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特許7521987水道メーター用送信機および水道メーターシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】水道メーター用送信機および水道メーターシステム
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/00 20220101AFI20240717BHJP
   G01F 15/06 20220101ALI20240717BHJP
   G08C 15/00 20060101ALI20240717BHJP
   G01D 11/24 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
G01F1/00 Y
G01F15/06
G08C15/00 C
G01D11/24 W
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020157731
(22)【出願日】2020-09-18
(65)【公開番号】P2022051314
(43)【公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000222657
【氏名又は名称】東洋計器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(72)【発明者】
【氏名】土田 泰秀
(72)【発明者】
【氏名】土田 泰正
(72)【発明者】
【氏名】中島 寛人
【審査官】羽飼 知佳
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-185649(JP,A)
【文献】特開2007-115843(JP,A)
【文献】特開2018-137322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00- 9/02
G01F 15/00-15/18
H05K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信用のケーブルを介して水道メーターとの間で通信を行う有線通信部と、
外部機器との間で無線通信を行う無線通信部と、
前記有線通信部および前記無線通信部が内蔵された送信機ケースと、
前記ケーブルの余長部分を収納するために前記送信機ケースに設けたケーブル収納部と、
を有しており、
前記ケーブルによって吊り下げられた状態の前記送信機ケースの位置および向きが、予め定めた位置および向きとなるように、
前記ケーブル収納部から引き出される前記ケーブルの引き出し長さと、前記水道メーター用送信機の重心位置に対する、前記ケーブル収納部から引き出される前記ケーブルの引き出し位置または引き出し方向が定められている水道メーター用送信機。
【請求項2】
請求項1において、
前記無線通信部は指向性アンテナを備えており、
前記指向性アンテナがその指向方向を向くように、前記重心位置に対する前記引き出し位置または引き出し方向が定められている水道メーター用送信機。
【請求項3】
請求項において、
前記送信機ケースは扁平な筒形状のケースであり、
前記ケーブル収納部は、
前記送信機ケースの中心軸線を巻き取り中心線とするケーブル巻き取り部と、
当該ケーブル巻き取り部から引き出される前記ケーブルの引き出し長さと、引き出し位置または引き出し方向とを規定するケーブル固定部とを備えている水道メーター用送信機。
【請求項4】
請求項において、
前記無線通信部は指向性アンテナを備えており、
前記指向性アンテナの指向方向は、前記送信機ケースの中心軸線に平行な方向である水道メーター用送信機。
【請求項5】
請求項3または4において、
前記送信機ケースは円盤形状のケースであり、
前記ケーブル巻き取り部は、前記送信機ケースの外周面に沿って全周に亘って形成した円環状のケーブル巻き取り溝を備えており、
前記ケーブル巻き取り溝は前記送信機ケースの外周面から半径方向の外方に開口している水道メーター用送信機。
【請求項6】
請求項3またはおいて、
前記送信機ケースは円盤形状のケースであり、
前記ケーブル巻き取り部は、前記送信機ケースに対して、前記中心軸線回りに回転可能に取り付けた円筒状の外ケースを備え、
前記外ケースは、前記送信機ケースの外周面の全部あるいは一部を全周に亘って覆っており、
前記外ケースの内周面と前記送信機ケースの外周面との間に、円環状のケーブル巻き取り空間が形成されており、
