(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】無線電力伝送システム、及び無線電力伝送方法
(51)【国際特許分類】
H02J 50/80 20160101AFI20240717BHJP
H02J 50/40 20160101ALI20240717BHJP
H04B 5/48 20240101ALI20240717BHJP
H01Q 3/30 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
H02J50/80
H02J50/40
H04B5/48
H01Q3/30
(21)【出願番号】P 2020127460
(22)【出願日】2020-07-28
【審査請求日】2023-05-26
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、SIP第2期事業「分散アンテナ協調制御方式」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梶原 正一
(72)【発明者】
【氏名】谷 博之
(72)【発明者】
【氏名】池田 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】田中 勇気
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-217323(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0044392(US,A1)
【文献】国際公開第2015/189959(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/80
H02J 50/40
H04B 5/48
H01Q 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力波を放射する複数の第1無線機と、
前記電力波の受信強度を示す強度信号を放射する少なくとも1つの受信機と、
前記電力波の周波数と位相を同期させる制御信号を送信する第2無線機と、を備える無線電力伝送システムであって、
前記少なくとも1つの受信機は、
受信した前記電力波に基づく前記強度信号の生成を行う制御部、及び
前記強度信号を前記第2無線機に対して送信するアンテナを有し、
前記第2無線機は、
受信した前記強度信号に基づき前
記制御信号を生成する制御信号生成部、及び
前記制御信号を複数の前記第1無線機に対して送信するアンテナを有
し、
前記複数
の第1無線機は、
前記制御信号に基づき周波数と位相を所定の値に設定した電力波を
前記少なくとも1つの受信機に向けて放射する、
無線電力伝送システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの受信機は、第1受信機及び第2受信機を含み、
前記制御信号生成部は、複数の前記第1無線機の内の第1無線機群と、複数の前記第1無線機の内の第2無線機群とに対して、互いに異なる周波数を設定する周波数設定信号をさらに生成し、
前記第1無線機群は、前記周波数設定信号に基づき、周波数が第1の値に設定された電力波を、
前記第1受信機に向けて放射し、
前記第2無線機群は、前記周波数設定信号に基づき、周波数が第1の値とは異なる第2の値に設定された電力波を、
前記第2受信機に向けて放射する、請求項1に記載の無線電力伝送システム。
【請求項3】
電力波を放射する複数の第1無線機と、
前記電力波の受信強度を示す強度信号を放射する少なくとも1つの受信機と、
前記電力波の周波数と位相を同期させる制御信号を送信する第2無線機と、を備える無線電力伝送システムで実施される無線電力伝送方法であって、
前記少なくとも1つの受信機が、受信した前記電力波に基づく前記強度信号を生成し、
前記少なくとも1つの受信機が、前記強度信号を前記第2無線機に対して送信し、
前記第2無線機が、受信した前記強度信号に基づき前記制御信号を生成し、
前記第2無線機が、前記制御信号を複数の前記第1無線機に対して送信し、
前記複数の第1無線機が、前記制御信号に基づき周波数と位相を所定の値に設定し、
前記複数の第1無線機が、前記電力波を前記少なくとも1つの受信機に向けて放射する、無線電力伝送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線電力伝送システム、及び無線電力伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、送電部から受信機器に効率的に電力波を伝送する無線電力伝送システムが開示されている。特許文献1に記載の無線電力伝送システムは、電力波を放射する複数の送電部と、電力波の受電電力量を無線通信で送電部へ伝達する複数の受信機器と、複数の送電部を管理する管理部とを備える。
【0003】
