(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240717BHJP
G06Q 50/08 20120101ALN20240717BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q50/08
(21)【出願番号】P 2019141779
(22)【出願日】2019-07-31
【審査請求日】2022-07-20
(31)【優先権主張番号】P 2018144015
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】517219443
【氏名又は名称】株式会社山翠舎
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】山上 浩明
【審査官】藤原 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-249854(JP,A)
【文献】特開2014-032684(JP,A)
【文献】特開2017-010363(JP,A)
【文献】特開2002-083084(JP,A)
【文献】一般社団法人住まい教育推進協会,"古民家住まいるの使い方",[online],2015年08月28日,[令和5年7月4日検索], インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20150828031615/http://kominka.net/howto/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造から所定期間が経過した古民家にて使用された経歴を有する古材の所有者と、前記古材を活用することを希望する活用者とを支援する情報処理装置であって、
前記所有者により提示された、前記古材に関する第1情報として、ストーリーを有する当該古材にまつわるエピソードを含む経歴と、人に対して趣を感じさせ得る当該古材の外観の特徴を示す味わいとを有する情報を取得する第1取得手段と、
前記古材を活用することを希望する前記活用者により提示された、前記ストーリーと前記味わいとのうち少なくとも一方を含む前記古材の特徴に関するリクエストを示す第2情報を取得する第2取得手段と、
前記第2情報に含まれる前記特徴に関する
前記リクエストの内容と一致又は近似する古材を示す情報を、複数の前記第1情報から抽出する抽出手段と、
を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記古材は、前記古民家にて使用中であり、
当該古民家の解体により派生する古材である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
複数の前記古材の夫々に付された、当該複数の古材の夫々を一意に識別可能な第3情報を取得する第3取得手段と、
前記第3取得手段により取得された前記第3情報に基づいて、前記複数の古材のうち一の古材を特定する特定手段と、
をさらに備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1情報に含まれる前記経歴には、さらに、前記古材が登録後に転々流通された際の経歴も含まれる、
請求項1に記載の情報処理装置
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建造から相当な年数が経過している古民家をリフォームすることで、住宅資源を有効活用する技術は既に提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された技術を含め従来の技術では、古民家や、古民家の解体の際に派生する柱や梁といった古材を「手放したい」と思っている者と、「活用したい」と思っている者とをマッチングさせることについては、何ら検討がなされていない。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、古民家や、古民家の解体の際に派生する柱や梁といった古材を「手放したい」と思っている者と、「活用したい」と思っている者とを効率よくマッチングさせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様の情報処理装置は、
物品を手放すことを希望する前記物品の所有者と、前記物品を活用することを希望する活用者とを支援する情報処理装置であって、
前記所有者により提示された、前記物品に関する第1情報を取得する第1取得手段と、
前記活用者により提示された、前記物品の特徴に関するリクエストを示す第2情報を取得する第2取得手段と、
前記第2情報に含まれる前記特徴に関するリクエストの内容と一致又は近似する物品を示す情報を、前記第1情報から抽出する抽出手段と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、古民家や、古民家の解体の際に派生する柱や梁といった古材を「手放したい」と思っている者と、「活用したい」と思っている者とを効率よくマッチングさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の情報処理装置の第1実施形態に係るサーバを含む、情報処理システムにより実現可能な本サービスの概要を示す図である。
【
図2】所有者により提示された古民家情報、及び古材情報の夫々を、所定のデータベースに記憶されて管理する手法の具体例を示す図である。
【
図3】本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサーバを含む、情報処理システムの構成を示す図である。
【
図4】
図3に示す情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図4のサーバを含む情報処理システムの機能的構成のうち、マッチング処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
【
図6】
図5の機能的構成を有するサーバにより記憶されて管理される古民家情報の具体例を示す図である。
【
図7】
図5の機能的構成を有するサーバにより記憶されて管理される古材情報の具体例を示す図である。
【
図8】本発明の情報処理装置の第2実施形態に係るサーバを含む、情報処理システムの構成を示す図である。
【
図9】
図8のサーバを含む情報処理システムの機能的構成のうち、古材管理処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
【
図10】
図9の古材DBに記憶されている古材識別情報、及び古材識別情報に対応付けられている各種情報の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0010】
[第1実施形態]
まず、
図1及び
図2を参照して、本発明の情報処理装置が適用される情報処理システム(後述する
図3参照)の適用対象となるサービス(以下、「本サービス」と呼ぶ)の概要について説明する。
