(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】広域防災監視システム及び広域防災監視方法
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20240717BHJP
G08B 23/00 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
G08B17/00 L
G08B23/00 510D
(21)【出願番号】P 2020036004
(22)【出願日】2020-03-03
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】菊池 浩生
(72)【発明者】
【氏名】楠見 真希
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2003/028002(WO,A1)
【文献】特開2018-106693(JP,A)
【文献】特開2019-036304(JP,A)
【文献】特開2014-041457(JP,A)
【文献】特開平08-087699(JP,A)
【文献】特開2015-225426(JP,A)
【文献】特開平11-328557(JP,A)
【文献】特開2014-067437(JP,A)
【文献】特開2019-023904(JP,A)
【文献】特開昭61-076000(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0098068(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C2/00-99/00
G08B17/00
23/00-31/00
H03J9/00-9/06
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
H04Q9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災報知設備の火災発生情報を受信して表示する広域防災監視システムに於いて、
前記火災報知設備と所定のネットワークを介して通信接続される所定の装置に、
前記火災報知設備から前記火災発生情報を受信したときに、当該火災報知設備を設置した火災発生施設を含む地図を画面表示すると共に前記火災発生施設を識別可能に表示し、
前記火災発生施設の選択操作を判別したときに、前記火災発生施設の階層を表示させると共に当該階層の中の火災発生階を識別可能に表示し、
前記火災発生階の選択操作を判別したときに、前記火災発生階のフロア地図を表示すると共に前記フロア地図の火災発生区画を識別可能に表示する防災情報表示制御部が設けられたこと、
を特徴とする広域防災監視システム。
【請求項2】
請求項1記載の広域防災監視システムに於いて、
前記防災情報表示制御部は、
前記火災報知設備から受信した前記火災発生情報に基づき住宅火災を識別し、前記地図上の前記火災発生施設となる火災発生住宅の選択操作を判別したときに、
前記火災発生住宅の住宅平面図を表示すると共に前記住宅平面図の火災発生区画を識別可能に表示すること、
を特徴とする広域防災監視システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の広域防災監視システムに於いて、
前記火災発生施設及び前記火災発生区画に所定の火災発生マークを配置することで識別可能に表示し、
前記所定の火災発生マークにより、前記選択操作を行うこと、
を特徴とする広域防災監視システム。
【請求項4】
請求項
3記載の広域防災監視システムに於いて、
前記防災情報表示制御部は、
前記火災発生施設又は前記火災発生施設に配置した前記所定の火災発生マークの選択操作を判別したときに、
当該火災発生施設の階層をポップアップ表示させ、前記火災発生施設の階層の中の前記火災発生階を色分け表示させること、
を特徴とする広域防災監視システム。
【請求項5】
請求項
3乃至4何れかに記載の広域防災監視システムに於いて、
前記防災情報表示制御部は、更に、
前記火災発生区画
の選択操作、又は前記火災発生区画に配置した前記所定の火災発生マークの選択操作を判別したときに、
前記火災発生施設の所定の施設情報を表示すること、
を特徴とする広域防災監視システム。
【請求項6】
請求項5記載の広域防災監視システムに於いて、
前記防災情報表示制御部は、
前記火災発生施設の前記所定の施設情報として、当該火災発生施設の住所及び連絡先を少なくとも含む情報を表示すること、
を特徴とする広域防災監視システム。
【請求項7】
請求項1乃至6何れかに記載の広域防災監視システムに於いて、
前記所定の装置は、
前記火災報知設備に前記所定のネットワークを介して通信接続されるサーバ、携帯端末、携帯電話端末を含むこと、
を特徴とする広域防災監視システム。
【請求項8】
火災報知設備の火災発生情報を受信して表示する広域防災監視方法に於いて、
前記火災報知設備と所定のネットワークを介して通信接続される所定の装置に設けた防災情報表示制御部により、
前記火災報知設備から前記火災発生情報を受信したときに、当該火災報知設備を設置した火災発生施設を含む地図を画面表示すると共に前記火災発生施設を識別可能に表示し、
前記火災発生施設の選択操作を判別したときに、前記火災発生施設の階層を表示すると共に当該階層に火災発生階を識別可能に表示し、
前記火災発生階の選択操作を判別したときに、前記火災発生階のフロア地図を表示すると共に前記フロア地図の火災発生区画を識別可能に表示すること、
を特徴とする広域防災監視方法。
【請求項9】
請求項8記載の広域防災監視方法に於いて、
前記防災情報表示制御部は、
前記火災報知設備から受信した前記火災発生情報に基づき住宅火災を識別した場合、
前記地図上の前記火災発生施設となる火災発生住宅の選択操作を判別したときに、
