IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タイコエレクトロニクス フランス エスアーエスの特許一覧

<>
  • 特許-コネクタソケット用接続アセンブリ 図1
  • 特許-コネクタソケット用接続アセンブリ 図2
  • 特許-コネクタソケット用接続アセンブリ 図3
  • 特許-コネクタソケット用接続アセンブリ 図4
  • 特許-コネクタソケット用接続アセンブリ 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】コネクタソケット用接続アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/642 20060101AFI20240717BHJP
   H01R 4/18 20060101ALI20240717BHJP
   H01R 13/10 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
H01R13/642
H01R4/18 A
H01R13/10 A
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023009086
(22)【出願日】2023-01-25
(65)【公開番号】P2023110889
(43)【公開日】2023-08-09
【審査請求日】2023-03-17
(31)【優先権主張番号】2200771
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】518105024
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクス フランス エスアーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】アレクシス メッタヴァン
(72)【発明者】
【氏名】イマド スミラニ
(72)【発明者】
【氏名】グザヴィエ ルイヤール
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-032622(JP,A)
【文献】特開平03-155073(JP,A)
【文献】特開2018-049826(JP,A)
【文献】特表2018-514917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/00- 4/22
H01R13/10-13/14
H01R13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタソケットのピンに電気的に接続されるように構成されている電気接続端子(12)を備えるアセンブリ(10)と、前記アセンブリ(10)が挿入されている、コーディングハウジング(100)とを備えるアセンブリであって、
前記アセンブリ(10)は、前記コネクタソケットに差し込み可能なコーディングハウジング(100)に収容されるように構成され、
前記電気接続端子(12)は、少なくとも1つの接続部分(18)および1つの圧着部分(16)を備え、
前記圧着部分(16)は、前記コネクタソケットの前記ピンと接続される電気ケーブルを受け入れて圧着するように構成され、
前記接続部分(18)は、前記コネクタソケットの前記ピンを受け入れるように構成され、円筒構造体(30)を形成する側壁(28)を備え、前記接続部分(18)の前記側壁(28)は、少なくとも1つの開口部(36)を備えており、
前記アセンブリ(10)は、リング(14)をさらに備え、前記リング(14)は、前記接続部分(18)の周囲に組み付けられ、前記コーディングハウジング(100)が前記電気接続端子(12)に対して回転移動可能であるように前記コーディングハウジング(100)と形状嵌めにより接続するように構成されており、
前記リング(14)は、径方向において前記電気接続端子(12)と前記コーディングハウジング(100)との間に配され、
前記コーディングハウジング(100)は、形状嵌めによる接続により前記アセンブリ(10)に保持され、前記電気接続端子(12)に対して回転移動可能であり、
前記リング(14)の第1の軸方向端部(52)には、径方向において前記リング(14)の内側(46)に向かって突出するリム(54)が部分的に設けられ、
前記コーディングハウジング(100)の前記圧着部分(16)から離れている側の端部(116)は、前記リム(54)が前記リング(14)の中心長手軸(A)に平行な方向において押し掛かる保持面(118a)を形成する座ぐり穴(118)を備えることを特徴とする、
アセンブリ。
【請求項2】
