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特許7522015駐車場サーバ、駐車料金精算方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】駐車場サーバ、駐車料金精算方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20240717BHJP
【FI】
G07B15/00 N
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020196195
(22)【出願日】2020-11-26
(65)【公開番号】P2022084360
(43)【公開日】2022-06-07
【審査請求日】2023-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】598121606
【氏名又は名称】三菱地所パークス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】荻田 健之
(72)【発明者】
【氏名】磯部 俊哉
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-144654(JP,A)
【文献】特表2018-514032(JP,A)
【文献】特開2014-174657(JP,A)
【文献】特開2020-119301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入場車番読取器から駐車場に入場した車両の車番である入場車番を受信する入場車番受信部と、
ユーザの携帯端末から、前記車番の一部である部分車番と決済方法を含む駐車料金の精算要求を受信する精算要求受信部と、
出場車番読取器から駐車場から出場した車両の車番である出場車番を受信する出場車番受信部と、
前記入場車番の受信時刻と対応する前記出場車番の受信時刻に基づいて駐車料金を決定する駐車料金決定部と、
前記部分車番と符合する前記出場車番の受信時刻までに、該当する前記部分車番を含む決済未実行の前記精算要求が1つのみ存在する場合に、該当する前記精算要求に従って決済を実行し、前記部分車番と符合する前記出場車番の受信時刻までに、該当する前記部分車番を含む決済未実行の前記精算要求が複数存在する場合に、該当する前記精算要求のうち最も新しい時刻の前記精算要求に従って決済を実行する決済実行部を含む
駐車場サーバ。
【請求項2】
請求項1に記載の駐車場サーバであって、
決済未実行の前記入場車番のうち、前記精算要求に含まれる前記部分車番と符合する前記入場車番が複数存在するか否かを検査する精算要求検査部と、
決済未実行の前記入場車番のうち、前記精算要求に含まれる前記部分車番と符合する前記入場車番が複数存在する場合に、該当する前記精算要求のうち時刻が新しい前記精算要求を送信した前記携帯端末に重複エラーを送信するエラー送信部を含む
駐車場サーバ。
【請求項3】
請求項2に記載の駐車場サーバであって、
前記精算要求検査部は、
決済未実行の前記精算要求に含まれる前記部分車番が、決済未実行の他の前記精算要求に含まれる前記部分車番の何れかと一致しているか否かを検査し、
前記エラー送信部は、
決済未実行の前記精算要求に含まれる前記部分車番が、決済未実行の他の前記精算要求に含まれる前記部分車番の何れかと一致している場合に、該当する前記精算要求を送信した前記携帯端末の全てに誤入力エラーを送信する
駐車場サーバ。
【請求項4】
請求項3に記載の駐車場サーバであって、
前記重複エラーには、
部分車番の定義の一時的変更の通知が含まれ、
前記誤入力エラーには、
部分車番を再入力することを促す通知が含まれる
駐車場サーバ。
【請求項5】
請求項3または4に記載の駐車場サーバであって、
前記精算要求検査部は、
決済未実行の前記精算要求のうち、受信してから所定時間が経過した前記精算要求の有無を検査し、
前記エラー送信部は、
決済未実行の前記精算要求のうち、受信してから所定時間が経過した前記精算要求を送信した前記携帯端末に時間超過エラーを送信する
駐車場サーバ。
【請求項6】
請求項1から5の何れかに記載の駐車場サーバであって、
前記精算要求は、
前記部分車番と前記決済方法に加え、前記駐車料金の割引に関する情報である割引情報を含み、
