IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ピクセレックス システムズ インコーポレイテッドの特許一覧

特許7522111ミーフォトセンサーを使用した高い情報を含む撮像
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】ミーフォトセンサーを使用した高い情報を含む撮像
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/10 20060101AFI20240717BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20240717BHJP
   H01L 27/144 20060101ALI20240717BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
H01L31/10 A
H01L27/146 A
H01L27/144 K
G01J1/02 Q
G01J1/02 R
G01J1/02 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021533375
(86)(22)【出願日】2019-08-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 US2019047285
(87)【国際公開番号】W WO2020041327
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-06-28
(31)【優先権主張番号】62/720,002
(32)【優先日】2018-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521077222
【氏名又は名称】ピクセレックス システムズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケネス フォーブス ブラッドレイ
(72)【発明者】
【氏名】マルコ ナルドーネ
(72)【発明者】
【氏名】レニー キャスリン カーダー
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-055983(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0284723(US,A1)
【文献】M. Garin et al.,"All-silicon spherical-Mie-resonator photodiode with spectral response in the infrared region",NATURE COMMUNICATIONS,2014年,Vol.5, Article Number 3440,pp.1-6
【文献】Isabelle Staude et al.,"Metamaterial-inspired silicon nanophotonics", NATURE PHOTONICS,2017年,Vol.11,pp. 274-284
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/08-31/119
H01L 27/14-27/148
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミーフォトセンサーであって、
第1の屈折率を有し、及び半導体シリコンメサを含む材料層であって、前記半導体シリコンメサが電磁摂動に応答して自由キャリアを生成するように構成される、材料層と、
前記材料層を取り囲み、複素屈折率を有する屈折媒体であって、前記屈折媒体及び前記半導体シリコンメサは、(i)界面に渡って不連続な屈折率を有する前記界面を形成し、前記屈折媒体と前記半導体シリコンメサまたは前記半導体シリコンメサの一部とは、(ii)散乱中心における電磁摂動の光吸収およびミー共鳴を介して自由キャリアを生成するように構成された電磁散乱中心を形成する、屈折媒体と、
前記半導体シリコンメサに結合され、前記電磁摂動に応答して散乱中心内に生成された自由キャリアを検出するように構成された1つまたは複数の電気的なコンタクトと、
を備え、
前記1つまたは複数の前記電気的なコンタクトの第1のコンタクトが、前記半導体シリコンメサとオーミックコンタクトを形成し、前記1つまたは複数の前記電気的なコンタクトの第2のコンタクトが、前記半導体シリコンメサとショットキー障壁を形成する、
ーフォトセンサー。
【請求項2】
ミーフォトセンサーであって、
第1の屈折率を有し、及び半導体シリコンメサを含む材料層であって、前記半導体シリコンメサが電磁摂動に応答して自由キャリアを生成するように構成される、材料層と、
前記材料層を取り囲み、複素屈折率を有する屈折媒体であって、前記屈折媒体及び前記半導体シリコンメサは、(i)界面に渡って不連続な屈折率を有する前記界面を形成し、前記屈折媒体と前記半導体シリコンメサまたは前記半導体シリコンメサの一部とは、(ii)散乱中心における電磁摂動の光吸収およびミー共鳴を介して自由キャリアを生成するように構成された電磁散乱中心を形成する、屈折媒体と、
前記半導体シリコンメサに結合され、前記電磁摂動に応答して散乱中心内に生成された自由キャリアを検出するように構成された1つまたは複数の電気的なコンタクトと、
を備え、
前記1つまたは複数の前記電気的なコンタクトの第1のコンタクトが、前記半導体シリコンメサとオーミックコンタクトを形成し、前記1つまたは複数の前記電気的なコンタクトの第2のコンタクトが、前記半導体シリコンメサとp-n接合を形成する、
ーフォトセンサー。
【請求項3】
ミーフォトセンサーであって、
第1の屈折率を有し、及び半導体シリコンメサを含む材料層であって、前記半導体シリコンメサが電磁摂動に応答して自由キャリアを生成するように構成される、材料層と、
前記材料層を取り囲み、複素屈折率を有する屈折媒体であって、前記屈折媒体及び前記半導体シリコンメサは、(i)界面に渡って不連続な屈折率を有する前記界面を形成し、前記屈折媒体と前記半導体シリコンメサまたは前記半導体シリコンメサの一部とは、(ii)散乱中心における電磁摂動の光吸収およびミー共鳴を介して自由キャリアを生成するように構成された電磁散乱中心を形成する、屈折媒体と、
前記半導体シリコンメサに結合され、前記電磁摂動に応答して散乱中心内に生成された自由キャリアを検出するように構成された1つまたは複数の電気的なコンタクトと、
を備え、
前記1つまたは複数の前記電気的なコンタクトの第1のコンタクト及び第2のコンタクトが、前記半導体シリコンメサとオーミックコンタクトを形成する、
ーフォトセンサー。
【請求項4】
ミーフォトセンサーであって、
第1の屈折率を有し、及び半導体シリコンメサを含む材料層であって、前記半導体シリコンメサが電磁摂動に応答して自由キャリアを生成するように構成される、材料層と、
前記材料層を取り囲み、複素屈折率を有する屈折媒体であって、前記屈折媒体及び前記半導体シリコンメサは、(i)界面に渡って不連続な屈折率を有する前記界面を形成し、前記屈折媒体と前記半導体シリコンメサまたは前記半導体シリコンメサの一部とは、(ii)散乱中心における電磁摂動の光吸収およびミー共鳴を介して自由キャリアを生成するように構成された電磁散乱中心を形成する、屈折媒体と、
前記半導体シリコンメサに結合され、前記電磁摂動に応答して散乱中心内に生成された自由キャリアを検出するように構成された1つまたは複数の電気的なコンタクトと、
を備え、
前記1つまたは複数の前記電気的なコンタクトの第1のコンタクト及び第2のコンタクトが、前記半導体シリコンメサとオーミックコンタクトを形成し、前記ミーフォトセンサーは、前記屈折媒体と前記半導体シリコンメサとの境界におけるp-n接合を含む、
ーフォトセンサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に光検出デバイスに関し、より詳細には、画像を生成するための光検出デバイスのアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、この参照によりその全体が組み込まれる、2018年8月20日に出願された米国特許仮出願第62/720,002号明細書の利益を主張する。
【0003】
政府の権利の説明文
本発明は、米国国立科学財団によって認定された連邦認定識別番号1660145の下の政府支援を受けて行われた。連邦政府は本発明において一定の権利を有する。
【0004】
従来のフォトセンサーは、入射光と相互作用するセンサー要素が光の波長よりもはるかに大きいサイズスケールで動作する。たとえば、従来のフォトセンサーは、可視波長における光を検出するためにサイズがミクロン程度である。これらのサイズでは、スネルの屈折の法則が成立し、フォトセンサー上の入射光の吸収はランベルトベールの法則に従う。多くの人が、物理的サイズを最小限に抑えるようにフォトセンサーを設計することを試みているが、得られるセンサーは多くの欠点をしばしば有する。たとえば、縮小化されたフォトセンサーを用いて画像を生成したとき、信号対ノイズ比、ダイナミックレンジ、被写界深度、および焦点深度がすべて劣化する。したがって、高品質の画像を生成することが可能である縮小化されたフォトセンサーが有益であろう。
【発明の概要】
【0005】
ミーフォトセンサーについて説明する。ミーフォトセンサーは、本明細書で説明されるようにミー散乱を活用して、従来のフォトセンサー技術に対して改善されたフォト電流を生成する。ミーフォトセンサーは、半導体または絶縁体などの材料の基板(すなわち、材料層)を備える。材料層は、第1の屈折率を有し、半導体材料のメサを備える。メサは、電磁摂動(たとえば、入射光、X線など)に応答して半導体材料内に自由キャリアを生成するように構成される。
【0006】
ミーフォトセンサーは、また、材料層を囲む屈折性媒体を備える。屈折性媒体は複素屈折率を有し得る。屈折性媒体は、メサに当接し、界面にわたって不連続である屈折率をもつ界面を形成する。さらに、屈折性媒体は、散乱中心における電磁摂動の光吸収およびミー共鳴を介して自由キャリアを生成するように構成された電磁散乱中心(たとえば、メサ、またはメサの何らかの部分)を画定する。
【0007】
例示的な実施形態では、ミーフォトセンサーの屈折プロファイルは、材料層が第1の屈折率を有し、半導体材料のメサが第2の屈折率を有し、屈折性媒体が第3の屈折率を有する、というように説明される。屈折性媒体の屈折率は、概して複素屈折率であり、メサと屈折性材料との間の境界にわたって不連続であり得る。例では、第3の屈折率は、第1の屈折率および第2の屈折率よりも小さい。別の例では、第1の屈折率は第2の屈折率と同じである。
【0008】
