(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】無人航空ビークルを使用する非破壊検査
(51)【国際特許分類】
G01N 27/90 20210101AFI20240717BHJP
B64F 5/60 20170101ALI20240717BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20240717BHJP
G01N 29/04 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
G01N27/90
B64F5/60
B64C39/02
G01N29/04
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019214223
(22)【出願日】2019-11-27
【審査請求日】2022-11-09
(32)【優先日】2019-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・ジェイ・トロイ
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー・イー・ジョージソン
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・エル・ハーフェンリヒター
(72)【発明者】
【氏名】スコット・ダブリュー・リー
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】スペイン国特許出願公開第2614994(ES,A1)
【文献】米国特許第04543528(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0079889(US,A1)
【文献】特開2017-193331(JP,A)
【文献】国際公開第2016/139930(WO,A1)
【文献】特開2014-148038(JP,A)
【文献】特開2004-237083(JP,A)
【文献】特開昭54-092297(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0248967(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64B 1/00 - B64B 1/70
B64C 1/00 - B64C 99/00
B64D 1/00 - B64D 47/08
B64F 1/00 - B64F 5/60
B64G 1/00 - B64G 99/00
B64U 10/00 - B64U 80/86
G01N 27/72 - G01N 27/9093
G01N 29/00 - G01N 29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非破壊検査(NDI)システム(100)であって、前記システム(100)が、
少なくとも1つの支持アームを有する本体構造(204)を備える無人航空ビークル(UAV)(102)を備え、前記少なくとも1つの支持アームが、
前記本体構造(204)に結合された第1の端部および第2のアーム部に結合された第2の端部を有する第1のアーム部と、
NDI走査デバイスに結合された第1の端部および前記第1のアーム部の前記第2の端部に結合された第2の端部を有する前記第2のアーム部と、
前記第1のアーム部と前記第2のアーム部との間に配置された弾性部材(210)と
を備え、
前記NDI走査デバイス(104)が、1つ以上のNDIセンサを備えるハウジングを有するように形成されて
おり、
前記第1のアーム部が、前記第2のアーム部に枢動可能に結合されており、
前記弾性部材(210)は、前記無人航空ビークル(102)が、検査される構造体(202)に対して、前記NDI走査デバイス(104)を介して、略一定の圧力を加えることを可能にし、
前記弾性部材(210)は、前記弾性部材(210)が、前記弾性部材(210)の圧縮行程に沿って略比例する力を加えるように、行程長さおよび予荷重された静止位置を備える、
非破壊検査(NDI)システム(100)。
【請求項2】
前記本体構造(204)を取り囲み、かつ、前記本体構造(204)と結合されたリングマウント(602)をさらに備え、前記リングマウント(602)が、内側リング要素(902)と、前記内側リング要素(902)に対して回転する外側リング要素(904)とを備える、請求項
1に記載のNDIシステム(100)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの支持アームが、前記第1のアーム部の前記第1の端部で前記リングマウント(902)の前記外側リング要素(904)と剛結合されている、請求項
2に記載のNDIシステム(100)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの支持アームが第1の支持アームを備え、かつ、前記本体構造(204)と結合されかつ前記少なくとも1つの支持アームおよび前記NDI走査デバイス(104)と釣り合う錘を有する第2の支持アーム(404)をさらに備える、請求項1から
3のいずれか一項に記載のNDIシステム(100)。
【請求項5】
前記UAV(102)が、追跡システムから取得される位置および方向データを使用して所定の飛行経路を使用して移動するように動作可能であるか、または遠隔制御システム(612)を使用して制御される、請求項1から
4のいずれか一項に記載のNDIシステム(100)。
【請求項6】
前記1つ以上のNDIセンサが、検査される構造体(202)に対して移動される、請求項1から
5のいずれか一項に記載のNDIシステム(100)。
【請求項7】
前記NDI走査デバイス(104)が、検査される表面(202)の周りで前記NDI走査デバイス(104)を移動させるための移動機構(402)をさらに備える、請求項1から
6のいずれか一項に記載のNDIシステム(100)。
【請求項8】
物体の非破壊検査(NDI)の方法であって、
少なくとも1つの支持アームを有する本体構造(204)を備える無人航空ビークル(UAV)(102)を用意するステップであって、前記少なくとも1つの支持アームが、
前記本体構造(204)に結合された第1の端部および第2のアーム部に結合された第2の端部を有する第1のアーム部と、
前記第1のアーム部の前記第2の端部に結合された第1の端部およびNDI走査デバイス(104)に結合された第2の端部を有する前記第2のアーム部と、
