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特許7521967反復型電源起動を使用したスレーブ・デバイスのアドレス指定
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】反復型電源起動を使用したスレーブ・デバイスのアドレス指定
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
H04L12/28 400
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020136798
(22)【出願日】2020-08-13
(65)【公開番号】P2021044798
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2023-02-21
(31)【優先権主張番号】19306012.6
(32)【優先日】2019-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】594083128
【氏名又は名称】シュネーデル、エレクトリック、インダストリーズ、エスアーエス
【氏名又は名称原語表記】SCHNEIDER ELECTRIC INDUSTRIES SAS
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(74)【代理人】
【識別番号】100096921
【弁理士】
【氏名又は名称】吉元 弘
(72)【発明者】
【氏名】フェリペ、カスティーリョ、ブエナベントゥラ
(72)【発明者】
【氏名】パブロ、ガルシア、ビアーノ
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー、モリーナ
(72)【発明者】
【氏名】ロイク、カセラス
(72)【発明者】
【氏名】バンジャマン、プレシ
【審査官】宮島 郁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-152741(JP,A)
【文献】特開2014-204256(JP,A)
【文献】米国特許第05814771(US,A)
【文献】特開平08-018597(JP,A)
【文献】特開2006-165957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L12/00-12/66,13/00,41/00-49/9057,61/00-65/80,69/00-69/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタ・デバイス(200)および複数のスレーブ・デバイス(201.1~201.k)を備えるネットワーク・システム内でスレーブ・デバイスをアドレス指定する方法であって、前記スレーブ・デバイスが、アドレス指定されていない状態で共通のデフォルト・アドレスを有し、前記マスタ・デバイスおよび前記複数のスレーブ・デバイスが、チェーン内で電力線(203)および通信線(202)を介して接続され、
各スレーブ・デバイスが、1以上のインデックスによってインデックスされ、前記インデックス1のスレーブ・デバイスが、前記マスタ・デバイスに接続され、
kを2以上として、前記インデックスkのスレーブ・デバイスをアドレス指定するために、前記方法は、
- 前記通信線を介して、前記インデックスk-1のスレーブ・デバイスに、前記電力線を介して前記インデックスkのスレーブ・デバイスの電源を起動するように命令する動作(302)と、
- 前記電力線(203)上の消費電流の値を測定する動作(306)と、
- 前記測定された値と以前の値との差を決定する動作(307)と、
前記測定された値と前記以前の値との差が所定の範囲内にある場合、前記通信線上の前記共通のデフォルト・アドレスへ、前記インデックスkのスレーブ・デバイスの前記共通のデフォルト・アドレスをインデックスkの固有アドレスに変化させるためのコマンドを送信する動作(309)とを備え、前記動作が、前記マスタ・デバイスによって実行される、方法。
【請求項2】
