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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】ブロアファンシミュレータ
(51)【国際特許分類】
   G09B 9/00 20060101AFI20240717BHJP
   G01M 17/007 20060101ALI20240717BHJP
   G09B 19/16 20060101ALI20240717BHJP
   G01R 31/00 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
G09B9/00 Z
G01M17/007 Z
G09B19/16
G01R31/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020103109
(22)【出願日】2020-06-15
(65)【公開番号】P2021196511
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】399061307
【氏名又は名称】一般社団法人日本自動車整備振興会連合会
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】北川 智之
【審査官】相川 俊
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107481601(CN,A)
【文献】特開2013-252732(JP,A)
【文献】特開平06-201799(JP,A)
【文献】特開昭63-066587(JP,A)
【文献】平成28年度第2回自動車整備技能登録試験[実技試験] 第94回[一級小型自動車] 12 問題用紙,一般社団法人日本自動車整備振興会連合会,2017年08月27日
【文献】後藤 衆治, ほか1名,"オート・エアコン故障診断シミュレータの試作",自動車整備技術に関する研究報告誌,2008年11月,Vol.37,pp.9-14
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 9/00
G01M 17/007
G09B 19/16
G01R 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧を供給する電源部と、
ブロアファンモーターと、
前記ブロアファンモーターの回転により回転するブロアファンと、
複数の状態の間で切り替わるファンスイッチと、
抵抗を含む抵抗ユニットと、
2つの接続対象の接続状態を、正常状態と、接触不良状態と、の間で切り替える第1の故障発生部と、
コンデンサーファンモーターを模擬する第1のランプと、
エアコンスイッチと、
前記エアコンスイッチの状態と、前記ファンスイッチの状態と、に基づき複数の状態の間で切り替わるエアコンリレーと、
2つの接続対象の接続状態を、正常状態と、断線状態と、の間で切り替える第2の故障発生部と、有し、
前記ファンスイッチの複数の状態は、
前記ブロアファンモーターに電圧が供給されない第1の状態と、
前記電源部から前記第1の故障発生部を介して前記ブロアファンモーターに第1の電圧が供給される第2の状態と、
前記電源部から前記抵抗ユニットを介して前記ブロアファンモーターに、前記第1の電圧より低い第2の電圧が供給される第3の状態と、を含み、
前記エアコンリレーは、
前記エアコンスイッチがオンであり、前記ファンスイッチが第2の状態であるとき、前記電源部から前記第2の故障発生部を介して前記第1のランプに電圧が供給される状態であり、
前記エアコンスイッチがオフであるとき、または前記ファンスイッチが第1の状態であるとき、前記第1のランプに電圧が供給されない状態である、ブロアファンシミュレータ
【請求項2】
所定の温度範囲内においてオンになり、当該所定の温度範囲外においてオフになるサーモアンプと、
所定の圧力範囲内においてオンになり、当該所定の圧力範囲外においてオフになる圧力スイッチと、をさらに有し、
前記エアコンリレーは、前記エアコンスイッチの状態と、前記サーモアンプ、前記圧力スイッチの状態と、前記ファンスイッチの状態と、に基づき、前記第1のランプに電圧を供給する第1の状態と、前記第1のランプに電圧を供給しない第2の状態と、の間で切り替わり、
前記エアコンスイッチがオンであり、前記サーモアンプがオンであり、前記圧力スイッチがオンであり、前記ファンスイッチが第2の状態であるとき、前記エアコンリレーは、前記電源部から前記第2の故障発生部を介して前記第1のランプに電圧が供給される状態である、請求項に記載のブロアファンシミュレータ。
【請求項3】
第2のランプをさらに有し、
