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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】梱包体及び梱包方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 11/02 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
B65B11/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020050681
(22)【出願日】2020-03-23
(65)【公開番号】P2021147093
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】椎木 裕介
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-097587(JP,A)
【文献】特開2003-146389(JP,A)
【文献】特開昭50-144582(JP,A)
【文献】米国特許第06775956(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の搬送物が六面体状に積層される搬送物群と、
前記搬送物群の4つの側面に沿って巻回される第1巻回部と、
前記搬送物群の上面及び下面を含む4面に沿って巻回されて該4面の全体を包装し、前記第1巻回部の外側に配置される第2巻回部と、
前記搬送物群の前記4つの側面のうち一対の側面に設けられ、前記第2巻回部の表面に設けられる補助部材と、
を備え、
前記補助部材は、前記搬送物群の前記上面及び前記下面の延在方向に平行である水平方向に延在する少なくとも1つの短冊状部材であり、
前記搬送物群の前記上面及び前記下面とは、前記搬送物群の積層方向の上側と下側の面であり、前記水平方向は前記積層方向と直交する方向であり、
前記第1巻回部はフィルム材であり、
前記第2巻回部及び前記補助部材は段ボールシートで形成され、
前記補助部材は、前記第2巻回部の表面に接着して設けられる、
梱包体。
【請求項2】
前記補助部材は、前記搬送物群の積層構造の各段に沿って一本ずつ以上設けられる、
請求項1に記載の梱包体。
【請求項3】
前記補助部材は、前記搬送物群の前記4つの側面のうち、搬送時にベールクランプリフトの一対の把持部と当接する一対の側面に設けられ、前記ベールクランプリフトの前記把持部の水平方向の溝に掛かる位置に前記補助部材が配置されることにより、前記把持部との摩擦力を増やす、
請求項1または2に記載の梱包体。
【請求項4】
前記搬送物が立方体状に積層され、
前記第1巻回部及び前記第2巻回部が巻回された外形が略立方体形状である、
請求項1~のいずれか1項に記載の梱包体。
【請求項5】
複数の搬送物の梱包方法であって、
前記複数の搬送物を六面体状に積層して搬送物群を形成する形成ステップと、
前記搬送物群の4つの側面に沿って第1巻回部を巻回する第1巻回ステップと、
前記搬送物群の上面及び下面を含む4面に沿って第2巻回部を巻回し、前記第2巻回部は前記4面の全体を包装し、前記第1巻回部の外側に配置される第2巻回ステップと、
前記搬送物群の前記4つの側面のうち一対の側面に補助部材を設け、前記補助部材は前記第2巻回部の表面に設けられる設置ステップと、
を含み、
前記補助部材は、前記上面及び前記下面の延在方向に平行である水平方向に延在する少なくとも1つの短冊状部材であり、
前記搬送物群の前記上面及び前記下面とは、前記搬送物群の積層方向の上側と下側の面であり、前記水平方向は前記積層方向と直交する方向であり、
前記第1巻回部はフィルム材であり、
前記第2巻回部及び前記補助部材は段ボールシートで形成され、
前記補助部材は、前記第2巻回部の表面に接着して設けられる、
梱包方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、梱包体及び梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
