(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】測量支援プログラム、測量支援装置、測量支援方法、および測量支援システム
(51)【国際特許分類】
G01C 15/00 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
G01C15/00 102Z
(21)【出願番号】P 2020130666
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】110004060
【氏名又は名称】弁理士法人あお葉国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100187182
【氏名又は名称】川野 由希
(72)【発明者】
【氏名】清水 亮介
(72)【発明者】
【氏名】宮嶋 基広
(72)【発明者】
【氏名】一里山 海洋
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭佑
【審査官】眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】特許第6224659(JP,B2)
【文献】特開2006-3206(JP,A)
【文献】特開平10-332362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 1/00-1/14
G01C 5/00-15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
路線の中心線上に設定された中心点の中心点データと、前記中心点を含み、前記中心線と直交する断面上に設定された構成点の構成点データを含む設計情報を読み込ませ、
被測量装置の現在位置を示す位置情報を所定の周期で取得させ、
前記位置情報と前記設計情報に基づいて、前記現在位置と、指定された断面における参照点との水平距離および鉛直距離を算出させ、
前記水平距離および前記鉛直距離を測量情報として前記コンピュータの表示部
の観測画面上に表示させ、
表示を、前記所定の周期毎に更新させ
、
前記位置情報と前記設計情報とを前記観測画面上に表示させる測量支援プログラムであって、
前記参照点は、前記中心点または前記構成点から選択される点であ
り、
前記参照点は、前記観測画面に表示される参照点切替ボタンを押すことにより前記路線と直交する方向の位置が切り替えられ、
前記参照点の切り替えは、指定された断面を路線方向に移動した場合であっても、前記路線と直交する方向の位置が保存されていることを特徴とする測量支援プログラム。
【請求項2】
前記指定された断面として、前記設計情報に含まれる断面から前記被測量装置の前記現在位置から最も近い断面が選択可能であることを特徴とする請求項1に記載の測量支援プログラム。
【請求項3】
前記コンピュータに、
前記被測量装置の前記現在位置を含み前記中心線と直交する任意断面を、前記現在位置を挟む前記設計情報に含まれる2つの断面を補完することにより生成させ、
前記指定された断面として、前記任意断面を選択可能とさせることを特徴とする請求項1または2に記載の測量支援プログラム。
【請求項4】
前記指定された断面として、
前記設計情報に含まれる断面か
ら作業者によって指定された断面と、
前記設計情報に含まれる断面
のうち前記被測量装置の前記現在位置から最も近い断面と、
前記任意断面と、
から選択可能とさせることを特徴とする請求項3に記載の測量支援プログラム。
【請求項5】
前記コンピュータに、
前記被測量装置の位置と、前記指定された断面における最も近い2の構成点を線形で結ぶ面
との前記水平距離及び前記鉛直距離を算出し、表示させることを特徴とする請求項1に記載の測量支援プログラム。
【請求項6】
表示部と;
端末制御部と;を備え、
前記端末制御部は、
路線の中心線上に設定された中心点の中心点データと、前記中心点を含み、前記中心線と直交する断面上に設定された構成点の構成点データを含む設計情報を読み込む、設計情報読込部と、
被測量装置の現在位置を示す位置情報を所定の周期で取得する位置情報取得部と、
前記位置情報と前記設計情報に基づいて、前記現在位置と、指定された断面における参照点との水平距離および鉛直距離を算出する距離算出部と、
前記水平距離および前記鉛直距離を測量情報として前記表示部
の観測画面上に表示し、表示を、前記所定の周期毎に更新する測量情報表示部と、
前記位置情報と前記設計情報とを前記観測画面上に表示するビュー表示部と、
を備え、
前記参照点は、前記中心点または前記構成点から選択される点であ
り、
前記参照点は、前記観測画面に表示される参照点切替ボタンを押すことにより前記路線と直交する方向の位置が切り替えられ、
前記参照点の切り替えは、指定された断面を路線方向に移動した場合であっても、前記路線と直交する方向の位置が保存されていることを特徴とする測量支援装置。
【請求項7】
前記被測量装置の前記現在位置を取得する位置取得装置と、
請求項6に記載の測量支援装置とを備え、
前記位置取得装置と、前記測量支援装置とは通信可能に構成されていることを特徴とする測量支援システム。
【請求項8】
コンピュータが、
路線の中心線上に設定された中心点の中心点データと、前記中心点を含み、前記中心線と直交する断面上に設定された構成点の構成点データを含む設計情報を読み込み、
被測量装置の現在位置を示す位置情報を所定の周期で取得し、