前記インデックスkのスレーブ・デバイス(201.k)の起動後、前記電力線(203)上の電流消費の値を測定することと、前記測定された値と前記以前の値との比較に基づいて、前記インデックスkのスレーブ・デバイスが正確に起動されたか否かを判定することとを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記インデックスkのスレーブ・デバイス(201.k)の前記共通のデフォルト・アドレスを変化させるための前記コマンドが、前記測定された値と前記以前の値との差が実質上ゼロとは異なる場合に送信される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記インデックスkのスレーブ・デバイス(201.k)の前記共通のデフォルト・アドレスを変化させるための前記コマンドが、前記測定された値と前記以前の値との前記差が所定の範囲内である場合に送信され、そうでない場合、前記マスタ・デバイス(200)がエラー・メッセージを発行する、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記インデックス1のスレーブ・デバイス(201.1)に対して、
- 前記電力線上の前記電流消費を測定し、前記電流消費を以前の値として記憶する動作(301)と、
- 前記電力線を介して前記インデックス1のスレーブ・デバイスを起動する動作(302)と、
- 前記インデックス1のスレーブ・デバイスが起動された後、前記電力線上の前記電流消費を測定する動作(306)とを備える、請求項から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記インデックスkのスレーブ・デバイス(201.k)の前記共通のデフォルト・アドレスを変化させるための前記コマンドが、前記通信線(202)上で前記命令が送信された後、前記インデックスk-1のスレーブ・デバイス(201.k-1)から肯定応答が受信された場合に送信される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記インデックスkの固有アドレスへ存在照会を送信すること(311)と、前記インデックスkのスレーブ・デバイスからの前記存在照会に対する肯定応答の受信(312)後、前記インデックスk+1のスレーブ・デバイスに対して前記方法の前記動作を繰り返すこととをさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記インデックスkの固有アドレスが、インデックスkに基づいて決定されたコードである、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
コンピュータ・プログラムが記憶された非一過性コンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ・プログラムが、プロセッサによって実行されたとき、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法のステップを実施するための命令を備える、非一過性コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項10】
マスタ・デバイスおよび複数のスレーブ・デバイス(201.1~201.k)を備えるネットワーク・システム内でスレーブ・デバイスをアドレス指定するマスタ・デバイス(200)であって、前記スレーブ・デバイスが、アドレス指定されていない状態で共通のデフォルト・アドレスを有し、前記マスタ・デバイスが、
前記スレーブ・デバイスに電力供給するために電力線にアクセスするための第1のインターフェース(403)と、
通信線を介して前記スレーブ・デバイスと通信するための第2のインターフェース(402)とを備え、
各スレーブ・デバイスが、1以上のインデックスによってインデックスされ、前記マスタ・デバイスが、前記インデックス1のスレーブ・デバイスに接続され、
前記マスタ・デバイスが、kを2以上として、前記インデックスkのスレーブ・デバイスをアドレス指定するために、
- 前記通信線を介して前記インデックスk-1のスレーブ・デバイスに、前記電力線を介して前記インデックスkのスレーブ・デバイスの電源を起動するように命令する動作(302)と、
- 前記電力線上の消費電流の値を測定する動作(306)と、
- 前記測定された値と以前の値との差を決定する動作(307)と、
前記測定された値と前記以前の値との差が所定の範囲内にある場合、前記通信線上の前記共通のデフォルト・アドレスへ、前記インデックスkのスレーブ・デバイスの前記共通のデフォルト・アドレスをインデックスkの固有アドレスに変化させるためのコマンドを送信する動作(309)とを実施するプロセッサを備える、マスタ・デバイス(200)。
【請求項11】
