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特許7521988基板位置検出方法、描画方法、基板位置検出装置および描画装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】基板位置検出方法、描画方法、基板位置検出装置および描画装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020158301
(22)【出願日】2020-09-23
(65)【公開番号】P2022052111
(43)【公開日】2022-04-04
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【弁理士】
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【弁理士】
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】田中 尚武
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-520825(JP,A)
【文献】特開2011-197120(JP,A)
【文献】特開平11-214287(JP,A)
【文献】特開2006-005242(JP,A)
【文献】特開2001-307998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20-7/24
G03F 9/00-9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の位置を検出する基板位置検出方法であって、
a)格子状の分割予定ラインによりそれぞれが矩形状に区画された複数の基板要素を有する基板を保持する工程と、
b)前記複数の基板要素から選択された2つ以上の選択基板要素をそれぞれ撮像して2つ以上の撮像画像を取得する工程と、
c)前記2つ以上の撮像画像のそれぞれに対して基準画像を用いたパターンマッチングを行うことにより、前記2つ以上の選択基板要素の位置をそれぞれ求め、前記基板の位置を検出する工程と、
を備え、
前記複数の基板要素はそれぞれ、1つ以上の角部が欠けた略矩形状の領域外縁の内側に所定のパターンが形成されているパターン領域を有し、
前記基準画像は、前記領域外縁の各辺において角部を除いて設定された線分の集合であることを特徴とする基板位置検出方法。
【請求項2】
請求項1に記載の基板位置検出方法であって、
前記基準画像は、前記領域外縁の前記各辺における最長の線分を含むことを特徴とする基板位置検出方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板位置検出方法であって、
前記基準画像では、前記領域外縁の前記各辺における線分は、前記各辺の他の辺との仮想的な交点から前記各辺の長さの10%以上離間することを特徴とする基板位置検出方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1つに記載の基板位置検出方法であって、
前記c)工程において、前記基準画像とのパターンマッチング前に前記2つ以上の撮像画像に対してクロージング処理が行われることを特徴とする基板位置検出方法。
【請求項5】
基板の位置を検出する基板位置検出方法であって、
a)格子状の分割予定ラインによりそれぞれが矩形状に区画された複数の基板要素を有する基板を保持する工程と、
b)前記複数の基板要素から選択された2つ以上の選択基板要素をそれぞれ撮像して2つ以上の撮像画像を取得する工程と、
c)前記2つ以上の撮像画像のそれぞれに対して基準画像を用いたパターンマッチングを行うことにより、前記2つ以上の選択基板要素の位置をそれぞれ求め、前記基板の位置を検出する工程と、
を備え、
前記複数の基板要素はそれぞれ、略矩形状の領域外縁の内側に所定のパターンが形成されているパターン領域を有し、
前記基準画像は、前記領域外縁の各辺において角部を除いて設定された線分の集合であり、
前記b)工程において1回の撮像で取得可能な撮像可能領域の大きさが前記各選択基板要素よりも小さく、
前記2つ以上の撮像画像はそれぞれ、前記b)工程において複数回の撮像により得られた複数の部分画像をベース画像上に合成することにより生成され、
前記複数の部分画像の周囲における前記ベース画像の画素値と、前記複数の部分画像全体の平均画素値との差は、前記パターン領域を背景領域と区別するために設定されている画素値の差よりも小さいことを特徴とする基板位置検出方法。
【請求項6】
基板の位置を検出する基板位置検出方法であって、
a)格子状の分割予定ラインによりそれぞれが矩形状に区画された複数の基板要素を有する基板を保持する工程と、
b)前記複数の基板要素から選択された2つ以上の選択基板要素をそれぞれ撮像して2つ以上の撮像画像を取得する工程と、
c)前記2つ以上の撮像画像のそれぞれに対して基準画像を用いたパターンマッチングを行うことにより、前記2つ以上の選択基板要素の位置をそれぞれ求め、前記基板の位置を検出する工程と、
を備え、
前記複数の基板要素はそれぞれ、略矩形状の領域外縁の内側に所定のパターンが形成されているパターン領域を有し、
前記基準画像は、前記領域外縁の各辺において角部を除いて設定された線分の集合であり、
前記b)工程において取得された撮像画像に選択基板要素の一部のみが含まれている場合、前記c)工程では、前記撮像画像の周囲に枠状の拡張画像が付加された状態で前記パターンマッチングが行われ、
前記撮像画像の周囲における前記拡張画像の画素値と、前記撮像画像全体の平均画素値との差は、前記パターン領域を背景領域と区別するために設定されている画素値の差よりも小さいことを特徴とする基板位置検出方法。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれか1つに記載の基板位置検出方法であって、
前記b)工程において取得された撮像画像に選択基板要素の一部のみが含まれている場合、前記c)工程に代えて、または、前記c)工程の後に、前記基板がエラー基板である旨が通知されることを特徴とする基板位置検出方法。
【請求項8】
基板に対する描画を行う描画方法であって、
d)請求項1ないし7のいずれか1つに記載の基板位置検出方法により基板の位置を検出する工程と、
e)前記d)工程において検出された前記基板の位置に基づいて描画位置を調節しつつ、前記基板の前記複数の基板要素に対して光を照射して描画を行う工程と、
を備えることを特徴とする描画方法。
【請求項9】
基板の位置を検出する基板位置検出装置であって、
格子状の分割予定ラインによりそれぞれが矩形状に区画された複数の基板要素を有する基板を保持する基板保持部と、
前記複数の基板要素から選択された2つ以上の選択基板要素をそれぞれ撮像して2つ以上の撮像画像を取得する撮像部と、
前記2つ以上の撮像画像のそれぞれに対して基準画像を用いたパターンマッチングを行うことにより、前記2つ以上の選択基板要素の位置をそれぞれ求め、前記基板の位置を検出する検出部と、
を備え、
前記複数の基板要素はそれぞれ、1つ以上の角部が欠けた略矩形状の領域外縁の内側に所定のパターンが形成されているパターン領域を有し、
前記基準画像は、前記領域外縁の各辺において角部を除いて設定された線分の集合であることを特徴とする基板位置検出装置。
【請求項10】
基板の位置を検出する基板位置検出装置であって、
格子状の分割予定ラインによりそれぞれが矩形状に区画された複数の基板要素を有する基板を保持する基板保持部と、
前記複数の基板要素から選択された2つ以上の選択基板要素をそれぞれ撮像して2つ以上の撮像画像を取得する撮像部と、
前記2つ以上の撮像画像のそれぞれに対して基準画像を用いたパターンマッチングを行うことにより、前記2つ以上の選択基板要素の位置をそれぞれ求め、前記基板の位置を検出する検出部と、
を備え、
前記複数の基板要素はそれぞれ、略矩形状の領域外縁の内側に所定のパターンが形成されているパターン領域を有し、
