IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社NTTドコモの特許一覧

<>
  • 特許-体積像表示システム 図1
  • 特許-体積像表示システム 図2
  • 特許-体積像表示システム 図3
  • 特許-体積像表示システム 図4
  • 特許-体積像表示システム 図5
  • 特許-体積像表示システム 図6
  • 特許-体積像表示システム 図7
  • 特許-体積像表示システム 図8
  • 特許-体積像表示システム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】体積像表示システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 13/388 20180101AFI20240717BHJP
   G02B 30/52 20200101ALI20240717BHJP
   G02B 30/56 20200101ALI20240717BHJP
   H04N 13/106 20180101ALI20240717BHJP
   H04N 13/39 20180101ALI20240717BHJP
【FI】
H04N13/388
G02B30/52
G02B30/56
H04N13/106
H04N13/39
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020174708
(22)【出願日】2020-10-16
(65)【公開番号】P2022065908
(43)【公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【弁理士】
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】山田 渉
【審査官】武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-127099(JP,A)
【文献】国際公開第2012/105830(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0161943(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0297317(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 13/00 - 13/398
G02B 30/52 , 30/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォグで満たされた空間に体積像を表示する体積像表示システムであって、
体積像が表示される体積像表示エリアを取り囲むように所定位置に配置された、画像光を射出する複数のプロジェクタと、
前記複数のプロジェクタを制御する制御装置と、
を備え、
前記複数のプロジェクタの各々は、各プロジェクタにおける画像光の射出方向に沿ってロール軸を定めた場合のピッチ軸周りおよびヨー軸周りに回転可能に構成され、
前記制御装置は、
前記体積像表示エリア内の体積像表示位置に体積像を表示するために各プロジェクタを回転させるべき、各プロジェクタにおけるピッチ軸周りの目的回転角度およびヨー軸周りの目的回転角度を算出する回転角度算出部と、
前記回転角度算出部により算出された前記ピッチ軸周りの目的回転角度および前記ヨー軸周りの目的回転角度に基づき、各プロジェクタをピッチ軸周りおよびヨー軸周りに回転駆動する回転駆動部と、
各プロジェクタにおけるピッチ軸周りの目的回転角度およびヨー軸周りの目的回転角度に応じて、各プロジェクタの画像光で形成すべき二次元画像を算出する画像算出部と、
前記画像算出部により算出されたプロジェクタごとの二次元画像の画像データを各プロジェクタに供給するデータ供給部と、
を含む、
体積像表示システム。
【請求項2】
前記回転角度算出部は、算出された前記ピッチ軸周りの目的回転角度および前記ヨー軸周りの目的回転角度から、単位動作時間あたりのピッチ軸周りの単位回転角度およびヨー軸周りの単位回転角度を算出し、
前記制御装置において、
前記回転駆動部が、算出された前記ピッチ軸周りの単位回転角度および前記ヨー軸周りの単位回転角度に基づき、各プロジェクタをピッチ軸周りおよびヨー軸周りに回転駆動し、
前記画像算出部が、各プロジェクタにおける当該時点のピッチ軸周りの回転角度およびヨー軸周りの回転角度に応じて、各プロジェクタの画像光で形成すべき二次元画像を算出し、
前記データ供給部が、算出された当該時点のプロジェクタごとの二次元画像の画像データを各プロジェクタに供給する、
一連の動作を、各プロジェクタが前記ピッチ軸周りの目的回転角度および前記ヨー軸周りの目的回転角度だけ回転するまで、繰り返す、