前記位置情報と前記設計情報に基づいて、前記現在位置と、指定された断面における参照点との水平距離および鉛直距離を算出し、
前記水平距離および前記鉛直距離を測量情報として前記コンピュータの表示部
の観測画面上に表示し、表示を、前記所定の周期毎に更新
し、
前記位置情報と前記設計情報とを前記観測画面上に表示する、測量支援方法であって、
前記参照点は、前記中心点または前記構成点から選択される点であ
り、
前記参照点は、前記観測画面に表示される参照点切替ボタンを押すことにより前記路線と直交する方向の位置が切り替えられ、
前記参照点の切り替えは、指定された断面を路線方向に移動した場合であっても、前記路線と直交する方向の位置が保存されていることを特徴とする測量支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測量支援プログラム、測量支援装置、測量支援方法、および測量支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
路線等の工事においては、施工計画図が作成され,切土、盛土の土量を考慮しつつ施工計画が立てられる。施工計画を作成するにあたっては、施工計画の基準とするために工事箇所の現況が測量される。また、工事完了後には、出来形観測が行われる。現況の測量には、路線の中心線に設定された中心杭設置点(中心点)からの水平方向と鉛直方向の距離を求める中心杭離れ観測が含まれる。一方、出来形観測では、構成点を測量し、水平方向と鉛直方向の距離を求めて設計情報と比較される。
【0003】
このような中心杭離れ観測や出来形観測はトータルステーション等の光波装置やGNSS装置を用いて行うことが一般的である。また、構成点データを含む設計情報を、携帯情報処理装置に読み込ませ、平面図、横断面図や数値情報を表示部に表示して、トータルステーションやGNSS装置を用いる測量装置を支援する技術が提案されている。(例えば、特許文献1、非特許文献1等参照)。
【0004】
中心杭離れ観測と出来形観測とは、距離算出の対象とする参照点が中心点であるか、構成点であるかという点で相違するが、設計情報上の参照点と、観測点との水平距離および鉛直距離とを求める点で類似する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【文献】株式会社トプコン データコレクターFC-500 監督さん.V取扱い説明書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、非特許文献1に開示される技術は、中心杭離れ観測と出来形観測とをそれぞれ別のメニューとしてプログラムを実行するものであり、使い勝手や、製品開発の観点から、1のメニューで中心杭離れ観測と、出来形観測とを可能にすることが求められていた。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり1つのメニューで、中心杭離れ観測と出来形観測の支援を可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の1つの態様にかかる測量支援プログラムは、コンピュータに、路線の中心線上に設定された中心点の中心点データと、前記中心点を含み、前記中心線と直交する断面上に設定された構成点の構成点データを含む設計情報を読み込ませ、被測量装置の現在位置を示す位置情報を所定の周期で取得させ、前記位置情報と前記設計情報に基づいて、前記現在位置と、指定された断面における参照点との水平距離および鉛直距離を算出させ、前記水平距離および前記鉛直距離を測量情報として前記コンピュータの表示部の観測画面上に表示させ、表示を、前記所定の周期毎に更新させ、前記位置情報と前記設計情報とを前記観測画面上に表示させる測量支援プログラムであって、前記参照点は、前記中心点または前記構成点から選択される点であり、前記参照点は、前記観測画面に表示される参照点切替ボタンを押すことにより前記路線と直交する方向の位置が切り替えられ、前記参照点の切り替えは、指定された断面を路線方向に移動した場合であっても、前記路線と直交する方向の位置が保存されている。
【0010】
上記態様において、前記指定された断面として、前記設計情報に含まれる断面から前記被測量装置の前記現在位置から最も近い断面が選択可能であることも好ましい。
【0011】
また、上記態様において、前記コンピュータに、前記被測量装置の前記現在位置を含み前記中心線と直交する任意断面を、前記現在位置を挟む前記設計情報に含まれる2つの断面を補完することにより生成させ、前記指定された断面として、前記任意断面を選択可能とさせることも好ましい。
【0012】
また、上記態様において、前記指定された断面として、前記設計情報に含まれる断面から作業者によって指定された断面と、前記設計情報に含まれる断面のうち前記被測量装置の前記現在位置から最も近い断面と、前記任意断面と、から選択可能とさせることも好ましい。
【0013】
また、上記態様において、前記コンピュータに、前記被測量装置の位置と、前記指定された断面における最も近い2の構成点を線形で結ぶ面との前記水平距離及び前記鉛直距離を算出し、表示させることも好ましい。
【0014】