前記駐車料金決定部は、
前記入場車番の受信時刻と対応する前記出場車番の受信時刻と前記割引情報に基づいて前記駐車料金を決定する
駐車場サーバ。
【請求項7】
入場車番読取器から駐車場に入場した車両の車番である入場車番を受信する入場車番受信ステップと、
ユーザの携帯端末から、前記車番の一部である部分車番と決済方法を含む駐車料金の精算要求を受信する精算要求受信ステップと、
出場車番読取器から駐車場から出場した車両の車番である出場車番を受信する出場車番受信ステップと、
前記入場車番の受信時刻と対応する前記出場車番の受信時刻に基づいて駐車料金を決定する駐車料金決定ステップと、
前記部分車番と符合する前記出場車番の受信時刻までに、該当する前記部分車番を含む決済未実行の前記精算要求が1つのみ存在する場合に、該当する前記精算要求に従って決済を実行し、前記部分車番と符合する前記出場車番の受信時刻までに、該当する前記部分車番を含む決済未実行の前記精算要求が複数存在する場合に、該当する前記精算要求のうち最も新しい時刻の前記精算要求に従って決済を実行する決済実行ステップを含む
駐車料金精算方法。
【請求項8】
請求項7に記載の駐車料金精算方法であって、
決済未実行の前記入場車番のうち、前記精算要求に含まれる前記部分車番と符合する前記入場車番が複数存在するか否かを検査する精算要求検査ステップと、
決済未実行の前記入場車番のうち、前記精算要求に含まれる前記部分車番と符合する前記入場車番が複数存在する場合に、該当する前記精算要求のうち時刻が新しい前記精算要求を送信した前記携帯端末に重複エラーを送信するエラー送信ステップを含む
駐車料金精算方法。
【請求項9】
請求項8に記載の駐車料金精算方法であって、
前記精算要求検査ステップは、
決済未実行の前記精算要求に含まれる前記部分車番が、決済未実行の他の前記精算要求に含まれる前記部分車番の何れかと一致しているか否かを検査し、
前記エラー送信ステップは、
決済未実行の前記精算要求に含まれる前記部分車番が、決済未実行の他の前記精算要求に含まれる前記部分車番の何れかと一致している場合に、該当する前記精算要求を送信した前記携帯端末の全てに誤入力エラーを送信する
駐車料金精算方法。
【請求項10】
請求項9に記載の駐車料金精算方法であって、
前記重複エラーには、
部分車番の定義の一時的変更の通知が含まれ、
前記誤入力エラーには、
部分車番を再入力することを促す通知が含まれる
駐車料金精算方法。
【請求項11】
請求項9または10に記載の駐車料金精算方法であって、
前記精算要求検査ステップは、
決済未実行の前記精算要求のうち、受信してから所定時間が経過した前記精算要求の有無を検査し、
前記エラー送信ステップは、
決済未実行の前記精算要求のうち、受信してから所定時間が経過した前記精算要求を送信した前記携帯端末に時間超過エラーを送信する
駐車料金精算方法。
【請求項12】
請求項7から11の何れかに記載の駐車料金精算方法であって、
前記精算要求は、
前記部分車番と前記決済方法に加え、前記駐車料金の割引に関する情報である割引情報を含み、
前記駐車料金決定ステップは、
前記入場車番の受信時刻と対応する前記出場車番の受信時刻と前記割引情報に基づいて前記駐車料金を決定する
駐車料金精算方法。
【請求項13】
コンピュータを請求項1から6の何れかに記載の駐車場サーバとして機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場サーバ、駐車料金精算方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
駐車場管理システムの従来例として例えば特許文献1がある。特許文献1の駐車場管理システムは、検知手段による車両の入庫の信号に基づいて入庫時刻を決定し、当該入庫時刻から駐車時間を計測する計測部と、車両画像から車両ナンバーを読み取る読取手段と、車両ナンバー、車両画像及び入庫時刻を関連付けて記録する記録部と、入力操作のための操作部と車両ナンバー及び車両画像を表示する表示部とを備えたパネル部と、駐車料金の精算を行うための精算部と、車両ナンバーに基づいた精算を行うための第1制御部及び入庫時刻に基づいた精算を行うための第2制御部を備える。第1制御部は、入力された車両ナンバーに基づいて複数の画像を表示し、第2制御部は、入力された入庫時刻に基づいて複数の画像を表示することにより、精算車両の当否判定に供する。