前記火災発生住宅の住宅平面図を表示すると共に前記住宅平面図の火災発生区画を識別可能に表示すること、
を特徴とする広域防災監視方法。
【請求項10】
請求項
8又は
9記載の広域防災監視方法に於いて、
前記火災発生施設及び前記火災発生区画に所定の火災発生マークを配置することで識別可能に表示し、
前記所定の火災発生マークにより、前記選択操作を行うこと、
を特徴とする広域防災監視方法。
【請求項11】
請求項
10記載の広域防災監視方法に於いて、
防災情報表示制御部は、更に、
前記火災発生区画
の選択操作、又は前記火災発生区画
に配置した前記
所定の火災発生マークの選択操作を判別したときに当該火災発生施設の所定の施設情報を表示すること、
を特徴とする広域防災監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信機と火災感知器を備えた火災報知設備を広域的に監視する広域防災監視システム及び広域防災監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、受信機から引き出された信号回線に火災感知器を接続して火災を監視する火災報知設備としては、所謂R型(Record type)の火災報知設備が知られている。
【0003】
R型火災報知設備にあっては、受信機から引き出された信号回線に、固有のアドレスが設定された伝送機能を有するアナログ型の火災感知器を接続し、煙濃度又は温度等のアナログデータが所定の注意レベルに達すると火災感知器からの火災割込みに基づき、受信機から検索コマンドを発行して発報した火災感知器のアドレスを特定してアナログデータを集中的に収集し、アナログデータが所定の火災レベルに達したときに火災と判断し、受信機の火災代表灯を点灯して音響警報を出力し、更に、ディスプレイ等に火災を検出した端末アドレスを表示するようにしている。
【0004】
このように、火災を検出した火災感知器のアドレスが分かると、適切な避難誘導や消火活動が可能となり、特に規模の大きな設備の火災監視には不可欠な機能となっている。
【0005】
また、R型火災報知設備の受信機から引き出された信号回線には、伝送機能を備えた中継器を介して防火扉や防火ダンパー等の制御端末機器が接続されており、火災時には受信機からの制御信号により防火扉の保持を解除して閉鎖させ、また、防火ダンパーを開放して煙を排出する防排煙制御を行っている。
【0006】
また、火災報知設備の受信機には防災表示装置が接続されており、火災検出時に、防災表示装置のディスプレイに火災が発生した地区、例えば火災発生階の平面図を表示し、平面図の中の火災を検出した火災感知器の位置に火災発生場所を示す例えば発報シンボルを赤点滅し、火災発生場所の確認により迅速かつ安全な避難誘導や消防活動による支援を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2007-219870号公報
【文献】特開2017-191418号公報
【文献】特開2018-180579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような従来の火災報知設備にあっては、受信機に設けた自動通報機能により消防署や警備会社等に外部機関に火災発生を通報するようにしているが、自動通報を受けた外部機関は、自動通報を受けた施設に連絡をとって火災を確認し、火災発生場所の住所を調べて対処するようにしており、火災報知設備からの火災発生情報が不十分なため、その対応に手間と時間がかかる問題がある。
【0009】
また、近年にあっては、無線連動型の火災警報器を住宅に設置して火災を監視する住宅火災報知設備も普及しており、住宅火災報知設備についても、自動通報機能により警備会社等に外部機関に火災発生を通報するようにした場合、その対応に手間と時間がかかるといった同様の問題がある。
【0010】
本発明は、火災報知設備からの火災発生情報に対し火災発生場所の情報を地図情報に活用した表示制御により迅速且つ適切な判断と対処を可能とする広域防災監視システム及び広域防災監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(広域防災監視システム)
本発明は、火災報知設備の火災発生情報を受信して表示する広域防災監視システムに於いて、
火災報知設備と所定のネットワークを介して通信接続される所定の装置に、
火災報知設備から火災発生情報を受信したときに、当該火災報知設備を設置した火災発生施設を含む地図を画面表示すると共に火災発生施設を識別可能に表示し、
火災発生施設に配置した火災発生マークの選択操作を判別したときに、火災発生施設の階層を表示させると共に当該階層の中の火災発生階を識別可能に表示し、
火災発生階の選択操作を判別したときに、火災発生階のフロア地図を表示すると共にフロア地図の火災発生区画を識別可能に表示する防災情報表示制御部が設けられたこと、を特徴とする。
【0012】
(住宅火災)
防災情報表示制御部は、
火災報知設備から受信した火災発生情報に基づき住宅火災を識別し、地図上の火災発生施設となる火災発生住宅の選択操作を判別したときに、
火災発生住宅の住宅平面図を表示すると共に住宅平面図の火災発生区画を識別可能に表示する。
【0013】
(火災発生マーク)
火災発生施設及び火災発生区画に所定の火災発生マークを配置することで識別可能に表示し、
所定の火災発生マークにより、選択操作を行う。
【0014】
(階層表示)
防災情報表示制御部は、
火災発生施設又は火災発生施設に配置した所定の火災発生マークの選択操作を判別したときに、
当該火災発生施設の階層をポップアップ表示させ、
当該火災発生施設の階層の中の火災発生階を色分け表示させる。
【0015】
(施設情報の表示)
防災情報表示制御部は、更に、