前記エアコンリレーが前記電源部から前記第2の故障発生部を介して前記第1のランプに電圧が供給される状態であるときに、前記第2のランプにも電圧が供給される、請求項またはに記載のブロアファンシミュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の故障を模擬する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車整備士の教育等において、故障状態が再現された自動車を用いて、故障診断の訓練等が行われている。例えば、特許文献1には、自動車のインジェクタや、イグニッションコイル、フューエルポンプ、排気再循環バルブなどの作動機器や、クランク角センサや、MAFセンサ、アクセル開度センサ、車速センサなどのセンサの不調状態や故障状態を再現する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-205193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、多くの者が同時に故障診断を行う必要ある場合、例えば、多くの受験者に対して故障診断に関する試験を行うような場合には、実際の自動車を用いることは困難である。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、実際の自動車を用いずに故障診断を行うことを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明におけるブロアファンシミュレータは、電圧を供給する電源部と、ブロアファンモーターと、複数の状態の間で切り替わるファンスイッチと、2つの接続対象の接続状態を、正常状態と、故障状態と、の間で切り替える故障発生部と、を有し、前記ファンスイッチの複数の状態は、前記ブロアファンモーターに電圧が供給されない第1の状態と、前記電源部から前記ブロアファンモーターに第1の電圧が供給される第2の状態と、を含む。
【0007】
前記ブロアファンシミュレータは、抵抗を含む抵抗ユニットを、さらに有し、
前記ファンスイッチの複数の状態は、前記電源部から前記抵抗ユニットを介して前記ブロアファンモーターに、前記第1の電圧より低い第2の電圧が供給される第3の状態をさらに含むようにしても良い。
【0008】
前記ブロアファンシミュレータは、第1のランプと、エアコンスイッチと、前記エアコンスイッチの状態と、前記ファンスイッチの状態と、に基づき、前記第1のランプに電圧を供給する第1の状態と、前記第1のランプに電圧を供給しない第2の状態と、の間で切り替わるエアコンリレーと、をさらに有し、前記エアコンスイッチがオンであり、前記ファンスイッチが第2の状態であるとき、前記エアコンリレーは、前記第1の状態であるようにしても良い。
【0009】
前記ブロアファンシミュレータは、所定の温度範囲内においてオンになり、当該所定の温度範囲外においてオフになるサーモアンプと、所定の圧力範囲内においてオンになり、当該所定の圧力範囲外においてオフになる圧力スイッチと、をさらに有し、前記エアコンリレーは、前記エアコンスイッチの状態と、前記サーモアンプ、前記圧力スイッチの状態と、前記ファンスイッチの状態と、に基づき、前記第1のランプに電圧を供給する第1の状態と、前記第1のランプに電圧を供給しない第2の状態と、の間で切り替わり、前記エアコンスイッチがオンであり、前記サーモアンプがオンであり、前記圧力スイッチがオンであり、前記ファンスイッチが第2の状態であるとき、前記エアコンリレーは、前記第1の状態であるようにしても良い。
【0010】
前記ブロアファンシミュレータは、第2のランプをさらに有し、前記エアコンリレーが前記第1の状態のときに、前記第2のランプにも電圧が供給されるようにしても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、実際の自動車を用いずに故障診断を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るエアコンブロアファンシミュレータ100を示す図である。
図2】自動車のエアコンブロアファンの回路の一例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る故障発生部300を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る故障発生部300を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る故障発生部300を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る筐体400を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<エアコンブロアファンシミュレータ100>
図1は、本発明の一実施形態に係るエアコンブロアファンシミュレータ100を示す図である。エアコンブロアファンシミュレータ100は、電源部110と、ブロアファンモーター120と、ファンスイッチ130と、抵抗ユニット140と、第1のランプ150と、第2のランプ160と、エアコンスイッチユニット170と、エアコンリレー180と、サーモアンプ190と、圧力スイッチ200と、制御ユニット210と、を有する。本実施形態では、ファンスイッチ130、エアコンスイッチユニット170のエアコンスイッチ176の切り替えにより、ブロアファンモーター120、第1のランプ150、第2のランプ160の動作が制御され、本実施形態に係るエアコンブロアファンシミュレータ100は、例えば、図2に示した自動車のエアコンブロアファンの回路を模擬する。
