(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】冷蔵庫、及び真空断熱パネル
(51)【国際特許分類】
F25D 23/06 20060101AFI20240717BHJP
F16L 59/065 20060101ALI20240717BHJP
F25D 19/00 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
F25D23/06 V
F25D23/06 W
F16L59/065
F25D19/00 510C
(21)【出願番号】P 2019015635
(22)【出願日】2019-01-31
【審査請求日】2021-09-10
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】中野 太陽
(72)【発明者】
【氏名】安部 昌則
【合議体】
【審判長】鈴木 充
【審判官】村山 美保
【審判官】水野 治彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-202729(JP,A)
【文献】国際公開第2013/031234(WO,A1)
【文献】特開2007-85696(JP,A)
【文献】特開2018-100742(JP,A)
【文献】特開2018-4248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/02 ~ 23/08
F25D 19/00
F16L 59/00 ~ 59/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱性を有し内部に貯蔵室を有する断熱箱体を備え、
前記断熱箱体を構成する断熱壁のうち側面及び背面を構成する断熱壁の少なくとも一方は、内板と外板との間に真空断熱パネルを設けて構成され、
前記真空断熱パネルは、
前記真空断熱パネルの外殻を構成する外包材と、
前記外包材に内包されたコア材と、
気体成分を吸着する性質を有し、前記真空断熱パネル内の少なくとも2つの異なる領域に設けられて前記コア材と共に前記外包材に内包された複数の吸着材と、を有し、
前記真空断熱パネルと前記外板との間に設けられて前記断熱壁内で引き回された配管部材を更に備え、
前記複数の吸着材のうちの少なくとも1つは、前記配管部材に囲まれた内側の領域に設けられ、前記複数の吸着材のうちの少なくとも1つは、前記配管部材と重なる領域に設けられている、
冷蔵庫。
【請求項2】
断熱性を有し内部に貯蔵室を有
し、左右の側面を構成する側部断熱壁を含んで構成される断熱箱体を備え、
前記断熱箱体を構成する断熱壁のうち側面及び背面を構成する断熱壁の少なくとも一方は、内板と外板との間に真空断熱パネルを設けて構成され、
前記真空断熱パネルは、
前記真空断熱パネルの外殻を構成する外包材と、
前記外包材に内包されたコア材と、
気体成分を吸着する性質を有し、前記真空断熱パネル内の少なくとも2つの異なる領域に設けられて前記コア材と共に前記外包材に内包された複数の吸着材と、を有し、
前記真空断熱パネルと前記外板との間に設けられて前記断熱壁内で引き回された配管部材を更に備え、
前記複数の吸着材のうちの少なくとも1つは、前記配管部材に囲まれた内側の領域に設けられ、前記複数の吸着材のうちの少なくとも1つは、前記配管部材に囲まれた領域の外側の領域に設けられ
、前記複数の吸着材のうちの少なくとも他の1つは、前記側部断熱壁に設けられた前記真空断熱パネル内の前記冷蔵庫の庫内の天井と少なくとも一部が重なる領域に設けられている、
冷蔵庫。
【請求項3】
断熱性を有し内部に
冷蔵温度帯の貯蔵室と冷凍温度帯の貯蔵室
とを有
し、左右の側面を構成する側部断熱壁を含んで構成される断熱箱体を備え、
前記断熱箱体を構成する断熱壁のうち側面及び背面を構成する断熱壁の少なくとも一方は、内板と外板との間に真空断熱パネルを設けて構成され、
前記真空断熱パネルは、
前記真空断熱パネルの外殻を構成する外包材と、
前記外包材に内包されたコア材と、
気体成分を吸着する性質を有し、前記真空断熱パネル内の少なくとも2つの異なる領域に設けられて前記コア材と共に前記外包材に内包された複数の吸着材と、を有し、
前記真空断熱パネルと前記外板との間に設けられて前記断熱壁内で引き回された配管部材を更に備え、
前記複数の吸着材のうち少なくとも1つは、前記冷蔵温度帯の貯蔵室と重なる領域に設けられ、前記複数の吸着材のうち少なくとも他の1つは、前記配管部材に囲まれた領域の外側の領域に設けられ
、前記複数の吸着材のうちの少なくとも他の1つは、前記側部断熱壁に設けられた前記真空断熱パネル内の前記冷蔵庫の庫内の天井と少なくとも一部が重なる領域に設けられている、
冷蔵庫。
【請求項4】
前記断熱箱体は、内部に冷蔵温度帯の貯蔵室と冷凍温度帯の貯蔵室とを有し、
前記複数の吸着材のうちの少なくとも1つは、前記冷蔵温度帯の貯蔵室と重なる領域に設けられ、前記複数の吸着材のうちの少なくとも他の1つは、前記冷凍温度帯の貯蔵室と重なる領域に設けられている、
請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記断熱箱体は、内部に冷蔵温度帯の貯蔵室と冷凍温度帯の貯蔵室とを有し、
前記真空断熱パネルと前記外板との間に設けられて前記断熱壁内で引き回された配管部材を更に備え、
前記複数の吸着材のうち少なくとも1つは、前記冷蔵温度帯の貯蔵室と重なる領域に設けられ、前記複数の吸着材のうち少なくとも他の1つは、前記配管部材に囲まれた内側の領域に設けられている、
請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記断熱箱体は、内部に冷蔵温度帯の貯蔵室と冷凍温度帯の貯蔵室とを有し、
左右の側面を構成する側部断熱壁を含んで構成され、
前記複数の吸着材のうちの少なくとも1つは、前記冷蔵温度帯の貯蔵室と重なる領域に設けられ、前記複数の吸着材のうちの少なくとも他の1つは、
前記側部断熱壁に設けられた前記真空断熱パネルの
前記冷蔵庫の下部に位置する下端部近傍の領域に設けられている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記断熱箱体は、内部に冷蔵温度帯の貯蔵室と冷凍温度帯の貯蔵室とを有し、
前記外包材は、前記コア材からはみ出た部分を前記コア材に沿って折り返して形成された耳部を有し、
前記複数の吸着材のうち少なくとも1つは、前記冷蔵温度帯の貯蔵室又は前記冷凍温度帯の貯蔵室と重なる領域に設けられ、前記複数の吸着材のうち少なくとも他の1つは、少なくとも一部が前記耳部と重なる領域に設けられている、
請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記断熱箱体は、内部に冷蔵温度帯の貯蔵室と冷凍温度帯の貯蔵室とを有し、
左右の側面を構成する側部断熱壁を含んで構成され、
前記複数の吸着材のうちの少なくとも1つは、前記冷蔵温度帯の貯蔵室と重なる領域に設けられ、前記複数の吸着材のうちの少なくとも他の1つは、
前記側部断熱壁に設けられた前記真空断熱パネルの
前記冷蔵庫の上部に位置する上端部近傍の領域に設けられている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記断熱箱体は、内部に冷蔵温度帯の貯蔵室と冷凍温度帯の貯蔵室とを有するとともに、前記冷蔵温度帯の貯蔵室と前記冷凍温度帯の貯蔵室とを仕切る断熱仕切り壁を有し、
前記複数の吸着材のうち少なくとも1つは、前記冷蔵温度帯の貯蔵室と重なる領域に設けられ、前記複数の吸着材のうち少なくとも他の1つは、少なくとも一部が前記断熱仕切り壁と重なる領域に設けられている、