例示的な実施形態では、半導体層のメサは、屈折性媒体に当接する境界のセットを有する幾何学的形状(たとえば、矩形プリズム、立方体など)を形成する。したがって、電磁散乱中心は、形状の境界において、または形状の境界内に形成され、したがって、電磁散乱中心は、メサの半導体材料の何らかの部分(またはすべて)を備える。
【0009】
例示的な実施形態では、材料層はシリコンを備え、メサは不純物が注入されたシリコンを備える。別の例示的な実施形態では、材料層は二酸化シリコンを備え、メサはシリコンを備える。他の例示的な実施形態も可能である。
【0010】
散乱中心の様々な物理的特性は、散乱中心の材料によってどの電磁摂動が吸収され、それにより、自由キャリアを生成するかに影響を及ぼす。たとえば、メサの寸法は、散乱中心によって吸収され得る電磁摂動の波長および偏光に影響を及ぼし得る。
【0011】
ミーフォトセンサーはまた、メサに結合され、電磁摂動に応答して散乱中心内に生成された自由キャリアを検出するように構成された、1つまたは複数の電気的コンタクトを備える。コンタクト可能な構成としては、いくつかの例がある。第1の例では、電気的コンタクトの第1のコンタクトは、メサとともにオーミックコンタクトを形成し、第2のコンタクトは、メサとともにショットキー障壁を形成する。第2の例では、第1のコンタクトは、メサとともにオーミックコンタクトを形成し、第2のコンタクトは、メサとともにpn接合を形成する。第3の例では、第1のコンタクトおよび第2のコンタクトは、半導体材料のメサとともにオーミックコンタクトを形成する。この場合、ミーフォトセンサーは、屈折性材料と半導体材料のメサとの間の境界においてpn接合を含む。
【0012】
ミーフォトセンサーは、共鳴方式で動作し、共鳴は、本明細書で説明されるファクタのいずれかに基づく。たとえば、電磁散乱中心は、共鳴レベルにおける電磁摂動の特定の波長を吸収し、共鳴レベルに対応する自由キャリアの第1の量を生成する。さらに、電磁散乱中心は、非共鳴レベルにおける電磁摂動の異なる波長を吸収し、非共鳴レベルに対応する自由キャリアの第2の量を生成する。この状況では、自由電子の第1の量は、自由電子の第2の量よりも多い。
【0013】
さらに、ミーフォトセンサーは、本明細書で説明されるように散乱中心においてキャリア生成を局在化するように構成される。すなわち、電磁散乱中心における電磁摂動の吸収は、半導体層と屈折性媒体の両方における電磁摂動の吸収よりも高い。たとえば、電磁散乱中心における電磁摂動の吸収によって生成される自由キャリアの第1の量は、半導体層における電磁摂動によって生成されるキャリアの第2の量よりも大きい。
【0014】
さらに、ミーフォトセンサーは、ピクセルを作成するために様々な電子機器の制御装置に接続されることが可能である。複数のピクセルを互いに接続して画像センサーを形成し得る。本明細書で説明される様々な理由により、ミーフォトセンサーを用いて作成されたピクセルを含む画像センサーは、それらの従来の相対物よりも良好に動作する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本開示の実施形態は、添付の図面と併せて解釈されたとき、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲からより容易に明らかとなる他の利点および特徴を有する。
【0016】
図1A】例示的な一実施形態による、共鳴プロットを示す図である。
図1B】例示的な一実施形態による、共鳴プロットを示す図である。
図1C】例示的な一実施形態による、共鳴プロットを示す図である。
図1D】例示的な一実施形態による、共鳴プロットを示す図である。
図1E】例示的な一実施形態による、共鳴プロットを示す図である。
図1F】例示的な一実施形態による、共鳴プロットを示す図である。
図1G】例示的な一実施形態による、共鳴プロットを示す図である。
図1H】例示的な一実施形態による、共鳴プロットを示す図である。
図2】例示的な一実施形態による、直線ミーフォトセンサーの吸収電力プロットを示す図である。
図3A】例示的な一実施形態による、ミーフォトセンサーの上面図である。
図3B】例示的な一実施形態による、ミーフォトセンサーの側面図である。
図4】例示的な一実施形態による、ミーフォトセンサーの電圧応答プロットを示す図である。
図5】例示的な一実施形態による、例示的な一実施形態による、電圧マルチ応答プロットを示す図である。
図6】例示的な一実施形態による、例示的な一実施形態による、ミーフォトセンサーの断面界プロット600を示す図である。
図7】例示的な一実施形態による、例示的な一実施形態による、ミーフォトセンサーを示す図である。
図8】例示的な一実施形態による、例示的な一実施形態による、ミーフォトセンサーの断面界プロットを示す図である。
図9】例示的な一実施形態による、例示的な一実施形態による、電圧マルチ応答プロットを示す図である。
図10A】例示的な一実施形態による、ミーフォトセンサーの構成を示す図である。
図10B】例示的な一実施形態による、ミーフォトセンサーの構成を示す図である。
図10C】例示的な一実施形態による、ミーフォトセンサーの構成を示す図である。
図11A】例示的な一実施形態による、1つまたは複数のミーフォトセンサーを含む画像センサー中のピクセルのための構成を示す図である。
図11B】例示的な一実施形態による、1つまたは複数のミーフォトセンサーを含む画像センサー中のピクセルのための構成を示す図である。
図11C】例示的な一実施形態による、1つまたは複数のミーフォトセンサーを含む画像センサー中のピクセルのための構成を示す図である。
図11D】例示的な一実施形態による、1つまたは複数のミーフォトセンサーを含む画像センサー中のピクセルのための構成を示す図である。
図11E】例示的な一実施形態による、1つまたは複数のミーフォトセンサーを含む画像センサー中のピクセルのための構成を示す図である。
【0017】
図は、説明のみのために様々な実施形態を示している。当業者は、以下の議論から、本明細書に示されている構造および方法の代替的実施形態が、本明細書で説明される原理から逸脱することなく採用され得ることを容易に認識されよう。
【発明を実施するための形態】
【0018】
I. 序論
フォトセンサーアレイは、いくつかのピクセルを含む表面から構成され、各ピクセルは、フォトセンサーと、各フォトセンサーと概して近似的に併設された信号収集電子回路とを備え得る。各ピクセルは、特定の波長における光子を検出し、次いで、各ピクセルにおいて検出された光子の数に関係する電荷、電圧、または抵抗を生成することによって動作する。この電荷、電圧、または抵抗は、次いで測定され、デジタル化され、光子を放出または反射したオブジェクト、シーン、または現象の画像を構築するために使用される。フォトセンサーは、また、単一の検出器としてまたは検出器のアレイとして撮像するために配備されることが可能である。
【0019】
将来のフォトセンサー技術の採用は、たとえば、i)画像品質(たとえば、解像度、微光性能、マルチスペクトラル撮像など)、ii)3次元におけるピクセルサイズ、ならびに3)デバイス機能(たとえば、高速ビデオ、画像分析、動き制御、コスト、サイズ、重量、および電力(SWaP)など)という、3つの主要なアイデアによって刺激され得る。これらのエリアの各々における革新は、あらゆるレベルにおける設計決定を含む。例示的な設計決定は、たとえば、光検出要素の構造およびデバイス物理的特性(すなわち、光子検出)、ピクセルの基本動作(すなわち、信号キャプチャ、ストレージ、および転送)ならびに撮像アレイの設計および動作(すなわち、画像読出しおよび信号処理)を含み得る。
【0020】
これらのレベルの各々において、性能を改善するためには大きな課題が残る。たとえば、課題は、デバイスのセットと、デバイス処理と、それらのデバイスから製造された(1つまたは複数の)回路との間の性能トレードオフを改善することを含み得る。さらに、課題は、設計の重点が画像データを越えて情報中心画像センサー(たとえば、計算画像センサー、スマートビジョンシステムに埋め込まれたシリコン網膜など)に進む新しい時代に画像処理が移行するにつれて、より明らかになっている。画像センサーに対する市場の推進要因は、ワイヤレスセンサーネットワーク、無人監視ネットワーク、自動車、モノのインターネットおよび他のポータブルビジョン適用例を含むビジョンシステムの大セットのための埋込みコンピュータビジョン前処理機能、改善された応答時間および最小限に抑えられたSWaPをプッシュしている。
【0021】
II. 現在のフォトセンサー技術、最適化およびトレードオフ
II.A フォトセンサーの構造およびデバイス物理的特性
可視光を撮像するために、基礎をなす光検出処理は、半導体における光吸収から始まる。この処理は、概して、スペクトルのX線、紫外線、および赤外線部分における撮像に対して同様である。吸収された光は電子正孔対を生成し、構成要素である電子と正孔は、半導体中の空乏領域において電界によって空間的に分離される。空乏領域は、半導体システムの特性を変化させること(たとえば、半導体接合)によって、または半導体金属接合を使用すること(たとえば、ショットキー接合)によって形成されることが可能である。
【0022】
従来のフォトセンサーは、物理光学素子の領域において動作し、入射光と相互作用する個々のセンサー要素は、光の波長よりもはるかに大きい。この様式では、スネルの屈折の法則が成立し、放射の吸収はランベルトベールの法則に従い、散乱は、散乱要素の投射される物理的面積に比例する。この様式のフォト検出器が有効な光吸収器として働くためには、フォトセンサーを備える半導体は、光学的に厚くなければならない。すなわち、光子が半導体の層に吸収される確率は、
1-e-αd (1)
であり、αは、入射光の波長と吸収材料の組成の両方に依存する吸収係数であり、dは、入射光の方向に沿った層厚さである。最小の層厚さの有用な推定値はα-1であり、ここでは、入射光の約60%がフォトセンサーに吸収される。
【0023】
シリコンは、可視光フォトセンサーのための、汎用性があって経済的に実行可能な半導体材料である。可視スペクトルにわたって、シリコンの吸収係数は、390nmにおける約105cm-1から700nmにおける約103cm-1まで変動する。シリコンでは、吸収係数は、入射光の約60%を吸収するために半導体厚さが約1μmでなければならないことを示す。
【0024】
