(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】手術用インストルメント
(51)【国際特許分類】
A61B 17/29 20060101AFI20240717BHJP
A61B 34/30 20160101ALN20240717BHJP
【FI】
A61B17/29
A61B34/30
(21)【出願番号】P 2023045875
(22)【出願日】2023-03-22
(62)【分割の表示】P 2021117136の分割
【原出願日】2014-10-14
【審査請求日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】10-2014-0049460
(32)【優先日】2014-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516316716
【氏名又は名称】リブスメド インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジュン ジョ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒ ジン
(72)【発明者】
【氏名】バク,ドゥ ジン
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-220108(JP,A)
【文献】特開2012-061593(JP,A)
【文献】特開昭59-102587(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0131695(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02415418(EP,A1)
【文献】国際公開第2013/077571(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/077572(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第103251458(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/28-17/295
A61B 34/30-34/37
B25J 15/08-15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術用インストルメント
のエンドツールにおいて、
前記エンドツールから操作部へ向かう方向を一側とし、前記一側と反対の方向を他側とすると、
互いに独立して回転可能な第1ジョー及び第2ジョーと、
前記第1ジョーと結合し、エンドツールハブに形成される第1軸を中心に回転自在に形成されるJ11プーリと、
前記J11プーリの一側に形成され、前記第1軸の一側に形成される第2軸を中心に回転自在に形成されるJ16プーリと、
前記J16プーリの一側に形成され、前記第1軸と所定の角度をなすように形成され、前記エンドツールハブの一側に形成される第3軸を中心に回転自在に形成され、互いに隣接して形成されるJ12プーリ及びJ14プーリと、
前記第2ジョーと結合し、前記第1軸と実質的に同一または平行な軸を中心に回転自在に形成されるJ21プーリと、
前記J21プーリの一側に形成され、前記第2軸と実質的に同一または平行な軸を中心に回転自在に形成されるJ26プーリと、
前記J26プーリの一側に形成され、前記第3軸と実質的に同一または平行な軸を中心に回転自在に形成され、互いに隣接して形成されるJ22プーリ及びJ24プーリと、を含み、
第1ジョーワイヤは、前記J12プーリ、J11プーリ、J16プーリ、J14プーリと少なくとも一部が接触するように形成され、
第2ジョーワイヤは、前記J22プーリ、J21プーリ、J26プーリ、J24プーリと少なくとも一部が接触するように形成され、
前記J16プーリは、前記J11プーリと前記J12プーリ
との間、及び前記J11プーリと前記J14プーリとの間に位置し、
前記J26プーリは、前記J21プーリと前記J22プーリ
との間、及び前記J21プーリと前記J24プーリとの間に位置し、
前記第1ジョーワイヤは、前記J11プーリと前記J16プーリとの内接線上に位置し、
前記第2ジョーワイヤは、前記J21プーリと前記J26プーリとの内接線上に位置
し、
前記J11プーリと前記J21プーリは、前記第1軸方向において一定程度離隔されて前記J11プーリと前記J21プーリとの間に所定の空間が形成されることを特徴とする手術用インストルメント
のエンドツール。
【請求項2】
前記J11プーリを基準に、前記第1ジョー及び第2ジョーの反対側に、前記J16プーリが配置され、
前記J21プーリを基準に、前記第1ジョー及び第2ジョーの反対側に、前記J26プーリが配置されることを特徴とする請求項1に記載の手術用インストルメント
のエンドツール。
【請求項3】
前記第1軸と前記第2軸は、実質的に平行に形成されることを特徴とする請求項1に記載の手術用インストルメント
のエンドツール。
【請求項4】
前記第1軸と前記第3軸は、実質的に垂直に形成されることを特徴とする請求項1に記載の手術用インストルメント
のエンドツール。
【請求項5】
前記第1ジョーワイヤは、前記J11プーリに固定結合され、
前記第2ジョーワイヤは、前記J21プーリに固定結合されることを特徴とする請求項1に記載の手術用インストルメント
のエンドツール。
【請求項6】
前記J16プーリの直径が、前記J11プーリの直径より小さく、
前記J26プーリの直径が、前記J21プーリの直径より小さいように形成されることを特徴とする請求項1に記載の手術用インストルメント
のエンドツール。
【請求項7】
前記エンドツールハブの一側には、前記エンドツールハブに対して、前記第3軸を中心に回転可能な連結部ハブが形成され、
前記エンドツールハブと前記連結部ハブとの共有側上に、前記J12プーリ、J14プーリ、J22プーリ及びJ24プーリが形成されることを特徴とする請求項1に記載の手術用インストルメント
のエンドツール。
【請求項8】
前記連結部ハブには、
前記第3軸と実質的に平行な軸を中心に回転自在に形成されるJ13プーリ及びJ15プーリと、
前記第3軸と実質的に平行な軸を中心に回転自在に形成されるJ23プーリ及びJ25プーリと、が形成されることを特徴とする請求項7に記載の手術用インストルメント
のエンドツール。
【請求項9】
前記第1ジョーワイヤは、前記J12プーリと前記J13プーリとの間を通過するように形成され、
前記第2ジョーワイヤは、前記J22プーリと前記J23プーリとの間を通過するように形成されることを特徴とする請求項8に記載の手術用インストルメント
のエンドツール。
【請求項10】
前記エンドツールハブに結合され、前記第3軸を中心に回転するピッチプーリをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の手術用インストルメント
のエンドツール。
【請求項11】
前記J11プーリに巻かれた前記第1ジョーワイヤのいずれか一側は、前記J11プーリと前記J16プーリとの間を通過するように形成され、
前記J21プーリに巻かれた前記第2ジョーワイヤのいずれか一側は、前記J21プーリと前記J26プーリとの間を通過するように形成されることを特徴とする請求項1に記載の手術用インストルメント
のエンドツール。
【請求項12】
前記第1ジョーワイヤと前記J11プーリは、結合部によって固定結合され、
前記J16プーリによって前記第1ジョーワイヤの配置経路が一定程度変更されて、前記結合部の回転半径が拡張されることを特徴とする請求項1に記載の手術用インストルメント
のエンドツール。
【請求項13】
前記第1ジョーワイヤと前記J11プーリの前記結合部は、前記J11プーリと前記J16プーリの共通内接線上に位置するまで回転可能であることを特徴とする請求項
12に記載の手術用インストルメント
のエンドツール。
【請求項14】
前記J12プーリ及びJ14プーリは、前記第3軸に垂直であり、前記第1軸を通る平面を基準に、前記第3軸方向の一方側に配置され、
前記J22プーリ及びJ24プーリは、前記第3軸に垂直であり、前記第1軸を通る平面を基準に、前記第3軸方向の前記一方側と反対の方向の他方側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の手術用インストルメント
のエンドツール。
【請求項15】
前記第1軸と前記第2軸は、平行に形成され、
前記第1軸と垂直であり、前記第3軸を含む第1平面を基準に、
前記J11プーリに結合されている二本の前記第1ジョーワイヤは、前記J12プーリ及び前記J14プーリの上側と下側のうち、同側と接触することを特徴とする請求項1に記載の手術用インストルメントのエンドツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術用インストルメントに係り、詳細には、腹腔鏡手術、またはさまざまな多様な手術に使用するために手動で作動可能な手術用インストルメントに関する。
【背景技術】
【0002】
医学的に手術とは、皮膚や粘膜、その他組織を、医療機器を使用して、切ったり裂いたりする操作を加えて病気を直すことをいう。特に、手術部位の皮膚を切開して開き、その内部にある器官などを治療、成形したり除去したりする開腹手術は、出血、副作用、患者の苦痛、傷痕などの問題を引き起こす。従って、最近では、皮膚に所定の孔を形成し、医療機器、例えば、腹腔鏡、手術用インストルメント、微細手術用顕微鏡などを挿入するだけで行う手術、またはロボットを使用した手術が代案として脚光を浴びている。
【0003】
手術用インストルメントは、皮膚に穿孔された孔を通過するシャフトの一端に具備されたエンドツールを、所定の駆動部を使用して、医師が直接手で操作したり、ロボットアームを使用して操作することにより、手術部位を手術するための道具である。手術用インストルメントに具備されたエンドツールは、所定の構造を介した回転動作、摘み動作(gripping)、切断動作(cutting)などを遂行する。
【0004】
ところで、既存の手術用インストルメントは、エンドツール部分が屈曲せず、手術部位への接近、及びさまざまな手術動作の遂行において容易ではないという問題点が存在した。それを補完するために、エンドツール部分が反る手術用インストルメントが開発されたが、エンドツールを屈曲させたり手術動作を遂行したりするための操作部の作動が、実際のエンドツールが屈曲したり手術動作を遂行したりする動作と直観的に一致せず、手術者の立場から、直観的な作動が容易ではなく、使用方法の熟練に長時間が必要となるという問題点が存在した。
【0005】