【0003】
上述の構成を備えることにより、初期設備投資、維持管理費が大幅に低減され、利用者にとって使い勝手が良い駐車場管理システムを実現した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6588875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の駐車場管理システムは、チケットレスな駐車場サービスを実現するために、ユーザに車両ナンバーを入力させる必要があり、ユーザの負担を減らすために4桁の一連指定番号のみをユーザに入力させる場合があった。しかしながら、ユーザは自分の車両ナンバーを正確に記憶していない場合も多く、誤った車両ナンバーが入力される場合があった。
【0006】
例えば、あるユーザ(以下、ユーザA)の車両の一連指定番号が正しくは「22-08」であったにも関わらず、ユーザAがこれを「20-28(以下では-を省略して表記する)」と誤って記憶しており、誤った一連指定番号である「2028」がユーザAにより入力された場合に、同じ時間帯に一連指定番号「2028」であるユーザ(以下、ユーザB)の車両が駐車していた場合には、ユーザAによってユーザBが払うべき駐車料金の精算が行われてしまうという問題があった。
【0007】
そこで本発明では、ユーザによる誤った精算を減らすことができる駐車場サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の駐車場サーバは、入場車番受信部と、精算要求受信部と、出場車番受信部と、駐車料金決定部と、決済実行部を含む。
【0009】
入場車番受信部は、入場車番読取器から駐車場に入場した車両の車番である入場車番を受信する。精算要求受信部は、ユーザの携帯端末から、車番の一部である部分車番と決済方法を含む駐車料金の精算要求を受信する。出場車番受信部は、出場車番読取器から駐車場から出場した車両の車番である出場車番を受信する。駐車料金決定部は、入場車番の受信時刻と対応する出場車番の受信時刻に基づいて駐車料金を決定する。決済実行部は、部分車番と符合する出場車番の受信時刻までに、該当する部分車番を含む決済未実行の精算要求が1つのみ存在する場合に、該当する精算要求に従って決済を実行し、部分車番と符合する出場車番の受信時刻までに、該当する部分車番を含む決済未実行の精算要求が複数存在する場合に、該当する精算要求のうち最も新しい時刻の精算要求に従って決済を実行する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の駐車場サーバによれば、ユーザによる誤った精算を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1の駐車料金精算システムの装置構成を示すブロック図。
図2】実施例1の駐車場サーバの機能構成を示すブロック図。
図3】実施例1の駐車場サーバの入場車番処理フローを示すフローチャート。
図4】実施例1の駐車場サーバの精算要求処理フローを示すフローチャート。
図5】部分車番が一致する間違った精算要求、正しい精算要求を例示する図。
図6】実施例1の駐車場サーバの出場車番処理フローを示すフローチャート。
図7】部分車番が一致する2つの精算要求における事象発生順序の6つのパターン(P1~P6)と処理結果を示す図。
図8】実施例1の駐車場サーバの精算要求検査処理フローを示すフローチャート。
図9】実施例1の駐車場サーバの精算要求削除処理フローを示すフローチャート。
図10】コンピュータの機能構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例1】
【0013】
以下、図1を参照して実施例1の駐車料金精算システムの装置構成を説明する。同図に示すように、本実施例の駐車料金精算システム1は、駐車場サーバ11と、入場車番読取器12と、店舗端末13と、携帯端末14と、出場車番読取器15と、決済サーバ16を含む。
【0014】