【0011】
図1は、本発明の情報処理装置の第1実施形態に係るサーバを含む、情報処理システムにより実現可能な本サービスの概要を示す図である。
【0012】
図1には、サービス提供者Gと、サービス提供者Gにより管理されるサーバ1と、所有者Sと、所有者Sにより操作される所有者端末2と、活用者Rにより操作される活用者端末3とが描画されている。
【0013】
本サービスは、サービス提供者Gから所有者S及び活用者Rに対して提供されるサービスの一例である。
本サービスにおいて、「所有者S」とは、建造から相当な年数(例えば数十年乃至百年以上)が経過している古い家屋K(以下、「古民家K」と呼ぶ)を所有する者(個人、又は法人等の団体)のことをいう。所有者Sには、自身が保有する古民家Kを諸々の事情により手放したいと考えている者が含まれる。
【0014】
本サービスにおいて、「活用者R」とは、古民家K、又は後述する「古材W」を活用したいと望む者(個人、又は法人等の団体)のことをいう。活用者Rには、古民家K又は古材Wを販売する者(例えば加盟店、販売店等)、古民家K、又は古材Wを再利用した家屋や家財のデザインを行う者(例えばデザイン事務所等)、古民家K、又は古材Wを再利用した家屋や家財を用いて、各種の商品やサービスの提供を行う事業者(例えば店舗、旅館等)、古民家Kや古材Wをテーマとした記事や話題等を提供する者(例えばメディア等)、及びエンドユーザ等が含まれる。
【0015】
本サービスにおいて、「古材W」とは、例えば、古民家Kの柱や梁等の用途に使用されていた古い材料等である。この古材Wは、人々の想いや愛着が込められた上質な材料である場合も多く、また、古材Wが使用されていた履歴や歴史等が明確に記録されているような場合もある。
【0016】
一般的に、建築物については、新しければ新しいほど価値が高いとされることが多い。ただし、木造の建築物、及び木造の建築物を構成している木材の再利用や移築の分野においては、導入先の場所や状況、利用する人によっては、その古さに付加価値が見出される場合もある。
即ち、木材の煤け具合や刻まれた傷等が、かえって趣を感じさせる要因となり、そのような木材(即ち古材W)の再利用先(例えば、住居、店舗等)では、「味(味わい)」のある佇まいが醸し出され、再利用先の魅力を向上させることがある。
【0017】
古材Wの「味(味わい)」とは、古材Wの外観の特徴に関するものであり、人に対して何らかの趣を感じさせ得る物品の様子のことをいう。「外観の特徴」とは、風合いや、外観から受ける感じ、又は手触りといったものであり、人間の五感のうち視覚及び触覚の少なくとも一方より得られる、物品の印象に関わる特徴のことをいう。
具体的には、古材Wの「味(味わい)」には、古材Wの煤け具合(例えば煤けの有無、ある場合はその割合やその位置等)、色、ほぞ穴に関するもの(例えば数や位置等)、傷に関するもの(例えば数や位置等)、模様に関するもの(例えば数や位置等)、木材が棒状である場合は曲がり具合、表面の状態(例えばざらざら感、すべすべ感等の質感)等、といったものが含まれる。
本サービスでは、この「味(味わい)」と「ストーリー」とを古材W毎に管理する。これにより、古材Wを活用したいとする活用者Rに対して、より満足感を与える古材Wを提供することができる。
【0018】
古材Wには、既に単体として存在する古材Wa1乃至Wan(nは1以上の整数値)と、古民家K1乃至Kb(bは1以上の整数値)を解体した際に派生し得る古材候補Wk1乃至Wkm(mは1以上の整数値)とが含まれる。
以下、古材Wa1乃至Wan、及び古材候補Wk1乃至Wkmの夫々を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて、「古材Wa」及び「古材候補Wk」の夫々と呼ぶ。またさらに、古材Wa及び古材候補Wkの夫々を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「古材W」の夫々と呼ぶ。
【0019】
所有者S及び活用者Rの夫々は、本サービスの利用者向けの専用のアプリケーションソフトウェア(以下、「専用アプリ」と呼ぶ)がインストールされた所有者端末2及び活用者端末3の夫々を用いて本サービスを利用する。
なお、以下、断りのない限り、「所有者Sが所有者端末2を操作する」と表現している場合、それは、所有者Sが、所有者端末2にインストールされた専用アプリを起動して各種操作を行うことを意味している。また、同様に、「活用者Rが活用者端末3を操作する」と表現している場合、それは、活用者Rが、活用者端末3にインストールされた専用アプリを起動して各種操作を行うことを意味している。
【0020】
本サービスにおいて、所有者Sは、古民家情報又は古材情報の夫々を提示する(ステップSS1及びSS2)。
具体的には、所有者Sは、所有者端末2を操作することにより、自身が所有する古民家K又は古材Wの夫々に関する情報を、古民家情報又は古材情報の夫々としてサービス提供者Gに提示する。
古民家情報にどのような情報が含まれるかは特に限定されない。例えば古民家K1乃至Kbの夫々を一意に識別可能な古民家ID等の情報が含まれる。
また、古材情報にどのような情報が含まれるかは特に限定されない。例えば古材Wa1乃至Wan、及び古材候補Wk1乃至Wkmの夫々を一意に識別可能な古材ID等の情報が含まれる。
なお、古民家情報及び古材情報の夫々に含まれる情報の具体例については、
図6及び
図7の夫々を参照して後述する。
【0021】
活用者Rは、リクエスト情報を提示する(ステップSS3)。
具体的には、活用者Rは、活用者端末3を操作することにより、自身が所望する古民家Kや古材Wの少なくとも一方の特徴に関するリクエストを示す情報を、リクエスト情報としてサービス提供者Gに提示する。
活用者Rにより提示されるリクエスト情報には、例えば「根本の部分が湾曲している梁が欲しい」といったリクエストを示す情報が含まれる。
【0022】
サービス提供者Gは、提示された古民家情報、古材情報、及びリクエスト情報の夫々を本サービスに登録する(ステップSS4)。
具体的には、サーバ1は、提示された古民家情報、古材情報、及びリクエスト情報の夫々を、所定のデータベース(例えば後述する
図4の古民家DB181、及びKDB182)に夫々記憶させて管理する。
【0023】
サービス提供者Gは、登録されている古民家情報、古材情報、及びリクエスト情報に基づいて、所有者Sの「手放したい」という要望と、活用者Rの「活用したい」という要望とのマッチングを行う(ステップSS5)。
具体的には例えば、活用者Rのリクエスト情報に「根本の部分が湾曲している梁が欲しい」というリクエストを示す情報が含まれているケースを想定する。このケースにおいて、サーバ1は、所有者Sの古材情報に「根本の部分が湾曲している梁」と一致又は近似する古材Wが存在する場合には、その古材Wの古材情報を抽出する。
また例えば、活用者Rのリクエスト情報に「刀傷がある150年以上前の柱」というリクエストを示す情報が含まれているケースを想定する。このケースにおいて、サーバ1は、所有者Sの古材情報に「刀傷がある柱」と、「150年以上経過している柱」という2つの特徴が一致又は近似する古材Wが存在する場合には、その古材Wの古材情報を抽出する。