前記第1のアーム部と前記第2のアーム部との間に配置された弾性部材(210)と
を備え、
前記NDI走査デバイス(104)が、1つ以上のNDIセンサを備えるハウジングを有するように形成される、ステップと、
前記UAV(100)を構造体のターゲット位置に向かわせるステップと、
前記NDI走査デバイス(104)を前記ターゲット位置で前記構造体(202)の表面に配置するステップと、
前記1つ以上のNDIセンサを使用して前記表面のNDIを実行するステップと
を含
み、
前記第1のアーム部が、前記第2のアーム部に枢動可能に結合されており、
前記弾性部材(210)は、前記無人航空ビークル(102)が、検査される構造体(202)に対して、前記NDI走査デバイス(104)を介して、略一定の圧力を加えることを可能にし、
前記弾性部材(210)は、前記弾性部材(210)が、前記弾性部材(210)の圧縮行程に沿って略比例する力を加えるように、行程長さおよび予荷重された静止位置を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に検査活動に関し、より詳細には、無人移動ビークルによる物体の構造体の遠隔検査に関する。
【背景技術】
【0002】
構造体の非破壊検査(NDI:Non-destructive inspection)は、構造体に損傷を与えることなく、または構造体の大掛かりな分解を必要とすることなく構造体を徹底的に調べることを含む。NDIは、航空機の性能に悪影響を及ぼし得る、亀裂、間隙、または多孔性などの、構造体の任意の種類の内部または外部の損傷について航空機構造体を検査するために航空機産業で一般的に利用されている。
【0003】
構造体および様々な種類の物体の直接の人間ベースの検査は、時間がかかり、費用がかかり、困難であり、実行する人にとってしばしば危険であり得る。多くの場合、無人航空ビークル(UAV:unmanned aerial vehicle)が、大きな遠隔構造体の外観検査およびある程度簡単なIRサーモグラフィイメージング用のデバイスを送達するために使用され得る。しかしながら、現在のUAV送達システムは、非スタンドオフNDI機能または簡単なメンテナンス支援を提供していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願の主題は、現状の技術に対応して、特に、現在利用可能な技術によってまだ完全に解決されていない、従来の非破壊検査技術の欠点に対応して開発された。したがって、本出願の主題は、従来技術の上で述べた欠点の少なくとも一部を克服する装置、システム、および関連する方法を提供するために開発された。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、非破壊検査(NDI)センサ用の支持アームのための装置が開示される。支持アームは、無人航空ビークル(UAV)の本体構造に結合された第1の端部および第2のアーム部に結合された第2の端部を有する第1のアーム部を含む。第2のアーム部は、NDI走査デバイスに結合された第1の端部および第1のアーム部の第2の端部に結合された第2の端部を有する。支持アームは第1のアーム部と第2のアーム部との間に配置された弾性部材を含む。
【0006】
特定の実施形態では、第1のアーム部は、第1のアーム部に対するアーム部の第2の部分の弾性動作を可能にする回転ジョイントで、第2のアーム部に枢動可能に結合される。他の実施形態では、第2のアーム部は、第1のアーム部にスライド可能に結合され、それらの間の弾性要素を伴って第1のアーム部に入れ子式に挿入される。
【0007】
UAVと、上で説明した支持アームでUAVに結合されたNDI走査デバイスとを使用するNDIのためのシステムがさらに開示される。一部の実施形態では、このシステムは、UAVの本体構造を取り囲み、この本体構造と結合されたリングマウントを含む。この例では、少なくとも1つの支持アームが、第1のアーム部の第1の端部でリングマウントと堅く結合される。このシステムはまた、本体構造と結合され、かつNDI走査デバイスと釣り合う錘を有する第2の支持アームを含み得る。
【0008】
NDI走査デバイスは、NDI走査デバイスを構造体の表面に結合するための取り付け機構をさらに含み、取り付け機構は、磁気ベース、真空ベース、静電ベース、グリッパベース、または接着ベースであり得る。特定の実施形態では、UAVは、追跡システムから取得される位置および方向データを使用して所定の飛行経路を使用して移動するように動作可能であるか、または遠隔制御システムを使用して制御される。NDI走査デバイスの1つ以上のNDIセンサは、渦電流センサ、超音波センサ、音響センサ、機械インピーダンスセンサ、光学センサ、X線後方散乱センサ、コンピュータ断層撮影センサ、表面粗さセンサ、IRサーモグラフィ、マイクロ波センサ、およびテラヘルツセンサを含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、1つ以上のNDIセンサは、検査される構造体に対して移動される。
【0009】
一部の実施形態では、このシステムはまた、サンダ、ドリル、ブラシ、塗料噴霧器、マーカ、インクスタンプ、レーザ、またはターゲットアプリケータを含むが、これらに限定されない1つ以上のメンテナンスツールを含む。このシステムはまた、検査される表面の周りでNDI走査デバイスを移動させるための移動機構を含み得る。
【0010】
また、無人航空ビークルを使用して表面の非破壊検査を実行するために上記のシステムを利用する方法が提供される。
【0011】
本開示の主題の説明されている特徴、構造、利点、および/または特性は、1つ以上の例および/または実施態様において任意の適切な方法で組み合わされ得る。以下の説明は、本開示の主題の例の完全な理解を与えるために、多くの具体的な詳細が提供される。当業者は、特定の例または実施態様の具体的な特徴、詳細、構成要素、材料、および/または方法の1つ以上なしで本開示の主題が実施され得ることを認めるであろう。他の例では、すべての例または実施態様に存在し得ない追加の特徴および利点が、特定の例および/または実施態様において認められ得る。さらに、一部の例では、本開示の主題の態様を不明瞭にすることを避けるために、周知の構造、材料、または動作は詳細に示されていない、または説明されていない。本開示の主題の特徴および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになるか、または以下に記載される主題の実施によって知られ得る。
【0012】
