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7521847バイオガスプラント及びバイオガスプラントにおける廃棄物処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】バイオガスプラント及びバイオガスプラントにおける廃棄物処理方法
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/65 20220101AFI20240717BHJP
【FI】
B09B3/65
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023196358
(22)【出願日】2023-11-20
【審査請求日】2023-11-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517045093
【氏名又は名称】タオ・エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001922
【氏名又は名称】弁理士法人日峯国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅波 耕三
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-043902(JP,A)
【文献】特開2005-040671(JP,A)
【文献】特開2005-052692(JP,A)
【文献】特開2009-034569(JP,A)
【文献】特開2022-097822(JP,A)
【文献】特開2003-103299(JP,A)
【文献】特開2019-181397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 3/65
B09B 3/45
B09B 3/40
C02F 11/04
C02F 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴミ廃棄物の処理原料を投入する湿式メタン発酵槽、その前段に設けた処理原料を投入するため処理原料投入系統、湿式メタン発酵槽で生じるメタンを回収するメタン回収系統、湿式メタン発酵槽の後段に設けた水熱反応処理装置を含み、
前記湿式メタン発酵槽にゴミ廃棄物の処理原料を投入し、メタンガスであるバイオガスを回収し、及びバイオガスを回収した後の消化液残渣を回収し、及び当該消化液残渣を水熱反応処理する、バイオガスプラントにおいて、
前記水熱反応処理装置が、ゴミ廃棄物の処理原料を投入する投入口、反応を均一化するための機構及び生成された半炭化粉体物を取り出す取出口を備えた圧力容器、及び水熱反応処理及び半炭化粉体化処理のための熱源を備え、
前記圧力容器を、外側円筒容器及び内側円筒容器から構成して、内側円筒容器内の内側空間及び内側円筒容器と外側円筒容器との間に形成された外側空間を当該内側円筒容器によって区画し、
内側空間内に、蒸気を導入し、当該内側空間内を直接加熱する第一の加熱手段を設け、及び外部空間内を直接加熱し、当該内側空間内を間接加熱する第二の加熱手段を設け、
内側空間内に、第一の加熱手段によって、水熱反応圧力で加水分解による水熱反応を行う加水分解処理領域を形成可能とし、
内側空間内に、第二の加熱手段によって、所定の圧力の下、半炭化粉体化処理領域を形成可能とし、
前記水熱反応処理装置を第一の加熱手段として使用して、湿式メタン発酵槽からメタン回収後の消化液残渣を水熱反応処理する系統、
前記水熱反応処理装置を第三の加熱手段として使用し、水熱反応処理後の消化液残渣に含まれる水分を蒸発させ、水分を回収する、半炭化粉体化処理の前処理を行なう系統、及び
前記水熱反応処理装置を第二の加熱手段として使用して、当該前処理後の消化液残渣を半炭化処理する半炭化処理系統を含んで構成されること
を特徴とするバイオガスプラント。
【請求項2】
請求項1に記載されたバイオガスプラントにおいて、
前記前処理の系統で回収された水分を、水媒体として、第一から第三の加熱手段のいずれかの加熱手段の、又は全ての加熱手段に供給すること
を特徴とするバイオガスプラント。
【請求項3】
ゴミ廃棄物の処理原料を投入する湿式メタン発酵槽、その前段に設けた処理原料を投入するため処理原料投入系統、湿式メタン発酵槽で生じるメタンを回収するメタン回収系統、湿式メタン発酵槽の後段に設けた水熱反応処理装置を含み、
前記水熱反応処理装置が、ゴミ廃棄物の処理原料を投入する投入口、反応を均一化するための機構及び生成された半炭化粉体物を取り出す取出口を備えた圧力容器、及び水熱反応処理及び半炭化粉体化処理のための熱源を備え、
前記圧力容器を、外側円筒容器及び内側円筒容器から構成して、内側円筒容器内の内側空間及び内側円筒容器と外側円筒容器との間に形成された外側空間を当該内側円筒容器によって区画し、