管理部は、受信機器の受電電力を高めるため、受電電力量に基づき、複数の送電部のそれぞれの電力波の放射方向と位相を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の従来技術では、無線通信用の機器(送電部、受信機器など)以外にも、無線電力伝送のために、複数の送電部を管理する管理部が必要である。このように既存の無線通信システムに無線電力伝送のための機器を追加しなければならず、システム全体のコストが増加する恐れがある。
【0006】
本開示の非限定的な実施例は、コストの増加を抑制しながら無線電力伝送を実現できる無線電力伝送システムの提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施例に係る無線電力伝送システムは、電力波を放射する複数の第1無線機と、前記電力波の受信強度を示す強度信号を放射する少なくとも1つの受信機と、前記電力波の周波数と位相を同期させる制御信号を送信する第2無線機と、を備える無線電力伝送システムであって、前記少なくとも1つの受信機は、受信した前記電力波に基づく前記強度信号の生成を行う制御部、及び前記強度信号を前記第2無線機に対して送信するアンテナを有し、前記第2無線機は、受信した前記強度信号に基づき前記制御信号を生成する制御信号生成部、及び前記制御信号を複数の前記第1無線機に対して送信するアンテナを有し、
前記複数の第1無線機は、前記制御信号に基づき周波数と位相を所定の値に設定した電力波を前記少なくとも1つの受信機に向けて放射する。
【0008】
本開示の一実施例に係る無線電力伝送方法は、電力波を放射する複数の第1無線機と、前記電力波の受信強度を示す強度信号を放射する少なくとも1つの受信機と、前記電力波の周波数と位相を同期させる制御信号を送信する第2無線機と、を備える無線電力伝送システムで実施される無線電力伝送方法であって、前記少なくとも1つの受信機が、受信した前記電力波に基づく前記強度信号を生成し、前記少なくとも1つの受信機が、前記強度信号を前記第2無線機に対して送信し、前記第2無線機が、受信した前記強度信号に基づき前記制御信号を生成し、前記第2無線機が、前記制御信号を複数の前記第1無線機に対して送信し、前記複数の第1無線機が、前記制御信号に基づき周波数と位相を所定の値に設定し、前記複数の第1無線機が、前記電力波を前記少なくとも1つの受信機に向けて放射する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施例によれば、コストの増加を抑制しながら無線電力伝送を実現できる無線電力伝送システムを構築できる。
【0010】
本開示の一実施例における更なる利点及び効果は、明細書及び図面から明らかにされる。かかる利点及び/又は効果は、いくつかの実施形態並びに明細書及び図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つ又はそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施の形態1に係る無線電力伝送システム100の構成例を示す図
【
図5】無線電力伝送システム100の動作を説明するためのフローチャート
【
図6】本開示の実施の形態2に係る無線電力伝送システム100の構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。なお本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
(実施の形態1)
<無線電力伝送システム100の構成例>
図1は本開示の実施の形態1に係る無線電力伝送システム100の構成例を示す図である。無線電力伝送システム100は、無線機10、複数の無線機20、及び受信機30を備える。机102の上などに複数の無線機20が設置される。複数の無線機20は本実施の形態の第1無線機の一例であり、無線機10は、本実施の形態の第2無線機の一例である。
【0014】
<無線機10の構成例>
次に
図2を参照して無線機10の構成例について説明する。
図2は無線機10の構成例を示す図である。無線機10は、アンテナ11、発振部12、制御信号生成部13及び電源部14を備える。
【0015】
無線機10は、所定の無線通信規格に対応する携帯電話用の無線基地局、無線信号を中継するリピータ、Wi-Fi(登録商標)機器、Bluetooth(登録商標)機器、BLE(Bluetooth Low Energy)機器、NFC(Near Field Communication)機器などである。
【0016】
アンテナ11は、制御信号13Aを含む電波10Aを、無線機20に向けて送信すると共に、受信機30から送信される強度信号30Aを受信する送受信アンテナである。制御信号13Aの詳細については後述する。
【0017】
