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特許7521926超音波画像生成装置、超音波画像生成プログラムおよび超音波診断装置
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  • 特許-超音波画像生成装置、超音波画像生成プログラムおよび超音波診断装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】超音波画像生成装置、超音波画像生成プログラムおよび超音波診断装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/06 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
A61B8/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020077099
(22)【出願日】2020-04-24
(65)【公開番号】P2021171285
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】320011683
【氏名又は名称】富士フイルムヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石黒 俊
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-202621(JP,A)
【文献】特開2016-214439(JP,A)
【文献】特開2016-214438(JP,A)
【文献】特表2014-534852(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0147013(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
解析対象領域上に設定された流入口における血流速度ベクトルであって、所定の時間間隔で順次生成された血流速度ベクトルを取得する処理と、
先に前記血流速度ベクトルが生成された第1解析タイミングから、後に前記血流速度ベクトルが生成された第2解析タイミングに至るまでの間に前記流入口から流入する体積を示す流入血流量を、前記流入口における前記血流速度ベクトルの前記流入口に対して垂直な方向の成分と、前記流入口の幅と、前記時間間隔の積に基づいて求める処理と、
超音波画像生成演算を行うことで、前記第2解析タイミングにおける超音波画像を生成する処理と、を実行するプロセッサを備え、
前記超音波画像生成演算は、
前記流入血流量、予め定められたバッファ容量および前記血流速度ベクトルに基づいて、前記超音波画像に現れる粒子の数および位置を決定し、当該粒子の位置に粒子が表された前記超音波画像を生成する演算であり、前記バッファ容量は、前記流入血流量に基づいて、粒子の数を定める値であり、
前記流入口は、前記解析対象領域上に設定された血流開口を分割して得られる複数の分割開口のうちの1つであり、
前記超音波画像生成演算は、
前記流入血流量の液体が収容された液体源から、前記バッファ容量を有するバッファ容器に前記液体を注入し、前記バッファ容器が満たされるごとに前記バッファ容器を空にして引き続き前記液体を注入する動作を前記第1解析タイミングから、終了条件であって、前記液体源に収容されている前記液体が空になり、前記バッファ容器が前記バッファ容量まで前記液体で満たされていないという終了条件が成立するまで仮想的に実行した場合に、前記バッファ容器が満たされたタイミングごとに前記流入口で粒子を発生させ、前記終了条件が成立する終了タイミングまで、その粒子を前記血流速度ベクトルが示す方向に沿って移動させたときに、前記終了タイミングで現れている粒子の位置を求める演算であり、
前記プロセッサは、前記超音波画像生成演算を繰り返し実行し、
各前記超音波画像生成演算では、
前記第1解析タイミングで初期量の前記液体が前記バッファ容器に収容された状態で、前記第1解析タイミングより後に前記液体を前記バッファ容器に注入する動作が仮想的に実行され、
各前記超音波画像生成演算は、
前記終了タイミングで前記バッファ容器に収容されている前記液体の量を、次に実行される前記超音波画像生成演算の初期量とする演算であることを特徴とする超音波画像生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波画像生成装置と、
超音波の送受信によって前記血流速度ベクトルを求める血流速度演算装置と、を備え、
前記プロセッサは、前記血流速度演算装置から前記血流速度ベクトルを取得することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項3】
請求項に記載の超音波診断装置において、
超音波の送受信によって断層画像を生成する断層画像生成装置と、
前記超音波画像を表示する表示部と、を備え、
前記超音波画像は、前記超音波画像生成演算によって数および位置が決定された粒子が前記断層画像上に描かれた画像であることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項4】
