(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】缶詰用包装帯
(51)【国際特許分類】
B65D 71/22 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
B65D71/22
(21)【出願番号】P 2020142242
(22)【出願日】2020-08-26
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000205306
【氏名又は名称】大阪シーリング印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】村中 成仁
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】西独国特許出願公告第01208683(DE,B)
【文献】特開2011-168317(JP,A)
【文献】実開昭60-081848(JP,U)
【文献】実開平01-137871(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 71/12-71/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚のシートを折り曲げ形成することにより形成される缶詰用包装帯であって、
前記シートは、
缶詰の隅部を夫々係止可能な複数の係止孔
を有し、
前記複数の係止孔は、前記缶詰の隅部を係止可能であり、
前記缶詰の隅部を係止可能な係止孔のうち、前記缶詰の隅部の一つを係止する係止孔は、第1の係止孔と、第2の係止孔とで構成され、
前記第2の係止孔には、折り曲げ線の一部が該第2の係止孔に連通している差込片が設けられ、
前記差込片が前記折り曲げ線に沿って折り曲げられて前記第1の係止孔に差し込まれると、前記差込片は、外部に露呈せず前記缶詰用包装帯の内部に隠蔽されるようになっている缶詰用包装帯。
【請求項2】
前記差込片の横幅は、前記第1の係止孔の横幅より幅広に形成されてなる請求項
1に記載の缶詰用包装帯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶詰用包装帯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の缶詰用包装帯として、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1に記載の缶詰用包装帯は、帯状片に設けられた4つの巻締め部に缶詰の四隅を夫々挿入し、缶詰の底面にて、一対の係合片同士を係合することにより、缶詰を保持するようにしているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような缶詰用包装帯は、缶詰を保持することができるものの、一対の係合片同士を缶詰の底面にて係合していることから、缶詰用包装帯にデザインを施した際、見た目が悪いという問題があった。
【0005】
そこで、見た目を考慮し、缶詰の下部側に位置する2つの巻締め部を無くし、その部分を糊付けすることにより、缶詰を保持するようにする缶詰用包装帯が知られている。なお、この際、缶詰の上部側の2隅が、2つの巻締め部に夫々挿入されている。
【0006】
しかして、このようにすれば、係合片同士を係合させるような係合部分が無くなるため、缶詰用包装帯にデザインを施したとしても、見た目が悪いという問題は解消される。
【0007】
しかしながら、この場合、缶詰の上部側の2隅を2つの巻締め部に夫々挿入させているだけであるから、缶詰の下部側をしっかりと保持することができず、もって、缶詰がぐらついてしまうという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、見た目を良くすることができると共に、缶詰をしっかりと保持することができる缶詰用包装帯を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0010】
請求項1の缶詰用包装帯によれば、一枚のシート(S)を折り曲げ形成することにより形成される缶詰用包装帯(1)であって、
前記シート(S)は、
缶詰(C)の隅部を夫々係止可能な複数の係止孔(第1の係止孔2b,第2の係止孔3b,第3の係止孔4b,第4の係止孔5b,第5の係止孔6b)を有し、
前記複数の係止孔(第1の係止孔2b,第2の係止孔3b,第3の係止孔4b,第4の係止孔5b,第5の係止孔6b)は、前記缶詰(C)の隅部を係止可能であり、
前記缶詰(C)の隅部を係止可能な係止孔のうち、前記缶詰の隅部の一つを係止する係止孔は、第1の係止孔(2b)と、第2の係止孔(3b)とで構成され、
前記第2の係止孔(3b)には、折り曲げ線(10b)の一部が該第2の係止孔(3b)に連通している差込片(3)が設けられ、
前記差込片(3)が前記折り曲げ線(10b)に沿って折り曲げられて前記第1の係止孔(2b)に差し込まれると、前記差込片(3)は、外部に露呈せず前記缶詰用包装帯(1)の内部に隠蔽されるようになっていることを特徴としている。
