(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】高熱伝導植毛パッドの自動化生産装置
(51)【国際特許分類】
B05B 5/00 20060101AFI20240717BHJP
B05B 12/00 20180101ALI20240717BHJP
【FI】
B05B5/00 101
B05B12/00 Z
(21)【出願番号】P 2023062663
(22)【出願日】2023-04-07
【審査請求日】2023-04-07
(31)【優先権主張番号】202210456082.5
(32)【優先日】2022-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517312490
【氏名又は名称】ヂェァジァン ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】No.866,Yuhangtang Road,Xihu District,Hangzhou, Zhejiang China
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】リィゥ インジュン
(72)【発明者】
【氏名】ガオ チャオ
(72)【発明者】
【氏名】ルー ジャハオ
(72)【発明者】
【氏名】シュ ヂェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ブォ
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-135137(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0026778(US,A1)
【文献】特開2008-006806(JP,A)
【文献】国際公開第2008/120494(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/100123(WO,A1)
【文献】国際公開第2022/210419(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/195736(WO,A1)
【文献】特開2001-121637(JP,A)
【文献】特開昭48-098163(JP,A)
【文献】特開2013-031978(JP,A)
【文献】特開平07-052316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 5/00-5/16
12/00-12/14
13/00-13/06
B05D 1/00-7/26
B05C 7/00-21/00
B32B 1/00-43/00
H01L 23/34-23/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高熱伝導植毛パッドの自動化生産装置であって、
基板を運ぶ搬送システム(2)と、
前記基板に植毛する静電植毛ユニット(3)と、
前記植毛された基板にマトリックスを注入する注入装置(4)と、
乾燥装置(5)と、を含んでおり、
前記乾燥装置(5)は注入後の前記基板を乾燥し、
前記搬送システム(2)は少なくとも第一搬送ベルト(201)、第二搬送ベルト(202)、第三搬送ベルト(203)を含んでおり、
前記静電植毛ユニット(3)は前記第二搬送ベルト(202)の上方に位置し、
前記注入装置(4)及び前記乾燥装置(5)は前記第三搬送ベルト(203)の上方に位置しており、
前記第一搬送ベルト(201)は
所定の大きさの延伸可能な粘着性の前記基板を前記第一搬送ベルト(201)に貼り付けた状態で前記第二搬送ベルト(202)に搬送し、
前記第二搬送ベルト(202)の回転速度が前記第一搬送ベルト(201)の回転速度よりも大きいことにより、前記第一搬送ベルト(201)から前記第二搬送ベルト(202)に前記基板が搬送される際に伸びが生じた前記基板は
、延伸状態を保持した状態で前記第二搬送ベルト(202)
において前記静電植毛ユニット(3)により植毛が行われた後、
前記第二搬送ベルト(202)は前記基板を前記第二搬送ベルト(202)に貼り付けた状態で前記第三搬送ベルト(203)に搬送
し、前記第三搬送ベルト(203)の回転速度が前記第二搬送ベルト(202)の回転速度よりも小さいことにより、前記第二搬送ベルト(202)から前記第三搬送ベルト(203)に前記基板が搬送される際に収縮が生じた前記基板は、前記注入装置(4)を介して樹脂
が注入
