(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】カート用非接触給電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 50/90 20160101AFI20240717BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20240717BHJP
A47B 31/00 20060101ALI20240717BHJP
H01F 38/14 20060101ALI20240717BHJP
B62B 3/00 20060101ALN20240717BHJP
B62B 5/00 20060101ALN20240717BHJP
【FI】
H02J50/90
H02J50/10
A47B31/00 Z
H01F38/14
B62B3/00 D
B62B5/00 Z
(21)【出願番号】P 2020067477
(22)【出願日】2020-04-03
【審査請求日】2023-03-13
(31)【優先権主張番号】P 2019073447
(32)【優先日】2019-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591280186
【氏名又は名称】株式会社オリバー
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 泰昭
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-029354(JP,A)
【文献】特開2015-211538(JP,A)
【文献】特開2019-050540(JP,A)
【文献】特開2005-110332(JP,A)
【文献】特開2010-252446(JP,A)
【文献】特開平07-221825(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/90
H02J 50/10
A47B 31/00
H01F 38/14
B62B 3/00
B62B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内構造物に装着された給電装置と、電子機器を搭載して室内を移動するカートの脚部であって前記給電装置と対向可能な位置に装着された受電装置とを備え、前記給電装置と前記受電装置とが対向配置された状態で電磁誘導による非接触給電を行うカート用非接触給電システムであって、
前記室内構造物には、室内に向けて開口する収納部と、当該収納部を閉塞する表面が平坦な蓋体とを備え、
前記給電装置は、前記受電装置と対向する前端部が前記蓋体の全部又は一部を兼ねる態様で、前記収納部内に装着されていること、
前記給電装置には、給電コイル部を平板状に被覆した給電用ケース前端部を有する給電用保護ケースを備え、前記給電用ケース前端部には、前記給電コイル部から離間した位置で略平行に形成された給電用ストッパ部を有すること、
前記受電装置には、受電コイル部を平板状に被覆した受電用ケース前端部を有する受電用保護ケースを備え、前記受電用ケース前端部には、前記受電コイル部から離間した位置で略平行に形成された受電用ストッパ部を有すること、
前記給電用ストッパ部と前記受電用ストッパ部とが当接した状態では、前記給電用ケース前端部と前記受電用ケース前端部との間に、前記給電コイル部と前記受電コイル部との間で電磁誘導による非接触給電が可能な所定の隙間が形成されることを特徴とするカート用非接触給電システム。
【請求項2】
請求項1に記載されたカート用非接触給電システムであって、
前記給電装置の前端部は、前記蓋体の一部を兼ねる態様であって、隣接する蓋体と同一又は類似の部材から成る蓋体により被覆されて、両蓋体同士が同一面上に配置されていることを特徴とするカート用非接触給電システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載されたカート用非接触給電システムにおいて、
前記室内構造物の下端部には、前記給電装置と前記受電装置とが非接触給電できる位置に、前記カートを位置決めさせる位置決め手段を備え、
前記位置決め手段には、前記カートを非接触給電可能な位置に保持させる第1の保持機構を有していることを特徴とするカート用非接触給電システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載されたカート用非接触給電システムにおいて、
前記給電装置及び前記受電装置には、前記給電装置の前端部と前記受電装置の前端部とを非接触給電可能な位置に保持させる第2の保持機構を有していることを特徴とするカート用非接触給電システム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載されたカート用非接触給電システムにおいて、
前記給電装置には、前記受電装置との対向位置における隙間を検出する隙間検出手段を備え、
前記隙間検出手段は、前記給電装置と前記受電装置とが対向位置で所定の距離に近接したとき、非接触給電を開始させる信号を出力することを特徴とするカート用非接触給電システム。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載されたカート用非接触給電システムにおいて、
前記給電コイル部は、上端部と下端部とが前記給電用ケース前端部の裏面に当接し、上下方向の中間部にコイル線が巻回された略コの字状断面に形成された給電コア部を有すること、
前記受電コイル部は、上端部と下端部とが前記受電用ケース前端部の裏面に当接し、上下方向の中間部にコイル線が巻回された略コの字状断面に形成された受電コア部を有すること、
前記給電コア部の上端部と前記受電コア部の上端部とが対向し、前記給電コア部の下端部と前記受電コア部の下端部とが対向して、前記給電コイル部と前記受電コイル部との間で電磁誘導による非接触給電が行われることを特徴とするカート用非接触給電システム。
【請求項7】
請求項1に記載されたカート用非接触給電システムにおいて、
前記給電用ストッパ部又は前記受電用ストッパ部の内、少なくとも一方は、前記給電用ストッパ部と前記受電用ストッパ部とが当接したときに、前記給電用ケース前端部と前記受電用ケース前端部とが離間した状態を保持しながら撓むゴム系緩衝部材を備えることを特徴とするカート用非接触給電システム。
【請求項8】
請求項7に記載されたカート用非接触給電システムにおいて、
前記給電用ケース前端部又は前記受電用ケース前端部には、前記ゴム系緩衝部材と比較してゴム硬度が同一又は高く帯状に形成された第2ゴム系緩衝部材を、前記ゴム系緩衝部材から離間した位置に設けたことを特徴とするカート用非接触給電システム。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載されたカート用非接触給電システムにおいて、
前記給電装置には、前記給電コイル部と略同一外径に形成された永久磁石板が前記給電コイル部の後端面に積層され、前記受電装置には、受電コイル部と略同一外径に形成された永久磁石板が前記受電コイル部の後端面に積層されていることを特徴とするカート用非接触給電システム。
【請求項10】
室内構造物に装着された給電装置と、電子機器を搭載して室内を移動するカートの脚部であって前記給電装置と対向可能な位置に装着された受電装置とを備え、前記給電装置と前記受電装置とが対向配置された状態で電磁誘導による非接触給電を行うカート用非接触給電システムであって、
前記室内構造物には、室内に向けて開口する収納部と、当該収納部を閉塞する表面が平坦な蓋体とを備え、
前記給電装置は、前記受電装置と対向する前端部が前記蓋体の全部又は一部を兼ねる態様で、前記収納部内に装着されていること、
前記室内構造物の下端部には、前記給電装置と前記受電装置とが非接触給電できる位置に、前記カートを位置決めさせる位置決め手段を備え、
前記位置決め手段には、前記カートを非接触給電可能な位置に保持させる第1の保持機構を有していること、
前記第1の保持機構は、板ばね等の弾性部材で形成され、前記位置決め手段に備えた三角状ガイド部の傾斜面に形成された凹溝内に固定された基端部と、当該基端部からU字状に屈曲する湾曲部を介して前記三角状ガイド部の傾斜面より突出した先端部とを備え、
前記先端部に形成された係止部は、前記カートを非接触給電の位置にセットする際、カート脚部に締結されたキャスタの取付けリング部に押圧され、前記湾曲部が変形して前記凹溝内に隠れた後、前記三角状ガイド部の傾斜面より外方へ突出し、前記取付けリング部に再度当接することによって、前記カートの戻りを規制することを特徴とするカート用非接触給電システム。
【請求項11】
室内構造物に装着された給電装置と、電子機器を搭載して室内を移動するカートの脚部であって前記給電装置と対向可能な位置に装着された受電装置とを備え、前記給電装置と前記受電装置とが対向配置された状態で電磁誘導による非接触給電を行うカート用非接触給電システムであって、
前記室内構造物には、室内に向けて開口する収納部と、当該収納部を閉塞する表面が平坦な蓋体とを備え、
前記給電装置は、前記受電装置と対向する前端部が前記蓋体の全部又は一部を兼ねる態様で、前記収納部内に装着されていること、
前記給電装置には、前記受電装置との対向位置における隙間を検出する隙間検出手段を備え、
前記隙間検出手段は、前記給電装置と前記受電装置とが対向位置で所定の距離に近接したとき、非接触給電を開始させる信号を出力すること、
前記隙間検出手段として、前記給電装置の給電コイル部から離間した位置で給電用保護ケースの裏面に磁気検出素子を設け、前記磁気検出素子は、前記受電装置の受電コイル部から離間し前記磁気検出素子に対応した位置で受電用保護ケースの裏面に備えた永久磁石体から放出される磁力線を検出して、非接触給電可否の信号を前記給電装置の制御回路に出力すること
、
前記磁気検出素子は、前記給電用保護ケースの裏面に備えた磁性を有する鉄系金属部材に装着され、前記永久磁石体は、前記受電装置の受電用保護ケースの裏面で前記鉄系金属部材と対応する位置に配置されていることを特徴とするカート用非接触給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カート用非接触給電システムに関し、詳しくは、カート上に搭載される電子機器等への非接触給電を可能としたカート用非接触給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、病院や介護施設等においては、電子カルテ化等に伴う電子機器の利用増加に伴い、例えば、ナースカート上に搭載される電子機器への非接触給電を可能としたカート用非接触給電システムを採用することがある。上記カート用非接触給電システムに関連した発明が、例えば、特許文献1と特許文献2に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された発明は、
図21に示すように、側方に張り出された張出部101を有し、床面上に載置された固定什器102と、張出部101を挿入可能な凹部103を有し、床面上を移動可能な移動什器104とを備えた什器システム100であって、張出部101に設けられた給電部105と、凹部103に設けられ、当該凹部103内に張出部101を挿入させた際に給電部105と対向配置される受電部106とを有し、給電部105から受電部106への非接触給電を行う電源装置107とを備えることを特徴とする。