前記基準画像は、前記領域外縁の各辺において角部を除いて設定された線分の集合であり、
前記撮像部による1回の撮像で取得可能な撮像可能領域の大きさが前記各選択基板要素よりも小さく、
前記2つ以上の撮像画像はそれぞれ、前記撮像部による複数回の撮像により得られた複数の部分画像をベース画像上に合成することにより生成され、
前記複数の部分画像の周囲における前記ベース画像の画素値と、前記複数の部分画像全体の平均画素値との差は、前記パターン領域を背景領域と区別するために設定されている画素値の差よりも小さいことを特徴とする基板位置検出装置。
【請求項11】
基板の位置を検出する基板位置検出装置であって、
格子状の分割予定ラインによりそれぞれが矩形状に区画された複数の基板要素を有する基板を保持する基板保持部と、
前記複数の基板要素から選択された2つ以上の選択基板要素をそれぞれ撮像して2つ以上の撮像画像を取得する撮像部と、
前記2つ以上の撮像画像のそれぞれに対して基準画像を用いたパターンマッチングを行うことにより、前記2つ以上の選択基板要素の位置をそれぞれ求め、前記基板の位置を検出する検出部と、
を備え、
前記複数の基板要素はそれぞれ、略矩形状の領域外縁の内側に所定のパターンが形成されているパターン領域を有し、
前記基準画像は、前記領域外縁の各辺において角部を除いて設定された線分の集合であり、
前記撮像部により取得された撮像画像に選択基板要素の一部のみが含まれている場合、前記検出部では、前記撮像画像の周囲に枠状の拡張画像が付加された状態で前記パターンマッチングが行われ、
前記撮像画像の周囲における前記拡張画像の画素値と、前記撮像画像全体の平均画素値との差は、前記パターン領域を背景領域と区別するために設定されている画素値の差よりも小さいことを特徴とする基板位置検出装置。
【請求項12】
基板に対する描画を行う描画装置であって、
請求項9ないし11のいずれか1つに記載の基板位置検出装置と、
基板に対して光を照射して描画を行う描画部と、
前記基板位置検出装置により検出された前記基板の位置に基づいて前記描画部を制御することにより、描画位置を調節しつつ前記基板の前記複数の基板要素に対して描画を行わせる描画制御部と、
を備えることを特徴とする描画装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の位置を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体基板、プリント基板、または、有機EL表示装置もしくは液晶表示装置用のガラス基板等(以下、「基板」という。)に形成された感光材料に光を照射することにより、パターンの描画が行われている。このような描画を行う描画装置では、基板上に設けられたアライメントマークが撮像され、撮像結果に基づいてパターンの描画位置を自動的に調節するアライメント処理が行われている。
【0003】
近年、半導体パッケージ用基板では、1枚の基板から採取できるパッケージ数を増加させるために、アライメントマークを配置するためのスペースの削減が求められている。そこで、基板にアライメント専用のマークを設けることなく、基板上のパターンの一部をアライメントマークとして利用することが行われている。この場合、当該パターンのうちアライメントマークとして利用される部分は、ユニークな形状を有し、かつ、基板上に一定数存在する必要がある。しかしながら、パターンの中からこのような条件を満たす部分を特定するためには繁雑な作業が必要であり、また、条件を満たす部分が必ずしも存在するとは限らない。
【0004】
一方、特許文献1では、主面上に複数のダイが配置された基板等のワークピースを描画装置においてアライメントする際に、ワークピースの縁部や角部、または、基準ダイの縁部や角部を基準フィーチャとして用いることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2013-520825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、半導体パッケージ用基板では、パッケージが作成される矩形領域の角部は、斜めに面取りされていたり、小さい矩形が切り抜かれている等、イレギュラーな形状を有する場合がある。当該角部の形状は、基板毎に異なる場合もあり、1枚の基板上の複数の矩形領域において異なる場合もある。したがって、当該矩形領域をパターンマッチングにより検出してアライメントマークとして用いようとしても、パターンマッチング用のテンプレートと当該矩形領域の角部が一致せず、検出できない、または、誤検出されるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、基板の位置検出を容易かつ精度良く行うことを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、基板の位置を検出する基板位置検出方法であって、a)格子状の分割予定ラインによりそれぞれが矩形状に区画された複数の基板要素を有する基板を保持する工程と、b)前記複数の基板要素から選択された2つ以上の選択基板要素をそれぞれ撮像して2つ以上の撮像画像を取得する工程と、c)前記2つ以上の撮像画像のそれぞれに対して基準画像を用いたパターンマッチングを行うことにより、前記2つ以上の選択基板要素の位置をそれぞれ求め、前記基板の位置を検出する工程とを備え、前記複数の基板要素はそれぞれ、1つ以上の角部が欠けた略矩形状の領域外縁の内側に所定のパターンが形成されているパターン領域を有し、前記基準画像は、前記領域外縁の各辺において角部を除いて設定された線分の集合である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の基板位置検出方法であって、前記基準画像は、前記領域外縁の前記各辺における最長の線分を含む。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の基板位置検出方法であって、前記基準画像では、前記領域外縁の前記各辺における線分は、前記各辺の他の辺との仮想的な交点から前記各辺の長さの10%以上離間する。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の基板位置検出方法であって、前記c)工程において、前記基準画像とのパターンマッチング前に前記2つ以上の撮像画像に対してクロージング処理が行われる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、基板の位置を検出する基板位置検出方法であって、a)格子状の分割予定ラインによりそれぞれが矩形状に区画された複数の基板要素を有する基板を保持する工程と、b)前記複数の基板要素から選択された2つ以上の選択基板要素をそれぞれ撮像して2つ以上の撮像画像を取得する工程と、c)前記2つ以上の撮像画像のそれぞれに対して基準画像を用いたパターンマッチングを行うことにより、前記2つ以上の選択基板要素の位置をそれぞれ求め、前記基板の位置を検出する工程と、を備え、前記複数の基板要素はそれぞれ、略矩形状の領域外縁の内側に所定のパターンが形成されているパターン領域を有し、前記基準画像は、前記領域外縁の各辺において角部を除いて設定された線分の集合であり、前記b)工程において1回の撮像で取得可能な撮像可能領域の大きさが前記各選択基板要素よりも小さく、前記2つ以上の撮像画像はそれぞれ、前記b)工程において複数回の撮像により得られた複数の部分画像をベース画像上に合成することにより生成され、前記複数の部分画像の周囲における前記ベース画像の画素値と、前記複数の部分画像全体の平均画素値との差は、前記パターン領域を背景領域と区別するために設定されている画素値の差よりも小さい。
【0013】