請求項1に記載の体積像表示システム。
【請求項3】
前記複数のプロジェクタは、
画像光の射出方向に垂直な所定方向に沿って積層された前記射出方向が同じ複数のプロジェクタ群、から成るグループを含んで構成される、
請求項1又は2に記載の体積像表示システム。
【請求項4】
前記複数のプロジェクタは、体積像の全体又は体積像の輪郭を表示するための画像光を射出する、
請求項1~3の何れか一項に記載の体積像表示システム。
【請求項5】
前記複数のプロジェクタは、
各プロジェクタから、RGBのうち一部の色の光を射出し、前記光の交点において目的の色を形成する、
請求項1~4の何れか一項に記載の体積像表示システム。
【請求項6】
前記体積像表示システムは、所定の環境状態の変化を検出するセンサ、をさらに備え、
前記制御装置は、前記センサにより検出された前記環境状態の変化に応じて、各プロジェクタからの画像光の強度を調整する、
請求項1~5の何れか一項に記載の体積像表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空中に体積像を表示する体積像表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1に、フォグで満たされた空間に複数のプロジェクタから画像光を射出し、複数の画像光の重ね合わせで体積像を表示する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開公報WO2012/105830号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1で提案されている技術では、複数のプロジェクタは何れも固定され、各プロジェクタからの画像光射出方向は固定されている。
【0005】
そこで、本開示は、上記の従来技術をさらに発展させるべく、各プロジェクタからの画像光射出方向を変更可能に構成し、より広い画角の体積像表示を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るフォグで満たされた空間に体積像を表示する体積像表示システムは、体積像が表示される体積像表示エリアを取り囲むように所定位置に配置された、画像光を射出する複数のプロジェクタと、前記複数のプロジェクタを制御する制御装置と、を備え、前記複数のプロジェクタの各々は、各プロジェクタにおける画像光の射出方向に沿ってロール軸を定めた場合のピッチ軸周りおよびヨー軸周りに回転可能に構成され、前記制御装置は、前記体積像表示エリア内の体積像表示位置に体積像を表示するために各プロジェクタを回転させるべき、各プロジェクタにおけるピッチ軸周りの目的回転角度およびヨー軸周りの目的回転角度を算出する回転角度算出部と、前記回転角度算出部により算出された前記ピッチ軸周りの目的回転角度および前記ヨー軸周りの目的回転角度に基づき、各プロジェクタをピッチ軸周りおよびヨー軸周りに回転駆動する回転駆動部と、各プロジェクタにおけるピッチ軸周りの目的回転角度およびヨー軸周りの目的回転角度に応じて、各プロジェクタの画像光で形成すべき二次元画像を算出する画像算出部と、前記画像算出部により算出されたプロジェクタごとの二次元画像の画像データを各プロジェクタに供給するデータ供給部と、を含む。
【0007】
上記の体積像表示システムでは、体積像が表示される体積像表示エリアを取り囲むように所定位置に配置された複数のプロジェクタが、各プロジェクタにおける画像光の射出方向に沿ってロール軸を定めた場合のピッチ軸周りおよびヨー軸周りに回転可能に構成されている。このような構成において、回転角度算出部は、体積像表示エリア内の体積像表示位置に体積像を表示するために各プロジェクタを回転させるべき、各プロジェクタにおけるピッチ軸周りの目的回転角度およびヨー軸周りの目的回転角度を算出し、回転駆動部は、算出されたピッチ軸周りの目的回転角度およびヨー軸周りの目的回転角度に基づき、各プロジェクタをピッチ軸周りおよびヨー軸周りに回転駆動し、画像算出部は、各プロジェクタにおけるピッチ軸周りの目的回転角度およびヨー軸周りの目的回転角度に応じて、各プロジェクタの画像光で形成すべき二次元画像を算出し、そして、データ供給部は、算出されたプロジェクタごとの二次元画像の画像データを各プロジェクタに供給する。これにより、各プロジェクタは、ピッチ軸周りの目的回転角度だけピッチ軸周りに回転するとともにヨー軸周りの目的回転角度だけヨー軸周りに回転して、体積像表示位置に体積像を表示するための適切な状態(適切な画像光射出方向)となり、この状態で、各プロジェクタの画像光で形成すべき二次元画像の画像データが各プロジェクタに供給され、各プロジェクタから当該二次元画像の画像光が射出される。よって、各プロジェクタからの二次元画像の画像光の重ね合わせにより、体積像表示位置に体積像が表示される。
【0008】
