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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】組立式給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/14 20220101AFI20240717BHJP
   F24B 1/02 20060101ALI20240717BHJP
   F24B 9/00 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
F24H1/14 B
F24B1/02 Z
F24B9/00 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022098451
(22)【出願日】2022-05-31
(65)【公開番号】P2023177184
(43)【公開日】2023-12-13
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】516290081
【氏名又は名称】長町 政幸
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】弁理士法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】長町 政幸
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-101598(JP,A)
【文献】中国実用新案第208588078(CN,U)
【文献】中国実用新案第206157846(CN,U)
【文献】中国実用新案第211261292(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第108180626(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/14
F24B 1/02
F24B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形の燃料を燃焼させる燃焼室(2)と、該燃焼室(2)の上方に接続されたヒートライザー(3)とを備え、該ヒートライザー(3)の気流流路に螺旋形状の水流流路部を配設し、該水流流路部には給水口(3-2)と温水排出口(3-3)を配設し、該給水口と温水排出口は前記ヒートライザーの外側からホースにて接続可能とされ、該燃焼室(2)と該ヒートライザー(3)が着脱可能に連結され
前記水流流路部を流れる水は、前記燃焼室において発生したガスが前記ヒートライザーで2次燃焼して前記ヒートライザー内に生じる上昇気流との熱交換により加熱される組立式給湯装置。
【請求項2】
前記ヒートライザーは、前記水流流路部の内側に取り外し交換可能な熱量調整筒(3-7)を配置することができる請求項に記載の組立式給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯機能を有する熱交換器付燃焼装置に関し、組立分解が容易に行える給湯装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
薪や炭等の固形燃料を燃焼させて、暖房したり、余熱を利用して温水を生成したり、調理が行える燃焼装置は公知である。例えば、特許文献1の考案は、薪ストーブ暖房装置が開示されている。該薪ストーブ暖房装置は、熱交換装置を設けており、燃焼室の下部や側部に水室部を備え、燃焼時に発生する余剰発熱を利用して、水室部内の水を温水にするように構成している。
【0003】
また、特許文献2の発明では、組立式ストーブに関する技術が開示されている。該組立式ストーブは、一次燃焼室、二次燃焼室、架台等の部品で構成され、それぞれの部品を連結して組立及び分解を可能としている。また、二次燃焼室の上部に五徳を載置したり、一次燃焼室の下方に鉄板を配置することで、調理を行うことができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3175506号
【文献】特開2019-27743
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記、特許文献1の薪ストーブは暖房装置としての機能を有しており、余熱を利用して温水を生成する機能も有している。生成した温水は別室に設置した温水暖房機を配管で接続することで別室を暖房することができる。また、給湯機構を設置すれば、必要個所に温水を供給することもできるストーブである。
【0006】
しかし、上記特許文献1の薪ストーブは、分解・組立を行うことができず、屋内の1か所に固定設置して使用するものであり、キャンプ場等の屋外に持ち出して使用するには、重量が重くサイズも大きいため、運搬することは難しいという課題がある。
【0007】
また、上記特許文献2のストーブは、組立・分解が容易に行える組立式ストーブであり、各部品の重量が軽く、サイズも小さいので、キャンプ場等の屋外に搬送して、現地で組み立てて使用することができるものである。
【0008】
