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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】導体レールを備える端子構成体
(51)【国際特許分類】
   H01R 9/26 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
H01R9/26
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018196588
(22)【出願日】2018-10-18
(65)【公開番号】P2019079797
(43)【公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-08-06
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-26
(31)【優先権主張番号】10 2017 124 444.1
(32)【優先日】2017-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504019733
【氏名又は名称】フェニックス コンタクト ゲーエムベーハー ウント コムパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア・ゲッツェ
(72)【発明者】
【氏名】ハートムート・フォルマン
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ・メルツ
【合議体】
【審判長】中屋 裕一郎
【審判官】平城 俊雅
【審判官】尾崎 和寛
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-176762(JP,U)
【文献】特表2013-513907(JP,A)
【文献】特開2014-157732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/00
H01R 9/15-9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(10)と、当該ハウジング(10)に結合可能な導体レール(11)と、を備える、少なくとも一つの導電体(2)を接続するための端子構成体(1)であって、
前記導体レールに、前記少なくとも一つの導電体(2)が電気的に接続可能である端子構成体において、
少なくとも一つの弾性変形可能な戻り止めスプリング要素(120)を有し、当該戻り止めスプリング要素を介して、前記導体レール(11)は位置止め式に前記ハウジング(10)と結合可能である嵌合装置(12)を備えており、
前記導体レール(11)は、横方向(Q)および深さ方向(T)に亘る平面(E)に沿って延在する本体(110)を有すると共に、前記深さ方向(T)に沿った向きの差し込み方向(A)において、前記ハウジング(10)に結合するために差し込み可能であり、
前記少なくとも一つの戻り止めスプリング要素(120)は、前記導体レール(11)を前記ハウジング(10)に差し込む際に、前記少なくとも一つの戻り止めスプリング要素(120)を、力をそらすようにたわませるために、前記深さ方向(T)に対して斜めに傾斜した乗り上げ斜面(124)を有しており、
前記少なくとも一つの戻り止めスプリング要素(120)は、
嵌合ヘッド(125)および結合脚部(126)を有し、前記嵌合ヘッド(125)は、前記結合脚部(126)を介して、前記ハウジング(10)のハウジング部分(103)と結合されており、
- 前記導体レール(11)を、前記深さ方向(T)に対して垂直であるとともに前記横方向(Q)に対して垂直である高さ方向(H)周りにねじり強さを有して、前記ハウジング(10)に対して固定するものであり、
前記結合脚部(126)は、空隙部(128)を介して前記ハウジング部分(103)から分離されており、それにより前記結合脚部(126)は、前記嵌合ヘッド(125)と共に、前記平面(E)に対して垂直に、前記ハウジング部分(103)に対して弾性的に変形可能である、ことを特徴とする端子構成体。
【請求項2】
ハウジング(10)と、当該ハウジング(10)に結合可能な導体レール(11)と、を備える、少なくとも一つの導電体(2)を接続するための端子構成体(1)であって、
前記導体レールに、前記少なくとも一つの導電体(2)が電気的に接続可能である端子構成体において、
少なくとも一つの弾性変形可能な戻り止めスプリング要素(120)を有し、当該戻り止めスプリング要素を介して、前記導体レール(11)は位置止め式に前記ハウジング(10)と結合可能である嵌合装置(12)を備えており、
前記導体レール(11)は、横方向(Q)および深さ方向(T)に亘る平面(E)に沿って延在する本体(110)を有すると共に、前記深さ方向(T)に沿った向きの差し込み方向(A)において、前記ハウジング(10)に結合するために差し込み可能であり、
前記少なくとも一つの戻り止めスプリング要素(120)は、前記導体レール(11)を前記ハウジング(10)に差し込む際に、前記少なくとも一つの戻り止めスプリング要素(120)を、力をそらすようにたわませるために、前記深さ方向(T)に対して斜めに傾斜した乗り上げ斜面(124)を有しており、
前記少なくとも一つの戻り止めスプリング要素(120)は、嵌合ヘッド(125)および結合脚部(126)を有し、前記嵌合ヘッド(125)は、前記結合脚部(126)を介して、前記ハウジング(10)のハウジング部分(103)と結合されており、