強度信号30Aは、受信機30が受信した電力波20Aの受信強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)を示す信号である。電力波20Aは、連続波でもよいし変調波(振幅変調波、周波数変調波)などでもよい。
【0018】
アンテナ11は、例えば指向性アンテナ、無指向性アンテナなどである。特定の方向へ長距離送電したい場合には指向性アンテナが使用され、近距離で広い範囲に送電したい場合には無指向性アンテナが使用される。
【0019】
発振部12は、例えば発振回路、増幅回路などを備え、無線機20との間で無線通信を実現するための高周波信号に制御信号13Aを重畳して、アンテナ11へ送信する。アンテナ11はこれらの信号を電波10Aとして放射する。
【0020】
制御信号生成部13は、例えばメモリ、CPU(Central Processing Unit)などを備え、強度信号30Aに基づき、制御信号13Aを生成する。制御信号13Aは、受信機30で受信される電力波20Aの電波強度を高めるように、複数の無線機のそれぞれから放射される電力波20Aの周波数と位相を制御するための信号である。
【0021】
電源部14は、例えば商用交流電源から直流電力を生成する電力変換回路を備え、無線機10を動作させるための電源を供給する。
【0022】
<無線機20の構成例>
次に
図3を参照して無線機20の構成例について説明する。
図3は無線機20の構成例を示す図である。無線機20は、アンテナ21、送受信部22、及び電源部24を備える。
【0023】
無線機20は、所定の無線通信規格に対応する携帯電話、スマートフォン、リピータ、Wi-Fi機器、Bluetooth機器などである。
【0024】
アンテナ21は、電力波20Aを放射すると共に電波10Aを受信する送受信アンテナである。
【0025】
送受信部22は、例えば発振回路、増幅回路などを備え、電波10Aに含まれる制御信号13Aに基づき、周波数及び位相が同期した電力波20Aを生成して、アンテナ21に送信する。
【0026】
電力波20Aの周波数を制御する場合、送受信部22が備える周波数設定回路(例えば電圧制御発振器)が、制御信号13Aで設定された制御電圧に従い、発振周波数を調整する。これにより、複数の無線機20のそれぞれから放射される電力波20Aの周波数を揃えることができる。
【0027】
電力波20Aの位相を制御する場合、GPS(Global Positioning System)衛星から送信される時刻信号に基づき、送受信部22が備えるフェーズシフタ(移相器)が、電力波20Aの周波数の位相を調整する。これにより、複数の無線機20のそれぞれから放射される電力波20Aの位相を揃えることができる。
【0028】
なお、位相制御方法はこれに限定されず、例えば、可変コンデンサ、可変コイル、可変抵抗などに構成されるインピーダンス変化部が、制御信号13Aに含まれるインピーダンス設定値に従って、アンテナ21に接続される複素インピーダンスを変化させることで位相を設定してもよい。
【0029】
電源部24は、例えば商用交流電源から直流電力を生成する電力変換回路を備え、送受信部22を動作させるための電源を供給する。
【0030】
<受信機30の構成例>
次に
図4を参照して受信機30の構成例について説明する。
図4は受信機30の構成例を示す図である。受信機30は、アンテナ31、整流部32、制御部34及び負荷35を備える。
【0031】
受信機30は、所定の無線通信規格に対応するWi-Fi機器、Bluetooth機器、BLE機器、NFC機器などである。
【0032】
アンテナ31は、電力波20Aを受信すると共に強度信号30Aを送信する送受信アンテナである。アンテナ31は、例えば指向性アンテナ、無指向性アンテナなどである。
【0033】
整流部32は、整流ダイオード、フィルタ回路などで構成され、アンテナ31が受信した電力波20Aを直流電力へ変換する。
【0034】
制御部34は、直流電力の負荷35への供給制御を行うと共に、整流された電力値に基づき強度信号30Aを生成し、生成した強度信号30Aを整流部32を介して、アンテナ31へ送信する。
【0035】
負荷35は、例えばIoT(Internet of Things)で活用される温湿度計、気圧計、気温計、加速度計などのセンサである。
【0036】
次に
図5を参照して無線電力伝送システム100の動作について説明する。
図5は無線電力伝送システム100の動作を説明するためのフローチャートである。
【0037】
複数の無線機20が電力波20Aを送信すると(ステップS1)、電力波20Aを受信した受信機30は電力波20Aに基づき強度信号30Aを生成する(ステップS2)。
【0038】
受信機30は強度信号30Aを無線機10に向けて送信し(ステップS3)、強度信号30Aを受信した無線機10は、強度信号30Aに基づき制御信号13Aを生成する(ステップS4)。
【0039】
