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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】基板検査装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
H01L21/66 J
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020152001
(22)【出願日】2020-09-10
(65)【公開番号】P2022046117
(43)【公開日】2022-03-23
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【弁理士】
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【弁理士】
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】北村 藤和
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-064975(JP,A)
【文献】特開2010-016048(JP,A)
【文献】特開2008-235892(JP,A)
【文献】特開2008-045964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面状態を検査する基板検査装置であって、
基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部の周方向の一の位置である検査位置において、前記基板の一方の主面の周縁部および前記基板の端面に光を照射する照明部と、
前記検査位置における前記基板の前記一方の主面の前記周縁部からの反射光である第1反射光を導く第1反射ミラー部と、
前記検査位置における前記基板の前記端面からの反射光である第2反射光を導く第2反射ミラー部と、
少なくとも物体側がテレセントリックであり、前記第1反射ミラー部により導かれた前記第1反射光および前記第2反射ミラー部により導かれた前記第2反射光が入射する単一のテレセントリック光学系と、
直線状に配列された複数の撮像素子を含み、前記テレセントリック光学系を通過した前記第1反射光および前記第2反射光を受光することにより、前記基板の前記一方の主面の前記周縁部の像である第1像および前記基板の前記端面の像である第2像が結像する撮像部と、
を備えることを特徴とする基板検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板検査装置であって、
前記テレセントリック光学系は単一の光軸を有することを特徴とする基板検査装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板検査装置であって、
前記第1反射光の前記基板から前記テレセントリック光学系に至る光路長と、前記第2反射光の前記基板から前記テレセントリック光学系に至る光路長との差は、前記テレセントリック光学系の被写界深度以下であることを特徴とする基板検査装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1つに記載の基板検査装置であって、
前記基板を前記テレセントリック光学系に対して前記基板の厚さ方向に相対的に移動する第1移動機構と、
前記撮像部における前記第2像の位置が、前記第2像の基準位置である第2基準位置からずれている場合、前記第2基準位置からの前記第2像の位置のずれ量に基づいて前記基板の前記周縁部の厚さ方向のずれ量を求め、前記基板の前記周縁部の厚さ方向の前記ずれ量に基づいて前記第1移動機構を駆動することにより、前記基板の前記テレセントリック光学系に対する厚さ方向の相対位置を補正する位置補正部と、
をさらに備えることを特徴とする基板検査装置。
【請求項5】
請求項1ないしのいずれか1つに記載の基板検査装置であって、
前記基板を前記テレセントリック光学系に対して径方向に相対的に移動する第2移動機構と、
前記撮像部における前記第1像の位置が、前記第1像の基準位置である第1基準位置からずれている場合、前記第1基準位置からの前記第1像の位置のずれ量に基づいて前記基板の前記端面の径方向のずれ量を求め、前記基板の前記端面の径方向の前記ずれ量に基づいて前記第2移動機構を駆動することにより、前記基板の前記テレセントリック光学系に対する径方向の相対位置を補正する位置補正部と、
をさらに備えることを特徴とする基板検査装置。
【請求項6】
請求項1ないしのいずれか1つに記載の基板検査装置であって、
前記撮像部はラインセンサを備えることを特徴とする基板検査装置。
【請求項7】
請求項1ないしのいずれか1つに記載の基板検査装置であって、
前記撮像部において前記第1像と前記第2像とは離間していることを特徴とする基板検査装置。
【請求項8】
請求項1ないしのいずれか1つに記載の基板検査装置であって、
前記基板の前記一方の主面の前記周縁部は、前記一方の主面の中央部および前記基板の前記端面に対して傾斜するベベル部を含み、
前記照明部は、前記基板の前記ベベル部に光を照射する照明要素を備え、
前記照明要素による照明範囲は、前記検査位置における前記ベベル部の内縁および外縁から前記照明要素まで前記ベベル部の法線方向に延びる2本の直線を含むことを特徴とする基板検査装置。
【請求項9】
請求項1ないしのいずれか1つに記載の基板検査装置であって、
前記照明部、前記第1反射ミラー部、前記第2反射ミラー部、前記テレセントリック光学系および前記撮像部を一体的に保持する観察系保持部をさらに備えることを特徴とする基板検査装置。
【請求項10】
請求項1ないしのいずれか1つに記載の基板検査装置であって、
前記基板の厚さ方向に延びる中心軸を中心として前記基板を前記基板保持部と共に回転することにより、前記基板上において前記検査位置を変更する基板回転機構をさらに備えることを特徴とする基板検査装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1つに記載の基板検査装置であって、
前記照明部は、前記検査位置において前記基板の他方の主面の周縁部にも光を照射し、
前記基板検査装置は、前記検査位置における前記基板の前記他方の主面の前記周縁部からの反射光である第3反射光を導く第3反射ミラー部をさらに備え、
前記テレセントリック光学系には前記第3反射ミラー部により導かれた前記第3反射光が入射し、
前記撮像部では、前記テレセントリック光学系を通過した前記第3反射光が受光され、前記基板の前記他方の主面の前記周縁部の像である第3像が結像することを特徴とする基板検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の表面状態を検査する基板検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体基板(以下、単に「基板」という。)の製造工程では、基板の周縁部に向けて処理液を供給することにより、当該周縁部からレジスト膜や金属膜等の膜および付着物等(以下、「異物」とも呼ぶ。)を除去する洗浄処理が行われている。当該洗浄処理において、基板の周縁部から異物等が適切に除去されなかった場合、基板自体が不良品となるだけでなく、洗浄処理よりも後工程の装置に異物が入り込む可能性がある。後工程の装置に異物が入り込むと、当該装置における処理の品質が低下し、当該装置のクリーニング等が必要となるため、生産性が低下するおそれがある。
【0003】