【0024】
リクエスト情報の内容と一致又は近似する古材Wがデータベースから抽出された場合、サービス提供者Gは、その抽出結果をマッチング結果として活用者R及び所有者Sに提示する(ステップSS6)。
具体的には、活用者端末3により提示されたリクエスト情報と一致又は近似する古材Wがデータベースから抽出された場合、サーバ1は、その抽出結果をマッチング結果として活用者端末3及び所有者端末2に提示する。
【0025】
本サービスによれば、所有者Sは、自身が所有する古民家K又は古材Wに関する情報を、古民家情報又は古材情報として予め登録しておくだけで、自ら販売先を探すことなく、販売先になり得る活用者Rを見つけてもらうことができる。
この場合、販売先になり得る活用者Rは、当然ながら所有者Sの古民家K又は古材Wを手に入れたい立場になるため、所有者Sは有利な条件で古民家K又は古材Wを売却することが可能となる。
なお、古民家情報及び古材情報が本サービスに登録される段階では、所有者Sに古民家K又は古材Wを手放す意思は必要とならない。即ち、所有者Sは、古民家情報又は古材情報を本サービスに登録し、その後、所有者Sにとって有利な条件の引き合いが出てきたタイミングで、改めて売却の有無を再検討すればよい。つまり、本サービスへの登録の時点で明確な売却の意思がない所有者Sであっても、気軽に本サービスを利用することができる。
これにより、サービス提供者Gは、本サービスの利用者数を増加させることができる。また、それとともに、データベースの充実化を図ることができる。
【0026】
また、活用者Rは、リクエスト情報を提示するだけで、自身が所望する古民家Kや古材Wを所有する所有者Sを見つけてもらうことができる。
また、活用者Rは、自身が所望するイメージにマッチする古民家Kや古材Wを容易に検索して参照することもできる。
【0027】
従来より、古民家K及び古材Wの分野では、マーケットが確立されていなかったため、取引の相手方を見つける場合、知人からの紹介や、偶然の出会い等に頼らざるを得なかった。
ただし、本サービスによれば、古民家Kや古材Wを「手放したい」という所有者Sの要望と、古民家Kや古材Wを「活用したい」という活用者Rの要望とを容易にマッチングさせることができる。
【0028】
また、図示はしないが、活用者Rが所望する古材Wを入手し、実際に古材Wを活用した場合には、その感想を提示することもできる。
具体的には例えば、活用者Rが活用者端末3を操作することで、自身が活用した古材Wについてのコメントを入力したり、いわゆる「いいね」と表記されたボタン(以下、「いいねボタン」と呼ぶ)を押下したりすることができる。そして、活用者Rにより提示された感想(コメントの内容や「いいねボタン」が押下された数)は、古材情報としてKDB182に記憶されて管理される。
これにより、例えば「いいねボタン」を押下した活用者Rに対しては、サービス提供者GからDM(ダイレクトメール)が自動的に送信されるようにすることができる。例えば活用開始から10年が経過している繁盛店の古材Wと、活用開始から未だ3年が経過したに過ぎない通常店舗の古材Wとの「いいねボタン」の押下数を比較した場合を想定する。この場合、例えば繁盛店の古材Wに対する「いいねボタン」の押下数が10万回であり、通常店舗の古材Wに対する「いいねボタン」の押下数が3000回であれば、繁盛店の古材Wの方が通常店舗の古材Wよりも「価値がある」と判断することもできる。
また、活用者Rは、古材情報を参照することで楽しむこともできるし、所望する古材Wがデータベースに登録された場合に通知してもらうこともできる。
【0029】
上述したように、本サービスでは、所有者Sにより提示された古民家情報、及び古材情報の夫々が、所定のデータベースに記憶されて管理されるが、具体的には例えば,
図2に示す手法によって管理される。
図2は、所有者により提示された古民家情報、及び古材情報の夫々を、所定のデータベースに記憶されて管理する手法の具体例を示す図である。
【0030】
図2(A)には、古材Wa1及びWa2の夫々を示す古材情報が、所定のデータベースに記憶されるイメージが示されている。
古材Wa1及びWa2は、いずれも過去に古民家Kの一部を構成していた、又は古民家Kの一部を構成する予定であった古材Wである。このため、古材Wa1及びWa2の夫々を示す古材情報は、古民家Kを示す古民家情報に帰属させることなく、夫々単体で所定のデータベース(
図4のKDB182)に記憶される。
なお、古材情報にどのような情報が含まれ得るのかについては、
図7を参照して後述する。
【0031】
図2(B)には、古民家K1と、古民家K1を構成する古材候補Wk1乃至Wkp(pは1以上m以下の整数値)との夫々を示す、古民家情報と古材情報との夫々が、所定のデータベースに記憶されるイメージが示されている。
古民家K1を示す古民家情報は、古民家単位で所定のデータベース(
図4の古民家DB181)に記憶される。
なお、古民家情報にどのような情報が含まれ得るのかについては、
図6を参照して後述する。
【0032】
古民家K1を構成する1以上の柱や梁等は、いずれも将来的に古材Waとしてマーケットで流通され得る古材候補Wk1乃至Wkpとして、古材単位でデータベースに夫々記憶される。具体的には、古材候補Wk1乃至Wkpの夫々を示す古材情報が所定のデータベース(
図2のKDB182)に記憶される。
なお、古材情報にどのような情報が含まれ得るのかについては、
図7を参照して後述する。
【0033】
このように、所有者Sから提示された、古民家Kを示す古民家情報と、古材Wを示す古材情報との夫々は、所定のデータベース(
図2の古民家DB181、KDB182)に記憶されて適切に管理される。
このため、本サービスでは、所定のデータベースにおいて適切に記憶され管理されている古民家情報及び古材情報に裏付けられた、適切なサービスを実現される。
【0034】
次に、
図3を参照して、上述した本サービスの提供を実現化させる情報処理システム、即ち本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサーバ1を含む、情報処理システムの構成について説明する。
図3は、本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサーバを含む、情報処理システムの構成を示す図である。
【0035】
図3に示す情報処理システムは、サーバ1と、所有者端末2-1乃至2-r(rは1以上の整数値)と、活用者端末3-1乃至3-t(tは1以上の整数値)とを含むように構成されている。
サーバ1、所有者端末2-1乃至2-r、及び活用者端末3-1乃至3-tの夫々は、インターネット等の所定のネットワークNを介して相互に接続されている。
【0036】
サーバ1は、所有者端末2-1乃至2-r、及び活用者端末3-1乃至3-tの夫々と適宜通信をしながら、本サービスを実現するための各種処理を実行する。
【0037】
