(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】通信システム
(51)【国際特許分類】
H04L 67/00 20220101AFI20240717BHJP
G08B 27/00 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
H04L67/00
G08B27/00 C
(21)【出願番号】P 2021139861
(22)【出願日】2021-08-30
【審査請求日】2023-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】外岡 直樹
【審査官】吉田 歩
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-174860(JP,A)
【文献】特許第6412622(JP,B1)
【文献】特開2014-170134(JP,A)
【文献】特開2014-229273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/00
G08B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された登録番号に基づいて、記憶部に記憶された文字情報の中から配信用の文字情報を読み出し、前記配信用の文字情報を特定の配信先に配信する配信サーバを備えた通信システムであって、
J-ALERTの緊急情報を受信して、前記緊急情報に基づいて文字データを生成する緊急情報受信機を備え、
前記配信サーバが、前記緊急情報受信機から取得した文字データに特定の登録番号を付して前記記憶部に記憶すると共に、前記特定の登録番号を出力する緊急情報取得部と、
前記緊急情報取得部から出力された登録番号に基づいて前記文字データを前記記憶部から読み出して、配信用の文字情報として出力する情報配信部とを有することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記緊急情報受信機に緊急情報が入力されると、前記緊急情報受信機が、ソケット通信を用いて配信サーバに前記緊急情報を送信すると共に、前記緊急情報に基づいて文字データを生成し、前記緊急情報と前記文字データを特定のインデックス情報に対応付けて記憶しておき、
前記配信サーバの前記緊急情報取得部が、前記緊急情報を受信すると、前記緊急情報受信機に前記緊急情報に対応するインデックス情報を要求して取得し、前記取得したインデックス情報に基づいて対応する文字データを取得し、前記文字データに登録番号を付して記憶部に記憶することを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記配信サーバが、取得した前記緊急情報を解析して、前記緊急情報に関連する監視カメラを特定し、前記監視カメラで撮影される画像にアクセスするURLの情報を配信用の文字情報に付して配信することを特徴とする請求項1又は2記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防災情報等を配信する通信システムに係り、特にJ-ALERT(全国瞬時警報システム)により配信される緊急情報を文字情報として配信し、耳の不自由な人や音声が届きにくい地域の人にも確実に伝達することができる通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[先行技術の説明:
図4]
防災情報を配信する通信システムには、災害に関する情報を文字情報として配信する情報配信サーバを備えたテキスト配信システムがある。情報配信サーバは、予めデータベースに登録してある配信内容を各種SNS(Social Networking Service)や、メールサービス等の文字情報を表示するメディア(以降、連携先)にテキスト配信する。
また、テキスト配信システムとは別に、J-ALERTの緊急情報を音声配信する音声配信システムがある。
【0003】
従来の通信システムについて
図4を用いて説明する。
図4は、従来の通信システムの概略説明図である。
図4に示すように、従来の通信システムは、上述したように2系統に分かれており、上段がテキスト配信システム、下段が音声配信システムである。
【0004】
テキスト配信システムは、操作端末2と、情報配信サーバ10とを備え、複数の連携先3にテキスト情報の配信内容を配信するものである。
操作端末2は、情報配信サーバ10に各種指示を入力する。
情報配信サーバ1は、予め各種の配信情報を記憶しており、操作端末2からの指示に基づいて、適切な配信情報を読み出し、各連携先3に配信する。