約1μmの半導体厚さは、画像センサー(たとえば、サイズ、応答など)を改善するのにいくつかの問題をもたらす。1つの問題は、商業的に実現可能な半導体作製処理がフォトリソグラフィに依拠することから生じる。フォトリソグラフィは、プレーナーまたは擬似プレーナー構造に最適である。たとえば、プレーナー特徴が垂直特徴(すなわち、平面から外れる)の程度であるかまたは垂直特徴よりも大きい、ほぼプレーナーの構造(たとえば、フォトセンサー)。その結果、垂直寸法がシリコンの良好な吸収のための約1μmであるので、プレーナーフォトセンサー寸法も、概して、1μm程度である。したがって、平面における寸法はいくぶん低減されることが可能であるが、フォトセンサーサイズは、1μmを下回って実質的に低減することが困難である。厚いセンサーから生じる別の問題は、厚いセンサーが、スタックアレイの垂直層を使用する可能性を制限することである。たとえば、3つのセンサーアレイのスタックを有すると、1μmの厚さをもつ各々は、3μmのスタック高さを生じる。この場合、層のうちの1つまたは複数における光の吸収は、スタックの厚さのために低減され得る。しかしながら、1μmよりも実質的に薄いスタックアレイが実装され得る場合、様々な利益が見られるであろう。たとえば、薄い層のスタックは、層が、関連する撮像光学素子においてクロム収差を解析することを可能にするであろう。
【0025】
フォトセンサーは、より高い吸収係数をもつ他の材料を使用してもよい。例として、可視スペクトルにおいて、ガリウムヒ素の吸収係数は、約105から106cm-1にわたる。これは、0.1μmの厚さの半導体が1/e吸収確率を与えることを示唆する。しかしながら、ガリウムヒ素にはまだいくつかの欠点がある。たとえば、ガリウムヒ素は、半導体産業によって利用される2番目に最も一般的な半導体であり、概して、シリコンよりもはるかに高価である。加えて、1μmよりも著しく小さい長さスケールにおけるガリウムヒ素特徴の作製は極めて難しく、商業的実装はまれである。最後に、1μmよりも著しく小さい寸法をもつ(電気的接続のための)ガリウムヒ素へのオーミックコンタクトを作成することは、困難であり、容認できないほど低い歩留まりを呈している。
【0026】
光検出アレイの撮像性能を改善するための1つの仕方は、大きいピクセルを作成しながら、同時に、全体的なピクセルの総数を一定に保つことである。いくつかの科学的適用例において使用されるカメラは、15μm以上の長さ寸法をもつピクセルを有する。これらの大きいピクセルサイズは、ダイナミックレンジおよびノイズの改善を可能にする。しかしながら、より大きいピクセルサイズは、現在の市場の推進要因に反対するものであり、カメラサイズと費用の両方を犠牲にして実現される。1μmピクセルからなるセンサーアレイを使用するカメラのために同様の撮像特性を維持するために、15μmピクセルをもつ検出器は、約200倍大きい面積を有し、撮像光学素子体積は、約3000倍大きい。これらの暗示の両方(たとえば、サイズおよび体積)は、フォトセンサーを改善するためのそのような解決策が利用されることが可能な程度を著しく制限する。たとえば、実際には、より著しく大きいピクセルを実装することには、ピクセルカウントの減少、最大視野の減少、または両方がしばしば付随する。
【0027】
フォトセンサー性能を改善するための別の方法は、フォトセンサーにおいてアバランシェ効果を利用することによってフォトセンサー光感度(たとえば、微光強度測定値)を増加させることである。すなわち、印加電圧は、半導体において高い電界を生成するために使用され、応答に際して光感度の上昇が起こる。高い電界は、他の方法で達成され得るよりも著しく高い速度にフォト生成キャリアを加速する。後続の衝突は、順番に加速される追加の自由キャリアを作り出す。その結果、単一の入射光子は、充分な出力信号を生成することができる。そのようなフォトセンサーは極めて高い感度を達成することができるが、それらは、0dBのダイナミックレンジを生じるガイガーモードでしばしば動作される。他の場合、そのようなデバイスは、約1から1000の光子/測定間隔の入射強度レンジについてのみだが、最高60dBのダイナミックレンジを与えることができる比例モードで動作される。
【0028】
フォトセンサーに入射する光を増幅するための方法として、プラズモン材料も調査されてきた。この場合、フォトセンサーは、電子の表面励起を発生し、これは、導体が入射光を強く吸収し、その後、再放射することを可能にする。プラズモニクスは、入射波長と偏光の特定の組合せと優先的に相互作用するように調整されることが可能な強い共鳴を利用する。現在まで、プラズモニクスは、向上された光検出能力を可能にすることに失敗しており、プラズモンフォトセンサーは大きい散逸的損失を経験する。
【0029】
さらに、プラズモンセンサーは大きい損失散逸的損失を有するが、プラズモン励起をサポートするシステムに隣接する領域に入射光を集中することに寄与するプラズモンシステムが開発されている。例として、サブ波長サイズの部分孔または貫通孔をもつ伝導金属シートが、光を孔内に集中することが示されている。低屈折率絶縁材料(二酸化シリコンのような)の層中に入れられたミーフォトセンサーは、向上された検出のためにそのようなプラズモンシステムと組み合わされ得る。加えて、入射光の波長以下の1つまたは複数の寸法パラメータを有し、ミーフォトセンサーに隣接する他の金属システムは、同様の効果を有することができることに留意されたい。例えば、これは、ミーフォトセンサー上の金属コンタクトの形状、サイズ、または離間を調整することによって達成されることが可能である。
【0030】
画像品質を改善し、ピクセルサイズを縮小することにより、将来のフォトセンサー技術の採用を推進することができる。しかしながら、いくつかのこれらの推進要因は、光学的および電気的性能に悪影響を及ぼすリミッタ間のトレードオフを伴っている。たとえば、ピクセルピッチ(ピクセルの中心間離間、p)を低減すると、表1に示されているようにフォトセンサー開発を推進するいくつかの指標のスケーリングファクタに影響を及ぼすことができる。
【0031】
【表1】
【0032】
ピクセルサイズを低減するための強い市場の推進要因があるが、これらのパラメータ依存性が示すように、そのような低減は、他のエリアにおける性能を低減する可能性がある。
【0033】
概して、小さいピクセルからの全体的な画像センサー性能の改善は、信号を増加させ、ノイズを減少させることに焦点を合わせている。大部分の最適化は、アレイレベルにおけるピクセル設計および処理技術の改善と併せて行われてきた。
【0034】
IIB. ピクセルの基本動作
ピクセルは、個々のフォトセンサーと、フォトセンサーを動作させ読み取るための信号収集電子回路とからなる。概して、信号収集電子回路は、各フォトセンサーと併設される。半導体によって吸収された光から生成される信号は、作成された電荷キャリアの量の測定から獲得されることが可能である(電荷収集、もしくは短絡回路モード)か、またはそれは、空乏領域にわたる電圧の測定から獲得されることが可能である(電圧、もしくは開路電圧モード)。第1の場合、生成される信号は入射光強度に比例し、第2の場合、生成される信号は入射光強度の対数に比例する。
【0035】
概して、撮像システム中のフォトセンサーは、電荷収集モードで動作する。電荷収集モードで動作することにより、入射光に対するフォトセンサーの線形応答は、画像処理のためのデータハンドリングを容易にすることが可能になり、さらに、フォトセンサーは、低い入射光強度に対してよりセンシティブになることが可能になる。電荷収集モードでは、フォトセンサーにおいて生成された電荷が、固定の積分時間ウィンドウ中に収集され、そのウィンドウ中に蓄積された総電荷に比例する電気信号が、報告される測定値である。前に説明したように、フォトセンサーが収集することができる電荷は、センサーの面積に比例する。したがって、フォトセンサー面積が減少するにつれて、センサーのダイナミックレンジの上端は、ピクセルの線形サイズの2乗に比例して降下する。この影響を相殺するために、積分時間は、ピクセルサイズの2乗として低減されることが可能である。そのような時間低減は、微光感度を低減し、センサーと関連する電子回路の両方の複雑さおよび電力要件を増加させる。加えて、電荷収集モードフォトセンサーが縮小するにつれて、それらの内部リーク電流は、飽和電流の比例として増加する。このリーク電流はノイズ源として働き、特に、ノイズ源は、センサーのダイナミックレンジの下端に下限を設定する。一緒に、これらの2つの影響は、ダイナミックレンジ全体を制限し、それは、今度は、撮像システムによってキャプチャされることが可能なシーンコントラストに対する制限につながる。現在の撮像システムは、それらが光強度において約3 1/2ディケードの変動をキャプチャすることを示す、60dBと70dBとの間のダイナミックレンジを概して示す。
【0036】
撮像システム中のフォトセンサーは、フォトセンサーによって吸収された光から改善された信号を生成するための他の手段を使用することができる。たとえば、アクティブピクセル概念、ピンフォトダイオードピクセル、および相関二重サンプリング方法を使用して、光感度を改善し、電荷収集モードにおけるノイズを低減してきた。しかしながら、光感度を増加させるための労力にもかかわらず、暗電流は、長い積分時間および低い照度を必要とする適用例において小さいピクセルのための顕著なファクタのままである。さらに、技術的ブレークスルーがノイズ源のさらなる低減を可能にする場合でも、信号対ノイズ比は、概して、ピクセルサイズが1ミクロンを下回る寸法に低減されると悪化し続ける。
【0037】
フィルファクタ(すなわち、ピクセル中の光検出領域の割合)は、センサーの感度およびキャプチャされる画像の信号対ノイズに直接影響を及ぼす。一定のピクセル中のトランジスタの数とそれのフィルファクタとは反比例する。一例では、ピンフォトダイオードをもつアクティブピクセルは、各ピクセル中の4つのトランジスタおよび5つの相互接続によって特徴づけられ、ピクセル中回路が光検出エリアに対して大量の空間を消費する、比較的低いフィルファクタを生じる。低いフィルファクタは、複数のピクセル間で制御回路のいくつかを共有することによって緩和されることが可能であるが、これは通常、共有されたピクセルの信号の和のみがアクセス可能であることを意味する。
【0038】
ピクセルサイズを縮小し、フルウェルキャパシティ問題を解決するための1つの方法は、1つ、または高々いくつかの、光子の存在または不在のみを測定することができる一方で、極めて高速に動作されることが可能な、1μmよりも小さいフォトセンサーを作成することである。高速では、測定時間は低減され、したがって、センサーは飽和する可能性が低い。センサーによって生成される信号は、その場合、単一の時間ウィンドウa中に収集されたものではなく、多くの時間ウィンドウにわたって収集された電荷の和から構成される。この技法の大きい欠点は、高いデータ獲得レートで多数のフォトセンサーを動作させることにより、大量の電力が必要になって動作コストが増し、放散することが困難な可能性がある熱が生じることである。
【0039】
画像センサーアレイのダイナミックレンジを増加させるための異なる手法は、それらを開路電圧モードで動作させることである。開路電圧モードは、電荷収集モードにおける線形応答の代わりに、(すなわち、眼と同様のまたはフィルムの)対数応答を与える。開路電圧モードを使用するアレイは、120dBを超えるダイナミックレンジを示しており、測定可能な光強度のレンジは、6桁にわたり、最新の検出器アレイにおいて達成されたものの約2倍である。しかしながら、開路電圧モードを使用するアレイは、それらの応答がノイズによって支配される、微光強度における不十分な性能を発揮した。