され、次いで、前記乾燥装置(5)を介して乾燥
が行
われ、
前記第一搬送ベルト(201)と前記第三搬送ベルト(203)の回転速度はいずれも前記第二搬送ベルト(202)の回転速度より小さいことを、
特徴とする高熱伝導植毛パッドの自動化生産装置。
【請求項2】
前記静電植毛ユニット(3)は、植毛箱(301)と、高圧電源(302)と、接地極板(303)とを含んでおり、
前記植毛箱(301)は短繊維を収容するために用いられ、且つ導電性のメッシュ底面を有しており、
前記高圧電源(302)の正極出力端は前記導電性のメッシュ底面に接続されており、
前記メッシュ底面と前記接地極板(303)はそれぞれ前記第二搬送ベルト(202)の両側に位置していることを、
特徴とする請求項1に記載の生産装置。
【請求項3】
さらに、毛切りユニット(1)を含んでおり、前記毛切りユニット(1)は、切断刃(101)と、繊維リール(102)と、牽引ローラ(103)と、振動搬送板(105)とを含んでおり、
前記繊維リール(102)上の繊維は、前記牽引ローラ(103)によって切断領域まで牽引され、前記切断刃(101)によって切断されることによって形成された短繊維は、前記振動搬送板(105)で振動分散された後、前記静電植毛ユニット(3)の前記植毛箱(301)に投入されることを、
特徴とする請求項2に記載の生産装置。
【請求項4】
前記振動搬送板(105)の先端部は前記切断刃(101)の下方に位置し、後端部は前記植毛箱(301)の上方に位置し、前記先端部から前記後端部にかけて下方に30°傾斜していることを、
特徴とする請求項3に記載の生産装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動化生産分野に関し、具体的には高熱伝導植毛パッドの自動化生産装置である。
【背景技術】
【0002】
電子集積回路分野の高速発展に伴い、熱管理材料(TIMs)に対する需要が高まっている。そのうち高熱伝導植毛パッドは良好な柔軟性と優れた垂直熱伝導率を兼ね備え、且つ必要に応じて任意の形状に裁断することができるため、ますます注目されている。一般に、優れた性能を有するTIMsを得るためには、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、窒化ホウ素、窒化ケイ素、グラフェン、炭素繊維などの高い熱伝導率を有する熱伝導性フィラーをポリマーに添加する必要がある。
【0003】
既存のTIMsでは、熱管理材料(TIMs)がランダムブレンドでポリマーマトリックスにドープされることが多い。マトリックス中に熱伝導性フィラーがランダムに分布しているため、効率的な分散を形成して熱伝導経路を形成することが困難であるため、多くの熱伝導性フィラーを添加する必要があり、材料全体の熱伝導性能の向上には限界がある。
【0004】
現在、炭素繊維などのアスペクト比の大きい材料に対して誘導配向配列を試みている研究がいくつかある。通常、混和後の材料ブロックの両側に押圧、静電、磁界などの作用力を加えることにより、無秩序に分布していたカーボンナノチューブが印加された外場の作用で再配向配列される。しかし、マトリックスの粘度抵抗が大きすぎるため、このような方法で得られた配向配列のカーボンナノチューブの割合は実際には非常に限られており、しかもエネルギー消費量が膨大であり、コスト負担が増加している。CVD法によりカーボンナノチューブを直接配向成長させ、配向条件下でマトリックス原料と複合する方法も試みられている。しかしこの方法はカーボンナノチューブの成長方法と製造コストに高い要求があり、工業化・大量生産の需要を満たすことが難しい。
【0005】
そこで、高密度・高配向・高垂直熱伝導性の熱伝導パッドの製造プロセスを組み合わせて、自動化生産装置を設計した。連続化大量生産の需要を満たすことができるだけでなく、またプロセスが成熟した静電植毛技術を結合して改良を行うことによって、既存の静電植毛のいくつかの問題を解決することができる。例えば、植毛密度が比較的低く、植毛製品が規則的でなく、配向度が低いなどの問題を解決することができる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は従来技術の不足に対し、高熱伝導植毛パッドの自動化生産装置を提供し、植毛密度が高く、生産自動化等の利点を備え、背景技術の問題を効果的に解決することができる。
【0007】
本発明の提供する高熱伝導植毛パッドの自動化生産装置は、以下を含む:
基板を運ぶ搬送システムと、
上記基板に植毛する静電植毛ユニットと、
