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特許7522115無線機器の無線周波数性能の試験方法、装置及び試験計器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】無線機器の無線周波数性能の試験方法、装置及び試験計器
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/15 20150101AFI20240717BHJP
   H04B 7/0413 20170101ALI20240717BHJP
   H04B 17/29 20150101ALI20240717BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20240717BHJP
   H04W 88/02 20090101ALI20240717BHJP
【FI】
H04B17/15
H04B7/0413
H04B17/29
H04W16/28 130
H04W88/02 150
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021538050
(86)(22)【出願日】2019-10-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-09
(86)【国際出願番号】 CN2019113244
(87)【国際公開番号】W WO2020134447
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-07-02
【審判番号】
【審判請求日】2023-06-12
(31)【優先権主張番号】201811620599.3
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518333281
【氏名又は名称】ジェネラル テスト システムズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(74)【復代理人】
【識別番号】100156410
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 輝和
(74)【復代理人】
【識別番号】100155882
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】漆 一宏
(72)【発明者】
【氏名】于 ▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】沈 鵬輝
【合議体】
【審判長】千葉 輝久
【審判官】寺谷 大亮
【審判官】上田 翔太
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0373773(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第3361654(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/02- 7/12
H04B17/00-17/40
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線機器の無線周波数性能の試験方法であって、前記方法は、
試験対象物のパワーレポート情報を取得するステップと、
前記パワーレポート情報に基づいて伝搬チャネル行列を取得し、前記伝搬チャネル行列に基づいてロード用逆行列を取得して、前記逆行列にしたがってテスターの出力ポートと前記試験対象物の受信機ポートとの間に仮想ワイヤを形成するステップと、
スループット試験信号が前記仮想ワイヤを介して伝送されることにより、前記試験対象物の性能試験を行い、無線周波数性能の試験結果を生成するステップと、を含み、
前記パワーレポート情報に基づいて伝搬チャネル行列を取得するステップは、
第1の試験アンテナから第1の信号を出力し、前記試験対象物の複数の受信機がパワーレポート情報を取得し、当該パワーレポート情報に基づいて、前記試験対象物の各受信機によって受信された、前記第1の信号に対する振幅値を取得するステップと、
第2の試験アンテナから第2の信号を出力し、前記試験対象物の複数の受信機がパワーレポート情報を取得し、当該パワーレポート情報に基づいて、前記試験対象物の各受信機によって受信された、前記第2の信号に対する振幅値を取得するステップと、
試験アンテナを順次切り替えて信号を出力し、各試験アンテナの出力信号に対するすべての振幅値が得られるまで、前記試験対象物の複数の受信機のパワーレポート情報の取得を繰り返して前記伝搬チャネル行列全体の全ての振幅値を取得するステップと、
第1の試験アンテナからの第1の信号に対する第1の振幅値、第2の試験アンテナからの第2の信号に対する第2の振幅値、及び、第1の試験アンテナ及び第2の試験アンテナから同時に送信された第1の信号及び第2の信号に対する合成振幅値から、第1の信号及び第2の信号に対する前記試験対象物の複数の各受信機の位相差をそれぞれ取得するステップと、
任意の2つの試験アンテナを順次切り替えて信号を出力し、任意の2つの試験アンテナの出力信号に対する前記試験対象物の複数の各受信機の位相差が全て得られるまで、前記位相差の取得を繰り返して前記伝搬チャネル行列内の位相差を取得するステップと、を含む、