請求項10に記載のマスタ・デバイスと、チェーン内で前記マスタ・デバイス(200)に接続された複数のスレーブ・デバイス(201.1~201.k)とを備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスタ・デバイスによって制御されるシリアル・バス・スレーブ・デバイスを備えるネットワーク・システムに関する。詳細には、本発明は、たとえばネットワーク・システムの始動中などの構成段階中のスレーブ・デバイスへのアドレスの割当てに関する。
【背景技術】
【0002】
有線通信ネットワークにおいて、実際は、ネットワーク内に存在する/追加されたスレーブ・デバイス(またはノード)にアドレスを割り当てる必要がある。
【0003】
これは、手動で実行されてもよいが、この解決策は時間がかかり、入力エラーが生じやすく、スレーブ・デバイスを手動でアドレス指定する操作者による専門的技術を必要とする。
【0004】
これを克服するために、米国特許出願第2010/0274945号、EP3139574A1、およびWO03/085899に記載されているものなどのいくつかの従来技術方法は、自己アドレス指定機構を使用して、スレーブ・デバイスにアドレスを割り当てる。
【0005】
図1を参照すると、従来技術によるネットワーク・システムのスレーブ・デバイス101.1、101.2、および101.3が示されている。
【0006】
スレーブ・デバイス101は、2つの通信線102および103を備える通信バスを介して接続される。各スレーブ・デバイス101はまた、通信線102および103のそれぞれから次のスレーブ・デバイスを切断するために、それぞれのスイッチ104および105を備える。
【0007】
これらの解決策によれば、通信バス自体の上でバス・スイッチング機構が実施される。
【0008】
従来技術の解決策は、次の欠点を有する。
【0009】
- 従来技術の解決策は通信線102および103間のスイッチングに依拠しており、このようなスイッチングは、信号線上のスイッチ104/105が本質的に加える信号完全性の問題のため、技術的に複雑である。これは、技術的実装が高価であることを示唆している。
【0010】
- 通信線102および103間のスイッチングは、スレーブ・デバイスのチェーン内で障害のあるスレーブ・デバイスを検出することを困難にする。
【0011】
提案される解決策は、上記の欠点の少なくともいくつかを克服する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】米国特許出願第2010/0274945号
【文献】EP3139574A1
【文献】WO03/085899
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、上述された欠点の少なくともいくつかを軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の態様は、マスタ・デバイスおよび複数のスレーブ・デバイスを備えるネットワーク・システム内でスレーブ・デバイスをアドレス指定する方法に関する。スレーブ・デバイスは、アドレス指定されていない状態で共通のデフォルト・アドレスを有し、マスタ・デバイスおよび複数のスレーブ・デバイスは、チェーン内で電力線および通信線を介して接続される。
【0015】
各スレーブ・デバイスは、1以上のインデックスによってインデックスされ、インデックス1のスレーブ・デバイスは、マスタ・デバイスに接続され、kを2以上として、インデックスkのスレーブ・デバイスをアドレス指定するために、この方法は、
- 通信線を介してインデックスk-1のスレーブ・デバイスに、電力線を介してインデックスkのスレーブ・デバイスの電源を起動するように命令する動作と、
- 通信線上の共通のデフォルト・アドレスへ、インデックスkのスレーブ・デバイスの共通のデフォルト・アドレスをインデックスkの固有アドレスに変化させるためのコマンドを送信する動作を備え、これらの動作は、マスタ・デバイスによって実行される。
【0016】
そのような反復型プロセスは、1つのアドレス指定されていないスレーブ・デバイスを一度にアドレス指定することを可能にし、それは、スレーブ・デバイスを効率的に検出および起動することを可能にする。実際には、各反復において、1つのアドレス指定されていないスレーブ・デバイスのみがネットワーク内に存在する。これはまた、障害のあるスレーブ・デバイスを検出することを容易にする。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、インデックスkのスレーブ・デバイスの起動後、この方法は、電力線上の電流消費の値を測定することと、測定された値と以前の値との比較に基づいて、インデックスkのスレーブ・デバイスが正確に起動されたか否かを判定することとを備えることができる。