内側空間内に、蒸気を導入し、当該内側空間内を直接加熱する第一の加熱手段を設け、及び外部空間内を直接加熱し、当該内側空間内を間接加熱する第二の加熱手段を設け、
内側空間内に、第一の加熱手段によって、水熱反応圧力で加水分解による水熱反応を行う加水分解処理領域を形成可能とし、
内側空間内に、第二の加熱手段によって、所定の圧力の下、半炭化粉体化処理領域を形成可能とし、
前記湿式メタン発酵槽にゴミ廃棄物の処理原料を投入し、メタンガスであるバイオガスを回収し、及びバイオガスを回収した後の消化液残渣を回収し、及び当該消化液残渣を水熱反応処理する、バイオガスプラントを用いた廃棄物処理方法において、
前記水熱反応処理装置を第一の加熱手段として使用する、前記湿式メタン発酵槽からメタン回収後の消化液残渣の水熱反応処理、及び
前記水熱反応処理装置を第三の加熱手段として使用して、当該前処理後の消化液残渣に含まれる水分を蒸発させ、水分を回収する、半炭化粉体化処理の前処理、及び
前記水熱反応処理装置を第二の加熱手段として使用する、前記前処理後の消化液残渣の半炭化処理、
を含んで構成されること
を特徴とするバイオガスプラントを用いた廃棄物処理方法。
【請求項4】
請求項3に記載されたバイオガスプラントを用いた廃棄物処理方法において、
前記前処理で回収された水分が、水媒体として、第一から第三の加熱手段のいずれかの加熱手段の、又は全ての加熱手段の熱源に供給されること
を特徴とするバイオガスプラントを用いた廃棄物処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオガスプラント及びバイオガスプラントにおける廃棄物処理方法に係る
【背景技術】
【0002】
廃棄物系バイオマス、すなわち廃棄物原料の利用は、循環型社会の形成だけでなく、温室効果ガスの排出削減により地球温暖防止に有効とされ、廃棄物原料のメタンガス化(すなわちバイオガス化)による処理方法が必要とされている。
【0003】
廃棄物原料のメタンガス化に多くの湿式メタン発酵施設が提案されてきた。湿式メタン発酵施設によって、さまざまな種類の廃棄物を原料にバイオガスを生成してエネルギーとして再活用されてきた。
【0004】
また、水熱反応処理装置が廃棄物原料のメタンガス化による処理方法に有効な方法として各種の水熱反応処理装置が提案されてきた。
【0005】
特許文献1には、メタン発酵工程とメタン発酵残渣の焼却工程とメタンガス回収工程とからなる有機性廃棄物の処理法が記載される。
【0006】
特許文献2には、複数の発酵槽を用いての有機性廃棄物の処理方法が記載される。
【0007】
特許文献3には、湿式メタン発酵装置及び水熱反応処理装置を備えた有機廃棄物の処理方法であって、加熱缶及び減圧蒸発缶を備えて、濃縮液を温度250~600℃、圧力4~10MPaの水熱反応条件下で酸化分解を行う水熱反応処理に適した50~85%の水分とする有機性廃棄物の処理方法が記載される。
【0008】
特許文献4には、亜臨界水処理を用いて、生ごみからのメタンの回収量を増加し、メタン発酵消化残渣を再度、亜臨界水処理して、メタンを回収し、メタン発酵消化残渣量を低減する高効率メタン発酵方法が記載される。
【0009】
特許文献5には、亜臨界反応容器は、外套容器と外套容器の内部に格納した反応容器とからなる二重構造をなすことが記載される。
【0010】
特許文献6には、フライヤーで処理された粉砕樹皮フライ体を用いてメタン発酵させることが記載される。
【0011】
特許文献7には、メタン発酵後の消化液の処理方法、メタン発酵後の消化液の処理装置、及びメタン発酵システムが記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2007-216168号公報
【文献】特開平9-234498号公報
【文献】特許第4686163号公報
【文献】特開2013-34988号公報
【文献】特許第4789595号公報
【文献】特許第7153965号公報
【文献】特許第6894635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1には、メタン発酵工程を持った有機性廃棄物の処理法が記載され、特許文献2には、複数の発酵槽を用いての有機性廃棄物の処理方法が記載される。特許文献3には、加熱缶及び減圧蒸発缶を備えて、濃縮液を水熱反応処理に適した水分とする有機性廃棄物の処理方法が記載される。特許文献4には、亜臨界水処理を用いて、生ごみからのメタンの回収量を増加し、メタン発酵消化残渣を再度、亜臨界水処理して、メタンを回収し、メタン発酵消化残渣量を低減する高効率メタン発酵方法が記載される。特許文献5には、外套容器と外套容器の内部に格納した反応容器とからなる二重構造をなす亜臨界反応容器が記載される。特許文献6には、前処理として、亜臨界水処理、すなわち水熱反応処理あるいはフライヤーによるフライ化処理が示される。特許文献7には、メタン発酵槽で発生したメタンガスを用いて発電を行う発電装置を有するメタン発酵システムが記載される。