主題の利点がより容易に理解され得るように、添付の図面に示されている具体的な例を参照して、上で簡単に説明された主題のより詳細な説明が提示される。これらの図面は、主題の典型的な例を示しているにすぎず、したがってその範囲を限定するものと見なされるべきではないという理解の下、主題は、追加の具体性および詳細と共に、図面の使用を通して記載および説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の実施形態による、無人航空ビークル(UAV)および関節アームを利用して非破壊試験が実行されるターゲット構造体の一例を示す斜視図である。
【
図2】本開示の実施形態による、UAVを利用して非破壊試験が実行されるターゲット構造体の別の実施形態を示す側面図である。
【
図3】本開示の実施形態による、NDI走査デバイスの走査パターンの一実施形態を示す側面図である。
【
図4】本開示の実施形態による、UAV、およびNDIスキャナを含む車輪付きデバイスを利用して非破壊試験が実行されるターゲット構造体の別の実施形態を示す側面図である。
【
図5】本開示の実施形態による、弾性伸縮アームを有するUAVの別の実施形態を示す側面図である。
【
図6a】本開示の実施形態による、リングベースのマウントを有するUAVの別の実施形態を示す側面図である。
【
図6b】本開示の実施形態による、UAVの別の実施形態を示す上面図である。
【
図7】本開示の実施形態による、NDI走査用のコントローラーの一実施形態を示す概略ブロック図である。
【
図8】本開示の実施形態による、非破壊検査の方法の一実施形態を示す概略フローチャート図である。
【
図9】本開示の実施形態による、UAVのマウントの別の実施形態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書を通しての「一例」、「例」、または同様の言葉への言及は、例に関連して説明されている特定の特徴、構造、または特性が本開示の少なくとも1つの例に含まれることを意味する。本明細書を通しての「一例では」、「例では」という語句および同様の言葉の登場はすべて、同じ例を指し得るが、必ずしもそうではない。同様に、「実施態様」という用語の使用は、本開示の1つ以上の例に関連して説明されている特定の特徴、構造、または特性を有する実施態様を意味するが、他の方法で示す明示的な相関がない場合、実施態様は、1つ以上の例に関連付けられ得る。同じ参照番号は、図の記載を通して同じ要素を表す。
【0015】
図1は、本開示の実施形態による、無人航空ビークル(UAV)102を利用して非破壊試験が実行されるターゲット構造体100の一例を示す斜視図である。図示されている実施形態では、ターゲット構造体100は飛行機である。しかしながら、ターゲット構造体は、ビークル、航空機、タービン、エンジン、建造物、橋、または宇宙のような環境で動作可能な機器(例えば、人工衛星、ロケット、ミサイル、宇宙ステーションの構成要素、宇宙ビークル、宇宙シミュレータ)などの任意の適切な製造されたデバイスまたは構造体である。一般的に言えば、本開示の例は、視覚カメラまたはIRカメラによる単純な視覚検査を越えた、構造体の遠隔NDIのために、ドローンとしても知られるUAV102の使用を可能にするための方法およびシステムを説明する。UAV102は、以下でより詳細に説明されるように、一方の端部(すなわち、近位端部)でUAV102に取り付けられるか、または一体化され、他方の端部(すなわち、遠位端部)で1つ以上のNDI走査デバイス104または他のエンドエフェクタを支持する1つ以上の支持構造体を含む。
【0016】
UAV102は、塗装、研磨、および定期的な遠隔検査のための位置タグ付けなどのメンテナンス活動も可能にし得る。また、接着タグ、塗料などが、将来の参照のために付けられたままにされ得るし、または3D視覚化を可能にし得る。磁気ベース、真空ベース、静電ベース、接着ベース、またはグリッパベースのシステムおよび方法を含むが、これらに限定されない様々なシステムおよび方法が、検査されるターゲット構造体100の表面にNDIデバイスを保持するために使用され得る。一部の例では、これらの取り付け機構の1つより多くが組み合わせて使用され得る。磁気ベースのアプローチでは、電気永久(EP:Electro-Permanent)磁石が、電気パルスで有効にされ得、電力を使用せずに励磁状態を保ち得る。真空ベースのアプローチでは、UAVは、それぞれの吸引領域でそれぞれの吸引力を生成するように構成された1つ以上の電動のダクト付きファンまたは他の一般的な吸引デバイスを含み得る。静電ベースのアプローチでは、基板材料(例えば、検査される構造体の表面)と支持構造体またはNDIデバイスの静電付着表面との間の静電力が使用される。このアプローチでは、静電付着デバイス(例えば、パッド、車輪、キャタピラ(track)など)は、ポリマーの表面に堆積された導電性電極からなる。グリッパベースのアプローチでは、1つ以上の支持構造体は、作動時に検査される構造体の一部を物理的に保持するために開閉し得る1つ以上の把持部を有する端部を含み得る。
【0017】
1つの例示の動作では、支持アームなどの1つ以上の支持構造体(
図2参照)によって支持された1つ以上のNDI走査デバイス104を備えるUAV102が、ターゲット構造体100のターゲット領域に飛ばされる。UAVオペレータは、支持アームを伸ばすなどしてNDI走査デバイス104をターゲット構造体100のターゲット領域に配置するようにUAV102に命令する。NDI走査デバイス104は、ターゲット構造体100に移動可能に固定される(例えば、EP磁石、真空デバイス、静電デバイス、接着デバイス、またはグリッパデバイスを実装した機構によって固定される)。他の実施形態では、UAV102は、弾性支持アームを介してNDI走査デバイス104に圧力を加えることによってNDI走査デバイス104を表面に移動可能に固定する。EP磁石は、電気パルスで有効にされ、その後、電力を使用せずに励磁状態を保ち得る。その後、NDI走査デバイス104が、検査測定値を取得するために作動され得る。ターゲット構造体100に対するNDI走査デバイス104の3D位置は、局所測位システム(LPS:local positioning system)などのオフボード追跡システムによって測定され得る。NDI走査デバイス104は、走査された位置の履歴を維持する。NDI検査が完了すると、プロセスが繰り返され得るか、または一部の実施形態もしくは使用事例では、固定機構を停止し、UAVを飛び去らせる。
【0018】