そこで、特許文献1、特許文献2および特許文献3のように、基板の周縁部を撮像して異物の有無を検査する技術が提案されている。例えば、特許文献1の外観検査装置では、基板の上面周縁部を撮像する第1の観察光学系および第1の撮像部、並びに、基板の端面(すなわち、側面)を撮像する第2の観察光学系および第2の撮像部が設けられる。当該外観検査装置では、第1の撮像部からの出力に基づいて第2の観察光学系および第2の撮像部を移動することにより、第2の撮像部において合焦した状態の画像を得る。また、第2の撮像部からの出力に基づいて第1の観察光学系および第1の撮像部を移動することにより、第1の撮像部において合焦した状態の画像を得る。
【0004】
特許文献2の外観検査装置では、基板の端面と径方向に対向する位置に凹面鏡が配置され、基板の上面周縁部からの反射光、および、基板の端面から当該凹面鏡を経由した反射光が1台のカメラで同時に撮像される。
【0005】
また、特許文献3のウエハ検査装置では、ウエハの端面、並びに、上面および下面の面取り部が、3つの光路を有する光学系を介して1台のカメラで撮像される。当該ウエハ検査装置では、撮像される端面の周方向における位置と、撮像される面取り部の周方向における位置とは異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-251143号公報
【文献】特許第6617050号公報
【文献】特開2010-16048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年、基板上のパターンの微細化、および、基板の清浄度向上の要求に対応するために、基板検査における分解能向上が求められている。一方、分解能と被写界深度とはトレードオフの関係にあるため、高分解能化により被写界深度の不足が想定される。したがって、基板検査装置では、基板の偏心や反り、傾き等が生じている場合、基板の被観察部位を被写界深度内に配置させるために、撮像部と基板との相対位置の逐次調節が必要となる。
【0008】
特許文献1の装置では、第1の観察光学系および第1の撮像部の位置を調節する第1の移動機構、並びに、第2の観察光学系および第2の撮像部の位置を調節する第2の移動機構が設けられて撮像部と基板との相対位置の調節が行われる。この場合、2組の観察光学系および撮像部をそれぞれ移動する2つの移動機構が必要となり、装置構造が複雑化するとともに装置が大型化する。また、特許文献2および特許文献3の装置では、撮像部と基板との相対位置の調節は行われないため、基板検査の分解能を向上させた場合、被写界深度が不足して検査精度が低下するおそれがある。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、基板の周縁部および端面を簡素な構造で高精度に検査することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、基板の表面状態を検査する基板検査装置であって、基板を保持する基板保持部と、前記基板保持部の周方向の一の位置である検査位置において、前記基板の一方の主面の周縁部および前記基板の端面に光を照射する照明部と、前記検査位置における前記基板の前記一方の主面の前記周縁部からの反射光である第1反射光を導く第1反射ミラー部と、前記検査位置における前記基板の前記端面からの反射光である第2反射光を導く第2反射ミラー部と、少なくとも物体側がテレセントリックであり、前記第1反射ミラー部により導かれた前記第1反射光および前記第2反射ミラー部により導かれた前記第2反射光が入射する単一のテレセントリック光学系と、直線状に配列された複数の撮像素子を含み、前記テレセントリック光学系を通過した前記第1反射光および前記第2反射光を受光することにより、前記基板の前記一方の主面の前記周縁部の像である第1像および前記基板の前記端面の像である第2像が結像する撮像部とを備える。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の基板検査装置であって、前記テレセントリック光学系は単一の光軸を有する。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の基板検査装置であって、前記第1反射光の前記基板から前記テレセントリック光学系に至る光路長と、前記第2反射光の前記基板から前記テレセントリック光学系に至る光路長との差は、前記テレセントリック光学系の被写界深度以下である。
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の基板検査装置であって、前記基板を前記テレセントリック光学系に対して前記基板の厚さ方向に相対的に移動する第1移動機構と、前記撮像部における前記第2像の位置が、前記第2像の基準位置である第2基準位置からずれている場合、前記第2基準位置からの前記第2像の位置のずれ量に基づいて前記基板の前記周縁部の厚さ方向のずれ量を求め、前記基板の前記周縁部の厚さ方向の前記ずれ量に基づいて前記第1移動機構を駆動することにより、前記基板の前記テレセントリック光学系に対する厚さ方向の相対位置を補正する位置補正部とをさらに備える。
【0013】
請求項に記載の発明は、請求項1ないしのいずれか1つに記載の基板検査装置であって、前記基板を前記テレセントリック光学系に対して径方向に相対的に移動する第2移動機構と、前記撮像部における前記第1像の位置が、前記第1像の基準位置である第1基準位置からずれている場合、前記第1基準位置からの前記第1像の位置のずれ量に基づいて前記基板の前記端面の径方向のずれ量を求め、前記基板の前記端面の径方向の前記ずれ量に基づいて前記第2移動機構を駆動することにより、前記基板の前記テレセントリック光学系に対する径方向の相対位置を補正する位置補正部とをさらに備える。
【0014】
請求項に記載の発明は、請求項1ないしのいずれか1つに記載の基板検査装置であって、前記撮像部はラインセンサを備える。
【0015】
請求項に記載の発明は、請求項1ないしのいずれか1つに記載の基板検査装置であって、前記撮像部において前記第1像と前記第2像とは離間している。
【0016】
請求項に記載の発明は、請求項1ないしのいずれか1つに記載の基板検査装置であって、前記基板の前記一方の主面の前記周縁部は、前記一方の主面の中央部および前記基板の前記端面に対して傾斜するベベル部を含み、前記照明部は、前記基板の前記ベベル部に光を照射する照明要素を備え、前記照明要素による照明範囲は、前記検査位置における前記ベベル部の内縁および外縁から前記照明要素まで前記ベベル部の法線方向に延びる2本の直線を含む。
【0017】
請求項に記載の発明は、請求項1ないしのいずれか1つに記載の基板検査装置であって、前記照明部、前記第1反射ミラー部、前記第2反射ミラー部、前記テレセントリック光学系および前記撮像部を一体的に保持する観察系保持部をさらに備える。
【0018】
請求項10に記載の発明は、請求項1ないしのいずれか1つに記載の基板検査装置であって、前記基板の厚さ方向に延びる中心軸を中心として前記基板を前記基板保持部と共に回転することにより、前記基板上において前記検査位置を変更する基板回転機構をさらに備える。
【0019】
請求項11に記載の発明は、請求項1ないし10のいずれか1つに記載の基板検査装置であって、前記照明部は、前記検査位置において前記基板の他方の主面の周縁部にも光を照射し、前記基板検査装置は、前記検査位置における前記基板の前記他方の主面の前記周縁部からの反射光である第3反射光を導く第3反射ミラー部をさらに備え、前記テレセントリック光学系には前記第3反射ミラー部により導かれた前記第3反射光が入射し、前記撮像部では、前記テレセントリック光学系を通過した前記第3反射光が受光され、前記基板の前記他方の主面の前記周縁部の像である第3像が結像する。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、基板の周縁部および端面を簡素な構造で高精度に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】基板処理システムを示す平面図である。