前述の背景技術は、発明者が本発明の導出のために保有していたり、本発明の導出過程において習得したりした技術情報であり、必ずしも本発明の出願前に、一般公衆に公開された公知技術とするものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、前述の問題点を解決するためのものであり、実際のエンドツールが屈曲したり手術動作を遂行したりする動作と、それに対応する操作部の作動とを直観的に一致させるための手術用インストルメントを提供することを目的とする。さらに具体的には、そのために、さまざまな自由度を有するエンドツール、該エンドツールの動作を直観的に操作させる構造を有する操作部、操作部の操作通りにエンドツールの動作が可能になるように、操作部の駆動力をエンドツールに伝達する動力伝達部を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、それぞれ回転自在に形成される第1ジョー及び第2ジョーを含むエンドツール;前記エンドツールのピッチ(pitch)運動を制御するピッチ操作部(pitch operator)と、前記エンドツールのヨー(yaw)運動を制御するヨー操作部(yaw operator)と、前記エンドツールのアクチュエーション(actuation)運動を制御するアクチュエーション操作部(actuation operator)を含む操作部;前記第1ジョーと連結され、前記操作部の動作を前記第1ジョーに伝達する第1ジョーワイヤ、前記第2ジョーと連結され、前記操作部の動作を前記第2ジョーに伝達する第2ジョーワイヤ、前記ヨー操作部または前記アクチュエーション操作部の回転を、前記第1ジョーワイヤまたは前記第2ジョーワイヤを介して、前記第1ジョーまたは前記第2ジョーに伝達する1以上の差動部材を含む動力伝達部;並びに第1方向(X軸)に延設され、一端部には、前記エンドツールが結合され、他端部には、前記操作部が結合され、前記操作部と前記エンドツールとを連結する連結部;を含み、前記ピッチ操作部は、前記第1方向に対して垂直である第2方向(Y軸)を中心に回転自在に形成され、少なくとも前記操作部のいずれか1動作状態において、前記操作部の少なくとも一部が、自体の回転軸より、前記エンドツールに近く形成されることを特徴とする手術用インストルメントを開示する。
【0008】
本発明の他の実施形態は、互いに独立して回転可能な第1ジョー及び第2ジョー;前記第1ジョーと結合し、エンドツールハブに形成される第1軸を中心に回転自在に形成されるJ11プーリ;前記J11プーリの一側に形成され、前記第1軸の一側に形成される第2軸を中心に回転自在に形成されるJ16プーリ;前記J16プーリの一側に形成され、前記第1軸と所定の角度をなすように形成され、前記エンドツールハブの一側に形成される第3軸を中心に回転自在に形成されるJ12プーリ及びJ14プーリ;前記第2ジョーと結合し、前記第1軸と実質的に同一または平行な軸を中心に回転自在に形成されるJ21プーリ、前記J21プーリの一側に形成され、前記第2軸と実質的に同一または平行な軸を中心に回転自在に形成されるJ26プーリ;前記J26プーリの一側に形成され、前記第3軸と実質的に同一または平行な軸を中心に回転自在に形成されるJ22プーリ及びJ24プーリ;を含み、第1ジョーワイヤは、前記J12プーリ、J11プーリ、J16プーリ、J14プーリと少なくとも一部が接触するように形成され、第2ジョーワイヤは、前記J22プーリ、J21プーリ、J26プーリ、J24プーリと少なくとも一部が接触するように形成されることを特徴とするエンドツールを開示する。
【0009】
前述のところ以外の他の側面、特徴、利点は、以下の図面、特許請求の範囲、及び発明の詳細な説明から明確になるであろう。
【発明の効果】
【0010】
かような本発明によって、手術者による操作部の操作方向とエンドツールの作動方向とが直観的に同一方向であるために、手術者の便宜性が向上し、手術の正確性、信頼性及び迅速性が向上するという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】従来の手術用インストルメントのピッチ動作概念図である。
【
図1B】従来の手術用インストルメントのヨー動作概念図である。
【
図1C】他の従来の手術用インストルメントのピッチ動作概念図である。
【
図1D】他の従来の手術用インストルメントのヨー動作概念図である。
【
図1E】本発明による手術用インストルメントのピッチ動作概念図である。
【
図1F】本発明による手術用インストルメントのヨー動作概念図である。
【
図2】本発明の第1実施形態による手術用インストルメントを示す斜視図である。
【
図3】
図2の手術用インストルメントの内部斜視図である。
【
図4】
図3の手術用インストルメントの側面図である。
【
図5】
図3の手術用インストルメントの操作部の上部を示す斜視図である。
【
図6】
図3の手術用インストルメントの操作部の下部を示す斜視図である。
【
図7】
図3の手術用インストルメントのエンドツールを示す斜視図である。
【
図8】
図3の手術用インストルメントのエンドツールを示す斜視図である。
【
図9A】
図3の手術用インストルメントのエンドツールを示す平面図である。
【
図9B】従来の手術用インストルメントのエンドツールを示す平面図である。
【
図10】
図3の手術用インストルメントのピッチ動作を示す概念図である。
【
図11】
図3の手術用インストルメントのピッチ動作を示す斜視図である。
【
図12】
図3の手術用インストルメントのヨー動作を示す図面である。
【
図13】
図3の手術用インストルメントのヨー動作を示す図面である。
【
図14】
図3の手術用インストルメントのアクチュエーション動作を示す図面である。
【
図15】
図3の手術用インストルメントのアクチュエーション動作を示す図面である。
【
図16】本発明の第2実施形態による手術用インストルメントを示す斜視図である。
【
図18】
図16の手術用インストルメントの操作部を示す斜視図である。
【
図19】
図16の手術用インストルメントのヨー動作を示す図面である。
【
図20】
図16の手術用インストルメントのアクチュエーション動作を示す図面である。
【
図21】
図16の手術用インストルメントのアクチュエーション動作を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、多様な変換を加えることができ、さまざまな実施形態を有することができるが、特定実施形態を図面に例示し、それについて詳細に説明する。しかし、それは、本発明を特定の実施形態について限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変換、均等物ないし代替物を含むものであると理解されなければならない。本発明の説明において、関連公知技術についての具体的な説明が、本発明の要旨を不明確にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0013】
第1、第2のような用語は、多様な構成要素の説明に使用されるが、前記構成要素は、前記用語によって限定されるものではない。前記用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使用される。
【0014】
本出願で使用した用語は、ただ特定の実施形態の説明のために使用されたものであり、本発明を限定する意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」または「有する」というような用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはそれらの組み合わせが存在するということを指定するものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはそれらの組み合わせの存在または付加の可能性をあらかじめ排除するものではないと理解されなければならない。
【0015】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明するが、添付図面を参照しての説明において、同一であるか、あるいは対応する構成要素は、同一図面番号を付し、それについての重複説明は省略する。
【0016】
また、本発明の多様な実施形態の説明において、各実施形態が独立して解釈されたり実施されたりしなければならないのではなく、各実施形態で説明される技術的思想が、個別的に説明される他の実施形態に組み合わされて解釈されたり実施されたりすると理解されなければならない。
【0017】
<手術用インストルメントの第1実施形態>
本発明による手術用インストルメントは、ピッチ動作、ヨー動作、アクチュエーション動作のうち少なくともいずれか1以上の動作に対して、操作部をいずれか1方向に回転させれば、エンドツールが操作部の操作方向と直観的に同一方向に回転することを一特徴とする。
【0018】
図1Aは、従来の手術用インストルメントのピッチ動作概念図であり、
図1Bは、ヨー動作概念図である。
【0019】
図1Aを参照すれば、従来の手術用インストルメントのピッチ動作遂行において、エンドツール120aは、エンドツールの回転中心121aより前方に形成され、操作部110aは、操作部の回転中心111aより後方に形成された状態で、操作部110aを時計回り方向に回転させれば、エンドツール120aも、時計回り方向に回転し、操作部120aを反時計回り方向に回転させれば、エンドツール120aも、反時計回り方向に回転するように形成される。一方、
図1Bを参照すれば、従来の手術用インストルメントのヨー動作遂行において、エンドツール120aは、エンドツールの回転中心121aより前方に形成され、操作部110aは、操作部の回転中心111aより後方に形成された状態で、操作部110aを時計回り方向に回転させれば、エンドツール120aも、時計回り方向に回転し、操作部120aを反時計回り方向に回転させれば、エンドツール120aも、反時計回り方向に回転するように形成される。その場合、ユーザの左右方向という観点から見たとき、ユーザが操作部110aを左に動かせば、エンドツール120aは、右側に動き、ユーザが操作部110aを右側に動かせば、エンドツール120aは、左に動く。その結果として、ユーザの操作方向とエンドツールの動作方向とが反対になることにより、ユーザが錯誤を引き起こすこともあり、ユーザの操作が容易ではないという問題点が存在した。
【0020】
図1Cは、他の従来の手術用インストルメントのピッチ動作概念図であり、
図1Dは、ヨー動作概念図である。
【0021】
図1Cを参照すれば、従来の手術用インストルメントのうち一部は、ミラー対称形態に形成され、ピッチ動作遂行において、エンドツール120bは、エンドツールの回転中心121bより前方に形成され、操作部110bは、操作部の回転中心111bより後方に形成された状態で、操作部110bを時計回り方向に回転させれば、エンドツール120bは、反時計回り方向に回転し、操作部110bを反時計回り方向に回転させれば、エンドツール120bは、時計回り方向に回転するように形成される。その場合、操作部とエンドツールとの回転方向という観点から見たとき、ユーザが操作部110bを回転させる回転方向と、それによるエンドツール120bの回転方向とは、互いに反対になる。その結果として、ユーザに操作方向の混乱をもたらし、関節の動作が直観的ではなく、エラーを誘発することがあるという問題点が存在した。また、
図1Dを参照すれば、ヨー動作遂行において、エンドツール120bは、エンドツールの回転中心121bより前方に形成され、操作部110bは、操作部の回転中心111bより後方に形成された状態で、操作部110bを時計回り方向に回転させれば、エンドツール120bは、反時計回り方向に回転し、操作部110bを反時計回り方向に回転させれば、エンドツール120bは、時計回り方向に回転するように形成される。その場合、操作部とエンドツールとの回転方向という観点から見たとき、ユーザが操作部110bを回転させる回転方向と、それによるエンドツール120bの回転方向とは、互いに反対になる。その結果として、ユーザに操作方向の混乱をもたらし、関節の動作が直観的ではなく、エラーを誘発することがあるという問題点が存在した。