【0014】
本実施形態に係るエアコンブロアファンシミュレータ100では、図2のエアコンブロアファンの回路のコンデンサーファンモーターの代わりに、第1のランプ150を有しており、コンデンサーファンモーターに正常に電力が供給されているのか否かを、第1のランプ150が点灯するのか否かで模擬している。また、本実施形態におけるエアコンブロアファンシミュレータ100では、図2のエアコンブロアファンの回路のコンプレッサの代わりに、第2のランプ160を有しており、コンプレッサに正常に電力が供給されているのか否かを、第2のランプ160が点灯するのか否かで模擬している。
【0015】
電源部110は、電圧を供給する。電源部110は、例えば、12Vの電圧を供給する。
【0016】
ブロアファンモーター120は、電源部110とファンスイッチ130との間に接続されており、電流が流れることで起動されるモーターである。ブロアファンモーター120には、ブロアファンモーター120の回転により回転するブロアファン121が接続されるようにしても良い。
【0017】
ファンスイッチ130は、第1の端子131と、第2の端子132と、第3の端子133と、第4の端子134と、第5の端子135と、第6の端子136と、を有している。
【0018】
ファンスイッチ130の第1の端子131は、ブロアファンモーター120に接続しており、第2の端子132、第3の端子133、第4の端子134は、抵抗ユニット140に接続しており、第5の端子135は、基準電位に接続しており、第6の端子136は、制御ユニット210に接続している。
【0019】
ファンスイッチ130は、第1の端子131、第2の端子132、第3の端子133、第4の端子134、第5の端子135、第6の端子136のいずれもが互いに接続していない第1の状態と、第1の端子131および第6の端子136が第5の端子135に接続した第2の状態と、第2の端子132および第6の端子136が第5の端子135に接続した第3の状態と、第3の端子133および第6の端子136が第5の端子135に接続した第4の状態と、第4の端子134および第6の端子136が第5の端子135に接続した第5の状態と、の間で切り替わる。
【0020】
ファンスイッチ130が切替部137を有し、故障診断の試験や訓練を受ける者が切替部137を操作することでファンスイッチ130の状態を切り替えることができるようにしても良い。
【0021】
抵抗ユニット140は、第1の端子141と、第2の端子142と、第3の端子143と、第4の端子144と、第1の抵抗145と、第2の抵抗146と、第3の抵抗147と、を有する。
【0022】
抵抗ユニット140の第1の端子141は、ブロアファンモーター120に接続しており、抵抗ユニット140の第2の端子142は、ファンスイッチ130の第2の端子132に接続しており、抵抗ユニット140の第3の端子143は、ファンスイッチ130の第3の端子133に接続しており、抵抗ユニット140の第4の端子144は、ファンスイッチ130の第4の端子134に接続している。
【0023】
抵抗ユニット140の第1の抵抗145は、抵抗ユニット140の第1の端子141と第2の端子142との間に接続されており、抵抗ユニット140の第2の抵抗146は、抵抗ユニット140の第1の抵抗145と第3の端子143との間に接続されており、抵抗ユニット140の第3の抵抗147は、抵抗ユニット140の第2の抵抗146と第4の端子144との間に接続されている。
【0024】
第1のランプ150、第2のランプ160は、エアコンリレー180と基準電位との間に接続されており、エアコンリレー180から基準電位へ電流が流れると点灯するランプであり、例えば、LED素子を含む。
【0025】
エアコンスイッチユニット170は、第1の端子171と、第2の端子172と、第3の端子173と、ダイオード174と、ランプ175と、エアコンスイッチ176と、を有する。
【0026】
エアコンスイッチユニット170の第1の端子171は、電源部110に接続しており、第2の端子172は、サーモアンプ190に接続しており、第3の端子173は、ファンスイッチ130の第6の端子136に接続している。
【0027】
エアコンスイッチユニット170のダイオード174は、エアコンスイッチユニット170の第1の端子171とランプ175の間に接続されており、第1の端子171からランプ175への方向が順方向であるダイオードである。
【0028】
エアコンスイッチユニット170のランプ175は、エアコンスイッチユニット170のダイオード174とエアコンスイッチ176との間に接続されており、ダイオード174からエアコンエアコンスイッチ176へ電流が流れると点灯するランプであり、例えば、LED素子を含む。