超音波画像生成プログラムであって、
解析対象領域上に設定された流入口における血流速度ベクトルであって、所定の時間間隔で順次生成された血流速度ベクトルを取得する処理と、
先に前記血流速度ベクトルが生成された第1解析タイミングから、後に前記血流速度ベクトルが生成された第2解析タイミングに至るまでの間に前記流入口から流入する体積を示す流入血流量を、前記流入口における前記血流速度ベクトルの前記流入口に対して垂直な方向の成分と、前記流入口の幅と、前記時間間隔の積に基づいて求める処理と、
超音波画像生成演算を行うことで、前記第2解析タイミングにおける超音波画像を生成する処理と、をプロセッサに実行させ、
前記超音波画像生成演算は、
前記流入血流量、予め定められたバッファ容量および前記血流速度ベクトルに基づいて、前記超音波画像に現れる粒子の数および位置を決定し、当該粒子の位置に粒子が表された前記超音波画像を生成する演算であり、前記バッファ容量は、前記流入血流量に基づいて、粒子の数を定める値であり、
前記流入口は、前記解析対象領域上に設定された血流開口を分割して得られる複数の分割開口のうちの1つであり、
前記超音波画像生成演算は、
前記流入血流量の液体が収容された液体源から、前記バッファ容量を有するバッファ容器に前記液体を注入し、前記バッファ容器が満たされるごとに前記バッファ容器を空にして引き続き前記液体を注入する動作を前記第1解析タイミングから、終了条件であって、前記液体源に収容されている前記液体が空になり、前記バッファ容器が前記バッファ容量まで前記液体で満たされていないという終了条件が成立するまで仮想的に実行した場合に、前記バッファ容器が満たされたタイミングごとに前記流入口で粒子を発生させ、前記終了条件が成立する終了タイミングまで、その粒子を前記血流速度ベクトルが示す方向に沿って移動させたときに、前記終了タイミングで現れている粒子の位置を求める演算であり、
前記超音波画像生成プログラムは、
前記プロセッサに、前記超音波画像生成演算を繰り返し実行させ、
各前記超音波画像生成演算では、
前記第1解析タイミングで初期量の前記液体が前記バッファ容器に収容された状態で、前記第1解析タイミングより後に前記液体を前記バッファ容器に注入する動作が仮想的に実行され、
各前記超音波画像生成演算は、
前記終了タイミングで前記バッファ容器に収容されている前記液体の量を、次に実行される前記超音波画像生成演算の初期量とする演算であることを特徴とする超音波画像生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波画像生成装置、超音波画像生成プログラムおよび超音波診断装置に関し、特に、血流に関する画像を生成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体の血流速度を計測する超音波診断装置が広く用いられている。このような超音波診断装置では、血流速度ベクトルを矢印等によって断層画像に重ねて表示するVFM(Vector Flow Mapping)が実行され、血管、心臓等の循環器の診断が行われる。VFMを実行する超音波診断装置では、血流速度ベクトルがドプラ法を用いて計測される。
【0003】
以下の特許文献1および2には、VFMによって求められた血流速度ベクトルを画像上に描かれた粒子によって表す技術が示されている。この技術では、先のタイミングで生成された画像フレームと次のタイミングで生成された画像フレームとの間を補間する補間フレームが生成される。画像フレームまたは補間フレームが示す各画像には、時間経過と共に画像上を移動する粒子が描かれる。特許文献3には、血流速度を計測する基本的な技術に関する記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-214438号公報
【文献】特開2016-202621号公報
【文献】特開2015-198777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および2に記載されている技術では、心臓内の各点における血流速度ベクトルが画像上に表現される。しかし、この技術には、点ではない広がりを持った領域を所定時間当たりに流れる血液の体積、すなわち、広がりを持った領域における血液の流量が表現されないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、血流速度ベクトルの解析対象の領域において、広がりを持った領域における血液の流量を適切に示すことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、解析対象領域上に設定された流入口における血流速度ベクトルであって、所定の時間間隔で順次生成された血流速度ベクトルを取得する処理と、先に前記血流速度ベクトルが生成された第1解析タイミングから、後に前記血流速度ベクトルが生成された第2解析タイミングに至るまでの間に前記流入口から流入する体積を示す流入血流量を、前記流入口における前記血流速度ベクトルの前記流入口に対して垂直な方向の成分と、前記流入口の幅と、前記時間間隔の積に基づいて求める処理と、超音波画像生成演算を行うことで、前記第2解析タイミングにおける超音波画像を生成する処理と、を実行するプロセッサを備え、