【0022】
かような問題点を解決するために、
図1E及び
図1Fに図示された本発明の一実施形態による手術用インストルメントは、エンドツール120cを、エンドツールの回転中心121cより前方に形成し、操作部110cも、操作部の回転中心111cより前方に形成し、操作部110cとエンドツール120cとの動作が直観的に一致させることを一特徴とする。
【0023】
かような特性を異なって表現すれば、
図1A、
図1B、
図1C及び
図1Dのように、操作部が自体の関節に対して、ユーザ側に近くなる(すなわち、エンドツールから遠くなる)構成の既存例とは異なり、
図1E及び
図1Fに図示された本発明の一実施形態による手術用インストルメントは、操作過程のいずれか一瞬間以上では、操作部の少なくとも一部が自体の関節を基準に、(自体の関節より)エンドツールにさらに近くなるように形成されるのである。
【0024】
それについて異なって説明すれば、
図1A、
図1B、
図1C及び
図1Dのような従来の手術用インストルメントの場合には、エンドツールが自体の回転中心より前方に位置するのに対し、操作部は、自体の回転中心より後方に形成され、前方が固定された状態で、後方を動かす操作部の動作を介して、後方が固定された状態で前方を動かすエンドツールを動かすようになるので、構造上、直観的に一致しない構造である。それにより、操作部の操作とエンドツールの動作とにおいて、左右方向の観点、または回転方向の観点において、不一致が発生し、ユーザに混乱をもたらし、操作部の操作を直観的に迅速に遂行し難くなり、エラーを誘発してしまうという問題点が存在した。それに対し、本発明の一実施形態による手術用インストルメントは、エンドツールと操作部とが、いずれも後方に形成された回転中心を基準に動くために、構造上、直観的に動作が互いに一致するといえる。それにより、ユーザは、エンドツール方向の操縦を直観的に迅速に遂行することができ、エラー誘発の可能性が顕著に減るという長所がある。以下では、かような機能を可能にする具体的なメカニズムについて説明する。
【0025】
図2は、本発明の第1実施形態による手術用インストルメントを示す斜視図であり、
図3は、
図2の手術用インストルメントの内部斜視図であり、
図4は、
図3の手術用インストルメントの側面図である。
【0026】
図2、
図3及び
図4を参照すれば、本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100は、操作部110、エンドツール120、動力伝達部130及び連結部140を含む。ここで、連結部140は、中空シャフト形状に形成され、その内部に、1本以上のワイヤ(これについては後述する)が収容され、その一端部には、操作部110が結合され、他端部には、エンドツール120が結合され、操作部110とエンドツール120とを連結する役割を行うことができる。
【0027】
詳細には、操作部110は、連結部140の一端部に形成され、医師が直接操縦することができるインターフェース、例えば、摘み形状、スティック形状、レバー形状などによって具備され、それを医師が操縦すれば、当該インターフェースに連結され、手術患者の体内に挿入されるエンドツール120が、所定の作動を行うことにより、手術を遂行する。ここで、
図2には、操作部110が指を挟んだ状態で回転させることができる取っ手形状に形成されるように図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、エンドツール120と連結され、エンドツール120を操作することができる多様な形態の操作部が可能であろう。
【0028】
エンドツール120は、連結部140の他端部に形成され、手術部位に挿入されて手術に必要な動作を遂行する。かようなエンドツール120の一例としては、
図2に図示されているように、グリップ(grip)動作を遂行するための1対のジョー121,122が使用されてもよい。ただし、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、手術のための多様な装置が、エンドツール120として使用されるであろう。例えば、片腕が焼灼器のような構成も、エンドツールとして使用されるであろう。かようなエンドツール120は、操作部110と動力伝達部130とによって連結され、操作部110の駆動力を、動力伝達部130を介して伝達されることにより、グリップ動作、切断(cutting)動作、縫合(suturing)動作など手術に必要な動作を遂行する。
【0029】
ここで、本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100のエンドツール120は、少なくとも2以上の方向に回転自在に形成され、例えば、エンドツール120は、
図2のY軸を中心に、ピッチ(pitch)運動を行うと同時に、
図2のZ軸を中心に、ヨー(yaw)運動及びアクチュエーション(actuation)運動を行うように形成される。それについては、追って詳細に説明する。
【0030】
動力伝達部130は、操作部110とエンドツール120とを連結し、操作部110の駆動力をエンドツール120に伝達する役割を行い、多数本のワイヤ、プーリ、リンク、節、ギアなどを含んでもよい。
【0031】
以下では、
図2の手術用インストルメント100の操作部110、エンドツール120、動力伝達部130についてさらに詳細に説明する。
【0032】
(操作部)
図5は、
図3の手術用インストルメントの操作部の上部を示す斜視図であり、
図6は、
図3の手術用インストルメントの操作部の下部を示す斜視図である。
【0033】
図2ないし
図6を参照すれば、本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100の操作部110は、エンドツール120のピッチ運動を制御するピッチ操作部(pitch operator)111と、エンドツール120のヨー運動を制御するヨー操作部(yaw operator)112と、エンドツール120のアクチュエーション運動を制御するアクチュエーション操作部(actuation operator)113と、を含む。
【0034】
まず、
図2の手術用インストルメント100の使用状態を例示すれば、ユーザは、手の平でピッチ操作部111のピッチ駆動取っ手1112を抑えている状態で、ピッチ駆動取っ手1112を回転させてピッチ運動を行い、人差し指をヨー操作部112に差し込んだ状態で、ヨー操作部112を回転させてヨー運動を行い、親指をアクチュエーション操作部113に差し込んだ状態で、アクチュエーション操作部113を回転させてアクチュエーション運動を行うことができる。
【0035】
ここで、本発明として使用されるピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作それぞれについて定義すれば、次の通りである。
【0036】
まず、ピッチ動作は、エンドツール120が連結部140に対して上下方向に回転する動作、すなわち、
図2のY軸を中心に回転する動作を意味する。言い換えれば、連結部140の延長方向(
図2のX軸方向)に、連結部140から延設されているエンドツール120が連結部140に対して、Y軸を中心に上下に回転する運動を意味する。次に、ヨー動作は、エンドツール120が、連結部140に対して左右方向に回転する動作、すなわち、
図2のZ軸を中心に回転する動作を意味する。言い換えれば、連結部140の延長方向(
図2のX軸方向)に、連結部140から延設されているエンドツール120が、連結部140に対してZ軸を中心に、左右に回転する運動を意味する。一方、アクチュエーション動作は、ヨー動作と同一回転軸を中心に回転するが、2つのジョー121,122が互いに反対方向に回転しながら、ジョーがすぼんだり開いたりする動作を意味する。すなわち、エンドツール120に形成された2つのジョー121,122が、Z軸を中心に、互いに反対方向に回転する運動を意味する。
【0037】
ここで、本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100は、操作部110を連結部140に対していずれか一方向に回転させれば、エンドツール120が、連結部140に対して、操作部110の操作方向と直観的に同一方向に回転することを一特徴とする。言い換えれば、操作部110のピッチ操作部111を、いずれか一方向に回転させれば、エンドツール120も、前記一方向と直観的に同一方向に回転してピッチ運動を行い、操作部110のヨー操作部112を、いずれか一方向に回転させれば、エンドツール120も、前記一方向と直観的に同一方向に回転してヨー動作を遂行するのである。ここで、直観的に同一方向とは、操作部110を把持しているユーザの人差し指の移動方向と、エンドツール120の末端部の移動方向とが実質的に同一方向をなすことであると敷衍説明することができる。ここで、同一方向とは、三次元座標上で完璧に一致する方向ではないにしても、例えば、ユーザの人差し指が左に移動すれば、エンドツール120の末端部も左に移動し、ユーザの人差し指が右側に移動すれば、エンドツール120の末端部も右側に移動するという程度の直観性が維持されるレベルの同一性であると理解すればよいということは言うまでもない。
【0038】
そして、そのために、本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100は、操作部110とエンドツール120とが連結部140の延長軸(X軸)に垂直である平面を基準に、同一方向に形成されることを一特徴とする。すなわち、
図2のYZ平面を基準にして見たとき、操作部110は、+X軸方向に延設されており、同時に、エンドツール120も、+X軸方向に延設されているのである。それを他の言葉で表現すれば、連結部140の一端部でのエンドツール120の形成方向と、連結部140の他端部での操作部110の形成方向とが、YZ平面を基準に同一方向であると言うこともできる。または、それを他の言葉で表現すれば、操作部110が、それを把持するユーザの体から遠くなる方向、すなわち、エンドツール120が形成された方向に形成されたと言うこともできる。
【0039】
詳細には、従来の手術用インストルメントの場合、ユーザが操作部を操作する方向と、エンドツールの実際作動方向とが互いに異なって直観的に一致しないために、手術者の立場において、直観的な作動が容易ではなく、エンドツールが所望方向に動くように熟練するのに長年の時間が必要となり、場合によっては、誤動作が発生し、患者に被害を与えることがあるという問題点が存在した。
【0040】
かような問題点を解決するために、本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100は、操作部110の操作方向とエンドツール120の作動方向とが直観的に同一方向になるようにし、そのために、操作部110とエンドツール120とがピッチ駆動軸(pitch operating axis)1111を含むYZ平面を基準に見たとき、同じ方向に延設されることを一特徴とする。それについてさらに詳細に説明すれば、次の通りである。
【0041】