【0014】
上述した特許文献には、メタン発酵工程を持った有機性廃棄物の処理法あるいは湿式メタン発酵装置及び水熱反応処理装置、及び発電装置を備えたメタン発酵システムにおいてメタンの有効処理・活用方法が記載されるが、湿式メタン発酵装置によって生成されて、従来大量に貯蔵された消化液残渣の有効処理方法が記載されない。
【0015】
本発明は、かかる点に鑑みて、循環型社会を形成するに当たって、湿式メタン発酵装置によって生成されて、従来大量に貯蔵された消化液残渣について有効に処理して貯蔵することを要しない装置、方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、ゴミ廃棄物の処理原料を投入する湿式メタン発酵槽、その前段に設けた処理原料を投入するため処理原料投入系統、湿式メタン発酵槽でメタンを回収するメタン回収系統、湿式メタン発酵槽の後段に設けた水熱反応処理装置を含み、
前記湿式メタン発酵槽にゴミ廃棄物の処理原料を投入し、メタンガスであるバイオガスを回収し、及びバイオガスを回収した後の消化液残渣を回収し、及び当該消化液残渣を水熱反応処理する、バイオガスプラントにおいて、
前記水熱反応処理装置が、ゴミ廃棄物の処理原料を投入する投入口、反応を均一化するための機構及び生成された半炭化粉体物を取り出す取出口を備え圧力容器、及び水熱反応処理及び半炭化粉体化処理のための熱源を備え、
前記圧力容器を、外側円筒容器及び内側円筒容器から構成して、内側円筒容器内の内側空間及び内側円筒容器と外側円筒容器との間に形成された外側空間を当該内側円筒容器によって区画し、
内側空間内に、蒸気を導入し、当該内側空間内を直接加熱する第一の加熱手段を設け、及び外部空間内を直接加熱し、当該内側空間内を間接加熱する第二の加熱手段を設け、
内部空間内に、第一の加熱手段によって、水熱反応圧力で加水分解による水熱反応を行う加水分解処理領域を形成可能とし、
内部空間内に、第二の加熱手段によって、所定の圧力の下、半炭化粉体化処理領域を形成可能とし、
前記水熱反応処理装置を第一の加熱手段として使用して、湿式メタン発酵槽からメタン回収後の消化液残渣を水熱反応処理する系統、
前記水熱反応処理装置を第三の加熱手段として使用し、水熱反応処理後の消化液残渣に含まれる水分を蒸発させ、水分を回収する、半炭化粉体化処理の前処理を行なう系統、及び
前記水熱反応処理装置を第二の加熱手段として使用して、当該前処理後の消化液残渣を半炭化処理する半炭化処理系統を含んで構成されること
を特徴とするバイオガスプラント及び当該バイオガスプラントを用いた廃棄物処理方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、水熱反応処理装置を加熱手段として使用して、当該内側空間内を間接加熱し、消化液残渣中に含まれる水分を蒸発させて、消化液残渣を減縮し、及び蒸発させた水分は、使用可能な、あるいは環境中へ放出可能な水分とすることができて、長期間に亘って貯水することを要しない。
【0018】
循環型社会を形成するに当たって、消化液残渣を有効に処理し、湿式メタン発酵装置によって生成された、従来大量に貯蔵された消化液残渣を長期間に亘って貯蔵することを要しない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施例であるバイオガスプラントの構成をブロックで示す図
図2】本発明の実施例で用いられる水熱反応処理装置の構成の例を示す図
図3】木質チップについて、半炭化発熱量ピークゾーンにおける半炭化処理温度と発熱量との関係をX-Y軸座標に示す図
図4】本発明の他の実施例である水熱反応による半炭化粉体物製造装置の構成を示す図
図5】本発明の実施例であるバイオガスプラントを用いた廃棄物処理方法の構成をブロックで示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
バイオガスは、発電や熱供給などに活用される。家畜の排泄物、生ごみなどの有機性廃棄物を発酵させて生じるガスから作られ、主成分がメタンであるガスである。
【0021】
本発明で、湿式メタン発酵槽に供給されるゴミ廃棄物を処理原料と称する。
【0022】
本発明で、処理液とは、湿式メタン発酵槽でのメタン発酵中の夾雑物が含まれた処理中の嫌気性菌、典型的にはメタン菌を含む液をいう。
【0023】
本発明で、湿式メタン発酵槽でのメタン発酵後、湿式メタン発酵槽から回収されるメタン発酵残渣を消化液残渣と称する。
【0024】
本発明で、半炭化粉体物とは、水熱反応処理装置での消化液残渣の水熱反応処理後、水熱反応処理装置から回収される水熱反応処理残渣である半炭化状の固形粉体状残渣をいう。
【0025】
本発明で、水熱反応処理装置は、亜臨界水処理装置のことをいう。したがって、水熱反応処理は、亜臨界水処理のことである。水熱処理とは、高温高圧状態の水で有機物を処理して、有効利用する処理法と知られ、典型的に亜臨界水処理装置が用いられる。