図2】一の実施の形態に係る基板検査装置の構成を示す側面図である。
図3】制御部の構成を示す図である。
図4】制御部の機能を示すブロック図である。
図5】基板の端面近傍を拡大して示す断面図である。
図6】観察部近傍を拡大して示す平面図である。
図7】観察部近傍を拡大して示す側面図である。
図8】観察部近傍を拡大して示す正面図である。
図9】テレセントリック光学系による光路を示す概念図である。
図10】撮像部により取得される画像を示す図である。
図11】基板検査装置における基板の検査の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る基板検査装置を備える基板処理システム10のレイアウトを示す図解的な平面図である。基板処理システム10は、半導体基板9(以下、単に「基板9」という。)を処理するシステムである。基板処理システム10は、インデクサブロック101と、インデクサブロック101に結合された処理ブロック102とを備える。
【0023】
インデクサブロック101は、キャリア保持部104と、インデクサロボット105(すなわち、基板搬送手段)と、IR移動機構106とを備える。キャリア保持部104は、複数枚の基板9を収容できる複数のキャリア107を保持する。複数のキャリア107は、水平なキャリア配列方向(すなわち、図1中の上下方向)に配列された状態でキャリア保持部104に保持される。IR移動機構106は、キャリア配列方向にインデクサロボット105を移動させる。インデクサロボット105は、キャリア保持部104に保持されたキャリア107に基板9を搬入する搬入動作、および、基板9をキャリア107から搬出する搬出動作を行う。基板9は、インデクサロボット105によって水平な姿勢で搬送される。
【0024】
一方、処理ブロック102は、基板9を処理する複数(たとえば、4つ以上)の処理ユニット108と、センターロボット109(すなわち、基板搬送手段)とを備えている。複数の処理ユニット108は、平面視において、センターロボット109を取り囲むように配置されている。複数の処理ユニット108では、基板9に対する様々な処理が施される。後述する基板検査装置は、複数の処理ユニット108のうちの1つに設けられる。センターロボット109は、処理ユニット108に基板9を搬入する搬入動作、および、基板9を処理ユニット108から搬出する搬出動作を行う。さらに、センターロボット109は、複数の処理ユニット108間で基板9を搬送する。基板9は、センターロボット109によって水平な姿勢で搬送される。センターロボット109は、インデクサロボット105から基板9を受け取り、また、インデクサロボット105に基板9を渡す。
【0025】
図2は、基板検査装置1の構成を示す側面図である。基板検査装置1は、基板9を1枚ずつ検査する枚葉式の装置である。基板検査装置1は、基板9の周縁近傍の部位の表面状態を検査する。基板検査装置1は、基板保持部31と、基板回転機構33と、基板昇降機構35と、観察部6と、制御部8と、ハウジング11とを備える。基板保持部31、基板回転機構33、基板昇降機構35および観察部6は、ハウジング11の内部空間に収容される。以下の説明では、図2中の上下方向を、単に「上下方向」とも呼ぶ。当該上下方向は、重力方向と一致していてもよく、異なっていてもよい。
【0026】
制御部8は、ハウジング11の外部に配置され、基板保持部31、基板回転機構33、基板昇降機構35および観察部6等を制御する。図3に示すように、制御部8は、例えば、プロセッサ81と、メモリ82と、入出力部83と、バス84とを備える通常のコンピュータシステムである。バス84は、プロセッサ81、メモリ82および入出力部83を接続する信号回路である。メモリ82は、プログラムおよび各種情報を記憶する。プロセッサ81は、メモリ82に記憶されるプログラム等に従って、メモリ82等を利用しつつ様々な処理(例えば、数値計算)を実行する。入出力部83は、操作者からの入力を受け付けるキーボード85およびマウス86、プロセッサ81からの出力等を表示するディスプレイ87、並びに、プロセッサ81からの出力等を送信する送信機88等を備える。なお、制御部8は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC:Programmable Logic Controller)、または、回路基板等であってもよい。制御部8は、コンピュータシステム、PLCおよび回路基板等のうち、任意の複数の構成を含んでいてもよい。
【0027】
図4は、制御部8により実現される機能を示すブロック図である。制御部8は、記憶部801と、位置補正部802と、検査部803とを備える。位置補正部802は、演算部804と、移動制御部805とを備える。記憶部801は、主にメモリ82により実現され、観察部6により取得される画像や検査に使用される基準画像等を記憶する。演算部804は、主にプロセッサ81により実現され、後述する基板9の位置ずれ等を算出する。移動制御部805は、主にプロセッサ81により実現され、基板昇降機構35、および、後述する観察系移動機構68の駆動制御を行う。検査部803は、主にプロセッサ81により実現され、上記画像に基づいて基板9の表面状態の検査を行う。
【0028】
図2に示すように、基板保持部31は、水平状態の基板9の下側の主面に接触し、基板9を下側から保持する。基板保持部31は、例えば、基板9の当該主面の中央部を吸着して保持するバキュームチャックである。基板保持部31は、例えば、基板9よりも直径が小さい略円板状の部材であり、上面には吸着口が設けられる。基板保持部31は、バキュームチャック以外のチャックであってもよい。
【0029】
基板回転機構33は、基板保持部31の下方に配置される。基板回転機構33は、上下方向(すなわち、基板9の厚さ方向)を向く中心軸J1を中心として、基板9を基板保持部31と共に回転させる。基板回転機構33は、例えば、回転シャフトが基板保持部31に接続された電動回転式モータを備える。基板回転機構33は、中空モータ等の他の構造を有していてもよい。
【0030】
基板昇降機構35は、基板保持部31の下方に配置される。基板昇降機構35は、基板9を基板保持部31および基板回転機構33と共に上下方向に移動させる。基板昇降機構35は、例えば、電動リニアモータを備える。基板昇降機構35は、電動リニアモータ以外の様々な構造(例えば、エアシリンダ、または、ボールネジおよび電動回転式モータ)を有していてもよい。
【0031】
観察部6は、基板保持部31の周囲において、中心軸J1を中心とする周方向(以下、単に「周方向」とも呼ぶ。)の一の領域に配置され、基板9の周縁部および端面を撮像して画像を取得する。観察部6は、基板保持部31に保持された基板9の周縁部を上下方向に跨いで配置される。また、観察部6は、平面視において基板9の周縁部と重なり、当該周縁部から中心軸J1を中心とする径方向(以下、単に「径方向」とも呼ぶ。)の内方に延びる。
【0032】
図5は、基板9の端面92近傍を拡大して示す断面図である。基板9の端面92は、中心軸J1(図2参照)に略平行に上下方向に延びる略円筒状の面である。基板9の上面91の周縁部911は、基板9の端面92の上端から径方向内方に広がる平面視において略円環状の部位である。周縁部911の径方向の幅は、例えば、0.5mm~5.0mmである。図5に示す例では、周縁部911は、端面92の上端から径方向内方に向かうに従って上方へと向かうベベル部914と、ベベル部914の径方向内端から略水平に(すなわち、上下方向に略垂直に)径方向内方へと広がる平面部915と、を含む。ベベル部914は、基板9の端面92および上面91の中央部(すなわち、水平面)に対して傾斜する傾斜面である。図5におけるベベル部914と水平面との成す角度(鋭角)は、例えば、0°よりも大きく、かつ、45°以下である。
【0033】