前記コーディングハウジング(100)は、前記コーディングハウジング(100)の外面(106)から突出する少なくとも1つのコーディングリブ(104)を備え、前記外面(106)は、前記コネクタソケットと接触することが意図されている、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記コーディングハウジング(100)は、前記コーディングハウジング(100)の側壁(108)に形成されているランス(110)により構成されている少なくとも1つのスナップ嵌め手段(102)を備え、前記ランス(110)の長さは、前記ランス(110)の自由端部が前記リング(14)の前記中心長手軸に平行な方向において前記リング(14)の前記第1の軸方向端部(52)とは反対側の第2の軸方向端部(56)における縁部(58)に対向するように適合されている、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記コーディングハウジング(100)と前記リング(14)との間の形状嵌め接続が、前記ランス(110)の自由端部と前記コーディングハウジングの前記端部(116)前記座ぐり穴(118)との間における前記リング(14)の軸方向の配置により実現され、前記座ぐり穴の直径は、前記コネクタソケットの前記ピンが通過することを可能とするように構成されている、
請求項に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記リング(14)は、前記少なくとも1つの開口部(36)の各々を横方向に覆うように、前記接続部分(18)の周囲に配置されている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記リング(14)は、前記接続部分(18)にスナップ嵌めにより組み付けられ、前記接続部分(18)の前記少なくとも1つの開口部(36)にスナップ嵌めされている少なくとも1つのロック手段(42)を備える、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記リング(14)の前記少なくとも1つのロック手段(42)は、前記リング(14)の内面(44)から前記リング(14)の前記内側(46)に向かって突出する突出部(42)により形成され、前記内面(44)は、前記接続部分(18)の前記側壁(28)と接触している、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記リング(14)は、それぞれ前記突出部(42)の両側に沿って、前記リング(14)の前記中心長手軸(A)に平行に延びる2つの長手方向開口部(48)を備える、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記接続部分(18)の一部分(68)が、前記リング(14)の前記少なくとも1つの突出部(42)と、径方向において前記リング(14)の前記内側(46)に向かって突出する前記リング(14)の前記リム(54)との間に画定されている凹部における形状嵌めによる接続により、前記リング(14)に保持されている、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記接続部分(18)の前記一部分(68)は、前記少なくとも1つの開口部(36)と前記接続部分(18)の軸方向自由端部(40)との間に画定されている、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記リング(14)は、プラスチックから作製されている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記電気接続端子(12)は、銅材料の帯材から作製されているスタンピング加工端子であり、前記少なくとも1つの開口部(36)は、貫通開口部(36)である、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記接続部分(18)の前記側壁(28)は、円周溝を有しない、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記圧着部分(16)は、電気ケーブルと接触することが意図されている前記圧着部分(16)の面(24)から突出する保持リブ(26)を備える、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記コーディングハウジング(100)は、プラスチックから作製されている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記リング(14)は、前記接続部分(18)が少なくとも部分的に前記リング(14)に挿入されたときに、前記接続部分(18)の軸方向自由端部(40)を前記リム(54)に当接した状態に保持することができるように構成される、請求項1に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタソケットのピンに電気的に接続されるように構成されている電気接続端子を備えるアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
電気コネクタ、特に電気自動車に搭載される電気コネクタの分野において、フールプルーフ手段により電気ケーブルとコネクタソケットとの間の誤接続を防止することが知られている。フールプルーフ手段は、1つの対応するソケットおよび/または単一の接続方向のみを許可することにより、人または機械が原因の誤接続を回避することを可能とする。
