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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/37 20200101AFI20240717BHJP
   D06F 39/02 20060101ALI20240717BHJP
   D06F 103/22 20200101ALN20240717BHJP
【FI】
D06F33/37
D06F39/02 A
D06F103:22
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020096926
(22)【出願日】2020-06-03
(65)【公開番号】P2021186452
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】加藤 瞬
(72)【発明者】
【氏名】内山 具典
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-054688(JP,A)
【文献】特開2018-042989(JP,A)
【文献】特開2019-097865(JP,A)
【文献】特開2006-167185(JP,A)
【文献】特開2018-064641(JP,A)
【文献】特表平07-504609(JP,A)
【文献】特開平05-293071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/37
D06F 39/02
D06F 103/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽と、
前記水槽に供給される水に主としてマイクロバブルを含む微細気泡を発生させる微細気泡発生装置と、
前記水槽内に洗濯処理剤を自動的に投入する処理剤自動投入装置と、
前記微細気泡を含んだ水を前記水槽に給水する給水処理及び前記処理剤自動投入装置から前記水槽へ前記洗濯処理剤を投入する処理剤投入処理を実行可能な制御装置と、を備え、
前記微細気泡発生装置は、前記水槽に供給される水に対し空気を加圧溶解させる加圧溶解装置と、加圧溶解装置の下流側に設けられ前記水槽に供給する水に前記微細気泡を析出させる微細気泡発生器と、を有し、
前記処理剤自動投入装置は、複数回分の前記洗濯処理剤を収容可能なタンクと、前記タンク内に貯留されている前記洗濯処理剤を吸引する吸引動作と吸引した前記洗濯処理剤を前記水槽に至る経路に吐出する吐出動作とを繰り返し実行可能な投入ポンプと、を有し、
前記制御装置は、
前記給水処理の実行中に前記処理剤投入処理を実行可能であり、
前記給水処理の実行中において所定量の前記洗濯処理剤を前記水槽内に分散して供給されるように、前記投入ポンプの単位時間当たりの駆動量を変更することによって前記処理剤投入処理の実行時間を調整する理、を更に実行可能である、
洗濯機。
【請求項2】
前記処理剤自動投入装置は、前記微細気泡発生装置と前記水槽との間の経路上に接続されている、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記給水処理に要する給水時間を推定する推定処理と、を更に実行可能であり、
前記調整処理は、前記推定処理によって推定された前記給水時間のうち半分以上の時間において前記処理剤投入処理が実行されるように前記処理剤投入処理の実行時間を調整する処理を更に含む、
請求項1又は2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記推定処理は、過去に実行した前記給水処理の実績値に基づいて前記給水時間を推定する処理を更に含む、
請求項3に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記水槽内の水位を検出する水位センサを更に備え、
前記制御装置は、前記給水処理を実行中に前記水位センサが検出した水位の変化量に基づいて前記処理剤投入処理の実行時間を補正する補正処理を更に実行可能である、
請求項3又は4に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記制御装置は、洗濯物の重量又はユーザの設定に基づき前記洗濯処理剤の投入量を設定する設定処理を更に実行可能であり、
記補正処理は、記洗濯処理剤の設定量を変化させずに前記処理剤投入処理の実行時間を補正する処理を更に含む、
請求項5に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記投入ポンプは、前記洗濯処理剤の吐出量が1サイクル当たり2ml以下に設定されている、
請求項6に記載の洗濯機。
【請求項8】
前記投入ポンプの1サイクルにおいて前記吐出動作の実行時間のほうが前記吸引動作の実行時間よりも長く設定されている、
請求項6又は7に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
ファインバブルと称されるマイクロバブルやウルトラファインバブル等の微細気泡を含む微細気泡水を洗濯機に用いることで洗浄効果を向上させる技術が注目されている。ファインバブルのうちマイクロバブルは、ウルトラファインバブルよりも粒径が大きいため、比較的短時間で浮上し又は溶解して消滅してしまう。そのため、従来の構成では、マイクロバブルを洗濯物に効果的に作用させることに関して改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-175050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、マイクロバブルの寿命を延ばして洗濯物に効果的に作用させることができる洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の洗濯機は、水槽と、前記水槽に供給される水に主としてマイクロバブルを含む微細気泡を発生させる微細気泡発生装置と、前記水槽内に洗濯処理剤を自動的に投入する処理剤自動投入装置と、前記微細気泡を含んだ水を前記水槽に給水する給水処理及び前記処理剤自動投入装置から前記水槽へ前記洗濯処理剤を投入する処理剤投入処理を実行可能な制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記給水処理の実行中に前記処理剤投入処理を実行可能である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態による洗濯機の一例を概略的に示す図
図2】第1実施形態による洗濯機について、加圧溶解装置の構成の一例を概略的に示す図
図3】第1実施形態による洗濯機について、加圧溶解装置の加圧タンクの構成の一例を概略的に示す断面図
図4】第1実施形態による洗濯機について、微細気泡発生器の構成の一例を概略的に示す図
図5】第1実施形態による微細気泡発生器の一例を図4のX5-X5線に沿って示す断面図
図6】第1実施形態による洗濯機について、微細気泡発生器の構成の他の例を概略的に示す図
図7】第1実施形態による微細気泡発生器の一例を図6のX7-X7線に沿って示す断面図
図8】第1実施形態による投入ポンプの構成の一例を概略的に示す斜視図
図9】第1実施形態による投入ポンプの構成の一例を概略的に示す断面図
図10】第1実施形態による投入ポンプの吸引動作と吐出動作の変化の一例を経時的に示す図
図11】第1実施形態による投入ポンプの構成の他の例を概略的に示す断面図
図12】第1実施形態による洗濯機について、制御装置の電気的構成の一例を示すブロック図
図13】第1実施形態による洗濯機について、制御装置が蓄積している実績値の一例を示す図