【0018】
したがって、各反復において電力線上に引き込まれた電流を測定することだけを必要とするため、障害の検出が効率的に低コストで実行される。
【0019】
補足として、インデックスkのスレーブ・デバイスの共通のデフォルト・アドレスを変化させるためのコマンドは、測定された値と以前の値との差が実質上ゼロとは異なる場合に送信されることができる。
【0020】
これは、新しいスレーブ・デバイスが検出された場合にのみアドレス指定ステップを実行することを確実にし、それによってこの方法の効率を改善する。
【0021】
別法または補足として、インデックスkのスレーブ・デバイスの共通のデフォルト・アドレスを変化させるためのコマンドは、測定された値と以前の値との差が所定の範囲内である場合に送信されることができ、そうでない場合、マスタ・デバイスはエラー・メッセージを発行する。
【0022】
これは、スレーブ・デバイスのチェーン内、おそらくインデックスkのスレーブ・デバイス内で、エラーを容易かつ効率的に検出することを可能にする。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、インデックス1のスレーブ・デバイスに対して、この方法は、
- 電力線上の電流消費を測定し、前記電流消費を以前の値として記憶する動作と、
- 電力線を介してインデックス1のスレーブ・デバイスを起動する動作と、
- インデックス1のスレーブ・デバイスが起動された後、電力線上の電流消費を測定する動作とを備えることができる。
【0024】
これは、電力線上の基準電流消費値を定義すること、したがって障害の検出の精度を増大させることを可能にする。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、インデックスkのスレーブ・デバイスの共通のデフォルト・アドレスを変化させるためのコマンドは、通信線上で命令が送信された後、インデックスk-1のスレーブ・デバイスから肯定応答が受信された場合に送信されることができる。
【0026】
これは、インデックスkのスレーブ・デバイスの起動が有効であることをインデックスk-1のスレーブ・デバイスが確認したときにのみコマンドを送信することを可能にし、それによってこの方法の効率を改善する。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、この方法は、インデックスkの固有アドレスへ存在照会を送信することと、インデックスkのスレーブ・デバイスからの存在照会に対する肯定応答の受信後、インデックスk+1のスレーブ・デバイスに対して方法の動作を繰り返すこととをさらに備えることができる。
【0028】
これは、インデックスkのスレーブ・デバイスが正確に登録されたときにのみ方法を反復することを可能にする。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、インデックスkの固有アドレスは、インデックスkに基づいて決定されたコードとすることができる。
【0030】
本発明の第2の態様は、コンピュータ・プログラムが記憶された非一過性コンピュータ可読記憶媒体であって、コンピュータ・プログラムは、プロセッサによって実行されたとき、本発明の第1の態様による方法のステップを実施するための命令を備える、非一過性コンピュータ可読記憶媒体に関する。
【0031】
本発明の第3の態様は、マスタ・デバイスおよび複数のスレーブ・デバイスを備えるネットワーク・システム内でスレーブ・デバイスをアドレス指定するマスタ・デバイスであって、スレーブ・デバイスは、アドレス指定されていない状態で共通のデフォルト・アドレスを有し、マスタ・デバイスは、
スレーブ・デバイスに電力供給するために電力線にアクセスするための第1のインターフェースと、
通信線を介してスレーブ・デバイスと通信するための第2のインターフェースとを備え、
各スレーブ・デバイスは、1以上のインデックスによってインデックスされ、マスタ・デバイスは、インデックス1のスレーブ・デバイスに接続され、
マスタ・デバイスは、kを2以上として、インデックスkのスレーブ・デバイスをアドレス指定するために、
- 通信線を介してインデックスk-1のスレーブ・デバイスに、電力線を介してインデックスkのスレーブ・デバイスの電源を起動するように命令する動作と、
- 通信線上の共通のデフォルト・アドレスへ、インデックスkのスレーブ・デバイスの共通のデフォルト・アドレスをインデックスkの固有アドレスに変化させるためのコマンドを送信する動作とを実施するプロセッサを備える、マスタ・デバイスに関する。
