(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】レベルシフト回路、及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H03K 19/0185 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
H03K19/0185 240
(21)【出願番号】P 2020556113
(86)(22)【出願日】2019-11-06
(86)【国際出願番号】 JP2019043468
(87)【国際公開番号】W WO2020100681
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】P 2018213670
(32)【優先日】2018-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】一橋 正寛
(72)【発明者】
【氏名】田代 哲也
(72)【発明者】
【氏名】佃 恭範
【審査官】及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-042077(JP,A)
【文献】特開2003-338749(JP,A)
【文献】特開2006-140884(JP,A)
【文献】特開2003-152096(JP,A)
【文献】特開2016-029863(JP,A)
【文献】特開2005-033718(JP,A)
【文献】特開2004-064632(JP,A)
【文献】特開2006-279203(JP,A)
【文献】特開2000-010533(JP,A)
【文献】特表2012-526487(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108055033(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 19/00-19/096
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電源系の入力信号が入力される入力部と、
一対のノードを有し、前記第1の電源系よりも電圧レベルの高い第2の電源系となる一対の電源線のうち一方の電源線に接続され、前記入力信号に応じて前記一方の電源線の電位を前記一対のノードのどちらか一方に供給する供給部と、
前記一対の電源線のうち他方の電源線に接続され、前記一対のノードのうち前記一方の電源線の電位が供給されるノードと前記他方の電源線との間の電流を規制する規制部と
、
前記一対のノードの電位に基づいて、前記第2の電源系の電圧レベルの出力信号を生成する出力部と
を具備し、
前記一対のノードは、前記入力信号と同相となるように電位が供給される同相ノード、及び前記入力信号と逆相となるように電位が供給される逆相ノードであり、
前記入力部は、前記第1の電源系の電圧レベルで前記入力信号の同相信号と逆相信号とを生成し、
前記供給部は、
前記一対のノードに接続されたクロスカップル回路と、
前記一方の電源線に接続された第1の電流路と、前記第1の電流路上に配置された第1のスイッチ部とを有し、前記第1の電流路の電流を複製して前記同相ノードに供給する第1のカレントミラー回路と、
前記一方の電源線に接続された第2の電流路と、前記第2の電流路上に配置された第2のスイッチ部とを有し、前記第2の電流路の電流を複製して前記逆相ノードに供給する第2のカレントミラー回路とを有し、
前記第1のスイッチ部は、前記同相信号に応じて前記第1の電流路を導通させるMOSトランジスタであって、前記同相信号がゲートに印加され前記逆相信号がソースに印加される第1のスイッチ用MOSトランジスタを有し、
前記第2のスイッチ部は、前記逆相信号に応じて前記第2の電流路を導通させるMOSトランジスタであって、前記逆相信号がゲートに印加され前記同相信号がソースに印加される第2のスイッチ用MOSトランジスタを有し、
前記第1のスイッチ部は、前記クロスカップル回路を介して印加される前記逆相ノードの電位に応じて前記第1の電流路を遮断する第3のスイッチ用MOSトランジスタを有し、
前記第2のスイッチ部は、前記クロスカップル回路を介して印加される前記同相ノードの電位に応じて前記第2の電流路を遮断する第4のスイッチ用MOSトランジスタを有し、
前記供給部は、前記第2の電源系の電圧レベルに応じた第1の耐圧を有する第1のタイプのMOSトランジスタと、前記第1の耐圧を有し前記第1のタイプのMOSトランジスタよりも閾値電圧が低く設定された第2のタイプのMOSトランジスタとを含み、
前記第1のスイッチ用MOSトランジスタ及び前記第2のスイッチ用MOSトランジスタは、前記第2のタイプのMOSトランジスタである
レベルシフト回路。
【請求項2】
請求項1に記載のレベルシフト回路であって、
前記第1の電源系は、前記第2の電源系となる前記一対の電源線のいずれとも異なる電位を持つ第1の入力側電源線と、前記第2の電源系の前記他方の電源線と同じ電位を持つ第2の入力側電源線とを有し、
前記入力部は、
前記第2のスイッチ用MOSトランジスタのソースに接続され前記同相信号を出力する第1の出力ノードと、
前記第1のスイッチ用MOSトランジスタのソースに接続され前記逆相信号を出力する第2の出力ノードと、
前記第1の出力ノードと前記第2の入力側電源線との間に設けられ前記入力信号と逆相となるようにONになる第1の入力用MOSトランジスタと、
前記第2の出力ノードと前記第2の入力側電源線との間に設けられ前記入力信号と同相となるようにONになる第2の入力用MOSトランジスタとを有し、
前記第1の入力用MOSトランジスタ及び前記第2の入力用MOSトランジスタは、前記第2のタイプのMOSトランジスタである
レベルシフト回路。
【請求項3】
請求項2に記載のレベルシフト回路であって、
前記入力部は、
前記第1の出力ノードと前記第1の入力側電源線との間に設けられ前記入力信号と同相となるようにONになる第3の入力用MOSトランジスタと、
前記第2の出力ノードと前記第1の入力側電源線との間に設けられ前記入力信号と逆相となるようにONになる第4の入力用MOSトランジスタとを有し、
前記第3の入力用MOSトランジスタ及び前記第4の入力用MOSトランジスタは、前記第1の電源系の電圧レベルに応じた第2の耐圧を有する第3のタイプのMOSトランジスタである
レベルシフト回路。
【請求項4】
請求項1から3のうちいずれか1項に記載のレベルシフト回路であって、
前記規制部は、前記入力信号と同相となるように前記同相ノードと前記他方の電源線との間の電流を規制し、前記入力信号と逆相となるように前記逆相ノードと前記他方の電源線との間の電流を規制する
レベルシフト回路。
【請求項5】
請求項4に記載のレベルシフト回路であって、
前記クロスカップル回路は、前記同相ノードにドレインが接続され前記逆相ノードにゲートが接続された第1のMOSトランジスタと、前記逆相ノードにドレインが接続され前記同相ノードにゲートが接続された第2のMOSトランジスタとを有し、
前記規制部は、前記第1のMOSトランジスタのソースと前記他方の電源線との間に接続された第3のMOSトランジスタと、前記第2のMOSトランジスタのソースと前記他方の電源線との間に接続された第4のMOSトランジスタとを有する
レベルシフト回路。
【請求項6】
請求項5に記載のレベルシフト回路であって、
前記第1及び前記第2のMOSトランジスタは、前記第1のタイプのMOSトランジスタであり、
前記第3及び前記第4のMOSトランジスタは、前記第2のタイプのMOSトランジスタである
レベルシフト回路。
【請求項7】
請求項6に記載のレベルシフト回路であって、
前記第1から前記第4のMOSトランジスタは、同極性のMOSトランジスタであり、
前記第3のMOSトランジスタのゲートには、前記逆相信号が印加され、
前記第4のMOSトランジスタのゲートには、前記同相信号が印加される
レベルシフト回路。
【請求項8】
請求項
1に記載のレベルシフト回路であって、
前記供給部は、前記逆相ノードの電位に基づいて前記同相ノードの電位を保持し、前記同相ノードの電位に基づいて前記逆相ノードの電位を保持する電位保持回路を有する
レベルシフト回路。
【請求項9】
請求項3に記載のレベルシフト回路であって、
前記入力部は、前記逆相信号と前記同相信号とを生成する第1の信号生成回路を有する
レベルシフト回路。
【請求項10】
請求項
9に記載のレベルシフト回路であって、
前記一方の電源線は、前記第2の電源系の高電位側の電源線であり、
前記第1の入力側電源線は、前記第1の電源系の高電位側の電源線であり、
前記第2の入力側電源線は、前記第1の電源系の低電位側の電源線であり、
前記第1の信号生成回路は、前記第1の入力用MOSトランジスタと、前記第2の入力用MOSトランジスタと、前記第3の入力用MOSトランジスタと、前記第4の入力用MOSトランジスタとを有し、
前記第1の入力用MOSトランジスタ及び前記第2の入力用MOSトランジスタは、前記第2のタイプのnMOSトランジスタであり、
前記第3の入力用MOSトランジスタ及び前記第4の入力用MOSトランジスタは、前記第3のタイプのpMOSトランジスタである
レベルシフト回路。
【請求項11】
請求項
9に記載のレベルシフト回路であって、
前記供給部は、前記入力部と前記一方の電源線とに接続される一対の電流路を有し、
前記入力部は、前記第1の信号生成回路の出力に基づいて、前記一対の電流路に入力するための前記入力信号の逆相信号と同相信号とを生成する第2の信号生成回路を有する
レベルシフト回路。
【請求項12】
請求項
11に記載のレベルシフト回路であって、
前記一方の電源線は、前記第2の電源系の高電位側の電源線であり、
前記第1の入力側電源線は、前記第1の電源系の高電位側の電源線であり、
前記第2の入力側電源線は、前記第1の電源系の低電位側の電源線であり、
前記第2の信号生成回路は、前記第1の入力用MOSトランジスタと、前記第2の入力用MOSトランジスタと、前記第3の入力用MOSトランジスタと、前記第4の入力用MOSトランジスタとを有し、
前記第1の入力用MOSトランジスタ及び前記第2の入力用MOSトランジスタは、前記第2のタイプのnMOSトランジスタであり、
前記第3の入力用MOSトランジスタ及び前記第4の入力用MOSトランジスタは、前記第3のタイプのpMOSトランジスタである
レベルシフト回路。
【請求項13】
請求項1に記載のレベルシフト回路であって、
前記一方の電源線は、前記第2の電源系の高電位側の電源線であり、
前記第2のタイプのMOSトランジスタは、nMOSトランジスタである
レベルシフト回路。
【請求項14】
請求項1に記載のレベルシフト回路であって、
前記一方の電源線は、前記第2の電源系の低電位側の電源線であり、
前記第2のタイプのMOSトランジスタは、pMOSトランジスタである
レベルシフト回路。
【請求項15】
第1の電源系と、前記第1の電源系よりも電圧レベルの高い第2の電源系とを有する電源部と、
前記第1の電源系の入力信号が入力される入力部と、
一対のノードを有し、前記第2の電源系となる一対の電源線のうち一方の電源線に接続され、前記入力信号に応じて前記一方の電源線の電位を前記一対のノードのどちらか一方に供給する供給部と、
前記一対の電源線のうち他方の電源線に接続され、前記一対のノードのうち前記一方の電源線の電位が供給されるノードと前記他方の電源線との間の電流を規制する規制部と
、
前記一対のノードの電位に基づいて、前記第2の電源系の電圧レベルの出力信号を生成する出力部と
を有するレベルシフト回路と
を具備し、
前記一対のノードは、前記入力信号と同相となるように電位が供給される同相ノード、及び前記入力信号と逆相となるように電位が供給される逆相ノードであり、
前記入力部は、前記第1の電源系の電圧レベルで前記入力信号の同相信号と逆相信号とを生成し、
前記供給部は、
前記一対のノードに接続されたクロスカップル回路と、
前記一方の電源線に接続された第1の電流路と、前記第1の電流路上に配置された第1のスイッチ部とを有し、前記第1の電流路の電流を複製して前記同相ノードに供給する第1のカレントミラー回路と、
前記一方の電源線に接続された第2の電流路と、前記第2の電流路上に配置された第2のスイッチ部とを有し、前記第2の電流路の電流を複製して前記逆相ノードに供給する第2のカレントミラー回路とを有し、
前記第1のスイッチ部は、前記同相信号に応じて前記第1の電流路を導通させるMOSトランジスタであって、前記同相信号がゲートに印加され前記逆相信号がソースに印加される第1のスイッチ用MOSトランジスタを有し、
前記第2のスイッチ部は、前記逆相信号に応じて前記第2の電流路を導通させるMOSトランジスタであって、前記逆相信号がゲートに印加され前記同相信号がソースに印加される第2のスイッチ用MOSトランジスタを有し、
前記第1のスイッチ部は、前記クロスカップル回路を介して印加される前記逆相ノードの電位に応じて前記第1の電流路を遮断する第3のスイッチ用MOSトランジスタを有し、
前記第2のスイッチ部は、前記クロスカップル回路を介して印加される前記同相ノードの電位に応じて前記第2の電流路を遮断する第4のスイッチ用MOSトランジスタを有し、
前記供給部は、前記第2の電源系の電圧レベルに応じた第1の耐圧を有する第1のタイプのMOSトランジスタと、前記第1の耐圧を有し前記第1のタイプのMOSトランジスタよりも閾値電圧が低く設定された第2のタイプのMOSトランジスタとを含み、
前記第1のスイッチ用MOSトランジスタ及び前記第2のスイッチ用MOSトランジスタは、前記第2のタイプのMOSトランジスタである
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、信号のレベルを変換するレベルシフト回路、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、異なる電源系で駆動される回路間のインタフェースとして、レベルシフト回路が用いられる。レベルシフト回路は、例えば前段の回路で生成された信号の電圧レベルを、後段の回路で用いられる電源系の電圧レベルに変換して出力する。
【0003】
特許文献1には、入力信号の電位を低電位なLV電位から高電位なHV電位に変換するレベルシフタについて記載されている。このレベルシフタでは、LV電源線に接続されたLV系回路から入力信号が出力され、HV電源線に接続されたHV系回路に供給される。HV系回路からは、入力信号の電位がHVに変換された出力信号が出力され、負荷回路に供給される。(特許文献1の明細書段落[0019][0025][0026][0028]
図2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、半導体回路の集積技術の発展に伴い、より低い電源電圧で動作する回路等が開発されている。またモバイル機器、ウェアラブル機器及びIoT(Internet of Things)機器等の小型のデバイスが広く普及しており、デバイスの低消費電力化が進められている。このため、電力消費を抑制しつつ低電圧な信号のレベル変換を可能とする技術が求められている。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、電力消費を抑制しつつ低電圧な信号のレベル変換が可能なレベルシフト回路及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係るレベルシフト回路は、入力部と、供給部と、規制部とを具備する。