図14】第1実施形態による洗濯機について、補正処理の処理内容の一例を示す図
図15】第1実施形態による洗濯機について、制御装置によって実行される制御内容の一例を示すフローチャート
図16】第2実施形態による貯留部材の構成の一例を概略的に示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。また、以下の各実施形態において、構成要素等に付された「第1」、「第2」との語句は、類似した構成要素を単に区別するためのものであり、構成要素間の優劣や時間的要素を意味するものではない。
【0008】
(第1実施形態)
図1から図16を参照して第1実施形態について説明する。図1に示す洗濯機10は、回転槽13の回転軸が水平へ向かう横軸型又は後方へ向かって下降傾斜した斜め軸型のドラム式洗濯機である。なお、洗濯機10は、回転槽13の回転軸が垂直方向へ向いた縦軸型の洗濯機でも良い。本実施形態の洗濯機10は、外箱11、水槽12、回転槽13、ドラムモータ14、排水経路15、排水弁16、フィルタ装置17、循環経路18、及び循環ポンプ19を備えている。なお、図1において、洗濯機10の設置面側つまり鉛直下側を洗濯機10の下側とし、設置面と反対側つまり鉛直上側を洗濯機10の上側とする。また、洗濯機10のユーザから見て手前側を洗濯機10の前側とし、ユーザの反対側つまり洗濯機10の背面側を洗濯機10の後側とする。
【0009】
図1に示す洗濯機10において、水槽12は、外箱11内に配置されて図示しないサスペンションによって弾性的に支持されている。回転槽13は、水槽12内に回転可能に配置されており、ドラムモータ14によって回転駆動される。
【0010】
排水経路15は、水槽12内に貯留されている水を洗濯機10の機外に排出するための経路である。排水経路15は、例えば可撓性を有する排水ホースで構成されており、一方の端部が排水弁16に接続され、他方の端部が洗濯機10の機外に引き出されている。
【0011】
排水弁16は、電磁的に開閉動作が可能な液体用の開閉弁である。排水弁16は、水槽12の底部に設けられた排水口121と、排水経路15との間に設けられている。排水弁16は、制御装置90からの制御信号に基づき、排水経路15を開閉する。
【0012】
フィルタ装置17は、排水口121と排水弁16との間に設けられている。フィルタ装置17は、内部に網目状のフィルタ171を有しており、そのフィルタ171によって、フィルタ装置17内を通過する水に含まれるリントやゴミを捕集する。
【0013】
循環経路18は、水槽12内に貯留されている水を汲み上げて、その汲み上げた水を水槽12の上部から再び水槽12内に供給するための経路である。循環経路18は、水槽12の外部に設けられている。循環経路18の一方の端部は、フィルタ装置17を介して水槽12の排水口121に接続されており、他方の端部は、水槽12の上部に設けられたノズル部181に接続されている。ノズル部181は、詳細は図示しないが、ノズル部181から吐出された水が水槽12の中央側へ向かうように構成されている。
【0014】
循環ポンプ19は、循環経路18上に設けられている。排水弁16によって排水経路15が閉じられた状態で循環ポンプ19が駆動すると、循環ポンプ19は、排水口121を通して水槽12内の水を汲み上げて、ノズル部181から再び水槽12内へ注水する。これにより、循環ポンプ19は、水槽12内に貯留されている水を、循環経路18を通して循環させる。
【0015】
また、図1に示すように、洗濯機10は、接続口21、第1給水経路R1、第2給水経路R2、給水弁22、23、及び微細気泡発生装置25、を有している。接続口21は、ホース100を介して水道の蛇口等の外部の給水源に接続される。第1給水経路R1及び第2給水経路R2は、接続口21の下流側で分岐して後述する注水ケース261を介して水槽12に至る経路である。
【0016】
第1給水経路R1は、接続口21から給水弁22を通り水槽12、この場合、回転槽13に至る経路である。第1給水経路R1は、水道水や風呂水等の外部の給水源から供給された水を水槽12内に供給する機能を有する。第2給水経路R2は、接続口21から給水弁23を通り水槽12内に至る経路である。第2給水経路R2は、外部の給水源から供給された水に主としてマイクロバブルを含む微細気泡水を水槽12内に供給する機能を有する。本実施形態において、第1給水経路R1は、微細気泡発生装置25等の付加装置を有しておらず、外部の給水源から水槽12へ直接給水を行うことができる。そのため、その単位時間あたりの給水量は第2給水経路R2の給水量よりも多くなる。
【0017】
給水弁22、23は、電磁的に開閉動作可能な液体用の開閉弁である。図1に示すように、給水弁22は、第1給水経路R1上において接続口21と処理剤自動投入装置60との間に設けられており、第1給水経路R1を開閉する機能を有する。給水弁23は、第2給水経路R2上において接続口21と微細気泡発生装置25との間に設けられており、第2給水経路R2を開閉する機能を有する。以下の説明では、2つの給水弁のうち、給水弁22を第1給水弁22と称し、給水弁23を第2給水弁23と称することがある。
【0018】
ここで、一般に微細気泡又はファインバブルは、その気泡の粒子径によって次のように分類されている。例えば、粒子径が数μmから100μm程度つまりマイクロオーダーの気泡は、上述したようにマイクロバブルと称されている。これに対し、粒子径が50nm~1,000nm未満つまりナノオーダーの気泡は、上述したようにウルトラファインバブルと称されている。
【0019】
例えばマイクロバブルは、以下の性質を有している。マイクロバブルは、電気的特性としてマイナス電荷を帯びており、洗濯物に付着したプラス電荷を帯びた皮脂汚れ等の汚れと静電的に吸着しやすい。マイクロバブルとの電気的反応により洗濯物から引き剥がされた汚れは、マイクロバブル表面に吸着したままマイクロバブルの浮力により水面に浮上し滞留する。さらに、気泡表面がマイナスに帯電したマイクロバブル同士は反発しあい結合することがなく液体中では分散するため、洗濯物から取り除いた汚れが洗浄水中で再び洗濯物に付着することを抑制することができる。洗濯物に付着した汚れを除去し水面浮上する及び液体中の分散作用により洗濯物への再付着を防ぐ等の洗浄能力から、特に洗い工程で効果を発揮することが期待される。一方、マイクロバブルは水面浮上等により発生から数分後には消滅してしまう性質を有する。
【0020】
さて、本実施形態の洗濯機10は、図1に示すように、微細気泡発生装置25を備えている。微細気泡発生装置25は、水槽12に供給される水に主としてマイクロバブルを含む微細気泡を発生させる機能を有する。微細気泡発生装置25は、第2給水経路R2上に設けられており、例えば微細気泡発生器30と加圧溶解装置40とを有している。加圧溶解装置40は、第2給水弁23から注水ケース261に至る経路上に設けられている。本実施形態の場合、加圧溶解装置40は第2給水経路R2に対して着脱可能に構成されている。そして、加圧溶解装置40は、外部の給水源から供給される水に対し空気を加圧溶解させる機能を有する。これにより、加圧溶解装置40の下流側に設けられた微細気泡発生器30に対して溶存空気が増加した水を供給することができる。
【0021】
加圧溶解装置40は、図2に示すように、矢印A方向へ水を流す流路を構成する。加圧溶解装置40は、図2及び図3に示すように、加圧タンク41、入口部42、出口部43、及び空気導入部44を有している。加圧タンク41は、例えば気密及び水密性を有するとともに耐圧性を有する合成樹脂製の容器で構成されている。この場合、耐圧性とは、大気圧以上の圧力に耐え得ることを意味する。入口部42は、加圧タンク41の上部に設けられており、第2給水弁23の吐出側に接続されている。外部の給水源から接続口21を介して第2給水弁23に供給された水は、入口部42を通って加圧タンク41内に導入される。この場合、第2給水弁23と入口部42との間には大きな抵抗となる構成が存在していないため、第2給水弁23から吐出された水は比較的高圧の状態で加圧タンク41に供給される。