前記結合脚部(126)は、空隙部(128)を介して前記ハウジング部分(103)から分離されており、それにより前記結合脚部(126)は、前記嵌合ヘッド(125)と共に、前記平面(E)に対して垂直に、前記ハウジング部分(103)に対して弾性的に変形可能であり
前記嵌合装置(12)は、前記導体レール(11)を、向き合う側縁部(112)において前記ハウジング(10)とスナップ嵌合させるために、前記ハウジング(10)に設けられた二つの戻り止めスプリング要素(120)を有することを特徴とする端子構成体。
【請求項3】
ハウジング(10)と、当該ハウジング(10)に結合可能な導体レール(11)と、を備える、少なくとも一つの導電体(2)を接続するための端子構成体(1)であって、
前記導体レールに、前記少なくとも一つの導電体(2)が電気的に接続可能である端子構成体において、
少なくとも一つの弾性変形可能な戻り止めスプリング要素(120)を有し、当該戻り止めスプリング要素を介して、前記導体レール(11)は位置止め式に前記ハウジング(10)と結合可能である嵌合装置(12)を備えており、
前記導体レール(11)は、横方向(Q)および深さ方向(T)に亘る平面(E)に沿って延在する本体(110)を有すると共に、前記深さ方向(T)に沿った向きの差し込み方向(A)において、前記ハウジング(10)に結合するために差し込み可能であり、
前記少なくとも一つの戻り止めスプリング要素(120)は、前記導体レール(11)を前記ハウジング(10)に差し込む際に、前記少なくとも一つの戻り止めスプリング要素(120)を、力をそらすようにたわませるために、前記深さ方向(T)に対して斜めに傾斜した乗り上げ斜面(124)を有しており、
前記少なくとも一つの戻り止めスプリング要素(120)は、嵌合ヘッド(125)および結合脚部(126)を有し、前記嵌合ヘッド(125)は、前記結合脚部(126)を介して、前記ハウジング(10)のハウジング部分(103)と結合されており、
前記結合脚部(126)は、空隙部(128)を介して前記ハウジング部分(103)から分離されており、それにより前記結合脚部(126)は、前記嵌合ヘッド(125)と共に、前記平面(E)に対して垂直に、前記ハウジング部分(103)に対して弾性的に変形可能であり
前記少なくとも一つの接続装置(13)は、前記導体レール(11)のねじ込み開口部(111)内にねじ込み可能なねじ要素(130)を有しており、
前記嵌合装置(12)は、前記ねじ要素(130)をねじ込み方向(D)において、対応する前記ねじ込み開口部(111)にねじ込む際に、前記導体レール(11)を前記ハウジング(10)に結合するために、前記戻り止めスプリング要素(120)のストッパ面(122)と、前記導体レール(11)のストッパ面(123)とが当接するように調整されていることを特徴とする端子構成体。
【請求項4】
ハウジング(10)と、当該ハウジング(10)に結合可能な導体レール(11)と、を備える、少なくとも一つの導電体(2)を接続するための端子構成体(1)であって、
前記導体レールに、前記少なくとも一つの導電体(2)が電気的に接続可能である端子構成体において、
少なくとも一つの弾性変形可能な戻り止めスプリング要素(120)を有し、当該戻り止めスプリング要素を介して、前記導体レール(11)は位置止め式に前記ハウジング(10)と結合可能である嵌合装置(12)を備えており、
前記導体レール(11)は、横方向(Q)および深さ方向(T)に亘る平面(E)に沿って延在する本体(110)を有すると共に、前記深さ方向(T)に沿った向きの差し込み方向(A)において、前記ハウジング(10)に結合するために差し込み可能であり、
前記少なくとも一つの戻り止めスプリング要素(120)は、前記導体レール(11)を前記ハウジング(10)に差し込む際に、前記少なくとも一つの戻り止めスプリング要素(120)を、力をそらすようにたわませるために、前記深さ方向(T)に対して斜めに傾斜した乗り上げ斜面(124)を有しており、
前記少なくとも一つの戻り止めスプリング要素(120)は、嵌合ヘッド(125)および結合脚部(126)を有し、前記嵌合ヘッド(125)は、前記結合脚部(126)を介して、前記ハウジング(10)のハウジング部分(103)と結合されており、
前記結合脚部(126)は、空隙部(128)を介して前記ハウジング部分(103)から分離されており、それにより前記結合脚部(126)は、前記嵌合ヘッド(125)と共に、前記平面(E)に対して垂直に、前記ハウジング部分(103)に対して弾性的に変形可能であり
ハウジング(10)および導体レール(11)の一方に設けられるとともに、ハウジング(10)および導体レール(11)の他方に設けられたコーディング凹所(141)に嵌合するためのコーディング要素(140)を有するコーディング装置(14)を備えたことを特徴とする端子構成体。
【請求項5】
ハウジング(10)と、当該ハウジング(10)に結合可能な導体レール(11)と、を備える、少なくとも一つの導電体(2)を接続するための端子構成体(1)であって、
前記導体レールに、前記少なくとも一つの導電体(2)が電気的に接続可能である端子構成体において、
少なくとも一つの弾性変形可能な戻り止めスプリング要素(120)を有し、当該戻り止めスプリング要素を介して、前記導体レール(11)は位置止め式に前記ハウジング(10)と結合可能である嵌合装置(12)を備えており、
前記導体レール(11)は、横方向(Q)および深さ方向(T)に亘る平面(E)に沿って延在する本体(110)を有すると共に、前記深さ方向(T)に沿った向きの差し込み方向(A)において、前記ハウジング(10)に結合するために差し込み可能であり、
前記少なくとも一つの戻り止めスプリング要素(120)は、前記導体レール(11)を前記ハウジング(10)に差し込む際に、前記少なくとも一つの戻り止めスプリング要素(120)を、力をそらすようにたわませるために、前記深さ方向(T)に対して斜めに傾斜した乗り上げ斜面(124)を有しており、