所有者端末2-1乃至2-r、及び活用者端末3-1乃至3-tの夫々は、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等で構成される。
以下、所有者端末2-1乃至2-r、及び活用者端末3-1乃至3-tの夫々を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて、「所有者端末2」、及び「活用者端末3」の夫々と呼ぶ。
【0038】
図4は、
図3に示す情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0039】
サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、入力部16と、出力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20とを備えている。
【0040】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0041】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、入力部16、出力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0042】
入力部16は、例えばキーボード等により構成され、各種情報を出力する。
出力部17は、液晶等のディスプレイやスピーカ等により構成され、各種情報を画像や音声として出力する。
記憶部18は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部19は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置(例えば
図2の所有者端末2、及び活用者端末3等)との間で通信を行う。
【0043】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア30が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア30から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。
また、リムーバブルメディア30は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0044】
なお、図示はしないが、
図3の所有者端末2、及び活用者端末3も、
図4に示すハードウェア構成と基本的に同様の構成を有することができる。従って、所有者端末2及び活用者端末3のハードウェア構成の説明については省略する。
【0045】
このような
図4のサーバ1の各種ハードウェアと各種ソフトウェアとの協働により、サーバ1におけるマッチング処理を含む各種処理の実行が可能になる。その結果、サービス提供者Gは、所有者S及び活用者Rに対し、上述の本サービスを提供することができる。
「マッチング処理」とは、上述の本サービスを提供するために実行される処理のことをいう。
以下、サーバ1において実行される、マッチング処理を実行するための機能的構成について説明する。
【0046】
図5は、
図4のサーバを含む情報処理システムの機能的構成のうち、マッチング処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
【0047】
図5に示すように、サーバ1のCPU11においては、マッチング処理の実行が制御される場合、取得部101と、管理部102と、抽出部103と、提示部104とが機能する。
また、サーバ1の記憶部18の一領域には、古民家DB181と、KDB182と、所有者DB183と、活用者DB184とが設けられている。
【0048】
取得部101は、各種情報を取得する。取得部101では、古民家取得部111と、古材取得部112と、リクエスト取得部113とが機能する。
【0049】
古民家取得部111は、所有者Sにより提示された、売却を希望する古民家Kに関する情報を、古民家情報として取得する。
具体的には、
図5の例では、古民家取得部111は、所有者S1乃至Srの夫々により提示された、売却を希望する古民家K1乃至Kbの夫々に関する情報を、古民家情報として夫々取得する。
なお、古民家情報にどのような情報が含まれるかは特に限定されない。例えば古民家K1乃至Kbの夫々を一意に識別可能な古民家ID等の情報が含まれる。なお、古民家情報に含まれる情報の具体例については、
図6を参照して後述する。
【0050】
古材取得部112は、所有者Sにより提示された、売却を希望する古材Wに関する情報を、古民家情報として取得する。
具体的には、古材取得部112は、所有者S1乃至Srの夫々により提示された、売却を希望する古材Wa1乃至Wanの夫々に関する情報を、古材情報として夫々取得する。
また、古材取得部112は、所有者S1乃至Srの夫々により提示された、売却を希望する古民家Kを解体した際に派生し得る古材候補Wk1乃至Wkmの夫々に関する情報を、古材候補情報として夫々取得する。
なお、古民家情報にどのような情報が含まれるかは特に限定されない。例えば古民家K1乃至Kbの夫々を一意に識別可能な古民家ID等の情報が含まれる。なお、古民家情報に含まれる情報の具体例については、
図6を参照して後述する。
【0051】
リクエスト取得部113は、活用者Rにより提示された、購入を希望する古民家K又は古材Wのリクエスト情報を取得する。
具体的には例えば、リクエスト取得部113は、古材Wのリクエスト情報として、例えば「根本の部分が湾曲している梁」、「幕末の動乱時の刀傷が残された柱」といったリクエストを示す情報を取得する。
【0052】
管理部102は、取得部101により取得された情報を含む各種情報を所定のデータベースに記憶させて管理する。
具体的には、管理部102は、古民家取得部111により取得された古民家情報を古民家DB181に記憶させて管理する。
上述したように、古民家情報にどのような情報が含まれるかは特に限定されない。例えば古民家K1乃至Kbの夫々を一意に識別可能な古民家ID等の情報が含まれる。なお、古民家情報に含まれる情報の具体例については、
図6を参照して後述する。
【0053】
また、管理部102は、古材取得部112により取得された古材情報をKDB182に記憶させて管理する。
また、古材情報にどのような情報が含まれるかは特に限定されない。例えば古材Wa1乃至Wan、及び古材候補Wk1乃至Wkmの夫々を一意に識別可能な古材ID等の情報が含まれる。なお、古材情報に含まれる情報の具体例については、
図7を参照して後述する。
【0054】
また、管理部102は、所有者S1乃至Srの夫々に関する情報を所有者情報として所有者DB183に記憶させて管理する。
なお、所有者情報にどのような情報が含まれるかは特に限定されない。例えば所有者S1乃至Srの夫々を一意に識別可能な所有者ID等の情報が含まれる。
【0055】
また、管理部102は、活用者R1乃至Rtの夫々に関する情報を活用者情報として活用者DB184に記憶させて管理する。