以上のように、各プロジェクタをピッチ軸周りおよびヨー軸周りに回転可能に構成することで、各プロジェクタからの画像光射出方向を変更可能に構成し、また、各プロジェクタからの二次元画像の画像光の重ね合わせにより体積像を表示し、より広い画角の体積像表示を実現することができる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、各プロジェクタからの画像光射出方向を変更可能に構成し、より広い画角の体積像表示を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】体積像表示システムの概要を示す図である。
図2】体積像表示システムの機能ブロック構成図である。
図3】(a)はプロジェクタの概要を示す図であり、(b)はプロジェクタの側面図であり、(c)はプロジェクタの平面図である。
図4】(a)は第1の体積像表示位置に体積像を表示した例を示す図であり、(b)は第2の体積像表示位置に体積像を表示した例を示す図である。
図5】制御装置により実行される処理を示すフロー図である。
図6】制御装置の別の構成を示す図である。
図7】複数のプロジェクタを積層した構成を示す図である。
図8】体積像の表示に影響を与える環境状態の変化を検出するセンサを備えた体積像表示システムの概要を示す図である。
図9】制御装置のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本開示に係る体積像表示システムの一実施形態を説明する。
【0012】
[体積像表示システムの構成]
図1および図2に示すように、体積像表示システム1は、複数のプロジェクタ30と、フォグ噴霧装置20と、制御装置10と、を備える。このうち、複数のプロジェクタ30は、体積像B(一例としてウサギの像)が表示される体積像表示エリアAを取り囲むように所定位置に配置され、体積像表示のための画像光を射出する。図1には8台のプロジェクタ30を例示したが、その台数はこれに限定されるものではない。フォグ噴霧装置20は、体積像表示エリアAにフォグを噴霧して、フォグで満たされた空間を形成する。フォグ噴霧装置20は、1台のフォグ噴霧装置から構成されてもよいし、複数台のフォグ噴霧装置から構成されてもよい。制御装置10は、プロジェクタ30およびフォグ噴霧装置20の動作を制御する。その制御を行うための機能ブロック構成は図2を用いて後述し、その制御処理は図5を用いて後述する。なお、フォグ噴霧装置20は、体積像表示システム1の必須構成要素ではなく、例えば、予めフォグで満たされた部屋に、制御装置10および複数のプロジェクタ30を持ち込むことで体積像表示システム1を構成してもよい。
【0013】
プロジェクタ30は、図3(a)に示す当該プロジェクタ30における画像光の射出方向Xに沿ってロール軸を定めた場合のピッチ軸Y周りおよびヨー軸Z周りに回転可能に構成されている。一例として、プロジェクタ30は、画像光を射出する本体部30Aと、本体部30Aを支持する支持部30Bとで構成され、図3(b)の側面図に示すように、プロジェクタ30をピッチ軸Y周りに回転駆動するモータ31が支持部30Bの内部に設けられ、図3(c)の平面図に示すように、プロジェクタ30をヨー軸Z周りに回転駆動するモータ32が支持部30Bの内部に設けられている。なお、プロジェクタ30の上記のような回転は、プロジェクタ30の重心を中心とした回転に限定されるものではなく、プロジェクタ30からの画像光の射出方向を図3(b)の矢印Y1方向(ピッチ軸Y周り)および図3(c)の矢印Z1方向(ヨー軸Z周り)に変化させるものであればよい。
【0014】
制御装置10は、図2に示すように、回転角度算出部11、回転駆動部12、画像算出部13、データ供給部14、および画像データベース(画像DB)15を備える。このうち、回転角度算出部11は、体積像表示エリア内の体積像表示位置に体積像を表示するために各プロジェクタを回転させるべき、各プロジェクタにおけるピッチ軸周りの目的回転角度およびヨー軸周りの目的回転角度を算出する機能ブロックである。回転駆動部12は、回転角度算出部11により算出されたピッチ軸周りの目的回転角度およびヨー軸周りの目的回転角度に基づき、各プロジェクタをピッチ軸周りおよびヨー軸周りに回転駆動する機能ブロックである。また、画像算出部13は、各プロジェクタにおけるピッチ軸周りの目的回転角度およびヨー軸周りの目的回転角度に応じて、各プロジェクタの画像光で形成すべき二次元画像を算出する機能ブロックである。「形成すべき二次元画像」としては、例えば、表示すべき体積像を画像光射出方向の軸と垂直な面で切断したときの切断面の面積が最大となる位置で切断した場合の輪郭及びプロジェクタに面した側の表面を表す二次元画像等が挙げられる。データ供給部14は、画像算出部13により算出されたプロジェクタごとの二次元画像の画像データを各プロジェクタに供給する機能ブロックである。画像DB15は、二次元画像の画像データを記憶したデータベースとして機能する機能ブロックである。なお、上述した複数の機能ブロックは、物理的に離隔した複数の装置内に設けられてもよく、例えば、画像DB15をネットワーク内に配備し、ネットワーク経由で画像DB15内の画像データの参照、画像DB15への画像データの格納などを行ってもよい。