【0026】
本発明で、半炭化ペレットとは、粉末粒子状の半炭化粉体物が取得されたとき、半炭化粉体物を主体として、粉末粒子状の水熱反応半炭化後の半炭化粉体物がペレット状に集合された形態のものをいう。
【0027】
図1は、本発明の実施例であるバイオガスプラントの構成をブロックで示す図である。
【0028】
図1において、本発明の実施例であるバイオガスプラント100は、ゴミ廃棄物の処理原料1を投入する湿式メタン発酵槽2(1)(2)、その前段に設けた処理原料1を投入するため処理原料投入系統3、メタン回収系統4、湿式メタン発酵槽2の後段に設けた水熱反応処理装置5、水熱反応処理装置5を含み、水熱反応処理及び半炭化処理系統6及び水熱反応処理装置5を含み、水熱反応処理装置5を加熱手段、すなわちボイラーとして使用する系統7からなる系統、装置を備えて構成される。

【0029】
処理原料投入系統3は、1系統からなり、湿式メタン発酵槽2は、本例の場合、湿式メタン発酵槽(1)及び嫌気性環境下の湿式メタン発酵槽(2)からなる。これに伴って、メタン回収系統4、水熱反応処理装置5、水熱反応処理及び半炭化粉体化処理系統6及び水熱反応処理及び半炭化粉体化処理系統6及び水熱反応処理装置5をボイラーとして使用する系統7は、2系統からなる。これらの系統について、1系統について説明するが他の系統については、1系統についての説明が援用される。
【0030】
処理原料投入系統3は、廃棄物原料収集装置11、ファライヤー12及び粉砕機13を備えて、収集されたゴミ廃棄物の処理原料を廃棄物原料収集装置11に収集し、処理原料中の固形物については、ファライヤー12でフライ体にし、粉砕機13で粉砕して細分化し、液状廃棄物と混合してスラリー状の処理原料を湿式メタン発酵槽2に投入する。
【0031】
ゴミ廃棄物の処理原料は、主に家畜糞尿、廃棄乳、酪農雑排水、下水汚泥、その他廃棄物からなる。
【0032】
スラリー状の処理原料を湿式メタン発酵槽2に投入することで、湿式メタン発酵槽内に消化液残渣が生成される。
【0033】
湿式メタン発酵槽2は、湿式メタン発酵槽頭部に投入装置21を備え、投入口が設けられる。湿式メタン発酵槽2には、メタン排出口及び消化液を含む消化液残渣排出口、及び発酵菌投入装置(図示せず)を連結して設けてある。
【0034】
湿式メタン発酵槽2は、円筒状の槽として構成されて、ゴミ廃棄物の処理原料を投入する投入口を備え、内部に撹拌機22を備え、駆動機23によって駆動されて、内部のスラリー状の処理液を撹拌する。本例では、内部に撹拌機22を備え、駆動機23によって駆動されて、内部のスラリー状の処理液を撹拌する例を示したが、湿式メタン発酵槽2の内部又は外部に撹拌用のポンプを設けて、処理液を撹拌するようにしてもよい。
【0035】
メタン回収系統4は、メタンガス回収装置41及びメタンガス精製装置42から構成され、バイオガス利用装置43に接続される。
【0036】
処理原料投入系統3は、前処理されて高カロリー化された処理原料1を用いて、メタンガス(CH)と二酸化炭素(CO)を主成分とするバイオガスを生成する系統であり、高カロリーのバイオガスが取得されて、バイオガス利用装置43で利用される。
【0037】
湿式メタン発酵槽2で、処理液からメタン、すなわちバイオガスが回収されると、湿式メタン発酵槽中に消化液残渣が残る。消化液残渣が湿式メタン発酵槽2の底部から一時貯留槽30に排出され、一時貯留槽30から水熱反応処理装置5に排出される。
【0038】
消化液残渣は、湿式メタン発酵槽2の底部から一次貯蔵槽30に排出されて、一時的に貯蔵される。一次貯蔵後に、水熱反応処理装置5に排出される。一次貯蔵槽30は、湿式メタン発酵槽2と水熱反応処理装置5との間における量的な調整のためのバッファー機能を持つ。一次貯蔵槽30に貯蔵されたに消化液残渣を投入装置21に戻す配管を設けて、一部の消化液残渣を湿式メタン発酵槽2に戻して、混合形成された処理液から再度メタン発酵させてメタン発酵量を増大させるようにしてもよい。
【0039】
消化液残渣は、水熱反応処理装置5を加熱手段、すなわちボイラーとして使用する系統7で処理され、水熱反応処理装置5での水熱反応処理に適した水分量になるまで加温により水分が蒸発される。
【0040】
所定の水分が除去された消化液残渣は、水熱反応処理及び半炭化処理系統6で処理される。
【0041】
水熱反応処理及び半炭化粉体化処理系統6に設けた水熱反応処理装置5は、二重管構成の圧力容器51及び熱源(図示せず)を備える。また、水熱反応処理装置5は、圧力容器内に撹拌機52及び撹拌機52を回転駆動する駆動機53を備える。
【0042】
このように、水熱反応処理装置5は、水熱反応処理及び半炭化粉体化処理のための熱源を備え、圧力容器、圧力容器に設けた、メタン発酵後の消化液残渣取入口、水熱反応処理を容器内均一化、水熱反応処理するための機構及び生成された半炭化粉体物を半炭化粉体物回収装置61に取り出す取出口を備える。発生した蒸気は、水熱反応処理装置5を加熱手段、すなわちボイラーとして使用する系統7の蒸気クーリング装置72に送られて、液化して水分とされる。