図2は、本開示の実施形態による、UAV102を利用して非破壊試験が実行されるターゲット構造体202の別の実施形態を示す側面図である。上で説明したように、ターゲット構造体202は飛行機の一部であってもよい。ここで示されているUAV102は、断面が参照番号202で識別される、飛行機の翼を検査するように導かれている。特定の実施形態では、UAV102は、1つ以上の支持アーム206が配置された本体構造204を含む。1つ以上の支持アーム206は、第1の(近位)端部で本体構造204に取り付けられる。1つ以上の支持アーム206のそれぞれは、第2の(遠位)端部でNDI走査デバイス104に接続される。関節支持アーム206は、特定の実施形態では、グリッパ、サンダ、ドリル、ブラシ、塗料噴霧器、マーカ、インクスタンプなどを含むが、これらに限定されない1つ以上のメンテナンスツールを操作するために遠位端に受動または能動エンドエフェクタ機構を有するように構成される。
【0019】
一部の実施形態では、支持アーム206は、1つ以上のピボットジョイント208を有する関節アームとして実施される。1つ以上のピボットジョイント208は、NDI走査デバイス104がターゲット構造体202と接触している間、UAV102とターゲット構造体202との間の距離dに関係なく、UAV102がNDI走査デバイス104を介してターゲット構造体202に所定のほぼ一定の圧力を加えることを可能にする。これは、ピボットジョイント208にまたがる1つ以上の圧縮ばね210で達成され得る。あるいは、他の弾性機構が、NDI走査デバイス104に付勢力を加えるために実施されてもよい。関節支持アーム206は、ターゲット構造体202の近くにNDI走査デバイス104を配置するおよび向けるために伸長可能かつ回転可能である。UAV102は、UAV102が支持アーム206を自動的に展開または伸長するのに適切な距離になったときを判定するために近接センサおよび/または視覚カメラを使用するように構成される。あるいは、関節支持アーム206は、NDI走査デバイス104をターゲット構造体に結合する準備ができている展開構成に常にあってもよい。
【0020】
一例では、圧縮ばね210は、圧縮ばね210がばねの圧縮行程に沿ってほぼ比例する力を加えるように、長い行程長さおよび予荷重された静止位置を備える。あるいは、UAV102は、所望の圧力を維持するために、NDI走査デバイス104に加えられる圧力を測定して、UAV102とターゲット構造体202との間の距離を修正するように構成されてもよい。例えば、所望の圧力は、NDI走査デバイス104がターゲット構造体202の表面に沿ってスライドすることを可能にしながら、NDI走査デバイス104とターゲット構造体202との間の接触を維持するように選択される。上で述べたように、NDI走査デバイス104は、取り付け機構(例えば、EP磁石式、静電付着式など)を有するように構成され、したがって、NDI走査デバイス104は、それ自体の重量を支持し、場合によってはUAV102の負担を軽減し、その結果、UAV102の寿命を延ばす。
【0021】
各NDI走査デバイス104は、渦電流センサ、超音波センサ、音響センサ、機械インピーダンスセンサ、光学センサ、X線後方散乱センサ、コンピュータ断層撮影センサ、表面粗さセンサ、IRサーモグラフィ、マイクロ波センサ、およびテラヘルツセンサを含むが、これらに限定されない1つ以上のセンサを収容するハウジングで形成される。UAV102は、1つ以上のセンサがターゲット構造体202の損傷を走査することを可能にするようにターゲット構造体202の表面に沿ってNDI走査デバイス104を移動させる。他の実施形態では、以下でより詳細に説明されるように、NDI走査デバイス104は、ターゲット構造体202の表面を動き回るための移動機構(例えば、モーター駆動の車輪)を備える。あるいは、受動車輪は、距離を測定するための回転エンコーダを備える。この例では、UAV102は、エンドエフェクタがターゲット構造体202の表面を横断している間、「フォロワ」モードで動作するように構成されてもよい。
【0022】
図3は、本開示の実施形態による、NDI走査デバイス104の走査パターンの一実施形態を示す側面図である。図示されている実施形態では、UAV102は、ターゲット構造体202の表面に沿ったパターンでNDI走査デバイス104を導く。UAV102の関節支持アーム206は、UAV102がターゲット構造体202の異なる領域にNDI走査デバイス104を配置することを可能にするようにUAV本体構造体204の上方および下方に伸びるように構成される。図示されている実施形態では、これにより、UAV102が、飛行機の翼の下側にNDI走査デバイス104を配置することが可能になる。
【0023】
UAV102は、距離測定フィードバックおよび/または測位方法(例えば、表面に回転エンコーダを有するオムニホイール、または追跡機能を有する地上の高解像度カメラ)を使用してパターンを辿るように構成され、これにより、ターゲット構造体202の表面は、十分にNDI走査デバイス104によって走査されるか、またはサンダ、クリーナ、ペインタなどによってメンテナンスされる。
【0024】
収集されたデータは、リアルタイムおよび/または走査後の分析のために電子処理デバイスに転送される(例えば、無線で送信される)。さらに、データは、NDI走査デバイス104のメモリデバイスに記憶され、後で検索されてもよい。パターンは、オペレータによって決められた、完了するまでUAV102によって辿られる所定のパターンであってもよい。あるいは、UAV102は、カメラから取得された視覚データを使用して、ターゲット構造体202の表面全体が走査されたときを判定してもよい。別の実施形態では、UAV102は、NDI走査デバイス104から、ターゲット構造体202の表面全体が走査されたという指示を受信する。
【0025】
図4は、本開示の実施形態による、UAV102を利用して非破壊試験が実行されるターゲット構造体202の別の実施形態を示す側面図である。上で説明したように、NDI走査デバイス104は、ターゲット構造体202の表面に沿ってスライドされる受動走査デバイスである。NDI走査デバイス104は、特定の実施形態では、ターゲット構造体202の表面に沿ったNDI走査デバイス104の移動を容易にするための機構を含む。例えば、NDI走査デバイス104は、車輪402を含む。一部の実施形態では、車輪は駆動されず、UAV102がNDI走査デバイス104の移動を導くことを可能にする。
【0026】