また、本発明の別の態様に係る測量支援装置は、表示部と;端末制御部と;を備え、前記端末制御部は、路線の中心線上に設定された中心点の中心点データと、前記中心点を含み、前記中心線と直交する断面上に設定された構成点の構成点データを含む設計情報を読み込む、設計情報読込部と、被測量装置の現在位置を示す位置情報を所定の周期で取得する位置情報取得部と、前記位置情報と前記設計情報に基づいて、前記現在位置と、指定された断面における参照点との水平距離および鉛直距離を算出する距離算出部と、前記水平距離および前記鉛直距離を測量情報として前記表示部の観測画面上に表示し、表示を、前記所定の周期毎に更新する測量情報表示部と、前記位置情報と前記設計情報とを前記観測画面上に表示するビュー表示部と、を備え、前記参照点は、前記中心点または前記構成点から選択される点であり、前記参照点は、前記観測画面に表示される参照点切替ボタンを押すことにより前記路線と直交する方向の位置が切り替えられ、前記参照点の切り替えは、指定された断面を路線方向に移動した場合であっても、前記路線と直交する方向の位置が保存されている。
【0015】
また、本発明のさらに別の態様に係る測量支援システムは、前記被測量装置の前記現在位置を取得する位置取得装置と、上記態様に係る測量支援装置とを備え、前記位置取得装置と、前記測量支援装置とは通信可能に構成されている。
【0016】
また、本発明のさらに別の態様に係る測量支援方法は、コンピュータが、路線の中心線上に設定された中心点の中心点データと、前記中心点を含み、前記中心線と直交する断面上に設定された構成点の構成点データを含む設計情報を読み込み、被測量装置の現在位置を示す位置情報を所定の周期で取得し、前記位置情報と前記設計情報に基づいて、前記現在位置と、指定された断面における参照点との水平距離および鉛直距離を算出し、前記水平距離および前記鉛直距離を測量情報として前記コンピュータの表示部の観測画面上に表示し、表示を、前記所定の周期毎に更新し、前記位置情報と前記設計情報とを前記観測画面上に表示する、測量支援方法であって、前記参照点は、前記中心点または前記構成点から選択される点であり、前記参照点は、前記観測画面に表示される参照点切替ボタンを押すことにより前記路線と直交する方向の位置が切り替えられ、前記参照点の切り替えは、指定された断面を路線方向に移動した場合であっても、前記路線と直交する方向の位置が保存されている。
【発明の効果】
【0017】
上記態様に係る、測量支援プログラム、測量支援装置、測量支援方法、および測量支援システムによれば、1つのメニューで中心杭離れ観測と出来形観測の両方を実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態に係る測量支援システムの外観概略図である。
【
図2】同測量支援システムの構成ブロック図である。
【
図3】同測量支援システムに用いられる設計情報を説明する図である。
【
図4】同形態の測量支援装置の
端末画面部に表示される観測画面の一例を示す図である。
【
図5】各断面指定方法における距離算出の方法を説明する図である。
【
図6】同測量支援装置の処理の1つの例を示すフローチャートである。
【
図7】同形態の測量支援装置の
端末画面部に表示される操作画面の一例を示す図である。
【
図8】同形態に測量支援装置の
端末画面部に表示される観測画面の一例を示す図であり、横断面図を拡大して表示したものである。
【
図9】同測量支援装置の処理の別の例を示すフローチャートである。
【
図10】同形態の1の変形例に係る測量支援システムの構成ブロック図である。
【
図11】同変形例に係る測量支援システムにおける距離算出の方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、各実施の形態において、同一の機能および構成を有する部材は同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0020】
(実施の形態)
(システムの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る測量支援システム(以下、単に「システム」という。)100の全体概略図であり、
図2は、システム100の構成ブロック図である。システム100は、位置取得装置30と、測量支援装置50とを備える。
【0021】
(設計情報)
システム100の構成の説明に先立ち、本システムで用いられる設計情報について説明する。
図3は、本システム100で用いられる設計情報を説明する図である。設計情報は、例えば、絶対座標系で作成された、路線等の工事において必要な路線の設計図を含む情報である。設計情報には、路線の中心線CLを示す中心線データが含まれる。また、中心線CL上に所定の間隔(例えば20m間隔)で設定される中心点CP
0,CP
1、CP
2、・・・を示す中心点データが含まれる。中心点は現場において中心杭を設置する点である。
【0022】
設計情報には、各中心点CP0,CP1,CP2・・・を含み、中心線に直交するそれぞれの横断面(以下、単に「断面」ともいう。)No.0,No.1,No.2・・・を示す横断面データを含む。横断面上には、例えば断面No.0上に、構成点P01~P04というように、構成点が設定されている。構成点は、例えば、道路の幅を規定する点のように現場で目印となる杭を設置する点である。路線方向に沿って、各断面における中心点からの距離が等しくなる位置に、たとえばP01,P11,P21・・・のように設定される。
【0023】
(位置取得装置30の構成)
位置取得装置30は、測量装置10と被測量装置40とで構成されている。
【0024】
測量装置10は、トータルステーション(電子式測距測角儀)である。測量装置10は、三脚2を介して、既知点に設置される。あるいは、測量装置10を設置した後、例えば後方交会法等により座標既知としてもよい。また、測量装置10の座標データは、測量支援装置50に入力され、端末記憶部53に格納される。