前記外ケースには、前記ケーブル巻き取り空間と外部を連通するケーブル通し孔が形成
されており、
前記外ケースを一方向に回転すると、前記ケーブルを、前記ケーブル通し孔から前記ケーブル巻き取り空間内に引き込み前記送信機ケースの外周面に巻き取り可能であり、前記外ケースを逆方向に回転すると、前記ケーブル通し孔を介して外部に前記ケーブルを引き出し可能である水道メーター用送信機。
【請求項7】
請求項3またはおいて、
前記送信機ケースは円盤形状のケースであり、
前記ケーブル巻き取り部は、前記送信機ケースの上端面あるいは下端面に取り付けたケーブル巻き取り用リールを備えている水道メーター用送信機。
【請求項8】
電子式の水道メーターと、
水道メーター用送信機と、
前記水道メーターと前記水道メーター用送信機の間を接続する通信用のケーブルと、
を備えており、
前記水道メーター用送信機は、請求項1ないし7のうちのいずれか一つの項に記載の水道メーター用送信機であることを特徴とする水道メーターシステム
【請求項9】
請求項8に記載の水道メーターシステムにおいて、
前記水道メーターが収納されるメーターボックスを備えており、
前記水道メーター用送信機は、前記ケーブルによって接続された状態で前記メーターボックスの内部に配置されている水道メーターシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信用のケーブルを介して水道メーターに接続して用いられる水道メーター用送信機、および、水道メーター用送信機がケーブルを介して水道メーターに接続された構成の水道メーターシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
水道メーターは、一般に、水平に配置されている水道管の部分に水平な姿勢で接続して使用される。例えば、地中に埋設したメーターボックス内において水道管に接続して使用される。水道メーターとしては、メーターケースに流量計測用の電子部品が収納された電子式計測ユニットが搭載された電子式の水道メーターが知られている(特許文献1)。
【0003】
電子式水道メーターの検針方法としては特定小電力無線により非接触状態で検針データ(計測データ)を集計するシステムが知られている。この検針システムでは、水道使用場所に設置されている各水道メーターに通信用のケーブルを介して無線子機が接続される。伝送装置に接続されている無線親機から各無線子機に対して検針データの要求を行うと、これに応答して、無線子機からは、電子式水道メーターに記憶保持されている計測データが送信される。無線親機に集計された各計測データは、伝送装置を介して管理コンピュータ(図示せず)に読み込まれて、ここで集計される(特許文献2)。
【0004】
一方、電子式の水道メーターの検針システムとして、各水道メーターの検針データを、PHS、一般加入電話回線、IP網あるいはCATV網などを介して、直接に、検針センター端末に収集するものが知られている(特許文献3の背景技術の欄)。このシステムにおいても、各水道メーターには無線通信機能が搭載されるか、あるいは、水道メーターに通信用のケーブルを介して送信機が接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-340634号公報
【文献】特開2002-150463号公報
【文献】特開2020-063941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の検針システムを利用して検針等を行うために、通信機能が備わっていない水道メーターには、一般に、通信用のケーブルを介して水道メーター用送信機が接続される。例えば、メーターボックス内において、水道管に取り付けた水道メーターに、通信用のケーブルを介して水道メーター用送信機が接続され、この状態で水道メーター用送信機がメーターボックス内に設置される。
【0007】
この場合、水道メーター用送信機は、一般的に、水道メーターにケーブルで接続された状態でメーターボックスの底に置かれ、その位置、向き、姿勢が不定である。また、余ったケーブルの部分は、そのまま狭いメーターボックス内に束ねられたままとなる。送信機、ケーブルが、メーターボックス内に浸入した水、泥などに埋もれ、劣化が早まるおそれがある。また、水道メーター用送信機、ケーブルが水、泥に埋もれ、水道メーター用送信機の位置が不定であると、例えば指向性アンテナを備えた水道メーター用送信機等においては、指向性アンテナが不適切な方向を向いた状態になったり、ケーブルの影響や、水、泥などの影響を受けたりして、通信障害が発生し、無線通信による自動検針動作等ができないおそれがある。