基板9の下面93の周縁部931は、基板9の端面92の下端から径方向内方に広がる平面視において略円環状の部位である。周縁部931の径方向の幅は、例えば、0.5mm~5.0mmである。図5に示す例では、周縁部931は、端面92の下端から径方向内方に向かうに従って下方へと向かうベベル部934と、ベベル部934の径方向内端から略水平に(すなわち、上下方向に略垂直に)径方向内方へと広がる平面部935と、を含む。ベベル部934は、基板9の端面92および下面93の中央部(すなわち、水平面)に対して傾斜する傾斜面である。図5におけるベベル部934と水平面との成す角度(鋭角)は、例えば、0°よりも大きく、かつ、45°以下である。
【0034】
次に、図6ないし図8を参照しつつ、観察部6の詳細について説明する。図6ないし図8はそれぞれ、観察部6近傍を拡大して示す平面図、側面図および正面図である。観察部6は、上反射ミラー部61と、横反射ミラー部62と、下反射ミラー部63と、照明部64と、テレセントリック光学系65と、撮像部66と、観察系保持部67と、観察系移動機構68とを備える。図6ないし図8では、図の理解を容易にするために、観察系保持部67および観察系移動機構68を破線にて示す。また、図7では、基板9を後述する検査位置における断面にて示す。なお、上述の図2では、観察系保持部67および観察系移動機構68を実線にて示す。
【0035】
上反射ミラー部61、横反射ミラー部62、下反射ミラー部63、照明部64、テレセントリック光学系65および撮像部66は、観察系保持部67に一体的に保持されている。観察系保持部67は、例えば、上反射ミラー部61、横反射ミラー部62、下反射ミラー部63、照明部64、テレセントリック光学系65および撮像部66が固定される略直方体状の筐体である。観察系保持部67の形状および構造は様々に変更されてよい。
【0036】
観察系移動機構68は、観察系保持部67を径方向に移動させることにより、上反射ミラー部61、横反射ミラー部62、下反射ミラー部63、照明部64、テレセントリック光学系65および撮像部66を、径方向に一体的に移動させる。観察系移動機構68は、例えば、電動リニアモータを備える。観察系移動機構68は、電動リニアモータ以外の様々な構造(例えば、エアシリンダ、または、ボールネジおよび電動回転式モータ)を備えていてもよい。
【0037】
照明部64は、上照明部641と、横照明部642と、下照明部643とを備える。上照明部641は、所定の検査位置において基板9の上側の主面91(以下、「上面91」とも呼ぶ。)の周縁部911に光を照射する。当該検査位置は、基板保持部31(図2参照)の周囲における周方向の一の位置である。横照明部642は、当該検査位置において基板9の端面92(すなわち、外周側面)に光を照射する。下照明部643は、当該検査位置において基板9の下側の主面93(以下、「下面93」とも呼ぶ。)の周縁部931(図5参照)に光を照射する。上照明部641、横照明部642および下照明部643のそれぞれの光源は、例えばLED(Light Emitting Diode)である。上照明部641、横照明部642および下照明部643はそれぞれ、LED以外の光源(例えば、ハロゲンランプまたは白色灯)を備えていてもよい。基板検査装置1における検査精度を向上するという観点からは、上照明部641、横照明部642および下照明部643のそれぞれの光源として、発光面の発光強度分布が比較的均等なものが選択されることが好ましい。あるいは、当該光源の発光面上に透明拡散板を設置する等して、発光面の発光強度分布の均等化が図られてもよい。
【0038】
上照明部641は、上述のように、基板9の上面91の周縁部911(すなわち、ベベル部914および平面部915(図5参照))に光を照射する。図5に示すように、検査位置における上照明部641による照明範囲A1は、検査位置におけるベベル部914の外縁(すなわち、端面92の上端)および内縁(すなわち、ベベル部914と平面部915との境界)から上照明部641までベベル部914の法線方向に延びる2本の仮想的な直線N1,N2の全体を含む。照明範囲A1は、上照明部641から周縁部911に向けて出射される照明光の検査位置における径方向内縁と径方向外縁との間の領域であり、図5では、符号A1を付した矢印にて示す。
【0039】
図示は省略するが、検査位置における下照明部643による照明範囲は、上照明部641による照明範囲A1と略同様に、検査位置における下面93のベベル部934の外縁(すなわち、端面92の下端)および内縁(すなわち、ベベル部934と平面部935との境界)から下照明部643までベベル部934の法線方向に延びる2本の仮想的な直線の全体を含む。
【0040】
図6ないし図8に示す例では、上照明部641から基板9の上面91の周縁部911に照射された光は、周縁部911にて反射され、上反射ミラー部61に入射する。上反射ミラー部61は、検査位置における基板9の上面91の周縁部911からの反射光を、テレセントリック光学系65へと導く。図6ないし図8では、上反射ミラー部61によりテレセントリック光学系65へと導かれる周縁部911からの反射光の光軸を実線にて描き、符号R1を付す。以下の説明では、基板9の上面91の周縁部911からの反射光を、「上反射光R1」とも呼ぶ。また、図6ないし図8では、上照明部641から基板9の上面91の周縁部911に照射される光の光軸も、上反射光R1と同様に実線にて描く。
【0041】
横照明部642から基板9の端面92に照射された光は、端面92にて反射され、横反射ミラー部62に入射する。横反射ミラー部62は、検査位置における基板9の端面92からの反射光を、テレセントリック光学系65へと導く。図6および図7では、横反射ミラー部62によりテレセントリック光学系65へと導かれる端面92からの反射光の光軸を一点鎖線にて描き、符号R2を付す。以下の説明では、基板9の端面92からの反射光を、「横反射光R2」とも呼ぶ。また、図6および図7では、横照明部642から基板9の端面92に照射される光の光軸も、横反射光R2と同様に一点鎖線にて描く。
【0042】
下照明部643から基板9の下面93の周縁部931に照射された光は、周縁部931(図5参照)にて反射され、下反射ミラー部63に入射する。下反射ミラー部63は、検査位置における基板9の下面93の周縁部931からの反射光を、テレセントリック光学系65へと導く。図6および図8では、下反射ミラー部63によりテレセントリック光学系65へと導かれる周縁部931からの反射光の光軸を二点鎖線にて描き、符号R3を付す。以下の説明では、基板9の下面93の周縁部931からの反射光を、「下反射光R3」とも呼ぶ。また、図6および図8では、下照明部643から基板9の下面93の周縁部931に照射される光の光軸も、下反射光R3と同様に二点鎖線にて描く。
【0043】
上反射ミラー部61、横反射ミラー部62および下反射ミラー部63はそれぞれ、平面ミラーおよび/または直角プリズム等、光を反射して光軸の向きを変更する1つ以上の光学素子を含み、焦点位置を調節するためのレンズ等の光学素子は含まない。図6ないし図8に示す例では、上反射ミラー部61は1つの平面ミラー611を備え、その他の光学素子を備えていない。横反射ミラー部62は、2つの平面ミラー621,622を備え、その他の光学素子を備えていない。下反射ミラー部63は、1つの平面ミラー631を備え、その他の光学素子を備えていない。
【0044】
テレセントリック光学系65は、上反射ミラー部61、横反射ミラー部62および下反射ミラー部63と撮像部66との間に配置される。テレセントリック光学系65は、上反射ミラー部61、横反射ミラー部62および下反射ミラー部63から入射した上反射光R1、横反射光R2および下反射光R3をそれぞれ撮像部66に結像させる。
【0045】