前記少なくとも一つの戻り止めスプリング要素(120)は、嵌合ヘッド(125)および結合脚部(126)を有し、前記嵌合ヘッド(125)は、前記結合脚部(126)を介して、前記ハウジング(10)のハウジング部分(103)と結合されており、
前記結合脚部(126)は、空隙部(128)を介して前記ハウジング部分(103)から分離されており、それにより前記結合脚部(126)は、前記嵌合ヘッド(125)と共に、前記平面(E)に対して垂直に、前記ハウジング部分(103)に対して弾性的に変形可能であり
前記ハウジング(10)は、前記ハウジング(10)を取り付けレール(3)に固定するための固定装置(100)を有することを特徴とする端子構成体。
【請求項6】
前記ハウジング(10)に設けられた前記少なくとも一つの戻り止めスプリング要素(120)は、前記導体レール(11)に設けられた対応する嵌合凹所(121)に嵌合するために設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の端子構成体(1)。
【請求項7】
前記嵌合装置(12)は、前記導体レール(11)の側縁部(112)において、前記ハウジング(10)とのスナップ嵌合させるために形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の端子構成体(1)。
【請求項8】
前記少なくとも一つの戻り止めスプリング要素(120)は、前記導体レール(11)の前記平面(E)に対して垂直に、弾性的にばね性を有することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の端子構成体(1)。
【請求項9】
前記嵌合ヘッド(125)は、差し込み方向(A)に見た場合、前記結合脚部(126)の後ろに設けられていることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の端子構成体(1)。
【請求項10】
前記導体レール(11)は、前記ハウジング(10)と結合された位置において、前記結合脚部(126)に載置されていることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の端子構成体(1)。
【請求項11】
差し込み方向(A)に抗する負荷がかかるとき、前記嵌合ヘッド(125)と対応する嵌合凹所(121)との嵌合は、自動ロック作用を有することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の端子構成体(1)。
【請求項12】
前記少なくとも一つの戻り止めスプリング要素(120)は、前記平面(E)に対して垂直に、弾性的にばね性を有するが、前記横方向(Q)に沿っては硬直的に形成されていることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の端子構成体(1)。
【請求項13】
導電体(2)を前記導体レール(11)に接続するための、少なくとも一つの接続装置(13)が設けられていることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の端子構成体(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のおいて書き部に記載された、少なくとも一つの導電体を接続するための端子構成体に関する。
【背景技術】
【0002】
このような端子構成体は、ハウジングおよびハウジングに結合可能な導体レールを含み、導体レールには少なくとも一つの導電体を電気的に接続することができる。
【0003】
このような端子構成体は、例えば連続端子として、特に貫通端子として構成されていてよい。このような連続端子は、他の連続端子と共に、互いに並んで例えば取り付けレールに設置することができ、それによりこのようなやり方で、制御機能、接続機能、または安全上の機能を提供するために、例えば制御キャビネット内、または電気的設備に取り付けることができる端子構成体を創出する。
【0004】
貫通端子は通常、二つの接続箇所を有し、当該接続箇所に二つの導電体を、導体同士の電気的接続を提供するために接続することができる。導電体同士の接続は、導体レールを介して行われ、導体レールは場合により、導電体同士の間で(大きな)電流を伝送するために大きな通電容量を有し、そのために例えば中実の金属体として形成されている。
【0005】
導電体を導体レールに接続するための接続部は、例えばねじ込み接続部として形成されていてよい。導電体は、このようなねじ込み接続部に、例えば接続シューの形の好適な接続要素を用いて設置することができ、それによりその後、ねじ込み接続部のねじ要素を締め付けることにより、導電体を導体レールに固定する。
【0006】
このような端子構成体は、例えば特許文献1から知られている。
【0007】
このような端子構成体では、導体レールを簡単なやり方でハウジングに固定することが求められ、しかも取り付けられた状態でしっかりと固定されている必要がある。導体レールは特に、ねじ込み接続部のねじ要素を締め付ける際に作用するトルクが受容されるとともに放出され得、その際にハウジングに対する導体レールの固定が損なわれないように、ねじり強さを有してハウジングに固定されている必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】独国特許出願公開第102009057854号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、少なくとも一つの導電体を接続するための端子構成体であって、導体レールを簡単に取り付け可能であるとともに、ハウジングに確実に固定することを可能にする端子構成体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題は、請求項1の特徴を備える対象によって解決される。