前記入力部には、第1の電源系の入力信号が入力される。
前記供給部は、一対のノードを有し、前記第1の電源系よりも電圧レベルの高い第2の電源系となる一対の電源線のうち一方の電源線に接続され、前記入力信号に応じて前記一方の電源線の電位を前記一対のノードのどちらか一方に供給する。
前記規制部は、前記一対の電源線のうち他方の電源線に接続され、前記一対のノードのうち前記一方の電源線の電位が供給されるノードと前記他方の電源線との間の電流を規制する。
【0008】
このレベルシフト回路では、第1の電源系の入力信号が入力される。この入力信号に応じて、第1の電源系よりも電圧レベルの高い第2の電源系を構成する一対の電源線のうち一方の電源線の電位が、一対のノードのどちらかに供給される。そして、一方の電源線の電位が供給されるノードと他方の電源線との間の電流が規制される。これにより、例えば第1の電源系の電圧レベルが低い場合でも、第2の電源系である一方の電源線の電位を容易に供給することが可能となり、電力消費を抑制しつつ低電圧な信号のレベル変換が可能となる。
【0009】
前記一対のノードは、前記入力信号と同相となるように電位が供給される同相ノード、及び前記入力信号と逆相となるように電位が供給される逆相ノードであってもよい。この場合、前記規制部は、前記入力信号と同相となるように前記同相ノードと前記他方の電源線との間の電流を規制し、前記入力信号と逆相となるように前記逆相ノードと前記他方の電源線との間の電流を規制してもよい。
【0010】
前記供給部は、前記同相ノードにドレインが接続され前記逆相ノードにゲートが接続された第1のMOSトランジスタと、前記逆相ノードにドレインが接続され前記同相ノードにゲートが接続された第2のMOSトランジスタとを有してもよい。この場合、前記規制部は、前記第1のMOSトランジスタのソースと前記他方の電源線との間に接続された第3のMOSトランジスタと、前記第2のMOSトランジスタのソースと前記他方の電源線との間に接続された第4のMOSトランジスタとを有してもよい。
【0011】
前記第1及び前記第2のMOSトランジスタは、前記第2の電源系の電圧レベルに応じた第1の耐圧を有する第1のタイプのMOSトランジスタであってもよい。この場合、前記第3及び前記第4のMOSトランジスタは、前記第1の耐圧を有し、前記第1のタイプのMOSトランジスタよりも閾値電圧が低く設定された第2のタイプのMOSトランジスタであってもよい。
【0012】
前記入力部は、前記入力信号の同相信号と逆相信号とを生成してもよい。この場合、前記第1から前記第4のMOSトランジスタは、同極性のMOSトランジスタであってもよい。また、前記第3のMOSトランジスタのゲートには、前記逆相信号が印加されてもよい。また、前記第4のMOSトランジスタのゲートには、前記同相信号が印加されてもよい。
【0013】
前記供給部は、前記同相ノードに電流を供給する第1のカレントミラー回路と、前記逆相ノードに電流を供給する第2のカレントミラー回路とを有してもよい。
【0014】
前記第1のカレントミラー回路は、前記一方の電源線に接続された第1の電流路と、前記第1の電流路上に配置された第1のスイッチ部とを有し、前記第1の電流路の電流を複製して前記同相ノードに供給してもよい。この場合、前記第2のカレントミラー回路は、前記一方の電源線に接続された第2の電流路と、前記第2の電流路上に配置された第2のスイッチ部とを有し、前記第2の電流路の電流を複製して前記逆相ノードに供給してもよい。
【0015】
前記入力部は、前記入力信号の同相信号と逆相信号とを生成してもよい。この場合、前記第1のスイッチ部は、前記同相信号に応じて前記第1の電流路を導通させる第5のMOSトランジスタを有してもよい。また、前記第2のスイッチ部は、前記逆相信号に応じて前記第2の電流路を導通させる第6のMOSトランジスタを有してもよい。
【0016】
前記第5及び前記第6のMOSトランジスタは、前記第2のタイプのMOSトランジスタであってもよい。この場合、前記第5のMOSトランジスタのゲートには、前記同相信号が印加されてもよい。また前記第6のMOSトランジスタのゲートには、前記逆相信号が印加されてもよい。
【0017】
前記第1のスイッチ部は、前記逆相ノードの電位に応じて前記第1の電流路を遮断する第7のMOSトランジスタを有してもよい。この場合、前記第2のスイッチ部は、前記同相ノードの電位に応じて前記第2の電流路を遮断する第8のMOSトランジスタを有してもよい。
【0018】
前記供給部は、前記逆相ノードの電位に基づいて前記同相ノードの電位を保持し、前記同相ノードの電位に基づいて前記逆相ノードの電位を保持する電位保持回路を有してもよい。
【0019】
前記第5のMOSトランジスタのソースには、前記逆相信号が印加されてもよい。この場合、前記第6のMOSトランジスタのソースには、前記同相信号が印加されてもよい。
【0020】
前記入力部は、前記第2のタイプのMOSトランジスタと、前記第1の電源系の電圧レベルに応じた第2の耐圧を有する第3のタイプのMOSトランジスタとを有してもよい。
【0021】
前記入力部は、前記入力信号の逆相信号と同相信号とを生成する第1の信号生成回路を有してもよい。
【0022】
前記一方の電源線は、前記第2の電源系の高電位側の電源線であってもよい。この場合、前記第1の信号生成回路は、前記第1の電源系の低電位側に接続された前記第2のタイプのnMOSトランジスタと、前記第1の電源系の高電位側に接続された前記第3のタイプのpMOSトランジスタとを有してもよい。
【0023】
前記供給部は、前記入力部と前記一方の電源線とに接続される一対の電流路を有してもよい。この場合、前記入力部は、前記第1の信号生成回路の出力に基づいて、前記一対の電流路に入力するための前記入力信号の逆相信号と同相信号とを生成する第2の信号生成回路を有してもよい。
【0024】
前記一方の電源線は、前記第2の電源系の高電位側の電源線であってもよい。この場合、記第2の信号生成回路は、前記第1の電源系の低電位側に接続された前記第2のタイプのnMOSトランジスタと、前記第1の電源系の高電位側に接続された前記第3のタイプのnMOSトランジスタとを有してもよい。
【0025】
前記一方の電源線は、前記第2の電源系の高電位側の電源線であってもよい。この場合、前記第2のタイプのMOSトランジスタは、nMOSトランジスタであってもよい。
【0026】
前記一方の電源線は、前記第2の電源系の低電位側の電源線であってもよい。この場合、前記第2のタイプのMOSトランジスタは、pMOSトランジスタであってもよい。
【0027】
第1の電源系と、前記第1の電源系よりも電圧レベルの高い第2の電源系とを有する電源部と、
前記第1の電源系の入力信号が入力される入力部と、
一対のノードを有し、前記第2の電源系となる一対の電源線のうち一方の電源線に接続され、前記入力信号に応じて前記一方の電源線の電位を前記一対のノードのどちらか一方に供給する供給部と、
前記一対の電源線のうち他方の電源線に接続され、前記一対のノードのうち前記一方の電源線の電位が供給されるノードと前記他方の電源線との間の電流を規制する規制部と
を有するレベルシフト回路と
を具備する電子機器。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本技術の第1の実施形態に係るレベルシフト回路の構成例を示す回路図である。
【
図2】DVD電源及びAVD電源の電源電圧の一例を示す模式図である。
【
図3】出力初期値を設定する際の配線の一例を示す模式図である。
【
図4】レベルシフト回路の概略的な構成例を示す模式図である。
【
図5】レベルシフト回路の入出力に関する真理値表である。
【
図6】レベルシフト回路の各端子の電圧の変化の一例を示すタイムチャートである。
【
図7】比較例として挙げるレベルシフト回路の回路図である。
【
図8】比較例として挙げるレベルシフト回路の回路図である。
【
図9】第2の実施形態に係るレベルシフト回路の構成例を示す回路図である。
【
図10】
図9に示すDVD電源及びAVD電源の電源電圧の一例を示す模式図である。
【
図11】第3の実施形態に係るレベルシフト回路の構成例を示す回路図である。
【
図12】
図11に示すDVD電源及びVRL電源の電源電圧の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本技術に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0030】
<第1の実施形態>
[レベルシフト回路の構成]
図1は、本技術の第1の実施形態に係るレベルシフト回路の構成例を示す回路図である。レベルシフト回路100は、入力信号の電圧レベルを変換して出力する回路である。入力信号は、電圧値の違いを用いて2つの論理レベルを表す論理信号である。例えば入力信号の電圧値が低い場合には、論理レベルは0となり、電圧値が高い場合には論理レベルが1となる。これにより、0及び1に2値化されたデジタルデータ等が伝送される。
【0031】
入力信号の電圧レベルとは、例えば信号の電圧振幅の幅であり、0及び1を表す論理レベル(電圧値)の差に対応する。本実施形態では、レベルシフト回路100により、電圧レベルの低い(電圧振幅の小さい)入力信号が、電圧レベルの高い(電圧振幅の大きい)信号に変換される。これにより、例えば低電圧で動作するロジック回路等で生成された信号を、より高電圧で動作する後段の回路に入力することが可能となる。
【0032】
レベルシフト回路100は、PC(Personal Computer)やサーバ装置等の演算機器、携帯電話、スマートフォン、タブレット、音楽プレーヤー、デジタルカメラ等の携帯機器、スマートウォッチ等のウェアラブル機器等の各種の電子機器に搭載されて使用される。レベルシフト回路100が用いられる電子機器の種類等は限定されない。
【0033】
図1に示すように、レベルシフト回路100は、DVD電源10と、AVD電源11とに接続される。AVD電源11は、DVD電源10よりも電圧レベルの高い電源である。例えばレベルシフト回路100が搭載された電子機器に、DVD電源10及びAVD電源11を有する電源部(図示省略)が搭載される。この電源部により、DVD電源10及びAVD電源11の電力等が供給される。
【0034】
DVD電源10は、高電位側のDVDライン10aと、低電位側のDVSライン10bとを有する。すなわち、DVDライン10aとDVSライン10bとの電位差が、DVD電源10の電源電圧となる。なおDVD電源10は、レベルシフト回路100の前段の回路等にも電力を供給する。
【0035】
本実施形態では、レベルシフト回路100に対して、DVD電源10で駆動される回路系(DVDドメイン)で生成された入力信号が入力される。従って、入力信号の電圧レベルは、DVD電源10の電源電圧となる。以下ではDVD電源10の電源電圧を、入力側電圧と記載する場合がある。本実施形態では、DVD電源10は、第1の電源系に相当する。またDVDライン10a及びDVSライン10bは、第1の電源系となる一対の電源線に相当する。
【0036】
AVD電源11は、高電位側のAVDライン11aと、低電位側のAVSライン11bとを有する。すなわち、AVDライン11aとAVSライン11bとの電位差が、AVD電源11の電源電圧となる。以下ではAVD電源11で駆動される回路系をAVDドメインと記載する。
【0037】
本実施形態では、レベルシフト回路100により、入力信号の電圧レベルがAVD電源11の電源電圧に変換される。従って、レベルシフト回路100から出力される出力信号の電圧レベルは、AVD電源11の電源電圧となる。以下ではAVD電源11の電源電圧を、出力側電圧と記載する場合がある。本実施形態では、AVD電源11は、第2の電源系に相当する。またAVDライン11a及びAVSライン11bは、第2の電源系となる一対の電源線に相当する。
【0038】
図2は、DVD電源10及びAVD電源11の電源電圧の一例を示す模式図である。本実施形態では、DVD電源10及びAVD電源11の低電位側の電源線(DVSライン10b及びAVSライン11b)が、互いに同電位となるように設定される。各電源の低電位側は、典型的には、GNDに接続され0Vに設定される。従って、高電位側のDVDライン10a及びAVDライン11aの電位が、入力側電圧及び出力側電圧となる。
【0039】
AVD電源11の電源電圧(出力側電圧)は、DVD電源10の電源電圧(入力側電圧)よりも高く設定される。
図2に示す例では、DVD電源10の電源電圧、すなわちDVDライン10aの電位は0.6Vに設定される。またAVD電源11の電源電圧、すなわちAVDライン11aの電位は2.6V~3.6V程度に設定される。もちろんこれに限定されず、レベルシフト回路100の用途等に応じて、各電源電圧が適宜設定されてよい。
【0040】
図1に示すように、レベルシフト回路100は、LSIN端子12と、LSOUT端子13aと、XLSOUT端子13bと、SD端子14aと、XSD端子14bと、LSINT端子15aと、XLSINT端子15bと、VPD端子16aと、VPU端子16bとを有する。
【0041】
LSIN端子12は、入力信号が入力される端子である。LSOUT端子13aは、出力信号が出力される端子である。XLSOUT端子13bは、反転出力信号が出力される端子である。SD端子14a、XSD端子14b、LSINT端子15a、XLSINT端子15b、VPD端子16a、VPU端子16bについては後述する。
【0042】
レベルシフト回路100は、入力部20と、電位供給部21と、電流規制部22と、出力部23とを有する。本実施形態では、電位供給部21は、供給部に相当し、電流規制部22は、規制部に相当する。
【0043】
入力部20は、DVD電源10となる一対の電源線(DVDライン10a及びDVSライン10b)に接続される。また入力部20には、LSIN端子12が接続され、DVD電源10の入力信号が入力される。従って入力部20は、DVDドメインの回路となる。
【0044】
入力部20では、入力信号の同相信号と逆相信号とが生成される。同相信号及び逆相信号は、ともにDVD電源10の電源電圧で振動する信号である。従って、入力信号、同相信号、及び逆相信号は、電圧レベルの等しいDVD電源の信号となる。
図1には、立ち上り波形の入力信号1と、その同相信号2及び逆相信号3が模式的に図示されている。
【0045】
同相信号2とは、例えば入力信号1の振幅変化(論理レベルの変化)と同じ位相(正相)で振幅が変化する信号であり、入力信号1の論理レベルと同様の論理レベルを表す信号である。すなわち同相信号2は、入力信号1と略同様の信号であると言える。同相信号2は、正相信号と記載することもできる。
【0046】
逆相信号3は、例えば入力信号1の振幅が反転した信号である。すなわち、入力信号1のHighレベル及びLowレベルを表す振幅が逆になった信号が逆相信号3である。従って逆相信号3の論理レベルは、入力信号1とは逆の論理反転した論理レベルを表すことになる。逆相信号3は、反転信号と記載することもできる。
【0047】
