(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】シェルター用エレベータ
(51)【国際特許分類】
B66B 9/00 20060101AFI20240717BHJP
E04H 9/14 20060101ALI20240717BHJP
B66B 9/04 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
B66B9/00 D
E04H9/14 Z
B66B9/04 E
(21)【出願番号】P 2024046687
(22)【出願日】2024-03-22
【審査請求日】2024-03-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517357826
【氏名又は名称】株式会社シェルタージャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196106
【氏名又は名称】杉田 一直
(72)【発明者】
【氏名】寿福 誠
(72)【発明者】
【氏名】矢野 昭彦
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/199431(WO,A1)
【文献】特許第6987421(JP,B2)
【文献】実開昭51-007869(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 9/00- 9/20
B66B 13/00-13/30
B66B 20/00
E04H 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床と、側壁と、天井と、前記天井に設けられる開口部を開閉する扉体と、を有するシェルターの室内に設置されるシェルター用エレベータであって、
座部が設けられる昇降部と、
昇降方向に沿って延びるガイド柱と、
前記昇降部と前記扉体を接続する接続ワイヤー装置と、を備え、
前記昇降部は、前記ガイド柱にスライド可能に取り付けられて、前記扉体が前記開口部を開放するのに同期して昇降方向に上昇し、前記扉体が前記開口部を閉鎖するのに同期して昇降方向に下降
し、
前記接続ワイヤー装置は、前記扉体に接続する接続ワイヤーと、前記接続ワイヤーの接続長さを調整できる調整部と、を有することを特徴とするシェルター用エレべータ。
【請求項2】
床と、側壁と、天井と、前記天井に設けられる開口部を開閉する扉体と、を有するシェルターの室内に設置されるシェルター用エレベータであって、
座部が設けられる昇降部と、
昇降方向に沿って延びるガイド柱と、
前記昇降部と前記扉体を接続する接続ワイヤー装置と、を備え、
前記昇降部は、前記ガイド柱にスライド可能に取り付けられて、前記扉体が前記開口部を開放するのに同期して昇降方向に上昇し、前記扉体が前記開口部を閉鎖するのに同期して昇降方向に下降
し、
前記ガイド柱の一端は前記床に、他端は前記天井に着脱可能に接続することを特徴とするシェルター用エレベータ。
【請求項3】
床と、側壁と、天井と、前記天井に設けられる開口部を開閉する扉体と、を有するシェルターの室内に設置されるシェルター用エレベータであって、
座部が設けられる昇降部と、
昇降方向に沿って延びるガイド柱と、
前記昇降部と前記扉体を接続する接続ワイヤー装置と、を備え、
前記昇降部は、前記ガイド柱にスライド可能に取り付けられて、前記扉体が前記開口部を開放するのに同期して昇降方向に上昇し、前記扉体が前記開口部を閉鎖するのに同期して昇降方向に下降
し、
前記昇降部は、前記座部を昇降方向に昇降できる座部昇降装置を有することを特徴とするシェルター用エレべータ。
【請求項4】
前記扉体は片開式であって、前記扉体が前記開口部を閉鎖した状態から、前記床から前記天井の方向に向かって回動したとき、前記開口部は開放されるとともに、前記昇降部は同期して昇降方向に上昇することを特徴とする請求項1
~3のいずれか1項に記載のシェルター用エレベータ。
【請求項5】
前記扉体は片開式であって、前記扉体が前記開口部を開放した状態から、前記天井から前記床の方向に向かって回動することで、前記開口部は閉鎖されるとともに、前記昇降部は同期して昇降方向に下降することを特徴とする請求項1
~3のいずれか1項に記載のシェルター用エレベータ。
【請求項6】
前記調整部は、前記昇降部の上昇、あるいは下降に同期して前記接続ワイヤーの接続長さを調整できることを特徴とする請求項1に記載のシェルター用エレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、片開式扉の開閉に伴って昇降するシェルター用エレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