古紙トイレットロールの輸送では、通常はパレットを使用せず、複数のロールが収容される段ケースやクラフト紙包装体などの包装物がトラックの荷台へ直接積み上げられる。また、荷台への包装物の積み上げ作業や荷台からの包装物の積み下し作業は、通常はトラックの運転手や作業員の手作業で行われる。この輸送形態は手作業であるため、作業に時間がかかり、人件コストがかかり、事故の原因にもなっており、改善が求められている。
【0003】
また、一部ではパレットに複数の包装物を積層してパレット単位での輸送も行われている。しかしながら、パレット面積は包装物より面積が大きく、トラックに効率よく詰めないため、パレットの管理に係るコストや物流、在庫コストが高くなっている。
【0004】
特許文献1には、トイレットペーパー等を収納したパッケージを複数個積み上げてその周囲に梱包フィルムを巻き付けて梱包体を形成する手法が記載されている。また、この梱包体では、フォークリフトのフォーク部を当接させて持ち上げることができる位置に凹部が形成されるように複数のパッケージを積み上げることも記載されている。これにより、凹部にフォークを当接させて持ち上げることができるので、パレットを用いずに複数のパッケージを単一の梱包体として運搬することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2018/211710号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1などの従来の梱包体では、凹部を形成するために高さ方向の一部の幅を狭くするくびれ形状に積層するため、不安定な状態でパッケージが積み上げられる。このため、パッケージの崩れ落ちを防ぎつつ梱包体の作成を進める必要があり、作成作業が煩雑となる。
【0007】
本開示は、複数の搬送物が安定的に積層された状態を維持しながら簡易に作成できる梱包体及び梱包方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態の一観点に係る梱包体は、複数の搬送物が六面体状に積層される搬送物群と、前記搬送物群の4つの側面に沿って巻回される第1巻回部と、前記搬送物群の上面及び下面を含む4面に沿って巻回されて該4面の全体を包装し、前記第1巻回部の外側に配置される第2巻回部と、前記搬送物群の前記4つの側面のうち一対の側面に設けられ、前記第2巻回部の表面に設けられる補助部材と、を備え、前記補助部材は、前記搬送物群の前記上面及び前記下面の延在方向に平行である水平方向に延在する少なくとも1つの短冊状部材であり、前記搬送物群の前記上面及び前記下面とは、前記搬送物群の積層方向の上側と下側の面であり、前記水平方向は前記積層方向と直交する方向であり、前記第1巻回部はフィルム材であり、前記第2巻回部及び前記補助部材は段ボールシートで形成され、前記補助部材は、前記第2巻回部の表面に接着して設けられる
【0009】
同様に、本発明の実施形態の一観点に係る梱包方法は、複数の搬送物の梱包方法であって、前記複数の搬送物を六面体状に積層して搬送物群を形成する形成ステップと、前記搬送物群の4つの側面に沿って第1巻回部を巻回する第1巻回ステップと、前記搬送物群の上面及び下面を含む4面に沿って第2巻回部を巻回し、前記第2巻回部は前記4面の全体を包装し、前記第1巻回部の外側に配置される第2巻回ステップと、前記搬送物群の前記4つの側面のうち一対の側面に補助部材を設け、前記補助部材は前記第2巻回部の表面に設けられる設置ステップと、を含み、前記補助部材は、前記上面及び前記下面の延在方向に平行である水平方向に延在する少なくとも1つの短冊状部材であり、前記搬送物群の前記上面及び前記下面とは、前記搬送物群の積層方向の上側と下側の面であり、前記水平方向は前記積層方向と直交する方向であり、前記第1巻回部はフィルム材であり、前記第2巻回部及び前記補助部材は段ボールシートで形成され、前記補助部材は、前記第2巻回部の表面に接着して設けられる

【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、複数の搬送物を安定的に積層した状態を維持しながら作成できる梱包体及び梱包方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る梱包体の概略構成を示す斜視図
