IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オートモーティブ・ライティング・イタリア・ソチエタ・ペル・アツィオーニの特許一覧

<>
  • 特許-自動車用照明及び/又は信号装置 図1
  • 特許-自動車用照明及び/又は信号装置 図2
  • 特許-自動車用照明及び/又は信号装置 図3
  • 特許-自動車用照明及び/又は信号装置 図4
  • 特許-自動車用照明及び/又は信号装置 図5
  • 特許-自動車用照明及び/又は信号装置 図6a
  • 特許-自動車用照明及び/又は信号装置 図6b
  • 特許-自動車用照明及び/又は信号装置 図6c
  • 特許-自動車用照明及び/又は信号装置 図6d
  • 特許-自動車用照明及び/又は信号装置 図7
  • 特許-自動車用照明及び/又は信号装置 図8
  • 特許-自動車用照明及び/又は信号装置 図9
  • 特許-自動車用照明及び/又は信号装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】自動車用照明及び/又は信号装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20240717BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20240717BHJP
   F21S 41/24 20180101ALI20240717BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20240717BHJP
   F21S 43/239 20180101ALI20240717BHJP
   F21S 43/243 20180101ALI20240717BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20240717BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20240717BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20240717BHJP
   F21W 103/40 20180101ALN20240717BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240717BHJP
【FI】
F21S2/00 415
F21S41/143
F21S41/24
F21S43/14
F21S43/239
F21S43/243
F21W102:13
F21W103:10
F21W103:35
F21W103:40
F21Y115:10
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019088322
(22)【出願日】2019-05-08
(65)【公開番号】P2019197729
(43)【公開日】2019-11-14
【審査請求日】2022-02-15
(31)【優先権主張番号】18425033.0
(32)【優先日】2018-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517227895
【氏名又は名称】マレッリ・オートモーティブ・ライティング・イタリー・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】MARELLI AUTOMOTIVE LIGHTING ITALY S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン - パスカル エルラン
(72)【発明者】
【氏名】サラ パローニ
(72)【発明者】
【氏名】ピエールフランチェスコ ジリオ
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-108919(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102411166(CN,A)
【文献】特開2008-027886(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0196071(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21S 41/143
F21S 41/24
F21S 43/14
F21S 43/239
F21S 43/243
F21W 102/13
F21W 103/10
F21W 103/35
F21W 103/40