請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項10】
前記複数の吸着材のうち少なくとも1つは、水蒸気成分を吸収する性質を有している、
請求項1から9のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項11】
前記複数の吸着材のうち少なくとも1つは、水蒸気成分以外の気体成分を吸収する性質を有している、
請求項1から10のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項12】
外殻を構成する外包材と、
前記外包材に内包されたコア材と、
気体成分を吸着する性質を有し、少なくとも2つの異なる領域に設けられて前記コア材と共に前記外包材に内包された複数の吸着材と、
前記コア材を窪ませて形成されて、配管部材を配置可能であって並行して延びる少なくとも2つの溝と、を備え、
前記複数の吸着材のうちの少なくとも1つは、前記少なくとも2つの溝に囲まれた内側の領域に設けられ、前記複数の吸着材のうちの少なくとも1つは、前記少なくとも2つの溝のいずれかと重なる領域に設けられている、
真空断熱パネル。
【請求項13】
前記複数の吸着材のうち少なくとも2つは、それぞれ断熱対象の温度帯、又は断熱性、若しくは断熱対象への断熱性の影響、いずれかが異なる領域に設けられている、
請求項12
に記載の真空断熱パネル。
【請求項14】
前記複数の吸着材のうち少なくとも1つは、水蒸気成分を吸収する性質を有している、
請求項12
又は13に記載の真空断熱パネル。
【請求項15】
前記複数の吸着材のうち少なくとも1つは、水蒸気成分以外の気体成分を吸収する性質を有している、
請求項12から
14のいずれか一項に記載の真空断熱パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫、及び真空断熱パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、断熱箱体を構成する断熱壁の内部に断熱材として真空断熱パネルを備えた冷蔵庫がある。真空断熱パネルは、従来の発泡ウレタンなどの断熱材に比べて薄くても断熱性能に優れている。このため、断熱箱体の断熱材として真空断熱パネルを採用することにより、貯蔵室の大容量化や、断熱性能の向上が可能となる。
【0003】
真空断熱パネルは、グラスウールやグラスファイバなどのコア材を、ガスバリア性を有する外包材内に収容し、その外包材内を減圧することによって構成される。真空断熱パネルの内部には、長期の信頼性を確保する方策として、内部の真空度を維持するために、水蒸気ガスを吸着する乾燥材やその他の気体を吸着するゲッタ材など、複数の吸着材を設けることがある。しかしながら、吸着材は、真空断熱パネルよりも熱を伝導し易く断熱性が低い。そして、このような吸着材の配設位置については、従来、あまり考慮されておらず、吸着材の配置箇所によっては断熱箱体の断熱性に影響を及ぼす可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、真空断熱パネルの内部に吸着材を設けて真空断熱パネルの真空度を長期的に維持しつつ、吸着材が断熱箱体の断熱性に及ぼす影響を極力抑制することができる冷蔵庫、及びその冷蔵庫に用いられる真空断熱パネルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の冷蔵庫は、断熱性を有し内部に貯蔵室を有する断熱箱体を備える。前記断熱箱体を構成する断熱壁のうち側面及び背面を構成する断熱壁の少なくとも一方は、内板と外板との間に真空断熱パネルを設けて構成されている。前記真空断熱パネルは、前記真空断熱パネルの外殻を構成する外包材と、前記外包材に内包されたコア材と、気体成分を吸着する性質を有し、前記真空断熱パネル内の少なくとも2つの異なる領域に設けられて前記コア材と共に前記外包材に内包された複数の吸着材と、を有する。冷蔵庫は、前記真空断熱パネルと前記外板との間に設けられて前記断熱壁内で引き回された配管部材を更に備える。前記複数の吸着材のうちの少なくとも1つは、前記配管部材に囲まれた内側の領域に設けられ、前記複数の吸着材のうちの少なくとも1つは、前記配管部材と重なる領域に設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態による冷蔵庫の外観を模式的に示す斜視図
【
図2】第1実施形態による冷蔵庫について、断熱壁箱体の構造を模式的に示す斜視図
【
図3】第1実施形態による冷蔵庫について、断熱箱体に設けられた真空断熱パネルを模式的に示す斜視図
【
図4】第1実施形態による冷蔵庫について、側面のうち外板を除いて真空断熱パネルを露出させて示す図
【
図5】第1実施形態による冷蔵庫について、
図4のX5-X5線に沿って断熱箱体の断面を模式的に示す横断面図
【
図6】第1実施形態による冷蔵庫について、真空断熱パネルの水平方向の端部近傍を示す断面図
【
図7】第2実施形態について、真空断熱パネルに対する吸着材の配置例を模式的に示す図
【
図8】第2実施形態による冷蔵庫について、真空断熱パネルの下端部近傍を示す断面図
【
図9】第2実施形態による冷蔵庫について、真空断熱パネルの製造工程を示す図(その1)
【
図10】第2実施形態による冷蔵庫について、真空断熱パネルの製造工程を示す図(その2)
【
図11】第3実施形態について、真空断熱パネルに対する吸着材の配置例を模式的に示す図
【
図12】第4実施形態について、真空断熱パネルに対する吸着材の配置例を模式的に示す図
【
図13】第5実施形態について、真空断熱パネルに対する吸着材の配置例を模式的に示す図
【
図14】第6実施形態について、真空断熱パネルに対する吸着材の配置例を模式的に示す図
【
図15】その他の実施形態について、真空断熱パネルに対する吸着材の配置例を模式的に示す図(その1)
【
図16】その他の実施形態について、真空断熱パネルに対する吸着材の配置例を模式的に示す図(その2)
【
図17】その他の実施形態について、真空断熱パネルに対する吸着材の配置例を模式的に示す図(その3)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、複数の実施形態による冷蔵庫を、図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0009】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について
図1~
図6を参照して説明する。
図1に示すように、冷蔵庫10は、前面が開口した縦長の矩形状の断熱箱体20内に、複数の貯蔵室を有して構成されている。以下の説明では、冷蔵庫10の開口側を冷蔵庫10の前側とし、開口とは反対側を冷蔵庫10の後ろ側とする。また、冷蔵庫10を
図1の姿勢で床面に設置した場合における重力方向に対応する上下方向を、冷蔵庫10の上下方向とする。また、
図1の冷蔵庫10を前側から見た場合における左右方向を、冷蔵庫10の左右方向とする。なお、冷蔵庫10について、各貯蔵室の内側を冷蔵庫10の庫内とし、各貯蔵室の外側を庫外と称する。
【0010】
図1及び
図2に示すように、冷蔵庫10は、断熱箱体20を主体として構成されている。断熱箱体20は、前面が開口した箱体で構成されており、断熱性を有している。断熱箱体20は、食品などの貯蔵物を貯蔵するための複数の貯蔵室として、例えば、冷蔵室11、野菜室12、製氷室13、小冷凍室14、及び冷凍室15を有している。冷蔵室11は、断熱箱体20の最上部に設けられている。野菜室12は、冷蔵室11の下方に設けられている。製氷室13及び小冷凍室14は、野菜室12の下方にあって、左右に並べて設けられている。冷凍室15は、製氷室13及び小冷凍室14の下方、つまり断熱箱体20の最下部に設けられている。
