(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】シール材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 7/12 20060101AFI20240717BHJP
B32B 7/06 20190101ALI20240717BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240717BHJP
C09K 3/10 20060101ALI20240717BHJP
E04B 1/94 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
B32B7/12
B32B7/06
B32B27/00 Z
C09K3/10 N
E04B1/94 V
(21)【出願番号】P 2020094281
(22)【出願日】2020-05-29
【審査請求日】2023-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000153591
【氏名又は名称】株式会社巴川コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】森永 栄徳
(72)【発明者】
【氏名】細井 清
(72)【発明者】
【氏名】古江 友樹
(72)【発明者】
【氏名】打田 幸泰
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼畑 正則
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-209080(JP,A)
【文献】特開平05-021946(JP,A)
【文献】特開平09-228079(JP,A)
【文献】特開2015-083635(JP,A)
【文献】特表2015-525307(JP,A)
【文献】国際公開第2016/163537(WO,A1)
【文献】特開平11-269441(JP,A)
【文献】特開平07-113311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
E04B 1/62-1/99
E04F 13/00-13/30
15/00-15/22
C09J 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材の一方の面に設けられた樹脂層と、前記樹脂層上に設けられた剥離シートとを備え、
前記基材は無機成分
及び有機成分
のみからなり、
前記基材に含まれる無機成分は、無機繊維
と、任意で無機バインダ
とを含み、
前記基材に含まれる有機成分は、有機バインダ
と、任意で有機繊維、紙力増強剤及び高分子凝集剤から選ばれる1種以上
とを含み、
前記樹脂層は粘着層を含み、前記粘着層は不連続に存在し、
前記基材の一方の面の総面積に対する、前記粘着層の平面視における総面積の割合が5~63%であり、
前記基材の質量を100質量部としたときに、前記樹脂層に含まれる有機成分の質量(A)が0.5~6質量部であり、かつ前記質量(A)と前記基材に含まれる有機成分の質量(B)との合計(A+B)が6.5~12質量部であ
り、前記基材に含まれる無機成分の質量(C)が89~95質量部である、シール材。
【請求項2】
前記質量(B)が6~10質量部である、請求項1に記載のシール材。
【請求項3】
前記樹脂層は前記基材側にアンダーコート層をさらに含む、請求項1
又は2に記載のシール材。
【請求項4】
前記粘着層は、平面視においてドット状、ストライプ状又は格子状に配置された複数の粘着部を備える、請求項1~
3のいずれか一項に記載のシール材。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか一項に記載のシール材の製造方法であって、
前記基材の一方の面に粘着剤を不連続に塗工し、乾燥して前記粘着層を形成する工程と、
前記粘着層上に前記剥離シートを積層する工程とを含む、シール材の製造方法。
【請求項6】
貫通孔を有し、開口率が5~63%である塗工版を用いて、前記基材の一方の面に前記粘着剤を塗工する、請求項
5に記載のシール材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シール材は、例えば防火扉の隙間や石膏ボード同士の接合部に生じる目地部に充填される目地材として用いられる。
シール材は、繊維を含む長尺な基材と、基材の片面全体に粘着剤が塗工されて形成された粘着層と、粘着層上に設けられた剥離シートとを備える。また、シール材の一端には、剥離シートを剥がす際の起点となる剥離切っ掛け部が設けられている。そして、シール材を使用する直前に剥離切っ掛け部を起点として剥離シートを剥がして、目地部に充填する。
シール材は、通常、1度で使い切ることを想定していることから、剥離切っ掛け部はシール材の一端のみに設けられている場合が多い。そのため、余ったシール材を別の機会に使用しようとしても、余ったシール材には剥離切っ掛け部がないため剥離シートが剥がしにくい。剥離シートを無理矢理剥がそうとすると、基材の一部が粘着層を介して剥離シートにくっついてしまい、基材が層状に剥離してしまう。
【0003】
粘着層の粘着力を下げれば、剥離切っ掛け部がなくても基材の層内剥離を抑制しつつ剥離シートを剥がすことが可能となるが、シール材を目地部に充填したときの対象物に対する接着性も低下し、目地部から脱落してしまう。そのため、対象物に対する接着性を維持しつつ、剥離シートを剥がす際に基材が層内剥離しにくくなるように、粘着層の粘着力を調整することが重要となる。
例えば特許文献1には、粘着層をドット状にすることで、剥離シートを剥がす際に基材が層内剥離しにくくしたシール材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のシール材は、基材の層内剥離を必ずしも充分に抑制できない。
ところで、シール材には、防火扉や石膏ボード等の資材の耐火性能を損なわないように、不燃性であることが求められるが、特許文献1に記載のシール材は、必ずしも不燃性が充分ではない。
本発明は、接着性を維持しながらも、剥離シートが剥がしやすく、しかも基材が層内剥離しにくく、不燃性に優れるシール材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の態様を有する。
[1] 基材と、前記基材の一方の面に設けられた樹脂層と、前記樹脂層上に設けられた剥離シートとを備え、前記樹脂層は粘着層を含み、前記粘着層は不連続に存在し、前記基材の質量を100質量部としたときに、前記樹脂層に含まれる有機成分の質量(A)が0.5~6質量部であり、かつ前記質量(A)と前記基材に含まれる有機成分の質量(B)との合計(A+B)が6.5~12質量部である、シール材。
[2] 前記質量(B)が6~10質量部である、前記[1]のシール材。
[3] 前記基材は無機繊維を含む、前記[1]又は[2]のシール材。
[4] 前記樹脂層は前記基材側にアンダーコート層をさらに含む、前記[1]~[3]のいずれかのシール材。
[5] 前記粘着層は、平面視においてドット状、ストライプ状又は格子状に配置された複数の粘着部を備える、前記[1]~[4]のいずれかのシール材。
[6] 前記[1]~[5]のいずれかのシール材の製造方法であって、前記基材の一方の面に粘着剤を不連続に塗工し、乾燥して前記粘着層を形成する工程と、前記粘着層上に前記剥離シートを積層する工程とを含む、シール材の製造方法。
