(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】疾患の視覚化のためのモジュール式内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20240717BHJP
A61B 1/04 20060101ALI20240717BHJP
A61B 1/045 20060101ALI20240717BHJP
A61B 1/07 20060101ALI20240717BHJP
A61B 17/94 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
A61B1/00 511
A61B1/04 530
A61B1/045 610
A61B1/07 735
A61B17/94
(21)【出願番号】P 2021541486
(86)(22)【出願日】2020-01-17
(86)【国際出願番号】 IB2020050384
(87)【国際公開番号】W WO2020148725
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2023-01-06
(32)【優先日】2019-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521088066
【氏名又は名称】エス・ビィ・アイ・アラファーマ・カナダ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SBI ALAPHARMA CANADA, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダコスタ,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】オットリーノ-ペリー,キャサリン
(72)【発明者】
【氏名】ギブソン,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】アナンタ,ナヤナ・タランキ
(72)【発明者】
【氏名】トレッドウェル,サイモン
(72)【発明者】
【氏名】デインズ,トッド
(72)【発明者】
【氏名】ミーニー,トッド
(72)【発明者】
【氏名】バーミー,ギャレット
(72)【発明者】
【氏名】アニス,カール
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-139613(JP,A)
【文献】特表2012-532689(JP,A)
【文献】特開2007-244746(JP,A)
【文献】特開平09-000488(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0281845(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00- 1/32
A61B 13/00-18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの手に保持されるように構成された本体部分および光を外科的マージンに向けるように構成された内視鏡部分
を備え、前記内視鏡部分は遠位先端を含み、前記遠位先端は、
組織細胞の自己蛍光放出および前記外科的マージンの組織細胞における誘導ポルフィリンの蛍光放出を励起するように構成された少なくとも1つの励起光源と、
前記外科的マージンの白色光画像化中に前記外科的マージンを照明するように構成された白色光源と、
画像化センサと、
励起光による照明に応答して前記外科的マージンによって放出された光信号をフィルタ濾過し、組織細胞の自己蛍光放出および組織細胞における前記誘導ポルフィリンの蛍光放出の、前記画像化センサへの通行を可能にするように構成された第1の光学フィルタと、
白色光による照明に応答して前記外科的マージンによって放出された光信号をフィルタ濾過し、前記外科的マージン内の組織の白色光放出の、前記画像化センサへの通行を可能にするように構成された第2の光学フィルタと、
を含む、内視鏡画像化デバイス。
【請求項2】
前記第1の光学フィルタおよび前記第2の光学フィルタは、前記フィルタを通って前記画像化センサまで通行する光信号をフィルタ濾過するために交互に配置されるように構成される、請求項1に記載の画像化デバイス。
【請求項3】
前記第1の光学フィルタおよび前記第2の光学フィルタは、前記画像化センサに対して回転可能なフィルタホイールに配置される、請求項2に記載の画像化デバイス。
【請求項4】
前記回転可能なフィルタホイールは、前記画像化センサの遠位側に配置される、請求項3に記載の画像化デバイス。
【請求項5】
前記励起光源は、第1の励起光源および第2の励起光源を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の画像化デバイス。
【請求項6】
前記第1の励起光源は、350nm~400nm、400nm~450nm、450nm~500nm、500nm~550nm、550nm~600nm、600nm~650nm、650nm~700nm、700nm~750nm、750nm~800nm、800nm~850nm、850nm~900nm、および/または、それらの組合せ、の波長を有する励起光を放出するように構成される、請求項5に記載の画像化デバイス。
【請求項7】
前記第1の励起光源は、400nmから450nmの波長を有する励起光を放出するように構成される、請求項6に記載の画像化デバイス。
【請求項8】
前記第1の励起光源は、405nm±10nmの波長を有する励起光を放出するように構成される、請求項7に記載の画像化デバイス。
【請求項9】
前記第2の励起光源は、350nm~400nm、400nm~450nm、450nm~500nm、500nm~550nm、550nm~600nm、600nm~650nm、650nm~700nm、700nm~750nm、750nm~800nm、800nm~850nm、850nm~900nm、および/または、それらの組合せ、の波長を有する励起光を放出するように構成される、請求項6に記載の画像化デバイス。
【請求項10】
前記第2の励起光源は、750nm~800nmの波長を有する励起光を放出するように構成される、請求項9に記載の画像化デバイス。
【請求項11】
前記第2の励起光源は、760nmから780nmの間の波長を有する励起光を放出するように構成される、請求項10に記載の画像化デバイス。
【請求項12】
前記第2の励起光源は、760nm±10nmの波長を有する励起光を放出するように構成される、請求項11に記載の画像化デバイス。
【請求項13】
前記第2の励起光源は、770nm±10nmの波長を有する励起光を放出するように構成される、請求項11に記載の画像化デバイス。
【請求項14】
前記第2の励起光源は、780nm±10nmの波長を有する励起光を放出するように構成される、請求項11に記載の画像化デバイス。
【請求項15】
前記第1の光学フィルタは、500nmから550nmおよび/または600nmから675nmの波長を有する光信号の通行を可能にするように構成される、請求項1に記載の画像化デバイス。
【請求項16】
前記第1の光学フィルタは、500nmから550nmおよび/または600nmから725nmの波長を有する光信号の通行を可能にするように構成される、請求項1に記載の画像化デバイス。
【請求項17】
前記第1の光学フィルタは、635nmの波長を有する光信号の通行を可能にするように構成される、請求項1に記載の画像化デバイス。
【請求項18】
前記第1の光学フィルタは、500nmから550nmの波長を有する光信号の通行を10%および90%だけ減衰させるように構成される、請求項16または請求項17に記載の画像化デバイス。
【請求項19】
前記第2の光学フィルタは、675nmより下および825nmより上の波長を有する光信号の通行を可能にするように構成される、請求項1に記載の画像化デバイス。
【請求項20】
前記第2の光学フィルタは、690nmより下および840nmより上の波長を有する光信号の通行を可能にするように構成される、請求項1に記載の画像化デバイス。
【請求項21】
前記第2の光学フィルタは、835nmの波長を有する光信号の通行を可能にするように構成される、請求項19または請求項20に記載の画像化デバイス。
【請求項22】
前記画像化センサは、相補性金属酸化物半導体(CMOS)センサを含む、請求項1~21のいずれか1項に記載の画像化デバイス。
【請求項23】
前記画像化デバイスと前記画像化デバイスが使用される環境との間に滅菌バリアを形成するように構成された滅菌ドレープを更に含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の画像化デバイス。
【請求項24】
前記滅菌ドレープは、前記画像化デバイスと前記画像化デバイスが使用される前記環境との間に滅菌バリアを形成するように構成された第1の部分と、外科窩を周囲光からシールドするように構成された第2の部分と、を含む、請求項23に記載の画像化デバイス。
【請求項25】
前記滅菌ドレープは、前記画像化デバイスに前記滅菌ドレープが設置されるとき、前記画像化センサの上方に配置された光学的に透明なレンズキャップを含む、請求項23または請求項24に記載の画像化デバイス。
【請求項26】
前記レンズキャップは、前記デバイスの第2の端部の特徴部に係合するように構成される、請求項25に記載の画像化デバイス。
【請求項27】
前記デバイスの前記第2の端部の前記特徴部は、周方向溝を含む、請求項26に記載の画像化デバイス。
【請求項28】
請求項1~22のいずれか1項に記載の前記内視鏡画像化デバイスと、
前記画像化デバイスの本体を包囲するように構成された滅菌ドレープと、
を含む、内視鏡画像化システム。
【請求項29】
前記滅菌ドレープは、前記画像化デバイスの内視鏡部分に接続して前記画像化センサの前方に配置されるように構成されたレンズを含む、請求項28に記載の内視鏡画像化システム。
【請求項30】
前記滅菌ドレープは、前記画像化デバイスの本体内の接続ポートへのアクセスを提供するように構成された部分を含む、請求項28または請求項29に記載の内視鏡画像化システム。
【請求項31】
前記画像化デバイスの本体の接続ポートに受容されて、前記画像化デバイスと外部デバイスとの間の通信を提供するように構成された接続ケーブルを更に含む、請求項28~30のいずれか1項に記載の内視鏡画像化システム。
【請求項32】
前記接続ケーブルは、前記システムの使用中に前記ケーブルを手術野から保持するように構成された歪み除去特徴部を含む、請求項31に記載の内視鏡画像化システム。
【請求項33】
前記歪み
除去特徴部は、前記ケーブル内の成形された曲げ部を含む、請求項32に記載の内視鏡画像化システム。
【請求項34】
前記成形された曲げ部は、70度から110の間の角度を形成する、請求項33に記載の内視鏡画像化システム。
【請求項35】
前記成形された曲げ部は、90度の角度を形成する、請求項33に記載の内視鏡画像化システム。
【請求項36】
前記接続ケーブルおよび前記接続ポートは、前記接続ケーブルおよび前記接続ポートの互いに対する回転を防止するように構成された相補的特徴部を含む、請求項31に記載の内視鏡画像化システム。
【請求項37】
前記接続ケーブルは、前記接続ポートの一部と係合するように構成された保持リングを含む、請求項31に記載の内視鏡画像化システム。
【請求項38】
前記接続ケーブルをカバーして前記接続ケーブルを手術野からシールドするように構成された滅菌シースを更に含む、請求項31~37のいずれか1項に記載の内視鏡画像化システム。
【請求項39】
前記内視鏡画像化デバイスによる標的の画像化中に周囲光を低減または除去するように構成された暗黒化ドレープを更に含む、請求項28~38のいずれか1項に記載の内視鏡画像化システム。
【請求項40】
前記暗黒化ドレープは、前記画像化デバイスの視野の外に前記暗黒化ドレープを保持するように構成された部分を含む、請求項39に記載の内視鏡画像化システム。
【請求項41】
前記内視鏡画像化デバイスを支持するように構成されたドッキングステーションを更に含む、請求項28~40のいずれか1項に記載の内視鏡画像化システム。
【請求項42】
前記ドッキングステーションは、前記内視鏡画像化デバイスを無線で充電するように構成される、請求項41に記載の内視鏡画像化システム。
【請求項43】
前記ドッキングステーションは、前記ドッキングステーションに接触する前記内視鏡画像化デバイスを維持するように構成された特徴部を含む、請求項41または請求項42に記載の内視鏡画像化システム。
【請求項44】
前記ドッキングステーションに接触する前記内視鏡画像化デバイスを維持するように構成された前記特徴部は、前記画像化デバイスの前記内視鏡部分を受容するように構成された保持ループである、請求項43に記載の内視鏡画像化システム。
【請求項45】
前記遠位先端は、範囲ファインダ、温度センサ、および周囲光センサの1つ以上をさらに備える、請求項1から44のいずれか1項に記載の内視鏡画像化デバイス。
【請求項46】
前記遠位先端は、赤外線源をさらに備える、請求項1から45のいずれか1項に記載の内視鏡画像化デバイス。
【請求項47】
前記遠位先端は、偏光フィルタをさらに備える、請求項1から46のいずれか1項に記載の内視鏡画像化デバイス。
【請求項48】
ユーザの手に保持されるように構成された本体部分と、
光を外科的マージンに向けるように構成された内視鏡部分を備え、前記内視鏡部分は遠位先端を含み、前記遠位先端は、
自己蛍光放出および前記外科的マージンの組織細胞における蛍光放出を励起するように構成された少なくとも1つの励起光源と、
白色光源と、
赤外線源と、
白色光画像のための第1のカメラセンサと、
白色光による照明に応答して外科的マージンから放出される光信号をフィルタ濾過し前記第1のカメラセンサへの前記外科的マージンの組織の白色光放出の通行を可能化するように構成された第1の光学フィルタと、
蛍光画像のための第2のカメラセンサと、
励起光による照明に応答して外科的マージンから放出される光信号をフィルタ濾過し前記第2のカメラセンサへの自己蛍光放出および蛍光放出の通行を可能化するように構成された第2の光学フィルタと、
を有する、携帯式の手持ち型内視鏡画像化デバイス。
【請求項49】
前記遠位先端は周囲光センサをさらに備える、請求項48に記載の画像化デバイス。
【請求項50】
前記遠位先端は範囲ファインダをさらに備える、請求項48または49に記載の画像化デバイス。
【請求項51】
前記少なくとも1つの励起光源は、第1の励起光源と第2の励起光源とを備える、請求項48から50のいずれか1項に記載の画像化デバイス。
【請求項52】
