(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】透水試験装置及び透水試験装置用の予測処理プログラム
(51)【国際特許分類】
E02D 1/08 20060101AFI20240717BHJP
G01N 33/24 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
E02D1/08
G01N33/24 C
(21)【出願番号】P 2021054789
(22)【出願日】2021-03-29
【審査請求日】2023-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 英明
(72)【発明者】
【氏名】土屋 任史
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-007725(JP,A)
【文献】特開平11-125587(JP,A)
【文献】特開2011-095040(JP,A)
【文献】特開2013-246458(JP,A)
【文献】米国特許第6532425(US,B1)
【文献】国際公開第2015/185802(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 1/00 - 1/08
E21B 49/00 - 49/10
G01N 33/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
盛立土の透水試験を行う透水試験装置であって、
測定手段と、制御手段と、当該測定手段及び制御手段の電源とを備え、
制御手段は、
盛立土の透水係数を算出するために必要な測定手段による測定を制御する測定制御手段と、
測定結果を記録する記録手段と、
試験開始から所定時間が経過する毎に、盛立土の飽和透水係数を算出するために必要な試験が完了するまでの試験残り時間を予測する試験完了予測手段とを備えたことを特徴とする透水試験装置。
【請求項2】
電源としての蓄電池を備え、
制御手段は、
試験開始から所定時間が経過する毎に、蓄電池が使用不能になるまでの蓄電池使用可能残り時間を予測する蓄電池状態予測手段と、
試験開始から所定時間が経過する毎に、蓄電池使用可能残り時間と試験残り時間とを示す情報を出力する情報出力手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の透水試験装置。
【請求項3】
請求項1の試験残り時間を試験管理者に送信するための送信手段、又は、請求項2の蓄電池使用可能残り時間と試験残り時間とを示す情報を試験管理者に送信するための送信手段を備えたことを特徴とする透水試験装置。
【請求項4】
盛立土の透水試験を行う透水試験装置であって、
測定手段と、制御手段と、当該測定手段及び制御手段の電源としての蓄電池と、送信手段とを備え、
制御手段は、
盛立土の透水係数を算出するために必要な測定手段による測定を制御する測定制御手段と、
測定結果を記録する記録手段と、
試験開始から所定時間が経過する毎に、盛立土の飽和透水係数を算出するために必要な試験が完了するまでの試験残り時間を予測して、当該予測した試験残り時間を送信手段を介して試験管理者に送信する試験完了予測手段と、
試験開始から所定時間が経過する毎に、蓄電池が使用不能になるまでの蓄電池使用可能残り時間を予測する蓄電池状態予測手段と、
試験開始から所定時間が経過する毎に、試験管理者が待機場所から試験場所に到達してかつ蓄電池交換作業が終了するまでに要する所要時間<蓄電池使用可能残り時間であり、かつ、蓄電池使用可能残り時間≦試験残り時間であるという条件を満たすか否かを示す情報を、送信手段を介して待機場所の試験管理者に送信する情報出力手段とを備えたことを特徴とする透水試験装置。
【請求項5】
測定結果に基づいて透水係数を算出する透水係数算出手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の透水試験装置。
【請求項6】
盛立土の透水試験を行う透水試験装置用の予測処理プログラムであって、
コンピュータを、
盛立土の透水係数を算出するために必要な測定手段による測定を制御する測定制御手段、
試験開始から所定時間が経過する毎に、盛立土の飽和透水係数を算出するために必要な試験が完了するまでの試験残り時間を予測する試験完了予測手段、
として機能させるための透水試験装置用の予測処理プログラム。
【請求項7】
盛立土の透水試験を行うために電源として蓄電池を使用した透水試験装置用の予測処理プログラムであって、
コンピュータを、
盛立土の透水係数を算出するために必要な測定手段による測定を制御する測定制御手段、
試験開始から所定時間が経過する毎に、盛立土の飽和透水係数を算出するために必要な試験が完了するまでの試験残り時間を予測する試験完了予測手段、
試験開始から所定時間が経過する毎に、蓄電池が使用不能になるまでの蓄電池使用可能残り時間を予測する蓄電池状態予測手段、
試験開始から所定時間が経過する毎に、蓄電池使用可能残り時間と試験残り時間とを示す情報を出力する情報出力手段、
