(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】攪拌装置及び減圧乾燥装置
(51)【国際特許分類】
F26B 11/06 20060101AFI20240717BHJP
F26B 5/04 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
F26B11/06
F26B5/04
(21)【出願番号】P 2020099996
(22)【出願日】2020-06-09
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000192590
【氏名又は名称】株式会社神鋼環境ソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】小川 智宏
(72)【発明者】
【氏名】岸 勇佑
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104315817(CN,A)
【文献】特開2001-248967(JP,A)
【文献】実開昭61-130893(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第107246775(CN,A)
【文献】特開2001-221572(JP,A)
【文献】実開昭55-064096(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 11/06
F26B 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状物を収容する収容空間を有する容器を備え、
前記容器の上下が入れ替わるように前記容器が軸芯周りに回転されて前記収容空間に収容された粒状物が攪拌される攪拌装置であって、
前記回転に際して前記粒状物の凝集塊を砕く破砕部が前記容器の内側に設けられ、
該破砕部は、前記容器の内壁面より突出する1又は複数のブレードを備え、且つ、
該破砕部は、前記容器を前記回転させることで前記ブレードが前記軸芯周りに公転するように配され
、
前記ブレードが板状体で、且つ、板面が前記公転での公転面と対向するように配された前記板状体で、
前記板状体には、突出方向基端側に貫通孔が形成されている攪拌装置。
【請求項2】
粒状物を収容する収容空間を有する容器を備え、
前記容器の上下が入れ替わるように前記容器が軸芯周りに回転されて前記収容空間に収容された粒状物が攪拌される攪拌装置であって、
前記回転に際して前記粒状物の凝集塊を砕く破砕部が前記容器の内側に設けられ、
該破砕部は、前記容器の内壁面より突出する1又は複数のブレードを備え、且つ、
該破砕部は、前記容器を前記回転させることで前記ブレードが前記軸芯周りに公転するように配され
、
前記回転の方向に延在するように配された前記ブレードを有し、
前記ブレードの回転方向前方側での先端縁は、
該ブレードが前記公転での下端に位置したときに前記回転の方向に対して先下がりするように傾斜する前進部を備えている攪拌装置。
【請求項3】
前記ブレードの回転方向後方側での先端縁は、
該ブレードが前記公転での下端に位置したときに前記回転の方向後方に向けて先下がりするように傾斜する後退部を備えている請求項2記載の攪拌装置。
【請求項4】
前記容器には、前記軸芯から離れるに従って縮径する擦り鉢状の縮径部が設けられ、該縮径部の底部に前記破砕部が配されている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の攪拌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状物を攪拌するための攪拌装置と、粒状物を減圧状態で攪拌しつつ乾燥する減圧乾燥装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、攪拌装置としては、容器を固定した状態で内部を攪拌羽根で攪拌するタイプのものの他にタンブラーミキサーやバレル攪拌機のように容器自体を回転させて内部の収容物を攪拌するタイプのものが知られている。
【0003】
容器自体を回転させるタイプの攪拌装置では、被攪拌物を収容する収容空間を有する容器が、前記収容空間を上下が入れ替わるように軸芯周りに回転されて内部の攪拌が行われる。
即ち、この種の攪拌装置では、容器が一回転する間に天地が逆転されて内部に収容した被攪拌物が攪拌される。
【0004】
攪拌する対象が液体ではなくペレットや粉末などといった粒状物である場合、攪拌羽根での攪拌であれば該攪拌羽根によって直接的なせん断を加えることから凝集塊ができにくい。
しかし、容器自体を回転するタイプの攪拌装置では容器内で直接的なせん断を加え難く複数の粒状物が集合した凝集塊が出来てしまう場合がある。
【0005】
ところで、薬剤や食品の粒状物を乾燥する工程で用いられる減圧乾燥機においても容器自体を回転するタイプの攪拌装置が用いられたりしている。
このような減圧乾燥機では、乾燥する粒状物を収容した容器の内部の気体を吸引して容器内を減圧状態にしつつ当該容器を軸芯周りに回転させて粒状物の乾燥が行われる。
粒状物の攪拌に際して複数の粒状物が集合して凝集塊を形成すると十分な攪拌がなされないばかりでなく、減圧乾燥機においては乾燥スピードを鈍化させる要因ともなり得る。