あるいは、NDI走査デバイス104は、キャタピラ、車輪(例えば、ホロノミック車輪)、関節アームなどを使用するなど、1つ以上の移動機構を使用してターゲット構造体202の表面に沿ってまたはその周りを移動するように動作可能である。移動は、制御された方法で固定機構をオンおよびオフするなどして、固定機構と共に使用され得る。NDI走査デバイス104は、特定の実施形態では、複数の車輪、例えば4つの車輪を支持することができる本体を含む。一部の実施形態では、車輪の少なくとも2つは、ターゲット構造体202の表面に沿ったNDI走査デバイス104の移動を導くように独立して制御可能であり得る。
【0027】
特定の実施形態では、関節支持アーム206は、UAV102に対するNDI走査デバイス104の重量の影響を打ち消すために釣合アーム404を含む。釣合アーム404は、枢動点406を通過して伸び、NDI走査デバイス104の重量に対してバランストルクを提供するように選択された重量を含み得る。アーム404の釣り合い錘は、支持アーム206と一体であってもよい。枢動点406に対する関節支持アーム206の位置は、UAV102によって運ばれるペイロード(例えば、NDI走査デバイス104、研磨デバイス、ペイントブラシなど)に従って調整されてもよい。例えば、関節支持アーム206は、関節支持アーム206をUAV102に固定するロッドが通り得る複数の位置決め開口部を備えてもよい。枢動点406と釣合アーム404の釣り合い錘との間の距離を増加させると、バランストルクが増加する。
【0028】
図5は、本開示の実施形態による、UAV102の別の実施形態を示す側面図である。図示されている実施形態では、支持アームは、伸縮アーム502を含む。一部の実施形態では、伸縮アーム502は、少なくとも2つのスライド可能な入れ子部を有するように形成される。アーム502の第1の部分506は、第1の(近位)端部で本体構造204に回転可能に結合される。支持アーム502の第1の部分506の第2の(遠位)端部は、支持アーム502の第2の部分504の近位端部とスライド可能に係合するように構成され、第2の部分504は、その遠位端部でNDI走査デバイス104に回転可能に結合される。
【0029】
弾性要素(例えば、ばね)が、第2の部分504に対して第1の部分506を付勢するために第2の部分の空隙部内に配置され得る。したがって、UAV102は、NDI走査デバイス104が表面と接触しているとき、UAV102と表面との間の距離に関係なく、ターゲット構造体の表面にほぼ一定の圧力を加えるように構成される。したがって、UAV102の飛行経路のわずかなずれは、NDI走査デバイス104の動作に影響を及ぼさない。別の言い方をすれば、UAV102とターゲット構造体の表面との間の距離が変化した場合、
図1~
図5を参照して上で説明した支持アームは、表面の分析に影響を及ぼすことなくそのような変化を吸収するように構成される。
【0030】
図6aは、本開示の実施形態による、UAV102の別の実施形態を示す側面図である。特定の実施形態では、UAV102は、UAV102の本体構造204を取り囲むNDI走査デバイスのマウント構造体(マウント)602を含む。マウントアーム604は、マウント602をUAV102の本体構造204に結合する。マウント602は、一部の実施形態では、UAV102のロータブレード610(
図6b参照)間の実質的に中央に配置される。UAV102の本体構造204に対して横方向および縦方向の両方でマウント602を実質的にバランスさせる他の構成が考えられる。
【0031】
特定の実施形態では、伸縮アーム502は、第1の(近位)端部でNDI走査デバイス104に結合され、第2の端部で、環状または円形状であり得るマウント602に結合される。伸縮アーム502は、UAV102の制御システムがNDI走査デバイス104の方向を制御することを可能にするようにマウント602に堅く結合され得る。伸縮アーム502はまた、アームのスライド部分間に弾性要素または弾性部材を有し得る。おおよそ7時の位置に示されているが、UAV102は、伸縮アーム502が実質的に垂直な平面内でマウント602から外側に伸びるように、伸縮アームを他の回転角度(例えば、3時または9時)に向け得る。これにより、UAV102の安定した制御可能な運動を可能にしつつも、UAV102が多種多様な表面にNDI走査デバイス104を配置することが可能になる。代替の実施形態では、取り付けリングは水平面内に構成されてもよい。
【0032】
一部の実施形態では、マウント602は、NDI走査デバイス104の重量の影響を打ち消すために、伸縮アーム502の反対側に向けられた釣り合い錘606を含む。UAV102と動作可能に通信する回転機構は、NDI走査デバイス104によって走査される表面に応じて、伸縮アーム502および釣り合い錘606を回転させて配置する。回転機構は、釣り合い錘606と共に、あるいは釣り合い錘606とは独立に伸縮アーム502を移動させ得る。回転機構は、互いに独立して移動可能な複数のリングを含み得る。リングの少なくとも1つは、マウントアーム604と固定的に結合される。固定リングと可動リングとの間に配置されたギアが、NDI走査デバイス104を移動させる目的で、伸縮アーム502と結合されたリングを移動させるために作動されてもよい。ここでは伸縮アーム502を伴うように示されているが、
図2を参照して上で説明した関節支持アーム206を伴うマウント602が実施されてもよい。
【0033】
図6bは、本開示の実施形態による、UAV102の別の実施形態を示す上面図である。
図6aを参照して上で述べたように、マウント602は、本体構造204を取り囲む。特定の実施形態では、マウント602は、UAV102の飛行能力を妨げないようにUAV102のロータ610間に配置される。一般に、UAV102は、UAV102をターゲット構造体100に向かわせ、NDI走査デバイス104を使用してNDIを実施するように制御可能な1つ以上のロータ610を含む。UAV102は、自律的であって所定の飛行経路を辿ることができてもよいし、またはリモートコントローラー612から制御可能であってもよい。
【0034】
図7は、本開示の実施形態による、NDI走査用のコントローラーの一実施形態を示す概略ブロック図である。UAV102は、NDI走査デバイス104と共に、ターゲット構造体100に対応する情報を取得するために使用されるシステムを形成する。UAV102またはNDI走査デバイス104のいずれかに動作可能に結合されるコントローラー700は、システムによって取得された情報を処理し、UAV102およびNDI走査デバイス104に、ターゲット構造体100の非破壊検査のための方法を実行するように指示するデータプロセッサ702を含む。データプロセッサ702は、取得された情報を処理することができる任意の適切な情報処理デバイスであってもよい。一例では、データプロセッサ702は、コンピュータ、スマートフォン、または処理デバイスなどである。一例では、データプロセッサ702は、取得された情報を処理するための1つ以上のプロセッサを含む。取得された情報は、取得された情報から生成された、ターゲット構造体100の表面のマッピングを示すためのディスプレイにトランシーバ704を介して送信され得る。データプロセッサ702は、取得された情報(例えば、データ)を受信し、データに対応する画像を生成する。例では、データプロセッサ702は、物体の表面の二次元マッピングおよび/または物体の表面の三次元マッピングを生成する。