【0040】
開路モードフォトセンサーの別の欠点は、1μmよりも大きいピクセルでは、光に対するシリコン半導体接合の電圧応答の時定数がフレーム間遷移時間と比較して遅いことである。その結果、画像獲得の開始の前に各フォトセンサーを強制的にリセットするための余分の回路が含まれる必要がある。加えて、1μmよりも大きいピクセルでは、電圧応答時間は、しばしば、露光時間よりも長い。これは、電圧モードで動作されるそのようなピクセルが露光中に平衡状態に達しないことを意味する。そのような動的測定は、ランダムノイズ、ならびになくすことが困難な系統的誤差の両方の追加原因を有する。
【0041】
II.C 撮像アレイの設計および動作
個々のフォトセンサーおよびピクセルは、単一の検出器として、または検出器の線形および2次元アレイとして使用されることが可能である。ピクセル間の間隔は、画像空間中の撮像システムの空間解像度、および与えられたピクセル数に対する撮像アレイのサイズという、フォトセンサーアレイにおける2つの重要なパラメータを判定する。ピクセル間の間隔は、画像中でキャプチャされることが可能な空間周波数に上限を設定することができる。このピクセル間の間隔は、オブジェクト空間中の同様の空間解像度の指標に対応する。とはいえ、特定の限界は撮像光学素子に依存し、ピクセル間の間隔は、オブジェクトにおいて識別されることが可能な空間細部を制限する。さらに、ピクセル間の間隔が増加するにつれて、センサーアレイの面積は、この離間の2乗だけ増加する。半導体デバイスコストはデバイス面積に比例して上昇し、したがって、ピクセル間の間隔の増加は撮像アレイコストに重要な影響を及ぼす。
【0042】
アレイ設計の多くの改善が、より小さいピクセルの必要性によって推進されてきた。ピクセルの最適化は、(i)光感度を改善すること、および(ii)ノイズを低減することという、2つの主要なカテゴリー内に入る。光収集の改善は、マイクロレンズ、光ガイド、反射防止コーティング、相互接続層および誘電体を薄くすること、裏側照明、ならびに光子検出をピクセル読出しおよび信号処理から分離するための集積回路またはスタック構造の3次元積分を含む。これらの同じ改善の多くは、光学的クロストークをも低減する。ディープトレンチ隔離および埋込みカラーフィルタも光学的クロストークを低減し、モジュール伝達関数を改善する。
【0043】
フォトセンサー中のスタック構造は、キャプチャされる画像上の情報密度を増加させるために使用されることが可能である。面フィルタ処理の必要なしに各撮像点において多様な周波数が同時に検出されることが可能である。面フィルタ処理は、フォトセンサーから、「上流」(すなわち、スタック構造中でより高い)という特定の種類の光以外のすべてを除去する。したがって、面フィルタ処理は、入射信号からすべての他の光を除去する。逆に、スタックフォトセンサーは、カラーの垂直フィルタ処理を可能にする。この場合、異なる光波長は異なる吸収係数を有するので、カラー分離が起こるが、異なるカラー検出層は、すべての可視波長からの大きい寄与を有する。層の間の変動するカラー検出は、カラーを正確に解像する際の困難さに寄与する。スタック構造を実装することはまた、追加の情報処理の課題を有する。光のいくつかの波長は、すべての層において変動する程度に吸収されるので、標準の赤緑青画像を生成することは困難である。特に、スタック構造の層の各々からのすべての異なるカラー寄与は、画像を形成する前に解析される。
【0044】
概要では、特定のビジョン適用例のために最も好適なカメラを選定する際のトレードオフの多くは、今日のデバイスの動作の物理的特性から生じる。基本的な競合ファクタが性能を規定し、それらは、デバイス、処理および回路における複雑なトレードオフを強制する。最小ピクセルサイズ、センサーダイナミックレンジ、およびフォトセンサーのノイズ特性に対する制限はすべて、所望されるよりも概して低く、フィルムを使用して達成されるものさえよりも低い性能に寄与する。
【0045】
III ミーフォトセンサー
ミー散乱は、小さい寸法構造が、それらの物理的断面よりも大きい光学的断面を有することを可能にする。したがって、ミー散乱は、たとえば、フォトセンサーの光学断面積に基づいてセンサーにとって利用可能な光の量を集中させるによって、光感度を増加させることによってフォトセンサー性能に対する改善を可能にし得る。たとえば、ミー散乱では、入射光の波長程度の長さスケールをもつオブジェクトは、光をフォトセンサーのほうへ優先的に向けることができる複雑な散乱特性を示す。ミー散乱は、入射波長と偏光の特定の組合せとが優先的に相互作用するように調整されることが可能な共鳴を可能にする。したがって、ミー散乱を利用するデバイスは、フォトセンサーの能力を増加させるために使用されることが可能である。さらに、ミー散乱を可能にする構造の構成、設計、および特性(たとえば、構造形状、構造材料、および構造内の特徴の空間的関係)は、フォトセンサーの能力を増加させるように選択されることが可能である。ミー散乱については、セクションIII.Aにおいてより詳細に説明される。
【0046】
本明細書では、ミー散乱を利用するどんなフォトセンサーもミーフォトセンサーとして説明される。ミーフォトセンサーは、フォトセンサーの散乱中心に内部的に集中された光を測定することによってフォトセンサー能力を向上させる。散乱中心は、電流生成を増加させるためにミー散乱を活用するミーフォトセンサーのエリアである。例では、ミーフォトセンサーは、光子検出を向上させる散乱中心を含む。すなわち、散乱中心に入射した光子に応答してミーフォトセンサーによって生成された信号は、ミー散乱効果のために、従来のフォトセンサーにおけるよりも高い。生成された信号は、その後、1つまたは複数の追加のセンサーにおいて(たとえば、電流、電圧、または抵抗として)検出され得る。
【0047】
III.A ミー散乱
ミー散乱は、概して、オブジェクトからの光散乱についてのマクスウェルの方程式の一般解である光散乱問題の説明として説明されることが可能である。概して、オブジェクトが光の波長よりもはるかに大きくなるにつれて、マクスウェルの方程式の解は、(すなわち、前のセクションにおいて論じられたように)物理的光学素子の解によって提供されるもので収束する。さらに、オブジェクトが光の波長よりもはるかに小さくなるにつれて、マクスウェルの方程式の解は、レイリー散乱近似で収束する。しかしながら、中間領域では、散乱解はより複雑になり、ミー散乱として知られる。
【0048】
たとえば、一定の波長λの光は、オブジェクトが約1/5・λから約10・λのレンジ内の特性サイズを有するとき、そのオブジェクトからのミー散乱を示す。半径rの球体では、特性サイズは球体の円周2πrであり、扁平回転楕円面では、それは2πaであり、aは回転楕円面の長軸であり、半径rの無限に長い円柱では、それは2πrである。長さ2.5r以上の有限の円柱は、無限の円柱と同様に挙動する。したがって、可視光では、約20nmと1.1μmとの間の半径をもつ球状粒子はミー散乱を示す。上述の形状は、それらがこのサイズ様式における光散乱問題の分析解を有するので、好都合な例であるが、任意の他の形状であり得る。様々な多面体など、任意の体積では、数値解のみが利用可能である。
【0049】
ミーフォトセンサーは、大きい粒子中界を作成することによって画像検出のための信号を生成することができる。大きい粒子中界は、散乱オブジェクトが、オブジェクトの構成要素である材料の屈折率の実数部に対する入射光の波長の比と比較して大きく(すなわち、オブジェクトが光学的に大きく)、入射光の波長と比較して小さく(すなわち、オブジェクトが幾何学的に小さく)、散乱オブジェクトが、1と比較して小さい減衰係数を有するとき、可能である。
【0050】
ミーフォトセンサーは、入射光の散乱から生じる高い電界および磁界の内部領域の生成を増加させるように構築される。そのような界は、向上された吸収確率を推進し、したがって、改善された画像生成特性につながる増加したフォト電流を推進する。集中された界のそのような領域は、吸収厚さよりも薄い構造において可能であるので、従来のフォトセンサーの厚さ要件は、ミーフォトセンサーに適用されない。たとえば、散乱中心が半径100nmのシリコン球体であり、その特性サイズが2πrまたは628nmであるミーフォトセンサーを考える。この例では、600nmの光が散乱中心に入射する。シリコンでは、600nmにおける実数屈折率は3.939であり、減衰係数は0.02であり、4.14×103cm-1の吸収長さにつながる。したがって、そのような球体の特性長さは、それの屈折率に対する入射波長の比よりも4倍超だけ大きい。同時に、球体の、それの最も厚いものにおける減衰係数は、0.083である。この例は、ミーフォトセンサーと従来のフォトセンサーとの間の1つの差異を示す。たとえば、従来のフォトセンサーは、測定されるべき入射光の1吸収長さのほぼ最小の厚さで、可能な限り厚くなることによってそれらの光吸収確率を最大にするように実装される。
【0051】
大きい粒子中界を生成するミーフォトセンサーでは、入射エネルギーの散乱成分と吸収成分の両方が小さく、残りのエネルギーが、散乱オブジェクトに内部的に集中される。干渉効果が、散乱オブジェクトの近くの領域中の入射エネルギーを消去し、その結果、オブジェクトの光学的断面がそれの物理的断面を著しく超える可能性がある。すなわち、効果的に、ミーフォトセンサーは、それが実際にそうであるものよりもはるかに大きい構造から光を吸収するかのように働く。
【0052】
ミーフォトセンサーは、周囲と強くミスマッチしているそれらの屈折率の実数部(屈折率)を有し、屈折率の虚数部(減衰係数)が小さい誘電体材料から構成された散乱中心を含むことができる。すなわち、ミーフォトセンサーの材料は以下の屈折率を有してよく、
【0053】
【数1】
【0054】
ただし、
m>1 及び κ<<1 (3)
【0055】
そのような材料の例は多くの半導体を含み、たとえば、シリコン(m=4.14、κ=0.01)、ガリウムヒ素(m=4.13、κ=0.34)、およびガリウムリン(m=3.49、κ=0.003)を含む。半導体材料が、たとえば、ミー散乱に好適なサイズを有し、低屈折率材料によって囲まれたオブジェクトを形成したとき、それらは、遠方界ミー散乱パターンのそれらの生成の必然的な結果として、入射光に応答して非常に大きい内部電界および磁界を経験することができる。半導体のいくつかの低屈折率材料は、たとえば、空気(m=1)、二酸化シリコン(m=1.5)、油、または水であることが可能である。半導体散乱中心の場合、これらの内部界によって形成される大きいエネルギー密度が、大きい自由キャリア作成を推進する。ミーフォトセンサー中で光学的に生成される自由キャリアの数は、概して、入射光の強度に比例し、入射光強度を報告する出力信号を推進するために電荷収集モードまたは開路電圧モードのいずれかにおいて使用されることが可能である。