当該減圧乾燥機に関し、下記特許文献1(特に第3頁等参照)には複数本の邪魔棒を容器内に取り付けて回転時に該邪魔棒で凝集塊を掬い上げるようにし、さらに掬い上げた凝集塊を高い位置から落下させることで砕くことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
容器自体を回転させて攪拌を行うタイプの攪拌装置での凝集塊の形成防止法に関しては、上記特許文献1に開示された方法以外には特に検討されておらず、上記特許文献1に開示されている方法も十分有効であるとは言い難い。
そこで、本発明は、攪拌時に凝集塊が形成され難い攪拌装置を提供し、効率良く粒状物を乾燥し得る減圧乾燥装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
凝集塊の形成防止法に関して本発明者が鋭意検討したところ、容器自体を回転させて攪拌を行うタイプの攪拌装置では、容器の回転時において粒状物が回転方向に向けて先上りした斜面を形成するような形で流動し、個々の粒状物よりも大きな凝集塊がこの斜面を回転方向と逆方向に転がり落ちる挙動を示すことを見出した。
【0009】
このような場合、凝集塊を掬い上げて落下させるようにしても粒状物の収容量や粒状物の性状によっては、むしろ逆効果になり得る。
例えば、粒状物が柔らかい場合、当該粒状物によって形成された斜面に落下することになる凝集塊は、落下による衝撃を受け難く、しかも、粒状物がある程度のタック性を有する場合は、落下時に凝集塊が砕けないばかりでなく、むしろ新たに粒状物が付着して凝集塊を肥大化させるおそれがある。
そして本発明者は、ブレードを配して転がり落ちてくる凝集塊をブレードに衝突させて凝集塊をブレードで砕くことが凝集塊の形成防止により有効であることを見出して本発明を完成させるに至った。
【0010】
上記課題を解決すべく本発明は、
粒状物を収容する収容空間を有する容器を備え、
前記容器の上下が入れ替わるように前記容器が軸芯周りに回転されて前記収容空間に収容された粒状物が攪拌される攪拌装置であって、
前記回転に際して前記粒状物の凝集塊を砕く破砕部が前記容器の内側に設けられ、
該破砕部は、前記容器の内壁面より突出する1又は複数のブレードを備え、且つ、
該破砕部は、前記容器を前記回転させることで前記ブレードが前記軸芯周りに公転するように配されている攪拌装置を提供する。
【0011】
本発明は、また、上記課題を解決すべく、上記のような攪拌装置と、該攪拌装置の容器の内部を減圧する減圧装置とを備え、前記容器の内部において前記粒状物が減圧状態で攪拌されつつ乾燥される減圧乾燥装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、攪拌時に凝集塊が形成され難い攪拌装置が提供され、効率良く粒状物を乾燥し得る減圧乾燥装置が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】同減圧乾燥装置の容器底部(破砕部)の拡大図である。
【
図4】同減圧乾燥装置の容器を180度回転させた状態を示す側面図である。
【
図6】破砕部に設けるブレードの一例を示した概略斜視図。
【
図7a】破砕部に設けるブレードの他の例を示した概略斜視図。
【
図7b】
図7aの破砕部を径方向から見た様子を示した概略図。
【
図8】破砕部に設けるブレードの他の例を示した概略図。
【
図9a】破砕部に設けるブレードの他の例を示した概略斜視図。
【
図9b】
図9aの破砕部を径方向から見た様子を示した概略図。
【
図10】破砕部に設けるブレードの他の例を示した概略図。
【
図11a】破砕部に設けるブレードの他の例を示した概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の好ましい実施形態に係る攪拌装置について、該攪拌装置が減圧乾燥装置に利用されている態様を主たる例にして説明する。
また、本実施形態では、前記減圧乾燥装置が、凍結した粒状物を減圧状態(真空状態ともいう)で乾燥させるための凍結乾燥装置である場合について図を参照しつつ説明する。
【0015】
図1~
図4に示すように、凍結乾燥装置1は、乾燥処理する粒状物(被処理物ともいう)が供給され回転可能に支持された容器2と、容器2の内部の気体を吸引して内部を減圧状態にするための真空配管3と、容器2の内部に供給された粒状物が真空配管3内に吸引されることを防止するためのフィルタ4と、を備えている。
【0016】
本実施形態において乾燥処理が施される粒状物としては、一般に“粉末”などと称されるマイクロメーターサイズのものであっても、“ペレット”などと称されるミリサイズのものであっても、“ブロック”などと称されるセンチメートルサイズのものであってもよい。
【0017】
前記粒状物は、特にその素材が限定されるものではなく、各種のものが採用可能である。
前記粒状物は、例えば、野菜、果実、及び、これらの加工品;海藻類、魚介類、食肉、及び、これらの加工品;米、麦などの穀物、及び、これらの加工品;乳製品;砂糖;食塩;調味料;各種飲料;ゼリーなどといった飲食品であってもよい。
該飲食品は、総じてタック性が高く、特に糖分を含むようなものはタック性が高く凝集塊を形成し易いことから本実施形態で凍結乾燥される粒状物として好適である。
前記粒状物は、例えば、各種医薬品などのようなものであってもよい。
【0018】
前記凍結乾燥装置1は、凍結した粒状物が供給された容器2を減圧状態にしつつ、容器2を回転させることによって、被処理物に含まれる固体(氷)を気体(水蒸気)へ状態変化(昇華)させることで粒状物を乾燥させるようにしている。