【0022】
出口部43は、加圧溶解装置40の下部に設けられている。入口部42から加圧タンク41内に流入した水は、出口部43を通って加圧タンク41の外部に流出する。なお、本実施形態においては、出口部43からの排水は加圧タンク41に貯留した水の水圧つまり静水圧のみで行われ、排水のための専用のポンプ等の駆動源を要していない。
【0023】
空気導入部44は、加圧タンク41の上部に設けられており、加圧タンク41の内部と外部とを開閉可能に連通している。本実施形態の場合、空気導入部44は、空気導入管441及び吸気弁442を有している。吸気弁442は、例えば制御装置90からの信号に基づき開閉駆動する空気用の電磁弁で構成されている。制御装置90からの信号に基づき吸気弁442が開放されると、空気導入管441を介して加圧タンク41に外気が補充される。
【0024】
通常、吸気弁442は、第2給水弁23が開放され給水が行われているときは閉じられている。第2給水弁23の開放により給水を開始した後、加圧タンク41内の水位が所定位置まで上昇又は給水時間が所定時間経過すると、制御装置90からの信号に基づき第2給水弁23が閉鎖し加圧タンク41内への給水が一旦停止される。そして、第2給水弁23を閉鎖している期間に吸気弁442を開放することにより、加圧タンク41内に新たな空気が導入される。
【0025】
加圧溶解装置40は、例えば加圧タンク41から流出する水量よりも加圧タンク41内に流入する水量を多くすることで、水道圧のみで加圧タンク41内を加圧することができる。例えば加圧タンク41内の圧力が大気圧の状態つまり加圧タンク41内に水がほとんど溜まっていない初期の段階で第2給水弁23が開放されると、入口部42から加圧タンク41内に流入した水のうち出口部43から流出しなかった残りの水が加圧タンク41内に貯留されて加圧タンク41内の水位が上昇する。このとき、加圧タンク41内の空気は上昇する水面に圧縮され、これにより加圧タンク41内の圧力が上昇する。
【0026】
その後、入口部42からの水の流入が継続されて加圧タンク41内の水位が所定水位まで上昇すると、加圧タンク41内の圧力と外部の給水源から流入する水の圧力この場合水道圧とが均衡する。その結果、入口部42から加圧タンク41内に流入する水の量と出口部43から加圧タンク41外に流出する水の量とが略等しくなり、加圧タンク41内が最大圧力この場合水道圧に近い圧力となる。これにより、加圧タンク41内の空気が加圧タンク41内に貯留されている水に溶解し易くさせることができる。このように、加圧タンク41内の圧力が大気圧よりも上昇することにより、加圧タンク41内の空気が加圧タンク41内に貯留されている水に溶解し易くなる。すなわち、外部の給水源から供給された水を加圧溶解装置40に通すことによって、加圧溶解装置40の下流側に供給される水に対して、加圧溶解装置40を通らない通常の水に比べて多量の空気成分を溶解させた水を供給することができる。
【0027】
図3に示すように、加圧溶解装置40は、仕切壁45を有している。仕切壁45は、加圧タンク41内の底部に設けられており、加圧タンク41内の空間のうち下部の空間を水平方向に仕切っている。すなわち、仕切壁45は、加圧タンク41内の空間のうち下部の空間を、入口部42側の空間と出口部43側の空間とに仕切っている。
【0028】
仕切壁45には、スリット451が形成されている。スリット451は、粒径の大きな泡を遮蔽する機能を有している、つまり加圧タンク41内からの空気の流出を防ぐ役割を果たしている。入口部42から加圧タンク41内に流入した水のうち仕切壁45の上端よりも下方に位置する水は、仕切壁45のスリット451を通過して出口部43側の空間に流れる。このとき、入口部42からの落下等により発生した例えばミリオーダーの比較的大きな気泡は、スリット451を通過せずに出口部43側の空間に流出することなく消滅する。
【0029】
なお、吸気弁442に代えて、エアーポンプにより空気を導入する構成としても良い。また、吸気弁442は、例えば加圧タンク41の外部から加圧タンク41の内部へ向かう空気は通すが、加圧タンク41の内部から加圧タンク41の外部へ向かう空気は遮断する機能を有する逆止弁で構成することができる。この場合、吸気弁442は、加圧タンク41内の圧力が大気圧よりも高くなると閉じ、加圧タンク41内の圧力が大気圧以下になると開く構成とする。これにより、第2給水弁23が開いて加圧タンク41内に水が流入すると、加圧タンク41内の水位の上昇に伴い加圧タンク41内が加圧される。一方、第2給水弁23を閉じると、加圧タンク41内の水位の低下に伴い加圧タンク41内の圧力も大気圧以下に低下し、吸気弁442が開いて外気が導入される。
【0030】
微細気泡発生器30は、第2給水経路R2上において加圧溶解装置40の下流側に設けられている。また、微細気泡発生器30は、水槽12に供給する水にマイクロオーダー又はナノオーダーの微細気泡を析出させる機能を有する。なお、本実施形態において、ナノオーダーの微細気泡、ウルトラファインバブル及びナノバブルは、いずれも同義であり、粒子径がナノオーダーの気泡を意味する。
【0031】
微細気泡発生器30の構成について、図4及び図5を参照しながら説明する。微細気泡発生器30の直径及び全長は、例えば数mm~数十mm程度、具体的には直径が最大約15mmで長さが約10mmに設定されている。そして、微細気泡発生器30は第2給水経路R2に対して着脱可能に構成されている。
【0032】
また、本実施形態において、微細気泡発生器30は、水の通過可能な面積を局所的に縮小することにより微細気泡発生器30を通過する水に微細気泡を含ませる。具体的には、微細気泡発生器30は、図4に示すように、絞り部31、ストレート部32、及び衝突部33を有している。絞り部31及びストレート部32は、微細気泡発生器30の長手方向へ向かって矢印B方向へ水を流す流路を構成する。
【0033】
絞り部31は、微細気泡発生器30の流入側つまり上流側に設けられている。絞り部31は、微細気泡発生器30の長手方向の上流側端部から途中部分にかけて流路の断面積つまり内径が連続的に徐々に減少するようないわゆる截頭円錐形のテーパ管状に形成されている。ストレート部32は、絞り部31の下流側に設けられている。ストレート部32は、内径が変化しない、すなわち流路の断面積つまり液体の通過可能な面積が変化しない円筒形、いわゆるストレート管状に形成されている。
【0034】
衝突部33は、ストレート部32の下流端部分に設けられている。衝突部33は、微細気泡発生器30における水の通過可能な断面積を局所的に縮小することで、微細気泡発生器30を通過する液体中に微細気泡を多量に発生させることができる。また、本実施形態の場合、衝突部33は、図5に示すように、例えば先端が尖った4本の棒状の部分で構成され、ストレート部32の内周面から当該ストレート部32の断面における中心方向へ向かって突出している。4本の衝突部33は、ストレート部32の断面の周方向に向かって相互に等間隔に離間した状態で配置されている。この場合、各衝突部33の下流側の面は、平坦面に形成されている。また、各衝突部33で構成される隙間の面積が、微細気泡発生器30における水の通過可能な最小断面積となる。
【0035】