しかしながら、上記特許文献2のストーブは、温水を生成する機能を有しておらず、給湯が必要な場合には、ヤカンや鍋等の容器をストーブに載置して温水を生成する必要があり、一度に多量の温水を生成することができず、多人数でキャンプ等を行う場合には不便であるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明では、固形の燃料を燃焼させる燃焼室と、該燃焼室の上部に熱交換装置を接続し、該熱交換装置の内部に水の流れる流路部を配設し、前記燃焼室と熱交換装置が容易に着脱可能とすることで、課題を解決する。
【0010】
また、本発明の組立式給湯装置では、前記、燃焼室と熱交換部を直にあるいは接続金具を用いて着脱可能にすることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の組立式給湯装置では、前記、流路部を螺旋形状とした通水路を一個または複数個設けたことを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の組立式給湯装置では、前記、流路部を二重壁とした導水路を設けたことを特徴とするのもである。
【0013】
また、本発明の組立式給湯装置では、前記、二重壁とした導水路の内側に螺旋形状とした通水路を設けたことを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の組立式給湯装置では、前記、流路部の内側に、取り外し交換可能な熱量調整筒を設けたことを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の組立式給湯装置では、前記、流路部の外側に断熱材を設けたことを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の組立式給湯装置では、熱交換部に接続金具を用いて煙突を接続することを可能にしたことを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の組立式給湯装置では、前記、接続金具及び煙突に転倒防止用の係止具を設けたことを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明の組立式給湯装置では、前記、接続金具に代えて加熱調理用プレートを前記燃焼室の上部に載置、あるいは、前記熱交換装置の上部に載置することで調理が可能となることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の組立式給湯装置は、燃焼室、熱交換装置、煙突をそれぞれ分解・組立が容易に行えるように構成しているので、キャンプ場等の遠隔地に携行して使用する場合、車両への積み込みが簡便であり、現地での組立も簡単に行えるものである。又、熱交換装置により、多量の温水を連続して生成することができ、調理も可能であるので、多人数でキャンプ等を行う際には、大変便利である。また、転倒防止対策も可能なため、突風等の影響で燃焼装置が転倒して、火傷等の人的事故や火災の発生を防ぐことができるものである。
【0020】
本発明の組立式給湯装置は、大型化と未使用時の保管が容易なため災害時においても有用性が高い。
【0021】
本発明の組立式給湯装置は、熱交換の効率が高く少量の燃料消費で収まるため地球の自然環境に優しい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る組立式給湯装置の全体斜視図である。
図2】本発明に係る組立式給湯装置の熱交換装置の断面斜視図である。
図3】本発明の熱交換装置の構造図である。
図4】本発明の熱交換装置を機能強化した構造図である。
図5図4の平面図である。
図6】本発明の熱交換装置の他の実施例の断面斜視図である。
図7図6のA-B線での断面矢視平面図と内壁の形状図である。
図8】本発明の接続金具(下部)の斜視図である。
図9】本発明の接続金具(上部)の斜視図である。
図10】本発明に係る給湯装置との接続口を備えた木製組立式浴槽と熱交換管による熱交換装置を接続した全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に本発明の実施形態について説明する。
図1に示したように、この組立式給湯装置は、2の上面が解放された燃焼装置と、3のヒートライザーを備えている。ヒートライザーの内部には熱交換装置を備えている。図1ではヒートライザーの効率を上げるために4の煙突装置を備えているが、煙突装置は必須ではない。
図1の燃焼装置は斜度を持った7の燃料投入口を示しているが、垂直方向または水平方向の燃料投入口を持つ場合もある。
【0024】
燃焼装置、熱交換装置、煙突装置の3つの装置が密に接するように5または6の接続装置を備える。接続金具の機能を2・3・4に持たせた場合、または接続可能な形状の装置にした場合には、接続金具は不要である。
【0025】
以下、添付図面に従って実施例を説明する。7は燃焼材投入口、9は2次燃焼用の空気供給口兼灰排出口である。
【0026】
2において燃焼され発生したガスは3、4に向かって上昇していき、3のヒートライザーで2次燃焼をする。3のヒートライザー内部には熱交換装置を保持しており、構造として内部に3-4の管または、3-10の導水路を保持する。3-2は水注入口、3-3は温水排出口である。炎および熱せられた空気は3-5から入り3-6に抜ける。