連携先3としては、各種SNS、CATVテロップ、防災情報システム、メールFAX等がある。
【0005】
また、音声配信システムは、J-ALERT受信機200と、自動起動機21と、操作卓22と、無線送受信装置23と、屋外子局24と、戸別受信機25とを備えている。
J-ALERT受信機200は、市町村の庁舎等に設けられ、消防庁から送信される緊急情報を受信して出力する。緊急情報としては、例えば津波警報や各種気象警報がある。
【0006】
自動起動機21は、J-ALERT受信機200から緊急情報が入力されると、当該緊急情報を解析して、その内容に基づいて、予め作成され記憶されている音声信号の中から適切なものを選択して、操作卓22へ出力する。
【0007】
操作卓22は、自動起動機21からの音声信号や、備え付けのマイクから入力された音声信号を音声データとして出力する。
無線送受信装置23は、受信した音声データを、電波として屋外子局24や戸別受信機25に無線又は有線で送信する。
屋外子局24及び戸別受信機25は、音声データを受信すると、音声として出力する。
【0008】
[従来の情報配信サーバの構成:
図5]
次に、従来の情報配信サーバ1の構成について
図5を用いて説明する。
図5は、従来の情報配信サーバの構成ブロック図である。
図5に示すように、従来の情報配信サーバ1は、画面部11と、情報配信部12と、データベース13と、情報出力部14と、複数の連携先接続部15とを備えている。
画面部11は、操作端末2から入力された操作指示から登録番号を取得して、当該登録番号を出力する。
データベース13は、登録番号に対応付けてテキスト配信用の文字情報を記憶している。
【0009】
情報配信部12は、画面部11からの登録番号を入力して、当該登録番号をキーとしてデータベース13を検索し、配信用の文字情報を取得して配信内容として出力する。
情報出力部14は、情報配信部から出力される配信用の文字情報を複数の連携先接続部15に出力する。
連携先接続部15は、連携先のテキストメディア毎に設けられ、対応する連携先に文字情報の配信内容を出力する。
図5の例では、SNS-a接続部、SNS-b接続部、CATVテロップ接続部、防災情報システム接続部、メールFAX接続部が設けられているが、サーバの処理能力の範囲であれば、より多くの連携先接続部15を設けることが可能である。
【0010】
このように、従来の通信システムでは、文字情報を配信するテキスト配信システムと、J-ALERTの緊急情報を音声で配信する音声配信システムは、それぞれ独立しており、J-ALERTの緊急情報を文字情報として配信することはできなかった。
【0011】
[関連技術]
尚、防災情報の通信システムに関する従来技術としては、特開2017-17578号公報「防災無線システム」(特許文献1)、特開2013-106087号公報「無線通信システム」(特許文献2)がある。
【0012】
特許文献1には、屋外子局のスピーカ設置後に、親局からの角度変更指示情報に基づいて子局のスピーカの向きを変更して、拡声放送エリアを容易に変更できることが記載されている。
また、特許文献2には、統制局が、外部システムから入力された音声中のサイレン部分を不送信又は予め用意したサイレン音に置き換えて子局に送信することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特開2017-17578号公報
【文献】特開2013-106087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述したように、従来の通信システムでは、J-ALERTの緊急情報を文字情報として配信することはできないため、耳が不自由な人や音声の届きにくい場所にいる人に対して十分に情報を伝達できないという問題点があった。
【0015】
尚、特許文献1及び特許文献2には、J-ALERTの緊急情報を文字情報として配信する構成は記載されていない。
【0016】
本発明は上記実状に鑑みて為されたもので、J-ALERTの緊急情報を文字情報として配信し、耳が不自由な人や音声の届きにくい場所にいる人に対しても確実に情報を伝達することができる通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、入力された登録番号に基づいて、記憶部に記憶された文字情報の中から配信用の文字情報を読み出し、配信用の文字情報を特定の配信先に配信する配信サーバを備えた通信システムであって、J-ALERTの緊急情報を受信して、緊急情報に基づいて文字データを生成する緊急情報受信機を備え、配信サーバが、緊急情報受信機から取得した文字データに特定の登録番号を付して記憶部に記憶すると共に、特定の登録番号を出力する緊急情報取得部と、緊急情報取得部から出力された登録番号に基づいて文字データを前記記憶部から読み出して、配信用の文字情報として出力する情報配信部とを有することを特徴としている。