【0003】
図1に示すような円形断面の端子の既知の適用例においては、ケーブル11に圧着された電気接続端子1を、概して管状のコーディングハウジング3に挿入することが知られている。コーディングハウジング3は、端子1が差し込まれることが意図されるコネクタソケット9の対応するノッチ7に特別に適合されるリブ5を備える。リブ5および対応するノッチ7は、所定の端子1およびソケット9の対を正しく差し込むための、ケーブル操作者に対するインジケータとして機能する。従来技術において、端子1に圧着されたケーブル11および端子1は、図1および図2の図では視認不可能な圧着フェルールにより互いに回転が固定される。また、ケーブル11および端子1により構成されるアセンブリは、コーディングハウジング3に対して回転が固定される。
よって、特にカバー15およびカバー15にスナップ嵌めされたキャップ17を備える、図1において13で表すアセンブリの様々な要素は、互いに対して回転移動不可能である。アセンブリ13が備える端子1は、コーディングハウジング3、カバー15およびキャップ17に隠れているため、図1に示すアセンブリ13においては視認不可能であることに留意されたい。ただし、アセンブリ13における端子1は、図2に係る断面図において視認可能である。よって、図2は、ソケット9に差し込まれた上記アセンブリ13の断面図を示し、ソケット9のピン17に差し込まれた電気接続端子1を示す。図2は、図1においても部分的に視認可能なコーディングハウジング3のスナップ嵌めランス19の頭部19aが、端子1の貫通開口部21(図1において明確に視認可能な貫通開口部21)にスナップ嵌めされることを強調している。
端子1は、特に穿孔加工によって貫通開口部21の形成を可能とする製造方法である銅材料の帯材からのスタンピング加工により、低コストで製造することができる。よって、貫通開口部21は、形成が容易かつ経済的であり、スナップ嵌めによりコーディングハウジング3を端子1に保持するための簡略な手段を提供する。端子1の貫通開口部21へのスナップ嵌めランス19の、「スナップ嵌め接続」とも呼ばれるスナップ嵌めにより、端子1に対するコーディングハウジング3の並進および回転の移動をロックすることが可能となる。このため、従来技術において既知のアセンブリ13においては、コーディングハウジング3の端子1に対する回転が阻止される。よって、アセンブリ13が組み立てられると、ケーブル操作者がソケット9のノッチ7に対してコーディングハウジング3の向きを変えることができない。
【0004】
しかしながら、コーディングハウジング3のリブ5がソケット9のノッチ7に正しくスナップ嵌めされるように、リブ5の向きを調整する必要があることが判明する場合がある。端子1に対するコーディングハウジング3の回転移動が不可能であることは、図1に示すように一対のケーブル11が共通のカバー15にロックされる場合にはよりいっそう不都合である。実際、この場合、2つのコーディングハウジング3がアセンブリ13の装着の間に正しく位置合わせされている必要がある。そうでない場合、アセンブリ13を分解して新たに組み立てないと、ノッチ7に対するリブ5の角度ずれを修正することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって、本発明は、特に、例えばスタンピング加工よりも高コストな製造方法により得られる冷間成形または機械加工された端子の使用を回避することにより、設計および製造コストを最適化しつつ、ソケット9への差し込みのためにコーディングハウジングの角度調整を可能とすることにより、ソケット9との組み付けを容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る目的は、コネクタソケットのピンに電気的に接続されるように構成されている電気接続端子を備えるアセンブリにより実現される。アセンブリは、コネクタソケットに差し込み可能なコーディングハウジングに収容されるように構成され、電気接続端子は、少なくとも1つの接続部分および1つの圧着部分を備え、圧着部分は、コネクタソケットのピンと接続される電気ケーブルを受け入れて圧着するように構成され、接続部分は、コネクタソケットのピンを受け入れるように構成され、円筒構造体を形成する側壁を備え、接続部分の上記側壁は、少なくとも1つの開口部を備える。アセンブリは、接続部分の周囲に組み付けられ、コーディングハウジングが電気接続端子に対して回転移動可能であるようにコーディングハウジングと形状嵌め(positive fit、ポジティブフィット)により接続するように構成されているリングをさらに備える。
【0007】
リングは、コーディングハウジングが電気接続端子の周囲にわたって移動することを可能とすることにより、電気接続端子に対するコーディングハウジングの回転を可能とする。
【0008】
さらに、これにより、新たな端子を設計する必要がなくなり、それにより、図1および図2に示すような従来技術の銅材料の帯材から作製されるスタンピング加工端子を用いることが可能であるため、設計および製造コストを最適化することが可能となる。
【0009】