ことを特徴とする無線機器の無線周波数性能の試験方法。
【請求項2】
前記方法は、
前記試験対象物の複数のアンテナのアンテナパターン情報を取得するステップと、
前記アンテナパターン情報とプリセットMIMO伝搬チャネルモデルとを融合することにより、MIMO伝搬チャネルをシミュレーションして取得し、前記スループット試験信号を生成するステップと、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線機器の無線周波数性能の試験方法。
【請求項3】
前記パワーレポート情報は、前記試験対象物がアンテナを介して各受信機によって受信された信号のパワー情報を報告して取得されるか、または受信された信号のパワー情報をローカルに記録した後に導出して取得される、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線機器の無線周波数性能の試験方法。
【請求項4】
無線機器の無線周波数性能の試験装置であって、
試験対象物のパワーレポート情報を取得するための採集モジュールと、
前記パワーレポート情報に基づいて伝搬チャネル行列を取得し、前記伝搬チャネル行列に基づいてロード用逆行列を取得して、前記逆行列にしたがってテスターの出力ポートと前記試験対象物の受信機ポートとの間に仮想ワイヤを形成するための第1の取得モジュールと、
スループット試験信号が前記仮想ワイヤを介して伝送されることにより、前記試験対象物の性能試験を行い、無線周波数性能の試験結果を生成するための試験モジュールと、を含み、
前記パワーレポート情報に基づいて伝搬チャネル行列を取得するユニットは、
第1の試験アンテナから第1の信号を出力し、前記試験対象物の複数の受信機がパワーレポート情報を取得し、当該パワーレポート情報に基づいて、前記試験対象物の各受信機によって受信された、前記第1の信号に対する振幅値を取得するユニットと、
第2の試験アンテナから第2の信号を出力し、前記試験対象物の複数の受信機がパワーレポート情報を取得し、当該パワーレポート情報に基づいて、前記試験対象物の各受信機によって受信された、前記第2の信号に対する振幅値を取得するユニットと、
試験アンテナを順次切り替えて信号を出力し、各試験アンテナの出力信号に対するすべての振幅値が得られるまで、前記試験対象物の複数の受信機のパワーレポート情報の取得を繰り返して前記伝搬チャネル行列全体の全ての振幅値を取得するユニットと、
第1の試験アンテナからの第1の信号に対する第1の振幅値、第2の試験アンテナからの第2の信号に対する第2の振幅値、及び、第1の試験アンテナ及び第2の試験アンテナから同時に送信された第1の信号及び第2の信号に対する合成振幅値から、第1の信号及び第2の信号に対する前記試験対象物の複数の各受信機の位相差をそれぞれ取得するユニットと、
任意の2つの試験アンテナを順次切り替えて信号を出力し、任意の2つの試験アンテナの出力信号に対する前記試験対象物の複数の各受信機の位相差が全て得られるまで、前記位相差の取得を繰り返して前記伝搬チャネル行列内の位相差を取得するユニットとを含む、
ことを特徴とする無線機器の無線周波数性能の試験装置。
【請求項5】
前記装置は、
前記試験対象物の複数のアンテナのアンテナパターン情報を取得するための第2の取得モジュールと、
前記アンテナパターン情報とプリセットMIMO伝搬チャネルモデルとを融合することにより、MIMO伝搬チャネルをシミュレーションして取得し、前記スループット試験信号を生成するための生成モジュールと、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の無線機器の無線周波数性能の試験装置。
【請求項6】
前記パワーレポート情報は、前記試験対象物がアンテナを介して各受信機によって受信された信号のパワー情報を報告して取得されるか、または受信された信号のパワー情報をローカルに記録した後に導出して取得される、
ことを特徴とする請求項4に記載の無線機器の無線周波数性能の試験装置。
【請求項7】
試験計器であって、
前記試験計器は、請求項4~6のいずれかに記載の無線機器の無線周波数性能の試験装置を含む、
ことを特徴とする試験計器。
【請求項8】
コンピュータ上で動作する際に、請求項1~3のいずれかに記載の無線機器の無線周波数性能の試験方法を前記コンピュータに実行させる、
コンピュータプログラム。
【請求項9】
コンピュータプログラムが記憶されるように構成されるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、コンピュータ上で動作する際に、請求項1~3のいずれかに記載の無線機器の無線周波数性能の試験方法を前記コンピュータに実行させる、
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、深セン市ジェネラル試験システムズカンパニーリミテッドが2018年12月28日にて提供された、発明の名称が「無線機器の無線周波数性能の試験方法、装置及び試験計器」である、中国特許出願番号が「201811620599.3」である優先権を主張する。
【0002】