【0004】
上記什器システム100によれば、固定什器102が有する張出部101を移動什器104が有する凹部103に挿入した際に張出部101の給電部105と凹部103の受電部106とが対向配置され、非接触給電が可能とされているため、各移動什器104において電源コードをコンセントへ差し込むという手間が省けるとともに、電源コードを多数床面上に配することを回避して床面をクリアにしておくことができる。
【0005】
また、特許文献2に開示された発明は、
図22、
図23に示すように、看護士用カート201の支柱202の一部に設けられるものであって、当該カート201上に搭載された電子機器等への給電機能を有する一方の通電コネクタ203を主に形成されるソケット端子204と、ソケット端子204に形成された通電コネクタ203と電気的に結合するもう一方の通電コネクタ205を有するものであって上記ソケット端子204と機械的に結合するプラグ端子206と、からなるハンドフリー型通電装置200である。プラグ端子206は、所定の構造物等からなるベース211Zに設けられている。
【0006】
また、上記ハンドフリー型通電装置200は、所定の差し込み片207を有するとともに、所定の剛性を有する基板並びに当該基板上に設けられるものであって非接触型送電機構を形成する送電部208を有するプラグ端子206と、当該プラグ端子206に設けられた差し込み片207の挿入される受け口209を有するとともに、当該受け口209の形成される面のところに設けられるものであって上記プラグ端子206側に形成された送電部208と対向するように設けられた非接触型送電機構を形成する受電部210を有するソケット端子204と、からなるように構成されている。
【0007】
また、プラグ端子206の周りには、ソケット端子204との結合に当って当該ソケット端子204を主に下方から支えるように形成されたアンダガイド部214と、上記プラグ端子206の側面部に設けられるものであって上記ソケット端子204の両側面部を保持するように形成されるサイドガイド部215と、からなるガイド部材216が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2012-19906号公報
【文献】特開2019-29354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示された什器システム100は、固定什器(テーブル)102が有する張出部(天板)101を移動什器(カート)104が有する凹部103に挿入した際に張出部(天板)101の下面に形成された給電部105と凹部103の上面に形成された受電部106とが対向配置され、非接触給電が可能とされているので、固定什器(テーブル)102における張出部(天板)101近傍に、移動什器(カート)104の受電部106を配置する必要があり、移動什器(カート)104の重心位置が高くなって、移動什器(カート)104における移動時の重心バランスが悪くなるという問題があった。
【0010】
その点、特許文献2に開示されたハンドフリー型通電装置200は、非接触型送電機構を形成する受電部210を有するソケット端子204が、看護士用カート201の支柱202の一部に設けられているので、看護士用カート201の重心位置が相対的に低くなって、看護士用カート201における移動時の重心バランスを安定化できるという利点がある。
【0011】
しかしながら、上記ハンドフリー型通電装置200は、プラグ端子206(給電装置)の周りには、ソケット端子204(受電装置)との結合に当って当該ソケット端子204を主に下方から支えるように形成されたアンダガイド部214と、上記プラグ端子206の側面部に設けられるものであって上記ソケット端子204の両側面部を保持するように形成されるサイドガイド部215と、からなるガイド部材216が形成されているので、ベース211(テーブルなどを含む室内構造物)に装着されるプラグ端子206(給電装置)の周辺部の突出量が増大して、室内構造物として外観上の見栄えが悪くなるという問題から、給電装置を装着する室内構造物の見栄え向上が求められていた。
【0012】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、給電装置を有する室内構造物に対して、受電装置を有するカートが非接触給電可能であって、給電装置を装着する室内構造物の見栄え向上に有効なカート用非接触給電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明に係るカート用非接触給電システムは、次のような構成を有している。
(1)室内構造物に装着された給電装置と、電子機器を搭載して室内を移動するカートの脚部であって前記給電装置と対向可能な位置に装着された受電装置とを備え、前記給電装置と前記受電装置とが対向配置された状態で電磁誘導による非接触給電を行うカート用非接触給電システムであって、
前記室内構造物には、室内に向けて開口する収納部と、当該収納部を閉塞する表面が平坦な蓋体とを備え、
前記給電装置は、前記受電装置と対向する前端部が前記蓋体の全部又は一部を兼ねる態様で、前記収納部内に装着されていることを特徴とする。
【0014】
本発明においては、室内構造物には、室内に向けて開口する収納部と、当該収納部を閉塞する表面が平坦な蓋体とを備え、給電装置は、受電装置と対向する前端部が蓋体の全部又は一部を兼ねる態様で、収納部内に装着されているので、給電装置の全部又は一部を収納部内に隠しつつ、給電装置の前端部を収納部を閉塞する蓋体と外観上同一化させることができる。その結果、給電装置の前端部が、室内構造物の収納部を閉塞する蓋体に溶け込み、目立たなくなることによって、給電装置を装着する室内構造物の見栄えを向上させることができる。なお、室内構造物には、部屋の床面に載置又は固定する家具(例えば、テーブルやキャビネット等)や部屋の壁面を構成する壁板や仕切り板等又は床面を構成する床板や踏み台等が含まれる。
【0015】
よって、本発明によれば、給電装置を有する室内構造物に対して、受電装置を有するカートが非接触給電可能であって、給電装置を装着する室内構造物の見栄え向上に有効なカート用非接触給電システムを提供することができる。
【0016】
(2)(1)に記載されたカート用非接触給電システムであって、
前記給電装置の前端部は、隣接する蓋体と同一又は類似の部材から成る蓋体により被覆されて、両蓋体同士が同一面上に配置されていることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、給電装置の前端部は、隣接する蓋体と同一又は類似の部材から成る蓋体により被覆されて、両蓋体同士が同一面上に配置されているので、給電装置の前端部を、蓋体に対して、より一層外観上同一化させることができる。その結果、給電装置の前端部が、室内構造物の収納部を閉塞する蓋体と区別がつきにくく、より一層目立たなくなることによって、給電装置を装着する室内構造物の見栄えをより一層向上させることができる。
【0018】
(3)(1)又は(2)に記載されたカート用非接触給電システムにおいて、
前記室内構造物の下端部には、前記給電装置と前記受電装置とが非接触給電できる位置に、前記カートを位置決めさせる位置決め手段を備え、
前記位置決め手段には、前記カートを非接触給電可能な位置に保持させる第1の保持機構を有していることを特徴とする。
【0019】
本発明においては、室内構造物の下端部には、給電装置と受電装置とが非接触給電できる位置に、カートを位置決めさせる位置決め手段を備えているので、位置決め手段を給電装置から離間した位置に形成することができる。そのため、給電装置を装着する室内構造物の見栄えを向上させた状態で、室内構造物に高剛性の位置決め手段を設けることができる。そして、高剛性の位置決め手段によって、カートの衝撃荷重を受け止め、給電装置と受電装置とをより一層近距離で対向させて、効率的に非接触給電を行うことができる。
【0020】
また、位置決め手段には、カートを非接触給電可能な位置に保持させる第1の保持機構を有しているので、給電装置と受電装置とが非接触給電できる位置に、カートをセットした後は、本カート用非接触給電システムの充電完了まで第1の保持機構がカートをその位置に保持させることができる。その結果、本カート用非接触給電システムにおいて、より効率的に非接触給電を行うと共に、操作上の利便性を高めることができる。
【0021】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載されたカート用非接触給電システムにおいて、
前記給電装置及び前記受電装置には、前記給電装置の前端部と前記受電装置の前端部とを非接触給電可能な位置に保持させる第2の保持機構を有していることを特徴とする。
【0022】
本発明においては、給電装置及び受電装置には、給電装置の前端部と受電装置の前端部とを非接触給電可能な位置に保持させる第2の保持機構を有しているので、給電装置と受電装置とが非接触給電できる位置に、カートをセットした後は、本カート用非接触給電システムの充電完了まで第2の保持機構が給電装置と受電装置との間隔を一定に保持させることができる。その結果、本カート用非接触給電システムにおいて、より効率的に非接触給電を行うと共に、操作上の利便性を高めることができる。
【0023】
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載されたカート用非接触給電システムにおいて、
前記給電装置には、前記受電装置との対向位置における隙間を検出する隙間検出手段を備え、
前記隙間検出手段は、前記給電装置と前記受電装置とが対向位置で所定の距離に近接したとき、非接触給電を開始させる信号を出力することを特徴とする。
【0024】
本発明においては、給電装置には、受電装置との対向位置における隙間を検出する隙間検出手段を備え、隙間検出手段は、給電装置と受電装置とが対向位置で所定の距離に近接したとき、非接触給電を開始させる信号を出力するので、給電装置と受電装置とが対向位置で所定の距離より離間している場合には、非接触給電を停止させることができる。そのため、給電装置と受電装置と間で、無駄な電力を消費させることなく、効率的に非接触給電せることができる。
【0025】
(6)(1)乃至(5)のいずれか1つに記載されたカート用非接触給電システムにおいて、
前記給電装置には、給電コイル部を平板状に被覆した給電用ケース前端部を有する給電用保護ケースを備え、前記給電コイル部は、上端部と下端部とが前記給電用ケース前端部の裏面に当接し、上下方向の中間部にコイル線が巻回された略コの字状断面に形成された給電コア部を有すること、
前記受電装置には、受電コイル部を平板状に被覆した受電用ケース前端部を有する受電用保護ケースを備え、前記受電コイル部は、上端部と下端部とが前記受電用ケース前端部の裏面に当接し、上下方向の中間部にコイル線が巻回された略コの字状断面に形成された受電コア部を有すること、
前記給電コア部の上端部と前記受電コア部の上端部とが対向し、前記給電コア部の下端部と前記受電コア部の下端部とが対向して、前記給電コイル部と前記受電コイル部との間で電磁誘導による非接触給電が行われることを特徴とする。
【0026】