容器2の回転は、被処理物の状態に応じて間欠的に回転させる又は連続して回転させることになるが、場合によっては、正回転と逆回転とを繰り返すように回転させてもよい。
【0019】
容器2は、上下にそれぞれ開口を有する容器本体2aと、前記容器本体2aのそれぞれの前記開口を閉じる蓋体とが備えられている。
前記容器本体2aは、粒状物を収容する収容空間(容器2の内部空間)を画定する本体壁21を有し、該本体壁21内の収容空間に乾燥前の粒状物を導入するための上部開口と、乾燥後の粒状物を収容空間から外部に排出するための下部開口とを備えている。
容器2は、容器本体2aの上部開口を開閉する蓋体(上蓋ともいう)と、下部開口を開閉する蓋体(下蓋ともいう)と、を備えている。
前記本体壁21の内壁面と、2つの蓋体の内壁面とで構成されている容器2の内壁面2Aの内、前記本体壁21の内壁面は、粒状物を加熱して乾燥させるための加熱面として用いられる。
【0020】
本体壁21は、被処理物を収容できるように略ダブルコーン型(外形が略8角形)に構成されている。即ち、本実施形態の容器2は、上下両方向において端部に向かうに従って縮径する擦り鉢状の縮径部を備えており、上部開口に向けて縮径している上部縮径部2Bと、下部開口に向けて縮径している下部縮径部2Cとの2つの縮径部が備えられている。また、本体壁21の内壁面は、上端側が上部開口に向けて傾斜したテーパー面21A(上部テーパー面21Aともいう)となっているとともに下端側も下部開口に向けて傾斜したテーパー面21B(下部テーパー面21Bともいう)となっている。
【0021】
本実施形態の前記容器2には、この本体壁21の外側を覆うように本体壁21の外側に隙間を空けてジャケット23が配置されている。
【0022】
本体壁21の上端部には、本体壁21の上端とジャケット23の上端との隙間を閉じるとともに供給される粒状物を受け取るための開口(上部開口)が形成された円筒状の接続端部24を備えている。
【0023】
また、接続端部24の下端面は、下方側ほど外拡がりとなるテーパー面24Aに構成され、そのテーパー面24Aの角度を本体壁21の内面の上部テーパー面21Aと面一になるように同一角度にしている。
【0024】
上蓋22は、真空配管3を貫通接続するための円形の貫通孔22Aを備えており、真空配管3を接続するための接続部を構成している。
この接続部(上蓋22)を接続端部24に上方から押し付けて該接続端部24を閉じることで容器2内が密閉された状態になる。
なお、上蓋22は、手動操作力により開閉できるように構成されていてもよいし、電動モータ等のアクチュエータ(図示せず)の動力を用いて開閉可能に構成されていてもよい。
【0025】
容器2は、下端部に乾燥処理された被処理物を排出するための開閉可能な排出部25を備えている。
該排出部25には、本体壁21の下端とジャケット23の下端との隙間を閉じるとともに凍結乾燥後の被処理物を排出するための開口(下部開口)が形成された円筒状の排出端部26と、該排出端部26の開口を開閉する下蓋27とを備えている。
該排出端部26の上端面は、上方側ほど外拡がりとなるテーパー面26Aに構成され、そのテーパー面26Aの角度を本体壁21の内面の下部テーパー面21Bと面一になるように同一角度にしている。
【0026】
容器2は、上記のように接続端部24と排出部25、及び、これらを開閉するための上蓋22と下蓋27とが上下方向で対向する位置に配置されている。
【0027】
容器2は、本体壁21とジャケット23との隙間に加熱手段(図示せず)により加熱された熱媒が熱媒供給用ホース5から供給されて容器本体2aが加熱されるように構成されており、被処理物の乾燥を促進することができるようになっている。
なお、供給された熱媒は、熱媒回収用ホース6で回収されて前記加熱手段により設定温度まで加熱された後に熱媒供給用ホース5を通して容器2に供給されるように構成されている。
熱媒としては温水、熱媒油、ブライン(冷媒)等の液体を用いているが、加熱された気体であってもよいし、加熱手段であるヒータにより容器2を直接加熱する構成であってもよい。
【0028】
容器2のジャケット23の相対向する両横側面に、中空の回転軸部7,8が取り付けられている。
これら回転軸部7,8は、一対の軸受台9,10の上端に取り付けられた軸受装置11,12に回転自在に支持されている。なお、
図1において左側の回転軸部7の基端側(容器2側)には、ボックス13が取り付けられている。また、一対の軸受台9,10の下端は、床等に配置される架台14に支持されている。
そして、
図1の右側の軸受台10に取り付けられているモータ15により容器2が真空配管3及び一対の回転軸部7,8と一緒に軸芯X回りに回転する。
該軸芯Xが容器2の収容空間を貫通する方向に水平方向に延びているため、本実施形態での容器2は、収容した粒状物を攪拌する際に上下が入れ替わるように軸芯X周りに回転される。
図4に、容器2を
図1の状態から180度回転させた状態を示している。
【0029】
真空配管3は、アーチ形状に構成され、前記上蓋22に一端部(下端部)が貫通して取り付けられる直線状の第1管31と、第1管31の他端部(上端部)に突き合わした状態で一端部(下端部)が連結される円弧状の第2管32と、第2管32の他端部(左端部)に突き合わした状態で一端部が連結されるフレキシブルホース33と、フレキシブルホース33の他端部(左端部)に突き合わした状態で一端部が連結される略L字状の第3管34と、第3管34の他端部(下端部)に突き合わした状態で連結される直線状の第4管35と、を備えている。フレキシブルホース33を設けることによって、上蓋22の開閉時に発生する真空配管3の長さ変化を吸収することができるようにしている。