【0025】
測量装置10は、外観上、整準部3の上に設けられた基盤部5と、基盤部5の上で軸H-H周りに水平回転する托架部7と、托架部7に軸V-V周りに鉛直回転する望遠鏡9と、を有する。托架部7には、後述する制御演算部23が収容されている。
【0026】
測量装置10は、自動視準機能および自動追尾機能を備え、望遠鏡9に、図示しない測距光学系および追尾光学系が収容されている。測距光学系および追尾光学系の構成は、従来公知である。測量装置10では、托架部7の水平回転と、望遠鏡9の鉛直回転の協働により測距光および追尾光が全周にわたって照射される。
【0027】
図2に示すように、測量装置10は、測距部11、追尾部12、水平回転駆動部13、鉛直回転駆動部14、水平角検出器15、鉛直角検出器16、通信部17、チルトセンサ18、記憶部19、操作部21、表示部22、および制御演算部23を備える。
【0028】
測距部11は、上記測距光学系を用いて測距光を出射し、被測量装置40が備えるターゲット41からの反射光を受光して、自動視準およびターゲット41を測距する。
【0029】
追尾部12は、上記追尾光学系を用いて追尾光を出射し、ターゲット41からの反射光からターゲット41の位置を捕捉して、ターゲット41が移動した場合にターゲット41を自動追尾する。
【0030】
水平回転駆動部13は、基盤部5に設けられたモータである。水平回転駆動部13は、基盤部5に対して托架部7を軸H-H周りに回転する。鉛直回転駆動部14は、托架部7に設けられたモータである、鉛直回転駆動部14は、望遠鏡9を軸V-V周りに回転する。
【0031】
水平角検出器15、鉛直角検出器16は、ロータリエンコーダである。水平角検出器15は、托架部7の軸H-H周りの角度を検出し、鉛直角検出器16は、望遠鏡9の軸V-V周りの角度を検出する。この結果、水平角検出器15と鉛直角検出器16が、ターゲット41を測角する測角部を構成する。
【0032】
通信部17は、測量装置10と測量支援装置50とを有線または無線で接続する通信制御装置である。通信部17を実現する通信規格として、無線LAN規格の一つであるWi-Fi(登録商標)や4G(第4世代移動通信システム)を採用してもよい。あるいはBluetooth(登録商標)、赤外線通信等の近距離無線通信規格を採用してもよい。
【0033】
チルトセンサ18は、気泡管式、静電容量式等の傾斜センサであり、基盤部5の回転軸(図示せず)の上面に固定されている。水平回転駆動部13の回転軸が1回ずつ正反回転したときのチルトセンサ18の値が読み取られ、正反回転でのずれ量に基づき、整準部3の水平が調整される。
【0034】
記憶部19は、情報を制御演算部23が処理可能な形式で記憶、保存及び伝達する記憶媒体であり、例えば、HDD(Hard・Disc・Drive)、フラッシュメモリ等が採用される。記憶部19には、測定した測量データと、制御演算部での各種処理のためのプログラムが格納される。
【0035】
操作部21は、托架部7の外面に設けられた複数のボタンである。操作部21を介して、測量装置10の動作に関する各種情報が入力可能である。
【0036】
表示部22は、托架部7の外面に設けられた液晶ディスプレイであり、測量に関する各種情報を表示する。
【0037】
制御演算部23は、CPU(Central・Processing・Unit)、ROM(Read・Only・Memory),RAM(Randam・Access・Memory)等を集積回路に実装したマイクロコンピュータである。制御演算部23は、測量装置10の各部と接続されている。
【0038】
制御演算部23は、測量装置10の各種機能を実行するためのプログラムを、記憶部19またはRAMから読み出して、測量装置10の各部を制御して、自動追尾、測距・測角等各種機能を実行する。また、測距・測角により得られたデータに演算処理を行ってターゲット41の位置情報(位置座標)を取得する。
【0039】
また、制御演算部23は、通信部17を介して、測量支援装置50と通信し、測量支援装置50の命令に従って処理を実行し、測量支援装置50に被測量装置の位置情報を送信する。
【0040】
被測量装置40は、ターゲット41と、ターゲット41を支持するポール状の支持部材42とを備える。
【0041】
ターゲット41は、複数の三角錐状のプリズムを放射状に組み合わせて構成された、いわゆる全方位プリズムであるが、これに限定されない。ターゲット41は、入射光を入射方向と反対の方向に再帰反射する。
【0042】
支持部材42は、その先端からターゲット41の中心O1までの長さH1が既知である。支持部材42は、図示しない水準器を備え、鉛直に設置できるようになっている。支持部材42を介して観測点Pに鉛直に設置したターゲット41を、既知点に設置した測量装置10で測距・測角して得た測距・測角データから求められる中心O1の3次元座標から支持部材42の長さH1を差し引いて、被測量装置40の位置情報として、観測点Pの3次元座標を求めることができる。
【0043】
位置取得装置30の他の実施例としては、GNSS測量装置を用いることができる。この場合、被測量装置40として、測量支援装置50と通信可能なGNSS受信装置を用いて、被測量装置40の現在位置の測量を行う。
【0044】
(測量支援装置の構成)
測量支援装置50は、位置取得装置30と通信可能な可搬型情報処理装置である。測量支援装置50は、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット、PDA、データコレクタ等の、携帯コンピュータ端末により実現される。