以下、図2を参照して本実施例の駐車場サーバ11の機能構成を説明する。同図に示すように、本実施例の駐車場サーバ11は、入場車番受信部1105と、入場車番記憶部1110と、精算要求受信部1115と、精算要求記憶部1120と、出場車番受信部1125と、駐車料金決定部1130と、決済実行部1135と、精算要求検査部1140と、エラー送信部1145と、取り下げ要求受信部1150と、精算要求削除部1155を含む。なお、精算要求検査部1140、エラー送信部1145、取り下げ要求受信部1150、精算要求削除部1155は、オプショナルな機能構成である。
【0015】
以下、図3図9を参照して、ユーザの行動、および他の装置の動作との関連を明確にしながら、本実施例の駐車場サーバ11の各構成要件の動作を具体的に説明する。
【0016】
[ユーザの行動:駐車場への入場]
ユーザは、自動車で駐車場に入場する。駐車場の入場口には、入場車番読取器12が設置されており、入場車番読取器12はユーザの車両の車番を読み取る。
【0017】
[入場車番受信部1105]
入場車番受信部1105は、入場車番読取器12から駐車場に入場したユーザの車両の車番である入場車番を受信する(S1105)。
【0018】
[入場車番記憶部1110]
入場車番記憶部1110は、受信した入場車番と、受信時刻を対応付けて記憶する(S1110)。
【0019】
[ユーザの行動:精算要求]
ユーザは、任意のタイミングで自身の携帯端末14を操作して、例えば専用のアプリケーション上の入力フォームから、車番の一部である部分車番と駐車料金の決済方法を指定する。このとき、割引情報がある場合には、割引情報を指定することができる。
【0020】
割引情報とは店舗での商品・サービス購入時に店舗端末13から携帯端末14に送信される情報である。割引情報として、例えば駐車場の利用料金の値引き額が示されていてもよいし、駐車場を無料で利用できる時間の情報が示されていてもよい。
【0021】
ユーザの携帯端末14は、指定された部分車番と決済方法(と割引情報)に基づいて精算要求を生成し、生成した精算要求を駐車場サーバ11に送信する。
【0022】
[精算要求受信部1115]
精算要求受信部1115は、ユーザの携帯端末14から、車番の一部である部分車番と決済方法を含む駐車料金の精算要求を受信する(S1115)。
【0023】
部分車番は、例えば4桁の一連指定番号としてもよい。図5の例では4桁の一連指定番号「2028」が指定されている。これ以外にも、例えば一連指定番号に検査登録事務所を表示する文字(地域名)を加えたものを部分車番としてもよい。一連指定番号に地域名を加えた例として、例えば「品川2028」がある。また、一連指定番号に自家用/貸渡用などを判別する平仮名1文字(判別文字)を加えたものを部分車番としてもよい。一連指定番号に判別文字を加えた例として、例えば「さ2028」がある。これ以外にも分類番号+一連指定番号=部分車番としてもよいし、これらの要素(一連指定番号、地域名、判別文字、分類番号)のうち、3つ、または4つを組み合わせて部分車番としてもよい。
【0024】
決済方法は、例えば決済に用いるクレジット番号、クレジットカード情報の指定、または電子マネーアカウントとの紐付けでよい。
【0025】
上述したように、精算要求は、部分車番と決済方法に加え、駐車料金の割引に関する情報である割引情報を含んでもよい。
【0026】
[精算要求記憶部1120]
精算要求記憶部1120は、ユーザの携帯端末14から受信した精算要求を記憶する(S1120)。
【0027】
[ユーザの行動:駐車場からの出場]
ユーザは、自動車で駐車場から出場する。駐車場の出場口には、出場車番読取器15が設置されており、出場車番読取器15はユーザの車両の車番を読み取る。
【0028】
[出場車番受信部1125]
出場車番受信部1125は、出場車番読取器15から、駐車場から出場したユーザの車両の車番である出場車番を受信する(S1125)。
【0029】
[駐車料金決定部1130]
駐車料金決定部1130は、ユーザの入場車番の受信時刻と対応するユーザの出場車番の受信時刻に基づいて駐車料金を決定する(S1130)。なお上述したように、駐車料金決定部1130は、ユーザの入場車番の受信時刻と、ユーザの出場車番の受信時刻と、ユーザの精算要求に含まれる割引情報に基づいて駐車料金を決定してもよい。
【0030】
[決済実行部1135]