火災発生区画の選択操作、又は火災発生区画に配置した所定の火災発生マークの選択操作を判別したときに、
火災発生施設の所定の施設情報を表示する。
【0016】
(施設情報)
防災情報表示制御部は、
火災発生施設の所定の施設情報として、当該火災発生施設の住所及び連絡先を少なくとも含む情報を表示する。
【0017】
(防災情報の表示制御を行う装置)
所定の装置は、
火災報知設備に所定のネットワークを介して通信接続されるサーバ、携帯端末、携帯電話端末を含む。
【0018】
(広域防災監視方法)
本発明の他の形態は、火災報知設備の火災発生情報を受信して表示する広域防災監視方法に於いて、
火災報知設備と所定のネットワークを介して通信接続される所定の装置に設けた防災情報表示制御部により、
火災報知設備から火災発生情報を受信したときに、当該火災報知設備を設置した火災発生施設を含む地図を画面表示すると共に火災発生施設を識別可能に表示し、
火災発生施設の選択操作を判別したときに、火災発生施設の階層を表示すると共に当該階層の中の火災発生階を識別可能に表示し、
火災発生階の選択操作を判別したときに、火災発生階のフロア地図を表示すると共にフロア地図の火災発生区画を識別可能に表示すること、を特徴とする。
【0019】
(住宅火災)
防災情報表示制御部は、
火災報知設備から受信した火災発生情報に基づき住宅火災を識別した場合、
地図上の火災発生施設となる火災発生住宅の選択操作を判別したときに、
火災発生住宅の住宅平面図を表示すると共に住宅平面図の火災発生区画を識別可能に表示する。
【0020】
(火災発生マーク)
火災発生施設及び火災発生区画に所定の火災発生マークを配置することで識別可能に表示し、
所定の火災発生マークにより、選択操作を行う。
【0021】
(施設情報の表示)
防災情報表示制御部は、更に、
火災発生区画の選択操作、又は火災発生区画に配置した所定の火災発生マークの選択操作を判別したときに、
当該火災発生施設の所定の施設情報を表示する。
【発明の効果】
【0022】
(基本的な効果)
本発明は、火災報知設備の火災発生情報を受信して表示する広域防災監視システムに於いて、火災報知設備と所定のネットワークを介して通信接続される所定の装置に、火災報知設備から火災発生情報を受信したときに、当該火災報知設備を設置した火災発生施設を含む地図を画面表示すると共に火災発生施設を識別可能に表示し、火災発生施設の選択操作を判別したときに、火災発生施設の階層を表示させると共に当該階層の中の火災発生階を識別可能に表示し、火災発生階の選択操作を判別したときに、火災発生階のフロア地図を表示すると共にフロア地図の火災発生区画を識別可能に表示する防災情報表示制御部が設けられたため、火災報知設備に対し外部に設けられたサーバ等の装置は、火災報知設備から火災発生情報を受信すると、火災が発生した例えばビル等の火災発生施設が識別可能に地図に表示され、これにより消防機関等の担当者は自己の管轄している地域の何処で火災が発生したかを地図画面から直感的に把握して対処でき、また、火災発生施設をタップして選択すると、ビルの火災発生階を識別した階層表示が行われ、ビルの何階で火災が発生しているか分かることで、消防活動や避難誘導等の対処を適切に判断して行うことができ、また、階層表示の火災発生階をタップして選択すると火災発生区画が識別可能にフロア地図に表示され、これにより火災発生現場の状況が詳細に分かることで、迅速且つ適切な判断と対処が可能となる。
【0023】
(住宅火災の効果)
また、防災情報表示制御部は、火災報知設備から受信した火災発生情報に基づき住宅火災を識別した場合、地図上の火災発生施設となる火災発生住宅の選択操作を判別したときに、火災発生住宅の住宅平面図を表示すると共に住宅平面図の火災発生区画を識別可能に表示するようにしたため、火災報知設備として住宅に無線連動型の火災警報器等を設置した住宅火災報知設備から火災発生情報を受信した場合には、ビル等の火災報知設備とは異なり火災発生階を表示する必要がないことから、地図上の火災発生住宅の選択操作を判別したら直ぐに住宅平面図を示すフロア地図を表示することで、住宅での火災発生場所を特定して住宅火災に対し適切な判断と対処を可能とする。
【0024】
(火災発生マークの効果)
また、火災発生施設及び火災発生区画に所定の火災発生マークを配置することで識別可能に表示し、所定の火災発生マークにより、選択操作を行うようにしたため、火災が発生していることを、より直感的に把握と対処を可能とする。
【0025】
(階層表示の効果)
また、防災情報表示制御部は、火災発生施設又は火災発生施設に配置した火災発生マークの選択操作を判別したときに当該火災発生施設の階層をポップアップ表示させ、当該火災発生施設の階層の中の火災発生階を色分け表示するようにしたため、地図画面上で火災発生施設又は火災発生マークが配置された火災発生施設に対応して、火災発生階を色付けした施設の階層が表示されることで、火災発生階を簡単且つ確実に把握して適切な判断と対処ができる。
【0026】
(施設情報の効果)
また、広域防災監視システムは、更に、火災発生区画又は火災発生区画に配置した所定の火災発生マークの選択操作を判別したときに、火災発生施設の所定の施設情報を表示するようにしたため、画面操作により火災発生施設の情報を迅速に取得して適切な判断と対処ができる。
【0027】
(施設情報の効果)
また、防災情報表示制御部は、火災発生施設の所定の施設情報として、当該火災発生施設の住所及び連絡先を少なくとも含む情報を表示するようにしたため、画面操作により少なくとも住所と連絡先の例えば電話番号を知り、火災の確認等の対応を簡単且つ迅速に行うことができる。
【0028】
(防災情報の表示制御を行う装置の効果)