【0015】
上記のような機能ブロックを備えた制御装置10の制御により、図4(a)において各プロジェクタ30の近傍に示した二次元画像の画像光が各プロジェクタ30から射出され、これらの画像光の重ね合わせにより、第1の体積像表示位置(例えば複数のプロジェクタ30のほぼ中心)に体積像B(一例としてウサギの像)が表示される。そして、各プロジェクタ30をピッチ軸周りおよびヨー軸周りに目的回転角度だけ回転させることで、第1の体積像表示位置とは異なる図4(b)に示す第2の体積像表示位置(即ち、目的とする体積像表示位置)に体積像を表示することが可能となる。また、制御装置10の制御によって、各プロジェクタ30を目的回転角度だけ回転させるまでの途中の段階においても、体積像を表示可能とされており、その詳細は図5を用いて後述する。
【0016】
[体積像表示システムにおいて実行される処理]
次に、図5に沿って、体積像表示システム1において制御装置10の制御の下で実行される処理を説明する。この処理の開始トリガーとしては、例えば、フォグ噴霧装置20によって体積像表示エリアAにフォグを噴霧し、体積像表示エリアAがフォグで満たされた状態で、制御装置10に対しオペレータにより所定の開始操作があったタイミングを採用することができる。上記の開始操作では、オペレータにより、体積像を表示すべき位置(体積像の表示位置)および後述する単位動作時間のうち一方又は両方が入力されてもよい。
【0017】
まず、制御装置10において回転角度算出部11が体積像の表示位置を決定する(図5のステップS1)。ここで、回転角度算出部11は、上述したようにオペレータにより入力された位置を体積像の表示位置として決定してもよいし、又は、予め定められたデフォルトの位置を体積像の表示位置として決定してもよい。
【0018】
次に、回転角度算出部11は、体積像の表示に必要な目的回転角度(ピッチ軸周りの目的回転角度およびヨー軸周りの目的回転角度)を算出し(ステップS2)、さらに、算出された目的回転角度から単位動作時間あたりの単位回転角度(ピッチ軸周りの単位回転角度およびヨー軸周りの単位回転角度)を算出する(ステップS3)。上記の「単位動作時間」とは、プロジェクタ30の回転駆動制御および当該時点で体積像を表示させる制御を行う時間間隔を意味し、予め定められたデフォルト値を用いてもよいし、オペレータにより入力された値を用いてもよい。
【0019】
次に、回転駆動部12が、算出されたピッチ軸周りの単位回転角度およびヨー軸周りの単位回転角度だけ、各プロジェクタ30をピッチ軸周りおよびヨー軸周りに回転させ(ステップS4)、画像算出部13が、各プロジェクタ30における当該時点(ステップS4の回転直後)のピッチ軸周りの回転角度およびヨー軸周りの回転角度に応じて、各プロジェクタ30の画像光で形成すべき二次元画像を算出する(ステップS5)。このとき、画像算出部13は、算出に際し、画像DB15に記憶された画像データを参照してもよい。さらに、データ供給部14が、算出された現時点のプロジェクタごとの二次元画像の画像データを各プロジェクタに供給する(ステップS6)。これにより、各プロジェクタ30を目的回転角度だけ回転させる途中の段階(図4(a)の状態と図4(b)の状態の間の段階)においても、上記画像データに基づく画像光が各プロジェクタ30から射出され、各プロジェクタ30からの画像光の重ね合わせにより体積像を表示することができる。
【0020】
以後は、各プロジェクタ30をピッチ軸周りの目的回転角度およびヨー軸周りの目的回転角度だけ回転させるまで、上記のステップS4~S6の一連の動作を繰り返す(ステップS7でNOとなりステップS4へ戻る)。なお、ステップS7の判断は回転駆動部12により行ってもよい。そして、各プロジェクタ30をピッチ軸周りの目的回転角度およびヨー軸周りの目的回転角度だけ回転させた時点で、ステップS1で決定した表示位置に体積像を表示することができる。その後、図5の処理を終了する(ステップS7でYES)。
【0021】
以上説明した発明の実施形態によれば、各プロジェクタをピッチ軸周りおよびヨー軸周りに回転可能に構成することで、各プロジェクタからの画像光射出方向を変更可能に構成し、また、各プロジェクタからの二次元画像の画像光の重ね合わせにより体積像を表示し、より広い画角の体積像表示を実現することができる。また、制御装置10の制御によって、各プロジェクタ30を目的回転角度だけ回転させるまでの途中の段階においても、時々刻々と変化する体積像を表示することができる。
【0022】
(変形例)