【0032】
本発明の第4の態様は、第3の態様によるマスタ・デバイスと、チェーン内でマスタ・デバイスに接続された複数のスレーブ・デバイスとを備えるシステムに関する。
【0033】
本発明のさらなる目的、態様、効果、および詳細は、複数の例示的な実施形態の以下の詳細な説明に、図面を参照して記載される。
【0034】
例示のみを目的として、本開示の実施形態は、添付の図面を参照して記載される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】従来技術によるスレーブ・デバイスのチェーンを示す図である。
図2】本発明のいくつかの実施形態によるネットワーク・システムを表す図である。
図3】本発明のいくつかの実施形態による方法のステップを示す流れ図である。
図4】本発明のいくつかの実施形態によるマスタ・デバイスの構造を示す図である。
図5】本発明のいくつかの実施形態による接続/切断回路の構造を示す図である。
図6】本発明のいくつかの実施形態による感知回路の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図2を参照すると、本発明のいくつかの実施形態によるネットワーク・システムが示されている。
【0037】
ネットワーク・システムは、マスタ・デバイス200と、複数のN個のスレーブ・デバイス201.1、201.k-1、201.k、...201.Nとを備え、Nは2以上の整数であり、kは1~Nで変動するインデックスである。それによってスレーブ・デバイス201は、「デイジー」チェーンを形成している。
【0038】
マスタ・デバイス200は、通信線202および電力線203を介してスレーブ・デバイス201のチェーンに接続される。
【0039】
通信線202は、図2に示されているように、いくつかの一方向線を備えることができ、または別法として、1つの双方向線のみを備えることができる。
【0040】
マスタ・デバイスは、起動回路206および感知回路207を備えることができる。
【0041】
起動回路206は、電力線203を起動/非活動化するように構成される。この目的のために、起動回路206は、電源(図1には表されていない)とスレーブ・デバイス201との間に配置されたスイッチとすることができる。
【0042】
インデックスkの各スレーブ・デバイス201.kはまた、インデックスk+1のスレーブ・デバイス(デイジー・チェーン内の次のスレーブ・デバイス)を接続/切断するための回路205を備える。
【0043】
図3は、本発明のいくつかの実施形態による方法のステップを示す図である。
【0044】
デフォルトによって最初は、すべてのスレーブ・デバイスが、たとえば0*FEなどの共通のデフォルト・アドレスを有する。
【0045】
初期ステップ300で、マスタ・デバイス200は、起動回路206を使用して電力線203を起動する。たとえば、回路206は、電源とスレーブ・デバイス101との間にスイッチを備えることができる。
【0046】
次のステップは、初期値を1として、増大するインデックスkに対して反復される。以下、Nは、ネットワーク・システム内のスレーブ・デバイス201の数を表す。Nは、マスタ・デバイス200によって事前に知られておらず、本発明による方法が終了されて初めて判定される。
【0047】
ステップ301で、マスタ・デバイス200は任意選択で、電力線203上で消費された電力を測定する。たとえば、マスタ・デバイス200は、電力線203上に引き込まれた電流を測定する。次いで、電力線203上に引き込まれた電流は、マスタ・デバイス200のメモリ内に記憶されることができる。任意選択の実施形態によれば、この測定は、スレーブ・デバイス内の障害を検出するために後に使用されることができる。k=1の場合、マスタ・デバイス200は、どのスレーブ・デバイスも起動されていない間に、電力線203上の電力を測定する。
【0048】
ステップ302で、マスタ・デバイス200は、通信線202を介してインデックスk-1のスレーブ・デバイスへ、通信線202を介してインデックスkのスレーブ・デバイスの電力線203をイネーブルするための命令を送信する。k=1の場合、マスタ・デバイス200は、いかなる命令も送信する必要なく、マスタ・デバイス200自体の起動回路206を起動して、スレーブ・デバイス201.1を起動する。
【0049】