[7] 貫通孔を有し、開口率が5~63%である塗工版を用いて、前記基材の一方の面に前記粘着剤を塗工する、前記[6]のシール材の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、接着性を維持しながらも、剥離シートが剥がしやすく、しかも基材が層内剥離しにくく、不燃性に優れるシール材及びその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第一実施形態のシール材の一例を示す断面図である。
【
図2】本発明の第一実施形態のシール材の一例を示す斜視図である。
【
図3】本発明の第一実施形態のシール材の他の例を示す斜視図である。
【
図4】本発明の第一実施形態のシール材の他の例を示す斜視図である。
【
図5】本発明の第二実施形態のシール材の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係るシール材及びその製造方法の一実施形態を挙げ、
図1~5を適宜参照しながら詳述する。
なお、以下の説明で用いる各図面は、その特徴をわかりやすくするために、便宜上、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等は実際とは異なる場合がある。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
また、
図2~5において、
図1と同じ構成要素には同じ符号を付して、その説明を省略する。
また、本明細書において、シール材から剥離シートを剥がした状態での不燃性を「シール材の不燃性」とする。
【0010】
[シール材]
<第一実施形態>
図1、2に本発明の第一実施形態のシール材の一例を模式的に示す。
図1はシール材の断面図であり、
図2はシール材の斜視図である。
図1、2に示すシール材10は、基材11と、基材11の一方の面11aに設けられた樹脂層12と、樹脂層12上に設けられた剥離シート13とを備える。
【0011】
(基材)
基材11は、シール材10の本体となるものであり、一方の面11aに後述の樹脂層12が設けられている。
基材11は、無機成分と有機成分とを含む。
無機成分としては、無機繊維、無機バインダなどが挙げられる。
【0012】
無機繊維は、不燃性をシール材10に付与する成分である。
無機繊維としては、例えば生体溶解性セラミック繊維、ガラス繊維、グラスウール、ロックウール繊維等の非晶質繊維;炭素繊維、活性炭繊維、アルミナ繊維等の多結晶繊維;石綿等の鉱物質などが挙げられる。これらの中でも、コストの観点から非晶質繊維が好ましく、その中でもシール材10の不燃性が高まる観点からロックウール繊維がより好ましい。
これらの無機繊維は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0013】
無機繊維の平均繊維径は、3~10μmが好ましく、3~6μmがより好ましい。無機繊維の平均繊維径が上記下限値以上であれば、基材11の強度(保形性)が向上する。無機繊維の平均繊維径が上記上限値以下であれば、基材11の強度の均一性が向上する。
無機繊維の平均繊維径は、顕微鏡で撮像された基材11の任意の20箇所における垂直断面に基づいて、無機繊維の長手方向に垂直な断面積を公知の計算手法で算出し、当該断面積と同一面積を有する真円の直径を算出することにより導かれた面積径の相加平均値である。
【0014】
無機繊維の平均繊維長は、3~35mmが好ましく、5~25mmがより好ましい。機繊維の平均繊維長が上記下限値以上であれば、基材11の強度が向上する。無機繊維の平均繊維長が上記上限値以下であれば、基材11の強度の均一性が向上する。
無機繊維の平均繊維長は、顕微鏡でランダムに選択した20本の無機繊維の長手方向の長さを測定した値の相加平均値である。
【0015】
無機バインダとしては、例えばコロダルシリカ、ヒュームドシリカ、アルミナゾル、ジルコニアゾル、チタニアゾルなどが挙げられる。これらの中でも、無機繊維のバインダ補強の観点からコロダルシリカが好ましい。
これらの無機バインダは、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0016】
無機バインダは、球形粉体でもよいし、不定形粉体でもよい。
無機バインダの平均粒子径は、7~20μmが好ましく、9~15μmがより好ましい。無機バインダの平均粒子径が上記下限値以上であれば、基材11の強度が向上する。無機バインダの平均粒子径が上記上限値以下であれば、基材11の強度の均一性が向上する。
無機バインダの平均粒子径は、BET法により求めた値である。具体的には、BET法により求めた無機バインダの比表面積と、無機バインダの密度とから、下記式(1)に基づき無機バインダの平均粒子径を求める。
無機バインダの平均粒子径[μm]=6/(BET比表面積[m2/g]×密度[g/cm3]) ・・・(1)
【0017】
基材11の質量を100質量部としたときに、基材11に含まれる無機成分の質量(C)は90~94質量部が好ましい。質量(C)が上記下限値以上であれば、シール材10の不燃性がより向上する。質量(C)が上記上限値以下であれば、シール材10から剥離シート13を剥がす際に、基材11の層内剥離をより抑制できる。
特に、無機繊維の質量(C-1)は、基材11の質量を100質量部としたときに、91~93質量部が好ましい。
【0018】
また、基材11に含まれる無機成分の坪量(c)は1800~1880g/m2が好ましく、1820~1880g/m2がより好ましい。坪量(c)が上記下限値以上であれば、シール材10の不燃性がより向上する。坪量(c)が上記上限値以下であれば、シール材10から剥離シート13を剥がす際に、基材11の層内剥離をより抑制できる。
【0019】
有機成分としては、有機バインダ、有機繊維、紙力増強剤、高分子凝集剤などが挙げられる。
【0020】
有機バインダとしては、例えばアクリル樹脂、澱粉、PVA(ポリビニルアルコール)、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。これらの中でも、製造安定性、層内強度保持の観点からアクリル樹脂が好ましい。
これらの有機バインダは、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
有機バインダは、エマルジョンであってもよい。
【0021】
アクリル樹脂は、アクリル酸及びそのエステル、メタクリル酸及びそのエステル、アクリルアミド、アクリロニトリル等のアクリルモノマーの単独重合体もしくはこれらの共重合体;さらに、前記アクリルモノマーの少なくとも1種と、酢酸ビニル、無水マレイン酸、スチレン等のビニルモノマーとの共重合体などが挙げられる。
【0022】
有機繊維としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリオレフィン繊維(例えばポリエチレン(PE)繊維、ポリプロピレン(PP)繊維等)、アクリル繊維等の合成繊維;木材パルプ、木材パルプ以外の天然繊維(例えば木綿、ワラ、竹、エスパルト、バガス、リンター、マニラ麻、亜麻、麻、黄麻、雁皮等)、半合成繊維(例えばアセテート繊維、ビスコースレーヨン等)、羊毛、絹等の有機天然繊維などが挙げられる。
これらの有機繊維は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0023】
紙力増強剤としては、例えばメラミン系樹脂、尿素系樹脂、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、エポキシ系樹脂、ジアルデヒド澱粉、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミンなどが挙げられる。