【0018】
また、本発明は、上記通信システムにおいて、緊急情報受信機に緊急情報が入力されると、緊急情報受信機が、ソケット通信を用いて配信サーバに緊急情報を送信すると共に、緊急情報に基づいて文字データを生成し、緊急情報と文字データを特定のインデックス情報に対応付けて記憶しておき、配信サーバの緊急情報取得部が、緊急情報を受信すると、緊急情報受信機に緊急情報に対応するインデックス情報を要求して取得し、取得したインデックス情報に基づいて対応する文字データを取得し、文字データに登録番号を付して記憶部に記憶することを特徴としている。
【0019】
また、本発明は、上記通信システムにおいて、配信サーバが、取得した緊急情報を解析して、前記緊急情報に関連する監視カメラを特定し、前記監視カメラで撮影される画像にアクセスするURLの情報を配信用の文字情報に付して配信することを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、入力された登録番号に基づいて、記憶部に記憶された文字情報の中から配信用の文字情報を読み出し、配信用の文字情報を特定の配信先に配信する配信サーバを備えた通信システムであって、J-ALERTの緊急情報を受信して、緊急情報に基づいて文字データを生成する緊急情報受信機を備え、配信サーバが、緊急情報受信機から取得した文字データに特定の登録番号を付して記憶部に記憶すると共に、特定の登録番号を出力する緊急情報取得部と、緊急情報取得部から出力された登録番号に基づいて文字データを前記記憶部から読み出して、配信用の文字情報として出力する情報配信部とを有する通信システムとしているので、J-ALRERTの緊急情報を文字情報として各種SNS等に配信でき、耳の不自由な人や、音声が届きにくい地域の人にもJ-ALERTの緊急情報を確実に伝達することができる効果がある。
【0021】
また、本発明によれば、緊急情報受信機に緊急情報が入力されると、緊急情報受信機が、ソケット通信を用いて配信サーバに緊急情報を送信すると共に、緊急情報に基づいて文字データを生成し、緊急情報と文字データを特定のインデックス情報に対応付けて記憶しておき、配信サーバの緊急情報取得部が、緊急情報を受信すると、緊急情報受信機に緊急情報に対応するインデックス情報を要求して取得し、取得したインデックス情報に基づいて対応する文字データを取得し、文字データに登録番号を付して記憶部に記憶する上記通信システムとしているので、緊急情報を配信サーバに送信する際の即時性を確保することができる効果がある。
【0022】
また、本発明によれば、配信サーバが、取得した緊急情報を解析して、前記緊急情報に関連する監視カメラを特定し、前記監視カメラで撮影される画像にアクセスするURLの情報を配信用の文字情報に付して配信する上記通信システムとしているので、受信者は、緊急情報に関連する画像を閲覧でき、より正確かつ詳細な情報を提供して利便性を向上させることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図3】本通信システムにおけるシーケンスを示す説明図である。
【
図5】従来の情報配信サーバの構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る通信システム(本通信システム)は、入力された登録番号に基づいて、記憶部に記憶された文字情報の中から配信用の文字情報を読み出して特定の配信先に配信する配信サーバを備えた通信システムであって、J-ALERTの緊急情報を受信して、当該緊急情報に基づいて文字データを生成する緊急情報受信機を備え、配信サーバにおいて、緊急情報取得部が、緊急情報受信機から取得した文字データに特定の登録番号を付して記憶部に記憶すると共に、当該特定の登録番号を出力し、情報配信部が、緊急情報取得部から出力された登録番号に基づいて文字データを記憶部から読み出して、配信用の文字情報として出力するものであり、J-ALERTの緊急情報を文字で配信でき、耳の不自由な人や、音声が届きにくい地域の人にもJ-ALERTの緊急情報を確実に伝達することができるものである。
【0025】
[実施の形態に係る通信システムの構成:
図1]
本通信システムの構成について
図1を用いて説明する。
図1は、本通信システムの概略説明図である。
図1に示すように、本通信システムは、従来と同様に、上段に示したテキスト配信システムと下段に示した音声配信システムとを備えている。