【0056】
ミーフォト検出器における共鳴は、たとえば、波長など、変数の特定の、しばしば狭いレンジに応答する励起である。その結果、散乱オブジェクトのサイズは、他の波長をフィルタ除去することなしに特定の波長レンジに対するセンサーの応答を向上させるように調整されることが可能である。特定の波長応答は、所望の波長に本質的に応答するフォトセンサーを作成するための機会を提供する。波長特異性(カラー感度またはマルチスペクトラル撮像)を提供するために隣接する多様なセンサーが採用されることが可能である。いくつかの場合には、特定の狭い波長応答よりも、広い波長応答が望まれる。幸いにも、この場合、共鳴は、広い波長応答を可能にする重複カスケードで発生することができる。概して、個々の従来のフォトセンサーの形状を変更することは、波長または偏光選択の手段として役立たない。このようにして、ミーフォトセンサーにおいて適切な形状、サイズ、深度などを選択することは、フォトセンサーによる吸収のための波長または偏光を選択することが可能である。
【0057】
共鳴重複は、球状散乱中心を使用するミー散乱の例示的な解において見られる可能性がある。最初に、光散乱問題のミー解は、正規直交関数の無限級数に関して電磁界を展開し、それにより、散乱オブジェクト(たとえば、球体、多面体など)の表面における適切な境界条件を満たす。すなわち、個々の電界および磁界の半径方向成分は0であり、それらの接線成分は連続的である。球体の理想的な場合には、正規直交基底関数が、リッカチベッセル関数の複素線形結合から構築され、これらの新しい関数はψnおよびξnに指定され、nは、基礎をなすリッカチベッセル関数の次数を指定し、解は、展開における各項について一連の4つの係数によって十分に判定される。それらの係数のうちの2つは、散乱オブジェクトの外部にある電界および磁界にのみ関係し、残りの2つは、散乱オブジェクト内にそれぞれある電界および磁界の強度をそれぞれ示す。これらの係数は、散乱オブジェクトの物理的サイズと光の波長:x=2πr/λ、との間の関係、散乱オブジェクトの複素屈折率m、および展開の次数nを記述する無次元サイズパラメータに依存する。κ=0の制限では、散乱球体の内部の解は、
【0058】
【数2】
【0059】
ここで、Cnは電界強度の係数を示し、
【0060】
【数3】
【0061】
nは、磁界の強度を記述する係数であり、′(または「プライム」)は、全引数に関する導関数を示す。nのより低い次数(ダイポール、クワドラポールおよびオクタポール項:n=1、2、および3)は、より低い次数の正規直交関数が級数展開を支配するので、最も大きい影響を概して及ぼし、各項は、界全体へのその項の寄与を計算する際に、1/nに比例する追加のファクタによってその後乗算される。球体半径の関数としての係数は、共鳴が重複する領域を可視化するためにプロットされることが可能である。
【0062】
図1A図1Hは、いくつかの例示的な実施形態による、一連の共鳴プロットを示す。共鳴プロットは、散乱中心サイズの関数としての吸収係数の大きさを示す。各共鳴プロットは、上記で説明された定義に従って計算された、いくつかの異なる吸収係数d1、d2、d3、c1、c2、およびc3を含む。言い換えれば、各共鳴プロットは、球体半径の関数としてcnとdnの両方について最初の3つのマルチポール(たとえば、n=1、2、および3)を示す。図1Aは、400nmの波長を有する入射光の共鳴プロット110である。図1Bは、450nmの波長を有する入射光の共鳴プロット120である。図1Cは、500nmの波長を有する入射光の共鳴プロット130である。図1Dは、550nmの波長を有する入射光の共鳴プロット140である。図1Eは、600nmの波長を有する入射光の共鳴プロット150である。図1Fは、650nmの波長を有する入射光の共鳴プロット160である。図1Gは、700nmの波長を有する入射光の共鳴プロット170である。図1Hは、750nmの波長を有する入射光の共鳴プロット180である。
【0063】
ミーフォトセンサーは多くの形状をとることが可能である。図1A図1Eに関して示されている例は球状であるが、ミーフォトセンサーは、直線であるか、直線に近いか、または何らかの他の幾何学的形状であってよい。直線またはほぼ直線のミーフォトセンサーは、半導体作製技術を使用して作成され得る。直線センサーの場合、散乱問題の解は分析的に解くことができないが、それは数値的に解くことが可能である。
【0064】
たとえば、図2は、一実施形態の例に関する直線ミーフォトセンサーの吸収電力プロットを示す。吸収電力プロット210は、光の異なる波長について入射電力に対する吸収電力の数値的に計算された比を示す。吸収電力は、(i)直線フォトセンサー(「立方体」と標示された)のミー解と、(ii)物理的光学素子計算によって予測された直線フォトセンサー(「BL」と標示された)の解の両方を使用して計算される。吸収係数は、(i)109nmの側部を有する第1のデバイス、および(ii)218nmの側部を有する第2のデバイスという、2つの異なる直線フォトセンサーについて計算される。さらに、吸収係数は、5つの異なる波長の光(たとえば、400nm、500nm、600nm、700nm、および800nm)について計算される。
【0065】
第1のデバイスの吸収エネルギーは、ミー散乱を考慮したとき、400nmの光の吸収の向上を示す。これは、図1のプロットから与えられた結果から予想される。第2のデバイスの吸収エネルギーは、より均一な吸収プロファイルを示す。特に、これらの吸収率のいくつかは、1よりも大きい。この率は、ミー散乱を考慮したとき、デバイスがそれの物理的断面を超える光学的断面を有することを示す。
【0066】
比較のために、物理的光学素子によって予測される第1のデバイスの吸収エネルギーも、検出器の両方のサイズについて示されている。これらの例では、ミー散乱からの内部集中がないために、すべての波長について吸収電力が4から6倍低減する。
【0067】
図1A図Hおよび図2の結果は、広い波長応答を達成することと、マルチスペクトラル撮像を実施することとの両方を達成するための取り組みを示している。すなわち、第1の手法では、cnまたはdnのいずれにおいても高強度共鳴を含んでいないサイズおよび形状をもついくつかのミーフォトセンサーを実装することにより、フォトセンサーのより広い波長応答が可能になる。第2の手法では、様々なミーフォトセンサーを実装し、わずかに異なる形状をもつ各々が、各フォトセンサーが画像平面中の同様の空間情報を測定するように配置されることにより、マルチスペクトラル撮像が可能になる。この場合、様々な検出器からの信号は、合計される、均一な重み付けを用いて平均化される、または何らかの他の関数形式で合成されて、所望のノイズおよび感度要件との組合せで所望の波長応答を提供することが可能である。
【0068】
III.B ミーフォトセンサーの構造および物理的特性
例示的な一実施形態に従って、図3Aは、ミーフォトセンサーの上面図を示し、図3Bは、ミーフォトセンサーの側面図を示す。この例では、ミーフォトセンサー310は、n形ガリウムヒ素の矩形平行六面体メサ320を含む。メサ320は、真性ガリウムヒ素層の基板330上に位置しており、それに取り付けられる。ここで、メサ320は、ミーフォトセンサーの散乱中心の例である。しかしながら、他の実施形態では、散乱中心は、任意の他の数の形状またはサイズをとってよい。
【0069】
この例では、メサ320は、2000nm厚さの真性ガリウムヒ素基板330上に100nm厚さのn形ガリウムヒ素の層を成長させることによって形成される。その後、フォトレジスト適用と、光リソグラフィおよび/または電子ビームリソグラフィを用いたフォトレジストパターン形成と、エッチングとの組合せを利用して、ミーフォトセンサーを作製した。このようにして、作製処理は、n形ガリウムヒ素の画定された部分を除去して個々のメサ320を残した。メサ320はまた、メサの各側部が250nm×250nmとなるように作製された。500nm×500nm側部など、他の例も可能である。
【0070】
後続の処理工程は、メサ320上にオーミックコンタクト350Aおよびショットキーコンタクト350Bを作成した。処理はまた、コンタクト350に電気的にアクセスするための導電性トレースを作成したが、それらは図示されていない。
【0071】
ミーフォトセンサー310は、他の寸法数または任意の他の数のコンタクト350を有し得る。さらに、コンタクトは、pnまたはpin半導体接合など、何らかの他のタイプのコンタクトであり得る。
【0072】
図4は、例示的な一実施形態による、ミーフォトセンサーの電圧応答プロットを示す。電圧応答プロットは、ミーフォトセンサー(たとえば、ミーフォトセンサー310)の入射光強度の関数としてショットキーコンタクト(たとえば、350B)とオーミックコンタクト(350A)との間の開路電圧応答を示す。図示の例では、開路電圧は、通常入射光に露光された250nm正方形ガリウムヒ素メサと500nm正方形ガリウムヒ素メサの両方について示されている。さらに、ショットキーコンタクトの推定されるショットキー障壁高さは0.48eVであるが、任意の他の障壁高さであり得る。
【0073】
図示の例は、ミー散乱から生じる吸収の向上を示している。たとえば、ここで、メサは、ミーフォトセンサーの上面に垂直な集光された632.8nm付近の波長光に露光された。物理的光学素子近似がこの例で仮定された場合、光の37%が表面から反射されるはずであり、残りについては、32%が、総入射光の21%の総吸収エネルギーのためにメサに吸収されるはずである。しかしながら、この例では、測定された信号は、予想よりも少なくとも2倍程度の光がミーフォトセンサーに吸収されることを示す。すなわち、物理的光学素子の原理を使用して導出された理想的な最大値を仮定したとき、予想よりも多くの吸収がある。
【0074】
図4に示されている向上された応答は、上記で説明されたミー散乱の内部的集中効果を示している。後続のモデリング結果はこの結論を支持する。例えば、誘電オブジェクトは、本質的に同じ複素屈折率を有する材料の巨視的に大きい平板を持つプレーナーコンタクトと近接しているとき、誘電オブジェクトは、散乱中心と絶縁されたミー散乱を示す内部的エネルギー集中をサポートすることができる。これらの誘電オブジェクトのエネルギー集中は、半導体材料のウエハから直接作製され、接続された要素が、これらの検出器にとって好適な構造であることを示している。
【0075】