また、防災情報の表示制御を行う所定装置は、火災報知設備に所定のネットワークを介して通信接続されるサーバ、携帯端末、携帯電話端末を含むようにしたため、必要とする装置に防災情報表示制御部の機能を持たせ、且つ、火災報知設備に各装置を火災発生情報の送信先として設定しておくことで、火災発生に関係する外部の機関や人に対し地図情報を活用して火災の発生状況を知らせ、火災発生状況を迅速且つ容易に把握して必要とする対処や判断を可能とすることができる。
【0029】
(広域防災監視方法)
本発明の別の形態は、火災報知設備の火災発生情報を受信して表示する広域防災監視方法に於いて、火災報知設備と所定のネットワークを介して通信接続される所定の装置に設けた防災情報表示制御部により、火災報知設備から火災発生情報を受信したときに、当該火災報知設備を設置した火災発生施設を含む地図を画面表示すると共に火災発生施設を識別可能に表示し、火災発生施設の選択操作を判別したときに、火災発生施設の階層を表示すると共に当該階層の中の火災発生階を識別可能に表示し、火災発生階の選択操作を判別したときに、火災発生階のフロア地図を表示すると共にフロア地図の火災発生区画を識別可能に表示するようにしたため、前述した広域防災監視システムと同様の効果が得られる。また、広域防災監視方法における他の特徴による効果も、前述した広域防災監視システムにおける対応する特徴と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明による広域防災監視システムの概要を示した説明図
【
図2】受信機とサーバの機能構成を示したブロック図
【
図4】ビル火災の火災発生情報に基づき表示される地図画面を示した説明図
【
図5】
図4の火災発生マークの選択操作により火災発生ビルの階層が表示される地図画面を示した説明図
【
図6】
図5の階層表示の中の火災発生階の選択操作により表示されるフロア地図画面を示した説明図
【
図7】
図6の火災発生区画に配置した火災発生マークの選択操作により施設情報か表示されるフロア地図画面を示した説明図
【
図8】住宅火災の火災発生情報に基づき表示される地図画面を示した説明図
【
図9】
図8の火災発生マークの選択操作により表示される住宅のフロア地図画面を示した説明図
【
図10】
図2のサーバによる防災情報表示の制御を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明に係る広域防災監視システムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により、この発明が限定されるものではない。
【0032】
[実施形態の基本的な概念]
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、広域防災監視システムに関するものである。
【0033】
「広域防災監視システム」とは、火災報知設備を広域的に監視するシステムであり、例えば、所定の装置に防災情報表示制御部を設けて火災報知設備の火災発生情報を受信して表示する等を含む概念である。
【0034】
「火災報知設備」とは、施設内の火災を監視し、報知する設備であり、例えば、大型建物等に設置される火災報知設備、住宅等に設置される住宅火災報知設備等を含む概念である。
【0035】
「大型建物等に設置される火災報知設備」とは、火災感知器、受信機、及びゲートウェイ装置等を備え、例えば、R型(Record-type)の火災報知設備又はP型(Proprietary-type)の火災報知設備等を含む概念である。「R型の火災報知設備」とは、受信機から警戒区域に対し系統毎に分けて信号回線を配線し、固有のアドレスを設定した火災感知器等の端末機器を接続し、端末単位に火災を監視する火災報知設備であり、一方「P型の火災報知設備」とは、受信機から警戒区域に対し系統毎に分けて信号回線を配線し、火災感知器等の端末機器を接続し、回線単位に火災を監視する火災報知設備である。「火災感知器」とは、受信機から引き出された信号回線に接続され、火災を検知する機器であり、煙感知器、熱感知器、炎感知器等を含む概念である。「受信機」とは、端末機器と接続し、施設内の火災を監視して表示や音により警報等を報知する機器である。「ゲートウェイ装置」とは、所定のネットワークを介して所定の装置と通信接続するための装置である。「大型建物」とは、例えば、ビル、大型店舗等を含む概念である。「所定のネットワーク」とは、例えば、インターネット、WiFi(登録商標)通信網等の広域無線LAN通信網、及び携帯電話網等を含む概念である。
【0036】
「住宅火災報知設備」とは、火災警報器、アダプタ、及びゲートウェイ装置等を備える。「火災警報器」とは、火災を検出し、警報する機器である。「アダプタ」とは、火災警報器とゲートウェイ装置の間を繋ぐ機器である。「ゲートウェイ装置」については、大型建物等に設置される火災報知設備と同様の装置である。なお、「火災報知設備」のさらなる詳細な機能構成については後述する。
【0037】
「所定の装置」とは、火災報知設備に所定のネットワークを介して通信接続される装置であり、例えば、サーバ、携帯端末、携帯電話端末等を含む概念である。「サーバ」の詳細な機能構成については後述する。
【0038】
「防災情報表示制御部」とは、火災発生情報を所定の装置に表示する制御部であり、例えば、受信した火災発生情報を地図情報に活用して表示する制御部等を含む概念である。「火災発生情報を地図情報に活用して表示する制御」とは、例えば、大型建物等に設置される火災報知設備から火災発生情報を受信した場合には、以下の「1-3、5」の表示、住宅火災報知設備から火災発生情報を受信した場合には、以下の「1、4及び5」の表示の制御等を含む概念である。
1.火災報知設備を設置した火災発生施設を含む地図を画面表示すると共に、火災発生施設を識別可能に表示。
2.火災発生施設の選択操作を判別したときに、火災発生施設の階層を表示させると共に当該階層の中の火災発生階を識別可能に表示。
