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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】水性分散体、及び化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/04 20060101AFI20240717BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20240717BHJP
   A61K 8/27 20060101ALI20240717BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20240717BHJP
   A61K 8/33 20060101ALI20240717BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240717BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20240717BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20240717BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20240717BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20240717BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20240717BHJP
   A61Q 15/00 20060101ALI20240717BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
A61K8/04
A61K8/19
A61K8/27
A61K8/29
A61K8/33
A61K8/34
A61K8/39
A61K8/86
A61Q1/04
A61Q1/10
A61Q1/12
A61Q15/00
A61Q17/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022515755
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(86)【国際出願番号】 JP2021047313
(87)【国際公開番号】W WO2023119418
(87)【国際公開日】2023-06-29
【審査請求日】2022-03-09
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391024700
【氏名又は名称】三好化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 幸夫
【合議体】
【審判長】木村 敏康
【審判官】冨永 保
【審判官】関 美祝
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/020135(WO,A1)
【文献】特開2013-256450(JP,A)
【文献】特開2023-92469(JP,A)
【文献】有限会社久光工房、Cosmetic-Info.jp、製品詳細、FINEX-33W-LP2、インターネット、[Onilne]、<URL:https://www.cosmetic-info.jp/mate/detail.php?id=18605>
【文献】チタン工業株式会社、超微粒子酸化チタン STシリーズのカタログ、インターネット、2021年4月30日改訂、[Onilne]、<URL:http://www.titankogyo.co.jp/wp-content/uploads/2022/07/STseries.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/90
A61Q1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
5.6重量%のポリオキシエチレン(10)イソステアリルエーテル、
50.0重量%の一次粒子径が3μm以下であるオクチルトリエトキシシラン処理微粒子酸化亜鉛、
5.0重量%のグリセリン、
0.5重量%のフェノキシエタノール、
100.0重量%になるまで添加されるイオン交換水、
を含有する水性分散体。
【請求項2】
3.2重量%のポリオキシエチレン(10)イソステアリルエーテル、
50.0重量%の一次粒子径が3μm以下であるステアリン酸処理微粒子酸化チタン、
10.0重量%のジプロピレングリコール、
100.0重量%になるまで添加されるイオン交換水、
を含有する水性分散体。
【請求項3】
6.1重量%のポリオキシエチレン(10)イソステアリルエーテル、
55.0重量%の一次粒子径が3μm以下であるオクチルトリエトキシシラン処理微粒子酸化亜鉛、
100.0重量%になるまで添加されるイオン交換水、
を含有する水性分散体。
【請求項4】
6.6重量%のポリオキシエチレン(10)イソステアリルエーテル、
55.0重量%の一次粒子径が3μm以下であるハイドロゲンジメチコン処理微粒子酸化亜鉛、
5.0重量%のグリセリン、
1.0重量%のカプリリルグリコール、
100.0重量%になるまで添加されるイオン交換水、
を含有する水性分散体。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の水性分散体を配合した化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性分散体及び化粧料に関する。とりわけ、本発明は、疎水化処理無機粉体の水性分散体に関する。詳しくは、(A)ポリオキシエチレン(5~15)イソステアリルエーテルと(B)水、(C)疎水化処理無機粉体の3成分を少なくとも含有する疎水化処理無機粉体の水性分散体であり、加速試験とサイクル試験をクリアする良好な長期保存分散安定性と使用適性に優れた水性分散体に関する。本発明の水性分散体は水と疎水化処理無機粉体という相溶しない成分を水相に均一に分散して分散安定化した使用適性に優れた水性分散体に関する。この水性分散体を化粧料に配合すると、みずみずしい使用感と疎水化処理無機粉体の優れた使用感と均一な仕上がりや優れた紫外線遮蔽効果が得られることからより良い化粧効果、化粧持続性を有する化粧料を提供できる。
【背景技術】
【0002】
化粧料に水を配合することでみずみずしい使用感やうるおい感、水が蒸散する時のさっぱり感が得られることが期待できる。また、水は生体の必須成分であり安全性が極めて高い事より出来るだけ多く化粧料に配合したい成分でもある。無機粉体は親水性であり水に馴染み易いが水中では無機粉体の化学組成からくるイオン性を帯び電荷を有する。化粧料で使用される弱酸性域から弱塩基性域のpHではイオン性が逆転し凝集するpHが存在する。このため化学組成の異なる粉体を混合すると凝集してしまい分散安定性が保てず沈降して粉体の性能を発揮できない。また、水中に分散した疎水化処理をしていない無機粉体は肌へ塗布する際や塗布した後に無機粒子特有の物理的な刺激性を感じることが多い。水系に無機粉体を配合した化粧料としての仕上がりや使用感という官能特性を好ましいものとするためには有機化合物で疎水化処理した無機粉体を配合することが好ましく前記官能特性の改良が可能である。しかしながら、疎水化処理無機粉体は水をはじく粉体であり水と疎水化処理無機粉体を混合しても分散しないばかりか疎水性相互作用により疎水性粉体粒子が凝集してしまう。近年、水性化粧料に疎水化処理無機粉体を配合する種々技術が開示されている。(特許文献1~3)また、イオン性ポリマーを配合してゼータ電位をコントロールした水性分散体に関する技術も開示されている。(特許文献4)
【0003】
【文献】国際公開WO2013/18827号公報
【文献】特開2015-78243号
【文献】特開2015-203026号
【文献】特許第4060849号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、疎水化処理無機粉体を水相に分散した水性分散体のような組成物は、長期の保存安定性が確保されないと在庫として保管しておくことが難しく、中間原料としての製品価値が損なわれる。疎水化処理無機粉体を水相に分散した水性分散体において、加速試験とサイクル試験をクリアする良好な長期保存分散安定性と使用適性に優れた水性分散体は従来知られておらず解決すべき問題点があった。さらに、上記の従来の水性分散体では水のみずみずしい使用感と疎水化無機粉体の優れた使用感や均一な仕上がり、発色性、透明性のある質感、優れた紫外線遮蔽能を有し、より良い化粧効果と化粧持続性を得るには未だ十分ではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであって、(A)ポリオキシエチレン(5~15)イソステアリルエーテルと(B)水、(C)疎水化処理無機粉体の少なくとも3成分からなる組成物であって優れた長期保存分散安定性と使用適性に優れた水性分散体に関する。この水性分散体を配合した化粧料はみずみずしい使用感や疎水化処理無機粉体の優れた使用感、発色性、透明性、紫外線遮蔽能等をより向上させることができることを見出した。
【0006】
即ち、本発明の第1の視点によれば、
(A)ポリオキシエチレン(5~15)イソステアリルエーテル
(B)水
(C)疎水化処理無機粉体
の3成分を少なくとも含有し、
サイクル試験:-20℃~40℃/2週間とサイクル試験:5℃~60℃/2週間および、加速試験:40±2℃/75%RH±5%RH/6ケ月をクリアする良好な分散安定性と使用適性に優れ、
(C)の疎水化処理無機粉体は一次粒子径が3μm以下である酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄のいずれか1種類以上からなり、かつ、疎水化無機粉体の配合量が40重量%以上である、
水性分散体が提供される。
【0007】
上記の第1の視点において、前記成分(C)の疎水化処理無機粉体が、シリコーン系化合物または脂肪酸、アシル化アミノ酸、水添レシチン、エステルオイル、アルキルシラン、アルキルリン酸のいずれか一つ以上の疎水化剤で処理された無機粉体であることが好ましい。
【0008】
上記の第1の視点において、前記成分(A)のポリオキシエチレン(5~15)イソステアリルエーテルが、ポリオキシエチレン(10)イソステアリルエーテルであることが好ましい。
【0009】
本発明の第2の視点によれば、上記の第1の視点の水性分散体を配合した化粧料が提供される。
【0010】
本発明のさらなる視点によれば、水性分散体並びに化粧料の特定の製造方法が提供され、更には特定の製造方法により製造された水性分散体並びに化粧料が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、成分(A)ポリオキシエチレン(5~15)イソステアリルエーテルと成分(B)水、成分(C)疎水化処理無機粉体の少なくとも3成分からなる水性分散体であって長期保存分散安定性と使用適性に優れた水性分散体を配合した化粧料はみずみずしい使用感や疎水化処理無機粉体の優れた使用感、発色性、透明性、紫外線遮蔽能等をより向上させることができる。本発明の更なる視点、形態、効果等は本願の全記載(請求の範囲、実施の形態、実施例を含む)からも明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例2の水性分散体のゼータ電位のチャートである。