ピッチ操作部111は、ピッチ駆動軸1111と、ピッチ駆動取っ手1112と、を含む。ここで、ピッチ駆動軸1111は、Y軸と平行な方向に形成され、ピッチ駆動取っ手1112は、ピッチ駆動軸1111と連結され、ピッチ駆動軸1111を中心に回転するように形成される。例えば、ユーザがピッチ駆動取っ手1112を手で握っている状態で、ピッチ駆動取っ手1112を回転させれば、ピッチ駆動取っ手1112は、ピッチ駆動軸1111を中心に回転し、かような回転力が動力伝達部130、操作部制御部材115及びエンドツール制御部材123を介してエンドツール120に伝達され、エンドツール120が、ピッチ操作部111の回転方向と同一方向に回転するのである。すなわち、ピッチ操作部111がピッチ駆動軸1111を中心に時計回り方向に回転すれば、エンドツール120も、ピッチ駆動軸1111と平行な軸を中心に時計回り方向に回転し、反対に、ピッチ操作部111がピッチ駆動軸1111を中心に反時計回り方向に回転すれば、エンドツール120も、ピッチ駆動軸1111と平行な軸を中心に反時計回り方向に回転するのである。
【0042】
一方、ヨー操作部112とアクチュエーション操作部113は、ピッチ操作部111のピッチ駆動取っ手1112の一端部上に形成されている。従って、ピッチ操作部111がピッチ駆動軸1111を中心に回転すれば、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113も、ピッチ操作部111と共に回転する。すなわち、
図2などには、ピッチ操作部111のピッチ駆動取っ手1112が、連結部140に対して垂直に位置した状態が図示されている一方、後述する
図11などには、ピッチ操作部111のピッチ駆動取っ手1112が、ピッチ駆動軸1111を中心に回転し、ピッチ駆動取っ手1112が連結部140に対して所定の角度をなすように位置した状態が図示されている。
【0043】
それにより、ヨー操作部112とアクチュエーション操作部113との座標系は、固定されたものではなく、ピッチ操作部111の回転によって相対的に続けて変化する。すなわち、
図2には、ヨー操作部112のヨー駆動軸1121は、Z軸と平行であり、アクチュエーション操作部113のアクチュエーション駆動軸1131は、Y軸と平行であるように図示されている。しかし、ピッチ操作部111が回転すれば、ヨー操作部112のヨー駆動軸1121は、Z軸と平行ではなくなる。すなわち、ヨー操作部112とアクチュエーション操作部113との座標系が、ピッチ操作部111の回転によって変化したのである。ただし、本明細書では、説明の便宜のために、別途の説明がない以上、ヨー操作部112とアクチュエーション操作部113との座標系は、
図2のように、ピッチ駆動取っ手1112が連結部140に対して垂直に位置した状態を基準にして説明する。
【0044】
ヨー操作部112は、ヨー駆動軸(yaw operating axis)1121とヨー駆動部(yaw operating member)1122とを含む。駆動軸1121は、連結部140が形成されているXY平面と所定の角度をなすように形成される。例えば、ヨー駆動軸1121は、
図3に図示されているように、Z軸と平行な方向に形成され、その状態において、ピッチ操作部111が回転する場合、前述のように、ヨー操作部112の座標系は相対的に変わる。ここで、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、人体工学的(ergonomic)設計によって、ヨー操作部112を把持するユーザの手構造に適するように、ヨー駆動軸1121が多様な方向に形成されるということは言うまでもない。
【0045】
一方、ヨー駆動部1122は、ヨー駆動軸1121を中心に回転自在に形成される。例えば、ユーザが、ヨー駆動部1122に人差し指を差し込んだ状態で、ヨー駆動部1122を回転させれば、ヨー駆動部1122は、ヨー駆動軸1121を中心に回転し、かような回転力が、動力伝達部130を介してエンドツール120に伝達され、エンドツール120の2つのジョー121,122が、ヨー駆動部1122の回転方向と同一方向に左右に回転するのである。そのために、ヨー駆動軸(yaw rotating axis)1121には、プーリ1121aが形成される。そして、プーリ1121aには、ヨーワイヤ130Yが連結され、かようなヨーワイヤ130Yを含む動力伝達部130を介して、回転力がエンドツール120に伝達され、エンドツール120の2つのジョー121,122がヨー動作を遂行するのである。
【0046】
アクチュエーション操作部113は、アクチュエーション駆動軸(actuation rotating axis)1131とアクチュエーション駆動部(actuation rotating member)1132とを含む。ここで、アクチュエーション駆動軸1131は、連結部140が形成されているXZ平面と所定の角度をなすように形成される。例えば、アクチュエーション駆動軸1131は、
図2に図示されているように、Y軸と平行な方向に形成され、その状態で、ピッチ操作部111が回転する場合、前述のように、アクチュエーション操作部113の座標系は相対的に変わる。ここで、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、人体工学的設計によって、アクチュエーション操作部113を把持するユーザの手構造に適するように、アクチュエーション駆動軸1131が多様な方向に形成されるということは言うまでもない。
【0047】
一方、アクチュエーション駆動部1132は、アクチュエーション駆動軸1131を中心に回転自在に形成される。例えば、ユーザが、アクチュエーション駆動部1132に親指を差し込んだ状態で、アクチュエーション駆動部1132を回転させれば、アクチュエーション駆動部1132は、アクチュエーション駆動軸1131を中心に回転し、かような回転力が、動力伝達部130を介してエンドツール120に伝達され、エンドツール120の2つのジョー121,122が、アクチュエーション動作を遂行する。ここで、アクチュエーション動作とは、前述のように、2つのジョー121,122が互いに反対方向に回転しながら、ジョー121,122を開いたり閉じたりする動作を意味する。すなわち、アクチュエーション操作部113を一方向に回転させれば、第1ジョー121は反時計回り方向に回転し、第2ジョー122は時計回り方向に回転しながら、エンドツール120が閉じ、反対に、アクチュエーション操作部113を反対方向に回転させれば、第1ジョー121は時計回り方向に回転し、第2ジョー122は反時計回り方向に回転しながら、エンドツール120が開かれるのである。
【0048】
一方、アクチュエーション駆動軸(actuation operating axis)1131の一端部には、プーリ1131aが形成される。そして、プーリ1131aには、アクチュエーションワイヤ130Aが連結される。
【0049】
次に、
図3を参照すれば、本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100において、ピッチ操作部111のピッチ駆動軸1111とエンドツール120とが同一軸(X軸)、または平行な軸上に形成される。すなわち、連結部140の一端部には、ピッチ操作部111のピッチ駆動軸1111が形成され、連結部140の他端部には、エンドツール120が形成されるのである。ここで、図面には、連結部140が直線に形成されるように図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、連結部140は、必要によっては、所定の曲率を有するように湾曲されたり、1回以上曲折されたりして形成され、かような場合にも、ピッチ操作部111とエンドツール120は、実質的に、同一、または平行な軸上に形成されるといえるのである。また、
図3には、ピッチ操作部111とエンドツール120とが同一軸(X軸)上に形成されるように図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、ピッチ操作部111とエンドツール120とが互いに異なる軸上に形成されてもよい。
【0050】
前述のように、本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100は、エンドツール120と操作部110との関節動作(ピッチ動作、ヨー動作)が互いに直観的に一致するように、エンドツール120と操作部110とが同じ方向に延設されるようにした。
【0051】
言い換えれば、
図1E及び
図1Fに図示されているように、エンドツール120cが、エンドツールの回転中心121cより前方に形成されたように、操作部110cも、操作部の回転中心111cより前方に形成されるようにした。
【0052】
そして、ヨー操作部112は、ピッチ操作部111の一端部に形成されており、ピッチ操作部111が、ピッチ駆動軸1111を中心に回転すれば、ヨー操作部112も、共にピッチ駆動軸1111を中心に移動するが、それと同時に、エンドツール120も、共にピッチ回転を行い、ヨー操作部112の方向とエンドツール120の方向とが同一直観性を毀損しない。
【0053】
すなわち、ピッチ操作部111のピッチ運動によって、ヨー操作部112の延長方向が、
図2のような+X軸方向から異なっても、エンドツール120が、共にピッチ回転を行うために、ヨー操作部112の方向とエンドツール120の方向とが同一直観性を毀損しないのである。
【0054】
従って、
図2では、関節回転を行っていない状態で、本発明の思想である「操作部がエンドツール側に延設されている」という思想について説明したが、前述のような観点から、関節が回転した状態でも、「操作部がエンドツール側に延設されている」という思想は、同一に維持されると理解されるであろう。
【0055】
すなわち、一操作部は、他の操作部の動作によって、「操作部がエンドツール側に延設されている形状」が変わるが、それは、前述のような観点から理解されなければならず、かような「操作部がエンドツール側に延設されている形状」は、操作部の多様な動作状況のうち少なくともいずれか1つの状況以上で充足されるであろう。
【0056】
すなわち、操作部110がエンドツール120側に延設されているという特性を異なって表現すれば、操作部110の一部が、自体の関節を基準に、操作のいずれか一瞬間以上で、(自体の関節より)エンドツール120にさらに近くなると表現することができる。
【0057】
一方、本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100の操作部110は、ピッチ操作部111のピッチ駆動軸1111と連動する操作部制御部材115をさらに具備する。かような操作部制御部材115の構成は、後述するエンドツール制御部材123の構成と実質的に同一であるので、操作部制御部材115と、エンドツール制御部材123及び操作部110の他の構成要素との関係は後述する。
【0058】
(動力伝達部)
次に、
図2ないし
図6を参照すれば、本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100の動力伝達部130は、ヨーワイヤ130Y、アクチュエーションワイヤ130A、ピッチワイヤ130P、第1ジョーワイヤ130J1、第2ジョーワイヤ130J2、動力伝達アセンブリ135を含む。ここで、動力伝達アセンブリ135は、ピッチ駆動取っ手1112内に収容される。
【0059】
まず、動力伝達部130の動力伝達アセンブリ135について説明する。
【0060】