本発明は、無線機器性能試験技術の分野に関し、特に、無線機器の無線周波数性能の試験方法、装置及び試験計器に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術では、伝導の手段により無線機器の無線周波数性能を試験することは、一般的なことである。具体的には、図1に示すように、まず、伝導方法により無線機器のアンテナ性能を試験し、次に、伝導線を受信機に接続して受信機性能を試験して取得された結果の組み合わせを、機器全体の無線周波数性能と見なされる。
【0004】
しかしながら、関連技術の伝導試験には、以下のいくつかの問題が存在する。
第1:伝導線は、試験対象物伝導のフィードポイントに接続されるため、試験対象物自体の無線周波数整合が変化し、アンテナと受信機性能がさらに変化し、
第2:伝導線に電流が結合されて、試験対象物の一部となり、
第3:通常の動作モードで、試験対象物自体の干渉ノイズは、アンテナを介して受信機に結合されて受信機に何らかの干渉を引き起こす可能性があるが、伝導接点が接続された後、ノイズ結合は、受信機に入らず、試験結果と実際の結果が一致しなくなり、
第4:5G無線端末では、試験対象物の寸法の制限またはコスト上の要求のため、一般に、無線周波数接点が残っていないため、伝導試験が基本的に行われなくなる。
【0005】
したがって、関連技術の伝導試験に一定の誤差があるだけでなく、試験精度を低下させ、ある程度の限界があり、早速に解決する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、関連技術における少なくとも一つの技術的課題をある程度で解決することを目的とする。
【0007】
そのため、本発明の一つの目的は、パワーレポート情報に基づいて仮想ワイヤの求解を実現することができる無線機器の無線周波数性能の試験方法を提供する。
【0008】
本発明の他の目的は、無線機器の無線周波数性能の試験装置を提供する。
【0009】
本発明のもう一つの目的は、試験計器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の一態様の実施例は、無線機器の無線周波数性能の試験方法を提供し、前記方法は、試験対象物のパワーレポート情報を取得するステップと、前記パワーレポート情報に基づいて伝搬チャネル行列を取得し、前記伝搬チャネル行 に基づいてロード逆行列を取得して、前記逆行列にしたがってテスターの出力ポートと前記試験対象物の受信機ポートとの間に仮想ワイヤを形成するステップと、スループット試験信号が前記仮想ワイヤを介して伝送されることにより、前記試験対象物に対する性能試験を行い、無線周波数性能の試験結果を生成するステップと、を含む。
【0011】
本発明の実施例の無線機器の無線周波数性能の試験方法は、パワーレポート情報に基づいて伝搬チャネル行列を取得し、テスターの出力ポートと試験対象物の受信機ポートとの間に仮想ワイヤを形成して、試験対象物の性能試験を行って無線周波数性能の試験結果を取得することができ、パワーレポート情報に基づいて仮想ワイヤの求解を実現することによって、試験の正確度を向上させるとともに、試験効率を向上させ、試験の適用性を向上させる。
【0012】
また、本発明の上記実施例の無線機器の無線周波数性能の試験方法は、以下の追加的な技術的特徴を有することもできる。
さらに、本発明の一実施例では、前記試験対象物の複数のアンテナのアンテナパターン情報を取得するステップと、前記アンテナパターン情報とプリセットMIMO伝搬チャネルモデルとを融合することで、MIMO伝搬チャネルをシミュレーションして取得し、前記スループット試験信号を生成するステップと、をさらに含む。
【0013】
さらに、本発明の一実施例では、前記パワーレポート情報は、前記試験対象物が、アンテナを介して各受信機によって受信された信号のパワー情報を報告して取得されるか、または受信された信号のパワー情報をローカルに記録した後に導出して取得される。
【0014】
さらに、本発明の一実施例では、前記パワーレポート情報に基づいて伝搬チャネル行列を取得するステップは、前記パワーレポート情報に基づいて振幅値を取得するステップと、前記振幅値に基づいて前記伝搬チャネル行列における要素の位相差を取得するステップ 前記振幅値と前記位相差によって、前記伝搬チャネル行列を取得するステップと、をさらに含む。
【0015】
さらに、本発明の一実施例では
前記パワーレポート情報に基づいて伝搬チャネル行列を取得するステップは、
各試験アンテナはそれぞれ信号を送信し、試験対象物の各受信機のパワーレポート情報 を取得し、それに基づいて、前記試験対象物の各受信機によって受信された、各試験アン テナによってそれぞれ送信された信号の振幅値を取得するステップと、
試験アンテナにおける任意の二つの試験アンテナが同時に信号を送信し、試験対象物の 各受信機のパワーレポート情報を取得し、それに基づいて、各受信機によって受信された 、前記任意の二つの試験アンテナによって送信された信号の合計振幅値を取得して、前記 試験対象物の各受信機によって受信された、各試験アンテナによってそれぞれ送信された 信号の振幅値、および前記合計振幅値に基づいて、前記試験対象物の各受信機によって受 信された任意の二つの試験アンテナによって送信された信号の位相差を取得することによ り、試験アンテナと試験対象物との伝搬チャネル行列を取得するステップと、を含む。
【0016】