前記第1の励起光源は、350nm~400nm、400nm~450nm、450nm~500nm、500nm~550nm、550nm~600nm、600nm~650nm、650nm~700nm、700nm~750nm、750nm~800nm、800nm~850nm、850nm~900nm、および/または、それらの組合せ、の波長を有する励起光を放出するように構成される、請求項51に記載の画像化デバイス。
【請求項53】
前記第1の励起光源は400nm~450nmの波長を有する励起光を放出するように構成される、請求項52に記載の画像化デバイス。
【請求項54】
前記第1の励起光源は、405nm±10nmの波長を有する励起光を放出するように構成される、請求項53に記載の画像化デバイス。
【請求項55】
前記第2の励起光源は、350nm~400nm、400nm~450nm、450nm~500nm、500nm~550nm、550nm~600nm、600nm~650nm、650nm~700nm、700nm~750nm、750nm~800nm、800nm~850nm、850nm~900nm、および/または、それらの組合せ、の波長を有する励起光を放出するように構成される、請求項51から54のいずれか1項に記載の画像化デバイス。
【請求項56】
前記第2の励起光源は、750nm~800nmの波長を有する励起光を放出するように構成される、請求項53に記載の画像化デバイス。
【請求項57】
前記第1の励起光源は、760nm±10nm、770nm±10nmまたは780nm±10nmの波長を有する励起光を放出するように構成される、請求項56に記載の画像化デバイス。
【請求項58】
前記第1のカメラセンサおよび前記第2のカメラセンサのそれぞれは、相補性金属酸化物半導体(CMOS)センサを含む、請求項48~57のいずれか1項に記載の画像化デバイス。
【請求項59】
前記画像化デバイスと前記画像化デバイスが使用される環境との間に滅菌バリアを形成
するように構成された滅菌ドレープを更に含む、請求項48~58のいずれか1項に記載の画像化デバイス。
【請求項60】
前記滅菌ドレープは、前記画像化デバイスと前記画像化デバイスが使用される前記環境との間に滅菌バリアを形成するように構成された第1の部分と、外科窩を周囲光からシールドするように構成された第2の部分と、を含む、請求項59に記載の画像化デバイス。
【請求項61】
前記滅菌ドレープは、前記画像化デバイスに前記滅菌ドレープが設置されるとき、前記画像化センサの上方に配置された光学的に透明なレンズキャップを含む、請求項59または請求項60に記載の画像化デバイス。
【請求項62】
前記本体部分は、
ディスプレイと、
前記第1のカメラセンサからの白色光光信号および第2のカメラセンサからの蛍光光信号を受信し、白色光光信号および蛍光光信号に基づいて外科的マージンの表示を前記ディスプレイに出力するように構成されたプロセッサと、を備える、請求項48から61のいずれか1項に記載の画像化デバイス。
【請求項63】
ユーザの手に保持されるように構成された本体部分および光を外科的マージンに向けるように構成された内視鏡部分と、
組織細胞の自己蛍光放出および前記外科的マージンの組織細胞における誘導ポルフィリンの蛍光放出を励起するように構成された少なくとも1つの励起光源と、
前記外科的マージンの白色光画像化中に前記外科的マージンを照明するように構成された白色光源と、
画像化センサと、
励起光による照明に応答して前記外科的マージンによって放出された光信号をフィルタ濾過し、組織細胞の自己蛍光放出および組織細胞における前記誘導ポルフィリンの蛍光放出の、前記画像化センサへの通行を可能にするように構成された第1の光学フィルタと、 白色光による照明に応答して前記外科的マージンによって放出された光信号をフィルタ濾過し、前記外科的マージン内の組織の白色光放出の、前記画像化センサへの通行を可能にするように構成された第2の光学フィルタと、
を含み、
前記画像化デバイスと前記画像化デバイスが使用される環境との間に滅菌バリアを形成するように構成された滅菌ドレープを更に含み、前記滅菌ドレープは、前記画像化デバイスと前記画像化デバイスが使用される前記環境との間に滅菌バリアを形成するように構成された第1の部分と、外科窩を周囲光からシールドするように構成された第2の部分と、を含む、画像化デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「ENDOSCOPIC SYSTEM FOR VISUALIZATION OF DISEASE」と題する米国仮出願第62/793,846号(2019年1月17日出願)、および、「MODULAR ENDOSCOPIC SYSTEM FOR VISUALIZATION OF DISEASE」と題する米国仮出願第62/857,183号(2019年6月4日出願)の優先権を主張し、それらの個々の全内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
技術分野
本開示は、例えば、腫瘍を含む疾患の視覚化と疾患の除去のためのデバイス、システムおよび方法に関する。開示されたデバイス、システム、および方法は、腫瘍段階に、また、切除組織の組織マージンや腫瘍および/または組織がそこから除去された外科窩(surgical cavities)内の組織床(tissue beds)/外科床(surgical beds)のマージンなどの外科的マージン(surgical margin)を評価するために、使用されることもある。開示されたデバイス、システム、および方法は、残存癌細胞、前癌細胞、および衛星病巣のうちの1つまたは複数を同定するために、また、同除去および/または処置のためのガイダンスを提供するために、使用されることもある。開示されたシステムは、創傷、特に、身体管腔、手術中の中空器官等々などの閉じ込められた解剖学的空間内のそれらを視覚化するために、使用されることもある。デバイスおよびシステムは、視覚化されているエリアに存在する構成要素、例えば、細菌、疾患、感染等々、を評価して定量化するために、使用されることがある。システムおよび方法は、生化学的、生物学的および/または非生物学的な物質に関するデータを収集するのに適することがある。データは、例えば、ヒトおよび動物の双方の用途のために、創傷ケアなどにおける、白色光データ、蛍光データ、熱データ、赤外線データのうちの1つまたは複数を含むことがある。
序文
手術は、癌治療の最も古いタイプのうちの1つであり、多数のタイプの癌に有効な処置である。腫瘍学的手術は、手術の目的に応じて、異なった形式を採ることがある。例えば、腫瘍学的手術は、癌のタイプまたは段階を診断または決定するための生体検査法、腫瘍または癌性組織の幾らかまたは全部を除去するための腫瘍除去、腫瘍または癌性組織を位置付けまたは同定するための探索手術、他の身体構造に悪影響を及ぼさずに腫瘍を可能な限りサイズ削減または除去するための減量手術、身体器官の痛みや圧迫などの腫瘍によって引き起こされる状況に対処するための姑息的手術、を含むことがある。
【0003】
腫瘍や癌性組織を除去することが目的の手術では、外科医は、多くの場合、癌全部が除去されたのかを決定する際に不確実性に直面する。外科床や組織床は、そこから腫瘍が除去されても、残存癌細胞、即ち、腫瘍がそこから除去されるエリアの外科的マージンに残る癌細胞、を包含する可能性がある。これらの残存癌細胞が体内に残る場合、再発や転移の公算が大きくなる。多くの場合、腫瘍の病理学的分析中の切除組織の外科的マージンの検査に基づく残存癌細胞の疑惑の存在は、外科的マージンから追加組織を除去するための続発性手術をもたらす。
【0004】
例えば、乳癌、最も一般的な女性の癌は、乳房温存手術(BCS)によって通常処置され、例えば、乳腺腫瘍摘出術は、腫瘍を除去し、その一方で、健康な乳房組織をできる限り残す。BCSの処置効果は、悪性組織の完全除去に依存しており、その一方で、十分な健康な乳房組織を残すと、妥当な乳房再建を確実にするが、過剰の乳房組織が除去される場合には、それが不十分である可能性がある。標準の白色光(WL)手術室の条件下で腫瘍マージンを視覚化することは、腫瘍対正常組織の低コントラストのせいで挑戦であり、初期段階の侵襲性乳癌を有する患者のうちの約23%と表皮内乳管癌を有する患者のうちの36%において、再手術(即ち、続発性手術)をもたらす。再切除は、再発のより高い危険性に関連しており、不十分な患者の予後は、乳房美容の低下と、ヘルスケア費用の増加と、を含む。BCSに続く肯定的な外科的マージン(即ち、癌細胞を包含するマージン)は、疾患特異性生存の低下とも関連している。
【0005】
現在のBCSでの最良の実施は、触診法および/または標本X線撮影法を、稀に、摘除を導くための術中の組織病理学を、含む。標本X線撮影法は、X線画像を用いて切除組織マージンを評価し、術中の組織病理学(タッチプレップまたは凍結)は、癌細胞のための標本組織の小サンプルを評価し、それらの双方は、それらが引き起こす時間遅延(~20分)と、外科床に対する切除組織の肯定的マージンの不正確な共局在化と、によって制限される。斯くして、リアルタイムの術中の画像化技術に関する緊急の臨床的ニーズが存在し、切除標本マージンおよび外科床マージンを評価すること、および、残存癌細胞、前癌細胞、および衛星病巣のうちの1つまたは複数を除去するためのガイダンスを提供すること、である。
【0006】
加えて、急性および慢性の創傷の通常の臨床的評価方法は、次善のままである。それらは、完全な患者履歴、周囲の白色光および「裸眼」を用いる単純な視覚的判断での定性的および主観的な臨床的評価に通常基づいており、また、白色光照明下で創傷の全体的外観をキャプチャするためにカラー写真の使用を時々伴う場合がある(Perednia(1991)J Am Acad Dermatol.25: 89~108)。治癒に向けた進行の規則的な再評価、および、介入の適切な修正は、同じく必要である。創傷評価の用語は、均一ではなく、創傷評価を取り巻く多くの疑問は、答えが無いままであり、合意は、臨床的実施で測定するために重要な創傷パラメータについて既に結ばれており、利用可能な創傷評価技術の正確性および信頼性は、変化する。視覚的評価は、診断のための細菌学的培養のために、スワブおよび/または組織生検と頻繁に組合せされる。細菌のスワブは、創傷検査のときに収集され、また、特定の細菌/微生物種の同定を提供するという有名な利点を有する(Bowler、2001年; Cutting、1994年;Dow、1999年;Dow G.In: Krasnerら版、Chronic Wound Care:A Clinical Source Book for Healthcare Professionals、第3版、Wayne Pa.:HMP Communications 2001年343~356頁)。しかしながら、多くの場合、多数のスワブおよび/または生検は、創傷部位からランダムに収集され、幾つかのスワブ技術は、収集プロセス中に創傷まわりに微生物を実際上拡散させ、斯くして患者の治癒時間および罹患率に影響を及ぼすことがある(Dow、1999年)。これは、大きな慢性(非治癒)創傷について特に問題であることがあり、現在のスワブおよび生検プロトコルを使用する細菌の存在に関する検出収率は、次善(診断上、鈍い)であり、多くのスワブが収集されているにもかかわらず、である。斯くして、後続の細菌培養のために創傷部位からスワブまたは組織生検を得るための現在の方法は、「非標的の」または「盲目の」スワブまたはパンチ生検アプローチに基づいており、また、外傷を創傷まで最小化するかまたは細菌学試験の診断収率を最大化するように、最適化されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
概要
本開示は、上述された課題のうちの1つまたは複数を解決でき、および/または、上述された望ましい特徴のうちの1つまたは複数を実証できる。他の特徴および/または利点は、次に続く説明から明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の1つの態様に従い、内視鏡画像化デバイスが提供される。デバイスは、ユーザの手に保持されるように構成された本体部分と、光を標的上に向けるように構成された内視鏡部分と、を含む。少なくとも1つの励起光源は、組織細胞の自己蛍光放出と、標的の組織細胞における誘導ポルフィリンの蛍光放出と、を励起するように構成される。白色光源は、標的の白色光画像化中に外科的マージンを照明するように構成される。デバイスは、同じく、画像化センサと、励起光による照明に応答して標的によって放出された光信号をフィルタ濾過し、組織細胞の自己蛍光放出と組織細胞における誘導ポルフィリンの蛍光放出との、画像化センサへの通行を可能にするように構成された第1の光学フィルタと、を含む。第2の光学フィルタは、白色光による照明に応答して外科的マージンによって放出された光信号をフィルタ濾過し、外科的マージン内の組織の白色光放出の、画像化センサへの通行を可能にするように構成される。
【0009】
本開示の別の態様に従い、標的の組織を画像化する方法が提供される。方法は、第1の波長を有する励起光を放出するように構成された第1の励起光源を用いて、標的の組織を照明することと、画像化デバイスの内視鏡光学ハウジング内の第1の光学フィルタを介して標的の組織によって放出された光信号を受信することと、第2の波長を有する励起光を放出するように構成された第2の励起光源を用いて、標的の組織を照明することと、画像化デバイスの内視鏡光学ハウジング内の第2の光学フィルタを介して外科的マージンの組織によって放出された光信号を受信することと、を含む。
【0010】
本開示の追加の態様に従い、携帯式の手持ち型内視鏡画像化システムが提供される。システムは、蛍光画像化中に励起光を放出するように構成された少なくとも1つの励起光源を含む。第1のフィルタは、励起光による標的表面の照明に応答して、細菌の蛍光、細菌の自己蛍光、組織蛍光、および組織自己蛍光のうちの1つまたは複数に対応する波長を有する光信号を検出、および、システムの内視鏡部分内に配置された画像センサへのその通行を可能化、するように構成される。白色光源は、白色光画像化中に白色光を放出するように構成される。第2のフィルタは、白色光による標的表面の照明に応答して、可視光範囲内の波長を有する光信号を検出、および、システムの内視鏡部分内に配置された画像センサへのその通行を可能化、するように構成される。プロセッサは、検出された蛍光光信号および白色光光信号を受信して、検出された光信号に基づいて標的表面の表示をディスプレイに出力するように構成される。
【0011】