形状嵌めによる接続は追加的な固定手段または器具の存在を必要としないため、リングを電気接続端子に容易に組み付けることができる。よって、簡略かつ経済的な解決策が得られる。
【0010】
本発明のアセンブリは、以下の実施形態によって、またそれらに従って、さらに改善することができる。
【0011】
一実施形態によれば、リングは、少なくとも1つの開口部の各々を横方向に覆うように、接続部分の周囲に配置されてよい。
【0012】
実際、コーディングハウジングのスナップ嵌め手段を端子の開口部に収容することで、コーディングハウジングをスナップ嵌めにより端子に保持することが知られている。しかしながら、スナップ嵌め手段を開口部に収容することは、端子に対するコーディングハウジングの回転を防止する効果を有する。端子の開口部が本発明の一実施形態に係るリングにより覆われることで、コーディングハウジングのスナップ嵌め手段がそこにスナップ嵌めされることが不可能となる。よって、リングは、接続部分の開口部を覆うことにより、電気接続端子に対するコーディングハウジングの回転がロックされる、すなわち阻止されることを回避することを可能とする。
【0013】
一実施形態によれば、リングは、接続部分にスナップ嵌め(snap-fitting)により組み付けられてよく、接続部分の少なくとも1つの開口部にスナップ嵌めされている(snap-fitted)少なくとも1つのロック手段を備える。
【0014】
通常はコーディングハウジングのスナップ嵌め手段を受け入れることが意図される、従来技術に係る電気接続端子に存在する接続部分の開口部が、別の新たな機能を果たすことができる点が有利である。すなわち、本発明に係る開口部は、電気接続端子に対するリングのスナップ嵌めによる接続を可能とする。従来技術に係る電気接続端子は、構造的な改変を必ずしも必要とすることなく、本発明に係るアセンブリにおいて再利用することができる点が有利である。よって、上記アセンブリは、経済的利点を提供する。
【0015】
一実施形態によれば、リングの少なくとも1つのロック手段は、リングの内面からリングの内側(46)に向かって突出する突出部により形成されてよく、上記内面は、接続部分の側壁と接触している。
【0016】
よって、リングは、上記少なくとも1つの突出部によって、電気接続端子に対するリングのスナップ嵌めによる接続を可能とするように特別に設計される。スナップ嵌めによる接続は、簡略かつ経済的な組み立ての解決策を供する。
【0017】
一実施形態によれば、リングは、それぞれ上記突出部の両側に沿って、リングの中心長手軸に平行に延びる2つの長手方向開口部を備えてよい。
【0018】
突出部の両側における開口部の存在により、突出部における側壁の可撓性を増大させることが可能となる。よって、開口部の存在により、リングの側壁の弾性変形により生じる突出部のスナップ嵌めを容易にすることができる。
【0019】
一実施形態によれば、接続部分の一部分が、リングの少なくとも1つの突出部と、径方向においてリングの内側に向かって突出するリングのリムとの間に画定されている凹部における形状嵌めによる接続により、リングに保持されてよい。
【0020】
よって、リングは、リングと電気接続端子との間の形状嵌めによる接続を可能とする凹部を提供するように特別に適合される。リングおよび電気接続端子は、容易にかつ追加的な固定手段または器具を必要とすることなく、互いに組み付けることができる。
【0021】
一実施形態によれば、接続部分の上記一部分は、少なくとも1つの開口部と接続部分の軸方向自由端部との間に画定されてよい。
【0022】
よって、アセンブリは、従来技術において既知のような電気接続端子の接続部分を、形状嵌めによる接続によりリングに保持することができるように設計される。特に改変を必要とすることなく、従来技術の電気接続端子の再利用が可能であることは、経済および物流上の利点を本発明に係るアセンブリに提供する。
【0023】
一実施形態によれば、リングは、プラスチックから作製されてよい。
【0024】
よって、リングは、特にプラスチック射出成形により、容易にかつより低コストで作製することができる。さらに、プラスチック材料により、上記アセンブリの質量に過度な悪影響を及ぼさないようにすることが可能となる。
【0025】
一実施形態によれば、電気接続端子は、銅材料の帯材からスタンピング加工された端子であってよく、少なくとも1つの開口部は、貫通開口部であってよい。
【0026】
銅材料の帯材から作製されたスタンピング加工端子は、冷間成形または機械加工された端子よりも安価に製造できる点が有利である。
【0027】
さらに、銅材料の帯材から作製されたスタンピング加工端子に貫通開口部を開けることはかなり容易であるが、銅材料の帯材からスタンピング加工された端子に(肩部を得るために)円周溝を形成することは、少なくとも容易にはできない。よって、本発明に係るリングは、そのような肩部を設けることを可能とする。
【0028】
一実施形態によれば、接続部分の側壁は、円周溝を有しなくてよい。
【0029】
円周溝を設ける必要がないため、銅材料の帯材からのスタンピング加工により、すなわち簡略かつ経済的な製造方法により、電気接続端子を形成することができる点が有利である。これに対し、円周溝の形成には、端子が冷間成形または機械加工される必要があるため、より高コストな製造方法が必要となる。