【0043】
水熱反応処理装置5については、図2でその機能を後述する。
【0044】
水熱反応処理及び半炭化粉体化処理系統6は、生成された半炭化粉体物を回収する半炭化粉体物回収装置61及び半炭化ペレット生成装置62とから構成され、ペレット利用装置63に接続される。
【0045】
水熱反応処理装置5を加熱手段、典型的にはボイラーとして使用する系統7は、蒸気取入口を備えた蒸気クーリング装置71、水貯蔵装置72及び水精製装置73から構成され、生成された水分は、外部の系統74に放出される。あるいは、生成、回収された水分は、各種の装置に各種の使用方法で活用される。典型的には、図1に示されるように、系統74が分岐されたラインを用いて、ボイラー102に使用するボイラーの水源、すなわち加熱手段の熱源で用いる水媒体として循環することができる。この場合、当該加熱手段の熱源は、加熱装置として、典型的にはボイラーとして機能する。
【0046】
後段処理で生成された水が、水媒体として、第一から第三の加熱手段のいずれかの加熱手段の、又は全ての加熱手段の熱源に供給されるバイオマスガスプラントを用いた廃棄物処理方法が形成される。
【0047】
蒸気クーリング装置71で生成された水分は、夾雑物を含まず十分にきれいな純度の高い水であるが、水精製装置73に送られて再処理される。水精製装置73は、生成された水分について、悪臭の除去、無菌化、有機毒の分解、固体物の除去を行う。このような処理を行なう装置として、高温高圧水分解装置が広く知られている。
【0048】
このようにバイオガスプラントは、消化液残渣を水熱反応処理し及び半炭化粉体化処理する水熱反応処理及び半炭化粉体化処理系統、及び水熱反応処理装置を加熱手段として使用して、当該内側空間内を間接加熱し、消化液残渣中に含まれる水分を蒸発させる系統を含んで構成される。
【0049】
図2は、本発明の実施例で用いられる水熱反応処理装置の構成の例を示す図である。
【0050】
図2において、水熱反応処理システムは、処理原料投入系統、熱量を供給する熱源を含む水熱反応処理装置、水熱反応反応残渣処理系統及び制御装置から構成される。一般的な水熱反応処理システム自体は、従来よく知られた構成である。
【0051】
本発明の実施例において、水熱反応処理装置5は圧力容器(リアクターとも呼ばれる)101を備える。圧力容器101は、水媒体を用いて蒸気を供給する熱源として用いられるボイラー102に接続され、処理原料投入系統3、メタン回収系統4、水熱反応処理及び半炭化処理系統6に接続される。圧力容器内の温度、圧力及び処理時間をコントロールする制御装置105が設けられる。
【0052】
圧力容器101は、外側円筒容器(外側ジャケットともいう)111及び外側円筒容器111の内壁に空間をおいて配設される内側円筒容器(内側ジャケットともいう)112から構成され、内側円筒容器内の空間(内側空間)106に撹拌機113(図1における撹拌機52のこと)が設けられる。
【0053】
圧力容器101は、両端側に閉止のための蓋114、115が設けられ、一方の蓋115には、その側方に駆動機116(図1における駆動機53のこと)が設けられる。駆動モーター116は、回転羽根を持った撹拌機113に接続される。
【0054】
外側円筒容器111と内側円筒容器112との間の空間(外側空間)107内の温度、圧力を計測する外側温度センサー及び外側圧力センサー121、内側円筒容器112の空間(内側空間)106内の温度、圧力を計測する内側温度センサー及び内側圧力センサー122及び内側円筒容器112の空間内の水分を計測する水分センサー123が設けられ、内側空間106内の温度、圧力が計測され、内側円筒容器112の内側空間106内の水分が計測され、それぞれの計測値はデータ信号として電子回路を経由して制御装置105に伝達される。これらの信号データは、制御装置105の記録手段に記録される。計測された水分量は、半炭化処理時間の制御データ設定に用いられる。
【0055】
圧力容器101は、内側円筒容器112に接続された蒸気排出管118を備え、蒸気排出管118に排出制御弁119が設けられる。この構成によって、内側空間内の水蒸気を外部に排出することができる。
圧力容器101は、内側円筒容器112に接続された投入ホッパー125を備え、内側円筒容器112に接続された取出し管126を持つ取出し口を備える。取出し管126に取出排出制御弁120が設けられる。この構成によって、水熱反応処理を利用して生成された半炭化粉体物を外部に、すなわち半炭化粉体物回収装置61に回収することができる。
【0056】