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明及び/又は信号装置(4)であって、
光ビームを受けて拡散するよう構成された光入射拡散壁(28)から、前記照明及び/又は信号装置(4)の照明部分(36)を形成する光出射壁(32)まで延在する導光体(24)と、
主光軸(X-X)に沿って光ビームを放出するよう構成された少なくとも1つのLED光源(16)であって、前記LED光源(16)によって放出された前記光ビームを受けるよう構成された前記光入射拡散壁(28)の光放出部(40)と対向している少なくとも1つのLED光源(16)と
を有する照明及び/又は信号装置(4)において、
前記光入射拡散壁(28)と前記光出射壁(32)とは前記主光軸(X-X)に沿って互いに反対を向いており、
前記照明部分(36)は、前記LED光源(16)及び前記光放出部(40)と位置合わせされた中央照明部分(44)と、前記中央照明部分(44)を取り囲む周辺照明部分(48)とを有し、
前記導光体(24)は、前記光入射拡散壁(28)に配置された複数の抽出要素(52)を有し、
前記装置(4)は、前記導光体(24)の前記光入射拡散壁(28)に関連付けられた少なくとも1つの反射要素(56)であって、前記光出射壁(32)に向かって光を反射するようにそれぞれの前記抽出要素(52)に直接対向している少なくとも1つの反射要素(56)を有し、
前記照明部分(36)を覆うように前記光出射壁(32)側に拡散層(60)が配置され、
前記拡散層(60)は、前記中央照明部分(44)と前記周辺照明部分(48)の両方で均一な光強度を得るように、前記照明部分(36)に入射する光線の光強度に応じて差別化された透過率を有し、
前記抽出要素(52)は不均一パターンに従って配置され、前記不均一パターンは、前記主光軸(X-X)に垂直な平面内に含まれかつ前記抽出要素(52)に入射する、対応する前記LED光源(16)からの径方向(R)に沿った距離が大きくなるにつれて増大する密度を有し、
前記光放出部(40)は、前記LED光源(16)に向かって凹面を有し、前記中央照明部分(44)は、前記LED光源(16)の前記主光軸(X-X)に関して軸対称な円すい部(68)であって、前記光放出部(40)に対向しかつ前記LED光源(16)と整列された頂点を有する円すい部(68)を有し、
前記光入射拡散壁(28)は、前記LED光源(16)の前記主光軸(X-X)に平行な断面に関して、
第1の角度(β)を形成する光線を偏向/屈折させるように形状された第1の下部ストレッチ(80)であって、それにより光線は前記光出射壁(32)の前記円すい部(68)に影響し、かつ前記光入射拡散壁(28)と前記光出射壁(32)により画定される前記導光体(24)の部分に沿って全内反射によって前記円すい部(68)により反射され得る、第1の下部ストレッチ(80)と、
前記第1の下部ストレッチ(80)に隣接する第2の下部ストレッチ(88)であって、前記第1の角度(β)より大きくかつ第2の角度(α)より小さい角度で放出される光線を方向付けるように構成され、それにより光線は、前記光入射拡散壁(28)と前記光出射壁(32)により画定される前記導光体(24)の一部に沿って反射され得る、第2の下部ストレッチ(88)と、
前記第2の下部ストレッチ(88)に隣接する第3の下部ストレッチ(92)であって、前記第2の下部ストレッチ(88)から屈折した光線を反射しないように構成された第3の下部ストレッチ(92)と
を有している、
照明及び/又は信号装置(4)。
【請求項2】
前記拡散層(60)は、前記照明部分(36)でより大きな光を有する入射光線のところにより低い透過率を、また前記照明部分(36)でより小さい光強度を有する入射光線のところにより高い透過率を有する、請求項1に記載の照明及び/又は信号装置(4)。
【請求項3】
前記拡散層(60)は、前記中央照明部分(44)のところにより低い透過率を、また前記周辺照明部分(48)のところにより高い透過率を有する、請求項1又は2に記載の照明及び/又は信号装置(4)。
【請求項4】
前記拡散層(60)はオパリン層を有し、透過率変化が、前記LED光源(16)の主光軸(X-X)に平行な断面に関して前記オパリン層の厚さ(S)を変化させることによって得られる、請求項1、2又は3に記載の照明及び/又は信号装置(4)。
【請求項5】
前記オパリン層の厚さ(S)は、前記中央照明部分(44)でより大きく、前記周辺照明部分(48)でより小さい、請求項4に記載の照明及び/又は信号装置(4)。
【請求項6】
前記拡散層(60)はエンボス層を有し、透過率変化が、前記LED光源(16)の主光軸(X-X)に平行な断面に関して前記エンボス層のエンボス密度及び/又は厚さ(S)及び/又は粗さを変化させることによって得られる、請求項1から5までのいずれか一項に記載の照明及び/又は信号装置(4)。