上記の目的を達成するために、本発明の他の態様の実施例は、無線機器の無線周波数性能の試験装置を提供し、試験対象物のパワーレポート情報を取得するための採集モジュールと、前記パワーレポート情報に基づいて伝搬チャネル行列を取得し、前記伝搬チャネル 行列に基づいてロード逆行列を取得して、前記逆行列にしたがってテスターの出力ポートと前記試験対象物の受信機ポートとの間に仮想ワイヤを形成するための第1の取得モジュールと、スループット試験信号が前記仮想ワイヤを介して伝送されることにより、前記試験対象物に対する性能試験を行い、無線周波数性能の試験結果を生成するための試験モジュールと、を含む。
【0017】
本発明の実施例の無線機器の無線周波数性能の試験装置は、パワーレポート情報に基づいて伝搬チャネル行列を取得し、テスターの出力ポートと試験対象物の受信機ポートとの間に仮想ワイヤを形成して、試験対象物の性能試験を行って無線周波数性能の試験結果を取得することができ、パワーレポート情報に基づいて仮想ワイヤの求解を実現することによって、試験の正確度を向上させるとともに、試験効率を向上させ、試験の適用性を向上させる。
【0018】
また、本発明の上記の実施例の無線機器の無線周波数性能の試験装置は、以下の追加的な技術的特徴を有することもできる。
さらに、本発明の一実施例では、前記試験対象物の複数のアンテナのアンテナパターン情報を取得するための第2の取得モジュールと、前記アンテナパターン情報とプリセットMIMO伝搬チャネルモデルとを融合することで、MIMO伝搬チャネルをシミュレーションして取得し、前記スループット試験信号を生成するための生成モジュールと、をさらに含む。
【0019】
さらに、本発明の一実施例では、前記パワーレポート情報は、前記試験対象物がアンテナを介して各受信機によって受信された信号のパワー情報を報告して取得されるか、または受信された信号のパワー情報をローカルに記録した後に導出して取得される。
【0020】
さらに、本発明の一実施例では、前記第1の取得モジュールは、前記パワーレポート情報に基づいて前記伝搬チャネル行列における要素の振幅値を取得するためのユニットと、前記振幅値に基づいて前記伝搬チャネル行列における要素の位相差を取得するためのユニ ットと前記振幅値と前記位相差によって、前記伝搬チャネル行列を取得するためのユニットと、を含む。
【0021】
上記の目的を達成するために、本発明のもう一つの態様の実施例は、試験計器を提供し、上記の無線機器の無線周波数性能の試験装置を含む。当該試験計器パワーレポート情報に基づいて伝搬チャネル行列を取得し、テスターの出力ポートと試験対象物の受信機ポートとの間に仮想ワイヤを形成して、試験対象物の性能試験を行って無線周波数性能の試験結果を取得することができ、パワーレポート情報に基づいて仮想ワイヤの求解を実現することによって、試験の正確度を向上させるとともに、試験効率を向上させ、試験の適用性を向上させる。
【0022】
本発明のもう一つの態様の実施例は、コンピュータプログラムを提供し、前記コンピュ ータプログラムは、コンピュータ上で動作しているときに、前記コンピュータに本出願の 実施例のいずれかに記載の無線機器の無線周波数性能の試験方法を実行させるために用い られる。
【0023】
本発明のもう一つの態様の実施例は、コンピュータ命令が記憶されている非一時的なコ ンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、前記コンピュータ命令は、前記コンピュー タに本出願の実施例のいずれかに記載の無線機器の無線周波数性能の試験方法を実行させ るために用いられる。
【0024】
本発明の付加的な特徴及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明により明らかになり、または本発明の実践により理解される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の上記及び/または付加的な側面及び利点は、以下、図面を参照する上での実施例についての説明において、明らかになり、理解しやすくなる。
図1】関連技術の伝導試験無線機器の無線周波数性能の原理概略図である。
図2】関連技術のMIMO OTA試験の原理概略図である。
図3】関連技術の試験アンテナのフロントエンドが無線周波数行列モジュールに追加される原理概略図である。
図4】関連技術のN個の仮想ワイヤと試験ポート及び受信機ポートとの接続の概略図である。
図5】関連技術のMIMO試験方法の放射2ステージ法(Radiated Two Stage)の原理概略図である。
図6】本発明の実施例に係る無線機器の無線周波数性能の試験方法のフローチャートである。
図7】本発明の一実施例に係る試験アンテナ1の信号出力概略図である。
図8】本発明の一実施例に係る試験アンテナ2の信号出力概略図である。
図9】本発明の一実施例に係る試験アンテナ1及び試験アンテナ2の信号出力概略図である。
図10】本発明の一実施例に係る公式の表面信号の伝搬概略図である。
図11】本発明の一実施例に係る試験対象物をマイクロ波暗室に入れる試験の概略図である。
図12】本発明の実施例に係る無線機器の無線周波数性能の試験装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。前記実施例における例が図面に示され、同一または類似する符号は、常に同一または類似する部品、または、同一または類似する機能を有する部品を示す。以下に、図面を参照しながら説明される実施例は例示的なものであり、本発明を解釈することを旨とし、本発明を限定するものと理解してはいけない。