本開示の更に別の態様に従い、携帯式のモジュール式内視鏡手持ち型画像化システムが提供される。システムは、内視鏡ハウジング部分を含む。内視鏡ハウジング部分は、蛍光画像化中に励起光を放出するように構成された少なくとも1つの励起光源と、励起光による標的表面の照明に応答して、細菌の蛍光、細菌の自己蛍光、組織蛍光、および組織自己蛍光のうちの1つまたは複数に対応する波長を有する光信号を検出、および、画像センサへのその通行を可能化、するように構成された第1のフィルタと、白色光画像化中に白色光を放出するように構成された白色光源と、白色光による標的表面の照明に応答して、可視光範囲内の波長を有する光信号を検出、および、画像センサへのその通行を可能化、するように構成された第2のフィルタと、を含む。システムは、内視鏡ハウジング部分を解除可能に受容するように構成されたベース本体部分を更に含む。ベース本体部分は、ディスプレイと、検出された蛍光光信号および白色光光信号を受信して、検出された光信号に基づいて標的表面の表示をディスプレイに出力するように構成されたプロセッサと、を含む。
【0012】
本開示は、次の詳細な説明から、単独でまたは添付図面と連れ立って、理解することができる。図面は、更なる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれてその一部を構成する。図面は、本開示の1つまたは複数の例示的な実施形態を例証し、説明と共に、様々な原理および動作を解説するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】腫瘍細胞内でのPpIXへのALAの変換を例証する図である。
【
図1B】PpIXに関するピーク吸収および放出の図である。
【
図2】本開示に係る疾患の視覚化のための内視鏡手持ち型画像化デバイスのユーザ対向(前面)図である。
【
図3】
図2の疾患の視覚化のための内視鏡手持ち型画像化デバイスの前面斜視図である。
【
図4】
図2の疾患の視覚化のための内視鏡手持ち型画像化デバイスの後面斜視図である。
【
図5】
図2の手持ち型画像化デバイスの後面(患者対向)図である。
【
図6】
図2の手持ち型画像化デバイスの側面図である。
【
図7】本開示に係る非接続構成にある内視鏡画像化デバイスのモジュール式実施形態の内視鏡ハウジング部分およびベース本体部分を示す図である。
【
図8】
図7のモジュール式内視鏡手持ち型画像化デバイスの断面図である。
【
図9】
図7のモジュール式内視鏡画像化デバイスの斜視図である。
【
図10】第1の位置にある
図7のモジュール式デバイスの内視鏡の端面図である。
【
図11】第2の位置にある
図7のモジュール式デバイスの内視鏡の別の端面図である。
【
図12】内視鏡端部の可視構成要素を識別する
図7のモジュール式デバイスの内視鏡の端面図である。
【
図13】手持ち型画像化デバイスの内視鏡用のPCB基板の図である。
【
図14】本開示の実施形態に係る内視鏡手持ち型画像化デバイスのプロトタイプの写真図である。
【
図15】本開示に係る外科用ドレープを備えた
図14のプロトタイプの写真図である。
【
図17】本開示に係る内視鏡画像化システム用の電子機器構成の例示的な概略図である。
【
図18】本開示に係る手持ち型デバイスの実施形態に組み込まれる、励起光によって励起された放出を検出するように構成される種々のフィルタの例示的な帯域を示すチャート図である。
【
図19】本開示に係る手持ち型デバイスの実施形態に組み込まれる、励起光によって励起された放出を検出するように構成される種々のフィルタの例示的な帯域を示すチャート図である。
【
図20】本開示に係る手持ち型デバイスの実施形態に組み込まれる、励起光によって励起された放出を検出するように構成される種々のフィルタの例示的な帯域を示すチャート図である。
【
図21】本開示に係る手持ち型デバイスの実施形態に組み込まれる、励起光によって励起された放出を検出するように構成される種々のフィルタの例示的な帯域を示すチャート図である。
【
図22】本開示に係る手持ち型デバイスの実施形態に組み込まれる、励起光によって励起された放出を検出するように構成される種々のフィルタの例示的な帯域を示すチャート図である。
【
図23】本開示に係る手持ち型デバイスの実施形態に組み込まれる、励起光によって励起された放出を検出するように構成される種々のフィルタの例示的な帯域を示すチャート図である。
【
図24】白色光画像化、蛍光画像化および赤外線画像化のための別々の内視鏡光学ヘッドを含む手持ち型内視鏡画像化システムの実施形態を示す図である。
【
図25】本開示の1つの態様に係る蛍光画像化に関するものとして、PpIXに関する吸収ピークおよび放出ピークを示す図である。
【
図26A】本開示の1つの態様に係る蛍光画像化のために使用される蛍光LEDの実施形態の特性に関するチャート図である。
【
図26B】本開示の1つの態様に係る蛍光画像化のために使用される蛍光LEDの実施形態の特性に関するチャート図である。
【
図26C】本開示の1つの態様に係る蛍光画像化のために使用される蛍光LEDの実施形態の特性に関するチャート図である。
【
図27A】本開示の1つの態様に係る蛍光画像化のために使用される蛍光放出フィルタの実施形態の特性に関するチャート図である。
【
図27B】本開示の1つの態様に係る蛍光画像化のために使用される蛍光放出フィルタの実施形態の特性に関するチャート図である。
【
図27C】本開示の1つの態様に係る蛍光画像化のために使用される蛍光放出フィルタの実施形態の特性に関するチャート図である。
【
図28】本開示の1つの態様に係る赤外線画像化で使用されるべきICG色素に関する吸収ピークおよび放出ピークを示す図である。
【
図29A】本開示の1つの態様に係る赤外線画像化のために使用される赤外線LEDの実施形態の特性に関するチャート図である。
【
図29B】本開示の1つの態様に係る赤外線画像化のために使用される赤外線LEDの実施形態の特性に関するチャート図である。
【
図30A】本開示の1つの態様に係る赤外線画像化のために使用される赤外線放出フィルタの実施形態の特性に関するチャート図である。
【
図30B】本開示の1つの態様に係る赤外線画像化のために使用される赤外線放出フィルタの実施形態の特性に関するチャート図である。
【
図30C】本開示の1つの態様に係る赤外線画像化のために使用される赤外線放出フィルタの実施形態の特性に関するチャート図である。
【
図31】手持ち型内視鏡画像化デバイスのレンズの実施形態の透過特性を例証する図である。
【
図32A】本開示の1つの態様に係る手持ち型内視鏡画像化デバイスと共に使用するためのレンズキャップを備えたカスタム滅菌ドレープの実施形態の様々な態様を示す図である。
【
図32B】本開示の1つの態様に係る手持ち型内視鏡画像化デバイスと共に使用するためのレンズキャップを備えたカスタム滅菌ドレープの実施形態の様々な態様を示す図である。
【
図32C】本開示の1つの態様に係る手持ち型内視鏡画像化デバイスと共に使用するためのレンズキャップを備えたカスタム滅菌ドレープの実施形態の様々な態様を示す図である。
【
図33】本開示の例示的な実施形態に係るドッキングステーションに載っている手持ち型内視鏡画像化デバイスの斜視図である。
【
図34】ドッキングステーションの他の特徴を例証するために分離されて示された、
図33の手持ち型内視鏡画像化デバイスおよびドッキングステーションの斜視図である。
【
図35】
図33のドッキングステーションの前面直交図である。
【
図36】本開示の例示的な実施形態に係る手持ち型内視鏡画像化デバイスの様々な構成要素を示す概略図である。
【
図37】本開示の例示的な実施形態に係る相互接続ケーブルの斜視図である。
【
図38】本開示の例示的な実施形態に係る相互接続ポートを含む手持ち型内視鏡画像化デバイスの一部の斜視図である。
【
図39】本開示の例示的な実施形態に係る滅菌ドレープのレンズの斜視図である。
【
図40】本開示の例示的な実施形態に係る
図39のレンズを含む滅菌ドレープを備えた手持ち型内視鏡画像化デバイスの断面側面図である。
【
図41】本開示の例示的な実施形態に係る暗黒化ドレープアダプタの斜視図である。
【
図42】本開示の実施形態に係る、
図41のアダプタを含む暗黒化ドレープを備えた手持ち型内視鏡画像化デバイスの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
様々な例示的な実施形態の説明
既存のマージン評価技術は、外科的マージンが残存癌細胞を含むか否かを決定するために、切除されたサンプルに焦点を当てている。これらの技術は、切除されたサンプル上に検出された肯定的マージンを外科床に正確に空間的に共局在化するのにそれらが無力であることによって制限され、本開示は、外科窩を直接画像化することによって制限を克服する。外科的マージンを試験することに加えて、開示されたデバイスおよび方法は、使用して、外科床を視覚化し、創傷を視覚化し、器官、身体管腔等々などの任意の閉じ込められた空間にアクセスでき、癌以外の疾患を視覚化できる。
【0015】
再切除を減少させるための他の非標的技術は、標的化されないマージンシェービングをBCSケアの標準と組み合わせる研究を含む。この技術は、再切除の全体数を減らすことができるが、このアプローチは、幾つかの潜在的な欠点を含む。例えば、より大きな摘除は、より不十分な美容予後と関連し、付加的な組織の標的化されていない除去は、BCSの意図と矛盾する。加えて、そういった技術を使用することの最終結果は、最近更新されたASTRO/SSOガイドラインに抵触するように思われ、ガイドラインは、肯定的なマージンを「インクでの腫瘍」として規定し、より広いマージンの追加の利点が無いことを認めた。Moran MS、Schnitt SJ、Giuliano AE、Harris JR、Khan SA、Horton Jら、「Society of Surgical Oncology-American Society for Radiation Oncology consensus guideline on margins for breast-conserving surgery with whole-breast irradiation in stages I and II invasive breast cancer」Ann Surg Oncol.2014年21(3):704~716頁。最近の遡及研究は、標準BCSに対して窩シェービングに続く再切除において有意な差異を認めなかった。Pata G、Bartoli M、Bianchi A、Pasini M、Roncali S、Ragni F.、「Additional Cavity Shaving at the Time of Breast-Conserving Surgery Enhances Accuracy of Margin Status Examination」Ann Surg Oncol.2016年23(9):2802~2808頁。マージンシェービングが究極的に有効であると認められたら、FL誘導手術は、シェービング用の外科的マージン内の特定エリアを標的化するための能力を追加することによって、プロセスを洗練させるために使用でき、斯くして、追加の組織を無差別に除去する標的化されていないアプローチを、BCSの意図により沿っている標的化されたアプローチに向ける。
【0016】
本出願は、蛍光ベースの腫瘍の視覚化のためのデバイス、システム、および方法を開示しており、エクスビボ、インビボおよびインビトロの腫瘍、多源性疾患、外科床および外科的マージンの視覚化および/または評価、ならびに、外科的マージン内の残存腫瘍、衛星病巣、前癌細胞、および/または癌細胞の除去のための術中ガイダンスを含む。特定の実施形態では、本明細書に開示されるデバイスは、手持ち型であり、また、外科窩内に少なくとも部分的に位置するように構成される。他の実施形態では、デバイスは、携帯式であり、有線接続を有しない。しかしながら、本開示の範囲内にあるのは、デバイスが手持ち型デバイスよりも大きくでき、代わりに、手持ち型構成要素を含むことができる、ということである。そういった実施形態では、企図されるのは、手持ち型構成要素が有線接続によってより大きなデバイスハウジングまたはシステムに接続できる、ということである。
【0017】
同じく開示されるのは、デバイスおよび/またはシステムを使用する術中のインビボ画像化のための方法である。画像化デバイスは、マルチスペクトルにできる。同じく企図されるのは、デバイスがハイパースペクトルにできる、ということである。外科的マージン内に包含される細胞のタイプに関する情報を提供することに加えて、開示されたデバイスおよびシステムは、外科的マージン内に包含される細胞の場所(即ち、解剖学的コンテキスト)に関する情報も提供する。加えて、デバイスを使用する外科的マージンの術中処置のためのガイダンスを提供する方法は、開示されており、例えば、外科的マージンの摘除の蛍光ベースの画像ガイダンスである。本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、ヒトおよび動物を含む対象に対して使用できる。
【0018】
本開示の一態様に従い、幾つかの開示された方法は、開示されたデバイスおよび/またはシステムの使用を、腫瘍/癌細胞、前癌細胞、および/または衛星病巣においてポルフィリンを誘導するように構成された非活性化非標的化合物の投与と、組み合わせる。例えば、対象は、プロドラッグアミノレブリン酸(ALA)などの化合物(画像化/造影剤)の診断用量(即ち、治療用量ではない)が与えられることがある。当業者に理解されるように、60mg/kg未満のALAの用量は、一般に診断用と考えられ、60mg/kgを超える用量は、一般に治療用と考えられる。本明細書に開示されたように、ALAの診断用量は、0mg/kgより大きくて60kg/mg未満、約10mg/kgから約50mg/kgの間、約20mg/kgから40mg/kgの間にすることができ、また、5mg/kg、10mg/kg、15kg/mg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、または55mg/kgの用量で対象に投与できる。ALAは、経口で、静脈内に、エーロゾルによって、浸漬によって、洗浄によって、および/または局所的に投与できる。診断用量は、残存癌細胞、前癌細胞、および衛星病巣の視覚化のために企図されるが、本開示の範囲内における、開示されたデバイス、システム、および方法の使用は、これらの細胞および/または病巣の処置および/または除去の間にガイダンスを提供することである。そういったケースでは、外科医の好適な処置の方法は、個々の外科医の好みに基づいて様々であることがある。そういった処置は、例えば、光力学的な治療(PDT)を含むことがある。PDTまたは他の光ベースの治療が可能性として企図されるケースでは、より高い用量のALA、即ち、診断用量ではなく治療用量の投与は、望ましいことがある。これらのケースでは、対象は、60mg/kgよりも高いALAの用量が処方されることがある。
【0019】