上記植毛された基板にマトリックスを注入する注入装置と、
乾燥装置とを含んでおり、上記乾燥装置は注入後の上記基板を乾燥する。
上記搬送システムは少なくとも第一搬送ベルト、第二搬送ベルト、第三搬送ベルトを含む。上記静電植毛ユニットは上記第二搬送ベルトの上方に位置し、上記注入装置及び上記乾燥装置は上記第三搬送ベルトの上方に位置する。上記第一搬送ベルトは上記基板を上記第二搬送ベルトに搬送し、上記基板は上記第二搬送ベルトで順次植毛を行った後、上記第三搬送ベルトに搬送して樹脂注入及び乾燥を行い、上記第一搬送ベルトと上記第三搬送ベルトの回転速度はいずれも第二搬送ベルトの回転速度より小さい。
【0008】
さらに、上記静電植毛ユニットは、植毛箱と、高圧電源と、接地極板とを含む。上記植毛箱は短繊維を収容するために用いられ、且つ導電性のメッシュ底面を有する。上記高圧電源の出力電圧は徐々に上昇する勾配電圧であり、その正極出力端は上記導電性のメッシュ底面に接続される。上記メッシュ底面と上記接地極板はそれぞれ上記搬送ベルトの両側に位置する。
【0009】
さらに、毛切りユニットを含む。上記毛切りユニットは、切断刃と、繊維リールと、牽引ローラと、振動搬送板とを含む。上記繊維リール上の繊維は、上記牽引ローラによって切断領域まで牽引され、上記切断刃によって切断された後、短繊維が形成される。上記短繊維は切断された後、上記静電植毛ユニットの上記植毛箱に投入される。
【0010】
さらに、切断された上記短繊維は、振動搬送板により振動分散された後に上記植毛箱に搬送される。振動搬送板の先端部は上記切断刃の下方に位置し、後端部は上記植毛箱の上方に位置し、先端部から後端部にかけて下方に30°傾斜している。
【発明の効果】
【0011】
本発明は従来技術と比較して以下の利点及び有益な効果を含む。
(1)搬送システムに配置された異なる回転速度の搬送ベルトによって、植毛ゴム底に「延伸-収縮」のプロセスを行うことで、繊維の短い毛の植毛密度を効果的に高めることができ、さらに熱伝導パッドの垂直熱伝導率を高めることができる。
(2)この高熱伝導植毛パッドの自動化生産装置は、各部品の相互協力により植毛、注入、乾燥の機能を実現することができ、これにより高熱伝導植毛パッドの品質・生産量の安定した出力を実現する。
(3)振動搬送板を設けることにより、繊維を効果的に分散させ、繊維の凝集を防止し、後続の植毛に役立ち、それにより植毛密度が高く、繊維の配向度が良く、さらに高い垂直熱伝導率を備える熱伝導パッドを得ることができる。
(4)配置された植毛ユニットにより、静電植毛装置全体を植毛箱に置き、長期運転後に大量の塵埃不純物の進入を効果的に防止することができ、部品に対して防塵・温度制御・湿度制御の防護作用を果たす。
(5)電源から勾配電圧を入力することにより、電界に基づく勾配静電植毛が可能となり、植毛密度を効果的に増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は高熱伝導植毛パッドの自動化生産装置の全体構造概略図である。
【
図3】
図3は異なるプロセスで製造された垂直配向炭素繊維短繊維アレイのSEM画像である。
図1において:1毛切りユニット、101切断刃、102繊維リール、103牽引ローラ、104補助ポジショナ、105振動搬送板、2搬送システム、201第一搬送ベルト、202第二搬送ベルト、203第三搬送ベルト、3植毛ユニット、301植毛箱、302高圧電源、303接地極板、4注入装置、5乾燥装置である。
図3におけるA搬送ベルトの回転速度比a1:a2:a3=1:1:1であり且つ直接高圧を印加する。B搬送ベルトの回転速度比a1:a2:a3=4:6:3であり且つ直接高圧を印加する。C搬送ベルトの回転速度比a1:a2:a3=4:6:3であり且つステップ電圧を印加する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施例及び図面に関連してさらに詳細に説明するが、本発明の実施の形態はこれに限定されるものではない。
図1に示すように、本発明の提供する高熱伝導植毛パッドの自動化生産装置1は、以下を含む:
基板を運ぶ搬送システム2と、
上記基板に植毛する静電植毛ユニット3と、
上記植毛された基板にマトリックスを注入する注入装置4と、
乾燥装置5とを含んでおり、上記乾燥装置は注入後の基板を乾燥する。