これらの紙力増強剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0024】
高分子凝集剤としては、例えばポリアクリルアミド、ポリメタクリル酸エステル、ポリビニルアミン、ポリアクリル酸、スチレン系樹脂、ポリエチレンオキサイドなどが挙げられる。
これらの高分子凝集剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0025】
基材11の質量を100質量部としたときに、基材11に含まれる有機成分の質量(B)は6~10質量部が好ましい。質量(B)が上記下限値以上であれば、シール材10から剥離シート13を剥がす際に、基材11の層内剥離をより抑制できる。質量(B)が上記上限値以下であれば、シール材10の不燃性がより向上する。
【0026】
また、基材11に含まれる有機成分の坪量(b)は120~200g/m2が好ましく、130~160g/m2がより好ましい。坪量(b)が上記下限値以上であれば、シール材10から剥離シート13を剥がす際に、基材11の層内剥離をより抑制できる。坪量(b)が上記上限値以下であれば、シール材10の不燃性がより向上する。
【0027】
基材11の形状は特に限定されないが、シート状が好ましく、
図2に示すX方向に長尺なシート状がより好ましい。
基材11の幅(すなわち、基材11の長手方向(X方向)に対してY方向に垂直な方向の長さ)は特に制限されないが、5~100mmが好ましく、10~50mmがより好ましい。
基材11の長さ(すなわち、基材11の長手方向(X方向)の長さ)は特に制限されないが、シール材10を1度で使い切ることを想定している場合は150cm以下が好ましく、75~100cmがより好ましい。また、詳しくは後述するが、本発明のシール材10であれば1度で使い切れずに余ったとしても、残りを別の機会に使用できるので、基材11の長さを150cm超としてもよく、この場合、基材11の長さの上限値は10m程度である。
基材11の厚さは特に制限されないが、4~20mmが好ましく、4~15mmがより好ましい。
基材11の坪量(d)、すなわち前記坪量(b)と前記坪量(c)の合計は800~4000g/m
2が好ましく、800~3000g/m
2がより好ましい。
【0028】
(樹脂層)
樹脂層12は、基材11の一方の面11aに設けられている。
本実施形態の樹脂層12は、粘着層121からなる。
粘着層121は、基材11の一方の面11a上に不連続に存在している不連続層である。
なお、本発明において「不連続」とは、粘着層121が島状構造となっており、基材11の一方の面11aにおいて基材11が露出している箇所が存在していることを意味する。
【0029】
図2に示すように、本実施形態の粘着層121は、平面視においてドット状に配置された複数の粘着部121dを備える。
粘着部121dは、粘着剤を基材11上に塗工し、乾燥することで形成される。
粘着剤としてはシール材に用いられる公知の粘着剤を使用でき、特に制限されないが、例えばアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、アクリロニトリルブタジエン共重合体系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、フッ素系粘着剤などが挙げられる。これらの中でも、対象物に対する接着性が高まる観点から、アクリル系粘着剤が好ましい。アクリル系粘着剤はアクリル樹脂を含む。すなわち、粘着部121dはアクリル樹脂を含むことが好ましい。アクリル樹脂としては、基材11の説明において先に例示したアクリル樹脂が挙げられる。
これらの粘着剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0030】
粘着層121は、粘着剤由来の有機成分(例えばアクリル樹脂等)で主に構成されるが、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、無機成分を含んでいてもよい。無機成分としては、粘着剤に含まれる無機系の添加剤などが挙げられる。
【0031】
ドット状に配置された粘着部121dの平面視における形状は特に限定されず、円形、楕円形、多角形、星形、不定形など、いずれの形状でもよい。
ドット状に配置された粘着部121dの大きさについては特に制限されないが、平均直径が3~7mmであることが好ましく、4~6mmであることがより好ましい。
ドット状に配置された粘着部121dの平均直径は、粘着部121dの平面の等面積円相当径(すなわち、粘着部121dの平面の投影面積と同じ面積を持つ円の直径)である。
【0032】
基材11の一方の面11aの総面積に対する、粘着層121の平面視における総面積の割合(粘着層121の存在率)は、5~63%が好ましく、9~42%がより好ましく、9~21%がさらに好ましい。粘着層121の存在率が上記下限値以上であれば、対象物に対する接着性を良好に維持できる。粘着層121の存在率が上記上限値以下であれば、不燃性がより向上する。加えて、シール材10から剥離シート13がより剥がしやすくなる。
なお、粘着層121の存在率は、詳しくは後述するが、粘着層121を基材11の一方の面11aに設ける際に用いる塗工版の開口率と概ね同じである。
【0033】
粘着層121の厚さは特に制限されないが、100~300μmが好ましく、150~250μmがより好ましい。
【0034】
基材11の質量を100質量部としたときに、樹脂層12に含まれる有機成分の質量(A)は0.5~6質量部であり、1.5~4質量部が好ましく、1.5~2質量部がより好ましい。質量(A)が上記下限値以上であれば、対象物に対する接着性を維持できる。質量(A)が上記上限値以下であれば、シール材10の不燃性が向上する。加えて、シール材10から剥離シート13が剥がしやすくなる。
【0035】
また、質量(A)と前記質量(B)の合計(A+B)は、6.5~12質量部であり、7~12質量部が好ましく、7.5~12質量部がより好ましい。質量(A)と質量(B)の合計(A+B)が上記下限値以上であれば、シール材10から剥離シート13を剥がす際に、基材11の層内剥離を抑制できる。質量(A)と質量(B)の合計(A+B)が上記上限値以下であれば、シール材10の不燃性が向上する。
【0036】
また、樹脂層12に含まれる有機成分の坪量(a)は10~120g/m2が好ましく、30~80g/m2がより好ましく、30~40g/m2がさらに好ましい。坪量(a)が上記下限値以上であれば、対象物に対する接着性を維持できる。坪量(a)が上記上限値以下であれば、シール材10の不燃性が向上する。加えて、シール材10から剥離シート13が剥がしやすくなる。
なお、本実施形態においては、樹脂層12に含まれる有機成分の坪量(a)と、粘着層121に含まれる有機成分の坪量(a1)とは同じである。また、坪量(a1)は、後述する粘着剤の塗工量と概ね一致する。
【0037】
(剥離シート)
剥離シート13は、樹脂層12上、すなわち、粘着層121の基材11とは反対の面121aに設けられている。
剥離シート13としては、公知の剥離シートを使用することができ、例えばポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム、剥離紙、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリアリレート、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルスルフォン(PES)等や、それらに離型処理等を施したフィルムなどが挙げられる。
【0038】
剥離シート13の厚さは特に制限されないが、50~150μmが好ましく、60~120μmがより好ましい。
【0039】