ALAは、腫瘍/癌細胞におけるポルフィリン形成(プロトポルフィリンIX(PpIX))を誘導して、適切な励起光によって励起されたときに、PpIXを含有する細胞からの赤色蛍光放出をもたらし、腫瘍/癌組織細胞と、デバイスで画像化された正常組織細胞(例えば、コラーゲン)と、の間の赤色対緑色の蛍光コントラストを増強する。ALAは、それ自体では非蛍光であるが、PpIXは、約630nm、680nm、および710nmで蛍光性であり、630nmの放出は、最強である。
図1Bは、405nmの波長を有する励起光で励起されたときのPpIXの蛍光放出を例証する。代替的に、腫瘍/癌細胞または前癌細胞と正常/健常細胞との間の内因性蛍光差は、画像化/造影剤なしに使用できる。
【0020】
例示的な実施形態では、腫瘍/癌細胞、前癌細胞、および/または衛星病巣においてポルフィリンを誘導するように構成された非活性化非標的化合物は、手術前の約15分から約6時間の間、手術前の約1時間から約5時間の間、手術前の約2時間から約4時間の間、または手術前の約2.5時間から約3.5時間の間に対象に投与される。これらの例示的な時間枠は、腫瘍/癌細胞、前癌細胞、および/または衛星病巣においてALAがポルフィリンに変換されるのに十分な時間を可能にする。ALAまたは他の適切な化合物は、経口で、静脈内に、エーロゾルによって、浸漬によって、洗浄によって、および/または局所的に投与できる。
【0021】
化合物の投与が所望のまたは好適な時間枠の外側にあるケースでは、可能性があるのは、PpIXが、例えば、化合物をエアロゾル組成物を介して適用すること、即ち、それを外科窩内にまたは(検査のために切開前または後に)切除組織上に噴霧することによって、更に誘導(または、手術前に化合物が投与されなかった場合に最初に誘導)され得る、ということである。追加的または代替的に、化合物は、例えば、外科窩の洗浄として、液体の形式で投与できる。追加的または代替的に、除去された標本に関して、PpIXは、切除後にほぼ直ちに液体ALAなどの液体化合物に浸漬される場合に、切除標本内に誘導できる。切除組織が浸漬されるのが早ければ早いほど、PpIXまたは追加のPpIXが切除組織に誘導される機会は、より多くなるであろう。
【0022】
手術中に、腫瘍は、可能であれば、外科医によって除去される。手持ち型の蛍光ベースの画像化デバイスは、次いで、腫瘍がそこから除去された外科床における任意の残存癌細胞、前癌細胞、および/または衛星病巣の同定、配置、および案内処置のために使用される。デバイスは、切除された腫瘍/組織標本を検査するために使用することもでき、腫瘍/癌細胞および/または前癌細胞が切除標本の外側マージンに存在するか否かを決定する。そういった細胞の存在は、肯定的マージンを示すことがあり、それは、外科床の更なる摘除が実行されるべきか否かを決定する際に、外科医によって考慮されるべきものである。切除標本の外側マージンで同定された任意の腫瘍/癌細胞の場所は、外科床の対応する場所を同定するために使用でき、それは更なる摘除および/または処置のために標的化できる。これは、外科床自体の視覚化が任意の残存腫瘍/癌細胞、前癌細胞、または衛星病巣を同定しない状況において、特に有益であることがある。
【0023】
本開示の一態様に従って、疾患の視覚化のための手持ち型の内視鏡蛍光ベースの画像化デバイスが提供される。このデバイスおよび方法は、ヒトおよび動物における創傷の監視に適するようにできる。
【0024】
デバイスは、モジュール式の手持ち型画像化デバイスにできる。そういった実施形態では、デバイスは、本明細書でベース部分やベースハウジングとも呼ばれるベース本体部分を含む。デバイスは、本明細書で内視鏡光学ハウジングとも呼ばれる内視鏡光学部分も含む。内視鏡光学部分は、ベース本体部分によって解除可能に受容され、また、所与の状況での画像化に要望される性能に応じて、他の光学部分と交換可能である。
【0025】
手持ち型内視鏡画像化デバイス100の例示的な実施形態は、
図2~
図6に示される。
図2~
図6に示されたように、幾つかの実施形態例では、デバイス100のベース本体部分110は、概ね正方形または矩形の形状を有することができる。ベース本体部分110の前またはユーザに面する側115は、デバイスによってキャプチャされた画像およびビデオを表示するための表示スクリーン120を含む。1つの実施形態例では、タッチスクリーンディスプレイは、それの上全体の反射防止コーティングを含む保護ガラスを有する。正方形または矩形として描かれているが、デバイスは、タッチスクリーンなどのディスプレイスクリーンを合理的に支持するであろう任意の形状を採ることができる。画像化デバイス100によってキャプチャされた画像を開示することに加えて、ディスプレイスクリーンは、ユーザインターフェースとしても動作し、ユーザがタッチスクリーン入力を介してデバイスの機能を制御するのを可能にする。ディスプレイスクリーン120の上方に配置されるのは、電源ボタン112であることがある。1つの実施形態例では、LEDのリングは、電源ボタンを囲むことがあり、システム状態を示すために使用される。パワーボタン112が位置する同じエリアには、バッテリ状態LED114が設けられることがある。デバイスの上面には、ユニバーサルシリアルバス(USB)ポート(図示せず)が設けられることがあり、手持ち型デバイス100の、外部デバイスに対する接続を容易にするためであり、(PCワークステーションなどの)コンピュータ、タブレット、電話や他のデバイスなどであって、手持ち型デバイス100のソフトウエアやファームウエアを更新すること、手持ち型デバイス100のメモリに保存された画像をダウンロードすること等々などの様々なタスクのためである。USBポート(図示せず)は、カバー116によって保護されることがある(
図7参照)。追加的または代替的に、手持ち型デバイス100のUSBポートは、データを直接転送するために、USBスティック、USBフラッシュドライブまたはサムドライブなどの記憶デバイス(図示せず)に直接接続できる。例えば、手持ち型デバイス100は、データ、画像、および/または他の材料を記憶デバイスにダウンロードできる。別の例では、記憶デバイスは、新しいソフトウエアや命令を手持ち型デバイスにローディングするために使用できる。代替的に、そういった活動は、手持ち型デバイス100と、コンピュータ、タブレット、電話、または他のデバイスなどの外部デバイスと、の間の無線通信リンクを用いて達成できる。幾つかの実施形態では、手持ち型デバイス100は、USB接続および(Wi-Fi、ブルートゥース(登録商標)等々などの)無線通信の双方の機能性を含むことができる。
【0026】
デバイスの反対側、デバイスの患者対向側125に配置されるのは、手持ちエリア130であることがあり、画像化中にデバイスをユーザが持つのを容易にするように構成される。
図4に示されたように、手持ちエリアは、ベース本体部分110から離れて延びる突起またはエリアを含むことができ、ユーザの指が突起を握るかまたはそのまわりに巻き付くのを可能にするに十分である。他の様々なタイプの手持ち部、ならびに、手持ち部の配置は、利用することができる。そういった手持ち部の位置に関する1つの考慮は、画像化のためにデバイスを使用しながら、また、タッチスクリーンディスプレイを介して命令を入力しながら、デバイスをバランスさせるユーザの能力である。デバイスの重量分布も、使い勝手の良い人間工学的なデバイスを提供するために、一考慮になるであろう。デバイスの患者対向側125は、デバイスのワイヤレス充電のための接触部135を組み込むこともできる。
【0027】
本開示の一態様に従って、デバイス100の患者対向側125は、内視鏡140も含む。内視鏡140は、内視鏡ハウジング部分145に実装および/またはそれと一体形成できる。
図7の例示的な実施形態に例証されたように、内視鏡ハウジング部分145は、ベース本体部分110から取外し可能にできる。内視鏡ハウジング部分145は、内視鏡140を支持するベース150を含む。矩形ベースとして例証されているが、企図されるのは、ベース150が正方形、円形、または長円形などの他の形状を採ることができる、ということである。ベース150は、ベース本体部分110の開口155に受容されるように形状付けおよび構成される。開口155は、内視鏡光学ハウジング145を解除可能に受容するように構成される。内視鏡ハウジング部分150のベース150が開口155に位置するとき、内視鏡ハウジング部分145がベース本体部分110にロックされるように、位置にロックできる。この構成では、電気的な接触は、本体部分110と内視鏡ハウジング部分145に包含される光学構成要素との間に作られ、内視鏡ハウジング部分の構成要素は、ベース本体部分110に包含されるバッテリなどの電源によって給電される。バッテリパック(図示せず)は、ベース本体部分110のベースエリアに位置できる。様々な実施形態例では、ベース本体部分110は、電子機器デバイスから熱を消散させるためのヒートシンクを含む。1つの実施形態例では、ヒートシンク132(
図4)は、内視鏡光学ハウジングを受容するように構成されるベース本体部分110の開口155まわりにリップまたは壁を形成する。追加的に、内視鏡ハウジング部分145は、例えば、アルミニウムなど、内視鏡部分の遠位先端に見られる光学系から熱を遠く引き出すように構成される材料で作製できる。ベース本体部分は、手持ち型デバイス100がワイヤレス通信を送信および/または受信するのを可能にするために、Wi-Fiアンテナ(図示せず)も包含できる。1つの実施形態例では、Wi-Fiアンテナは、Wi-Fi性能を維持するためにベース本体部分110の外側シェルまたはハウジングの近くに位置する。
【0028】
ベース本体部分110は、内視鏡光学ハウジング部分145を解除可能に受容するように構成されるインターフェースを含む。内視鏡光学ハウジングは、下で説明されるように、内視鏡光学ハウジングの構成要素と、ベース本体部分のバッテリおよびプロセッサと、の間の電気的および動力的な接続を提供する様式で、ベース本体に受容されるように構成された部分を含む。
【0029】
本開示に係るシステムは、不使用時に手持ち型デバイスがその上に載ることのできるスタンドなどのドッキングステーションを含むことができる。ドッキングステーションは、手持ち型デバイスのバッテリに充電電流を供給するように構成される電気接触部などの1つまたは複数の電気接続エリアを含むことができる。ドッキングステーションは、コンピュータなどのワークステーションにドッキングステーションを接続するための1つまたは複数のポート(例えば、USBポート)などのデータ接続部を含むこともできる。
【0030】
例えば、ここで
図33を参照すると、手持ち型デバイス3300およびドッキングステーション3302の実施形態が示される。
図33では、手持ち型デバイス3300は、ドッキングステーション3302に載っている。ドッキングステーション3302は、手持ち型デバイス3300の内視鏡部分3340を受容するように構成されたレセプタクル3304を含む。ドッキングステーション3302は、ドッキングステーション3302上の手持ち型デバイス3300の確実な配置を提供するように構成された様々な特徴部を含むことができる。例えば、この実施形態では、ドッキングステーション3302は、保持ループ3306を含み、保持ループ3306は、手持ち型デバイス3300がドッキングステーション3302上に配置されるときに、内視鏡部分3340を少なくとも部分的に囲むために、また、手持ち型デバイス3300に対する不注意な接触がドッキングステーション3302から手持ち型デバイス3300を移動させないことを確実にするために、配置される。ドッキングステーション3302は、ドッキングステーション3302が、その上にドッキングステーションが配置されるカウンタやテーブルなどの表面に十分なグリップを有する、ということを確実にするために、ゴム足(図示せず)を含むこともできる。
【0031】
ここで
図34を参照すると、手持ち型デバイス3300およびドッキングステーション3302は、互いに分離されて示される。
図34では、1対の電気接触部3308は、ドッキングステーション3302上で視認可能である。手持ち型デバイス3300は、手持ち型デバイス3300がドッキングステーション3302上に配置されるときに接触部3308に接触する対応する接触部3310(
図36に概略が示される)を含むことができ、手持ち型デバイス3300およびドッキングステーション3302間に電気的接続部を形成して、手持ち型デバイスのバッテリを充電するための電気経路を提供する。任意選択で、接触部3308および3310(
図36)は、データがそれを横切って手持ち型デバイスにまたは手持ち型デバイスから転送され得るインターフェースを形成できる。
【0032】
ここで
図35を参照すると、ドッキングステーション3302の前面直交図が示される。
図35の図では、ユニバーサルシリアルバス(USB)ポート3503が視認可能である。USBポート3503は、ドッキングステーション3302をコンピュータやAC電力アダプタに接続するなどによって、手持ち型デバイス3300(
図33)のバッテリを充電するためにドッキングステーション3302を電源に接続するために使用できる。USBポート3503は、限定ではなく、ミニUSB、マイクロUSB、USBタイプC、または他の標準的なUSBコネクタ構成であるか、あるいは、それらを含むことができる。他の実施形態では、ドッキングステーション3302を電源に接続するためのコネクタデバイスの他のタイプは、他のタイプのAC/DCコンバータや他のタイプの電源など、本開示の範囲内で考慮される。代替的に、ドッキングステーションは、内蔵型AC/DC変換器を含むことができ、また、交流電力を供給する従来の壁コンセントなどのAC主ラインにプラグインされるように構成された電力ケーブルを具備できる。
【0033】
内視鏡光学ハウジングは、視覚化される標的からの光信号の収集を容易にするように構成された様々な光学構成要素を含むことができる。1つの光学ハウジングから別のものまで様々であり得る特性は、次の非限定の例を含み、それらは各光学ハウジング内に任意の組合せで含まれることがある。即ち、画像センサの数、白色光画像化のために構成された画像センサの数(即ち、白色光画像化のためのフィルタと組み合わされる)、蛍光画像化のために構成された画像センサの数であり、蛍光画像化のための異なった画像センサは、異なった範囲の蛍光放出の通行を可能にするために、異なったフィルタとペア化でき、各範囲は、標的の特定の特徴をキャプチャするように構成される(例えば、血管系または微小血管系、コラーゲン、エラスチン、血液、骨、細菌、悪性、健康または疾患の軟骨、靭帯、腱、結合組織、リンパ、神経、筋肉等々)。
【0034】
図8~