東日本大震災では、巨大津波によって多くの人々の生命が奪われた。このような巨大津波から身を守るためには、津波襲来前に迅速に高台に避難することが防災上の有効な手段の一つとなっている。しかし、東海、東南海、南海の三連動地震が発生した場合、地震発生後わずか5分で高さ30mの津波が襲来する地域が存在することが予想されている。このような短時間で高台に避難することは、小さなお子様、高齢者・障害者の方々にとっては困難を極める。仮に、避難ビルに退避するとしても、高い階段を昇ることすら困難であるのが現状である。
【0003】
津波や津波火災の被災が予見されるときの対策として、自宅の庭など住居に近接して設置された地下シェルターあるいは半シェルターに避難することも考えられる。地震発生とともに速やかに地下シェルター、あるいは半地下シェルターに退避し、津波が去ったあとに脱出することで人々を津波災害から守ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、地下シェルター、半地下シェルター用の扉は、津波の波力や漂流物の衝突に耐える性能を具備することが求められるため、頑強なつくりとする必要がある。そのため、扉の大きさは必然的に制約され、地下シェルターに避難するとき、狭隘な空間を通過する必要がある。これは、高齢者の方々や、足が不自由な方々にとって極めて困難な行動となる。
【0006】
本発明は、これらの問題点に着目してなされたものであり、シェルターに避難するとき、高齢者の方々や、足の不自由な方々に身体的な負担をかけることなく迅速に避難できるシェルター用エレベータを提供するものである。
【0007】
上記課題を解決するための発明は、床と、側壁と、天井と、天井に設けられる開口部を開閉する扉体と、を有するシェルターの室内に設置されるシェルター用エレベータであって、座部が設けられる昇降部と、昇降方向に沿って延びるガイド柱と、昇降部と扉体を接続する接続ワイヤー装置とを備え、昇降部は、ガイド柱にスライド可能に取り付けられて、扉体が開口部を開放するのに同期して昇降方向に上昇し、扉体が開口部を閉鎖するのに同期して昇降方向に下降することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、座部が設けられる昇降部は、扉体が開口部を開放するのに同期して昇降方向に上昇し、また扉体が開口部を閉鎖するのに同期して昇降方向に下降するので、一定要件下、扉体が開口部を開口したと同時に、昇降部に着座できる状態を創出できるとともに、扉体が開口部を閉鎖したと同時に、昇降部を床に載置した状態を創出できる。
【0009】
好ましくは、扉体は片開式であって、扉体が開口部を閉鎖した状態から、床から天井の方向に向かって回動したとき、開口部は開放されるとともに、昇降部は同期して昇降方向に上昇し、また、扉体が開口部を開放した状態から、天井から前記床の方向に向かって回動することで、開口部は閉鎖されるとともに、昇降部は同期して昇降方向に下降することを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、扉体は片開式であるので、天井の上面とほぼ面一の状態で、開口部を閉鎖できる。また、他の形式、例えば天井面での面内移動を伴う引き戸式に比べて、開口部の水密性能で勝り、コスト削減も可能となる。
【0011】
好ましくは、ワイヤー装置は、扉体に接続する接続ワイヤーと、接続ワイヤーの接続長さを調整できる調整部とを有することを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、ワイヤー装置は、扉体に接続する接続ワイヤーと、接続ワイヤーの接続長さを調整できる調整部とを有するので、扉体と昇降部の相対位置を考慮することなく、昇降部を所定高さに設定できる。
【0013】
好ましくは、ガイド柱の一端は床に、他端は天井に着脱可能に接続することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、ガイド柱の一端は床に、他端は天井に着脱可能に接続するので、ガイド柱を変形が少ない強固なものとすることができる。また、ガイド柱を取り外すことでシェルターの室内の有効利用を図り得る。
【0015】
好ましくは、昇降部は座部を昇降方向に昇降できる座部昇降装置を有することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、昇降部は座部を昇降方向に昇降できる座部昇降装置を有するので、シェルター室内に避難するとき、快適な着座姿勢に調整することができる。特に、避難者が、天井から昇降部に乗り移るときに、無理なく楽な着座姿勢とすることができる。
【0017】