【0029】
エアコンスイッチユニット170のエアコンスイッチ176は、エアコンスイッチユニット170の第2の端子172および第3の端子173とランプ175との間に接続されており、エアコンスイッチ176は、オンとオフとの間で切り替わり、エアコンスイッチ176がオンのとき、ランプ175が第2の端子172および第3の端子173に接続されており、エアコンスイッチ176がオフのとき、ランプ175が第2の端子172および第3の端子173に接続されていない。
【0030】
エアコンスイッチ176が切替部177を有し、故障診断の試験や訓練を受ける者が切替部177を操作することでファンスイッチ176の状態を切り替えることができるようにしても良い。
【0031】
エアコンリレー180は、第1の端子181と、第2の端子182と、第3の端子183と、第4の端子184と、第5の端子185と、第6の端子と186と、を有する。エアコンリレー180の第1の端子181、第3の端子183、第5の端子185は、電源部110に接続しており、第2の端子182は、制御ユニット210に接続しており、第4の端子184は、第1のランプ150に接続しており、第6の端子186は、第2のランプ160に接続している。
【0032】
エアコンリレー180は、第1の端子181と第2の端子182との間を流れる電流の有無に基づいて、第1の状態と、第2の状態と、の間で切り替わるリレーである。エアコンリレー180は、第1の端子181と第2の端子182の間を電流が流れているときに、第3の端子183と第4の端子184とが接続し、第5の端子185と、第6の端子186とが接続した第1の状態となり、第1の端子181と第2の端子182の間を電流が流れていないときに、第3の端子183と第4の端子184とが接続し、第5の端子185と、第6の端子186とが接続した第2の状態となる。
【0033】
サーモアンプ190は、所定の温度範囲内においてオンになり、当該所定の温度範囲外においてオフになるスイッチであり、エアコンスイッチユニット170と圧力センサ200との間に接続されている。
【0034】
圧力スイッチ200は、所定の圧力範囲においてオンにあり、当該所定の温度範囲外においてオフになるスイッチであり、サーモアンプ190と制御ユニット210との間に接続されている。
【0035】
制御ユニット210は、第1の端子211と、第2の端子212と、第3の端子213と、を有している。制御ユニット210の第1の端子211は、エアコンリレー180の第2の端子182に接続しており、第2の端子132は、圧力スイッチ200に接続しており、第3の端子213は、ファンスイッチ130の第6の端子136に接続している。
【0036】
制御ユニット210は、電源部110からエアコンスイッチユニット170、サーモアンプ190、圧力スイッチ200を介して制御ユニット210の第2の端子212に電圧が供給され、かつ、制御ユニット210の第3の端子213からファンスイッチ130を介して基準電位へ電流が流れるときにのみ、電源部110からエアコンリレー180を介して制御ユニット210の第1の端子211へ電流を流すように制御する。
【0037】
つまり、エアコンスイッチ170がオンであり、サーモアンプ190がオンであり、圧力スイッチ200がオンであり、ファンスイッチ130が第2の状態、第3の状態、第4の状態、第5の状態のいずれかであるとき、制御ユニット210は、電源部110からエアコンリレー180を介して制御ユニット210の第1の端子211へ電流を流すように制御する。結果、エアコンスイッチ170がオンであり、サーモアンプ190がオンであり、圧力スイッチ200がオンであり、ファンスイッチ130が第2の状態、第3の状態、第4の状態、第5の状態のいずれかであるとき、エアコンリレー180は、第1の状態になり、第1のランプ150、第2のランプ160に電圧を供給する。
【0038】
一方、エアコンスイッチ170、サーモアンプ190、圧力スイッチ200のいずれかがオフであるとき、もしくは、ファンスイッチ130が第1の状態であるとき、制御ユニット210は、電源部110からエアコンリレー180を介して制御ユニット210の第1の端子211へ電流が流れないように制御する。結果、エアコンスイッチ170、サーモアンプ190、圧力スイッチ200のいずれかがオフであるとき、または、ファンスイッチ130が第1の状態であるとき、エアコンリレー180は、第2の状態になり、第1のランプ150、第2のランプ160に電圧を供給しない。
【0039】
また、図1に示すように、エアコンブロアファンシミュレータ100は、イグニッションスイッチ220とブロアファンリレー230とさらに有するようにしても良い。ブロアファンリレー230を電源部110とブロアファンモーター120との間に接続し、イグニッションスイッチ220を電源部110とブロアファンリレー230およびエアコンリレー180との間に接続し、イグニッションスイッチ220がオンであるときのみに、ブロアファンモーター130が起動し、第1のランプ150、第2のランプ160が点灯するための電流が供給されるようにしても良い。