前記超音波画像生成演算は、前記流入血流量、予め定められたバッファ容量および前記血流速度ベクトルに基づいて、前記超音波画像に現れる粒子の数および位置を決定し、当該粒子の位置に粒子が表された前記超音波画像を生成する演算であり、前記バッファ容量は、前記流入血流量に基づいて、粒子の数を定める値であり、前記流入口は、前記解析対象領域上に設定された血流開口を分割して得られる複数の分割開口のうちの1つであり、前記超音波画像生成演算は、前記流入血流量の液体が収容された液体源から、前記バッファ容量を有するバッファ容器に前記液体を注入し、前記バッファ容器が満たされるごとに前記バッファ容器を空にして引き続き前記液体を注入する動作を前記第1解析タイミングから、終了条件であって、前記液体源に収容されている前記液体が空になり、前記バッファ容器が前記バッファ容量まで前記液体で満たされていないという終了条件が成立するに至るまで仮想的に実行した場合に、前記バッファ容器が満たされたタイミングごとに前記流入口で粒子を発生させ、前記終了条件が成立する終了タイミングまで、その粒子を前記血流速度ベクトルが示す方向に沿って移動させたときに、前記終了タイミングで現れている粒子の位置を求める演算であり、前記プロセッサは、前記超音波画像生成演算を繰り返し実行し、各前記超音波画像生成演算では、前記第1解析タイミングで初期量の前記液体が前記バッファ容器に収容された状態で、前記第1解析タイミングより後に前記液体を前記バッファ容器に注入する動作が仮想的に実行され、各前記超音波画像生成演算は、前記終了タイミングで前記バッファ容器に収容されている前記液体の量を、次に実行される前記超音波画像生成演算の初期量とする演算であることを特徴とする
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、血流速度ベクトルの解析対象の領域において、広がりを持った領域における血液の流量が適切に示される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】超音波診断装置の構成を示す図である。
図2】VFMにおける条件を設定するために表示部に表示される画像を示す図である。
図3】血流開口に対して仮想的に流入口を設定する処理を概念的に示す図である。
図4】バッファ注入演算の解析モデルを示す図である。
図5】各粒子が断層画像上に描かれた超音波画像を模式的に示す図である。
図6】各粒子が断層画像上に描かれた超音波画像を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
各図を参照して本発明の実施形態が説明される。複数の図面に示されている同一の事項については同一の符号が付され、説明が簡略化されている。
【0011】
図1には、本発明の実施形態に係る超音波診断装置の構成が示されている。超音波診断装置は、超音波プローブ10、送受信回路12、演算デバイス18、表示部20、制御部22、操作部24および記憶デバイス26を備えている。操作部24は、キーボード、マウス、回転ツマミ、レバー等を含み、ユーザの操作に基づく操作情報を制御部22に出力する。制御部22は、操作情報に基づいて超音波診断装置の全体的な制御を行う。表示部20は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等であってよい。また、表示部20は、操作部24と共にタッチパネルを構成してもよい。
【0012】
記憶媒体としての記憶デバイス26には、例えば、ハードディスク、USBメモリ、SDカード等の記憶装置が用いられる。記憶デバイス26は、インターネット等の通信回線上にあるストレージであってもよい。
【0013】
演算デバイス18は、断層画像生成部28、血流速度演算部30、粒子位置演算部32、条件設定部34および表示処理部38を備えている。演算デバイス18は、外部の記憶媒体や記憶デバイス26に記憶されているプログラムを実行することで、これらの構成要素(断層画像生成部28、血流速度演算部30、粒子位置演算部32、条件設定部34および表示処理部38)を内部に構成するプロセッサであってよい。各構成要素が演算に用いる情報、演算の過程で一時的に記憶されるべき情報、演算の結果得られた情報等は記憶デバイス26に記憶されてよい。
【0014】
演算デバイス18が備える1つの構成要素は、分散処理を実行する複数のプロセッサによって構成されてもよい。また、演算デバイス18が備える複数の構成要素のうちの一部または全部は、外部のコンピュータによって構成されてもよい。外部のコンピュータは、演算デバイス18に直接接続されたものでもよいし、インターネット等の通信回線に接続されたものでもよい。演算デバイス18が備える1つの構成要素は、分散処理を実行する外部の複数のコンピュータによって構成されてもよい。さらに、演算デバイス18が備える複数の構成要素のうちの一部または全部は、ハードウエアとしての電子回路によって個別に構成されてもよい。
【0015】
超音波診断装置は被検体の断層画像を求めるBモードで動作するように構成されている。Bモードでは、制御部22の制御によって、送受信回路12、超音波プローブ10、演算デバイス18および表示部20が以下に説明されるように動作する。
【0016】