従来のフォトセンサーでは、メサ(たとえば、ミー散乱センサー)が存在しない。代わりに、これらのシステムは、吸収媒体として機能する半導体材料の厚さを含み、1つまたは複数のロケーションにおいて、いずれか一方の不純物注入がされた半導体または薄い金属層のいずれかを使用して空乏領域を確立する。空乏領域は、局在的に生成され、光生成された電荷の収集を推進する。アレイの場合、個々のピクセルは、光子または電荷の交換をブロックするための材料によって分離されることが可能である。個々のピクセルが入射光の波長よりも小さくなるようにアレイの面寸法を縮小しても、ミーフォトセンサーのアレイは生じない。さらに、光学的に薄くなるようにアレイ厚さを縮小しても、ミーフォトセンサーのアレイは作成されない。概して、小さい隣接する(従来の)フォトセンサーは、連続的な屈折率をもつより大きい構造を形成する。対照的に、ミーフォトセンサーのアレイでは、個々のフォトセンサーは、本明細書で論じられるように適切な寸法を有する。さらに、各ミーフォトセンサーは、散乱中心を画定しミー散乱をさらに可能にするために、ピクセル自体とは異なる屈折率を有する材料によって大きく囲まれる。
【0076】
さらに、概して、個々の従来のフォトセンサーは、信号収集電子回路をサポートする追加の半導体材料によって囲まれる。センサーのフォトアクティブ領域をミーフォトセンサーの寸法に低減すると、フォトアクティブ領域と組み合わせるこの追加の材料は、ミーフォトセンサーに必要とされるような個々の誘電体散乱中心を画定しない、より大きい構造を形成する。
【0077】
ミーフォトセンサー中のコンタクトのショットキー障壁高さは、その動作に影響を及ぼすことができる。たとえば、図5は、例示的な一実施形態による、電圧マルチ応答プロットである。電圧マルチ応答プロット510は、図3のミーフォトセンサーのものであるが、障壁高さが異なるショットキー接合についてシミュレートされた開路電圧を示している。電圧マルチセンサープロットにおいて、開路電圧は、各ショットキー障壁の、光の同じ波長について測定される。
【0078】
上記で説明されたように、ミーフォトセンサーの内部電界および/または磁界は、それらの従来のフォトセンサーに比べて大きい。説明のために、図6は、例示的な一実施形態による、ミーフォトセンサーの断面電界プロットを示す。断面電界プロット600は、ミーフォトセンサー中の、およびその周りの電界を示している。図示のミーフォトセンサーは、図3に示されているミーフォトセンサー310である。さらに、ミーフォトセンサーは、1000nm×1000nm×200nm厚さのSi基板(たとえば、基板330)上に作製される。ミーフォトセンサーは、波長600nmの入射平面波を受け、この入射平面波は、メサ内に、およびメサの直下のシリコン基板内に局在化された大きい電磁界を誘起する。
【0079】
図7は、例示的な一実施形態による、ミーフォトセンサーを示す。この例では、ミーフォトセンサー710、メサ710へのコンタクトを形成する2つの金属ストリップ(たとえば、コンタクト720Aおよび720B)をもつ、シリコン350nm×250nm×100nm厚さのメサ。コンタクト720の各々は、250nm×50nm×50nm高さである。一方のコンタクト720Aは、メサ720とのショットキーコンタクトを形成し、他方のコンタクト720Bは、メサとのオーミックコンタクトを形成する。メサの下での基板の関数としての吸収電力のシミュレーション結果は、散乱中心が、ミー散乱誘起された内部エネルギー集中をサポートすることができるという結果を補強する。
【0080】
図8は、例示的な一実施形態による、ミーフォトセンサーの断面電界プロットである。断面電界プロット700は、図7のミーフォトセンサー710の断面図を示している。断面電界プロットは、デバイス中の、およびそれの周りの電界を示している。しかしながら、この例では、ミーフォトセンサーは、波長600nmの入射平面波を受ける1000nm×1000nm×200nm厚さの二酸化シリコン基板上に作製される。
【0081】
この例では、基板は、半導体(たとえば、シリコン)ではなく、二酸化シリコン(絶縁体)である。二酸化シリコン基板は、完全にメサの周りに不連続な屈折率を可能にする。さらに、二酸化シリコンは、基板にそれの前面および裏面に沿って入射する平面波の反射を強くサポートする。入射波と平面波と反射平面波との間の干渉効果は、基板および周囲の真空における電界強度マップを支配する。干渉効果は、最大電界強度の低減において見られる、メサにおける内部集中効果を低減する。図6図8を比較すると、シリコン基板上のミーフォトセンサーの感度は、二酸化シリコン基板上のデバイスが有するもの以外の、(メサドーピングNdに応じた)1桁微光レベルと21/2桁微光レベルとの間の最小感度を有することが示唆される。
【0082】
図9は、例示的な一実施形態による、電圧マルチ応答プロットを示す。電圧マルチ応答プロットは、図5のミーフォトセンサーの2つの金属コンタクト間で誘起される開路電圧を示している。ここで、電圧応答は、シリコン基板上にシリコンを使用して作製されたミーフォトセンサー上の、強度が変動する入射600nmの光に応答する。さらに、この電圧応答プロット910は、各ラインが異なるショットキー障壁高さを伝達するのではなく、プロット中の各ラインは、ミーフォトセンサーのメサの異なるドーピングレベルを表す。シリコン基板と二酸化シリコン基板の両方の場合において、ショットキー障壁高さは1.0eVであると仮定される。ショットキー障壁は、それに隣接する半導体体積中に空乏領域を誘起し、システムの平衡状態を反映する内蔵電圧を有する。光生成された電子正孔対の追加は、2つの金属コンタクト間の開路電圧として測定可能な、このビルトイン電圧を変化させる。開路電圧は、フォト生成キャリアの発生レートの対数に比例する。
【0083】
シリコン基板上のミーフォトセンサーは、概して、二酸化シリコン基板上のミーフォトセンサーよりもセンシティブであり、メサおよび基板の構成の重要性を示す。光検出性能(たとえば、感度)を向上させる他の方法もある。一例は、ショットキーコンタクトの面積を減少させることである。ショットキーコンタクト面積を減少させることは、障壁にわたる飽和電流を低減することが可能であり、これはデバイス感度を著しく増加させる。さらに、ショットキーコンタクト面積を減少させることは、自由キャリア勾配の設計が可能になり、それにより、拡散速度を制御することができる。拡散速度を制御することは、真性シリコンなどの非絶縁基板上のセンサー間のクロストークに対する制御が可能になる。さらに、金属コンタクトのサイズおよび形状を変更することは、検出器と入射波との間の相互作用をさらに定義するのに役立つことができる。
【0084】
図10A図10Cは、いくつかの例示的な実施形態による、ミーフォトセンサーの様々な構成を示す。図の各々は、ミーフォトセンサーの異なる構成を示しているが、ミーフォトセンサーのすべては、(明らかであるため図示されていない)基板を少なくとも含む。基板は、第1の屈折率を有し、半導体材料のメサ1020を含む材料層である。メサは、第2の屈折率を有し、電磁摂動(たとえば、可視光、X線、赤外線放射など)に応答して半導体材料内で自由キャリアを生成するように構成される。メサ1020は、複素(たとえば、第3の)屈折率を有する屈折性媒体1040(たとえば、空気)によって囲まれる。概して、第3の屈折率は、第1および第2の屈折率よりも低い。いくつかの場合には、メサと基板の材料が類似または同じである場合、これらの2つの材料の屈折率は類似または同じであり得る。
【0085】
屈折性媒体1040とメサ1020(および/または基板)は、共に界面にわたって不連続である屈折率をもつ界面を形成する。すなわち、屈折性媒体1040は、メサ1030が有するもの以外の、屈折率の異なる実数部を有する何らかの材料を備え得る。理想的には、不連続性屈折率は、メサ1030と屈折性媒体との間の境界にわたって可能な限り大きいべきである。たとえば、5つの側部上に空気をもつ直線シリコンメサの場合、メサと空気屈折性媒体との間の屈折率不連続性は、可視スペクトル上の5.3と3.7との間にある。546nm入射光を受けるガリウムヒ素の場合、メサと屈折性媒体との間の屈折率不連続性は4.0である。
【0086】
屈折性媒体内の半導体材料のメサは、ミーフォトセンサーの電磁散乱中心を形成し得る。いくつかの場合には、散乱中心は、メサの全体ではなく、メサの何らかの部分であり得る。言い換えれば、メサは、境界のセットをもつ幾何学的形状を有するものとして記述され得て、電磁散乱中心は、それらの境界内の、およびそれまでのメサの半導体材料のいずれかの部分であり得る。
【0087】
ミーフォトセンサーは、メサ1020にコンタクトしている少なくとも1つのコンタクト1050(たとえば、コンタクト1050Aおよび1050B)を含む。コンタクト1050は、オーミックコンタクト、ショットキーコンタクト、pn接合、またはpin接合のいずれかの組合せであり得る。両方のコンタクト1050がオーミックである構成では、屈折性材料(または基板)とメサ1030との間の界面のうちの少なくとも1つは、ショットキー障壁である。
【0088】
様々な構成では、ミーフォトセンサー1010は、入射光の偏光に対するフォトセンサーの応答を変化させるために使用されることが可能な非対称メサを含むことができる。非対称性の高いメサは、その構成フィールドの方向が異なる光に、異なる有効な空間寸法を提示する。たとえば、図10A図10Cのミーフォトセンサー1010は、入射光とコンタクトの両方に関して異なるアスペクト比をもつメサ1020を示している。このようにして、入射光の特定の偏光状態が個々に測定されることが可能であり、および/または入射光の特定の波長がフォトセンサー中で共鳴することができる。偏光依存の測定は、光反射または発光オブジェクトの組成に関する重要情報を与えることができる。
【0089】
ミーフォトセンサーは、光の特定の波長を吸収するように構成されることが可能である。たとえば、散乱中心のサイズ、形状、材料などを、特定の波長を吸収するように構成されることが可能である。この場合、ミー散乱は、共鳴レベルにおいて電磁摂動の特定の波長を吸収し、共鳴レベルに対応する自由キャリアの第1の量を生成する。電磁散乱中心はまた、非共鳴レベルにおける電磁摂動の異なる波長を吸収し、非共鳴レベルに対応する自由キャリアの第2の量を生成し得る。特定の波長(たとえば、共鳴)における光から生成される自由キャリアの数は、異なる波長(たとえば、非共鳴)におけるキャリアから生成されるキャリアの数よりも大きい。
【0090】
概して、個々のミーフォトセンサーは、狭い波長応答に構成されるが、複数のミーフォトセンサーは、ミーフォトセンサーのアレイが波長の広いレンジを吸収するように、異なる波長応答のために構成されることが可能である。このようにして、波長の関数としての強度変化が、入射光のいくつかのスペクトルについて識別されることが可能である。
【0091】
本明細書で提示されるミーフォトセンサーのこれらの構成は、例の手段として与えられ、限定的であることを意図されていない。より詳細には、ミーフォトセンサーは、フォトセンサーにおけるフォト電流生成を向上させるためにミー散乱を利用するフォトセンサーの任意の構成であることが可能である。
【0092】