【0011】
なお、
図1に示す冷蔵庫10の構成は一例であり、貯蔵室の数や種類および配置は、
図1に示すものに限定されない。例えば、冷蔵室11の下方に製氷室13及び小冷凍室14が設けられ、製氷室13及び小冷凍室14の下方に冷凍室15が設けられ、冷凍室15の下方に、つまり断熱箱体20の最下部に野菜室12が設けられていても良い。
【0012】
冷蔵室11及び野菜室12は、いずれも冷蔵温度帯の貯蔵室であり、その庫内は例えば1~4℃のプラス温度帯に維持されている。冷蔵室11と野菜室12との間は、断熱性を必要としない非断熱仕切り壁25により上下に仕切られている。製氷室13、小冷凍室14、及び冷凍室15は、いずれも冷凍温度帯の貯蔵室であり、その庫内は例えば-10℃~-20℃のマイナス温度帯に維持される。野菜室12と、製氷室13及び小冷凍室14との間は、
図4に示すように断熱性を有する断熱仕切り壁26によって仕切られている。この場合、非断熱仕切り壁25及び断熱仕切り壁26は、断熱箱体20の直接的な断熱対象とならない非断熱対象である。
【0013】
冷蔵庫10は、冷蔵室扉111、112、野菜室扉121、製氷室扉131、小冷凍室扉141、及び冷凍室扉151を備えている。冷蔵室扉111、112は、例えば観音開きのヒンジ開閉式の扉であって、冷蔵室11の開口を開閉する。野菜室扉121、製氷室扉131、小冷凍室扉141、及び冷凍室扉151は、いずれも引き出し式であって、それぞれ野菜室12、製氷室13、小冷凍室14、及び冷凍室15の開口を開閉する。
【0014】
断熱箱体20は、例えば分割された複数の断熱壁、この場合、左右の側部断熱壁21、背部断熱壁22、天井部断熱壁23、及び底部断熱壁24を組み合わせることにより箱状に構成されている。側部断熱壁21は、断熱箱体20の左右の側面を構成する断熱壁である。側部断熱壁21は、
図5に示すように、外板201と内板202との間に、断熱材としての真空断熱パネル30を設けて構成されている。
【0015】
外板201は、金属製の薄板で構成されている。外板201は、冷蔵庫10の庫外側の面を構成する。内板202は、合成樹脂製の薄板で構成され、弾性変形が可能となっている。内板202は、冷蔵庫10の庫内側の面を構成する。本実施形態の場合、側部断熱壁21は、断熱材として真空断熱パネル30に加えて、発泡断熱材40を有している。発泡断熱材40は、例えばウレタンフォーム等で構成されており、外板201と内板202との間において真空断熱パネル30が存在していない隙間部分に充填されている。
【0016】
真空断熱パネル30は、冷蔵庫10の庫内、つまり各貯蔵室である冷蔵室11、野菜室12、製氷室13、小冷凍室14、及び冷凍室15を断熱対象としている。真空断熱パネル30は、全体として上下方向に長い矩形の板状に構成されている。なお、以下の説明において、真空断熱パネル30の端部近傍とは、例えば真空断熱パネル30の周囲の端部から例えば10cmの領域を意味する。真空断熱パネル30は、
図5に示すように、外板201及び内板202のうち少なくとも一方の面に、ホットメルトなどの図示しない接着剤を介して接着固定されている。本実施形態の場合、真空断熱パネル30は、内板202と離間した状態で、外板201にホットメルトを介して接着固定されている。そして、内板202と真空断パネル30との間に、発泡断熱材40が設けられている。なお、真空断熱パネル30は、内板202にホットメルトを介して接着固定する構成でも良い。また、真空断熱パネル30は、接着剤に換えて、両面テープなどを用いて外板201又は内板202に接着固定する構成でもよい。
【0017】
冷蔵庫10は、
図2~
図6に示すように、配管部材16を備えている。配管部材16は、図示しない冷凍サイクルを構成する部材であって、例えば図示しない蒸発器とコンプレッサとを繋ぐサクションパイプなどであり、例えば剛性を有する金属管などで構成されている。配管部材16は、外板201と内板202との間でかつ真空断熱パネル30と外板201との間に設けられている。本実施形態の場合、配管部材16は、側部断熱壁21及び背部断熱壁22の内部に設けられている。
【0018】
配管部材16は、
図2において破線で示すように、左右の側部断熱壁21内において外板201と内板202との間に設けられている。この場合、配管部材16は、側部断熱壁21の上下方向に延びている。
図2に図示した例では、配管部材16は、側部断熱壁21の下部において後方から前方へ向けて延びた後、前後方向の中心よりも前側の位置において上方へ向けて曲がって上端部へ向けて延びている。その後、配管部材16は、側部断熱壁21の上端部で後方へ向けて曲がり更に下方へ向けて折れ曲がるようにして折り返している。そして、配管部材16は、下端部へ向けて延びた後、後方へ向けて折れ曲がり側部断熱壁21の下方後方へ戻るように延びている。このように、配管部材16は、側部断熱壁21内において上下方向に一往復するように引き回されている。この場合、配管部材16のうち上下方向に延びる部分は、側部断熱壁21の幅方向の中央部分を挟むようにして並行して配置されている。
【0019】
なお、配管部材16の数や形状は、
図2に図示したものに限らない。すなわち、配管部材16は上下方向に一往復しなくても良い。また、配管部材16は、いわゆる矩形波形状のように、上下方向に二往復以上して配置されていても良い。また、配管部材16は側部断熱壁21の幅方向に一回以上往復して配置されていても良い。
【0020】
なお、
図5に示すように、配管部材16は、背部断熱壁22の内部にも設けられている。この場合、
図5に示す例では、発泡断熱材40は、背部断熱壁22の外板201と内板112との間には充填されていない。しかしながら、真空断熱パネル30及び配管部材16が存在していない部分に、発泡断熱材40が充填されていても良い。
【0021】
真空断熱パネル30は、
図3及び
図4に示すように、溝301、段部302、及び薄肉部303を有している。溝301は、真空断熱パネル30のコア材21を窪ませて形成された溝であって、上下方向に延びている。この場合、真空断熱パネル30は、少なくとも2つの溝301を有している。この2つの301は、並行して上下方向へ延びている。配管部材16の配置経路に沿って設けられている。配管部材16のうち上下方向に延びる部分は、溝301に沿って溝301内に配置されている。溝301の深さ寸法は、
図6に示すように配管部材16の直径以上に設定されている。
【0022】
段部302は、
図3及び
図4に示すように、真空断熱パネル30の上下の縁部分に設けられた段差形状に形成された部分である。薄肉部303は、段部302の上下側の領域であり、真空断熱パネル30の厚みが薄い部分である。配管部材16のうち真空断熱パネル30に沿って水平方向に延びる部分は、薄肉部303に接して段部302と並行に配置されている。また、詳細は図示しないが、薄肉部303の周囲つまり薄肉部303と外板201との間には発泡断熱材40が充填されている。
【0023】
なお、詳細は図示しないが、冷蔵室扉111、112、野菜室扉121、製氷室扉131、小冷凍室扉141、及び冷凍室扉151の縁部には、防露用の図示しない露取り用ヒーターが設けられている。そして、露取り用ヒーターの代わりに、比較的高温の冷媒が流れる配管部材16を設けても良い。
【0024】
また、真空断熱パネル30は、
図3、
図4、及び