送受信回路12は、送信回路14および受信回路16を備えている。超音波プローブ10は、複数の振動素子を備えている。送信回路14は、各振動素子に送信信号を出力する。各振動素子は、送信信号を超音波に変換し、被検体に送信する。送信回路14は、各振動素子から発せられた超音波が特定の方向で強め合うように、各振動素子に出力する送信信号の遅延時間を調整し、その特定の方向に超音波による送信超音波ビームを形成すると共に、送信超音波ビームを被検体に対して走査する。
【0017】
複数の振動素子のそれぞれは、被検体で反射した超音波を受信し、電気信号に変換して受信回路16に出力する。受信回路16は、送信超音波ビーム方向から受信された超音波に基づく電気信号が強め合うように、各振動素子から出力された電気信号を整相加算して受信信号を生成し、この受信信号を演算デバイス18に出力する。これによって、超音波プローブ10において受信超音波ビームが形成され、その受信超音波ビームに応じた受信信号が、断層画像を生成する受信信号として送受信回路12から演算デバイス18に出力される。なお、以下の説明では、送信超音波ビームおよび受信超音波ビームの総称として「超音波ビーム」の用語が用いられる。
【0018】
演算デバイス18の内部に構成された断層画像生成部28は、走査方向に応じた各超音波ビーム方向に対して得られた受信信号に基づいて断層画像フレームを生成し、表示処理部38に出力する。表示処理部38は、断層画像フレームに基づく断層画像を表示部20に表示させる。また、断層画像生成部28は、断層画像フレームを記憶デバイス26に記憶する。
【0019】
Bモードでは、制御部22の制御によって、送受信回路12、超音波プローブ10および演算デバイス18は、被検体に対する超音波ビーム40の走査を繰り返し実行する。断層画像生成部28は、断層画像フレームを所定のフレームレートで時間経過と共に順次求め、記憶デバイス26に記憶する。
【0020】
超音波診断装置は、Bモードの他、血流速度ベクトルを求めるドプラ計測モードで動作するように構成されている。ドプラ計測モードでは、制御部22の制御によって、送受信回路12、超音波プローブ10および演算デバイス18が以下に説明されるように動作する。Bモードの動作における超音波の送受信と、ドプラ計測モードの動作における超音波の送受信が時分割で行われることで、Bモードの動作とドプラ計測モードの動作が時分割で実行されてもよい。
【0021】
制御部22は、送受信回路12を制御して、超音波プローブ10で形成される送信超音波ビームを走査し、各送信超音波ビーム方向にドプラ計測モード用の超音波を送信する。ドプラ計測モード用の送信超音波ビームを走査する解析対象領域は、Bモードにおいて超音波ビーム40が走査された領域に含まれる領域であってよい。複数の振動素子のそれぞれは、被検体で反射した超音波を受信し、電気信号に変換して受信回路16に出力する。
【0022】
受信回路16は、制御部22による制御に従い、超音波プローブ10の各超音波振動子から出力された電気信号を整相加算してドプラ計測モード用の受信信号を生成し、演算デバイス18に出力する。これよって、超音波プローブ10において受信超音波ビームが形成され、その受信超音波ビームに応じた受信信号が、ドプラ計測モード用の受信信号として送受信回路12から演算デバイス18に出力される。
【0023】
演算デバイス18の内部に構成された血流速度演算部30は、走査方向に応じた各超音波ビーム方向に対して得られた受信信号のドプラシフト周波数を解析し、解析対象領域で走査される各超音波ビーム41上の各位置における血流速度の超音波ビーム方向成分を求める。血流速度演算部30は、例えば、特許文献3に記載されている演算を用いて、各超音波ビーム41上の各位置における血流速度の超音波ビーム方向成分に基づいて、各超音波ビーム41上の各位置について、超音波ビーム方向成分に直交する直交成分を求める。なお、特許文献3では、超音波ビーム方向成分および直交成分は、それぞれ、ドプラ計測成分および交差経路方向成分と称されている。
【0024】
特許文献3に記載されている演算は、質量保存の法則に従う微分方程式に基づいて、超音波ビーム方向成分に対応する直交成分を求める演算である。ここで、質量保存の法則は、ある閉空間において血液が流入のみ、あるいは、流出のみすることはなく、流入した血液の体積と同一の体積だけ、その閉空間から血液が流出するという法則である。
【0025】
このような処理によって、血流速度演算部30は、解析対象領域における各位置について、超音波ビーム方向成分および直交成分を含む血流速度ベクトルを求める。血流速度演算部30は、血流速度ベクトルに対して座標変換処理を施してもよい。血流速度演算部30は、例えば、超音波ビーム方向成分および直交成分を含む血流速度ベクトルを、直交座標系で表された血流速度ベクトルに変換してもよい。血流速度演算部30は、解析対象領域における各位置について求められた血流速度ベクトルを、以下に示される血流速度データセットの形態で記憶デバイス26に記憶する。
【0026】
ドプラ計測モードでは、制御部22の制御によって、送受信回路12、超音波プローブ10および演算デバイス18は、被検体に対する超音波ビーム41の走査を繰り返し実行する。血流速度演算部30は、解析対象領域に対して求められた血流速度ベクトル群を表す血流速度データセットを、所定のフレームレートで時間経過と共に順次求め、記憶デバイス26に記憶する。