たとえば、ミーフォトセンサーは、様々なタイプの基板を有することができる。いくつかの例示的な基板は、炭素(たとえば、ダイヤモンド、および窒素空孔などをもつダイヤモンド)、ガリウムヒ素、水銀テルル化カドミウム、白金シリサイド、ゲルマニウム、臭化タリウムなどを含む。さらに、基板材料の各々は、ミーフォトセンサーが特定のタイプの電磁摂動の共鳴を有するように構成されるように選択され得る。たとえば、(i)炭素を備える基板を含むミーフォトセンサーは、UV・X線共鳴を有し得、(ii)水銀テルル化カドミウムを備える基板を含むミーフォトセンサーは、広い赤外線共鳴を有し得、(iii)白金シリサイドを備える基板を含むミーフォトセンサーは、赤外線共鳴を有し得、(iv)ゲルマニウムを備える基板を含むミーフォトセンサーは、ガンマ線共鳴を有し得、臭化タリウムを備える基板を含むミーフォトセンサーは、X線共鳴を有し得る。
【0093】
別の例として、ミーフォトセンサーは、30nmと1700nmとの間の高さを有し得る。ここで、ミーフォトセンサーの高さは、基板の表面に対して直角な方向に測定される。この場合も、ミーフォトセンサーの高さは、自由キャリア生成において共鳴を引き起こす電磁摂動の特定の波長、および/または自由キャリア生成において共鳴を引き起こす光の特定の偏光に影響を及ぼすことができる。
【0094】
別の例として、メサは、異なる平面サイズを有し得る。例示のために、メサは、10nmと800nmとの間の第1の方向における第1の特徴、および10nmと800nmとの間の第2の方向における第2の特徴を有してよく、第1の方向と第2の方向は互いにほぼ直交する。この場合も、第1の特徴および第2の特徴のサイズは、自由キャリア生成において共鳴を引き起こす電磁摂動の特定の波長、および/または自由キャリア生成において共鳴を引き起こす光の特定の偏光に影響を及ぼすことができる。
【0095】
III.C ミーフォトセンサーピクセルの基本動作
ミーフォトセンサーは、従来のフォトセンサーのように、開路モードまたは電荷収集モードのいずれかで動作する撮像システム中のピクセルとして配備されることが可能である。
【0096】
前に論じられたように、非オーミックコンタクトは、ショットキー接合またはpn接合のいずれかから形成され得る。ショットキー接合の利点は、それらが極めて高速な応答時間を提供することである。従来、ショットキー接合は、それらが一般的により大きな暗電流を有し、測定することができない下限の強度を確定するので、フォトセンサーではめったに使用されなかった。しかしながら、ミーフォトセンサーでは、金属半導体界面の面積を極端に小さくすることができ、それが接合暗電流を減じる。
【0097】
ミーフォトセンサーは、フォトセンサーの高速な応答時間および低い最小感度のために、開路モードに向けての配置に好適である。高速な応答時間は平衡電圧測定を可能にし、より低い最小感度は、より低い入射強度へ電圧測定を拡張することを許容する。このモードで動作されるフォトセンサーは、このモードの対数応答により、本質的に大きいダイナミックレンジを有し、改善された最小感度は、それらが他の対数検出器において示される6ディケードよりも著しく大きいダイナミックレンジを与えることができることを示唆する。
【0098】
電圧モードで利用されるミーフォトセンサーの別の利益は、それらがバイアス電圧なしに、およびリセット回路なしに動作されることが可能なことである。ショットキーコンタクトを用いて可能な高速応答は、ミーフォトセンサーのサイズ縮小によって可能になる小面積のコンタクトと組み合わせ、は、ピクセルにリセット回路を追加する必要なしに、光に対するミーフォトセンサーの応答の直流電圧測定を行うことを可能にする。
【0099】
図11A図11Eは、様々な例示的な実施形態による、1つまたは複数のミーフォトセンサーを含む撮像センサー中のピクセルのためのいくつかの異なる構成を示す。各ピクセル1110は、半導体材料のメサ1120、基板1130、屈折性材料1140(図示のような、空気)、および1つまたは複数のコンタクト1150を備える。さらに、ピクセルの各々は、ピクセルから情報を読み取り、ピクセルを制御するための制御電子回路の何らかの組合せを含む。
【0100】
図11Aは、例示的な一実施形態による、ミーフォトセンサーを含む画像センサーアレイの例示的なピクセルを示す。この例では、ピクセル1100Aは、カラムバス1180をミーフォトセンサー1110に接続する単一の選択トランジスタ1160を備える。単一の選択トランジスタ1160のみがあるので、ピクセル1160およびミーフォトセンサー1110は、本質的に低電力性能を実現する。
【0101】
図11Bは、例示的な一実施形態による、ミーフォトセンサーを含む画像センサーアレイの例示的なピクセルを示す。この例では、ピクセルセンサーは、選択トランジスタ1160と増幅トランジスタ1162の両方を含む。この構成は、残りのカラムバス1180(および残りの読出し回路)からの、ミーフォトセンサーのキャパシタンスの絶縁を可能にする。加えて、この構成は、ピクセルが、ミーフォトセンサーからの電圧出力を(増幅トランジスタ1162を介して)再スケーリングすることを可能にする。
【0102】
図11Cは、例示的な一実施形態による、ミーフォトセンサーを含む画像センサーアレイの例示的なピクセルを示す。この例では、ピクセルは、選択トランジスタ1160、増幅トランジスタ1162、およびキャパシタ1164を含む。ここで、出力電圧は、適切なサイズに形成されたキャパシタ1164にわたって一時的に記憶されることが可能である。キャパシタ1164の容量は、回路の電圧差(一般にVDD)、読出し回路の抵抗、および所望の時間応答に依存する。ピクセルのこの構成は、アレイ中のすべてのピクセルがほぼ同時に測定されることをさらに可能にする。
【0103】
図11Dは、例示的な一実施形態による、ミーフォトセンサーを含む画像センサーアレイの例示的なピクセルを示す。この場合、ピクセルは、選択トランジスタ1160、増幅トランジスタ1162、キャパシタ1164、およびリセットトランジスタ1166を含む。この構成は、ピクセルがキャパシタをそれのゼロ電圧差状態にリセットすることを許容する。代替として、またはさらに、この構成は、電圧記憶キャパシタによって仲介される読出しモードと、電圧記憶キャパシタによって仲介されないモードとの間のスイッチングを可能にする。動作の例として、選択トランジスタ1160が「オフ」であるとき、リセットトランジスタ1166をオンにすることにより、リセット機能が提供される。選択トランジスタ1160が「オン」であるとき、リセットトランジスタ1166をオンにすることにより、電圧記憶キャパシタに大きなバイパスが提供される。
【0104】
図11Eは、例示的な一実施形態による、ミーフォトセンサーを含む画像センサーアレイの例示的なピクセルを示す。上記で説明されたように、ショットキー接合をもつミーフォトセンサーにおいて、ミーフォトセンサーの応答時間は高速である。したがって、pn接合が使用される場合、センサーをその暗状態にリセットするオプションが望まれることがある。たとえば、ここで、ピクセル1110はリセットスイッチ1168を含む。
【0105】
図11A図11Eは説明の目的で意図されており、ミーフォトセンサーを含むピクセルの多くの他の構成も可能である。さらに、上記で説明された機能の組合せのいずれかが、様々なピクセル中に含められてよい。
【0106】
電荷収集モードが実行されたミーフォトセンサーでは、より小さいフォトセンサーサイズは電荷収集時間を低減し、それにより、フレームレートの増加を可能にする。加えて、飽和電流の低減は、ショットキー接合(半導体接合の代わりに)の使用をより広く実現可能なものにする。ショットキー接合は、本質的により高い飽和電流を有し、金属半導体整流界面を利用したフォトセンサーの最小感度に対応して設定された半導体接合を行う。しかしながら、いくつかの例示的な構成では、ショットキー接合を利用するミーフォトセンサーは、より高いフレームレートおよび短期間の光学的な事象の検出を可能にする、よりはるかに高速な応答時間を有する。
【0107】
ミーフォトセンサーはまた、ピンフォトダイオードのそれと同様の回路で電荷収集モードを実行することが可能である。しかしながら、開路構成では、フォトアクティブセンサーと他のピクセル中の回路との間に転送トランジスタがないことが、たとえば、暗電流の流出を低減することにより、性能が改善するという結果を得ることができる。
【0108】
物理的断面を超えるミーフォトセンサーの光学断面積は、ミーフォトセンサーが、検出器の光検出領域の周りの、およびそれに隣接する領域に通常は当たるはずの入射光に応答することができることを意味する。これは、撮像チップの有効なフィルファクタを増加させる。そのような領域は、制御および処理電子回路によって占有されることが可能である。そのような電子回路は、たとえば、高速撮像のための、またはグローバル対ローリングシャッターデータ収集および転送を可能にするためのより高速な回路を実装することによって、信号収集および増幅を向上させるために使用されることが可能である。
【0109】
III.D ミーフォトセンサーアレイの設計および動作
個々のミーフォトセンサーは、個々の従来のフォトセンサーとともに採用される同じ技法を使用して、単一のセンサー撮像デバイスとして実装されることが可能である。この場合、センサーは、画像を構築するための静的オブジェクトによって形成された画像平面にわたって走査される。この場合も、従来のフォトセンサーの場合と同様に、画像は、画像平面にわたって走査される同等のミーフォトセンサーの線形アレイによって、または静止ミーフォトセンサーの2次元アレイによって形成され得る。従来のフォトセンサーアレイのように、ピクセル間の間隔は、画像中でキャプチャされることが可能な空間周波数に上限を設定することができる。このピクセル間の間隔は、オブジェクト空間中の同様の空間解像度の指標に対応する。直接撮像が、介在する光学素子なしに使用される場合、回折限界またはエアリーディスクの概念は存在しない。そのような撮像の例は、ホログラフィおよびコンタクト撮像を含む。微細に離間されたフォトセンサーを提供することができないことは、それらが貴重であり得る多くの状況においてこれらの技法の広範な適用を制限している。光学素子が必要とされる場合、オブジェクトの空間解像度の限界は、撮像されるオブジェクトから画像に光を転送する光学素子の関数である。一定の光学システムでは、大きいピクセル間の間隔は、オブジェクトにおいて識別されることが可能な空間的細部をさらに制限する可能性がある。この理由により、ミーフォトセンサーはまた、それらの低減されたサイズおよび増加したフィルファクタのために、撮像光学素子と組み合わせて使用されたときに改善された空間解像度を与えることができる。
【0110】
上記で論じられた従来のフォトセンサーに勝るミーフォトセンサーのすべての利点は、これらの場合の各々において改善された撮像性能に寄与することができる。加えて、ミーフォトセンサーピクセルはすべて、従来のフォトセンサーとともに現在使用されている画像アレイ拡張方法に適合する。これらの方法は、マイクロレンズ、光ガイド、反射防止コーティング、相互接続層および誘電体を薄くすること、裏側照明、光子検出をピクセル読出しおよび信号処理から分離するための集積回路またはスタック構造の3次元積分、二重サンプリング方法など、光収集改善およびノイズ低減技法を含む。