決済実行部1135は、部分車番と符合する出場車番の受信時刻までに、該当する部分車番を含む決済未実行の精算要求が1つのみ存在する場合に、該当する精算要求に従って決済を実行し、部分車番と符合する出場車番の受信時刻までに、該当する部分車番を含む決済未実行の精算要求が複数存在する場合に、該当する精算要求のうち最も新しい時刻の精算要求に従って決済を実行する(S1135)。以下、ステップS1135の動作について、具体的なケースを例に挙げて説明する。
【0031】
<ケース:ユーザの過誤により同一の部分車番について複数の精算要求が生成>
例えば、図5に示す例のように、ユーザAが入力した部分車番(ここでは、一連指定番号のみを部分車番に指定)が誤っていたものとする。典型的なケースとしては、例えばユーザAの自動車の部分車番(一連指定番号)は「2208」であったにも関わらず、ユーザAが記憶違いをしており、自分の自動車の部分車番(一連指定番号)が「2028」であると考えて、誤った精算要求をしてしまったケースなどである。この場合に同図に示すように、ユーザBの自動車の部分車番(一連指定番号)が「2028」であって、ユーザBは、自分の自動車の部分車番(一連指定番号)を正しく入力して、正しい精算要求をした場合について考える。
【0032】
この場合、同じ部分車番について複数の請求が存在することになる。ステップS1135において述べたように、精算要求が処理されるタイミングは、出場車番の受信時刻であるため、出場車番の受信時刻までは、どちらの精算要求も処理されずに、宙に浮いたままとなっていることに注意を要する。ここで、各ユーザの精算要求、駐車場からの出場の順序に応じて6つのパターンP1~P6を想定し、図7にまとめた。以下、6つのパターンP1~P6におけるシステムの動作を詳細に説明する。
【0033】
<P1:Aが精算要求(誤)をして出場、Bが精算要求(正)をして出場>
このパターンの場合、ユーザAは誤った精算要求(例えば部分車番「2028」)をして出場ゲートに向かう。出場車番読取器15は、ユーザAの自動車の車番(正しい部分車番である「2208」を含む車番)を読み取って駐車場サーバ11に送信する。駐車場サーバ11は、部分車番「2208」に対応する精算要求を検索するが、ユーザAが誤った精算要求をしているため、該当する精算要求は見つからない。従って、ユーザAは、誤った精算要求を宙に浮いた状態とし、さらに自身の駐車料金を精算しないで、駐車場を出場しようとすることになる(図7の※1)。
【0034】
例えばゲートレス駐車場の場合には、ユーザAは自身の駐車料金を精算しないまま、駐車場から出場してしまうことになる。この場合、駐車場サーバ11は、未精算の駐車料金と対応する車番(出場車番読取器15によって読み取られた完全な車番)とを対応付けて記憶しておくこととすれば、次回のユーザAの駐車場利用時に前回分の駐車料金を請求することができる。
【0035】
ゲート付きの駐車場の場合には、該当する精算要求が見つからない時点でエラー処理とし、ゲートを開かないようにして、係員がユーザAに対して個別に対応してもよい。
【0036】
一方、ユーザBは正しい精算要求(例えば部分車番「2028」)をして出場口に向かう。出場車番読取器15は、ユーザBの自動車の車番(正しい部分車番である「2028」を含む車番)を読み取って駐車場サーバ11に送信する。駐車場サーバ11は、読み取った車番の一部分である部分車番「2028」に対応する精算要求を検索し、ユーザAの精算要求(誤)とユーザBの精算要求(正)の2件の精算要求を見つける。この場合、駐車場サーバ11の決済実行部1135は、該当する2つの精算要求のうち最も新しい時刻の精算要求、すなわちユーザBの精算要求に従って決済を実行する。
【0037】
従って、新しい要求であるユーザBの精算要求が正しいものとして取り扱われ(同図の※2)、ユーザBの精算要求を処理し、ユーザBの決済を正常に完了する(同図の※3)。よってこのケースにおけるユーザBの決済は正しい。
【0038】
<P2:Aが精算要求(誤)、Bが精算要求(正)、A出場、B出場>
このパターンの場合、ユーザAは、誤った精算要求を宙に浮いた状態とし、さらに自身の駐車料金を精算しないで、駐車場を出場しようとし(※1)、新しい要求であるユーザBの精算要求が正しいものとして取り扱われ(※2)、ユーザBの精算要求を処理し、ユーザBの決済を正常に完了する(※3)。よってP1と同様である。
【0039】