図1において、テキスト配信システムの操作端末2と、連携先3、音声配信システムの自動起動機21、操作卓22、無線送受信装置23、屋外子局24、戸別受信機25は従来と構成及び動作が同じであり、説明は省略する。
【0026】
つまり、本通信システムにおいて、J-ALERT受信機20で受信した緊急情報に基づく音声信号や、操作卓22から入力された音声信号を屋外子局24や個別受信機25に配信して、音声を出力する音声配信システムの動作は従来と同様である。
【0027】
そして、本通信システムでは、J-ALERT受信機20と、情報配信サーバ10の構成及び動作が従来とは一部異なっている。
具体的には、J-ALERT受信機20からの緊急情報が情報配信サーバ10にも入力され、情報配信サーバ10は、J-ALERTの緊急情報を文字情報として配信するようになっている。詳細な動作については後述する。
【0028】
[J-ALERT受信機20]
本通信システムの特徴部分の一つであるJ-ALERT受信機20は、消防庁から送信される緊急情報を受信して、自動起動機21だけでなく情報配信サーバ10にも出力する。
J-ALERT受信機20には、外部装置用のインタフェースが2つ設けられており、一方は自動起動機21に接続し、他方は情報配信サーバ10に接続する。これらのインタフェースは、後述するソケットインタフェースである。
【0029】
更に、本通信システムのJ-ALERT受信機20は、緊急情報に基づいて、その内容を表す文字データ(テキスト化ファイル)を生成して、後述するインデックス情報に対応付けて記憶しておく。
そして、J-ALERT受信機20は、情報配信サーバ10からインデックス情報を付した要求があると、当該要求に基づいて対応する文字データを読み出して情報配信サーバ10に送出する。
J-ALERT受信機20は、請求項に記載した緊急情報受信機に相当している。また、J-ALERT受信機20の動作については、後述する。
【0030】
[情報配信サーバ10の構成:
図2]
次に、本無線システムの情報配信サーバ(本情報配信サーバ)10の構成について
図2を用いて説明する。
図2は、本情報配信サーバの構成ブロック図である。
図2において、
図5と同様の構成部分については同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
図2に示すように、本情報配信サーバ10の基本的な構成は、
図5に示した従来の情報配信サーバ1と同様であるが、新たな構成としてJ-ALERT取得部30が設けられている。更に、データベース130と、情報配信部40の動作が従来とは一部異なっている。
【0031】
尚、本情報配信サーバ10において、画面部11が操作端末2から入力された操作指示に基づいて登録番号を特定し、情報配信部12がデータベース130から当該登録番号に対応する文字情報を読み出して情報出力部14に出力し、各連携先接続部15を介して複数の連携先3に文字情報を配信する動作は従来と同様である。
ここで、登録番号とは、例えば防災無線システムにおける地域毎に割り振られた独自の番号であり、登録番号に基づいて配信先が決定され、さらに各情報を配信する優先度や配信有無などと紐付けられている。
【0032】
また、本情報配信サーバ10は基本的に制御部と記憶部とを備えた処理装置であり、制御部が、記憶部に記憶されたプログラムを起動することにより、本情報配信サーバ10の機能を実現する。本情報配信サーバの各部は、マイクロサービスで構成されており、それぞれのサービスが連携して動作する。
【0033】
本情報配信サーバ10の特徴部分について説明する。
[J-ALERT取得部30]
J-ALERT取得部30は、J-ALERT受信機20に接続して、J-ALERT受信機20から緊急情報を受信し、当該緊急情報に基づいて、後述するインデックス情報及び文字データを取得する。この動作については
図3を用いて詳述する。
【0034】
更に、J-ALERT取得部30は、J-ALERT受信機20から文字データを取得すると、当該文字データに特定の登録番号を付してデータベース130に格納し、当該登録番号を、情報配信部40に出力する。
尚、
図2では、データベース130が文字データに対応する登録番号を付して、J-ALERT取得部30が当該登録番号を受け取って出力するように記載しており、そのように構成してもよい。
J-ALERT取得部30は、請求項に記載した緊急情報取得部に相当している。
【0035】
[データベース130]
データベース130は、従来と同様に、予め作成された文字情報を登録番号に対応付けて記憶しているが、それに加えて、J-ALERT取得部30から文字データと特定の登録番号が入力された場合には、当該文字データを特定の登録番号に対応付けて記憶する。