なお、活用者情報にどのような情報が含まれるかは特に限定されない。例えば活用者R1乃至Rtの夫々を一意に識別可能な活用者ID等の情報が含まれる。
【0056】
抽出部103は、リクエスト情報に含まれる古民家K又は古材Wの夫々の特徴に関するリクエストの内容と一致又は近似する古民家K又は古材Wを示す情報を、古民家情報又は古材情報から抽出する。
【0057】
提示部104は、抽出部103により抽出された、古民家K又は古材Wを示す情報を、マッチング結果として所有者及び活用者に提示する。
具体的には、提示部104は、抽出部103により抽出された、古民家K又は古材Wを示す情報を、マッチング結果として所有者端末2及び活用者端末3に提示する。
【0058】
図6は、
図5の機能的構成を有するサーバにより記憶されて管理される古民家情報の具体例を示す図である。
【0059】
サーバ1の古民家DB181に記憶されて管理される古民家情報は、1以上の特徴により古民家毎に管理される。
具体的には例えば、
図6の例では、古民家情報は、古民家ID、建物面積(延べ面積)、築年数、種類(例えば「蔵」、「町家」等)、階数、構成要素となる古材Wの古材ID、金額、図面や撮像画像(例えば6面図、360°撮像画像)へのリンクボタン、及び経歴等の特徴により古民家K毎に管理される。このうち「経歴」には、ストーリーを有する1以上の古民家K夫々にまつわるエピソードや特性として、誰がどのように関係した(している)のかといった人的な情報等の各種情報が含まれる。
【0060】
図6には、古民家情報の一例として、古民家IDが「A」、建物面積(延べ面積)が「55坪」、築年数が「89年」、種類が「町家」、階数が「1階」、構成要素となる古材Wの古材IDが「A-a乃至A-c」、金額が「XX万円」、図面や撮像画像(例えば6面図、360°撮像画像)へのリンクボタンが「https://・・・」、及び経歴が「夫婦で営んできた蕎麦屋」である古民家Kと、古民家IDが「B」、建物面積(延べ面積)が「30坪」、築年数が「160年」、種類が「町家」、階数が「2階」、構成要素となる古材Wの古材IDが「B-a乃至B-c」、金額が「XX万円」、図面や撮像画像(例えば6面図、360°撮像画像)へのリンクボタンが「https://・・・」、及び経歴が「明治維新の志士である〇〇の隠れ家としても使用された旅籠」である古民家Kとの夫々が示されている。
【0061】
図7は、
図5の機能的構成を有するサーバにより記憶されて管理される古材情報の具体例を示す図である。
【0062】
サーバ1のKDB182に記憶されて管理される古材情報は、1以上の特徴により定義され、古材W毎に管理される。
具体的には例えば、
図7の例では、古材情報は、古材ID、古材単体or古材候補、帰属する古民家ID、樹種、長さ、体積、色味(数値化も可能)、全体形状、金額(体積に基づいて算出)、図面や撮像画像(例えば6面図、360°撮像画像)へのリンクボタン、及び経歴等の特徴により定義され、古民家K毎に管理される。また、図示はしないが、元口の形状、元口の面積、末口の形状、末口の面積、太さ、傷の有無、状態等も古材Wの特徴とされて管理される。
古材情報を定義する1以上の特徴このうち「経歴」には、ストーリーを有する1以上の古材Wの夫々にまつわるエピソード(例えば人的なエピソード等)、特性、古民家Kのどの部分に使用されていた、又は使用されている古材Wなのかといった情報が含まれる。
ここで、色味(数値化も可能)とは、具体的に例えば、古材Wの色味は多くの場合、茶色等の色に分類され単に色を表記したのみでは実際の古材Wの色を判断するのが困難な場合がある。このような場合、例えば、単に色味の情報を格納するのではなく、例えば、濃い茶色や薄い茶色といった色の濃淡や輝度を数値化した情報等を合わせて取得してもよい。
【0063】
図7には、古材情報の一例が示されている。例えば「古材ID」を「a」とする古材Waは、「帰属する古民家」は「なし」、「樹種」が「松」、「長さ」が「1.0m」、「体積」が「XXXm
3」、「色味」が「茶」、「全体形状」が「真っすぐ」、金額が「XX万円」、図面や撮像画像(例えば6面図、360°撮像画像)へのリンクボタンが「https://・・・」、及び「経歴」が「民家の壁の一部」である古材Waである。
また例えば、「古材ID」を「b」とする古材Waは、「帰属する古民家」は「なし」、「樹種」が「松」、「長さ」が「1.5m」、「体積」が「XXXm
3」、「色味」が「茶」、「全体形状」が「真っすぐ」、金額が「XX万円」、図面や撮像画像(例えば6面図、360°撮像画像)へのリンクボタンが「https://・・・」、及び「経歴」が「民家の天井の一部」である古材Waである。
また例えば、「古材ID」を「A-a」とする古材候補Wkは、「帰属する古民家」の古民家IDが「A」、「樹種」が「欅」、「長さ」が「1.0m」、「体積」が「XXXm
3」、「色味」が「焦茶」、「全体形状」が「真っすぐ」、金額が「XX万円」、図面や撮像画像(例えば6面図、360°撮像画像)へのリンクボタンが「https://・・・」、及び「経歴」が「夫婦で営んできた蕎麦屋の屋根の一部」である古材候補Wkである。
また例えば、「古材ID」を「A-b」とする古材候補Wkは、「帰属する古民家」の古民家IDが「A」、「樹種」が「欅」、「長さ」が「5.0m」、「体積」が「XXXm
3」、「色味」が「茶」、「全体形状」が「根元から湾曲」、金額が「XX万円」、図面や撮像画像(例えば6面図、360°撮像画像)へのリンクボタンが「https://・・・」、及び「経歴」が「夫婦で営んできた蕎麦屋の梁」である古材候補Wkである。
また例えば、「古材ID」を「A-c」とする古材候補Wkは、「帰属する古民家」の古民家IDが「A」、「樹種」が「欅」、「長さ」が「3.5m」、「体積」が「XXXm
3」、「色味」が「焦茶」、「全体形状」が「真っすぐ」、金額が「XX万円」、図面や撮像画像(例えば6面図、360°撮像画像)へのリンクボタンが「https://・・・」、及び「経歴」が「夫婦で営んできた蕎麦屋の大黒柱」である古材候補Wkである。
なお、
図7に示すKDB182の項目には、例えば後述の第2実施形態における
図10に示すKDB182の項目が含めることもできる。
【0064】
このように、
図6に示す古民家情報と、
図7に示す古材情報との夫々は、サーバ1において、古民家DB181と、KDB182との夫々に記憶され、管理部102により管理される。
これにより、古民家K1乃至Kbと、古民家K1乃至Kbの解体に伴い派生し得る古材候補Wk1乃至Wkmと、既に単独で存在する古材Wa1乃至日Wanとの夫々は、サーバ1において個々に管理されることが可能になる。
そして、活用者R1乃至Rtの夫々により提示されたリクエスト情報の内容にマッチする古民家K又は古材Wの夫々を示す情報が、古民家DB181又はKDB182から抽出される。
これにより、古民家Kや、古民家Kを解体する際に派生する柱や梁といった古材Wを、「手放したい」と思っている所有者Sと、「活用したい」と思っている活用者Rとのマッチングを実現させることができる。
【0065】