図6等に示すように、外包材31、コア材32、及び複数の吸着材50を有している。外包材31は、例えばアルミ蒸着フィルムなどのガスバリア性を有する材料によって袋状に構成されている。この場合、外包材31は、一枚のシート状の部材を折り曲げて、周囲部分を接着することにより袋状に形成されている。コア材32は、例えばグラスウールやグラスファイバ、樹脂繊維などの無機繊維を積層して板状に成形したものである。真空断熱パネル30は、外包材31の内部にコア材32を収容し、外包材31の内部を真空減圧した状態でその外包材31を密閉することで構成される。
【0025】
外包材31は、
図6に示すように耳部311を有している。耳部311は、外包材31の外周部分のうち、コア材32を外包材31に収容しかつ真空減圧する前の状態においてコア材32よりも外側に位置する部分である。耳部311は、真空断熱パネル30の中心側へ折り返されて、外包材31のうち対向する部分に熱溶着やテープなどによって貼付けられている。本実施形態の場合、耳部311は、外板201側に位置している。
【0026】
吸着材50は、水蒸気や、窒素及び酸素など気体成分つまりガス成分を吸着する性質を有しており、例えばシリカゲル、ゼオライト、酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどで構成されている。吸着材50は、粒状又は粉状の材料を不織布等で構成された袋に封入したものでも良いし、粉状の材料を円柱形状のタブレット状に焼結させた固形状のものであって、一面が開口した金属製の容器に収納したものでも良い。複数の吸着材50は、同一の種類のものであっても良く、異なる種類のものであっても良い。
【0027】
また、吸着材50の厚み寸法は、真空断熱パネル30の厚み寸法の4分の1以上に設定されている。本実施形態の場合、例えば、真空断熱パネル30の厚み寸法が10~20mmであるならば、吸着材50の厚み寸法は5~10mm程度と真空断熱パネル30の厚み寸法の半分程度に設定されている。
【0028】
複数の吸着材50は、真空断熱パネル30内の少なくとも2つの異なる領域に設けられている。この場合、異なる領域とは、1つの真空断熱パネル30内において、要求される断熱性能が異なる領域や、真空断熱パネル30自身の断熱性が異なる領域を意味する。すなわち、異なる領域とは、断熱対象である貯蔵室の温度帯が異なる領域、又は真空断熱パネル30自身の断熱性が異なる領域、若しくは断熱対象である貯蔵室への断熱性の影響が異なる領域、などである。つまり、複数の吸着材50のうち少なくとも2つは、それぞれ断熱対象の温度帯、又は断熱性、若しくは断熱対象への断熱性の影響、いずれかが異なる領域に設けられている、本実施形態の場合、複数の吸着材50は、庫内の冷却に対して真空断熱パネル30による断熱の影響が極力小さいと思われる箇所、又は真空断熱パネル30の大部分に対して他の部分よりも厚みが薄いなどにより断熱性が劣っている箇所に、それぞれ設けられている。
【0029】
例えば、真空断熱パネル30において、冷蔵温度帯の貯蔵室11、12と重なる領域と、冷凍温度帯の貯蔵室13、14、15と重なる領域とでは、冷凍温度帯の貯蔵室13、14、15と重なる領域の方が、高い断熱性能が要求される。そのため、冷蔵温度帯の貯蔵室11、12と重なる領域と、冷凍温度帯の貯蔵室13、14、15と重なる領域とは、異なる領域となる。
【0030】
また、例えば真空断熱パネル30において、薄肉部303の領域と、薄肉部303以外の領域とでは、薄肉部303の方がコア材32の厚みが薄い。このため、薄肉部303の領域は、薄肉部303以外の領域に対して断熱性能が低い流域つまり断熱性能が劣っている領域である。したがって、薄肉部303の領域と、薄肉部303以外の領域とでは、異なる領域となる。
【0031】
また、真空断熱パネル30において、周囲の端部つまり縁部は、外包材31を伝って熱が回り込み易い。このため、真空断熱パネル30の周囲の縁部の領域は、中央部分の領域に比べて断熱性能が低い領域つまり断熱性能が劣っている領域である。したがって、真空断熱パネル30の周囲の縁部の領域と中央部分の領域とでは、異なる領域となる。
【0032】
更に、非断熱仕切り壁25及び断熱仕切り壁26に対する断熱は、断熱対象である各貯蔵室11~15の周囲を直接的に断熱することに対して、各貯蔵室11~15内の冷却に対する影響が小さい。そのため、非断熱仕切り壁25又は断熱仕切り壁26と重なる領域と、各貯蔵室11~15と重なる領域とでは、断熱対象である各貯蔵室11~15への断熱性の影響が異なっている。したがって、非断熱仕切り壁25又は断熱仕切り壁26と重なる領域と、各貯蔵室11~15と重なる領域とでは、異なる領域となる。
【0033】
本実施形態の場合、真空断熱パネル30は、複数の吸着材50として少なくとも2つの吸着材51、52を備える。この場合、真空断熱パネル30は、少なくとも2つの異なる種類の吸着材51、52を備える。この場合、2種類の吸着材51、52のうち一方の吸着材51は、冷蔵温度帯の貯蔵室と少なくとも一部が重なる領域、例えば冷蔵室11と重なる領域に設けられている。また、2種類の吸着材51、52のうち他方の吸着材52は、冷凍温度帯の貯蔵室と少なくとも一部が重なる領域、例えば製氷室13又は小冷凍室14と重なる領域に設けられている。
【0034】
また、2種類の吸着材51、52のうち少なくとも一方は、配管部材16に囲まれた内側の領域に設けられている。本実施形態の場合、2種類の吸着材51、52のうちいずれも、配管部材16のうち上下方向に延びる部分及び水平方向に延びる部分で囲まれた内側の領域に設けられている。すなわち、2種類の吸着材51、52のいずれも、前後及び上下が配管部材16に囲まれた領域の内側の領域に設けられている。
【0035】
本実施形態の場合、2種類の吸着材51、52のうち、吸着材51は、主に水蒸気成分を吸着する乾燥材で構成されている。また、2種類の吸着材51、52のうち、吸着材51は、主に酸素や窒素などの水蒸気成分以外の気体成分を吸着するゲッタ材で構成されている。この場合、吸着材51を乾燥材51と称することがあり、また、吸着材52をゲッタ材52と称することがある。乾燥材51は、例えば不織布で形成された袋内に粒状のシリカゲル等の薬剤を収容して構成されている。なお、ゲッタ材52は、粉状の材料を円柱形状のタブレット状に焼結させた固形状のものであって、一面が開口した金属製の容器に収納したものでも良い。
【0036】
そして、本実施形態の場合、真空断熱パネル30は、4つの乾燥材51と、2つのゲッタ材52と、を有している。4つの乾燥材51は、いずれも冷蔵温度帯の貯蔵室と重なる領域、例えば冷蔵室11と重なる領域であって、真空断熱パネル30の中央部つまり端部及び薄肉部303以外の領域に設けられている。また、2つのゲッタ材52は、いずれも冷凍温度帯の貯蔵室と重なる領域、例えば製氷室13又は小冷凍室14と重なる領域であって、真空断熱パネル30の中央部つまり端部及び薄肉部303以外の領域に設けられている。
【0037】
また、吸着材50は、
図6に示すように、コア材32の表面に露出しない態様でコア材32の内部に埋め込まれている。すなわち、本実施形態の場合、コア材32は、複数の収容部321及び蓋部322を有している。収容部321は、コア材32の一部をくり抜いて形成された非貫通の穴つまり窪みである。つまり、収容部321は、周囲をコア材32に囲まれた空間であって、コア材32の厚み方向に対してほぼ中央部に形成されている。吸着材50は、収容部321内に収容されている。
【0038】
蓋部322は、収容部321内に吸着材50を収容した状態で収容部321の開口部分に埋め込まれて、吸着材50を覆っている。蓋部322は、コア材32と同じ素材、例えばグラスウールやグラスファイバ、樹脂繊維などの無機繊維で構成されている。この場合、収容部321及び蓋部322の形状は、真空断熱パネル30の面方向について見ると、吸着材50の外形形状と同一形状に形成されている。本実施形態の場合、収容部321及び蓋部322、例えば矩形状、この場合正方形状に構成されている。また、コア材32における外板201側の面は、蓋部322部分を含めて全体として平坦に形成されている。