図1に示すように、入力部20は、逆相信号3を出力する第1のインバータ回路24aと、同相信号2を出力する第2のインバータ回路24bとを有する。インバータ回路は、nチャネルMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタと、pチャネルMOSトランジスタとで構成される。本実施形態では、第1のインバータ回路24a及び第2のインバータ回路24bにより、入力信号1の逆相信号3と同相信号2とを生成する第1の信号生成回路が構成される。
【0048】
以下では、nチャネルMOSトランジスタをnMOSトランジスタと記載し、pチャネルMOSトランジスタをpMOSトランジスタと記載する。本開示では、nMOSトランジスタが有する一対の主端子のうち、高電位側に接続される主端子をドレインと記載し、低電位側となる端子をソースと記載する。またpMOSトランジスタが有する一対の主端子のうち、高電位側となる端子をソースと記載し、低電位側となる端子をドレインと記載する。なお
図1には、各MOSトランジスタのバックゲートの接続例が示されている。
【0049】
第1のインバータ回路24aは、中間ノード4aを介して接続された、nMOSトランジスタ40及びpMOSトランジスタ60を有する。nMOSトランジスタ40のゲートはLSIN端子12に接続され、ソースはDVSライン10bに接続され、ドレインは中間ノード4aに接続される。pMOSトランジスタ60のゲートはLSIN端子12に接続され、ソースはDVDライン10aに接続され、ドレインは中間ノード4aに接続される。
【0050】
第2のインバータ回路24bは、中間ノード4bを介して接続された、nMOSトランジスタ41及びpMOSトランジスタ61を有する。nMOSトランジスタ41のゲートは中間ノード4aに接続され、ソースはDVSライン10bに接続され、ドレインは中間ノード4bに接続される。pMOSトランジスタ61のゲートは中間ノード4aに接続され、ソースはDVDライン10aに接続され、ドレインは中間ノード4bに接続される。
【0051】
例えば第1のインバータ回路24aは、LSIN端子12から入力された入力信号1を論理反転して、中間ノード4aから逆相信号3を出力する。また第2のインバータ回路24bは、第1のインバータ回路24a(中間ノード4a)から入力された逆相信号3を論理反転して、中間ノード4bから同相信号2を出力する。
【0052】
電位供給部21は、DVD電源10よりも電圧レベルの高いAVD電源11となる一対の電源線(AVDライン11a及びAVSライン11b)のうち一方の電源線に接続される。本実施形態では、一方の電源線は、AVD電源11の高電位側の電源線である。すなわち、電位供給部21は、AVD電源11の高電位側のAVDライン11aに接続される。なお他方の電源線は、AVD電源11の低電位側の電源線(AVSライン11b)となる。
【0053】
電位供給部21は、一対のノード5と、クロスカップル回路25と、第1のカレントミラー回路26aと、第2のカレントミラー回路26bと、電位保持回路27とを有する。
【0054】
一対のノード5は、電位供給部の出力用のノードであり、後述する出力部23に接続される。一対のノード5は、入力信号1と同相となるように電位が供給される同相ノード5a、及び入力信号1と逆相となるように電位が供給される逆相ノード5bである。
【0055】
同相ノード5aには、入力信号1と同じ位相(正相)で、AVDライン11aの電位が供給される。例えば入力信号1がHighレベルである場合には、同相ノード5aに高電位側のAVDライン11aの電位が供給される。また、入力信号1がLowレベルである場合には、同相ノード5aに低電位側のAVSライン11bの電位(GND電位)が供給される。
【0056】
逆相ノード5bには、入力信号1と逆の位相(逆相)で、AVDライン11aの電位が供給される。例えば入力信号1がHighレベルである場合には、逆相ノード5bに、低電位側のAVSライン11bの電位(GND電位)が供給される。また、入力信号1がLowレベルである場合には、逆相ノード5bに高電位側のAVDライン11aの電位が供給される。
【0057】
このように、電位供給部21は、入力信号1に応じてAVDライン11aの電位を一対のノード5のどちらか一方に供給する。一対のノード5(同相ノード5a及び逆相ノード5b)に電位を供給する動作については、あとに詳しく説明する。
【0058】
クロスカップル回路25は、nMOSトランジスタ42及びnMOSトランジスタ43を有する。nMOSトランジスタ42は、同相ノード5aにドレインが接続され逆相ノード5bにゲートが接続される。またnMOSトランジスタ43は、逆相ノード5bにドレインが接続され同相ノード5aにゲートが接続される。なお、nMOSトランジスタ42及び43の各ソースは、後述する電流規制部22に接続される。
【0059】
このように、nMOSトランジスタ42及び43は、一方のゲートが他方のドレインに互いに接続されたクロスカップル接続された回路となる。本実施形態では、nMOSトランジスタ42は、第1のMOSトランジスタに相当し、nMOSトランジスタ43は、第2のMOSトランジスタに相当する。
【0060】
第1のカレントミラー回路26aは、同相ノード5aに電流を供給する。第1のカレントミラー回路26aは、pMOSトランジスタ62及び63と、nMOSトランジスタ44及び45とを有する。また第1のカレントミラー回路26aは、トランスミッションゲート28aと、pMOSトランジスタ64とを有する。
【0061】
pMOSトランジスタ62のソースは、AVDライン11aに接続される。またpMOSトランジスタ62のドレインは、トランスミッションゲート28aを介して自身のゲートに接続される。従って、pMOSトランジスタ62は、トランスミッションゲート28aを介してダイオード接続されることになる。
【0062】
pMOSトランジスタ63のソースは、AVDライン11aに接続され、ドレインは、同相ノード5aに接続され、ゲートは、pMOSトランジスタ62のゲートに接続される。これにより、AVDライン11aを電流源とするカレントミラー回路が構成される。pMOSトランジスタ62及び63は、例えば同様の設計値(ゲート長やゲート幅等)で設計される。
【0063】
nMOSトランジスタ44のソースは、第1のインバータ回路24aの中間ノード4aに接続され、ゲートは、第2のインバータ回路24bの中間ノード4bに接続される。nMOSトランジスタ45のソースは、nMOSトランジスタ44のドレインに接続され、ゲートは、逆相ノード5bに接続される。またnMOSトランジスタ45のドレインは、pMOSトランジスタ62のドレインに接続される。
【0064】
トランスミッションゲート28aは、pMOSトランジスタ62のドレインとゲートとの間に、互いに並列に接続されたnMOSトランジスタ46及びpMOSトランジスタ65を有する。nMOSトランジスタ46及びpMOSトランジスタ65の各ゲートは、XSD端子14b及びSD端子14aにそれぞれ接続される。なお、
図1において、丸印のAは、SD端子14aとの接続を表し、丸印のBは、XSD端子14bとの接続を表す。
【0065】
pMOSトランジスタ64のソースは、AVDライン11aに接続され、ドレインは、pMOSトランジスタ62のゲートに接続され、ゲートは、XSD端子14bに接続される。トランスミッションゲート28a及びpMOSトランジスタ64は、例えばレベルシフト回路100の出力初期値を設定する際に用いられる。通常動作時には、トランスミッションゲート28aはON状態であり、pMOSトランジスタ64はOFF状態となっている。
【0066】
図1に示すように、nMOSトランジスタ44、nMOSトランジスタ45、及びpMOSトランジスタ62は、この順番で直列に接続される。これにより、第1のインバータ回路24aの中間ノード4aとAVDライン11aとをつなぐ第1の電流路29aが形成される。また、2つのnMOSトランジスタ44及び45は、第1の電流路29aを導通・遮断する第1のスイッチ部30aとして機能する。
【0067】
このように第1のカレントミラー回路26aは、AVDライン11aに接続された第1の電流路29aと、第1の電流路29a上に配置された第1のスイッチ部30aとを有する。例えば第1の電流路29aに電流が流れると、同様の電流がpMOSトランジスタ63のソース-ドレイン間を流れる。すなわち、第1のカレントミラー回路26aは、第1の電流路29aの電流を複製して同相ノード5aに供給する。また第1の電流路29aの導通・遮断は、nMOSトランジスタ44及び45により制御される。本実施形態では、nMOSトランジスタ44は、第5のMOSトランジスタに相当し、nMOSトランジスタ45は、第7のMOSトランジスタに相当する。
【0068】
第2のカレントミラー回路26bは、逆相ノード5bに電流を供給する。第2のカレントミラー回路26bは、pMOSトランジスタ66及び67と、nMOSトランジスタ47及び48とを有する。また第2のカレントミラー回路26bは、トランスミッションゲート28bと、pMOSトランジスタ68とを有する。第1及び第2のカレントミラー回路26a及び26bは、互いに逆相のタイミングで駆動するように構成される。
【0069】
pMOSトランジスタ66のソースは、AVDライン11aに接続される。またpMOSトランジスタ66のドレインは、トランスミッションゲート28bを介して自身のゲートに接続される。従って、pMOSトランジスタ66は、トランスミッションゲート28bを介してダイオード接続されることになる。
【0070】
pMOSトランジスタ67のソースは、AVDライン11aに接続され、ドレインは、逆相ノード5bに接続され、ゲートは、pMOSトランジスタ66のゲートに接続される。これにより、AVDライン11aを電流源とするカレントミラー回路が構成される。pMOSトランジスタ66及び67は、例えば同様の設計値(ゲート長やゲート幅等)で設計される。
【0071】
nMOSトランジスタ47のソースは、第2のインバータ回路24bの中間ノード4bに接続され、ゲートは、第1のインバータ回路24aの中間ノード4aに接続される。nMOSトランジスタ48のソースは、nMOSトランジスタ47のドレインに接続され、ゲートは、同相ノード5aに接続される。またnMOSトランジスタ48のドレインは、pMOSトランジスタ66のドレインに接続される。
【0072】
トランスミッションゲート28bは、pMOSトランジスタ66のドレインとゲートとの間に、互いに並列に接続されたnMOSトランジスタ49及びpMOSトランジスタ69を有する。nMOSトランジスタ49及びpMOSトランジスタ69の各ゲートは、XSD端子14b及びSD端子14aにそれぞれ接続される。
【0073】
pMOSトランジスタ68のソースは、AVDライン11aに接続され、ドレインは、pMOSトランジスタ66のゲートに接続され、ゲートは、XSD端子14bに接続される。トランスミッションゲート28b及びpMOSトランジスタ68は、例えばレベルシフト回路100の出力初期値を設定する際に用いられる。通常動作時には、トランスミッションゲート28bはON状態であり、pMOSトランジスタ68はOFF状態となっている。
【0074】
図1に示すように、nMOSトランジスタ47、nMOSトランジスタ48、及びpMOSトランジスタ66は、この順番で直列に接続される。これにより、第2のインバータ回路24bの中間ノード4bとAVDライン11aとをつなぐ第2の電流路29bが形成される。また、2つのnMOSトランジスタ47及び48は、第2の電流路29bを導通・遮断する第2のスイッチ部30bとして機能する。
【0075】
このように第2のカレントミラー回路26bは、AVDライン11aに接続された第2の電流路29bと、第2の電流路29b上に配置された第2のスイッチ部30bとを有する。例えば第2の電流路29bに電流が流れると、同様の電流がpMOSトランジスタ67のソース-ドレイン間を流れる。すなわち、第2のカレントミラー回路26bは、第2の電流路29bの電流を複製して逆相ノード5bに供給する。また第2の電流路29bの導通・遮断は、nMOSトランジスタ47及び48により制御される。本実施形態では、nMOSトランジスタ47は、第6のMOSトランジスタに相当し、nMOSトランジスタ48は、第8のMOSトランジスタに相当する。
【0076】
電位保持回路27は、同相ノード5a及び逆相ノード5bの電位を保持する回路である。電位保持回路27は、pMOSトランジスタ70とpMOSトランジスタ71とを有する。
【0077】
pMOSトランジスタ70のソースは、AVDライン11aに接続され、ドレインは、同相ノード5a(クロスカップル回路25のnMOSトランジスタ43のゲート)に接続される。またpMOSトランジスタ70のゲートは、逆相ノード5bに接続される。pMOSトランジスタ71のソースは、AVDライン11aに接続され、ドレインは、逆相ノード5b(クロスカップル回路25のnMOSトランジスタ42のゲート)に接続される。またpMOSトランジスタ71のゲートは、同相ノード5aに接続される。
【0078】
電流規制部22は、電位供給部21及びAVD電源11の低電位側のAVSライン11bに接続され、一対のノード5(同相ノード5a及び逆相ノード5b)と、AVSライン11bとの間を流れる電流を規制する。電流規制部22は、nMOSトランジスタ50とnMOSトランジスタ51とを有する。
【0079】
nMOSトランジスタ50は、同相ノード5aとAVSライン11bとの間の電流を規制する。nMOSトランジスタ50のドレインは、クロスカップル回路25のnMOSトランジスタ42のソースに接続され、ソースは、AVSライン11bに接続される。このように、nMOSトランジスタ50は、nMOSトランジスタ42のソースとAVSライン11bとの間に接続される。またnMOSトランジスタ50のゲートは、第1のインバータ回路24aの出力(中間ノード4a)に接続される。本実施形態では、nMOSトランジスタ50は、第3のMOSトランジスタに相当する。
【0080】
nMOSトランジスタ51は、逆相ノード5bとAVSライン11bとの間の電流を規制する。nMOSトランジスタ51のドレインは、クロスカップル回路25のnMOSトランジスタ43のソースに接続され、ソースは、AVSライン11bに接続される。このように、nMOSトランジスタ51は、nMOSトランジスタ43のソースとAVSライン11bとの間に接続される。またnMOSトランジスタ51のゲートは、第2のインバータ回路24bの出力(中間ノード4b)に接続される。本実施形態では、nMOSトランジスタ51は、第4のMOSトランジスタに相当する。
【0081】
このように、本実施形態では、一対のノード5と、AVSライン11bとの間に、クロスカップル回路25及び電流規制部22が配置される。またクロスカップル回路25及び電流規制部22を構成するnMOSトランジスタ42、43、50、及び51は、全てnチャネルのMOSトランジスタであり、同極性のMOSトランジスタとなる。
【0082】
出力部23は、一対のノード5の電位に基づいて、AVD電源11の電圧レベルの出力信号を生成する。出力部23は、第3のインバータ回路24cと、第4のインバータ回路24dとを有する。
【0083】