【0030】
一実施形態によれば、圧着部分は、電気ケーブルと接触することが意図されている圧着部分の面から突出する保持リブを備えてよい。
【0031】
保持リブの存在は、特に軸方向の引張応力に対する、ケーブルのより良好な保持に寄与する。
【0032】
本発明の目的はまた、前出の実施形態のいずれか1つに係るアセンブリと、特にプラスチックから作製されているコーディングハウジングとを備えるアセンブリにより実現される。リングは、径方向において電気接続端子とコーディングハウジングとの間に配され、コーディングハウジングは、形状嵌めによる接続により上記アセンブリに保持され、電気接続端子に対して回転移動可能である。
【0033】
前出の実施形態に記載のアセンブリに関する利点は、このアセンブリにおいても存在する。さらに、このアセンブリにより、電気ケーブルが電気接続端子に圧着された場合であっても、コネクタソケットの対応するコーディングノッチに収容されるように回転移動可能なコーディングハウジングを提供することが可能となる。よって、電気ケーブルの圧着後であっても、ケーブル操作者がコーディングハウジングを端子に対して回転操作することができる点が有利である。
【0034】
リングが径方向において電気接続端子とコーディングハウジングとの間に配されるため、本発明に係るコーディングハウジングは、リングを収容することを可能とするために、従来技術のコーディングハウジングに対してより広い内部凹部を有する。よって、従来技術において既知のコーディングハウジングに対して、本発明に係るコーディングハウジングは、より薄い側壁を有していてよい。
【0035】
本発明に係るアセンブリは、以下の実施形態によってさらに改善することができる。
【0036】
一実施形態によれば、コーディングハウジングは、コーディングハウジングの外面から突出する少なくとも1つのコーディングリブを備えてよく、上記外面は、コネクタソケットと接触することが意図される。
【0037】
コーディングハウジングには、コーディングリブが設けられてよく、その数、周方向の分布および寸法は、コネクタソケットに特別に適合される。コーディングにより、行うべき正しい接続をケーブル操作者に示すことが可能となる。よって、これにより、組み立てを容易にし、誤接続を回避することが可能となる。よって、コーディングリブは、誤り防止機能を有する。
【0038】
一実施形態によれば、コーディングハウジングは、コーディングハウジングの側壁に形成されているランスにより構成されている少なくとも1つのスナップ嵌め手段を備えてよく、上記ランスの長さは、ランスの自由端部がリングの長手軸に平行な方向においてリングの縁部に対向するように適合される。
【0039】
ランスは、定義上、いわゆる「自由」端部を備える構造的要素を提供する。従来技術においては、スナップ嵌めによる接続を可能とするために、スナップ嵌め手段が接続部分の開口部と同じ高さとなるようにランスのサイズが定められていたが、本発明の実施においては、この寸法条件が不要となる。ランスは、ランスが接続端子の側壁において回転移動可能であるように、本発明に係るリングに適合された長さを有する。
【0040】
一実施形態によれば、コーディングハウジングとリングとの間の形状嵌めによる接続が、ランスの自由端部とコーディングハウジングの端部の座ぐり穴との間におけるリングの軸方向の配置により実現されてよく、座ぐり穴の直径は、コネクタソケットのピンが通過することを可能とするように構成される。
【0041】
コーディングハウジングの座ぐり穴およびスナップ嵌め手段、特にランスは、凹部を画定し、形状嵌めにより端子の軸方向に沿ったリングの並進が保持される。よって、コーディングハウジングに対するリングの長手方向の移動が防止され、一方で上記アセンブリに対するコーディングハウジングの回転が可能となる。
【0042】
好適な実施形態を用いて、また特に以下の添付の図面を参照することにより、本発明およびその利点を以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】従来技術に係るアセンブリの部分分解組立図である。
図2図1のアセンブリの断面図である。
図3】本発明に係る電気接続端子およびリングを備えるアセンブリの分解組立図である。
図4図3に示すアセンブリを備える、本発明に係るアセンブリの部分分解組立図である。
図5図4のアセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
ここで、有利な実施形態を一例として用い、図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。説明される実施形態は、単に可能な構成であり、上述のような個々の特徴は、互いに独立して提供されてもよく、または本発明の実施において完全に省略されてもよいことに留意されたい。
【0045】
本発明に係る電気接続端子12およびリング14のアセンブリ10を、図3に示す。
【0046】