また、解体前の古民家Kの段階から古材W単位で管理することができるため、以下のような効果を奏する。即ち、解体後の取り扱い(例えば使用場所の特定、配送等)が容易となる。また、所有者Sの立場からすれば、古材Wの潜在的な在庫を古民家Kというかたちで保有していることを活用者Rにアピールすることができる。
【0066】
また、古民家K及び古材Wの夫々の古民家情報及び古材情報の夫々は、本サービスに登録された後もトレーサビリティが確保される。
即ち、どこの森で誰によって切り出され、誰によって加工されたのかといった情報のみならず、登録後に転々流通された場合であっても、個々の取引に関する情報(例えば取引価格)や、修理や損傷に伴う価値の上昇又は下降に関する情報もつぶさにログとして記録され続ける。つまり、個々の古材Wが持つヒストリーが、過去は勿論、将来にわたっても、継続的に記録される。
その結果、古民家K及び古材Wの経歴の透明性、及び信憑性が確保されるので、所有者S及び活用者Rは、価格の根拠等を容易に把握することができる。また、サービス提供者Gは、本サービスの取引における市場価格に対する所有者S及び活用者Rからの信頼性を獲得することができる。
これにより例えば、ストーリーのある古材Wを店舗内に用いたレストラン、ホテル等は、そのことを宣伝材料の1つにしたり、古材W自体を象徴にしたりすることもできる。サービス提供者Gは、古材Wを題材としたガイドブック等を作成することもできる。
【0067】
[第2実施形態]
上述したように、本発明の情報処理装置の第1実施形態に係るサーバ1において、古民家K1乃至Kb、古材候補Wk1乃至Wkm、及び古材Wa1乃至Wanの夫々は管理部102によって個々に管理される。
具体的には、管理部102は、古民家K1乃至Kbの夫々を、古民家DB181に記憶させて、古民家IDをキーとして管理する。また、管理部102は、古材候補Wk1乃至Wkm、及び古材Wa1乃至Wanの夫々を、KDB182に記憶させて、古材IDをキーとして管理する。
即ち、上述の第1実施形態では、古民家情報と古材情報とを効率よく管理することで、古民家K又は古材Wを「手放したい」と考える所有者Sと、「活用したい」と考える活用者Rとをマッチングさせる手法について説明した。
第2実施形態では、実物としての古材W(古材Wa及び古材候補Wk)を効率よく管理する手法について説明する。
【0068】
複数の商品の種類が同一である場合には、同質又は略同質である商品と、同質又は略同質ではない商品とに分けて管理されるのが一般的である。
同質又は略同質である商品には、例えば、書籍、飲料水、加工食品、新品で販売される衣服、家具、自動車、家電、コンピュータ等の量産品が含まれる。
【0069】
これに対して、同質又は略同質ではない商品としては、例えば、木材、香木、模造刀等の刀剣、ペルシャ絨毯、ビンテージデニム、骨董品等の一品制作的な商品が含まれる。
同質又は略同質ではない商品は個々の特徴が異なるため、取引される価値も異なる。このため、個々の特徴を含む詳細な在庫管理が必要になる。
同質又は略同質ではない商品のうち「木材」を管理する従来からある手法としては、例えば個々の木材の表面にシリアルナンバー等の識別情報を直接刻印して管理する手法がある。
【0070】
しかしながら、従来からある手法では、個々の木材に対し視覚を通じて識別可能なシリアルナンバー等を付す。このため、多くの木材を管理する場合には、所望の木材を見つけるために、シリアルナンバー等を1つ1つ確認しなければならなかった。
また、木材は、一見しただけではその違いを把握し難い。このため、同じような木材が積み重なった状態で多数並んでいる場合には、シリアルナンバー等を読み飛ばしてしまうことや、同じシリアルナンバー等を重複して読み取ってしまうことがあった。
【0071】
このような問題の解決策としては、管理リスト等を用いて木材の配置場所を管理する手法が考えられる。
しかしながら、倉庫内に保管されている木材は、追加と搬出とが頻繁に繰り返えされるため、木材の配置場所も刻一刻と変わる性質を有するため、木材の配置場所が変わる度に管理リスト等を更新しなければならなくなる。
また、現場担当者が木材の配置場所を間違えたり、配置場所の変更が管理リストに反映されていなかったりする人的なミスが生じるおそれもある。一度ミスが生じると、管理リスト自体の信頼性が失墜してしまうため、結果的にシリアルナンバー等を1つ1つ確認しなければならないという事態に陥ることになりかねない。
さらに、古材候補Wkは、未だ古民家Kを構成している状態であるため、倉庫のような場所に一か所に集積させて管理することができない。
【0072】
そこで、本サービスによれば、同一種類の商品(例えば古材W)の夫々が個性を有するため、個別に管理する必要がある場合であっても、容易に管理することが可能になる。
【0073】
本サービスにおいて管理の対象となり得る物品としては、同一の種類でありながらも、同質又は略同質とはならない物品であることが好ましい。さらに好ましくは、人間の五感のうち物品そのものの価値を変え得る「視覚」及び「触覚」の少なくとも一方に属する要素(例えば、味(味わい))を有する物品である。このような物品の一例が「古材W」である。
【0074】
本サービスは、サービス提供者Gが、RFID(radio frequency identification)技術を用いて、1以上の古材Wの夫々を効率よく管理できるようにするサービスである。 具体的には、サービス提供者Gは、サービス提供者端末4(
図8)を操作して、古材W毎に付されているRFIDタグに記憶された情報を読み取ることで、古材Wを一意に識別することができる。
【0075】
古材Wに付されるRFIDタグの具体的態様は特に限定されないが、例えばパッシブ型のICタグを採用することができる。この場合、リーダライタ機能を有するサービス提供者端末4(
図8)からの電波(即ちパッシブ型のRFIDタグを起電させるための電波)をエネルギー源として動作するので、電源を内蔵させる必要がない。
RFIDタグは、サービス提供者端末4(
図8)から送信される電波を受信すると、予め記憶している、古材Wを一意に識別可能な情報(以下、「古材識別情報」と呼ぶ)で変調された電波を発信する。
RFIDタグは、古材W毎に付されるが、古材WにRFIDタグを付す具体的手法は特に限定されない。例えば古材Wの表面のわかり易い位置に貼付してもよいし、古材Wに設けられたほぞ穴の内側に配置してもよい。
【0076】
本サービスによれば、経年や作る段階で味要素が変わってきて、その結果価値が変わってくる古材Wを容易に特定することができる。また、本サービスによれば、古材Wを特定するだけではなく、古材Wの「味(味わい)」や「ストーリー」についても管理することができる。
【0077】
本サービスでは、管理の対象となる物品を古材Wとし、既に単体で存在する古材Wa、又は古民家Kの解体により派生し得る古材候補Wkを再利用するために管理する。「再利用する」とは、例えば移築や、個々の古材Wを活用者Rに販売等することをいう。
【0078】
図8は、本発明の情報処理装置の第2実施形態に係るサーバを含む、情報処理システムの構成を示す図である。
【0079】
図8に示す情報処理システムは、サーバ1と、サービス提供者端末4とを含むように構成されている。