図2】実施例5の水性分散体のゼータ電位のチャートである。
図3】実施例6の水性分散体のゼータ電位のチャートである。
図4】実施例7の水性分散体のゼータ電位のチャートである。
図5】実施例9の水性分散体のゼータ電位のチャートである。
図6】実施例11の水性分散体のゼータ電位のチャートである。
図7】実施例15の水性分散体のゼータ電位のチャートである。
図8】実施例16の水性分散体のゼータ電位のチャートである。
図9】実施例17の水性分散体のゼータ電位のチャートである。
図10】実施例18の水性分散体のゼータ電位のチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳しく説明する。
【0014】
(成分(A):ポリオキシエチレン(5~15)イソステアリルエーテル)
本発明の水性分散体に配合する親水性の界面活性剤は、ポリオキシエチレン(5~15)イソステアリルエーテルである。(5~15)とはポリオキシエチレンの付加モル数を表す。イソステアリルアルコールとポリオキシエチレンが5モルから15モルのモノエーテル化合物である。疎水基のイソステアリルアルコールは炭素鎖が18であり分岐のアルコールである。この分岐タイプはモノメチル分岐タイプやジメチル分岐タイプ、ガーベットタイプ、多分岐タイプがあるがいずれの分岐タイプでも構わない。直鎖の炭素数18のアルコールや炭素数18以外のアルコールとのモノエーテル化合物では本発明の効果は得られない。イソステアリルアルコールとポリオキシエチレンのジエーテルタイプでは本発明の効果は得られない。
【0015】
本発明のポリオキシエチレン(5~15)イソステアリルエーテルは水または水相に疎水化処理無機粉体を容易に、かつ安定して混合・分散して水性分散体とすることができる。本発明のポリオキシエチレン(5~15)イソステアリルエーテルは水性分散体に於いて加速試験とサイクル試験の長期保存分散安定性と優れた使用適性を得るための必須成分である。
【0016】
本発明の効果が得られる一般に入手可能なポリオキシエチレン(5~15)イソステアリルエーテルとしては、ポリオキシエチレンが5モルのモノエーテルのものとしては、EMALEX1805(日本エマルジョン株式会社)、ノニオンIS-205(日油株式会社)等が、ポリオキシエチレンが10モルのモノエーテルのものとしては、EMALEX1810(日本エマルジョン株式会社)、ノニオンIS-210(日油株式会社)等が、ポリオキシエチレンが15モルのモノエーテルのものとしては、EMALEX1815(日本エマルジョン株式会社)、ノニオンIS-215(日油株式会社)、が挙げられる。これらのポリオキシエチレンイソステアリルエーテルは組み合わせて使用してもよい。
【0017】
(成分(B):水)
本発明で言う水とは化粧料に使用可能なイオン交換水や蒸留水等である。本発明では水の主成分以外に少なくとも水に相溶または混和する成分を配合した系を水性成分という。水性成分として成分(B)水の成分以外に配合できる成分としてはアルコール類が挙げられる。例えば、エタノール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、イソペンチルジオール、カプリリルグリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチルヘキシルグリセリン、ヘキシルグリセリン、シクロヘキシルグリセリン、トリメチロールプロパン、キシリトール、エリスリトール、トレハロース、ソルビトール等が挙げられる。これら成分の1種以上を配合できる。これら成分は本発明の分散体の長期経時安定性を損なわない範囲で配合できる。
【0018】
アルコール類以外に含有することのできる任意成分としては、分散安定化剤としては、水溶性高分子、有機増粘剤、無機増粘剤、有機処理無機増粘剤がありその他の効果や機能を発現したい場合には、例えば、紫外線吸収剤、膨潤剤、保湿剤、エモリエント剤、抗菌剤、防腐剤、香料、酸化防止剤、清涼剤、抗炎症剤、美肌用成分、皮膚収斂剤、ビタミン類等が挙げられる。抗菌性のエモリエント剤としては前記イソペンチルジオール、カプリリルグリコールやフェネチルアルコール、フェニルプロパノール、モノカプリル酸グリセリル等が配合できる。これらの任意成分は本発明の水性分散体中の成分(B)の水の中に10重量%以下で含有することができる。これら任意成分は水に相溶または混和した時にアニオン性またはカチオン性を示す成分を含まないことが好ましい。水中のイオンを封鎖するキレート剤等の配合は経時安定性を著しく悪化させる。混和とは水と他の成分が溶解または混ざり合うことで他の成分は常温で液体状でも固体状でもよい。一次粒子径がサブミクロン以上の無機粒子には粒子の沈降防止剤として分散安定化剤を配合することが好ましい。分散安定化剤としてはポリビニルピロリドン、有機ベントナイト、部分疎水化セルロース、エチルセルロース、CNF(セルロースナノファイバー)等を配合することができる。
【0019】
近年では2030年までに世界の人口の約47%が水不足に直面するというユネスコの予測もあり化粧品業界では貴重な飲料可能な水を使用しない化粧品も開発されている。この様な現状に対応すべく開発されている所謂サスティナブルな水原料としては、酒粕水(Sake Lees Water(HD2):Radiant,Inc)やコメ発酵液(ホルス 吟醸エキスAL:ホルス株式会社)等がある。これらは酒造後の酒粕から水を蒸留や抽出で回収した水でありその他成分としてミネラルやアミノ酸等をごく少量含有する。これらの水は前記雑イオンを含有しているが本分散体の水として使用可能である。
【0020】
さらに、水性分散体を肌へ塗布した際の感触を改良する目的で水性分散体の経時安定性を損なわない範囲で油性成分も配合できる。例えば、スクワランや流動パラフィン等の不揮発性の炭化水素油やエチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸セテアリル、ラウリン酸イソアミル、ラウリン酸へキシル、ラウリン酸デシル、ジカプリリルエーテル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2-へキシルデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸2-ヘキシルデシル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸2-ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリル、カプリル酸フェノキシエチル、安息香酸アルキル(C12-C15)、イソノナン酸イソトリデシル、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール、コハク酸ジエチルヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジエチルヘキシル、セバシン酸ジエチルヘキシル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、シア脂、アーモンド油、アボガド油、オリーブ油等のエステル油が挙げられる。配合量は水性分散体全体量の3%以下で配合が可能である。
【0021】
(成分(C):疎水化処理無機粉体)
本発明で使用される疎水化処理無機粉体とは疎水化剤として有機表面処理剤で被覆された疎水性を示す無機粉体である。
【0022】
本発明で言う疎水化処理無機粉体の有機表面処理剤としては、シリコーン化合物、アシル化アミノ酸、脂肪酸、レシチン、エステルオイル、アルキルシラン、アルキルリン酸、有機チタネート、フラクトオリゴ糖から選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。
【0023】
本発明で使用されるシリコーン化合物としては、メチルハイドロジェンポリシロキサン(信越化学工業社:KF99PやKF9901、X-24-9171、X-24-9221等)、ジメチコノール、片末端アルコキシシリルジメチルポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン等の環状メチルハイドロジェンシリコーン、アクリルシリコーン、シリコーンアクリル、アミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、リン酸変性シリコーン等も使用できる。その他としては、信越化学工業社より市販されているものとしてはKF-9908(トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン)やKF-9909(トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン)等も使用できる。
【0024】
本発明で使用されるアシル化アミノ酸は、炭素数12以上18以下である飽和脂肪酸とアスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、グリシン、サルコシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、ロイシン、イソロイシンより選ばれるアミノ酸のアシル化化合物または小麦やえんどう豆等の植物由来のペプチドやシルクペプチド、動物由来のペプチド等の全加水分解物であり、アミノ酸のカルボキシル基は遊離体、又はK、Na、Fe、Zn、Ca、Mg、Al、Zr、Ti等の塩になっているものでも構わない。具体的には、味の素社より市販されているアミソフトCS-11、CS-22、MS-11、HS-11P、HS-21P等、川研ファインケミカル社より市販されているソイポンSLP、ソイポンSCA、アラノンAMP、フランスSEPPIC社より市販されているSEPILIFT DPHP(ジパルミトイルヒドロキシプロリン)、VOLUFOAM(パルミトイルイソロイシン)、TIMECODE(パルミトイルグリシン)等、日光ケミカル社より市販されているサルコシネートMN等を挙げることができる。これらのアシル化アミノ酸は脂肪酸との組成物の形態でもよい。アシル化リポアミノ酸組成物としては、SEPPIC社より市販されているSEPIFEEL ONE(パルミトイルプロリン、パルミトイルサルコシン、パルミトイルグルタミン酸、パルミチン酸の4成分よりなる組成物)が挙げられる。
【0025】
本発明で使用される脂肪酸としては、炭素数が12~22までの直鎖状又は分岐上の飽和又は不飽和脂肪酸で、例えば、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、パルミトレイン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、2-エチルヘキサン酸、イソトリデカン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソベヘン酸等の脂肪酸、或いはそのCa、Mg、Zn、Zr、Al、Ti等の金属塩が挙げられる。
