えば、切出工程において、刃物で多層構造シートを切り出すようにしてもよい。
【0090】
・折曲工程において、折曲型75をヒータ76により加熱することで、シート体5の突出部分50aを取付部30に熱溶着していたが、これに限らない。例えば、折曲工程において、折曲型75で突出部分50aを取付部30の外周面に沿った形状に折り曲げた後に当該折曲型75を取り外し、シート体5が貼り付けられた注出口具1を熱板により筒本体部20の軸方向と直交する方向から挟み込むことによって、シート体5の突出部分50aを取付部30に熱溶着するようにしてもよい。
【0091】
・上記実施形態の袋状容器は、ポリエチレン製の薄膜状の複数層のシートの間にアルミニウム箔層が積層された多層構造シートにより成形されていたが、その層の構成や材質は適宜変更可能である。
【0092】
・注出口具1の袋状容器の開口部分への固定方法は、ヒートシールによる接着固定に限らず、適宜変更可能である。
・注出口具1は、蓋部4を設けないものであってもよい。例えば、シート体5を注出口具1の下面32aに貼り付けることで筒本体部20の内周面を塞ぐようにしておき、開封処理時に棒状部材をシート体5に突き刺すことにより開封するものであってもよい。
【0093】
・注出口具1は、合成樹脂製の袋状容器に限らず、様々な容器に適用することができる。この場合、取付部30については、袋状容器の形態に合わせて、例えば、単なるフランジ状にする等、適宜変更可能である。
【0094】
・袋状容器の内部に収容される流体は、液体、粘性体に限らず、固形物、顆粒、粉体等の固体であってもよい。
次に、上記実施形態及び変形例から把握できる技術的思想を以下に記載する。
【0095】
(イ)前記切り欠きの上下方向における長さは、前記折曲部の上下方向における長さよりも長く設定されている注出口具。
上記の構成によれば、切り欠きによって形成される空間をより大きく確保できるため、折曲部の一部をより多く収容できる。これにより、折曲部でのしわの発生を好適に抑制できる。
【0096】
(ロ)前記ガスバリア部材が貼り付けられていない状態の注出口具の下面に対して多層構造シートを接着する接着工程と、前記接着工程で接着された前記多層構造シートを前記取付部の外周形状よりも大きい形状に切り出す切出工程と、前記切出工程により切断された前記多層構造シートが接着された注出口具を、折曲治具の内部に形成された押込み孔に対して押し込むことで、前記取付部の外周面に沿って前記多層構造シートを折り曲げることで前記折曲部を生成する折曲工程とを備え、前記折曲工程において、前記切り欠きと前記折曲治具との間は離間しており、前記切り欠きと前記折曲治具との間で形成される空間には、前記折曲部の一部が収容される注出口具の製造方法。
【0097】
上記の方法によれば、折曲工程において、折曲部の一部、とくに、取付部の外周面に沿わない部分を切り欠きと折曲治具との間で形成される空間に収容することが可能となる。折曲工程において、取付部の外周面に沿わない部分を少なくすることができるため、折曲部でのしわの発生を抑制できる。したがって、折曲部に生じたしわによって形成された隙間を通じて容器内へ酸素が侵入することを抑えられる。
【符号の説明】
【0098】
C…流路
1…注出口具
2…注出部
5…シート体(ガスバリア部材)
20…筒本体部
30…取付部
30a…取付本体部
30b…張出部
32a…下面
37…接着シート片
50…折曲部
100…切り欠き
図1
図2
図3
図4
図5