粉砕機103(図1における粉砕機13を表す)は、収集された処理原料131(図1における廃棄物原料1を表す)を受け入れて、処理原料131を粉砕して、投入ホッパー125に粉体化された廃棄物の処理原料を投入し、処理液を形成する。投入ホッパー125に制御弁138が設けられ、処理原料131の投入、処理液の発酵処理が制御装置105によって制御される。
【0057】
粉砕機103は、電子回路で接続された制御装置105によって粉砕操作が制御される。
【0058】
処理原料131は、収集された段階で、処理原料の種類が判別される。多くの場合、処理原料の種類の判別は、処理原料処理者によってなされる。投入ホッパー125の近辺に撮影手段(図示せず)を取り付け、映像写真を基準映像写真と比較し、処理原料の種類の判別手段(図示せず)を設けることによって、自動的に処理原料の種類の判別を行うようにすることができる。判別データは、制御装置105に入力される。
【0059】
ボイラー102は、発生した蒸気を圧力容器101に供給する蒸気供給路133を備える。蒸気供給路133に過熱蒸気発生装置140が設けられて、発生した蒸気を過熱して圧力容器101に供給する。
【0060】
蒸気供給路133は、外側円筒容器111と内側円筒容器112との間の空間内に過熱蒸気を供給する分岐路134と内側円筒容器112の空間内に過熱蒸気を供給する分岐路135に分岐され、各分岐路には、制御弁136、137が設置される。制御弁136、137は、制御装置105に接続されて、制御装置105によって開放、閉止が制御、調整される。過熱蒸気は、外側円筒容器111と内側円筒容器112との間の空間、又は/及び内側円筒容器112の空間に供給される。過熱蒸気発生装置140を設けることで、内側円筒容器内の圧力に比例することなく内部温度、すなわち水熱反応処理温度を高めることができる。
【0061】
水熱反応処理装置5は、処理原料の投入口、水熱反応を均一化するための機構及び生成された水熱反応処理後の半炭化粉体物を取り出す取出口を備え圧力容器、水熱反応処理及び熱処理のための熱源及び水熱反応処理及び熱処理を制御するための制御装置から構成され、消化液残渣の水熱反応処理及び熱処理によって、半炭化粉体物を生成する。
【0062】
水熱反応処理装置5は、消化液残渣を処理して半炭化粉末物を生成し、生成された半炭化粉末物を回収する半炭化粉末物回収手段141を備える。図示されていないが、湿式メタン発酵槽2から排出した消化液残渣の一部は、湿式メタン発酵槽2に戻されて、メタン発酵量の増大のために用いられてもよい。
【0063】
圧力容器が、外側円筒容器及び内側円筒容器から構成して、内側円筒容器内の内側空間及
び内側円筒容器と外側円筒容器間の外側空間を当該内側円筒容器によって区画する。
【0064】
制御手段によって、当該加水分解処理領域に、所定の圧力の下、水の亜臨界反応域の水熱反応温度を設定して、当該加水分解処理領域で、消化液残渣を加水分解処理して加水分解処理物質、すなわち消化液残渣の処理結果物としての半炭化粉体物を生成する。
【0065】
例えば、内側空間内に、水蒸気を導入し、水の亜臨界反応域の水熱反応温度230℃以内及び水熱反応圧力2.5MPa以内、典型的には、水熱反応圧力0.3~3.5MPa以内の水熱反応領域にあって、及び適宜設定された水熱反応処理時間に制御した加水分解処理領域を形成して、消化液残渣を加水分解処理して粉末状の加水分解処理物質である半炭化粉体物を生成する。
【0066】
内側空間内への水蒸気の導入を停止して、内側空間内の水蒸気を外部に排出する。
【0067】
乾燥・半炭化処理領域に、所定の圧力の下、処理原料の種類及び発熱量倍数から取得された半炭化粉体化処理温度を設定して、前記加水分解処理物質から、所定の発熱量を持ち、木質チップの有する発熱量に対する所定の発熱量を持ち、かつ水分含有率が2~20%、望ましくは3~6%の乾燥・半炭化された水熱反応処理を利用した半炭化粉体物を生成する。
【0068】
例えば、外側空間内に、炭化温度が水熱反応温度以上230℃以内で、処理時間を制御した半炭化粉体化処理領域を形成して、加水分解処理物質から水熱反応処理に基づく半炭化ペレット、典型的に、高発熱量の水熱反応処理を利用した半炭化ペレットを形成する。乾燥・半炭化され、粉体化された水熱反応固形物である半炭化粉体物を生成する。半炭化粉体物の一部は、他の用途に使用されてもよい。
【0069】
木質チップについて、含水率が35~50%で、発熱量3300kcal/kgのものが広く知られている。本発明では、発熱量倍数を算出するときに、発熱量3300kcal/kgの木質チップを基準木質チップとする。発明者等の分析によっても、含水量が40%で、半炭化粉体物の発熱量3300kcal/kgのものが確認された。
【0070】
発明者等の実験によれば、半炭化粉体ペレット形成系統を設けることで、水分含有率が3~6%に乾燥・半炭化され、含水率35~50%の木質チップの持つ発熱量3300kcal/kgに比べて1.25倍以上の発熱量を持つ水熱反応処理を利用した半炭化粉体物を製造できることが確認された。
【0071】