図2】ベールクランプリフトによる図1に示す梱包体の運搬形態の一例を示す図
図3図1に示す梱包体の製造手順の第一段階を示す図
図4】搬送物の構成の一例を示す図
図5図1に示す梱包体の製造手順の第二段階を示す図
図6図1に示す梱包体の製造手順の第三段階を示す図
図7図1に示す梱包体の製造手順の第四段階を示す図
図8図1に示す梱包体の製造手順の第五段階を示す図
図9図1に示す梱包体の製造手順の第六段階を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0013】
なお、以下の説明において、x方向、y方向、z方向は互いに垂直な方向である。x方向及びy方向は水平方向であり、z方向は鉛直方向である。y方向は、搬送時のベールクランプリフト10の一対の把持部11の挟持方向であり、梱包体1の4つの側面のうち補助部材5が設けられる2つの側面2c、2eの対向方向である。x方向は、梱包体1の4つの側面のうち補助部材5が設けられない2つの側面2d、2fの対向方向である。また、以下では説明の便宜上、z正方向側を上側、z負方向側を下側とも表現する場合がある。
【0014】
図1は、実施形態に係る梱包体1の概略構成を示す斜視図である。梱包体1は、複数の搬送物21を一体的に纏めて一度に搬送可能な構成とした物体である。また、本実施形態の梱包体1は、特にベールクランプリフト10による運搬を効率的に行うように構成されるものである。
【0015】
図1に示すように、梱包体1は、略立方体状に形成される。以降の説明では、搬送時に上方(z正方向)を向く面を上面2aとし、下方(z負方向)を向く面を下面2bとし、その他の四面を側面2c、2d、2e、2fとする。梱包体1は、搬送物群2と、第1巻回部3と、第2巻回部4と、補助部材5とを備える。
【0016】
搬送物群2は、複数の搬送物21が六面体状に積層される(図3参照)。個々の搬送物21は、同一形状であるのが好ましく、直方体または立方体の箱であるのがさらに好ましい。
【0017】
第1巻回部3は、搬送物群2の4つの側面2c~2fに沿って巻回される。第1巻回部3は、ストレッチフィルムやシュリンクフィルム(熱収縮性フィルム)であるのが好ましい。ストレッチフィルムの材料としては主にLLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)が挙げられる。また、シュリンクフィルムの材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。
【0018】
第2巻回部4は、搬送物群2の上面2a及び下面2bを含む4面に沿って巻回される。第2巻回部4は、段ボールシートであるのが好ましい。段ボールシートとは、段ボール製品の素材であり、ライナーにフルーテッド(波型)に加工した中芯を貼り付け、さらに裏側にライナーで補強したシート状(板状)のものをいう。段ボールシートとしては、中芯に両側を貼り合わせたもっとも一般的な両面段ボール、より強度を高めた2層の複両面段ボールや、3層の複々両面段ボールなどが、梱包体1の重量等や用途に応じて使用できる。
【0019】
補助部材5は、搬送物群2の4つの側面2c~2fのうち、搬送時にベールクランプリフト10の一対の把持部11(図2参照)と当接する一対の側面2c、2eに設けられる。補助部材5は、把持部11との摩擦力を増やして、ベールクランプリフト10による梱包体1の把持を効率よく行うことができる。補助部材5は、水平方向に延在する少なくとも1つ(図1の例では3本)の短冊状(細長い長方形、帯のような細長い形状)の部材である。補助部材5を短冊状にすることにより、ベールクランプリフト10の把持部11で両側から押圧したときに、把持部11の内側の水平方向の溝に補助部材5が掛かり、梱包体1の重量を支えることができる。
【0020】