【0111】
ミーフォトセンサーのいくつかの特性は、それぞれフォトセンサーアレイ(1次元アレイ、2次元アレイまたは3次元アレイのいずれか)を配置し使用するための新しい仕方を可能にする。特性は、たとえば、ミーフォトセンサーサイズが入射光の波長よりも小さいという可能性、ミーフォトセンサーの光学的断面がそれらの物理的断面を超えるという可能性、ならびに波長および/または偏光において共鳴を示すようにミーフォトセンサーを設計するという可能性などを含むことができる。まとめると、これらの特性は、新しく強力なアレイ設計を可能にする。
【0112】
画像分析にサブ波長回折効果が使用されない限り、表示または分析のための有意味なグリッドは、最低でも約1エアリーディスク直径だけ分離されたグリッドノードをもつものである。光の波長よりも小さいミーフォトセンサーサイズは、画像における各解像可能なスポットまたはエアリーディスクの様々な測定を可能にする。これは、求められている画像を形成するために使用される光学素子のF数に対する独立性を保っている。空間分布強度測定値のこのリビニングは、有効ピクセルを画定するものとして考えられることが可能である。そのような有効ピクセルは、エアリーディスクよりも大きく作られてもよい。その場合、システムの光学素子の空間周波数スペクトラムは、画像中のエイリアシングを最小限に抑えると考えられなければならない。画像空間の空間解像度は、有効ピクセル分布によって暗示される解像度である。有効ピクセル内の物理的ピクセルからの信号は、合成されるかまたは別個に保持されることが可能である。
【0113】
異なるフォトセンサーからの信号を合成すると、小さな画素を合計した領域である単一の大きな画素からの信号を使う場合に比べて、最終的な画像における信号-ノイズ比が大幅に向上することが示されている。この改善は、特に低い光のレベルにおいて顕著である。ミーフォトセンサーを用いて、画像品質を損なうことなしにこれを行うことが可能である。加えて、そのような合成、または拡大で、より大きいピクセルを用いると、エイリアシングからの光学的アーティファクトの導入を生じ得る。エアリーディスクのサイズを下回るミーフォトセンサーは、エイリアシングにつながる高周波数光学的構成要素の存在なしにセンサーを組み合わせることを可能にする。
【0114】
いくつかの例では、単一の有効ピクセル内のセンサーからの信号は、オンチップ電子回路、オフチップ電子回路を使用して合成されるか、またはソフトウェアで実行される。オンチップ電子回路を使用するとき、信号を合成することは、オンチップ回路を実質的に減らす結果を得ることができる。信号の合成は、規則的グリッド上のフォトセンサーを使用して行われる必要はない。たとえば、撮像アレイの中心からエッジまでの有効ピクセルエリアを増加させることは、人間の眼のそれと同様の窩状パターンを生じる。不規則なフォトセンサーパターンの1つの利点は、それらが画像の1つまたは複数の部分においてより高い空間解像度信号を与えるが、画像の他の部分においてより低いノイズおよびより高いダイナミックレンジ信号を与えることができることである。
【0115】
信号合成を生成することにより、概してデータスループットレートが低減し、特に、オンチップ合成でのスループットレートが低減する。しかしながら、ソフトウェアでのデータ合成は、フレキシビリティにおいて利点を有する。画像中のオブジェクトが未知のサイズまたは特徴を有する場合、それらのオブジェクトを判定するためにフィードバックまたは機械学習を使用することが可能である。たとえば、物理的ピクセルの異なる組合せを有効ピクセルに組み合わせることができ検出および評価の有効性を最大化させる。
【0116】
代替として、フォトセンサーによって生成された信号を別個に保持することにより、各有効ピクセル内での入射光の様々な波長および/または偏光測定が可能になる。たとえば、個々のピクセルが(特定の波長または偏光を選択するように設計された)選択ピクセルである画像センサーでは、異なるタイプの選択ピクセル間の信号合成を低減することが有利であり得る。このようにして、同じ選択機構をもつピクセルの各セットは、有効ピクセルの空間解像度をもつ画像を形成するために使用されることが可能である。
【0117】
いくつかの構成では、同じ材料から作製されたミーフォトセンサーは、各ミーフォトセンサーが、所望の波長レンジ内の光に対して高い吸収確率を有すると同時に、他の波長に対してほとんど透過的なままであるように積層されることが可能である。このようにして、撮像アレイは、入射信号をより効率的に使用することができる。加えて、より高い周波数の空間情報を収集することと、より大きく多様な波長情報を収集することの両方を容易にする、より小さいピクセルが使用されることが可能である。そのようなより小さいピクセルを用いて、ミーフォトセンサーの半導体接合エリアは非常に低減され、接合の飽和電流が減少され、次に、センサーの最小感度が低減されることが可能である。増加した効率は、より低いノイズ、より低い強度しきい値、またはより小さいアレイ面積を生じることができる。スタックフォトセンサーはまた、撮像システム中に発生するクロム収差の利用を可能にすることができる。クロム収差により、オブジェクト平面からの異なるカラーは、異なる画像平面中で焦点合わせされるようになる。そのような構成は、あまり高価でなく複雑でない光学素子を可能にするか、または代替として、より高い解像度画像を可能にする。エンジニアリングされたクロム収差を用いて光学素子を設計することによって、どんなカラーフィルタ処理も用いないカラー画像が可能になる。
【0118】
III.E ミーフォトセンサーからの性能改善
ミーフォトセンサーは、1)画像品質、2)3次元ピクセルサイズ、および3)機能という、少なくとも3つの分野において従来のフォトセンサーに現在見られる制約を克服する。
【0119】
ミーフォトセンサーは、それらが従来のフォトセンサーに対して測定感度、ダイナミックレンジ、および応答時間を改善することができるので、画像品質に著しい影響を及ぼす。様々な実装構成の下で、それらは、ノイズをさらに低減し、空間解像度を向上させ、画像コントラストを改善するために使用されることが可能である。さらに、それらは、低い照度から起こる長い積分時間を必要とする適用例において小さいピクセルの使用中に起こる重要な課題を解消する。
【0120】
ミーフォトセンサーは、ピクセルの3次元サイズを実質的に低減するという課題を解決する。ミーフォトセンサーは、検出されるべき光の波長程度の、またはそれよりも小さいサイズで入射光に直交して作製される。同じく重要なことには、ミーフォトセンサーは、1/α未満の厚さで実装されることが可能である。現在の半導体平坦化技法とともに、そのようなより薄いフォトセンサーのアレイはより小さい焦点深度を与え、この焦点深度は、そのような小さいピクセルを利用することを容易にする。
【0121】
ミーフォトセンサーはまた、いくつかの重要な仕方で機能を改善する。まず、ミーフォトセンサーは有意な効果SWaPを有する。より小さくより薄いアレイは、いくつかの適用例ではより小さいF数光学素子の利用につながることができる。より小さいF数光学素子は、より有意にコンパクトになることができる。ミーフォトセンサーは、各ピクセルの電力消費量を低減して、撮像デバイスの全体的な電力要件を低減するか、または代替として、電力消費量の増加を最小限に抑えながらピクセルカウントの増加を可能にする。
【0122】
さらに、波長または偏光において異なる共鳴を示すミーフォトセンサーは、異なるセンサーが異なるタイプの光に対して真性感度を有することができることを意味する。従来のフォトセンサーを使用すると、波長または偏光の特異性は、フィルタ処理を使用して達成される。この手法は、指定されたタイプのものを除いて、情報担持の入射光を除去する。他の光をなくすのではなく、ミーセンサーは、入射ストリームから指定された光を抽出し、近くにあるか、隣接するか、または末尾のミーフォトセンサーが光の他の態様を測定し続けることを可能にするものとして考えることが可能である。したがって、入射光の1つまたは複数の特徴に対して共鳴を示すミーフォトセンサーは、選択ミーフォトセンサーと呼ばれる。したがって、動きの速いシーンの迅速なデータ収集のための複数の高解像度画像化モダリティの画像検出およびチップレベル統合のためのミーフォトセンサーを使用して、コンパクトな低電力デバイスを開発することが可能になる。
【0123】
さらに、ミーフォトセンサーは、ピクセル中の光検出面積の割合が、センサーの感度およびキャプチャされる画像の信号対ノイズに直接影響を及ぼす、従来のセンサー技術に見られるフィルファクタ問題の多くを低減することができる。したがって、センサーサイズおよび電力消費量の拡大を制限しながらコンピュータビジョン前処理機能をチップ上に埋め込むためのより大きい機会がある。
【0124】
III.F 適用例
小さいサイズ、高速度、およびシリコン作製技術との適合性は、ミーフォトセンサーが、光学的送信信号の受信機として単一の検出器または検出器のアレイとして実装され得ることを示唆する。特に、ミーフォトセンサーは、コンピュータ構成要素を構成する個々の集積回路の一部として作製され、それにより、CPUボード上の構成要素とコンピュータバックプレーン上の構成要素との間の、構成要素内の情報転送速度の増加が簡略化され得る。
【0125】
ミーフォトセンサーアレイを伴う光学素子を用いた撮像またはコンタクト撮像の利点は、増加した空間解像度、増加したコントラスト、より小さいカメラパッケージ、スペクトル感度、偏光ベースの撮像、より低電力の入力要件をもつ撮像などを含む。これらの利点は、コンシューマーエレクトロニクスのための撮像、内視鏡検査および外科的ロボティクスのための医療撮像、工業撮像およびマシンビジョン、自己駆動車を含む自動車適用例のための撮像、ならびにセキュリティおよび防御適用例のための撮像を含む、多くの適用例において向上された性能を与える。
【0126】
ミーフォトセンサーの高速度は、それが光学的飛行時間測定の特定の値を有することを示唆する。個々のミーフォトセンサーは、オブジェクトトラッキングおよびクラッシュ予測の一部として実装され得る。アレイとして実装されると、ミーフォトセンサーは、3次元シーン再構築の手段としてこのようにして利用され得る。
【0127】
開路モードで実装されたミーフォトセンサーの対数応答と組み合わされた微光感度は、ほとんど暗いから明るいまでの光条件における撮像のための効用を示唆する。そのようなレンジは、自動車カメラ、監視撮像ツール、および多くの工業適用例において頻繁に見出される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E