第3のインバータ回路24cは、中間ノード4cを介して接続された、nMOSトランジスタ52及びpMOSトランジスタ72を有する。nMOSトランジスタ52のゲートは、逆相ノード5bに接続され、ソースは、AVSライン11bに接続され、ドレインは中間ノード4cに接続される。pMOSトランジスタ72のゲートは、逆相ノード5bに接続され、ソースはAVDライン11aに接続され、ドレインは中間ノード4cに接続される。また中間ノード4cは、LSOUT端子13aに接続される。
【0084】
第4のインバータ回路24dは、中間ノード4dを介して接続された、nMOSトランジスタ53及びpMOSトランジスタ73を有する。nMOSトランジスタ53のゲートは、中間ノード4cに接続され、ソースは、AVSライン11bに接続され、ドレインは中間ノード4dに接続される。pMOSトランジスタ73のゲートは、中間ノード4cに接続され、ソースはAVDライン11aに接続され、ドレインは中間ノード4cに接続される。また中間ノード4dは、XLSOUT端子13bに接続される。
【0085】
またレベルシフト回路100は、VPD端子16aとAVSライン11bとの間に接続されたnMOSトランジスタ54と、VPU端子16bとAVDライン11aとの間に接続されたpMOSトランジスタ74とを有する。nMOSトランジスタ54及びpMOSトランジスタ74のゲートには、SD端子14a及びXSD端子14bがそれぞれ接続される。
【0086】
SD端子14a及びXSD端子14bは、レベルシフト回路100のスタンバイ状態及びアクティブ状態を切り替えるための端子である。SD端子14aには、AVD電源11の電圧レベルの制御信号が入力され、XSD端子14bには、制御信号とは論理反転した逆相信号(反転信号)が入力される。本実施形態では、SD端子14aがHighレベル(XSD端子14bがLOWレベル)である場合にスタンバイ状態となる。またSD端子14aがLowレベル(XSD端子14bがHighレベル)である場合にアクティブ状態となる。
【0087】
LSINT端子15a、XLSINT端子15b、VPD端子16a、及びVPU端子16bの4端子は、スタンバイ状態の時にレベルシフト回路100の出力初期値を設定するための端子である。LSINT端子15aは、同相ノード5aに接続される。XLSINT端子15bは、逆相ノード5bに接続される。また上記したように、VPD端子16aはnMOSトランジスタ54を介してAVSライン11bに接続され、VPU端子16bはnMOSトランジスタ74を介してAVDライン11aに接続される。
【0088】
図3は、出力初期値を設定する際の配線の一例を示す模式図である。出力初期値とは、例えばレベルシフト回路100がアクティブ状態に切り替えられたタイミングでの、出力端子(LSOUT端子13a及びXLSOUT端子13b)の電圧レベルである。レベルシフト回路100では、LSINT端子15aをVPU端子16b及びVPD端子16aの一方に接続し、XLSINT端子15bを他の一方に接続することで、出力初期値が設定される。
【0089】
図3の右側の図では、LSINT端子15aがVPU端子16bに接続され、XLSINT端子15bがVPD端子16aに接続される。これにより、LSOUT端子13aがHighレベルであり、XLSOUT端子13bがLowレベルである出力初期値(LSOUT=H、XLSOUT=L)が設定される。また
図3の右側の図では、LSINT端子15aがVPD端子16aに接続され、XLSINT端子15bがVPU端子16bに接続される。この結果、LSOUT端子13aがLowレベルであり、XLSOUT端子13bがHighレベルである出力初期値(LSOUT=L、XLSOUT=H)が設定される。なお、出力初期値を設定する際の動作等については、後に詳しく説明する。
【0090】
LSINT端子15a及びXLSINT端子15bと、VPU端子16b及びVPD端子16aとの接続の切り替えは、例えば同一の切り替え回路(図示省略)を用いて実行される。この切り替え回路に対して、例えば複数のレベルシフト回路100が接続される。これにより、上位階層に設けられた切り替え回路の配線を変更するだけで、複数のレベルシフト回路100の出力初期値を容易に設定することが可能となる。
【0091】
[MOSトランジスタの種類]
以下では、レベルシフト回路100に用いられるMOSトランジスタの耐圧や閾値電圧等の種類について説明する。ここで、MOSトランジスタの耐圧とは、例えばMOSトランジスタが適正に動作する範囲で印加可能な最大の電圧値である。耐圧は、例えばゲート-ソース間、ゲート-ドレイン間、ゲート-バルク間、ソース-ドレイン間、ソース-バルク間、及びドレイン-バルク間に適用される電圧値として表される。
【0092】
一般に耐圧が低いMOSトランジスタでは、そのゲート絶縁膜の厚さは薄くなる。例えば、ゲート絶縁膜の厚さが十分に薄いMOSトランジスタでは、ソース-ドレイン間に電流を流す能力が高くなる。一方で、ゲート絶縁膜が薄い場合には、例えばオフ状態のときにソース-ドレイン間に流れるリーク電流(Ioff)等が増大する。またゲート絶縁膜が薄いために素子の耐圧性能は低下する。
【0093】
例えば、集積回路等に実装されるMOSトランジスタとしては、耐圧が3.3VのMOSトランジスタ(3.3VTr)、耐圧が2.5VのMOSトランジスタ(2.5VTr)、耐圧が1.8VのMOSトランジスタ(1.8VTr)、及び耐圧が0.7VのMOSトランジスタ(0.7VTr)等が挙げられる。
【0094】
このうち、0.7VTrは、ゲート絶縁膜が十分に薄膜化されたMOSトランジスタであり、例えばAVD電源11のような3V程度の電源電圧下で使用する場合(
図8等参照)には十分な耐圧対策等が必要となる。これに対し、1.8VTr、2.5VTr、及び3.3VTr等は、ゲート絶縁膜が十分に厚い厚膜のMOSトランジスタであると言える。
【0095】
本開示では、0.7VTrのように、耐圧が0.7V以下となるMOSトランジスタを薄膜Trと記載する。また1.8VTr、2.5VTr、及び3.3VTrのように、耐圧が0.7Vよりも大きいMOSトランジスタを厚膜Trと記載する。なお薄膜Tr及び厚膜Trを区分する耐圧値等は限定されない。例えばレベルシフト回路100で使用される電源電圧等に応じて、薄膜Tr及び厚膜Trを分ける耐圧値等が適宜設定されてよい。
【0096】
またMOSトランジスタを適宜構成することで、例えば耐圧を維持したまま、閾値電圧を所望の値に設定することが可能である。このため、例えば耐圧が等しく、互いに閾値電圧が異なるnMOSトランジスタやpMOSトランジスタを実装することが可能である。
【0097】
集積回路では、例えば標準的な閾値電圧(SVT:Standard Vth)を有するMOSトランジスタや、SVTよりも低い低閾値電圧(LVT:Low Vth)を有するMOSトランジスタ等が用いられる。例えば同じ耐圧であっても、LVTのnMOSトランジスタ(またはpMOSトランジスタ)は、SVTのnMOSトランジスタ(またはpMOSトランジスタ)よりも十分に低い閾値電圧で駆動される。なおLVTは閾値電圧の値に応じて、ULVT(Ultra Low Vth)と呼ばれることもある。LVT又はULVTの値は限定されず、例えばSVTよりも低い任意の閾値電圧が設定されてよい。
【0098】
レベルシフト回路100に含まれる複数のMOSトランジスタは、例えば上記した耐圧及び閾値電圧を基準に3種類のタイプに大別することが可能である。第1のタイプは、AVDドメイン用の耐圧を持つMOSトランジスタである。第2のタイプは、AVDドメイン用の耐圧を持ち、第1のタイプよりも閾値電圧が低く設定されたMOSトランジスタである。第3のタイプは、DVDドメイン用の耐圧を持つMOSトランジスタである。
【0099】
図1に示す回路図において、円で囲まれたMOSトランジスタが第2のタイプであり、四角で囲まれたMOSトランジスタが第3のタイプである。第1のタイプのMOSトランジスタは、他のすべてのMOSトランジスタである。
【0100】
図1に示すように、クロスカップル回路25を構成するnMOSトランジスタ42及び43は、AVD電源11の電圧レベルに応じた第1の耐圧を有する第1のタイプのMOSトランジスタである。ここで、AVD電源11の電圧レベルに応じた第1の耐圧とは、典型的にはAVD電源11の電圧レベルで適正に動作可能となるような耐圧である。本実施形態では、第1の耐圧は、例えば3.3Vに設定される。
【0101】
また第1のタイプのMOSトランジスタの閾値電圧は、例えば第1の耐圧に応じた標準的な閾値電圧(SVT)に設定される。従って本実施形態では、第1のタイプのMOSトランジスタは、耐圧が3.3Vであり、閾値電圧がSVTであるMOSトランジスタ(3.3V・SVT・Tr)となる。なお第1の耐圧やSVTの値等は限定されず、例えばAVDドメインでの動作が可能となる範囲で適宜設定されてよい。
【0102】
また上記したように、第2のタイプ(円で囲まれたMOSトランジスタ)と、第3のタイプ(四角で囲まれたMOSトランジスタ)とを除く、他のMOSトランジスタは、全て第1のタイプのMOSトランジスタである。従って
図1に示すように、nMOSトランジスタ45、46、48、49、52、53、及び54は、第1のタイプのnMOSトランジスタである。またpMOSトランジスタ62~74は、第1のタイプのpMOSトランジスタである。このように、第1のタイプのMOSトランジスタには、第1の耐圧を有するnMOS及びpMOSトランジスタがともに含まれる。
【0103】
図1に示すように、電流規制部22を構成するnMOSトランジスタ50及び51は、第1の耐圧を有し、第1のタイプのMOSトランジスタよりも閾値電圧が低く設定された第2のタイプのMOSトランジスタである。本実施形態では、第2のタイプのMOSトランジスタは、上記した第1のタイプのnMOSトランジスタ(nMOSトランジスタ42等)よりも閾値電圧が低いMOSトランジスタとなる。
【0104】
第2のタイプのMOSトランジスタの閾値電圧は、例えば第1の耐圧における低閾値電圧(LVT)である。従って、本実施形態では、第2のタイプのMOSトランジスタは、耐圧が3.3Vであり、閾値電圧がLVTであるMOSトランジスタ(3.3V・LVT・Tr)となる。LVTは、例えばDVD電源10の電圧レベルの信号(同相信号2や逆相信号3等)によるゲート制御等が可能となる範囲で適宜設定される。
【0105】
また
図1に示すように、電位供給部21のnMOSトランジスタ44及び47は、第2のタイプのMOSトランジスタである。また入力部20のnMOSトランジスタ40及び41は、第2のタイプのMOSトランジスタである。このように、本実施形態では、第2のタイプのMOSトランジスタは、nMOSトランジスタであり、レベルシフト回路100の6か所に配置される。
【0106】
また入力部20に含まれるpMOSトランジスタ60及び61は、DVD電源10の電圧レベルに応じた第2の耐圧を有する第3のタイプのMOSトランジスタである。ここで、DVD電源10の電圧レベルに応じた第2の耐圧とは、典型的にはDVD電源10の電圧レベルで適正に動作可能となるような耐圧である。本実施形態では、第2の耐圧は、例えば1.8Vに設定される。
【0107】
また第3のタイプのMOSトランジスタの閾値電圧は、例えば第2の耐圧に応じた標準的な閾値電圧(SVT)に設定される。従って本実施形態では、第3のタイプのMOSトランジスタは、耐圧が1.8Vであり、閾値電圧がSVTであるMOSトランジスタ(1.8V・SVT・Tr)となる。なお第2の耐圧やSVTの値等は限定されず、例えばDVDドメインでの動作が可能となる範囲で適宜設定されてよい。
【0108】
このように、入力部20を構成する第1のインバータ回路24及び第2のインバータ回路24(第1の信号生成回路)は、DVD電源10の低電位側に接続された第2のタイプのnMOSトランジスタと、DVD電源10の高電位側に接続された第3のタイプのpMOSトランジスタとを有する。
【0109】
[出力初期値の設定]
図4は、レベルシフト回路100の概略的な構成例を示す模式図である。
図4では、
図1に示すレベルシフト回路100が複数の端子を持ったブロックとして模式的に図示されている。
図4に示すように、レベルシフト回路100は、DVD電源10及びAVD電源11に接続され、LSIN端子12から入力される信号をレベル変換してLSOUT端子13a及びXLSOUT端子13bから出力する回路であると言える。
【0110】
また
図4では、LSINT端子15aとVPD端子16aとが接続され、XLSINT端子15bとVPU端子16bとが接続される。従って
図4では、
図3の右側の図と同様に、LSOUT端子13aの出力初期値はLowレベルとなり、XLSOUT端子13bの出力初期値はHighレベルに設定されることになる。
【0111】
以下では、出力初期値がLSOUT=L、XLSOUT=Hに設定されるものとする。もちろん、出力初期値が(LSOUT=H、XLSOUT=L)に設定される場合であっても、本技術は適用可能である。
【0112】
出力初期値の設定は、上記したように、スタンバイ状態で実行される。スタンバイ状態では、SD端子14aがHighレベルに設定され、XSD端子14bがLowレベルに設定される。すなわち、SD端子14aはAVDライン11aと同電位に設定され、XSD端子14bはAVSライン11bと同電位に設定される。
【0113】
この結果、スタンバイ状態では、トランスミッションゲート28aがオフとなり、pMOSトランジスタ62のダイオード接続がカットされる。またpMOSトランジスタ64がオンとなり、PMOSトランジスタ62及び63のゲートがAVDライン11aの電位まで吊り上げられ、第1のカレントミラー回路26aを流れる電流がカットされる。
【0114】
同様に、トランスミッションゲート28bがオフとなり、pMOSトランジスタ66のダイオード接続がカットされる。また、pMOSトランジスタ68がオンとなり、PMOSトランジスタ66及び67のゲートがAVDライン11aの電位まで吊り上げられ、第2のカレントミラー回路26bを流れる電流がカットされる。
【0115】
またスタンバイ状態では、pMOSトランジスタ74のゲートにXSD=Lが印加され、pMOSトランジスタ74がオンになる。このため、VPU端子16bはAVDライン11aと同電位のHighレベルとなる。またnMOSトランジスタ54のゲートにSD=Hが印加され、nMOSトランジスタ54がオンになる。このため、VPD端子16aはAVSライン11bと同電位のLowレベルとなる。
【0116】
LSINT端子15aは、VPD端子16aに接続されているため、Lowレベルとなる。一方でXLSINT端子15bは、VPU端子16bに接続されているため、Highレベルとなる。このXLSINT端子15b(逆相ノード5b)の電位が出力部23に供給される。
【0117】
出力部23では、第3のインバータ回路24により、XLSINT端子15bの電位が反転されてLSOUT端子13aに出力される。また第4のインバータ回路24により、LSOUT端子13aの電位が反転されて、XLSOUT端子13bに出力される。この結果、LSOUT端子13aはLowレベルとなり、XLSOUT端子13bはHighレベルとなる。これにより、(LSOUT=L、XLSOUT=H)となる出力初期値が設定される。