なお、図2では、体積像表示システム1が1台の制御装置10を備えた例を示したが、この変形例として、図6に示すように、制御装置10は、フォグ噴霧装置20および複数のプロジェクタ30の各々を個別に制御する複数のサブ制御装置10Bと、複数のサブ制御装置10Bを統括的に制御するメイン制御装置10Aとで構成してもよい。
【0023】
また、図7に示すように、複数のプロジェクタ30は、画像光の射出方向Xに垂直な所定の方向V(通常は上下方向)に沿って積層された射出方向が同じ複数のプロジェクタ群、から成るグループ30C、を含んで構成してもよい。このようにプロジェクタ30が増えることで、より微細な体積像表示を実現することができる。
【0024】
また、複数のプロジェクタ30は、体積像の全体を表示するための画像光を射出することに限定されず、体積像の輪郭を表示するための画像光を射出してもよい。これにより、体積像の全体表示と体積像の輪郭表示とを適宜に切り替えることができる。
【0025】
また、体積像形成のバリエーションとして、複数のプロジェクタ30は、各プロジェクタ30から、RGBのうち一部の色の光を射出し、光の交点において目的の色を形成してもよい。この場合、光の射出に要するエネルギー消費を節約することができる。
【0026】
また、図8に示すように、体積像表示システム1は、所定の環境状態の変化(例えば、体積像の表示に影響を与える環境状態の変化)を検出するセンサ40(例えば明度センサ)をさらに備え、制御装置10が、センサ40により検出された環境状態の変化に応じて、各プロジェクタ30から射出される画像光の強度を調整してもよい。例えば、周囲の環境が明るくなった(明度が高くなった)場合、体積像が見えにくくなるのを防ぐべく、各プロジェクタ30から射出される画像光の強度を高くして体積像の明るさを増加させてもよい。このように、環境状態の変化に応じて画像光の強度を調整することで、環境状態の変化によって体積像が見えにくくなるなどの弊害を未然に防止することができる。なお、上記センサ40は、明度センサに限定されるものではなく、例えばフォグ密度を検出するセンサであってもよい。また、センサ40は、図8のようにプロジェクタ30と別体で構成してもよいし、プロジェクタ30と一体型で構成してもよい。
【0027】
[用語、変形態様などについて]
なお、上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0028】
例えば、制御装置10は、上記実施形態における処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図9は、制御装置10のハードウェア構成例を示す図である。上述の制御装置10は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0029】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。制御装置10のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0030】
制御装置10における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0031】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0032】
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0033】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0034】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0035】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0036】
本開示において、例えば、英語でのa, an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0037】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1…体積像表示システム、10…制御装置、10A…メイン制御装置、10B…サブ制御装置、11…回転角度算出部、12…回転駆動部、13…画像算出部、14…データ供給部、15…画像DB、20…フォグ噴霧装置、30…プロジェクタ、30A…本体部、30B…支持部、30C…グループ、31、32…モータ、40…センサ、1001…プロセッサ、1002…メモリ、1003…ストレージ、1004…通信装置、1005…入力装置、1006…出力装置、1007…バス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9