【0011】
請求項1によれば端子構成体は嵌合装置を有し、当該嵌合装置は少なくとも一つの弾性変形可能な戻り止めスプリング要素を有し、当該戻り止めスプリング要素を介して導体レールは位置止め式にハウジングと結合可能である。
【0012】
したがって導体レールをハウジングと結合することは、一つまたは複数の弾性変形可能な戻り止めスプリング要素を備える嵌合装置を介して行われる。これにより、導体レールはハウジングと位置止め式に結合され、それにより導体レールを差し込むことにより、ハウジングに簡単に取り付けることが可能となり、しかも取り付けられた状態で導体レールは、嵌合装置を介した形状接続式結合の下で、ハウジングに確実に固定される。
【0013】
一の構成において少なくとも一つの戻り止めスプリング要素がハウジングに設けられており、端子構成体が組み立てられたとき、導体レールに設けられた対応する嵌合凹所に嵌合する。このとき一つまたは複数の戻り止めスプリング要素がハウジングに設けられていてよく、例えば一体式かつ統合式にハウジング上に形成されていてよく、それにより端子構成体が組み立てられたとき、導体レールに設けられた一つまたは複数の嵌合凹所に嵌合する。複数の戻り止めスプリング要素がハウジングに設けられている場合、ハウジングに対して導体レールを確実かつねじり強さを有して固定するために、嵌合装置を用いて、導体レールとハウジングとの形状接続式結合を複数の場所で生じさせることができる。
【0014】
逆に、一つまたは複数の戻り止めスプリング要素を導体レールに設けることも想定可能かつ可能である。この場合、嵌合凹所はハウジングに形成され、それにより導体レールが取り付けられたとき、導体レールとハウジングとの形状接続式結合を生じさせる。
【0015】
嵌合装置は例えば、導体レールとハウジングとの形状接続式結合を、導体レールの側縁部において生じさせるために形成されていてよい。戻り止めスプリング要素がハウジングに設けられている場合、戻り止めスプリング要素は、導体レールが取り付けられたとき、導体レールの側縁部に設けられた対応する嵌合凹所に嵌合し、それによりハウジングと導体レールとの形状接続式結合を生じさせる。
【0016】
一の構成において、導体レールは、横方向および深さ方向に張設される平面に沿ってプレート状に延在する本体を有する。当該本体は、例えば矩形の基本形状を有するとともに、側方において深さ方向に沿って当該本体の両側に延びた側縁部によって画定されていてよい。嵌合装置を介して当該本体は、例えば一方の側縁部において、または両方の(向かい合う)側縁部において、形状接続式にハウジングと結合されていてよく、それにより、導体レールは取り付けられた状態で、嵌合装置を介してハウジングに対して固定されている。
【0017】
嵌合装置の戻り止めスプリング要素を介して、特にハウジングに対してねじり強さを有して導体レールを結合することができ、それにより導体レールは、深さ方向に対して垂直かつ横方向に対して垂直な向きである高さ方向周りに、ハウジングに対してねじり強さを有して固定されている。導体レールはこれにより、当該導体レールの平面内でハウジングに対してねじられることができず、それにより、特に例えばねじ込み接続部のねじ要素をねじ込む際のトルクがハウジングにおいて受容されるとともに、ハウジング内に放出され得るように、ハウジングに対して固定されている。
【0018】
一の構成において嵌合装置の少なくとも一つの戻り止めスプリング要素は、好ましくは高さ方向に沿って、すなわち導体レールの本体の平面に対して垂直に、弾性的にばね性を有する。このとき嵌合装置は、例えば深さ方向に沿った向きの差し込み方向において、導体レールをハウジングに設置することを可能にし、それにより導体レールをハウジングに結合するが、導体レールをハウジングに設置する際、嵌合装置の一つまたは複数の戻り止めスプリング要素は弾性変形させられ、すなわち導体レールの本体の平面に対して垂直にたわまされる。その後、導体レールが取り付けられたとき、戻り止めスプリング要素は、例えば導体レールの対応する嵌合凹所に嵌合し、それにより導体レールをハウジングに対して固定する。
【0019】
導体レールをハウジングに差し込むことを容易にするために、嵌合装置の少なくとも一つの戻り止めスプリング要素は、例えば深さ方向に対して斜めに傾斜した乗り上げ斜面を有していてよく、当該乗り上げ斜面は、導体レールをハウジングに差し込む際に、少なくとも一つの戻り止めスプリング要素がたわむことを支援する。少なくとも一つの戻り止めスプリング要素が、例えばハウジングに設けられている場合、導体レールは差し込まれる際に、少なくとも一つの戻り止めスプリング要素の乗り上げ斜面に作用し、少なくとも一つの戻り止めスプリング要素が、特に導体レールの本体の平面に対して垂直にたわまされるように、乗り上げ斜面に乗り上げる。それにより、少なくとも一つの戻り止めスプリング要素が弾性変形する状態で、導体レールはハウジングに差し込むことができ、少なくとも一つの戻り止めスプリング要素は、導体レールが所定の差し込み位置に到達すると、応力が解除された初期位置に戻り、それとともに導体レールの対応する嵌合凹所にスナップ式に嵌合する。
【0020】
一の構成において少なくとも一つの戻り止めスプリング要素は、嵌合ヘッドと結合脚部とを有する。嵌合ヘッドは、このとき結合脚部を介してハウジングのハウジング部分と結合されている。嵌合ヘッドには、例えば乗り上げ斜面が設けられている。導体レールが差し込み式にハウジングと結合されるとき、嵌合ヘッドは導体レールの側面に設けられた嵌合凹所に嵌合し、それにより導体レールとハウジングとの形状接続式結合を生じさせる。