【0026】
本発明で使用される水添レシチンとしては、卵黄、大豆、コーン、菜種、ひまわり等から抽出された天然のレシチン、及び合成レシチンを水素添加したもので、ヨウ素価が15以下の水添レシチンであり、リン酸基を有するグリセライドである。具体的には、Perimondo,LLCより市販されているSunlipon 90HやLipoid GmbHより市販されているPhospholipon 90H等がある。これらは単独で処理しても塩の形態にして処理してもよく、塩としてはAl、Mg、Ca、Zn、Zr、Ti等の水不溶性水添レシチン金属塩等が挙げられる。
【0027】
本発明で使用されるエステルオイルとしては、炭素数1~36の1種又は2種以上のアルコールと、炭素数1~36の1種又は2種以上のカルボン酸とを反応させて得ることができる、総炭素数16以上のエステル化合物を含み、酸価15以上の酸性エステルオイルが好適である。特開2004-51945号公報に示される公知の化合物で具体的には、日清オイリオグループ社より市販されているサラコスMIS(セバシン酸イソステアリル)、サラコスMOD(アゼライン酸オクチルドデカノール)、サラコス1A(アジピン酸オクチルドデカノール)、サラコスHD(ダイマー酸オクチルドデカノール)等が挙げられる。
【0028】
本発明で使用されるアルキルシランとしては、アルキルアルコシキシランが挙げられる。アルキル鎖の長さとして、炭素数で1~18が挙げられ、具体的にはメチルトリエトキシシラン、へキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシランやオクタデシルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0029】
本発明で使用されるアルキルリン酸としては、長鎖アルキルアルコールとリン酸のモノエステルやジエステル、トリエステルがありラウリルリン酸、リン酸モノセチル、リン酸ジセチル、リン酸トリセチル、リン酸ステアリル、C20-22リン酸が挙げられる。またはこれらのアルキルリン酸のKやNa等の塩でも構わない。リン酸セチルの市販品としては、ピュアフォスα(日光ケミカルズ株式会社)等が挙げられる。
【0030】
本発明で使用される有機チタネートとしては、Ti(OR構造を基本骨格とするものでRは互いに独立していてアルキル基または有機カルボニル基である。市販のものとしてはイソプロピルトリイソステアロイルチタネート(プレンアクトTTS;味の素ファインテクノ社)などが挙げられる。
【0031】
本発明で使用されるデキストリン脂肪酸エステル、フラクトオリゴ糖エステルとしては、デキストリンやフラクトオリゴ糖と脂肪酸とで構成されるエステル或いはその誘導体から選択することができる。具体的には、例えば、特公平5-3844号公報や特開2002-188024号公報に記載の公知の化合物で、千葉製粉社より市販されているレオパールKL、レオパールMKL、レオパールTT、レオパールKE、レオパールTL、レオパールISK、等が挙げられる。
【0032】
本発明で使用される無機粉体としては、粒子径が3μm未満の平均粒子径を有する無機粉体が好ましい。好ましい無機粉体としては酸化チタンと酸化亜鉛、酸化鉄である。酸化チタンは光触媒活性の低減の目的で粒子表面にAl(OH)3やAl2O3、SiO2等の無機物処理をしたものが使用される。本発明で言う平均粒子径とは疎水化処理する前の無機粉体粒子の一次粒子径である。この一次粒子径は各社原料メーカーが公表している値である。一次粒子径の測定方法は電子顕微鏡法やXRD法等があるがメーカーが公表している値であればよい。
【0033】
本発明の好ましい無機粉体は着色顔料としては、顔料級酸化チタンや顔料級酸化亜鉛、顔料級酸化鉄が挙げられる。サンスクリーン用無機粉体としては、100nm以下の粒子を含まず平均粒子径が100nmより大きい粒子径の所謂ノンナノ粒子からなる酸化チタンや酸化亜鉛が挙げれらる。一般に入手可能なの疎水化処理したノンナノ酸化チタンとしては、Solaveil XTP1(クローダ株式会社)が挙げられる。疎水化されていないノンナノ酸化チタンとしては、Solaveil XTP2(クローダ株式会社)があり既存の有機表面処理により疎水化して本発明の水性分散体に配合できる。疎水化処理したノンナノ酸化亜鉛としては、Solaveil MZP7、Solaveil MZP8(クローダ株式会社)が挙げらる。疎水化されていないノンナノ酸化亜鉛としては、Solaveil MZP3(クローダ株式会社)がありノンナノ酸化チタン同様に疎水化処理して本発明の水性分散体に配合できる。もう一つは、100nm以下の平均粒子径を有する微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化鉄が挙げれれる。市販されている疎水化処理無機粉体としてステアリン酸処理微粒子酸化チタンとしてはMT-01、MT-100Z、MT-100TV、MT-200ST(テイカ株式会社)、STR-100C-LF(堺化学工業株式会社)、ST-455、ST-461SA、ST-455FA(チタン工業株式会社)、等が挙げられる。イソステアリン酸処理微粒子酸化チタンとしては、MT-10EX、MT-150EX(テイカ株式会社)等が挙げられる。シリコーン処理微粒子酸化チタンとしては、MTY-02、MTY-100SAS、MT-500SAS(テイカ株式会社)、STR-100C-LP、STR-100W-LP(堺化学工業株式会社)、ST-461EC(チタン工業株式会社)等が挙げられる。アルキルシラン処理微粒子酸化チタンとしては、MTX-05OTS(テイカ株式会社)、STR-100W-OTS(堺化学工業株式会社)が挙げられる。イソステアリン酸処理微粒子酸化亜鉛としては、MZY-505EX(テイカ株式会社)、シリコーン処理微粒子酸化亜鉛としては、MZY-505S、MZY-303S(テイカ株式会社)、FINEX-33W-LP2(堺化学工業株式会社)等が挙げられる。アルキルシラン処理微粒子酸化亜鉛としては、MZX-304OTS、MZX-508OTS(テイカ株式会社)、FINEX-30-OTS、FINEX-50-OTS(堺化学工業株式会社)等が挙げられる。
【0034】
本発明で言う疎水化処理無機粉体を得るための製造方法は特に限定されず、有機表面処理と無機粉体を混合して作製すればよい。混合方法も乾式法や湿式法等、特に限定されず均一に処理できる混合機を採用すればよい。例えば、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、ニーダー、エクストルーダー、ディスパーミキサー、ホモミキサー、ビーズミル等が挙げられる。混合した後、熱風乾燥機やスプレードライヤー、フラッシュジェットドライヤー、コニカルドライヤー等で乾燥して粉末を得ることができる。
【0035】
本発明で言う疎水化処理無機粉体とは疎水性を有する無機粉体である。疎水性の評価方法としては200ccガラスビーカーに100ccの精製水を入れスパーテルに採った粉体0.2gを水面より2cmの高さから水面に投下した後、1秒間に2回の速度でスパーテルを使用して50回撹拌した後、30秒間静置する。水中を観察したとき粉体粒子が水層に移行せず浮遊している粉体が好ましい。水相に粉体粒子が少しでも水相に移行してしまう粉体や疎水化処理をしていない粉体では本発明の効果は得られない。有機化合物で表面処理をしているが一部の粉末粒子が水相に移行してしまう粉体もあり本発明の比較例36で実験をしている。有機化合物で疎水化処理をしていない粉体(無処理粉体)は本試験ではほとんどの粉末粒子が水相に移行してしまう。
【0036】
本発明の水性分散体の配合比について以下に説明する。本発明の水性分散体は成分(C)疎水化処理無機粉体の含有量が40重量%以上であるものが好ましい。疎水化処理無機粉体がこれより少ないと化粧料の処方設計や製造において使用適性が悪くなる。使用適性の観点では疎水化処理無機粉体を50重量%以上含有する水性分散体がより好ましい。本発明で言う使用適性とは、化粧料に粉体を配合するときの自由度をいう。即ち、本発明の水性分散体を化粧料に配合する際に主となる成分は疎水化処理無機粉体であり水相成分ではないからである。水性分散体の主成分である疎水化処理無機粉体はその機能を化粧料中で発揮させるためと化粧料の製造工程中で粉塵を伴う粉体の分散工程を無くし簡略化してコストを削減する目的を有する。本発明の水性分散体は化粧料の製造工程中の原料として配合可能な中間原料である。疎水化処理粉体の水性分散体中の含有量(配合量)が高いほど処方の自由度は高まり使用適性は良くなる。
【0037】
成分(A)のポリオキシエチレン(5~15)イソステアリルエーテルと成分(C)の疎水化処理無機粉体の配合比は成分(A)/成分(C)=0.5~30.0/100.0(wt%)である。成分(A)は疎水化処理無機粉体を水中に分散して安定化させる成分であるが疎水化処理無機粉体に対する配合量が少ないと分散性が不十分となり、多いと分散安定性不良やコスト増となり、化粧料に配合した場合にはべとついた感触となり官能特性上好ましくない。
【0038】
本発明の水性分散体の製法は、成分(A)のポリオキシエチレン(5~15)イソステアリルエーテルと成分(B)の水を溶解または混合後、成分(C)の疎水化処理無機粉体を配合する場合と成分(A)のポリオキシエチレン(5~15)イソステアリルエーテルと成分(C)の疎水化処理無機粉体を接触または混合した後、成分(B)の水に配合する場合があるがいずれでも構わない。成分(A)と成分(C)の混合または接触する方法や成分(A)と成分(B)、成分(C)の3成分の混合・分散方法については特に限定はなく公知の混合・分散機を使用できる。例えば、プロペラ攪拌機、ディスパーミキサー、ホモミキサー、高圧ホモミキサー、ニーダー、ヘンシェルミキサー、V型混合機、ロールミル、ビーズミル、エクストルーダー等の混合機を使用できる。
【0039】
本発明の水性分散体は、以下に示す化粧料に適用できる。本発明で言う化粧料としては、スキンケア化粧料としてはエモリエントクリーム、コールドクリーム、美白クリーム、乳液、化粧水、美容液、パック、カーマインローション、液状洗顔料、洗顔フォーム、洗顔クリーム、洗顔パウダー、メイククレンジング、ボディグロス、日焼け止め又は日焼け用クリームやローション等が、メークアップ化粧料としては、化粧下地、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、油性ファンデーション、スティックファンデーション、プレストパウダー、フェイスパウダー、白粉、口紅、口紅オーバーコート、リップグロス、コンシーラー、頬紅、アイシャドウ、アイブロウ、アイライナー、マスカラ、水性ネイルエナメル、油性ネイルエナメル、乳化型ネイルエナメル、エナメルトップコート、エナメルベースコート等、頭髪化粧料としては、ヘアーグロス、ヘアクリーム、ヘアーシャンプー、ヘアリンス、ヘアカラー、ヘアブラッシング剤等、制汗化粧料としてはクリームやローション、パウダー、スプレータイプのデオドラント製品等、その他としてや乳液、石鹸、浴用剤、香水等を挙げることができる。
【実施例
【0040】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明する。