第2巻回部4は第1巻回部3の外側に配置され、補助部材5は、第2巻回部4の表面に設けられる。補助部材5は、第2巻回部4と同様に、段ボールシートで形成されるのが好ましい。補助部材5に用いられる段ボールシートとしては、ライナーを1枚だけ貼り合わせ片面段ボール、両側を貼り合わせたもっとも一般的な両面段ボール、より強度を高めた2層の複両面段ボールや、3層の複々両面段ボールなどが、梱包体1の重量等や用途に応じて使用できる。段ボールシート以外の補助部材5の材料としては、例えば防滑処理したクラフト紙等がある。また、補助部材5の表面は、ベールクランプリフト10との摩擦力が大きくなるような表面処理を行うこともできる。
【0021】
また、図示しないが、例えば第2巻回部4の上面2aにトリガーを持つジッパー部を段ボールシートの流れ方向に沿って設けるなど、梱包体1を搬送するときに必要な強度を保持したまま段ボールシートを開封し易くする要素を設けてもよい。
【0022】
なお、梱包体1や搬送物群2の形状は六面体状であればよく、三辺が略同一である立方体形状に限られず、例えば直方体形状でもよい。また、搬送物群2の各搬送物21は、全体として六面体形状となればよく、個々の形状や大きさは異なる構成でもよい。
【0023】
また、第1巻回部3はストレッチフィルムやシュリンクフィルムなどのフィルム材以外でもよく、例えば第2巻回部4と同様に段ボールシートでもよい。第2巻回部4や補助部材5は段ボールシート以外でもよい。補助部材5の形状は、把持部11との間で摩擦力を増やすことができれば、水平方向以外の方向に延在する構成でもよいし、例えば円形や多角形などの複数個が配列される構成など短冊状以外の形状でもよい。また、第1巻回部3が第2巻回部4の外側にあり、第1巻回部3の表面に補助部材5が設けられる構成でもよい。
【0024】
図2は、ベールクランプリフト10による図1に示す梱包体1の運搬形態の一例を示す図である。ベールクランプリフト10は、水平方向両側から一対の把持部11で搬送物を挟持して搬送するタイプのフォークリフトである。一対の把持部11は、運搬物を挟持する主面がy方向に向かい合って配置され、y方向に沿って相互の間隔を変更でき、かつ、z方向位置を任意に変更できるよう構成される。
【0025】
本実施形態では、搬送対象の梱包体1は、搬送時にベールクランプリフト10の一対の把持部11と当接する一対の側面2c、2eに、水平方向に延在する短冊状の補助部材5が設けられる。搬送時には、一対の把持部11がこれらの補助部材5が配置されている部分で梱包体1と接触してy方向の両側から挟持する。これにより、梱包体1を上方に持ち上げる際には、梱包体1の側面2c、2eと把持部11の主面との間に補助部材5が介在するので、補助部材5が滑り止めの役割を果たして、梱包体1が下方にずり落ちにくくなる。これにより、従来のようにずり落ち抑制のために挟持力を増やす必要がなくなり、梱包体1に加える力を抑制できるので、より効率よく搬送物を運搬できる。
【0026】
次に図3図9を参照して梱包体1の製造手順を説明する。図3に示すように製造手順の第一段階では、複数の搬送物21が積層されて搬送物群2が略立方体状(六面体状)に形成される(形成ステップ)。図3の例では、各搬送物21は、略直方体形状であり、一の搬送物21の長辺と、他の搬送物21の短辺とが並んで、搬送物群2の水平方向の一辺が形成される。図3の例では、各段に4個の搬送物21が配置され、高さ方向に3段が積層されて、合計12個の搬送物21で搬送物群2が形成されている。搬送物群2は、例えば各辺が約1mの略立方体形状となる。
【0027】
図4は、搬送物21の構成の一例を示す図である。本実施形態では、搬送対象は古紙トイレットロール22を複数個(図4の例では6個)入れたフィルム包装袋製品23である。搬送物21は、フィルム包装袋製品23を複数個(図4の例では4×3=12個)集めてクラフト紙で包装したクラフト紙包装体である。搬送物群2は、これらのクラフト紙包装体21を水平方向及び高さ方向に複数個並べ積み上げ、略直方体形状にしたものである。
【0028】
なお、搬送物21は、複数のフィルム包装袋製品23をクラフト紙以外の要素(例えばストレッチフィルム、シュリンクフィルムなどのフィルム材や段ボールなど)で包装する構成でもよい。または、複数のフィルム包装袋製品23を一体的に纏めずに、単一のフィルム包装袋製品23を搬送物21としてもよい。この場合、フィルム包装袋製品23が積層されて搬送物群2が形成され、フィルム包装袋製品23の表面に第1巻回部3や第2巻回部4が直接巻き付けられる。また、搬送対象は古紙トイレットロール22以外のものでもよい。