好ましくは、調整部は、昇降部の上昇、あるいは下降に同期して接続ワイヤーの接続長さを調整できることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、昇降部の上昇、あるいは下降に同期して接続ワイヤーの接続長さを調整することで、扉体が開口部の開口を完了したと同時に、座部を避難者が着座しやすい位置にすることができる。また、扉体が開口部の閉鎖を完了したと同時に、避難者が床に降りやすい位置を創出できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】(a)は、シェルター用エレベータが設置されるシェルターの正面断面図である。(b)は、同、側面断面図である。
【
図2】ガイド柱、スライド環部の平面断面図である。
【
図4】(a)パッキンの取り付け状態を説明する側断面図である。(b)は、同平面図である。
【
図5】(a)、(b)は、扉体の開閉とパッキンの状態を説明する側断面図である。
【
図6】(a)は、ロック機構の取り付け状態を説明する側断面図である。(b)は、同、正面断面図である。
【
図7】(a)~(c)はロック機構の動作を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、
図1~8を参照して本発明のシェルター用エレベータ1(以後、エレベータ1と称する。)の実施形態を詳述する。
【0021】
図1(a)、(b)に示す通り、エレベータ1は、シェルター100の室内100aに設置されている。また、室内100aには、エレベータ1とともに、梯子50も設置されている。シェルター100は、床110と側壁120と天井130を有する、略直方体の筐体であり、ほぼ全ての部分が地下に埋設される、いわゆる地下シェルターである。シェルターの形式はこれに限るものではなく、シェルターのおおむね半分程度が地下に埋設される、半地下シェルターであってもよい等、地下への埋設の程度は限定しない。
【0022】
床110、側壁120、天井130は、鉄筋コンクリート製であり、構造厚さは30cmを例示している。床110、側壁120、天井130の厚さは少なくとも20cm以上であることが好ましく、より好ましいのは50cm以上である。構造厚さは、核や津波で被災したとき安全に避難するために必要と考える放射線遮蔽性能や、シェルター100に付加される外力を勘案して、適宜に定めればよい。
【0023】
天井130は、開口部140が設けられており、開口部140は片開式の扉体150が、ヒンジ151を中心に図示左右に回動することで開口部140を開閉する(
図1(b)参照)。開口部140の大きさは、昇降部10と梯子50を同時に使用して、室内100aに避難できる大きさに設定されることが好ましい。
図1(a)において、梯子50で避難する人は正面に向いて避難しており、昇降部10を利用して避難する人は、側面に向いて避難している。長手方向DLの幅は、この状態で2人が同時に避難できる幅を確保することが好ましい。また、短手方向DSの幅は、梯子50で非難する人と、昇降部10を利用して避難する人のそれぞれが避難できる幅を確保することが好ましい。
【0024】
扉体150は、片開式であり、扉体150と、天井130とヒンジ151を介して回動可能に接続されている。また、扉体150の下面150Lは、パワーシリンダ40のピストン部41が回動可能に接続されている。パワーシリンダ40の本体部42は、側壁120に回動可能に接続されている。開扉時には、パワーシリンダ40を動作してピストン部41を伸ばすことで扉体150はヒンジ151を中心に床110から天井130の方向に回動する。また、閉扉時には、ピストン部41を後退させて短縮することで、扉体150はヒンジ151を中心に天井130から床110の方向に回動する。
【0025】
開口部140は、
図3にも示すように、平面視で長方形の孔である。扉体150の回動端部155に対向する端部対向面145は、傾斜が設けられている。この傾斜は、図示下方に行くに連れて開口部140の図示左右幅を次第に狭める態様の勾配を有し、扉体150が回動するとき、扉体150の対向端部が、端部対向面145と干渉することを回避するためのものである。このため、回動端部155は、端部対向面145に面対面で当接続可能な傾斜面となっている。端部対向面145を除く他の3面については、傾斜は設けられておらず、床110に垂直な平坦面か、扉体150の回動軸に対して垂直な面となっている。なお、回動軸は、扉体150がヒンジ151を中心として回動するときの、中心となる軸である。
【0026】
梯子50の一端は床110に、他端は扉体150に、それぞれの端部が回動できる状態で接続している。また、梯子50は、扉体150の開閉方向の回動に伴って、その回動を許容する伸縮変位が可能な構造となっている。
【0027】
エレベータ1は、ガイド柱20、昇降部10、および接続ワイヤー装置30を有している。昇降部10は、避難する人が着座できる座部11が設けられとともに、ガイド柱20にスライド可能に取り付けられるスライド環部15を有している。座部11は、座部昇降装置としての第2パワーシリンダ16(座部昇降装置)を介して基台13に固定され、スライド環部15は基台13の端部に固定されている。また、座部11は、避難する人がまたがることができるサドル式が例示されており、着座姿勢を安定させるための取手12が装着されている。座部11は、サドル式に限らず、腰掛けることができる座椅子式であってもよい。また、座部11は第2パワーシリンダ16がピストン部16aを伸縮することで昇降方向D1に昇降する(