【0041】
(実施例1~52と比較例1~52)
下記表1、表5、表9に示す実施例の組成の本発明の水性分散体を製造した。下記表2、表6、表10には比較例の組成の水性分散体を示した。表中の単位はすべて重量%である。いずれの水性分散体も2kgスケールで製造した。操作は、先ずイオン交換水にポリオキシエチレン(5~15)イソステアリルエーテルを添加して50℃に加温して混合・溶解した後、ディスパーミキサーで1分間撹拌した。その攪拌液にディスパーミキサー攪拌下に疎水化処理無機粉体を徐添して周速5m/sの条件で20分間分散した。その分散液を300ccのベッセル容量のサンドグラインダーで分散した。分散条件としては、ビーズはジルコニアビーズ1.0mmφ、ビーズ充填率85%、ディスク周速6m/s、送液量30cc/minの条件で4パスした。ミル内の1パス当たりの総滞留時間は5分とした。なお、実施例27と実施例29、比較例27、比較例29はサンドグラインダー分散を4パスではなく3パスとして実施例34と比較例34は2パスとした。さらに実施例の19と実施例26、実施例33、実施例37、比較例26、比較例33は前記サンドグラインダーでの分散はおこなわずにディスパーミキサー分散20分間のみで終了し本発明の水性分散体とした。比較例は特開2018-24881号の実施例に記載の界面活性剤を使用して分散試験をした。さらに、本発明の界面活性剤を使用した弱疎水化処理粉体と疎水化されていない無機粉体(無処理粉体)の水への分散性と長期の保存分散安定性を観察するために実施例38と比較例36、比較例37、比較例38に示した。これらの製造した水性分散体は評価用試料として試験容器(ポリプロピレン製100cc広口容器:アズワンI・BOY)に100ccを採り製造直後と経時保存試験評価用とした。なお、比較例の組成の水性分散体は一部流動する水性分散体にならず分散途中で粘度が上昇して送液ができないケースや固化したものがあった。この場合は製造不可で×とした。粘度が上昇したり固化する要因としては疎水化処理無機粉体に対しての界面活性剤が適切でない場合や界面活性剤量が少ない場合でありいずれも疎水化処理無機粉体の水への濡れ性が十分ではないことや粉体粒子表面への界面活性剤の吸着不良が考えられる。
【0042】
本発明の水性分散体の保存安定性試験の方法を以下に示す。本発明の水性分散体の入った前記PP製の試験容器を次に示す温湿度試験槽に保存するが試験容器はきつく蓋をする。蓋と容器の堺目にビニールテープで1巻き半テーピングして保存試料とした。各保存試験の条件は以下の通りとした。
(サイクル試験:-20℃~40℃/2週間)
-20℃から40℃までの温度上昇を12時間かけ、その後40℃から-20℃までの降温を12時間かけて行うサイクルに設定(5℃/1時間の温度上昇と下降)した試験槽に水性分散体の入った試験容器を保存して2週間後に容器を取り出した。
(サイクル試験:5℃~60℃/2週間)
5℃から60℃までの温度上昇を12時間かけ、その後60℃から5℃までの降温を12時間かけて行うサイクルに設定(4.583℃/1時間の温度上昇と下降)した試験槽に水性分散体の入った試験容器を保存して2週間後に容器を取り出した。
(加速試験:40±2℃/75%RH±5%RH/6ケ月)
槽内の温度が40±2℃で湿度が75%±5%になる試験槽に水性分散体の入った試験容器を保存して6ケ月後に容器を取り出した。試験容器は完全気密性ではないので湿度の影響も考えられるため湿度を75%±5%とした。
(RT保存試験/1年間)
RTとは室温のことで実験室の実験棚に1年間保存した。実験室は年間を通して温度が15~25℃で湿度は35%から80%に調整されている。1年後に実験棚より容器を取り出した。すべての試験について試験終了後に取り出された試験容器は蓋の締まり具合が緩んでいないかを確認した。緩んでいるものはなかった。
【0043】
本発明の水性分散体について以下に示す評価を行った。
(水性分散体の外観評価)
製造直後と保存安定性試験後の水性分散体を25℃の恒温水槽に24時間静置した後、上澄みを目視で沈降状態を180mmのミクロスパーテルを使い容器の底を観察した。水性分散体は安定性が良くないものは上澄み層や沈降層が観察される。上澄み層とは、粉体粒子の分散層が均一ではなく上層部に粉体粒子の希薄分散層が観られたり、クリアな水相が観られる事である。沈降層についても粉体粒子の分散相が均一でなく沈降している層が観られることをいう。粉体粒子は分散媒である水相より比重が重いため経時で粉体粒子は沈降するがこの沈降状態にはソフトケーキ化とハードケーキ化がある。前者はスパーテル等の攪拌により容易に再分散して均一な分散相に回復するが後者はスパーテルや機械による攪拌でも再分散は困難な状態である。経時保存安定性試験で上澄み層や沈降層が全くない状態のものが特に好ましい。上澄み層やソフトケーキ層があってもスパーテル等の攪拌で容易に再分散が可能なものでも可である。評価としては上澄みが観られるものはC△、観られないものはC〇とした。沈降のないものはS〇、ソフトケーキのものはS△、ハードケーキのものはS×とした。各保存安定性試験後の状態に固化したものがあり評価は固化×とした。固化とは液状物が粘土状に固まってしまうもので攪拌等の物理的な刺激を加えても液状物には回復しないものである。おそらく、粉末が経時で液を吸収してしまった場合や液の揮発によるものと考えらる。
【0044】
(水性分散体の粘度)
水性分散体の粘度は次のように評価した。水性分散体の入ったPP製100cc試験容器を25℃の恒温水槽に入れ24時間放置した後、前記ミクロスパーテルで30秒間手攪拌して粘度測定試料とした。粘度計は芝浦セムテック(株)社製ビスメトロンVDA型粘度計にて3号ローターを使用した。ローターの回転数は30rpmと60rpmにて各々60秒とした。測定値は例えば、30rpmで60秒後の粘度が300mPa・sであり60rpmで60秒後の粘度が600mPa・sであった場合は300/600と記載した。3号ローターで30rpmでの粘度の測定範囲は400~4000mPa・sであり60rpmでは200~2000mPa・sである。また、水性分散体の粘度が前記ローター回転数で測定不能な高い粘度の場合にはローター回転数を12rpm(測定範囲は1000~10000mPa・s)または6rpm(測定範囲は2000~20000mPa・s)まで下げて測定した。疎水化処理粉体を配合した水性分散体は非ニュートン流体のためせん断速度に粘度が依存するので2水準のローターの回転速度で測定する。この場合、速度の低い方から測定した。なおハードケーキ化した分散体はスパーテルの手攪拌では再分散しないので粘度測定は測定不可×とした。
【0045】
(光沢試験)
本発明の水性分散体をTAC(トリアセチルセルロース)フィルム(ロンザTAC100厚み100μm:パナック株式会社)に採り#6バーコーターで塗膜化した後、80℃の恒温器で1時間乾燥して評価試料とした。光沢を測定する機器は日本電色工業(株)社の分光色彩計を使用して次の条件で測定した。光源はC光源、測定方法は反射法、測定角度は入射角-45°で測定角+45°とした。標準板は色彩測定用の白色板を使用した。なお、測定はTACフィルム上の異なる箇所を5箇所測定して平均値を求めて光沢値とした。光沢値が大きいほど水性分散体中の疎水化処理無機粉体粒子の分散性が優れていることを示す。保存安定性が悪いと粒子が凝集して光沢値は低下する。前記保存安定性試験後の光沢値が製造直後と同等のものは安定性に優れる。
【0046】
(紫外線遮蔽試験)
ノンナノ酸化チタンとノンナノ酸化亜鉛および、微粒子酸化チタンと微粒子酸化亜鉛の水性分散体については光沢試験で調製したTACフィルムをIn-vitro SPF値試験器でSPF値を測定した。測定にはLab sphere UV-2000S(三洋貿易株式会社)を使用してブランクに未塗工のTACを用いてn数5の平均値をSPF値とした。以上の各評価結果を表3と表4などに示した。
【0047】
下記表3、表7、表11に実施例の水性分散体の評価結果を、表4、表8、表12に比較例の水性分散体の評価結果を示した。
【0048】
さらに、本発明に使用される疎水化処理無機粉体の疎水化前の原料の一次粒子径と疎水化処理無機粉体の疎水性を表13に示した。前述したように一次粒子径は原料メーカーの公表値である。疎水化処理無機粉体の疎水性評価方法としては、200ccガラスビーカーに100ccの精製水を入れスパーテルに採った粉体0.2gを水面より2cmの高さから水面に投下した後、1秒間に2回の速度でスパーテルを使用して50回撹拌した後、30秒間静置する。水中を観察したとき粉体粒子が水層に移行せず浮遊している粉体は〇として、少しでも水層に粉体粒子が移行しているものは×とした。
【0049】
本発明の水性分散体の40±2℃/75%RH±5%RH/6ケ月後のpHと二次粒子径を測定した。結果は表14に示した。pHは、ポータブルpHメーター(東亜ディーケーケー株式会社)でpH標準液(pH4.01、pH6.86、pH9.18)で校正した後、水性分散体の液中にpH電極を入れ30秒後のpHを読んだ。二次粒子径はレーザー回折散乱式粒度分布装置(マルバーン社:Mastersizer3000)を用いた。希釈溶媒には精製水を使用した。粒度測定時に入力する疎水化処理無機粉体の屈折率は、酸化チタンは2.75、黄色酸化鉄は2.10、赤色酸化鉄は3.01、黒色酸化鉄は2.42、酸化亜鉛は2.00とした。各水性分散体はあらかじめ測定可能な濃度になる量を採り精製水で希釈して超音波等の分散操作はおこなわず循環セルへ入れた。二次粒子径はD5、D50、D95を体積粒子径で求めた。なお、比較例は加速試験後に安定なものは無いため粒度分布測定はしていない。
【0050】
本発明の長期保存分散安定性に優れる一部の水性分散体についてゼータ電位を測定した。測定方法を次に示す。ゼータ電位で使用した機器はゼータ電位・粒子径測定システムELSZ-1000(大塚電子株式会社)である。測定原理は電気泳動光散乱測定法、別名レーザードップラー法と呼ばれ水中に帯電した粒子が分散している系に入射光を入れると粒子に当って反射や散乱をした光は粒子の速度に比例して変化するというドップラー効果により光の周波数がシフトする。このシフト量は粒子の荷電に比例することよりゼータ電位が求められる。
【0051】
ゼータ電位測定手順は先ず水性分散体をイオン交換水で希釈して疎水化処理無機粉体粒子濃度を0.005~0.1重量%とする。粉体粒子の分散が悪い場合は必要に応じて超音波分散や磁気撹拌機等で分散して測定液を調製する。粉体粒子濃度に範囲があるのは無機粉体粒子の一次粒子径や水中分散時の粒子径、無機粉体粒子の形状や屈折率により分散希釈液の光透過率が異なるためゼータ電位測定可能な透過率に調製するため粒子濃度が異なる。測定可能な粒子濃度の分散液を調製して測定セルに入れ25℃にてゼータ電位を測定する。測定にはpHタイトレーターがあれば自動でpHを調製してくれるが手動の場合、測定液はpH1からpH10の範囲の各pH液を7点から9点準備する。塩基性条件の調製はNaOHを、酸性条件の調製にはHNO3を使用して調整する。酸性条件のpH液の調製にHClを使用するとCl-(マイナス)イオンが粒子表面に吸着してマイナスチャージを示すことがあり好ましくない。ゼータ電位を測定したチャートを図1から図10に示した。なお、図1~10の横軸はpHを表す。
【0052】
[表1]