上記搬送システム2は少なくとも第一搬送ベルト201、第二搬送ベルト202、第三搬送ベルト203を含む。上記静電植毛ユニット3は上記第二搬送ベルト202の上方に位置し、注入装置4及び乾燥装置5は上記第三搬送ベルト203の上方に位置する。上記第一搬送ベルト201は基板を第二搬送ベルト202に搬送し、上記基板は第二搬送ベルト202で順次植毛を行った後、第三搬送ベルト203に搬送して樹脂注入及び乾燥を行い、且つ前記第一搬送ベルト201と第三搬送ベルト203の回転速度はいずれも第二搬送ベルト202の回転速度より小さい。
【0014】
所望の大きさの延伸可能な粘着性基板を第一搬送ベルト201に貼り付け、第二搬送ベルト202に搬送する。第二搬送ベルト202の回転速度を第一搬送ベルト201の回転速度よりも大きく設定することにより、基板を第一搬送ベルト201から第二搬送ベルト202に搬送する際に伸びが生じ、伸びた基板は延伸状態を保持し、続いて植毛ユニット3により静電植毛を行う。そして、第三搬送ベルト203に搬送される。第三搬送ベルト203の回転速度を第二搬送ベルト202の回転速度よりも小さく設定することにより、基板を第二搬送ベルト202から第三搬送ベルト203に搬送する際に収縮が生じ、植毛された短繊維が緻密に配列される。注入装置4を介して樹脂を注入し、続いて乾燥装置5を介して樹脂を硬化成形する。
【0015】
さらに、延伸可能な基板の延伸比は上記搬送システム2における第一搬送ベルト201と第二搬送ベルト202との速度比によって制御される。上記短繊維静電植毛の植毛時間は上記第二搬送ベルト202の速度によって制御される。上記乾燥装置における乾燥時間は上記第三搬送ベルト203の速度によって制御される。
【0016】
図において、上記静電植毛ユニット3は、植毛箱301と、高圧電源302と、接地極板303を含む。上記植毛箱301は短繊維を収容するために用いられ、且つ導電性のメッシュ底面を有する。上記高圧電源302の出力電圧は徐々に上昇する勾配電圧であり、その正極出力端は上記導電性のメッシュ底面に接続される。上記メッシュ底面と接地極板303はそれぞれ搬送ベルトの両側に位置する。導電性のメッシュは、接地極板303と高電圧電界を形成し、それにより短繊維を分極させ、延伸された基板上に垂直に挿入して植毛する。
【0017】
図において、上記自動化生産装置はさらに毛切りユニット1を含む。上記毛切りユニット1は、切断刃101と、繊維リール102と、牽引ローラ103と、補助ポジショナ104と、振動搬送板105とを含む。上記繊維リール102は、上記切断刃101の片側に位置している。繊維リール102上の繊維は、牽引ローラ103によって切断領域まで牽引され、切断刃101によって切断されることによって短繊維が形成される。上記短繊維は、振動搬送板105によって振動分散された後に上記静電植毛ユニット3の静電植毛箱301に投入して使用に備える。
【0018】
図において、補助ポジショナ104のプラスチックスリーブのサイズは繊維束に合わせて固定されており、毛切り中の繊維の揺れを防止して繊維のサイズの不均一を防止するために用いることができる。
【0019】
図において、注入装置4において付加型シリコーンゴムを採用し、成分A、Bをそれぞれ撹拌して均一に混合した後に製造された短繊維アレイに注入する。
【0020】
図において、複数の基板は第一搬送ベルトに配置され、高熱伝導植毛パッドの連続製造を実現する。延伸比等の問題を考慮し、隣接する二枚の基板間の間隔を合理的に設計する必要がある。第一搬送ベルト回転速度(a
1)と第二搬送ベルト(a
2)の回転速度比は、設定された基板延伸比と一致しているとし、且つ第三搬送ベルトの回転速度(a
3)は、第一搬送ベルトの回転速度(a
1)以下である。第二搬送ベルトの具体的な回転速度(a
2)は、植毛された繊維の植毛時間によって決定される。第三搬送ベルトの具体的な回転速度(a
3)は、注入されたポリマーマトリックスの乾燥時間によって決定される。第一搬送ベルトにおける基板間隔(d)と基板辺長(l)は、次の関係式を満たす必要がある:
【数1】
【0021】
好ましくは、切断された短繊維は、振動搬送板105により上記植毛箱301に搬送される。上記振動搬送板105の先端部は上記切断刃101の下方に位置し、後端部は上記植毛箱301の上方に位置し、先端部から後端部にかけて下方に30°傾斜している。振動搬送板を配置することにより、繊維を効果的に分散させ、繊維の凝集を防止し、後続の植毛に役立ち、それにより植毛密度が高く、繊維の配向度が良く、さらに高い垂直熱伝導率(22.59W/mK)を備える熱伝導パッドを得ることができる。
【0022】
以下は
図1に記載の装置を用いて熱伝導パッドを製造する。
実施例1
装置を起動し、所定の延伸前後の比は、1:1.5であった。第一搬送ベルト、第二搬送ベルト、第三搬送ベルトの回転速度比をa