前述のように、ヨー操作部112とアクチュエーション操作部113は、ピッチ操作部111のピッチ駆動取っ手1112の一端部上に形成されている。従って、ピッチ操作部111が、ピッチ駆動軸1111を中心に回転すれば、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113も、ピッチ操作部111と共に回転する。また、ヨー操作部112も、第1ジョー121及び第2ジョー122と連結され、第1ジョー121及び第2ジョー122を駆動し、アクチュエーション操作部113も、第1ジョー121及び第2ジョー122と連結され、第1ジョー121及び第2ジョー122を駆動する。ところで、ヨー操作部112を回転させれば、第1ジョー121及び第2ジョー122が互いに同方向に回転しなければならない一方、アクチュエーション操作部113を回転させれば、第1ジョー121及び第2ジョー122が互いに反対方向に回転しなければならず、従って、かような作動を具現するための別途の構造物が必要になる。
【0061】
従って、1つのジョーに対して、ヨー操作部112とアクチュエーション操作部113との2つの回転入力がいずれも作用するようにしなければならず、そのために、2個以上の入力を受け、ジョー1つの回転を出力可能とし、各入力によって、互いに異なるように動作するための構造物が必要である。そのとき、2つの入力回転は、互いに互いを動かしてはならない。
【0062】
そのために、本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100は、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113から駆動力を入力され、それを、第1ジョー121と第2ジョー122とにそれぞれ伝達する動力伝達アセンブリ135を具備することを一特徴とする。
【0063】
詳細には、動力伝達アセンブリ135は、ヨー操作部112とヨーワイヤ130Yを介して連結され、ヨー操作部112と共に回転するヨープーリ135YP、ヨー駆動バー135B、第1ギア135G1、第4ギア135G4を含み、かようなヨープーリ135YP、ヨー駆動バー135B、第1ギア135G1、第4ギア135G4は、共に回転する。また、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113の回転によって、第1ジョー121を回転させるように駆動力を伝達する第1ジョー駆動部135J1と、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113の回転によって、第2ジョー122を回転させるように駆動力を伝達する第2ジョー駆動部135J2と、を含む。また、アクチュエーション操作部113と共に回転するアクチュエーションギア135AG;第1ギア135G1と、アクチュエーションギア135AGとの間に介在される第2ギア135G2;及びアクチュエーションギア135AGと、第4ギア135G4との間に介在される第3ギア135G3;をさらに含む。そのとき、第1ギア135G1、第2ギア135G2、第3ギア135G3、第4ギア135G4は、Z軸方向に順に積層形成され、ピッチ操作部中心軸1113を中心に回転するように形成される。ここで、アクチュエーションギア135AGは、Z軸と垂直である方向に固設されたアクチュエーションギア中心軸135AG1を中心に回転する。アクチュエーションギア135AGは、アクチュエーションワイヤ130Aと連結され、アクチュエーション操作部113のプーリ1131aと共に回転するように形成される。それについてさらに詳細に説明すれば、次の通りである。
【0064】
第1ジョー駆動部135J1は、第1ジョー駆動ギア135J11、第1ジョー連結部材135J12、第1ジョー駆動プーリ135J13及び第1ジョー駆動ギア中心軸135J14を含む。第1ジョー駆動ギア135J11は、ベベルギア形態であり、第3ギア135G3と第4ギア135G4との間に介在され、第3ギア135G3または第4ギア135G4の相対的な動きによって、第1ジョー駆動ギア中心軸135J14を中心に自転するか、あるいはピッチ操作部中心軸1113を中心に公転するように形成される。第1ジョー連結部材135J12は、第1ジョー駆動ギア中心軸135J14と第1ジョー駆動プーリ135J13とを連結するように形成され、第1ジョー駆動ギア135J11、第1ジョー駆動ギア中心軸135J14、第1ジョー連結部材135J12及び第1ジョー駆動プーリ135J13を、共にピッチ操作部中心軸1113を中心に回転させる。第1ジョー駆動プーリ135J13は、第1ジョーワイヤ130J1と連結され、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113の回転を、第1ジョー121に伝達する。
【0065】
一方、第2ジョー駆動部135J2は、第2ジョー駆動ギア135J21、第2ジョー連結部材135J22、第2ジョー駆動プーリ135J23及び第2ジョー駆動ギア中心軸135J24を含む。第2ジョー駆動ギア135J21は、ベベルギア形態であり、第1ギア135G1と第2ギア135G2との間に介在され、第1ギア135G1または第2ギア135G2の相対的な動きによって、第2ジョー駆動ギア中心軸135J24を中心に自転するか、あるいはピッチ操作部中心軸1113を中心に公転するように形成される。第2ジョー連結部材135J22は、第2ジョー駆動ギア中心軸135J24と第2ジョー駆動プーリ135J23とを連結するように形成され、第2ジョー駆動ギア135J21、第2ジョー駆動ギア中心軸135J24、第2ジョー連結部材135J22及び第2ジョー駆動プーリ135J23を、共にピッチ操作部中心軸1113を中心に回転させる。第2ジョー駆動プーリ135J23は、第2ジョーワイヤ130J2と連結され、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113の回転を、第2ジョー122に伝達する。
【0066】
かような動力伝達アセンブリ135について、次のようにさらに詳細に説明することができる。ヨー操作部112とアクチュエーション操作部113との2つの回転入力に対して、第1ジョー121と第2ジョー122とが回転しなければならないが、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113それぞれの操作に対して、第1ジョー121と第2ジョー122は、互いに異なって動作しなければならない。すなわち、ヨー操作部112を回転させれば、第1ジョー121と第2ジョー122とが互いに同方向に回転しなければならない一方、アクチュエーション操作部113を回転させれば、第1ジョー121と第2ジョー122とが互いに反対方向に回転しなければならない。
【0067】
かような作動を具現するために、ヨー操作部112とアクチュエーション操作部113との2つの回転入力に対して、第1ジョー121の動作を決定する構造物が必要であり、その構造物は、第1ジョー駆動ギア135J11、第4ギア135G4及び第3ギア135G3から構成される(以下、第1差動部材と称する)。
【0068】
一方、ヨー操作部112とアクチュエーション操作部113との2つの回転入力に対して、第2ジョー122の動作を決定する構造物は、第2ジョー駆動ギア135J21、第1ギア135G1及び第2ギア135G2から構成される(以下、第2差動部材と称する)。
【0069】
それら構造物(第1差動部材及び第2差動部材)は、それぞれ2個の入力ギアと1個の出力ギアとから構成される。
【0070】
さらに詳細には、第1差動部材は、第4ギア135G4と第3ギア135G3との回転を入力にし、第1ジョー駆動ギア135J11の回転を出力にし、第2差動部材は、第1ギア135G1と第2ギア135G2との回転を入力にし、第2ジョー駆動ギア135J21の回転を出力にする。
【0071】
各駆動系は、2つの入力ギアの回転入力によって、出力ギアを回転させ、出力ギアが回転すれば、その結果として、出力ギアを含む組駆動部(第1ジョー駆動部135J1または第2ジョー駆動部135J2)全体が、入力ギアの一方向回転と同一方向に、ピッチ操作部中心軸1113を中心に公転回転する。従って、各駆動系は、2つの入力を受け、他の入力に影響を与えずに、出力ギアを回転させることができる。
【0072】
すなわち、第1差動部材は、ヨー操作部112またはアクチュエーション操作部113の回転入力によって、第1ジョー121を回転させることができ、第2差動部材は、ヨー操作部112またはアクチュエーション操作部113の回転によって、第2ジョー122
を回転させることができる。
【0073】
そのとき、ヨー操作部112が回転すれば、第1ジョー121と第2ジョー122は、互いに同方向に回転する一方、アクチュエーション操作部113が回転すれば、第1ジョー121と第2ジョー122は、互いに異なる方向に回転しなければならない。
【0074】
従って、ヨー操作部112の回転動作は、第1差動部材と第2差動部材との一入力ギアを、同一方向に回転させるように構成され、アクチュエーション操作部113の回転動作は、第1差動部材と第2差動部材との他の入力ギアを、互いに反対方向に回転させるように構成される。
【0075】
そのために、ヨー操作部112の回転動作は、ヨー駆動バー135Bを、第1ギア135G1と第4ギア135G4とに連結されるようにし、ヨー操作部112の回転動作が、第1ギア135G1と第4ギア135G4とを同一方向に回転させるようにし、それによって、第1ジョー駆動ギア135J11と第2ジョー駆動ギア135J21とが同一方向に回転するようにし、その結果として、第1ジョー121と第2ジョー122とが同一方向に回転し、ヨー動作が遂行されるように構成した。
【0076】
一方、アクチュエーション操作部113の回転動作は、アクチュエーションギア135AGによって、2つの駆動系の各入力ギアである第2ギア135G2と第3ギア135G3とを互いに反対方向に回転させ、それによって、第1ジョー駆動ギア135J11と第2ジョー駆動ギア135J21とが互いに反対方向に回転することにより、その結果として、第1ジョー121と第2ジョー122とが互いに反対方向に回転し、アクチュエーション動作が遂行されるように構成した。一方、本実施形態では、2つの入力から1つの出力を引き出す駆動系としてギアを例示しているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、2つの入力から1つの出力を引き出すことができる多様な駆動系が適用可能であろう。
【0077】
ここで、図面には、第1ギア135G1、第2ギア135G2、第3ギア135G3、第4ギア135G4が、ピッチ操作部中心軸1113に沿って順に積層形成されるように図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、ピッチ操作部中心軸1113と別途の差動部材中心軸に沿って、前記ギアが形成されるということは言うまでもない。
【0078】
(エンドツール)
図7及び
図8は、
図3の手術用インストルメントのエンドツールを示す斜視図であり、
図9Aは、
図3の手術用インストルメントのエンドツールを示す平面図である。
【0079】
図7、
図8及び