【0030】
第4管35の他端部(下端部)は、前記左側の回転軸部7に貫通して取り付けられる。前記左側の回転軸部7の左端部は、減圧真空配管16Fを備えた直線状の第5管16の一端部に連通した状態で連結されている。なお、第5管16は、左側の軸受台9に固定されている。したがって、減圧真空配管16Fに接続されている減圧装置(図示せず)を作動させることによって、減圧真空配管16F、第5管16、真空配管3を通して容器2内の気体を吸引して、容器2内を減圧状態にする。
【0031】
前記下蓋27の内側には、複数の粒状物が集合して凝集塊を形成した際に当該凝集塊を砕くための破砕部28が設けられている。
該破砕部28は、容器2の回転に際して前記凝集塊をより小さな凝集塊や個々の粒状物へと砕くべく前記容器2の内側に設けられている。
【0032】
前記破砕部28は、容器2の内壁面2Aより前記軸芯Xに向かう方向に突出する1又は複数のブレード28Aを備えている。
【0033】
本実施形態における前記破砕部28は、前記容器2の内壁面の内で前記軸芯からの距離が最も遠くなる前記下部縮径部2Cの底部に配されている。
即ち、前記破砕部28は、容器2を回転させた際に移動速度が最も高くなる位置に固定されている。
【0034】
図5に、回転中における軸方向視(
図1の右側より左側に向けて軸芯Xの方向に見た図)での容器2内の様子を示す。
図に示すように前記破砕部28は、粒状物a(被処理物)の排出に用いられる排出部25の開口を開閉する下蓋27の内側に設けられている。
【0035】
前記排出部25における排出端部26では、テーパー面26Aから下方に延びる円筒状の内壁面26Bの下端が当該排出部25における前記下部開口を画定している。
前記下蓋27は、下部開口よりも一回り面積が大きい円板状のベースプレート部27Aと、該ベースプレート部27Aの上方に重なり、該ベースプレート部27Aと同じく下部開口よりも一回り大きい外径を有する円環状のリング部27Bと、該リング部27Bの内周縁より短い円筒状となって上方に延びる筒状部27Cとを有している。
前記筒状部の27Cの内径及び外径は、前記下部開口よりも僅かに細径となっている。
【0036】
前記下蓋27は、リング部27Bの下面と前記筒状部27Cの下端面とが面一となっており、前記リング部27B、前記筒状部27C、及び、これらに上面側外周部を下方から当接させたベースプレート部27Aとを備えた構成となっている。
【0037】
前記筒状部27Cは、外径が排出端部26の内壁面26Bの径よりも小さいため前記下蓋27が下部開口を閉塞する際に下部開口に対して下側から突入し得る大きさとなっている。
より詳細に説明すると、前記下蓋27は、下部開口を閉塞する際に前記排出端部26の下端面とリング部27Bの上面とが当接し、且つ、排出端部26の内壁面26Bの内側に僅かなクリアランスを設けて前記筒状部27Cが位置するように構成されている。
【0038】
前記筒状部27Cは、前記下蓋27によって排出部25の開口を閉塞した際に、上端縁がテーパー面26Aの下端縁に到達する高さに形成されている。
該筒状部27Cは、上部開口が前記上蓋22に向けて開口され、下部開口が前記ベースプレート部27Aによって下側から閉塞された状態となるように配されている。
したがって、前記ベースプレート部27Aの上面27A1の中央部分は、前記粒状物aを収容する収容空間に対して露出した露出面となって、前記容器の内壁面2Aの一部を構成している。
【0039】
前記リング部27Bの上面側の内周縁部には、前記筒状部27Cの周囲を周回するように周溝27Dが設けられている。
該周溝27Dの外径は、前記排出端部26の内壁面26Bの径よりも大きく、Oリングやガスケットなどのシール材Sを収容するための収容空間として用いられている。
即ち、本実施形態の下蓋27は、閉蓋時に排出端部26の下端面と前記リング部27Bとの界面における気密状態を強固なものにするためのシール材Sが装着可能となっている。
【0040】
前記破砕部28は、前記筒状部27Cの上端に固定された板状体である前記ブレード28Aを複数有している。
即ち、本実施形態のブレード28Aは、容器2の回転に際して容器2とともに回転するように基端部が容器2の下蓋27に固定されている。
該ブレード28Aは、容器2の回転において前記軸芯Xの周りを一定の半径の円を描きながら容器と同じ回転数(rpm)で公転運動するように下蓋27の内側に固定された状態で配されている。
【0041】
本実施形態では、
図6に示すように、下蓋27のリング部27Bと筒状部27Cとが一体化しており、前記ブレード28Aもこれらと一体化されている。
一方で、前記ベースプレート部27Aは、リング部27Bなどとは別体になっており、リング部27Bをボルトなどの固定具によって固定可能になっている。
即ち、本実施形態の下蓋27は、ベースプレート部27Aとリング部27Bとを固定したり固定解除したりすることで、前記破砕部28が着脱自在となるように形成されている。
【0042】
本実施形態における前記ブレード28Aは、下部開口の面積内に収まるように配置されている。
即ち、前記破砕部28は、前記下部開口から出し入れ自在な形状を有している。