1:a
2:a
3=4:6:3とする。まず3×3cm
2の弾性アクリル基板を、3.5cmの間隔dで第一搬送ベルト201の始端に配置し、末端まで搬送した後に第二搬送ベルト202に搬送する。同時に直径5μmの炭素繊維は、繊維リール102から牽引ロール103によって牽引され、補助ポジショナ104を経て、切断刃101の作動に伴って炭素繊維が1mmの長さの均一な短繊維に切断される。短繊維は振動搬送板によって振動分散された後に静電植毛装置3に入り、そのうち高圧電源302は20kVの正極出力を直接印加するように設けられ、上記導電性のメッシュ底面に接続する。弾性アクリル基板は第一搬送ベルト201と第二搬送ベルト202の速度差によって延伸し、さらに第二搬送ベルト202によって接地極板303の上端に搬送する。植毛原理は
図2に示すように、炭素繊維短繊維は植毛箱301において、底部メッシュと接地極板303によって形成された高電位差区域を通過する時に、分極帯電し且つ垂直に加速して第二搬送ベルト202上端の弾性アクリル基板に挿入される。弾性アクリル基板が第二搬送ベルト202により高電位差区域に出るとき、最大植毛密度まで植毛し、
図3Bに示すようなSEM像を有する垂直配向炭素繊維短繊維アレイを製造した。製造された炭素繊維短繊維アレイは、第二搬送ベルト202とともに第三搬送ベルト203に搬送され続け、回転速度差により収縮される。続いて、注入装置4で付加型シリコーンゴム成分A、Bを1:1の割合で十分に混合して均一化した後、炭素繊維の短繊維アレイに注入し、乾燥装置5を経て硬化して複合化し、高配向炭素繊維複合熱伝導パッドを製造した。
【0023】
比較例1
実施例1との違いは、ステップ1では、装置を起動し、所定の延伸前後の比は、1:1であって、第一搬送ベルト、第二搬送ベルト、第三搬送ベルトの回転速度比をa
1:a
2:a
3=1:1:1とする。製造された垂直配向炭素繊維短繊維アレイのSEM像を
図3Aに示す。
【0024】
実施例2
装置を起動し、所定の延伸前後の比は、1:1.5であった。第一搬送ベルト、第二搬送ベルト、第三搬送ベルトの回転速度比をa
1:a
2:a
3=4:6:3とする。まず3×3cm
2の弾性アクリル基板を、3.5cmの間隔dで第一搬送ベルト201の始端に配置し、末端まで搬送した後に第二搬送ベルト202に搬送する。同時に直径5μmの炭素繊維は、繊維リール102から牽引ロール103によって牽引され、補助ポジショナ104を経て、切断刃101の作動に伴って炭素繊維が1mmの長さの均一な短繊維に切断される。短繊維は振動搬送板によって振動分散された後に静電植毛装置3に入り、そのうち高圧電源302にステップ電圧を印加する正極出力が設けられ、正極出力は上記導電性のメッシュ底面に接続する。勾配電界の印加の具体的工程は以下である。まず電界5kVを印加し、5s植毛した後に電界を10kVまで引き上げ、再び5s植毛した後に電界を20kVまで引き上げて植毛を行う。弾性アクリル基板は第一搬送ベルト201と第二搬送ベルト202の速度差によって延伸し、さらに第二搬送ベルト202によって接地極板303の上端に搬送する。炭素繊維短繊維は植毛箱301において、底部メッシュと接地極板303によって形成された高電位差区域を通過する時に、分極帯電し且つ垂直に加速して第二搬送ベルト202上端の弾性アクリル基板に挿入される。弾性アクリル基板が第二搬送ベルト202により高電位差区域に出るとき、最大植毛密度まで植毛し、
図3Cに示すようなSEM像を有する垂直配向炭素繊維短繊維アレイを製造した。製造された炭素繊維短繊維アレイは、第二搬送ベルト202とともに第三搬送ベルト203に搬送され続け、回転速度差により収縮される。続いて、注入装置4において付加型シリコーンゴム成分A、Bを1:1の割合で十分に混合して均一化した後、炭素繊維の短繊維アレイに注入し、乾燥装置5を経て硬化して複合化し、高配向炭素繊維複合熱伝導パッドを製造した。
【0025】
実施例1、2および比較例1で得られた熱伝導パッドに対して熱伝導率試験を行い、測定基準としてASTM-D5470を採用する。
表1:実施例1、2、及び比較例1で製造された熱伝導パッドの熱伝導率データテーブル。
【0026】
【0027】
図3及び表1のデータを参照して分かるように、搬送システムの協力速度を制御することにより、植毛基板に対して延伸・収縮を行うこと、及び高圧電源を制御してステップ電圧を出力することはいずれも最終製品の熱伝導パッドの熱伝導能力を効果的に向上させることができ、良好な応用の将来性を有する。