【0029】
図5に示すように製造手順の第二段階では、搬送物群2の4つの側面2c、2d、2e、2fに沿って第1巻回部3が巻回される(第1巻回ステップ)。例えばストレッチフィルムやシュリンクフィルムなどのフィルム材が第1巻回部3として搬送物群2に巻き付けられる。
【0030】
図6に示すように、製造手順の第三段階では、第1巻回部3が巻回された搬送物群2がx正方向側に90度倒される。すなわち、上面2aが上方に向き、下面2bが下方に向いていた状態から、側面2fが上方に向き、側面2dが下方に向き、上面2a及び下面2bが側面の位置にくる状態に遷移する。
【0031】
図7に示すように、製造手順の第四段階では、搬送物群2の上面2a及び下面2bを含む4面に沿って第2巻回部4が巻回される(第2巻回ステップ)。例えば段ボールシートが第2巻回部4として上面2a、側面2e、下面2b、側面2cの4面に沿って一周に亘って巻かれ、周回方向の両端部がホットメルト接着などの手法によって連結固定される。なお、段ボールシートのホットメルト接着面は、搬送時の梱包体1の下面2bに配置され、接着部分が隠れるように構成されるのが好ましい。
【0032】
図8に示すように、製造手順の第五段階では、搬送物群2の4つの側面2c、2d、2e、2fのうち、搬送時にベールクランプリフト10の一対の把持部11と当接する一対の側面2c、2eに、把持部11との摩擦力を増やす補助部材5が設けられる(設置ステップ)。補助部材5は、搬送時の水平方向に沿って延在するように配置される。図8に示す状態は、運搬時の状態から90度回転している状態なのでz方向に沿って延在するように、補助部材5が第2巻回部4の表面にホットメルトなどの接着手段によって設置される。なお、補助部材5は、第2巻回部4を形成する段ボールシートに、この段ボールシートを搬送物群2に巻回する前に予め貼り付けておいてもよい。
【0033】
図9に示すように、製造手順の第六段階では、補助部材5が設けられた搬送物群2が、x負方向側に90度倒される。すなわち、側面2fが上方に向き、側面2dが下方に向き、上面2a及び下面2bが側面の位置にくる状態から、上面2aが上方に向き、下面2bが下方に向いていた状態に戻される。この結果、図1に示した梱包体1が形成される。
【0034】
なお、図3図9を参照して梱包体1の製造手順における、第1巻回部3や第2巻回部4の巻回作業や、搬送物群2を倒す作業、補助部材5の設置作業等の各種作業は、機械が行ってもよいし、作業員が行ってもよい。
【0035】
このように本実施形態に係る梱包体1は、複数の搬送物21が六面体状に積層して搬送物群2を形成し、この六面体状(好ましくは略立方体形状)の搬送物群2の周囲に第1巻回部3と第2巻回部4とを順番に巻回させることで複数の搬送物21を一体的に纏めて梱包体1を製造する。これにより、複数の搬送物21が不安定に積層されることがないので、複数の搬送物21が安定的に積層された状態を維持しながら、梱包体1を簡易に作成できる。
【0036】
また、従来のベールクランプリフト10では、一対の把持部11が水平方向両側から搬送物を挟持して持ち上げる構造のため、把持部11との当接面が滑って搬送物が滑り落ちない程度に、比較的強い力で搬送物を挟持する必要があった。これに対して本実施形態の梱包体1は、搬送時にベールクランプリフト10の一対の把持部11と当接する一対の側面2c、2eに補助部材5を設けることにより、把持部11との当接面に凹凸を増やして、見かけ上の静止摩擦係数を大きくでき、把持部11と梱包体1の側面2c、2eとの間の摩擦力を増やすことができる。これにより、従来の搬送物の場合と比較して、相対的に少ない把持力で梱包体1を確実に持ち上げて移動させることが可能となるので、本実施形態に係る梱包体1はベールクランプリフト10による搬送に適したものにできる。
【0037】