請求項6に記載の発明は、基板の位置を検出する基板位置検出方法であって、a)格子状の分割予定ラインによりそれぞれが矩形状に区画された複数の基板要素を有する基板を保持する工程と、b)前記複数の基板要素から選択された2つ以上の選択基板要素をそれぞれ撮像して2つ以上の撮像画像を取得する工程と、c)前記2つ以上の撮像画像のそれぞれに対して基準画像を用いたパターンマッチングを行うことにより、前記2つ以上の選択基板要素の位置をそれぞれ求め、前記基板の位置を検出する工程と、を備え、前記複数の基板要素はそれぞれ、略矩形状の領域外縁の内側に所定のパターンが形成されているパターン領域を有し、前記基準画像は、前記領域外縁の各辺において角部を除いて設定された線分の集合であり、前記b)工程において取得された撮像画像に選択基板要素の一部のみが含まれている場合、前記c)工程では、前記撮像画像の周囲に枠状の拡張画像が付加された状態で前記パターンマッチングが行われ、前記撮像画像の周囲における前記拡張画像の画素値と、前記撮像画像全体の平均画素値との差は、前記パターン領域を背景領域と区別するために設定されている画素値の差よりも小さい。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の基板位置検出方法であって、前記b)工程において取得された撮像画像に選択基板要素の一部のみが含まれている場合、前記c)工程に代えて、または、前記c)工程の後に、前記基板がエラー基板である旨が通知される。
【0015】
請求項8に記載の発明は、基板に対する描画を行う描画方法であって、d)請求項1ないし7のいずれか1つに記載の基板位置検出方法により基板の位置を検出する工程と、e)前記d)工程において検出された前記基板の位置に基づいて描画位置を調節しつつ、前記基板の前記複数の基板要素に対して光を照射して描画を行う工程とを備える。
【0016】
請求項9に記載の発明は、基板の位置を検出する基板位置検出装置であって、格子状の分割予定ラインによりそれぞれが矩形状に区画された複数の基板要素を有する基板を保持する基板保持部と、前記複数の基板要素から選択された2つ以上の選択基板要素をそれぞれ撮像して2つ以上の撮像画像を取得する撮像部と、前記2つ以上の撮像画像のそれぞれに対して基準画像を用いたパターンマッチングを行うことにより、前記2つ以上の選択基板要素の位置をそれぞれ求め、前記基板の位置を検出する検出部とを備え、前記複数の基板要素はそれぞれ、1つ以上の角部が欠けた略矩形状の領域外縁の内側に所定のパターンが形成されているパターン領域を有し、前記基準画像は、前記領域外縁の各辺において角部を除いて設定された線分の集合である。
請求項10に記載の発明は、基板の位置を検出する基板位置検出装置であって、格子状の分割予定ラインによりそれぞれが矩形状に区画された複数の基板要素を有する基板を保持する基板保持部と、前記複数の基板要素から選択された2つ以上の選択基板要素をそれぞれ撮像して2つ以上の撮像画像を取得する撮像部と、前記2つ以上の撮像画像のそれぞれに対して基準画像を用いたパターンマッチングを行うことにより、前記2つ以上の選択基板要素の位置をそれぞれ求め、前記基板の位置を検出する検出部と、を備え、前記複数の基板要素はそれぞれ、略矩形状の領域外縁の内側に所定のパターンが形成されているパターン領域を有し、前記基準画像は、前記領域外縁の各辺において角部を除いて設定された線分の集合であり、前記撮像部による1回の撮像で取得可能な撮像可能領域の大きさが前記各選択基板要素よりも小さく、前記2つ以上の撮像画像はそれぞれ、前記撮像部による複数回の撮像により得られた複数の部分画像をベース画像上に合成することにより生成され、前記複数の部分画像の周囲における前記ベース画像の画素値と、前記複数の部分画像全体の平均画素値との差は、前記パターン領域を背景領域と区別するために設定されている画素値の差よりも小さい。
請求項11に記載の発明は、基板の位置を検出する基板位置検出装置であって、格子状の分割予定ラインによりそれぞれが矩形状に区画された複数の基板要素を有する基板を保持する基板保持部と、前記複数の基板要素から選択された2つ以上の選択基板要素をそれぞれ撮像して2つ以上の撮像画像を取得する撮像部と、前記2つ以上の撮像画像のそれぞれに対して基準画像を用いたパターンマッチングを行うことにより、前記2つ以上の選択基板要素の位置をそれぞれ求め、前記基板の位置を検出する検出部と、を備え、前記複数の基板要素はそれぞれ、略矩形状の領域外縁の内側に所定のパターンが形成されているパターン領域を有し、前記基準画像は、前記領域外縁の各辺において角部を除いて設定された線分の集合であり、前記撮像部により取得された撮像画像に選択基板要素の一部のみが含まれている場合、前記検出部では、前記撮像画像の周囲に枠状の拡張画像が付加された状態で前記パターンマッチングが行われ、前記撮像画像の周囲における前記拡張画像の画素値と、前記撮像画像全体の平均画素値との差は、前記パターン領域を背景領域と区別するために設定されている画素値の差よりも小さい。
【0017】
請求項12に記載の発明は、基板に対する描画を行う描画装置であって、請求項9ないし11のいずれか1つに記載の基板位置検出装置と、基板に対して光を照射して描画を行う描画部と、前記基板位置検出装置により検出された前記基板の位置に基づいて前記描画部を制御することにより、描画位置を調節しつつ前記基板の前記複数の基板要素に対して描画を行わせる描画制御部とを備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、基板の位置検出を容易かつ精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一の実施の形態に係る描画装置を示す斜視図である。
図2】基板を示す平面図である。
図3】制御部が備えるコンピュータの構成を示す図である。
図4】制御部の機能を示すブロック図である。
図5】基板へのパターンの描画の流れを示す図である。
図6】基板を示す平面図である。
図7】撮像画像を示す図である。
図8】比較例の基準画像を示す図である。
図9】基準画像を示す図である。
図10A】選択基板要素の一部を示す拡大図である。
図10B】クロージング処理後の選択基板要素の一部を示す拡大図である。
図11A】選択基板要素の一部を示す拡大図である。
図11B】クロージング処理後の選択基板要素の一部を示す拡大図である。
図12A】選択基板要素の一部を示す拡大図である。
図12B】クロージング処理後の選択基板要素の一部を示す拡大図である。
図12C】基準画像を示す図である。
図13】撮像画像の他の例を示す図である。
図14A】撮像画像および拡張画像を示す図である。
図14B】撮像画像および拡張画像を示す図である。
図15】撮像画像の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る描画装置1を示す斜視図である。描画装置1は、空間変調された略ビーム状の光を基板9上の感光材料に照射し、当該光の照射領域を基板9上にて走査することによりパターンの描画を行う直接描画装置である。図1では、互いに直交する3つの方向をX方向、Y方向およびZ方向として矢印にて示している。図1に示す例では、X方向およびY方向は互いに垂直な水平方向であり、Z方向は鉛直方向である。他の図においても同様である。
【0021】
図2は、基板9の(+Z)側の主面(以下、「上面91」とも呼ぶ。)を示す平面図である。基板9は、例えば、平面視において略矩形状の板状部材である。基板9は、例えば、半導体パッケージ用基板である。基板9の上面91では、感光材料により形成されたレジスト膜が銅層上に設けられる。描画装置1では、基板9の当該レジスト膜に回路パターンが描画(すなわち、形成)される。なお、基板9の種類および形状等は様々に変更されてよい。
【0022】
図2に例示する基板9は、格子状の分割予定ライン93によりそれぞれが略矩形状に区画された複数の基板要素94を有する。図2に示す例では、各基板要素94は略正方形状である。複数の基板要素94は、X方向およびY方向にマトリクス状に配置される。複数の基板要素94は、描画装置1によるパターンの描画よりも後工程において、それぞれチップ部品等が実装されて半導体パッケージとされた後、分割予定ライン93に沿って分割される。図2では、各基板要素94を実際よりも大きく描き、基板要素94の数を実際よりも少なく描いている。基板9には、後述する位置検出処理(すなわち、アライメント処理)専用のアライメントマークは設けられない。