本発明においては、給電装置には、給電コイル部を平板状に被覆した給電用ケース前端部を有する給電用保護ケースを備え、給電コイル部は、上端部と下端部とが給電用ケース前端部の裏面に当接し、上下方向の中間部にコイル線が巻回された略コの字状断面に形成された給電コア部を有し、受電装置には、受電コイル部を平板状に被覆した受電用ケース前端部を有する受電用保護ケースを備え、受電コイル部は、上端部と下端部とが前記受電用ケース前端部の裏面に当接し、上下方向の中間部にコイル線が巻回された略コの字状断面に形成された受電コア部を有し、また、給電コア部の上端部と受電コア部の上端部とが対向し、給電コア部の下端部と受電コア部の下端部とが対向して、給電コイル部と受電コイル部との間で電磁誘導による非接触給電が行われるので、給電コイル部と受電コイル部とを薄型化して対向配置させることができる。そのため、給電装置が室内構造物の収納部内に収納しやすくなり、給電装置を装着した室内構造物の見栄えをより一層向上させることができる。さらに、カートの脚部に対する受電装置の突出量を減少させて、カートの受電装置に対する見栄えを向上させることができる。
【0027】
(7)(1)乃至(5)のいずれか1つに記載されたカート用非接触給電システムにおいて、
前記給電装置には、給電コイル部を平板状に被覆した給電用ケース前端部を有する給電用保護ケースを備え、前記給電用ケース前端部には、前記給電コイル部から離間した位置で略平行に形成された給電用ストッパ部を有すること、
前記受電装置には、受電コイル部を平板状に被覆した受電用ケース前端部を有する受電用保護ケースを備え、前記受電用ケース前端部には、前記受電コイル部から離間した位置で略平行に形成された受電用ストッパ部を有すること、
前記給電用ストッパ部と前記受電用ストッパ部とが当接した状態では、前記給電用ケース前端部と前記受電用ケース前端部との間に、前記給電コイル部と前記受電コイル部との間で電磁誘導による非接触給電が可能な所定の隙間が形成されることを特徴とする。
【0028】
本発明においては、給電装置には、給電コイル部を平板状に被覆した給電用ケース前端部を有する給電用保護ケースを備え、給電用ケース前端部には、給電コイル部から離間した位置で略平行に形成された給電用ストッパ部を有し、また、受電装置には、受電コイル部を平板状に被覆した受電用ケース前端部を有する受電用保護ケースを備え、受電用ケース前端部には、受電コイル部から離間した位置で略平行に形成された受電用ストッパ部を有し、また、給電用ストッパ部と受電用ストッパ部とが当接した状態では、給電用ケース前端部と受電用ケース前端部との間に、給電コイル部と受電コイル部との間で電磁誘導による非接触給電が可能な所定の隙間が形成されるので、給電コイル部と受電コイル部とが対向配置された非接触給電の状態において、給電用ケース前端部と受電用ケース前端部とが所定の隙間だけ略平行に離間した状態で、給電用ストッパ部と受電用ストッパ部とを略平行に当接させることができる。そのため、上記非接触給電の状態にカートを移動する際に、給電用ストッパ部と受電用ストッパ部とを略平行に当接させることによって、給電用ケース前端部と受電用ケース前端部との衝突を防止して、給電コイル部又は受電コイル部に損傷等を与える恐れを、未然に回避できる。その結果、電子機器等を搭載し相当の重量を有するカートを、上記非接触給電の状態に安心して簡単にセットできる。
【0029】
また、給電用保護ケース及び受電用保護ケースにおける前端側全体を略平坦な面に形成できて、各ケースの厚さを薄く形成することができる。したがって、給電装置及び受電装置をそれぞれ簡単に薄型化できる。その結果、給電装置を装着した室内構造物の見栄えをより一層向上させると同時に、カートの脚部に対する受電装置の突出量を減少させて、カートの受電装置に対する見栄えを向上させることができる。
【0030】
(8)(7)に記載されたカート用非接触給電システムにおいて、
前記給電用ストッパ部又は前記受電用ストッパ部の内、少なくとも一方は、前記給電用ストッパ部と前記受電用ストッパ部とが当接したときに、前記給電用ケース前端部と前記受電用ケース前端部とが離間した状態を保持しながら撓むゴム系緩衝部材を備えることを特徴とする。
【0031】
本発明においては、給電用ストッパ部又は受電用ストッパ部の内、少なくとも一方は、給電用ストッパ部と受電用ストッパ部とが当接したときに、給電用ケース前端部と受電用ケース前端部とが離間した状態を保持しながら撓むゴム系緩衝部材を備えるので、給電装置及び受電装置の薄型化を担保しながら、給電用ストッパ部と受電用ストッパ部との当接時における衝撃荷重を、ゴム系緩衝部材が撓むことによって簡単に緩和させることができる。
【0032】
(9)(8)に記載されたカート用非接触給電システムにおいて、
前記給電用ケース前端部又は前記受電用ケース前端部には、前記ゴム系緩衝部材と比較してゴム硬度が同一又は高く帯状に形成された第2ゴム系緩衝部材を、前記ゴム系緩衝部材から離間した位置に設けたことを特徴とする。
【0033】
例えば、床面が凹凸又は傾斜している場合には、給電コイル部と受電コイル部とが対向配置された非接触給電の状態にカートを移動する際、給電用ストッパ部と受電用ストッパ部とが略平行に当接する以前に、給電用ケース前端部と受電用ケース前端部とが衝突することがあった。そのとき、給電用保護ケースや受電用保護ケースに損傷が発生したり、給電コイル部及び受電コイル部のコイル線又はその接続配線等に損傷が発生する恐れがあった。
【0034】
そこで、本発明においては、給電用ケース前端部又は受電用ケース前端部には、ゴム系緩衝部材と比較してゴム硬度が同一又は高く帯状に形成された第2ゴム系緩衝部材を、ゴム系緩衝部材から離間した位置に設けたので、床面が凹凸又は傾斜している場合でも、給電用保護ケースと受電用保護ケースとが直接的に当接するのを、ゴム系緩衝部材と第2ゴム系緩衝部材との両方で回避させることができる。したがって、給電用保護ケースや受電用保護ケースの損傷や、給電コイル部及び受電コイル部のコイル線又はその接続配線等における損傷を未然に回避することができる。なお、第2ゴム系緩衝部材のゴム硬度が、ゴム系緩衝部材のゴム硬度より高い場合には、第2ゴム系緩衝部材の帯幅を狭く形成しても、給電用ケース前端部と受電用ケース前端部との間に一定の隙間を確保することができる。
【0035】
(10)(7)乃至(9)のいずれか1つに記載されたカート用非接触給電システムにおいて、
前記給電装置には、前記給電コイル部と略同一外径に形成された永久磁石板が前記給電コイル部の後端面に積層され、前記受電装置には、受電コイル部と略同一外径に形成された永久磁石板が前記受電コイル部の後端面に積層されていることを特徴とする。
【0036】
本発明においては、給電装置には、給電コイル部と略同一外径に形成された永久磁石板が給電コイル部の後端面に積層され、受電装置には、受電コイル部と略同一外径に形成された永久磁石板が受電コイル部の後端面に積層されているので、それぞれの永久磁石板によって、給電コイル部と受電コイル部のコイル軸方向における磁力線の指向性を高め、磁界強さを増強させることができる。そのため、給電コイル部と受電コイル部との非接触給電時における給電効率を高めつつ、給電装置及び受電装置のより一層の薄型化が容易となり、室内構造物及びカートの見栄え向上に寄与できる。
【0037】
(11)(1)乃至(10)のいずれか1つに記載されたカート用非接触給電システムにおいて、
前記給電装置は、前記収納部に対して複数のバネ部材を介して水平方向へ移動可能に装着されていることを特徴とする。
【0038】
本発明においては、給電装置は、収納部に対して複数のバネ部材を介して水平方向へ移動可能に装着されているので、床面が凹凸又は傾斜してカートの姿勢が傾倒する場合においても、カートに装着した受電装置の傾倒に追従して、室内構造物の収納部内に装着された給電装置の取付け角度等を変更させることができる。そのため、床面が凹凸又は傾斜している場合でも、給電装置と受電装置とが平行に対向配置された非接触給電の状態に簡単にセットすることができる。また、カートの慣性力が、給電装置に作用した時にも、バネ部材が伸縮することによって、給電装置及び受電装置に対する衝撃負荷を軽減できる。
【0039】
(12)(1)乃至(11)のいずれか1つに記載されたカート用非接触給電システムにおいて、
前記給電装置と前記受電装置とは、互いに略同一の大きさに形成された硬質樹脂製ケースを有することを特徴とする。
【0040】
本発明においては、給電装置と受電装置とは、互いに略同一の大きさに形成された硬質樹脂製ケースを有するので、それぞれケースの軽量化、薄型化が容易で、デザイン上の統一感を高め、室内構造物及びカートの見栄え向上に有効となる。また、硬質樹脂製ケースは、共通の樹脂成形金型を使用して生産できるので、生産性の向上及びコスト低減にも寄与できる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、給電装置を有する室内構造物に対して、受電装置を有するカートが非接触給電可能であって、給電装置を装着する室内構造物の見栄え向上に有効なカート用非接触給電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本実施形態に係る第1実施例のカート用非接触給電システムの非接触給電状態における概略側面図である。
【
図2】
図1に示す固定テーブル(室内構造物)の概略正面図である。
【
図9】
図1に示すカート用非接触給電システムの制御ブロック図である。
【
図10】本実施形態に係る第2実施例のカート用非接触給電システムの非接触給電状態における主要部断面図である。
【
図13】本実施形態に係る第3実施例のカート用非接触給電システムの非接触給電状態における概略斜視図である。
【
図21】特許文献1に開示された什器システムの概略側面図である。
【
図22】特許文献2に開示されたハンドフリー型通電装置の概略斜視図である。
【
図23】
図22に示すハンドフリー型通電装置を構成するプラグ端子とソケット端子の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
次に、本発明の実施形態に係るカート用非接触給電システムについて、図面を参照して詳細に説明する。はじめに、本実施形態に係る第1実施例のカート用非接触給電システムの構造を説明し、その後、本カート用非接触給電システムの制御回路の構成とその動作方法を説明する。次に、本実施形態に係る第2実施例及び第3実施例のカート用非接触給電システムの構造を第1実施例の構造との相違点を中心に説明する。なお、第2実施例及び第3実施例のカート用非接触給電システムの制御回路の構成とその動作方法は、第1実施例と基本的に共通するので、その説明は原則として割愛する。また、本実施形態に係るカート用非接触給電システムの室内構造物の変形例を簡単に説明する。
【0044】
<第1実施例のカート用非接触給電システムの構造>
まず、本実施形態に係る第1実施例のカート用非接触給電システムの構造を、
図1~
図8を用いて説明する。
図1に、本発明の実施形態に係る第1実施例のカート用非接触給電システムの非接触給電状態における概略側面図を示す。
図2に、
図1に示す固定テーブル(室内構造物)の概略正面図を示す。
図3に、
図2に示すA-A断面図を示す。
図4に、
図3に示すC矢視正面図を示す。
図5に、
図2に示すB矢視底面図を示す。
図6に、