サーバ1、及びサービス提供者端末4は、インターネット等の所定のネットワークNを介して相互に接続されている。
【0080】
サーバ1は、サービス提供者端末4と適宜通信をしながら、本サービスを実現するための各種処理を実行する。
【0081】
サービス提供者端末4は、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等で構成される。
サービス提供者Gは、専用アプリがインストールされたサービス提供者端末4を用いて本サービスを利用する。
なお、以下、断りのない限り、「サービス提供者Gがサービス提供者端末4を操作する」と表現している場合、それは、サービス提供者Gが、サービス提供者端末4にインストールされた専用アプリを起動して各種操作を行うことを意味している。
【0082】
なお、
図8に示す情報処理システムを構成するサーバ1、及びサービス提供者端末4のハードウェア構成については、
図4に示す第1実施形態のサーバ1のハードウェア構成と基本的に同様の構成を有することができる。従って、本実施形態におけるサーバ1、及びサービス提供者端末4のハードウェア構成の説明については省略する。
【0083】
このようなサーバ1の各種ハードウェアと各種ソフトウェアとの協働により、サーバ1における古材管理処理を含む各種処理の実行が可能になる。その結果、サービス提供者Gは上述の本サービスを提供することができる。
「古材管理処理」とは、上述の本サービスを提供するために実行される処理のことをいう。
以下、サーバ1において実行される、古材管理処理を実行するための機能的構成について説明する。
【0084】
図9は、
図8のサーバを含む情報処理システムの機能的構成のうち、古材管理処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
【0085】
図9に示すように、サーバ1のCPU11においては、古材管理処理の実行が制御される場合、取得部201と、特定部202とが機能する。
また、サーバ1の記憶部18の一領域には、KDB182が設けられている。KDB182には、古材識別情報に各種情報が対応付けられて管理されている。
【0086】
取得部201は、サービス提供者端末4により読み取られたRFIDタグに記憶された古材識別情報を取得する。
【0087】
特定部202は、取得部201により取得された古材識別情報に基づいて、KDB182に記憶されている1以上の古材Wのうち、1の古材Wを特定する。
なお、KDB182に記憶されている古材識別情報、及び古材識別情報に対応付けられている各種情報の具体例については、
図10を参照して後述する。
【0088】
図10は、
図9の古材DBに記憶されている古材識別情報、及び古材識別情報に対応付けられている各種情報の具体例を示す図である。
【0089】
図10に示すように、KDB182には、古材識別情報としてのタグIDに、解体日時、解体場所、煤け有無、煤け具合、保管日時、保管場所、保管区域、搬送日時、及び搬送先が対応付けられて記憶されている。
「タグID」はRFIDタグのID(即ち古材Wを一意に識別する古材識別情報)、「解体日時」は古民家Kを解体した日時、「解体場所」は解体された古民家Kが存在していた場所となる。また、「煤け有無」は古材Wに煤けがあるか否か、「煤け具合」は煤けがある場合にその存在割合(例えば入力者の目分量)、「保管日時」は古材Wの保管を開始した日時、「保管場所」はその保管場所、「保管区域」は古材Wが置かれている保管場所内の区域となる。また、「搬送日時」は古材Wが活用先(古材Wが実際に活用される場所)に向けて搬送された日時、「搬送先」はその搬送先(活用先)となる。
なお、
図10に示すKDB182の項目には、例えば上述の第1実施形態における
図7に示すKDB182の項目が含めることもできる。
【0090】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものとみなす。
【0091】
ここで、上述の実施形態の本サービスの応用例について、簡単に説明する。
上述の通り、本サービスは、古材及び古民家の管理に関するサービスであるが、これに利用されるデータベース等については、一般のユーザ等が気軽に情報の登録を行うことができる。また、このような情報の登録については、業者を介したサブスクリプションモデルとして提供してもよい。
また、上述の一般ユーザは、例えば、関連する情報を自由に閲覧することができたり、新たな情報が登録された際には当該ユーザに対して通知がなされるようなサービス、例えば上述の「いいね」機能等が提供されたりしてもよい。これにより、ユーザは、古民家Kや古材Wの価値を享受して、さらに楽しむことができる。
さらに言えば、一般ユーザは、上述のサービスを利用した結果、他のユーザ等との情報交換に利用してもよい。古民家Kや古材Wは、一般的な木材等と比べて、独自性が高く、情報交換の頻度やその価値自体が非常に高いものである。そのため、このような情報交換が活発に行われることで、情報交換の対象となった古民家Kや古材Wの価値は、さらに高まることになる。
以上をまとめると、本サービスとはいわば、現在の所有者が後世に価値を残したいと考える物(古民家Kや古材W)に関するログを取得し、蓄積することができるプラットフォームを提供するサービスである。これにより、当該物の価値はさらに高まり、それにより、一般ユーザは、その価値を、より享受することができるようになる。
【0092】
例えば、上述の実施形態では、所有者S、活用者R、及びサービス提供者Gの夫々は、所有者端末2、活用者端末3、及びサービス提供者端末4の夫々にインストールされた専用アプリを用いて本サービスを利用する構成となっている。
ただし、本サービスを利用するための具体的手法は特に限定されない。例えば、所有者S、活用者R、及びサービス提供者Gの夫々は、所有者端末2、活用者端末3、及びサービス提供者端末4の夫々のブラウザ機能を用いて本サービスを利用することもできる。
【0093】
また例えば、上述の実施形態における所有者Sは、古民家K又は古材Wを売却することが前提となっているが、これに限定されない。例えばサブスクリプションモデルとして、業者や個人に古民家K又は古材Wを使用させて、その使用料を徴収してもよい。この場合、所有者Sは、徴収した使用料を積立てておくことで、古民家Kの解体時に生じ得る将来の費用に備えることができる。
【0094】
また例えば、
図6、
図7、及び
図10に示す、古民家情報、及び古材情報を示す特徴は例示に過ぎない。本発明の目的を達成できる範囲であれば、
図6、
図7、及び
図10に示す特徴以外のあらゆる特徴を採用することができる。
即ち、
図7に示す古材情報を示す項目は例示に過ぎない。例えば
図10に示す古材情報と同様に、古民家Kの解体日時、及び解体場所、古材Wの煤け有無、煤け具合、保管日時、保管場所、保管区域、搬送日時、及び搬送先等が含まれていてもよい。また、
図10に示す古材情報を示す項目も例示に過ぎない。例えばほぞ穴の有無、傷の有無、手触り感、重さ、その他