【0039】
以上説明した実施形態によれば、冷蔵庫10は、断熱性を有する断熱箱体20を備えている。断熱箱体20は、内部に貯蔵室として冷蔵室11、野菜室12、製氷室13、小冷凍室14、及び冷凍室15を有している。断熱箱体20を構成する断熱壁21、22、23、24のうち側面を構成する側部断熱壁21及び背面を構成する背部断熱壁22少なくとも一方は、外板201と内板202との間に真空断熱パネル30を設けて構成されている。
【0040】
そして、真空断熱パネル30は、外包材31と、コア材32と、複数この場合6つの吸着材50と、を有している。外包材31は、真空断熱パネル30の外殻を構成する。コア材32は、外包材31に内包されている。そして、複数の吸着材50は、気体成分を吸着する性質を有しており、コア材32と共に外包材31に内包されている。そして、複数の吸着材50は、真空断熱パネル30内の少なくとも2つの異なる領域に設けられている。
【0041】
ここで、吸着材50は、真空断熱パネル30よりも熱を伝導し易く断熱性が低い。そのため、コア材32の内部に吸着材50を設けると、この吸着材50が設けられた部分は真空断熱パネル30としての性能が低下してしまう可能性がある。そのため、複数の吸着材50を、真空断熱パネル30の同一の領域に設けると、その領域の断熱性の低下が大きくなって冷蔵庫10の庫内に与える影響が大きい。
【0042】
これに対し、本実施形態の複数の吸着材50は、真空断熱パネル30内の少なくとも2つの異なる領域に設けられている。この場合、複数の吸着材50のうち少なくとも2つは、それぞれ断熱対象の温度帯、又は断熱性、若しくは断熱対象である貯蔵室11~
15への断熱性の影響、いずれかが異なる領域に設けられている。この構成によれば、真空断熱パネル30の特定の領域の断熱性能が低下することを抑制できる。したがって、真空断熱パネル30の内部に複数の吸着材50を設けて真空断熱パネル30の真空度を長期的に維持しつつ、複数の吸着材50が断熱箱体20の特定の領域の断熱性に及ぼす影響を極力抑制することができる。
【0043】
本実施形態において、複数この場合6つの吸着材50のうちの少なくとも1つ、この場合4つの乾燥材51は、冷蔵温度帯の貯蔵室である冷蔵室11と重なる領域に設けられている。また、6つの吸着材50のうち少なくとも他の1つ、この場合2つのゲッタ材52は、冷凍温度帯の貯蔵室である製氷室13又は小冷凍室14と重なる領域に設けられている。すなわち、吸着材51、52のうち、乾燥材51は冷蔵温度帯の貯蔵室11と重なる領域に設けられており、ゲッタ材52は、冷凍温度帯の貯蔵室13、14と重なる領域に設けられている。
【0044】
この構成によれば、真空断熱パネル30の特定の領域、この場合、冷蔵温度帯の貯蔵室11と重なる領域、または冷凍温度帯の貯蔵室13、14と重なる領域の一方のみ断熱性能が大きく低下することを抑制できる。したがって、真空断熱パネル30の内部に複数の吸着材50を設けて真空断熱パネル30の真空度を長期的に維持しつつ、複数の吸着材50が断熱箱体20の特定の領域の断熱性に及ぼす影響を極力抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態において、複数この場合6つの吸着材50のうちの少なくとも1つ、この場合4つの乾燥材51は、冷蔵温度帯の貯蔵室である冷蔵室11と重なる領域に設けられている。また、6つの吸着材50のうち少なくとも他の1つ、この場合2つのゲッタ材52は、配管部材16に囲まれた内側の領域に設けられている。すなわち、吸着材51、52のうち、乾燥材51は冷蔵温度帯の貯蔵室11と重なる領域に設けられており、ゲッタ材52は、配管部材16に囲まれた内側の領域に設けられている。なお、本実施形態の場合、乾燥材51も配管部材16に囲まれた内側の領域に設けられている。
【0046】
ここで、一般に吸着材50は、真空圧縮した後のコア材32よりも剛性が低い。このため、吸着材50をコア材32に埋め込むとコア材32の剛性つまり真空断熱パネル30の剛性が低下することが懸念される。そして、コア材32の剛性が低下すると、真空断熱パネル30を製造する際にコア材32が崩れたり、真空断熱パネル30にそりが生じたりして不良が生じる可能性がある。その結果、断熱箱体20の外観不良や性能不良が生じるおそれがある。
【0047】
これに対し、配管部材16は、金属管などで構成されて剛性を有している。このため、真空断熱パネル30のうち配管部材16で囲まれた内側部分は、配管部材16の外側部分に比べて剛性が高い。したがって、吸着材50を配管部材16で囲まれた内側の領域に設けることで、吸着材50を配管部材16で囲まれた外側の領域に設けた場合に比べて、真空断熱パネル30の剛性を維持することができる。これにより、真空断熱パネル30を製造する際にコア材32が崩れたり、真空断熱パネル30にそりが生じたりして不良が生じることを防ぐことができる。その結果、断熱箱体20の外観不良や性能不良が生じることを防ぐことができる。
【0048】
また、本実施形態において、真空断熱パネル30は、冷蔵温度帯の貯蔵室である冷蔵室11と重なる領域に設けられる吸着材50として、とりわけ水蒸気成分を吸着する乾燥材51を備えている。また、真空断熱パネル30は、冷凍温度帯の貯蔵室である冷凍室15と重なる領域に設けられる吸着材50として、とりわけ窒素や酸素などの水蒸気成分以外の気体成分を吸着するゲッタ材52を備えている。
【0049】
ここで、冷蔵温度帯の貯蔵室11、12の内部の庫内温度は、実測温度としては0度以上と0度未満とを遷移することがある。一方で、冷凍温度帯の貯蔵室13、14、15の内部の庫内温度は、実測温度でも常に0度以下となる様に設定されている。そのため、真空断熱パネル30は、冷凍温度帯の貯蔵室13、14、15と重なる領域に比較して、冷蔵温度帯の貯蔵室11、12と重なる領域において結露が生じやすい。
【0050】
本実施形態では、真空断熱パネル30は、冷蔵温度帯の貯蔵室である冷蔵室11と重なる領域に、主に水蒸気成分を吸着する乾燥材51を備えているため、真空断熱パネル30内に生じた結露の水分を効率よく吸着することができる。
【0051】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について
図7~
図10を参照して説明する。本実施形態では、上記2種類の吸着材51、52のうち、吸着材52の位置が異なる。本実施形態において、2種類の吸着材51、52のうち一方の吸着材51つまり乾燥材51は、冷蔵温度帯の貯蔵室である冷蔵室11と重なる領域に設けられている。一方、2種類の吸着材51、52のうち他方の吸着材52つまりゲッタ材52は、少なくとも一部が冷凍温度帯の貯蔵室この場合冷凍室15と重なる領域に設けられている。
【0052】
また、この場合、ゲッタ材52は、真空断熱パネル30の下端部の近傍の領域に設けられている。この場合、真空断熱パネル30の下端部の近傍の領域とは、真空断熱パネル30の下端部から10cmの領域を意味する。また、本実施形態の場合、ゲッタ材52は、
図8にも示すように、配管部材16と重なる領域に設けられている。また、
図8に示すように、ゲッタ材52の少なくとも一部、この場合ゲッタ材52の全部は、耳部311と重なる領域に設けられている。また、2つのゲッタ材52は、真空断熱パネル30の中央部よりも薄い薄肉部303の領域内に設けられている。
【0053】
真空断熱パネル30は、例えば
図9及び