そして、下蓋27に対して前記破砕部28が着脱自在であることで、本実施形態では、粒状物の凍結乾燥の過程において前記ブレード28Aが取り換え可能になっている。
【0043】
図5に示したように回転する容器2内では粒状物aが回転方向Mに向かって先上がりとなる斜面を形成するように堆積しつつ流動する。容器2内に堆積している粒状物aは、斜面上端に達した後、斜面の表面を転がり落ちるように流動して攪拌される。複数の粒状物aが集合されてなる凝集塊a’は、そのサイズが大きいほど斜面を転がり落ち易い。回転する容器2において堆積している粒状物aの表面から飛び出した際、凝集塊a’は、よりサイズが大きなものから先に斜面を転がって容器2の底部へと転がり落ちる。凝集塊a’が転がり落ちる先には前記ブレード28Aが配されているため、該凝集塊a’は、大きなものから優先的にブレード28Aの先端縁に衝突して崩壊することになる。
【0044】
斜面を転がり落ちる凝集塊a’が、容器2の底部へと移動する際にブレード28Aに衝突しない場合もあり得る。本実施形態の容器2には、軸芯Xから離れるに従って縮径する擦り鉢状の下部縮径部2cが設けられており、該下部縮径部2Cの底部に前記破砕部28が配されているため、斜面を転がり落ちる凝集塊a’が前記破砕部28へと誘導され易くなっており、該凝集塊a’がブレード28Aとの衝突を回避するおそれが低い。即ち、本実施形態においては、容器2の回転に際して凝集塊a’がより確実に破砕され得る。
しかも、本実施形態では、容器2の回転時において移動速度が高くなる位置に前記破砕部28が配されているため、凝集塊a’を個々の粒状物aへと破砕し易い。
【0045】
前記ブレード28Aは、破砕部28に単一で配されてもよいが、複数配されている方が、より確実に凝集塊a’を破砕する上で有利である。複数の前記ブレード28Aは、本実施形態においては板状体である。複数の前記ブレード28Aは、回転方向Mに沿って延在するように立設された板状体である。複数の前記ブレード28Aは、延在する方向が互いに並行するように配された板状体である。複数の前記ブレード28Aは、板面が前記公転での公転面と対向し、前記公転面に直交する方向において所定間隔を設けた状態となるように配されている。このような複数のブレード28Aを備えた破砕部28へと向かって斜面を転がり落ちる凝集塊a’の移動方向に向けて前記破砕部28を見た際には複数のブレード28Aの先端縁28Eが櫛の歯のような状態となって並んでいる状態になるため凝集塊a’がブレード28Aと衝突し易くなっている。
【0046】
ブレード28Aは、先端縁28Eに沿った長さが同じでも、先端縁28Eが径方向Rに平行となるように延在していたのでは、凝集塊a’が衝突し難くなるため、先端縁28Eの少なくとも一部が、径方向Rに対して交差する方向に延在し、前記凝集塊a’の移動方向(落下方向)を横切るようになっていることが好ましい。
先端縁28Eの少なくとも一部は、前記軸芯Xから離れるに従って回転方向に向けて前進するように径方向Rに対して角度が設けられていることがより好ましい。
本実施形態においては、前記容器2が正逆何れの方向に回転された場合でも同様の効果が得られるように1又は複数の前記ブレード28Aの前記先端縁28Eには、前記軸芯Xから離れて径方向R外側に向かうに従って前記回転方向Mに対して前進するように傾斜している前進部28E1と、前記径方向R外側に向かうに従って前記回転方向Mに対して後退するように傾斜している後退部28E2とが備えられている。
【0047】
前進部28E1が径方向Rに対してなす角度(仰角:θ1)と後退部28E2が径方向Rに対してなす角度(仰角:θ2)とは、互いに共通であっても異なっていてもよい。
これらの前記角度(θ1、θ2)は、それぞれ独立して10度以上であることが好ましく、20度以上であることがより好ましく、30度以上であることがさらに好ましい。
前記角度(θ1、θ2)は、80度以下であることが好ましく、70度以下であることがより好ましい。
ブレード28Aの先端縁28Eの内、前進部28E1や後退部28E2が上記のような角度で存在する領域の長さは、前記容器2のサイズなどにもよるが、例えば、容積が0.1m3以上3m3以下の収容空間を有するものであれば、それぞれ独立して20mm以上であることが好ましく、30mm以上であることがより好ましく、50mm以上であることがさらに好ましく、80mm以上であることがとりわけ好ましい。
容器2の回転時に凝集塊a’をブレード28Aに対してより確実に衝突させる上で、容器2に収容させる粒状物の収容量は容器2の容積に対して80体積%以下であることが好ましい。前記収容量は、70体積%以下であっても、60体積%以下であってもよく、50体積%以下であってもよい。
【0048】
本実施形態の前記ブレード28Aは、図に示すように前記先端縁28Eが前記軸芯Xの方向に向けて尖った山形となっている。
そして複数の前記ブレード28Aは、板面と直交する方向から見た際に(回転軸方向視において)山形の先端縁28Eの輪郭線が揃うように配されている。
【0049】