無線機10は、生成した制御信号13Aを高周波信号に重畳して、電波10Aとして複数の無線機20に対して送信する(ステップS5)。電波10Aを受信した複数の無線機20は、電波10Aに含まれる制御信号13Aに基づき電力波20Aの周波数及び位相を変更し、当該電力波20Aを受信機30に対して送信する(ステップS6)。
【0040】
受信機30は、周波数及び位相が揃えられた複数の電力波20Aを受信することで、複数の電力波20Aが重ね合わせられるため、安定した強度の電波を受信し得る。
【0041】
なお、複数の電力波20Aの位相や周波数が互いに異なる場合、受信機30で受信される複数の電力波20Aが互いに弱め合う(打ち消し合う)ため、受信機30における電波強度が低下し得る。
【0042】
これに対して、本実施の形態に係る無線電力伝送システム100によれば、制御信号13Aを複数の無線機に送信することで、複数の電力波20Aの位相や周波数が揃えられ、受信機30で受信される複数の電力波20Aが互いに強め合う。よって、受信機30における電波強度を高めることができる。
【0043】
従って、本実施の形態に係る無線電力伝送システム100によれば、電力波20Aを送信するための専用の送信アンテナなどを追加することなく、受信機30における電波強度を高めることができる。その結果、コストの増加を抑制しながら無線電力の供給が可能になる。
【0044】
また、電力波20Aを送信するための専用の送信アンテナなどを設置する必要がないため、当該送信アンテナを設置した場所の周辺のみに無線電力の送信が可能な従来技術に比べて、より広範囲に無線電力の供給が可能になる。
【0045】
また、電力波20Aを送信するための専用の送信アンテナなどを特定の箇所に設置する必要がないため、例えば、複数の無線機20が設置される閉空間内(建物の部屋など)の何れの箇所においても、無線電力の供給を受けることができる。つまり、閉空間内において無線電力を供給できない箇所を減らすことができる。
【0046】
従って、閉空間内で人が移動したり机の位置などが変わった場合でも、専用の送信アンテナの位置を変えなくとも、受信機30の動作に必要な電力を確保できる。
【0047】
また、本実施の形態に係る無線電力伝送システム100によれば、閉空間内に複数の受信機30が存在する場合でも、それぞれの受信機30と第1無線機20との間のインピーダンスを調整する必要がなく、インピーダンス調整に要する作業時間が大幅に削減される。
【0048】
(実施の形態2)
図6は本開示の実施の形態2に係る無線電力伝送システム100の構成例を示す図である。実施の形態2に係る無線電力伝送システム100は、互いに異なる周波数の電波を受信するように設定されている複数の受信機30-1及び受信機30-2を備える。以下では、実施の形態1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、異なる部分について述べる。
【0049】
無線機10の制御信号生成部13は、複数の無線機20に対して、異なる周波数を設定する周波数設定信号をさらに生成する。
【0050】
複数の無線機20の内、2以上の無線機20で構成される第1無線機群は、周波数設定信号に基づき、周波数が第1の値に設定された電力波20A1を、第1受信機(受信機30-1)に向けて放射する。
【0051】
複数の無線機20の内、2以上の無線機20で構成される第2無線機群は、周波数設定信号に基づき、周波数が第1の値とは異なる第2の値に設定された電力波20A2を、第2受信機(受信機30-2)に向けて放射する。
【0052】
例えば1.5GHzの送信周波数が設定された1台の無線機20と、1.5GHzの受信周波数が設定された2台の受信機30との間で通信を行う場合、無線機20が100mWの電力波20Aを出力すると、2台の受信機30のそれぞれに到達する電力波20Aの電力が例えば1/10に低下しているとした場合、2台の受信機30のそれぞれで受信される電力波20Aの電力は5mW(=10mW/2)となる。
【0053】
実施の形態2に係る無線電力伝送システム100では、受信機30-1及び受信機30-2に対して互いに周波数が異なる電力波で無線電力が供給される。つまり、受信機30-1及び受信機30-2には、互いに異なる無線電力周波数が割り当てられる。また、各受信機30-1及び30-2に割り当てられる無線機20の数は、単一の無線電力周波数が割り当てられる場合よりも多い。
【0054】
例えば、1.5GHzの送信周波数が設定された無線機20と、1.5GHzの受信周波数が設定された受信機30-1との間で通信を行う場合、当該無線機20が100mWの電力波20Aを出力すると、受信機30-1に到達する電力波20Aの電力が例えば1/10に低下しているとした場合、受信機30-1で受信される電力波20Aの電力は約10mWとなる。
【0055】