【0040】
図1に示した例では、ブロアファンリレー230は、第1の端子231、第2の端子232、第3の端子233、第4の端子234を有し、第1の端子231、第2の端子232の間を電流が流れるときに、第3の端子233と第4の端子が接続されるリレーである。ブロアファンリレー230の第1の端子231は、イグニッションスイッチ220に接続し、第2の端子232は、基準電位に接続し、第3の端子233は、電源部110に接続し、第4の端子234は、ブロアファンモーター120に接続している。
【0041】
<ファンスイッチ130によるブロアファンモーター120の制御>
ファンスイッチ130の状態が切り替わることにより、ブロアファンモーター120の起動が制御される。
【0042】
ファンスイッチ130が第1の状態(第1の端子131、第2の端子132、第3の端子133、第4の端子134、第5の端子135、第6の端子136のいずれもが互いに接続していない状態)のとき、ブロアファンモーター120に電圧が供給されてないため、ブロアファンモーター120は起動しない。
【0043】
ファンスイッチ130が第2の状態(第1の端子131が第6の端子136に接続した状態)のとき、電源部110からブロアファンモーター120、ファンスイッチ130を介して基準電位へ電流が流れ、ブロアファンモーター120が起動する。
【0044】
ファンスイッチ130が第3の状態(第2の端子132が第6の端子136に接続した状態)のとき、電源部110からブロアファンモーター120、抵抗ユニット140の第1の抵抗145、ファンスイッチ130を介して基準電位へ電流が流れ、ブロアファンモーター120が起動する。ファンスイッチ130が第2の状態であるときに電流が抵抗ユニット140を通らないに対し、スイッチ130が第2の状態であるときは、電流は抵抗ユニット140の第1の抵抗145も通る。結果、スイッチ130が第3の状態であるときのブロアファンモーター120を流れる電流は、スイッチ130が第2の状態であるときのブロアファンモーター120を流れる電流より小さく、スイッチ130が第3の状態であるときのブロアファンモーター120(ブロアファン121)の回転は、スイッチ130が第2の状態であるときのブロアファンモーター120(ブロアファン121)の回転より遅くなる。
【0045】
ファンスイッチ130が第4の状態(第3の端子133が第6の端子136に接続した状態)のとき、電源部110からブロアファンモーター120、抵抗ユニット140の第1の抵抗145、第2の抵抗146、ファンスイッチ130を介して基準電位へ電流が流れ、ブロアファンモーター120が起動する。ファンスイッチ130が第3の状態であるときに電流が抵抗ユニット140の第1の抵抗145のみを通るに対し、スイッチ130が第4の状態であるときは、電流は第1の抵抗145に加えて第2の抵抗146も通る。結果、スイッチ130が第4の状態であるときのブロアファンモーター120を流れる電流は、スイッチ130が第3の状態であるときのブロアファンモーター120を流れる電流より小さく、スイッチ130が第4の状態であるときのブロアファンモーター120(ブロアファン121)の回転は、スイッチ130が第3の状態であるときのブロアファンモーター120の回転(ブロアファン121)より遅くなる。
【0046】
ファンスイッチ130が第5の状態(第4の端子134が第6の端子136に接続した状態)のとき、電源部110からブロアファンモーター120、抵抗ユニット140の第1の抵抗145、第2の抵抗146、第3の抵抗147、ファンスイッチ130を介して基準電位へ電流が流れ、ブロアファンモーター120が起動する。ファンスイッチ130が第4の状態であるときに電流が抵抗ユニット140の第1の抵抗145、第2の抵抗146のみを通るに対し、スイッチ130が第5の状態であるときは、電流は第1の抵抗145、第2の抵抗146に加えて第3の抵抗147も通る。結果、スイッチ130が第5の状態であるときのブロアファンモーター120を流れる電流は、スイッチ130が第4の状態であるときのブロアファンモーター120を流れる電流より小さく、スイッチ130が第5の状態であるときのブロアファンモーター120(ブロアファン121)の回転は、スイッチ130が第4の状態であるときのブロアファンモーター120(ブロアファン121)の回転より遅くなる。
【0047】
図1に示したエアコンブロアファンシミュレータ100の各要素の配置は一例であり、エアコンブロアファンシミュレータ100の各要素の配置は、図1に示した配置とは異なっていても良い。上記のように、ファンスイッチ130によりブロアファンモーター120の起動を制御することが可能な配置であれば、エアコンブロアファンシミュレータ100の各要素の配置は、どのようなものであっても良い。
【0048】
<ファンスイッチ130、エアコンスイッチ170によるランプの制御>
ファンスイッチ130、エアコンスイッチ170の状態が切り替わることで、第1のランプ150、第2のランプ160の点灯が制御される。