図13に例証された実施形態例では、電気部品は、内視鏡140の遠位先端に位置しており、1つまたは複数の蛍光励起光源(FLLED160)と、白色光源(WLLED165)と、赤外線源(IRLED170)と、デジタル温度センサ180と、デジタル範囲ファインダ175と、デジタル周辺光センサ185と、を含むことがある。蛍光励起光源および白色光源は、LEDとして具現化でき、LEDカソード端子およびアノード端子へのワイヤを有する。デジタルセンサは、ベース本体に位置するDCレギュレータから給電できる。ベース本体110のマイクロコントローラユニット(MCU)は、I2C(業界標準通信スキーム)を介してセンサと通信する。カメラセンサ190は、内視鏡140の遠位先端142に同じく設けられる。カメラセンサ190は、MIPICSI(業界標準カメラインターフェーススキーム)を使用して、ベース本体110に位置するMCUに接続される。
図8~
図13の例示的な実施形態は、単一のカメラセンサ190で例証されているが、他の例示的な実施形態は、下で述べられるように、2つ以上のカメラセンサを任意選択で含むことができる。内視鏡は、反射および蛍光偏光画像化のために、内蔵型の偏光光学系を含むこともできる。
【0035】
画像センサは、静止画像またはビデオをキャプチャするように構成される。本明細書では単一の画像センサを包含するとして開示されているが、企図されるのは、異なる内視鏡設計が1つより多くの画像センサを含むことができる、ということである。非限定の例として、本開示に係るデバイスは、白色光および赤外線画像化のために構成された第1のカメラセンサと、蛍光画像化のために構成された第2のカメラセンサと、を含むことができる。
【0036】
当業者に理解されるであろうように、画像化デバイスの遠位端部における構成要素の配置は、多くの構成を採ることができる。そういった構成は、デバイスのサイズ、デバイスの占有面積、および使用される構成要素の数によって動かすことができる。しかしながら、構成要素を配置するとき、機能的な要因も考慮されるべきである。例えば、デバイスの光源からの光漏出、および/または遠位端部で光学ハウジングに進入する周囲光などの課題は、デバイスの適切なまたは最適な動作と干渉することがあり、また、例えば、画像アーチファクトなど、あまり望ましくない出力を引き起こすことがある。
図8~
図13に例証された構成は、1つの可能な構成であり、カメラセンサは、光源からの光漏れや周囲光を防止するように隔離される。
【0037】
可能性のある望ましいことは、行われるべき画像化のタイプや画像化中にキャプチャされるべき特性のタイプに応じて内視鏡内に異なった構成要素を有することである。斯くして、可能であるのは、内視鏡光学ハウジングの幾つかの異なったバージョンが単一のベース本体110と共に使用するために提供できる、ということである。各異なった内視鏡ハウジングは、光学構成要素の異なった組合せを包含でき、特定の組合せの個々は、画像化される部位の特定の特徴を示す画像を生成するように仕立てられる。内視鏡140の遠位先端142に含まれる構成要素のタイプの数、ならびに、特定の内視鏡の意図された使用に応じて、内視鏡のサイズ、形状、または材料は、変えることができる。斯くして、企図されるのは、ベース本体部分110が幾つかの異なった内視鏡部分を交換可能に受容し、各々が異なった特性を有する、ということである。
【0038】
例えば、1つの実施形態例に従って、各タイプの光源および/または画像化モードは、個々の内視鏡ハウジングに提供されることがある。例えば、
図24に示されたように、手持ち型内視鏡画像化デバイス200は、ベース本体210と、3つの内視鏡光学ヘッド(画像化ヘッド)245a、245b、および245cと、を含む。各内視鏡画像化ヘッドは、特定の画像化モード用に構成される。例証された実施形態では、白色光内視鏡光学ヘッド245aは、白色光画像化モード用に構成される。内視鏡240aの遠位先端252aは、1つまたは複数の白色光LEDと、白色光画像を受容するように構成された光学センサと、を含む。白色光内視鏡光学ヘッド245aは、ベース本体210の開口255に受容され、白色光内視鏡光学ヘッド245aがベース本体210に動作可能に接続されるとき、手持ち型内視鏡画像化デバイス200は、WL画像化モード用に構成される。WL画像化は、手術室設定に存在するものと同様に標準照明条件下で乳房組織の画像を観察しキャプチャするために視野(FOV)全体を照明する。1つの実施形態例では、WL内視鏡ハウジングは、複数の白色光LEDと、Omni VisionセンサOV8865などの画像センサと、を含み、解像度が8MP、焦点範囲が2~15cm、焦点距離が3.05mm、F数が2.2、画角が85度、および、TV歪みが<1.0%である。別の実施形態例では、WL内視鏡ハウジングは、複数の白色光LEDと、SonyセンサIMX219などの画像センサと、を含み、解像度が8MP、焦点範囲が2~15cm、焦点距離が、2.5mm、F数が2.2、画角が84度、およびTV歪みが<1.5%である。白色光画像化内視鏡光学ヘッド245aは、温度センサ、光センサ、および/または距離計などの追加の構成要素を含むこともできる。
【0039】
図24は、蛍光画像化モード用に構成された蛍光画像化内視鏡光学ヘッド245bを更に示す。内視鏡240bの遠位先端252bは、励起光を放出して標的を照明するように構成された1つまたは複数の蛍光LEDと、励起光による標的の照明に応答して光信号を受信するように構成された光学センサと、を含む。蛍光内視鏡光学ヘッド245bは、ベース本体210の開口255に受容され、蛍光画像化内視鏡光学ヘッド245bがベース本体210に動作可能に接続されるとき、手持ち型内視鏡画像化デバイス200は、蛍光(FL)画像化モード用に構成される。1つの実施形態例では、蛍光画像化内視鏡光学ヘッドは、複数の青/紫色LEDと、Omni VisionセンサOV8865などの画像センサと、を含み、解像度が8MP、焦点範囲が2~15cm、焦点距離が3.05mm、F数が2.2、画角が85度、および、TV歪みが<1.0%である。別の実施形態例では、蛍光画像化内視鏡光学ヘッドは、複数の青/紫色LEDと、SonyセンサIMX219などの画像センサと、を含み、解像度が8MP、焦点範囲が2~15cm、焦点距離が、2.5mm、F数が2.2、画角が84度、およびTV歪みが<1.5%である。FL画像化の目的は、乳房組織における癌種を視覚化することである。乳房組織における癌種は、患者による5-アミノレブリン酸(ALA)の摂取に続いて癌細胞内に蓄積されたプロトポルフィリン(PpIX)を励起するために、紫色光(405nm)で乳房組織を照明することによって視覚化される。癌性腫瘍内での局所化PpIXは、励起光(405nm)を吸収し、次いで、より長い波長(635nmでピーク)で光を放出し、乳房組織における癌種の視覚化を可能にする。例えば、
図25を参照されたい。
【0040】
1つの実施形態例では、手持ち型内視鏡画像化デバイス200と共に使用するための蛍光画像化内視鏡光学ヘッド245bは、PpIX蛍光を誘導するためのFWHMで405nm±15nm帯域幅を有する励起光を放出する2つの紫色LED照明源を有する。
図26A~
図26Cを参照されたい。手持ち型内視鏡画像化デバイス200と共に使用するための蛍光画像化内視鏡光学ヘッド245bは、低、低めの中、高めの中、および、高という蛍光照明源のための4つの異なった出力設定を有することができる。1つの実施形態例では、4つの設定の放射照度は、内視鏡画像形成デバイスの遠位端部245bが画像化標的から10cm離れているときに、低が、約2.3mW/cm
2、低めの中が、約5.2mW/cm
2、高めの中が、約8.1mW/cm
2、および、高が、約11.0mW/cm
2である。
【0041】
手持ち型内視鏡画像化デバイス200と共に使用するための蛍光画像化内視鏡光学ヘッド245bは、FL励起光による標的の照明に応答して、光学センサ(カメラ)への信号の通行を可能にするように構成されたフィルタも含む。1つの例では、蛍光画像化内視鏡光学ヘッドは、PpIX放出光(635nm)と結合組織(500~550nm)からの緑色自己蛍光とを視覚化するための固定デュアルバンドパス放出フィルタを有する。1つの実施形態例では、デュアルバンドパス放出フィルタは、次の特性、直径6mm(+/0.1mm)、厚さ1mm(+/0.1mm)、次の放出範囲、502nm~543nmおよび600nm~660nmについて95%を超える平均透過、を有する。デュアルバンドパス放出フィルタは、次の波長、300nm~492nmおよび553nm~589nmの光を完全にブロック(絶対ブロック)するようにも構成される。デュアルバンドパス放出フィルタは、平均675nm~1000nmおよび1000~1200nmの波長の光をブロックするようにも構成される。この固定デュアルバンドパス放出フィルタ例の特性は、
図27A、
図27B、および
図27Cに例証される。
【0042】
蛍光画像化内視鏡光学ヘッド245bは、温度センサ、周囲光センサ、および/または距離計などの追加の構成要素を含むこともできる。
【0043】
図24は、赤外線画像化モード用に構成された赤外線(IR)画像化内視鏡光学ヘッド245cを更に示す。内視鏡240cの遠位先端252cは、励起光を放出して標的を照明するように構成された1つまたは複数の赤外線LEDと、励起光による標的の照明に応答して光信号を受信するように構成された光学センサと、を含む。赤外線内視鏡光学ヘッド245cは、ベース本体210の開口255に受容され、赤外線画像化内視鏡光学ヘッド245cがベース本体210に動作可能に接続されるとき、手持ち型内視鏡画像化デバイス200は、赤外線(IR)画像化モード用に構成される。1つの実施形態例では、赤外線画像化内視鏡光学ヘッドは、1つまたは複数の赤外線LEDと、Omni VisionセンサOV8865などの画像センサと、を含み、解像度が8MP、焦点範囲が2~15cm、焦点距離が3.05mm、F数が2.2、画角が85度、および、TV歪みが<1.0%である。別の実施形態例では、赤外線画像化内視鏡光学ヘッドは、1つまたは複数の赤外線LEDと、SonyセンサIMX219などの画像センサと、を含み、解像度が8MP、焦点範囲が2~15cm、焦点距離が2.5mm、F数が2.2、画角が84度、およびTV歪みが<1.5%である。
【0044】
インドシアニングリーン(ICG)色素の使用と組み合わせたIR画像化は、乳房温存手術中のリンパ節や血管などの生物学的構造の視覚化を可能にする。ICGは、患者の静脈内に投与されるシアニン色素であって、β-リポ蛋白および特にアルブミンにしっかり結合する。アルブミンは、球状蛋白質のファミリであり、それらは血漿および循環系で普通に見られる。追加的に、リンパ節の高い蛋白含有量を理由に、ICGは、リンパ経路およびリンパ節に蓄積する。ICGの蓄積は、可能なIR画像化を用いてリンパ節および血管構造を視覚化することを行う。ICGは、色素であり、60μM水溶液中での測定時に、763nmでのピーク吸収と、817nmでのピーク放出と、を有する近赤外光の下での励起後に蛍光する。
図28を参照されたい。
【0045】
1つの実施形態例では、手持ち型内視鏡画像化デバイス200と共に使用するための赤外線画像化内視鏡光学ヘッド245cは、蛍光を誘導するためのFWHMで760nm±15nm帯域幅を有する励起光を放出する2つの紫色LED照明源を有する。
図29Aおよび
図29Bを参照されたい。
【0046】
手持ち型内視鏡画像化デバイス200と共に使用するための赤外線画像化内視鏡光学ヘッド245cは、IR励起光による標的の照明に応答して、光学センサ(カメラ)への信号の通行を可能にするように構成されたフィルタも含む。1つの例では、赤外線画像化内視鏡光学ヘッドは、760nmの励起光をブロックおよび得られた光の放出をキャプチャするためのデュアルバンドパス放出フィルタを有する。1つの実施形態例では、デュアルバンドパス放出フィルタは、次の特性、直径6mm(+/0.1mm)、厚さ1mm(+/0.1mm)、次の放出範囲、420nm~700nmおよび815nm~895nmについて95%を超える平均透過、を有する。デュアルバンドパス放出フィルタは、次の波長、300nm~412nm、707nm~804nm、および912nm~1100nmの光を完全にブロック(絶対ブロック)するようにも構成される。この固定デュアルバンドパス放出フィルタ例の特性は、
図30A、
図30B、および
図30Cに例証される。この実施形態では、IR通過帯域は、放出光のピークあたりに中心決めされない。これは、全ての励起光が放出フィルタによってブロックされることを確実にするためである。
【0047】
赤外線画像化内視鏡光学ヘッド245cは、温度センサ、周囲光センサ、および/または距離計などの追加の構成要素を含むこともできる。
【0048】
本明細書では、乳房温存手術中の使用に関して議論されたが、デバイス200は、視野が内視鏡アタッチメントなしで部分的にまたは完全にブロックされることのある、閉じ込められた空間内、例えば、体内管や器官内に包含される創傷などの創傷を画像化するためにも使用できる。更に、本明細書では、1つが白色光、蛍光、および赤外線画像化の個々用である、画像化のための3つの内視鏡光学ヘッドを有するものとして説明されたが、企図されるのは、蛍光画像化用および/または赤外線画像化用の追加の内視鏡光学ヘッドが提供できる、ということである。3つの内視鏡光学ヘッド245a、245b、245cは、ベース本体210と共に使用するためのキットとして共に提供でき、あるいは、システムとしてベース本体210と共に販売できる。追加的または代替的に、1つより多くの蛍光画像化内視鏡光学ヘッド245bを包含するキットは、提供でき、各蛍光画像化内視鏡光学ヘッド245bは、異なった波長を有する励起光を放出するように構成された励起光源を有する。そういった追加の蛍光画像化内視鏡光学ヘッド245bは、補助部品または交換部品として、個別に販売することもできる。同様に、1つより多くの赤外線画像化内視鏡光学ヘッド245cを包含するキットは、提供でき、各赤外線画像化内視鏡光学ヘッド245cは、異なった波長を有する励起光を放出するように構成された励起光源を有する。そういった追加の赤外線画像化内視鏡光学ヘッド245cは、補助部品または交換部品として、個別に販売することもできる。白色光画像化内視鏡光学ヘッド245a、1つより多くの蛍光画像化内視鏡光学ヘッド245b、および/または、1つより多くの赤外線画像化内視鏡光学ヘッド245c、を含むキットまたはシステムも企図される。
【0049】