微細気泡発生器30の上流側に水が流入すると、截頭円錐テーパ形状に縮小するように形成された絞り部31において流路断面積が絞られることによって、流体力学のいわゆるベルヌーイの定理に基づき流速が高められるとともに減圧によるキャビテーションが発生する。そして、その高速流が衝突部33に衝突することで作用するせん断力によって細分化された微細気泡が生成される。これにより、微細気泡発生器30は、微細気泡発生器30内を通過する水の中に溶存している空気を微細気泡として多量に析出させて、微細気泡発生器30を通過する以前よりも微細気泡を多量に含んだ水を供給することができる。そして、微細気泡発生器30は、水圧以外には、微細気泡を発生させるための専用のポンプ等の駆動源を要さない。
【0036】
さらに、微細気泡発生器30に供給される水に溶存している空気の量が増えるほど、析出される微細気泡のうちウルトラファインバブルに比べてマイクロバブルの量を顕著に増加させることができる。そこで、本実施形態の場合、微細気泡発生器30の上流側に加圧溶解装置40が設けられている。これにより、加圧溶解装置40によって溶存空気が増加した水が微細気泡発生器30に供給されるため、微細気泡発生器30を通過した水には微細気泡のうち主としてマイクロバブルが多量に析出される。つまり、微細気泡発生装置25を通過した水には主としてマイクロバブルを多量に含ませることができる。そして、第2給水経路R2から水槽12内には主としてマイクロバブルを多量に含んだマイクロバブル水を供給することができる。なお、マイクロバブル水とは、主としてマイクロバブルを含んだ微細気泡水を示す。
【0037】
このように、微細気泡発生装置25は、主としてマイクロバブルを析出させる機能を有するが、微細気泡発生装置25を通過した水には、マイクロバブルの他に微細気泡発生器30を通過することで析出されたナノオーダーの微細気泡が含まれ得る。そのため、主として、との表現はその発生濃度が他オーダーに属する微細気泡の発生濃度よりも多いことを意味しており、例えば縦軸に微細気泡の濃度、横軸に微細気泡の粒径で表した微細気泡の濃度分布のピークが、主としてマイクロオーダーの微細気泡に存在することを意味している。
【0038】
また、洗濯機10は、マイクロバブルを発生させる手段として、微細気泡発生器30に替えて、図6及び図7に示すような微細気泡発生器50を備えていても良い。微細気泡発生器50は、水槽12に供給する水にマイクロオーダーの微細気泡を析出させる機能を有する。この場合、微細気泡発生器50の直径及び全長は、例えば数mm~数十mm程度、具体的には直径が最大約20mmで長さが約25mmに設定されている。
【0039】
微細気泡発生器50は、図6に示すように、流入部51、小径流路部52、及び開放部53を有している。流入部51、小径流路部52、及び開放部53は、微細気泡発生器50の長手方向へ向かって矢印C方向へ水を流す流路を構成する。
【0040】
流入部51は、微細気泡発生器50の流入側つまり上流側に設けられている。流入部51は、円筒形状に形成されている。小径流路部52は、流入部51と開放部53とを接続している。すなわち、小径流路部52は、流入部51の下流側の端部と開放部53の上流部の端部とを接続している。小径流路部52の断面積は、流入部51の断面積に比べて極めて小さい断面積で構成されている。つまり、流入部51に対して小径流路部52における水が通過可能な断面積は急激に縮小している。
【0041】
微細気泡発生器50は、複数の小径流路部52、この場合、5つの小径流路部52を有している。開放部53は、複数の小径流路部52の下流側つまり微細気泡発生器50の流出側に設けられている。開放部53は、内径が変化しない、すなわち流路の断面積つまり液体の通過可能な面積が変化しない円筒形、いわゆるストレート管状に形成されている。開放部53において、複数の小径流路部52を通過した水が集合し一定量の流量となり水槽12内に供給される。
【0042】
このように、微細気泡発生器50の上流側に水が流入すると、流入部51から複数の小径流路部52に水が流入する際に流路断面積が急激に縮小することによって、ベルヌーイの定理に基づき流速が高められるとともに減圧によるキャビテーションが発生する。これにより、微細気泡発生器50は、微細気泡発生器50内を通過する水の中に溶存している空気をマイクロバブルとして多量に析出させて、微細気泡発生器50を通過する以前よりもマイクロバブルを多量に含んだマイクロバブル水を供給することができる。この場合、マイクロバブル水とは、主としてマイクロバブルを含んだ機能水を示す。そして、本実施形態の微細気泡発生器50は、図4及び図5に示す微細気泡発生器30と同様に、水圧以外には、マイクロバブルを発生させるための専用のポンプ等の駆動源を要さない。
【0043】
更に、微細気泡発生器50の上流側には加圧溶解装置40が設けられているため、加圧溶解装置40によって溶存空気が増加した水が微細気泡発生器50に供給される。これにより、加圧溶解装置40を設けない場合に比べて、微細気泡発生器50で発生するマイクロバブルを顕著に増加させることができる。なお、微細気泡発生器30と微細気泡発生器50とにおいて印可される水圧が同じである場合、微細気泡発生器50のほうが微細気泡発生器30よりも多くのマイクロバブルを析出することができる。このため、微細気泡発生器50単体でも洗浄効果を向上させるのに必要十分な量のマイクロバブルが得られる場合には、必ずしも加圧溶解装置40は必要ではなく、加圧溶解装置40を省略しても良い。
【0044】
また、本実施形態の洗濯機10は、処理剤手動投入装置26と処理剤自動投入装置60とを有している。処理剤手動投入装置26及び処理剤自動投入装置60は、いずれも外箱11の上部に設けられている。処理剤手動投入装置26は、ユーザが洗濯運転の開始前に手動で投入する1回の洗濯運転に必要な洗濯処理剤を貯留しておき、洗濯運転の進行に伴い必要量の洗濯処理剤を水槽12に投入する機能を有する。また、処理剤自動投入装置60は、複数回分の洗濯運転に必要な洗濯処理剤を貯留しておき、洗濯運転の進行に伴い必要量の洗濯処理剤を自動で水槽12に投入する機能を有する。ユーザは、洗濯物の種類等に応じて処理剤手動投入装置26又は処理剤自動投入装置60のいずれを使用するかを適宜設定することが可能である。
【0045】
なお、本実施形態において、洗濯処理剤とは、例えば粉末洗剤や液体洗剤等の洗剤、及び柔軟剤や香り付け剤等の仕上げ剤を含む概念である。また、本実施形態の場合、処理剤手動投入装置26は液体洗剤と粉末洗剤との両方、及び液体の仕上げ剤に対応し、処理剤自動投入装置60は液体洗剤及び液体の仕上げ剤に対応している。
【0046】
処理剤手動投入装置26は、図1に示すように、給水経路R1、R2の下流側に設けられ、給水経路R1、R2と接続している。また、処理剤手動投入装置26は、注水ケース261、手動用処理剤ケース262、及び注水口263を有している。注水ケース261は、処理剤手動投入装置26の外殻を構成するものであり、例えば樹脂製であって内部に空間を有する箱状に形成されている。
【0047】
手動用処理剤ケース262は、例えば樹脂製であって1回の洗濯運転に必要な洗濯処理剤を貯留可能な容器状に構成されている。また、手動用処理剤ケース262は、注水ケース261内から引出し式に出し入れ可能に設けられている。ユーザは、手動用処理剤ケース262を注水ケース261から引き出して、手動用処理剤ケース262内に洗濯処理剤を投入し、その後、手動用処理剤ケース262を注水ケース261内に押し入れる。外部の給水源から供給された水は、注水ケース261内に流入し、手動用処理剤ケース262に貯留した洗濯処理剤と混合される。注水口263は、注水ケース261の下部に設けられ、注水ケース261と外部とを連通しており、水槽12側へ向かって開口している。注水口263は、注水ケース261内部の手動用処理剤ケース262に流入し洗濯処理剤と混合した水を水槽12内に注水する機能を有する。
【0048】