【0049】
ファンスイッチ130が第1の状態であるとき、もしくは、エアコンスイッチ170がオフであるとき、電源部110からエアコンスイッチユニット170、サーモアンプ190、圧力スイッチ200を介して制御ユニット210の第2の端子212に電圧が供給されない、もしくは、制御ユニット210の第3の端子213からファンスイッチ130を介して基準電位へ電流が流れない。このため、このとき、制御ユニット210は、電源部110からエアコンリレー180を介して制御ユニット210の第1の端子211へ電流を流さない。結果、このとき、エアコンリレー180は、第2の状態になり、第1のランプ150、第2のランプ160に電圧が供給されず、第1のランプ150、第2のランプ160は、点灯しない。
【0050】
ファンスイッチ130が第2の状態、第3の状態、第4の状態、第5の状態のいずれかであり、エアコンスイッチ170がオンであるとき、サーモアンプ190の圧力スイッチ200のいずれもがオンであれば、電源部110からエアコンスイッチユニット170、サーモアンプ190、圧力スイッチ200を介して制御ユニット210の第2の端子212に電圧が供給され、かつ、制御ユニット210の第3の端子213からファンスイッチ130を介して基準電位へ電流が流れる。このため、このとき、制御ユニット210は、電源部110からエアコンリレー180を介して制御ユニット210の第1の端子211へ電流を流す。結果、このとき、エアコンリレー180は、第1の状態になり、第1のランプ150、第2のランプ160に電圧が供給され、第1のランプ150、第2のランプ160は、点灯する。
【0051】
ファンスイッチ130が第2の状態、第3の状態、第4の状態、第5の状態のいずれかであり、エアコンスイッチ170がオンであるが、サーモアンプ190の圧力スイッチ200のいずれかがオフであれば、電源部110からエアコンスイッチユニット170、サーモアンプ190、圧力スイッチ200を介して制御ユニット210の第2の端子212に電圧が供給されない。このため、このとき、制御ユニット210は、電源部110からエアコンリレー180を介して制御ユニット210の第1の端子211へ電流を流さない。結果、このとき、エアコンリレー180は、第2の状態になり、第1のランプ150、第2のランプ160に電圧が供給されず、第1のランプ150、第2のランプ160は、点灯しない。
【0052】
図1に示したエアコンブロアファンシミュレータ100の各要素の配置は一例であり、エアコンブロアファンシミュレータ100の各要素の配置は、図1に示した配置とは異なっていても良い。上記のように、ファンスイッチ130、エアコンスイッチ170により第1のランプ150、第2のランプ160の点灯を制御することが可能な配置であれば、エアコンブロアファンシミュレータ100の各要素の配置は、どのようなものであっても良い。
【0053】
<故障発生部300>
本実施形態に係るエアコンブロアファンシミュレータ100は、図1に示すように、故障発生部300を有している。故障発生部300は、2つの接続対象の間に接続され、この2つの接続対象の接続状態を、正常状態と、断線などの故障状態と、の間で切り換える。
【0054】
例えば、故障発生部300は、ブロアファンモーター120とファンスイッチの第1の端子131との間に接続され、ブロアファンモーター120の第1の端子121とファンスイッチの第1の端子131との間の接続状態を、正常状態と故障状態との間で切り換える。
【0055】
このとき、故障発生部300により発生する故障状態を断線とすると、ファンスイッチ130が第2の状態(第1の端子131が第6の端子136に接続した状態)であるにも関わらず、ブロアファンモーター120に電圧が供給されず、ブロアファンモーター120が起動しないという故障状態を模擬することが可能になる。
【0056】
また、故障発生部300により発生する故障状態を接触不良とすると、ファンスイッチ130が第2の状態(第1の端子133が第6の端子136に接続した状態)であるにも関わらず、ブロアファンモーター120に供給される電圧が小さくなり、ブロアファンモーター120の回転が遅くなるという故障状態を模擬することが可能になる。よって、本実施形態では、故障発生部300により発生する故障状態を調整することよって、ブロアファンモーター120の回転速度が、ファンスイッチ130が第2の状態であるにも関わらず、ファンスイッチ130が第3の状態(第4の状態、第5の状態)のときのブロアファンモーター120の回転速度と同じになる故障状態を模擬することが可能になる。
【0057】
故障発生部300は、例えば、図1に示したように、各要素間に接続されるようにすると良い。図1に示したのは一例であり、故障発生部300は、他の位置に接続されるようにしても良い。
【0058】
故障発生部300は、例えば、図3に記載した回路で構成すると良い。図3に記載した回路は、スイッチ310を有している。このようにすることで、スイッチ310が閉じているときは、2つの接続対象が接続した正常状態になるが、スイッチ310が開いているときは、2つ接続対象の間が断線された故障状態となる。