半炭化温度が230℃以内で、処理時間を制御した半炭化粉体化処理領域を形成することができる。
【0072】
粉末粒子状の半炭化粉体物が取得されたとき、上述した半炭化粉体物を主体として、粉末粒子状の水熱反応半炭化後の半炭化粉体物が集合された形態の、水熱反応に基づいた半炭化ペレットを形成することができる。
【0073】
水熱反応半炭化粉体後の半炭化粉体物の半炭化粉体物回収装置61への回収141に伴って、有害物の無害化、減容化142がなされる。
【0074】
もって、
・高発熱量資源化:木質チップの有する発熱量1に対する1.25、望ましくは1.5以上の発熱量倍数を持つ半炭化粉体物の製造
・二酸化炭素、ダイオキシン、臭気の抑制
が達成される。
【0075】
本実施例では、図1で、水熱反応処理装置5が用いられる。水熱反応処理装置5の構成は、上述した図2に示される水熱反応処理装置5の構成と実質的に同じである。
【0076】
このように圧力容器を、外側円筒容器及び内側円筒容器から構成して、内側円筒容器
内の内側空間及び内側円筒容器と外側円筒容器との間に形成された外側空間を当該内側円
筒容器によって区画し、
内側空間内に、蒸気を導入し、当該内側空間内を直接加熱する第一の加熱手段を設け、及び外部空間内を直接加熱し、当該内側空間内を間接加熱する第二の加熱手段を設け、
内部空間内に、第一の加熱手段によって、水熱反応圧力で加水分解による水熱反応を行う加水分解処理領域を形成可能とし、
内部空間内に、第二の加熱手段によって、所定の圧力の下、加水分解処理領域に代えた乾
燥・半炭化処理領域を形成可能とする。
【0077】
さらに、二重管構成の圧力容器を利用した、水熱反応処理装置5を含み、水熱反応処理及び半炭化粉体化処理系統6及び水熱反応処理装置5を含み、水熱反応処理装置5を加熱手段、すなわちボイラーとして使用する系統7からなる系統が構成される。
【0078】
このように、水熱反応処理装置を第一の加熱手段として使用して、湿式メタン発酵槽から回収した消化液残渣を水熱反応処理する系統に対して、水熱反応処理装置を第三の加熱手段として使用して、当該内側空間内を間接加熱し、消化液残渣に含まれる水分を蒸発させ、蒸気から水を生成する前段処理の系統、及び水熱反応処理装置を第二の加熱手段として使用して、水分蒸発後の消化液残渣を半炭化粉体化処理する後段処理の系統を含んだバイオガスプラントが構成される。
【0079】
さらに、前段処理の系統で生成された水分が、水媒体として、第一から第三の加熱手段のいずれかの加熱手段の、又は全ての加熱手段の熱源に供給されるバイオガスプラント及びバイオガスプラントを用いた廃棄物処理方法が構成される。
【0080】
図3は、木質チップについて、半炭化発熱量ピークゾーンにおける半炭化処理温度と発熱量との関係をX-Y軸座標に示す図である。
【0081】
半炭化処理温度が常温の25℃のときに、発熱量3300kcal、発熱倍数が1.0の発熱倍数データ得られた。常温を越えると、半炭化粉体処理温度で発熱倍数が1.0(1.0を含まず)の発熱倍率が得られる。半炭化粉体処理温度が200℃のときに、ピークの発熱量5330kcal、発熱倍数が1.62の発熱倍数データ得られた。図に示すように、半炭化発熱量ピークゾーンを設定できる。木質チップになる処理原料の場合、半炭化処理温度(℃)180~230の半炭化発熱量ピークゾーンを設定できる。このゾーンにおける処理で、最大の発熱量5330kcal、発熱倍数1.5あるいはこれ以上の発熱倍数データが得られる。
【0082】
他の処理原料についても同様に半炭化発熱量ピークゾーンが設定された半炭化発熱量ピークゾーンが設定され得る。
【0083】
湿式メタン発酵装置の後流側に接続された水熱反応処理装置から導出された半炭化粉体物から、含水率が3~6%に半炭化されたものであって、基準原料発熱量3,300kcalの木質チップの持つ発熱量に比べて1.5倍以上の発熱量倍数を持つ半炭化ペレットを生成する方法が提案される。
【0084】
図4は、本発明の他の実施例である水熱反応による半炭化粉体物製造装置の構成を示す図である。
【0085】
水熱反応装置5の構成は、図1に示される水熱反応装置の構成に実質的に同一である。
【0086】
図4に示される水熱反応装置5は、外部空間107内に、加熱ヒーター117が設けられ、ボイラー102に加えて並行して加熱電源102Aが設けられる。加熱電源102Aは、電気回路で制御装置105に接続され、ON、OFF制御される。
【0087】
加熱ヒーター117が加熱電源102Aからの電気供給によって、電気的に加熱される。
【0088】
外側空間107が、蒸気熱に代えて加熱ヒーター117による熱媒体によって加熱されることが、図1に示される水熱反応装置5の構成と異なる。加水分解処理物質から水熱反応による半炭化ペレット、典型的に、高発熱量の半炭化ペレットを製造することのできる乾燥・半炭化された水熱反応による半炭化粉体物を生成することは同じである。
【0089】