【0027】
以下、本発明の実施例により提供される無線機器の無線周波数性能の試験方法及び装置を説明する前に、本出願は、発明者が以下の問題に対するどのような認識及び発見に基づいて完成されることを、簡単に説明し、
現在、主にOTA(Over The Air、無線ダウンロード技術試験)試験によって無線インターフェース(air interface)状態で(無線周波数ケーブル接続の試験対象物なし)無線機器無線周波数性能の良否を評価し、無線機器の実際の無線周波数性能の評価を取得する。
【0028】
具体的には、OTA試験は、既に、国内外の無線機器無線周波数性能評価の標準的な試験方法となっている。例えば、市場で発売された無線電子製品は、すべてOTA認証試験を経て、その無線性能が指標に達することを確保し、当該機器が電磁環境に干渉を引き起こさないことを確保する。その中、OTA試験は、いくつかの分類に分けられ、単入力単出力システム(SISO)に対して、その試験指標は、主に、総放射パワー(TRP)と総受信感度(TIS)の二つがあり、マルチ入力マルチ出力システム(MIMO)に対して、その試験指標にはスループットがある。国内のOTA標準制定組織は、中国通信標準化協会CCSAであり、国際のOTA標準制定組織は、3GPP(3rd Generation Partnership Project)である。
【0029】
MIMO OTA試験では、「仮想ワイヤ」という技術は、複数の場所で採用される。具体的には、図2に示すように、マルチアンテナ試験対象物を遮蔽室に配置し、試験アンテナ数Mが試験対象物アンテナ数Nと等しい場合、電磁波は、N個の試験アンテナからN個の受信アンテナフィードポイントに送信されて一つの安定した伝搬チャネル行列を形成し、伝搬チャネル行列Pとして記録され、その中、Pは、一つのN×Nの行列である。
【0030】
試験アンテナのフロントエンドに一つの無線周波数行列モジュールを追加し、図3に示すように、無線周波数行列モジュールVの値を、伝搬チャネル行列Pの逆と等しく設置し、すなわちP=V-1である場合、N個の試験ポートの信号(T1,T2,…,TN)とN個の受信機ポートの受信信号(R1,R2,…,RN)は、次の関係を満たし、
その中、
は、行列の転置を示す。
【0031】
上記の式は、このような設定で、試験ポートの信号を受信機ポートに直接導入することを実現し、伝導線接続の方式と類似しており、試験対象物が常に、完全な実装状態にあり、任意の侵入式の電線接続がなく、試験して取得された性能は、実際の動作性能であることが相違している。このような動作方式は、「仮想ワイヤ」技術とも呼ばれ、図4に示すように、N個の仮想ワイヤは、試験ポートと受信機ポートとを接続する。
【0032】
仮想ワイヤ技術は、複数の試験態様で使用でき、その中、最も具体的なことは、MIMO試験国際標準の放射2ステージ法である。例えば、関連技術に開示されている一つの放射2ステージ法は、高速かつ正確で経済的なMIMO OTA試験の解決案である。放射2ステージ法は、コンピュータによって各受信機に到達するべき信号(すなわち、各受信機に到達するべきスループット試験信号)を計算し、次に、仮想ワイヤを介して対応する試験信号を当該受信機に直接に送信し、複数の信号が同時に伝送されてスループットを試験することを実現する。
【0033】
具体的には、MIMO試験方法の放射2ステージ法の試験は図5に示し、試験プロセスは、主に、以下のようなステップに分けられる。
S1:試験対象であるMIMO無線端末の複数のアンテナのアンテナパターン情報を取得する。
【0034】
S2:取得された無線端末の複数のアンテナのアンテナパターン情報とプリセット設定されたMIMO伝搬チャネルモデルとを融合することで、完全なMIMO伝搬チャネルをシミュレーションして取得し、スループット試験信号を生成する。
【0035】
S3:暗室内の試験対象物に対する伝搬チャネル行列を決定し、次に、伝搬チャネル行 に基づいて逆行列を計算し、逆行列をロードし、チャネルモデルの出力ポートと試験対象物の受信機ポートとの間に仮想ワイヤを形成する。
【0036】
S4:仮想ワイヤを介してスループット試験信号を伝送して前記無線端末を試験する。
【0037】
しかしながら、多くの特別な場合には、仮想ケーブルの実現には、多くの困難があり、例えば、
図2に示すように、空間伝搬チャネル行列Pが
であると仮定すると、
XYは、y番目の試験アンテナから送信してx個のアンテナによって受信された信号振幅の変化を示し、
は、y番目の試験アンテナから送信してx個のアンテナによって受信された信号位相変化を示し、つまり、
は、y番目の試験アンテナから送信してx個のアンテナによって受信されたSパラメータである。
【0038】
空間伝搬チャネル行列Pの逆行列を解くには、Pの情報を得る必要があり、しかしながら、OTA試験では、試験対象物は、すべて伝導線によって接続されておらず、すなわち、試験アンテナから試験対象物の受信ポートまでには絶対位相を計算できる参照基準がないため、P式内のXXYは未知であるため、理論的にはP行列の逆行列は、解くことができないことを意味する。
【0039】