図10に示すように、次のようにして製造される。簡単のために、1つの吸着材50について図示するが、複数であっても製造方法は同様である。まず、コア材32に吸着材50を埋め込むために、
図9(A)~(D)に示す工程が順に実行される。まず、
図9(A)に示すように、シート状に形成されたグラスウールが複数層積層される。この工程では、金型によってコア材32を窪ませることにより溝301も形成される。次に、
図9(B)に示すように、コア材32の一部がくり抜かれて、コア材32の内部に収容部321が形成される。
【0054】
次に、
図9(C)に示すように、吸着材50が収容部321内に配置され、その後、
図9(B)で取り除かれたグラスウールの一部が蓋部322として、吸着材50を覆うように配置される。これにより、
図9(D)に示すように、蓋部322によって収容部321に蓋がされて、コア材32に吸着材50が埋め込まれる。
【0055】
次に、
図10(A)~(D)に示す工程が順に実行される。この場合、
図10(A)に示す外包材31は、一辺部に開口部312を有し、他の辺部が接着されて袋状に形成されたものである。
図10(A)に示すように、コア材32は、袋状の外包材31内の開口部312から外包材31の内部に挿入される。
【0056】
その後、
図10(B)、(C)に示すように、外包材31の内部を真空減圧する。この真空減圧の際、コア材32は圧縮される。そして、外包材31の内部を減圧した状態で外包材31の開口部312を熱溶着して密閉する。この際、コア材32からはみ出して熱圧着された部分が耳部311として形成される。そして、
図10(D)に示すように、耳部311を真空断熱パネル30の中心側へ折り返して、粘着テープ又は接着材によって真空断熱パネル30に接着する。このようにして、真空断熱パネル30が製造される。
【0057】
なお、外包材31は、コア材32を収容する際に袋状となっていなくても良い。すなわち、外包材31は、コア材32を収容する際に、外周の縁部がいずれも溶着されていないシート状であっても良い。また、外包材31は、向かい合う2つの縁部が溶着された筒状であっても良く、更には直交する2つの縁部が溶着された半袋状となっていても良い。
【0058】
この第2実施形態によれば、複数の吸着材50のうちの少なくとも1つ、この場合4つの乾燥材51は、冷蔵温度帯の貯蔵室である冷蔵室11と重なる領域に設けられている。また、複数の吸着材50のうちの少なくとも他の1つ、この場合2つのゲッタ材52は、真空断熱パネル30の下端部近傍の領域に設けられている。すなわち、2種類の吸着材50のうち、一方の吸着材50である乾燥材51は、冷蔵温度帯の貯蔵室と重なる領域に設けられ、他方の吸着材50であるゲッタ材52は、真空断熱パネル30の下端部近傍の領域に設けられている。
【0059】
この場合、冷蔵庫10に用いられる真空断熱パネル30において、真空断熱パネル30の中央部の断熱性は、冷蔵庫10の庫内の冷却に与える影響が大きい。つまり、真空断熱パネル30は、当該真空断熱パネル30の中央部により高い断熱性能が要求される。一方、真空断熱パネル30の端部は、冷蔵庫10の庫内の冷却に与える影響はそれほど大きくない。この場合、真空断熱パネル30の中央部つまり配管部材16に囲まれた領域であって薄肉部303以外の領域を、真空断熱パネル30の全体のうち庫内の冷却に対して断熱性の影響が大きい領域に設定している。また、真空断熱パネル30の端部近傍の領域、例えば上下の薄肉部303の領域を、真空断熱パネル30の全体のうち庫内の冷却に対して断熱性の影響が小さい領域に設定している。
【0060】
また、ゲッタ材52は、上述したように例えば金属製の容器に入れられていることが多い。このため、ゲッタ材52を真空断熱パネル30に設けると、金属容器の熱伝導によって真空断熱パネル30の断熱性の低下が懸念される。そして、ゲッタ材52を真空断熱パネル30に設けると、その断熱性の低下によって冷蔵庫10の庫内に与える影響がより大きくなる。
【0061】
これに対し、本実施形態の2種類の吸着材50のうち少なくともゲッタ材52は、真空断熱パネル30の全体のうち庫内の冷却に対して断熱性の影響が小さい領域、又は真空断熱パネル30の全体のうち断熱性が劣っている領域に設けられている。すなわち、冷蔵庫10に用いられる真空断熱パネル30において、真空断熱パネル30の外周部の断熱性は、冷蔵庫10の庫内に与える影響が比較的小さい。そのため、実施形態の冷蔵庫10において、ゲッタ材52は、真空断熱パネル30の下端部近傍に設けられている。この構成によれば、庫内の断熱性に大きく寄与する真空断熱パネル30の中央部分の断熱性能が、ゲッタ材52によって低下することを抑制できる。したがって、真空断熱パネル30の内部に吸着材50を設けて真空断熱パネル30の真空度を長期的に維持しつつ、ゲッタ材52が断熱箱体20の断熱性に及ぼす影響を極力抑制することができる。
【0062】
また、複数の吸着材50のうちの少なくとも1つ、この場合、2つのゲッタ材52は、配管部材16と重なる領域に設けられている。この場合、真空断熱パネル30のうち配管部材16と重なる領域は、配管部材16を配置するための溝301が設けられていることから、他の領域に比べてコア材32が薄い。したがって、真空断熱パネル30のうち配管部材16と重なる領域は、そもそも断熱性が悪く、その領域の断熱性が庫内の冷却に寄与する割合も小さい。このため、配管部材16と重なる領域に吸着材50を設けたとしても、そもそも断熱性が悪いため、庫内の冷却に与える影響は小さい。
【0063】
したがって、この構成によれば、真空断熱パネル30の複数の吸着材51、52を設けつつ、ゲッタ材52が庫内の断熱性に大きく寄与する真空断熱パネル30の中央部分の断熱性能が低下することを抑制できる。これにより、真空断熱パネル30の内部に複数の吸着材50を設けて真空断熱パネル30の真空度を長期的に維持しつつ、複数の吸着材50が断熱箱体20の断熱性に及ぼす影響を極力抑制することができ、その結果、真空断熱パネル30の長期の信頼性を維持することができる。
【0064】
また、外包材31は、耳部311を有している。耳部311は、コア材32からはみ出た部分をコア材32に沿って折り返して形成されている。そして、本実施形態の場合、吸着材51、52のうち、ゲッタ材52は、その一部が耳部311と重なる領域に設けられている。すなわち、ゲッタ材52は、
図8に示すように、外包材31の下側の耳部311と重なる位置に設けられている。
【0065】
ここで、外包材31は、気密性を確保するために、アルミ蒸着シートのような熱伝導性の材料で構成されている。このため、耳部311が折り返された部分は、アルミ蒸着層のような金属層が重なることになり、その結果、耳部311が存しない他の部分に比較して断熱性能に劣りやすい傾向がある。そのため、本実施形態において、ゲッタ材52は、貯蔵庫内の断熱に特に寄与すると考えられる真空断熱パネル30の耳部311が設けられていない部分ではなく、耳部311と重なる部分に設けられている。
【0066】
これにより、高い断熱性能が必要となる真空断熱パネル30の中央付近の断熱性能を、外殻が金属製の容器で構成されているゲッタ材52を設けることによって必要以上に低下させることがない。その結果、真空断熱パネル30の内部に複数の吸着材50を設けて真空断熱パネル30の真空度を長期的に維持しつつ、複数の吸着材50が断熱箱体20の断熱性に及ぼす影響を極力抑制することができ、ひいては真空断熱パネル30の信頼性を長期に維持することができる。
【0067】
また、この場合、吸着材50のうちゲッタ材52は、真空断熱パネル30の中央部よりも厚みが薄い薄肉部303に設けられている。薄肉部303は、真空断熱パネル30の中央部よりも厚みが薄いため、断熱性能も低い。このように、ゲッタ材52をもともと断熱性能の低い薄肉部303に設けることで、真空断熱パネル30の中央部の断熱性に与える影響を極力小さくすることができる。