【0023】
図1に示すように、描画装置1は、ステージ21と、ステージ移動機構22と、撮像部3と、描画部4と、制御部10とを備える。制御部10は、ステージ移動機構22、撮像部3および描画部4等を制御する。ステージ21は、撮像部3および描画部4の下方(すなわち、(-Z)側)において、水平状態の基板9を下側から保持する略平板状の基板保持部である。ステージ21は、例えば、基板9の下面を吸着して保持するバキュームチャックである。ステージ21は、バキュームチャック以外の構造を有していてもよい。ステージ21上に載置された基板9の上面91は、Z方向に対して略垂直であり、X方向およびY方向に略平行である。
【0024】
ステージ移動機構22は、ステージ21を撮像部3および描画部4に対して水平方向(すなわち、基板9の上面91に略平行な方向)に相対的に移動する移動機構である。ステージ移動機構22は、第1移動機構23と、第2移動機構24とを備える。第2移動機構24は、ステージ21をガイドレールに沿ってX方向に直線移動する。第1移動機構23は、ステージ21を第2移動機構24と共にガイドレールに沿ってY方向に直線移動する。第1移動機構23および第2移動機構24の駆動源は、例えば、リニアサーボモータ、または、ボールネジにモータが取り付けられたものである。第1移動機構23および第2移動機構24の構造は、様々に変更されてよい。
【0025】
描画装置1では、Z方向に延びる回転軸を中心としてステージ21を回転するステージ回転機構が設けられてもよい。また、ステージ21をZ方向に移動するステージ昇降機構が描画装置1に設けられてもよい。ステージ回転機構として、例えば、サーボモータが利用可能である。ステージ昇降機構として、例えば、リニアサーボモータが利用可能である。ステージ回転機構およびステージ昇降機構の構造は、様々に変更されてよい。
【0026】
撮像部3は、X方向に配列される複数(図1に示す例では、2つ)のヘッド31を備える。各ヘッド31は、ステージ21およびステージ移動機構22を跨いで設けられるヘッド支持部30により、ステージ21およびステージ移動機構22の上方にて支持される。2つのヘッド31のうち、一方のヘッド31はヘッド支持部30に固定されており、他方のヘッド31はヘッド支持部30上においてX方向に移動可能である。これにより、2つのヘッド31間のX方向の距離を変更することができる。なお、撮像部3のヘッド31の数は、1であってもよく、3以上であってもよい。
【0027】
各ヘッド31は、図示省略の撮像センサおよび光学系を備えるカメラである。各ヘッド31は、例えば、2次元の画像を取得するエリアカメラである。撮像センサは、例えば、マトリクス状に配列された複数のCCD(Charge Coupled Device)等の素子を備える。各ヘッド31では、図示省略の光源から基板9の上面91へと導かれた照明光の反射光が、光学系を介して撮像センサへと導かれる。撮像センサは、基板9の上面91からの反射光を受光し、略矩形状の撮像領域の画像を取得する。上記光源としては、LED(Light Emitting Diode)等の様々な光源が利用可能である。なお、各ヘッド31は、ラインカメラ等、他の種類のカメラであってもよい。
【0028】
描画部4は、X方向およびY方向に配列される複数(図1に示す例では、5つ)のヘッド41を備える。各ヘッド41は、ステージ21およびステージ移動機構22を跨いで設けられるヘッド支持部40により、ステージ21およびステージ移動機構22の上方にて支持される。ヘッド支持部40は、撮像部3のヘッド支持部30よりも(+Y)側に配置されている。なお、描画部4のヘッド41の数は1つであってもよく、複数であってもよい。
【0029】
各ヘッド41は、図示省略の光源、光学系および空間光変調素子を備える。空間光変調素子としては、DMD(Digital Micro Mirror Device)やGLV(Grating Light Valve:グレーチング・ライト・バルブ)(シリコン・ライト・マシーンズ(サニーベール、カリフォルニア)の登録商標)等の様々な素子が利用可能である。光源としては、LD(Laser Diode)等の様々な光源が利用可能である。複数のヘッド41は、略同じ構造を有する。
【0030】
描画装置1では、描画部4の複数のヘッド41から変調(すなわち、空間変調)された光を基板9の上面91上に照射しつつ、ステージ移動機構22により基板9をY方向に移動する。これにより、複数のヘッド41からの光の照射領域が基板9上にてY方向に走査され、基板9に対する回路パターンの描画が行われる。以下の説明では、Y方向を「走査方向」とも呼び、X方向を「幅方向」とも呼ぶ。ステージ移動機構22は、各ヘッド41からの光の照射領域を基板9上にて走査方向に移動する走査機構である。
【0031】
描画装置1では、基板9に対する描画は、いわゆるシングルパス(ワンパス)方式で行われる。具体的には、ステージ移動機構22により、ステージ21が複数のヘッド41に対してY方向に相対移動され、複数のヘッド41からの光の照射領域が、基板9の上面91上にてY方向(すなわち、走査方向)に1回のみ走査される。これにより、基板9に対する描画が完了する。なお、描画装置1では、ステージ21のY方向への移動とX方向へのステップ移動とが繰り返されるマルチパス方式により、基板9に対する描画が行われてもよい。
【0032】
図3は、制御部10が備えるコンピュータ100の構成を示す図である。コンピュータ100は、プロセッサ101と、メモリ102と、入出力部103と、バス104とを備える通常のコンピュータである。バス104は、プロセッサ101、メモリ102および入出力部103を接続する信号回路である。メモリ102は、プログラムおよび各種情報を記憶する。プロセッサ101は、メモリ102に記憶されるプログラム等に従って、メモリ102等を利用しつつ様々な処理(例えば、数値計算や画像処理)を実行する。入出力部103は、操作者からの入力を受け付けるキーボード105およびマウス106、並びに、プロセッサ101からの出力等を表示するディスプレイ107を備える。なお、制御部10は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC:Programmable Logic Controller)や回路基板等であってもよく、これらと1つ以上のコンピュータとの組み合わせであってもよい。
【0033】
図4は、コンピュータ100により実現される制御部10の機能を示すブロック図である。図4では、制御部10以外の構成も併せて示す。制御部10は、記憶部111と、撮像制御部112と、検出部113と、描画制御部114とを備える。記憶部111は、主にメモリ102により実現され、後述するパターンマッチングに使用される基準画像(すなわち、テンプレート)、および、基板9に描画される予定のパターンのデータ(すなわち、描画用データ)等の各種情報を予め記憶する。
【0034】
撮像制御部112、検出部113および描画制御部114は、主にプロセッサ101により実現される。撮像制御部112は、撮像部3およびステージ移動機構22を制御することにより、基板9の上面91の一部を撮像部3に撮像させて画像(以下、「撮像画像」とも呼ぶ。)を取得させる。当該撮像画像は、記憶部111へと送られて格納される。検出部113は、当該撮像画像を用いて基板9の位置を検出する。基板9の位置検出の詳細については後述する。描画制御部114は、検出部113により検出された基板9の位置、および、記憶部111に予め記憶されている描画用データ等に基づいて、描画部4およびステージ移動機構22を制御することにより、描画位置を調節しつつ描画部4に基板9に対する描画を行わせる。
【0035】