関連技術としての[2×2逆行列の求解のアンテナパターン情報に基づく電磁波伝搬チ ャネル行列の逆行列求解方法]には、2×2放射2ステージ法の試験対象物端末リターン情報に基づく逆行列求解方法が開示され、しかしながら、当該方法は、N>2の場合には適用できず、且つ関連技術としての[MIMO無線端末試験に基づく信号生成方法及び装置]には、M×N放射2ステージ法における試験対象物端末リターン情報に基づく逆行列求解方法が開示され、具体的には、当該方法は、試験対象物リターンにおいて、P行列の振幅情報、及びP行列内の各列要素内の、他の要素が1番目の要素に対する位相差情報を取得することができ、例えば、P行列の第1の列には、
試験対象物自体の計算リターンによってx11に対するxN1の値(x11自体の値は不明である)を知ることができ、次に、これらのリターンの位相情報に基づいて逆行列を求解することができる。この方式は、一部の試験対象物に適用され、しかしながら、以下のいくつかの場合には欠陥がある。
1、位相リターンがない試験対象物に対して、このような方式では、位相差を取得することができず、計算することができず、例えば、いくつかのアレイアンテナ、またはマルチアンテナルーターなどは、自体が位相試験及びリターンの能力を備えていなく、
2、位相リターンが不正確な試験対象物に対して、このような方法は、大きく制限され、特にNが大きい場合、位相の精度は、仮想ワイヤの求解精度を大きく影響する。
【0040】
本発明は、上記の問題に基づいて、無線機器の無線周波数性能の試験方法、装置及び試験計器を提供する。
【0041】
以下、図面を参照して本発明の実施例により提供される無線機器の無線周波数性能の試験方法、装置及び試験計器を説明し、まず、図面を参照して本発明の実施例により提供される無線機器の無線周波数性能の試験方法を説明する。
【0042】
図6は、本発明の実施例の無線機器の無線周波数性能の試験方法のフローチャートである。
【0043】
図6に示すように、当該無線機器の無線周波数性能の試験方法は、以下のようなステップを含む。
ステップS101において、試験対象物のパワーレポート情報を取得する。
【0044】
選択可能には、本発明の一実施例では、パワーレポート情報は、試験対象物がアンテナを介して各受信機によって受信された信号のパワーを報告して取得されるか、または受信されたパワーをローカルに記録した後に導出して取得される。
【0045】
本発明の実施例は、試験対象物がパワーレポート情報のみを提供する必要があり、現在の通信システムでは、一般に、試験対象物がすべて、GSM、WiFi、LTE、ZigBeeなどのパワーレポートをサポートするが、制式では位相リターンをサポートしておらず、パワーレポート試験精度は、位相試験よりはるかに高いことを理解されたい。したがって、本発明の実施例は、より正確で、より汎用性の求解を有し、仮想ワイヤを実現することができる。
【0046】
ステップS102において、前記パワーレポート情報に基づいて伝搬チャネル行列を取得し、前記伝搬チャネル行列に基づいてロード逆行列を取得して、テスターの出力ポートと前記試験対象物の受信機ポートとの間に仮想ワイヤを形成する。
【0047】
本発明の一実施例では、パワーレポート情報に基づいて伝搬チャネル行列を取得するステップは、パワーレポート情報に基づいて振幅値を取得するステップと、振幅値に基づいて伝搬チャネル行列における要素の位相差を取得して、伝搬チャネル行列を取得するステップと、をさらに含む。
【0048】
さらに、本発明の一実施例では、試験用公式は、
であり、
Nは、試験対象物のアンテナ数を示し、Tは、試験ポートの励振信号を示し、Rは、受信機ポートの受信信号を示し、
は、位相情報を示し、Eは、伝搬チャネル行列によって取得されることを示す。
【0049】
具体的には、N個のアンテナのMIMO試験対象物に対して、それを遮蔽室(暗室は遮蔽効果があるため、暗室であってもよく)に入れ、遮蔽室にはN個より大きい試験アンテナがあり、図3に示すように、N個の試験アンテナを選択して一つのN×Nの無線周波数行列モジュールVに接続し、その中、試験ポートは、すべての単位励振(振幅位相が等しい)を出力する。試験対象物は、パワーレポートをサポートする必要があり、すなわち、試験対象物は、アンテナを介して各受信機によって受信された信号のパワーの大きさを試験計器に報告するか、または受信されたパワーの大きさをローカルに記録した後に導出することができる。
【0050】
逆行列が、
であると仮定すると、
伝搬チャネル行列Pは未知であり、その取得プロセスは、
ステップ1:試験ポートを単位励振(T1,T2,…,TN)=(1,1,…,1)として保持し、
ステップ2:逆行列を
に書き込み、この時、試験アンテナ1のみが信号出力を有することに相当し、図7に示すように、N個の受信機パワー報告(実数を、振幅値に変換する)、すなわちP行列の第1の列の振幅情報を読み取り、
に記録し、
ステップ3:逆行列を
に書き込み、この時、試験アンテナ2のみが信号出力を有することに相当し、図8に示すように、N個の受信機パワー報告(実数を、振幅値に変換する)、すなわちP行列の第2の列の振幅情報を読み取り、
に記録し、
ステップ4:順次にV行列の対角線に1を書き込み、その他にはゼロを書き込み、P行列全体のすべての振幅情報
を取得することができ、
ステップ5:パワー合成アルゴリズムによって部分位相情報を求解し、具体的には、
a、逆行列Vにおいて