3.火災発生階の選択操作を判別したときに、火災発生階のフロア地図を表示すると共にフロア地図の火災発生区画を識別可能に表示。
4.地図上の火災発生施設となる火災発生住宅の選択操作を判別したときに、火災発 生住宅の住宅平面図を表示すると共に住宅平面図の火災発生区画を識別可能に表示。
5.火災発生区画の選択操作を判別したときに、火災発生施設の所定の施設情報の表示。
【0039】
「火災発生施設」とは、火災を検出し、火災発生情報を送信した施設であり、例えば、前述した大型建物等、住宅等を含む概念である。「火災発生区画」とは、例えば、ビル等の建物における部屋、廊下、階段等の区画、住宅におけるリビング、寝室、台所等を含む概念である。「識別可能に表示」とは、例えば、上記「1」については、選択操作可能な所定の火災発生マークを火災発生施設に配置しての表示、上記「2」については、火災発生施設の階層をポップアップ表示させ、火災発生施設の階層の中の火災発生階を色分け表示、上記「3」及び「4」については、選択操作可能な所定の火災発生マークを火災発生区画に配置しての表示等を含む概念である。「所定の施設情報」とは、例えば、火災発生施設の住所及び連絡先等を含む概念である。
【0040】
「火災発生情報」とは、発生した火災に関する情報であり、例えば、設備ID、位置情報、フロア地図情報、施設情報及び連絡先情報等を含む概念である。
【0041】
以下に示す具体的な実施の形態では、「火災報知設備」が「R型の火災報知設備」であり、「大型建物」が「ビル」であり、「所定の装置」が「サーバ」であり、「所定のネットワーク」はインターネットであり、「防災情報表示制御部」がサーバに設けられ、防災情報表示制御部により表示される地図については、サーバとは別に設けた地図情報データベースからインターネットを経由して取得し、「タブレット端末」、「携帯電話端末」は、防災情報表示制御部で作成された画面情報を表示し、「識別可能に表示」が選択操作可能な所定の火災発生マークを火災発生施設に配置しての表示、火災発生施設の階層をポップアップ表示させ、火災発生施設の階層の中の火災発生階を色分け表示、選択操作可能な所定の火災発生マークを火災発生区画に配置しての表示の場合について説明する。
【0042】
また、以下の説明では、「大型建物等に設置される火災報知設備」は、単に「火災報知設備」、防災情報表示制御部による表示を「防災情報表示」、として記載している。
【0043】
[実施の形態の具体的内容]
広域防災監視システムの実施の形態の具体的内容について、より詳細に説明する。その内容については以下のように分けて説明する。
a.広域防災監視システム
b.受信機の機能構成
b1.機能
b2.火災監視制御
c.サーバの機能構成
d.防災情報表示
d1.ビル(大型建物等)の防災情報表示
d2.住宅の防災情報表示
e.サーバによる防災情報表示の制御動作
f.本発明の変形例
【0044】
[a.広域防災監視システム]
図1に示すように、本実施形態のサーバ28は、オフィスビル、大型店舗等の建物に設置された1又は複数の火災報知設備1及び住宅に設置された1又は複数の住宅火災報知設備100を監視対象とする。
【0045】
火災報知設備1は、建物の管理人室や防災センターなどに例えばR型(Record type)の受信機10が設置され、受信機10から警戒区域に対し系統毎に分けて信号回線12-1、12-nが引き出され、12-1には、端末特定情報として固有のアドレスが設定された伝送機能を有する複数のアナログ式の火災感知器14が接続され、火災を監視している。また、信号回線12-1には固有のアドレスが設定された伝送機能を有するアドレッサブル発信機15が接続され、押し釦操作により火災通報信号を送信する。
【0046】
信号回線12-nには、固有のアドレスが設定された伝送機能を有する中継器16を介して防火戸や防排煙ダンパー等の防排煙機器18等が接続される。これ以外にも、信号回線には、固有のアドレスが設定された伝送機能を有する中継器16を介してガス漏れ検知器やガス遮断弁等が接続されるが、図示を省略している。なお、信号回線12-1,12-nは区別する必要がない場合は信号回線12という場合がある。
【0047】
受信機10には、ゲートウェイ装置24が設けられ、受信機10で火災発生を判断すると、所定の設備IDを含む火災発生情報をゲートウェイ装置24からインターネット26を経由してサーバ28に送信するようにしている。
【0048】
また、受信機10には、伝送線22を介して防災表示装置20が設けられ、受信機10で処理した火災警報を含む全てのイベントを表示するようにしている。
【0049】
住宅火災報知設備100は、1又は複数の無線連動型の火災警報器102が設けられ、何れかの火災警報器102で火災を検出すると火災警報を出力すると共に火災連動信号を他の火災警報器102に送信して連動警報を出力させる。また、住宅火災報知設備100にはアダプタ104とゲートウェイ装置24が設けられ、アダプタ104は何れかの火災警報器102から火災連動信号を受信するとプロトコル変換し、設備IDを含む火災発生情報をゲートウェイ装置24からインターネット26を経由してサーバ28に送信するようにしている。
【0050】
サーバ28は、火災報知設備1から火災発生情報を受信すると、地図情報データベース30から地図情報を取得して火災発生情報を送信した火災報知設備1を設置した火災発生ビル等の施設を含む地図を画面表示すると共に当該地図上の火災発生ビルに所定の火災発生マークを配置し、火災発生ビルに配置した火災発生マークのタップによる選択操作を判別したときに、火災発生ビルの階層をポップアップ表示すると共に当該階層の中の火災発生階を色付けして識別表示し、階層表示の中の火災発生階のタップによる選択操作を判別したときに、火災発生階のフロア地図を表示すると共にフロア地図の火災発生区画に所定の火災発生マークを配置、更に、火災発生区画に配置した火災発生マークのタップによる選択操作を判別すると、火災発生ビル等の住所、連絡先等の施設情報を表示する制御を行う。