【0045】
測量支援装置50は、端末画面部51、端末操作部52、端末記憶部53、端末通信部54および端末制御部55を備える。
【0046】
端末画面部51は、例えば、端末操作部52と一体に構成されたタッチパネル式の液晶ディスプレイである。端末画面部51は、観測画面60、断面指定方法選択画面80等、作業内容に応じた画像を表示するようになっている。
【0047】
端末記憶部53は、各種のプログラムおよび各種データを読み書き自在に記憶媒体に格納する。端末記憶部53は、例えばHDDである。また、端末記憶部53は、例えば、CD(Compact・Disc)ドライブ等の光ディスクドライブであってもよい。端末記憶部53には、通信プログラム、端末画面部51に作業内容等、通信内容等を表示するための画像表示プログラム、中心杭離れ観測、出来形観測を実行するための各種プログラム等が記憶されている。
【0048】
また、端末記憶部53には、測量装置10の座標、ターゲット41の高さH1の初期設定情報、および設計情報が格納されている。また、測量装置10から受信したターゲット41の測量データ、中心杭離れ観測および出来形観測の結果を記憶する。
【0049】
端末通信部54は、測量装置10の通信部17を介して、測量装置10と通信可能とする通信制御装置であり、通信部17と同じ通信規格を有する。
【0050】
端末制御部55は、少なくともCPUおよびメモリ(ROM,RAM)等を備える制御ユニットである。端末制御部55は、端末通信部54、端末操作部52等からの入力信号に基づいて、測量支援装置50および測量装置10を制御する。端末制御部55は、RAMや、端末記憶部53に記憶された、プログラムを呼び出して実行する。
【0051】
端末制御部55は、機能部として、設計情報読込部551と、位置情報取得部552と、ビュー表示部553と、断面指定方法選択部(以下、「指定方法選択部」という。)554、参照点選択部555と、距離算出部556と、測量情報表示部557とを備える。
【0052】
設計情報読込部551は、端末記憶部53に格納された設計情報を読み込む。あるいは、外部の記憶装置に格納された設計情報を、端末通信部54を介して受信して読み込んでもよい。
【0053】
位置情報取得部552は、測量装置10が所定の周期で測定するターゲット41の測量データを、所定の周期で端末通信部54を介して受信する。位置情報取得部552は、端末記憶部53に記憶された測量装置10の座標および支持部材42の長さH1から、被測量装置40(観測点)の絶対座標系での位置情報を取得する。
【0054】
ビュー表示部553は、設計情報から路線の中心線CLを真上から見下ろした状態の平面
図61と、任意の横断面における構成点を結ぶ横断面
図62を生成し、端末画面部51の観測画面60上に表示する(
図4)。また、観測実行中、位置情報取得部552の取得する被測量装置40の位置情報に基づいて、被測量装置40の位置を平面図上に表示し、位置情報取得の間隔毎に表示を更新する(
図4)。
【0055】
指定方法選択部554は、端末画面部51に、断面指定方法選択画面80を表示して、作業者の入力により、断面指定方法を、例えば、作業者があらかじめ指定する断面(以下、「指定断面」という。)、被測量装置40の現在位置から最も近い断面(以下、「最寄断面」という。)、被測量装置の現在位置として観測される任意の点を含み、中心線CLを含む断面として生成される補間断面(以下、「任意断面」という。)から選択する。
【0056】
参照点選択部555は、設計情報における参照点を、作業者の選択により、参照点を選択する。ここで、参照点は、水平距離および鉛直距離を測定する対象とする点である。例えば、端末画面部51の観測画面60に表示された参照点切換ボタン63a,63bを作業者がタップすることにより切り替えられる。参照点の切り替えは、路線方向に断面を移動した場合であっても、路線と直交する方向の位置が保存される。具体的には、例えば、中心線CLの右隣りの構成点P0
3
(図3)を参照点として選択していた場合に、断面No.1が指定された場合は、断面No.1における中心線CLの右隣りの構成点
P1
3
が選択されるようになっている。
【0057】
距離算出部556は、被測量装置40の現在位置の位置情報と、選択された参照点の設計上の位置情報に基づいて、指定方法選択部554によって選択された断面指定方法で指定された断面における、選択された参照点からの水平距離および鉛直距離を算出する。
【0058】
図5(A)~(C)は、各断面指定方法における、距離算出の方法を説明する図である。図中黒丸が参照点として指定された点である。すなわち、例えば、断面指定方法として指定断面が選択され、指定断面として断面No.0が指定され、参照点として中心点CP
0が選択されている場合、
図5(A)に示すように、断面No.0における中心点CP
0と、被測量装置40との水平距離d
1および鉛直距離d
2を算出する。
【0059】
断面指定方法として、最寄断面が選択される場合には、距離算出部556は、被測量装置40と、被測量装置40を路線方向に挟む2つの断面との距離を比較して、より近い断面を最寄断面として指定する。そして、被測量装置40の位置情報と、最寄断面における参照点の位置情報に基づいて、参照点と被測量装置40との水平距離及び鉛直距離を算出する。
【0060】
例えば、参照点として中心点CP
0(中心点CP
0,CP
1,CP
2,・・・)が選択されており、例えば、