として機能させるための透水試験装置用の予測処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、盛立土の透水試験を行うための透水試験装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばフィルダム等の盛立工事に於て、粘性土、土壌等の盛立土をタンピングローラ等の締固装置により転圧し、充分締固めた後、該盛立土の品質管理の一環として現位置において該盛立土の透水試験を行うようにしている。
当該透水試験方法としては、変水位透水試験法と定水位透水試験法とがある。
変水位透水試験法は、締固められた盛立土に所定深さの試験孔を形成し、該試験孔に水を注入して、該試験孔から該盛立土に水を浸透させた後、該試験孔内の水位の時間的変化を一定頻度で測定し、所定時間に該盛立土に浸透する水量に基づいて、盛立土の現位置での飽和透水係数を求める方法である。
定水位透水試験法は、上述した試験孔内の水位を一定に保つように、該盛立土に浸透する水量に対応する水を該試験孔に注水して供給し、所定時間に該試験孔に供給される水量に基づいて、盛立土の現位置での飽和透水係数を求める方法である。
そして、当該透水試験による測定データに基づいて演算された飽和透水係数に基づいて、盛立土の状態を調整するようにしている。
当該透水試験を行うための透水試験装置としては、変水位透水試験法及び定水位透水試験法の両方に対応可能な透水試験装置が知られている(特許文献1参照)。
また、該試験孔内部の水位を自動測定する水位測定センサによる測定データ、または、該試験孔に水を供給する水槽に設けられて水槽内部の水位を自動測定する水位測定センサによる測定データを、現場事務所に伝送する無線伝送手段を備えた透水試験装置も知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-21059号公報
【文献】特開平11-125587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
透水試験装置を用いた透水試験は、地盤工学会基準(JGS 1316-1995)締固めた地盤の透水試験方法に準じて実施される。
当該透水試験方法においては、盛立土への浸透水量又は試験孔内への注水量が、ほぼ一定になるまで試験が行われ、このほぼ一定になったと判断できる水量を定常流量として、試験完了とし、この定常流量に基づいて飽和透水係数を求める。
この盛立土への浸透水量又は試験孔内への注水量がほぼ一定になったとの判断は、試験管理者が判断することになる。
しかしながら、試験開始から、盛立土への浸透水量又は試験孔内への注水量がほぼ一定になるまで、即ち、試験開始から試験完了と判断できるまでの時間は、盛立土の違いによって様々である。
このため、試験管理者が試験場所に常駐して、試験完了を確認し、試験完了を確認した後に、透水試験装置の移動、設置、撤去等の次作業を行うようにしている。
しかしながら、この場合、試験管理者が試験場所に常駐しなければならないため、試験管理者の負担が大きいという課題があった。
また、特許文献2に開示された透水試験装置によれば、試験場所から離れた待機場所に待機する試験管理者に、測定データを送ることができる。したがって、特許文献2の場合、試験管理者が待機場所において試験完了を確認することができるようになり、試験管理者は、試験完了を確認後、試験場所に行って、透水試験装置の移動、設置、撤去等の次作業を行うことができる。
しかしながら、特許文献2に開示された透水試験装置の場合、待機場所から試験場所までの距離が長く、待機場所から試験場所に到達するまでに長い時間(例えば車で1時間以上)を要する場合等においては、試験管理者が待機場所で試験完了を確認してから試験場所に到達するまでの時間がかかってしまい、現場での透水試験に費やす時間、ひいては、現場での施工期間が長くなってしまうという課題があった。
本発明は、上記課題に鑑み、試験完了時間を予測できて、試験管理者の負担を軽減できるとともに、現場での透水試験に費やす時間を短くすることが可能となり、ひいては、現場での施工期間の短縮化を図れる透水試験装置及び透水試験装置用予測処理プログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る透水試験装置は、盛立土の透水試験を行う透水試験装置であって、測定手段と、制御手段と、当該測定手段及び制御手段の電源とを備え、制御手段は、盛立土の透水係数を算出するために必要な測定手段による測定を制御する測定制御手段と、測定結果を記録する記録手段と、試験開始から所定時間が経過する毎に、盛立土の飽和透水係数を算出するために必要な試験が完了するまでの試験残り時間を予測する試験完了予測手段とを備えたことを特徴とする。
本発明に係る透水試験装置によれば、試験完了時間を予測できて、試験管理者の負担を軽減できるとともに、現場での透水試験に費やす時間を短くすることが可能となり、ひいては、現場での施工期間の短縮化を図れる透水試験装置となる。
また、電源としての蓄電池を備え、制御手段は、試験開始から所定時間が経過する毎に、蓄電池が使用不能になるまでの蓄電池使用可能残り時間を予測する蓄電池状態予測手段と、試験開始から所定時間が経過する毎に、蓄電池使用可能残り時間と試験残り時間とを示す情報を出力する情報出力手段とを備えたことを特徴とするので、試験中に、蓄電池の電圧が低下して使用不可となり、試験が完了していないにもかかわらず、試験が終了してしまって、試験をやり直さなくてはならなくなるような事態を防止できるようになる。