【0012】
請求項2の発明によれば、上記請求項1に記載の缶詰用包装帯において、前記差込片(3)の横幅(W1)は、前記第1の係止孔(2b)の横幅(W2)より幅広に形成されてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0014】
請求項1の発明によれば、複数の係止孔(第1の係止孔2b,第2の係止孔3b,第3の係止孔4b,第4の係止孔5b,第5の係止孔6b)は、缶詰(C)の隅部を係止可能である。そして、缶詰(C)の隅部を係止可能な係止孔のうち、缶詰の隅部の一つを係止する係止孔は、第1の係止孔(2b)と、第2の係止孔(3b)とで構成されている。この第2の係止孔(3b)には、折り曲げ線(10b)の一部が該第2の係止孔(3b)に連通している差込片(3)が設けられている。そして、この差込片(3)が折り曲げ線(10b)に沿って折り曲げられて第1の係止孔(2b)に差し込まれると、差込片(3)は、外部に露呈せず缶詰用包装帯(1)の内部に隠蔽されるようになっている。これにより、見た目を良くすることができると共に、缶詰をしっかりと保持することができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、差込片(3)の横幅(W1)は、第1の係止孔(2b)の横幅(W2)より幅広に形成されているから、差込片(3)を第1の係止孔(2b)から抜け出し難いように、第1の係止孔(2b)に差し込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】(a)は本発明の一実施形態に係る缶詰用包装帯内に缶詰が挿入された状態を示す斜視図、(b)は同実施形態に係る缶詰用包装帯内に缶詰が挿入されていない状態を示す斜視図である。
【
図2】同実施形態に係る缶詰用包装帯を展開した状態を示す平面図である。
【
図3】
図2に示す状態から缶詰用包装帯を組み立てている状態の過程を示す斜視図である。
【
図4】
図3に示す状態から缶詰用包装帯を組み立てている状態の過程を示す斜視図である。
【
図5】
図4に示す状態から缶詰用包装帯を組み立て、缶詰用包装帯を組み立てた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。
【0019】
<缶詰用包装帯の説明>
図1に示すように、本実施形態に係る缶詰用包装帯1は、筒状で矩形状に形成されており、前後方向に貫通された空洞Kが形成されている。そして、この空洞K内には、
図1(a)に示すように、横長円柱状の缶詰Cが挿入される。これにより、缶詰Cは、缶詰用包装帯1にて保持されることとなる。
【0020】
この缶詰用包装帯1についてより詳しく説明すると、この缶詰用包装帯1は、
図2に示すように、厚紙等で形成された1枚のシートSからなるものである。この1枚のシートSは、
図2に示すように、縦長略矩形状に形成されており、下部には、台形状の折り曲げ片2が形成されている。そして、
図2に示すように、この折り曲げ片2の上面2aには、折り曲げ線10aが形成されており、さらに、上面2a中央部分には、略矩形状の貫通孔である第1の係止孔2bが形成されている。
【0021】
一方、
図2に示すように、シートSの上部には、略矩形状の差込片3が形成されている。そして、
図2に示すように、この差込片3の下面3aには、折り曲げ線10bが形成されており、さらに、下面3a中央部分には、略矩形状の貫通孔である第2の係止孔3bが形成されている。
【0022】
ところで、上記の差込片3は、第1の係止孔2b内に差し込まれることとなり、
図2に示すように、差込片3の横幅W1は、第1の係止孔2bの横幅W2よりも幅広に形成されている。具体的には、差込片3の横幅W1は、第1の係止孔2bの横幅W2よりも、1.0mm~1.2mm程度、幅広に形成されている。しかして、このように、差込片3の横幅W1を、第1の係止孔2bの横幅W2よりも幅広に形成するようにすれば、差込片3を第1の係止孔2bから抜け出し難いように、第1の係止孔2bに差し込むことができる。すなわち、差込片3を第1の係止孔2bに差し込む際、差込片3の横幅W1が第1の係止孔2bの横幅W2よりも幅広であるから、差込片3を第1の係止孔2b内に押し込むように差し込む必要がある。これにより、第1の係止孔2b内に差込片3をしっかりと差し込むことができることとなり、もって、差込片3が第1の係止孔2bから抜け出し難くなる。それゆえ、差込片3の横幅W1を、第1の係止孔2bの横幅W2よりも幅広に形成するようにすれば、差込片3を第1の係止孔2bから抜け出し難いように、第1の係止孔2bに差し込むことができる。
【0023】
一方、
図2に示すように、折り曲げ片2の上面2aには、折り曲げ片2と同程度の横幅からなる矩形状の下壁面4が、折り曲げ片2と連なって設けられている。この下壁面4は、
図1に示すように、缶詰用包装帯1の下面を形成するものである。そして、この下壁面4の上面4aには、折り曲げ線10cが形成されており、さらに、上面4a中央部分には、略矩形状の貫通孔である第3の係止孔4bが形成されている。
【0024】
また一方、