(製造方法)
本実施形態のシール材10は、例えば基材11の一方の面11aに粘着剤を不連続に塗工し、乾燥して粘着層121を形成する工程(粘着層形成工程)と、粘着層121上(すなわち、粘着層121の基材11とは反対の面121a)に剥離シート13を積層する工程(積層工程)とを経て得られる。
【0040】
粘着層形成工程では、ドット状の貫通孔を有する塗工版を用いて、粘着剤を基材11の一方の面11aに塗工することが好ましい。この塗工版を用いて基材11の一方の面11aに塗工した粘着剤を乾燥することで、平面視においてドット状に配置された複数の粘着部121dを備える粘着層121が形成される。
ドット状の貫通孔の形状及び孔径については、粘着部121dが所望の形状及び平均直径となるように設定すればよい。
塗工版の厚さ、すなわち貫通孔の深さは、粘着層121が所望の厚さとなるように設定すればよい。
塗工版の形状としては特に制限されず、シート状でもよいし、ロール状でもよい。シール材10を連続生産する観点では、ロール状が好ましい。
ドット状の貫通孔を有する塗工版の開口率は、5~63%が好ましく、9~42%がより好ましく、9~21%がさらに好ましい。塗工版の開口率が上記下限値以上であれば、対象物に対する接着性を良好に維持できる。塗工版の開口率が上記上限値以下であれば、不燃性がより向上する。加えて、シール材10から剥離シート13がより剥がしやすくなる。
なお、塗工版の開口率は、塗工版の貫通孔が形成されている面の総面積に対する、貫通孔の総面積の割合である。
【0041】
粘着剤の塗工量は、10~120g/m2が好ましく、30~80g/m2がより好ましく、30~40g/m2がさらに好ましい。
塗工後の乾燥温度は100~130℃が好ましく、115~125℃がより好ましい。
塗工後の乾燥時間は5~15分が好ましく、7~12分がより好ましい。
【0042】
なお、剥離シート13の一方の面に粘着剤を不連続に塗工し、乾燥して粘着層121を形成しておき、粘着層121の露出面と基材11の一方の面11aとが接するように、粘着層121が形成された剥離シート13と基材11とを貼り合わせることで、シール材10を製造してもよい。
【0043】
(作用効果)
本実施形態のシール材10によれば、基材11の一方の面11aに粘着層121が不連続に存在しているので、接着性を維持しながらも、剥離シート13に対する粘着力が低下するので剥離シート13が剥がしやすい。例えば、シール材10を一定の間隔をあけて両手で持ち、中心に向けて力を加えて剥離シート13を内側に曲げるとことで、剥離シート13を容易に剥がすことができる。しかも、樹脂層12に含まれる有機成分の質量(A)、及び質量(A)と基材11に含まれる有機成分の質量(B)との合計(A+B)が規定されているので、剥離シート13を剥離する際に基材11が層内剥離しにくく、かつ不燃性にも優れる。
また、不燃性の観点から質量(A)と質量(B)との合計(A+B)には上限があるが、本実施形態のシール材10によれば、基材の一方の面の全体に粘着層が形成されている場合に比べて質量(A)を少なくできるので、その分、質量(B)を多くできる。よって、基材11に含まれる無機繊維等の無機成分が脱落しにくくなり、施工作業性に優れる。また、剥離シートを剥離する際に基材11が層内剥離しにくい。
【0044】
また、上述したように、従来のシール材では、一端のみに剥離切っ掛け部が設けられているため、余ったシール材を別の機会に使用しようとしても、余ったシール材には剥離切っ掛け部がないため剥離シートが剥がしにくい。剥離シートを無理矢理剥がそうとすると、基材の一部が粘着層を介して剥離シートにくっついてしまい、基材が層状に剥離してしまう。
しかし、本実施形態のシール材10によれば、剥離切っ掛け部がなくても、剥離シート13が剥がしやすく、しかも基材11が層内剥離しにくい。よって、1度で使い切れずに余ったとしても、残りを別の機会に使用できる。
【0045】
本実施形態のシール材10は、例えば一端を始点として渦巻き状にして保管してもよいし、ボビン等に巻き付けて保管してもよい。
本実施形態のシール材10は、例えば防火扉の隙間や石膏ボード同士の接合部に生じる目地部に充填される目地材として好適である。
【0046】
(他の態様)
本実施形態の粘着層121は、平面視においてドット状に配置された複数の粘着部121dを備えているが、粘着層121は、例えば
図3に示すようにストライプ状に配置された複数の粘着部121dを備えるものでもよいし、
図4に示すように格子状に配置された複数の粘着部121dを備えるものでもよい。
なお、本発明において「格子状」とは、ある方向に延びる複数の第一の直線部と、第一の直線部とは異なる方向に延びる複数の第二の直線部とが交差している状態を意味する。
【0047】
図3に示すシール材10においては、粘着部121dの長手方向と基材11の幅方向とが平行となるように、粘着部121dがストライプ状に配置されているが、粘着部121dは基材11の幅方向に対して斜めになるようにストライプ状に配置されていてもよい。
ストライプ状に配置された粘着部121dの線幅は特に制限されないが、1~20mmが好ましく、1.5~10mmがより好ましい。
ストライプ状に配置された粘着部121dのピッチ、すなわち隣接する粘着部121d間の距離は特に制限されないが、5~40mmが好ましく、10~25mmがより好ましい。
基材11の一方の面11aの総面積に対する、粘着層121の平面視における総面積の割合(粘着層121の存在率)は、5~63%が好ましく、9~42%がより好ましく、9~21%がさらに好ましい。粘着層121の存在率が上記下限値以上であれば、対象物に対する接着性を良好に維持できる。粘着層121の存在率が上記上限値以下であれば、不燃性がより向上する。加えて、シール材10から剥離シート13がより剥がしやすくなる。
【0048】
図3に示すシール材10を製造する際には、粘着層形成工程においてストライプ状の貫通孔を有する塗工版を用いて、粘着剤を基材11の一方の面11aに塗工することが好ましい。この塗工版を用いて基材11の一方の面11aに塗工した粘着剤を乾燥することで、平面視においてストライプ状に配置された複数の粘着部121dを備える粘着層121が形成される。
ストライプ状の貫通孔の線幅及びピッチについては、粘着部121dが所望のストライプの線幅及びピッチとなるように設定すればよい。
ストライプ状の貫通孔を有する塗工版の開口率は、5~63%が好ましく、9~42%がより好ましく、9~21%がさらに好ましい。塗工版の開口率が上記下限値以上であれば、対象物に対する接着性を良好に維持できる。塗工版の開口率が上記上限値以下であれば、不燃性がより向上する。加えて、シール材10から剥離シート13がより剥がしやすくなる。
粘着剤の塗工量は、10~120g/m
2が好ましく、30~80g/m
2がより好ましく、30~40g/m
2がさらに好ましい。
【0049】
図4に示すシール材10において、格子状に配置された粘着部121dの線幅、すなわちこの粘着部121dを構成する第一の直線部の線幅及び第二の直線部の線幅は特に制限されないが、それぞれ1~10mmが好ましく、1.5~5mmがより好ましい。
ストライプ状に配置された粘着部121dのピッチ、すなわち隣接する第一の直線部間の距離及び隣接する第二の直線部間の距離は特に制限されないが、それぞれ5~40mmが好ましく、10~25mmがより好ましい。
基材11の一方の面11aの総面積に対する、粘着層121の平面視における総面積の割合(粘着層121の存在率)は、5~63%が好ましく、9~42%がより好ましく、9~21%がさらに好ましい。粘着層121の存在率が上記下限値以上であれば、対象物に対する接着性を良好に維持できる。粘着層121の存在率が上記上限値以下であれば、不燃性がより向上する。加えて、シール材10から剥離シート13がより剥がしやすくなる。