図8参照)。
【0028】
ガイド柱20は、昇降方向D1に延びており、一端は床110に、他端は開口部140近傍の天井130にボルト接合(図示略)により、接続固定されている。ボルトを取り外すことにより、ガイド柱20は、床110、及び天井130から取り外すことができる構造となっている。
【0029】
接続ワイヤー装置30は、接続ワイヤー31と、接続ワイヤー31を巻き取り、あるいは巻き伸ばしできる調整部32を有している。調整部32は、昇降部10の下端に位置する基台13に取り付けられ接続ワイヤー31の端部は扉体150に接続している。本実施形態では、調整部32としてウインチを例示している。
【0030】
図2に示す通り、スライド環部15およびガイド柱20は角筒であり、スライド環部15の内面とガイド柱20の外面が接している。また、平面視でガイド柱20はスライド環部15の内部領域に位置している。これにより、スライド環部15は、軸回りの回動が拘束された状態で、ガイド柱20に沿って昇降方向D1に昇降する。ここでいう、昇降方向D1とは、鉛直方向、床110に垂直な方向、あるいは天井130に垂直な方向である。
【0031】
図1(a)、(b)、及び
図3に示す通り、扉体150は、片開式であり、ヒンジ151を介して天井130に回動可能に接続している。また、扉体150は外周部に、環状部材153を有している。扉体150が開口部140を閉鎖したとき、環状部材153の外縁は天井130に、パッキン160を介して接する。扉体150の厚さは天井130の厚さと同じ厚さに設定されており、開口部140に挿入できる大きさとなっている。扉体150は、天井130と同じで、鉄筋コンクリート製である。
【0032】
ヒンジ151は、扉体150の回動を制限するストッパ152が装着されている。ストッパ152が天井130の上面に接することで扉体150の上昇方向(床110から天井130に向かう方向)の回動は停止する。また、環状部材153が、パッキン160を介して天井130の上面に接触することで扉体150の下降方向(天井130から床110に向かう方向)の回動が停止する。
【0033】
図4(a)、(b)に示す通り、パッキン160は、第1パッキン161と第2パッキン162を有しており、開口部140を取り囲む状態で、天井130の上面に取り付けられている。第1パッキン161は、主に雨水の侵入を防止することを目的としており、第2パッキン162の外周側に設けられている。第2パッキン162は、主に津波の襲来等でシェルター100が水没したとき、室内100aへの浸水を防止することを目的としている。
【0034】
第1パッキン161は、スポンジシリコンタイプであり、第2パッキン162は、耐圧シリコンタイプである。また、第2パッキン162の立ち上がり高さは、第1パッキン161よりも低く設定されている。本実施形態では、第1パッキン161の本数は1本、第2パッキン162の本数は2本を例示しているが、これに限るものではない。
【0035】
図5(a)に示す通り、扉体150が開口部140を閉鎖する状態において、パワーシリンダ40による力が扉体150に作用せず、扉体150の重さのみがパッキン160に付加される状態では、第2パッキン162と環状部材153との間は若干の隙間が生じており、第1パッキン161のみが環状部材153に接する状態となっている。この状態を創出することで雨水の浸水を防ぐことができる。また、津波襲来時などにおいて、地上に設けられる水位計が周囲の水位が一定の水位を超えたと認識したとき、パワーシリンダ40を動作して、扉体150を下方に引き下げる力を負荷する。そうすると、第1パッキン161は圧縮されて、立ち上がり高さが次第に低くなることで、環状部材153は、第2パッキン162に接触した後に、第2パッキン162を押圧する(
図5(b)参照)。この状態を創出することで、第1パッキン161と第2パッキン162が協働して室内100aの浸水を防止する。
【0036】
扉体150が、開口部140を閉鎖する状態を維持するために、
図6(a)、(b)に示す通り、パワーシリンダ40に対向する位置に、ロック機構170が設けられている。ロック機構170は、
図7(a)~(c)に示す通り、扉体150が開口部140を閉鎖するとき、バネ172で移動するラッチ171が嵌合穴173aに挿入されることで、扉体150の開放方向の回動変位を制限する。ラッチ171は、天井130の下面に取り付けられ、嵌合穴173aが設けられる嵌合部材173は、ラッチ171に対向する状態で、扉体150に取り付けられている。
【0037】
なお、扉本150が