また、試験残り時間を試験管理者に送信するための送信手段、又は、蓄電池使用可能残り時間と試験残り時間とを示す情報を試験管理者に送信するための送信手段を備えたことを特徴とするので、試験管理者が試験場所に常駐して試験完了や蓄電池状態を確認する必要がなくなるため、試験管理者の負担をさらに軽減できるようになる。また、試験管理者が試験場所からかなり離れた場所に居る場合においても、試験管理者は、試験残り時間や蓄電池使用可能残り時間を、試験開始から所定時間が経過する毎に受け取ることができるため、試験管理者は試験完了予測時間や蓄電池使用可能残り時間に合わせて試験場所に到着することができるようになる。従って、試験完了後、直ちに、試験装置の移動、設置、撤去等の次作業を行うことができるようになったり、蓄電池の交換作業を適切な時期に行えるようになるため、現場での透水試験に費やす時間を短くすることが可能となり、ひいては、現場での施工期間の短縮化を図れるようになる。
また、本発明に係る透水試験装置は、測定手段と、制御手段と、当該測定手段及び制御手段の電源としての蓄電池と、送信手段とを備え、制御手段は、盛立土の透水係数を算出するために必要な測定手段による測定を制御する測定制御手段と、測定結果を記録する記録手段と、試験開始から所定時間が経過する毎に、盛立土の飽和透水係数を算出するために必要な試験が完了するまでの試験残り時間を予測して、当該予測した試験残り時間を送信手段を介して試験管理者に送信する試験完了予測手段と、試験開始から所定時間が経過する毎に、蓄電池が使用不能になるまでの蓄電池使用可能残り時間を予測する蓄電池状態予測手段と、試験開始から所定時間が経過する毎に、試験管理者が待機場所から試験場所に到達してかつ蓄電池交換作業が終了するまでに要する所要時間<蓄電池使用可能残り時間であり、かつ、蓄電池使用可能残り時間≦試験残り時間であるという条件を満たすか否かを示す情報を、送信手段を介して待機場所の試験管理者に送信する情報出力手段とを備えたことを特徴とする。
当該透水試験装置によれば、試験管理者が試験場所からかなり離れた場所に居る場合においても、試験中に蓄電池の電圧が低下して使用不可となる前に、試験管理者が試験場所に到着することができるようになるため、蓄電池の交換作業を適切な時期に行えるようになる。
また、測定結果に基づいて透水係数を算出する透水係数算出手段を備えたことを特徴とするので、透水係数の履歴及び飽和透水係数を確認できるようになる。
また、本発明に係る盛立土の透水試験を行う透水試験装置用の予測処理プログラムは、コンピュータを、盛立土の透水係数を算出するために必要な測定手段による測定を制御する測定制御手段、試験開始から所定時間が経過する毎に、盛立土の飽和透水係数を算出するために必要な試験が完了するまでの試験残り時間を予測する試験完了予測手段、として機能させるための透水試験装置用の予測処理プログラムとしたので、試験完了時間を予測できて、試験管理者の負担を軽減できるとともに、現場での透水試験に費やす時間を短くすることが可能となり、ひいては、現場での施工期間の短縮化を図れる透水試験装置を構成できるようになる。
また、本発明に係る盛立土の透水試験を行うために電源として蓄電池を使用した透水試験装置用の予測処理プログラムは、コンピュータを、盛立土の透水係数を算出するために必要な測定手段による測定を制御する測定制御手段、試験開始から所定時間が経過する毎に、盛立土の飽和透水係数を算出するために必要な試験が完了するまでの試験残り時間を予測する試験完了予測手段、試験開始から所定時間が経過する毎に、蓄電池が使用不能になるまでの蓄電池使用可能残り時間を予測する蓄電池状態予測手段、試験開始から所定時間が経過する毎に、蓄電池使用可能残り時間と試験残り時間とを示す情報を出力する情報出力手段、として機能させるための透水試験装置用の予測処理プログラムとしたので、試験完了時間、及び、蓄電池交換時期を予測できて、試験管理者の負担を軽減できるとともに、現場での透水試験に費やす時間を短くすることが可能となり、ひいては、現場での施工期間の短縮化を図れる透水試験装置を構成できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】変水位透水試験法に使用する透水試験装置の構成例を示す図(実施形態1)。
【
図2】定水位透水試験法に使用する透水試験装置の構成例を示す図(実施形態1)。
【
図3】浸透水量又は注水量-時間の関係を示すデータ例(実施形態1)。
【
図4】透水試験装置の制御手段を示すブロック構成図(実施形態2,3)。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態1
実施形態1に係る透水試験装置は、
図1,2に示すように、例えばフィルダム等の盛立工事現場等の盛立土現場において施工された盛立土Sの原位置での透水試験を行うための透水試験装置であって、測定手段1と、制御手段2と、当該測定手段1及び制御手段2の電源3とを備える。
電源3は、蓄電池又は発電電源又は商用電源である。
【0008】
盛立土現場において締固められた盛立土Sに形成された所定深さの試験孔H内の水位の時間的変化を一定頻度で測定する変水位透水試験法に使用する透水試験装置においては、測定手段1は、例えば
図1に示すように、試験孔H内の水位レベルを測定する水位レベル測定手段10と、当該水位レベル測定手段10を試験孔H内に所定の状態に設置するための架台11とを備えた構成である。