【0050】
図4に示すシール材10を製造する際には、粘着層形成工程において格子状の貫通孔を有する塗工版を用いて、粘着剤を基材11の一方の面11aに塗工することが好ましい。この塗工版を用いて基材11の一方の面11aに塗工した粘着剤を乾燥することで、平面視において格子状に配置された複数の粘着部121dを備える粘着層121が形成される。
格子状の貫通孔の幅及びピッチについては、粘着部121dが所望の線幅及びピッチとなるように設定すればよい。
格子状の貫通孔を有する塗工版の開口率は、5~63%が好ましく、9~42%がより好ましく、9~21%がさらに好ましい。塗工版の開口率が上記下限値以上であれば、対象物に対する接着性を良好に維持できる。塗工版の開口率が上記上限値以下であれば、不燃性がより向上する。加えて、シール材10から剥離シート13がより剥がしやすくなる。
粘着剤の塗工量は、10~120g/m
2が好ましく、30~80g/m
2がより好ましく、30~40g/m
2がさらに好ましい。
【0051】
なお、ストライプ状の貫通孔を有する塗工版を用いて、格子状に配置された複数の粘着部121dを備える粘着層121を形成してもよい。この場合、まず、ストライプ状の貫通孔が形成された塗工版を用いて、粘着剤を基材11の一方の面11aに塗工、乾燥させて複数の第一の直線部を形成する。次いで、同じ場所において塗工版の向きを変えて粘着剤をさらに塗工、乾燥させて複数の第二の直線部を形成する。こうすることで、平面視において格子状に配置された複数の粘着部121dを備える粘着層121が形成される。
【0052】
図1~4に示すシール材10は、基材11の一方の面11aのみに樹脂層12が設けられているが、基材11の他方の面(基材11の一方の面11aの反対側に位置する面)にも樹脂層が設けられていてもよい。この場合、基材11の他方の面に設けられた樹脂層上にも剥離シートが設けられていることが好ましい。基材11の他方の面に設けられた樹脂層は少なくとも上述した粘着層を含み、基材側に後述するアンダーコート層をさらに含んでいてもよい。
【0053】
<第二実施形態>
図5に本発明の第二実施形態のシール材の一例を模式的に示す。
図5はシール材の断面図である。
図5に示すシール材20は、基材11と、基材11の一方の面11aに設けられた樹脂層12と、樹脂層12上に設けられた剥離シート13とを備える。
基材11は第一実施形態における基材と同様であり、剥離シート13は第一実施形態における剥離シートと同様であるため、これらの説明を省略する。
【0054】
(樹脂層)
樹脂層12は、基材11の一方の面11aに設けられている。
本実施形態の樹脂層12は、粘着層121とアンダーコート層122とからなり、アンダーコート層122が基材11側である。すなわち、アンダーコート層122は、基材11と粘着層121との間に設けられている。
【0055】
本実施形態の粘着層121は、アンダーコート層122上、すなわちアンダーコート層122の基材11とは反対の面122a上に、不連続に存在している以外は、第一実施形態のシール材の粘着層と同様である。
粘着層121に含まれる有機成分の坪量(a1)は8~118g/m2が好ましく、25~75g/m2がより好ましい。
【0056】
アンダーコート層122は、基材11の一方の面11aに設けられた連続層である。
樹脂層12がアンダーコート層122を含むことで、樹脂層12の基材11への粘着性がより向上する。
【0057】
アンダーコート層122は有機成分を含むことが好ましく、必要に応じて無機成分をさらに含んでいてもよい。
アンダーコート層122に含まれる有機成分としては、例えばポリビニルアルコール、澱粉、エチレン酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。これらの中でも、成膜性が高く粘着層121との接着性に優れる観点から、ポリビニルアルコールが好ましい。
これらの有機成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0058】
アンダーコート層122の厚さは特に制限されず、粘着層121との接着性を損なわない範囲であれば、いずれの厚さにも調整可能である。
アンダーコート層122に含まれる有機成分の坪量(a2)は2~30g/m2が好ましく、5~20g/m2がより好ましい。なお、坪量(a2)は、後述する塗工液の塗工量と概ね一致する。
【0059】
基材11の質量を100質量部としたときに、樹脂層12に含まれる有機成分の質量(A)は0.5~6質量部であり、1.5~4質量部が好ましく、1.5~2質量部がより好ましい。質量(A)が上記下限値以上であれば、対象物に対する接着性を維持できる。質量(A)が上記上限値以下であれば、シール材10の不燃性が向上する。加えて、シール材10から剥離シート13が剥がしやすくなる。
【0060】
また、質量(A)と前記質量(B)の合計(A+B)は、6.5~12質量部であり、7~12質量部が好ましく、7.5~12質量部がより好ましい。質量(A)と質量(B)の合計(A+B)が上記下限値以上であれば、シール材10から剥離シート13を剥がす際に、基材11の層内剥離を抑制できる。質量(A)と質量(B)の合計(A+B)が上記上限値以下であれば、シール材10の不燃性が向上する。
【0061】
また、樹脂層12に含まれる有機成分の坪量(a)、すなわち坪量(a1)と坪量(a2)の合計は10~120g/m2が好ましく、30~80g/m2がより好ましく、30~40g/m2がさらに好ましい。坪量(a)が上記下限値以上であれば、対象物に対する接着性を維持できる。坪量(a)が上記上限値以下であれば、シール材10の不燃性が向上する。加えて、シール材10から剥離シート13が剥がしやすくなる。
【0062】
(製造方法)
本実施形態のシール材10は、例えば基材11の一方の面11aにアンダーコート層122を形成する工程(アンダーコート層形成工程)と、アンダーコート層122上(すなわち、アンダーコート層122の基材11とは反対の面122a)に粘着剤を不連続に塗工し、乾燥して粘着層121を形成する工程(粘着層形成工程)と、粘着層121上(すなわち、粘着層121のアンダーコート層122とは反対の面121a)に剥離シート13を積層する工程(積層工程)とを経て得られる。
【0063】
アンダーコート層形成工程では、有機成分及び必要に応じて無機成分を含む塗工液を基材11の一方の面11aに塗工し、乾燥することでアンダーコート層122を形成する。
塗工方法としては、バーコーティング、ブレードコーティング、ナイフコーティング、リバースコーティング、トランスファロールコーティング、グラビアロールコーティング、キスコーティング、キャストコーティング、スプレーコーティング、スロットオリフィスコーティング、カレンダーコーティング、ダムコーティング、ディップコーティング、ダイコーティングなどが挙げられる。
塗工液の塗工量は、2~30g/m2が好ましく、5~20g/m2がより好ましい。
塗工後の乾燥温度は105~130℃が好ましく、105~120℃がより好ましい。
塗工後の乾燥時間は5~15分が好ましく、5~10分がより好ましい。
【0064】
粘着層形成工程においては、粘着剤をアンダーコート層122上に塗工する以外は、第一実施形態における粘着層形成工程と同様である。
【0065】
なお、剥離シート13の一方の面に粘着剤を不連続に塗工し、乾燥して粘着層121を形成しておき、粘着層121の露出面とアンダーコート層122の基材11とは反対の面122aとが接するように、粘着層121が形成された剥離シート13と、アンダーコート層が形成された基材11とを貼り合わせることで、シール材10を製造してもよい。