*1 商品名:ノニオンIS-205(日油株式会社)
*2 商品名:ノニオンIS-210(日油株式会社)
*3 商品名:ノニオンIS-215(日油株式会社)
*4 商品名:ALT-TR-10(オクチルトリエトキシシラン処理酸化チタン:三好化成株式会社)
*5 商品名:CAI-TR-10(ココイルグルタミン酸処理酸化チタン:三好化成株式会社)
*6 商品名:ALT-YHP-10(オクチルトリエトキシシラン処理黄酸化鉄:三好化成株式会社)
*7 商品名:ALT-MTRZ-10(オクチルトリエトキシシラン処理赤酸化鉄:三好化成株式会社)
*8 商品名:ALT-BHP-10(オクチルトリエトキシシラン処理黒酸化鉄:三好化成株式会社)
*9 商品名:MT-150EX(テイカ株式会社)
*10 商品名:MT-100Z(テイカ株式会社)
*11 商品名:SA-UT-B41(ジメチコンとステアリン酸処理微粒子酸化チタン:三好化成株式会社)
*12 商品名:STR-100C-LF(堺化学工業株式会社)
*13 商品名:ST-455(チタン工業株式会社)
*14 商品名:NAI-Z-300(ステアロイルグルタミン酸処理微粒子酸化亜鉛:三好化成株式会社)
*15 商品名:MZ-505EX(テイカ株式会社)
*16 商品名:FINEX-50-OTS(堺化学工業株式会社)
【0053】
[表2]
*17 商品名:レオドールTWーO-120(花王株式会社)
*18 商品名:EMALEX PEIS-20EX(日本エマルジョン株式会社)
*19 商品名:KF-6011(信越化学工業株式会社)
【0054】
[表3]