また、2.0GHzの送信周波数が設定された無線機20と、2.0GHzの受信周波数が設定された受信機30-2との間で通信を行う場合、当該無線機20が100mWの電力波20Aを出力すると、受信機30-2に到達する電力波20Aの電力が例えば1/10に低下しているとした場合、当該受信機30-2で受信される電力波20Aの電力は約10mWとなる。
【0056】
よって、受信機30-1及び受信機30-2に対して、単一の周波数が設定された電力波による無線電力伝送が行われる場合に比べ、単一の無線電力伝送システム100内において、それぞれ効率よく電力供給を受けることができる。また、異なる周波数を用いることによりフェージングの影響を小さくすることができる。
【0057】
なお、上述した各実施の形態では、無線機10が制御信号生成部13を有し、複数の無線機20が制御信号に基づき周波数と位相を所定の値に設定した電力波を受信機30に向けて放射する構成例を説明した。しかしながら、本開示に係る実施の形態はこれに限定されるものではない。
【0058】
例えば、複数の無線機20の1つが制御信号生成部を有する構成としてもよい。この場合、無線機20の1つが有する制御信号生成部で生成された制御信号に基づいて、他の複数の無線機20のそれぞれが、周波数と位相を所定の値に設定した電力波を受信機30、受信機30-1又は受信機30-2に向けて放射する構成としてもよい。なお、この場合、制御信号生成部を有する無線機20は第2無線機に相当し、他の複数の無線機20は第1無線機に相当する。
【0059】
また、受信機30、受信機30-1又は受信機30-2が制御信号生成部を有する構成としてもよい。この場合、受信機30、受信機30-1又は受信機30-2が有する制御信号生成部で生成された制御信号に基づいて、複数の無線機20のそれぞれが、周波数と位相を所定の値に設定した電力波を受信機30、受信機30-1又は受信機30-2に向けて放射する構成としてもよい。なお、この場合、受信機30、受信機30-1又は受信機30-2は受信機であると共に第2無線機に相当し、複数の無線機20は第1無線機に相当する。
【0060】
また、受信機30、受信機30-1又は受信機30-2が制御信号生成部を有すると共に、無線機10が複数ある構成としてもよい。この場合、受信機30、受信機30-1又は受信機30-2が有する制御信号生成部で生成された制御信号に基づいて、複数の無線機10のそれぞれが、周波数と位相を所定の値に設定した電力波を複数の無線機20の1つ又は複数に向けて放射する構成としてもよい。なお、この場合、受信機30、受信機30-1又は受信機30-2は受信機であると共に第2無線機に相当し、複数の無線機10は第1無線機に相当する。また、複数の無線機20の1つ又は複数は、受信機に相当する。
【0061】
なお、例えば、以下のような態様も本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0062】
(1)本実施の形態に係る無線電力伝送システムは、電力波を放射する複数の第1無線機と、前記電力波を受信する受信機における前記電力波の受信強度を示す信号に基づき前記電力波の周波数と位相を同期させる制御信号を生成する制御信号生成部、及び前記制御信号を複数の前記第1無線機に対して送信するアンテナを有する第2無線機と、を備え、複数の前記第1無線機は、前記制御信号に基づき周波数と位相を所定の値に設定した電力波を受信機に向けて放射する。
【0063】
(2)本実施の形態に係る無線電力伝送システムの前記制御信号生成部は、複数の前記第1無線機の内の第1無線機群と、複数の前記第1無線機の内の第2無線機群とに対して、互いに異なる周波数を設定する周波数設定信号をさらに生成し、前記第1無線機群は、前記周波数設定信号に基づき、周波数が第1の値に設定された電力波を、第1受信機に向けて放射し、前記第2無線機群は、前記周波数設定信号に基づき、周波数が第1の値とは異なる第2の値に設定された電力波を、第2受信機に向けて放射する。
【0064】
(3)無線電力伝送方法は、複数の第1無線機と無線通信を行う第2無線機が、複数の前記第1無線機から放射される電力波を受信する受信機における前記電力波の受信強度を示す信号に基づき、前記電力波の周波数と位相を同期させる制御信号を生成するステップと、前記第2無線機が、前記制御信号を、アンテナを介して複数の前記第1無線機に対して送信するステップと、前記制御信号を受信した複数の前記第1無線機が、前記制御信号に基づき周波数と位相を所定の値に設定した電力波を受信機に向けて放射するステップと、を含む。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本開示の一実施例は、無線電力伝送装置、無線電力伝送システムに好適である。
【符号の説明】
【0066】
10 無線機
10A 電波
11 アンテナ
12 発振部
13 制御信号生成部
14 電源部
20 無線機
21 アンテナ
22 送受信部
24 電源部
30 受信機
30A 強度信号
100 無線電力伝送システム