【0027】
このように、超音波プローブ10、送受信回路12および断層画像生成部28は、超音波の送受信によって断層画像を生成する断層画像生成装置を構成する。また、超音波プローブ10、送受信回路12および血流速度演算部30は、超音波の送受信によって血流速度ベクトルを求める血流速度演算装置を構成する。
【0028】
超音波診断装置は超音波画像を生成する超音波画像生成装置として動作する。すなわち、超音波診断装置は、記憶デバイス26に記憶された断層画像フレームおよび血流速度データセットに基づいてVFMを実行する。VFMは、断層画像フレームおよび血流速度データセットに基づいて、断層画像に血液の流量を示す図形を重ねた超音波画像を示すデータを生成し、その超音波画像を表示部20に表示させる処理である。
【0029】
血液の流量は、所定の時間当たりに、所定の領域を流れる血液の体積を表す。後述するように、血液の流量は、断層画像上に描かれる粒子の位置および数によって表される。なお、本明細書における「粒子」の用語は、血流量を表す図形を意味する。「粒子」は、円形や多角形のマークであってもよいし、矢印等の図形で表されてもよい。
【0030】
図2には、VFMにおける条件を設定するために、表示処理部38が表示部20に表示させる画像が示されている。この図には、心臓50の左心房52、左心室54および僧帽弁56が示されている。制御部22は、操作部24における操作に応じて条件設定部34を制御し、条件設定部34は、制御部22による制御に応じて基準ライン58を設定する。図2には、左心房52および左心室54との境界を仕切るように、僧帽弁56の位置に設定された基準ライン58が示されている。基準ライン58は、右側の僧帽弁輪部壁から、左側の僧帽弁輪部壁に至る長さを有する直線である。
【0031】
条件設定部34は、予め定められた距離だけ左心室54側に基準ライン58を平行移動した直線を開口ライン60として設定する。条件設定部34は、開口ライン60上に血流開口61を設定する。VFMでは、血流開口61における流量に基づく演算が実行される。
【0032】
このように、左心房52および左心室54との境界を仕切るように僧帽弁56の位置に基準ライン58が設定される。そして、予め定められた距離だけ左心室54側に基準ライン58と平行に開口ライン60が設定され、開口ライン60上に血流開口61が設定される。これによって、左心室54における比較的血液の流量が大きい位置で血液の流量が求められる。
【0033】
図3には、血流開口61に対して流入口64を設定する処理が概念的に示されている。条件設定部34は、開口ライン60において僧帽弁輪部壁62に挟まれる区間を血流開口61として設定する。条件設定部34は、さらに、血流開口61を等分割し、等分割によって得られた各区間を流入口64として設定する。図3には、血流開口61を10区間に分割して得られる10個の分割開口のそれぞれが流入口64として設定された例が示されている。条件設定部34は、開口ライン60が延伸する方向と、10個の流入口64のそれぞれが占める範囲を示す流入口情報を生成する。
【0034】
粒子位置演算部32は、条件設定部34によって求められた流入口情報と、記憶デバイス26に予め記憶された各血流速度データセットに基づいて粒子位置演算を実行し、断層画像上に描かれる粒子の位置および数を求める。
【0035】
粒子位置演算が以下に説明される。粒子位置演算は、時間経過と共に順次求められた血流速度データセットのうち、時系列上(時間軸上)で隣接する先の血流速度データセットと後の血流速度データセットに基づいて、後の血流速度データセットに対応する粒子の位置および数を求める演算である。また、粒子位置演算では、複数の流入口のそれぞれについて同一の処理が実行される。ここでは、1つの流入口に対して実行される処理が説明される。
【0036】
また、粒子位置演算部32は、記憶デバイス26に記憶された血流速度データセットについて、粒子位置演算を繰り返し実行する。すなわち、記憶デバイス26に、時系列順に生成された第1の血流速度データセット、第2の血流速度データセット、・・・・・第Nの血流速度データセットが記憶されている場合、第1および第2の血流速度データセットに対する粒子位置演算、第2および第3の血流速度データセットに対する粒子位置演算、第3および第4の血流速度データセットに対する粒子位置演算・・・・・第N-1および第Nの血流データセットに対する粒子位置演算が実行される。
【0037】
粒子位置演算部32は流入口における流入血流量を求める。流入血流量は、先の血流速度データセットが生成されてから後の血流速度データセットが生成されるまでの間に、流入口に流入する血液の体積(二次元平面で考えているため、面積となる)であり、血流の速さ[m/s]と流入口の幅[m]とを乗じた値に、フレーム時間間隔[s]を乗じることで求められる。フレーム時間間隔は、断層画像フレームおよび血流速度データセットが生成されるフレームレートの逆数である。血流の速さは、流入口における血流速度ベクトルについての、流入口に対して垂直な方向の成分である。この血流速度ベクトルは、後の血流速度データセットに基づく血流速度ベクトルである。また、以下の説明では、先の血流速度データセットが生成されたタイミングが第1解析タイミングと称され、後の血流速度データセットが生成されたタイミングが第2解析タイミングと称される。