【0068】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について
図11を参照して説明する。
本実施形態の場合では、ゲッタ材52の位置が上記各実施形態と異なる。すなわち、本実施形態の場合、複数の吸着材のうちの少なくとも1つ、この場合4つの乾燥材51は、冷蔵温度帯の貯蔵室である野菜室12と重なる領域に設けられている。また、複数の吸着材のうちの少なくとも他の1つ、この場合2つのゲッタ材52は、真空断熱パネル30の上端部近傍の領域に設けられている。この場合、真空断熱パネル30の上端部の近傍の領域とは、真空断熱パネル30の
上端部から10cmの領域を意味する。また、複数の吸着材50のうちの少なくとも1つ、この場合、2つのゲッタ材52は、配管部材16に囲まれた外側の領域に設けられている。
これによっても、上記第2実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0069】
また、複数の吸着材50のうちの少なくとも1つ、この場合、2つのゲッタ材52は、配管部材16に囲まれた外側の領域に設けられている。これによれば、真空断熱パネル30において配管部材16の外側は、真空断熱パネル30の端部に近いため、上述したように庫内の冷却に対して真空断熱パネル30による断熱の影響が極力小さいと思われる。更に真空断熱パネル30において配管部材16の外側は、配管部材16からの放熱の影響によって、真空断熱パネル30の中央部付近よりも断熱性能が劣っていることから、更に断熱性が低下しても庫内の冷却に与える影響は小さいと思われる。したがって、本実施形態によれば、吸着材50が断熱箱体20の断熱性に及ぼす影響を更に効果的に抑制することができる。
なお、本実施形態において2つのゲッタ材52は、薄肉部303にあって、配管部材16と重ならない領域に設けられているが、配管部材16と重なる領域に設けても良い。
【0070】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について
図12を参照して説明する。
本実施形態の場合、真空断熱パネル30は、吸着材50として、上記各実施形態の2つのゲッタ材52に換えて4つのゲッタ材521、522、523、524を有している。4つのゲッタ材521、522、523、524のうち、2つのゲッタ材521、522は、冷蔵温度帯の貯蔵室11、12と重なる領域であって、冷蔵室11と野菜室12との間に設けられた非断熱仕切り壁25と少なくとも一部が重なる領域に設けられている。この場合、2つのゲッタ材521、522は、配管部材16に囲まれた領域の内側に設けられている。
【0071】
また、4つのゲッタ材521、522、523、524のうち、他の2つのゲッタ材523、524は、冷蔵温度帯の貯蔵室12と冷凍温度帯の貯蔵室13、14のとの間に設けられた断熱仕切り壁26と少なくとも一部が重なる領域に設けられている。この場合、2つのゲッタ材523、524は、配管部材16で囲まれた領域の外側に設けられている。
【0072】
また、2つのゲッタ材523、524うち一方のゲッタ材523は、真空断熱パネル30の前端部近傍の領域に設けられている。また、2つのゲッタ材523、524うち他方のゲッタ材524は、真空断熱パネル30の後端部近傍の領域に設けられている。この場合、真空断熱パネル30の前端部近傍の領域とは、真空断熱パネル30の前端部から10cmの範囲の領域を意味する。また、真空断熱パネル30の後端部近傍の領域とは、真空断熱パネル30の後端部から10cmの範囲の領域を意味する。
【0073】
また、2つのゲッタ材523、524うち一方のゲッタ材523は、耳部311と少なくとも一部が重なる領域に設けられている。また、2つのゲッタ材523、524うち他方のゲッタ材524は、耳部311と少なくとも一部が重なる領域に設けられている。
【0074】
本実施形態の場合、真空断熱パネル30の前端部及び後端部近傍を、真空断熱パネル30の全体のうち庫内の冷却に対して断熱性の影響が小さい箇所、及び真空断熱パネル30の全体のうち断熱性が劣っている領域であると設定している。また、真空断熱パネル30において、非断熱仕切り壁25と重なる領域、及び断熱仕切り壁26と重なる領域を、真空断熱パネル30の全体のうち庫内の冷却に対して断熱性の影響が小さい領域であると設定している。
【0075】
本実施形態において、ゲッタ材521、522は、真空断熱パネル30の上下方向の中央部近傍、具体的には、冷蔵室11と野菜室12との間に設けられた非断熱対象である非断熱仕切り壁25と少なくとも一部が重なる位置に設けられている。この場合、非断熱仕切り壁25の側方部分は、いずれの貯蔵室11、12、13、14、15とも重なっていないため、それほど高い断熱性を必要としない。そのため、ゲッタ材521、522を、冷蔵室11と野菜室12との間に設けられた非断熱仕切り壁25と重なる位置に設けることで、貯蔵室11、12、13、14、15に与える影響を極力小さくすることができる。
【0076】
また、本実施形態では、真空断熱パネル30において、断熱仕切り壁26と重なる位置を、真空断熱パネル30の全体のうち庫内の冷却に対して断熱性の影響が小さい領域であると設定している。そして、ゲッタ材523、524は、断熱仕切り壁26の少なくとも一部が重なる領域に設けられている。すなわち、断熱仕切り壁26が断熱性を有しているため、ゲッタ材523、524を真空断熱パネル30において断熱仕切り壁26と重なる位置に設けることで、少なくともゲッタ材523、524を設けたことにより貯蔵室11、12、13、14、15に与える影響を極力小さくすることができる。
【0077】
また、本実施形態では、真空断熱パネル30の前端部及び後端部近傍を、真空断熱パネル30の全体のうち庫内の冷却に対して断熱性の影響が小さい領域、及び真空断熱パネル30の全体のうち断熱性が劣っている領域であると設定している。すなわち、側部断熱壁21の前後の端部には、真空断熱パネル30が設けられていない空間が存在する。このため、側部断熱壁21の前後の端部は、中央付近よりも断熱性能に劣っている。更に、側部断熱壁21の前端部は、各扉111、112、121、131、141、151に設けられた図示しない防露部材の近傍となる。つまり、側部断熱壁21に設けられた真空断熱パネル30において、前端部は、前後方向の中央部分に比較してやや温度が上昇し易い。
【0078】
これに対し、ゲッタ材523は、側部断熱壁21に設けられた真空断熱パネル30の前端部近傍に設けられている。また、ゲッタ材524は、側部断熱壁21に設けられた真空断熱パネル30の後端部近傍に設けられている。この構成によれば、少なくともゲッタ材523、524を庫内の断熱性に大きく寄与する真空断熱パネル30の中央部に設けた場合に比べて断熱性能が低下することを抑制できる。したがって、真空断熱パネル30の内部に複数の吸着材50を設けて真空断熱パネル30の真空度を長期的に維持しつつ、複数の吸着材50が断熱箱体20の断熱性に及ぼす影響を極力抑制することができる。
【0079】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について
図13を参照して説明する。
本実施形態では、ゲッタ材521、522、523、524の配置が上記第4実施形態と異なる。すなわち、本実施形態においてゲッタ材521、522は、非断熱仕切り壁25と少なくとも一部が重なる領域であって、配管部材16で囲まれた領域の外側の領域に設けられている。また、この場合、ゲッタ材521は、真空断熱パネル30の前端部近傍の領域設けられており、ゲッタ材522は、真空断熱パネル30の後端部近傍の領域に設けられている。また、ゲッタ材523、524は、非断熱対象である断熱仕切り壁26と少なくとも一部が重なる領域であって、配管部材16で囲まれた内側の領域に設けられている。