【0021】
少なくとも一つの戻り止めスプリング要素は、好ましくはハウジングのハウジング部分と統合式かつ一体式に形成されている。これに応じて、結合脚部は一方の端部がハウジング部分と結合されているが、弾性変形可能であり、それにより嵌合ヘッドは結合脚部において弾性的にたわませることができ、それにより導体レールが差し込み式にハウジングと結合されるとき、導体レールの側面に設けられた嵌合凹所に嵌合する。
【0022】
結合脚部は、例えばスリット状のクリアランスの型式の空隙部を介して、高さ方向に沿って見た場合、ハウジング部分から分離されており、それにより結合脚部は当該結合脚部に設けられた嵌合ヘッドと共に、平面に対して垂直に、ハウジング部分に対して弾性的に変形させることができる。このとき、平面に対して垂直な向きの高さ方向に沿って見た場合、空隙部は、結合脚部の下方であって、導体レールに対向しない結合脚部の面に形成されており、それにより、導体レールが差し込み式にハウジングと結合されるとき、少なくとも一つの戻り止めスプリング要素は、高さ方向に沿って弾性的にたわませることができる。
【0023】
一の構成において嵌合ヘッドは、差し込み方向で見た場合、結合脚部の後ろに設けられている。したがって導体レールを差し込み式にハウジングと結合するとき、導体レールはまず結合脚部に載置され、結合脚部に沿って少なくとも一つの戻り止めスプリング要素に、差し込み方向に被せられる。導体レールはその後、結合脚部に設けられた嵌合ヘッド上に乗り上げ、それにより少なくとも一つの戻り止めスプリング要素を変形させ、それにより、導体レールとハウジングが結合された位置において、嵌合ヘッドが導体レールに設けられた嵌合凹所にスナップ式に嵌合し、このようなやり方でハウジングと導体レールとの形状接続式結合を生じさせるまで、導体レールは嵌合ヘッドを超えて移動させられ得る。
【0024】
このとき導体レールは、ハウジングと結合された位置において、導体レールの本体の平面に垂直な高さ方向に沿って見た場合、例えば結合脚部上に設けられており、結合脚部はこれにより、ハウジングにおいて導体レールのための支持部を形成する。嵌合ヘッドはこのとき、導体レールに設けられた嵌合凹所に嵌合し、それにより少なくとも一つの戻り止めスプリング要素を介して、ハウジングにおける導体レールのための確定的な座部が作り出される。
【0025】
一の構成において、嵌合ヘッドが対応する嵌合凹所に嵌合することは、差し込み方向に抗する負荷がかかると、自動ロックされる。導体レールが、ハウジングと結合された位置において、ハウジングに対して差込方向と逆の負荷を受けると、嵌合ヘッドはこれにより対応する嵌合凹所との嵌合を保持され、特に自動的に嵌合凹所から外に出ることはできない。したがって導体レールにおける負荷力は、導体レールがハウジングから(意図せずに)外れることを生じさせ得ず、負荷がかかるとき、導体レールがハウジングに固定されることは保証されている。
【0026】
少なくとも一つの戻り止めスプリング要素は、好ましくは平面に対して垂直に、弾性的にばね性を有しており、それにより導体レールを差し込み式にハウジングに結合するとき、高さ方向に沿って平面に対して垂直に、たわませることができる。しかしながらこのとき、差し込み方向を横断するとともに高さ方向を横断する向きの横方向に沿って、少なくとも一つの戻り止めスプリング要素は概ね剛体であって、変形可能ではなく、それにより少なくとも一つの戻り止めスプリング要素を介して、ハウジングにおける導体レールの位置は、横方向に沿って確定されている。したがって少なくとも一つの戻り止めスプリング要素が導体レールに嵌合することにより、導体レールは差し込み方向に抗して、かつ高さ方向に沿うだけでなく、横方向に沿っても、ハウジングに対してロックされる。
【0027】
一の構成において、嵌合装置はハウジングに設けられた二つの戻り止めスプリング要素を有しており、当該戻り止めスプリング要素は、導体レールの本体の向き合う側縁部において、導体レールとハウジングとの形状接続式結合を生じさせる役目を果たす。これにより、嵌合装置と、横方向に沿って互いに離間している嵌合装置の戻り止めスプリング要素とを介して、導体レールの両の側縁部において、ハウジングに対する導体レールの支持部が提供され、それにより導体レールは確実に、かつ耐負荷性を有してハウジングに対して固定されている。
【0028】
一の構成において、導体レールは導電体を接続するための少なくとも一つの接続装置を有している。例えば、貫通端子を実現するために、ねじ込み接続部の型式のちょうど二つの接続装置が導体レールに設けられていてよく、それにより両の接続装置を介して、二つの導電体は導体レールに接続され、このようなやり方で貫通接点を用いて導体レールを介して互いに接続することができる。
【0029】
ねじ込み接続部の型式の接続装置は、特に導体レールのねじ込み開口部内にねじ込み可能なねじ要素を有しており、導体を導体レールに固定するために、導体は特に接続シューの型式の好適な接続要素を用いて導体レールに設置され、ねじ要素を介して導体レールと結合される。
【0030】
一の有利な構成において、嵌合装置は、ねじ要素を対応するねじ込み開口部に(ねじ込み方向において)ねじ込む際、例えばハウジングに設けられた戻り止めスプリング要素と、例えば導体レールに設けられた対応する嵌合凹所と、の形状接続式嵌合が自己補強式であるように調整されている。これにより、ねじ要素を対応するねじ込み開口部にねじ込む際、戻り止めスプリング要素の対応する嵌合凹所への嵌合は負荷を受け、それにより戻り止めスプリング要素は嵌合凹所に嵌合した状態で保持され、これにより形状接続式結合は、ねじり負荷がかかっても容易に解除することができない。