【0051】
また、サーバ28は、住宅火災報知設備100から火災発生情報を受信して、設備IDから住宅火災を識別すると、地図情報データベース30から地図情報を取得して火災発生情報を送信した住宅火災報知設備100を設置した火災発生住宅を含む地図を画面表示すると共に火災発生住宅に火災発生マークを配置し、火災発生住宅に配置した火災発生マークのタップによる選択操作を判別すると階層表示は行わず、火災発生住宅のフロア地図となる住宅平面図を表示すると共に住宅平面図の火災発生区画に所定の火災発生マークを配置し、火災発生区画の火災発生マークのタップによる選択操作を判別すると火災発生住宅の住所、連絡先等の施設情報を表示する制御を行う。
【0052】
また、サーバ28に対しては例えば携帯電話網32を介して携帯電話端末34が通信接続され、さらに、サーバ28に対してWiFi(登録商標)通信網等の広域無線LAN通信網36を介してタブレット端末38などが通信接続されており、サーバ28の防災情報表示制御により作成された画面情報のダウンロードを受けてサーバ28と同様に見ることを可能としている。
【0053】
[b.受信機の機能構成]
(b1.機能)
図2は火災報知設備の受信機とサーバの機能構成を示したブロック図である。
図2に示すように、火災報知設備1の受信機10は、CPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等で構成されており、メインCPU40と複数のサブCPU基板42が設けられ、サブCPU基板42にはサブCPU44と伝送部46が設けられている。メインCPU40とサブCPU44は、内部通信線45で接続されており、相互にデータを送受信する。
【0054】
メインCPU40には、液晶表示パネル等を用いたタッチパネル付きのディスプレイ47、LED等の表示灯を用いた表示部48、火災断定スイッチ、主音響停止スイッチ、地区音響一時停止スイッチ等の各種スイッチが設けられた操作部50、スピーカが設けられた音響警報部52、移報部54及び伝送部55が接続されている。
【0055】
また、メインCPU40にはプログラムの実行により実現される受信制御部56の機能が設けられている。
【0056】
(b2.火災監視制御)
図2に示す受信機10に設けたサブCPU基板42のサブCPU44は、伝送部46に指示して信号回線12-1に接続されている火災感知器14との間で所定の通信プロトコルに従って信号を送受信することで、火災監視制御を行っている。
【0057】
サブCPU44による火災監視制御は、通常の監視中にあっては、一定周期毎に、伝送部46に指示して、一括AD変換コマンドを含むブロードキャストの一括AD変換信号を送信しており、この一括AD変換信号を受信した火災感知器14は、煙濃度又は温度をセンサデータとして検出して保持する。続いて、サブCPU44は、端末アドレスを順次指定したポーリングコマンドを含む呼出信号を送信している。
【0058】
火災感知器14は自己アドレスに一致するアドレスを持つ呼出信号を受信すると、そのとき保持しているセンサデータを含む応答信号を受信機10の伝送部46に送信する。また、火災感知器14は煙濃度又は温度が所定の火災注意レベルを超えると受信機10の伝送部46に対し火災割込み信号を送信する。
【0059】
サブCPU44は伝送部46を介して火災割込み信号を受信すると、グループ検索コマンド信号を送信して火災を検出している火災感知器14を含むグループを特定し、続いて、グループ内検索コマンド信号を送信して火災を検出している火災感知器14のアドレスを特定してセンサのアナログデータを集中的に収集し、内部通信線45を介してメインCPU40に送信する。
【0060】
メインCPU40はサブCPU44から受信したアナログデータを、火災注意レベルより高い所定の火災判定レベルと比較しており、アナログデータが火災判定レベルに達した場合に火災と判定し、表示部48の火災代表灯を点灯し、音響警報部52のスピーカから火災発生を示す所定の音響警報を出力させ、ディスプレイ47に火災が検出された端末アドレスに基づき火災発生場所を含む火災情報を表示させ、更に、移報部54により火災移報信号を外部に出力して所定の移報制御等を行わせる。
【0061】
メインCPU40には伝送部55を介して防災表示装置20が接続されている。防災表示装置20は、受信機10の受信制御部56で処理した火災警報を含む全てのイベントをディスプレイ47に表示する機能を備え、特に、警戒区域となる建物の階別の平面図を記憶しており、受信機10で火災判断が行われた場合には、火災を検出した火災感知器14の端末アドレスに基づき、火災発生階の平面図を表示すると共に、火災発生階の平面図の中に火災を検出した火災感知器14の位置を示す感知器シンボルを例えば赤点滅して発報シンボルとして示す表示制御を行う。
【0062】
このため防災表示装置20には火災感知器14の端末アドレスに対応付けして警戒区域平面図における座標位置を示す平面図位置情報を予め登録している。
【0063】
[c.サーバの機能構成]
図2に示すように、サーバ28は、CPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等で構成されおり、通信制御部58、サーバ制御部60、キーボートやマウス等の操作部62、ディスプレイを用いた表示部64、記憶部66を備える。
【0064】
サーバ制御部60には防災情報表示制御部70の機能が設けられ、火災報知設備1及び住宅火災報知設備100の設備情報を収集又は生成して記憶部66に記憶している。
【0065】
図3は設備情報のレコード形式を示した説明図である。