【請求項7】
前記エンボス層の厚さ(S)、並びに/或いは前記エンボスの密度及び/又は粗さは、前記中央照明部分(44)でより大きく、前記周辺照明部分(48)でより小さい、請求項6に記載の照明及び/又は信号装置(4)。
【請求項8】
前記拡散層(60)はシルクスクリーン印刷層を有し、透過率変化が、前記シルクスクリーン印刷層の異なるパターンによって得られる、請求項1から7までのいずれか一項に記載の照明及び/又は信号装置(4)。
【請求項9】
前記光出射壁(32)上の前記中央照明部分(44)に円筒光学系(64)が設けられ、それにより、そこに入射する光ビームを前記拡散層(60)の方へ抽出する、請求項1から8までのいずれか一項に記載の照明及び/又は信号装置(4)。
【請求項10】
前記円筒光学系(64)は、前記LED光源(16)の前記主光軸(X-X)に関して互いに同心の円筒経路である、請求項9に記載の照明及び/又は信号装置(4)。
【請求項11】
前記光出射壁(32)の前記円筒光学系(64)は、前記照明部分(36)上の全体に亘って光強度が均一な光線を抽出するように、前記光入射拡散壁(28)上の前記抽出要素(52)に関連して構成されている、請求項9又は10に記載の照明及び/又は信号装置(4)。
【請求項12】
前記拡散層(60)は、平担な周辺部(72)と、前記導光体(24)の前記円すい部(68)に関して逆形状とされた円すい形の中央突起部(76)とを有する、請求項1から11までのいずれか一項に記載の照明及び/又は信号装置(4)。
【請求項13】
前記抽出要素(52)は、前記第3の下部ストレッチ(92)に隣接する第4の下部ストレッチ(96)から配置されている、請求項1から12までのいずれか一項に記載の照明及び/又は信号装置(4)。
【請求項14】
前記抽出要素(52)は、前記光を前記光出射壁(32)及び/又は前記反射要素(56)に向かって拡散させるマイクロ光学系である、請求項1から13までのいずれか一項に記載の照明及び/又は信号装置(4)。
【請求項15】
前記反射要素(56)は、前記導光体(24)の前記光入射拡散壁(28)からの光を反射する白色フィルム又はミラーである、請求項1から14までのいずれか一項に記載の照明及び/又は信号装置(4)。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか一項に記載の照明及び/又は信号装置(4)を複数有する照明及び/又は信号モジュール(104)であって、
相互に隣接する装置(4’、4’’)の前記照明部分(36’、36’’)が光線を通さないバリア要素(100)によって分離されている、照明及び/又は信号モジュール(104)。
【請求項17】
前記装置(4’、4’’)の反射要素(56’、56’’)が、並んで配置された互いに隣接する照明装置(4’、4’’)においてバリア要素(100’、100’’)としても機能する、請求項16に記載の照明及び/又は信号モジュール(104)。
【請求項18】
前記バリア要素(100’、100’’)は、光を通さない膜及び/又は分離隔膜を有する、請求項17に記載の照明及び/又は信号モジュール(104)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用照明及び/又は信号装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車用照明及び/又は信号装置という用語は、本明細書では非常に広い意味で使用され、後部及び前部自動車ランプを含み、後者はヘッドライト又はヘッドランプとも呼ばれる。
【0003】
従って、ポジションライト、方向指示器、ストップライト、リアフォグライト、後退灯、すれ違いビームヘッドランプ、ハイビームヘッドランプ等が含まれる。
【0004】
この用語はまた、マップライト、計器パネル用ライト、又はそれらの一部を含むことも意味し、従って自動車用照明及び/又は信号装置は、車両の内側と外側の両方に配置することができる。
【0005】
周知のように、上記自動車用照明及び/又は信号装置は、照明と視覚信号の送信の両方に使用されてもよい。
【0006】
これらの目的のために、上記装置は、同様に遵守すべき規則などに従って、異なる色、異なるレベルの明るさの複数の照明部分を有する。にもかかわらず、自動車用ランプはますます自動車の特徴的要素となっており、その外観には特に注意が払われている。その好例として、機能上のニーズに加えて、外観に関するニーズに応えるために、照明部分の均質性を確実に向上させる自動車用照明及び/又は信号装置を製造する必要性がますます感じられる。
【0007】
この目的のために、当技術分野においては、照明部分の均質性を確実に向上させるOLEDを用いた解決策があるが、そのような解決策はかなり費用のかかるものであり、いずれにせよ、ライフサイクルや故障時の診断に関する制限がある。