【0031】
さらなる態様によれば、端子構成体は好ましくはコーディング装置を有し、当該コーディング装置は唯一の位置および向きにおいてのみ、導体レールをハウジングに設置させる。このようなコーディング装置は例えばコーディング要素を有し、当該コーディング要素は例えば突条体の型式でハウジング、または導体レールに設けられており、導体レールが取り付けられた位置で、それぞれ他の構成部材、すなわち導体レールまたはハウジングに設けられた対応するコーディング凹所に嵌合する。
【0032】
このようなコーディング要素は、例えばハウジングの後部壁から、差し込み方向と反対に突出するとともに、導体レールの本体の横方向に沿って延ばされた横縁部に設けられた、対応するコーディング凹所に、差し込み方向に抗して嵌合することができる。このときコーディング要素とコーディング凹所との嵌合は、(横方向に沿って見た場合)中心から外れており、それにより導体レールは、唯一の位置および向きにおいてのみ、ハウジングに設置することが可能である。
【0033】
本発明で説明される型式の端子構成体は、例えば連続端子として、例えば貫通端子として形成されており、他の端子構成体と組み合わせることができ、それにより複数の端子構成体を組み合わせたものを、例えば取り付けレールにおいて統合する。端子構成体のハウジングには、このために好ましくは固定装置が形成されており、当該固定装置を用いて、ハウジングは取り付けレールに設置することができ、それにより設置された位置で形状接続式に取り付けレールと固定される。
【0034】
貫通端子として形成された端子構成体において、特に二つの接続装置が、特にねじ込み接続部の型式で導体レールに設けられており、当該ねじ込み接続部を介して二つの導体は貫通式接触を行うために、導体レールに接続することができる。
【0035】
以下において本発明の基礎となる概念を、図に示される実施の形態に基づいてより詳しく説明する。図に示すのは以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】端子構成体に導体が接続されている端子構成体の一の実施の形態を示す図である。
図2図1に示す構成体の正面図である。
図3】端子構成体の他の正面図である。
図4図3に示す線A-Aに沿った断面を示す図である。
図5】端子構成体のハウジングを図3に示す線A-Aに沿って切断し、ハウジングに導体レールが設置されていない状態で示す図である。
図6】導体レールを別個に示す図である。
図7】ハウジングに導体レールを設置する前のハウジングを側面から示す図である。
図8】ハウジングに導体レールが設置されているハウジングを側面から示す図である。
図9図8に示す構成体を部分Bにおいて拡大して示す図である。
図10】ねじ込み接続部の型式の接続装置が締め付けられている端子構成体を側面から示す図である。
図11】端子構成体に導体が接続されている端子構成体の断面を示す図である。
図12】嵌合装置の戻り止めスプリング要素が導体レールに設けられた嵌合凹所に嵌合する領域における導体レールを示す図である。
図13】導体レールが結合された位置での導体レールと対応する戻り止めスプリング要素を拡大して示す図である。
図14】導体レールに差し込み方向に抗する負荷をかけた場合のモーメント作用を示す図9に応じた図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は貫通端子として形成された連続端子の型式の端子構成体1を示しており、当該端子構成体はハウジング10を有するとともに、当該ハウジング10の下側に形成された固定装置100を介して、取り付けレール3と位置止め式に結合することができる。
【0038】
端子構成体1は同型式の、または異なる型式の他の端子構成体と組み合わせることができ、それによりこのようなやり方で、例えば電気的設備において、例えば制御キャビネット内で制御機能、接続機能、または安全上の機能を提供するための電気的構成グループを作り出す。
【0039】
端子構成体1は導体レール11を有し、当該導体レールは取り付けられた位置において、ハウジング10内の差し込み箇所102に挿入されるとともに、ハウジング10と固定式に結合されている。導体レール11は自明のように、導電性を有する中実材料から形成されているとともに、本体110を有し、当該本体は深さ方向Tおよび横方向Qを介して張設される平面Eに沿って延在する。
【0040】
導体レール11はねじ要素130および締め付け要素131を備えるねじ込み接続部の型式の二つの接続装置13を有し、当該接続装置を介して、二つの導体2を導体レール11に接続することができる。導体2はこのために、側方においてハウジング10に挿入することができ、それにより、図1において(二つのケーブル心線21を有する)導体2について表示されているように、導線被覆20により包囲された導体2のケーブル心線21に設けられた接続要素210を、それぞれ対応する接続装置13のねじ要素130と係合させ、締め付け要素131を介して導体レール11に締結する。
【0041】
接続装置13の締め付け要素131は、ピン132を介して導体レール11の開口部113にガイドされ、ばね要素133を介して導体レール11に対して、ばねによる予荷重を受けており、それにより、それぞれのねじ要素130が解除された後、図1において右の接続装置13について表示されているように、締め付け要素131はねじ要素130と共に移動され、導体レール11から持ち上げられる。
【0042】
導体2を導体レール11に締結するために、それぞれの接続装置13のねじ要素130は、導体レール11の本体110に設けられた対応するねじ込み開口部111にねじ込まれ、それにより締め付け要素131は導体レール11へと移動され、それにより接続シューの型式の接続要素210は、導体レール11に締結される。