いくつかの実施形態によれば、マスタ・デバイス200は任意選択で、インデックスk-1のスレーブ・デバイスから応答が受信されたかどうかを確認する(k=1の場合、命令が送信されていないため、マスタ・デバイス200はいかなる応答も予期しない)。この目的のために、ステップ303で、マスタ・デバイス200は、たとえばタイマを設定することによって、スレーブ・デバイス101.k-1から応答が受信されたかどうかを確認する。タイマが切れる前に応答が受信された場合、方法はステップ304へ進む。そうでない場合、方法はステップ305で終了し、ネットワーク内にそれ以上のスレーブ・デバイスは存在せず、Nはk-1に等しいと結論付けられる。
【0050】
ステップ304で、マスタ・デバイス200は任意選択で、感知ユニットによって実行された測定が安定化されるまで待機する。実際には、スレーブ・デバイスk-1が電力線203に接続された後、スレーブ・デバイスk-1は電力線203上に引き込まれた電流を増大させ、電流は特定量の時間後に安定化されることができる。
【0051】
ステップ306で、マスタ・デバイス200は、たとえば電力線203上に引き込まれた電流など、電力線203上に引き込まれた電力を測定する。
【0052】
ステップ307で、マスタ・デバイス200は、ステップ306で実行された測定と、ステップ301で実行された測定、または別法として以前の反復k-1に対するステップ306で実行された測定とを比較する。
【0053】
この比較に基づいて、インデックスkのスレーブ・デバイスが正確に起動されたか否かが検出されることができる。
【0054】
たとえば、マスタ・デバイス200は、反復kおよびk-1における測定が実質上同じである(これらの差が実質上0に等しい)かどうかを確認する。反復kおよびk-1における測定が実質上同じである場合、方法はステップ305で終了されることができ、インデックスkのスレーブ・デバイスが存在せず、Nはk-1に等しいと結論付けられる。そうでない場合、方法はステップ307へ進む。
【0055】
ステップ308で、マスタ・デバイス200は、比較された測定の差が所定の閾値を下回るかどうかを確認する。閾値は、スレーブ・デバイスによって通常引き込まれることができる電流を表す。そうでない場合(差が所定の閾値を上回る場合)、方法はステップ305で終了し、スレーブ・デバイス101.kに障害があると結論付けられる。ステップ305で、エラー・メッセージ/アラームが発行されることができる。
【0056】
ステップ309で、マスタ・デバイス200は、インデックスkのスレーブ・デバイスの共通のデフォルト・アドレスをインデックスkの固有アドレスに変化させるためのコマンドを、通信線202を介して送信する。インデックスkのスレーブ・デバイスが0*FEなどの共通のデフォルト・アドレスを有する活動中の唯一のスレーブ・デバイスである(他のスレーブ・デバイスは、固有アドレスによって以前にアドレス指定されている)ため、コマンドは共通のデフォルト・アドレス向けである。共通のデフォルト・アドレスは、コマンドの受信者フィールドに入れられることができる(通信線202上で使用される通信プロトコルに応じる)。固有アドレスは、共通のデフォルト・アドレスと同じ形式(たとえば、1つの数字および2つの文字)を有することができ、スレーブ・デバイス101.kのインデックスkをコード化することができる。たとえば、インデックス1の第1のスレーブ・デバイスのアドレスは、たとえば0*AAまたは0*01とすることができる。インデックスkの固有アドレスは、コマンドのペイロード内に含まれることができる。
【0057】
ステップ310で、マスタ・デバイスは任意選択で、コマンドへの応答がスレーブ・デバイス101.kから受信されたかどうかを確認する。応答が受信されていない場合、方法はステップ305で終了し、インデックスkの固有アドレスが正確に割り当てられていないと結論付けられる。
【0058】
そうでない場合、方法は、次のインデックスk+1で反復され、ステップ301へ戻る。
【0059】
任意選択のステップ311で、方法が反復される前に、インデックスkの固有アドレスへ、スレーブ・デバイス101.kが適切に構成されたかどうかを確認するための照会が送信されることができる。
【0060】
ステップ312で応答が受信された場合、方法は、次のインデックスk+1で反復され、ステップ301へ戻る。
【0061】
ステップ312で応答が受信されていない場合、方法はステップ305で終了し、スレーブ・デバイス101.kが登録されていないと結論付けられる。
【0062】
したがって、本発明によれば、いつでも1つのアドレス指定されていないスレーブ・デバイスのみが、ネットワークに接続される(共通のデフォルト・アドレスによる)。これは、始動時にすべてのスレーブ・デバイスがマスタ・デバイスによって非活動化されており、起動が反復して実行されるからである。