尚、試験中の試験孔Hの孔壁の崩壊を防ぐために、試験孔H内には、砕石Cを敷き詰めておくことが望ましい。
【0009】
上述した試験孔H内の水位を一定に保つように、盛立土Sに浸透する水量に対応する水Wを試験孔Hに注水して供給し、所定時間に試験孔Hに供給される水量を測定する定水位透水試験法に使用する透水試験装置においては、測定手段1は、例えば
図2に示すように、上述した水位レベル測定手段10及び架台11と、試験孔H内の水位を一定に保つための注水装置とを備える。
当該注水装置は、例えば、タンク12と、タンク12内の水位レベルを測定する水位レベル測定手段13と、タンク12から試験孔Hに水Wを供給するための供給管14と、供給管14の途中に設けられた電磁開閉弁15とを備えた構成である。
【0010】
尚、注水装置としては、試験孔H内の水位レベルを保持する定水位保持管を備えたマリオットサイフォンを用いた装置を用いても構わない。
当該マリオットサイフォンを用いた場合、試験孔H内の水位レベルを測定する水位レベル測定手段10、電磁開閉弁15を不要とでき、透水試験装置を簡略化できる。
【0011】
図1,2に示すように、制御手段2は、測定制御手段4と、測定結果を記録する記録手段5と、測定結果に基づいて透水係数を算出する透水係数算出手段6と、試験完了予測手段7と、送信手段8とを備える。
【0012】
測定制御手段4は、盛立土Sの透水係数を算出するために必要な測定手段1による測定を制御する手段である。
変水位透水試験法に使用する透水試験装置においては、測定制御手段4は、水位レベル測定手段10で測定された試験孔H内の水位レベル測定値を所定の測定時間間隔で入力して記録手段5に記録する手段である。
即ち、試験開始から測定間隔時間が経過する毎に、測定データとして、測定時間tとその時の試験孔H内の水位レベル測定値とが記録手段5に順次記録される。
尚、測定時間間隔は、水位変化の速さに応じて設定される。例えば、盛立土Sの種類に応じて、経験的に知られている水位変化の速さに応じて設定される。
また、盛立土Sへの浸透水量は、試験孔H内の水位レベル変化量×試験孔H内の内空面積により算出される。
【0013】
定水位透水試験法に使用する透水試験装置においては、測定制御手段4は、試験孔H内の水位レベル測定手段10で測定された水位レベル測定値に基づいて電磁開閉弁15を制御して、タンク12から試験孔H内に注水された場合に、水位レベル測定手段13で測定されたタンク12内の水位レベル測定値を所定の測定時間間隔で入力して記録手段5に記録する手段である。
マリオットサイフォンを用いた透水試験装置においては、マリオットサイフォンから試験孔H内に注水された場合に、マリオットサイフォン内の水位レベル測定手段で測定されたマリオットサイフォン内の水位レベル測定値を所定の測定時間間隔で入力して記録手段5に記録する手段である。
即ち、試験開始から測定間隔時間が経過する毎に、測定データとして、測定時間tとその時のタンク12内又はマリオットサイフォン内の水位レベル測定値とが記録手段5に順次記録される。
また、試験孔H内への注水量は、タンク12内又はマリオットサイフォン内の水位レベル変化量×タンク12内又はマリオットサイフォン内の内空面積により算出される。
【0014】
透水係数算出手段6は、測定手段1によって測定された水位レベル測定値により算出される盛立土Sへの浸透水量や試験孔H内への注水量に基づいて盛立土Sの原位置での透水係数を算出する手段である。
尚、透水係数は、例えば、盛立土Sへの浸透水量や試験孔H内への注水量を周知の透水係数算定式(例えばダルシーの算出式等)に代入することにより求まる。
【0015】
透水試験は、地盤工学会基準(JGS 1316-1995)締固めた地盤の透水試験方法に準じて実施される。
当該透水試験方法においては、盛立土Sへの浸透水量、又は、試験孔H内への注水量が、ほぼ一定になるまで試験が行われ、このほぼ一定になったと判断できる水量を定常流量として、試験完了とし、この定常流量に基づいて飽和透水係数を求めることができる。
一般に、当該透水試験法による測定結果は、
図3に示すように、時間tが経過するに従って、浸透水量又は注水量がほぼ一定量に落ち着くような結果となる。尚、
図3において、aは測定間隔時間である。
【0016】
そこで、例えば、今回測定時の水量と前回測定時の水量との変動率、即ち、(今回測定時の水量-前回測定時の水量)/前回測定時の水量の値が、所定値以下になった場合に、浸透水量又は注水量が一定になったと見做して、試験完了としている。
【0017】
また、測定毎に透水係数を求めている場合においては、今回測定時の透水係数と前回測定時の透水係数との変動率、即ち、(今回測定時の透水係数-前回測定時の透水係数)/前回測定時の透水係数の値が、所定値以下になった場合に、当該盛立土Sの飽和透水係数が求められたと見做して、試験完了としてもよい。即ち、水量が定常流量となり、この定常流量を周知の透水係数算定式に代入することによって飽和透水係数が求められたと見做して、試験完了としてもよい。
【0018】
試験完了予測手段7は、試験開始から所定時間Xが経過する毎に、盛立土Sの飽和透水係数を算出するために必要な試験が完了するまでの試験残り時間Aを予測する手段である。
所定時間Xは、例えば、測定時間間隔に対応した時間、つまり、測定間隔時間とする。