処理剤自動投入装置60は、図1に示すように、洗濯処理剤の流路を構成する接続部材78を介して第2給水経路R2と直接的に接続している。この場合、処理剤自動投入装置60は、微細気泡発生装置25の下流側で注水ケース261の上流側、つまり微細気泡発生装置25と注水ケース261との間に接続されている。つまり、処理剤自動投入装置60は、微細気泡発生装置25と水槽12との間の経路上に接続されている。これにより、第2給水経路R2を流れる微細気泡水と洗濯処理剤とが第2給水経路R2内にて直接的に混合されたのちに、その混合水を水槽12内に供給することができる。
【0049】
この場合、微細気泡水と洗濯処理剤とを別経路から水槽12内に供給する場合に比べて、マイクロバブルが発生した後の比較的早い段階でマイクロバブルと洗濯処理剤とを接触させることができる。こうすることで、マイクロバブルが消滅する前に洗濯処理剤がマイクロバブル表面を覆うように作用し、これにより洗濯処理剤に覆われたマイクロバブルとなって、その結果、マイクロバブルの安定性が向上される。これにより、マイクロバブルを長寿命化させることができる。また、洗濯処理剤とマイクロバブルとが混合することによってマイクロオーダーのきめ細かいフォーム状の洗浄泡が生成される。これにより、マイクロバブルの洗浄効果をより高めることができ、更には過剰な機械力から洗濯物を保護することができる。
【0050】
なお、処理剤自動投入装置60から水槽12内への洗濯処理剤の供給は、第2給水経路R2を経由する構成に限らず、例えば処理剤自動投入装置60を直接注水ケース261に接続する構成であっても良い。この場合、処理剤自動投入装置60から供給された洗濯処理剤は、注水ケース261内で第2給水経路R2から供給される微細気泡水と混合し、その後水槽12内に供給される。
【0051】
処理剤自動投入装置60は、複数回分の洗濯処理剤を収容可能なタンクとしての洗剤用タンク611と仕上げ剤用タンク612、及び投入ポンプ70を有している。洗剤用タンク611は、例えば樹脂製で洗剤を貯留可能な容器状に構成されている。仕上げ剤用タンク612は、例えば樹脂製で柔軟剤等の仕上げ剤を貯留可能な容器状に構成されている。洗剤用タンク611及び仕上げ剤用タンク612は、いずれも複数回分の洗濯運転に必要な洗濯処理剤を貯留することができる。なお、本実施形態の場合、図1に示すように、洗剤用タンク611と仕上げ剤用タンク612は正面視において左右方向に並んで配置されているが、これに限らず正面視において重なる位置つまり前後方向に並んで配置する構成であっても良い。
【0052】
投入ポンプ70は、各タンク611、612内に貯留された洗濯処理剤のうち洗濯運転に必要な所定量の洗濯処理剤を自動で第2給水経路R2に供給する機能を有する。本実施形態の場合、投入ポンプ70は、図8及び図9に示すように、例えばピストンポンプで構成されており、ポンプモータ71とポンプ本体72、73とを有している。ポンプモータ71は、投入ポンプ70の上部の後方側に設けられており、制御装置90と電気的に接続され、制御装置90からの制御信号に基づいて回転駆動するように構成されている。ポンプ本体72、73は、タンク611、612内に貯留された洗濯処理剤を吸引する吸引動作と吸引した洗濯処理剤を第2給水経路R2に吐出する吐出動作とを繰り返し実行可能に構成されている。この場合、ポンプ本体72は洗剤用タンク611に対応しており、ポンプ本体73は仕上げ剤用タンク612に対応している。
【0053】
ポンプモータ71の駆動力は、図9に示すように、ポンプモータ71に設けられたモータ側歯車74とポンプ本体72、73に連結されたピストン側歯車75、76とが互いに嵌合してかみ合うことでポンプ本体72、73に伝達される。つまり、ポンプモータ71の回転運動がモータ側歯車74とピストン側歯車75、76とを介してポンプ本体72、73の直線運動に変換される。
【0054】
本実施形態の場合、1つのポンプモータ71に対して2つのポンプ本体72、73が選択的に駆動可能となっている。具体的には、ポンプモータ71を正転と逆転とに回転方向を切り替えることにより駆動するポンプ本体72、73を選択することができる。この場合、ピストン側歯車75、76は、それぞれモータ側歯車74の一方向のみの回転時に噛み合うラッチを有している。そして、例えばポンプモータ71及びモータ側歯車74が正転すると、モータ側歯車74は、図9の紙面右側のピストン側歯車75のみと噛み合ってポンプ本体72のみが駆動する。一方、ポンプモータ71及びモータ側歯車74が逆転すると、モータ側歯車74は、図9の紙面左側のピストン側歯車76のみと噛み合って、ポンプ本体73のみが駆動する。したがって、ポンプモータ71が正転の際はポンプ本体72に対応した洗剤用タンク611から洗剤が供給され、ポンプモータ71が逆転の際はポンプ本体73に対応した仕上げ剤用タンク612から仕上げ剤が供給される。
【0055】
ポンプ本体72、73は、それぞれ吸引口721、731、及び吐出口722、732を有している。吸引口721、731は、ポンプ本体72、73の下部の後方側に設けられている。吸引口721、731は、タンク611、612と接続しており、タンク611、612内に貯留した洗濯処理剤をポンプ本体72、73内に引き込む機能を有する。吐出口722、732は、ポンプ本体72、73の底部に設けられている。吐出口722、732はポンプ本体72、73内に引き込んだ洗濯処理剤をポンプ本体72、73外へ吐出する機能を有する。この場合、吐出口722、732から接続部材78を介して第2給水経路R2内に洗濯処理剤は吐出される。
【0056】
このようにして、ポンプ本体72、73は、ポンプモータ71の回転駆動を駆動力として、タンク611、612内に貯留された洗濯処理剤を吸引する吸引動作と吸引した洗濯処理剤を第2給水経路R2に吐出する吐出動作とを繰り返すことにより洗濯運転に必要な所定量の洗濯処理剤を水槽12内に供給する。
【0057】
また、本実施形態の場合、ポンプ本体72、73の容量は、1回の洗濯運転で使用される洗濯処理剤の所定量に比べて少ない構成となっている。つまり、ポンプ本体72、73の1サイクルにおける洗濯処理剤の吐出量は当該所定量に比べて少ない。この場合、ポンプ本体72、73の洗濯処理剤の吐出量は、1サイクル当たり2ml以下と比較的小容量に設定されている。したがって、大容量のポンプを使用する場合と比較して、所定量の洗濯処理剤を供給するためのポンプ本体72、73のサイクル回数つまり吐出回数の頻度は高くなる。これにより、所定量の洗濯処理剤をより分散して供給することができる。
【0058】
さらに、本実施形態において、図10に示すように、投入ポンプ70の1サイクルにおける吐出動作の実行時間は、吸引動作の実行時間よりも長く設定することができる。この場合、吸引動作の実行時間よりも吐出動作の実行時間の方を長く設定する手法の1つとして、例えばポンプモータ71の回転数を制御する方法がある。すなわち、例えば投入ポンプ70の吐出動作時つまりポンプ本体72、73が下方動作する際に比べて、吸引動作時つまりポンプ本体72、73が上方動作する際のポンプモータ71の回転数が大きくなるようする。これにより、投入ポンプ70の1サイクルにおける吐出動作と吸引動作との実行時間を調整することができる。
【0059】
また、吸引動作の実行時間よりも吐出動作の実行時間の方を長く設定する他の手法として、例えば図11に示すように、モータ側歯車74及びピストン側歯車75、76に非円形歯車等を用いてポンプ本体72、73を不等速に往復動作させる方法がある。図11では、2組のポンプ本体72、73及びピストン側歯車75、76のうち、説明を簡単にするため図9の紙面右側に示すポンプ本体72及びピストン側歯車75のみを記載している。なお、図11では、ポンプ本体72及びピストン側歯車75に対応するポンプ本体73及びピストン側歯車76の構成の符号をカッコ内に記している。