【発明の概要】
【0008】
特定の測光ニーズに適合する光ビームを得るために型式認定ニーズを満たす機器として自動車用ランプを使用するだけでなく、そのランプが適用される車両の特定のデザイン機器としても自動車用ランプを使用する必要性が当技術分野では増しているので、上記制限は無視できない。
【0009】
従って、ランプが放つ照明パターンは、信号表示及び/又は照明機能を果たすという機能だけでなく、正確な所望の光効果を生み出すという機能も果たす。
【0010】
また、この照明及び/又は信号装置は、テキスト、図形記号などの光信号を送信し、正確な光部分の点灯シーケンスによって光アニメーションを作成するためにも使用することができる。
【0011】
従って、当技術分野では、OLED技術の欠点を有することなく、OLEDよりも効率的であり、OLEDを用いた場合と同程度の高い照明均一性を確保することができる手頃な価格の自動車用照明及び/又は信号装置を提供する必要性がある。
【0012】
そのような必要性は、請求項1に記載の、LED光源によって背面から照らされる導光体(light guide)であって、輝点/暗領域のない照明面を提供可能な導光体を有する自動車用照明及び/又は信号装置によって満たされる。
【0013】
本発明の他の実施形態は、従属請求項に記載される。
【0014】
本発明のさらなる特徴及び利点は、以下の好ましい非限定的な実施形態の説明からよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る照明及び/又は信号装置の組み立てられた状態を示す斜視図である。
図2図1の照明及び/又は信号装置をパーツごとに示す斜視図である。
図3図1の照明及び/又は信号装置の特定の構成要素を示す斜視図である。
図4図1の照明及び/又は信号装置の組み立て構成を示す正面図である。
図5図1の照明及び/又は信号装置を図4の断面V-Vに沿って示す断面図である。
図6a】本発明の異なる実施形態のうちの1つに係る照明及び/又は信号装置の詳細を示す断面図である。
図6b】本発明の異なる実施形態のうちの1つに係る照明及び/又は信号装置の詳細を示す断面図である。
図6c】本発明の異なる実施形態のうちの1つに係る照明及び/又は信号装置の詳細を示す断面図である。
図6d】本発明の異なる実施形態ののうちの1つに係る照明及び/又は信号装置の詳細を示す断面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る照明及び/又は信号モジュールを示す平面図である。
図8図7のモジュールを示す断面図である。
図9】本発明のさらなる実施形態に係る照明及び/又は信号モジュールを示す平面図である。
図10図9のモジュールを図9の断面X-Xに沿って示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に説明する実施形態において共通する要素又は要素の一部については、同一の符号を用いて示すものとする。
【0017】
前述の図面を参照すると、符号4は、自動車用ランプなどの照明及び/又は信号装置全体を示しているが、以下の開示では具体的には言及しない。
【0018】
上述のように、照明及び/又は信号装置という用語は、後部自動車用ランプと前部自動車用ランプのどちらを意味してもよく、後者はヘッドライト又はヘッドランプとも呼ばれ、またそれらは、例えば方向指示器の前部、後部、側方ポジションライトであるポジションライト、ストップライト、リアフォグライト、ハイビームヘッドランプ、すれ違いビームヘッドランプなどの照明及び/又は信号表示機能を果たす少なくとも1つの外部車両ライトを含む。
【0019】
また、照明及び/又は信号装置という用語は、マップライト、計器パネル用ライト、又はそれらの一部、ディスプレイなどを含むことも意味する。
【0020】
そのため、以下によりよく説明されるように、上記装置は、その信号表示機能において、光信号やロゴだけでなく、あらゆる種類のテキストや光メッセージを送信する可能性を含んでいてもよい。
【0021】
照明及び/又は信号装置4は、一般的にポリマー材料でできた容器本体又はハウジング8を有し、それにより、通常、照明及び/又は信号装置4を、関連する車両に固定することができる。
【0022】
本発明の目的のために、上記容器本体又はハウジング8は、任意の形状やサイズ、ならびに位置を有していてもよい。例えば、容器本体8は、車両の本体又はその他の固定具に直接接続されていないこともある。
【0023】
図示のように、容器本体8は、例えばダッシュボード上、計器パネル上、小荷物棚上など、車両と内部で接続されていてもよい。
【0024】
容器本体8は、上記照明及び/又は信号装置の複数の構成要素、特に、LED光源16を収容する収容座12を画定する。