図5(B)に示すように、被測量装置40が断面No.0と断面No.1の間にある場合、距離算出部556は、まず、被測量装置40と断面No.0および断面No.1のそれぞれとの距離d
3,d
4を算出し、距離d
3,d
4を比較する。ここで、d
3<d
4であるので、より近い断面No.1を、最寄断面として指定する。そして、断面No.1における中心点CP
1と、被測量装置40との水平距離d
5および鉛直距離d
6を算出する。
【0061】
断面指定方法として任意断面が選択され、参照点として中心点CP
0(中心点CP
0,CP
1,CP
2,・・・)が選択されている場合、距離算出部556は、
図5(C)に示すように、被測量装置40の現在位置(観測点)を含み中心線と直交する断面No.Xを補間断面として生成する。
【0062】
補間断面No.Xの生成は、被測量装置40の現在位置を挟む直近の断面No.0およびNo.1と、被測量装置の現在位置との距離の比に基づいて、補間することにより行う。そして、断面No.Xにおける中心点CPXを算出し、中心点CPxを参照点として被測量装置40との水平距離d7および鉛直距離d8を算出する。なお、上記説明は、水平距離として、横断方向の水平距離を算出しているが、路線方向の水平距離を同時に算出してもよい。
【0063】
測量情報表示部557は、指定された断面の番号、選択された参照点、算出された水平距離および鉛直距離等を測量情報として端末画面部51の観測画面60上に表示する。また、測量情報表示部557は、前後の水平距離などの測量情報を観測画面60に表示してもよい。
【0064】
各機能部の機能は、回路によって実現されてもよく、またプログラムを実行することにより実現されてもよい。また、プログラムで実現する場合、プログラムは、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶することができる。
【0065】
(観測画面)
図4は、端末画面部51に観測実行中に表示される観測画面60の1例を示す。観測画面60には、ビュー表示部553が生成した平面
図61および横断面
図62が並べて表示される。横断面
図62の中心には、中心線CLが表示されている。
【0066】
また、平面
図61には、被測量装置40の位置を示すマーキングM1と、選択された参照点を示すマーキングM3が表示されている。横断面
図62には、被測量装置40の位置を示すマーキングM2と、選択された参照点を示すマーキングM4が表示されている。また、観測画面60には、参照点を選択するための参照点切換ボタン63(63a,63b)が表示されている。参照点切換ボタン63は、タップすることにより、選択中の参照点を右方向(63b)又は左方向(63a)に1つ移動させるためのボタンである。
【0067】
また観測画面60には、測量情報表示部557により算出される、測量情報の測量情報表示64a~64fが表示されている。測量情報表示64a~64fは、例えば、断面番号、指定された参照点、指定された断面から被測量装置40の路線の前後方向の水平距離、選択された参照点から被測量装置40の路線の前後方向と直交する左右方向の水平距離、指定された参照点から被測量装置40の鉛直距離,目標高、すなわち支持部材42の先端からターゲット41の中心O1までの長さH1を示す。
【0068】
また、観測画面60において、平面
図61の東西南北を示す方位表示65、縮尺を示す縮尺表示66が表示されるようになっていてもよい。また、観測画面60上に、各測量作業を補助するための機能アイコン67a,67b,67c・・・・を表示してもよい。
【0069】
また、観測画面60には、測量装置10に追尾および観測の開始、停止を命令するための、追尾開始ボタン68と、測量情報の表示の更新を停止して、値を固定するための観測および確認ボタン69,71が表示されている。
【0070】
その他、横断面
図62は、端末操作部52の指示に応じて端末画面部51に同時に表示された平面
図61と相対位置を変更可能であり、具体的には、タッチパネル操作により、枠の中で自由に位置を変えることができる。また、横断面
図62の表示/非表示を切り替えることもできる。
【0071】
(測量支援方法1)
図6は、本実施の形態の測量支援装置50を用いた中心杭離れ観測と出来形観測の実行を支援する測量支援方法の一つの例の処理を示すフローチャートである。また、
図7(A)は、本測量支援方法を開始するための、メニュー画面90である。
図7に示すように、本方法は、Road Survey(路線測量)という1つのメニューとして表示されている。
【0072】
測量装置10は、既知点に設置され、ターゲット41を自動追尾できる状態とされている。
【0073】
図7(A)の路線測量メニュー91をタップして、処理を開始すると、ステップS01で、設計情報読込部511は端末記憶部53に格納されている設計情報を読み込む。
【0074】
次に、ステップS02で、指定方法選択部554は、断面指定方法選択画面80を端末画面部51に表示する。そして、ステップS03で、作業者が、画面上から選択することにより、指定方法を、指定断面、最寄断面、および任意断面から選択する。
【0075】
図7(B)~7(D)は、断面指定方法選択画面80の例である。任意断面を選択する場合には、
図7(B)のように「Use interpolated X-section」(補間断面を使用)を選択し、進む矢印81をタップすることで、任意断面を選択して、観測画面60に移行するようになっている。
【0076】
また、最寄断面を選択する場合には、