【0060】
図11の例では、モータ側歯車74は、大径部741と、大径部741よりもピッチ円直径の小さい小径部742と、を有している。この場合、小径部742の中心角βは、大径部741の中心角αよりも大きく設定されている。また、ピストン側歯車75、76は、それぞれ小径部751、761と、小径部751、761よりもピッチ円直径が大きい大径部752、762と、を有している。小径部751、761と大径部752、762との中心角はそれぞれ180°に設定されている。そして、モータ側歯車74の大径部741は、ピストン側歯車75、76の小径部751、761と噛み合って駆動し、モータ側歯車74の小径部742は、ピストン側歯車75、76の大径部752、762と噛み合って駆動する。
【0061】
この構成において、モータ側歯車74の大径部741がピストン側歯車75、76の小径部751、761と噛み合って回転すると、図11の(a)、(b)の順に示すようにポンプ本体72、73を吸引動作させる。また、モータ側歯車74の小径部742がピストン側歯車75、76の大径部752、762と噛み合って回転すると、図11の(b)、(c)、(d)、(a)の順に示すようにポンプ本体72、73を吐出動作させる。この構成において、モータ側歯車74のうち吐出動作に要する小径部742の中心角βは吸引動作に要する大径部741の中心角αよりも大きく設定されている。このため、モータ側歯車74が等速回転すると、吸引動作に比べて吐出動作の期間を長くすることができる。
【0062】
このように、投入ポンプ70の1サイクルにおける吐出動作の実行時間を吸引動作の実行時間よりも長くすることによって、洗濯処理剤を長時間にわたって、かつ、均一に処理剤自動投入装置60から第2給水経路R2内に供給することができる。
【0063】
なお、本実施形態の場合、1つのポンプモータ71の回転方向に応じて複数のポンプ本体72、73を選択的に駆動できる構成としたが、これに限らずそれぞれのポンプ本体毎に対応するモータを設ける構成とし、駆動するモータを選択することで駆動するポンプ本体が選択できる構成としても良い。さらに、本実施形態において、ポンプ方式はピストンポンプの構成としたが、これに限らず例えばソレノイドポンプ、ギヤポンプなど他のポンプ方式による構成であっても良い。
【0064】
また、洗濯機10は、図12に示すように、操作パネル81、水位センサ82、流量計83、及び制御装置90を備えている。操作パネル81は、表示部や操作部が設けられており、ユーザの入力操作を受け付けるとともに、入力された操作内容及び運転状況等を表示する。水位センサ82は、水槽12内の水位を検出可能である。流量計83は、例えば給水経路R1、R2の分岐部分よりも上流側に設けられ、給水経路R1、R2に流れる水の流量を計測する。
【0065】
制御装置90は、例えば図示しないCPUや、ROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリ等の記憶領域を有するマイクロコンピュータを主体に構成されており、洗濯機10の動作全般の制御を行う。図12に示すように、ドラムモータ14、排水弁16、給水弁22、23、吸気弁442、ポンプモータ71、操作パネル81、水位センサ82、及び流量計83と電気的に接続されている。制御装置90は、ドラムモータ14、排水弁16、給水弁22、23、吸気弁442、ポンプモータ71、操作パネル81、水位センサ82、及び流量計83の動作を制御する。
【0066】
この場合、制御装置90は、給水弁22、23の開閉を制御することで水道水等の外部の給水源から供給された水を供給する第1給水経路R1と主としてマイクロバブルを含んだマイクロバブル水を供給する第2給水経路R2とを適宜選択し組み合わせて使用することができる。例えば制御装置90は、給水弁22を開くことで、微細気泡発生装置25を通過しない水を水槽12に供給することができる。また、制御装置90は、給水弁23を開くことで、微細気泡発生装置25を通過して主としてマイクロバブルを含むマイクロバブル水を水槽12に供給することができる。さらに、給水弁22、23を開くことで、第1給水経路R1及び第2給水経路R2を併用して使用することができる。このように、両者を併用することで洗浄効果の向上を図りつつ、給水時間の短縮を図ることができる。
【0067】
また、制御装置90は、CPUにおいて制御プログラムを実行することにより、設定処理部91、推定処理部92、調整処理部93、給水処理部94、処理剤投入処理部95、及び補正処理部96をソフトウェアにより仮想的に実現する。なお、制御装置90は、これらの処理部91~96を、集積回路等をハードウェアにより実現しても良いし、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせにより実現しても良い。
【0068】
設定処理部91は、設定処理を実行することができる。設定処理は、回転槽13内に投入された洗濯物の重量又はユーザの設定に基づき洗濯処理剤の投入量を設定する処理を含む。なお、ユーザの設定による洗濯処理剤の投入量は、処理剤手動投入装置26が使用される場合は、ユーザが手動用処理剤ケース262に投入する任意の洗濯処理剤の量によって定まる。一方、処理剤自動投入装置60を使用する場合は、操作パネル81に対してユーザが設定する任意の洗濯処理剤の量によって定まる。
【0069】
推定処理部92は、推定処理を実行することができる。推定処理は、給水処理に要する給水時間Tkを推定する処理を含む。具体的には、給水時間Tkは過去に実行した給水処理の実績値に基づいて推定される。ここで、各家庭における水道圧は、給水設備等の違いによって異なるため、同じ給水量を供給するのに要する時間は各家庭によって異なる。そこで、制御装置90が有する記憶領域には過去に実行した給水処理の実績値が蓄積されている。これにより、給水時間をこの実績値に基づき推定することによって、より正確に給水時間Tkを予測することができる。この場合、実績値には、図13に示すように、洗濯物の重量、給水量、給水に要した所要時間、給水量と所要時間から求められる給水速度が含まれている。
【0070】
調整処理部93は、調整処理を実行することができる。調整処理は、推定処理によって推定された給水時間Tkにおいて、後述する処理剤投入処理が実行されるように処理剤投入処理の実行時間Tsを調整する処理を含む。つまり、調整処理部93は、給水時間Tkにおける実行時間Tsの開始及び終了のタイミングを設定する機能を有する。実行時間Tsは、例えば給水時間Tkの半分以上の時間であって、かつ、給水時間Tk未満の時間で設定される。
【0071】
ここで、従来の洗濯機において洗濯処理剤の投入は給水の初期段階において一括して水槽12内に供給されていた。具体的には、給水に要する標準的な時間は2分程度であり、洗濯処理剤の投入速度は毎分50mL程度である。洗濯処理剤の設定量を20mLと仮に設定した場合、洗濯処理剤は給水開始と同時に水槽12内への投入が開始され、0.8分程度で洗濯処理剤の投入が完了する。これに対し、本実施形態において、推定処理によって給水時間Tkが上述した給水に要する標準的な時間と同じ2分と推定された場合、処理剤投入処理の実行時間Tsは、従来よりも長い時間、例えば1分以上でかつ2分未満に設定される。このように、調整処理を実行することによって、通常の給水つまり調整処理を行わない給水に比べて洗濯処理剤を長時間にわたって第2給水経路R2内に供給することができる。
【0072】