【0008】
一方、地上に設置される水道メーターにケーブルを介して水道メーター用送信機を接続した場合においても、水道メーターからケーブルによって水道メーター用送信機が吊り下げられ、ケーブル余長部分が乱雑に束ねられた状態になることがある。また、送信機の位置、向き、姿勢が不定の状態となり、内蔵の指向性アンテナが適切な方向を向いた受信感度の良い状態に保持できないことがある。
【0009】
本発明の目的は、このような点に鑑みて、水道メーターとの間を繋ぐ通信用のケーブルに余長部分が生じないようにし、水道メーターに対してケーブルによって吊り下げ状態に保持される水道メーター用送信機の位置、向きを適切な状態に保持できるようにした水道メーター用送信機、および、当該水道メーター用送信機を備えた水道メーターシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の水道メーター用送信機は、
通信用のケーブルを介して水道メーターとの間で通信を行う有線通信部と、
外部機器との間で無線通信を行う無線通信部と、
前記有線通信部および前記無線通信部が内蔵された送信機ケースと、
前記ケーブルの余長部分を収納するために前記送信機ケースに設けたケーブル収納部と、
を有していることを特徴としている。
【0011】
水道メーターと水道メーター用送信機の間をケーブルで接続した後、ケーブルの余った部分は、水道メーター用送信機のケーブル収納部に収納できる。ケーブル収納部から引き出されるケーブルの長さ(水道メーターと水道メーター用送信機との間に架け渡されるケーブルの長さ)を、適切な長さに設定できる。これにより、余ったケーブルの部分を、邪魔にならないように束ねる等の作業が不要となり、狭い設置スペースに、余ったケーブルの部分の配置スペースを確保する必要もない。
【0012】
水道メーターから吊り下げられ、水道メーターに乗せた状態、あるいは、壁等に吊り下げた状態に設置される水道メーター用送信機の位置、向きを、余長の無い状態で架け渡されたケーブルによってある程度、規制できる。ケーブルの引き出し長さを適切に定め、水道メーター用送信機の重心位置に対して、ケーブル収納部から引き出されるケーブルの引き出し位置、引き出し方向を適切に定めておく。これにより、ケーブルによって、水道メーターから吊り下げられた状態、水道メーターに乗せた状態、壁等に架けた状態に設置される水道メーター用送信機の位置、向きを、変化しないように拘束できる。
【0013】
特に、無線通信部が指向性アンテナを備えている場合には、指向性アンテナが適切な方向を向くように、水道メーター用送信機を設置する必要がある。ケーブルの引き出し長さを適切に設定すると共に、水道メーター用送信機の重心位置に対して、ケーブル収納部から引き出されるケーブルの引き出し位置、引き出し方向を事前に定めておく。これにより、水道メーター用送信機を、受信感度の良好な位置、向きとなるように設置できる。また、ケーブルによって、設置位置、向きが変わらないように、水道メーター用送信機が保持される。
【0014】
本発明の水道メーター用送信機、通信用のケーブルおよび水道メーターを備えた水道メーターシステムを用いれば、メーターボックス内などの限られた設置スペース内において、整然と、水道メーターにケーブルによって接続して水道メーター用送信機を収納できる。また、水道メーター用送信機、ケーブルがメーターボックスの底に置かれて水、泥等に埋もれてしまうことも回避できる。さらに、水道メーター用送信機の位置、向きをケーブルによってある程度の拘束力を伴って規制できるので、通信障害を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明を適用した水道メーター用送信機を備えた検針システムの例を示す説明図である。
図2】水道メーターを示す平面図および側面図である。
図3】水道メーター用送信機を示す外観斜視図、概略縦断面図および概略横断面図である。
図4】水道メーターに水道メーター用送信機を取り付けた状態を示す平面図および側面図である。
図5】水道メーター用送信機の別の例を示す外観斜視図である。
図6】水道メーター用送信機の更に別の例を示す側面図および底面図である。
図7】水道メーター用送信機の設置状態の2例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照して本発明を適用した水道メーター用送信機の実施の形態を説明する。なお、以下に述べる実施の形態は本発明の一例を示すものであり、本発明を実施の形態の構成に限定することを意図したものではない。