【0063】
この方法は、デイジー・チェーン内のデバイスの電流消費を容易に測定し、スレーブ・デバイス201がその動作条件の範囲内で挙動しているかどうかをマスタ・デバイス200が判定することを可能にするという利点を提供する。この方法はまた、スレーブ・デバイスが不在であるか、動作障害があるか、または正常に動作しているかを区別することができる。
【0064】
図4は、本発明のいくつかの実施形態によるマスタ・デバイス200の構造を示す。
【0065】
マスタ・デバイス200は、読出し専用メモリ、ROM、ランダム・アクセス・メモリ、RAM、フラッシュ・メモリ、または任意の他のタイプのメモリなどのメモリ401と、図3に示されているステップを実行するように構成されたプロセッサ400とを備える。別法として、プロセッサ400は、図3に示されているステップを実行するように構成されたマイクロコントローラなどの電子回路によって置き換えられることができる。
【0066】
マスタ・デバイス200は、通信線202を介して通信するための通信インターフェース402と、起動回路206とスレーブ・デバイス201との間の電力インターフェース403とをさらに備えることができる。
【0067】
上記で説明されたように、マスタ・デバイス200は、電力線203上に引き込まれた電力を測定するように構成された感知回路207をさらに備える。
【0068】
図5を参照すると、スレーブ・デバイス201の回路205の構造が示されている。この構造は、例示のみを目的として与えられている。
【0069】
回路205の構造は、
- 雑音のフィルタリングおよび突入電流の低減のためのフェライトL1およびL2と、
- 常時閉電子スイッチとして動作しているPチャネルMOSFET Q6と、
- 雑音および電磁両立性、EMC、フィルタリング構成要素として使用されるキャパシタC3、C13、およびC14と、
- MOSFET Q6の遷移を平滑にするための抵抗器R20と、
- 電流感知前の次のスレーブ・デバイスに対する電源出力PW_OUTとを備える。
【0070】
マスタ・デバイス200から、次のスレーブ・デバイスをイネーブル/ディスエーブルするための信号UC_OKが受信される。
【0071】
図6を参照すると、本発明のいくつかの実施形態による感知回路207の構造が示されている。この構造は、例示のみを目的として与えられている。
【0072】
感知回路207の回路は、
- 電流感知抵抗器R21と、
- 電流測定を調整するための差分増幅器AMP_1と、
- 増幅器AMP_1用のバイアス電流平衡抵抗器R22およびR23と、
- 第1のスレーブ・デバイス201のための電力インターフェース403などの電源出力PW_Oと、
- 起動回路206からくる電源出力PW_OUTとを備える。
【0073】
感知された電流信号I_SENSEが、マスタ・デバイス200のプロセッサ400へ送信される。
【0074】
本発明について、特有の実施形態を参照して上記で記載されているが、本発明は、本明細書に記載されている特有の形態に限定されると意図されたものではない。逆に、本発明は、添付の特許請求の範囲のみによって限定され、これらの添付の特許請求の範囲の範囲内では、上記の詳細以外の実施形態も等しく可能である。
【0075】
さらに、例示的な実施形態について、構成要素および/または機能のいくつかの例示的な組合せで上記に記載されているが、代替実施形態は、本開示の範囲から逸脱することなく、部材および/または機能の異なる組合せによって提供されることができることを理解されたい。加えて、個別にまたは一実施形態の一部として記載されている特定の特徴は、他の個別に記載されている特徴または他の実施形態の部分と組み合わされることができることが特に企図される。
【符号の説明】
【0076】
200 マスタ・デバイス
201.1 スレーブ・デバイス
201.k-1 スレーブ・デバイス
201.k スレーブ・デバイス
202 通信線
203 電力線
205 回路
206 起動回路
207 感知回路
400 プロセッサ
401 メモリ
402 通信インターフェース
403 電力インターフェース
AMP_1 差分増幅器
C3 キャパシタ
C13 キャパシタ
C14 キャパシタ
I_SENSE 電流信号
L1 フェライト
L2 フェライト
PW_O 電源出力
PW_OUT 電源出力
Q6 PチャネルMOSFET
R20 抵抗器
R21 電流感知抵抗器
R22 バイアス電流平衡抵抗器
R23 バイアス電流平衡抵抗器
UC_OK 信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6