【0025】
このLED光源16は、主光軸X-Xに沿って拡散する光ビームを放射する。
【0026】
換言すれば、上記LED光源16は、主光軸X-Xを中心として、好ましくは軸対称に配置された複数の光線を含む光ビームを放射する。
【0027】
容器本体8は、少なくとも1つのLED光源16を収容する上記収容座12を閉じるようにレンチキュラー本体20に接続されている。
【0028】
本発明の目的のために、レンチキュラー(lenticular)本体20は、大気に直接さらされる照明及び/又は信号装置4の少なくとも1つの外壁を画定するよう照明及び/又は信号装置の外部にあってもよい。
【0029】
このレンチキュラー本体20は、収容座12を閉じるものであり、また収容座12の外側に伝達されるLED光源16によって生成された光ビームが横切るのに適している。
【0030】
この目的のために、レンチキュラー本体20は、少なくとも部分的に透明又は半透明、もしくは透明の材料でできており、いずれの場合も、光源によって生成された光ビームが少なくとも部分的に横切ることが可能となるよう、1つ又は複数の不透明部分を含むこともできる。
【0031】
可能な実施形態によれば、レンチキュラー本体20の材料は、PMMA、PCなどの樹脂である。
【0032】
このレンチキュラー本体20には、照明及び/又は信号装置4の光放出部の画定を都合よく行うためのマスク(図示せず)を適用してもよい。
【0033】
照明及び/又は信号装置4は、レンチキュラー本体で閉じられた容器本体によって画定された収容室内に配置された導光体24を備えている。そのような導光体24は、光ビームを受けるよう構成された光入射拡散壁28から当該装置4の照明部分36を形成する光出射壁32まで延在している。
【0034】
入射拡散壁28と光出射壁32とは、主光軸Xに沿って互いに反対を向いている。
【0035】
LED光源16は、光入射拡散壁28の光放出部40(用語では「インカップリング」と呼ばれる)に面している。従って、LED光源16から放出された光は、この光放出部40を介して導光体24を貫通し、光入射拡散壁28と光出射壁32との間の全内反射によって透過されてもよい。
【0036】
照明部分36は、LED光源16及び光放出部40と一直線上に並ぶ中央照明部分44と、この中央照明部分44を取り囲む周辺照明部分48とを備えている。この照明部分36は、LED光源16の主光軸X-Xに関して軸対称であることが好ましい。
【0037】
導光体24は、周辺照明部分48において、光放出部40を除いて光入射拡散壁28上に配置された抽出要素52を備えている。
【0038】
一実施形態によれば、この抽出要素52は、光出射壁32に向かって光を直接又は間接的に拡散させるマイクロ光学系である。
【0039】
例えば、抽出要素52は、点状のマイクロ光学系(micro optics)及び/又は同心円状の溝を有していてもよい。
【0040】
抽出要素52は、対応するLED光源16からの距離が、主光軸X-Xに垂直な平面であって、主光軸X-Xが入射する平面に含まれる径方向Rに沿って大きくなるにつれて増大する密度を有する不均一パターンに従って配置されることが好ましい。
【0041】
また、上記照明及び/又は信号装置4は、導光体24の光入射拡散壁28に関連付けられかつ各抽出要素52に直接対向する少なくとも1つの反射要素56を有し、それにより光出射壁32に向かって光を反射する。具体的には、抽出要素52は、より均一な方法で光出射壁32に向かって光を反射することができるように、反射要素56の方へ光を向けるように構成してもよい。あるいは、一代替実施形態では、抽出要素52は、抽出要素52によって失われた光を反対方向に回収するように反射要素56を準備して、光出射壁32の方へ直接光を向けるように構成してもよい。
【0042】
可能な実施形態によれば、反射要素56は、導光体24の光入射拡散壁28からの光を反射する白色フィルム(図6a、図6c、図6d)又はミラー(図6b)である。
【0043】
この反射要素56は、2つの要素間にギャップを形成するように、光入射拡散壁28に対して所定の距離を置いて配置されていてもよい。これにより、反射要素56によって反射された光の混合を向上することができる。しかしながら、そのようなギャップは、照明及び/又は信号装置4の厚さ、すなわち、光入射拡散壁28と光出射壁32との間の距離を小さくするように、排除されるまでできる限り小さくしてもよい。
【0044】
以下により詳しく説明するように、拡散層60や、乳白又はエンボス加工された層が、光出射壁32側で照明部分36を覆うように配置することが有利である。
【0045】
この拡散層60は、照明部分36全体に亘って均一な光強度を得るように、照明部分36に入射する光線の光強度に応じて異なる透過率を有することが有利である。