次に、描画装置1による基板9へのパターンの描画の流れについて、図5を参照しつつ説明する。基板9に対する描画の際には、まず、基板9が描画装置1に搬入され、ステージ21により保持される(ステップS11)。このとき、ステージ21は、撮像部3および描画部4よりも(-Y)側に位置している。続いて、ステージ移動機構22により、基板9がステージ21と共に(+Y)方向へと移動され、撮像部3の下方へと移動する。
【0036】
描画装置1では、基板9の複数の基板要素94(図2参照)のうち、予め選択されている2つ以上の基板要素94の基板9上における設計位置が、記憶部111(図4参照)に予め記憶されている。当該2つ以上の基板要素94は、X方向およびY方向において互いに隣接しておらず、離間している。本実施の形態では、図6にて符号94aを付した二点鎖線にて囲むように、基板9の4つの角部に位置する4つの基板要素(以下、「選択基板要素94a」とも呼ぶ。)の設計位置が、記憶部111に予め記憶されている。選択基板要素94aの設計位置とは、選択基板要素94aが設計情報通りに基板9上に形成され、かつ、基板9に歪み等の変形が生じていない理想的な状態における選択基板要素94aの位置である。
【0037】
描画装置1では、撮像部3が、各選択基板要素94aの設計位置に基づいて撮像制御部112によって制御されることにより、4つの選択基板要素94aの撮像が撮像部3によってそれぞれ行われ、4つの撮像画像が取得される(ステップS12)。例えば、基板9上において(+Y)側に配置される2つの選択基板要素94aが撮像された後、ステージ移動機構22により基板9が(+Y)方向へと移動し、基板9上において(-Y)側に配置される2つの選択基板要素94aが撮像される。なお、選択基板要素94aの数は4には限定されず、2以上であればよい。ステップS12では、撮像部3により2つ以上の撮像画像が取得される。
【0038】
図7は、1つの撮像画像81を示す図である。略矩形状の撮像画像81には、1つの選択基板要素94aが含まれる。図7に示す例では、略正方形状の撮像画像81に、基板9上において(-X)側かつ(-Y)側の角部に位置する1つの選択基板要素94aの全体と、当該選択基板要素94aに隣接する複数の基板要素94の一部が含まれる。撮像画像81は、例えば、256階調のグレースケール画像である。撮像画像81では、各画素の画素値は、最小画素値である0(黒)から最大画素値である255(白)の範囲のいずれかである。撮像画像81全体の平均画素値(すなわち、撮像画像81における全画素の画素値の算術平均)は、例えば、90~120である。
【0039】
図7に示すように、選択基板要素94aは、パターン領域95を備える。パターン領域95(ダイとも呼ばれる。)は、描画装置1における描画処理よりも後工程において、チップ部品等が実装される領域である。パターン領域95には、描画装置1に搬入される前の段階で、所定のパターンが予め形成されている。図7では、パターン領域95に予め形成されているパターンの図示を省略し、パターン領域95に平行斜線を付す。パターン領域95は、略矩形状の外縁(以下、「領域外縁951」とも呼ぶ。)を有する。換言すれば、領域外縁951の内側の領域がパターン領域95である。図7に示す例では、領域外縁951は略正方形状である。他の基板要素94についても同様である。
【0040】
図7に示す例では、選択基板要素94aのパターン領域95の領域外縁951は、X方向に略平行な一対の辺と、Y方向に略平行な一対の辺とを有する略矩形状である。ただし、パターン領域95の4つの角部においては、領域外縁951の形状は矩形の一部ではない。例えば、パターン領域95の(-X)側かつ(+Y)側の角部はX方向およびY方向に対して斜めに面取りされており、領域外縁951はX方向およびY方向に対して傾斜している。パターン領域95の(-X)側かつ(-Y)側の角部、および、(+X)側かつ(+Y)側の角部においても同様である。また、パターン領域95の(+X)側かつ(-Y)側の角部は、小さい矩形領域が切り抜かれた形状を有し、領域外縁951はクランク状に折れ曲がっている。すなわち、図7に示す例では、領域外縁951は、角部が欠けた略矩形状である。
【0041】
パターン領域95の角部における領域外縁951の形状、および、領域外縁951の外側に位置する小さい三角形や矩形等の図形は、描画装置1における描画処理よりも後に行われる予定のチップ部品等の実装工程や、パッケージ完成品(すなわち、半導体パッケージ)とされた後の電装機器への実装工程において、チップ部品やパッケージ完成品の位置決め等に利用される。領域外縁951の欠損している角部(すなわち、領域外縁951の4辺に外接する最小矩形と領域外縁951との差であり、以下、「欠損角部」とも呼ぶ。)の大きさは、当該最小矩形の各辺において、例えば各辺の長さの5%以下である。なお、パターン領域95では、4つの角部の全てにおいて領域外縁951の角部が欠けている必要はない。ただし、通常は、パターン領域95の1つ以上の角部において、領域外縁951の角部は欠けている。
【0042】
撮像部3により取得された撮像画像81は、図4に示す制御部10へと送られ、記憶部111に格納される。記憶部111では、上述のように、パターンマッチングに使用される基準画像が予め記憶されている。描画装置1では、選択基板要素94aのパターン領域95の領域外縁951に対応する図形が、基準画像として用いられる。
【0043】
制御部10では、検出部113において、撮像画像81に対して基準画像を用いたパターンマッチングが行われることにより、撮像画像81中における領域外縁951の位置が求められ、領域外縁951の位置に基づいて選択基板要素94aの位置が求められる。当該パターンマッチングは、公知のパターンマッチング法(例えば、幾何学形状パターンマッチングや正規化相関サーチ等)により行われる。パターンマッチングによる選択基板要素94aの位置の算出は、各撮像画像81について行われる。
【0044】
そして、各撮像画像81における選択基板要素94aの位置、および、各撮像画像81を取得した際の基板9と撮像部3との相対位置等に基づいて、ステージ21上における基板9の位置が検出部113により検出される(ステップS13)。ステップS13において検出部113により検出される基板9の位置とは、ステージ21上における基板9のX方向およびY方向における座標、基板9の向き、並びに、基板9の歪み等による変形を示す情報を含む。また、基板9の変形を示す情報とは、変形している基板9の形状、および、当該基板9上における複数の基板要素94の位置等の情報である。
【0045】
ここで、仮に、ステップS13のパターンマッチングにおいて、図8に示すような4つの角部を有する矩形の基準画像(以下、「比較例の基準画像701」と呼ぶ。)を用いるとすると、上述のように、領域外縁951(図7参照)は角部が欠けた略矩形状であるため、領域外縁951の位置が検出できなかったり、領域外縁951の位置が誤って検出されるおそれがある。すなわち、比較例の基準画像701を用いたパターンマッチングでは、基板9の位置を精度良く検出することは難しい。
【0046】
そこで、描画装置1では、図9に示すように、領域外縁951(図7参照)から角部を除いた図形(すなわち、領域外縁951のX方向またはY方向に略平行な各辺において、角部を除いて設定された線分72の集合)が基準画像71として用いられる。これにより、各撮像画像81において、角部が欠けた矩形である領域外縁951の位置をパターンマッチングにより精度良く求めることができる。その結果、ステージ21上における基板9の位置検出が精度良く行われる。なお、基準画像71は、正常な基板要素94を撮像して得られた画像から、領域外縁951を角部を除いて抽出することにより生成されてもよく、基板要素94に予め形成されているパターンの設計データ(例えば、CADデータ)から既知の方法で生成されてもよい。
【0047】
上述の基準画像71を構成する各線分72は、当該各辺の他の辺との仮想的な交点である仮想頂点73から、各辺の長さの10%以上離れていることが好ましい。基準画像71の各線分72は、基準画像71において領域外縁951の各辺に対応する辺における線分であり、以下、単に「領域外縁951の各辺における線分72」とも呼ぶ。仮想頂点73とは、領域外縁951の隣接する2本の辺の延長線(図9中において二点鎖線にて描く)の交点である。また、各辺の長さとは、当該各辺を挟む2つの仮想頂点73間の距離であり、上述の領域外縁951の4辺に外接する最小矩形の各辺の長さに対応する。以下の説明では、仮想頂点73と線分72の端点との間の最短距離を「角部離間距離D1」と呼ぶ。