図1に示すカートの概略背面図を示す。
図7に、
図6に示すD-D断面図を示す。
図8に、
図7に示すE矢視正面図を示す。
【0045】
図1~
図8に示すように、本実施形態に係る第1実施例のカート用非接触給電システム10は、室内構造物1に装着された給電装置2と、電子機器を搭載して室内を移動するカート3の脚部32であって給電装置2と対向可能な位置に装着された受電装置4とを備え、給電装置2と受電装置4とが対向配置された状態で電磁誘導による非接触給電を行うカート用非接触給電システムであって、室内構造物1には、室内に向けて開口する収納部13と、当該収納部13を閉塞する表面が平坦な蓋体135とを備え、給電装置2は、受電装置4と対向する前端部221が蓋体135の全部又は一部を兼ねる態様で、収納部13内に装着されている。なお、室内構造物1には、部屋の床面に載置又は固定する家具(例えば、テーブルやキャビネット等)や部屋の壁面を構成する壁板や仕切り板等又は床面を構成する床板や踏み台等が含まれるが、ここでは、部屋の床面に載置する固定テーブルの例で説明する。
【0046】
具体的には、第1実施例のカート用非接触給電システム10は、テーブル板11と、床面FL上に載置されテーブル板11を支持する複数(左右一対)のテーブル脚部12と、当該テーブル脚部12の上下方向の中間部121同士を連結する連結部(請求項1の「収納部」に相当、以下同じ)13に装着された給電装置2とを有する固定テーブル(請求項1の「室内構造物」に相当、以下同じ)1と、電子機器(例えば、パーソナルコンピュータ:図示しない)を搭載可能に形成されたカート台31と、当該カート台31の下端に連結され床面FLを走行する複数のキャスタ321を有するカート脚部(請求項1の「脚部」に相当、以下同じ)32と、給電装置2と対向可能な位置でカート脚部32に装着された受電装置4とを有するカート3とを備え、給電装置2に有する給電コイル部21と受電装置4に有する受電コイル部41とが対向配置された状態で電磁誘導による非接触給電を行うカート用非接触給電システムである。
【0047】
なお、「カート」とは、床面を移動可能に形成された搬送機器の意味であって、病院等で使用されるナースカートには限らない。また、連結部(収納部)13には、前後方向に向けて開口する前端と後端とを閉塞する一対の平坦な化粧板(請求項1の「蓋体」に相当、以下同じ)135が固定されている。化粧板(蓋体)135は、左右方向に長い矩形板に形成されている。給電装置2の前端部221は、前後両方の化粧板135に所定の距離を離して形成された複数(3つ)の貫通孔から、化粧板135より外方(室内側)にそれぞれ突出した状態で、連結部13内に装着されている。ここでは、3つの各給電装置2は、受電装置4と対向する前端部221が化粧板135の一部を兼ねる態様で、収納部13内に装着されている。給電装置2の前端部221の化粧板135に対する突出量d2は、カート脚部32に装着された受電装置4の突出量d1との関係で決まるが、見栄え上、少ない方が好ましい。
【0048】
また、
図1、
図2に示すように、固定テーブル1は、例えば、病院等のナースステーションに設置されるミーティングテーブル等が該当する。その場合、カート3は、例えば、病院等の各病室を巡回しながら移動するときに使用されるナースカートが該当する。固定テーブル1が長尺状の長テーブル又は円形テーブル、楕円形テーブルである場合には、隣接するカート3が干渉しない程度の間隔を空けて、給電装置2を連結部13に複数個設置しても良い。給電装置2の電源ケーブル213は、連結部13及びテーブル脚部12を経由して、外部に配線されている。
【0049】
また、連結部13は、非接触給電を行うカート3のカート台31と干渉しないよう、カート台31より低い位置に設置されている。水平方向カート台31の上端側には、搭載する電子機器等の止め部材311が外縁部に沿って形成されている。また、カート台31の下端側には、カート3を移動させるときに把持するハンドル部312と、受電装置4の出力端子413とが装着されている。
【0050】
また、室内構造物1の下端部122には、給電装置2と受電装置4とが非接触給電できる位置に、カート3を位置決めさせる位置決め手段14を備えていることが好ましい。具体的には、
図2、
図5に示すように、テーブル脚部12の下端部122同士を連結する下連結部15には、カート脚部32に締結されたキャスタ321の取付けリング部321Rと当接してカート3を非接触給電の位置に案内して位置決めするガイド部(位置決め手段)14が形成されている。
【0051】
ガイド部14は、テーブル前端側に突出した複数の三角状ガイド部141と、三角状ガイド部141同士の間で中央部が湾曲状に突出する円弧状ガイド部142とを備えている。カート3は、キャスタ321の取付けリング部321Rが三角状ガイド部141と円弧状ガイド部142とが交差する交差部143に当接した状態で、非接触給電の位置に位置決めされる。なお、ガイド部(位置決め手段)14には、カート3を非接触給電可能な位置に保持させる第1の保持機構HK1を有しても良い。第1の保持機構HK1の構造については、第3実施例にて詳述する。
【0052】
また、
図1、
図6に示すように、カート脚部32には、4つのキャスタ321が締結されキャスタ支持部322と、キャスタ支持部322の中央付近に起立した角筒状脚部324と、角筒状脚部324の筒内に上下方向へ摺動可能に装着された可動脚部325とを備えている。カート台31は、可動脚部325の上端に連結されている。カート台31は、可動脚部325の上下方向への昇降動作に伴って、高さを変更することができる。例えば、カート台31に搭載した電子機器がテーブル板11に干渉する恐れがあるときには、カート台31をテーブル板11より上方へ上昇させた状態で、非接触給電を行うことができる。受電装置4は、角筒状脚部324の前端面に固定されている。受電装置4は、短辺がカート脚部32(角筒状脚部324)の左右幅寸法に略等しく、長辺が上下方向に長い略直方体に形成されている。また、角筒状脚部324の後端面には、複数(2つ)の収納ケース323が適宜高さに装着されている。
【0053】
また、
図3、
図4、
図7、
図8に示すように、給電装置2には、給電コイル部21の前端面211を平板状に被覆した給電用ケース前端部(請求項1の「給電装置の前端部」に相当、以下同じ)221を有する給電用保護ケース22を備えている。給電用ケース前端部221には、給電コイル部21から離間した位置で略平行に形成された給電用ストッパ部23を有している。給電用ストッパ部23は、所定の厚さt1で形成され、給電用ケース前端部221に所定の段差深さで略平行に凹形成された給電用ストッパ取付部224に固定されている。
【0054】
また、給電コイル部21は、前後方向に偏平に形成された円環状偏平鉄心に巻回されたコイル線で構成されている。給電コイル部21は、給電用保護ケース22の上端側に配置され、給電用ストッパ部23は、給電用保護ケース22の下端部側に配置されている。また、受電装置4には、受電コイル部41の前端面411を平板状に被覆した受電用ケース前端部421を有する受電用保護ケース42を備えている。受電用ケース前端部421には、受電コイル部41から離間した位置で略平行に形成された受電用ストッパ部43を有している。受電用ストッパ部43は、所定の厚さt4で形成され、給電用保護ケース22の段差深さと同一の深さで、受電用ケース前端部421に略平行に凹形成された受電用ストッパ取付部424に固定されている。
【0055】
また、受電コイル部41は、前後方向に偏平に形成された円環状偏平鉄心に巻回されたコイル線で構成されている。受電コイル部41は、受電用保護ケース42の上端側に配置され、受電用ストッパ部43は、受電用保護ケース42の下端部側に配置されている。また、給電用ストッパ部23と受電用ストッパ部43とが当接した状態では、給電用ケース前端部221と受電用ケース前端部421との間に電磁誘導による非接触給電が可能な所定の隙間d3が形成される。
【0056】
なお、本第1実施例では、給電用ストッパ部23又は受電用ストッパ部43の内、いずれか一方の厚さは、上記段差深さより厚く形成され、いずれか他方の厚さは、前記段差深さと略同一の厚さで形成されていればよい。ここで、他方の厚さは、前記段差深さと厳密に同一の厚さで形成されている必要はなく、前記段差深さに対する多少の増減があっても構わない。なぜなら、非接触給電を行うために給電用ストッパ部23と受電用ストッパ部43とを当接させた時、給電用ケース前端部221と受電用ケース前端部421との間に電磁誘導による非接触給電が可能な所定の隙間が形成されていれば良いからである。
【0057】
また、給電用ストッパ部23又は受電用ストッパ部43の内、所定の段差深さより厚く形成された一方は、ゴム系緩衝部材からなること、所定の段差深さと略同一の厚さで形成された他方は、鉄系金属部材からなることが好ましい。なぜなら、非接触給電を行うために給電用ストッパ部23と受電用ストッパ部43とを当接させた時の衝撃力を、ゴム系緩衝部材によって緩和させるためである。
【0058】
また、給電用ストッパ部23又は受電用ストッパ部43の内、少なくとも一方は、給電用ストッパ部23と受電用ストッパ部43とが当接したときに、給電用ケース前端部221と受電用ケース前端部421とが離間した状態を保持しながら撓むゴム系緩衝部材23Gを備えている。
【0059】
本第1実施例では、給電用ストッパ部23は、矩形板状に形成されたゴム系緩衝部材23Gを備え、その厚さt1は上記段差深さより厚く形成されている。また、受電用ストッパ部43は、矩形板状に形成された鉄系金属部材43Tを備え、その厚さt4は、上記段差深さと略同一の厚さで形成されている。
【0060】
また、ゴム系緩衝部材23Gは、例えば、デュロメータ硬さ試験のゴム硬度が40A程度のシリコンゴム等が好ましい。また、鉄系金属部材43Tは、カート3の重量を軽くするため、出来る限り小型化することが好ましく、ここでは、ゴム系緩衝部材23Gの上半分程度の面積に当接する大きさに形成されている。
【0061】
また、給電装置2及び受電装置4には、給電装置2の前端部221と受電装置4の前端部421とを非接触給電可能な位置に保持させる第2の保持機構HK2を有していることが好ましい。具体的には、給電用ストッパ部23には、給電コイル部21から離間した位置で給電コイル部21のコイル軸CJ方向に延設された永久磁石体24を備え、受電用ストッパ部43には、永久磁石体24に吸着する鉄系金属部材43Tを備えている。永久磁石体24と鉄系金属部材43Tとが、上記第2の保持機構HK2を構成する。
【0062】
本第1実施例では、給電用ストッパ部23には、給電コイル部21から離間した位置でゴム系緩衝部材23Gを給電コイル部21のコイル軸CJ方向に貫通し鉄系金属部材43Tに吸着する柱状又は筒状に形成された永久磁石体24を備えている。永久磁石体24は、後述する基台27に締結されている。永久磁石体24は、鉄系金属部材43Tに吸着することによって、給電用ストッパ部23と受電用ストッパ部43との当接状態(給電コイル部21と受電コイル部41との非接触給電の状態)の保持機能を果たすことができる程度の必要最小限の体積又は外径に形成されていることが好ましい。
【0063】