別の実施形態例では、白色光画像化、蛍光画像化および赤外線画像化のための3つの別個の光学ヘッドを設ける代わりに、3ピースまたは3プロングの画像化内視鏡光学ヘッドは、設けることができ、3ピースまたは3プロングの個々は、画像化用の異なった光源を含む。例えば、第1のピースまたはプロングは、白色光画像化のための白色光源と、白色光画像化中に白色光による標的の照明に応答して信号を受信するための光学センサと、を含むことができ、第2のピースまたはプロングは、蛍光画像化のための蛍光励起光源と、蛍光励起光による標的の照明に応答して信号をフィルタ濾過するための蛍光放出フィルタと、蛍光画像化中に蛍光励起光による標的の照明に応答してフィルタ濾過済み信号を受信するための光学センサと、を含むことができ、第3のピースまたは第3のプロングは、赤外線画像化のための赤外線励起光源と、赤外線励起光による標的の照明に応答して信号をフィルタ濾過するための赤外線放出フィルタと、赤外線画像化中に赤外励起光による標的の照明に応答してフィルタ濾過済み信号を受信するための光学センサと、を含むことができる。蛍光ピースおよび赤外線ピース(プロング)の個々は、蛍光および赤外線励起光の1つまたは複数の波長で励起光を放出するようにそれぞれ構成できる。3つのピース/プロングは、単一の実装構造において互いに接合でき、実装構造は、内視鏡光学ヘッドの内視鏡部分に回転可能に接続できる。こんな具合に、ピース/プロングは、所望の画像化モードの所望の光源を選択するために内視鏡に対して回転できる。回転は、電動式や手動にできる。「使用中」位置への光源の回転は、光源に給電するためにベース本体に包含されるバッテリパックにその光源を動作可能に接続できる。
【0050】
代替の実施形態では、光学センサは、手持ち型内視鏡画像化デバイスの内視鏡部分またはベース本体部分に包含でき、光源およびフィルタだけは、必要に応じて、プロングの個々に含められる。どちらかの実施形態では、プロングは、温度センサ、周囲光センサ、および/または距離計などの追加の構成要素を含むことができる。
【0051】
同じく企図されるのは、単に2つのプロングだけが設けられて、白色光源および赤外線光源は、同じプロング上に包含される、ということである。
【0052】
別の例では、別々の画像化ヘッドや別々のプロングの代わりに、手持ち型内視鏡画像化デバイスの内視鏡部分の遠位先端は、他の遠位先端と着脱可能や交換可能にでき、各遠位先端は、異なった特性を有しており、白色光画像化、蛍光画像化、および/または赤外線画像化などである。上で別々の内視鏡光学ヘッドに関して議論されたように、1つより多くの蛍光および/または赤外線画像化先端は、設けられることがあり、個々は、所定の波長で励起光を放出するように構成されたそれぞれの光源を有する。遠位先端のキットは、システムを作り出すための手持ち型内視鏡画像化デバイスを備えて販売できるか、または、補充部品または交換部品として別々に販売できる。
【0053】
内視鏡光学ハウジングに含まれる励起光源の数およびタイプは、変化することがある。励起光を放出するように構成された励起光源の有する波長は、約350nm~約400nm、約400nm~約450nm、約450nm~約500nm、約500nm~約550nm、約550nm~約600nm、約600nm~約650nm、約650nm~約700nm、約700nm~約750nm、約750nm~約800nm、約800nm~約850nm、約850nm~約900nm、および/または、それらの組合せである。光学ハウジングの形状は、特定の用途に応じて、1つのハウジングから別のハウジングへと変化することもある。特に、光学ハウジングの内視鏡部分は、可撓性、剛性、関節接合式、長尺、短尺等々であることがある。例えば、特殊な形状は、例えば、凹部、口腔、鼻腔、耳等々などの閉じ込められた解剖学的空間にアクセスすることなどの特定用途のために使用できる。内視鏡光学ハウジングのサイズは、その中に包含される構成要素のサイズや数に応じて変化することがある。光学ハウジングの様々な例示的な実施形態は、周囲光センサ、距離計、熱画像化センサ、3次元画像化のために使用されるべき赤外線放射源、測定を行うためのレーザ等々などの特徴を、任意の組合せで、含むこともできる。
【0054】
手持ち型内視鏡画像化デバイスは、内視鏡ヘッド内の光学構成要素をカバーする保護窓を有する。1つの実施形態例では、窓は、Corning-Fusedシリカ7980から作製でき、約1.1mmの厚さを有する。窓の透過特性は、
図31に例証される。保護窓に加えて、光学的クリアレンズは、下で更に議論されるように、デバイスと共に使用されるように構成されるカスタム滅菌ドレープに設けることができる。全ての励起光および得られる放出光は、ドレープの光学的クリアレンズを通過しなければならない。
【0055】
内視鏡光学ハウジングの内視鏡部分は、腫瘍が切除されるときの手術部位に、創傷の、腫瘍/組織が切除された外科窩の、切除された腫瘍の1つまたは複数のセクション上の、切除された腫瘍の外面上の、外科的マージンに、あるいは、閉じ込められた解剖学的空間の中に、光を導くように構成される。内視鏡端部は、外科的マージンを包含する外科窩内に位置するように更に構成できる。デバイスのベース本体部分は、デバイスの本体がオートクレーブなどの滅菌を受けることができるように、滅菌に適する1つまたは複数の材料を含むことができる。適切な材料の例は、ポリプロピレンである。当業者は、他の適切な材料に精通しているであろう。電子機器などのオートクレーブの状態に耐えることのできない可能性のあるデバイスの本体内の構成要素は、保護用のハウジング、例えば、金属またはセラミックハウジングに固定そうでなければ収容できる。
【0056】
デバイスは、外科用ドレープまたはシールドと共に使用されるように構成できる。そういったドレープに関する追加の詳細は、2019年5月9日に国際出願された「IMAGING DRAPES, PACKAGING FOR DRAPES, METHODS OF USE OF IMAGING DRAPES, AND METHODS FOR DEPLOYING DRAPE」と題するPCT/CA2019/000061に、また、2019年1月15日に出願された「Adaptor for Supporting a Darkening Drape」と題する米国意匠出願第29/676,893号に見出すことができ、それらの個々の全内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。上で参照された出願に開示された暗黒化ドレープに加えて、本出願の画像化デバイスと共に使用するためのドレープは、手術野を滅菌状態に維持および/または内視鏡の遠位先端を体液との汚染から維持するように構成できる。これら2つのドレープの特性、暗黒化および滅菌性は、単一のドレープの中に組み合わせることができ、あるいは、下で議論されるように2つの異なったドレープ構成要素の様式を採ることができる。ドレープの実施形態例は、
図15に例証される。
【0057】
図32A~
図32Cに示された1つの実施形態では、カスタム滅菌ドレープは、内視鏡ヘッド上に嵌合して、手持ち型内視鏡画像化デバイス全体を囲む。
図32Aおよび
図32Cを参照されたい。滅菌ドレープは、使用中の際にデバイスの無菌性を維持するであろう。1つの実施形態例では、カスタム滅菌ドレープは、カスタム滅菌ドレープの遠位先端に見られるレンズを含む。レンズは、光学的にクリアにでき、また、例えば、1.8mmの厚さ、0度AOIで92%透過、45度AOIで88%透過を有する、Sabic9440カラー112(クリア)で作製できる。カスタム滅菌ドレープは、手持ち型内視鏡画像化デバイスの内視鏡部分の遠位先端にドレープを確実に取着するためにレンズホルダを有することができる。いったん取着されると、レンズホルダおよびドレープを取り外す唯一の方法は、ホルダを壊すことである。レンズホルダの実施形態例は、
図32Bに例証される。光学ハウジングは、単一のアダプタが内視鏡光学ハウジング全体に嵌合して暗黒化ドレープを取着するであろうように、構成できる。代替的に、別個のアダプタは、各タイプの内視鏡光学ハウジングに係合するために、設けることができる。
【0058】
例えば、本発明者は、周囲および人工光が画像化のエリアで減少すると画質が改善されることを見出した。これは、使用中の周囲および/または人工光源を低減または除去することによって達成できる。代替的に、ドレープまたはシールドは、画像化が起こっている手術部位からの周囲および/または人工光の少なくとも一部をブロックするために使用できる。1つの例示的な実施形態では、シールドは、デバイスの内視鏡端部上に嵌合するように構成でき、また、外科窩に進入する可能性のある周囲および/または人工光の量を変化させるために、外科窩に向けておよび外科窩から遠くに、デバイス上を移動できる。シールドは、円錐または傘に形状付けできる。代替的に、デバイス自体は、ドレープ内に囲むことができ、デバイスの端部をカバーするクリアなシース部分は、励起光で手術部位を照明するように構成される。外科用ドレープは、画像化と干渉しないように、内視鏡140の遠位先端142上に嵌合する光学的にクリアまたは透明な窓を含むことができる。ドレープは、オートクレーブや他の滅菌方法などによって手持ち型デバイスが滅菌されるのを可能にするために、手持ち型デバイスのための保護を提供できる。ドレープは、手持ち型デバイスをカバーでき、また、遠位端部から延びて外科窩に隣接するエリアをカバーする暗黒化シールドを提供でき、手持ち型デバイス以外の光の源泉からの光侵入から外科窩エリアを保護する。ドレープは、手持ち型デバイスの遠位端部をカバーするレンズキャップなどの硬性光学窓を含むかまたはそれと結合することもでき、光源から放出された光の正確な透過と、画像化デバイスに戻る光の対応する透過と、を確実にする。ドレープの本体は、ポリエチレン、ポリウレタンなどのポリマ材料や他のポリマ材料を含むことができる。任意選択で、レンズキャップは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などの異なった材料、または他の剛性、光学的に透明なポリマ、ガラス、あるいは他の材料を含むことができる。
【0059】
滅菌ドレープのためのレンズの別の例示的な実施形態は、
図39に示される。レンズ3980は、内視鏡140の遠位先端142と結合するように構成された形状を含む。レンズ3980は、レンズが遠位先端142の上側に位置するときに内視鏡によって生成される画像内の光学アーチファクトを最小化(例えば、除去)するように選択された材料を含むことができる。レンズ3980は、レンズ3980を遠位先端142に結合するように構成された特徴を含むこともできる。例えば、レンズ3980は、レンズ3980を内視鏡140の遠位先端142に結合する1つまたは複数のスナップ嵌合アーム3982を含むことができる。
【0060】
レンズ3980は、例えば、Sabic9440カラー112(クリア)または他の光学的に透明なポリマまたはガラス材料などの光学的に透明な材料を含むことができる。レンズ3980は、手持ち型デバイスをカバーする滅菌ドレープに結合でき、また、手持ち型デバイスと手術野との間に滅菌バリアを形成する。例えば、ここで
図40を参照すると、手持ち型デバイス100の断面図であり、遠位先端142の上側の定位置のレンズ3980と、手持ち型デバイス100を囲む滅菌ドレープ4084と、を備える。滅菌ドレープ4084は、可撓性ポリマシート材料を含むことができ、また、レンズ3980に接続でき、例えば、接着剤、レーザ溶接などの熱ベース接続、機械式接続、あるいは、レンズ3980を滅菌ドレープ4084に結合するのに十分な任意の他のタイプの接続による。
【0061】
上で述べられたように、手持ち型デバイスは、手術野に進入する周囲光を制限するように構成された暗黒化ドレープと共に使用できる。そういったドレープは、ドレープを手持ち型デバイスに結合する暗黒化ドレープアダプタ部分や、ドレープ材料を含むドレープ部分など、複数の構成要素を含むことができる。例えば、
図41は、暗黒化ドレープアダプタ部分4186の実施形態例を提供する。アダプタ部分4186は、手持ち型デバイスの内視鏡140を受容するように構成された開口4188と、内視鏡140と係合してアダプタ部分4186を内視鏡140に保持するように構成された開口4188の結合特徴部4190と、を含む。結合特徴部4190は、スナップ嵌合特徴部、または、アダプタ部分4186を内視鏡140に保持するように構成された他の係合特徴部を含むことができる。
【0062】
アダプタ部分4186は、手術野あたりに暗黒化ドレープ材料を広げるように構成された1つまたは複数のアーム4192を更に含み、したがって、内視鏡140は、手術野内で位置および移動でき、ドレープ材料が内視鏡140と干渉することが無い。例えば、ここで
図42を参照すると、アダプタ部分4186が示され、手持ち型デバイス100に設置されている。アダプタ部分4186のアーム4192は、内視鏡140あたりにドレープ材料4294を広げ、したがって、ドレープ材料4294は、暗黒化ドレープ材料4294によって囲まれたエリア内での内視鏡140の使用と干渉しない。
【0063】
図42では、滅菌ドレープ4084も示され、デバイス100に設置されている。滅菌ドレープ4084および関連するレンズ3980は、上で議論されたようにデバイス100の上側に設置でき、レンズ3980および滅菌ドレープ4084によってカバーされた内視鏡部分140は、アダプタ部分4186のアパーチャ4188を通して挿入でき、暗黒化ドレープをデバイス100の上側に設置できる。デバイス100は、それにより、滅菌ドレープによってカバーされ、暗黒化ドレープは、手術野の中への周囲光の侵入を減少させる。
【0064】
周囲光および/または人工光を削減または除去するように構成されたドレープについての他の変形は、当業者に理解されるであろうように利用できる。追加的または代替的に、手持ち型の蛍光ベースの画像化デバイスは、照明条件が画像化のために満足できるか否かを識別するように構成されたセンサ(例えば、周囲光センサ185)を含むことができる。デバイスは、手術野の滅菌性を維持するためおよび/またはデバイスの先端を体液から保護するために、外科用ドレープと共に使用することもできる。外科用ドレープおよび周囲光削減ドレープは、単一のドレープ設計の中に組み合わせることができる。代替的に、外科用ドレープは、デバイスを包囲でき、周囲光削減ドレープまたはシールドは、外科用ドレープの上側に位置できる。
【0065】
内視鏡光学ハウジングは、白色光画像化、組織自己蛍光画像化、PpIX蛍光画像化、および赤外線画像化を容易にする幾つかの構成要素をデバイスの先端に包含する。これらの構成要素は、白色LED、405nmLED、赤外線LED(750から800nmの間)、ヒートシンク、画像センサおよびレンズ組立体から構成される少なくとも1つのカメラモジュール、蛍光画像化を容易にするための少なくとも1つの画像化フィルタ、周囲光センサ、温度センサ、および距離計を含む。温度センサは、デバイスが安全な温度範囲内で動作していることを確実にするために使用される。温度センサは、制御ループにフィードバックを提供するために使用され、LEDセットアップ電流を変調して、LEDの温度誘起効率変化を補償する。一定の駆動電流でのLED放射束は、LED温度で変化する。