電気接続端子12は、中心軸Aに沿って長手方向に延びる。中心軸Aに沿って、電気接続端子12は、2つの部分16、18を主に備える。より具体的には、電気接続端子12は、少なくとも1つの圧着部分16および1つの接続部分18を備える。
【0047】
圧着部分16は、コネクタソケットのピン(図3では不図示、図5の参照符号9、25を参照)と接続される電気ケーブル(図3では不図示、図5の参照符号62を参照)を受け入れて圧着するように構成される。圧着部分16は、特に対称な2つの壁22が両側に延びる基部20で構成される。壁22の内面24、すなわち電気ケーブル(図3では不図示、図5の参照符号62を参照)と接触することが意図される面には、有利には、端子12への電気ケーブルの圧着による保持力を向上させるための複数の突出保持リブ26が備えられてよい。壁22は、実際、圧着により電気ケーブルを保持するために電気ケーブルに折り重ねられるように構成される。
【0048】
接続部分18は、コネクタソケットのピン(図3では不図示、図5の参照符号9、25を参照)を受け入れるように構成される。接続部分18は、中心軸Aに垂直な断面において円筒構造体30を形成する側壁28を備える。特に、円筒構造体30は、8mmの直径を有する。円筒構造体30は、接続部分18において基部20から両側に延びる2つの壁32、34を折り曲げることにより得られる。壁32、34のそれぞれの自由縁部32a、34aは、側壁28を円筒構造体30に形成するために、概して互いに相補的な幾何学的外形を有する。
【0049】
側壁28は、少なくとも1つの開口部36を備える。開口部36は、非貫通の凹部または貫通孔であってよい。図3に示す実施形態において、開口部36は、側壁28の両面を通して、すなわち側壁28の厚さEの全長にわたって延びる孔36を形成しているという点において、貫通している。開口部36は、概して半楕円形状を有し、その平坦基部38が、接続部分18の端部40に向かう側に配される。
【0050】
図3に示す実施形態において、側壁28は、2つの貫通開口部36を備えるが、図3における端子12の向きに起因して、そのうちの1つのみが視認可能である。
【0051】
電気接続端子12は、特に冷間成形または機械加工された端子と比較して、実行が容易かつ経済的な製造方法である、銅材料の帯材からのスタンピング加工により形成されてよい。
【0052】
コネクタソケットのピン(図3では不図示、図5を参照)との電気的接触を向上させることを可能とする、円筒構造体30の内側に配される環状ばね200が、図3の開口部36を通して視認可能である。環状ばね200は、図3の例においては半穿孔202、すなわち非貫通の凹部である保持手段202により円筒構造体30に保持される。
【0053】
本発明によれば、アセンブリ10は、長さL、および接続部分18の外径「De」と同等であるように適合される内径「Di」のリング14をさらに備える。よって、リング14は、図4に示すように、少なくとも部分的に接続部分18の周囲に配置されるようなサイズを有する。リング14は、貫通開口部36へのロック手段42のスナップ嵌めにより、接続部分18に保持される。図3に示すリング14の実施形態において、ロック手段42は、リング14の内面44からリング14の内側46に向かって突出する少なくとも1つの突出部42により形成される。内面44は、図4に示すように、接続部分18の側壁28と接触することが意図される。図3に示す実施形態において、リング14は、2つの突出部42を備えるが、図3におけるリング14の向きに起因して、そのうちの1つのみが視認可能である。
【0054】
図3に示す実施形態において、リング14は、それぞれ上記突出部42の両側において、かつ端子12の中心軸Aと位置合わせされるリング14の中心軸Aに平行に延びる、特に直線状である2つの長手方向開口部48が設けられた側壁50を備える。突出部42の両側における開口部48の存在により、各突出部42におけるリング14の側壁50の可撓性を増大させることが可能となる。よって、開口部48の存在により、リング14の側壁50の弾性変形により生じる各突出部42のスナップ嵌めを容易にすることができる。
【0055】
さらに、リング14の軸方向端部52には、リング14の内側46に向かって突出するリム54が部分的に設けられる。その結果、リング14の内径「Di」は、リム54において減少する。これにより、接続部分18が少なくとも部分的にリング14に挿入されたときに、接続部分18の端部40を、リング14のリム54に当接した状態に保持することが可能となる。この当接は、以下で説明する図5の断面図においてより良好に視認可能である。
【0056】
リング14にはさらに、端部52とは軸方向反対側の端部56が設けられる。
【0057】
本発明の一実施形態によれば、リング14は、プラスチックから作製される。よって、リング14は、特にプラスチック射出成形により、容易にかつより低コストで作製することができる。さらに、プラスチック材料により、アセンブリ10が過度に重くならないようにすることが可能となる。
【0058】