【0066】
(作用効果)
本実施形態のシール材によれば、第一の実施形態のシール材と同様に、接着性を維持しながらも、剥離シートが剥がしやすく、しかも、剥離シートを剥離する際に基材が層内剥離しにくく、不燃性にも優れる。また、基材11に含まれる無機繊維等の無機成分が脱落しにくくなり、施工作業性に優れる。さらに、1度で使い切れずに余ったとしても、残りを別の機会に使用できる。
加えて、本実施形態のシール材によれば、樹脂層が基材側にアンダーコート層を含んでいるので、樹脂層の基材に対する粘着性がより高まる。
【0067】
(他の態様)
図5に示すシール材20は、基材11の一方の面11aのみに樹脂層12が設けられているが、基材11の他方の面にも樹脂層が設けられていてもよい。この場合、基材11の他方の面に設けられた樹脂層上にも剥離シートが設けられていることが好ましい。基材11の他方の面に設けられた樹脂層は少なくとも上述した粘着層を含み、基材側にアンダーコート層をさらに含んでいてもよい。
【実施例】
【0068】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0069】
「測定・評価」
<樹脂層に含まれる有機成分の坪量(a)及び質量(A)の測定>
樹脂層を形成する前の基材を110℃で60分間乾燥した後、小数点第4位まで質量(T1)を測定した。次いで、樹脂層が形成された基材を110℃で60分間乾燥した後、小数点第4位まで質量(T2)を測定し、下記式(2)より樹脂層中の有機成分量を算出した。
算出した有機成分量を、基材1m2当たりの質量に換算した値を「樹脂層に含まれる有機成分の坪量(a)」とした。また、算出した有機成分量を、基材の質量を100質量部としたときの質量に換算した値を「質量(A)」とした。
樹脂層中の有機成分量[g]=T2-T1 ・・・(2)
【0070】
<基材に含まれる有機成分の坪量(b)及び質量(B)の測定>
基材を110℃で60分間乾燥した後、小数点第4位まで質量(T1)を測定した。次いで、乾燥後の基材を625±25℃の電気炉で30分間加熱し、その後、室温(20℃)まで放冷した後、小数点第4位まで質量(T3)を測定し、下記式(3)より樹脂層に含まれる有機成分の坪量(b)を算出した。また、下記式(4)より、基材の質量を100質量部としたときの基材に含まれる有機成分の質量(B)を算出した。
坪量(b)[g/m2]={(T1-T3)/T1}×基材の坪量(d) ・・・(3)
質量(B)[質量部]={100/基材の坪量}×坪量(b) ・・・(4)
【0071】
<不燃性の評価>
シール材から剥離シートを剥がした後、ISO 5660-1に準拠し、コンカロリーメータ(株式会社東洋精機製作所製)を用いて不燃試験を行い、下記評価基準にて不燃性を評価した。
◎:以下の3つの項目を全て満たす。
△:以下の3つの項目のうち、2つの項目を満たす。
×:以下の3つの項目のうち、2つ以上の項目を満たさない。
(項目)
・総発熱量が8MJ/m2以下である。
・防火上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴が発生しない。
・最高発熱速度が10秒以上継続して200kw/m2を超えない。
【0072】
<剥離性の評価>
両手に綿軍手を装着し、左手人差し指と親指でシール材の基材を把持し、右手にて剥離シートを剥がす際の剥離シートの剥離性について、下記評価基準にて不燃性を評価した。
◎:基材が層内剥離することなく、端部より剥離シートを容易に剥離できた。
〇:剥離シート側に基材を屈曲させることで、基材が層内剥離することなく、剥離シートを容易に剥離できた。
△:剥離シート側に基材を屈曲させることで剥離シートを剥離できたが、基材が層内剥離した。
×:剥離シート側に基材を屈曲させても粘着層が現れず、剥離シートを剥離できなかった。
【0073】
<層内剥離の評価>
シール材から剥離シートを剥がし、直径50mmのステンレス製の円筒に巻き付けた状態で30分放置した後、真っすぐな状態に戻したときの基材の断面の状態を目視にて観察し、下記評価基準にて層内剥離を評価した。
◎:基材の層内剥離(分離)が認められない。
〇:基材の一部において層内剥離が生じているが、無機繊維の脱落は認められない。
△:基材の一部において層内剥離が生じ、無機繊維の脱落も若干認められる。
×:基材の層内剥離が顕著に認められ、無機繊維の脱落も顕著である。
【0074】
<接着性の評価>
シール材から剥離シートを剥がし、ステンレス製のパンチングメタル版(60°千鳥型、孔径5mm、開口率40.3%)に、粘着層が接触するように貼り付け、0.2N/cm2の圧力下で30分間放置した後、パンチングメタル版を垂直に立てかけ、10℃で15%RHの環境下で24時間放置し、下記評価基準にて接着性を評価した。
◎:パンチングメタル版から基材及び樹脂層が剥がれていない。
〇:パンチングメタル版から基材及び樹脂層の一部が剥がれているが、形状は維持し、パンチングメタル版からの落下は認められない。
△:パンチングメタル版から基材及び樹脂層が剥がれ落ちていないが、一部で浮きが発生し、かつ形状を維持できずに垂れ下がった状態である。
×:パンチングメタル版から基材及び樹脂層が剥がれ落ちている。
【0075】
<総合評価>
不燃性、剥離性、層内剥離及び接着性の評価結果より、下記評価基準にて総合評価を行った。
◎:4つの評価項目の全ての結果が「◎」である。
〇:4つの評価項目のうち、全ての結果が「◎」又は「〇」であり、かつ、1つ以上の評価項目の結果に「〇」がある。
△:4つの評価項目のうち、全ての結果が「◎」、「〇」、「△」のいずれかであり、かつ、1つ以上の評価項目の結果に「△」がある。
×:4つの評価項目のうち、1つ以上の評価項目の結果に「×」がある。
【0076】
「基材の作製」
<基材(I)の作製>
無機繊維として平均繊維径3~6μmのロックウール粒状綿(太平洋マテリアル株式会社製、商品名「太平洋ミネラルファイバー粒状綿」)91.5質量部と、無機バインダとして平均粒子径12μmの球状のコロイダルシリカ(日産化学株式会社製、商品名「スノーテックスO」)0.5質量部と、有機バインダとしてアクリルエマルジョン(日本ゼオン株式会社製、商品名「Nipol LX852」)6質量部と、内添紙力増強剤としてポリアクリルアミド(荒川化学工業株式会社製、商品名「ポリストロン117」)0.5質量部とを水中で分散、混合した後、さらに高分子凝集剤としてスチレン系樹脂(明星化学工業株式会社製、商品名「セラフィックスST」)1.5質量部を添加して、抄造スラリーを得た。
手抄き用角型シートマシンを用いて抄造スラリーを湿式抄造し、150℃にて乾燥して、坪量(d)2000g/m2、厚さ10mm、幅250mm、長さ250mmのシート状の基材(I)を得た。
基材(I)に含まれる有機成分の坪量(b)は160g/m2であった。また、基材(I)の質量を100質量部としたときの、基材(I)に含まれる有機成分の質量(B)は8質量部であった。
【0077】
<基材(II)の作製>
無機繊維の配合量を93.5質量部に変更し、有機バインダの配合量を4質量部に変更した以外は基材(I)と同様にして、坪量(d)2000g/m2、厚さ10mm、幅250mm、長さ250mmのシート状の基材(II)を得た。
基材(II)に含まれる有機成分の坪量(b)は120g/m2であった。また、基材(II)の質量を100質量部としたときの、基材(II)に含まれる有機成分の質量(B)は6質量部であった。
【0078】
<基材(III)の作製>
無機繊維の配合量を89.5質量部に変更し、有機バインダの配合量を8質量部に変更した以外は基材(I)と同様にして、坪量(d)2000g/m2、厚さ10mm、幅250mm、長さ250mmのシート状の基材(III)を得た。