であり、その他は、すべてゼロとして書き込み、すなわち
であり、その時、試験アンテナ1及び試験アンテナ2のみが同時に信号出力を有することに相当し、図9に示すように、N個の受信機パワー報告(実数を、振幅値に変換する)を読み取り、
に記録し、この時、各受信機のパワーは、すべて二つの信号の合成であり、例えば、n番目の受信機に対して、その受信信号の振幅大きさは、
であり、Pn1、Pn2、及び
は、すべて上記のステップで取得されるため、上記の式に代入してXn1-Xn2の値を求めることができ、同様に、
に基づいて、
の値を求解することができ、すなわち、P行列内の、第1の列の対応する行の要素に対する第2の列要素の位相差を計算することができ、
また、
を異なる値に複数回に設置することによって、次に、受信パワーを読み出すことによって、より正確な
の求解を実現することができる。例えば、

の振幅を固定し、次に、回転ベクトル法を使用して第1の列の対応する行の要素に対する第2の列要素の位相差を求解することができ、
b、同様に、逆行列Vにおいて
であり、その他は、すべてゼロに書き込み、N個の受信機パワー報告(実数を、振幅値に変換する)を読み取り、
の値を求解し、すなわち、P行列内の、第1の列の対応する行の要素に対する第3の列要素の位相差を計算し、
c.同様に、P行列内の、第1の列の対応する行の要素に対するすべてのN列要素の位相差を計算し、ここで、P行列を、
に書き込み、
ただし、
は、y番目の試験アンテナから送信してx個のアンテナによって受信された信号位相変化から、最初の試験アンテナから送信してx個のアンテナによって受信された信号位相変化を減算したものであり、上記の第5のステップによって求解して取得し、
は、最初の試験アンテナがすべての受信アンテナに送信した位相変化として、未知である。
【0051】
この時点で、P行列の求解は終了し、その逆行列の求解は、以下のように、
P行列は、
に示すことができ、
その中、E行列は、未知であり、PB行列は、完全に既知(上記のステップによって求解されて取得する)である。
【0052】
B行列の逆を求めて、
B -1を逆行列モジュールに書き込み、すなわち、V=PB -1とすると、
試験ポートから出発した試験信号(T1,T2,…,TN)と受信機ポートの信号(R1,R2,…,RN)との関係は、
であり、P=E*Pであるため、上記の式に代入して、
を取得し、
E行列を代入して、
を取得し、
上記の式の表面では、n番目の受信機の受信信号が、完全にn番目の試験ポートからのものであり、信号には未知の位相情報が重畳されているが、このような分離式の1対1の信号伝送方式は、仮想ワイヤの伝送技術であり、図10に示すように、当該式の表面信号の伝搬は、試験ポートから受信機に1対1に送信する。
【0053】
ステップS103において、スループット試験信号が前記仮想ワイヤを介して伝送されることにより、前記試験対象物の性能試験を行い、無線周波数性能の試験結果を生成する。
【0054】
本発明の実施例では、本発明の実施例は、位相情報に依存することなく、試験対象物のパワーレポートのみが必要とする場合に仮想ワイヤの求解を実現し、様々の制式の試験対象物を使用してもよいし、放射2ステージ法で使用してもよく、精度が高く、求解が少なく、時間も速い。
【0055】
また、本発明の一実施例では、試験対象物の複数のアンテナのアンテナパターン情報を取得するステップと、アンテナパターン情報とプリセットMIMO伝搬チャネルモデルとを融合することで、MIMO伝搬チャネルをシミュレーションして取得し、スループット試験信号を生成するステップと、をさらに含む。
【0056】
例えば、本発明の実施例は、放射2ステージ法で使用することができ、以下、詳細に説明する。
【0057】
具体的には、試験対象物をマイクロ波暗室に入れ、図11に示すように、以下のような試験ステップを含む。
ステップ1:試験対象のMIMO無線端末の複数のアンテナのアンテナパターン情報を取得する。
【0058】
ステップ2:取得された無線端末の複数のアンテナのアンテナパターン情報とプリセット設定されたMIMO伝搬チャネルモデルとを融合することで、完全なMIMO伝搬チャネルをシミュレーションして取得し、スループット試験信号を生成する。
【0059】
ステップ3:試験対象物位置を固定し、本発明により提供されるステップによって、試験対象物のパワーレポートを利用して暗室内の伝搬チャネル行列と、ロードする必要がある逆行列とを決定し、逆行列をロードして、テスターの出力ポートと試験対象物の受信機ポートとの間に仮想ワイヤを形成する。
【0060】
ステップ4:スループット試験信号を仮想ワイヤを介して伝送して前記無線端末を試験する。
【0061】
本発明の実施例の無線機器の無線周波数性能の試験方法によれば、パワーレポート情報に基づいて伝搬チャネル行列を取得し、テスターの出力ポートと試験対象物の受信機ポートとの間に仮想ワイヤを形成して、試験対象物の性能試験を行って無線周波数性能の試験結果を取得することができ、位相情報に依存することなく、パワーレポート情報に基づいて仮想ワイヤの求解を実現することによって、様々の制式の試験対象物を使用してもよいし、放射2ステージ法で使用してもよく、精度が高く、求解が少なく、時間も速く、試験の正確度を向上させるとともに、試験効率を向上させ、試験の適用性を向上させる。
【0062】
次に、図面を参照して本発明の実施例により提供される無線機器の無線周波数性能の試験装置を説明する。