図4に示す一実施形態によれば、組み立てられたアセンブリ10において、リング14は、端子12の貫通開口部36の各々を横方向に覆うように、接続部分18の周囲にスナップ嵌めにより保持される。したがって、リング14は、端子12の貫通開口部36の各々を覆うのに十分な長さLを有する。このため、貫通開口部36は、図4の図では視認不可能である(ただし、図5の断面図には存在する)。
【0059】
図4に示すように、組み立てられたアセンブリ10において、リング14の端部56におけるリング14の縁部58は、接続部分18の側壁28に対して径方向における幅Bの肩部60を形成する。幅Bは概して、リング14の側壁50の厚さBに対応する。換言すると、肩部60は、幅Bの面60を提供する。
【0060】
コーディングハウジング100の回転移動について、図4および図5に関して以下で説明する。
【0061】
ケーブル62がアセンブリ10に圧着されると、すなわち、特に、コネクタのタイプに応じて金属編組体をシールドに圧着するために圧着フェルールが追加されると、それによりケーブル62と圧着されたアセンブリ10が、カバー64に組み付けられてよい。ケーブル62は、それ自体は既知である従来技術の方法でカバー64にスナップ嵌めされる保持キャップ66により、カバー64に間接的に保持される。
【0062】
概して管状のコーディングハウジング100は、リング14が径方向において電気接続端子12とコーディングハウジング100との間に配置されるように、本発明に係るアセンブリ10を少なくとも部分的に受け入れるようなサイズを有する。この配置は、図5の断面図により強調されている。従来技術において既知のコーディングハウジング3の内部凹部の直径E1(図2参照)に対して、本発明に係るコーディングハウジング100は、電気接続端子12に加えてリング14を内部に収容することを可能とするために、より広い直径E2(図5に示す)の内部凹部を有する。結果として、従来技術において既知のコーディングハウジング3に対して、本発明に係るコーディングハウジング100は、より薄い側壁108を有していてよい。
【0063】
コーディングハウジング100は、誤り防止機能を提供するために、アセンブリ10に組み付けられる。この目的で、コーディングハウジング100は、コーディングハウジング100の側壁108の外面106から突出する少なくとも1つのコーディングリブ104を備える。外面106は、コネクタソケット9と接触することが意図される。そのようなソケット9は、従来技術において既知である。ソケット9は、ピン25が突出する円筒形空洞23を備える。円筒形空洞23の周囲27は、ノッチ7を備え、その数および形状は、コーディングリブ104と相補的である。コーディングハウジング100には、コーディングリブ104が設けられ、その数、周方向の分布および寸法は、コネクタソケット9のノッチ7に特別に適合される。
コーディングにより、行うべき正しい接続をケーブル操作者に示すことが可能となる。よって、これにより、組み立てを容易にし、誤接続を回避することが可能となる。よって、コーディングリブ104は、フールプルーフ機能を有する。
【0064】
コーディングハウジング100にはさらに、少なくとも1つの、特に2つのスナップ嵌め手段102が設けられ、その各々が、コーディングハウジング100の側壁108に形成されるランス110により構成される。ランス110は、図5の断面図においてより良好に視認可能である。ランス110の各々は、中心軸Aに沿って長手方向に延び、多角形のランス頭部110を備える、すなわち共に隆起を形成する複数の平坦面を備える自由端部112により終端する。特に、ランス頭部110aは、中心軸Aに垂直に延びる平坦面114を備える。平坦面114は、軸Aに沿ってコーディングハウジング100の自由端部116から距離D1を空けて配置される。
コーディングハウジング100の全長D2(図4参照)および距離D1(図5参照)、特に比D1/D2は、コーディングハウジング100が端子12およびリング14に対して回転移動可能である(回転移動は、図4において矢印Rで示されている)ように、ランス頭部110a、特にランス110の平坦面114がリング14の肩部60に対向するように適合される。図5の図において、ランス110の自由端部112の平坦面114とリング14の面60との間には、組み立てクリアランスが存在する。ただし、不図示の別の組み立て済み状態においては、ランス110の自由端部112がリング14の面60に押し掛かるように、平坦面114と面60との間で面接触が生じてもよい。
いずれの場合においても、コーディングハウジング100は、電気接続端子12に対して回転移動可能である。よって、ランス110の自由端部112がリング14の面60に押し掛かる変形例においても、対応する摩擦力は相当に小さいため、端子12に対するコーディングハウジング100の自由な回転が可能である。
【0065】
コーディングハウジング100のランス110は、開口部36まで延びている必要はなく、リング14の縁部58まで延びていればよいことから、従来技術のものよりも短いため、本発明に係るコーディングハウジング100の比D1/D2は、図1および図2のコーディングハウジング3の比D1/D2とは異なる。これに起因して、距離D1は距離D1よりも短い。
【0066】