【0046】
換言すれば、光出射壁32は、光出射壁32の中央(44)及び周辺(48)照明部分の光強度(輝度)のバランスを取り、その平準化、均一化、均質化を図るよう、光出射壁32に沿って光ビームの透過率を選択的に変化させる透過率変化手段、例えば、拡散層60を備えている。
【0047】
特に、一実施形態によれば、拡散層60の透過率は、照明部分36で光が大きくなる入射光線で低く、照明部分36で光強度が小さくなる入射光線で高くなる。
【0048】
一実施形態によれば、拡散層60の透過率は、中央照明部分44で低く、周辺照明部分48で高くなる。
【0049】
可能な実施形態によれば、拡散層60は、乳白層(オパリン層)を有し、その透過率の変化は、LED光源16の主光軸X-Xに平行な断面に対して乳白層の厚さSを変化させることによって行われる。
【0050】
一変形例によれば、乳白層の透過率の変化は、乳白材料の散乱粒子の密度及び/又はサイズを変化させることによって行われてもよい。
【0051】
乳白層の厚さSは、中央照明部分44で大きく、周辺照明部分48で小さいことが好ましい。
【0052】
さらなる可能な実施形態によれば、拡散層60はエンボス層を含み、透過率の変化は、LED光源16の主光軸X-Xに平行な断面に対してエンボス層のエンボス密度/粗さ、及び/又は、厚さSを変化させることによって行われる。
【0053】
エンボス層の厚さS及び/又はエンボス密度は、中央照明部分44で大きく、周辺照明部分48で小さいことが好ましい。
【0054】
さらなる可能な実施形態によれば、拡散層はシルクスクリーン印刷層を含んでもよく、透過率変化は異なるパターンによって得られてもよい。
【0055】
可能な実施形態によれば、光出射壁32上には、そこに入射する光線を拡散層60の方へ抽出する円筒光学系(cylindrical optics)64がLED光源16のところに設けられている。
【0056】
この円筒光学系64は、例えばLED光源16の主光軸X-Xに関して互いに同心の円筒形状の経路/溝/起伏である。
【0057】
円筒光学系64は、光出射壁32の中央照明部分44に配置されることが好ましい。従って、そのような円筒光学系64を備えた光出射壁32の中央照明部分44は、導光体24内部で光を反射することにより全反射の条件を満たし、同時に、好ましくは、しかし非限定的にLED光源の主光軸X-Xに平行な方向に沿って導光体24から光を抽出する二重機能を排除する。
【0058】
一実施形態によれば、光出射壁32の円筒光学系64は、照明部分36で光強度が全体的に均一な光線を抽出することで均一な照明が得られるように、光入射拡散壁28の抽出要素52に対応して構成される。
【0059】
本発明の目的のために、LED光源16に直接対向する光放出部分40は、特定の形状をとってもよい。
【0060】
搬送部は、凹面、例えばLED光源16に向かって凹状の球形キャップを有する形状を有することが好ましい。導光体24は、光放出部40において、LED光源16の主光軸X-Xに関して軸対称であり、光放出部40に対向し、LED光源16と整列した頂点Vを有する円すい部68を光出射壁32側に備えている。
【0061】
拡散層60は、平らな周辺部72と、導光体24の円すい部68に対して逆形状となる円すい形の中央突起部76とを有することが好ましい。
【0062】
可能な実施形態によれば、LED光源16の主光軸X-Xに平行な断面に関して、光入射拡散壁28の光放出部40は、
1)好ましくは50°未満である第1の角度βを形成する光線を偏向/屈折させるよう形成された第1の下部ストレッチ80であって、それにより光線は、光出射壁32の円すい部68に影響して、光入射拡散壁28と光出射壁32により画定される導光体24の部分に沿って全内反射により円すい部分によって反射される、第1の下部ストレッチ80と、
2)第1の下部ストレッチ80に隣接する第2の下部ストレッチ88であって、第1の角度βより大きく、かつ81°未満である第2の角度αより小さい角度で放出される光線を、円すい部68に隣接する光出射壁32の一部に向けるよう構成され、それにより光線は、光入射拡散壁28と光出射壁32により画定される導光体24の部分に沿った全反射により反射される、第2の下部ストレッチ88と、
3)この第2の下部ストレッチ88に隣接する第3の下部ストレッチ92であって、第2の下部ストレッチ88から屈折した光線を反射しないよう構成された第3の下部ストレッチ92と
を有する。
【0063】
一実施形態によれば、抽出要素52及び反射要素56は、第3の下部ストレッチ92に隣接する第4の下部ストレッチ96から配置されている。
【0064】
一実施形態では、LED光源16を支持する電子基板の反射要素56は、白色の着色、もしくは膜又は層と同様のコーティングを有する。