本発明の水性分散体は低粘度で加速試験とサイクル試験をクリアした長期保存安定性に優れているものである。
【0055】
[表4]
【0056】
[表5]

*20 商品名:Sake Lees Water(HD2)(株式会社GSIクレオス)
*21 商品名:GREEN OCTANEDIOL(登録商標)(株式会社GSIクレオス)
*22 商品名:MT-200T(テイカ株式会社)
*23 商品名:Solaveil XTP-1(クローダジャパン株式会社)
*24 商品名:VLS-XTP-2(三好化成株式会社)
*25 商品名:Eusolex T-EASY(メルク株式会社)
*26 商品名:Solaveil MZP8(クローダジャパン株式会社)
*27 商品名:MZX-304OTS(テイカ株式会社)
*28 商品名:FINEX-52W-LP2(堺化学工業株式会社)
*29 商品名:SI-UFTR-ZI(三好化成株式会社)
【0057】
[表6]

*30 商品名:SI-UFTR-Z(三好化成株式会社)
*31 商品名:TTO-55A(石原産業株式会社)
【0058】
[表7]
【0059】
[表8]
【0060】
[表9]
【0061】
[表10]
*32 商品名:Cetiol OE Deo C(BASFジャパン株式会社)
*33 商品名:MT-01(テイカ株式会社)
*34 商品名:ST-455FA(チタン工業株式会社)
*35 商品名:ST-461SA(チタン工業株式会社)
*36 商品名:HS-FINEX-50(三好化成株式会社)
*37 商品名:FINEX-30-OTS(堺化学工業株式会社)
*38 商品名:Solaveil MZP8(クローダジャパン株式会社)
【0062】
[表11]
【0063】
[表12]
【0064】
[表13]
【0065】
[表14]
【0066】
(評価結果の考察)
本発明の疎水化処理無機粉体を配合したいずれの水性分散体も疎水化処理無機粉体を高濃度に配合しているにもかかわらず流動する液体状である。水性分散体のpHは4~5の間から9付近であり広いpHレンジで長期の分散安定性を達成している。ゼータ電位測定の結果より、本発明の水性分散体はpHが4~5の間から10以上でマイナスチャージを示している事が分かった。この事は化粧料に使用される水相のpH域ではこれらの水性分散体を混合しても粉体粒子は凝集せず無機粉体の性能を発揮することができると考察される。
【0067】
また、一般に水相に多価アルコールを配合すると配合量に比例して水相の表面張力が下がり疎水化処理粉体は水相に濡れ易くなり水性分散体の調製が容易になる。しかし、実施例20~25などのように、水相に多価アルコールを配合していない、つまり水相の表面張力が多価アルコールにより低下していない系でも本発明の水性分散体は、ポリオキシエチレン(5~15)イソステアリルエーテルと、水と、疎水化処理無機粉体の3成分のみで調製でき、長期の保存安定性が得られる。
【0068】
さらに、実施例27、29(サンドグラインダー3回パス)、実施例34(サンドグラインダー2回パス)、実施例26、33、37(ディスパーミキサのみ)のように、本発明の水性分散体は分散条件を緩和しても調製可能である。言い換えると、本発明の水性分散体は容易に調製可能であると言える。表14に示した経時安定性試験後の本発明の水性分散体の2次粒子径であるが驚いたことに、D50が数十nmであってもサブミクロン以上の領域にあっても長期の分散安定性が達成できることが分かった。水相に分散している無機粉体粒子がストークスの沈降式理論よりもかなり大きいにも関わらず長期に分散安定性が維持できる論理的理由は不明であるが本発明で使用している分散剤であるポリオキシエチレン(5~15)イソステアリルエーテルと水性分散体中の疎水化処理無機粉体粒子がマイナスチャージを帯びていることとの相乗効果ではないかと考察される。
【0069】
(実施例53 O/W型乳化ファンデーションの製造)
表15に示す組成のO/W型乳化ファンデーションを製造した。
[表15]
*39 セルロースナノファイバー約2%含有水溶液(大王製紙株式会社)
(製造方法)
A:油相成分を良く分散混合する。
B:水相成分を良く分散混合する。
C:前記BにAを加えホモミキサーで乳化してO/W型乳化ファンデーションを得た。
【0070】
本発明のO/W型乳化ファンデーションは粉体の分散性が良好で使用感や発色性も良く均一な仕上がりが得られ安定性も良好であった。
【0071】
(実施例54 W/O型乳化ファンデーションの製造)
表16に示す組成のW/O型乳化ファンデーションを製造した。
[表16]