【0035】
本明細書で使用される場合、ターゲット構造体100(例えば、物体)は、ターゲット構造体100の表面下に異常が検出された場合、ターゲット構造体100の表面下に取り込まれる空気に起因する変形など、潜在的な欠陥を有する。状況により、ターゲット構造体100の表面下に取り込まれる空気は、ターゲット構造体100の表面下の接合されていない材料(例えば、材料間の接合の欠如)に起因する。システムは、ターゲット構造体100の欠陥を検出するために使用されるように構成される。
【0036】
コントローラー700は、1つ以上の接触ベース、非接触ベース、またはこれら両方の検知モダリティを検出するように動作可能であり得るセンサ706を含む。センサ706は、渦電流センサ、超音波センサ(および他の近接センサ)、音響センサ、機械インピーダンスセンサ、光学センサ(例えば、光学カメラ)、X線後方散乱センサ、コンピュータ断層撮影センサ、表面粗さセンサ、IRサーモグラフィ、マイクロ波センサ、ならびにテラヘルツセンサを含み得るが、これらに限定されない。コントローラー700はまた、任意選択で、すべて通信バスを介して接続された電源708、固定/取り外し機構710、および移動機構712を含み得る。一部の実施形態では、電源708は、サブシステム(例えば、UAV102、NDI走査デバイス104、リングマウント602など)の1つ以上に電力を提供し得る。一部の例では、UAV102に接続されたテザーによって追加の電力または全体の電力が提供されてもよい。任意選択のテザーはまた、1つ以上のNDIセンサ706との間でコマンドまたはデータ信号を送受信するために使用され、システムに安全および検索機構を提供し得る。
【0037】
固定/取り外し機構710は、本明細書に開示されている1つ以上の固定機構を含み得る。トランシーバ704は、位置および/または測定データを1つ以上のNDIセンサ706から無線UAVコントローラー102および/または遠隔検査ステーションに提供するように構成され得る。コントローラー700は、UAV102およびNDI走査デバイス104のサブシステムの1つ以上を制御し、かつ/またはトランシーバ704を介して無線UAVコントローラーおよび/もしくは遠隔検査ステーションと通信するための命令でプログラムされる。移動機構712は、本明細書に開示されているターゲット構造体100の表面に沿ってまたはその周りでNDI走査デバイス104を移動させるように動作可能であり得る。
【0038】
特定の実施形態では、センサ706は、UAV102がNDI走査デバイス104を介してターゲット構造体100の表面に加えている圧力の量を検出するために圧力センサを含む。プロセッサ702は、NDI走査デバイス104とターゲット構造体100との間のスライド可能な接触を維持するために、圧力情報を受信し、ターゲット構造体100とUAV102との間の距離を調整するように構成される。圧力が大きすぎる場合、NDI走査デバイス104は適切にスライドし得ない。圧力が0に近づき、接触がないことが示されている場合、NDI走査デバイス104のセンサ706は適切に機能し得ない。あるいは、コントローラー700は、UAV102とターゲット構造体100との間の適切な距離を維持するために他のセンサの1つを使用する。
【0039】
図8は、本開示の実施形態による、非破壊検査の方法800の一実施形態を示す概略フローチャート図である。方法800の一部分は、ハードウェア(例えば、回路、専用論理、プログラマブル論理、マイクロコードなど)、ソフトウェア(処理デバイスで実行される命令など)、ファームウェア、またはこれらの組み合わせを備え得る処理論理によって実行され得る。一実施形態では、方法800は、
図7のコントローラー700によって実行される。
【0040】
方法800が開始され、弾性バランス支持アームを有するUAVが用意される。特定の実施形態では、付勢された支持アームは、上で説明したように、支持アームの第1の部分と第2の部分との間の付勢力を与えるための、ばねなどの付勢機構を含む。代替実施形態では、付勢力は、弾性または圧縮空気によって提供される。ブロック804で、処理論理は、UAVをターゲット構造体に向かわせる。例えば、UAVは、事前にプログラムされた飛行計画に従ってUAVをナビゲートすることができ、かつ検査されるターゲット構造体の検査データが取得されることを可能にすることができるオンボードシステムを含み得、かつ/または無線UAVコントローラーを使用するオペレータによって飛行経路に沿って飛ばされ得る。
【0041】
ブロック806で、処理論理は、NDI走査デバイスをターゲット構造体の表面に配置し、NDI走査デバイスとターゲット構造体の表面との間の接触を維持する。例えば、処理論理は、表面までの距離を求めるためにターゲット構造体の表面を分析し、NDI走査デバイスと表面が接触するまで表面に近づける。処理論理はまた、NDI走査デバイスを表面に結合するように固定機構(例えば、EP磁石式、静電付着式など)に命令する。その後、処理論理は、表面からの適切な距離を維持する。弾性支持アームは、この適切な距離からのずれを補償する。
【0042】
ブロック808で、処理論理は、1つ以上のNDIセンサを使用して表面の非破壊検査を実行する。ブロック810で、処理論理は、ターゲット構造体の表面からNDI走査デバイスを分離し、方法800は終了する。
【0043】
図9は、本開示の実施形態による、マウント602の別の実施形態を示す側面断面図である。明確にするために、ロータブレード610などの、UAV102の構成要素の一部は示されていない。図示されている実施形態では、マウント602は、UAV102の本体構造204を取り囲む少なくとも2つのリング902、904を含む。内側リング902は、マウントアーム604を介して本体構造204に固定的に結合される。特定の実施形態では、外側リング904は、内側リング902に対して回転するように構成される。内側リング902に対する外側リング904のスライドおよび回転動作を容易にするために、内側リング902と外側リング904との間に玉軸受けが配置され得る。