図9Aを参照すれば、本発明の第1実施形態のエンドツール120は、エンドツール制御部材123を含み、エンドツール制御部材123は、第1ジョー121の回転運動と係わるJ11プーリ123J11、J12プーリ123J12、J13プーリ123J13、J14プーリ123J14及びJ15プーリ123J15と、第2ジョー122の回転運動と係わるJ21プーリ123J21、J22プーリ123J22、J23プーリ123J23、J24プーリ123J24、J25プーリ123J25と、を含む。ここで、第1ジョー121、J11プーリ123J11、J12プーリ123J12、J14プーリ123J14、第2ジョー122、J21プーリ123J21、J22プーリ123J22、J24プーリ123J24は、いずれもエンドツールピッチ駆動軸123PAを中心に回転するように形成される。
【0080】
一方、エンドツール120と結合する連結部140の一端部には、連結部ハブ141が
形成される。そして、前述のJ12プーリ123J12、J13プーリ123J13、J14プーリ123J14、J15プーリ123J15と、J22プーリ123J22、J23プーリ123J23、J24プーリ123J24、J25プーリ123J25は、連結部ハブ141に結合されるのである。
【0081】
ここで、図面には、対面しているプーリが互いに平行に形成されるように図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、それぞれのプーリがエンドツールの構成に適する位置及び大きさに多様に形成されるのである。
【0082】
J11プーリ123J11及びJ21プーリ123J21は、互いに対向するように形成され、ジョー回転軸123JAを中心に、互いに独立して回転自在に形成される。ここで、J11プーリ123J11には、第1ジョー121が結合され、J11プーリ123J11と共に回転し、J21プーリ123J21には、第2ジョー122が結合され、J21プーリ123J21と共に回転することができる。J11プーリ123J11及びJ21プーリ123J21の回転によって、エンドツール120のヨー動作及びアクチュエーション動作が遂行される。すなわち、J11プーリ123J11及びJ21プーリ123J21が同じ方向に回転すれば、ヨー動作が遂行され、J11プーリ123J11及びJ21プーリ123J21が互いに反対方向に回転すれば、アクチュエーション動作が遂行されるのである。
【0083】
一方、J11プーリ123J11及びJ21プーリ123J21の一側には、補助プーリであるJ16プーリ123J16及びJ26プーリ123J26が追加して具備され、かような補助プーリは、補助プーリ軸123Sを中心に、回転自在に形成される。ここで、図面には、J16プーリ123J16及びJ26プーリ123J26が1つの補助プーリ軸123Sを中心に回転するように形成されているが、それぞれの補助プーリが別途の軸を中心に回転自在に形成されるということは言うまでもない。言い換えれば、補助プーリであるJ16プーリ123J16は、J11プーリ123J11と、J12プーリ123J12/J14プーリ123J14との間に配置される。また、補助プーリであるJ26プーリ123J26は、J21プーリ123J21と、J22プーリ123J22/J24プーリ123J24との間に配置される。かような補助プーリについては、追ってさらに詳細に説明する。
【0084】
以下では、J11プーリ123J11の回転と係わる構成要素について説明する。
【0085】
J11プーリ123J11の一側には、互いに対向するように、J12プーリ123J12及びJ14プーリ123J14が配置される。ここで、J12プーリ123J12及びJ14プーリ123J14は、Y軸方向を中心に互いに独立して回転自在に形成される。また、J12プーリ123J12及びJ14プーリ123J14それぞれの一側には、互いに対向するように、J13プーリ123J13及びJ15プーリ123J15が配置される。ここで、J13プーリ123J13及びJ15プーリ123J15は、Y軸方向を中心に互いに独立して回転自在に形成される。ここで、図面には、J12プーリ123J12、J13プーリ123J13、J14プーリ123J14及びJ15プーリ123J15が、いずれもY軸方向を中心に回転自在に形成されるように図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、各プーリの回転軸は、その構成に適切になるように多様な方向に形成されるであろう。
【0086】
第1ジョー駆動ワイヤ130J1は、J13プーリ123J13、J12プーリ123J12、J11プーリ123J11、J16プーリ123J16、J14プーリ123J14、J15プーリ123J15と少なくとも一部が接触するように巻かれ、第1ジョー駆動ワイヤ130J1が前記プーリを回転させながら、前記プーリによって移動するよう
に形成される。
【0087】
従って、第1ジョー駆動ワイヤ130J1が、
図9Aの矢印J1R側に引っ張られれば、第1ジョー駆動ワイヤ130J1が、J15プーリ123J15、J14プーリ123J14、J16プーリ123J16、J11プーリ123J11、J12プーリ123J12、J13プーリ123J13を回転させ、そのとき、J11プーリ123J11が、
図9Aの矢印R方向に回転しながら、第1ジョー121を共に回転させる。
【0088】
反対に、第1ジョー駆動ワイヤ130J1が、
図9Aの矢印J1L側に引っ張られれば、第1ジョー駆動ワイヤ130J1が、J13プーリ123J13、J12プーリ123J12、J11プーリ123J11、J16プーリ123J16、J14プーリ123J14、J15プーリ123J15を回転させ、そのとき、J11プーリ123J11が、
図9Aの矢印L方向に回転しながら、第1ジョー121を共に回転させる。
【0089】
以下では、補助プーリ123J16、123J26についてさらに詳細に説明する。
【0090】
補助プーリ123J16、123J26は、第1ジョーワイヤ130J1及び第2ジョーワイヤ130J2と接触し、第1ジョーワイヤ130J1及び第2ジョーワイヤ130J2の配置経路を一定程度変更させることにより、第1ジョー121及び第2ジョー122それぞれの回転半径を拡大させる役割を行うことができる。すなわち、
図9Bのように、補助プーリが配置されていない場合、第1ジョー121’及び第2ジョー122’それぞれは、直角までしか回転することができないが、本発明の一実施形態では、補助プーリ123J16,123J26を追加して具備することにより、
図9Aから分かるように、θほど最大回転角度が大きくなる効果を得ることができる。それについてさらに詳細に説明すれば、次の通りである。
【0091】
図9Bを参照すれば、第1ジョーワイヤ130J1’は、J11プーリ123J11’に固定結合されており、第2ジョーワイヤ130J2’は、J21プーリ(図示せず)に固定結合されているために、補助プーリが配置されない場合、J11プーリ123J11’及びJ21プーリ(図示せず)それぞれは、
図9BのMラインまでしか回転することができない。言い換えれば、第1ジョーワイヤ130J1’とJ11プーリ123J11’との結合部は、第1ジョーワイヤ130J1’の接線方向までに回転可能になる。その場合、第1ジョー121’及び第2ジョー122’が、
図9BのMラインに位置した状態で、アクチュエーション動作を遂行すれば、一方のジョーは開くが、他の一方のジョーは、Mライン以上には、回転することができないために、開かない。従って、第1ジョー121’及び第2ジョー122’が、一定角度以上ヨー動作を遂行している状態では、アクチュエーション動作が円滑に遂行されないという問題点が存在した。
【0092】
かような問題点を解決するために、本発明の一実施形態による手術用インストルメント100では、J11プーリ123J11及びJ21プーリ123J21の一側に、補助プーリであるJ16プーリ123J16及びJ26プーリ123J26を追加して配置することを特徴とする。そのように、J16プーリ123J16及びJ26プーリ123J26を配置し、第1ジョーワイヤ130J1及び第2ジョーワイヤ130J2の配置経路を一定程度変更することにより、第1ジョーワイヤ130J1及び第2ジョーワイヤ130J2の接線方向を変更させ、従って、第1ジョーワイヤ130J1とJ11プーリ123J11との結合部、及び第2ジョーワイヤ130J2とJ21プーリ123J21との結合部が、
図9AのNラインまで回転するのである。すなわち、第1ジョーワイヤ130J1とJ11プーリ123J11との結合部は、J11プーリ123J11とJ16プーリ123J16との共通内接線上に位置するまで回転可能になる。同様に、第2ジョーワイヤ130J2とJ21プーリ123J21との結合部は、J21プーリ123J21とJ
26プーリ123J26との共通内接線上に位置するまで回転可能になる。
【0093】
かような本発明によって、第1ジョー121及び第2ジョー122の回転半径が広くなることにより、正常な開閉アクチュエーション動作が遂行される作業範囲が広くなるという効果を得ることができる。
【0094】
次に、J21プーリ123J21の回転と係わる構成要素について説明する。
【0095】
J21プーリ123J21の一側には、互いに対向するように、J22プーリ123J22及びJ24プーリ123J24が配置される。ここで、J22プーリ123J22及びJ24プーリ123J24は、Y軸方向を中心に互いに独立して回転自在に形成される。また、J22プーリ123J22及びJ24プーリ123J24それぞれの一側には、互いに対向するように、J23プーリ123J23及びJ25プーリ123J25が配置される。ここで、J23プーリ123J23及びJ15プーリ123J25は、Y軸方向を中心に互いに独立して回転自在に形成される。ここで、図面には、J22プーリ123J22、J23プーリ123J23、J24プーリ123J24及びJ25プーリ123J25が、いずれもY軸方向を中心に回転自在に形成されるように図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、各プーリの回転軸は、その構成に適切になるように、多様な方向に形成されるであろう。
【0096】
第2ジョー駆動ワイヤ130J2は、J23プーリ123J23、J22プーリ123J22、J21プーリ123J21、J26プーリ123J26、J24プーリ123J24、J25プーリ123J25と少なくとも一部が接触するように巻かれ、第2ジョー駆動ワイヤ130J2が、前記プーリを回転させながら、前記プーリによって移動するように形成される。
【0097】
従って、第2ジョー駆動ワイヤ130J2が、
図9Aの矢印J2R側に引っ張られれば、第2ジョー駆動ワイヤ130J2が、J25プーリ123J25、J24プーリ123J24、J21プーリ123J21、J26プーリ123J26、J22プーリ123J22、J23プーリ123J23を回転させ、そのとき、J21プーリ123J21が、
図9Aの矢印R方向に回転しながら、第2ジョー122を共に回転させる。
【0098】
反対に、第2ジョー駆動ワイヤ130J2が、
図9Aの矢印J2L側に引っ張られれば、第2ジョー駆動ワイヤ130J2が、J23プーリ123J23、J22プーリ123J22、J21プーリ123J21、J26プーリ123J26、J24プーリ123J24、J25プーリ123J25を回転させ、そのとき、J21プーリ123J21が、
図9Aの矢印L方向に回転しながら、第2ジョー122を共に回転させる。
【0099】
一方、第1ジョー駆動ワイヤ130J1の一端部は、
図9Aの矢印J1R側に引っ張られ、同時に、第1ジョー駆動ワイヤ130J1の他端部は、