【0017】
図1は本発明を適用した水道メーター用送信機を備えた水道メーターの自動検針システムの一例を示す概念図である。各水道使用場所に設置されている水道メーターシステムは、電子式の水道メーター1に通信用のケーブル2を介して、水道メーター用送信機3が接続された構成となっている。水道メーター用送信機3は、LTE網等の通信回線網4を介して、管理会社の管理サーバー5に接続される。各水道事業者は、PC等の通信端末6を介して、管理サーバー5との間で通信を行う。水道メーター1の検針値は、定期的に、あるいは、管理サーバー5からの要求に応答して、水道メーター用送信機3を介して管理サーバー5に送信される。管理会社の管理サーバー5によって、各水道事業者に代わって検針、水道料金の課金・集金等の処理が行われたり、水道事業者のPC等の通信端末6でも同様のことが行われる。
【0018】
各水道使用場所において、水道メーター1は、例えば、地中等に設置されたメーターボックス7の内部において、水平に延びる水道管8に接続して用いられる。この場合には、水道メーター用送信機3も、ケーブル2を介して水道メーター1に接続された状態でメーターボックス内に収納される。
【0019】
図2(a)は水道メーター1の一例を示す平面図であり、図2(b)はその側面図である。水道メーター1は、水道管8の間に接続されるメーターケース11を備えており、メーターケース11の中央部分の内部は流量を計測する計量室12となっている。メーターケース11の中央部分は上方に突出している円筒部18が形成されている。円筒部18の上端開口からは、その内部に、コンピュータを中心に構成される計測ユニット13が収納されている。計測ユニット13の上端には液晶表示部14が配置されている。円筒部18の上端縁部には円環状のフランジ19が取り付けられており、フランジ19によって、計測ユニット13、液晶表示部14が円筒部18から抜け出ないように固定されている。フランジ19の円形外周面からは、4本のリブ19aが90度間隔で突出している。また、液晶表示部14の表示面を覆うようにメーター蓋15が取り付けられている。
【0020】
図2(a)において破線で示すように、メーター蓋15で覆われている液晶表示部14の表示面に隣接して、外部出力端子16を覆う端子カバー17が取り付けられている。外部出力端子16には通信用のケーブル2の一方の端部21が接続される。ケーブル2は、端子カバー17の側面から引き出された後、メーター蓋15の側面に形成したU状の溝を通って外部に引き出される。
【0021】
図3(a)は水道メーター用送信機3の一例を示す外観図であり、図3(b)はその概略縦断面図であり、図3(c)はその概略横断面図である。水道メーター用送信機3(以下、単に「送信機3」と呼ぶ場合もある。)は、円盤形状をしたプラスチック成形品等からなる防水性の送信機ケース31を備えている。この送信機ケース31の内部には、コンピュータを中心に構成される通信制御部32、有線式の通信部33、無線式の通信部34、および電池電源35が組み込まれている。
【0022】
送信機ケース31の内部の有線式の通信部33は外部出力端子36を備えており、ここに、ケーブル2の他方の端部22が接続されている。通信部33は、ケーブル2を介して水道メーター1の計測ユニット13との間で電文通信を行う。無線式の通信部34は、通信用電子部品、回路、無線通信モジュールが実装された通信基板37および無線通信用の指向性アンテナ38等を備えている。通信部34は、LTE網等の無線通信回線網を介して外部機器との間で通信を行う。
【0023】
ここで、送信機ケース31の外周面部分には、ケーブル収納部として機能するケーブル巻き取り部40が組付けられている。ケーブル巻き取り部40は、送信機ケース31に対して、その中心軸線3aを中心として回転可能に取り付けた円筒状の外ケース41を備えている。この外ケース41は、送信機ケース31の円形外周面31aを全周に亘って覆っている。外ケース41の円形内周面41aと送信機ケース31の円形外周面31aとの間には、円環状のケーブル巻き取り空間42が形成されている。このケーブル巻き取り空間42は、半径方向の厚さが一定で、中心軸線3aに沿った高さ方向の幅が一定の空間である。
【0024】
外ケース41には、ケーブル巻き取り空間42と外部を連通するケーブル通し孔43が形成されている。ケーブル通し孔43は、外ケース41の円形外周面における上端側の部位において、半径方向の外方に向けて開口している。また、内側の送信機ケース31の円形外周面31aにも、ケーブル通し孔44が形成されている。ケーブル通し孔44は、外部出力端子36に対峙する送信機ケース31の円形外周面31aの部位に開口している。