また、本実施形態の梱包体1は、パレットを使わずに複数の搬送物21を一体的に纏めることができるので、特に搬送物21が比重の軽い紙製品である場合には、トラック輸送時に梱包体間を詰めて搬送することができる。これにより、1台のトラックで運べる梱包体数、重量を増やすことができ、トラック等での輸送効率を高くできる。
【0038】
また、本実施形態の梱包体1では、補助部材5は、水平方向に延在する少なくとも1つの短冊状部材であるので、把持部11との当接部分の全幅に亘って補助部材5を配置でき、摩擦力を均一化できる。また、補助部材5の数の増減によって梱包体1の側面2c、2eの摩擦力を容易に調整できる。
【0039】
また、本実施形態の梱包体1は、第1巻回部3がストレッチフィルムやシュリンクフィルムなどのフィルム材であり、その外側に配置される第2巻回部4が段ボールシートで形成される。フィルム材と段ボールシートとの間の摩擦力は大きいので、この構成により搬送物群2を荷崩れしにくくできる。
【0040】
ここで、特許文献1などの従来の梱包体では、上述のように、フォークリフトのフォーク部を当接させて持ち上げることができる位置に凹部が形成されるように、複数のパッケージを積み上げる必要がある。このため、特許文献1の梱包体では、複数のパッケージが高さ方向の一部の幅を狭くするくびれ形状に積層され、不安定な状態でパッケージが積み上げられる。これにより、特許文献1の梱包体では、パッケージの崩れ落ちを防ぎつつ梱包体の作成を進める必要があり、フィルム材が幾層にも重ねて巻き付けられるためフィルム使用量が多い。また、梱包体の作成作業や、梱包体を解体しパッケージにする解体作業が煩雑となる。一方本実施形態では、上述のように第1巻回部3のみにフィルム材が用いられるため、特許文献1に記載の梱包手法のように搬送物群2の全体をフィルム材で包装する場合と比べて、フィルム材の使用量を低減できるので製造コストを抑制できる。
【0041】
また、本実施形態の梱包体1は、例えば1m角程度の略立方体形状であるのが好ましい。この構成により、搬送物21がどのような寸法や形態でも、複数の搬送物21が立方体状に積層されれば、最終的に形成される梱包体1の外形を所定寸法の立方体形状にできる。このため、様々な形状の搬送物が混在する場合でも、画一化した形状に梱包体1を形成することで、搬送車両への積み込みを効率的かつ容易にできる。
【0042】
また、補助部材5を設ける位置は、六面体の任意の面が可能であるが、強度の観点から第1巻回部3及び第2巻回部4の双方が存在する面(本実施形態では側面2c、2e)に形成するのが好ましい。また、水平方向に延在する補助部材5は、ベールクランプリフト10で持ち上げた際に第2巻回部4が搬送物から抜け出ないように、第2巻回部4が上下方向に巻回されている側面(本実施形態では側面2c、2e)に形成されるのが好ましい。
【0043】
また、補助部材5の延在方向は上下方向など水平方向以外の方向でもよいが、本実施形態のように水平方向に延在すると、梱包体1のz軸まわりの捻じれ方向のひずみを好適に抑制できるので特に有利である。これにより、例えば積層構造の同じ段の搬送物21同士にずれが生じたり、隙間ができたりするのを抑制でき、荷崩れをさらに抑制できる。
【0044】
また、補助部材5は、上記の荷崩れ防止や強度の観点から、搬送物群2の積層構造の各段に沿って一本ずつ以上設けられるのが好ましい。
【0045】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【0046】
上記実施形態では、梱包体1がベールクランプリフト10による搬送に適用される構成を例示したが、一対の側面2c、2eに設けられ、側面2c、2eの摩擦力を増やす補助部材5によって、例えば搬送効率や把持性能を向上できるなど何らかの効果を奏するものであれば、ベールクランプリフト10以外の装置により把持され運搬される構成でもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 梱包体
2 搬送物群
21 搬送物
3 第1巻回部
4 第2巻回部
5 補助部材
10 ベールクランプリフト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9