【0059】
また、故障発生部300は、図4に記載したように、スイッチ320と抵抗330を有する回路で構成しても良い。この回路では、2つの接続対象が抵抗330を介さずに接続する経路と、2つの接続対象が抵抗330を介して接続する経路の2つの経路の間の切り換えをスイッチ320で行うことができる。このようにすることで、2つの接続対象が抵抗330を介さずに接続する経路に切り換えられているときは、2つの接続対象に直に接続された正常状態となるが、2つの接続対象が抵抗330を介して接続する経路に切り換えられているときは、2つの接続対象の間の抵抗が増大することになり、2つの接続対象の間で接触不良などが生じた故障状態となる。故障発生部300は、抵抗330の代わりに可変抵抗を有するようにしても良い。
【0060】
また、故障発生部300は、図5に記載したように、スイッチ320と上流側接続端子340および下流側接続端子350の対を有する回路で構成しても良い。このようにすることで、上流側接続端子340と下流側接続端子350の間に何も接続されていないときは、図3に記載したスイッチ310のみを有している回路と同様に、2つの接続対象が接続した正常状態と2つの接続対象の間が断線された故障状態との間を切り換えることができる。そして、上流側接続端子340と下流側接続端子350の間に抵抗が接続されたときは、図4に記載したスイッチ320と抵抗330を有している回路と同様に、2つの接続対象の間の接続状態を、2つの接続対象に直に接続された正常状態と2つの接続対象の間において抵抗が増大した故障状態との間を切り換えることができる。
【0061】
<測定端子>
図1には示していないが、電圧などの測定を行う者がテスターやオシロスコープなどの計測器のプローブをあてるための端子である測定端子が、行われる試験や訓練に合わせて、ブロアファンモーター120、第1のランプ150、第2のランプ160、サーモアンプ190、圧力スイッチ200の上流側、下流側、ファンスイッチ130、抵抗ユニット140、エアコンスイッチユニット170、エアコンリレー180、制御ユニット210、ブロアファンモータリレー230の各端子、基準電位などと同電位になるように適宜配置される。
【0062】
<筐体400>
エアコンブロアファンシミュレータ100は、図6に記載したような筐体400を有していても良い。筐体400の表面には、例えば、ブロアファンモーター120が起動しているのか否かなどを故障診断の試験や訓練を受ける者が確認できるように、ブロアファン121により発生した風を送出するための送風口122が配置される。
【0063】
また、筐体400の表面には、例えば、コンデンサーファンモーターの起動を模擬する第1のランプ150やコンプレッサの起動を模擬する第2のランプ160が点灯しているのか否かなどを故障診断の試験や訓練を受ける者が確認できるように、第1のランプ150、第2のランプ160が配置される。
【0064】
筐体400の表面には、ファンスイッチ130の切り替えやエアコンスイッチ176の切り替えを故障診断の試験や訓練を受ける者が行えるように、ファンスイッチ130の切替部137やエアコンスイッチ176が切替部177が配置されるようにしても良い。また、筐体の表面には、エアコンスイッチ176の状態がオンであるのかオフであるのかを故障診断の試験や訓練を受ける者が確認できるように、エアコンスイッチユニット170のランプ175が配置されるようにしても良い。
【0065】
上記測定端子は、筐体400の表面に配置するようにしても良いが、図6に示すように、筐体400とは別個のチェックボックス500の表面に配置するようにしても良い。
【0066】
一方、故障発生部300は、筐体400の内部に、つまり、筐体400の外部から見えない位置に配置される。このため、故障発生部300が正常状態と故障状態のどちらに切り換えられているのかを、筐体400の外側からは確認することができない。このため、筐体400内部において、故障発生部300に断線などの故障状態に切り換え、筐体400やチェックボックス500の表面に配置された測定端子などを用いて、電圧等を測らせることで、実際の自動車を用いることなく、故障診断の試験や訓練などを行うことが可能になる。
【0067】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に記載した本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更が可能である。
【符号の説明】
【0068】
100 エアコンブロアファンシミュレータ
110 電源部
120 ブロアファンモーター
130 ファンスイッチ
140 抵抗ユニット
150 第1のランプ
160 第2のランプ
170 エアコンスイッチユニット
180 エアコンリレー
190 サーモアンプ
200 圧力スイッチ
210 制御ユニッ
300 故障発生部
400 筐体
500 チェックボックス
図1
図2
図3
図4
図5
図6