【0038】
粒子位置演算部32は、流入血流量に対して次のようなバッファ注入演算を実行する。図4には、バッファ注入演算の解析モデルが概念的に示されている。バッファ注入演算では、流入血流量の液体が収容された液体源70と、所定のバッファ容量を有するバッファ容器68が仮想的に用いられる。そして、液体源70からバッファ容器68に液体を一定流量で注入し、バッファ容器68が満たされるごとにバッファ容器68を空にして引き続き液体源70からバッファ容器68に一定流量で液体を注入する動作が、第1解析タイミングから第2解析タイミングに至るまでの間に実行される解析モデルが演算対象とされる。
【0039】
図4(a1)~(a4)には、バッファ容器68とバッファ容器68に収容された液体が示されている。図4(b1)~(b4)には、断層画像上に描かれる粒子の位置が示されている。
【0040】
第1解析タイミング、すなわち、1つのバッファ注入演算が開始されるタイミングでは、図4(a1)に示されているように、バッファ容器68には初期量の液体72が収容されている。初期量は、先に実行されたバッファ注入演算においてバッファ容器68に残留した液体の量(残留量)と同一値である。液体源70には、流入血流量の液体が収容されている。図4(b1)に示されているように、断層画像上には粒子は配置されていない。
【0041】
解析モデルでは、液体源70に収容されている液体が一定の流量でバッファ容器68に注入される。図4(a2)に示されているようにバッファ容器68に液体が満たされたときに、断層画像上の流入口64の中心に粒子が配置される。図4(b2)には、断層画像上の流入口64の中心に配置された粒子80-1が示されている。この粒子80-1は、時間経過と共に、後の血流速度データセットに基づく血流速度ベクトルによって示される方向に移動する。
【0042】
図4(a3)には、バッファ容器68が一旦空にされた後、液体源70に収容されている液体が一定の流量でバッファ容器68に注入され、バッファ容器68に再び液体が満たされた状態が示されている。バッファ容器68に再び液体が満たされたときに、断層画像上の流入口64の中心に粒子が配置される。図4(b3)には、断層画像上の流入口64の中心に配置された粒子80-2が示されている。図4(b3)に示されているように、粒子80-1は、図4(a2)の状態から図4(a3)の状態に解析モデルの状態が移行する間に、後の血流速度データセットに基づく血流速度ベクトルによって示される方向に移動している。
【0043】
解析モデルでは、液体源70からバッファ容器68に一定流量で液体を注入し、バッファ容器68が満たされるごとにバッファ容器68を空にして引き続き液体を液体源70から一定流量で注入する動作が、液体源70に収容されている液体が空になるまで繰り返される。バッファ容器68が満たされたタイミングごとに流入口64に粒子が配置され、この粒子は、後の血流速度データセットに基づく血流速度ベクトルが示す方向に移動する。
【0044】
図4(a4)には、液体源70に収容されている液体が空になったタイミングで、すなわち1つのバッファ注入演算が終了するタイミングで、バッファ容器68に収容されている液体(残留量の液体74)が示されている。この液体の残留量は、次に実行されるバッファ注入演算における初期値として用いられる。図4(b4)には、断層画像上の流入口64の中心から移動した粒子80-1~80-3が示されている。
【0045】
このように、バッファ注入演算では、バッファ容器68が満たされたタイミングごとに流入口64に粒子を発生させ、液体源70に収容されている液体が空になる時まで、その粒子を血流速度ベクトルが示す流入方向に沿って移動させたときに、第2解析タイミングで現れている粒子の位置が求められる。上記のバッファ容量は、流入血流量に基づいて、粒子の数を定める値である。
【0046】
バッファ注入演算では、第1解析タイミングで初期量の液体がバッファ容器68に収容された状態で、第1解析タイミングより後に液体をバッファ容器68に注入する動作が仮想的に実行される。バッファ注入演算では、液体源70に収容されている液体が空になったときに、バッファ容器68内に収容されている液体の量が、次に実行される粒子位置演算におけるバッファ注入演算の初期量となる。
【0047】
先の血流速度データセットおよび後の血流速度データセットに対する粒子位置演算が実行された後、表示処理部38は、後の血流速度データセットに対応する断層画像フレームを用いて、断層画像上に各粒子が描かれた超音波画像を表示部20に表示させる。すなわち、表示処理部38は、断層画像フレームによって示される断層画像上に各粒子が描かれた超音波画像データを生成し、その超音波画像データに基づく超音波画像を表示部20に表示させる。
【0048】
記憶デバイス26に、時系列順に生成された第1の血流速度データセットおよび第1の断層画像フレーム、第2の血流速度データセットおよび第2の断層画像フレーム、・・・・・第Nの血流速度データセットおよび第Nの断層画像フレームが記憶されている場合、表示処理部38は、次のように、順次、超音波画像データを生成し、超音波画像データに基づく超音波画像を表示部20に表示させる。ただし、Nは1以上の整数である。