テレセントリック光学系65は、少なくとも物体側がテレセントリックな光学系であり、両側(すなわち、物体側および像側)がテレセントリックな光学系であってもよい。本実施の形態では、テレセントリック光学系65は、物体側のみがテレセントリックな光学系である。テレセントリック光学系65は、例えば、鏡筒651と、鏡筒651内に配置されるレンズ群652と、を備える。図6および図7では、レンズ群652を1つのレンズとして描いているが、レンズ群652は通常、光軸上に配列される複数のレンズを備える。テレセントリック光学系65では、図9に示すように、レンズ群652の物体側(すなわち、図9中の左側)のみにおいて光軸(一点鎖線)と主光線(実線)とが平行であり、レンズ群652を通過した主光線は光軸上に集光し、撮像部66(図6ないし図8参照)上にて結像する。
【0046】
図6ないし図8に示す例では、基板9から上反射ミラー部61を経由してテレセントリック光学系65に至る上反射光R1の光路長(以下、「上光路長」とも呼ぶ。)と、基板9からに横反射ミラー部62を経由してテレセントリック光学系65に至る横反射光R2の光路長(以下、「横光路長」とも呼ぶ。)と、基板9から下反射ミラー部63を経由してテレセントリック光学系65に至る下反射光R3の光路長(以下、「下光路長」とも呼ぶ。)とは、略同じである。
【0047】
上光路長と横光路長とが異なる場合、上光路長と横光路長との差は、テレセントリック光学系65の被写界深度以下であることが好ましい。横光路長と下光路長とが異なる場合、横光路長と下光路長との差は、テレセントリック光学系65の被写界深度以下であることが好ましい。下光路長と上光路長とが異なる場合、下光路長と上光路長との差は、テレセントリック光学系65の被写界深度以下であることが好ましい。また、上光路長と横光路長と下光路長とが互いに異なる場合、最長の光路長と最短の光路長との差が、テレセントリック光学系65の被写界深度以下であることが好ましい。
【0048】
撮像部66は、上下方向に略平行に直線状に配列された複数の撮像素子(例えば、CCD(Charge Coupled Device))を含む撮像デバイスである。本実施の形態では、撮像部66は、上下方向に略平行に延びるラインセンサ661を備える。撮像部66は、テレセントリック光学系65を通過した上反射光R1、横反射光R2および下反射光R3を受光する。これにより、基板9の上面91の周縁部911の像である上面周縁像、基板9の端面92の像である端面像、および、基板9の下面93の周縁部931の像である下面周縁像が取得される。なお、撮像部66は、ラインセンサ661に代えて、複数の撮像素子が2次元に配列されたエリアセンサ等、他の撮像デバイスを備えていてもよい。
【0049】
図10は、撮像部66により取得される画像における上面周縁像71、端面像72および下面周縁像73を示す図である。図10中の上下方向は、図6ないし図8における上下方向に対応する。実際には、撮像部66により取得される画像の上下は、上述の基板9の上下と反対になるが、図10では、図の理解を容易にするために、当該画像の上下を基板9の上下と一致するように描いている。上面周縁像71、端面像72および下面周縁像73は、上反射光R1、横反射光R2および下反射光R3の上下方向における光量の分布を示す光量プロファイルである。撮像部66上において、上面周縁像71、端面像72および下面周縁像73は、上下方向にそれぞれ離間して配置される。
【0050】
図10における上面周縁像71の上端は、基板9の上面91の周縁部911における外縁に対応する。上面周縁像71の上端から斜め下方に向かう傾斜部は、周縁部911のベベル部914に対応する。また、当該傾斜部の下端から下方に延びる左右方向の幅が略一定の部位は、周縁部911の平面部915に対応する。端面像72の中央部に位置する左右方向の幅が略一定の部位は、基板9の端面92に対応し、当該部位の上端および下端はそれぞれ、端面92の上端および下端に対応する。端面像72の上端部の傾斜部、および、下端部の傾斜部はそれぞれ、基板9の上面91のベベル部914、および、下面93のベベル部934に対応する。下面周縁像73の下端は、基板9の下面93の周縁部931における外縁に対応する。下面周縁像73の下端から斜め上方に向かう傾斜部は、周縁部931のベベル部934に対応する。また、当該傾斜部の上端から上方に延びる左右方向の幅が略一定の部位は、周縁部931の平面部935に対応する。
【0051】
基板保持部31に保持された基板9に偏心、反りおよび傾き等が生じていない場合(以下、「基準状態」とも呼ぶ。)、上面周縁像71、端面像72および下面周縁像73は、撮像部66上の所定の位置に位置する。図10は、基準状態の上面周縁像71、端面像72および下面周縁像73を示す。当該基準状態では、基板9の上面91の周縁部911、基板9の端面92、および、基板9の下面93の周縁部931は、テレセントリック光学系65の被写界深度内に位置している。
【0052】
図10に示す例では、基準状態の上面周縁像71の上端の位置を、上面周縁像71の基準位置である上基準位置P1としている。また、基準状態の端面像72の上下方向における中央の位置を、端面像72の基準位置である横基準位置P2とし、基準状態の下面周縁像73の下端の位置を、下面周縁像73の基準位置である下基準位置P3としている。上基準位置P1、横基準位置P2および下基準位置P3は、上述の制御部8の記憶部801に予め記憶されている。
【0053】
上述の基板9の偏心とは、基板9の中心が上述の中心軸J1(図2参照)からずれている状態であり、検査位置における基板9の外縁は、径方向の所定の位置から径方向外側または径方向内側にずれる。例えば、検査位置における基板9の外縁が径方向外側にずれている場合、上面周縁像71は上基準位置P1よりも上側にずれ、下面周縁像73は下基準位置P3よりも下側にずれる。また、検査位置における基板9の外縁が径方向内側にずれている場合、上面周縁像71は上基準位置P1よりも下側にずれ、下面周縁像73は下基準位置P3よりも上側にずれる。
【0054】
上述の基板9の反りとは、基板9が水平面から上側および/または下側に変形している状態であり、基板9の傾きとは、基板9が水平面から傾斜して基板保持部31により保持されている状態である。いずれの場合も、検査位置における基板9の外縁は、上下方向の所定の位置から上側または下側にずれる。検査位置における基板9の外縁が上側にずれている場合、端面像72は横基準位置P2よりも上側にずれる。また、検査位置における基板9の外縁が下側にずれている場合、端面像72は横基準位置P2よりも下側にずれる。
【0055】
次に、図11を参照しつつ、基板検査装置1における基板9の検査の流れについて説明する。図11中のステップS11~S13は、基板9上における検査位置を観察する動作を示す。実際には、基板検査装置1では、基板回転機構33により基板9を周方向に回転しつつ、基板9の周縁部911,931および端面92を全周に亘って連続的に観察する。換言すれば、基板検査装置1では、基板回転機構33により基板9上において検査位置を周方向に連続的に変更しつつ、当該検査位置における基板9の周縁部911,931および端面92の観察が行われる。
【0056】
基板検査装置1では、まず、撮像部66により基板9の周縁部911,931および端面92が撮像され、上面周縁像71、端面像72および下面周縁像73を含む初期画像が取得される(ステップS11)。当該初期画像は、撮像部66から制御部8へと送られ、記憶部801に格納される。
【0057】
続いて、位置補正部802の演算部804により、初期画像における上面周縁像71の上端の位置(以下、単に「上面周縁像71の位置」とも呼ぶ。)が上基準位置P1と比較される。また、初期画像における端面像72の中央の位置(以下、単に「端面像72の位置」とも呼ぶ。)が横基準位置P2と比較される。
【0058】