図7(C)のように、上記選択を解除し、「Automatic X-section Station」(最寄断面を使用)を選択し、進む矢印81をタップすることで、最寄断面を選択して観測画面60に移行するようになっている。
【0077】
また、指定断面を選択する場合には、
図7(D)のように、上記選択を解除することで、指定断面が選択できるようになっている。また、指定断面を選択後、進む矢印81をタップすることで指定断面を指定して観測画面60に移行するようになっている。
【0078】
ステップS03で指定断面が選択された場合、ステップS04では、上記の通り作業者が指定断面を例えば断面No.1に指定する。
【0079】
次に、ステップS05で、参照点選択部555が作業者の選択により参照点を選択する。具体的には、
図8(A)に示す、観測画面60に表示された、参照点切換ボタン63bをタップすることにより、中心点CP
1に設定され、マーキングM3,M4で示される参照点を、
図8(B)に示すように、参照点が、右方向にずれた構成点P1
3に切り替えられる。これにより、水平距離および鉛直距離を算出対象とする参照点を、構成点と中心点と変更可能となっている。
【0080】
次に、ステップS06で、観測開始ボタンがタップされることにより観測を開始すると、測量装置10は、所定の周期で、ターゲット41の測量データを測量支援装置50に送信する。なお、
図6のフローチャートには含めないが、ビュー表示部553が設計情報から生成した平面
図61、横断面
図62を、端末画面部51の観測画面60上に表示する。位置情報取得部552が被測量装置40の現在位置を取得する毎に、ビュー表示部553は、マーキングM1,M2の表示を更新する。
【0081】
次に、ステップS07で、位置情報取得部552は、所定の周期で、ターゲット41の測量データを取得して、被測量装置40の位置情報を取得する。
【0082】
次にステップS08で、距離算出部556は、指定された断面における、参照点と被測量装置40間の水平距離および鉛直距離を算出する。
【0083】
次にステップS09で、測量情報表示部557は、測量情報として、水平距離および鉛直距離を観測画面60上に表示する。
【0084】
そして、ステップS10で、作業者の指示により、観測終了が判定されるまで、ステップS07~S10を繰り返す。観測終了が判定された場合処理を終了する。
【0085】
一方、ステップS03で最寄断面が選択された場合には、ステップS14で、参照点選択部555が、ステップS05と同様に参照点を選択する。
【0086】
次に、ステップS15で、観測を開始すると、ステップS06と同様に、測量装置10は、所定の周期でターゲット41の測量データを測量支援装置50に送信する。
【0087】
次に、ステップS16で、位置情報取得部552は、所定の周期でターゲット41の測量データを取得して、被測量装置40の現在位置の位置情報を取得する。
【0088】
次に、ステップS17で、距離算出部556は、被測量装置40の現在位置からの最寄断面を指定する。
【0089】
次に、ステップS18で、距離算出部556は、被測量装置40と、指定された最寄断面における参照点との間の水平距離および鉛直距離を算出する。
【0090】
次に、ステップS19で、ステップS09と同様に、測量情報表示部557は、測量情報として、水平距離および鉛直距離を観測画面60上に表示する。
【0091】
そして、ステップS20で、作業者の指示により、観測終了が判定されるまで、ステップS16~S20を繰り返す。観測終了が判定された場合処理を終了する。
【0092】
一方、ステップS03で任意断面が選択された場合には、ステップS24で、参照点選択部555が、ステップS05と同様に参照点を選択する。
【0093】
次に、ステップS25で、観測を開始するとステップS06と同様に、測量装置10が、所定の周期でターゲット41の測量データを測量支援装置50に送信する。
【0094】
次に、ステップS26で、位置情報取得部552は、所定の周期でターゲット41の測量データを取得して被測量装置40の位置情報を取得する。
【0095】
次に、ステップS27で、距離算出部556は、被測量装置40の位置での断面を補間断面として生成し、補間断面を指定断面として指定する。
【0096】
次に、ステップS28で、距離算出部556が、補間断面上の参照点と被測量装置40の位置との間の水平距離および鉛直距離を算出する。
【0097】
次に、ステップS29で、ステップS09と同様に、測量情報表示部557は、測量情報として、水平距離および鉛直距離を観測画面60上に表示する。
【0098】
そして、ステップS30で、作業者の指示により、観測終了が判定されるまで、ステップS26~S30を繰り返す。観測終了が判定された場合処理を終了する。
【0099】
このように、本実施の形態に係る測量支援システム100では、観測点(被測量装置の現在位置)からの水平距離および鉛直距離を算出する基準とする参照点を、設計情報に含まれる中心点と構成点のいずれも選択可能としたので、測量支援装置50において、中心点からの水平距離及び鉛直距離を測定する中心杭離れ観測と、中心点および構成点からの水平距離および鉛直距離とを測定する出来形観測という2つの観測方法が1つのメニューで実行可能となる。
【0100】
上記構成によれば、ユーザとしては、1つのメニューの使用方法を把握すれば2つの観測方法を使用することができるので利便性が向上する。また、2つの観測方法を切換ながら実行したい場合にも、実行プログラムの切換等をしなくても、一つのプログラム中で実行することが可能となり、操作の負担が軽減する。また、メーカ側としては、2つの類似するプログラムを統一できるので、記憶部に記憶する際の容量を低減することができる。