図9Aの矢印J1L側に引っ張られれば(すなわち、第1ジョー駆動ワイヤ130J1の両端部がいずれも引っ張られれば)、エンドツールハブ123a、及びそれと結合された第1ジョー121と第2ジョー122は、エンドツールピッチ駆動軸123PAを中心に反時計回り方向に回転し、その結果として、エンドツール120が下方へ回転しながら、ピッチ運動を行う。
【0100】
反対に、第2ジョー駆動ワイヤ130J2の一端部は、
図9Aの矢印J2R側に引っ張られ、同時に、第2ジョー駆動ワイヤ130J2の他端部は、
図9Aの矢印J2L側に引っ張られれば、エンドツールハブ123a、及びそれと結合された第1ジョー121と第2ジョー122は、エンドツールピッチ駆動軸123PAを中心に時計回り方向に回転し、その結果として、エンドツール120が上方へ回転しながら、ピッチ運動を行う。
【0101】
一方、本発明の手術用インストルメント100bのエンドツール120は、ピッチプーリ123Pをさらに具備し、操作部110(
図11)は、ピッチプーリ115P(
図11)をさらに具備し、動力伝達部130は、ピッチワイヤ130Pをさらに具備する。詳細には、エンドツール120のピッチプーリ123Pは、エンドツールハブ123aと固定結合され、エンドツールピッチ駆動軸123PAを中心に、エンドツールハブ123aと共に回転自在に形成される。一方、操作部110のピッチプーリ115Pは、操作部ハブ115aと固定連結され、ピッチ駆動軸1111を中心に、操作部ハブ115aと共に回転自在に形成される。また、ピッチワイヤ130Pは、エンドツール120のピッチプーリ123Pと操作部110のピッチプーリ115Pとを連結する役割を行うことができる。
【0102】
従って、ユーザが操作部110のピッチ操作部111のピッチ駆動取っ手1112を手に握っている状態で、ピッチ駆動軸1111を中心に、ピッチ駆動取っ手1112を回転させれば、ピッチ駆動取っ手1112と結合された操作部ハブ115a、及びそれと結合されたピッチプーリ115Pが、ピッチ駆動軸1111を中心に回転し、ピッチプーリ115Pの回転は、ピッチワイヤ130Pを介してエンドツール120のピッチプーリ123Pに伝達され、ピッチプーリ123Pも共に回転し、その結果として、エンドツール120が回転しながら、ピッチ運動を行うようになるのである。
【0103】
すなわち、本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100は、エンドツール120のピッチプーリ123P、操作部110のピッチプーリ115P、及び動力伝達部130のピッチワイヤ130Pを具備し、ピッチ操作部111のピッチ動作の駆動力が、さらに完璧にエンドツール120に伝達されることにより、動作信頼性を向上させることができる。
【0104】
(ピッチ動作制御及びワイヤミラーリング(wire mirroring))
図10は、
図3の手術用インストルメントのピッチ動作を示す概念図であり、
図11は、
図3の手術用インストルメントのピッチ動作を示す斜視図である。
【0105】
前述のように、本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100の操作部110は、ピッチ操作部111のピッチ駆動軸1111と連結される操作部制御部材115をさらに具備する。かような操作部制御部材115は、前述のエンドツール制御部材123の構成と実質的に同一であり、エンドツール制御部材123と操作部制御部材115は、
図3のYZ平面を中心に、互いに対称されるように配置される。言い換えれば、エンドツール制御部材123と操作部制御部材115は、
図3のYZ平面を中心に、ミラーリングされていると表現することもできる。
【0106】
詳細には、操作部制御部材115は、第1ジョー121の回転運動と係わるJ11プーリ135J13、J12プーリ115J12、J13プーリ115J13、J14プーリ115J14及びJ15プーリ115J15と、第2ジョー122の回転運動と係わるJ21プーリ135J23、J22プーリ115J22、J23プーリ115J23、J24プーリ115J24、J25プーリ115J25と、を含む。
【0107】
第1ジョー駆動ワイヤ130J1は、操作部制御部材115のJ13プーリ115J13、J12プーリ115J12、J11プーリ135J13、J14プーリ115J14、J15プーリ115J15と少なくとも一部が接触するように巻かれ、第1ジョー駆動ワイヤ130J1が、前記プーリを回転させながら、前記プーリによって移動するように形成される。
【0108】
第2ジョー駆動ワイヤ130J2は、操作部制御部材115のJ23プーリ115J23、J22プーリ115J22、J21プーリ135J23、J24プーリ115J24、J25プーリ115J25と少なくとも一部が接触するように巻かれ、第2ジョー駆動ワイヤ130J2が、前記プーリを回転させながら、前記プーリによって移動するように形成される。
【0109】
ここで、J12プーリ115J12、J14プーリ115J14、J22プーリ115J22、J24プーリ115J24の回転軸がまさにピッチ操作部111のピッチ駆動軸(pitch operating axis)1111になる。そして、J11プーリ135J13及びJ21プーリ135J23の回転軸から延設された部分が、まさにピッチ操作部111のピッチ駆動取っ手1112になる。
【0110】
かような本発明の第1実施形態において、ピッチ動作は、具体的に、次のように実行される。
【0111】
ユーザが、操作部110のピッチ操作部111のピッチ駆動取っ手1112(
図2)を手に握っている状態で、ピッチ駆動軸1111を中心に、ピッチ取っ手1112(
図2)を
図10の矢印OP(operator pitch)方向に回転させれば、第1ジョー駆動ワイヤ130J1は、全体的に操作部110側に引っ張られ、
図10の矢印PJ1方向に移動する。同時に、第2ジョー駆動ワイヤ130J2は、全体的に操作部110で解かれ、エンドツール120側に移動し、
図10の矢印PJ2方向に移動する。それにより、第1ジョー駆動ワイヤ130J1が、操作部110側に引っ張られたほど、J12プーリ123J12及びJ14プーリ123J14が、エンドツールピッチ駆動軸123PAを中心に反時計回り方向に回転し、同時に、第2ジョー駆動ワイヤ130J2がエンドツール120側に解かれたほど、J22プーリ123J22及びJ24プーリ123J24が、エンドツールピッチ駆動軸123PAを中心に反時計回り方向に回転し、その結果として、エンドツールハブ123a、及びそれと結合された第1ジョー121と第2ジョー122は、下方に回転しながらピッチ運動を行う。
【0112】
そのように、エンドツール制御部材123と操作部制御部材115とが、
図3のYZ平面を中心に互いに対称されるように配置されるミラーリング構造をなすことにより、簡便にピッチ運動が具現されるという効果を得ることができる。すなわち、ヨー動作及びアクチュエーション動作と係わりなく、ピッチ動作の遂行が可能になるという効果を得ることができる。ここで、ヨー動作は、操作部制御部材115のJ11プーリ135J13及びJ21プーリ135J23が、ピッチ操作部中心軸1113を中心に回転し、それによって、エンドツール制御部材123のJ11プーリ123J11及びJ21プーリ123J21が、ジョー回転軸123JAを中心に回転し、2つのジョー121,122が回転する動作を意味する。
【0113】
(第1実施形態の全体動作)
以下では、前述のところを参照し、本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100のピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作の全体的な構成を整理する。
【0114】
本実施形態のエンドツール120の構成上、エンドツール120のピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作を遂行するためには、操作部110での操作入力を、ピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作に分離することができる動力伝達部130が必要である。前述のように、エンドツール制御部材123と操作部制御部材115とが互いに対称になるように配置される構造を介して、ピッチ操作部111の回転操作は、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113の操作と係わりなく、エンドツール120のピッチ動作を可能にする。また、動力伝達アセンブリ135を具備し、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113の操作が、エンドツール120の2つのジョーの動作に変換されるようにすることにより、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113の操作が、エンドツール120のヨー動作及びアクチュエーション動作に連結される。すなわち、動力伝達アセンブリ135によって、ヨー操作部112の回転は、2つのジョーを同じ方向に回転させ、アクチュエーション操作部113の回転は、2つのジョーを互いに異なる方向に回転させる。
【0115】
それについてさらに詳細に説明すれば、次の通りである。
【0116】
まず、ピッチ動作は、次の通りである。
【0117】
前述のように、ユーザが操作部110のピッチ操作部111のピッチ駆動取っ手1112を手に握っている状態で、ピッチ駆動軸1111を中心に、ピッチ駆動取っ手1112を
図10の矢印OP方向に回転させれば、操作部制御部材115も、ピッチ駆動軸1111を中心に回転する。それにより、操作部制御部材115に巻かれている第1ジョー駆動ワイヤ130J1は、全体的に操作部110側に引っ張られ、
図10の矢印PJ1方向に移動する。同時に、操作部制御部材115に巻かれている第2ジョー駆動ワイヤ130J2は、全体的に操作部制御部材115から解け、
図10の矢印PJ2方向に移動する。それにより、第1ジョー駆動ワイヤ130J1及び第2ジョー駆動ワイヤ135J23と連結されているエンドツール制御部材123が、エンドツールピッチ駆動軸1231を中心に、
図10のEP方向に回転しながら、ピッチ運動を行う。
【0118】
次に、ヨー動作について説明する。
図12及び
図13は、
図3の手術用インストルメントのヨー動作を示す図面である。
【0119】
図5、
図6、
図12及び
図13を参照すれば、ヨー操作部112が、
図13の矢印Y方向に回転すれば、ヨー操作部112のプーリ1121a及びヨーワイヤ130Yを介して、それと連結されたヨープーリ135YPが、各自の軸を中心に回転する。また、ヨープーリ135YPが回転すれば、ヨー駆動バー135Bを介して、第1ギア135G1、第4ギア135G4が、ピッチ操作部中心軸1113を中心に回転する。
【0120】
そして、第1ギア135G1及び第4ギア135G4が、ピッチ操作部中心軸1113を中心に回転すれば、まず、第1ギア135G1が、第2ギア135G2に対して矢印Y方向に回転し、第2ジョー駆動部135J2に形成された第2ジョー駆動ギア135J21が、第2ジョー駆動ギア中心軸135J24を基準に、C方向に回転すると同時に、第2ジョー駆動部135J2全体が、ピッチ操作部中心軸1113を中心に矢印Y方向に回転する。
【0121】
また、第4ギア135G4は、第1ギア135G1と一体に連結されているので、やはりY方向に回転し、そのとき、第1ジョー駆動部135J1に形成された第1ジョー駆動ギア135J11が、第1ジョー駆動ギア中心軸135J14を基準に、B方向に回転すると同時に、第1ジョー駆動部135J1全体が、ピッチ操作部中心軸1113を中心にY方向に回転する。