【0025】
ケーブル2の端部22は、一方の端部21が水道メーター1の側の外部出力端子16に接続され、ケーブル2は送信機3の外部出力端子36から、送信機ケース31のケーブル通し孔44を通ってケーブル巻き取り空間42に引き出されて、ここから、外ケース41のケーブル通し孔43を通って外部に引き出されて、水道メーター1の側に繋がっている。ケーブル通し孔44とケーブル2との間はシール材などによって液密状態に保持されている。
【0026】
送信機ケース31の上端面31bおよび下端面31cを保持し、外ケース41を、中心軸線3aを中心として回すと、ケーブル2が外側のケーブル通し孔43からケーブル巻き取り空間42に引き込まれて、送信機ケース31の円形外周面31aに巻き取られる。これにより、ケーブル通し孔43から引き出されるケーブルの部分を適切な長さに設定でき、ケーブル2を余長のない状態で、水道メーター1と送信機3との間に架け渡した状態を形成できる。なお、ケーブル引き出し長さを決めた後は、不図示のビス等の固定金具あるいは回り止機構によって、外ケース41を送信機ケース31に固定する。これにより、ケーブル引き出し長さ、引き出し位置が固定される。
【0027】
図4(a)は、このようにケーブル引き出し長さを設定して、水道メーター1の上面側に送信機3を設置した状態の一例を示す平面図であり、図4(b)はその側面図である。例えば、送信機3は、水道メーター1のメーターケース11の上側に傾斜した姿勢で立てかけられた状態に保持される。水道メーター1と送信機3との間を繋ぐケーブル2の長さは、必要最小限の長さとなるように、ケーブル2の余長部分がケーブル巻き取り部40に巻き取られている。所定の緊張状態に架け渡されたケーブル2によって、送信機3は、その上端面31bの側が斜め上方を向く姿勢で、水道メーター1の上面側に斜めに立てかけられた姿勢に保持される。
【0028】
送信機3のケーブル巻き取り部40においては、送信機3の上下方向に延びる中心軸線3aを巻き取り中心としてケーブル2が巻き取られる。また、送信機3のケーブル通し孔43は、円盤形状の送信機3の円形外周面に形成されており、ケーブル2はケーブル通し孔43から半径方向の外方に向けて、中心軸線3aに直交する方向に引き出される。さらに、本例では、送信機3の重心位置は、中心軸線3a上に位置するように、各部が配置されている。送信機3は、自重により、水道メーター1に押し付けられ状態で、ケーブル2によって、斜めに立てかけられた姿勢に保持される。送信機3の無線通信部の指向性アンテナ38の指向方向は、中心軸線3aに平行な方向に設定されている。送信機3は、指向方向が斜め上方を向く状態に保持され、必要とされる受信感度が確保される。また、メーターボックス7内の底に送信機3が置かれたままの場合とは異なり、メーターボックス7に侵入した水、泥等に、送信機、ケーブルが埋もれてしまうことがない。
【0029】
(水道メーター用送信機の別の例)
図5には、上記のケーブル巻き取り部40とは異なる構造のケーブル巻き取り部を備えた送信機を示す外観斜視図である。この図に示す送信機3Aのケーブル巻き取り部140は、円盤形状の送信機ケース141の円形外周面に、全周に亘って矩形断面のケーブル巻き取り溝142が形成されている。ケーブル巻き取り溝142は円形外周面において半径方向の外方に開口している。また、ケーブル巻き取り部140は、ケーブル巻き取り溝142に巻き取られたケーブル2が当該溝から外れないように固定すると共に、ケーブル巻き取り溝142からのケーブル引き出し位置を規定するケーブル固定部143が備わっている。ケーブル固定部143は、結束バンド144と、送信機ケース141におけるケーブル巻き取り溝142の上下の部位に形成した一対のバンド通し孔145、146とを備えている。
【0030】
ケーブル2の余長部分をケーブル巻き取り溝142に巻き取り、バンド通し孔145が位置している部位から必要な長さのケーブル2を引き出す。この状態で、結束バンド144をバンド通し孔145、146に通し、結束バンド144によって巻き取られたケーブル2の部分を束ねる。これにより、ケーブル引き出し長さと、ケーブル引き出し位置が固定される。
【0031】
図6(a)は、更に別の構成のケーブル巻き取り部を備えた送信機3Bを示す側面図であり、図6(b)はその底面図である。送信機3Bは円盤形状をした送信機ケース241を備えている。送信機ケース241の円形の下端面241cには、同軸に、ケーブル巻き取りリール243が取り付けられている。ケーブル巻き取りリール243は、下端面241cに同軸に取り付けた円筒状の巻き取り芯244と、その下端縁に同軸に取り付けた円環状のフランジ245とを備えている。また、下端面241cの外周縁の側の部位には、ケーブル2を所定の拘束力で差し込み可能なケーブル通し溝246が形成されている。