即ち、試験開始から測定間隔時間が経過する毎、つまり、測定制御手段4が測定データを入力して記録手段5に記録する毎に、試験完了予測手段7が試験残り時間Aを予測する。
【0019】
試験完了予測手段7は、例えば、土質、材料等がそれぞれ異なる複数種類の盛立土の各測定データを、サンプルとして備える。例えば、過去に試験された複数種類の盛立土の各測定データである、
図3に示したような、浸透水量又は注水量-時間の関係を示すデータ、即ち、試験開始から所定時間が経過する毎に測定し、かつ、水量が定常流量になるまで測定を行った測定データを備える。尚、汎用性を持たせるため、各測定データは、例えば、所定時間を短時間(例えば1分間)にした測定データとすることが好ましい。
【0020】
試験完了予測手段7による予測方法としては、例えば、まず、現在実施されている試験において、試験開始から所定の測定間隔時間が経過する毎に、今回の水量と前回の水量との差分を求める。
そして、試験開始からの経過時間と差分との関係が、現在実施されている試験と一番似ているサンプルを抽出して、当該一番似ているサンプルにおける当該経過時間から定常流量になるまで(試験完了まで)の時間を、現在実施されている試験の試験残り時間Aとして予想する。
【0021】
以上のように、試験完了予測手段7によって、現在実施されている試験の試験開始から所定の測定間隔時間が経過する毎に、当該経過時間から試験完了までの時間が試験残り時間Aとして予想され、当該予想された試験残り時間Aが送信手段8を介して試験管理者側の受信手段(例えば、試験管理者が待機する待機場所のコンピュータ、又は、試験管理者が携帯するコンピュータ等)経由で試験管理者に送信される。
【0022】
送信手段8は、例えば、Wi-Fi(IEEE802.11規格)を用いて、試験開始から測定間隔時間が経過する毎に、少なくとも、試験完了予測手段7によって予測された試験残り時間Aを、透水試験装置から試験管理者側の受信手段に送信する送信手段により構成される。
即ち、実施形態1においては、試験残り時間Aは、試験管理者側に必ず送信されるが、測定データ、透水係数算出手段6により算出された透水係数のデータのうちの1種類以上のデータは、試験管理者側に送信するようにしても良いし、送信しなくても良い。
【0023】
尚、測定制御手段4、透水係数算出手段6、試験完了予測手段7は、処理プログラムと、当該処理プログラムによる情報処理を実現するコンピュータ等のハードウエア資源とにより構成される。つまり、コンピュータと、当該コンピュータをこれら手段として機能させる処理プログラムとで構成される。
そして、実施形態1に係る透水試験装置用の予測処理は、少なくとも、コンピュータを、測定制御手段4、試験完了予測手段7として機能させるための予測処理プログラムにより実現される。
【0024】
試験完了予測手段7について、さらに具体的に説明する。
例えば、当該透水試験装置を用いた当該透水試験の測定間隔時間が30分である場合、30分毎に、試験完了予測手段7により予想された試験残り時間Aが、試験管理者側の受信手段経由で試験管理者に送信される。
この場合、試験完了予測手段7は、現在実施されている試験において、例えば試験開始から60分が経過した時に測定された測定値に基づいて算出された今回の浸透水量又は注水量(今回の水量)と試験開始から30分が経過した時に測定された測定値に基づいて算出された前回の浸透水量又は注水量(前回の水量)との差分αを演算する。
そして、試験完了予測手段7は、各サンプルにおける、試験開始から60分が経過した時に測定された測定値に基づいて算出された今回の浸透水量又は注水量(今回の水量)と試験開始から30分が経過した時に測定された測定値に基づいて算出された前回の浸透水量又は注水量(前回の水量)との各差分と、演算して求めた上述の差分αとを比較して、当該差分αと一番似ている差分を持つサンプルを抽出し、当該抽出したサンプルにおける、試験開始60分経過時から試験完了までの時間を、現在実施されている試験における、試験開始60分経過時から試験完了までの試験残り時間Aとして、試験管理者に送信する。
【0025】
また、試験管理者が、試験場所から例えば車で2時間離れた待機場所に居る場合において、試験残り時間Aとして「2時間30分」という情報を受け取った場合、当該情報を受け取った後に試験場所に向けて出発することにより、試験完了予測時間に合わせて試験場所に到着することができるようになるため、試験完了後、直ちに、試験装置の移動、設置、撤去等の次作業を行うことができるようになる。従って、現場での透水試験に費やす時間を短くすることが可能となり、ひいては、現場での施工期間の短縮化を図れるようになる。
【0026】
即ち、実施形態1に係る透水試験装置によれば、試験完了予測手段7及び送信手段8を備えたことにより、試験完了時間を予測して試験管理者に知らせることができるようになった。
従って、試験管理者が試験場所に常駐して試験完了を確認する必要がなくなるため、試験管理者の負担を軽減できるようになる。
また、試験管理者が試験場所からかなり離れた待機場所に居る場合においても、試験管理者は、試験開始から測定間隔時間が経過する毎に、試験残り時間Aを受け取ることができるため、試験管理者は試験完了予測時間に合わせて試験場所に到着することができるようになり、試験完了後、直ちに、試験装置の移動、設置、撤去等の次作業を行うことができるようになる。