その理由は、永久磁石体24の体積又は外径が大きすぎると、永久磁石体24が形成する磁力線が、給電コイル部21が形成する磁力線と交差し易くなり、給電コイル部21と受電コイル部41との非接触給電時における給電効率が低下したり、ノイズが発生し易くなる恐れがあるからである。また、給電コイル部21と受電コイル部41との非接触給電を終了した後に、カート3を引き離すときの操作荷重が過大となるのを回避して、カート3の操作性を向上させるためである。
【0064】
また、給電用ケース前端部221又は受電用ケース前端部421には、ゴム系緩衝部材23Gと比較してゴム硬度が同一又は高く帯状に形成された第2ゴム系緩衝部材25を、ゴム系緩衝部材23Gから最も離間した位置の前端コーナ部222に隣接して設けた。
【0065】
本第1実施例では、給電用ケース前端部221には、ゴム系緩衝部材23Gと比較してゴム硬度が高く、且つ給電用ケース前端部221に対するゴム系緩衝部材23Gの突出量t2と略同一の厚さt3で帯状に形成された第2ゴム系緩衝部材25を、ゴム系緩衝部材23Gから最も離間した位置の前端コーナ部222に隣接して設け、当該前端コーナ部222には、面取り部223が形成されている。
【0066】
また、受電用ケース前端部421の前端コーナ部422には、給電用ケース前端部221の面取り部223と対向する位置で、当該面取り部223と反対方向へ傾斜する他の面取り部423が形成されている。給電用ケース前端部221には、第2ゴム系緩衝部材25を取り付ける凹座2211が微小深さに形成され、受電用ケース前端部421には、凹座2211と対向する位置に同一の凹座4211が形成されている。第2ゴム系緩衝部材25は、例えば、デュロメータ硬さ試験のゴム硬度が60A程度のシリコンゴム等が好ましい。
【0067】
また、給電用保護ケース22と受電用保護ケース42とは、互いに同一の大きさに形成された硬質樹脂製ケース22J、42Jを有する。硬質樹脂製ケース22J、42Jは、高強度化、軽量化に有効な部材、例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン:Acrylonitrile butadiene styrene)樹脂製ケース、又はPA(ポリアミド:Polyamide)樹脂製ケース等が好ましい。
【0068】
また、給電装置2には、給電用保護ケース22の外縁部225が連結された基台27を備え、給電コイル部21は、当該給電コイル部21と略同一外径に形成された永久磁石板26を給電コイル部21の後端面212に積層して基台27の前端面に連結されている。また、受電装置4には、受電用保護ケース42の外縁部425が連結された基台45を備え、受電コイル部41は、当該受電コイル部41と略同一外径に形成された永久磁石板44を受電コイル部41の後端面412に積層して基台45の前端面に連結されている。
【0069】
各永久磁石板26、44は、給電コイル部21と受電コイル部41のコイル軸CJ方向における磁力線の指向性を高め、磁界強さをそれぞれ増強させる機能を備えている。永久磁石板26、44は、例えば、ノイズ輻射をもたらす高周波電流を阻止する効果を奏するフェライトコアを用いることが好ましい。
【0070】
また、テーブル脚部12の連結部13には、給電用保護ケース22の外縁部225の後側が挿通される挿通孔が形成され垂直状に配設された化粧板(蓋体)135と、化粧板135の上端部に連結されテーブル板11と略平行に配設された上棚板136と、化粧板135の下端部に連結されテーブル板11と略平行に配設された下棚板137と、両端部がテーブル脚部12に締結され左右方向に延設された主フレーム部材131と、主フレーム部材131に締結され上下方向に延設された補助フレーム部材132と、補助フレーム部材132の前端部に締結されたベース板133と、ベース板133の上部後端面と下部後端面にそれぞれ締結されたベース補助板134とを備えている。化粧板135は、テーブル板11の中央部に対して前後対称に配置されている。主フレーム部材131と補助フレーム部材132とベース板133とベース補助板134とは、化粧板135と上棚板136と下棚板137とによって囲まれた中空部内に配設されている。
【0071】
また、給電装置2は、収納部13に対して複数のバネ部材28を介して前後方向(水平方向)へ移動可能に装着されていることが好ましい。具体的には、給電装置2は、テーブル脚部12の連結部13に複数のバネ部材28を介して前後方向へ移動可能に装着されている。バネ部材28は、基台27の後端面で上下左右の4隅付近に締結された支持軸部281の外周側に嵌装されている。支持軸部281は、ベース板133とベース補助板134に形成された貫通孔に挿通され、支持軸部281の先端部には、ベース補助板134に当接する抜け止め部材282が係合されている。バネ部材28は、基台27の後端面とベース板133との間に圧縮バネとして装着されている。また、受電装置4の基台45と給電装置2の基台27とが、互いに共通の金属製箱体45K、27Kからなり、当該金属製箱体45K、27Kの外縁部451、271に囲まれた空間部45KS、27KSには、制御回路214K、414Kが収納されている。
【0072】
<制御回路の構成とその動作方法>
次に、本実施形態のカート用非接触給電システムにおける制御回路の構成とその動作方法について、
図9を用いて説明する。
図9に、
図1に示すカート用非接触給電システムの制御ブロック図を示す。
【0073】
本カート用非接触給電システム10の制御回路の構成における一実施例を、
図9に示す。
図9に示すように、給電装置2の制御回路214Kには、給電コイル部21と、給電コイル部21に接続された周波数変換部31Hと、周波数変換部31Hに接続されたA/D変換部32Hと、A/D変換部32Hに接続された電源部33とを備えている。また、受電装置4の制御回路414Kには、受電コイル部41と、受電コイル部41に接続されたA/D変換部51と、A/D変換部51に接続された受電制御部52及び出力制御部54と、出力制御部54に接続された表示部53とを備えている。
【0074】
ここでは、電源部33には、商用周波数(50Hz又は60Hz)のAC100Vの交流電圧が供給される。電源部33では、電磁誘導を可能とする高周波交流電圧を得るために、AC100VをA/D変換しやすい交流電圧に降圧させる。また、A/D変換部32Hでは、降圧した交流電圧を周波数変換が可能な直流電圧に変換する。さらに、周波数変換部31Hでは、直流電圧を電磁誘導による非接触給電が可能な周波数(例えば、数10kHz~数百kHz)の交流電圧に変換する。その結果、給電コイル部21では、高周波(数10kHz~数百kHz)の交流磁界を発生させる。
【0075】
次に、給電コイル部21と受電コイル部41とが対向配置された状態で電磁誘導による非接触給電を行う。給電コイル部21が発生させる高周波(数10kHz~数百kHz)の交流磁界は、給電コイル部21と対向配置された受電コイル部41に電磁誘導で伝播される。そのため、受電コイル部41には、高周波(数10kHz~数百kHz)の交流電圧が起電される。
【0076】
また、A/D変換部51では、高周波の交流電圧を商用周波数(50Hz又は60Hz)の周波数に周波数変換が可能な直流電圧に変換する。出力制御部54では、直流電圧を、パソコンなどの電子機器等にて使用する商用周波数(50Hz又は60Hz)のAC100Vの交流電圧に変換して出力する。また、受電装置4にバッテリ等を内蔵している場合、又は受電装置4が外部バッテリ等と接続されている場合には、受電制御部52は、バッテリ等の充電状況に対応してA/D変換部51に制御指示を行う。また、表示部53は、給電コイル部21と受電コイル部41とが対向配置された状態で電磁誘導による非接触給電を正常に行っていることを、出力制御部54からの信号に基づいて、ランプ等によって表示する。
【0077】
<第2実施例のカート用非接触給電システムの構造>
次に、本実施形態に係る第2実施例のカート用非接触給電システムの構造を、
図1、
図10~
図12を用いて説明する。
図10に、本発明の実施形態に係る第2実施例のカート用非接触給電システムの非接触給電状態における主要部断面図を示す。
図11に、
図10に示す給電装置の分解組付け図を示す。
図12に、
図10に示す受電装置の外観斜視図を示す。
【0078】
図1、
図10~
図12に示すように、本実施形態に係る第2実施例のカート用非接触給電システム10Bは、室内構造物1に装着された給電装置2Bと、電子機器を搭載して室内を移動するカート3の脚部32であって給電装置2Bと対向可能な位置に装着された受電装置4Bとを備え、給電装置2Bと受電装置4Bとが対向配置された状態で電磁誘導による非接触給電を行うカート用非接触給電システムであって、室内構造物1には、室内に向けて開口する収納部13と、当該収納部13を閉塞する表面が平坦な蓋体135とを備え、給電装置2は、受電装置4と対向する前端部221が蓋体135の全部又は一部を兼ねる態様で、収納部13内に装着されている。なお、室内構造物1は、床面に載置する固定テーブルの例で説明する。第2実施例では、第1実施例の構成と共通する物は、共通の符号を付して、原則としてその説明を割愛し、第1実施例に対する相違点を中心に説明する。
【0079】
具体的には、第2実施例のカート用非接触給電システム10Bは、テーブル板11と、床面FL上に載置されテーブル板11を支持する複数(左右一対)のテーブル脚部12と、当該テーブル脚部12の上下方向の中間部121同士を連結する連結部13に装着された給電装置2Bとを有する固定テーブル1と、電子機器(例えば、パーソナルコンピュータ:図示しない)を搭載可能に形成されたカート台31と、当該カート台31の下端に連結され床面FLを走行する複数のキャスタ321を有するカート脚部32と、給電装置2Bと対向可能な位置でカート脚部32に装着された受電装置4Bとを有するカート3とを備え、給電装置2Bに有する給電コイル部21と受電装置4Bに有する受電コイル部41とが対向配置された状態で電磁誘導による非接触給電を行うカート用非接触給電システムである。なお、「カート」とは、床面を移動可能に形成された什器の意味であって、病院等で使用されるナースカートには限らない。
【0080】
第2実施例では、
図10~
図12に示すように、給電装置2Bには、給電コイル部21の前端面211を平板状に被覆した給電用ケース前端部(請求項1の「給電装置の前端部」に相当、以下同じ)221Bを有する給電用保護ケース22Bを備えている。給電用ケース前端部221Bには、給電コイル部21から離間した位置で同一面上で略平行に形成された給電用ストッパ部23Bを有している。
【0081】
また、給電用保護ケース22Bには、給電用ケース前端部221Bの上端部221B1及び左右端部221B2、221B3と連結されたコ字状外縁部225Bを備えている。給電用ケース前端部221Bは、例えば、メラミン樹脂で被覆された化粧合板(化粧板135と同一の部材)で形成しても良い。また、コ字状の外縁部225Bは、例えば、木質繊維成型板で形成しても良い。外縁部225Bの内周面には、基台27の外縁部271が固定されている。外縁部225Bの後端面には、基台27の外縁部271が当接する底板29Bが固定されている。底板29Bの下端部には、前方へ垂直状に起立する横壁部291Bと、横壁部291の前端部から下方へ垂直状に起立する縦壁部292Bとが形成されている。縦壁部292Bは、給電用ケース前端部221Bに対して同一面上で略平行に形成され、給電用ストッパ部23Bを兼ねている。