給水処理部94は、給水処理を実行することができる。給水処理は、給水弁23の開閉を制御することにより、第2給水経路R2上に設けられた微細気泡発生装置25を通過して生成された微細気泡水を水槽12内に給水する処理を含む。給水処理は、洗濯物の重量等によって設定される所定の給水量Hまで一括して給水を行う。
【0073】
処理剤投入処理部95は、処理剤投入処理を実行することができる。処理剤投入処理は、処理剤自動投入装置60から水槽12内に洗濯処理剤を投入する処理を含む。具体的には、処理剤投入処理部95は、調整処理で設定された実行時間Tsにおいてポンプモータ71を駆動制御することによって、処理剤自動投入装置60に収容された洗濯処理剤を第2給水経路R2内に投入することができる。
【0074】
補正処理部96は、補正処理を実行することができる。補正処理は、給水時間Tkを実行中に水位センサ82が検出した水位の変化量に基づいて実行時間Tsを補正する処理を含む。具体的には、図14に示すように、給水弁23を開放し第2給水経路R2から水槽12内に給水が開始された場合に、一定時間における水槽12内の水位の変化量を水位センサ82によって検出し、その変化量から給水速度Vkを算出する。そして、この給水速度Vkに基づき補正給水時間Tkhを決定する。さらに、補正給水時間Tkhに応じて処理剤投入処理の実行時間Tsを補正実行時間Tshに補正する。つまり、補正処理部96は、補正給水時間Tkhにおける補正実行時間Tshの終了のタイミングを設定する機能を有する。
【0075】
このとき、補正実行時間Tshは、補正給水時間Tkhの半分以上の時間であって、かつ、補正給水時間Tkh未満の時間で設定される。例えば、上述した推定処理によって給水時間Tkが2分と推定された場合、調整処理によって実行時間Tsは1分以上であって、かつ、2分未満に設定される。この条件下で給水が開始され、水位センサ82の検出値に基づいて給水時間Tkが補正され補正給水時間Tkhが仮に2.2分と設定されたとする。この場合、補正実行時間Tshは1.1分以上であって、かつ、2.2分未満となるように補正される。このようにして、補正処理を実行することにより実行中の給水状態に応じて効果的に洗濯処理剤の投入時間を設定することができる。
【0076】
また、補正処理部96は、例えば投入ポンプ70の単位時間当たりの駆動量、つまりポンプモータ71の回転数を変更することによって洗濯処理剤の設定量を変化させずに実行時間Tsを補正する処理を含む。ポンプモータ71の回転数を一定にして実行時間Tsに比べて補正実行時間Tshを単に長くしてしまうと、より多くの洗濯処理剤が水槽12内に供給されることとなり、過剰な洗濯処理剤の供給がされることでかえって洗浄性能の低下を招くおそれがあり、さらに排水後の水環境への負荷の観点からも好ましくない。
【0077】
そこで、実行時間Tsに比べて補正実行時間Tshが長くなる場合には、ポンプモータ71の回転数を下げて処理剤自動投入装置60から投入される単位時間当たりの洗濯処理剤の量を減ずることで洗濯物の重量等に応じた洗濯処理剤の設定量を変化させることなく、長時間にわたって洗濯処理剤を供給することができる。一方、実行時間Tsに比べて補正実行時間Tshが短くなる場合には、ポンプモータ71の回転数を上げて処理剤自動投入装置60から投入される単位時間当たりの洗濯処理剤の量を増やすことで、洗濯処理剤の設定量を変化させることなく、長時間にわたって洗濯処理剤を供給することができる。なお、補正処理は、水位センサ82が検出した水位の変化量に基づいて行う構成に限らず、流量計83が計測した給水経路R1、R2に流れる水の流量に基づいて行う構成であっても良い。
【0078】
制御装置90は、操作パネル81に対するユーザからの操作を受けて又は予め設定された予約内容によって洗濯運転を実行する。本実施形態の場合、洗濯運転は、給水工程、洗い工程、すすぎ工程、及び脱水工程を含む一連の工程を意味する。以下では、図15も参照して、給水工程における制御内容について説明する。なお、以下の説明において、設定処理部91、推定処理部92、調整処理部93、給水処理部94、処理剤投入処理部95、及び補正処理部96で行われる処理は、全て制御装置90が主体となって行うものとして説明する。
【0079】
制御装置90は、給水工程を実行すると(図15のスタート)、まずステップS11において、回転槽13を低速で回転させ、その際にドラムモータ14のq軸電流を測定することにより洗濯物の重量を検知する。なお、回転槽13内の洗濯物の重量は、重量計等によって直接物理的に測定しても良い。次に、制御装置90は、ステップS12において、測定した洗濯物の重量に基づいて給水量を決定し、ステップS13に処理を移行させる。
【0080】
制御装置90は、ステップS13において、設定処理部91の処理により回転槽13内に投入された洗濯物の重量又はユーザの設定に基づいて洗濯処理剤の投入量を決定し、ステップS14に処理を移行させる。
【0081】
制御装置90は、ステップS14において、推定処理部92の処理により給水処理に要する給水時間Tkを推定する。このとき、給水時間Tkは、記憶領域に蓄積された過去に実行した給水処理の実績値に基づいて推定される。そして、制御装置90は、ステップS15に処理を移行させる。
【0082】
制御装置90は、ステップS15において、調整処理部93の処理により給水時間Tkの半分以上の時間であって、かつ、給水時間Tk未満の時間において実行される処理剤投入処理の実行時間Tsを調整する。そして、制御装置90は、ステップS16に処理を移行させる。
【0083】
制御装置90は、ステップS16において、給水処理部94の処理により給水弁23を開いて第2給水経路R2からマイクロバブル水の給水を開始し、制御装置90は、ステップS17に処理を移行させる。
【0084】
制御装置90は、ステップS17において、処理剤投入処理部95の処理によりポンプモータ71を正転方向に駆動し洗剤用タンク611に貯留された洗剤を第2給水経路R2に投入を開始する。そして、制御装置90は、ステップS18に処理を移行させる。
【0085】
制御装置90は、ステップS18において、補正処理部96の処理により水位センサ82が検出した水位の変化量に基づいて給水時間Tkを補正給水時間Tkhに補正する。次に、処理剤投入処理の実行時間Tsを補正実行時間Tshに補正する。このとき、補正実行時間Tshは、補正給水時間Tkhの半分以上の時間であって、かつ、補正給水時間Tkh未満の時間となるように補正される。そして、制御装置90は、ステップS19に処理を移行させる。
【0086】
制御装置90、ステップS19において、補正実行時間Tsh及び補正給水時間Tkhが終了したか否かを判断する。補正実行時間Tsh及び補正給水時間Tkhが未だ終了していない場合(ステップS19でNO)、制御装置90は、ステップS18へ処理を移行させ、ステップS18以降の処理を再度実行する。また、補正実行時間Tsh及び補正給水時間Tkhが終了した場合(ステップS19でYES)、制御装置90は、一連の制御を終了する(エンド)。
【0087】
以上説明した実施形態によれば、洗濯機10は、水槽12、微細気泡発生装置25、処理剤自動投入装置60、及び制御装置90を備えている。微細気泡発生装置25は、水槽12に供給される水に主としてマイクロバブルを含む微細気泡を発生させる機能を有する。処理剤自動投入装置60は、水槽12内に洗濯処理剤を自動的に投入する機能を有する。制御装置90は、給水処理及び処理剤投入処理を実行可能である。給水処理は、主としてマイクロバブルを含んだマイクロバブル水を水槽12に給水する処理である。処理剤投入処理は、処理剤自動投入装置60から水槽12へ洗濯処理剤を投入する処理である。さらに、制御装置90は、給水処理の実行中に処理剤投入処理を実行可能である。
【0088】