【0118】
図5は、レベルシフト回路100の入出力に関する真理値表である。
図6は、レベルシフト回路100の各端子の電圧の変化の一例を示すタイムチャートである。
図5及び
図6には、出力初期値が(LSOUT=L、XLSOUT=H)である場合の真理値表及びタイムチャートが示されている。
【0119】
図6には、上から順番に、AVDライン11a、DVDライン10a、DVSライン10b、AVSライン11b、LSIN端子12(入力信号1)、SD端子14a、XSD端子14b、LSINT端子15a(同相ノード5a)、XLSINT端子15b(逆相ノード5b)、LSOUT端子13a、及びXLSOUT端子13bの各端子の電圧の時間変化が示されている。
【0120】
図6に示す例では、AVDライン11aは3.0Vに設定され、DVDライン10aは0.6Vに設定され、DVSライン10b及びAVSライン11bはともに0Vに設定される。従って、DVDドメインに設けられたLSIN端子12(入力信号1)の電圧の振幅は0.6Vとなる。またAVDドメインに設けられたSD端子14a、XSD端子14b、LSINT端子15a、XLSINT端子15b、LSOUT端子13a、及びXLSOUT端子13bの電圧の振幅は3.0Vとなる。
【0121】
図6では、時刻T0~T2までの期間、SD端子14aはHighレベルに設定され、XSD端子はLowレベルに設定される。すなわち時刻T2までの期間がスタンバイ状態となる。なおスタンバイ状態では、第1及び第2のカレントミラー回路26a及び26bがオフである。このため、入力信号1に応じて出力端子のレベルが変化することはない。
【0122】
例えば
図6では、時刻T1にLSIN端子12(入力信号1)の電圧がHighレベルからLowレベルに変化する。すなわちLSIN端子12の論理レベルが1から0に変化する。このように入力信号1の論理レベルが変化した場合であっても、スタンバイ状態では、LSOUT端子13a及びXLSOUT端子13bの出力は変化しない。従って
図5に示すように、XSD端子14bの論理レベルが0の状態(スタンバイ状態)では、LSOUT端子13aの論理レベルが0に維持され、XLSOUT端子の論理レベルが1に維持される。
【0123】
またXSD端子14bの論理レベルが0から1に変化すると、レベルシフト回路100は、スタンバイ状態からアクティブ状態に切り替えられる。なお、この切替えを行っただけでは、LSOUT端子13a及びXLSOUT端子13bの出力は変化しない。
図6では、時刻T2に、SD端子14aがLowレベルに設定され、XSD端子14bがHighレベルに設定される。すなわち時刻T2以降の期間がアクティブ状態となる。
【0124】
アクティブ状態(SD=L、XSD=H)では、トランスミッションゲート28aがオンとなり、pMOSトランジスタ64がオフとなる。この結果、pMOSトランジスタ62がダイオード接続され、PMOSトランジスタ62及び63のゲートは、pMOSトランジスタ62のドレインと接続される。この結果、第1のカレントミラー回路26aが電流を供給可能な状態となる。
【0125】
同様に、トランスミッションゲート28bがオンとなり、pMOSトランジスタ68がオフとなる。この結果、pMOSトランジスタ66がダイオード接続され、PMOSトランジスタ66及び67のゲートは、pMOSトランジスタ66のドレインと接続される。この結果、第2のカレントミラー回路26bが電流を供給可能な状態となる。
【0126】
またアクティブ状態では、pMOSトランジスタ74及びnMOSトランジスタ54がともにオフとなる。このため、LSINT端子15aとAVSライン11bとの接続がカットされ、XLSINT端子15bとAVDライン11aとの接続がカットされる。これにより、同相ノード5a及び逆相ノード5bの電位を変化させることが可能となる。
【0127】
例えば
図5に示すように、LSIN端子の論理レベルが1(Highレベル)である場合には、LSOUT端子13a(同相ノード5a)の論理レベルが1(Highレベル)となり、XLSOUT端子13b(逆相ノード5b)の論理レベルが0(Lowレベル)となる。また、LSIN端子の論理レベルが0である場合には、LSOUT端子13a(同相ノード5a)の論理レベルが0となり、XLSOUT端子13b(逆相ノード5b)の論理レベルが1となる。以下では、レベルシフト回路100のアクティブ状態での基本的な動作について説明する。
【0128】
[レベル変換動作]
レベルシフト回路100による入力信号1のレベル変換動作について説明する。以下では、アクティブ状態となったレベルシフト回路100に、LowレベルからHighレベルに変化する立ち上り波形の入力信号1が入力した場合(例えば
図6の時刻T2及びT4等)を例に説明を行う。なお立ち上り波形の入力信号1が入力する前は、同相ノード5aはLowレベルであり、逆相ノード5bはHighレベルであるものとする。
【0129】
立ち上り波形の入力信号1が入力端子であるLSIN端子12に入力され、LSIN端子12はLowレベルからHighレベルとなる。第1のインバータ回路24では、nMOSトランジスタ40がオンとなり、pMOSトランジスタ60がオフとなり、中間ノード4aはLowレベル(DVSライン10bと同電位)となる。この中間ノード4aの電圧が入力信号1とは逆相となる逆相信号3として後段に出力される。逆相信号3は、HighレベルからLowレベルとなる立ち下り波形の信号である。
【0130】
中間ノード4aがLowレベルになると、第2のインバータ回路24では、nMOSトランジスタ41がオフとなり、pMOSトランジスタ60がオンとなる。この結果、中間ノード4bはHighレベル(DVDライン10aと同電位)となる。この中間ノード4bの電圧が入力信号1と同相となる同相信号2として後段に出力される。同相信号2は、LowレベルからHighレベルとなる立ち上り波形の信号である。このように、入力部20により、入力信号1の同相信号2と逆相信号3とが生成される。
【0131】
第1のカレントミラー回路26aのnMOSトランジスタ44のゲートには、同相信号2が印加される。またnMOSトランジスタ44のソースには、逆相信号3が印加される。この場合、nMOSトランジスタ44のゲートはHighレベルとなり、ソースはLowレベルとなる。これにより、nMOSトランジスタ44はオンとなる。なお、nMOSトランジスタ45のゲートは、逆相ノード5b(Highレベル)と同電位であるため、nMOSトランジスタ45はオンである。
【0132】
従って、nMOSトランジスタ44がオンとなることで、AVDライン11aから、pMOSトランジスタ62、nMOSトランジスタ45、44、及び40を介してDVSライン10bまでをつなぐ第1の電流路29aが導通される。このように、nMOSトランジスタ44は、同相信号2に応じて第1の電流路29aを導通させる。
【0133】
第1の電流路29aが導通することで、第1のカレントミラー回路26aでは、第1の電流路29aを流れる電流と同様の電流が、pMOSトランジスタ63により複製される。すなわち、pMOSトランジスタ63のソース-ドレイン間には、AVDライン11aを電流源とする電流が発生する。
【0134】
この電流は、pMOSトランジスタ63のドレインに接続された同相ノード5aに供給される。これにより、Lowレベルであった同相ノード5aの電位は、AVDライン11aと同電位となるように上昇する。すなわち、同相ノード5aに対して、AVDライン11aの電位が供給されることになる。
【0135】
このように、第1のカレントミラー回路26aは、電圧信号として入力された同相信号2を電流に変換するVI変換を行う。また第1のカレントミラー回路26aは、同相ノード5aに対して電流を供給して同相ノード5aの電位を上昇させるIV変換を行う。従って、第1のカレントミラー回路26aは、入力信号1(同相信号2)をVI変換し、さらにIV変換して、同相ノード5aに電位を供給する回路であると言える。
【0136】
この場合、同相信号2は、第1のカレントミラー回路26aを動作させるためのスイッチを制御する信号として機能する。これにより、第1のカレントミラー回路26aの動作は、単純なスイッチ動作となり、同相ノード5aへの電位の供給のオン/オフを容易に実行することが可能となる。すなわち、入力部20は、同相ノード5aの電位を変化させるための電力等を供給することなく、同相ノード5aへの電位の供給を制御することが可能となる。
【0137】
また第2のカレントミラー回路26bのnMOSトランジスタ47のゲートには、逆相信号3が印加される。この場合、nMOSトランジスタ47のゲートはLowレベルとなり、nMOSトランジスタ47はオフとなる。この結果、第2のカレントミラー回路26bによる逆相ノード5bへの電流の供給は停止される。この点については、後述する。
【0138】
また電流規制部22のnMOSトランジスタ50のゲートには、逆相信号3が印加される。この場合、nMOSトランジスタ50のゲートはLowレベルとなり、nMOSトランジスタ50はオフとなる。これにより、同相ノード5aから、クロスカップル回路25のnMOSトランジスタ42を介してAVSライン11bをつなぐ低電位側の電流路が遮断される。
【0139】
すなわち、入力信号1がHighレベルになると、同相ノード5aの低電位側の電流路が遮断される。これにより、同相ノード5aに接続された低電位側の電流路を通る電流がカットされる。このように、電流規制部22は、入力信号1と同相となるように同相ノード5aとAVSライン11bとの間の電流を規制する。
【0140】
これにより、例えば同相ノード5aから低電位側のAVSライン11bに流出する電流等の発生を回避することが可能となる。この結果、同相ノード5aの高電位側のpチャネル(pMOSトランジスタ63等)の電流と低電位側のnチャネル(nMOSトランジスタ42等)の電流とが打ち消し合うといった事態が回避される。
【0141】
このように、電流規制部22は、AVD電源11となる一対の電源線のうちAVSライン11bに接続され、一対のノード5のうちAVDライン11aの電位が供給されるノードとAVSライン11bとの間の電流を規制する。低電位側への電流の流出等がないため、同相ノード5aの電位は、十分に早い速度で高電位側のAVDライン11aの電位まで引き上げられる。これにより、出力信号が立ち上がる際の立ち上がり時間等を十分に高速化することが可能である。
【0142】
なお電流規制部22のnMOSトランジスタ51のゲートには、同相信号2が印加される。この場合、nMOSトランジスタ51のゲートはHighレベルとなり、nMOSトランジスタ51はオンとなる。また同相ノード5aの電位が引き上げられることで、nMOSトランジスタ43がオンとなる。これにより、逆相ノード5bは、nMOSトランジスタ43及び51を介して、AVSライン11bに接続される。
【0143】
同相ノード5aの電位の上昇に伴い、逆相ノード5bにAVDライン11aの電位を供給していたpMOSトランジスタ71はオフとなる。この結果、逆相ノード5bに対する高電位側(AVDライン11a)の電位の供給は、全てカットされる。これにより、逆相ノード5bの電位は、十分に早い速度で低電位側のAVSライン11bの電位まで引き下げられる。
【0144】
このように、同相ノード5aの電位がHighレベルに切り替わると、nチャネルのクロスカップル回路25により、逆相ノード5bがLowレベルに切り替わる。この時点で、DVDドメインでのHighレベルを、AVDドメインでのHighレベルに変換するレベル変換動作(レベルシフト動作)が完了する。
【0145】
例えば
図6に示すように、LSIN端子12(入力信号1)の電圧が0Vから0.6Vに立ち上がるタイミング(時刻T2及びT4)で、LSINT端子15a(同相ノード5a)の電圧が0Vから3.0Vにシフトされる。またXLSINT端子15b(逆相ノード5b)の電圧が3.0Vから0Vにシフトされる。この結果、LSOUT端子13aの電圧は3.0Vとなり、XLSOUT端子13bの電圧は0Vとなる。
【0146】
図1に戻り、レベル変換動作が完了すると、第1のカレントミラー回路26aのnMOSトランジスタ45のゲートに逆相ノード5bの電位が印加される。この場合、nMOSトランジスタ45のゲートはLowレベルとなり、nMOSトランジスタ45はオフとなる。これにより第1の電流路29aが遮断される。すなわち、nMOSトランジスタ45は、逆相ノード5bの電位に応じて第1の電流路29aを遮断する。
【0147】
このように、逆相ノード5bの電位(出力信号)をフィードバックすることで、レベル変換動作が終了すると不要な貫通電流が遮断される。ここで貫通電流とは、例えばAVDライン11aとDVSライン10b(AVSライン11b)との間を流れる電流である。従って第1のカレントミラー回路26aは、同相ノード5aの電位を上昇させる初期段階で駆動する回路であるとも言える。
【0148】
なお、nMOSトランジスタ45がオフになると、同相ノード5aは、インピーダンスの高いHi-Zノードとなる。この結果、AVDライン11aからの電位の供給が難しくなり、同相ノード5aをHighレベルを保持することが難しくなる可能性がある。
【0149】
本実施形態では、電位保持回路27により、同相ノード5aの電位がHighレベルに保持される。電位保持回路27は、IV変換を行うpMOSトランジスタ63が、nMOSトランジスタ45の動作によりオフとなった場合に、同相ノード5aの電位をHighレベルに保持する機能を備える。すなわち、電位保持回路27は、Highレベルキーパとして機能するとも言える。
【0150】
図1に示すように、電位保持回路27のpMOSトランジスタ70のゲートには、逆相ノード5bの電位が印加される。この場合、pMOSトランジスタ70のゲートはLowレベルとなり、pMOSトランジスタ70はオンとなる。この結果、同相ノード5aは、pMOSトランジスタ70を介してAVDライン11aに接続される。これにより、同相ノード5aの電位はHighレベルのまま保持される。
【0151】
また上記したように、電位保持回路27のpMOSトランジスタ71のゲートには、同相ノード5aの電位が印加され、同相ノード5aの電位の上昇に伴いオフとなる。従って、同相ノード5aの電位がHighレベルである場合には、逆相ノード5bの電位はLowレベルに保持される。
【0152】
このように、電位保持回路27は、逆相ノード5bの電位に基づいて同相ノード5aの電位を保持し、同相ノード5aの電位に基づいて逆相ノード5bの電位を保持する。する。すなわち、電位保持回路27は、逆相電位(逆相クロック)を印加することで、同相ノード5a(あるいは逆相ノード5b)電位が浮いてしまうHighレベルフローティングを回避するラッチ回路であるとも言える。これにより、レベルシフト回路100の出力を安定させることが可能となり、レベル変換動作を適正に実行することが可能となる。
【0153】
[リーク電流対策]
同相ノード5aがHighレベルに遷移する際(LSINT=H)のリーク電流は、nMOSトランジスタ50及び45がオフになることで十分に抑制される。すなわち、同相ノード5a側では、同相ノード5aの低電位側の電流路並びに第1の電流路29aが遮断されることで、AVDライン11aからAVSライン11bに流れる不要な貫通電流(リーク電流)は発生しなくなる。
