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特許7522116閉鎖空間においてラドン濃度を低下させるためのデバイス
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  • 特許-閉鎖空間においてラドン濃度を低下させるためのデバイス 図1
  • 特許-閉鎖空間においてラドン濃度を低下させるためのデバイス 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】閉鎖空間においてラドン濃度を低下させるためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/74 20180101AFI20240717BHJP
   F24F 11/77 20180101ALI20240717BHJP
   F24F 11/65 20180101ALI20240717BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20240717BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20240717BHJP
   F24F 110/68 20180101ALN20240717BHJP
   F24F 110/40 20180101ALN20240717BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20240717BHJP
   F24F 110/20 20180101ALN20240717BHJP
【FI】
F24F11/74
F24F11/77
F24F11/65
F24F7/007 B
F24F7/06 B
F24F110:68
F24F110:40
F24F110:10
F24F110:20
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021538116
(86)(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-21
(86)【国際出願番号】 EP2019087002
(87)【国際公開番号】W WO2020136189
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】102018000021160
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】521281885
【氏名又は名称】ラドフ エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】カシッタ,ドメニコ
(72)【発明者】
【氏名】カシッタ,ジョヴァンニ ピエロ
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-279093(JP,A)
【文献】特開2013-017976(JP,A)
【文献】特表2017-526888(JP,A)
【文献】特表2017-531774(JP,A)
【文献】米国特許第04915020(US,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0108965(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第106403020(CN,A)
【文献】中国実用新案第205678853(CN,U)
【文献】中国実用新案第206439986(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00 - 11/89
F24F 7/007
F24F 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖空間においてラドン濃度を低下させるためのデバイス(100)であって、
閉鎖空間の内側に配設するのに適した第1の端部(10a)、及び前記閉鎖空間の外側に配設するのに適した第2の端部(10b)を伴う、管(10)と、
前記管(10)の中に配設され、空気を前記管(10)の内側に強制的に搬送するのに適した、ファン(1)と、
管(10)の中に配設され、前記管(10)を通過する空気を加熱/冷却する、熱交換器(2)と、
前記閉鎖空間でラドンの存在を検出するのに適した、ラドン検出センサ(5)と、
前記ラドン検出センサ(5)に接続された制御ユニット(7)であって、前記閉鎖空間におけるラドン濃度の情報を、前記ラドン検出センサ(5)から受け取るよう構成され、前記ラドン検出センサ(5)によって検出されたラドン濃度を、記憶された閾値と比較するための比較器(70)を備え、前記ラドン検出センサ(5)によって検出されたラドン濃度に従って前記ファン(1)を作動させるために、前記ファン(1)に接続された、制御ユニット(7)と
を備え、
前記デバイス(100)は、
前記ファン(1)は双方向ファンであることと、
前記制御ユニット(7)は、前記ラドン検出センサ(5)が、前記比較器(70)の閾値よりも高いラドン濃度を前記閉鎖空間で検出したとき、空気を前記閉鎖空間の内側から抽出して、前記空気を外側に排出するように、ファン(1)を第1の回転方向に作動させるよう構成されることと、
前記制御ユニット(7)は、前記ラドン検出センサ(5)が、前記比較器(70)の閾値以下のラドン濃度を前記閉鎖空間で検出したとき、前記ファン(1)が空気を外側から抽出して、前記空気を前記閉鎖空間に導入するように、ファン(1)の回転方向を反転させて、第2の回転方向に作動させるよう構成されることと、
前記デバイス(100)が、