<P3:Aが精算要求(誤)、Bが精算要求(正)、B出場、A出場>
このパターンの場合、ユーザAは、誤った精算要求を宙に浮いた状態とし、さらに自身の駐車料金を精算しないで、駐車場を出場しようとし(※1)、新しい要求であるユーザBの精算要求が正しいものとして取り扱われ(※2)、ユーザBの精算要求を処理し、ユーザBの決済を正常に完了する(※3)。よってP1、P2と同様である。
【0040】
<P4:Bが精算要求(正)、Aが精算要求(誤)、A出場、B出場>
このパターンの場合、ユーザAは、誤った精算要求を宙に浮いた状態とし、さらに自身の駐車料金を精算しないで、駐車場を出場しようとし(※1)、新しい要求であるユーザAの精算要求が正しいものとして取り扱われ(※4)、ユーザBの出場時にユーザAの精算要求を処理し、ユーザAの決済を完了することになる(※5)。※5の状況は、ユーザAがユーザBの駐車料金を代わりに支払ってしまうエラーを示している。
【0041】
※1のエラーは、ユーザAが再入場した際にユーザAに対して再請求が可能であること、そもそも厳密に駐車料金を徴収することを求めない方針を採る場合、などを想定すれば、※5のエラーよりは軽微なエラーといえる。一方、※5のエラーは可能な限り防ぐことが望ましい。※5のエラーが起きる要因として、精算要求が行われてから、出場するまでの時間が長すぎることが挙げられる。P4の場合、ユーザBが精算要求(正)を行ってから、ユーザBが出場するまでの時間が長すぎるために、この間にユーザAの精算要求(誤)が起こってしまったことにより※5のエラーが発生した。従って、精算要求が行われてから、対応する車両が出場するまでの時間が短くなるように制御できれば、この種のエラーは減少すると考えられる。例えば、決済未実行の精算要求のうち、受信してから所定時間が経過した精算要求に対応する携帯端末14に対して時間超過エラーを送信して(後述)該当の精算要求を無効とすることで、※5のエラーを減らすことが可能である。
【0042】
<P5:Bが精算要求(正)、Aが精算要求(誤)、B出場、A出場>
このパターンの場合、ユーザAは、誤った精算要求を宙に浮いた状態とし、さらに自身の駐車料金を精算しないで、駐車場を出場しようとし(※1)、新しい要求であるユーザAの精算要求が正しいものとして取り扱われ(※4)、ユーザBの出場時にユーザAの精算要求を処理し、ユーザAの決済を完了することになる(※5)。従ってP4と同様である。時間超過エラーを送信して(後述)該当の精算要求を無効とすることで、※5のエラーを減らすことが可能である。
【0043】
<P6:Bが精算要求(正)をして出場、Aが精算要求(誤)>
このパターンの場合、ユーザBの部分車番を含む決済未実行の精算要求が1つのみ(ユーザBによる正しい精算要求のみ)存在するから、ユーザBの精算要求を処理し、ユーザBの決済を正常に完了する(※3)。その後にユーザAが誤った精算要求(部分車番2028)を行うが、部分車番2028に対応するユーザBの自動車は既に出場済みであるために、ユーザAの精算要求は該当車番なしとして拒絶される(※6)。
【0044】
[精算要求検査部1140(オプション)]
精算要求検査部1140は、以下の三つのエラー(重複エラー、誤入力エラー、時間超過エラー)を検査する(S1140)。
【0045】
<重複エラーの検査>
精算要求検査部1140は、決済未実行の入場車番のうち、精算要求に含まれる部分車番と符合する入場車番が複数存在するか否かを検査する。このエラーは、駐車場内に存在する自動車の間で、部分車番の重複が起こってしまったケースに対して通知するエラーであり、上述したユーザの誤りに起因するエラーとは無関係である。
【0046】
<誤入力エラーの検査>
精算要求検査部1140は、決済未実行の精算要求に含まれる部分車番が、決済未実行の他の精算要求に含まれる部分車番の何れかと一致しているか否かを検査する。重複エラーと誤入力エラーが同時に起こっている場合には、重複エラーが優先される。
【0047】
<時間超過エラーの検査>
精算要求検査部1140は、決済未実行の精算要求のうち、受信してから所定時間が経過した精算要求の有無を検査する。
【0048】
[エラー送信部1145(オプション)]
エラー送信部1145は、上記三つのエラー(重複エラー、誤入力エラー、時間超過エラー)を該当する携帯端末14に送信する(S1145)。