【0082】
また、受電装置4Bには、受電コイル部41の前端面411を平板状に被覆した受電用ケース前端部421Bを有する受電用保護ケース42Bを備えている。受電用ケース前端部421Bには、受電コイル部41から離間した位置で略平行に形成された受電用ストッパ部43Bを有している。受電用ストッパ部43Bは、所定の厚さで形成され、受電用ケース前端部421Bに略平行に凹形成された受電用ストッパ取付部424に固定されている。なお、受電用ストッパ取付部424Bは、受電用ケース前端部421Bに同一面上で略平行に形成しても良い。
【0083】
また、受電用ストッパ部43Bには、矩形板状に形成されたゴム系緩衝部材43BGを備え、その厚さt5は、上記段差深さより大きく形成されている。この場合、ゴム系緩衝部材43BGの受電用ケース前端部421Bに対する前方への突出量が、給電用ストッパ部23Bと受電用ストッパ部43Bとが当接した状態で、給電用ケース前端部221Bと受電用ケース前端部421Bとの間に形成される電磁誘導による非接触給電が可能な所定の隙間d3に相当する。所定の隙間d3は、ゴム系緩衝部材43BGの厚さt5の1/3~1/2程度が好ましく、具体的には、所定の隙間d3=2~4mm程度が好ましい。また、ゴム系緩衝部材43BGは、例えば、デュロメータ硬さ試験のゴム硬度が40A程度のシリコンゴム等が好ましい。
【0084】
また、給電用ストッパ部23Bには、給電コイル部21から離間した位置で給電コイル部21のコイル軸CJ方向に延設された永久磁石体24Bを備え、受電用ストッパ部43Bには、永久磁石体24Bに吸着する鉄系金属部材43BTを備えている。永久磁石体24Bと鉄系金属部材43BTとが、前述した第2の保持機構HK2を構成する。永久磁石体24Bは、給電用ストッパ部23Bの上端部に配置され、底板29Bの下端部に前方へ垂直状に起立する横壁部291Bに締結されている。永久磁石体24Bは、矩形状板に形成され、横壁部291Bの左右に固定された規制板293Bの間で前方へ垂直状に起立して配置されている。永久磁石体24Bの前端部は、給電用ケース前端部221Bより僅かに前方へ突出させても良い。
【0085】
また、受電用ストッパ部43Bには、ゴム系緩衝部材43BGの上端部に隣接して矩形板状に形成された鉄系金属部材43BTを備えている。鉄系金属部材43BTの厚さt6は、ゴム系緩衝部材43BGの厚さt5より薄く形成されている。
【0086】
また、受電用ケース前端部421Bには、ゴム系緩衝部材43BGと比較してゴム硬度が同一又は高く帯状に形成された第2ゴム系緩衝部材46Bを、ゴム系緩衝部材43BGから最も離間した位置の前端コーナ部422Bに隣接して設置されている。第2ゴム系緩衝部材46Bの厚さt7は、受電用ケース前端部421Bに対するゴム系緩衝部材43BGの突出量(所定の隙間d3に相当)と略同一である。第2ゴム系緩衝部材46Bは、例えば、デュロメータ硬さ試験のゴム硬度が60A程度以下のシリコンゴム等が好ましい。
【0087】
また、受電用保護ケース42Bは、高強度化、軽量化に有効な部材で形成されたケース、例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン:Acrylonitrile butadiene styrene)樹脂製ケース、又はPA(ポリアミド:Polyamide)樹脂製ケース等が好ましい。
【0088】
また、給電装置2Bは、テーブル脚部12の連結部13に複数のバネ部材28を介して前後方向(水平方向)へ移動可能に装着されている。具体的には、バネ部材28は、基台27の後端面で上下左右の4隅付近に締結された支持軸部281の外周側に嵌装されている。支持軸部281は、底板29Bに形成された貫通孔294Bと、連結部13を構成するベース板133とベース補助板134に形成された貫通孔138とに挿通され、支持軸部281の先端部には、ベース補助板134に当接する抜け止め部材282が係合されている。バネ部材28は、基台27の後端面とベース板133との間に圧縮バネとして装着されている。ここでは、給電装置2Bは、給電用ケース前端部221Bが連結部13の前端面側の化粧板135と略同一面上に配置されるように、連結部13に装着されている。
【0089】
<第3実施例のカート用非接触給電システムの構造>
次に、本実施形態に係る第3実施例のカート用非接触給電システムの構造を、
図13~
図20を用いて説明する。
図13に、本実施形態に係る第3実施例のカート用非接触給電システムの非接触給電状態における概略斜視図を示す。
図14に、
図13に示すF矢視正面図を示す。
図15に、
図14に示すG-G断面図を示す。
図16に、
図14に示すH-H断面図を示す。
図17に、
図16に示すI部詳細図を示す。
図18に、
図15に示す給電装置(受電装置)の正面図を示す。
図19に、
図18に示す受電装置におけるJ-J断面図を示す。
図20に、
図18に示す給電装置におけるJ-J断面図を示す。なお、
図15に示すように、給電装置と受電装置の正面図は、同一である。
【0090】
図13~
図20に示すように、本実施形態に係る第3実施例のカート用非接触給電システム10Cは、室内構造物1に装着された給電装置2Cと、電子機器を搭載して室内を移動するカート3の脚部32であって給電装置2と対向可能な位置に装着された受電装置4Cとを備え、給電装置2Cと受電装置4Cとが対向配置された状態で電磁誘導による非接触給電を行うカート用非接触給電システムであって、室内構造物1には、水平方向に向けて開口する収納部13Cと、当該収納部13Cを閉塞する蓋体135Cとを備え、給電装置2Cは、受電装置4Cと対向する前端部221Cが蓋体135と同一面上に配置された状態で、収納部13C内に装着されている。なお、室内構造物1は、床面に載置する固定テーブルの例で説明する。また、第1実施例の構成と共通する物は、共通の符号を付して、原則としてその説明を割愛し、第1実施例に対する相違点を中心に説明する。
【0091】
具体的には、第3実施例のカート用非接触給電システム10Cは、テーブル板11と、床面FL上に載置されテーブル板11を支持する複数(左右一対)のテーブル脚部12と、当該テーブル脚部12の上下方向の中間部121同士を連結する連結部(請求項1の「収納部」に相当、以下同じ)13に装着された給電装置2Cとを有する固定テーブル1と、電子機器(例えば、パーソナルコンピュータ:図示しない)を搭載可能に形成されたカート台31と、当該カート台31の下端に連結され床面FLを走行する複数のキャスタ321を有するカート脚部32と、給電装置2Cと対向可能な位置でカート脚部32に装着された受電装置4Cとを有するカート3とを備え、給電装置2Cに有する給電コイル部21Cと受電装置4Cに有する受電コイル部41Cとが対向配置された状態で電磁誘導による非接触給電を行うカート用非接触給電システムである。なお、「カート」とは、床面を移動可能に形成された搬送機器の意味であって、病院等で使用されるナースカートには限らない。
【0092】
また、連結部(収納部)13には、前後方向に向けて開口する前端と後端とを閉塞する複数の平坦な化粧板(蓋体)135が固定されている。複数の化粧板135は、左右長さの異なる矩形板に形成され、左右方向に一列状に配列されている。給電装置2Cは、前端部221Cが、前後両方の化粧板135に対して、化粧板135と同一面上に配置された状態で、連結部13C内に装着されている。さらに、給電装置2Cの前端部221Cは、隣接する化粧板135(135C2、135C3)と同一又は類似の部材から成る化粧板135C1により被覆されて、両化粧板135(135C1、135C2、135C3)同士が同一面上に配置されている。そのため、給電装置2Cの前端部221Cを化粧板135と外観上同一化させることができる。なお、給電装置2Cの前端部221Cを被覆する化粧板135C1は、隣接する化粧板135(135C2、135C3)と同一の色に着色されていても、異なる色に着色されていても良い。
【0093】
また、室内構造物1の下端部122には、給電装置2Cと受電装置4Cとが非接触給電できる位置に、カート3を位置決めさせる位置決め手段14を備えている。具体的には、
図14、
図16に示すように、テーブル脚部12の下端部122同士を連結する下連結部15には、カート脚部32に締結されたキャスタ321の取付けリング部321Rと当接してカート3を非接触給電の位置に案内して位置決めするガイド部(位置決め手段)14が形成されている。ガイド部14は、下連結部15の長手方向に延設された直線部142に対して、テーブル前端側とテーブル後端側に突出した複数の三角状ガイド部141を備えている。カート3は、キャスタ321の取付けリング部321Rが三角状ガイド部141と直線部142とが交差する交差部143に当接した状態で、非接触給電の位置に位置決めされる。
【0094】
また、
図16、
図17に示すように、ガイド部(位置決め手段)14には、カート3を非接触給電可能な位置に保持させる第1の保持機構HK1を有することが好ましい。第1の保持機構HK1は、板ばね等の弾性部材で形成され、先端部に形成された係止部HK11がキャスタ321の取付けリング部321Rに当接してカート3の移動を規制する。具体的には、第1の保持機構HK1は、三角状ガイド部141の傾斜面に形成された凹溝141M内に固定された基端部と、当該基端部からU字状に屈曲する湾曲部を介して三角状ガイド部141の傾斜面より突出した先端部とを備え、当該先端部には、山型に形成された係止部HK11を有している。カート3を非接触給電の位置にセットする際、キャスタ321の取付けリング部321Rに押圧された係止部HK11は、湾曲部が変形して凹溝141M内に隠れた後、取付けリング部321Rが交差部143に当接した段階で、三角状ガイド部141の傾斜面より外方へ突出し、取付けリング部321Rに再度当接することによって、カート3の戻りを規制する。
【0095】
また、
図15、
図18~
図20に示すように、給電装置2Cには、給電コイル部21Cを平板状に被覆した給電用ケース前端部221Cを有する給電用保護ケース22Cを備え、給電コイル部21Cは、上端部211Cと下端部212Cとが給電用ケース前端部221Cの裏面に当接し、上下方向の中間部213Cにコイル線214Cが巻回された略コの字状断面に形成された給電コア部21CCを有している。給電用ケース前端部221Cは、平坦面に形成されている。給電コア部21CCは、正面視で矩形状に形成され、側面視で偏平なコの字状断面に形成されている。給電コイル部21Cのコイル軸CJは、給電コア部21CCの略コの字状断面に沿って屈曲し、上端部211Cと下端部212Cにて、給電用ケース前端部221Cに対して面直方向に交差している。
【0096】
また、受電装置4Cには、受電コイル部41Cを平板状に被覆した受電用ケース前端部421Cを有する受電用保護ケース42Cを備え、受電コイル部41Cは、上端部411Cと下端部412Cとが受電用ケース前端部421Cの裏面に当接し、上下方向の中間部413Cにコイル線414Cが巻回された略コの字状断面に形成された受電コア部41CCを有している。受電用ケース前端部421Cは、平坦面に形成されている。受電コア部41CCは、正面視で矩形状に形成され、側面視で偏平なコの字状断面に形成されている。受電コイル部41Cのコイル軸CJは、受電コア部41CCの略コの字状断面に沿って屈曲し、上端部411Cと下端部412Cにて、受電用ケース前端部421Cに対して面直方向に交差している。