【0048】
上述のように、領域外縁951の欠損角部の大きさは、領域外縁951の4辺に外接する最小矩形の辺の長さの5%以下である。したがって、角部離間距離D1が当該辺の長さの10%以上とされることにより、撮像画像81におけるパターンマッチングの際に、基準画像71の線分72が、撮像画像81の領域外縁951の欠損角部とマッチングされることを防止することができる。なお、パターンマッチングの精度向上の観点からは、線分72は長い方が好ましい。特に、基板9の位置検出の安定性(すなわち、頑強さ)を確保するという観点からは、角部離間距離D1は上記辺の長さの25%以下とされることが好ましい。
【0049】
描画装置1では、検出部113により検出された基板9の位置に基づいて、描画制御部114により描画部4およびステージ移動機構22が制御されることにより、基板9の各基板要素94に対するパターンの描画が、描画位置を調節しつつ精度良く行われる(ステップS14)。ステップS14では、基板9の上記位置に基づいて、描画部4から基板9へと照射される光ビームの変調間隔および変調タイミング、並びに、基板9上における光ビームの走査位置等が、描画部4およびステージ移動機構22において既知の補正方法にて機械的に自動補正される。
【0050】
上述の図7では、パターン領域95の各辺の角部を除く部位において、領域外縁951を1本の直線として描いているが、実際には、1本の直線とは限らない。例えば、図10Aの拡大図に示すように、パターン領域95の外縁部にランド96が存在する場合、領域外縁951の(+Y)側の辺は、ランド96により図10A中の左右に分割された2本の直線となる。この場合、基準画像71(図9参照)では、(+Y)側の線分72も、ランド96に対応する位置にて分割される必要があるが、上述のように、パターンマッチングの精度向上の観点からは、線分72は長い方が好ましい。
【0051】
そこで、ステップS13において、各撮像画像81と基準画像71とのパターンマッチング前に、各撮像画像81に対してクロージング処理が行われることが好ましい。これにより、図10Bに示すように、ランド96およびランド96近傍の空隙(すなわち、背景)が、周囲の部位(すなわち、パターン領域95の一部)に吸収され、領域外縁951の(+Y)側の辺は1本の直線となる。その結果、基準画像71の上記辺と対応する線分72は分割されず、1本の長い直線を線分72として利用できる。したがって、ステップS13におけるパターンマッチングの精度が向上され、基板9の位置検出の精度が向上する。なお、図10Bでは、クロージング処理前に存在したランド96の位置を二点鎖線にて示す(図12Bにおいても同様)。
【0052】
ステップS13のクロージング処理は、上述のようにランド96等による基準画像71の線分72の分割防止以外にも、基板9の位置検出において有益である。例えば、図11Aに示すように、パターン領域95の外縁部に、領域外縁951に近接して略平行に延びる直線97が存在する場合、ステップS13のパターンマッチングにおいて、当該直線97が領域外縁951と誤認されて、基板9の位置検出の精度が低下する可能性がある。この場合、パターンマッチング前にクロージング処理が行われることにより、図11Bに示すように、直線97が周囲の部位(すなわち、パターン領域95の一部)に吸収されて消去される。これにより、直線97が領域外縁951と誤認されることが防止され、基板9の位置検出の精度低下が防止される。なお、図11Bでは、クロージング処理前に存在した直線97の位置を二点鎖線にて示す。
【0053】
一方、図12Aに示すように、パターン領域95の(+Y)側の外縁部に、複数のランド96が近接してX方向に配列されたランドパターンが存在する場合、上述のクロージング処理が行われた場合であっても、図12Bに示すように、領域外縁951の(+Y)側の辺は、図12B中の左右に分割された2本の直線となる。したがって、基準画像71においても、図12Cに示すように、(+Y)側の線分72は、複数のランド96に対応する位置にて2本の線分72a,72bに分割される。この場合、ステップS13のパターンマッチングでは、基準画像71の(+Y)側の辺として、2本の線分72a,72bの双方が用いられる。
【0054】
当該パターンマッチングでは、2本の線分72a,72bのうち一方の線分のみが、基準画像71の(+Y)側の辺として用いられてもよい。ただし、上述のように、パターンマッチングの精度向上の観点からは長い線分が用いられることが好ましいため、図12Cに示す例では、2本の線分72a,72bのうち、少なくとも長い方の線分72aが基準画像71の(+Y)側の辺として用いられることが好ましい。換言すれば、基準画像71の1つの辺が2本以上の線分に分割されている場合、パターンマッチングの精度向上の観点からは、少なくとも当該1つの辺における最長の線分が、基準画像71に含まれていることが好ましい。
【0055】
描画装置1では、ステージ21上の基板9の位置ずれや基板9の変形が大きい場合、図13に示すように、ステップS12において取得された撮像画像81に、1つの選択基板要素94aの一部のみが含まれている場合がある。図13に示す例では、選択基板要素94aの(+X)側の部位が、撮像画像81の(+X)側の外縁から外側にはみ出している。図13では、パターン領域95のうち撮像画像81からはみ出している部分の描画領域外縁951を破線にて描く(図14Aおよび図14Bにおいても同様)。
【0056】
撮像画像81における選択基板要素94aの部分的含有は、例えば、ステップS13のパターンマッチングにおいて、検出された選択基板要素94aの形状と基準画像71の形状との一致度が所定値を満たすか否か等に基づいて判断される。この場合、描画装置1では、例えば、ステップS13の基板9の位置検出に代えて、ステージ21上の基板9がエラー基板である旨が、描画装置1のオペレータ等に通知され、基板9に対する描画処理(ステップS14)が中止される。あるいは、撮像画像81における選択基板要素94aの部分的含有は、例えば、撮像画像81からパターンマッチングにより求められた選択基板要素94aの位置に基づいて検出された基板9の位置が、所定の範囲内か否か等に基づいて判断される。この場合、描画装置1では、例えば、ステップS13における基板9の位置検出の後に、ステージ21上の基板9がエラー基板である旨が、描画装置1のオペレータ等に通知され、基板9に対する描画処理(ステップS14)が中止される。
【0057】
選択基板要素94aが撮像画像81からはみ出している場合に基板9をエラー基板とする理由は、撮像画像81の外縁のうち選択基板要素94aと重なっている部分(図13に示す例では、(+X)側の外縁の一部)が、選択基板要素94aの領域外縁951と同じくY方向に延びる直線であるので、当該外縁の一部が領域外縁951と誤認されることを防止するためである。オペレータ等への通知は、例えば、ディスプレイ107(図3参照)への警告表示等により行われる。これにより、ステップS13のパターンマッチングにおいて、撮像画像81の外縁の上記一部が領域外縁951と誤認され、基板9の位置が誤検出された状態で描画処理が行われることを防止することができる。
【0058】
あるいは、描画装置1では、上述のように撮像画像81に選択基板要素94aの一部のみが含まれている場合、図14Aに示すように、ステップS13において撮像画像81の周囲に略矩形枠状の拡張画像82が付加され、この状態でパターンマッチングが行われる。拡張画像82の内縁は、撮像画像81の外縁と全周に亘って一致する。拡張画像82の幅(すなわち、撮像画像81の外縁と拡張画像82の外縁との間の最短距離)は、例えば、100画素~300画素である。拡張画像82の幅は、選択基板要素94aの大きさ等に合わせて様々に変更されてよい。図14Aに示す例では、拡張画像82は、一様な画素値(すなわち、濃度)を有する画像である。拡張画像82の画素値は、例えば、最大画素値と最小画素値との中間値である128である。図14Aでは、パターン領域95のうち撮像画像81からはみ出している部分の描画領域外縁951を破線にて描く(図14Bにおいても同様)。