【0044】
一部の実施形態では、モーター906およびバッテリー908が、NDI走査デバイス104に対する釣り合い錘として機能し、支持アーム502の反対側で外側リング904に固定的に結合され得る。モーター906によって駆動されるギア910は、内側リング902と係合し、コントローラー700からのコマンドに応答して外側リング904を回転させ得る。したがって、これにより、コントローラーは、モーター906に、外側リング904を介してNDI走査デバイス104を0度から360度の間の任意の角度位置に配置させることが可能になる。
【0045】
上記の説明では、「上へ」、「下へ」、「上方」、「下方」、「水平」、「垂直」、「左」、「右」、「上」、および「下」などの特定の用語が使用されている場合がある。これらの用語は、該当する場合、相対的な関係を扱うときに説明をある程度明確にするために使用される。ただし、これらの用語は、絶対的な関係、位置、および/または方向を含意することを意図されていない。例えば、物体に関して、物体を裏返すだけで「上」面は「下」面になり得る。それにもかかわらず、それは相変わらず同じ物体である。さらに、「含む」、「備える」、「有する」という用語およびこれらの変化形は、特に明記しない限り、「含むが、これに限定されない」を意味する。項目の列挙リストは、特に明記しない限り、項目のいずれかまたはすべてが相互に排他的であり、および/または相互に包括的であることを含意しない。「ある」、「1つの」、および「その」という用語は、特に明記しない限り、「1つ以上の」も意味する。さらに、「複数の」という用語は、「少なくとも2つの」と規定され得る。さらに、特に断らない限り、本明細書で規定されるように、複数の特定の特徴は、特定の特徴のセットまたはクラス全体のすべての特定の特徴を必ずしも意味しない。
【0046】
さらに、1つの要素が別の要素に「結合」される本明細書の例は、直接結合および間接結合を含み得る。直接結合は、1つの要素が別の要素に結合され、別の要素と何かしら接触していることと規定され得る。間接結合は、互いに直接接触していない2つの要素間の結合として規定され得るが、結合された要素間に1つ以上の追加の要素を有し得る。さらに、本明細書で使用される場合、1つの要素を別の要素に固定することは、直接固定および間接固定を含み得る。さらに、本明細書で使用される場合、「隣接」は、必ずしも接触を表さない。例えば、1つの要素は、別の要素に接触することなく、その要素に隣接し得る。
【0047】
本明細書で使用される場合、「~の少なくとも1つ」という語句は、項目のリストと共に使用されるとき、リストされた項目の1つ以上の異なる組み合わせが使用されてもよく、リスト内の項目の1つのみが必要とされ得ることを意味する。項目は、特定の物体、物、またはカテゴリーであってもよい。言い換えれば、「~の少なくとも1つ」は、項目の任意の組み合わせまたは複数の項目がリストから使用され得るが、リスト内の項目のすべてが必要とされ得るわけではないことを意味する。例えば、「項目A、項目B、および項目Cの少なくとも1つ」は、「項目A」、「項目Aおよび項目B」、「項目B」、「項目A、項目B、および項目C」、または「項目Bおよび項目C」を意味し得る。場合によっては、「項目A、項目B、および項目Cの少なくとも1つ」は、例えば、「2つの項目A、1つの項目B、および10個の項目C」、「4つの項目Bおよび7つの項目C」、または何らかの他の適切な組み合わせを意味し得るが、これらに限定されない。
【0048】
別段の指示がない限り、「第1の」、「第2の」などの用語は、本明細書ではラベルとして使用されているにすぎず、これらの用語が言及している項目に順序、位置、または階層の要件を課すことを意図されていない。さらに、例えば「第2の」項目への言及は、例えば「第1の」もしくはより低い番号が付けられた項目および/または例えば「第3の」もしくはより高い番号が付けられた項目の存在を必要としないし、またはこれを排除しない。
【0049】
本明細書で使用される場合、指定の機能を実行するように「構成された」システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、またはハードウェアは、さらなる修正後に指定の機能を実行する潜在力を単に有するのではなく、変更なしで指定の機能を実際に実行することができる。言い換えれば、指定の機能を実行するように「構成された」システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、またはハードウェアは、指定の機能を実行するために具体的に選択、形成、実施、利用、プログラム、および/または設計される。本明細書で使用される場合、「~するように構成された」は、システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、またはハードウェアがさらなる修正なしに指定の機能を実行することを可能にする、システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、またはハードウェアの現存する特性を表す。本開示のために、特定の機能を実行するように「構成された」ものとして説明されるシステム、装置、構造、物品、要素、構成要素、またはハードウェアは、さらにまたはあるいは、その機能を実行するように「適合された」および/または「動作可能な」ものとして説明し得る。
【0050】
本明細書に含まれている概略フローチャート図は、一般的に論理フローチャート図として記載されている。したがって、図示されている順序およびラベル付けされているステップは、提示された方法の一例を表す。機能、論理、または効果の点で、例示されている方法の1つ以上のステップまたはその一部分と同等である他のステップおよび方法が考えられ得る。さらに、採用されている形式および記号は、方法の論理的なステップを説明するために提供されており、方法の範囲を限定しないと理解される。フローチャート図では様々な矢印の種類および線の種類が用いられ得るが、それらは、対応する方法の範囲を限定しないと理解される。実際、いくつかの矢印または他の接続線は、方法の論理フローのみを示すために使用され得る。例えば、矢印は、図示された方法の列挙されたステップ間の指定されていない時間の待機期間または監視期間を示し得る。さらに、特定の方法が実行される順序は、図示の対応するステップの順序に厳密に準拠していてもしていなくてもよい。
【0051】
さらに、本開示は、以下の条項による実施形態を含む。
【0052】
条項1.非破壊検査(NDI)システムであって、該システムが、