【0063】
図12は、本発明の実施例の無線機器の無線周波数性能の試験装置の概略構成図である。
【0064】
図12に示すように、当該無線機器の無線周波数性能の試験装置10は、採集モジュール100と、第1の取得モジュール200と、試験モジュール300とを含む。
【0065】
その中、採集モジュール100は、試験対象物のパワーレポート情報を取得する。第1の取得モジュール200は、パワーレポート情報に基づいて伝搬チャネル行列を取得し、伝搬チャネル行列に基づいてロード逆行列を取得して、テスターの出力ポートと試験対象物の受信機ポートとの間に仮想ワイヤを形成する。試験モジュール300は、スループット試験信号が仮想ワイヤを介して伝送されることにより、試験対象物の性能試験を行い、無線周波数性能の試験結果を生成する。本発明の実施例の試験装置10は、パワーレポート情報に基づいて仮想ワイヤの求解を実現することができ、試験の正確度を向上させるとともに、試験効率を向上させ、試験の適用性を向上させる。
【0066】
さらに、本発明の一実施例では、本発明の実施例の試験装置10は、第2の取得モジュールと生成モジュールとをさらに含む。
【0067】
その中、第2の取得モジュールは、試験対象物の複数のアンテナのアンテナパターン情報を取得する。生成モジュールは、アンテナパターン情報とプリセットMIMO伝搬チャネルモデルとを融合することで、MIMO伝搬チャネルをシミュレーションして取得し、スループット試験信号を生成する。
【0068】
さらに、本発明の一実施例では、パワーレポート情報は、試験対象物が、アンテナを介して各受信機によって受信された信号のパワーを報告して取得されるか、または受信されたパワーをローカルに記録した後に導出して取得される。
【0069】
さらに、本発明の一実施例では、第1の取得モジュール200は、取得ユニットと、計算ユニットとを含む。
【0070】
その中、取得ユニットは、パワーレポート情報に基づいて振幅値を取得する。計算ユニットは、振幅値に基づいて伝搬チャネル行列における要素の位相差を取得して、伝搬チャ ネル行列を取得する。
【0071】
なお、前述の無線機器の無線周波数性能の試験方法に係る実施例に関する説明は、当該実施例に係る無線機器の無線周波数性能の試験装置にも適用され、ここでは省略する。
【0072】
本発明の実施例の無線機器の無線周波数性能の試験装置によれば、パワーレポート情報に基づいて伝搬チャネル行列を取得し、テスターの出力ポートと試験対象物の受信機ポートとの間に仮想ワイヤを形成して、試験対象物の性能試験を行って無線周波数性能の試験結果を取得することができ、位相情報に依存することなく、パワーレポート情報に基づいて仮想ワイヤの求解を実現することによって、様々の制式の試験対象物を使用してもよいし、放射2ステージ法で使用してもよく、精度が高く、求解が少なく、時間も速く、試験の正確度を向上させるとともに、試験効率を向上させ、試験の適用性を向上させる。
【0073】
また、本発明の実施例は、試験計器をさらに提供し、当該試験計器は、上記の無線機器の無線周波数性能の試験装置を含む。当該試験計器パワーレポート情報に基づいて伝搬チ ャネル行列を取得し、テスターの出力ポートと試験対象物の受信機ポートとの間に仮想ワイヤを形成して、試験対象物の性能試験を行って無線周波数性能の試験結果を取得することができ、位相情報に依存することなく、パワーレポート情報に基づいて仮想ワイヤの求解を実現することによって、様々の方式の試験対象物を使用してもよいし、放射2ステージ法で使用してもよく、精度が高く、求解が少なく、時間も速く、試験の正確度を向上させるとともに、試験効率を向上させ、試験の適用性を向上させる。
【0074】
なお、「第1」、「第2」の用語は、単に目的を説明するためのものであり、比較的な重要性を指示または暗示するか、または示された技術的特徴の数を黙示的に指示すると理解してはいけない。よって、「第1」、「第2」と限定されている特徴は少なくとも一つの前記特徴を含むことを明示または暗示するものである。本発明の説明において、明確且つ具体的な限定がない限り、「複数」とは、二つ、三つなどの少なくとも二つを意味する。
【0075】
本発明の説明において、「一実施例」、「一部の実施例」、「例」、「具体的な例」、または「一部の例」などの用語を参照した説明は、該実施例または例に合わせて説明された具体的な特徴、構成、材料または特性が、本発明の少なくとも一つの実施例または例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語に対する例示的な説明は、必ずしも同じ実施例または例を指すことではない。また、説明された具体的な特徴、構成、材料または特性は、任意の一つまたは複数の実施形態または例において適切に結合することができる。なお、互いに矛盾しない限り、当業者は、本明細書に説明された異なる実施例または例、及び異なる実施例または例の特徴を結合し、組み合わせることができる。
【0076】
以上に、本発明の実施例を示して説明したが、なお、上記実施例は、例示的なものであり、本発明を限定するものと理解してはいけない。当業者は、本発明の範囲内で上記実施例に対して変更、修正、取り替え及び変形を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12