図2に示すように、下壁面4の上面4aには、下壁面4と同程度の横幅からなる矩形状の右壁面5が、下壁面4と連なって設けられている。この右壁面5は、
図1に示すように、缶詰用包装帯1の右側面を形成するものである。そして、この右壁面5の上面5aには、折り曲げ線10dが形成されており、さらに、上面5a中央部分には、略矩形状の貫通孔である第4の係止孔5bが形成されている。
【0025】
また一方、
図2に示すように、右壁面5の上面5aには、右壁面5と同程度の横幅からなる矩形状の上壁面6が、右壁面5と連なって設けられている。この上壁面6は、
図1に示すように、缶詰用包装帯1の上面を形成するものである。そして、この上壁面6の上面6aには、折り曲げ線10eが形成されており、さらに、上面6a中央部分には、略矩形状の貫通孔である第5の係止孔6bが形成されている。
【0026】
また一方、
図2に示すように、上壁面6の上面6aには、上壁面6と同程度の横幅からなる矩形状の左壁面7が、上壁面6と連なって設けられている。この左壁面7は、
図1に示すように、缶詰用包装帯1の左側面を形成するものである。そして、この左壁面7の上面7aの略中央部分には、上壁面6の横幅よりも幅狭の差込片3が、左壁面7に連なって設けられている。
【0027】
<缶詰用包装帯の組み立て方法の説明>
かくして、上記のように構成されるシートSを用いて、缶詰用包装帯1は、以下のように組み立てられる。
【0028】
まず、
図3に示すように、折り曲げ線10cを基点として、下壁面4を内側に折り曲げ、折り曲げ線10aを基点として、折り曲げ片2を内側に折り曲げる。そしてさらに、折り曲げ線10eを基点として、左壁面7を内側に折り曲げ、折り曲げ線10bを基点として、差込片3を内側に折り曲げる。
【0029】
次いで、
図4に示すように、折り曲げ線10dを基点として、上壁面6を内側に折り曲げる。そして、差込片3を、第1の係止孔2bに差し込むようにすれば、
図5に示すような状態となる。これにより、缶詰用包装帯1が組み立てられることとなる。しかるに、下壁面4を、下面側、右壁面5を、右側面側、上壁面6を、上面側、左壁面7を、左側面側に位置するように移動させれば、
図1(b)に示すような状態となる。しかして、
図1(b)に示すように、差込片3を、第1の係止孔2bに差し込むことにより、第1の係止孔2bと、第2の係止孔3bとが連通することとなる。これにより、
図1(a)に示すように、缶詰用包装帯1の空洞K内に挿入された缶詰Cの上部Caの隅部は、第4の係止孔5bと、第5の係止孔6bに係止される。そして、缶詰用包装帯1の空洞K内に挿入された缶詰Cの下部Cbの隅部は、第1の係止孔2b及び第2の係止孔3bと、第3の係止孔4bに係止される。これにより、缶詰用包装帯1にて缶詰Cの4隅を係止することができることとなるから、缶詰用包装帯1にて缶詰Cをしっかりと保持することができる。
【0030】
しかして、以上説明した本実施形態によれば、第1の係止孔2bは、第1の係止孔2b内に差込片3を差し込める機能を備えているから、従来のように、係合片同士の係合外部に露呈することがない。それゆえ、缶詰用包装帯1にデザインを施したとしても、見た目が悪いという問題がない。
【0031】
さらに、第1の係止孔2bは、缶詰Cの隅部を係止可能である機能を備えているから、従来のように、缶詰Cの上部Caの2隅しか係止することができないということがなく、缶詰Cの4隅を係止することができる。これにより、缶詰をしっかりと保持することができる。
【0032】
しかして、本実施形態によれば、第1の係止孔2bは、缶詰Cの隅部を係止可能であると共に、差込片3の差込が可能である機能を備えているから、見た目を良くすることができると共に、缶詰をしっかりと保持することができる。
【0033】
なお、本実施形態において示した形状等はあくまで一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、缶詰用包装帯1の形状として、矩形状を例に説明したが、それに限らず、どのような形状にも適用可能である。
【0034】
また、本実施形態によれば、第1の係止孔2b及び第2の係止孔3bにて、缶詰Cの下部Cbの隅部を係止するようにしたが、第1の係止孔2bのみで、缶詰Cの下部Cbの隅部を係止するようにしても良い。しかしながら、第1の係止孔2b及び第2の係止孔3bにて、缶詰Cの下部Cbの隅部を係止するのが好ましい。このようにすれば、第1の係止孔2bが、第1の係止孔2b内に差込片3を差し込める機能を備えたとしても、缶詰Cの下部Cbの隅部をしっかりと係止することができるためである。しかして、このようにすれば、缶詰Cをよりしっかりと保持することができる。
【0035】
一方、本実施形態において例示した組み立て方法は、あくまで例であり、どのような順番で組み立てても良い。
【符号の説明】
【0036】
1 缶詰用包装帯
2b 第1の係止孔(係止孔)
3b 第2の係止孔(係止孔)
4b 第3の係止孔(係止孔)
5b 第4の係止孔(係止孔)
6b 第5の係止孔(係止孔)
3 差込片
S シート
C 缶詰
W1 (差込片の)横幅
W2 (第1の係止孔の)横幅