あるいは、J-ALERT取得部30から文字データが入力されると、データベース130が特定の登録番号に対応付けて記憶すると共に、当該特定の登録番号をJ-ALERT取得部30に出力する構成としてもよい。
【0036】
ここで、特定の登録番号は、予め設定された1つの番号としておき、対応する文字データを順次上書きするようにしてもよいし、設定された番号から順にインクリメントして特定の登録番号とし、文字データを各登録番号に対応付けて記憶するようにしてもよい。
【0037】
[情報配信部40]
情報配信部40は、登録番号が入力されると、データベース130を検索して、対応する文字データを配信用の文字情報として読み出し、情報出力部14に出力する。
すなわち、情報配信部40は、従来と同様に、入力された登録番号を用いてデータベース130から配信用の文字情報を読み出すものであるが、本通信システムでは、登録番号が、操作端末2だけでなく、J-ALERT取得部30からも入力されるようになっている。
【0038】
そして、情報出力部14に出力された文字情報は、複数の連携先接続部15に分配されて、各連携先3に配信される。
このように、本通信システムでは、従来の通信システムの基本的な構成を活用して、大幅に変更することなく、文字情報によるJ-ALERTの緊急情報を多くの連携先3に配信可能とするものである。
【0039】
[本通信システムにおけるシーケンス:
図3]
次に、本通信システムにおけるシーケンスについて
図3を用いて説明する。
図3は、本通信システムにおけるシーケンスを示す説明図である。
図3に示すように、J-ALERT受信機20は、ファイルインタフェース51と、ソケットインタフェース52の2種類のインタフェースを備えている。
【0040】
そして、J-ALERT受信機20は、ファイルインタフェース51及びソケットインタフェース52を介して緊急情報を受信すると(S10)、ソケットインタフェース52を介して当該緊急情報を情報配信サーバ10に転送する(S11)。
ソケットインタフェース52は、TCP(Transmission Control Protocol)プロトコルを用いており、即時性を確保するものである。
【0041】
また、J-ALERT受信機20は、受信した緊急情報に基づいて、ファイルインタフェース51を用いて緊急情報の内容をテキスト化した緊急情報ファイル54を生成して記憶すると共に、緊急情報ファイル54の情報を1レコードとするインデックス情報(インデックスファイル)53を生成して記憶する。各インデックス情報53は、緊急情報ファイル54に対応しており、リストとして記憶される。
【0042】
そして、情報配信サーバ10のJ-ALERT取得部30は、メインスレッド(メイン処理)61で緊急情報の受信を検出すると、J-ALERT受信機20に対してインデックス情報53の取得要求を送出し(S12)、J-ALERT受信機20から返送されたインデックス情報を受信する(S13)。
J-ALERT取得部30のメインスレッド61は、当該インデックス情報に基づいて配信対象検索の処理に移行して(S14)、配信スレッド(配信処理)62を起動する(S16)。
【0043】
J-ALERT取得部30の配信スレッド62は、起動すると、J-ALERT受信機20に対して、インデックス情報53を付して緊急情報ファイル54の取得要求を送信する(S16)。
【0044】
そして、J-ALERT受信機20から、当該インデックス情報53に対応する緊急情報ファイル54が返送される(S17)と、これを受信して、文字データを配信内容として取得する(S18)。
本通信システムでは、緊急情報ファイルの内容をそのまま配信内容とすることで、データの整形が不要となり、情報配信サーバ10における処理量を抑え、迅速な配信を可能とするものである。
【0045】
そして、J-ALERT取得部30の配信スレッド62は、配信内容の文字データに特定の登録番号を付してデータベース130に登録し(S19)、当該特定の登録番号を付した配信指示を情報配信部40に出力する(S20)。
これにより、情報配信部40は、従来と同様に入力された登録番号を用いてデータベース130から配信用の文字情報を読み出して、配信出力部14に送出する。
このようにして、本通信システムにおけるシーケンスが行われるものである。
【0046】
[応用例]
次に、本通信システムの応用例について説明する。
応用例では、J-ALERTの緊急情報を文字で配信するだけでなく、各種監視カメラシステムと連携させて、緊急情報に関連する画像にアクセスするためのURL(Uniform Resource Locator)を付して配信する。