図3に示すように、設備情報68は、設備ID、位置情報、フロア地図情報、施設情報及び連絡先情報等を含む。設備IDは火災報知設備1又は住宅火災報知設備100を区別するための識別情報である。位置情報は火災報知設備1又は住宅火災報知設備100の位置を示す緯度と経度であり、地図上で位置を特定することを可能とする。
【0066】
フロア地図情報は、ビル等の施設では階層を示すフロア平面図であり、住宅では間取りを示す住宅平面図となる。施設情報は火災報知設備1及び住宅火災報知設備100の住所、連絡先電話番号等を含む。更に、連絡先情報は、表示制御する防災情報の配信先となる携帯電話端末34やタブレット端末38のURLを含む。
【0067】
再び
図2を参照するに、サーバ28の防災情報表示制御部70は、受信機10から設備ID及び火災感知器14の火災検出に基づく端末アドレスを含む火災発生情報を受信したときに、記憶部66から受信した設備IDに対応した火災報知設備1の設備情報を取得し、当該設備情報から抽出したビルの位置情報に基づき地図情報データベース30から例えば火災発生ビルの位置を含む所定の縮尺の地図を取得し、表示部64のディスプレイに地図画面を表示し、地図画面上の火災発生ビルに所定の火災発生マークを配置する。
【0068】
また、防災情報表示制御部70は、地図上の火災発生ビルに配置した火災発生マークをタップによる選択操作を判別したときに、火災発生ビルの階層をポップアップ表示すると共に火災発生階を色付けして識別表示する制御を行う。
【0069】
また、防災情報表示制御部70は、階層の中の色付けした火災発生階をタップによる選択操作を判別したときに、火災発生階のフロア地図を表示すると共にフロア地図の火災発生区画に所定の火災発生マークを配置する制御を行う。
【0070】
また、防災情報表示制御部70は、フロア地図の火災発生マークをタップによる選択操作を判別したときに、火災発生ビルの施設情報として住所や連絡先等を表示する制御を行う。
【0071】
一方、サーバ28の防災情報表示制御部70は、
図1に示した住宅火災報知設備100から設備ID及び無線連動型の火災警報器102の火災検出に基づく端末アドレスを含む火災発生情報を受信したときに、記憶部66から受信した設備IDに対応した住宅火災報知設備100の設備情報を取得し、当該設備情報から抽出した火災発生住宅の位置情報に基づき地図情報データベース30から火災発生住宅の位置を含む所定の縮尺の地図を取得し、表示部64のディスプレイに地図画面を表示し、地図画面上の火災発生住宅に所定の火災発生マークを配置する。
【0072】
また、防災情報表示制御部70は、ディスプレイに表示した火災発生住宅に配置した火災発生マークをタップによる選択操作を判別したときに、階層表示は行わず、火災発生住宅の住宅平面図を表示すると共に住宅平面図の火災発生区画に所定の火災発生マークを配置する制御を行う。更に、防災情報表示制御部70は、住宅平面図の火災発生マークをタップによる選択操作を判別したときに、火災発生住宅の施設情報として住所や連絡先等を表示する制御を行う。
【0073】
[d.防災情報表示]
図4はビル火災の火災発生情報に基づき表示される地図画面を示した説明図、
図5は
図4の火災発生マークの選択操作により火災発生ビルの階層が表示される地図画面を示した説明図、
図6は
図5の階層表示の中の火災発生階の選択操作により表示されるフロア地図画面を示した説明図、
図7は
図6の火災発生区画に配置した火災発生マークの選択操作により施設情報が表示されるフロア地図画面を示した説明図である。
【0074】
(d1.ビル(大型建物等)の防災情報表示)
図2のサーバ28は、火災報知設備1の受信機10から設備ID及び火災感知器14の火災検出に基づく端末アドレスを含む火災発生情報を受信すると、
図4に示す地図画面72-1を表示する。地図画面72-1の地図は火災発生施設(火災発生ビル)74を含む所定の縮尺であり、火災発生施設74となるビルには火災発生マーク76が配置されている。なお、地図の縮尺はスケール75により任意の縮尺に変更できる。
【0075】
図4の地図画面72-1で火災発生マーク76をタップによる選択操作すると
図5の地図画面72-2の表示となる。
図5の地図画面72-2では、火災発生施設74に配置した火災発生マーク76の隣に階層表示部78がポップアップ形式で開かれ、その中の火災発生階80が色付けにより識別表示される。
【0076】
図5の地図画面72-2で階層表示78の中の火災発生階80をタップによる選択操作すると
図6のフロア地図画面82-1が表示される。
図6のフロア地図画面82-1には火災発生階を区画分けしたフロア地図(フロア平面図)が表示され、その中の火災発生区画86に火災発生マーク76が配置される。
【0077】
フロア地図画面82-1の左側には、階層表示部78が表示され、火災発生階80は色付けされている。この階層表示部78について、任意の階をタップによる選択操作すると、タップによる選択操作した階のフロア地図が表示される。
【0078】
また、フロア地図画面82-1の左側には、縮小フロア地
図90が表示され、その中の表示領域90aがフロア地
図84として表示されており、表示領域90aをスクロールすることで、フロア地
図84を左右に移動することができる。
【0079】
図6のフロア地図画面82-1で火災発生マーク76をタップによる選択操作すると、
図7に示すフロア地図画面82-2が表示される。
図7のフロア地図画面82-2は、例えば、フロア地
図84の上側に施設情報94が表示され、この例では、住所、施設名、及び連絡先電話番号が表示される。
【0080】
また、階層表示部78が表示され、フロア地図画面82-2の左側上部には施設情報94の対象となったビルの写真92が表示される。
【0081】
(d2.住宅の防災情報表示)
図8は住宅火災の火災発生情報に基づき表示される地図画面を示した説明図、
図9は
図8の火災発生マークの選択操作により表示される住宅のフロア地図画面を示した説明図である。