(製造方法)
A:油相成分を良く分散混合する。
B:水相成分を良く分散混合する。
C:前記AにBを加えホモミキサーで乳化してW/O型乳化ファンデーションを得た。
【0072】
本発明のW/O型乳化ファンデーションは粉体の分散性が良好で発色性も良くベトツキが少なくみずみずしい使用感があり均一な仕上がりが得られ安定性も良好であった。
【0073】
(実施例55 O/W型日焼け止め化粧料の製造)
表17に示す組成のO/W型日焼け止め化粧料を製造した。
[表17]

(製造方法)
A:油相成分を良く分散混合する。
B:水相成分を良く分散混合する。
C:前記BにAを加えホモミキサーで乳化してO/W型日焼け止め化粧料を得た。
【0074】
実施例13の水性分散体は疎水化処理微粒子酸化チタンを含有しており実施例16の水性分散体は疎水化処理微粒子酸化亜鉛を含有している。通常、水相に微粒子酸化チタンと微粒子酸化亜鉛を投入して混合すると電荷が引き合い凝集するが本発明の水性分散体は酸化チタンと酸化亜鉛を混合しても水相中で凝集しなかった。
【0075】
本発明の日焼け止め化粧料は粉体の分散性が良好でみずみずしい使用感があり安定性も良好であった。In-vitro SPF値は50とPAは+++が得られ高い紫外線遮蔽効果があった。
【0076】
(実施例56 ローションタイプ日焼け止め化粧料の製造)
表18に示す組成のローションタイプ日焼け止め化粧料を製造した。
[表18]