内側空間内に、水蒸気を導入し、水の亜臨界反応域の水熱反応温度230℃以内及び水熱反応圧力3.5MPa以内、典型的には、水熱反応圧力2.5MPa以内の水熱反応領域にあって、及び適宜設定された水熱反応処理時間に制御した低温加水分解処理領域を形成して、消化液残渣を加水分解処理して粉末状の加水分解処理物質である半炭化粉体物を形成することは、先例に異ならないが、外側空間内に、半炭化粉体化温度が水熱反応温度以上230℃以内で、処理時間を制御した低温乾燥・半炭化処理領域が、加熱電源102Aからの通電による加熱ヒーター117によって電気的に加熱形成されることが異なる。
【0090】
図5は、本発明の実施例であるバイオガスプラントを用いた廃棄物処理方法の構成をブロックで示す図である。
【0091】
バイオガスプラントを用いた廃棄物処理方法は、次に示されるステップを持つ。
【0092】
S1:ゴミ廃棄物の処理原料を収集し、スラリー化、湿式メタン発酵槽に投入
S2:湿式メタン発酵槽でメタンガス発酵
S3:メタンガスを回収し、精製して、バイオガス取得
S4:メタンガス発酵後の消化液残渣を水熱反応処理装置へ排出
S5:水熱反応処理装置における処理:
S51前処理:水熱反応処理装置をボイラーとして使用する系統を使用して、消化残渣物に含まれる水分の蒸発、水分化処理
S52中処理:水熱反応処理+半炭化粉体化処理系統を使用して、水熱反応処理に適した水分量とされた消化液残渣を加水分解による水熱反応処理
S53後処理:水熱反応処理+半炭化粉体化処理系統を使用して、水熱反応処理後の消化液残渣を間接加熱し、回収することで、半炭化粉体回収処理及び半炭化ペレット生成処理
S6:バイオガスの利用及び半炭化ペレットの利用
このように、水熱反応処理装置によって、バイオガスを回収した後の消化液残渣を回収し、及び消化液残渣を水熱反応処理の前後で、消化液残渣を水熱反応処理し及び半炭化粉体化処理する前段処理と、及び熱反応処理装置をボイラーとして使用して、当該内側空間内を間接加熱し、消化液残渣中に含まれる水分を蒸発させ、蒸気を水分とする後段処理とを有するバイオガスプラントを用いた廃棄物処理方法が構成される。
【0093】
再生されたバイオガス及びバイオペレットである半炭化ペレットは、ガスタービン、ガスエンジン、燃料電池などにより電気として外部施設利用や電力会社へ売電することができるほか、ボイラーを通して吸収式冷凍機やヒーターに利用することができる。再生されたバイオガス及び半炭化ペレットは、グリーン水素製造装置の原料としても利用できる。
【0094】
これによって、循環型社会の形成するに当たって、湿式メタン発酵槽で高効率メタン発酵方法を採用し、前処理で高カロリー化をした廃棄物原料を使用することで高効率メタン発酵させたバイオガスを採取し、後処理においてバイオガスを採取した後の消化液残渣を効率的に有効活用できるようにすることができる。
【0095】
再生された水は、外部の系統に放出される。あるいは、生成された水分は、各種の装置に各種の使用方法で活用される。典型的には、ボイラーで水媒体として使用される。ボイラーの水源、すなわち加熱手段の熱源で用いる水媒体として循環することができる。
【符号の説明】
【0096】
100…バイオガスプラント、1…ゴミ廃棄物の処理原料、2…湿式メタン発酵槽(1)(2)、3…処理原料投入系統、4…メタン回収系統、5…湿式メタン発酵槽2の後段に設けた水熱反応処理装置、6…水熱反応処理及び半炭化粉体化処理系統、7…水熱反応処理装置5を加熱手段、すなわちボイラーとして使用する系統、11…廃棄物原料収集装置、12…フライヤー、13…粉砕機、21…投入装置22…撹拌機、23…駆動機、30…一時貯留槽、41…メタンガス回収装置、42…メタンガス精製装置、43…バイオガス利用装置、52…撹拌機、53…駆動機、61…半炭化粉体物回収装置、62…半炭化ペレット生成装置、63…ペレット利用装置、71…蒸気クーリング装置、72…水貯蔵装置、73…水精製装置、74…外部の系統、101…圧力容器、102…ボイラー、102A…加熱電源、111…外側円筒容器(外側ジャケットともいう)、112…内側円筒容器(内側ジャケットともいう)、117…加熱ヒーター。
【要約】
【課題】 循環型社会を形成するに当たって、湿式メタン発酵装置によって生成されて、従来大量に貯蔵された消化液残渣について貯蔵することを要せず有効に処理する方法を提供する。
【解決手段】 バイオマスガスプラントが、水熱反応処理装置を第一の加熱手段として使用して、湿式メタン発酵槽から回収した消化液残渣を水熱反応処理する系統に対して、水熱反応処理装置を第三の加熱手段として使用して、当該内側空間内を間接加熱し、消化液残渣に含まれる水分を蒸発させ、蒸気から水分を生成する前段処理の系統、及び水熱反応処理装置を第二の加熱手段として使用して、水分蒸発後の消化液残渣を半炭化処理する後段処理の系統を含んで構成される。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5