【0043】
図2から図12は端子構成体1のさらなる図であり、導体が接続されたもの(図2)、接続装置13が解除された状態で導体2が接続されていないもの(図3)、および導体2は接続されていないが、接続装置13は締め付けられているもの(図10)、を示している。それぞれ一の導体2が、ハウジング10の一の側に設置され、導体レール11に設けられた対応する接続装置13と結合することができ、それによりこのようなやり方で、端子構成体1の両側に接続された導体2同士の貫通式接続を達成する。
【0044】
接続装置13のねじ要素130にアクセスするために、ハウジング10の上側の、固定装置100と対向していない面に開口部101が形成されており、当該開口部を介して例えばねじ回しを用いて、接続装置13のねじ要素130にアクセスすることができる。
【0045】
導体レール11は、図7および図8を概観すると分かるように、あらかじめ組み立てられるとともに接続装置13が設けられた構成グループとして、差し込み方向Aにおいて、ハウジング10の対応する差し込み箇所102に差し込むことができ、差し込まれた状態で(図8)、嵌合装置12を介して位置止め式に、およびそれとともに形状接続式にハウジング10と結合されている。嵌合装置12は、ハウジング10に一体的に形成された二つの戻り止めスプリング要素120を有し、当該戻り止めスプリング要素は、導体レール11の本体110の両側において、深さ方向Tに沿って延びた側縁部112に設けられた対応する嵌合凹所121に嵌合するために形成されており、それによりこのようなやり方で、ハウジング10に設けられた差し込み箇所102において、導体レール11を固定する。
【0046】
戻り止めスプリング要素120は弾性的に、特に本体110の平面Eに対して垂直に延びる高さ方向Hに沿って変形可能である。戻り止めスプリング要素120はそれぞれ、図9に示す拡大図から分かるように、深さ方向Tおよび高さ方向Hに対して斜めに傾斜した乗り上げ斜面124を有し、導体レール11は、差し込み方向Aにおいて差し込み箇所102に差し込まれる際、対応する側縁部112の前方エッジ部分114が、乗り上げ斜面に乗り上げ、それにより、前方エッジ部分114が戻り止めスプリング要素120を通過して移動を完了するとともに、例えば図4とともに図9を概観すると分かるとおり、戻り止めスプリング要素120が、側縁部112に設けられた嵌合凹所121とスナップ式に嵌合できるまで、それぞれの戻り止めスプリング要素120を弾性的に下方に押す。
【0047】
導体レール11は取り付けられた位置で、差し込み方向Aに抗して形状接続式にハウジング10に保持され、それにより(高さ方向Hに沿って上方と下方において、対応するハウジング10の壁部分によって画定されている)差し込み箇所102において、固定されている。
【0048】
図5がハウジング10を個別に表示する一方、図6は導体レール11を個別に示している。嵌合凹所121は、導体レール11の本体110の両側で、本体110を画定する側縁部112に形成されており、それぞれの側縁部112を起点とするくぼみとして、本体110内へと延在する。ハウジング10の戻り止めスプリング要素120は、取り付けられた位置で(例えば図4参照)嵌合凹所121に嵌合し、それにより導体レール11を形状接続式にハウジング10に固定する。
【0049】
加えて導体レール11は、図6から分かるように、接続装置13のねじ要素130のためのねじ込み開口部111と、接続装置13の締め付け要素131のピン132のためのガイド開口部としての開口部113と、を有する。
【0050】
対応する嵌合凹所121への戻り止めスプリング要素120の嵌合は、自己補強式であり、それにより、導体レール11が差し込み箇所102から差し込み方向Aに抗して外れることは容易に可能ではなく、いずれにしても(意識的に)、例えば器具を用いてロックを解除しなければ可能ではない。したがって、例えば図11および図12から分かるように、接続装置13のねじ要素130をねじ込み方向Dに締める際、ねじ込み方向Dへのトルクが導体レール11に作用し、それにより図11および図12において右に表示された側縁部112に設けられたエッジ部分114は、ねじ込み方向Dにおいてストッパ面123を介して、対応する戻り止めスプリング要素120に設けられた対応するストッパ面122に当接する。これにより戻り止めスプリング要素120は、(特に高さ方向Hにおいて)嵌合凹所121に押し込まれ、それにより負荷がかかる際、戻り止めスプリング要素120と対応する嵌合凹所121とのロックが自動的に解除されることは防止されている。したがって特に接続装置13のねじ要素130をねじ込む際のねじり負荷により、望んでいないのに導体レール11がハウジング10から外れることは起こらない。
【0051】
図13は、導体レール11の本体110に凹設された、対応する嵌合凹所121に嵌合する戻り止めスプリング要素120を拡大して示している。戻り止めスプリング要素120は嵌合ヘッド125を有し、当該嵌合ヘッドには、深さ方向Tに対して斜めであるとともに、高さ方向Hに対して斜めに面取りすることにより、乗り上げ斜面124が形成されており、嵌合ヘッドは導体レール11が結合された位置において、導体レール11の側面で、対応する嵌合凹所121と嵌合し、それによりハウジング10と導体レール11との形状接続式結合を生じさせる。
【0052】
嵌合ヘッド125は、結合脚部126の一の端部に形成されており、当該結合脚部を介して嵌合ヘッド125は、ハウジング10のハウジング部分103と結合されている。このとき結合脚部126は、ハウジング部分103と一体式に形成されており、嵌合ヘッド125から離れた端部127において、ハウジング部分103と結合されている。
【0053】