基材(III)に含まれる有機成分の坪量(b)は200g/m2であった。また、基材(III)の質量を100質量部としたときの、基材(III)に含まれる有機成分の質量(B)は10質量部であった。
【0079】
<基材(IV)の作製>
無機繊維の配合量を92.5質量部に変更し、有機バインダの配合量を5質量部に変更した以外は基材(I)と同様にして、坪量(d)2000g/m2、厚さ10mm、幅250mm、長さ250mmのシート状の基材(IV)を得た。
基材(IV)に含まれる有機成分の坪量(b)は140g/m2であった。また、基材(IV)の質量を100質量部としたときの、基材(IV)に含まれる有機成分の質量(B)は7質量部であった。
【0080】
<基材(V)の作製>
無機繊維の配合量を94.5質量部に変更し、有機バインダの配合量を3質量部に変更した以外は基材(I)と同様にして、坪量(d)2000g/m2、厚さ10mm、幅250mm、長さ250mmのシート状の基材(V)を得た。
基材(V)に含まれる有機成分の坪量(b)は100g/m2であった。また、基材(V)の質量を100質量部としたときの、基材(V)に含まれる有機成分の質量(B)は5質量部であった。
【0081】
<基材(VI)の作製>
無機繊維の配合量を88.5質量部に変更し、有機バインダの配合量を9質量部に変更した以外は基材(I)と同様にして、坪量(d)2000g/m2、厚さ10mm、幅250mm、長さ250mmのシート状の基材(VI)を得た。
基材(VI)に含まれる有機成分の坪量(b)は220g/m2であった。また、基材(VI)の質量を100質量部としたときの、基材(VI)に含まれる有機成分の質量(B)は11質量部であった。
【0082】
<基材(VII)の作製>
無機繊維の配合量を94質量部に変更し、有機バインダの配合量を3.5質量部に変更した以外は基材(I)と同様にして、坪量(d)2000g/m2、厚さ10mm、幅250mm、長さ250mmのシート状の基材(VII)を得た。
基材(VII)に含まれる有機成分の坪量(b)は110g/m2であった。また、基材(VII)の質量を100質量部としたときの、基材(VII)に含まれる有機成分の質量(B)は5.5質量部であった。
【0083】
[実施例1]
縦252mm、横252mm、厚さ500μmの厚紙に、開口率42%となるようにドット状の貫通孔(孔径5mm)を設け、塗工版を作製した。
基材(I)の幅方向と塗工版の縦方向が一致し、基材(I)の長手方向(長さ方向)と塗工版の横方向が一致するように、基材(I)の一方の面に塗工版を載せ、粘着剤として水系アクリルエマルジョン(株式会社スリーボンド製、商品名「スリーボンド1549」)を所定量、塗工版の上に滴下し、スキージで余分な粘着剤をかき取ると同時に、粘着剤を塗工版の貫通孔に流し込み、塗工量が80g/m2となるように基材(I)の一方の面に塗工した。塗工後、120℃のオーブンに10分間投入して乾燥し、ドット状に配置された複数の粘着部を備える粘着層からなる樹脂層を形成した。
次いで、剥離シートとして片面剥離紙(住化加工紙株式会社製、商品名「SL-80WD7」)を粘着層上に貼り付けた後、裁断機にて幅10mm、長さ250mmのシール材を得た。
得られたシール材について、樹脂層に含まれる有機成分の坪量(a)及び質量(A)を測定した。また、シール材について各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0084】
[実施例2]
縦252mm、横252mm、厚さ500μmの厚紙に、開口率21%となるようにドット状の貫通孔(孔径5mm)を設け、塗工版を作製した。
得られた塗工版を用い、粘着剤の塗工量を40g/m2に変更した以外は、実施例1と同様にしてシール材を製造し、各種測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0085】
[実施例3]
縦252mm、横252mm、厚さ500μmの厚紙に、開口率63%となるようにドット状の貫通孔(孔径5mm)を設け、塗工版を作製した。
得られた塗工版を用い、基材(I)に代えて基材(II)を用い、粘着剤の塗工量を120g/m2に変更した以外は、実施例1と同様にしてシール材を製造し、各種測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0086】
[実施例4]
基材(I)に代えて基材(II)を用いた以外は、実施例1と同様にしてシール材を製造し、各種測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0087】
[実施例5]
縦252mm、横252mm、厚さ500μmの厚紙に、開口率21%となるようにドット状の貫通孔(孔径5mm)を設け、塗工版を作製した。
得られた塗工版を用い、基材(I)に代えて基材(III)を用い、粘着剤の塗工量を40g/m2に変更した以外は、実施例1と同様にしてシール材を製造し、各種測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0088】
[実施例6]
縦252mm、横252mm、厚さ500μmの厚紙に、開口率5%となるようにドット状の貫通孔(孔径3mm)を設け、塗工版を作製した。
得られた塗工版を用い、基材(I)に代えて基材(II)を用い、粘着剤の塗工量を10g/m2に変更した以外は、実施例1と同様にしてシール材を製造し、各種測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0089】
[実施例7]
縦252mm、横252mm、厚さ500μmの厚紙に、開口率5%となるようにドット状の貫通孔(孔径3mm)を設け、塗工版を作製した。
得られた塗工版を用い、基材(I)に代えて基材(IV)を用い、粘着剤の塗工量を10g/m2に変更した以外は、実施例1と同様にしてシール材を製造し、各種測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0090】
[実施例8]
縦252mm、横252mm、厚さ500μmの厚紙に、開口率5%となるようにドット状の貫通孔(孔径3mm)を設け、塗工版を作製した。
ポリビニルアルコール(三菱ケミカル株式会社製、商品名「ゴーセネックスT-350」)を濃度が10.5質量%となるように水に溶解させ、塗工液を調製した。
基材(IV)の一方の面に、直径10mmの丸棒(ワイヤー巻なし)を用いて塗工液を塗工し、100℃で5分乾燥させ、坪量20g/m2のアンダーコート層を形成した。
基材(IV)の幅方向と塗工版の縦方向が一致し、基材(IV)の長手方向と塗工版の横方向が一致するように、アンダーコート層上に塗工版を載せ、粘着剤として水系アクリルエマルジョン(株式会社スリーボンド製、商品名「スリーボンド1549」)を所定量、塗工版の上に滴下し、スキージで余分な粘着剤をかき取ると同時に、粘着剤を塗工版の貫通孔に流し込み、塗工量が10g/m2となるようにアンダーコート層上に塗工した。塗工後、120℃のオーブンに10分間投入して乾燥し、ドット状に配置された複数の粘着部を備える粘着層と、アンダーコート層とからなる樹脂層を形成した。
次いで、剥離シートとして片面剥離紙(住化加工紙株式会社製、商品名「SL-80WD7」)を粘着層上に貼り付けた後、裁断機にて幅10mm、長さ250mmのシール材を得た。
得られたシール材について、樹脂層に含まれる有機成分の坪量(a)及び質量(A)を測定した。また、シール材について各種評価を行った。結果を表2に示す。
【0091】
[実施例9]
基材(IV)に代えて基材(II)を用いた以外は、実施例8と同様にしてシール材を製造し、各種測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