【0122】
従って、第1ジョー駆動部135J1と第2ジョー駆動部135J2とが同一方向に回転し、第1ジョー駆動部135J1と第1ジョーワイヤ130J1とを介して連結された第1ジョー121と、第2ジョー駆動部135J2と第2ジョーワイヤ130J2を介して連結された第2ジョー122とが同一方向に回転し、ヨー運動が遂行されるのである。
【0123】
次に、アクチュエーション動作について説明する。
図14及び
図15は、
図3の手術用インストルメントのアクチュエーション動作を示す図面である。
【0124】
図5、
図6、
図14及び
図15を参照すれば、アクチュエーション操作部113が、
図15の矢印A方向に回転すれば、アクチュエーション操作部113のプーリ1131a及びアクチュエーションワイヤ130Aを介して、それと連結されたアクチュエーションギア135AGが、各自の軸を中心に、矢印A方向に回転する。
【0125】
そのように、アクチュエーションギア135AGがアクチュエーションギア中心軸135AG1を中心に回転すれば、アクチュエーションギア135AGの上側に噛み合っている第2ギア135G2が、
図15のJ2方向に回転し、第1ギア135G1と第2ギア135G2との間に噛み合っている第2ジョー駆動ギア135J21が、第2ジョー駆動ギア中心軸135J24を基準に、E方向に回転すると同時に、第2ジョー駆動部135J2全体が、ピッチ操作部中心軸1113を中心に矢印J2方向に回転する。
【0126】
また、アクチュエーションギア135AGが、アクチュエーションギア中心軸135AG1を中心に回転すれば、アクチュエーションギア135AGの下側に噛み合っている第3ギア135G3が、
図15のJ1方向に回転し、第3ギア135G3と第4ギア135G4との間に噛み合っている第1ジョー駆動ギア135J11が、第1ジョー駆動ギア中心軸135J14を基準に、F方向に回転すると同時に、第1ジョー駆動部135J1全体が、ピッチ操作部中心軸1113を中心に矢印J1方向に回転する。
【0127】
従って、第1ジョー駆動部135J1と第1ジョーワイヤ130J1とを介して連結された第1ジョー121と、第2ジョー駆動部135J2と第2ジョーワイヤ130J2を介して連結された第2ジョー122とが反対方向に回転し、2つのジョーが互いに開くアクチュエーション運動が遂行されるのである。
【0128】
かような本発明によって、ピッチ駆動部、ヨー駆動部、アクチュエーション駆動部のそれぞれ独立された入力によって、エンドツールの出力動作を遂行する手術用インストルメントを、モータ、電子制御またはソフトウェアなどを使用せずに、純粋に機械的な構成だけで具現する効果を得ることができる。すなわち、互いに影響を及ぼすピッチ動作、ヨー動作、アクチュエーション動作を、単純な機械装置だけで相互分離することにより、手術用インストルメントの構成が顕著に簡単になる効果を得ることができる。
【0129】
また、最小限のギア、ワイヤ及びプーリの構造だけで、操作部110の回転力をエンドツール120に伝達する効果を得ることができる。特に、本発明では、操作部110の操作方向と、エンドツール120の作動方向とが直観的に同一方向であるために、手術者の便宜性が向上し、手術の正確性が向上するという効果を得ることができる。さらに、エンドツール制御部材123と操作部制御部材115とが、
図10のYZ平面を中心に互いに対称になるように配置されるミラーリング構造をなすことにより、簡便にピッチ運動が具現される効果を得ることができる。すなわち、ヨー動作及びアクチュエーション動作と係わりなく、ピッチ動作の遂行が可能になる効果を得ることができる。
【0130】
<手術用インストルメントの第2実施形態>
以下では、本発明の第2実施形態による手術用インストルメント200について説明する。ここで、本発明の第2実施形態による手術用インストルメント200は、前述の本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100(
図2)に比べ、手術用インストルメント200の動力伝達アセンブリ235の構成が特徴的に異なる。そのように、第1実施形態に比べて変わった構成は、追って詳細に説明する。
【0131】
図16は、本発明の第2実施形態による手術用インストルメントを示す斜視図であり、
図17は、
図16の手術用インストルメントの平面図であり、
図18は、
図16の手術用インストルメントの操作部を示す斜視図である。
【0132】
図16、
図17及び
図18を参照すれば、本発明の第2実施形態による手術用インストルメント200は、操作部210、エンドツール220、動力伝達部230及び連結部240を含む。
【0133】
操作部210は、エンドツール220のピッチ運動を制御するピッチ操作部211と、エンドツール220のヨー運動を制御するヨー操作部212と、エンドツール220のアクチュエーション運動を制御するアクチュエーション操作部213と、を含む。
【0134】
ピッチ操作部211は、ピッチ駆動軸2111とピッチ駆動取っ手(図示せず)とを含む。ヨー操作部212は、ヨー駆動軸2121とヨー駆動部2122とを含む。アクチュエーション操作部213は、アクチュエーション駆動軸2131とアクチュエーション駆動部2132とを含む。
【0135】
動力伝達部230は、ヨーワイヤ230Y、アクチュエーションワイヤ230A、ピッチワイヤ(図示せず)、第1ジョーワイヤ230J1、第2ジョーワイヤ230J2、動力伝達アセンブリ235を含む。ここで、動力伝達アセンブリ235は、ピッチ駆動取っ手2112内に収容される。
【0136】
まず、動力伝達部230の動力伝達アセンブリ235について説明する。動力伝達アセンブリ235は、ヨー操作部212及びアクチュエーション操作部213から、駆動力を入力され、それを、第1ジョー221と第2ジョー222とにそれぞれ伝達する。
【0137】
詳細には、動力伝達アセンブリ235は、ヨー操作部212とヨーワイヤ230Yとを介して連結され、ヨー操作部212と共に回転するヨープーリ235YP、第1ギア235G1、第4ギア235G4を含み、かようなヨープーリ235YP、第1ギア235G1、第4ギア235G4は、ヨー駆動バー235Bによって互いに連結されており、共に回転する。また、ヨー操作部212及びアクチュエーション操作部213の回転によって、第1ジョー221を回転させるように駆動力を伝達する第1ジョー駆動部235J1と、ヨー操作部212及びアクチュエーション操作部213の回転によって、第2ジョー222を回転させるように駆動力を伝達する第2ジョー駆動部235J2と、を含む。また、アクチュエーション操作部213と共に回転するアクチュエーションギア235AGと、第1ギア235G1とアクチュエーションギア235AGとの間に介在される第2ギア235G2と、アクチュエーションギア235AGと第4ギア235G4との間に介在される第3ギア235G3と、をさらに含む。そのとき、第1ギア235G1、第2ギア235G2、第3ギア235G3、第4ギア235G4は、ピッチ操作部中心軸2113方向に順に積層形成され、ピッチ操作部中心軸2113を中心に回転するように形成される。ここで、アクチュエーションギア235AGは、Z軸と垂直である方向に固設されたアクチュエーションギア中心軸235AG1を中心に回転する。アクチュエーションギア235AGは、アクチュエーションワイヤ230Aと連結され、アクチュエーション操作部213のプーリ2131aと共に回転するように形成される。それについてさらに詳細に説明すれば、次の通りである。
【0138】
第1ジョー駆動部235J1は、第1ジョー駆動ギア235J11、第1ジョー連結部材235J12、第1ジョー駆動プーリ235J13及び第1ジョー駆動ギア中心軸235J14を含む。第1ジョー駆動ギア235J11は、ベベルギア形態であり、第1ギア235G1と第2ギア235G2との間に介在され、第1ギア235G1または第2ギア235G2の相対的な動きによって、第1ジョー駆動ギア中心軸235J14を中心に自転するか、あるいはピッチ操作部中心軸2113を中心に公転するように形成される。第1ジョー連結部材235J12は、第1ジョー駆動ギア中心軸235J14と第1ジョー駆動プーリ235J13とを連結するように形成され、第1ジョー駆動ギア235J11、第1ジョー駆動ギア中心軸235J14、第1ジョー連結部材235J12及び第1ジョー駆動プーリ235J13は、共にピッチ操作部中心軸2113を中心に回転する。第1ジョー駆動プーリ235J13は、第1ジョーワイヤ230J1と連結され、ヨー操作部212及びアクチュエーション操作部213の回転を、第1ジョー221に伝達する。
【0139】
ここで、第1ジョー連結部材235J12は、ピッチ操作部中心軸2113に差し込まれるように形成され、ピッチ操作部中心軸2113から、互いに異なる2つの方向にそれぞれ延長されるバー形態に形成され、そのうち1つのバーは、第1ジョー駆動ギア235J11と連結され、他側のバーは、第1ジョー駆動プーリ235J13と連結されるように形成される。そのとき、第1ジョー駆動プーリ235J13と連結されたバーは、第2ジョー連結部材235J22より、ピッチ操作部中心軸2113からさらに遠く形成される。従って、第1ジョー連結部材235J12と第2ジョー連結部材235J22とが互いに衝突しない。すなわち、第1ジョー駆動プーリ235J13と連結されたバーが、ピッチ操作部中心軸2113から遠く形成されることにより、第1ジョー駆動部235J1と第2ジョー駆動部235J2とが互いに干渉されずに、自由に回転することができるのである。
【0140】
一方、第2ジョー駆動部235J2は、第2ジョー駆動ギア235J21、第2ジョー連結部材235J22、第2ジョー駆動プーリ235J23及び第2ジョー駆動ギア中心軸235J24を含む。第2ジョー駆動ギア235J21は、ベベルギア形態であり、第1ギア235G1と第2ギア235G2との間に介在され、第3ギア235G3または第4ギア235G4の相対的な動きによって、第2ジョー駆動ギア中心軸235J24を中心に自転するか、あるいはピッチ操作部中心軸2113を中心に公転するように形成される。第2ジョー連結部材235J22は、第2ジョー駆動ギア中心軸235J24と第2ジョー駆動プーリ235J23とを連結するように形成され、第2ジョー駆動ギア235J21、第2ジョー駆動ギア中心軸235J24、第2ジョー連結部材235J22及び第2ジョー駆動プーリ235J23を、共にピッチ操作部中心軸2113を中心に回転させる。第2ジョー駆動プーリ235J23は、第2ジョーワイヤ230J2と連結され、ヨー操作部212及びアクチュエーション操作部213の回転を、第2ジョー222に伝達する。
【0141】
そのように、本発明は、図面に図示された一実施形態を参照にして説明したが、それらは、例示的なものに過ぎず、当該分野で当業者であるならば、それらから多様な変形、及び実施形態の変形が可能であるという点を理解するであろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決められるものである。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明は、腹腔鏡手術、または多くの多様な手術に使用するために、手動で作動可能な手術用インストルメントに利用可能である。