【0032】
送信機3Bの外部接続端子から引き出されて水道メーター1に接続されるケーブル2の余長部分は、ケーブル巻き取りリール243に巻き取られる。ケーブル巻き取りリール243から引き出されるケーブル2の部分は、ケーブル通し溝246を通して外側に引き出される。これにより、ケーブル引き出し長さと、ケーブル引き出し位置および方向が固定される。
【0033】
図7は、上記とは異なる送信機の設置例を示す説明図である。例えば、図4に示す送信機3は、図7(a)に示すように、メーターケース11の側方に、ケーブル2によって吊り下げた状態に設置できる。この場合、送信機3の重心位置を、その中心Oに位置させ、不図示の指向性アンテナの指向方向を矢印Aで示すように送信機ケース31の直径方向としておく。また、重心位置(O)とケーブル取出し位置Bとを結ぶ直径線に対して、矢印Aで示す指向方向が斜め上方に所定の角度、例えば45°の角度で延びる方向に設定しておく。このように、重心位置(O)、ケーブル引き出し位置Bおよび指向方向(A)を設定しておけば、送信機3をケーブル2によって吊り下げた状態において、指向性アンテナがその指向方向を向くように、送信機3の位置、向き(姿勢)が定まる。
【0034】
例えば、メーターケース11の中央から上方に延びている円筒部18の上端縁部に取り付けた円環状のフランジ19の円形外周面に90度の角度間隔で形成されている4本のリブ19aのうちの2本を利用して、送信機3を拘束することができる。図に示すように、90度間隔で配置されている2本のリブ19aの間に挟まるように送信機3を吊り下げる。ケーブル2によって、下側から2本のリブ19aに押し付けるように送信機3を引き上げた状態にする。これにより、送信機3が上下左右に振れることなく、定まった姿勢で吊り下げられる。
【0035】
また、図7(b)に示すように、水道メーター1の近傍の壁等に、金具Cによってケーブル2を吊り掛け、送信機3を吊り下げた状態に設置できる。この場合においても、送信機3の位置、向き(姿勢)が定まる。よって、設置される送信機3の通信状態を適切な状態に維持できる。
【0036】
(その他の実施の形態)
(1)上記の各例では、ケーブル収納部としてケーブル巻き取り部を用いている。場合によっては、ケーブルを巻き取らずに束ねた状態で送信機ケースの内部に設けたケーブル収納部に収納することも可能である。
(2)送信機ケースは、円盤形状の代わりに、各種の形状とすることができる。例えば、扁平か筒形状にすることができる。例えば、扁平な矩形筒形状などの多角形輪郭の筒形状とし、この外周面を、ケーブル巻き取り部として利用してもよい。
(3)ケーブル巻き取り部に巻き取られたケーブルが外れないように固定し、ケーブル巻き取り部からのケーブル引き出し長さ、位置あるいは方向を規定するケーブル固定部も、各種の構造のものを用いることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 水道メーター
2 ケーブル
3 水道メーター用送信機(送信機)
3a 中心軸線
3A、3B 送信機
4 通信回線網
5 管理サーバー
6 通信端末
7 メーターボックス
8 水道管
11 メーターケース
12 計量室
13 計測ユニット
14 液晶表示部
15 メーター蓋
16 外部出力端子
17 端子カバー
18 円筒部
19 フランジ
19a リブ
21、22 端部
31 送信機ケース
31a 円形外周面
31b 上端面
31c 下端面
32 通信制御部
33 通信部
34 通信部
35 電池電源
36 外部出力端子
37 通信基板
38 指向性アンテナ
40 ケーブル巻き取り部
41 外ケース
41a 円形内周面
42 ケーブル巻き取り空間
43、44 ケーブル通し孔
140 ケーブル巻き取り部
141 送信機ケース
142 ケーブル巻き取り溝
143 ケーブル固定部
144 結束バンド
145、146 ケーブル通し孔
241 送信機ケース
241c 下端面
243 ケーブル巻き取りリール
244 巻き取り芯
245 フランジ
246 ケーブル通し溝
A 矢印(指向方向)
B ケーブル引き出し位置
C 金具
O 中心(重心位置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7