【0066】
このデバイスのベース本体部分110は、内蔵型のディスプレイを有するが、外部ディスプレイへの無線画像/データの伝送も可能にできる。それは、自動のデジタルデータの記憶も可能である。それが同じく可能であるのは、内視鏡アタッチメントの光学構成要素がベース本体(即ち、遠位先端ではない)の近くに収容されて画像化能力を提供するために光ファイバを組み込む、ということである。そういった実施形態では、内視鏡は、ベース本体に永続的に取着できてもできなくてもよい。
【0067】
上で議論されたように、内視鏡光学ハウジングは、少なくとも1つの励起光源を含むことができ、組織細胞の自己蛍光放出と、外科的マージンの組織細胞における誘導ポルフィリンの蛍光放出と、を励起するように構成される。少なくとも1つの励起光源は、デバイスの遠位端部に、そのまわりに、および/または、それに隣接して配置できる。各光源は、例えば、選択された波長で光を放出するように構成された1つまたは複数のLEDを含むことができる。
【0068】
励起光源は、選ばれた単一波長の励起光を提供でき、励起するのは、組織自己蛍光放出、ならびに、切除された腫瘍/組織の外科的マージンおよび/または腫瘍/組織細胞の切除された外科床の外科的マージンに包含される腫瘍/癌細胞における誘導ポルフィリンの蛍光放出、である。1つの例では、励起光は、約350nm~約600nmの範囲の、または350nm~約450nmおよび550nm~約600nmの範囲の、あるいは、例えば、405nmの、または、例えば、572nmの、波長を有することができる。
【0069】
代替的に、励起光源は、2つ以上の波長の励起光を提供するように構成できる。励起光の波長は、当業者に理解されるであろうように、異なった目的のために選ぶことができる。例えば、励起光の波長を変化させることによって、変化させることが可能であるのは、励起光が外科床を浸透する深さである。浸透深さが波長の対応する増加と共に増加するという理由で、使用することが可能であるのは、異なった波長の光であり、外科床/外科的マージンの表面下の組織を励起するためである。1つの例では、350nm~450nmの範囲の、例えば、405nmの、波長を有する励起光、および、550nmから600nmの範囲の、例えば、572nmの、波長を有する励起光は、外科床/外科的マージンを形成する組織を、異なった深さまで、例えば、約500μm~約1mmと約2.5mmのそれぞれまで、浸透できる。これは、デバイスのユーザ、例えば、外科医または病理学者が、外科床/外科的マージンの表面や外科床/外科的マージンの表面下で腫瘍/癌細胞を視覚化することを可能にするであろう。追加的または代替的に、近赤外領域/赤外領域の波長を有する励起光は、使用でき、例えば、約750nm~約800nmの間の、例えば、760nmや780nmの、波長を有する励起光は、使用できる。加えて、組織をより深いレベルに浸透させるために、このタイプの光源の使用は、赤外色素(例えば、IRDye800、ICG)などの第2のタイプの画像化/造影剤と共に利用できる。これは、例えば、血管新生、血管灌流、および外科的マージン/外科床内の血液のたまりの視覚化を可能にするであろうし、この情報は、残存腫瘍/癌細胞が外科床に残っている可能性について決定を行う際に、外科医が使用できる。加えて、血管灌流を視覚化することの有用性は、再建中の吻合を改善することである。
【0070】
デバイスは、外科的マージン/外科床の白色光(WL)画像化のための白色光源などの追加の光源を含むことができる。少なくとも幾つかの例では、例えば、乳腺腫瘤摘出などのBCS中などでは、腫瘍の除去は、外科床/外科的マージンを包含する窩を作り出すであろう。WL画像化は、窩の内部および/または外科的マージンの画像またはビデオを取得して、窩の視覚化を提供するために使用できる。白色光源は、1つまたは複数の白色光LEDを含むことができる。他の白色光の源泉は、必要に応じて、使用できる。当業者に理解されるであろうように、白色光源は、安定と信頼性があるべきであり、長期の使用中に過剰の熱を発生すべきでない。
【0071】
デバイス100のベース本体部分110は、白色光画像化および蛍光画像化間の切替え/トグリングを可能にするための制御を含むことができる。制御は、一緒にまたは別々に、様々な組合せで、および/または、逐次的に、様々な励起光源の使用も可能にできる。制御は、様々な異なった光源の組合せを通してサイクルでき、光源を順次制御でき、光源をストローブでき、そうでなければ、光源の使用のタイミングおよび持続時間を制御できる。制御は、当業者に理解されるであろうように、自動、手動、またはそれらの組合せにできる。上で議論されたように、ベース本体部分110のタッチスクリーンディスプレイ120は、デバイス100の制御を可能にするためのユーザインターフェースとして機能できる。代替的に、企図されるのは、手作動式ボタンなどの別個の制御が、タッチスクリーン制御の代わりにまたはそれに加えて、使用できる、ということである。そういった手作動式ボタンは、デバイスを保持および使用しながらユーザが制御を容易に作動させることを可能にするために、例えば、ハンドグリップに配置できる。
【0072】
デバイス100の内視鏡光学ハウジング部分145は、1つまたは複数の光学画像化フィルタを包含することもでき、その構成は、反射励起光の通行を防止して、組織細胞の自己蛍光放出および組織細胞における誘導ポルフィリンの蛍光放出に対応する波長を有する放出の通行を可能にする、というようになっている。1つの実施形態例では、デバイスは、白色光(WL)画像化および赤外線(IR)画像化のための1つのフィルタと、蛍光(FL)画像化のための別のフィルタと、を含む。デバイスは、所望の画像化モードと手持ち型デバイスによって放出される励起光とに基づいて、異なった画像化フィルタ間を切り替えるように構成できる。
【0073】
内視鏡光学ハウジングは、合理的な方法で励起/照明光源および画像化センサに取着された光学的または可変的に配向された偏光フィルタ(例えば、光学波長板を用いて組み合わされた線形または円形)を使用して変更できる。このようにして、デバイスは、組織表面を画像化するために使用でき、偏光照明および非偏光検出またはその逆あるいは偏光照明および偏光検出を用いて、白色光反射率および/または蛍光画像化のいずれかによる。これは、最小限度の正反射(例えば、白色光画像化からのグレア)での組織の画像化を可能にでき、ならびに、組織内の結合組織(例えば、コラーゲンおよびエラスチン)における蛍光偏光および/または異方性依存変化の画像化を可能にする。内視鏡光学ハウジングの偏光光学系を使用する能力は、反射光か標的からの蛍光のどちらかの偏光を可能にする。これは、改善された画像コントラストを潜在的に提供でき、腫瘍組織対正常組織は、405nm励起光を別様に反射するか、または、500~550nmおよび600~660nmの放出蛍光光から異なる偏光情報を放出する。
【0074】
手持ち型の蛍光ベースの画像化デバイスは、デバイスの内視鏡光学ハウジング内に画像化レンズおよび画像化センサも含む。画像化レンズまたはレンズ組立体は、フィルタ濾過された自己蛍光放出および蛍光放出を画像センサ上に焦点合わせするように構成できる。広角画像化レンズまたは魚眼画像化レンズは、好適なレンズの例である。広角レンズは、180度の視野を提供できる。レンズは、光学倍率も提供できる。非常に高い解像度は、画像化デバイスに望ましく、したがって、非常に小さな細胞グループ間で区別を行うことは、可能である。これは、手術中に保持される健康組織の量を最大にし、同時に、実質上全ての残存癌細胞、前癌細胞、衛星病巣を除去するための可能性を最大にするという目標を達成するために望ましい。画像センサは、組織細胞のフィルタ濾過された自己蛍光放出と、外科的マージンの組織細胞における誘導ポルフィリンの蛍光放出と、を検出するように構成される。画像センサは、4Kビデオ性能、ならびに、オートフォーカスや光学もしくはデジタルズーム性能を有することができる。CCDまたはCMOS画像化センサは、使用できる。1つの例では、フィルタと組み合わされたCMOSセンサは、使用でき、即ち、Ximea Companyによって販売されているものなどのハイパースペクトル画像センサである。フィルタ例は、可視光フィルタ(https://www.ximea.com/en/products/hyperspectral-cameras-based-on-usb3-xispec/mq022hg-im-sm4x4-vis)およびIRフィルタ(https://www.ximea.com/en/products/hyperspectral-cameras-based-on-usb3-xispec/mq022hg-im-sm5x5-nir)を含む。手持ち型デバイスは、プロセッサを包含することもでき、その構成は、検出された放出を受容して、検出されたフィルタ濾過された組織細胞の自己蛍光放出と、外科的マージンの組織細胞における誘導ポルフィリンの蛍光放出と、に関するデータを出力する、というようになっている。プロセッサは、同時プログラムを継ぎ目無く実行する能力を有することができる(限定されないが、無線信号監視、バッテリ監視および制御、温度監視、画像受理/圧縮、およびボタンプレス監視を含む)。プロセッサは、内部記憶装置、ボタン、光学系、および無線モジュールとインターフェース接続される。プロセッサは、アナログ信号を読み取る能力も有する。
【0075】
デバイスは、無線モジュールも含むことができ、また、完全な無線動作用に構成できる。それは、ハイスループット無線信号を利用でき、また、最小待ち時間で高解像度ビデオを伝送するための能力を有することができる。デバイスは、両Wi-Fiおよびブルートゥース使用可能(データ送信用Wi-Fi、高速接続用ブルートゥース)である。デバイスは、他のデバイスからの隔離のために、5GHz無線送信バンド動作を利用できる。更に、デバイスは、ソフトアクセスポイントとして作動可能にでき、それは、インターネットへの接続の必要性を排除し、また、患者のデータセキュリティに関連する他のデバイスから分離して接続されたデバイスおよびモジュールを維持する。デバイスは、無線充電用に構成でき、また、誘導充電コイルを含むことができる。追加的または代替的に、デバイスは、充電接続を受容するように構成されたポートを含むことができる。
【0076】
本開示の一態様に従って、内視鏡手持ち型デバイスは、標的の3次元蛍光画像を得るために使用できる。そういった3次元画像を得るためのシステムおよびその方法は、2019年1月17日に出願された「Systems Methods, and Devices for Three-Dimensional Imaging, Measurement, and Display of Wounds and Tissue Specimens」と題する米国仮出願第62/793,837号に開示されており、それの全内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0077】
本明細書で説明される例示的なデバイスの構造、機能、および動作に関する追加の詳細は、米国仮出願第62/625,983号(2018年2月3日に出願されて「Devices, Systems, and Methods for Tumor Visualization and Removal」と題する)および第62/625,967号(2018年2月2日に出願されて「Devices, Systems, and Methods for Tumor Visualization and Removal」と題する)に見い出すことができ、それらの個々の全内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0078】
1つの例(
図9~
図12参照)に具体化されたように、内視鏡の遠位端部は、特定の波長を有する光を放出するように構成された発光ダイオード(LED)などの1つまたは複数の光源を含む。例えば、1つまたは複数の光源は、405nm、760nm、780nmの波長、または他の波長を放出するように構成できる。遠位端部は、1つまたは複数の光源によって照明される外科窩の画像をキャプチャするように構成されたカメラ組立体などの画像化デバイスを更に含む。遠位端部は、より詳細に下で議論されるように、画像化デバイスに進入する光をフィルタ濾過するために配置された1つまたは複数のスペクトルフィルタを更に含む。
【0079】
幾つかの例示的な実施形態では、手持ち型デバイスは、遠位端部の側壁に形成されたチャネルを含むことができる。チャネルは、補助光源もしくは補助画像化センサのための光ファイバ、焼灼ツール、生検鉗子、タグ付けツール(クリップ、光学タグ、色素または塗料等々で組織をマーキングするため)、または、他のツールなどの追加ツールの挿入を容易にするために使用でき、その間において、手持ち型デバイス100は、手術部位内に位置する。代替的または追加的に、幾つかの実施形態は、デバイスの遠位先端内に形成されたチャネル、即ち、手持ち型デバイスが使用されている間において上述のツールのいずれかを外科手術部位に導入するためのデバイス内の内部チャネルを含むことができる。
【0080】
より詳細に下で議論されるように、手持ち型デバイスは、1つまたは複数のカメラセンサ、1つまたは複数の蛍光灯LED、1つまたは複数の赤外線LED、1つまたは複数の白色光LED、などの1つまたは複数の画像化デバイスと、温度センサ、周囲光センサ、および測距センサなどの様々なセンサと、を含む様々な電気サブシステムを含む。幾つかの例示的な実施形態では、手持ち型デバイスは、2つのカメラセンサを含み、個々は、異なった波長範囲に基づいて画像キャプチャを支持するように構成される。他の構成要素は、設定点駆動電流を達成するために要求に応じてLEDを駆動するための駆動電圧を生成する1つまたは複数のLEDドライバと、手持ち型デバイスの位置でビデオストリームがタグ付けされるのを可能にする、例えば、外科窩内の特徴部の空間的配向を提供するための1つまたは複数の加速度計およびジャイロスコープと、ビデオおよび静止画像の局部記憶装置を提供するためのフラッシュメモリと、手持ち型デバイスのソフトウエア試験および較正の工場負荷用のインターフェースを提供するためのUSBハブと、誘導バッテリ充電システムと、下で議論されるような光学フィルタの自動切替えを提供するためのモータ駆動電子機器と、Wi-Fi無線サブシステムと、デバイスのモードに関する情報をユーザに提供するユーザインターフェースと、再充電可能なバッテリ(リチウムイオンバッテリなど)と、システム状態の可聴フィードバックをユーザに提供するためのスピーカなどの音声デバイスと、音声記録デバイスと、他の構成要素と、を含む場合がある。そういった構成要素は、手持ち型デバイス内に収容された、コンピュータプロセッサなどの、1つまたは複数の制御器に動作可能に結合できる。