【0065】
上述したことは、単一の信号及び/又は照明装置4に言及している。この装置は、実際には、対応するLED光源16によってそれぞれ照らされる複数の照明及び/又は信号装置を並べて配置することによって得られてもよい。
【0066】
言い換えれば、複数の照明及び/又は信号装置4’、4’’を含む照明及び/又は信号モジュール104が形成されてもよく、このモジュールでは、相互に隣接する装置4’、4’’の照明部分36’、36’’が、対応するLED光源16’、16’’から放出された各光ビームの光線を通さないバリア要素100によって分離されている。
【0067】
例えば、照明及び/又は信号装置の反射要素56は、並んで配置された互いに隣接する照明及び/又は信号装置4’、4’’においてバリア要素100としても機能する。
【0068】
可能な変形例によれば、バリア要素100は、光を通さない膜及び/又は光を通さない分離隔膜(septa)を含む。
【0069】
また、バリア要素100は、反射要素56と一体成形(コモールド)されてもよい。
【0070】
また、注目すべき点は、導光体24’、24’’の形状や大きさを変えてもよいということである。導光体の数は2つより多ければよく、導光体24’、24’’は、例えば、図7図10に示すように、任意の形状と長さを有する照明部分36’、36’’を形成するよう構成されていてもよい。
【0071】
これにより、可能な光学的効果を得るために、あるいはまた、従来の照明に対してさらなる機能を有し得る照明部分によってテキスト、ロゴ、メッセージを作成するために、より多くの(2つをはるかに上回る)異なる照明部分を点灯させてもよい。
【0072】
これにより、照明装置4も画像形成装置となる。このため、導光体24は、異なる形状パターンに従って配置された照明部分を有するように成形され配置されてもよい。それによって、数字とアルファベットの文字の両方を含む英数字コードを作成してもよい。
【0073】
各LED光源を別々に制御することでさまざまな照明部分を点灯させる適切なシーケンスにより、ユーザのニーズに応じた特定のグラフィック効果、テキスト、そしてまた様々な種類のアニメーションを得ることが可能となることは明らかである。
【0074】
拡散層60の実装による最終的な技術的効果は、照明及び/又は信号装置の照明部分によって放出される光ビームをさらに均一化することであり、それによりOLED技術により達成し得るものと完全に同等の照明均一性が得られる。
【0075】
上記から分かるように、本発明によれば、既知の技術で提示された欠点を克服することが可能となる。
【0076】
特に、本発明に係る自動車用照明及び/又は信号装置によれば、任意の輝度レベルを有する部分を含む所定の光パターンを得ることが可能となり、それによりランプのすべての測光仕様を排除することが可能なだけでなく、光信号伝達や照明に加えて、情報を伝達するための機器となるよう、あらゆる種類の光、グラフィック信号を発することも可能である。
【0077】
また、本発明に係る照明及び/又は信号装置によれば、導光体の照明部分の所定のシーケンスによる制御された作動により、任意のアニメーションを得ることが可能となる。
【0078】
また、さまざまな照明部分は、OLED技術の複雑さやそれにかかるコストを明らかに軽減しつつ、当該技術により達成し得るものに完全に匹敵するレベルの均質性を有する。
【0079】
また、本発明の照明及び/又は信号装置は、奥行きが非常に小さくなっているため、車両の内側と外側の両方に適用するのに適している。さらに、その厚さを薄くすることにより、配置構造を変更する必要がなく、特に深いハウジングを必要としないので、様々な位置への配置が容易になる。
【0080】
本発明の照明及び/又は信号装置は、平面であっても、湾曲していてもよいので、本体及び/又はダッシュボードの曲線内に容易に一体化することができ、任意の位置に配置するのに適している。
【0081】
実際、達成し得る照明部分の配置、パターン、形状は限定されない。
【0082】
さらに、照明パターンは、装置の外側の拡散された光ビームの均一性及び均質性が高いことを特徴とする。
【0083】
このように、本発明によれば、光パターン自体の高いエネルギー効率及び照明均質性を維持しつつ、光パターン、すなわち、任意の配置形状を有する任意の照明面を達成し得る。
【0084】
この解決法は、限られたコスト、重量、体積での実現が容易である。
【0085】
当業者は、条件付きで特定のニーズに応えるために、上記照明及び/又は信号装置にいくつかの変更や変形を加えることができ、それらはすべて以下の請求項に記載の本発明の範囲内に包含される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図7
図8
図9
図10