【0049】
<重複エラーの送信>
エラー送信部1145は、決済未実行の入場車番のうち、精算要求に含まれる部分車番と符合する入場車番が複数存在する場合に、該当する精算要求のうち時刻が新しい精算要求を送信した携帯端末14に重複エラーを送信する。送信される重複エラーの内容として、部分車番の定義の一時的変更の通知などが考えられる。例えば初期設定として一連指定番号のみを部分車番と定義していた場合に、重複が起こっているため一連指定番号に地域名を加えて再定義した部分車番を再入力することを促す通知が考えられる。
【0050】
<誤入力エラーの送信>
エラー送信部1145は、決済未実行の精算要求に含まれる部分車番が、決済未実行の他の精算要求に含まれる部分車番の何れかと一致している場合に、該当する精算要求を送信した携帯端末14の全てに誤入力エラーを送信する。精算要求検査部1140が、誤入力エラーの検査を頻繁に行い、誤入力エラーの送信が短時間で行われることで、誤入力をしたユーザがまだ駐車場内にいるうちに、誤入力エラーを通知できる可能性が高くなる。
【0051】
例えば、図7に★で示した状況は、ユーザAによる精算要求とユーザBによる精算要求がいずれも宙に浮いており、かつユーザAが未だ出場していない状況を示しており、ユーザAが出場する前に誤入力エラーを通知できる可能性が高い。なお、この場合ユーザA、ユーザBの双方に誤入力エラーが送信される。送信される誤入力エラーの内容として、誤入力が生じている可能性があることの通知、該当の精算要求を取り下げて部分車番を再入力して新しい精算要求を生成することを促す通知などが考えられる。
【0052】
<時間超過エラーの送信>
エラー送信部1145は、決済未実行の精算要求のうち、受信してから所定時間が経過した精算要求を送信した携帯端末14に時間超過エラーを送信する。送信される時間超過エラーの内容として、精算要求が時間超過により無効になったことを示す通知、再度精算要求を実行することを促す通知などが考えられる。
【0053】
[ユーザの行動:精算要求の取り下げ]
ユーザが自分の精算要求が誤っていることに気が付いた場合(典型的には、誤入力エラーの通知によりこの誤りに気が付くと考えられる)、該当の精算要求を取り下げる場合がある。この場合、ユーザの入力に基づいて、携帯端末14上で取り下げ要求が生成され、生成された取り下げ要求は、駐車場サーバ11に送信される。
【0054】
[取り下げ要求受信部1150(オプション)]
取り下げ要求受信部1150は、ユーザの携帯端末14から精算要求の取り下げ要求を受信する(S1150)。
【0055】
[精算要求削除部1155(オプション)]
精算要求削除部1155は、受信した取り下げ要求に基づいて、該当する精算要求を削除する(S1155)。
【0056】
<補記>
本発明の装置は、例えば単一のハードウェアエンティティとして、キーボードなどが接続可能な入力部、液晶ディスプレイなどが接続可能な出力部、ハードウェアエンティティの外部に通信可能な通信装置(例えば通信ケーブル)が接続可能な通信部、CPU(Central Processing Unit、キャッシュメモリやレジスタなどを備えていてもよい)、メモリであるRAMやROM、ハードディスクである外部記憶装置並びにこれらの入力部、出力部、通信部、CPU、RAM、ROM、外部記憶装置の間のデータのやり取りが可能なように接続するバスを有している。また必要に応じて、ハードウェアエンティティに、CD-ROMなどの記録媒体を読み書きできる装置(ドライブ)などを設けることとしてもよい。このようなハードウェア資源を備えた物理的実体としては、汎用コンピュータなどがある。
【0057】
ハードウェアエンティティの外部記憶装置には、上述の機能を実現するために必要となるプログラムおよびこのプログラムの処理において必要となるデータなどが記憶されている(外部記憶装置に限らず、例えばプログラムを読み出し専用記憶装置であるROMに記憶させておくこととしてもよい)。また、これらのプログラムの処理によって得られるデータなどは、RAMや外部記憶装置などに適宜に記憶される。
【0058】
ハードウェアエンティティでは、外部記憶装置(あるいはROMなど)に記憶された各プログラムとこの各プログラムの処理に必要なデータが必要に応じてメモリに読み込まれて、適宜にCPUで解釈実行・処理される。その結果、CPUが所定の機能(上記、…部、…手段などと表した各構成要件)を実現する。