【0049】
すなわち、表示処理部38は、最初に第1の血流速度データセットおよび第1の断層画像フレームと、第2の血流速度データセットおよび第2の断層画像フレームに基づく超音波画像データを生成する。表示処理部38は、次に、第2の血流速度データセットおよび第2の断層画像フレームと、第3の血流速度データセットおよび第3の断層画像フレームに基づく超音波画像データを生成する。・・・・・・・表示処理部38は、最後に、第N-1の血流速度データセットおよび第N-1の断層画像フレームと、第Nの血流速度データセットおよび第Nの断層画像フレームに基づく超音波画像データを生成する。表示処理部38は、各断層画像データに基づく画像を順次、表示部20に表示させる。
【0050】
なお、上記では、各粒子を移動させる方向は、後の血流速度データセットに基づく血流速度ベクトルによって示される方向とされた。各粒子を移動させる方向は、先の血流速度データセットに基づく血流速度ベクトルによって示される方向であってもよい。
【0051】
上記のバッファ注入演算で実行される実際の計算が以下に説明される。最初に流入口64の中心に発生した粒子の第2解析タイミングにおける位置は、その粒子が移動する移動時間move_time(1)に速度ベクトルを乗じたベクトルだけ、流入口64の中心から移動した位置として求められる。最初の粒子の移動時間move_time(1)は、流入血流量flow_rateに対する粒子生成時の残流入量flow_rem(1)の比にフレーム時間間隔flm_intvlを乗じた値として求められる。ここで、残流入量flow_rem(1)は、バッファ容器68に液体を注入し、バッファ容器68が最初に液体で満たされたときに、液体源70に残っている液体の体積である。
【0052】
第1解析タイミングで液体源70に収容されている体積は、流入血流量flow_rateである。バッファ容量をflow_th、第1解析タイミングにおける初期量をflow_bufとすると、残流入量flow_rem(1)は(数1)で計算される。
(数1)
【0053】
flow_rem(1)=flow_rate-(flow_th-flow_buf)
【0054】
最初の粒子の移動時間move_time(1)は(数2)によって計算される。
(数2)
【0055】
move_time(1)=flow_rem(1)/flow_rate
×flm_intvl
【0056】
最初に流入口64の中心に発生した粒子の第2解析タイミングにおける位置は、液体源70が空になったときにおける最初の粒子の位置(x(1),y(1))である。この位置(x(1),y(1))は(数3)に従って計算される。ここで、(xnk,ynk)は、流入口64の中心の位置座標であり、(vxnk,vynk)は流入口64の中心における血流速度ベクトルである。この血流速度ベクトルは、後の血流速度データセットに基づくものである。
(数3)
【0057】
x(1)=xnk+vxnk・move_time(1)
【0058】
y(1)=ynk+vynk・move_time(1)
【0059】
したがって、第2解析タイミングに対しては、(数3)で求められる断層画像上の位置に最初の粒子が描かれる。
【0060】
jを2以上の整数として、j番目に粒子が発生したときに液体源70に収容されている体積frow_rem(j)は(数4)によって計算される。
(数4)
【0061】
flow_rem(j)=flow_rem(j-1)-flow_th
【0062】
なお、flow_rem(j-1)<flow_thが成立する条件の下では、j番目の粒子は発生しない。
【0063】
j番目に流入口64の中心に発生した粒子の第2解析タイミングにおける位置は、その粒子が移動する移動時間move_time(j)に速度ベクトルを乗じたベクトルだけ、流入口64の中心から移動した位置として求められる。j番目の粒子の移動時間move_time(j)は(数5)によって計算される。
(数5)
【0064】
move_time(j)=flow_rem(j)/flow_rate
×flm_intvl
【0065】
j番目に流入口64の中心に発生した粒子の第2解析タイミングにおける位置(x(j),y(j))は、液体源70が空になったときにおける第j番目の粒子の位置(x(j),y(j))である。この位置は(数6)に従って計算される。
(数6)
【0066】
x(j)=xnk+vxnk・move_time(j)
【0067】
y(j)=ynk+vynk・move_time(j)
【0068】
したがって、第2解析タイミングに対しては、(数6)で求められる断層画像上の位置にj番目の粒子が描かれる。
【0069】
記憶デバイス26には、上記(数1)~(数6)に従う計算を実行するバッファ注入演算プログラムが記憶されている。演算デバイス18は、バッファ注入演算プログラムを実行することで粒子位置演算部32を仮想的に構成し、断層画像上における各粒子の位置を求める。
【0070】
記憶デバイス26には、このようなバッファ注入演算プログラムを含む超音波画像生成プログラムが記憶されている。演算デバイス18は超音波画像生成プログラムを実行することで超音波画像を表示部20に表示させる。このプログラムは、次の(i)および(ii)の処理を演算デバイス18に実行させる。