従って、現場での透水試験に費やす時間を短くすることが可能となり、ひいては、現場での施工期間の短縮化を図れるようになる。
即ち、実施形態1に係る透水試験装置によれば、試験完了時間を予測して試験管理者に知らせることができるため、試験管理者の負担を軽減できるとともに、現場での透水試験に費やす時間を短くすることが可能となり、ひいては、現場での施工期間の短縮化を図れるようになる。
【0027】
実施形態2
実施形態2に係る透水試験装置は、測定手段1と、制御手段2と、当該測定手段1及び制御手段2の電源3としての蓄電池とを備えた透水試験装置であって、
図4に示すように、制御手段2が、上述した測定制御手段4と、記録手段5と、透水係数算出手段6と、試験完了予測手段7と、送信手段8とに加えて、蓄電池状態予測手段9Aと、情報出力手段としての蓄電池交換要求手段9Bとを備えた構成とした。
【0028】
蓄電池状態予測手段9Aは、試験開始から所定時間Xが経過する毎に、蓄電池が使用不能になるまでの蓄電池使用可能残り時間Bを予測する手段である。
所定時間Xは、例えば、上述したように、測定時間間隔に対応した時間、つまり、測定間隔時間とする。
即ち、試験開始から測定間隔時間が経過する毎、つまり、測定制御手段4が測定データを入力して記録手段5に記録する毎に、蓄電池状態予測手段9Aが蓄電池使用可能残り時間Bを予測する。
【0029】
蓄電池状態予測手段9Aは、例えば、過去に、満充電した当該蓄電池を当該透水試験装置で使用して当該蓄電池が使用不能になるまでに採取した電圧値-経過時間の関係を示す参照データを備え、かつ、現在実施されている試験において、例えば蓄電池に接続した電圧計測器で測定される電圧値を試験開始から測定間隔時間が経過する毎に読み取って、当該電圧を参照データに照合して経過時間を求め、この経過時間から当該蓄電池が使用不能になるまでの間の時間を、蓄電池使用可能残り時間Bとして予測する。尚、参照データは、当該蓄電地の製作メーカー等から入手したものを用いてもよい。
【0030】
蓄電池交換要求手段9Bは、試験開始から測定間隔時間(所定時間X)が経過する毎に、蓄電池使用可能残り時間Bと上述した試験残り時間Aとを比較して、蓄電池使用可能残り時間B≦試験残り時間Aであるか否かを判定するとともに、蓄電池使用可能残り時間B≦試験残り時間Aであると判定した場合に、蓄電池の交換を促す蓄電池交換要求を送信手段8を介して試験管理者に送信する手段である。
尚、実施形態2において、蓄電池交換要求は、蓄電池使用可能残り時間と試験残り時間とを示す情報、言い換えれば、蓄電池使用可能残り時間及び試験残り時間の大小関係を比較して蓄電池使用可能残り時間B≦試験残り時間Aであると判定した判定結果情報である。
【0031】
従来、試験中に、蓄電池の電圧が低下して所定値以下となって当該蓄電池が使用不可となった場合、試験が完了していないにもかかわらず、試験が終了してしまう。このような場合、本来の試験完了までの測定データが得られずに、測定データから飽和透水係数が求められない可能性が高く、試験をやり直さなければならないという問題があった。
実施形態2に係る透水試験装置によれば、試験中に、蓄電池使用可能残り時間B≦試験残り時間Aとなった場合に、蓄電池の交換を促す蓄電池交換要求が試験管理者に送信されるので、蓄電池の電圧が低下して所定値以下となる前に、蓄電池の交換作業を適切な時期に行えるようになるため、試験が完了していないにもかかわらず終了してしまうという事態を防止できるようになる。
また、実施形態2においては、現在実施されている試験の試験開始から所定の測定間隔時間が経過する毎に、試験完了予測手段7によって予測された試験残り時間A、測定データ、透水係数算出手段6により算出された透水係数のデータ、蓄電池状態予測手段9Aによって予測された蓄電池使用可能残り時間Bのデータのうちの1種類以上のデータを、送信手段8を介して試験管理者に送信するようにしてもよいし、送信しなくてもよい。
【0032】
実施形態3
実施形態2では、試験管理者が試験場所から車で数時間かかるようなかなり離れた待機場所に居る場合、試験管理者が待機場所で蓄電池交換要求を受け取ってから試験場所に向かうまでの間に、蓄電池の電圧が所定値以下となって試験が終了してしまう可能性も考えられる。
そこで、実施形態3に係る透水試験装置は、測定手段1と、制御手段2と、当該測定手段1及び制御手段2の電源3としての蓄電池とを備えた透水試験装置であって、
図4に示すように、制御手段2が、上述した測定制御手段4と、記録手段5と、透水係数算出手段6と、試験完了予測手段7と、送信手段8と、蓄電池状態予測手段9Aと、情報出力手段としての蓄電池交換要求手段9Bとを備えた構成とし、当該蓄電池交換要求手段9Bを次のような構成とした。
即ち、実施形態3に係る透水試験装置に設けられた蓄電池交換要求手段9Bは、試験開始から測定間隔時間(所定時間X)が経過する毎に、試験管理者が待機場所から試験場所に到達してかつ蓄電池交換作業が終了するまでに要する所要時間D<蓄電池使用可能残り時間Bであり、かつ、蓄電池使用可能残り時間B≦試験残り時間Aであるという条件を満たすと判定した場合に、蓄電池の交換を促す蓄電池交換要求を送信手段8を介して待機場所の試験管理者に送信する手段とした。