前記破砕部28は、並行する状態に配された複数の前記ブレード28Aを先端部と基端部との中間位置において互いに連結する連結材28Cを備えている。本実施形態の該連結材28Cは棒状である。連結材28Cは、棒状に限らず板状体であってもよい。該連結材28Cは、隣り合う2つのブレード28Aの間の間隔W(中心間距離)を一定に保つのに機能する。凝集塊a’を破砕することを考慮すると前記ブレード28Aは、厚さがあまり厚いよりは薄い方が有利になり得る。しかしながら、ブレードの28Aの厚さが薄くなると剛性が低下して撓み易くなる。そうすると、凝集塊a’が隣り合う2枚のブレード28Aの間に噛み込んでしまうおそれが生じてくる。前記連結材28Cを採用することは、凝集塊a’の噛み込みを防ぐのに有効である。該連結材28Cでブレード28Aどうしが連結されている位置の高さH2は、ブレード28Aの突出高さH1の1/3以上(H2/H1≧1/3)であることが好ましく、1/2以上(H2/H1≧1/2)であることがより好ましい。前記連結材28Cでの連結位置はブレード28Aの突出方向最先端であってもよい。
【0050】
隣り合う2つのブレード28Aの間の間隔W(中心間距離)は、攪拌する粒状物aの種類などにもよるが、通常、10mm以上とされる。前記間隔は、通常、75mm以下とされ、60mm以下であることが好ましく、50mm以下であることがより好ましい。
前記ブレードの厚さは、通常、10mm以下とされ、8mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましい。
【0051】
本実施形態での複数のブレード28Aは、並列配置されているため、突出している方向とは逆方向から見たときに個々のブレード28Aの先端縁28Eが櫛の歯状に並んだ状態となるが、要すれば、並列配置されている複数のブレード28Aと直交する方向に更なるブレードを設け、突出している方向とは逆方向から見たときに先端縁が碁盤目状となるようにしてブレードを配置して当該ブレード自体が連結材28Cを兼用するようにしてもよい。
【0052】
図3に示されているように、前記公転面に対向する方向において隣り合う第1のブレード28A1と第2のブレード28A2とは、当該第1のブレード28A1と当該第2のブレード28A2との間の空間G1が回転方向M後方(
図3では奥行方向)に向けて開放された状態となるように配されている。さらに、第1のブレード28A1とは反対側で第2のブレード28A2と隣り合う第3のブレード28A3と第2のブレード28A2との空間G2も回転方向後方に向けて開放された状態となるように配されている。
【0053】
容器2の回転によって前記ブレード28Aに衝突して砕けた凝集塊a’が個々の粒状物とならずに元の凝集塊a’よりも小さな凝集塊となってブレード28A間の空間G1などに入り込んだとしても、本実施形態では、この凝集塊を速やかに当該空間G1より回転方向M後方側に排出することができ、該凝集塊を再びブレード28Aで砕く機会を速やかに設けることができる。
ブレード28A間の空間G1に入り込んだ凝集塊をより排出し易くする上において、第1のブレード28A1と第2のブレード28A2との間の空間G1と、第2のブレード28A2と第3のブレード28A3との間の空間G2とを連通させて凝集塊が行き来できるようにしてもよい。
即ち、
図7aに示すように、ブレード28Aを構成する前記板状体には、突出方向基端側に貫通孔28Hが形成されていてもよい。該貫通孔28Hを設けることは、該破砕部28をクリーニングする際の作業性の向上にも有効である。
【0054】
前記の通り、本実施形態においては下蓋27に対して前記破砕部28が着脱自在で、前記ブレード28Aが取り換え可能になっているため、例えば、凝集塊a’が比較的多く形成され易い処理前半において
図7aに示すような貫通孔28Hを有するブレード28Aを使って凝集塊の破砕を行ない、処理後半には
図6に示すような貫通孔28Hを有していないブレード28Aを使って凝集塊の破砕を行なうこともできる。
また、本実施形態においては、粒状物aの凍結乾燥処理の途中で間隔Wがそれまでよりも狭くなるように並列配置された複数のブレード28Aを下蓋27に取り付けてより小さな凝集塊a’をも破砕できるようにすることもできる。
【0055】
本実施形態においては先端縁28Eの形状が山形のブレード28Aを用いる態様を例示しているが、前記ブレード28Aの先端形状は山形に限らず台形であってもよく、円弧状などであってもよい。
前記ブレード28Aの大きさや形状、材質などは凍結乾燥処理する粒状物の種類や量などによって適宜選択することができる。
【0056】
図7aに示した破砕部28の様子を径方向Rから見た場合の正面図である
図7bに示すように、これまでに例示の破砕部28では、ブレード28Aが回転方向Mと平行するように設けられているが、
図8に示すようにブレード28Aが回転方向Mに対して傾斜するように設けられていてもよい。その場合、第1のブレード28A1と第2のブレード28A2との間の空間G1や第2のブレード28A2と第3のブレード28A3との間の空間G2に入り込んだ粒状物aは、回転方向Mに対して角度を設けるようにして当該空間から排出される。そのため、
図8に示した態様においては、粒状物aを攪拌する効果が高くなる。
【0057】
破砕部28を通る粒状物aが回転方向Mと異なる方向に排出されて攪拌効果が向上する点については、ブレード28Aが1枚だけの場合でも実施可能である。また、このような効果は、ブレード28A全体が回転方向Mに対して傾斜していなくても発揮されるものであり、ブレード28Aが少なくとも回転方向Mでの末端部において回転方向Mに対して傾斜していれば発揮され得る。即ち、本実施形態の攪拌装置では、板面が公転面と対向するように配された板状体で、且つ、少なくとも回転方向Mでの末端部において板面が前記回転方向M(公転面)に対して傾斜したブレード28Aが備えられていることで上記の効果が発揮され得る。