【0059】
このように、撮像画像81に拡張画像82が付加されることにより、パターンマッチングの際に、図14Bに示すように、基準画像71の一部を撮像画像81の外縁よりも外側に位置させることができる。このため、選択基板要素94aの一部が撮像画像81の外縁よりも外側にはみ出している場合であっても、撮像画像81内において選択基板要素94aの領域外縁951と基準画像71の線分72とを精度良くマッチングさせることができる。その結果、基板9の位置を精度良く検出することができる。
【0060】
描画装置1では、拡張画像82の画素値と撮像画像81全体の平均画素値との差は、選択基板要素94aのパターン領域95をパターン領域95の外側の領域(すなわち、背景領域)と区別するために予め設定されている画素値の差(以下、「パターン領域閾値」とも呼ぶ。)よりも小さいことが好ましい。これにより、ステップS13のパターンマッチングにおいて、選択基板要素94aの領域外縁951と同じく直線である撮像画像81と拡張画像82との境界を、領域外縁951と誤認することを防止することができる。その結果、基板9の位置をさらに精度良く検出することができる。なお、上記パターン領域閾値は、描画装置1による基板9の処理よりも前に、制御部10の記憶部111に予め記憶される。
【0061】
上述の拡張画像82の濃度は、必ずしも一様である必要はない。拡張画像82の濃度が一様でない場合、少なくとも、撮像画像81の周囲(すなわち、撮像画像81の近傍)における拡張画像82の画素値と撮像画像81全体の平均画素値との差が、パターン領域閾値よりも小さいことが好ましい。これにより、上記と略同様に、撮像画像81と拡張画像82との境界が領域外縁951と誤認されることが防止され、その結果、基板9の位置をさらに精度良く検出することができる。
【0062】
描画装置1では、ステップS12において、撮像部3による1回の撮像で取得可能な撮像可能領域の大きさが選択基板要素94aよりも小さい場合、選択基板要素94a近傍において撮像位置を少しずつずらしながら複数回の撮像が行われる。そして、図15に示すように、当該複数回の撮像により得られた複数の画像(すなわち、選択基板要素94aの一部を含む画像であり、以下、「部分画像83」とも呼ぶ。)が、部分画像83よりも大きいベース画像84上に合成されることにより、撮像画像81が生成される。各部分画像83に対応する基板9上の領域は、他の部分画像83に対応する基板9上の領域と部分的に重複する。ベース画像84は、部分的に重複して配置された複数の部分画像83よりも大きい略矩形状の画像であり、当該複数の部分画像83の全体がベース画像84上に配置される。当該複数の部分画像83には、選択基板要素94aの全体が含まれている。図15に示す例では、ベース画像84は、複数の部分画像83と重なる領域を除き、一様な画素値(すなわち、濃度)を有する画像である。ベース画像84の画素値は、複数の部分画像83と重なる領域を除き、例えば、最大画素値と最小画素値との中間値である128である。
【0063】
描画装置1では、ベース画像84の画素値と複数の部分画像83全体の平均画素値との差は、上述のパターン領域閾値よりも小さいことが好ましい。これにより、ステップS13のパターンマッチングにおいて、選択基板要素94aの領域外縁951と同じく直線である部分画像83とベース画像84との境界を、領域外縁951と誤認することを防止することができる。その結果、基板9の位置をさらに精度良く検出することができる。
【0064】
上述のベース画像84の濃度は、複数の部分画像83と重ならない領域全体において必ずしも一様である必要はない。ベース画像84の濃度が一様でない場合、少なくとも、複数の部分画像83の周囲(すなわち、複数の部分画像83の近傍)におけるベース画像84の画素値と複数の部分画像83全体の平均画素値との差が、パターン領域閾値よりも小さいことが好ましい。これにより、上記と略同様に、部分画像83とベース画像84との境界が領域外縁951と誤認されることが防止され、その結果、基板9の位置をさらに精度良く検出することができる。
【0065】
以上に説明したように、基板9の位置を検出する基板位置検出方法は、格子状の分割予定ライン93によりそれぞれが矩形状に区画された複数の基板要素94を有する基板9を保持する工程(ステップS11)と、複数の基板要素94から選択された2つ以上の選択基板要素94aをそれぞれ撮像して2つ以上の撮像画像81を取得する工程(ステップS12)と、当該2つ以上の撮像画像81のそれぞれに対して基準画像71を用いたパターンマッチングを行うことにより、上記2つ以上の選択基板要素94aの位置をそれぞれ求め、基板9の位置を検出する工程(ステップS13)と、を備える。複数の基板要素94はそれぞれ、略矩形状の領域外縁951の内側に所定のパターンが形成されているパターン領域95を有する。基準画像71は、領域外縁951の各辺において角部を除いて設定された線分72の集合である。
【0066】
これにより、上述のように、略矩形状の領域外縁951の角部が欠損している場合であっても、各撮像画像81において領域外縁951の位置をパターンマッチングにより精度良く求めることができる。また、基準画像71として、基板要素94の領域外縁951の一部と対応する線分72を用いることにより、パターン領域95内のパターンからユニークな形状を有する部分等を抽出して基準画像として設定する場合に比べて、基準画像71の設定を容易とすることができる。その結果、基板9の位置検出処理(すなわち、アライメント処理)専用のマークを基板9上に設ける場合に比べて、基板9上に配置可能な基板要素94の数を増加させつつ、基板9の位置検出を容易かつ精度良く行うことができる。
【0067】
上述のように、半導体パッケージ用基板では、ステップS14よりも後に行われるチップ部品の実装工程等において基板要素94の位置決め等に利用可能なように、各基板要素94のパターン領域95において領域外縁951の角部が欠損している場合が多い。当該基板位置検出方法では、領域外縁951の角部が欠損している場合であっても、基板9の位置検出を容易かつ精度良く行うことができるため、当該基板位置検出方法は、半導体パッケージ用基板の位置検出に特に適している。
【0068】
上述のように、基準画像71は、領域外縁951の各辺における最長の線分72を含むことが好ましい。これにより、ステップS13におけるパターンマッチングの精度を向上することができる。その結果、基板9の位置検出の精度を向上することができる。
【0069】
上述のように、基準画像71では、領域外縁951の各辺における線分72は、当該各辺の他の辺との仮想的な交点(すなわち、仮想頂点73)から当該各辺の長さの10%以上離間することが好ましい。これにより、ステップS13のパターンマッチングにおいて、領域外縁951の欠損角部による影響を低減または防止することができる。その結果、基板9の位置検出の精度を向上することができる。
【0070】
上述のように、ステップS13において、基準画像71とのパターンマッチング前に上記2つ以上の撮像画像81に対してクロージング処理が行われることが好ましい。これにより、上述のようなパターン領域95の外縁部のランド96や、領域外縁951に近接する直線97等によるパターンマッチングへの影響を低減または防止することができる。その結果、基板9の位置検出の精度を向上することができる。
【0071】