【0154】
一方で、逆相ノード5b側では、逆相ノード5bに接続されたpMOSトランジスタ67には、ゲートを閉じるための信号等は印加されない。すなわち、pMOSトランジスタ67は、自己バイアスの力でゲートが閉まることに頼っている。この場合、pMOSトランジスタ67は、例えばソース-ドレイン間の電流が抑制されるようにゲート電位を上昇させる。
【0155】
例えば自己バイアスレベル(Vgs)が、AVD-Vthpになると、pMOSトランジスタ67は、サブスレッショルド領域で動作することになる。ここでAVDは、AVDライン11aの電位であり、Vthpは、pMOSトランジスタ67の閾値電圧である。
【0156】
サブスレッショルド領域では、pMOSトランジスタ67の動作が遅くなる。このため、現実的な時間範囲(入力信号1のクロック周期等)では、pMOSトランジスタ67は完全にオフにならない可能性がある。この場合、逆相ノード5bの低電位側の電流路では、LVTのMOSトランジスタであるnMOSトランジスタ51等を通して、リーク電流が発生することが考えられる。
【0157】
このような事態を回避するため、本実施形態では、第2の電流路29bに配置されたnMOSトランジスタ47のソースには、同相信号2が印加される。なお上記したように、nMOSトランジスタ47のゲートには、逆相信号3が印加される。この場合、nMOSトランジスタ47のゲートはLowレベルとなり、ソースはHighレベルとなる。
【0158】
従って、nMOSトランジスタ47には、負のゲート電圧Vgs(ゲート電位-ソース電位)が印加されることになる。すなわちnMOSトランジスタ47は、十分に深い(低い)ゲート電圧の領域でオフ状態となる。この結果、nMOSトランジスタ47のゲート電圧は、通常のオフレベル(例えばVgs=0V)よりも低い電圧となり、nMOSトランジスタ47は完全にオフとなる。
【0159】
例えばLVTのMOSトランジスタでは、ゲート電圧が0Vである場合であってもゲートが完全に閉まらず、オフ電流が発生する場合がある。従って、例えばnMOSトランジスタ47のソースをAVSライン11b等に接続した構成では、オフ電流が発生する可能性や、そのオフ電流が第2のカレントミラー回路26bにより複製されてしまう可能性が生じる。
【0160】
これに対し、本実施形態では、第2のカレントミラー回路26bの入力用のnMOSトランジスタ47のソースに、逆相ノード5bの電位と逆バイアスとなる信号を印可することで、リーク電流が遮断されるような構成が採用されている。これにより、pMOSトランジスタ67に流れるオフ電流、すなわち逆相ノード5bを通過するリーク電流を遮断することが可能となる。
【0161】
また、十分に深いゲート電圧がかかるため、例えば温度に伴い閾値電圧が変化した場合であっても、nMOSトランジスタ47ではオフ電流が十分に回避される。この構成により、AVDドメインでは、ほとんど温特に依存しないリーク特性が実現される。
【0162】
[動作速度]
レベルシフト回路100は、DVDドメインとAVDドメインとがnMOSトランジスタ44及び47の各ソースを介して接続された構成となっている。例えば立ち上り波形の入力信号1が入力される場合、レベル変換動作の速度は、第1のカレントミラー回路26aの入力側(nMOSトランジスタ44のソース)の電位を引き下げるプルダウン動作の速度に依存する。
【0163】
この場合、nMOSトランジスタ44のソースは、nMOSトランジスタ40を介して、DVSライン10bに接続される。nMOSトランジスタ40は、第2のタイプのMOSトランジスタであり、AVD電源11用の耐圧(3.3V)を備え低閾値電圧(LVT)の厚膜Trである。LVTの厚膜Trは、例えばソース-ドレイン間に電流を流す能力が高く閾値電圧が低いため、高速に動作する。すなわち、nMOSトランジスタ40をLVTの厚膜Trとすることで、nMOSトランジスタ44のプルダウン動作を高速化することが可能である。
【0164】
また、立ち上り波形の入力信号1が入力される場合、第2のカレントミラー回路26bの入力側(nMOSトランジスタ47のソース)の電位を引き上げるプルアップ動作により、nMOSトランジスタ47が深いゲート電圧でオフになる。このプルアップ動作は、例えば上記したプルダウン動作に比べ、スピードを要求しない動作である。
【0165】
この場合、nMOSトランジスタ47のソースは、pMOSトランジスタ61を介して、DVDライン10aに接続される。pMOSトランジスタ61は、第3のタイプのMOSトランジスタであり、DVD電源10用の耐圧(1.8V)を備え標準的な閾値電圧(SVT)の厚膜Trである。1.8Vの厚膜Trは、DVD電源10の電圧レベルで適正にゲート制御が可能であるとともに、例えばLVTの厚膜Tr等と比べオフ電流を十分に抑制することが可能な素子である。
【0166】
1.8Vの厚膜Trは、例えばゲートのL長が長く細いため多少のリーク電流が発生する可能性があるが、これはDVDドメインにおけるロジックスタンバイ電流に対して十分に小さいレベルである。従って、スピードが要求されないpMOSトランジスタ61を1.8Vの厚膜Trとすることで、DVDドメインのリーク電流を極力抑えることが可能である。
【0167】
このように、レベルシフト回路100の入力部20(DVDドメイン)の低電位側には、LVTの厚膜Tr(nMOSトランジスタ40及び41)が用いられる。これにより、レベル変換動作のスピードを決めるnチャネル側がLVTの厚膜Trにより高速化され、レベルシフト回路100の動作速度を向上することが可能となる。
【0168】
また入力部20の高電位側には、1.8Vの厚膜Tr(pMOSトランジスタ60及び61)が用いられる。これにより、カレントミラー回路の入力に逆バイアスを印加するpチャネル側でのオフ電流が抑制される。この結果、DVDドメインのリーク抑圧と低電圧動作とを両立させることが可能となり、電力消費を抑制しつつ低電圧な信号のレベル変換を適正に実行することが可能となる。
【0169】
上記では、立ち上り波形の入力信号1が入力される場合について説明した。これに対し、HighレベルからLowレベルに遷移する立ち下り波形の入力信号1が入力される場合(
図6の時刻T3等)、レベルシフト回路100の各部のレベルは、立ち上り波形の入力信号1が入力される場合とは反対に変化する。
【0170】
例えば、立ち下り波形の入力信号1が入力されると、逆相信号3はHighレベルとなり、同相信号2はLowレベルとなる。第2のカレントミラー回路26bでは、nMOSトランジスタ47は、逆相信号3に応じて第2の電流路29bを導通させる。この結果、逆相ノード5bに電流が供給される。
【0171】
また電流規制部22のnMOSトランジスタ51のゲートには、Lowレベルの同相信号2が印加され、nMOSトランジスタ51がオフとなる。すなわち、入力信号1がLowレベルになると、逆相ノード5bの低電位側の電流路が遮断される。このように電流規制部22は、入力信号1と逆相となるように逆相ノード5bとAVSライン11bとの間の電流を規制する。
【0172】
これにより、逆相ノード5bの電位が速やかに上昇し、Highレベルとなる。またクロスカップル回路を介して、同相ノード5aの電位がLowレベルとなる。これにより、立ち下り波形の入力信号1が入力された場合のレベル変換動作が完了する。
【0173】
Lowレベルとなった同相ノード5aの電位は、nMOSトランジスタ48のゲートに印加され、nMOSトランジスタ48はオフとなる。すなわち、nMOSトランジスタ48は、同相ノード5aの電位に応じて第2の電流路29bを遮断する。これにより、第2の電流路29bを流れる不要な貫通電流が遮断される。また第2のカレントミラー回路26bによる、逆相ノード5bへの電流の供給が停止する。
【0174】
また同相ノード5aの電位は、電位保持回路27のpMOSトランジスタ71のゲートに印加され、pMOSトランジスタ71はオンとなる。この結果、逆相ノード5bは、pMOSトランジスタ71を介してAVDライン11aに接続される。これにより、逆相ノード5bの電位はHighレベルのまま保持される。このように、電位保持回路27は、同相ノード5aの電位に基づいて逆相ノード5bの電位を保持する。
【0175】
以上、本実施形態に係るレベルシフト回路100では、DVD電源10の入力信号1が入力される。この入力信号1に応じて、DVD電源10よりも電圧レベルの高いAVD電源11を構成する一対の電源線のうちAVDライン11aの電位が、一対のノード5のどちらかに供給される。そして、AVDライン11aの電位が供給されるノードとAVSライン11bとの間の電流が規制される。これにより、例えばDVD電源10の電圧レベルが低い場合でも、AVD電源11であるAVDライン11aの電位を容易に供給することが可能となり、電力消費を抑制しつつ低電圧な信号のレベル変換が可能となる。
【0176】
図7及び
図8は、比較例として挙げるレベルシフト回路の回路図である。
図7及び
図8に示すレベルシフト回路110及び120は、LSIN端子から入力された入力信号1のレベルを、DVD電源10の電圧レベルから、AVD電源11の電圧レベルに変換してLSOUT端子及びXLSOUT端子から出力する回路である。
【0177】
図7に示すように、レベルシフト回路110は、DVD電源10(DVDライン及びDVSライン)に接続された入力部111と、AVD電源11(AVDライン及びAVSライン)に接続されたレベル変換部112とを有する。入力部111は、中間ノード113a及び113bから、LSIN端子に入力された入力信号1の同相信号2及び逆相信号3を出力する。レベル変換部112は、一般的なクロスカップル型の回路であり、同相ノード114a及び逆相ノード114bと、nチャネル部115と、pチャネル部116とを有する。なお、レベルシフト回路110は全て厚膜Trで構成される。
【0178】
nチャネル部115は、同相ノード114a及び逆相ノード114bの低電位側に接続されたnMOSトランジスタ140及び141を有する。nMOSトランジスタ140及び141は、レベル変換動作時にはオンとなっているnMOSトランジスタを介してAVSラインに接続される。nMOSトランジスタ140及び141の各ゲートは、中間ノード113b及び113aに接続される。
【0179】
pチャネル部116は、同相ノード114a及び逆相ノード114bの高電位側に接続されたpMOSトランジスタ142及び143と、pMOSトランジスタ142及び143とAVDラインとの間に接続されたpMOSトランジスタ144及び145とを有する。pMOSトランジスタ142及び143の各ゲートは、中間ノード113b及び113aに接続される。pMOSトランジスタ144及び145の各ゲートは、逆相ノード114b及び同相ノード114aに接続され、クロスカップル回路が構成される。
【0180】
例えば、LowレベルからHighレベルに遷移する立ち上り波形の入力信号1が入力されたとする。この場合、レベル変換動作の前の初期状態は、同相ノード114aがLowレベルであり、逆相ノード114bがHighレベルである状態である。
【0181】
例えば同相信号3(Highレベル)がゲートに印加されたnMOSトランジスタ141はオンとなり、Highレベルである逆相ノード114bから電流を流出させる。一方で、それまでHighレベルであった逆相ノード114bには、pチャネル部116(pMOSトランジスタ143及び145)から電流が供給されている。従って、逆相ノード114bをLowレベルにするためには、nMOSトランジスタ141は、十分な量の電流を流す必要が生じる。
【0182】
このように、レベルシフト回路110は、nチャネル部115とpチャネル部116との電流が互いに相反する作用を発生させ、p/nの電流が喧嘩するタイプであると言える。従って、nチャネル部115には、pチャネル部116に打ち勝つだけの十分な能力が求められる。この場合、例えばnMOSトランジスタ141のサイズを、pMOSトランジスタ143等に対して相対的に大きくして電流を流す能力を引き上げる必要がある。
【0183】
例えばゲート幅が22nmよりも小さい先端プロセス等では、レベルシフト回路110の構成を適用する場合、DVD電源10がそれまでの0.94Vから0.63Vへと低電圧化しているため、nMOSトランジスタ140及び141のサイズが極端に大きくなる可能性がある。
【0184】
図8に示すレベルシフト回路120は、nMOSトランジスタを薄膜Trとすることで、nチャネルの能力を向上させたタイプの回路である。レベルシフト回路120では、nチャネル部125のnMOSトランジスタ146及び147は、ゲート絶縁膜が十分に薄く構成された薄膜Trである。薄膜Trとしては、例えば耐圧が0.7Vである0.7VTr等が用いられる。これにより、nチャネル部125の能力が向上する。一方で、AVDドメインに薄膜Trを設けるため、十分な耐圧対策が必要となる。
【0185】
例えばレベルシフト回路120では、耐圧保護のために、nMOSトランジスタ146及び147の高電位側(上段)に耐圧保護用のLVTのnMOSトランジスタ148及び149が設けられる。上記したように、薄膜TrやLVTデバイスではオフ電流が流れる場合があり、リーク電流が増大する可能性がある。また静電気放電(ESD:Electro-Static Discharge)の対策として、DVD~AVS間のクロスダイオードが大量に必要になる可能性がある。
【0186】
本実施形態では、同相ノード5a及び逆相ノード5bの電位を上昇させる際に、電流規制部22のnMOSトランジスタ50及び51がオフとなる。これにより、同相ノード5a及び逆相ノード5bにAVDライン11aから電流が供給される場合には、同相ノード5a及び逆相ノード5bとAVSライン11bとの電流路が遮断される。
【0187】
この結果、高電位側のpチャネル(pMOSトランジスタ63、67、71、及び70)と、低電位側のnチャネル(nMOSトランジスタ42、43、50、及び51)とで電流が喧嘩するといった事態が回避される。別の観点では、レベルシフト回路100には、pチャネルとnチャネルとの電流が喧嘩するような電流パスそのものが存在しないとも言える。
【0188】
これにより、pチャネルとnチャネルとの電流を流す能力の比率(P/N電流能力比)にかかわりなく、レベル変換動作を適正に実行することが可能となる。このため、例えばより低電圧な電源ドメインで動作するnチャネルを、通常の出力レベルを持ったpチャネルと組み合わせるといったことが可能となる。この結果、より低い電圧レベルの信号のレベル変換を実行することが可能となる。
【0189】
例えば、比較例として挙げたレベルシフト回路110(
図7参照)等では、DVD電源10の電圧レベルが下がるにつれ、nチャネル部の能力がpチャネル部に比べ低下する。この結果、DVD電源10の電圧レベルが一定の値(例えば0.8V程度)になると、入力信号1の周波数等に関係なくレベル変換動作そのものが破綻し、ノードの電位を立ち上げるまでに要する立ち上り遅延時間等が急激に増大する。
【0190】