【0058】
図9a、
図9bに示すように破砕部28は、隣り合うブレード28Aの間の距離が回転方向Mでの先端側から末端側に向けて短くなるように構成されていてもよい。前記粒状物aは、容器2の回転に際し、前記ブレード28Aに対して回転方向Mとは逆向きに相対移動する。
図9a、
図9bに示す破砕部28では、第1のブレード28A1と第2のブレード28A2との間の空間G1と、第2のブレード28A2と第3のブレード28A3との間の空間G2とが粒状物aの移動方向に向けて狭くなる。粒状物aは、これらの空間を通過する際にブレード28Aどうしの間の距離が短くなるため、当該ブレード28Aどうしが対向する方向に圧力が加えられる。そのため、該破砕部28では、前記粒状物aに混在している凝集塊a’にも前記圧力が加えられることになり、凝集塊a’が崩れ易くなるという効果が発揮され得る。ブレード28Aどうしの距離の変化は、連続的なものであっても段階的なものであってもよい。即ち、本実施形態の攪拌装置では、板面が公転面と対向するように配された板状体である複数のブレード28Aが備えられ、該複数のブレード28Aには、前記公転面と対向する方向に隣り合うように設けられ、且つ、回転方向Mでの先端部よりも末端側において互いの距離が前記先端部よりも短くなるように設けられた2つのブレード28Aが含まれていることで上記の効果が発揮され得る。
【0059】
図10に示すように、第1のブレード28A1と第2のブレード28A2との間の空間G1を回転方向Mでの先端側から末端側に向けて狭くなるようにするとともに第2のブレード28A2と第3のブレード28A3との間の空間G2を先端側から末端側に向けて広くなるようにすると、第1のブレード28A1と第2のブレード28A2との間の空間G1では凝集塊a’が崩れ易くなり、第2のブレード28A2と第3のブレード28A3との間の空間G2は、粒状物aがスムーズに移動することになる。また、
図10に示す破砕部28での第2のブレード28A2と第3のブレード28A3との間の空間G2は、第1のブレード28A1と第2のブレード28A2との間の空間G1とは逆に末端側から先端側に向けて狭くなるので容器2の回転が正転方向で行われても逆転方向で行われても上記のような効果(凝集塊a’が崩れ易くなる効果)を得ることができる。即ち、本実施形態の攪拌装置では、前記公転面と対向する方向に隣り合うように設けられ、且つ、回転方向Mでの末端部よりも先端側において互いの距離が前記末端部よりも短くなるように設けられた2つのブレード28Aが更に含まれていてもよい。
【0060】
前記凝集塊a’を崩れ易くするのは、ブレード28Aの板面間の距離を変化させるだけでなく、例えば、
図11a、
図11bに示すようにブレード28Aに線状突起部28Aaを形成させることによっても実現できる。即ち、公転面と対向する方向に隣り合うように設けられた2つのブレード28Aの内の少なくとも一方には、他方に向けて突出し、回転方向M先端側から末端側に向けて延在する線状の突起を備えた線状突起部が設けられていてもよい。そして、前記線状突起部28Aaの突出高さは、末端側の方が高くなっていてもよい。このように本実施形態の攪拌装置は、ブレード28Aの配置や形状等を種々の態様とすることができる。
【0061】
尚、前記ブレード28Aは、前記ベースプレート28Bや前記連結材28Cと同素材であっても異素材であってもよい。前記ブレード28A、前記ベースプレート28B、及び、前記連結材28Cは、耐熱性、耐薬品性、耐摩耗性、及び、耐寒性に優れることが好ましい。これらを構成する素材は、硬質な合計樹脂であってもよく、FRPなどのような複合材であってもよく、セラミックスなどであってもよいが、金属であることが好ましい。前記素材は、鉄、鉄基合金、銅、銅基合金、アルミニウム、アルミニウム基合金などであってもよい。鉄基合金としては、例えば、SC系鋼材、SCM系鋼材、SUS系鋼材、SKD系鋼材などがあげられる。前記銅基合金は、C4250、C6140などの展伸用合金であっても、CAC101、CAC103、CAC202、CAC301、CAC303、CAC403、CAC503、CAC701、CAC703、CAC801などの鋳造用合金であってもよい。前記アルミニウム基合金は、A4043、A5052、A6061、A6063、A7075、A7N01などの展伸用合金であっても、AC2A、AC2B、AC4C、AC7A、AC8A、AC8B、AC8C、ADC12などの鋳造用合金であってもよい。前記ブレード28Aは、メッキ処理などの表面処理が施されていてもよい。
【0062】
破砕部28以外の構成材料に関しては従来公知のものを適宜採用可能である。
【0063】
本実施形態においては、本発明の効果をより顕著に発揮する上で、攪拌装置と、該攪拌装置の容器の内部を減圧する減圧装置とを備え、前記容器の内部において粒状物が減圧状態で攪拌されつつ乾燥される減圧乾燥装置として、凍結した粒状物が減圧状態で乾燥される凍結乾燥装置を例示しているが、凍結乾燥装置以外の減圧乾燥装置においても本発明の効果は発揮され得る。
また、本発明の効果は、減圧乾燥装置以外のタンブラーミキサーなどの一般的な攪拌装置においても発揮され得る。
【0064】
本実施形態の攪拌装置は、
粒状物を収容する収容空間を有する容器を備え、
前記容器の上下が入れ替わるように前記容器が軸芯周りに回転されて前記収容空間に収容された粒状物が攪拌される攪拌装置であって、