【0097】
そして、給電コア部21CCの上端部211Cと受電コア部41CCの上端部411Cとが対向し、給電コア部21CCの下端部212Cと受電コア部41CCの下端部412Cとが対向して、給電コイル部21Cと受電コイル部41Cとの間で電磁誘導による非接触給電が行われる。そのため、給電コア部21CCと受電コア部41CCとの間で、電磁誘導に伴う磁力線がループを形成し、外部への漏えいが生じにくく、より効率的に給電することができる。また、給電コア部21CCと受電コア部41CCとが、側面視で偏平なコの字状断面に形成されているので、給電装置2C及び受電装置4Cの薄型化に寄与できる。
【0098】
また、給電装置2C及び受電装置4Cには、給電装置2Cの前端部221Cと受電装置4Cの前端部421Cとを非接触給電可能な位置に保持させる第2の保持機構HK2を有していることが好ましい。具体的には、給電装置2Cには、給電コイル部21Cから離間した下方位置で給電用保護ケース22Cの裏面に鉄系金属部材23TCを備え、受電装置4Cには、受電用保護ケース42Cの裏面で鉄系金属部材23TCと対応する位置に、永久磁石体43Cを備えている。永久磁石体43Cと鉄系金属部材23TCとが、上記第2の保持機構HK2を構成する。なお、第1実施例で説明したように、永久磁石体43Cの磁力は、鉄系金属部材23TCに吸着することによって、給電コイル部21Cと受電コイル部41Cとの非接触給電の状態を保持する上で、必要最小限の大きさに形成されていることが好ましい。
【0099】
また、給電装置2Cには、受電装置4Cとの対向位置における隙間を検出する隙間検出手段24Cを備え、隙間検出手段24Cは、給電装置2Cと受電装置4Cとが対向位置で所定の距離に近接したとき、非接触給電を開始させる信号を出力することが好ましい。具体的には、隙間検出手段24Cとして、給電用保護ケース22Cの裏面に磁気検出素子24JCを設けている。磁気検出素子24JCは、鉄系金属部材23TCに装着され、受電装置4Cの永久磁石体43Cから放出される磁力線を検出して、非接触給電可否の信号を給電装置2Cの制御回路214Kに出力する。すなわち、給電装置2Cと受電装置4Cとが、効率的に非接触給電が可能な所定の距離(例えは、10~15mm程度)に接近したときに、非接触給電を開始させ、所定の距離より離間している場合には、非接触給電を停止させる。なお、第1実施例及び第2実施例についても、上記隙間検出手段24Cを設けても良い。
【0100】
また、給電用保護ケース22Cと受電用保護ケース42Cは、互いに同一の大きさに形成された硬質樹脂製ケース22JC、42JCを有する。硬質樹脂製ケース22JC、42JCは、高強度化、軽量化に有効な部材、例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン:Acrylonitrile butadiene styrene)樹脂製ケース、又はPA(ポリアミド:Polyamide)樹脂製ケース等が好ましい。
【0101】
また、給電装置2Cには、給電用保護ケース22Cの外縁部225Cが連結された基台27Cを備え、基台27Cの近傍には、制御回路214Kが配置されている。制御回路214Kと給電コイル部21Cとの間には、電磁シールド部材215Cが装着されている。また、受電装置4Cには、受電用保護ケース42Cの外縁部425Cが連結された基台45Cを備え、基台45Cの近傍には、制御回路414Kが配置されている。制御回路414Kと受電コイル部41Cとの間には、電磁シールド部材415Cが装着されている。
【0102】
また、テーブル脚部12の連結部13には、化粧板135の上端部に連結されテーブル板11と略平行に配設された上棚板136と、化粧板135の下端部に連結されテーブル板11と略平行に配設された下棚板137と、両端部がテーブル脚部12に締結され左右方向に延設された主フレーム部材131と、主フレーム部材131に締結され上下方向に延設された補助フレーム部材132とを備えている。主フレーム部材131と補助フレーム部材132は、化粧板135と上棚板136と下棚板137とによって囲まれた中空部内に配設されている。下棚板137は、給電装置2Cの前端部221Cを被覆する化粧板(蓋体)135C1の位置で、内方に凹む切欠き部が形成されている。
【0103】
なお、給電装置2Cの前端部221Cを被覆する化粧板(蓋体)135C1は、上棚板136と下棚板137とに隣接して、給電用保護ケース22Cの外縁部225Cを囲うように重箱状に形成されている。重箱状に形成された化粧板(蓋体)135C1の下端部には、下棚板137と分離された同一部材の下棚板137aが接合されている。分離された下棚板137aの前端面は、隣接する下棚板137の前端面と同一面上に形成されている。
【0104】
また、給電装置2Cは、連結部13に対して複数のバネ部材28を介して水平方向へ移動可能に装着されていることが好ましい。具体的には、給電装置2は、テーブル脚部12の連結部13に複数のバネ部材28を介して前後方向(水平方向)へ移動可能に装着されている。バネ部材28は、基台27Cの後端面に接続されたベース板133に締結された4つの支持軸部281の外周側に嵌装されている。バネ部材28は、ベース板133と補助フレーム部材132との間に圧縮バネとして装着されている。また、受電装置4Cの基台45Cは、カート脚部32の角筒状脚部324の前端面に固定されている。受電装置4Cは、短辺がカート脚部32(角筒状脚部324)の左右幅寸法に略等しく、長辺が上下方向に長い略直方体に形成されている。
【0105】
<室内構造物の変形例>
次に、本実施形態に係るカート用非接触給電システムにおける室内構造物1の変形例について、簡単に説明する。
【0106】
本発明は、本発明の要旨を変更しない範囲で、各種形態に変更しうることは、言うまでもない。例えば、本実施形態の第3実施例では、室内構造物1は、部屋の床面に載置する長尺の固定テーブル1であり、収納部13は、テーブル脚部12の上下方向の中間部121同士を連結する連結部13である例で説明したが、必ずしも、これらに限定する必要はない。例えば、室内構造物1は、収納棚を有するキャビネット等の家具でも良い。その場合、給電装置2Cを収納する収納部13として、収納棚の一部を使用することができる。さらに、室内構造物1が、凹部を有する部屋の壁面であり、収納部13を壁面の凹部に設置する収納棚であっても良い。
【0107】
また、室内構造物1は、例えば、部屋の床面を移動可能に形成された衝立部材であって、収納部13は、衝立部材の縦壁部に装着され、室内に向けて開口するコンセント端子部でも良い。そして、給電装置2Cは、受電装置4Cと対向する前端部221Cがコンセント端子部の前端を覆うカバー(蓋体)の全部又は一部を兼ねる態様で、コンセント端子部内に装着されている。この場合、給電装置2Cの前端部221Cに衝立部材の化粧板と同一又は類似の部材から成る化粧板135を被覆しても良い。なお、衝立部材の側壁面には、カート3のキャスタ321を規制する位置決め手段14として、ガイド板を設けても良い。また、衝立部材は、部屋の壁面に固定して使用しても、2つの衝立部材を背中合わせに当接して、2つのカート3を同時に非接触給電しても良い。
【0108】
また、室内構造物1は、例えば、部屋の壁面を構成する壁板又は仕切り板であって、収納部13は、壁板又は仕切り板に装着され、室内に向けて開口するコンセント端子部でも良い。そして、給電装置2Cは、受電装置4Cと対向する前端部221Cがコンセント端子部の前端を覆うカバー(蓋体)の全部又は一部を兼ねる態様で、コンセント端子部内に装着されている。この場合、給電装置2Cの前端部221Cに化粧板135を被覆しても良い。なお、壁板又は仕切り板には、カート3のキャスタ321とカート台31を規制する位置決め手段14として、ガイド板を設けても良い。また、壁板又は仕切り板、並びに床面には、カート3の位置決め用のガイドラインをテープ又は塗色等によって明示しても良い。
【0109】
また、室内構造物1は、例えば、部屋の床面を構成する床板や踏み台であって、収納部13は、床板や踏み台に装着され、室内に向けて開口するコンセント端子部でも良い。そして、給電装置2Cは、受電装置4Cと対向する前端部221Cがコンセント端子部の上端を覆うカバー(蓋体)に被覆される態様で、コンセント端子部内に装着されている。この場合、受電装置4Cは、カート3の脚部の下端に下方へ向けて装着する。なお、コンセント端子部は、上下に昇降させても良いし、所定の高さで固定しても良い。コンセント端子を壁面に近接した位置に設けた場合には、壁面にカート3のキャスタ321を規制する位置決め手段14として、ガイド板を設けても良い。また、コンセント端子を壁面から離間した位置に設けた場合には、天井にカート3の位置を検出する位置検出器を備え、カート3を規制する位置決め手段14として利用しても良い。
【0110】
<作用効果>
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係るカート用非接触給電システム10、10B、10Cによれば、室内構造物1には、室内に向けて開口する収納部13と、当該収納部13を閉塞する表面が平坦な蓋体135とを備え、給電装置2、2B、2Cは、受電装置4、4B、4Cと対向する前端部221、221B、221Cが蓋体135の全部又は一部を兼ねる態様で、収納部13内に装着されているので、給電装置2、2B、2Cの全部又は一部を収納部13内に隠しつつ、給電装置2、2B、2Cの前端部221、221B、221Cを収納部13を閉塞する蓋体135と外観上同一化させることができる。その結果、給電装置2、2B、2Cの前端部221、221B、221Cが、室内構造物1の収納部13を閉塞する蓋体135に溶け込み、目立たなくなることによって、給電装置2、2B、2Cを装着する室内構造物1の見栄えを向上させることができる。
【0111】
よって、本実施形態によれば、給電装置2、2B、2Cを有する室内構造物1に対して、受電装置4、4B、4Cを有するカート3が非接触給電可能であって、給電装置2、2B、2Cを装着する室内構造物1の見栄え向上に有効なカート用非接触給電システム10、10B、10Cを提供することができる。
【0112】
また、本実施形態によれば、給電装置2Cの前端部221Cは、隣接する蓋体135(135C2、135C3)と同一又は類似の部材から成る蓋体135(135C1)により被覆されて、両蓋体135(135C1、135C2、135C3)同士が同一面上に配置されているので、給電装置2Cの前端部221Cを、蓋体135に対して、より一層外観上同一化させることができる。その結果、給電装置2Cの前端部221Cが、室内構造物1の収納部13を閉塞する蓋体135と区別がつきにくく、より一層目立たなくなることによって、給電装置2Cを装着する室内構造物1の見栄えをより一層向上させることができる。
【0113】
また、本実施形態によれば、室内構造物1の下端部122には、給電装置2、2B、2Cと受電装置4、4B、4Cとが非接触給電できる位置に、カート3を位置決めさせる位置決め手段14を備えているので、位置決め手段14を給電装置2、2B、2Cから離間した位置に形成することができる。そのため、給電装置2、2B、2Cを装着する室内構造物1の見栄えに影響することなく、室内構造物1に高剛性の位置決め手段14を設けることができる。そして、高剛性の位置決め手段14によって、カート3の衝撃荷重を受け止め、給電装置2、2B、2Cと受電装置4、4B、4Cとをより一層近距離で対向させて、効率的に非接触給電を行うことができる。