初期画像における上面周縁像71の位置(すなわち、撮像部66における上面周縁像71の位置)が上基準位置P1からずれている場合、演算部804により、上基準位置P1からの上面周縁像71の位置のずれ量が求められ、当該ずれ量に基づいて基板9の端面92の径方向のずれ量(すなわち、検査位置における基板9の外縁の位置について、測定位置と基準位置との間の径方向における距離)が求められる。なお、基板9の端面92の径方向のずれ量は、下基準位置P3からの下面周縁像73の位置のずれ量に基づいて求められてもよい。
【0059】
そして、当該径方向のずれ量に基づいて移動制御部805から送信機88を介して観察系移動機構68へと制御信号が送られて観察系移動機構68が駆動され、観察系保持部67に保持された上反射ミラー部61、横反射ミラー部62、下反射ミラー部63、照明部64、テレセントリック光学系65および撮像部66が、径方向に一体的に移動する。具体的には、検査位置における基板9の端面92が基準状態よりも径方向内側にずれている場合、観察系移動機構68により観察系保持部67が基板9に近づく方向(すなわち、径方向内方)へと移動される。また、検査位置における基板9の端面92が基準状態よりも径方向外側にずれている場合、観察系移動機構68により観察系保持部67が基板9から離れる方向(すなわち、径方向外方)へと移動される。これにより、基板9のテレセントリック光学系65等に対する径方向の相対位置が、基準状態と同じになるように補正される。なお、上面周縁像71の位置が上基準位置P1からずれていない場合は、観察系移動機構68による観察系保持部67の移動は行われない。
【0060】
また、撮像部66における端面像72の位置が横基準位置P2からずれている場合、演算部804により、横基準位置P2からの端面像72の位置のずれ量が求められ、当該ずれ量に基づいて基板保持部31における基板9の周縁部911,931の上下方向のずれ量(すなわち、検査位置における基板9の外縁の位置について、測定位置と基準位置との間の上下方向における距離)が求められる。
【0061】
そして、当該上下方向のずれ量に基づいて移動制御部805から送信機88を介して基板昇降機構35へと制御信号が送られて基板昇降機構35が駆動され、基板9が基板保持部31と共に上下方向に移動する。具体的には、検査位置における基板9の外縁が基準状態よりも上側にずれている場合、基板昇降機構35により基板9および基板保持部31が下側へと移動される。また、検査位置における基板9の外縁が基準状態よりも下側にずれている場合、基板昇降機構35により基板9および基板保持部31が上側へと移動される。これにより、基板9のテレセントリック光学系65等に対する上下方向の相対位置が、基準状態と同じになるように補正される(ステップS12)。なお、端面像72の位置が横基準位置P2からずれていない場合は、基板昇降機構35による基板9の移動は行われない。
【0062】
上述のように、ステップS12では、ステップS11において取得された初期画像に基づいて、基板昇降機構35により基板9がテレセントリック光学系65に対して上下方向(すなわち、基板9の厚さ方向)に相対的に移動される。また、初期画像に基づいて、観察系移動機構68により基板9がテレセントリック光学系65に対して径方向に相対的に移動される。以下の説明では、基板昇降機構35および観察系移動機構68を、基板9をテレセントリック光学系65に対して相対移動する「第1移動機構」および「第2移動機構」とも呼ぶ。
【0063】
ステップS12における基板9の相対位置の補正が終了すると、撮像部66により基板9の上面91の周縁部911、基板9の端面92、および、基板9の下面93の周縁部931が再度撮影される。そして、上面周縁像71、端面像72および下面周縁像73の位置が、上基準位置P1、横基準位置P2および下基準位置P3に補正された画像が、被検査画像として撮像部66から検査部803へと送られる(ステップS13)。
【0064】
なお、ステップS12において、上面周縁像71および端面像72の位置が上基準位置P1および横基準位置P2からずれていない場合、基板9および観察系保持部67の移動は行われず、ステップS11にて取得された初期画像が被検査画像として検査部803へと送られる。
【0065】
検査部803では、被検査画像が、記憶部801に予め記憶されている基準画像(すなわち、異物等が付着していない正常な状態の基板9の画像)と比較され、基板9の上面91の周縁部911、基板9の端面92、および、基板9の下面93の周縁部931のそれぞれにおける異物等の付着の有無が判断される。そして、基板9における異物等の付着の有無が、検査結果としてディスプレイ87(図3参照)に出力される。
【0066】
基板検査装置1では、基板回転機構33(図2参照)により基板9を連続的に回転させつつ、上述のステップS11~S13が繰り返し行われる。換言すれば、基板9の連続的な回転中に、検査位置における基板9とテレセントリック光学系65との相対位置を補正しつつ、被検査画像が連続的に取得される。なお、基板回転機構33による基板9の回転速度は比較的低いため、1回のステップS11~S13が行われている間の基板9の回転角度は僅かである。したがって、ステップS11において取得された初期画像と、ステップS12における補正後にステップS13にて取得された被検査画像とは、基板9上における周方向の実質的に同じ位置にて取得されたものとみなすことができる。
【0067】
基板検査装置1では、基板9の周方向の全周に亘る被検査画像が取得されて検査部803へと送られる。検査部803では、被検査画像の検査は、上述の全周に亘る被検査画像の取得と並行して行われてもよく、全周に亘る被検査画像の取得が終了した後に行われてもよい。また、被検査画像の検査は、基準画像との比較には限定されず、様々な方法(例えば、一の被検査画像と周方向の他の位置の被検査画像との比較等)により行われてもよい。
【0068】
以上に説明したように、基板9の表面状態を検査する基板検査装置1は、基板保持部31と、照明部64と、第1反射ミラー部(すなわち、上反射ミラー部61または下反射ミラー部63)と、第2反射ミラー部(すなわち、横反射ミラー部62)と、テレセントリック光学系65と、撮像部66とを備える。基板保持部31は、基板9を保持する。照明部64は、基板保持部31の周方向の一の位置である検査位置において、基板9の一方の主面の周縁部(すなわち、上面91の周縁部911または下面93の周縁部931)および基板9の端面92に光を照射する。
【0069】
第1反射ミラー部は、検査位置における基板9の上記一方の主面の周縁部からの反射光である第1反射光(すなわち、上反射光R1または下反射光R3)を導く。第2反射ミラー部(すなわち、横反射ミラー部62)は、検査装置における基板9の端面92からの反射光である第2反射光(すなわち、横反射光R2)を導く。テレセントリック光学系65は、少なくとも物体側がテレセントリックである。テレセントリック光学系65には、第1反射ミラー部により導かれた第1反射光、および、横反射ミラー部62により導かれた横反射光R2が入射する。撮像部66は、直線状に配列された複数の撮像素子を含む。撮像部66は、テレセントリック光学系65を通過した第1反射光および横反射光R2を受光する。これにより、撮像部66に基板9の上記一方の主面の周縁部の像である第1像(すなわち、上面周縁像71または下面周縁像73)、および、基板9の端面92の像である第2像(すなわち、端面像72)が結像する。
【0070】
このように、基板検査装置1では、基板9の一方の主面の周縁部(すなわち、上面91の周縁部911または下面93の周縁部931)および端面92を1つの撮像部66により撮像し、さらに、撮像部66に結像させるためのテレセントリック光学系65の数も1つすることにより、基板9の当該周縁部および端面92を観察する構造を簡素化することができる。
【0071】