これに対し、本実施形態では、P/N電流能力比に係りなく、レベル変換動作が可能であることから、例えばレベルシフト回路110よりも十分に低いDVD電源10の電圧レベル(例えば0.6V以下等)で動作可能である。このように、レベルシフト回路100は、電流が喧嘩するパスをなくすことにより、DVD電源10の電圧レベルに関するボトルネックを解消することが可能である。また電流が喧嘩しないため、電圧が低下した場合でもレベル変換動作が急激に破綻することはなく、装置の品質を向上することが可能となる。
【0191】
また、P/N電流能力比に依存しない回路構成とすることで、各MOSトランジスタの定数設計等を容易に行うことが可能となる。例えば、
図1に示す第2のタイプのMOSトランジスタ(LVTの厚膜Tr)が適正に動作する設計であれば、AVDドメイン側のMOSトランジスタの各設計パラメータ(閾値電圧等)をDVDドメイン側とは関係なく設定することが可能となる。これにより、設計効率を向上することが可能となる。
【0192】
またレベルシフト回路100は、全てのMOSトランジスタが厚膜Trで構成され、薄膜Trを使用しない設計となっている。すなわち、レベルシフト回路100は、例えば先端プロセス等に適用可能でありながら、P/N電流能力比によらずかつ薄膜Trを使用しない構成となっている。
【0193】
これにより、例えばESD対策に必要となるESD素子(クロスダイオード等)を削減することが可能となる。この結果、チップ面積を小さくすることが可能となり、小型の回路を構成することが可能となる。これにより、装置の小型化並びにコストの削減を実現することが可能となる。
【0194】
本実施形態では、例えば回路全体のリーク電流が抑制されるように、各厚膜Trの耐圧や閾値電圧が設定された第1~第3のタイプのMOSトランジスタが用いられる。このように、P/N電流能力比に依存しないトポロジーにおいて、厚膜Tr種類の特質をうまく活用することで、薄膜Trを使わずに、低電圧動作可能であり、高速、小面積、低リーク電流なレベルシフト回路100を実現することが可能となっている。
【0195】
<第2の実施形態>
本技術に係る第2の実施形態のレベルシフト回路について説明する。これ以降の説明では、上記の実施形態で説明したレベルシフト回路200における構成及び作用と同様な部分については、その説明を省略又は簡略化する。
【0196】
図9は、第2の実施形態に係るレベルシフト回路の構成例を示す回路図である。
図10は、
図9に示すDVD電源210及びAVD電源211の電源電圧の一例を示す模式図である。
図9に示すように、レベルシフト回路200は、入力部220と、電位供給部221と、電流規制部222と、出力部223とを有する。レベルシフト回路200は、第1の実施形態で説明したレベルシフト回路100と比べ、主に入力部220の構成が異なる。
【0197】
図10に示すように、本実施形態では、DVD電源210及びAVD電源211の低電位側の電源線(DVSライン210b及びAVSライン211b)が、0Vに設定される。また、AVD電源211の高電位側のAVDライン211aは、例えば1.08~1.98Vに設定される。この電圧範囲では、後述するように耐圧が1.8VのTrを用いてAVDドメインの回路を構成することが可能である。この他、AVDライン211aの電圧範囲は限定されず、例えばレベルシフト回路200の用途等に応じて適宜設定されてよい。DVD電源210の高電位側のDVDライン210aは、AVDライン211aよりも低い電圧(例えば0.6V)に設定される。DVDライン210aの電圧範囲は限定されない。
【0198】
図9に示す電位供給部221、電流規制部222、及び出力部223は、例えば
図1を参照して説明した電位供給部21、電流規制部22、出力部23の各MOSトランジスタを3.3V耐圧の厚膜Trから1.8V耐圧の厚膜Trに入れ替えて構成される。すなわちレベルシフト回路200では、例えば第1のタイプのMOSトランジスタは、耐圧が1.8Vであり、閾値電圧がSVTであるMOSトランジスタ(1.8V・SVT・Tr)である。また例えば、第2のタイプのMOSトランジスタ(円で囲まれたMOSトランジスタ)は、耐圧が1.8Vであり、閾値電圧がLVTであるMOSトランジスタ(1.8V・LVT・Tr)である。
【0199】
入力部220は、第1の信号生成回路224及び第2の信号生成回路225を有する。第1の信号生成回路224は、第1のインバータ回路226a及び第2のインバータ回路226bを有する。第1及び第2のインバータ回路226a及び226bは、入力信号の逆相信号及び同相信号を生成する。
【0200】
第1のインバータ回路226aは、中間ノード80aを介して接続された、nMOSトランジスタ230及びpMOSトランジスタ232を有する。nMOSトランジスタ230のゲートはLSIN端子212に接続され、ソースはDVSライン210bに接続され、ドレインは中間ノード80aに接続される。pMOSトランジスタ232のゲートはLSIN端子212に接続され、ソースはDVDライン210aに接続され、ドレインは中間ノード80aに接続される。
【0201】
第2のインバータ回路226bは、中間ノード80bを介して接続された、nMOSトランジスタ231及びpMOSトランジスタ233を有する。nMOSトランジスタ231のゲートは中間ノード80aに接続され、ソースはDVSライン210bに接続され、ドレインは中間ノード80bに接続される。pMOSトランジスタ232のゲートは中間ノード80aに接続され、ソースはDVDライン210aに接続され、ドレインは中間ノード80bに接続される。
【0202】
本実施形態では、第1の信号生成回路224は、薄膜Trを用いて構成される。すなわち、nMOSトランジスタ230及び231と、pMOSトランジスタ232及び233は薄膜Trである。これにより、DVD電源210の電圧レベルと等しい振幅幅を持った逆相信号及び同相信号を生成することが可能である。
【0203】
第2の信号生成回路225は、電位供給部221のnMOSトランジスタ244及び247のソースに入力される信号を生成する回路である。第2の信号生成回路225は、第1のドライブ回路227aと、第2のドライブ回路227bとを有する。
【0204】
第1のドライブ回路227aは、中間ノード80cを介して接続された、nMOSトランジスタ234及びnMOSトランジスタ236を有する。nMOSトランジスタ234のゲートは中間ノード80bに接続され、ソースはDVSライン210bに接続され、ドレインは中間ノード80cに接続される。nMOSトランジスタ236のゲートは中間ノード80aに接続され、ソースはDVDライン210aに接続され、ドレインは中間ノード80cに接続される。また中間ノード80cは、電位供給部221のnMOSトランジスタ244のソースに接続される。
【0205】
第2のドライブ回路227bは、中間ノード80dを介して接続された、nMOSトランジスタ235及びnMOSトランジスタ237を有する。nMOSトランジスタ235のゲートは中間ノード80aに接続され、ソースはDVSライン210bに接続され、ドレインは中間ノード80dに接続される。nMOSトランジスタ236のゲートは中間ノード80bに接続され、ソースはDVDライン210aに接続され、ドレインは中間ノード80dに接続される。また中間ノード80dは、電位供給部221のnMOSトランジスタ247のソースに接続される。
【0206】
このように、第1及び第2のドライブ回路227a及び227bは、中間ノードを介して低電位側及び高電位側に接続された一対のnMOSトランジスタで構成されたNNタイプの信号生成回路(NNドライバ)である。このように構成することで、第1及び第2のドライブ回路227a及び227bにより、第1の信号生成回路224の出力に基づいて入力信号の逆相信号及び同相信号が生成される。
【0207】
本実施形態では、nMOSトランジスタ234及び235は、AVD電源用の耐圧を備えた、閾値電圧がLVTである第2のタイプのMOSトランジスタである。またnMOSトランジスタ236及び237は、DVD電源用の耐圧を備えた、閾値電圧がSVTである第3のタイプのMOSトランジスタである。なお、本実施形態では、AVD電源用の耐圧とDVD電源用の耐圧とが、ともに1.8Vに設定されている。このように、第2の信号生成回路225は、DVD電源210の低電位側に接続された第2のタイプのnMOSトランジスタと、DVD電源210の高電位側に接続された第3のタイプのnMOSトランジスタとを有する。
【0208】
図9に示すように、第1のインバータ回路226aの中間ノード80aは、電位供給部221のnMOSトランジスタ247のゲート、及び電流規制部222のnMOSトランジスタ250のゲートに接続される。また第2のインバータ回路226bの中間ノード80bは、電位供給部221のnMOSトランジスタ244のゲート、及び電流規制部222のnMOSトランジスタ251のゲートに接続される。従って、第1の信号生成回路224により生成された逆相信号及び同相信号は、AVDドメインの各nMOSトランジスタのゲートを制御するための信号となる。
【0209】
これら入力部220にゲートが接続された各MOSトランジスタに対するゲート入力信号は、ゲート制御する能力という観点でDVD電源210における最大の振幅で変化することが望ましい。本実施形態では、上記したように、第1の信号生成回路224は薄膜Trを用いて構成される。すなわち、各ゲート入力信号(同相信号、逆相信号)は、薄膜Trでバッファされた信号となる。これにより、各MOSトランジスタを精度よく制御することが可能となる。なお、これらの薄膜Trは、AVDライン211aには直接接続されない。すなわち薄膜Trは異電源であるAVD電源211には存在しないため、ESD観点で問題にならない。
【0210】
図9に示すように、電位供給部221では、AVDライン211aからnMOSトランジスタ244のソースまでの電流路と、AVDライン211aからnMOSトランジスタ247のソースまでの電流路とが形成される。すなわち、電位供給部221は、入力部220とAVDライン211aとに接続される一対の電流路を有するとも言える。
【0211】
第2の信号生成回路225は、第1の信号生成回路224の出力に基づいて、一対の電流路に入力するための入力信号の逆相信号と同相信号とを生成する。例えば第1のドライブ回路227aにより生成された逆相信号は、nMOSトランジスタ244のソースに印加される。また第2のドライブ回路227bにより生成された同相信号は、nMOSトランジスタ247のソースに印加される。これにより、各nMOSトランジスタ244及び247には、逆バイアスが印可されリーク電流を抑制することが可能となる。
【0212】
例えば、
図1に示す入力部20では、厚膜TrであるpMOSトランジスタ60及び61のVthpにより、DVD電源210がより低電圧となった場合の低電圧動作のスピードが制限される可能性がある。
【0213】
本実施形態では、高電位側に接続される素子を1.8V耐圧を備えた厚膜のnMOSトランジスタ236及び237とすることで、低電圧動作でのスピードアップが図られている。このように、電位供給部221の入力端に接続される回路を、PNタイプの信号生成回路(PNドライバ)からNNドライバに変更することで、低電圧でのレベル変換動作の高速化が可能である。
【0214】
なお、電位供給部221の入力端に逆バイアスを与える電位はDVD電源の電圧レベルから、nMOSトランジスタ236及び247の閾値電圧だけ低い値DVD-Vthnとなり、リーク電流を抑制する効果が多少小さくなる可能性がある。従って
図9に示す構成は、リーク電流の抑制と高速化とを両立するためにバランスを取った構成であるとも言える。
【0215】
<第3の実施形態>
図11は、第3の実施形態に係るレベルシフト回路の構成例を示す回路図である。
図12は、
図11に示すDVD電源310及びVRL電源311の電源電圧の一例を示す模式図である。本実施形態では、レベルシフト回路300は、負レベルシフタとして機能する。負レベルシフタとは、例えば入力信号を負の電圧レベルを持った信号にシフトする回路である。
【0216】
図12に示すように、VRL電源311は、DVD電源310よりも電圧レベルの高い電源となる。本実施形態では、DVD電源310は、第1の電源系に相当し、VRL電源311は、第2の電源系に相当する。DVD電源310及びVRL電源311の高電位側は共通の電源線(DVDライン310a及び311a)であり、例えば0.63V~0.88Vに設定される。また、VRL電源311の低電位側のVRLライン311bは、負の電位(例えば-1V)に設定される。DVD電源310の低電位側のDVSライン310bは、VRLライン311bよりも高い電圧(例えば0V)に設定される。
【0217】
レベルシフト回路300は、入力部320と、電位供給部321と、電流規制部322と、出力部323とを有する。
図11に示すように、電位供給部321、電流規制部322、及び出力部323の基本的な構成は、例えば
図1を参照して説明したレベルシフト回路100におけるnMOSトランジスタとpMOSトランジスタとを入れ替えた構成となっている。
【0218】
入力部320は、DVD電源310に接続される。入力部320は、中間ノード90aを介して接続されたnMOSトランジスタ340及びpMOSトランジスタ360と、中間ノード90bを介して接続されたnMOSトランジスタ341及びpMOSトランジスタ361とを有する。
【0219】
nMOSトランジスタ340及びpMOSトランジスタ360の各ゲートはLSIN端子に接続される。またnMOSトランジスタ341及びpMOSトランジスタ361の各ゲートは中間ノード90aに接続される。なお
図11では、中間ノード90a及び90bと、後段の回路とをつなぐ配線が省略されている。
【0220】
電位供給部321は、同相ノード91a及び逆相ノード91bと、pMOSトランジスタ362~367と、nMOSトランジスタ342~347とを有する。
図11に示すように、電位供給部321は、VRL電源311の低電位側の電源線(VRLライン311b)に接続される。本実施形態では、VRLライン311bは、一方の電源線に相当する。
【0221】
pMOSトランジスタ362のゲートは中間ノード90bに接続され、ソースは中間ノード90aに接続され、ドレインはpMOSトランジスタ363のソースに接続される。pMOSトランジスタ363のゲートは逆相ノード91bに接続され、ドレインはnMOSトランジスタ342のドレインに接続される。本実施形態では、pMOSトランジスタ362は、第5のMOSトランジスタに相当し、pMOSトランジスタ363は、第7のMOSトランジスタに相当する。
【0222】
nMOSトランジスタ342のゲートは自身のドレインに接続され、ソースはVRLライン311bに接続される。nMOSトランジスタ343のゲートはnMOSトランジスタ342のゲートに接続され、ソースはVRLライン311bに接続され、ドレインは同相ノード91aに接続される。本実施形態では、nMOSトランジスタ342及び343により、VRLライン311bを電流源として同相ノード91aに電流が供給される。
【0223】
pMOSトランジスタ364のゲートは中間ノード90aに接続され、ソースは中間ノード90bに接続され、ドレインはpMOSトランジスタ365のソースに接続される。pMOSトランジスタ365のゲートは同相ノード91aに接続され、ドレインはnMOSトランジスタ344のドレインに接続される。本実施形態では、pMOSトランジスタ364は、第6のMOSトランジスタに相当し、pMOSトランジスタ365は、第8のMOSトランジスタに相当する。