【0027】
図2、3は熱交換管による熱交換装置で管の内部が通水路になっている。管は銅またはステンレスなどの耐火性の高い金属で出来ている。管の内側に別の管を配設することもある。
【0028】
図6、7は非管による熱交換装置で、筒形状の内部に導水路があり水は3-2の水吸入口から入り導入路を通って温められ3-3温水排出口へ抜ける。図7(A)では、熱交換率を上げるため、内壁に3-11吸熱板と3-12放熱板を設けることがある。また、同じ目的で図7(B)では内壁を直線の組み合わせで構成したものである。内壁は図7(C)に例として示すように複数の平面または曲面で構成することもある。
【0029】
非管による熱交換装置の内側に熱交換管を配設することもある。
【0030】
図4、5は熱交換管による熱交換装置で、3-7の熱量調整筒と3-9の断熱材を保持している。3-7の熱量調整筒は、3のヒートライザーの熱量では燃焼しない材料(金属など)からなり熱交換器の内側に配置する。3-7の熱量調整筒の開口部のサイズは、2の燃焼室との連結部のサイズと同等以上のものとする。取外し、複数枚配置、板厚変更により熱交換器へ伝わる熱量を調整し、給湯温度を調整する。また過加熱による熱交換器の損傷を防ぐ目的で装着することもある。燃焼中であっても、4の煙突と6の接続金具を取り外して、上部から3-7の熱量調整筒を取り外し可能とする。3-7の熱量調整筒は、2の燃焼部3-9の断熱材は、外気による熱交換機能の低下を防ぎ効率を上げる。
【0031】
給湯目的で使用しない場合は、3-7の熱量調整筒を利用することで3-6に噴き出す熱量を増加させることが可能となる。
【0032】
3-7の熱調整筒と3-9の断熱材については、熱交換管による熱交換装置だけでなく非管による熱交換装置においても同様となる。
【0033】
3,4の上部に接続金具を設け、地面等をワイヤー等で結ぶことで装置の転倒を防ぎ、安全性を高める。また、2および3には運搬用のハンドルを設ける。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の組立式給湯装置は、分解した状態でキャンプ場等の遠隔地に運搬可能であり、現地で簡単に組立が行えるものである。しかも、多量の温水を連続して生成できるため、多人数のキャンプ等は勿論、天災等の災害時にガスや電気等のライフラインが停止した場合にも活用できるものである。
【0035】
本発明の組立式給湯装置は、給水口と排水口を備えた組立式浴槽を接続可能である。組立式浴槽は、木製又は塩化ビニール素材等給水口と排水口を備えていれば活用可能である。図10において、ポンプでの浴槽水の巡回を記しているが、給湯装置と浴槽の連結の位置関係によりポンプを使用しない自然循環が可能となることもある。
【0036】
ポンプを使用する場合は、熱交換装置からの2本のホースを浴槽上部から垂らすことで浴槽には給水口と排水口を省略可能である。
【0037】
2の燃焼室は1~4名程度の個人のキャンプだと30~80cmm(高さ)、10~20cm(幅)、10~20cmm(高さ)であり、災害時の大規模給湯だと20~50cmm(幅)が目安のサイズである。燃焼室の形状は多角形でも円形でも良い。
【0038】
3の熱交換部を備えたヒートライザーは前述の個人のキャンプだと一辺10~20cmの四角で30~80cmm(高さ)であり、災害時の多人数用だと一辺20~50cmの四角で30~120cmが目安のサイズである。熱交換部の形状は多角形でも円形でも良い。
【0039】
4の煙突は燃焼効率を上げる目的で、1~4名程度の個人のキャンプだと100~300cm(高さ)であり、災害時の多人数用だと100~5000cm(高さ)が目安のサイズである。
【0040】
災害時の大規模給湯の場合、本発明の組立式給湯装置を複数台並列使用することで、より大規模の給湯を実現する。
【0041】
2の燃焼室と3のヒートライザーと4の煙突がそれぞれのサイズで組み合わせ可能であるため使用環境に応じた給湯設備を実現可能である。
【0042】
図10の組立式浴槽は、床部と4個の側面部からなり搬送地にて計5面を組立てることで搬送性を高めている。
【0043】
図10の組立式浴槽の内部に浴槽シート部材を設置することで全体重量の軽量化と水漏れ対策の強化を同時にはかることが可能である。その場合木製パネルを、木製または金属製または樹脂製のフレームに置き換えることでさらなる軽量化と搬送性を高めることができる。
【0044】
浴槽を小型化することで、災害時においてもプライバシーを守ることができる。
【符号の説明】
【0045】
1 燃焼装置
2 燃焼室
3 ヒートライザー
3-1 ヒートライザー側面
3-2 給水口
3-3 温水排出口
3-4 通水路
3-5 気流流路入口
3-6 気流流路出口
3-7 熱量調整筒
3-8 隔壁
3-9 断熱材
3-10 導水路
3-11 吸熱板
3-12 放熱板
4 煙突
5 接続金具
5-1 接続安定板
6 接続金具
6-1 係止具
6-2 煙排出口
7 燃料投入口
8 扉
9 灰排出口
10 扉
11 係止ロープ
12 係止ロープ
13 組立式木製浴槽
14 連結口(浴槽給水出口)
15 連結口(浴槽排水入口)
16 ポンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10