また、基板9の当該周縁部からの第1反射光(すなわち、上反射光R1または下反射光R3)および端面92からの横反射光R2を、少なくとも物体側がテレセントリックなテレセントリック光学系65により撮像部66へと導くことにより、基板9のテレセントリック光学系65に対する相対位置が多少変化したとしても、撮像部66上に結像する第1像(すなわち、上面周縁像71または下面周縁像73)および端面像72の大きさは実質的に変化しない。これにより、基板9の検査に用いられる被検査画像をほぼ常に同条件にて撮像することができるため、基板9の検査精度を向上することができる。
【0072】
さらに、上述の第1像(すなわち、上面周縁像71または下面周縁像73)と端面像72とは、基板9上の周方向の同じ位置(すなわち、基板9上における検査位置)にて基板9の周縁部(すなわち、周縁部911または周縁部931)および端面92が撮像されることにより取得されるため、第1像および端面像72が周方向の異なる位置にて取得される場合に比べて、基板9の検査精度を向上することができる。したがって、基板検査装置1では、基板9の一方の主面の周縁部および端面92を、簡素な構造で高精度に検査することができる。
【0073】
上述のように、第1反射光(すなわち、上反射光R1または下反射光R3)の基板9からテレセントリック光学系65に至る光路長と、横反射光R2の基板9からテレセントリック光学系65に至る光路長との差は、テレセントリック光学系65の被写界深度以下であることが好ましい。これにより、基板9の周縁部および端面92の双方を、撮像部66上に同時にかつ鮮明に結像させることができる。
【0074】
上述のように、基板検査装置1は、第1移動機構(すなわち、基板昇降機構35)と、位置補正部802とを備えることが好ましい。基板昇降機構35は、基板9をテレセントリック光学系65に対して基板9の厚さ方向(すなわち、上下方向)に相対的に移動する。位置補正部802は、撮像部66における第2像(すなわち、端面像72)の位置が、端面像72の基準位置である第2基準位置(すなわち、横基準位置P2)からずれている場合、横基準位置P2からの端面像72の位置のずれ量に基づいて、基板9の周縁部(すなわち、周縁部911または周縁部931)の上下方向のずれ量を求める。そして、位置補正部802は、基板9の当該周縁部の上下方向のずれ量に基づいて基板昇降機構35を駆動する。これにより、基板9のテレセントリック光学系65に対する上下方向の相対位置が補正される。
【0075】
このように、撮像部66からの出力に基づいて基板9の厚さ方向のずれを補正することにより、基板9の一方の主面の周縁部(すなわち、上面91の周縁部911または下面93の周縁部931)を、テレセントリック光学系65の被写界深度内に精度良く位置させることができる。その結果、当該周縁部の検査精度を向上することができる。また、基板9の位置ずれが、基板9の反りや傾斜等、厚さ方向のずれだけである場合、テレセントリック光学系65の被写界深度内に位置する基板9の端面92の像である端面像72を用いて上記上下方向のずれ量を算出するため、当該位置ずれを精度良く補正することができる。
【0076】
上述のように、基板検査装置1は、第2移動機構(すなわち、観察系移動機構68)と、位置補正部802とを備えることが好ましい。観察系移動機構68は、基板9をテレセントリック光学系65に対して径方向に相対的に移動する。位置補正部802は、撮像部66における第1像(すなわち、上面周縁像71または下面周縁像73)の位置が、当該第1像の基準位置である第1基準位置(すなわち、上基準位置P1または下基準位置P3)からずれている場合、当該第1横基準位置からの第1像の位置のずれ量に基づいて、基板9の端面92の径方向のずれ量を求める。そして、位置補正部802は、基板9の端面92の径方向のずれ量に基づいて観察系移動機構68を駆動する。これにより、基板9のテレセントリック光学系65に対する径方向の相対位置が補正される。
【0077】
このように、撮像部66からの出力に基づいて基板9の径方向のずれを補正することにより、基板9の端面92をテレセントリック光学系65の被写界深度内に精度良く位置させることができる。その結果、端面92の検査精度を向上することができる。また、基板9の位置ずれが、基板9の偏心等、径方向のずれだけである場合、テレセントリック光学系65の被写界深度内に位置する基板9の周縁部(すなわち、上面91の周縁部911または下面93の周縁部931)の像である第1像を用いて上記径方向のずれ量を算出するため、当該位置ずれを精度良く補正することができる。
【0078】
上述のように、基板検査装置1は、基板回転機構33をさらに備えることが好ましい。基板回転機構33は、基板9の厚さ方向(すなわち、上下方向)に延びる中心軸J1を中心として基板9を基板保持部31と共に回転することにより、基板9上において検査位置を変更する。これにより、基板9の周方向の複数の位置において基板9の検査を行うことができる。また、上述のように、基板9の周方向の全周に亘って基板9の検査を行うこともできる。
【0079】
上述のように、撮像部66はラインセンサ661を備えることが好ましい。これにより、エリアセンサ等を利用する場合に比べて、基板検査装置1の構造を簡素化することができる。また、上述のように、基板9を回転させつつ撮像を行う際に、エリアセンサ等を利用する場合に比べて、基板9の撮像を迅速に行うことができる。
【0080】
上述のように、撮像部66において、第1像(すなわち、上面周縁像71または下面周縁像73)と第2像(すなわち、端面像72)とは離間していることが好ましい。これにより、第1像の位置検出を容易とすることができるため、基板9の偏心等による径方向のずれ量を容易に求めることができる。また、端面像72の位置検出も容易とすることができるため、基板9の反りや傾き等による上下方向のずれ量を容易に求めることができる。その結果、基板9の周縁部(すなわち、上面91の周縁部911または下面93の周縁部931)の検査、および、基板9の端面92の検査を容易かつ精度良く行うことができる。
【0081】
上述の例では、基板9の一方の主面の周縁部(すなわち、上面91の周縁部911または下面93の周縁部931)は、当該一方の主面の中央部および基板9の端面92に対して傾斜するベベル部(すなわち、ベベル部914またはベベル部934)を含む。また、照明部64は、基板9の当該ベベル部に光を照射する照明要素(すなわち、上照明部641または下照明部643)を備える。そして、当該照明要素による照明範囲は、好ましくは、検査位置における上記ベベル部の内縁および外縁から照明要素までベベル部の法線方向に延びる2本の直線を含む。これにより、ベベル部の径方向の全体に亘って、当該ベベル部に垂直な光が照射される。その結果、撮像部66上にベベル部の像を鮮明に結像させることができるため、基板9の周縁部の検査精度を向上することができる。なお、ベベル部と水平面との成す角度(鋭角)が、0°よりも大きく、かつ、45°以下である場合、第1像(すなわち、上面周縁像71または下面周縁像73)においてベベル部が比較的大きく見えるため、上述の検査精度の向上が特に顕著である。
【0082】
上述のように、基板検査装置1は、照明部64、第1反射ミラー部(すなわち、上反射ミラー部61または下反射ミラー部63)、第2反射ミラー部(すなわち、横反射ミラー部62)、テレセントリック光学系65および撮像部66を一体的に保持する観察系保持部67をさらに備えることが好ましい。これにより、基板9の撮像に用いられる上記構造同士の相対位置の変化を防止することができる。その結果、基板9の撮像を精度良くおこなうことができ、基板9の検査精度を向上することができる。また、観察系移動機構68によりテレセントリック光学系65および撮像部66等を移動させる場合であっても、これらの構造同士の相対位置の変化を防止することができる。
【0083】