有利には、電気接続端子12は、図1および図2に示す従来技術の電気接続端子1と同一であってよい。よって、本発明に係るリング14の存在により、コーディングハウジング100の回転が必要とされるアセンブリにおいても、固定された回転の保持が必要なアセンブリにおいても、電気接続端子1を用いることができる。
【0067】
断面である図5はまた、リング14と端子12の接続部分18との間のスナップ嵌めによる接続を強調することを可能とする。リング14の突出部42の平坦支持面42aが、軸Aに平行な方向において半楕円形の貫通開口部36の平坦基部38に当接している。また図5に示すように、接続部分18の一部分68が、リング14の突出部42の平坦支持面42aとリング14のリム54のそれとの間に画定される収容部における形状嵌めによりリング14に保持される。よって、リング14は、端子12の貫通開口部36とのスナップ嵌めによる接続に加えて、リングと端子12の一部分68との間の形状嵌めによる接続を提供するように特別に適合される。よって、リング14および端子12を、容易にかつ追加的な固定手段または器具を必要とすることなく、互いに組み付けることができる。
【0068】
よって、リング14により、電気接続端子12に対するコーディングハウジング100の回転の阻止を防止することが可能となる。リング14は、コーディングハウジング100のスナップ嵌め手段102がリング14の肩部60の周囲にわたって移動することを可能とすることにより、電気接続端子12に対するコーディングハウジング100の回転Rを可能とする。よって、ケーブル操作者は、図4に示すようにハウジング100がアセンブリ70に組み立てられた場合であっても、矢印R(図4参照)に係る方向にコーディングハウジング100を回転させることにより、コーディングハウジング100のコーディングリブ104の環状方向の向きを再調整することができる。
【0069】
さらに、新たな端子を設計する必要がなく、それにより、図1および図2に示すような従来技術の銅材料の帯材から作製されるスタンピング加工端子1を用いることが可能であるため、設計および製造コストを最適化することが可能となる。
【0070】
断面である図5はまた、コーディングハウジング100の端部116が、リング14のリム54が軸Aに平行な方向において押し掛かる保持面118aを形成する座ぐり穴118、すなわち底部が平坦な穴を備えることを強調することも可能とする。よって、リング14のリム54がコーディングハウジング100の座ぐり穴118に当接することにより、コーディングハウジング100に対するリング14の軸Aに沿った長手方向の移動が止められる。他方で、座ぐり穴118の保持面118aとコーディングハウジング100のスナップ嵌め手段102の平坦面114との間に収容部が画定され、そこにおいてリング14の並進が形状嵌めにより保持される。よって、コーディングハウジング100に対するリング14の軸Aに沿った長手方向の移動が防止され、一方で上記アセンブリ10に対するコーディングハウジング100の回転Rが可能となる。
【0071】
上述の様々な実施形態は、共に組み合わされてもよい。コーディングハウジング100のコーディングリブ104の数は、開口部36の数およびランス110の数と同様、限定的ではない。コーディングリブ104、開口部36、ロック手段102などの構造的要素の形状は、本発明の実施形態に従って適合されてよい。
【符号の説明】
【0072】
奇数は、従来技術の要素に関する。
1 端子
3 コーディングハウジング
5 リブ
7 ノッチ
9 コネクタソケット
11 電気ケーブル
13 ソケット9に接続されるアセンブリ
15 カバー
17 スナップ嵌めされ得るキャップ
19 スナップ嵌めランス
19a スナップ嵌めランス頭部
21 貫通開口部
23 円筒形空洞
25 ピン
27 円筒形空洞23の周囲
偶数は、本発明に係る要素に関する。
10 アセンブリ
12 電気接続端子
14 リング
16 圧着部分
18 接続部分
20 ソケット
22 壁
24 壁22の内面
26 保持リブ
28 側壁
360 円筒
32、34 壁
32a、34a 自由縁部
36 開口部
38 平坦ソケット
40 接続部分18の端部
42 ロック手段、突出部
42a 突出部42の平坦支持面
44 リング14の内面
46 リング14の内側
48 長手方向開口部
50 リング14の側壁
52 リング14の端部
54 リム
56 端部
58 リング14の縁部
60 肩部60
62 ケーブル
64 カバー
66 保持キャップ
68 接続部分18の一部分
70 アセンブリ(図4
100 コーディングハウジング
102 スナップ嵌め手段
104 コーディングリブ
106 外面
108 側壁
110 ランス
110a ランス頭部
112 自由端部
114 平坦面
116 コーディングハウジング100の自由端部
118 座ぐり穴
118a 保持面
200 ばね
202 ばね200の保持手段
A 長手方向中心軸
B 肩部60の幅
D1、D1、D2 距離
Di リング14の内径
De 接続部分18の外径
E1 コーディングハウジング3の内部凹部の直径
E2 コーディングハウジング100の内部凹部の直径
E 側壁28の厚さ
L リング14の長さ
R 回転移動
図1
図2
図3
図4
図5