上述のように、図15に示す例では、ステップS12において1回の撮像で取得可能な撮像可能領域の大きさが各選択基板要素94aよりも小さい。また、当該2つ以上の撮像画像81はそれぞれ、ステップS12において複数回の撮像により得られた複数の部分画像83をベース画像84上に合成することにより生成される。この場合、複数の部分画像83の周囲におけるベース画像84の画素値と、当該複数の部分画像83全体の平均画素値との差は、パターン領域95を背景領域と区別するために設定されている画素値の差(すなわち、パターン領域閾値)よりも小さいことが好ましい。これにより、ステップS13のパターンマッチングにおいて、部分画像83とベース画像84との境界が領域外縁951と誤認して検出されることを抑制することができる。その結果、基板9の位置検出の精度を向上することができる。
【0072】
上述のように、図14Aおよび図14Bに示す例では、ステップS12において取得された撮像画像81に選択基板要素94aの一部のみが含まれている場合、ステップS13では、撮像画像81の周囲に枠状の拡張画像82が付加された状態でパターンマッチングが行われる。これにより、選択基板要素94aが撮像部3の撮像可能領域からずれている場合であっても、基板9の位置検出を行うことができる。この場合、撮像画像81の周囲における拡張画像82の画素値と、撮像画像81全体の平均画素値との差は、パターン領域95を背景領域と区別するために設定されている画素値の差(すなわち、パターン領域閾値)よりも小さいことが好ましい。これにより、ステップS13のパターンマッチングにおいて、撮像画像81と拡張画像82との境界が領域外縁951と誤認して検出されることを抑制することができる。その結果、基板9の位置検出の精度を向上することができる。
【0073】
上述のように、図13に示す例では、ステップS12において取得された撮像画像に選択基板要素94aの一部のみが含まれている。この場合、ステップS13に代えて、または、ステップS13の後に、基板9がエラー基板である旨が通知されることも好ましい。これにより、図14Aおよび図14Bに示される例とは異なり、基板9の位置検出を行うことはできないが、撮像画像81の外縁が領域外縁951と誤認されて基板9の位置が誤検出された状態で描画処理が行われることを防止することができる。
【0074】
基板9に対する描画を行う描画方法は、上述の基板位置検出方法により基板9の位置を検出する工程(ステップS11~S13)と、当該工程において検出された基板9の位置に基づいて描画位置を調節しつつ、基板9の複数の基板要素94に対して光を照射して描画を行う工程(ステップS14)と、を備える。これにより、基板9の各基板要素94に対して、精度良く描画を行うことができる。
【0075】
図1に例示する描画装置1では、一部の構成が基板9の位置を検出する基板位置検出装置5として機能する。基板位置検出装置5は、基板保持部(すなわち、ステージ21)と、撮像部3と、検出部113と、を備える。ステージ21は、格子状の分割予定ライン93によりそれぞれが矩形状に区画された複数の基板要素94を有する基板9を保持する。撮像部3は、複数の基板要素94から選択された2つ以上の選択基板要素94aをそれぞれ撮像して2つ以上の撮像画像81を取得する。検出部113は、当該2つ以上の撮像画像81のそれぞれに対して基準画像71を用いたパターンマッチングを行うことにより、当該2つ以上の選択基板要素94aの位置をそれぞれ求め、基板9の位置を検出する。当該複数の基板要素94はそれぞれ、略矩形状の領域外縁951の内側に所定のパターンが形成されているパターン領域95を有する。基準画像71は、領域外縁951の各辺において角部を除いて設定された線分72の集合である。基板位置検出装置5では、上記と同様に、位置検出処理(すなわち、アライメント処理)専用のマークを基板9上に設ける場合に比べて基板9上に設けられる基板要素94の数を増加させつつ、基板9の位置検出を容易かつ精度良く行うことができる。
【0076】
描画装置1は、上述の基板位置検出装置5と、描画部4と、描画制御部114とを備える。描画部4は、基板9に対して光を照射して描画を行う。描画制御部114は、基板位置検出装置5により検出された基板9の位置に基づいて描画部4を制御することにより、描画位置を調節しつつ基板9の複数の基板要素94に対して描画を行わせる。これにより、上記と同様に、基板9の各基板要素94に対して、精度良く描画を行うことができる。
【0077】
上述の描画装置1、基板位置検出装置5、描画方法、および、基板位置検出方法では、様々な変更が可能である。
【0078】
例えば、基準画像71は、領域外縁951の各辺に対応する線分を含むのであれば、必ずしも、領域外縁951の各辺における最長の線分72を含む必要はない。また、基準画像71において、(+X)側、(-X)側、(+Y)側および(-Y)側の4辺にそれぞれ含まれる線分72の数(すなわち、領域外縁951の4辺に対応する各辺に含まれる線分72の数)は、1であっても、2以上であってもよい。
【0079】
基準画像71では、領域外縁951の各辺における線分72と仮想頂点73との間の距離は、当該各辺の長さの10%未満であってもよい。
【0080】
ステップS13では、パターンマッチング前の各撮像画像81に対して、クロージング処理以外の画像処理が行われもよい。あるいは、各撮像画像81に対して画像処理を行うことなく、パターンマッチングが行われてもよい。
【0081】
基板位置検出装置5では、図11Aに示すように、選択基板要素94aにおいて領域外縁951に近接する直線97が存在する場合であっても、ステップS13において必ずしもクロージング処理が行われる必要はない。例えば、パターンマッチングよりも前に撮像画像81に対して画像処理が行われ、領域外縁951の一の辺に近接する直線(例えば、領域外縁951との間の距離が所定の閾値以下の直線)の存否が確認される。そして、当該一の辺に近接する直線が存在する場合、当該一の辺と当該直線との間の領域が、当該直線と同じ画素値で塗り潰される。換言すれば、当該一の辺と当該直線との間の領域の画素群に、当該直線の画素値と同じ画素値が付与される。基板位置検出装置5では、領域外縁951の他の3辺に対して同様の処理が行われた後、上述のパターンマッチングが行われる。これにより、領域外縁951に近接する直線を領域外縁951と誤認することが抑制または防止される。その結果、基板9の位置検出の精度を向上することができる。
【0082】
なお、上述の近接する直線が領域外縁951よりも内側(すなわち、パターン領域95内)に位置する場合、パターンマッチングでは、上述の塗り潰された領域(すなわち、太くなった領域外縁951)の外側のエッジが、基準画像71の線分72に対応する線分として検出される。また、上述の近接する直線が領域外縁951よりも外側に位置する場合、パターンマッチングでは、上述の塗り潰された領域(すなわち、太くなった領域外縁951)の内側のエッジが、基準画像71の線分72に対応する線分として検出される。
【0083】
上述の基板9は、必ずしも半導体パッケージ用基板には限定されない。基板位置検出装置5では、例えば、半導体基板、液晶表示装置や有機EL表示装置等のフラットパネル表示装置用のガラス基板、フォトマスク用のガラス基板、太陽電池パネル用の基板等の位置検出が行われてもよい。
【0084】
基板位置検出装置5は、必ずしも描画装置1で利用される必要はなく、描画装置1以外の様々な装置(例えば、ステッパ式露光装置またはチップマウンタ)において利用されてもよい。また、基板位置検出装置5は、他の装置に組み込まれることなく、単独で使用されてもよい。
【0085】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0086】
1 描画装置
3 撮像部
4 描画部
5 基板位置検出装置
9 基板
21 ステージ
71 基準画像
72,72a,72b 線分
73 仮想頂点
81 撮像画像
82 拡張画像
83 部分画像
84 ベース画像
93 分割予定ライン
94 基板要素
94a 選択基板要素
95 パターン領域
113 検出部
114 描画制御部
951 領域外縁
S11~S14 ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図13
図14A
図14B
図15