これによれば、マイクロバブル水を水槽12内に給水している間に洗濯処理剤を水槽12内に供給することができる。これにより、マイクロバブル水と洗濯処理剤とが混合し、マイクロオーダーのきめ細かいフォーム状の洗浄泡が生成されることで、洗濯機10の洗浄性能を向上させることができる。そして、本実施形態によれば、マイクロバブルが発生した後の比較的早い段階で、マイクロバブル水と洗濯処理剤とを混合させることができる。これにより、マイクロバブルが消滅する前にマイクロバブルの表面を洗濯処理剤で覆って安定性を向上させることができる。その結果、マイクロバブルの寿命を延ばして長期間マイクロバブルを洗濯物に効果的に作用させることができる。
【0089】
また、処理剤自動投入装置60は、微細気泡発生装置25と水槽12との間の経路上に接続されている。これによれば、マイクロバブル水が水槽12に至るまでの経路内で洗濯処理剤と混合させることができる。これにより、マイクロバブル水と洗濯処理剤とを別経路で水槽12内に供給する場合に比べて、洗濯処理剤がマイクロバブルに直接的に働くため、マイクロバブル表面を洗濯処理剤が覆うように作用しマイクロバブルの安定性が向上される。これにより、マイクロバブルの長寿命化を図ることができる。その結果、洗濯機10の洗浄性能をより向上させることができる。
【0090】
また、制御装置90は、推定処理と調整処理とを実行可能である。推定処理は、給水処理に要する給水時間Tkを推定する処理である。調整処理は、推定処理によって推定された給水時間Tkのうち半分以上の時間において処理剤投入処理が実行されるように処理剤投入処理の実行時間Tsを調整する処理である。これによれば、給水時間Tkにおいて洗濯処理剤を長時間にわたって第2給水経路R2内に供給することができる。これにより、第2給水経路R2から供給されるマイクロバブル水と洗濯処理剤の接触時間を長く確保することができるため、マイクロバブルの長寿命化を図ることができ、洗浄効果をより高めることができる。
【0091】
また、推定処理は、過去に実行した給水処理の実績値に基づいて給水時間Tkを推定する処理を更に含む。これによれば、給水に要する所要時間を過去の実績値に基づき推定することによって、より正確に給水時間Tkを予測することができるため、洗濯機10の洗浄性能にかかる信頼性をより高めることができる。
【0092】
さらに、洗濯機10は、水槽12内の水位を検出する水位センサ82を更に備えている。また、制御装置90は、給水処理を実行中に水位センサ82が検出した水位の変化量に基づいて処理剤投入処理の実行時間Tsを補正する補正処理を更に実行可能である。これによれば、洗濯処理剤の投入時間をより正確に設定することができるため、より均一に洗濯処理剤を供給することが可能となる。これにより、マイクロバブル水と洗濯処理剤の接触時間を長く確保することができるため、マイクロバブルの長寿命化が図られ洗浄効果をより高めることができる。
【0093】
また、制御装置90は、洗濯物の重量又はユーザの設定に基づき洗濯処理剤の投入量を設定する設定処理を更に実行可能である。さらに、処理剤自動投入装置60は、タンク611、612と投入ポンプ70とを有している。タンク611、612は、複数回分の洗濯処理剤を収容可能である。投入ポンプ70は、タンク611、612内に貯留されている洗濯処理剤を吸引する吸引動作と吸引した洗濯処理剤を水槽12に至る経路に吐出する吐出動作とを繰り返し実行可能である。また、補正処理は、投入ポンプ70の単位時間当たりの駆動量を変更することによって洗濯処理剤の設定量を変化させずに処理剤投入処理の実行時間Tsを補正する処理を更に含む。
【0094】
これによれば、実行時間Tsを補正実行時間Tshに補正することで洗濯処理剤の投入時間が変動した場合であっても、ポンプモータ71の回転数を補正実行時間Tshに応じて増減することで、洗濯物の重量等に応じた洗濯処理剤の設定量を変化させることなく長時間にわたって洗濯処理剤を供給することができる。これにより、マイクロバブル水の給水中に長時間にわたって洗濯処理剤を供給することができるようになり、その結果、洗濯機10の洗浄性能を向上させることができる。
【0095】
また、投入ポンプ70は、洗濯処理剤の吐出量が1サイクル当たり2ml以下に設定されている。これによれば、大容量のポンプを使用する場合と比較して、所定量の洗濯処理剤を供給するためのポンプ本体72、73のサイクル回数つまり吐出回数の頻度は高くなる。これにより、洗濯処理剤をより分散して供給することが可能となり、洗濯処理剤とマイクロバブルとの接触時間が長く確保されることで、マイクロバブルの長寿命化を図ることができる。その結果、洗濯機10の洗浄性能を向上することができる。
【0096】
また、本実施形態によれば、投入ポンプ70の1サイクルにおいて吐出動作の実行時間のほうが吸引動作の実行時間よりも長く設定されている。これによれば、洗濯処理剤を長時間にわたって、かつ、均一に処理剤自動投入装置60から供給することができる。これにより、洗濯処理剤とマイクロバブルとの接触時間が長く確保されることで、マイクロバブルの長寿命化を図ることができる。その結果、洗濯機10の洗浄性能を向上することができる。
【0097】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について図16を参照して説明する。
上記第1実施形態において、処理剤自動投入装置60は、図1に示すように、第2給水経路R2に直接的に接続されており、洗濯処理剤は処理剤自動投入装置60から直接第2給水経路R2内に供給される。一方、本実施形態において、処理剤自動投入装置60におけるポンプ本体72、73の吐出口722、732の下方には貯留部材77が設けられている。つまり、本実施形態の場合、洗濯処理剤は処理剤自動投入装置60から貯留部材77を経由することで間接的に第2給水経路R2内に供給される。貯留部材77は、吐出口722、732から吐出された洗濯処理剤を一時的に貯留可能である。また、貯留部材77の底部は開口しており接続部材78と接続している。そして、貯留部材77が貯留した洗濯処理剤は、接続部材78を介して第2給水経路R2に供給される。
【0098】
さらに、貯留部材77から供給される洗濯処理剤の単位時間当たりの供給量は、吐出口722、732から吐出される洗濯処理剤の単位時間当たりの吐出量よりも少ない。これによれば、洗濯処理剤は貯留部材77内に確実に貯留されるため、吐出口722、732から間欠的に吐出される洗濯処理剤を貯留部材77を介して連続的に第2給水経路R2内に供給することができる。これにより、マイクロバブル水と洗濯処理剤とを連続的に混合することができる。その結果、発生したマイクロバブルが洗濯処理剤と混合されないことにより消滅してしまうことを極力防ぐことができ、マイクロバブルをより効率的に長寿命化することができる。
【0099】
また、貯留部材77は、図16に示すように、例えば樹脂製であってその内周面は上部の開口部から下部の開口部へ向かって徐々に開口面積が小さくなる漏斗状に構成されている。つまり、貯留部材77の内周面は吐出口722、732へ向かって下方から傾斜している傾斜面部771を有している。これによれば、吐出口722、732から吐出された洗濯処理剤は、傾斜面部771を介することで貯留部材77内に残留することなく第2給水経路R2内に供給される。
【0100】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0101】
10…洗濯機、12…水槽、25…微細気泡発生装置、60…処理剤自動投入装置、90…制御装置、82…水位センサ、611、612…タンク、70…投入ポンプ、722、732…吐出口、77…貯留部材、771…傾斜面部
図1
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