前記管(10)の前記第2の端部(10b)に配設され、前記管(10)における前記第2の端部(10b)の一部のみを閉じるために適した寸法を有する、蓋(4)と、
外側から前記管(10)に導入される空気を濾過するのに好適で、前記管(10)の前記第2の端部(10b)に配設され、前記蓋(4)が閉じられたときに蓋(4)に占用されない、前記管(10)の前記第2の端部(10b)の一部を閉じるのに好適である、フィルタ(3)と
をさらに備えることと、
前記蓋(4)は、前記ガスラドン検出センサ(5)が、前記比較器(70)の閾値以下のラドン濃度を前記閉鎖空間で検出した場合、前記制御ユニット(7)が前記蓋(4)を閉じるよう、かつ、前記比較器(70)の閾値よりも高いラドン濃度を前記閉鎖空間で検出した場合、前記蓋(4)を開けるよう、前記制御ユニット(7)に接続されることと
を特徴とする、デバイス(100)。
【請求項2】
前記熱交換器(2)はセラミックタイプである、請求項1に記載のデバイス(100)。
【請求項3】
前記閉鎖空間における空気の圧力値の情報を、前記制御ユニット(7)に送るため、前記制御ユニット(7)に接続された圧力センサ(6)を備え、前記制御ユニット(7)は、前記閉鎖空間の内側の圧力を増加させるように、前記ファン(1)の速度を調整するよう構成される、請求項1または2に記載のデバイス(100)。
【請求項4】
湿度センサ、メタンガス検出センサ、及び/または温度センサを備える、請求項1~3のうちいずれか一項に記載のデバイス(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
産業上の発明のための本発明は、閉鎖空間においてラドン濃度を低下させるためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
公知のようにラドンは、ラジウムの崩壊から形成される放射性希ガスであり、ラジウムは、ウランの崩壊によって生成される。ポロニウム及びビスマスは、ラドンの放射性崩壊における極めて有毒な産物である。
【0003】
放射性ガスであるので、吸い込んだときにラドンは人間にとって発癌性がある。特に、ラドンは肺癌の主な原因の1つである。
【0004】
ラドンの主な源は、土壌である。ラドンは土壌から出て、空間に分散され、閉鎖空間に蓄積されて、人間の健康にとって危険になる。比較的規模は小さいが、ラドンの他の源は、水及び建設材料であり、具体的には、凝灰石または花崗岩などの火山源によるものである。
【0005】
閉鎖空間におけるラドン濃度が高いほど、癌のリスクは高くなる。さらに、標準温度及び圧力で、ラドンは無臭かつ無色のガスであり、したがってその存在は特別なデバイスを用いなければ検出できない、ということに留意しなければならない。
【0006】
閉鎖空間におけるラドン濃度は、受動デバイスを用いて閉鎖空間で計測することができる。受動デバイスは、検出期間の最後においてのみ、ラドン濃度を空間内で計測するか、または能動デバイスを用いて計測される。能動デバイスは、空間内でラドン濃度の瞬時の計測を提供する。
【0007】
閉鎖空間において、ラドンの蓄積を回避するための即座の方法は、この空間の換気である。このような技術は、不十分、非効果的、かつ空間を加熱または冷却する観点から高価であることが多い。
【0008】
さらに、効果的かつ即座に空間内のラドン濃度を低下させるための、ラドン濃度の計測に使用されるデバイスと相互作用可能なデバイスは、知られていない。
【0009】
仏国特許発明第3059084号明細書は、その請求項1のプリアンブルに記載の、ラドン濃度を低下させるためのデバイスを開示している。
【0010】
米国特許第4915020号明細書は、居住空間の汚染された空気を制御するためのシステムを開示している。
【0011】
欧州特許第3168544号明細書は、部屋を換気するために使用される、換気デバイスを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】仏国特許発明第3059084号明細書
【文献】米国特許第4915020号明細書
【文献】欧州特許第3168544号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、閉鎖空間におけるラドン濃度を低下させるためのデバイスを考案することによって、先行技術の欠点を改善することであり、それは、省エネ、効率的、かつ実用的である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
これらの目的は、添付の独立請求項1の特徴を有する本発明によって実現される。
【0015】
有利な形態は、従属請求項から明らかになる。
【0016】
本発明のデバイスは、請求項1によって定義される。
【0017】
本発明によるデバイスの利点は明白である。双方向ファンの提供により、ファンの回転を、ラドン検出センサの検出に従って反転させることができる。
【0018】
明確にするために、本発明によるデバイスの説明を、添付の図面を参照して続ける。これらの図面は単に例示であり、値を限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明によるデバイスの長手方向断面図である。
図2】本発明によるデバイスの電気接続を示す、ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1及び図2を参照すると、全体的に参照番号100で表わされる、本発明によるデバイスが開示される。
【0021】
デバイス(100)の機能は、閉鎖空間におけるラドン濃度を低下/除去することである。
【0022】
デバイス(100)は、閉鎖空間の内側に配設するのに適した第1の端部(10a)、及びこの閉鎖空間の外側に配設するのに適した第2の端部(10b)を伴う、管(10)を備える。
【0023】