【0059】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。また、上記実施形態において説明した処理は、記載の順に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されるとしてもよい。
【0060】
既述のように、上記実施形態において説明したハードウェアエンティティ(本発明の装置)における処理機能をコンピュータによって実現する場合、ハードウェアエンティティが有すべき機能の処理内容はプログラムによって記述される。そして、このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記ハードウェアエンティティにおける処理機能がコンピュータ上で実現される。
【0061】
上述の各種の処理は、図10に示すコンピュータの記録部10020に、上記方法の各ステップを実行させるプログラムを読み込ませ、制御部10010、入力部10030、出力部10040などに動作させることで実施できる。
【0062】
この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等どのようなものでもよい。具体的には、例えば、磁気記録装置として、ハードディスク装置、フレキシブルディスク、磁気テープ等を、光ディスクとして、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD-RAM(Random Access Memory)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD-R(Recordable)/RW(ReWritable)等を、光磁気記録媒体として、MO(Magneto-Optical disc)等を、半導体メモリとしてEEP-ROM(Electrically Erasable and Programmable-Read Only Memory)等を用いることができる。
【0063】
また、このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記録したDVD、CD-ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行う。さらに、このプログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。
【0064】
このようなプログラムを実行するコンピュータは、例えば、まず、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、一旦、自己の記憶装置に格納する。そして、処理の実行時、このコンピュータは、自己の記録媒体に格納されたプログラムを読み取り、読み取ったプログラムに従った処理を実行する。また、このプログラムの別の実行形態として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよく、さらに、このコンピュータにサーバコンピュータからプログラムが転送されるたびに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。また、サーバコンピュータから、このコンピュータへのプログラムの転送は行わず、その実行指示と結果取得のみによって処理機能を実現する、いわゆるASP(Application Service Provider)型のサービスによって、上述の処理を実行する構成としてもよい。なお、本形態におけるプログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるもの(コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータ等)を含むものとする。
【0065】
また、この形態では、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより、ハードウェアエンティティを構成することとしたが、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10