*40 エチルヘキサン酸セチル約20wt%含有の水溶液(日光ケミカルズ株式会社)
*41 アロエベラエキス(一丸ファルコス株式会社)
(製造方法)
A:水相成分を混合してローションタイプ日焼け止め化粧料を得た。
【0077】
本発明のローションタイプ日焼け止め化粧料は粉体の分散性が良好でみずみずしい使用感でべとつかず滑らかな感触があり安定性も良好であった。In-vitro SPF値は38とPAは++が得られ高い紫外線遮蔽効果があった。
【0078】
(実施例57 W/O型日焼け止め化粧料の製造)
表19に示す組成のW/O型日焼け止め化粧料を製造した。
[表19]

(製造方法)
A:油相成分を良く分散混合する。
B:水相成分を良く分散混合する。
C:前記AにBを加えホモミキサーで乳化してW/O型日焼け止め化粧料を得た。
【0079】
本発明の日焼け止め化粧料は粉体の分散性が良好で透明性も良くベトツキが少なくみずみずしい使用感があり安定性も良好であった。In-vitro SPF値は48が得られた。
【0080】
(実施例58 エアゾール型日焼け止め化粧料の製造)
表20に示す組成のエアゾール型日焼け止め化粧料を製造した。
[表20]

(製造方法)
A:水相成分を良く分散混合する。
B:油相成分を良く分散混合する。
C:前記成分Bを前記成分Aにホモミキサー攪拌下投入する。
D:前記Cに噴射剤を加えアルミ耐圧容器に充填してエアゾール型日焼け止め化粧料を得た。
【0081】
本発明のエアゾール型日焼け止め化粧料は粉体の分散性が良好で透明性が高く非常にみずみずしい使用感があり安定性も良好であった。In-vitro SPF値は39が得られた。実施例11と実施例18のゼータ電位グラフが示すように弱酸性域から塩基性域の広いpHレンジでマイナスチャージを示していることにより微粒子酸化チタンと微粒子酸化亜鉛が水相で共存しても凝集が発生せず粉体粒子の特性が発揮されている。
【0082】
(実施例59 水系化粧下地の製造)
表21に示す組成の水系化粧下地を製造した。
[表21]

(製造方法)
A:粉体成分を良く混合する。
B:水相成分のBGとグリセリンの混合物に前記A成分を混合してローラーで処理する。
C:前記Bに残りの水相成分を加え良く攪拌して水系化粧下地を得た。
【0083】
本発明の水系化粧下地は粉体の分散性が良好でみずみずしい使用感があり安定性も良好であった。
【0084】
(実施例60 水系おしろいの製造)
表22に示す組成の水系おしろいを製造した。
[表22]

(製造方法)
A:粉体成分を良く混合する。
B:水相成分を混合して溶解する。
C:前記BにAを加え良く撹拌して水系おしろいを得た。
【0085】
本発明の水系おしろいは粉体の分散性が良好でみずみずしい使用感があり安定性も良好であった。
【0086】
(実施例61 水系アイシャドウの製造)
表23に示す組成の水系アイシャドウを製造した。
[表23]

(製造方法)
A:粉体成分を良く混合する。
B:水相成分を混合して溶解する。
C:前記BにAを加え良く撹拌して水系アイシャドウを得た。
【0087】
本発明の水系アイシャドウは粉体の分散性が良好で発色性も良くみずみずしい使用感があり安定性も良好であった。
【0088】
(実施例62 口紅の製造)
表24に示す組成の口紅を製造した。
[表24]

(製造方法)
A:油相成分を良く混合する。
B:粉体成分を前記A成分と混合してローラーで分散処理する。
C:前記Bに水相成分を混合して加温し乳化して口紅を得た。
【0089】
本発明の口紅は粉体の分散性が良好で発色性も良くみずみずしい使用感があり安定性も良好であった。
【0090】
(実施例63 制汗剤の製造)
表25に示す組成の制汗剤を製造した。
[表25]

(製造方法)
A:粉体成分を良く混合する。
B:水相成分混合して溶解する。
C:BにAを加えて混合して制汗剤を得た。
【0091】
本発明の制汗剤は粉体の分散性が良好でみずみずしい使用感があり安定性も良好であった。
【0092】
(実施例64 パウダーファンデーションの製造)
表26に示す組成のパウダーファンデーションを製造した。
[表26]

(製造方法)
A:粉末成分を良く分散混合する。
B:油性成分を良く混合溶解する。
C:前記AにBを加え混合粉砕後、水性成分を加え混合粉砕する。
D:前記Cをフルイに通して金皿に成型してパウダーファンデーションを得た。
【0093】
本発明のパウダーファンデーションは粉体の分散性が良好でみずみずしい使用感があり安定性も良好であった。
【0094】
(実施例65 流し込み型パウダーファンデーションの製造)
表27に示す組成のパウダーファンデーションを製造した。
[表27]
(製造方法)
A:粉末成分を良く分散混合する。
B:上記Aと油性成分とを良く混合する。
C:水性成分を良く混合する。
D:前記Cに前記Bを加え混合してスラリー状とする。
E:前記Dを金皿に充填して表面に吸水シートを置き、多孔質吸引ヘッドを用いて吸引圧縮成形する。
F:前記Eを70℃の恒温槽に24時間放置して精製水を完全に除去してパウダーファンデーションを得た。
【0095】
本発明のパウダーファンデーションは成形性が良好で発色性が良く使用感も良く均一な仕上がりが得られ安定性も良好であった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10