(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】木杭頭切削装置
(51)【国際特許分類】
E02D 13/00 20060101AFI20240717BHJP
E02D 5/26 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
E02D13/00 Z
E02D5/26
(21)【出願番号】P 2020215015
(22)【出願日】2020-12-24
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】591226586
【氏名又は名称】兼松サステック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】竹田 雅春
(72)【発明者】
【氏名】中庭 浩実
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-146002(JP,A)
【文献】特開2009-52250(JP,A)
【文献】特開2002-1701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 7/00-13/10
E02D 5/22- 5/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木杭の杭頭を水平に切削するための木杭頭切削装置であって、
少なくとも下端を開放した、前記木杭よりも大径の円筒状の本体と、
前記本体内部に固定する切削板と、
前記本体の上端に固定し、回転圧入機や地盤改良機等の回転軸と連結する連結部と、を有し、
前記切削板は下方に傾斜しており、下端に水平な切削刃を有することを特徴とする、
木杭頭切削装置。
【請求項2】
請求項1に記載の木杭頭切削装置において、
前記本体内部に水平に固定する固定板を有し、
前記固定板は前記本体の内径と同形の円盤であり、一部に扇形状の切り欠きを有し、
前記切削板は前記固定板の切り欠きと略同形の扇形であり、切り欠きを平面視で塞ぐように弧を前記本体内周に固定し、下方に位置する一方の半径部分に前記切削刃を有することを特徴とする、
木杭頭切削装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の木杭頭切削装置において、
前記本体の、前記切削板より上部の外周に、排出孔を有することを特徴とする、
木杭頭切削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば住宅の基礎に用いる木杭の杭頭を水平に切削し、杭頭高さを調整するための木杭頭切削装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、小規模住宅の基礎には、CO2を排出せず環境に優しい木杭が用いられるようになってきている。
また、木杭に限らず、杭が打設時に高止まりすると杭頭処理を行う必要があるが、木杭の場合には杭頭を所定の深さで水平に切断し、杭頭の高さを調整することが一般的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
木杭の切断はチェーンソー等の工具を用いて行う。
杭頭を所定の深さで水平に切断するためには、工具の刃を水平に木杭に当てる必要があり、このための作業スペースとして、木杭の周囲の地盤を掘削しなければならない。このとき、以下のような課題が生じる。
(1)木杭の周囲の地盤を掘削することで地盤が乱され、所定の支持力が得られなくなるおそれがある。
(2)地盤の掘削作業や木杭の切断作業には作業機械や作業員が必要であり、工期、工費がかさむ。
【0004】
本発明は、容易に木杭の杭頭高さを調整することができる、木杭頭切削装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた本願の第1発明は、木杭の杭頭を水平に切削するための木杭頭切削装置であって、少なくとも下端を開放した、前記木杭よりも大径の円筒状の本体と、前記本体内部に固定する切削板と、前記本体の上端に固定し、回転圧入機や地盤改良機等の回転軸と連結する連結部と、を有し、前記切削板は下方に傾斜しており、下端に水平な切削刃を有することを特徴とする、木杭頭切削装置を提供する。
本願の第二発明は、第一発明の木杭頭切削装置において、前記本体内部に水平に固定する固定板を有し、前記固定板は前記本体の内径と同形の円盤であり、一部に扇形状の切り欠きを有し、前記切削板は前記固定板の切り欠きと略同形の扇形であり、切り欠きを平面視で塞ぐように弧を前記本体内周に固定し、下方に位置する一方の半径部分に前記切削刃を有することを特徴とする、木杭頭切削装置を提供する。
本願の第三発明は、第一発明又は第二発明の木杭頭切削装置において、前記本体の、前記切削板より上部の外周に、排出孔を有することを特徴とする、木杭頭切削装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、上記した課題を解決するための手段により、次のような効果の少なくとも一つを得ることができる。
(1)本体は下端開放の円筒のため、木杭頭切削装置を押し下げることで地盤に貫入でき、木杭の周囲の地盤を乱すことがない。
(2)回転圧入機や地盤改良機等により容易に杭頭の高さ調整が可能であり、工期が短く、工費がかさむこともない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】本発明の木杭頭切削装置の使用状態の説明図(1)
【
図4】本発明の木杭頭切削装置の使用状態の説明図(2)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0009】
<1>木杭頭切削装置の全体構成
本発明の木杭頭切削装置は、円筒状の本体1、本体1内部に固定する固定板2と切削板3、及び本体1の上端に固定する連結部4を有する(
図1)。
【0010】
<2>本体
本体1は円筒状の鋼管であり、下端は開放し上端は封止する。
本体1の内部には固定板2と切削板3を溶接等により固定する。
本体1の固定板2や切削板3より上部の外周には、排出孔11を設ける。
本体1の径は杭頭を切削しようとする木杭よりも大径とする。
【0011】
<3>固定板、切削板
固定板2は、本体1の内径と同形の円盤であり、一部に扇形状の切り欠き21を設ける(
図2)。そして、水平な状態で切り欠き21部分を除いた外周を本体1内周に固定する。
切削板3は、固定板2の切り欠き21部分と略同形の扇形であり、一方の半径部分に切削刃31を設ける。
切削刃31は切削板3の端部を鋭角にすることで形成してもよいし、切削板3とは別体として切削板3に固定する形態としてもよい。切削板3と別体とすれば、切削刃31が劣化したときに交換が可能となる。
切削板3は、切削刃31が下になるように下方に傾斜した状態で切り欠き21を平面視で塞ぐように弧を本体1内周に固定する。このとき、切削板3は切削刃31が水平となるようにする。
【0012】
<4>連結部
本発明の木杭頭切削装置は、図示しない回転圧入機や地盤改良機等の回転軸の下端に連結部4を連結して用いる。
本体1上部の連結部4は、本実施例においては円筒状の鋼管としたが、回転圧入機や地盤改良機等の回転軸と連結できる形態であれば適宜選択することができる。
【0013】
<5>木杭頭切削装置を用いた杭頭の切削
高止まりした木杭5の杭頭に、回転圧入機や地盤改良機等の回転軸の下端に取り付けた木杭頭切削装置の本体1を被せるように配置する。本体1は下端開放の円筒のため、木杭頭切削装置を押し下げることで地盤に貫入でき、木杭5の周囲の地盤を乱すことがない。
そして、水平な切削刃31が木杭の上端に接した状態で木杭頭切削装置を回転・押し下げることで、木杭5の杭頭を水平に切削することができる(
図3)。回転圧入機や地盤改良機等により容易に杭頭の高さ調整が可能であり、工期が短く、工費がかさむこともない。
【0014】
さらに回転・押し下げをしていくと、切削刃31のうち、木杭よりも外側の部分が地盤に到達するが、地盤の土等は木杭5の切削屑とともに切削刃31により持ち上げられて、本体1内部の固定板2上部の空間Sに収容される(
図4)。杭頭の高さ調整が終わったらそのまま木杭頭切削装置を持ち上げることで、不要な切削屑や土等は固定板2により支えられて木杭頭切削装置の内部の空間Sに位置したまま取り除かれる。本体1内部の切削屑や土等は、本体1に設けた排出孔11から排出することができる。
【符号の説明】
【0015】
1…本体、11…排出孔
2…固定板
3…切削板、31…切削刃
4…連結部
5…木杭