図5(a)の状態にあるとき、言い換えれば、環状部材153が第1パッキン161のみと接触しているとき、ロック機構170は
図7(b)の状態に調整され、扉本150が
図5(b)の状態にあるとき、言い換えれば、環状部材153が第1パッキン161と第2パッキン162の双方に接触するとき、扉本体は
図7(c)の状態に調整されている。
【0038】
シェルター100の室内100aへの避難手順について、説明する。
【0039】
避難者が避難する前は、
図5(a)の状態となっており、扉体150は、開口部140を閉鎖している。また、昇降部10の基台13は床110に置かれた状態となっている。さらに、環状部材153は第1パッキン161と接触した状態、すなわち雨水のシェルター室内100aへの侵入を阻止できる状態となっている。
【0040】
また、避難するときは、パワーシリンダ40を動作して、ピストン部41を伸長する。パワーシリンダ40の動作は、リモコンによる遠隔操作で行う。これにより、扉体150は床110から天井130の方向に向かって回動する。回動はストッパ152が天井130に接触することで停止する。同時に、梯子50が伸長するとともに昇降部10が昇降方向D1に沿って上昇する。その後、調整部32を動作して接続ワイヤー31を巻き取ることで接続長さを短くしていく。これにより昇降部10はさらに上昇し、その上昇は、スライド環部15が天井130の下面に接触することで停止される。さらに、第2パワーシリンダ16を動作してピストン部16aを伸長させることで、座部11を昇降方向D1上昇させる。座部11は、少なくとも天井130の上面から突出する高さとなることが好ましい。
【0041】
エレベータ1の座部11に着座した後に、扉体150を回動する。扉体150が開口部140を閉鎖したとき、扉体150の回動は停止するとともに昇降部10の下降は停止する。このとき、基台13と床110の間に隙間が生じる状態となる。調整部32を動作して接続ワイヤー31の接続長さを長くすることで、基台13を床110に降ろして設置させることができる。
【0042】
扉体150を
図5(b)の状態とすることで、第1パッキン161及び第2パッキン162は環状部材153に接触して開口部140の隙間は、水密に封止される。同時にロック機構170は
図7(c)の状態、すなわち扉体150はロック状態となる。これにより、シェルター100が所定深さの水深に置かれたとしてもシェルター室内100aの浸水を免れ得る。また、波力や、流水の影響を受けたとしても、扉体150は開口部140閉鎖状態を維持し、開口部140の不用意な開放を免れ得る。
【0043】
本実施形態は例示であり、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で改変できることは勿論である。例えば、扉体は出入りが可能な筐体(図示略)に収容されることが好ましい。扉体が筐体に収容されることで、仮に、開口部140を開放する状態としておいても雨水の室内100aへの侵入は阻止できる。さらに、筐体に入室することで、直ちに梯子50及び昇降部10を利用して室内100aに入室できる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明に係るシェルター用エベーターを活用することで、足が不自由な方々も容易に地下シェルターへの避難の道が開ける。これにより、地下シェルターの普及に大きく貢献できることから産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0045】
1 :シェルター用エレベータ(エレベータ)
10 :昇降部
11 :座部
16 :第2パワーシリンダ(座部昇降装置)
20 :ガイド柱
30 :接続ワイヤー装置
31 :接続ワイヤー
32 :調整部
100 :シェルター
100a :室内
110 :床
120 :側壁
130 :天井
140 :開口部
150 :扉体
D1 :昇降方向
【要約】
【課題】シェルターに避難するとき、高齢者の方々や、足の不自由な方々に身体的な負担をかけることなく迅速に避難できるシェルター用エレベータを提供する。
【解決手段】シェルター用エレベータ1は、シェルター100の室内100aに設置される。エレベータ1は、ガイド柱20、昇降部10、および接続ワイヤー装置30を有する。昇降部10は、座部11が設けられ、昇降方向D1に延びるガイド柱20にスライド可能に取り付けられる。接続ワイヤー装置30は、接続ワイヤー31と、接続ワイヤー31を巻き取り、巻き伸ばしできる調整部32を有しており、調整部32は、昇降部10の下端に位置する基台13に取り付けられ接続ワイヤー31の端部は扉体150に接続している。扉体150の回動に伴って、昇降部10は昇降方向D1に昇降する。座部11は、第2パワーシリンダ16(座部昇降装置)がピストン部16aを伸縮することで昇降方向D1に昇降する。
【選択図】
図1