前記回転に際して前記粒状物の凝集塊を砕く破砕部が前記容器の内側に設けられ、
該破砕部が、前記容器の内壁面より突出する1又は複数のブレードを備え、且つ、
該破砕部が、前記容器を前記回転させることで前記ブレードが前記軸芯周りに公転するように配されている。
【0065】
そのため、本実施形態の攪拌装置では、凝集塊が形成されることを抑制することができ、早期に粒状物の乾燥や均一な攪拌が実現され得る。
【0066】
本実施形態での好ましい態様での攪拌装置は、
1又は複数の前記ブレードが、
前記容器の内壁面から前記軸芯に向かう方向に突出するように配され、
前記回転に際して前記容器とともに回転して前記公転するように基端部を前記容器に固定して配されている。
【0067】
上記のような好ましい態様での攪拌装置では、容器を回転させるだけで凝集塊を破砕することができ、破砕部で凝集塊を破砕するために特別な動力が必要としていない。
【0068】
本実施形態での好ましい態様での攪拌装置は、
前記容器の内で前記軸芯からの距離が最も遠くなる位置に前記破砕部が配されている。
【0069】
上記のような好ましい態様での攪拌装置では、前記容器の回転時において前記破砕部を高い移動速度で公転運動させることができ、凝集塊の破砕により効果的となる。
【0070】
本実施形態での好ましい態様での攪拌装置は、
前記容器に、前記軸芯から離れるに従って縮径する擦り鉢状の縮径部が設けられており、該縮径部の底部に前記破砕部が配されている。
【0071】
上記のような好ましい態様での攪拌装置では、前記容器の回転時において攪拌する粒状物が集合し易い縮径部の底部に前記破砕部が配されているため、凝集塊の破砕がより確実に行われ得る。
【0072】
本実施形態での好ましい態様での攪拌装置は、
1又は複数の前記ブレードが板状体で、且つ、板面が前記公転での公転面と対向するように配された前記板状体である。
また、本実施形態での好ましい態様での攪拌装置は、
前記板状体である前記ブレードを複数備え、前記公転面に対向する方向において隣り合う一ブレードと他ブレードとは、当該一ブレードと当該他ブレードとの間の空間が回転方向後方に向けて開放された状態となるように配されている。
さらに、本実施形態での好ましい態様での攪拌装置は、
前記板状体の突出方向基端側に貫通孔が形成されている。
【0073】
上記のような好ましい態様での攪拌装置では、ブレードが板状体であるため、凝集塊を棒状のものに衝突させる場合に比べて総じて強い衝撃を凝集塊に加えることができる。
しかも、上記のような好ましい態様での攪拌装置では、ブレードが板面を公転面と対向するように配されているため、容器の回転時には板状体の板面ではなく側縁部を衝突させて凝集塊に衝撃を加えることができ、凝集塊に局所的な強い衝撃力を加えることができる。
また、上記のような好ましい態様での攪拌装置では、ブレードに衝突して砕けた凝集塊が個々の粒状物まで破砕されずに元の凝集塊よりも小さな凝集塊となってブレード間の空間などに入り込んだりしても、この小さな凝集塊を速やかに排出して再びブレードで砕く機会を与えうる。
さらに、上記のような好ましい態様での攪拌装置では、粒状物や凝集塊が貫通孔を通じて移動できるためブレード間の空間などに入り込んだ凝集塊が排出され易くなるとともに貫通孔を通じてブレードの向こう側の様子を見ることもできるため、破砕部のメンテナンス性の向上も図られ得る。
【0074】
本実施形態での好ましい態様での攪拌装置では、
1又は複数の前記ブレードは、前記突出する方向での先端縁の少なくとも一部が、前記公転での径方向に対して交差する方向に延在している。
また、本実施形態での好ましい態様での攪拌装置では、
1又は複数の前記ブレードの前記先端縁には、前記径方向外側に向かうに従って前記回転の方向に対して後退するように傾斜している後退部と、前記径方向外側に向かうに従って前記回転の方向に対して前進するように傾斜している前進部とが備えられている。
【0075】
上記のような好ましい態様での攪拌装置では、凝集塊がブレードに衝突され易くなり攪拌に要する時間を短期化させ得る。
【0076】
本実施形態での好ましい態様での攪拌装置では、
前記容器には、前記収容空間を有し、且つ、前記粒状物の収容又は排出に用いられる開口を有する容器本体と、前記容器本体の前記開口を閉じる蓋体とが備えられており、
該蓋体の内側に前記破砕部が設けられている。
【0077】
上記のような好ましい態様での攪拌装置では、蓋体の内側に破砕部を備えるため、破砕部のクリーニングなどのメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0078】
本実施形態での好ましい態様での攪拌装置は、減圧乾燥装置に好適に用いられ得る。
上記のような好ましい態様での攪拌装置では、攪拌作業の短期化が図られるだけでなく、乾燥時間の短期化も図られ得る。
【0079】
尚、本発明の攪拌装置や減圧乾燥装置は上記のような好ましい態様のものに限定されるものでもない。
即ち、本発明は、上記例示に何等限定されるものではなく、本発明の効果が著しく損なわれない範囲において上記例示に対して各種変更を加え得るものである。
【符号の説明】
【0080】
1:凍結乾燥装置(減圧乾燥装置、攪拌装置)、
2:容器、2a:容器本体、
22:上部蓋体、
27:下部蓋体、
28:破砕部、28A:ブレード、28C:連結材、28E:(ブレードの)先端縁、
a:粒状物、a’:凝集塊、
M:回転方向、
R:径方向、
X:軸芯