つまり、当該蓄電池交換要求手段9Bは、試験開始から測定間隔時間が経過する毎に、所要時間D<蓄電池使用可能残り時間B≦試験残り時間Aという条件を満たすか否かを判定し、当該条件を満たすと判定した場合に、蓄電池の交換を促す蓄電池交換要求を送信手段8を介して待機場所の試験管理者に送信する手段とした。
当該待機場所は、例えば、試験場所から離れた現場事務所、土木建設会社等、任意の待機場所であればよく、実施形態3に係る透水試験装置においては、蓄電池交換要求手段9Bは、図示しないが、当該待機場所を考慮した所要時間Dを自由に設定できる時間設定手段を備える。
尚、実施形態3において、蓄電池交換要求は、所要時間D<蓄電池使用可能残り時間B≦試験残り時間Aという条件を満たすか否かを示す情報、言い換えれば、当該条件を満たしていると判定した判定結果情報である。
【0033】
実施形態3に係る透水試験装置によれば、試験中に、所要時間D<蓄電池使用可能残り時間B≦試験残り時間Aを満たす状態となった場合に、試験管理者側に蓄電池の交換を促す蓄電池交換要求が送信されるので、試験管理者が待機場所で蓄電池交換要求を受け取ってから試験場所に到着する間に、蓄電池の電圧が所定値以下となって試験が終了してしまうという事態を防止できるようになる。
換言すれば、試験管理者が試験場所からかなり離れた待機場所に居る場合においても、試験中に蓄電池の電圧が低下して使用不可となる前に、試験管理者が待機場所から試験場所に到着して適切な時期に蓄電池交換作業を行えるようになり、蓄電池の電圧が所定値以下となって試験が終了してしまうという事態を防止できるようになる。
また、実施形態3においては、現在実施されている試験の試験開始から所定の測定間隔時間が経過する毎に、試験完了予測手段7によって予測された試験残り時間A、測定データ、透水係数算出手段6により算出された透水係数のデータ、蓄電池状態予測手段9Aによって予測された蓄電池使用可能残り時間B、所要時間Dのデータのうちの1種類以上のデータを、送信手段8を介して試験管理者に送信するようにしてもよいし、送信しなくてもよい。
【0034】
実施形態2,3においては、蓄電池状態予測手段9A、蓄電池交換要求手段9Bは、処理プログラムと、当該処理プログラムによる情報処理を実現するコンピュータ等のハードウエア資源とにより構成される。つまり、コンピュータと、当該コンピュータをこれら手段として機能させる処理プログラムとで構成される。
そして、実施形態2,3に係る透水試験装置用の予測処理は、少なくとも、コンピュータを、測定制御手段4、試験完了予測手段7、蓄電池状態予測手段9A、情報出力手段としての蓄電池交換要求手段9Bとして機能させるための予測処理プログラムにより実現される。
【0035】
また、実施形態2,3では、電源3として蓄電池を使用した例を示したが、実施形態2,3において、電源3として太陽電池、燃料電池等の発電電源を用いてもよい。
この場合、蓄電池状態予測手段の代わりに、当該発電電源の発電状態を予測する発電状態予測手段を設け、蓄電池交換要求手段の代わり、当該発電電源の発電量不足を報告する発電量不足報告手段を設ければよい。
【0036】
また、各実施形態では、所定時間Xを、測定間隔時間としたが、所定時間Xは任意に決めても構わない。例えば、所定時間Xは、測定間隔時間×n(nは例えば正の有理数)としてもよい。
【0037】
尚、上記では、透水係数算出手段6を備えた透水試験装置を例示したが、試験完了予測手段7は、透水係数を用いずに、測定データ(浸透水量又は注水量-時間の関係を導けるデータ)に基づいて試験残り時間を予測することが可能であること、また、透水係数算出は、測定データを透水試験装置に記録して残しておけば、後からこれら測定データを透水係数算出手段(プログラム)で処理して透水係数を求めることが可能であること、また、試験管理者側のコンピュータに透水係数算出手段(プログラム)を搭載しておいて、測定データを試験管理者側のコンピュータに送信すれば、試験管理者側のコンピュータで透水係数を算出することも可能であること等の理由から、本発明の透水試験装置としては、透水係数算出手段を備えない構成としてもよい。
尚、透水係数算出手段6を備えた透水試験装置によれば、試験開始から測定間隔時間が経過する毎に測定結果に基づいた透水係数を算出して記録手段に記録しておけるので、試験管理者は、透水係数の履歴及び飽和透水係数を確認できるようになる。
また、試験管理者側のコンピュータに透水係数算出手段を搭載した構成としても、同様に、試験管理者は、透水係数の履歴及び飽和透水係数を確認できるようになる。
【0038】
また、実施形態1,2においては、予想した試験残り時間Aや蓄電池交換要求を、Wi-Fi等を用いた送信手段8を介して試験管理者に送信する例を示したが、本発明の透水試験装置としては、予想した試験残り時間Aや蓄電池交換要求を記録手段5に記録して告知装置(表示画面等の表示装置、スピーカー等の音声出力装置、警告灯等の光出力装置など)に告知させる構成とすることにより、送信手段8を備えない構成としてもよい。
このように、予想した試験残り時間Aや蓄電池交換要求を記録手段5に記録して告知装置に告知させる構成としても、予想した試験残り時間Aや蓄電池交換要求を試験管理者が告知装置により確認できる透水試験装置を提供できる。