これによっても、上記第4実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0080】
(第6実施形態)
次に、
図14を参照して第6実施形態について説明する。
本実施形態は、上記各実施形態における吸着材50を、断熱箱体20の背面を構成する背部断熱壁22に設けられた真空断熱パネル30に適用した例である。本実施形態の真空断熱パネル30は、複数の吸着材50として、上記第5実施形態と同様に、4つの乾燥材51と、4つのゲッタ材525、525、526、526と、を有している。
【0081】
この場合、4つの乾燥材51は、上記各実施形態と同様に、冷蔵温度帯の貯蔵室である冷蔵室11と重なる領域に設けられている。また、2つのゲッタ材525、525は、上記第4実施形態及び第5実施形態のゲッタ材521、522と同様に、非断熱仕切り壁25と少なくとも一部が重なる領域に設けられている。そして、他の2つのゲッタ材526、526は、上記第4実施形態及び第5実施形態のゲッタ材523、524と同様に、断熱仕切り壁26と少なくとも一部が重なる領域に設けられている。なお、背部断熱壁22に配管部材16が設けられていても良く、この場合、各吸着材50は、配管部材16で囲まれた内側の領域に設けても良いし、外側の領域に設けても良い。
【0082】
本実施形態によれば、断熱箱体20の背面を構成する背部断熱壁22に設けられた真空断熱パネル30についても、上記各実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0083】
(その他の実施形態)
また、冷蔵庫10は、
図15に示すように、各貯蔵室11~15内を冷却する冷却風を生成するための蒸発器つまり冷却器17を備えている。そして、背部断熱壁22のうち冷却器17の裏側の領域つまり冷却器17と重なる領域は温度が低く、背部断熱壁22内に設けられた真空断熱パネル30や発泡断熱材40に結露が生じ易い。そのため、例えば上記実施形態の吸着材50を背部断熱壁22に適用した場合には、複数の吸着材50のうち少なくとも1を、背部断熱壁22に設けられた真空断熱パネル30において、冷却器17の裏側の領域つまり冷却器17と重なる領域に設けることができる。
【0084】
例えば複数の吸着材50のうち2つのゲッタ材52を、背部断熱壁22に設けられた真空断熱パネル30において、冷却器17の裏側の領域つまり冷却器17と重なる領域に設けることができる。これによれば、複数の吸着材50のうち少なくとも1つのゲッタ材52、この場合2つのゲッタ材52を結露が生じ易い領域つまり冷却器17の裏側の領域に配置することで、発生した結露を効率良く吸着することができ、その結果、真空断熱パネル30の長期の信頼性を維持することができる。
【0085】
また、背部断熱壁22のうち冷却器17の裏側の領域つまり冷却器17と重なる領域は温度が低くなり易いため、高い断熱性を要する領域であると言える。そのため、上記実施形態の吸着材50を背部断熱壁22に適用した場合には、
図16に示すように、複数の吸着材50のうち少なくとも1つを、背部断熱壁22に設けられた真空断熱パネル30において、冷却器17の裏側の領域の外側の領域つまり冷却器17と重らない領域に設けても良い。
【0086】
例えば複数の吸着材50のうち2つのゲッタ材52を、背部断熱壁22に設けられた真空断熱パネル30において、冷却器17の裏側の領域の外側の領域つまり冷却器17と重らない領域に設けることができる。これによれば、複数の吸着材50のうち少なくとも1つのゲッタ材52、この場合2つのゲッタ材52を、温度が低くなり易くより高い断熱性を必要とする領域以外の領域に設けることで、高い断熱性が必要な冷却器17の裏側の領域において、吸着材50を設けることによる断熱性の低下の影響を回避し、高い断熱性を確保することができる。
【0087】
また、冷蔵庫10は、
図17に示すように、冷蔵室11に設けられた貯水タンク18と、貯水タンク18から製氷室13に延びる給水パイプ19と、を備えている。貯水タンク18に貯水されている水は、給水パイプ19を通って製氷室13に送られる。ここで、例えば上記実施形態の吸着材50を背部断熱壁22に適用した場合には、複数の吸着材50のうち少なくとも1つ、例えば2つのゲッタ材52のうちの1つを、給水パイプ19の裏側の領域つまり給水パイプ19と重なる領域に設けても良い。この場合、給水パイプ19は、冷蔵室11等に収納された食品の保存とは直接的に関係の無い機構であり、給水パイプ19周辺の断熱性が低下しても、冷蔵庫10内の収納された食品には影響が無い。
【0088】
したがって、この構成によれば、断熱性の影響が低い領域である給水パイプ19の裏側の領域に複数の吸着材50のうちの少なくとも1つを設けることで、真空断熱パネル30の内部に複数の吸着材50を設けて真空断熱パネル30の真空度を長期的に維持しつつ、吸着材50が断熱箱体20の断熱性に及ぼす影響を極力抑制することができ、その結果、真空断熱パネル30の長期の信頼性を維持することができる。
【0089】
更に、給水パイプ19内の水が凍結すると貯水タンク18内の水を製氷室13に送ることができない。これに対し、断熱性の影響が低い領域である給水パイプ19の裏側の領域に吸着材50を設けることで、真空断熱パネル30のうち給水パイプ19の裏側の領域の断熱性を敢えて低下させることができる。これにより、給水パイプ19が過度に冷却されて給水パイプ19内の水が氷結してしまうことを抑制することができる。
【0090】
また、詳細は図示しないが、冷蔵庫10は、冷却器17で生成した冷気を各貯蔵室11~15に供給するための風路ダクトを備えている。そして、例えば上記実施形態の吸着材50を背部断熱壁22に適用した場合には、吸着材50を、背部断熱壁22に設けられた真空断熱パネル30において、図示しない風路ダクトの裏側の領域つまり風路ダクトと重なる領域に設けることができる。これによれば、真空断熱パネル30のうち風路ダクトの裏側の領域の断熱性を敢えて低下させることができる。これにより、風路ダクト内が氷結して風路が塞がり、冷却性能が低下することを抑制することができる。
【0091】
なお、上記各実施形態において、乾燥材とゲッタ材との配置を入れ替えることもできる。
また、上記各実施形態において、乾燥材51は、冷蔵温度帯の貯蔵室11、12と重なる領域に設けられていたが、これに限られない。例えば乾燥材51は、真空断熱パネル30において冷凍温度帯の貯蔵室13、14、15と重なる領域に設けることもできる。
【0092】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変更は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0093】
図面中、10は冷蔵庫、11は冷蔵室(冷蔵温度帯の貯蔵室)、12は野菜室(冷蔵温度帯の貯蔵室)、13は製氷室(冷凍温度帯の貯蔵室)、14は小冷凍室(冷凍温度帯の貯蔵室)、15は冷凍室(冷凍温度帯の貯蔵室)、16は配管部材、20は断熱箱体、21は側部断熱壁(断熱壁)、22は背部断熱壁(断熱壁)、23は天井部断熱壁(断熱壁)、24は底部断熱壁(断熱壁)、201は外板、202は内板、25は非断熱仕切り壁、26は断熱仕切り壁、30は真空断熱パネル、301は溝、311は耳部、32はコア材、50は吸着材、51は乾燥材(吸着材)、52、521、522、523、524、525、526はゲッタ材(乾燥材)、を示す。