【0101】
また、設計上設定された断面を指定断面として測定する必要がある場合であっても、現場においては障害物などのために測量が困難な場合がある。本実施の形態では、指定断面として、最寄断面を利用できるようにしたので、上記のように設計上設定された断面での測量が困難場合に、最寄の断面における水平距離と鉛直距離を測定することで、近似した値として水平距離と鉛直距離を測定することが可能となる。
【0102】
また、設計上での中心点は、例えば20m間隔など、所定の間隔で設定されている。しかし、実際の現場では、路線が急激に曲がっている点(変化点)や、幅を変更する必要があると考えらえる箇所がある。そのような場合には、設計上に設定された断面以外にも中心杭離れ観測をおこなう必要がある。本実施の形態では、指定断面として、任意の場所で、補間断面を生成し、該補間断面上の中心点(または構成点)を参照して水平距離および鉛直距離を取得可能としたので、設計上の断面がない箇所でも必要に応じた観測を行うことが可能となる。
【0103】
また、本実施の形態においては、算出した水平距離および鉛直距離の値は、所定周期で被測量装置の現在位置を取得する毎に表示を更新するが、作業者の所望により、確認ボタンをタップするという簡単な動作で、算出値の表示更新を一時的に停止することを可能とした。上記構成によれば、値が動いて測定に時間がかかるといった場合に、適度な精度で、効率よく測量するのを可能とする。
【0104】
(測量支援方法2)
図9は、本実施の形態の測量支援装置50を用いた中心杭離れ観測と出来形観測の実行を支援する測量支援方法の別の例の処理を示すフローチャートである。
【0105】
本方法では、
図6のフローチャートのステップS09とS10,S19とS20,S29とS30の間に、
図9のフローチャートに記載の処理を実行しうるものとした。指定断
面を選択した例について、説明する。
【0106】
ステップS09の終了後、ステップS41で、観測画面60の観測および確認ボタン69がタップされると、ステップS42で、測量情報表示部557は、現在の表示のまま固定される。
【0107】
次にステップS43で、参照点切換ボタン63aまたは63bがタップされることにより、参照点が切換られると、ステップS44で、距離算出部556は、新たな参照点と、前回のステップS07で取得した、被測量装置40の位置情報から水平距離および鉛直距離を算出する。次いで、ステップS45で測量情報表示部557が表示を更新する。
【0108】
次に、ステップS46では、再度観測の確認を続行するか否かを判断し、観測および確認ボタン69が再度押される等により観測確認が完了した場合には、ステップS010に移行する。
このように、観測および確認ボタン69により、現在の位置を固定したまま参照点を切り替えて、別の参照点に関しても距離を算出することができる。上記構成によれば、同じ点について、2つ以上の構成点との水平距離および鉛直距離を算出し確認できる。
【0109】
(変形例)
本実施の形態の変形例として、途中機能と称し、水平距離および鉛直距離を測定する際に基準とする参照点に加えて、設計情報上の斜面からも水平距離および鉛直距離を測定可能とした例について説明する。
【0110】
図10は、変形例に係る測量支援システム100aの構成ブロック図である。システム100aでは、測量支援装置50aの端末制御部55aは距離算出部556に代えて距離算出部556aを備える。
【0111】
距離算出部556aは、距離算出部556の機能に加えて、以下の機能を有する。すなわち、途中機能を選択した場合に、参照点と、被測量装置40の位置との間の水平距離および鉛直距離を算出するのではなく、被測量装置40の現在位置か参照点を含む設計上の平面(斜面または水平面)に対する水平距離および鉛直距離を算出する。
【0112】
図11(A)~(F)は、横断面図(部分)において、被測量装置40が様々な位置にいるときの、水平距離および鉛直距離の算出の対象とする平面(斜面または水平面)を示す。図中、実線は設計情報における横断図であり、〇は構成点を示す、被測量装置40を含む破線は、本機能により求められる水平距離d
9および鉛直距離d
10を示す。
【0113】
なお、途中機能は、観測画面60に表示される機能アイコン67a,67b,67c,・・・(
図4)の一つに割り当てられて実行可能となっていてもよい。
【0114】
上記の構成によれば、参照点だけではなく、現在位置の斜面からの水平距離および鉛直距離を求めることができる。このようにすると、特に、測定したい構成点上に障害物などがあることにより測定ができない場合に、構成点に近い点として斜面に対する較差を計算しなければならないという状況にも対応することが可能となる。
【0115】
上記のように構成すれば、構成点または中心点からの水平距離および鉛直距離に加えて、被測量装置40の位置における平面からの水平距離および鉛直距離を測定することができる。
【符号の説明】
【0116】
10 :測量装置
30 :位置取得装置
40 :被測量装置
50 :測量支援装置
55 :端末制御部
64a :測量情報表示
64b :測量情報表示
64c :測量情報表示
64d :測量情報表示
64e :測量情報表示
100 :システム
511 :設計情報読込部
551 :設計情報読込部
552 :位置情報取得部
556 :距離算出部
557 :測量情報表示部