【0047】
応用例では、予め操作端末2からキーワードと監視カメラシステムの画像にアクセスするためのURLとを対応付けて登録し、データベース130に記憶しておく。
キーワードは、監視カメラが設けられている地点名や河川名等であり、例えば、「〇〇川××橋」等である。
【0048】
そして、J-ALRERTの緊急情報が入力されると、J-ALERT取得部30が、
図3に示した文字情報を配信するための処理を行うと共に、緊急情報の内容を解析してキーワードを検出し、データベース130から当該キーワードに対応する画像のURL情報を読み出す。
そして、J-ALERT取得部30は、J-ALERT受信機20から取得した文字情報に当該URL情報を付して、情報配信部40に出力する。
【0049】
例えば、J-ALERTの緊急情報として「〇〇川××橋付近で氾濫発生」といった内容の情報が入力された場合には、J-ALERT取得部30は、「〇〇川××橋」をキーワードとして検出し、予めデータベース130に登録されている当該キーワードに対応する画像情報のURLを付して配信する。
【0050】
これにより、連携先3では、文字情報だけでなく、「〇〇川××橋」に設けられた河川監視カメラのリアルタイム画像を閲覧して状況を把握でき、より正確かつ詳細な情報を提供して利便性を向上させるものである。
更に、まず文字情報のみの緊急情報を配信して、その後で関連する画像情報を配信するなど、情報の優先度に応じて配信内容や配信方法を適宜変更することも可能である。
【0051】
本システムは、既存のシステムの構成を大幅に変更することなく、新たな機能を追加することで実現できるため、製造コストを抑えることができる効果がある。
但し、情報配信サーバ10において、画面部3、J-ALERT取得部30、情報配信部40を一体化した処理部を設けて、登録番号をキーとせず、テキストデータ中心の処理を行うものとしてもよい。
すなわち、当該処理部が、操作端末2やJ-ALRERT受信機20から入力されるテキストデータに対応する文字情報をデータベース130から読み出すようにしてもよい。
【0052】
[実施の形態の効果]
本通信システムによれば、入力された登録番号に基づいて、予め記憶された文字情報の中から配信用の文字情報を読み出して特定の配信先に配信する情報配信サーバ10を備えた通信システムであって、J-ALERTの緊急情報を受信して、当該緊急情報に基づいて文字データを生成するJ-ALERT受信機20を備え、情報配信サーバ10において、J-ALERT取得部30が、J-ALERT受信機20から取得した文字データに特定の登録番号を付してデータベース130に記憶すると共に、当該特定の登録番号を出力し、情報配信部40が、J-ALERT取得部30から出力された登録番号に基づいて文字データをデータベース130から読み出して、配信用の文字情報として出力する通信システムとしているので、J-ALERTの緊急情報を文字で配信でき、耳の不自由な人や、音声が届きにくい地域の人にもJ-ALERTの緊急情報を確実に伝達することができる効果がある。
【0053】
また、本通信システムでは、J-ALERT受信機20から情報配信サーバ10に緊急情報を転送する際に、ソケット通信を用いるようにしているので、緊急情報を迅速に転送することができる効果がある。
【0054】
更に、本通信システムの応用例によれば、J-ALERT取得部30が、J-ALERT受信機20から取得した緊急情報を解析して、キーワードを検出し予め設定されたキーワードに対応する監視カメラシステムの撮影カメラを特定し、そのカメラで撮影される画像にアクセスするためのURLを配信用の文字情報に付加して配信するようにしているので、より正確で詳細な情報を伝達でき、利便性を向上させることができる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、J-ALERTにより配信される緊急情報を文字情報として配信し、耳の不自由な人や音声が届きにくい地域の人にも確実に伝達することができる通信システムに適している。
【符号の説明】
【0056】
1,10…情報配信サーバ、 2…操作端末、 3…連携先、 11…画面部、 12,40…情報配信部、 13,130…データベース、 14…情報出力部、 15…連携先接続部、 20,200…J-ALERT受信機、 21…自動起動機、 22…操作卓、 23…無線送受信装置、 24…屋外子局、 25…戸別受信機、 30…J-ALERT取得部、 51…ファイルインタフェース、 52…ソケットインタフェース、53…インデックス情報、 54緊急情報ファイル、 61…メインスレッド、 62…配信スレッド