戻り止めスプリング要素120は、概ね端部127の周囲において、高さ方向Hに沿ってハウジング部分103に対して、弾性的にたわませることができる。このとき結合脚部126は、深さ方向Tに沿って形成されたスリット状の空隙部128を介して、(高さ方向Hに沿って見た場合に)ハウジング部分103から分離されており、それにより戻り止めスプリング要素120は、当該戻り止めスプリング要素の結合脚部126および当該結合脚部に設けられた嵌合ヘッド125により、高さ方向Hに沿って、ハウジング部分103に対して弾性的にたわませることができる。
【0054】
導体レール11をハウジング10に結合する際、すなわち導体レール11を差し込み方向Eにおいてハウジング10に差し込む際、導体レール11は差し込み方向Eに沿って前にある部分114が、嵌合ヘッド125に当接し、個々の戻り止めスプリング要素120の嵌合ヘッド125に設けられた乗り上げ斜面124に乗り上げ、それにより戻り止めスプリング要素120は、高さ方向Hに沿って下方にたわまされ、それにより部分114は嵌合ヘッド125を通過して移動され、最終的に嵌合ヘッド125は、導体レール11の対応する嵌合凹所121に、スナップ式に嵌合する。こうして結合された位置において、戻り止めスプリング要素120を介して、導体レール11の両側で、導体レール11とハウジング10との形状接続式結合が生じさせられる。このとき戻り止めスプリング要素120が、横方向Qに沿って概ね硬直しているとともに非弾性的に形成されていることにより、導体レール11は横方向Qに沿っても、戻り止めスプリング要素120を介して、ハウジング10に対する位置が保持される。
【0055】
個々の戻り止めスプリング要素120の嵌合ヘッド125は、差し込み方向Eに沿って見た場合、対応する結合脚部126の後ろに設けられており、それにより導体レール11は、まず結合脚部126に載置され、その後、嵌合ヘッド125に乗り上げる。結合された位置において、結合脚部126は、導体レール11に対する支持部を形成し、それにより、図13から分かるように、戻り止めスプリング要素120を介して、導体レール11の両側で、ハウジング10において高さ方向Hに沿って、導体レール11の座部も画定されている。
【0056】
結合された位置において、嵌合ヘッド125と導体レール11、特に嵌合ヘッド125に形成されるとともに、導体レール11の部分114に向き合うストッパ面122と導体レールとの嵌合には、自動ロック作用がある。図14に表示されているように、導体レール11が、ハウジング10に対する差込方向Eに抗して負荷力Fを受けると、部分114はストッパ面122に当接し、戻り止めスプリング要素120において、嵌合ヘッド125と対応する嵌合凹所121との嵌合を強める方向に、トルク方向Mへの負荷を生じさせる。したがって導体レール11における差込方向Eに抗する負荷は、戻り止めスプリング要素120と導体レール11との嵌合を容易に解除させることはできず、負荷がかかると嵌合ヘッド125は、対応する嵌合凹所121との嵌合が強くなるように押圧される。
【0057】
このような負荷力Fは、例えば接続装置13のねじ要素130をねじ込む際に生じ得るが、導体レール11に対してその他の力が作用するときにも生じ得る。
【0058】
端子構成体1では、コーディング装置14を介して、ハウジング10において導体レール11を正しい位置に設置することが確保される。コーディング装置14は、ハウジング10の後部壁に設けられた、突条形状の突出要素の型式のコーディング要素140によって形成され、例えば図4および図11から分かるように、当該コーディング要素は導体レール11が取り付けられたとき、横方向Qに沿って延在する、導体レール11の本体110の横方向エッジ115に設けられた対応するコーディング凹所141に嵌合する。ハウジング10におけるコーディング要素140と、導体レール11におけるコーディング凹所141とは、(横方向Qに沿って見た場合)、中心から外れて差し込み箇所102に設けられているので、導体レール11は、唯一の位置および向きにおいてのみ、差し込み箇所102に挿入することができ、それによりハウジング10に対して導体レール11を正しい位置および向きで設置することが支援される。
【0059】
本発明の基礎となる概念は、上記の実施の形態に限定されず、基本的に全く異なるやり方でも実現される。
【0060】
端子構成体は特に、単に例として表示するために参照された、本願において示される貫通端子以外の端子によって形成されていてもよい。
【0061】
したがって導体レールには、特に二つよりも多い、または二つよりも少ない接続装置が設けられていてよく、当該接続装置はまた、基本的にねじ込み接続部と異なるように形成されていてよい。
【符号の説明】
【0062】
1 端子構成体(貫通端子)
10 ハウジング
100 固定装置
101 開口部
102 差し込み箇所
103 ハウジング部分
11 導体レール
110 本体
111 ねじ込み開口部
112 側縁部
113 開口部
114 部分
115 横方向エッジ
12 嵌合装置
120 戻り止めスプリング要素
121 嵌合凹所
122,123 ストッパ面
124 乗り上げ斜面
125 嵌合ヘッド
126 結合脚部
127 端部
128 空隙部
13 接続装置
130 ねじ要素
131 締め付け要素
132 ピン
133 ばね要素
14 コーディング装置
140 コーディング要素
141 コーディング凹所
2 導電体
20 導線被覆
21 ケーブル心線
210 接続要素
3 取り付けレール
A 差し込み方向
D ねじ込み方向
E 平面
F 負荷力
H 高さ方向
M トルク方向
Q 横方向
T 深さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14