上述のように、照明部64は、検査位置において基板9の他方の主面の周縁部(すなわち、下面93の周縁部931または上面91の周縁部911)にも光を照射することが好ましい。また、基板検査装置1は、当該検査位置における基板9の他方の主面の周縁部からの反射光である第3反射光(すなわち、下反射光R3または上反射光R1)を導く第3反射ミラー部(すなわち、下反射ミラー部63または上反射ミラー部61)をさらに備えることが好ましい。当該第3反射ミラー部により導かれた第3反射光は、テレセントリック光学系65に入射する。撮像部66では、テレセントリック光学系65を通過した第3反射光が受光され、基板9の他方の主面の周縁部の像である第3像(すなわち、下面周縁像73または上面周縁像71)が結像する。これにより、基板9の他方の主面の周縁部も簡素な構造で高精度に検査することができる。
【0084】
上述の基板検査装置1では、様々な変更が可能である。
【0085】
例えば、撮像部66は、上述のようにエリアセンサ等であってもよい。この場合、基板9の周縁部911,931および端面92の撮影は、基板回転機構33により基板9を周方向にステップ移動させつつ行われる。具体的には、基板9上の周方向の一の位置において周縁部911,931および端面92の撮像が終了すると、基板9を所定の角度だけ回転させて回転を停止し、基板9のテレセントリック光学系65に対する相対位置の補正が行われた後、基板9の周縁部911,931および端面92の撮像が行われる。そして、これらの動作が繰り返されることにより、基板9の周縁部911,931および端面92の撮像が、周方向の全周に亘って行われる。
【0086】
上反射ミラー部61、横反射ミラー部62および下反射ミラー部63を構成する光学素子の種類、数、配置等は様々に変更されてよい。また、上照明部641、横照明部642および下照明部643の種類、数、配置等も様々に変更されてよい。例えば、上反射ミラー部61の平面ミラー611がハーフミラーに変更され、上照明部641が当該ハーフミラーの上方に配置されることにより、同軸落射式の照明とされてもよい。
【0087】
撮像部66により取得される初期画像および被検査画像では、上述のように、上面周縁像71、端面像72および下面周縁像73がそれぞれ離間していることが好ましいが、これらの像は重なっていてもよい。これらの像はテレセントリック光学系65により結像されているため、大きさが一定である。したがって、当該大きさを記憶部801に予め記憶しておくことにより、上面周縁像71、端面像72および下面周縁像73が重なっている場合であっても、撮像部66上におけるこれらの像のそれぞれの位置を検出することができる。また、これらの像の位置を利用して、基板9のテレセントリック光学系65に対する相対位置の補正を行うこともできる。なお、基板9の上記検査を精度良く行うという観点からは、上面周縁像71、端面像72および下面周縁像73はそれぞれ、他の像と重ならない部分を有していることが好ましい。
【0088】
上述のように、上反射光R1の上光路長と横反射光R2の横光路長との差、横光路長と下反射光R3の下光路長との差、および、下光路長と上光路長との差はそれぞれ、テレセントリック光学系65の被写界深度以下であることが好ましいが、被写界深度よりも大きくてもよい。
【0089】
上照明部641による照明範囲A1は、必ずしも、基板9の上面91のベベル部914から延びる仮想的な上記直線N1,N2を含む必要はなく、上照明部641の照明範囲A1とベベル部914との上記位置関係は様々に変更されてよい。下照明部643の照明範囲と基板9の下面93のベベル部934との位置関係についても同様である。
【0090】
基板9では、上面91の周縁部911は平面部915を含まず、ベベル部914のみを含んでいてもよい。この場合、ベベル部914全体が周縁部911であってもよく、ベベル部914のうち径方向外側の一部のみが周縁部911であってもよい。あるいは、基板9の上面91からベベル部914が省略され、端面92の上端から略水平に径方向内方へと広がる平面部915のうち径方向外側の部分が周縁部911であってもよい。
【0091】
また、基板9の下面93の周縁部931は平面部935を含まず、ベベル部934のみを含んでいてもよい。この場合、ベベル部934全体が周縁部931であってもよく、ベベル部934のうち径方向外側の一部のみが周縁部931であってもよい。あるいは、基板9の下面93からベベル部934が省略され、端面92の下端から略水平に径方向内方へと広がる平面部935のうち径方向外側の部分が周縁部931であってもよい。
【0092】
基板検査装置1では、基板9のテレセントリック光学系65に対する上下方向の相対移動は、例えば、テレセントリック光学系65等を保持する観察系保持部67を上下方向に移動する機構が設けられ、観察系保持部67が昇降されることにより実現されてもよい。また、基板9のテレセントリック光学系65に対する径方向の相対移動は、例えば、基板9を保持する基板保持部31を径方向に移動する機構が設けられ、基板保持部31が径方向に移動されることにより実現されてもよい。
【0093】
基板処理システム10では、上述の基板検査装置1による基板9の検査は、基板9に対する液処理等が行われる処理ユニット108とは別の処理ユニット108で行われてもよく、同じ処理ユニット108で行われてもよい。例えば、1つの処理ユニット108内に、基板9の液処理を行う液処理装置、上述の基板検査装置1、および、液処理装置と基板検査装置1との間で基板9を搬送する搬送ロボットが設けられ、当該液処理装置にて基板9の液処理が行われた後、基板検査装置1にて基板9の検査が行われてもよい。
【0094】
あるいは、1つの処理ユニット108内において、基板9の液処理用の構成が基板検査装置1に設けられてもよい。例えば、基板9の周縁部911,931に洗浄液等の処理液を供給する処理ノズル、および、基板9の周囲にて基板9から飛散する処理液を受けるカップ部等が、基板検査装置1に設けられる。この場合、上述の基板9の撮像および検査は、基板9に対する液処理後に行われてもよく、基板9に対する液処理と並行して行われてもよい。
【0095】
基板検査装置1では、基板回転機構33に代えて、観察系保持部67を基板保持部31の周囲にて中心軸J1を中心として回転させる観察系回転機構が設けられてもよい。また、基板9の周縁部911,931および端面92を周方向の全周に亘って検査する必要がない場合等、基板回転機構33および観察系回転機構は省略されてもよい。
【0096】
観察部6では、必ずしも、テレセントリック光学系65および撮像部66等が観察系保持部67により一体的に保持される必要はなく、観察部6の各構成が別々のフレーム等に固定されていてもよい。
【0097】
基板検査装置1では、必ずしも、基板9の上面91の周縁部911および下面93の周縁部931の双方について検査が行われる必要はなく、撮像部66により、上面91および下面93のうち一方のみの周縁部、および、基板9の端面92の撮像および検査が行われればよい。
【0098】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0099】
1 基板検査装置
9 基板
31 基板保持部
33 基板回転機構
35 基板昇降機構
61 上反射ミラー部
62 横反射ミラー部
63 下反射ミラー部
64 照明部
65 テレセントリック光学系
66 撮像部
67 観察系保持部
68 観察系移動機構
71 上面周縁像
72 端面像
73 下面周縁像
91 上面
92 端面
93 下面
641 上照明部
642 横照明部
643 下照明部
802 位置補正部
914 ベベル部
934 ベベル部
A1 照明範囲
J1 中心軸
N1,N2 直線
P1 上基準位置
P2 横基準位置
P3 下基準位置
R1 上反射光
R2 横反射光
R3 下反射光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11