即ち、試験開始後、試験管理者が試験場所に1回以上を行って、告知装置による告知を確認することにより、試験残り時間Aや蓄電池交換要求を確認できるようになるので、試験管理者は試験場所に常駐しなくてもよくなるとともに、試験管理者は試験完了予測時間や蓄電池使用可能残り時間に合わせて試験場所に到着することができるようになる。従って、試験完了後、直ちに、試験装置の移動、設置、撤去等の次作業を行うことができるようになったり、蓄電池の交換作業を適切な時期に行えるようになるため、現場での透水試験に費やす時間を短くすることが可能となり、ひいては、現場での施工期間の短縮化を図れるようになる。
つまり、このように送信手段8を備えない構成の透水試験装置であっても、試験管理者の負担を軽減できるとともに、現場での透水試験に費やす時間を短くすることが可能となり、ひいては、現場での施工期間の短縮化を図れるという所期の目的を達成できる透水試験装置となる。
尚、この場合、現在実施されている試験の試験開始から所定の測定間隔時間が経過する毎に、測定データ、透水係数算出手段6により算出された透水係数のデータ、蓄電池状態予測手段9Aによって予測された蓄電池使用可能残り時間Bのうちの1種類以上のデータを、告知装置に告知させるようにしてもよいし、告知装置に告知させなくてもよい。
【0039】
また、上記では、蓄電池交換要求を試験管理者に知らせる構成を例示したが、蓄電池交換要求ではなく、情報を試験管理者に知らせるようにしてもよい。
例えば、実施形態2においては、試験開始から所定時間が経過する毎に、蓄電池使用可能残り時間Bと試験残り時間Aとを示す情報を出力する情報出力手段を設け、当該情報出力手段により、当該情報としての蓄電池使用可能残り時間Bと試験残り時間Aとを試験管理者に知らせるようにしてもよい。このようにした場合であっても、試験管理者は、当該情報としての蓄電池使用可能残り時間Bと試験残り時間Aとを見て、蓄電池使用可能残り時間B≦試験残り時間Aであるか否かを判定できるようになるので、試験中に、蓄電池の電圧が低下して使用不可となり、試験が完了していないにもかかわらず、試験が終了してしまって、試験をやり直さなくてはならなくなるような事態を防止できるようになる。
また、実施形態3においては、試験開始から所定時間が経過する毎に、試験管理者が試験場所に到達してかつ蓄電池交換作業が終了するまでに要する所要時間D<蓄電池使用可能残り時間Bであり、かつ、蓄電池使用可能残り時間B≦試験残り時間Aであるという条件を満たすか否かを示す情報を、送信手段を介して試験管理者に送信する情報出力手段を設け、当該情報出力手段により、当該情報としての所要時間D、蓄電池使用可能残り時間B、試験残り時間Aを試験管理者に送信するようにしてもよい。このようにした場合であっても、試験管理者は、当該情報としての所要時間D、蓄電池使用可能残り時間B、試験残り時間Aを見て、上述した条件を満たすか否かを判定できるようになるので、試験管理者が試験場所からかなり離れた場所に居る場合においても、試験中に蓄電池の電圧が低下して使用不可となる前に、試験管理者が試験場所に到着することができるようになるため、蓄電池の交換作業を適切な時期に行えるようになる。
【0040】
実施形態4
実施形態3において、試験管理者は、試験開始前に、蓄電池状態予測手段9Aを起動させたり、あるいは、電圧計測器で測定した蓄電池の電圧値等に基づいて、予想される蓄電池使用可能残り時間Bを知ることにより、想定時間Z>蓄電池使用可能残り時間Bであれば、蓄電池の交換作業を行ってから試験を開始させて、その後、待機場所に向かうようにし、想定時間Z<蓄電池使用可能残り時間Bであれば、そのまま試験を開始させて、その後、待機場所に向かうようにすればよい。
尚、この場合、想定時間Zは、少なくとも、試験場所と待機場所との間の往復に要する時間Z1+蓄電池交換作業に必要な時間Z2であり、好ましくは、余裕を見て、時間Z1+時間Z2+時間αに設定することが好ましい。また、当該想定時間Zは、実施形態3で説明した時間設定手段により設定すればよい。
実施形態4によれば、試験管理者が試験場所から待機場所に到達する前に、上述した所要時間D>蓄電池使用可能残り時間Bとなってしまうことを防止でき、蓄電池の電圧が所定値以下となって試験が終了してしまうという事態を確実に防止できるようになる。
【0041】
実施形態5
実施形態3において、試験管理者が二人以上いて、少なくとも一人以上の試験管理者P1が待機場所にいて、少なくとも一人以上の別の試験管理者P2が試験場所において試験開始作業を行う場合に、別の試験管理者P2が、試験開始前に、蓄電池状態予測手段9Aを起動させたり、あるいは、電圧計測器で測定した蓄電池の電圧値等に基づいて、予想される蓄電池使用可能残り時間Bを知ることにより、所要時間D<蓄電池使用可能残り時間Bであることを、待機場所に居る試験管理者P1に知らせるようにしてもよい。
このようにすれば、待機場所に居る試験管理者P1は、試験管理者P2から送信されてきた所要時間D<蓄電池使用可能残り時間Bであることを示す情報を確認した後、透水試験装置から試験開始後に蓄電池交換要求が送信されてきた場合に試験場所に向かうようにすることによって、試験管理者P1が試験場所に到着する間に、蓄電池の電圧が所定値以下となって試験が終了してしまうという事態を防止できるようになる。
【符号の説明】
【0042】
1 測定手段、2 制御手段、3 電源(蓄電池)、4 測定制御手段、
5 記録手段、6 透水係数算出手段、7 試験完了予測手段、8 送信手段、
9A 蓄電池状態予測手段、9B 蓄電池交換要求手段(情報出力手段)。