【0071】
(i)解析対象領域上に設定された流入口における血流速度ベクトルを取得する処理と、第1解析タイミングから第2解析タイミングに至るまでの間に流入口から流入する流入血流量を、血流速度ベクトルに基づいて求める処理。
【0072】
(ii)流入血流量および血流速度ベクトルに基づいてバッファ注入演算を行うことで、第2解析タイミングにおける超音波画像を生成する処理。ここで、バッファ注入演算は、流入血流量、予め定められたバッファ容量および血流速度ベクトルに基づいて、超音波画像に現れる粒子の位置を決定し、この決定された位置に粒子が表された超音波画像を生成する演算である。バッファ容量は、複数の粒子が超音波画像に表される場合に、流入血流量に基づいて、粒子間の距離を定める値である。
【0073】
図5および図6には、その瞬間に流入した血液の流量を示す各粒子80が断層画像上に描かれた超音波画像が模式的に示されている。図5に示されている超音波画像では、左心室54が拡張する初期の心臓50が描かれている。図6に示されている超音波画像では、左心室54が拡張する末期の直前の心臓50が描かれている。
【0074】
図5および図6では、僧帽弁56から左心室54に向かう血液の流量が、僧帽弁56から左心室54に向かう方向に配列された複数の粒子80によって示されている。これらの図では、僧帽弁56から左心室54に向かう方向に配列された粒子80の数が多い程、血液の流量が大きい。これらの図には、僧帽弁56の先端に向かう程、血液の流量が大きく、弁輪部に向かう程、血液の流量が小さいことが示されている。また、左心室54が拡張した初期に流入した血液の流量よりも、拡張末期の直前に流入した血液の流量の方が小さくなることが示されている。
【0075】
このように本発明の実施形態に係る超音波診断装置によれば、広がりを持った領域である流入口における血液の流量が、ユーザが把握し易い態様で適切に示される。また、ユーザによって設定された血流開口が複数の流入口に分割され、複数の流入口のそれぞれに対して血液の流量が求められる。これによって、解析対象領域における血液の流量の分布が、ユーザが把握し易い態様で適切に示される。さらに、繰り返し実行される粒子位置演算のそれぞれにおけるバッファ注入演算では、先のバッファ注入演算によって求められた残留量が、次のバッファ注入演算における初期量とされる。これによって、順次生成される超音波画像の連続性が高まり、流入口における血液の流量がユーザに容易に把握される。
【0076】
なお、粒子位置演算部32は、第1の断層画像フレームが生成されてから、表示対象の第Jの断層画像フレームが生成されるまでの間に血流開口61で発生した粒子の数(総粒子数)を求めてもよい。ただし、Jは2以上N以下の整数である。表示処理部38は、総粒子数を断層画像と共に表示部20に表示させてもよい。また、表示処理部38は、総粒子数と共に総流入量を求め、総流入量を断層画像と共に表示部20に表示させてもよい。総流入量は、第1の断層画像フレームが生成されてから、表示対象の第Jの断層画像フレームが生成されるまでの間に血流開口61に流入した血液の体積である。
【0077】
また、粒子位置演算部32は、第J-1の断層画像フレームが生成されてから、第Jの断層画像フレームが生成されるまでの間に血流開口61で発生した粒子の数(フレーム間粒子数)を求めてもよい。表示処理部38は、フレーム間粒子数を断層画像と共に表示部20に表示させてもよい。また、表示処理部38は、フレーム間粒子数と共にフレーム間流入量を求め、フレーム間流入量を断層画像と共に表示部20に表示させてもよい。フレーム間流入量は、第J-1の断層画像フレームが生成されてから、第Jの断層画像フレームが生成されるまでの間に血流開口61から流入した血液の体積である。
【0078】
上記では、フレーム時間間隔で順次生成された血流速度データセットおよび断層画像フレームに対して、粒子位置演算に基づくVFMが実行される実施形態が説明された。フレーム時間間隔で順次生成された血流速度データセットおよび断層画像フレームに対して補間処理が施され、血流速度データセットおよび断層画像フレームに対して補間データセットおよび補間フレームが生成された場合には、補間データセットおよび補間フレームをも含めてVFMが実行されてもよい。すなわち、時間軸上で補間データセットが挿入された血流速度データセットの系列、および時間軸上で補間フレームが挿入された断層画像フレームに対して、粒子位置演算に基づくVFMが実行されてもよい。
【符号の説明】
【0079】
10 超音波プローブ、12 送受信回路、14 送信回路、16 受信回路、18 演算デバイス、20 表示部、22 制御部、24 操作部、26 記憶デバイス、28 断層画像生成部、30 血流速度演算部、32 粒子位置演算部、34 条件設定部、38 表示処理部、40,41 超音波ビーム、50 心臓、52 左心房、54 左心室、56 僧帽弁、58 基準ライン、60 開口ライン、61 血流開口、62 僧帽弁輪部壁、64 流入口、68 バッファ容器、72 初期量の液体、74 残留量の液体、80,80-1~80-3 粒子。
図1
図2
図3
図4
図5
図6