デバイス(100)は、管(10)の中に配設され、管(10)の内側に空気を強制的に搬送するのに適した、ファン(1)を備える。ファン(1)は双方向ファンであり、両方の回転方向に回転することができる。
【0024】
デバイス(100)は、管(10)の中に配設された熱交換器(2)を備え、管(10)を通過する空気を加熱/冷却する。有利には、熱交換器(2)はセラミックタイプである。熱交換器(2)の機能は、内部空間の空気と外部空間の空気との間の温度変動を軽減させることである。
【0025】
デバイス(100)は、上記の閉鎖空間におけるラドンの存在を検出するのに適した、ラドン検出センサ(5)(図2)を備える。ラドン検出センサ(5)は、管(10)の中及び/または閉鎖空間に配設することができる。
【0026】
図2を参照すると、デバイス(100)は、ラドン検出センサ(5)に接続された制御ユニット(7)を備える。
【0027】
制御ユニット(7)は、ラドン検出センサ(5)から、閉鎖空間におけるラドン濃度の情報を受け取るよう構成される。制御ユニット(7)は比較器(70)を備え、ラドン検出センサ(5)によって検出されたラドン濃度を、比較器(70)に記憶された閾値と比較する。
【0028】
制御ユニット(7)は、ラドン検出センサ(5)によって検出されたラドン濃度に従ってファン(1)を作動させるために、ファン(1)に接続される。
【0029】
制御ユニット(7)は、ラドン検出センサ(5)が、比較器(70)の閾値よりも高いラドン濃度を閉鎖空間で検出したとき、閉鎖空間から空気を抽出するようファン(1)を作動させ、この空気を閉鎖空間から外側に排出するよう構成される。
【0030】
制御ユニット(7)は、ラドン検出センサ(5)が、比較器(70)の閾値以下のラドン濃度を閉鎖空間で検出したとき、外側から空気を抽出し、その空気を閉鎖空間に導入するように、ファン(1)を作動させよう構成される。
【0031】
図1を参照すると、デバイス(100)は、パイプ(10)の第2の端部(10b)に配設された蓋(4)を、有利に備える。蓋(4)は、管(10)における第2の端部(10b)の一部のみを閉じるよう、寸法が決められる。
【0032】
有利には、デバイス(100)は、管(10)の中に外側から導入される空気を濾過するのに適したフィルタ(3)を備える。フィルタ(3)は、管(10)の第2の端部(10b)に配設され、蓋(4)が閉じられたときに蓋(4)によって占有されない、管(10)における第2の端部(10b)の一部を閉じるのに好適である。有利には、フィルタ(3)は、2.5μm未満の空気力学的径の粒子を濾過するよう構成される。
【0033】
蓋(4)は、ガスラドン検出センサ(5)が、比較器(70)の閾値以下のラドン濃度を閉鎖空間で検出した場合、すなわち、ファン(1)が空気を外側から空気を抽出して、その空気を閉鎖空間に導入するように回転する場合、制御ユニット(7)が蓋(4)を閉じるように、制御ユニット(7)に接続される。このように、空気は、閉鎖空間に導入される前に濾過される。
【0034】
制御ユニット(7)は、ガスラドン検出センサ(5)が、比較器(70)の閾値よりも大きいラドン濃度を閉鎖空間で検出した場合、すなわちファン(1)が、閉鎖空間の内側から空気を抽出して、その空気を外側に排出するように回転する場合、蓋(4)を開けるよう構成される。このように、フィルタ(3)は、閉鎖空間から排出された空気によって消耗されない。
【0035】
有利には、デバイス(100)は、圧力センサ(6)を備える。圧力センサ(6)は、閉鎖空間における空気の圧力値の情報を制御ユニット(7)に送るよう、制御ユニット(7)に接続される。
【0036】
制御ユニット(7)は、閉鎖空間の内側の圧力を上昇させるよう、ファン(1)の速度を調整するように構成される。
【0037】
制御ユニット(7)は、ラドン検出センサ(5)からの情報を使用して、ファン(1)の回転方向を決定し、圧力センサ(6)からの情報を使用して、ファン(1)の回転速度を決定する。
【0038】
任意で、デバイス(100)は、例えば湿度センサ、メタンガス検出センサ、及び/または温度センサ(図示せず)など、他のセンサを備える。
【0039】
ラドン検出センサ(5)が、制御ユニット(7)の比較器(70)に記憶された閾値より大きいラドン濃度を閉鎖空間で検出した場合、制御ユニット(7)は、ファン(1)が閉鎖空間から空気を抽出して、次にその空気を外側に排出するよう、ファン(1)を第1の回転方向に作動させる。
【0040】
制御ユニット(7)は、空気が、管(10)の第2の端部(10b)における開口部(10c)を通過して内部空間から排出されるように、蓋(4)を開ける。
【0041】
閉鎖空間から排出される空気は、管(10)を通過し、途中で熱交換器(2)を捕らえて、熱を熱交換器(2)と交換する。
【0042】
ラドン検出センサ(5)が、制御ユニット(7)の比較器(70)で設定された閾値以下のラドン濃度を検出した場合、制御ユニット(7)は、ファン(1)の回転方向を反転させ、外側からの空気が閉鎖空間に導入されるよう、ファン(1)を第2の回転方向に作動させる。
【0043】
制御ユニット(7)は、管(10)の第2の端部(10b)における開口部(10c)が閉じられるように、蓋(4)を閉じる。それによって空気はフィルタ(3)を介して管(10)に強制的に入れられる。
【0044】
上記により、閉鎖空間に導入される空気のみが濾過される。
【0045】
外側からの空気の導入中、ファン(1)の速度は、空気を推し進めて内部の圧力を増加させるよう調整される。実際、高い圧力値はラドンの形成を妨げる。
【0046】
閉鎖空間に導入される空気は、管(10)を通過し、途中で熱交換器(2)を捕らえて、閉鎖空間に導入される空気が閉鎖空間内で突然の温度変化を起こさないよう、熱を熱交換器(2)と交換する。
図1
図2