図7に示す古材情報と同様に古材Wの長さ、太さ、色味、古民家Kの経歴等が含まれていてもよい。
即ち、古材情報を構成する項目は、古材Wを定義し得る情報であればいずれであってもよい。
また、古民家情報も同様であり、古民家情報を構成する項目は、古民家Kを定義し得る情報であればいずれであってもよい。
【0095】
また例えば、上述の実施形態では、古民家K及び古材Wがマッチングの対象、又は管理の対象となっているが、古民家K及び古材Wに限定されない。所有者が売却等することで価値を後世に残したいとする、あらゆる物品(例えば、家具、骨董品等)について、新品であるか、中古品であるかを問わず対象とすることができる。
【0096】
また、
図3及び
図8に示すシステム構成、
図4に示すサーバ1のハードウェア構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。
【0097】
また、
図5及び
図9に示す機能ブロック図は、例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは、特に
図5及び
図9の例に限定されない。
【0098】
また、機能ブロックの存在場所も、
図5及び
図9に限定されず、任意でよい。
例えば、
図5の例において、上述のマッチング処理はサーバ1側で行われる構成となっているが、これに限定されず、所有者端末2側、又は活用者端末3側でマッチング処理の少なくとも一部が行われてもよい。
即ち、マッチング処理の実行に必要となる機能ブロックは、サーバ1側が備える構成となっているが、これは例示に過ぎない。サーバ1側に配置された機能ブロックの少なくとも一部を、所有者端末2側、又は活用者端末3側が備える構成としてもよい。
【0099】
また、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0100】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。
また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0101】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0102】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0103】
以上まとめると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置は、
物品(例えば
図1の古民家K又は古材W)を手放すことを希望する前記物品の所有者(例えば
図1の所有者S)と、前記物品を活用することを希望する活用者(例えば
図1の活用者R)とを支援する情報処理装置(例えば
図5のサーバ1)であって、
前記所有者により提示された、前記物品に関する第1情報(例えば
図6の古民家情報、
図7の古材情報)を取得する第1取得手段(例えば
図5の古民家取得部111、古材取得部112)と、
前記活用者により提示された、前記物品の特徴に関するリクエストを示す第2情報(例えば
図1のリクエスト情報)を取得する第2取得手段(例えば
図5のリクエスト取得部113)と、
前記第2情報に含まれる前記特徴に関するリクエストの内容と一致又は近似する物品を示す情報を、前記第1情報から抽出する抽出手段(例えば
図5の抽出部103)と、
を備える。
【0104】
これにより、所有者により提示された物品に関する情報と、活用者により提示された、物品の特徴に関するリクエストを示す情報が取得される。そして、そのリクエストの内容と一致又は近似する物品を示す情報が、物品に関する情報から抽出される。
その結果、物品を「手放したい」と思っている者と、「活用したい」と思っている者とを効率よくマッチングさせることができる。
【0105】
また、前記物品は、建造から所定期間が経過した古民家、又は前記古民家の解体により派生する古材とすることができる。
【0106】
これにより、所有者により提示された古民家K又は古材Wに関する情報と、活用者により提示された、古民家K又は古材Wの特徴に関するリクエストを示す情報が取得される。そして、そのリクエストの内容と一致又は近似する古民家K又は古材Wを示す情報が、古民家K又は古材Wに関する情報から抽出される。
その結果、古民家Kや、古民家Kの解体の際に派生する柱や梁といった古材Wを「手放したい」と思っている者と、「活用したい」と思っている者とを効率よくマッチングさせることができる。
【0107】
また、前記第1情報及び前記第2情報の夫々には、前記特徴として、前記古民家又は前記古材の夫々の経歴を示す情報を含めることができる。
【0108】
これにより、所有者により提示された古民家K又は古材Wの経歴に関する情報と、活用者により提示された、古民家K又は古材Wの経歴を含む特徴に関するリクエストを示す情報が取得される。そして、そのリクエストの内容と一致又は近似する古民家K又は古材Wを示す情報が、古民家K又は古材Wに関する情報から抽出される。
その結果、古民家Kや、古民家Kの解体の際に派生する柱や梁といった古材Wを「手放したい」と思っている者と、「活用したい」と思っている者とを効率よくマッチングさせることができる。
【0109】
また、本発明が適用される情報処理装置は、
複数の物品の夫々が独特の特徴を有する場合に、当該複数の物品を管理する情報処理装置(例えば
図9のサーバ1)において、
前記複数の物品の夫々に付された、当該複数の物品の夫々を一意に識別可能な第3情報を取得する取得手段(例えば
図9の取得部201)と、
前記取得手段により取得された前記第3情報に基づいて、前記複数の物品のうち一の物品を特定する特定手段(例えば
図9の特定部202)と、
を備える。
【0110】
これにより、個々に特徴を有する物品を効率よく管理することができる。
【0111】
また、前記物品は、建造から所定期間が経過した古民家、又は前記古民家の解体により派生する古材とすることができる。
【0112】
これにより、個々に特徴を有する古民家K又は古材Wを効率よく管理することができる。
【符号の説明】
【0113】
1・・・サーバ、2,2-1乃至2-r・・・所有者端末、3,3-1乃至3-t・・・活用者端末、11・・・CPU、12・・・ROM、13・・・RAM、14・・・バス、15・・・入出力インターフェース、16・・・入力部、17・・・出力部、18・・・記憶部、19・・・通信部、20・・・ドライブ、30・・・リムーバルメディア、101・・・取得部、102・・・管理部、103・・・抽出部、104・・・提示部、111・・・古民家取得部、112・・・古材取得部、113・・・リクエスト取得部、181・・・古民家DB、182・・・KDB、183・・・所有者DB、184・・・活用者DB、201・・・取得部、202・・・特定部、G・・・サービス提供者、S,S1乃至Sr・・・所有者、R,R1乃至Rt・・・活用者、N・・・ネットワーク、K,K1乃至Kb・・・古民家、W・・・古材、Wa,Wa1乃至Wan・・・古材(単体)、Wk,Wk1乃至Wkm・・・古材候補、SS・・・各ステップ