【0114】
また、位置決め手段14には、カート3を非接触給電可能な位置に保持させる第1の保持機構HK1を有しているので、給電装置2、2B、2Cと受電装置4、4B、4Cとが非接触給電できる位置に、カート3をセットした後は、本カート用非接触給電システム10、10B、10Cの充電完了まで第1の保持機構HK1がカート3をその位置に保持させることができる。その結果、本カート用非接触給電システム10、10B、10Cにおいて、より効率的に非接触給電を行うと共に、操作上の利便性を高めることができる。
【0115】
また、本実施形態によれば、給電装置2、2B、2C及び受電装置4、4B、4Cには、給電装置2、2B、2Cの前端部221、221B、221Cと受電装置4、4B、4Cの前端部421、421B、421Cとを非接触給電可能な位置に保持させる第2の保持機構HK2を有しているので、給電装置2、2B、2Cと受電装置4、4B、4Cとが非接触給電できる位置に、カート3をセットした後は、本カート用非接触給電システム10、10B、10Cの充電完了まで第2の保持機構HK2が給電装置2、2B、2Cと受電装置4、4B、4Cとの間隔を保持させることができる。その結果、本カート用非接触給電システム10、10B、10Cにおいて、より効率的に非接触給電を行うと共に、操作上の利便性を高めることができる。
【0116】
また、本実施形態によれば、給電装置2、2B、2C又は受電装置4、4B、4Cには、両者の対向位置における隙間を検出する隙間検出手段24Cを備え、隙間検出手段24Cは、給電装置2、2B、2Cと受電装置4、4B、4Cとが対向位置で所定の距離に近接したとき、非接触給電を開始させる信号を出力するので、給電装置2、2B、2Cと受電装置4、4B、4Cとが対向位置で所定の距離より離間している場合には、非接触給電を停止させることができる。そのため、給電装置2、2B、2Cと受電装置4、4B、4Cと間で、無駄な電力を消費させることなく、効率的に非接触給電せることができる。
【0117】
また、本実施形態によれば、給電装置2Cには、給電コイル部21Cを平板状に被覆した給電用ケース前端部221Cを有する給電用保護ケース22Cを備え、給電コイル部21Cは、上端部211Cと下端部212Cとが給電用ケース前端部221Cの裏面に当接し、上下方向の中間部213Cにコイル線214Cが巻回された略コの字状断面に形成された給電コア部21CCを有し、受電装置4Cには、受電コイル部41Cを平板状に被覆した受電用ケース前端部421Cを有する受電用保護ケース42Cを備え、受電コイル部41Cは、上端部411Cと下端部412Cとが受電用ケース前端部421Cの裏面に当接し、上下方向の中間部413Cにコイル線414Cが巻回された略コの字状断面に形成された受電コア部41CCを有し、また、給電コア部21CCの上端部211Cと受電コア部41CCの上端部411Cとが対向し、給電コア部21CCの下端部212Cと受電コア部41CCの下端部412Cとが対向して、給電コイル部21Cと受電コイル部41Cとの間で電磁誘導による非接触給電が行われるので、給電コイル部21Cと受電コイル部41Cとを薄型化して対向配置させることができる。そのため、給電装置2Cが室内構造物1の収納部13内に収納しやすくなり、給電装置2Cを装着した室内構造物1の見栄えをより一層向上させることができる。さらに、カート3の脚部32に対する受電装置4Cの突出量を減少させて、カート3の受電装置4Cに対する見栄えを向上させることができる。
【0118】
また、本実施形態によれば、給電装置2、2Bには、給電コイル部21を平板状に被覆した給電用ケース前端部221、221Bを有する給電用保護ケース22、22Bを備え、給電用ケース前端部221、221Bには、給電コイル部21から離間した位置で略平行に形成された給電用ストッパ部23、23Bを有し、また、受電装置4、4Bには、受電コイル部41を平板状に被覆した受電用ケース前端部421、421Bを有する受電用保護ケース42、42Bを備え、受電用ケース前端部421、421Bには、受電コイル部41から離間した位置で略平行に形成された受電用ストッパ部43、43Bを有し、また、給電用ストッパ部23、23Bと受電用ストッパ部43、43Bとが当接した状態では、給電用ケース前端部221、221Bと受電用ケース前端部421、421Bとの間に、給電コイル部21と受電コイル部41との間で電磁誘導による非接触給電が可能な所定の隙間d3が形成されるので、給電コイル部21と受電コイル部41とが対向配置された非接触給電の状態において、給電用ケース前端部221、221Bと受電用ケース前端部421、421Bとが所定の隙間d3だけ略平行に離間した状態で、給電用ストッパ部23、23Bと受電用ストッパ部43、43Bとを略平行に当接させることができる。そのため、上記非接触給電の状態にカート3を移動する際に、給電用ストッパ部23、23Bと受電用ストッパ部43、43Bとを略平行に当接させることによって、給電用ケース前端部221、221Bと受電用ケース前端部421、421Bとの衝突を防止して、給電コイル部21又は受電コイル部41に損傷等を与える恐れを、未然に回避できる。その結果、電子機器等を搭載し相当の重量を有するカート3を、上記非接触給電の状態に安心して簡単にセットできる。
【0119】
また、給電用保護ケース22、22B及び受電用保護ケース42、42Bにおける前端側全体を略平坦な面に形成できて、各ケースの厚さを薄く形成することができる。したがって、給電装置2、2B及び受電装置4、4Bをそれぞれ簡単に薄型化できる。その結果、給電装置2、2Bを装着した室内構造物1の見栄えをより一層向上させることができる。さらに、カート3の脚部32に対する受電装置4、4Bの突出量を減少させて、カート3の受電装置4、4Bに対する見栄えを向上させることができる。
【0120】
また、本実施形態によれば、給電用ストッパ部23、23B又は受電用ストッパ部43、43Bの内、少なくとも一方は、給電用ストッパ部23、23Bと受電用ストッパ部43、43Bとが当接したときに、給電用ケース前端部221、221Bと受電用ケース前端部421、421Bとが離間した状態を保持しながら撓むゴム系緩衝部材23G、43BGを備えるので、給電装置2、2B及び受電装置4、4Bの薄型化を担保しながら、給電用ストッパ部23、23Bと受電用ストッパ部43、43Bとの当接時における衝撃荷重を、ゴム系緩衝部材23G、43BGが撓むことによって簡単に緩和させることができる。
【0121】
また、本実施形態によれば、給電用ケース前端部221、221B又は受電用ケース前端部421、421Bには、ゴム系緩衝部材23G、43BGと比較してゴム硬度が同一又は高く帯状に形成された第2ゴム系緩衝部材25、46Bを、ゴム系緩衝部材23G、43BGから最も離間した位置の前端コーナ部222、422Bに隣接して設けたので、床面FLが凹凸又は傾斜している場合でも、給電用ケース前端部221、221Bと受電用ケース前端部421、421Bとが直接的に当接するのを、ゴム系緩衝部材23G、43BGと第2ゴム系緩衝部材25、46Bとの両方で回避させることができる。したがって、給電用保護ケース22、22Bや受電用保護ケース42、42Bの損傷や、給電コイル部21及び受電コイル部41のコイル線又はその接続配線等における損傷を未然に回避することができる。なお、第2ゴム系緩衝部材25、46Bのゴム硬度が、ゴム系緩衝部材23G、43BGのゴム硬度より高い場合には、第2ゴム系緩衝部材25、46Bの帯幅を狭く形成しても、給電用ケース前端部221、221Bと受電用ケース前端部421、421Bとの間に一定の隙間(d3)を確保することができる。
【0122】
また、本実施形態によれば、給電装置2、2Bには、給電コイル部21と略同一外径に形成された永久磁石板26が給電コイル部21の後端面に積層され、受電装置4、4Bには、受電コイル部41と略同一外径に形成された永久磁石板44が受電コイル部41の後端面に積層されているので、それぞれの永久磁石板26、44によって、給電コイル部21と受電コイル部41のコイル軸方向における磁力線の指向性を高め、磁界強さを増強させることができる。そのため、給電コイル部21と受電コイル部41との非接触給電時における給電効率を高めつつ、給電装置2、2B及び受電装置4、4Bのより一層の薄型化が容易となり、室内構造物1及びカート3の見栄え向上に寄与できる。
【0123】
また、本実施形態によれば、給電装置2、2B、2Cは、収納部13に対して複数のバネ部材28を介して前後方向へ移動可能に装着されているので、床面が凹凸又は傾斜してカート3の姿勢が傾倒する場合においても、カート3に装着した受電装置4、4B、4Cの傾倒に追従して、室内構造物1の収納部13内に装着された給電装置2、2B、2Cの取付け角度等を変更させることができる。そのため、床面が凹凸又は傾斜している場合でも、給電装置2、2B、2Cと受電装置4、4B、4Cとが平行に対向配置された非接触給電の状態に簡単にセットすることができる。また、カート3の慣性力が、給電装置2、2B、2Cに作用した時にも、バネ部材28が伸縮することによって、給電装置2、2B、2C及び受電装置4、4B、4Cに対する衝撃負荷を軽減できる。
【0124】
また、本実施形態によれば、給電装置2、2Cと受電装置4、4Cとは、互いに略同一の大きさに形成された硬質樹脂製ケース22J、22JC、42J、42JCを有するので、それぞれケースの軽量化、薄型化が容易で、デザイン上の統一感を高め、室内構造物1及びカート3の見栄え向上に有効となる。また、硬質樹脂製ケース22J、22JC、42J、42JCは、共通の樹脂成形金型を使用して生産できるので、生産性の向上及びコスト低減にも寄与できる。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明は、カート上に搭載される電子機器等への非接触給電を可能としたカート用非接触給電システムとして利用できる。
【符号の説明】
【0126】
1 室内構造物、固定テーブル
2、2B、2C 給電装置
3 カート
4、4B、4C 受電装置
10、10B、10C カート用非接触給電システム
13 収納部、連結部
14 位置決め手段、ガイド部
21、21C 給電コイル部
21CC 給電コア部
22、22B、22C 給電用保護ケース
22J、22JC 硬質樹脂製ケース
23、23B 給電用ストッパ部
23G、43BG ゴム系緩衝部材
24C 隙間検出手段
25、46B ゴム系緩衝部材
26、44 永久磁石板
28 バネ部材
32 脚部、カート脚部
41、41C 受電コイル部
41CC 受電コア部
42、42B、42C 受電用保護ケース
42J、42JC 硬質樹脂製ケース
43、43B 受電用ストッパ部
122 下端部
135、135C1 蓋体、化粧板
135C2、135C3 蓋体、化粧板
211C、411C 上端部
212、412 後端面
212C、412C 下端部
213C、413C 中間部
214C、414C コイル線
221、221B、221C 前端部、給電用ケース前端部
421、421B、421C 前端部、受電用ケース前端部
HK1、HK2 保持機構
d3 隙間