【0092】
[実施例10]
縦252mm、横252mm、厚さ500μmの厚紙に、開口率9%となるように、交差角度が45度の格子状の貫通孔(線幅1mm、ピッチ20mm)を設け、塗工版を作製した。
基材(II)の幅方向と塗工版の縦方向が一致し、基材(II)の長手方向と塗工版の横方向が一致するように、基材(II)の一方の面に塗工版を載せ、粘着剤として水系アクリルエマルジョン(株式会社スリーボンド製、商品名「スリーボンド1549」)を所定量、塗工版の上に滴下し、スキージで余分な粘着剤をかき取ると同時に、粘着剤を塗工版の貫通孔に流し込み、塗工量が20g/m2となるように基材(II)の一方の面に塗工した。塗工後、120℃のオーブンに10分間投入して乾燥し、格子状に配置された複数の粘着部を備える粘着層からなる樹脂層を形成した。
次いで、剥離シートとして片面剥離紙(住化加工紙株式会社製、商品名「SL-80WD7」)を粘着層上に貼り付けた後、裁断機にて幅10mm、長さ250mmのシール材を得た。
得られたシール材について、樹脂層に含まれる有機成分の坪量(a)及び質量(A)を測定した。また、シール材について各種評価を行った。結果を表2に示す。
【0093】
[実施例11]
縦252mm、横252mm、厚さ500μmの厚紙に、開口率9%となるように、縦方向に平行したストライプ状の貫通孔(線幅2mm、ピッチ20mm)を設け、塗工版を作製した。
基材(II)の幅方向と塗工版の縦方向が一致し、基材(II)の長手方向と塗工版の横方向が一致するように、基材(II)の一方の面に塗工版を載せ、粘着剤として水系アクリルエマルジョン(株式会社スリーボンド製、商品名「スリーボンド1549」)を所定量、塗工版の上に滴下し、スキージで余分な粘着剤をかき取ると同時に、粘着剤を塗工版の貫通孔に流し込み、塗工量が20g/m2となるように基材(II)の一方の面に塗工した。塗工後、120℃のオーブンに10分間投入して乾燥し、ストライプ状に配置された複数の粘着部を備える粘着層からなる樹脂層を形成した。
次いで、剥離シートとして片面剥離紙(住化加工紙株式会社製、商品名「SL-80WD7」)を粘着層上に貼り付けた後、裁断機にて幅10mm、長さ250mmのシール材を得た。
得られたシール材について、樹脂層に含まれる有機成分の坪量(a)及び質量(A)を測定した。また、シール材について各種評価を行った。結果を表2に示す。
【0094】
[実施例12]
縦252mm、横252mm、厚さ500μmの厚紙に、開口率16%となるようにドット状の貫通孔(孔径5mm)を設け、塗工版を作製した。
得られた塗工版を用い、基材(I)に代えて基材(V)を用い、粘着剤の塗工量を30g/m2に変更した以外は、実施例1と同様にしてシール材を製造し、各種測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
【0095】
[実施例13]
縦252mm、横252mm、厚さ500μmの厚紙に、開口率9%となるようにドット状の貫通孔(孔径5mm)を設け、塗工版を作製した。
得られた塗工版を用い、基材(I)に代えて基材(VI)を用い、粘着剤の塗工量を20g/m2に変更した以外は、実施例1と同様にしてシール材を製造し、各種測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
【0096】
「比較例1」
剥離シートと、剥離シートの一方の面に連続して存在する粘着層からなる樹脂層とを備えた両面テープ(積水成型工業株式会社製、商品名「#595TF」)を、基材(III)の一方の面と粘着層の露出面とが接するように貼り付け、裁断機にて幅10mm、長さ250mmのシール材を得た。
得られたシール材について、樹脂層に含まれる有機成分の坪量(a)及び質量(A)を測定した。また、シール材について各種評価を行った。結果を表3に示す。
【0097】
「比較例2」
基材(III)に代えて基材(II)を用いた以外は、比較例1と同様にしてシール材を製造し、各種測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
【0098】
「比較例3」
基材(III)に代えて基材(IV)を用いた以外は、比較例1と同様にしてシール材を製造し、各種測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
【0099】
[比較例4]
縦252mm、横252mm、厚さ500μmの厚紙に、開口率4%となるようにドット状の貫通孔(孔径3mm)を設け、塗工版を作製した。
得られた塗工版を用い、粘着剤の塗工量を8g/m2に変更した以外は、実施例1と同様にしてシール材を製造し、各種測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
【0100】
[比較例5]
縦252mm、横252mm、厚さ500μmの厚紙に、開口率74%となるようにドット状の貫通孔(孔径3mm)を設け、塗工版を作製した。
得られた塗工版を用い、基材(I)に代えて基材(II)を用い、粘着剤の塗工量を140g/m2に変更した以外は、実施例1と同様にしてシール材を製造し、各種測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
【0101】
[比較例6]
縦252mm、横252mm、厚さ500μmの厚紙に、開口率52%となるようにドット状の貫通孔(孔径5mm)を設け、塗工版を作製した。
得られた塗工版を用い、粘着剤の塗工量を100g/m2に変更した以外は、実施例1と同様にしてシール材を製造し、各種測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
【0102】
[比較例7]
縦252mm、横252mm、厚さ500μmの厚紙に、開口率5%となるようにドット状の貫通孔(孔径3mm)を設け、塗工版を作製した。
得られた塗工版を用い、基材(I)に代えて基材(VII)を用い、粘着剤の塗工量を10g/m2に変更した以外は、実施例1と同様にしてシール材を製造し、各種測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
表1、2の結果から明らかなように、各実施例で得られたシール材は、接着性を維持しながらも、剥離シートが剥がしやすく、しかも基材が層内剥離しにくく、不燃性に優れていた。特に質量(B)が6~10質量部である実施例1~11のシール材は、質量(B)が5質量部である実施例12のシール材及び質量(B)が11質量部である実施例13のシール材に比べて、基材が層内剥離しにくく、不燃性にも優れていた。
【0107】
対して、表3の結果から明らかなように、粘着層が連続して存在する比較例1~3のシール材は、剥離シートの剥離性に劣っていた。特に比較例1、3で得られたシール材は、不燃性にも劣っていた。
質量(A)が0.4質量部である比較例4のシール材は、接着性に劣っていた。
質量(A)が7質量部であり、質量(A)と質量(B)の合計(A+B)が13質量部である比較例5のシール材は、不燃性に劣っていた。
質量(A)と質量(B)の合計(A+B)が13質量部である比較例6のシール材は、不燃性に劣っていた。
質量(A)と質量(B)の合計(A+B)が6質量部である比較例7のシール材は、剥離シートを剥がす際に基材が層内剥離した。
【符号の説明】
【0108】
10 シール材
11 基材
11a 一方の面
12 樹脂層
121 粘着層
121a 基材又はアンダーコート層とは反対の面
121d 粘着部
122 アンダーコート層
122a 基材とは反対の面
13 剥離シート
20 シール材