少なくとも1つの支持アームを有する本体構造を備える無人航空ビークル(UAV)を備え、少なくとも1つの支持アームが、
本体構造に結合された第1の端部および第2のアーム部に結合された第2の端部を有する第1のアーム部と、
NDI走査デバイスに結合された第1の端部および第1のアーム部の第2の端部に結合された第2の端部を有する第2のアーム部と、
第1のアーム部と第2のアーム部との間に配置された弾性部材と
を備え、
NDI走査デバイスが、1つ以上のNDIセンサを備えるハウジングを有するように形成されている、
非破壊検査(NDI)システム。
【0053】
条項2.第1のアーム部が、第2のアーム部に枢動可能に結合されている、条項1に記載のNDIシステム。
【0054】
条項3.付勢弾性部材が、第1のアーム部に対する第2のアーム部の動作を付勢する、条項2に記載のNDIシステム。
【0055】
条項4.第2のアーム部が、第1のアーム部にスライド可能に結合されており、第1のアーム部に入れ子式に挿入されている、条項1に記載のNDIシステム。
【0056】
条項5.弾性部材が、第1のアーム部に対する第2のアーム部の動作を付勢する、条項1に記載のNDIシステム。
【0057】
条項6.本体構造を取り囲み、本体構造と結合されたリングマウントをさらに備え、リングマウントが、内側リング要素と、内側リング要素に対して回転する外側リング要素とを備える、条項1に記載のNDIシステム。
【0058】
条項7.少なくとも1つの支持アームが、第1のアーム部の第1の端部でリングマウントの外側リング要素と堅く結合されている、条項6に記載のNDIシステム。
【0059】
条項8.少なくとも1つの支持アームが、第1の支持アームを備え、本体構造と結合され、かつ少なくとも1つの支持アームおよびNDI走査デバイスと釣り合う錘を有する第2の支持アームをさらに備える、条項1に記載のNDIシステム。
【0060】
条項9.NDI走査デバイスが、NDI走査デバイスを構造体の表面に結合するための取り付け機構をさらに備え、取り付け機構が、磁気ベース、真空ベース、静電ベース、グリッパベース、または接着ベースである、条項1に記載のNDIシステム。
【0061】
条項10.UAVが、追跡システムから取得される位置および方向データを使用して所定の飛行経路を使用して移動するように動作可能であるか、または遠隔制御システムを使用して制御される、条項1に記載のNDIシステム。
【0062】
条項11.1つ以上のNDIセンサが、渦電流センサ、超音波センサ、音響センサ、機械インピーダンスセンサ、光学センサ、X線後方散乱センサ、コンピュータ断層撮影センサ、表面粗さセンサ、IRサーモグラフィ、マイクロ波センサ、およびテラヘルツセンサの少なくとも1つを備える、条項1に記載のNDIシステム。
【0063】
条項12.1つ以上のNDIセンサが、検査される構造体に対して移動される、条項1に記載のNDIシステム。
【0064】
条項13.少なくとも1つ以上の支持アームが、1つ以上のメンテナンスツールを支持するように構成されており、1つ以上のメンテナンスツールが、サンダ、ドリル、ブラシ、塗料噴霧器、マーカ、インクスタンプ、レーザ、またはターゲットアプリケータの1つを備える、条項1に記載のNDIシステム。
【0065】
条項14.NDI走査デバイスが、検査される表面の周りでNDI走査デバイスを移動させるための移動機構をさらに備える、条項1に記載のNDIシステム。
【0066】
条項15.非破壊検査(NDI)システム用の支持アームであって、支持アームが、
無人航空ビークル(UAV)の本体構造に結合される第1の端部および第2のアーム部に結合された第2の端部を有する第1のアーム部と、
第1のアーム部の第2の端部に結合された第1の端部およびNDI走査デバイスに結合される第2の端部を有する第2のアーム部と、
第1のアーム部と第2のアーム部との間に配置された弾性部材と
を備える、支持アーム。
【0067】
条項16.第1のアーム部が、第2のアーム部に枢動可能に結合されている、条項15に記載の支持アーム。
【0068】
条項17.弾性部材が、第1のアーム部に対する第2のアーム部の動作を付勢する、条項16に記載の支持アーム。
【0069】
条項18.第2のアーム部が、第1のアーム部にスライド可能に結合されており、第1のアーム部に入れ子式に挿入されている、条項15に記載の支持アーム。
【0070】
条項19.弾性部材が、第1のアーム部に対する第2のアーム部の動作を付勢する、条項18に記載の支持アーム。
【0071】
条項20.物体の非破壊検査(NDI)の方法であって、
少なくとも1つの支持アームを有する本体構造を備える無人航空ビークル(UAV)を用意するステップであって、少なくとも1つの支持アームが、
本体構造に結合された第1の端部および第2のアーム部に結合された第2の端部を有する第1のアーム部と、
第1のアーム部の第2の端部に結合された第1の端部およびNDI走査デバイスに結合された第2の端部を有する第2のアーム部と、
第1のアーム部と第2のアーム部との間に配置された弾性部材と
を備え、
NDI走査デバイスが、1つ以上のNDIセンサを備えるハウジングを有するように形成される、ステップと、
UAVを構造体のターゲット位置に向かわせるステップと、
NDI走査デバイスをターゲット位置で構造体の表面に配置するステップと、
1つ以上のNDIセンサを使用して表面のNDIを実行するステップと
を含む、方法。
【0072】
本主題は、その精神または本質的な特性から逸脱することなく、他の具体的な形態で具体化され得る。説明されている例は、あらゆる点で例示的なものにすぎず、限定的なものではないと見なされるべきである。特許請求の範囲の均等性の意味および範囲内にあるあらゆる変更は、その範囲内に含まれるものである。
【符号の説明】
【0073】
100 ターゲット構造体
102 無線UAVコントローラー
104 NDI走査デバイス
202 ターゲット構造体
204 UAV本体構造
206 関節支持アーム
208 ピボットジョイント
210 圧縮ばね
402 車輪
404 釣合アーム
406 枢動点
502 伸縮アーム、支持アーム
504 第2の部分
506 第1の部分
602 リングマウント
604 マウントアーム
606 釣り合い錘
610 ロータブレード、ロータ
612 リモートコントローラー
700 コントローラー
702 データプロセッサ
704 トランシーバ
706 NDIセンサ
708 電源
710 固定/取り外し機構
712 移動機構
902 内側リング
904 外側リング
906 モーター
908 バッテリー
910 ギア