【0224】
nMOSトランジスタ344のゲートは自身のドレインに接続され、ソースはVRLライン311bに接続される。nMOSトランジスタ345のゲートはnMOSトランジスタ344のゲートに接続され、ソースはVRLライン311bに接続され、ドレインは逆相ノード91bに接続される。本実施形態では、nMOSトランジスタ344及び345により、VRLライン311bを電流源として同相ノード91aに電流が供給される。
【0225】
nMOSトランジスタ346のゲートは逆相ノード91bに接続され、ソースはVRLライン311bに接続され、ドレインは同相ノード91aに接続される。nMOSトランジスタ347のゲートは同相ノード91aに接続され、ソースはVRLライン311bに接続され、ドレインは逆相ノード91bに接続される。本実施形態では、nMOSトランジスタ346及び347により、同相ノード91a及び逆相ノード91bの電位を維持する電位維持回路が構成される。
【0226】
pMOSトランジスタ366のゲートは逆相ノード91bに接続され、ソースは同相ノード91aに接続される。pMOSトランジスタ367のゲートは同相ノード91aに接続され、ソースは逆相ノード91bに接続される。従って、pMOSトランジスタ366及び367は、クロスカップル接続されたクロスカップル回路となる。本実施形態では、pMOSトランジスタ366は、第1のMOSトランジスタに相当し、pMOSトランジスタ367は、第2のMOSトランジスタに相当する。
【0227】
電流規制部322は、pMOSトランジスタ368及び369を有する。pMOSトランジスタ368のゲートは中間ノード90aに接続され、ソースはpMOSトランジスタ366のドレインに接続され、ドレインはDVDライン310aに接続される。pMOSトランジスタ369のゲートは中間ノード90bに接続され、ソースはpMOSトランジスタ367のドレインに接続され、ドレインはDVDライン310aに接続される。本実施形態では、pMOSトランジスタ368及び369は、同相ノード91a及び逆相ノード91bの高電位側(DVDライン310a)に接続される電流路を遮断する機能を有する。本実施形態では、pMOSトランジスタ368は、第3のMOSトランジスタに相当し、pMOSトランジスタ369は、第4のMOSトランジスタに相当する。
【0228】
出力部323は、VRL電源311に接続される。入力部320は、中間ノード90cを介して接続されたnMOSトランジスタ348及びpMOSトランジスタ370と、中間ノード90dを介して接続されたnMOSトランジスタ349及びpMOSトランジスタ371とを有する。
【0229】
nMOSトランジスタ348及びpMOSトランジスタ370の各ゲートは逆相ノード91bに接続され、中間ノード90cはLSOUT端子に接続される。またnMOSトランジスタ349及びpMOSトランジスタ371の各ゲートは同相ノード91aに接続され、中間ノード90dはXLSOUT端子に接続される。
【0230】
レベルシフト回路300に含まれる各MOSトランジスタは、耐圧及び閾値電圧を基準とした3種類のタイプに大別される。第1のタイプは、VRLドメイン用の耐圧(1.8V等)を持つMOSトランジスタである。第2のタイプは、VRLドメイン用の耐圧を持ち、第1のタイプよりも閾値電圧が低く設定されたMOSトランジスタである。第3のタイプは、DVDドメイン用の耐圧(1.8V等)を持つMOSトランジスタである。
【0231】
第1のタイプのMOSトランジスタは、例えば1.8Vの耐圧を備え閾値電圧がSVTに設定されたMOSトランジスタである。また第2のタイプのMOSトランジスタは、例えば1.8Vの耐圧を備え閾値電圧がLVTに設定されたMOSトランジスタである。
図1に示す回路図において、円で囲まれたMOSトランジスタが第2のタイプであり、四角で囲まれたMOSトランジスタが第3のタイプである。第1のタイプのMOSトランジスタは、他のすべてのMOSトランジスタである。
【0232】
図11に示すように、入力部320のpMOSトランジスタ360及び361と、電位供給部321のpMOSトランジスタ362及び364と、電流規制部322のpMOSトランジスタ368及び369とが、第2のタイプのMOSトランジスタである。このように、本実施形態では、第2のタイプのMOSトランジスタは、pMOSトランジスタである。
【0233】
また入力部320のnMOSトランジスタ340及び341が、第3のタイプのMOSトランジスタである。このように、本実施形態では、第3のタイプのMOSトランジスタは、nMOSトランジスタである。
【0234】
レベルシフト回路300をこのように構成することで、入力信号を負の電圧レベルに変換することが可能である。レベルシフト回路300を用いることで、例えば負電圧に設定された電源系での信号処理等が可能となる。また、電流規制部322等を設けることで、入力信号の電圧レベルが十分に小さい場合であっても、負のレベル変換動作を適正に実行することが可能である。
【0235】
<その他の実施形態>
本技術は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態を実現することができる。
【0236】
上記の実施形態では、カレントミラー回路により、第1及び第2の電流路を流れる電流が複製されて、同相ノード及び逆相ノードに供給された。例えばカレントミラー回路は、第1及び第2の電流路を流れる電流を増幅して、同相ノード及び逆相ノードに供給するように構成されてもよい。
【0237】
またカレントミラー回路を用いずに、同相ノード及び逆相ノードに電流が供給されてもよい。例えば、入力信号に基づいて同相ノード及び逆相ノードに接続された所定のスイッチ素子(MOSトランジスタ等)を開閉することで、電流が供給されてもよい。この場合、電流が供給される側の電源線とは反対側の電源線と、各ノードの接続を適宜制御することで、P/N電流能力比に依存しない電流パスを構成することが可能である。
【0238】
以上説明した本技術に係る特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を組み合わせることも可能である。すなわち各実施形態で説明した種々の特徴部分は、各実施形態の区別なく、任意に組み合わされてもよい。また上記で記載した種々の効果は、あくまで例示であって限定されるものではなく、また他の効果が発揮されてもよい。
【0239】
本開示において、「同じ」「等しい」「直交」等は、「実質的に同じ」「実質的に等しい」「実質的に直交」等を含む概念とする。例えば「完全に同じ」「完全に等しい」「完全に直交」等を基準とした所定の範囲(例えば±10%の範囲)に含まれる状態も含まれる。
【0240】
なお、本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)第1の電源系の入力信号が入力される入力部と、
一対のノードを有し、前記第1の電源系よりも電圧レベルの高い第2の電源系となる一対の電源線のうち一方の電源線に接続され、前記入力信号に応じて前記一方の電源線の電位を前記一対のノードのどちらか一方に供給する供給部と、
前記一対の電源線のうち他方の電源線に接続され、前記一対のノードのうち前記一方の電源線の電位が供給されるノードと前記他方の電源線との間の電流を規制する規制部と
を具備するレベルシフト回路。
(2)(1)に記載のレベルシフト回路であって、
前記一対のノードは、前記入力信号と同相となるように電位が供給される同相ノード、及び前記入力信号と逆相となるように電位が供給される逆相ノードであり、
前記規制部は、前記入力信号と同相となるように前記同相ノードと前記他方の電源線との間の電流を規制し、前記入力信号と逆相となるように前記逆相ノードと前記他方の電源線との間の電流を規制する
レベルシフト回路。
(3)(2)に記載のレベルシフト回路であって、
前記供給部は、前記同相ノードにドレインが接続され前記逆相ノードにゲートが接続された第1のMOSトランジスタと、前記逆相ノードにドレインが接続され前記同相ノードにゲートが接続された第2のMOSトランジスタとを有し、
前記規制部は、前記第1のMOSトランジスタのソースと前記他方の電源線との間に接続された第3のMOSトランジスタと、前記第2のMOSトランジスタのソースと前記他方の電源線との間に接続された第4のMOSトランジスタとを有する
レベルシフト回路。
(4)(3)に記載のレベルシフト回路であって、
前記第1及び前記第2のMOSトランジスタは、前記第2の電源系の電圧レベルに応じた第1の耐圧を有する第1のタイプのMOSトランジスタであり、
前記第3及び前記第4のMOSトランジスタは、前記第1の耐圧を有し、前記第1のタイプのMOSトランジスタよりも閾値電圧が低く設定された第2のタイプのMOSトランジスタである
レベルシフト回路。
(5)(4)に記載のレベルシフト回路であって、
前記入力部は、前記入力信号の同相信号と逆相信号とを生成し、
前記第1から前記第4のMOSトランジスタは、同極性のMOSトランジスタであり、
前記第3のMOSトランジスタのゲートには、前記逆相信号が印加され、
前記第4のMOSトランジスタのゲートには、前記同相信号が印加される
レベルシフト回路。
(6)(4)又は(5)に記載のレベルシフト回路であって、
前記供給部は、前記同相ノードに電流を供給する第1のカレントミラー回路と、前記逆相ノードに電流を供給する第2のカレントミラー回路とを有する
レベルシフト回路。
(7)(6)に記載のレベルシフト回路であって、
前記第1のカレントミラー回路は、前記一方の電源線に接続された第1の電流路と、前記第1の電流路上に配置された第1のスイッチ部とを有し、前記第1の電流路の電流を複製して前記同相ノードに供給し、
前記第2のカレントミラー回路は、前記一方の電源線に接続された第2の電流路と、前記第2の電流路上に配置された第2のスイッチ部とを有し、前記第2の電流路の電流を複製して前記逆相ノードに供給する
レベルシフト回路。
(8)(7)に記載のレベルシフト回路であって、
前記入力部は、前記入力信号の同相信号と逆相信号とを生成し、
前記第1のスイッチ部は、前記同相信号に応じて前記第1の電流路を導通させる第5のMOSトランジスタを有し、
前記第2のスイッチ部は、前記逆相信号に応じて前記第2の電流路を導通させる第6のMOSトランジスタを有する
レベルシフト回路。
(9)(8)に記載のレベルシフト回路であって、
前記第5及び前記第6のMOSトランジスタは、前記第2のタイプのMOSトランジスタであり、
前記第5のMOSトランジスタのゲートには、前記同相信号が印加され、
前記第6のMOSトランジスタのゲートには、前記逆相信号が印加される
レベルシフト回路。
(10)(8)又は(9)に記載のレベルシフト回路であって、
前記第1のスイッチ部は、前記逆相ノードの電位に応じて前記第1の電流路を遮断する第7のMOSトランジスタを有し、
前記第2のスイッチ部は、前記同相ノードの電位に応じて前記第2の電流路を遮断する第8のMOSトランジスタを有する
レベルシフト回路。
(11)(10)に記載のレベルシフト回路であって、
前記供給部は、前記逆相ノードの電位に基づいて前記同相ノードの電位を保持し、前記同相ノードの電位に基づいて前記逆相ノードの電位を保持する電位保持回路を有する
レベルシフト回路。
(12)(8)から(11)のうちいずれか1つに記載のレベルシフト回路であって、
前記第5のMOSトランジスタのソースには、前記逆相信号が印加され、
前記第6のMOSトランジスタのソースには、前記同相信号が印加される
レベルシフト回路。
(13)(4)から(12)のうちいずれか1つに記載のレベルシフト回路であって、
前記入力部は、前記第2のタイプのMOSトランジスタと、前記第1の電源系の電圧レベルに応じた第2の耐圧を有する第3のタイプのMOSトランジスタとを有する
レベルシフト回路。
(14)(13)に記載のレベルシフト回路であって、
前記入力部は、前記入力信号の逆相信号と同相信号とを生成する第1の信号生成回路を有する
レベルシフト回路。
(15)(14)に記載のレベルシフト回路であって、
前記一方の電源線は、前記第2の電源系の高電位側の電源線であり、
前記第1の信号生成回路は、前記第1の電源系の低電位側に接続された前記第2のタイプのnMOSトランジスタと、前記第1の電源系の高電位側に接続された前記第3のタイプのpMOSトランジスタとを有する
レベルシフト回路。
(16)(14)又は(15)に記載のレベルシフト回路であって、
前記供給部は、前記入力部と前記一方の電源線とに接続される一対の電流路を有し、
前記入力部は、前記第1の信号生成回路の出力に基づいて、前記一対の電流路に入力するための前記入力信号の逆相信号と同相信号とを生成する第2の信号生成回路を有する
レベルシフト回路。
(17)(16)に記載のレベルシフト回路であって、
前記一方の電源線は、前記第2の電源系の高電位側の電源線であり、
前記第2の信号生成回路は、前記第1の電源系の低電位側に接続された前記第2のタイプのnMOSトランジスタと、前記第1の電源系の高電位側に接続された前記第3のタイプのnMOSトランジスタとを有する
レベルシフト回路。
(18)(4)から(17)のうちいずれか1つに記載のレベルシフト回路であって、
前記一方の電源線は、前記第2の電源系の高電位側の電源線であり、
前記第2のタイプのMOSトランジスタは、nMOSトランジスタである
レベルシフト回路。
(19)(4)から(14)及び(16)のうちいずれか1つに記載のレベルシフト回路であって、
前記一方の電源線は、前記第2の電源系の低電位側の電源線であり、
前記第2のタイプのMOSトランジスタは、pMOSトランジスタである
レベルシフト回路。
(20)本技術の一形態に係る電子機器は、電源部と、レベルシフト回路とを具備する。
前記電源部は、第1の電源系と、前記第1の電源系よりも電圧レベルの高い第2の電源系とを有する。
前記レベルシフト回路は、前記第1の電源系の入力信号が入力される入力部と、一対のノードを有し、前記第2の電源系となる一対の電源線のうち一方の電源線に接続され、前記入力信号に応じて前記一方の電源線の電位を前記一対のノードのどちらか一方に供給する供給部と、前記一対の電源線のうち他方の電源線に接続され、前記一対のノードのうち前記一方の電源線の電位が供給されるノードと前記他方の電源線との間の電流を規制する規制部とを有する。
【符号の説明】
【0241】
1…入力信号
2…同相信号
3…逆相信号
5…一対のノード
5b…逆相ノード
5a…同相ノード
10b…DVSライン
10a…DVDライン
10、210、310…DVD電源
11、211…AVD電源
11b…AVSライン
11a…AVDライン
20、220、320…入力部
21、221、321…電位供給部
22、222、322…電流規制部
26b…第1のカレントミラー回路
26a…第2のカレントミラー回路
27…電位保持回路
29a…第1の電流路
29b…第2の電流路
50、51、250、251…nMOSトランジスタ
368、369…pMOSトランジスタ
100、200、300…レベルシフト回路