【0082】
図2のサーバ28は、住宅火災報知設備100から設備ID及び火災警報器102の火災検出に基づく端末アドレスを含む火災発生情報を受信すると、
図8に示す地図画面72-11を表示する。地図画面72-11の地図は火災発生施設74となる火災発生住宅を含む所定の縮尺であり、火災発生施設74となる火災発生住宅には火災発生マーク76が配置される。
【0083】
図8の地図画面72-11で火災発生マーク76をタップによる選択操作すると
図9のフロア地図画面82-11の表示となる。
図8のフロア地図画面82-11は、火災が発生している火災発生住宅の1階及び2階の住宅平面図がフロア地
図84-11として表示され、その中の火災発生区画86となる例えばリビングに火災発生マーク76が配置される。
【0084】
フロア地図画面82-11の左側には、住宅の施設情報94-11が表示され、この例では、住所、施設名、及び連絡先電話番号が表示される。また、フロア地図画面82-11の左側上部には火災発生住宅の写真92-11が表示される。
【0085】
[e.サーバによる防災情報表示の制御動作]
図10は
図2のサーバによる防災情報表示制御を示したフローチャートである。
図10に示すように、サーバ28は、ステップS1で火災報知設備からの火災発生情報を受信するとステップS2に進み、例えばビル等の火災発生施設を含む地図情報を取得し、ステップS3で火災発生施設に火災発生マークを配置した地図を表示する。
【0086】
続いて、サーバ28はステップS4に進み、地図画面の中の火災発生マークの選択操作を判別するとステップS5に進み、火災発生階を色付けして識別した階層表示を行う。
【0087】
続いて、サーバ28はステップS6に進み、火災発生階の選択操作を判別するとステップS7に進み、火災発生区画に火災発生マークを配置したフロア地図を表示する。
【0088】
続いて、サーバ28はステップS8に進み、火災発生区画に配置した火災発生マークの選択操作を判別するとステップS9に進み、フロア地図画面の隅に施設情報を表示する。続いてサーバ10はステップS10で終了操作が判別されるまで、ステップS1からの処理を繰り返す。
【0089】
なお、ステップS1で住宅火災報知設備からの火災発生情報を受信した場合、サーバ28はステップS4で地図上の火災発生住宅に配置された火災発生マークの選択操作を判別したとき、ステップS5,S6をスキップして階層表示は行わずにステップS7に進み、火災発生区画に火災発生マークを配置した住宅平面図を表示する制御となる。
【0090】
[f.本発明の変形例]
(火災発生施設の地図画面)
上記の実施形態では、例えば
図4に示したように、サーバが火災報知設備から火災発生信号を受信した場合、火災発生施設74に火災発生マーク76を配置した地図画面72-1を表示しているが、これに加え、火災発生施設74の近隣範囲にある火災に対する危険度の高い施設(例えばガソリンスタンド等)や避難誘導を優先させる必要のある施設(例えば、病院、学校、高齢者施設等)を予め設定し、火災発生施設74の火災発生マーク76に加えて、その周辺に火災に対する危険度や避難誘導の優先度の高い施設を示す注意マークを配置するようにしても良い。
【0091】
(防災情報表示制御)
上記の実施形態は、サーバにより各種の火災報知設備を対象とした防災情報表示制御を行っているが、これに限定されず、監視対象となる各種の火災報知設備にネットワークを介して通信接続される携帯電話端末やタブレット端末で本実施形態の防災情報表示制御を行うようにしても良い。この場合、各種の火災監視設備の設備情報は記憶容量の大きいサーバ側に記憶し、携帯電話端末やタブレット端末は、各種の火災報知設備から火災発生情報を受信したときに、その施設情報をサーバ側から取得して防災情報表示制御を行うことが望ましい。
【0092】
(火災報知設備)
上記の実施形態は、上記の実施形態は、R型の受信機からの信号回線を介してR型の火災感知器を接続した火災報知設備を例にとっているが、P型(Proprietary-type)の受信機から引き出した感知器回線にアドレスを設定すると共に伝送機能を備えたアドレッサブル発信機を接続した火災報知設備についても、本実施形態による監視対象に含めることができる。
【0093】
また、受信機側に対し無線回線を介して無線式火災感知器を通信接続して火災を監視する火災報知設備も、ゲートウェイ装置を介してサーバに接続することで、本実施形態による監視対象に含めることができる。
【0094】
また、床面積が500平米未満の共同住宅においては自動火災報知設備の設置義務がなく、住宅用の火災警報器が設置されており、例えば、共同住宅内の各部屋に無線連動型の火災警報器を設置して連動させた特定小規模火災報知設備についても、住宅用火災報知設備と同様に、アダプタ及びゲートウェイ装置を介してサーバに通信接続することで、本実施形態による監視対象に含めることができる。
【0095】
(その他)
また、本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0096】
10::受信機
12-1,12-n:信号回線
14:火災感知器
15:アドレッサブル発信機
16:中継器
18:防排煙機器
20:防災表示装置
22:伝送線
24:ゲートウェイ装置
26:インターネット
28:サーバ
30:地図情報データベース
32:携帯電話網
34:携帯電話端末
36:広域無線LAN通信網
38:タブレット端末
40:メインCPU
42:サブCPU基板
44:サブCPU
56:受信制御部
70:防災情報表示制御部
72-1,72-2,72-11:地図画面
74:火災発生施設
76:火災発生マーク
78:階層表示部
80:火災発生階
86:火災発生区画
82-1,82-2,82-11:フロア地図画面
92,92-11:写真
94,94-11:施設情報