【0081】
例えば、一実施形態では、手持ち型デバイスは、アプリケーションプロセッサおよびマイクロコントローラユニットのうちの一方または双方を含む。アプリケーションプロセッサは、限定されないが、カメラインターフェースおよびビデオストリーム(例えば、静止画像およびモーションビデオ)を、データを表示またはコンピュータ端末に送信するための無線送信機能に、送る機能と、加速度計、ジャイロスコープ、およびオンボードフラッシュメモリとインターフェース接続する機能と、マイクロコントローラユニットとインターフェース接続する機能と、ユーザへの可聴フィードバック用のスピーカを駆動する機能と、無線通信サブシステムを管理する機能と、を含む機能を実行できる。
【0082】
マイクロコントローラユニットは、温度補償ループを含むLED駆動電子機器を制御する機能、温度センサ、周囲光センサ、および距離計と通信する機能、および、システム使用およびコンテキスト状態の伝達および受信用のアプリケーションプロセッサとインターフェース接続する機能、などの機能を提供できる。マイクロコントローラユニットは、例外条件、制御指示器LED、モニタ押ボタンまたは他のユーザインターフェースデバイスのためにシステムを監視し、光学フィルタ間を切り替えるためにモータ駆動を制御し、無線バッテリ充電および充電状態を監視し、動力管理ならびに他の機能を制御することもできる。
【0083】
手持ち型デバイスは、手持ち型デバイスの製造および組立を容易にするために、1つまたは複数の印刷回路基板(PCB)構成要素を含むことができる。手持ち型デバイスは、1つまたは複数の発光ダイオード(LED)を含むことができるLEDPCBと、関連する電子部品と、を含む。LEDPCBは、配線(バスなど)を介して手持ち型デバイス内の他の電子システムと動作可能に結合でき、また、バッテリ等々などの電源用の制御器などの手持ち型デバイスの制御システムに接続できる。
【0084】
遠位PCBは、画像化デバイスに隣接して配置でき、また、画像化デバイスを制御器にインターフェース接続する部品や手持ち型デバイスの電源、例えば、バッテリなど、画像化デバイスを支持する部品を含むことができる。幾つかの実施形態では、手持ち型デバイスの光源は、遠位PCBに含めることができる。
【0085】
例えば、遠位端部PCBのための例示的なレイアウトは、第1および第2のLEDデバイスを含むことができる。非限定の例として、第1および第2のLEDデバイスは、405nmの波長を有する光を放出するように構成されたLEDを含むことができ、他方、第2のLEDデバイスは、760nmの波長、780nmの波長、または他の波長で光を放出するように構成されたLEDを含むことができる。PCBは、画像化されるべきエリアに視覚的照明を提供するように構成された白色光LEDを更に含むことができる。
【0086】
遠位PCBは、手持ち型デバイスの制御システムと動作可能に結合され、手持ち型デバイスの効果的な動作を支持するために制御システムに他の情報を提供するように構成された他の部品を含むことができる。例えば、遠位PCBは、安全な温度範囲内でシステムが動作していることを保証するために、LED設定点温度補償ループにフィードバックを提供するために使用される温度センサを含むことができる。安全な温度範囲内でシステムが動作していることを保証することに加えて、温度センサは、温度が変化するときにLED放射束の変化を最小化するために、LED設定点温度補償ループにフィードバックを提供する。距離計は、カメラセンサと画像化されるべき標的との間の距離を測定でき、また、ユーザにフィードバックを提供して、正しい距離での画像化の際にユーザを案内するために、使用できる。測定された標的距離における変化は、カメラセンサの再焦点活動を惹起するために、任意選択で利用できる。周囲光センサは、蛍光画像化が適切な暗い環境においてだけ有効であるとき、周囲光のレベルに関してユーザにフィードバックを提供できる。測定された周囲光レベルは、白色光LEDを可能にするまたはその強度を制御するために、白色光画像化モード中に有用である場合もある。遠位PCBは、制御器、バッテリなどの電源、マイクロコントローラユニットおよびアプリケーションプロセッサなどの1つまたは複数のプロセッサ、あるいは、他の部品など、手持ち型デバイスの他の部分と動作可能に結合できる。
【0087】
LEDデバイスは、LED駆動電流設定点を調整する制御ループへの入力として温度センサからの情報を使用して閉ループシステムによって制御できる。幾つかの実施形態では、低および高範囲LED強度モードは、異なった用途のために支持できる。例は、外科窩内の閉じた範囲での画像化と、病理学的スイートにおける遠い範囲での乳腺腫瘤切除の画像化と、を含む。
【0088】
図36は、本開示の様々な実施形態に係るデバイスのハードウエア部品のレイアウト例を提供する。
図36を参照すると、本開示の例示的な実施形態に係る手持ち型デバイスのハードウエア部品は、光学印刷回路基板(PCB)3600(本明細書で議論された遠位端PCBに対応し得る)および電子機器システム3602にグループ化される。光学PCB3600は、蛍光LED3604、赤外線LED3606、および白色光LED3608を含む。光学PCB3600は、周囲光センサ3610、レーザ距離計3612などの距離計、および温度センサ3614を含むこともできる。
【0089】
光学PCB3600は、電子機器システム3602に動作可能に結合される。電子機器システムは、アプリケーションプロセッサモジュール3616、リアルタイムマイクロコントローラユニット(MCU)3618、および電力管理サブシステム3620などの電子制御部品を含むことができる。電子システム3602は、手持ち型画像化デバイスの他の電子機器部品とインターフェース接続する部品およびシステムを含むこともできる。例えば、電子機器システム3602は、蛍光、赤外線、および白色光LED用のCMOSカメラインターフェース3622およびLEDドライバ3624を含むことができる。
【0090】
電子機器システム3602の他の支持電子システムおよび部品は、フラッシュメモリデバイス3626などのメモリと、磁気計、加速度計、およびジャイロスコープのうちの1つまたは複数などの空間およびモーションセンサ3628と、Wi-Fi無線サブシステム3630と、USBハブ3632と、を含むことができる。接触部3310は、
図34に関連して上で議論されたように、手持ち型デバイス3300がドッキングステーション3302に配置されるとき、ドッキングステーション3302の接触部3308(
図34)に接触するように構成される。
【0091】
電子機器システム3602は、手持ち型デバイスの他部品への電子機器システム3602の結合を容易にするために、様々な接続部および/または関連するコネクタを含むことができる。例えば、電子機器システム3602は、蛍光カメラ3635を電子機器システム3602と動作可能に結合するように構成された蛍光カメラコネクタ3634、白色光/赤外線カメラ3637を電子機器システム3602と動作可能に結合するように構成された白色光/赤外線カメラコネクタ3636、ディスプレイコネクタ3638、スピーカコネクタ3640、Wi-fiアンテナコネクタ3642、およびバッテリパックコネクタ3644、のうちの1つまたは複数を含むことができる。様々なコネクタは、電子機器システム3602から手持ち型デバイスのそれぞれの部品、例えば、本明細書で議論されるような、様々なカメラデバイス、ディスプレイ、スピーカまたは他の聴覚デバイス、Wi-fiアンテナ、およびバッテリパックへの電気的結合を提供することができる。
【0092】
電子機器システム3602は、様々なユーザ制御器および関連する指示器を含むことができる。例えば、電子機器システム3602は、ユーザ制御器を含むことができ、電源スイッチ3646および関連する指示器3648、充電状態指示器3650、ピクチャキャプチャスイッチ3652、ビデオキャプチャスイッチ3654、および蛍光、白色光、および赤外線画像化モードスイッチ3656、3658および3660のそれぞれなどである。
【0093】
電子機器システムは、例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)コネクタなどの、コンピュータへの手持ち型デバイスの結合を容易にするための1つまたは複数のコネクタを更に含むことができる。
図36の例示的な実施形態では、コネクタは、USBタイプC(USB-C)コネクタ3662である。USBコネクタによって提供されるUSB接続は、幾つかの手術室での無線デバイスの制限が原因で必要とされる場合があるブルートゥースなど、Wi-Fiや他の無線プロトコルを通したデータの無線送信の代替案を提供できる。更に、USB接続は、ソフトウエアおよび/またはファームウエアの更新、バッテリ充電、および他の機能のために使用できる。
【0094】
電子機器システム3602は、
図37に示されたケーブル3764などの取り外し可能なUSB接続ケーブルによってコンピュータに動作可能に結合できる。ケーブル3764は、手術野とケーブルが干渉しないことを確実にするように、また、使用中に手持ち型デバイスからケーブルが不注意に取り外されないことを確実にするように、構成された様々な特徴を含むことができる。本明細書の説明は、ユニバーサルシリアルバス(USB)タイプ接続を参照することがあるが、理解されるべきは、本開示が任意の特定の接続プロトコルに限定されないこと、および、様々なタイプのUSBインターフェース以外の接続プロトコルが本開示の範囲内にあること、である。
【0095】
ケーブル3764は、ケーブルが手術野と干渉しないように保つのを容易にするために成形された歪み緩和特徴部3766を含むことができる。例えば、
図37の実施形態では、ケーブル3764は、本開示に係る手持ち型デバイスの背面の接続ポートに挿入されるように構成される。歪み緩和部3766は、非応力状態にあるときにケーブル3764に略90度の曲率を作り出すために成形される。ケーブル3764の曲率は、手術野から遠くへのケーブル3764のルート決めを容易にする。ケーブルの曲率は、90度より小さくまたは大きくできる。例示的な範囲として、ケーブルの曲率は、それに限定されないが、70度から110度にできる。70度より小さいまたは110度より大きい曲率は、本開示の範囲内である。歪み緩和特徴部3766によって分与されるケーブルの特定の形状は、手持ち型デバイス上の接続ポートの位置に依存する場合がある。例えば、接続ポートを側面に有する手持ち型デバイスに関して、歪み緩和部は、手術野から遠くへのケーブルのルート決めのために真直にできる。
【0096】
ケーブル3764は、ケーブル3764を手持ち型デバイスに電気的および機械的に結合するように構成された接続インターフェース3768を含むこともできる。接続インターフェース3768は、ケーブル3764と手持ち型デバイスとの間に正の機械的係合を提供するロックリング3770を含むことができ、使用中に手持ち型デバイスからケーブル3764が不注意に引っ張られるのを防止する。
【0097】
例えば、ここで
図38を参照すると、ハウジング3872の一部が示されており、ケーブル3764の接続インターフェース3768を受容するように構成される接続ポート3874を含む。接続ポート3874は、ロックリング3770の対応するタブ3780を受容するように構成されたスロット3878を含む周囲部分を含む。ロックリング3770が挿入され、したがって、ロックリング3770のタブ3780がスロット3878に受容された後、ロックリング3770は、回転され、したがって、タブ3780は、スロット3878の円周方向に延びる部分3879に回転して入り、ロックリング3770は、接続インターフェース3768を接続ポート3874内に保持する。
【0098】
ロックリング3770および周囲部分は、使用時に接続インターフェース3768に適用され得る力に耐えるのに十分な機械的強度を有する材料を含むことができる。例えば、ロックリング3770と接続ポート3874の周囲部分の一方または双方は、アルミニウム合金などの金属、高強度ポリマ、複合材料、または他の材料を含むことができる。
【0099】
歪み緩和特徴部3766がケーブルを手持ち型デバイスから遠くにルート決めするという理由で、ケーブル3764および/または歪み緩和特徴部3766への力の適用は、モーメントアームとして作用する歪み緩和特徴部3766のおかげで、接続インターフェース3768において、比較的大きなトルクを生成できる。ケーブル3764の接続インターフェース3768および手持ち型デバイスのハウジングの対応接続ポートは、そういったトルクや他の力に耐えるように構成された特徴部を含むことができ、これらの力を接続インターフェース3768および対応接続ポートのより敏感な電気接触部品に適用することがない。
【0100】
例えば、接続ポート3874は、ポート3874の面から延びるピン3876を含むことができる。ケーブル3764の接続インターフェース3768は、ピン3876がそれの中に受容される凹部3778(それの1つだけが
図37に示される)を含む。ピン3876および凹部3778は、接続ポート3874と接続インターフェース3768との間に機械的インターフェースを形成し、それは、ケーブル3764および接続ポート3874が使用中にさらされる典型的な力に耐えるのに十分な機械的強度を有し、また、接続ポート3874および接続インターフェース3768の電気インターフェース構成要素に過度の応力が配置されるのを防止する。
【0101】
追加的に、幾つかの例示的な実施形態では、接続ポート3874および接続インターフェース3768の一方または双方は、シールを含むことができ、接続ポート3874および接続インターフェース3768の電気的接触部の中への生物学的または治療学的な液体や物質などの様々な汚染物質の侵入を防止する。例えば、
図38の実施形態では、接続ポート3874は、ガスケット3880を含み、それは、接続インターフェース3768がロックリング3770を用いて接続ポート3874に固定されるときに、接続インターフェース3768に対するシールを形成する。追加的に、幾つかの実施形態では、ガスケットまたは他のシールは、接続ポート3874および接続インターフェース3768間に予圧力を提供するように構成でき、接続ポート3874での接続インターフェース3768の結合状態にロックリング3770を固定維持するのに役立つ。結合状態時に、ケーブル3764は、上で議論されたように、コンピュータに取着されるべき手持ち型デバイスのために、データおよび/または電力の伝送導管を提供できる。更に、ケーブル3764は、ケーブル3764が接続ポート3874に結合されたときに、手持ち型デバイス100と手術野との間の無菌バリアを維持するために、滅菌ドレープ4084(
図40)に取着されるように構成された滅菌シースを具備できる。
【0102】
上で述べられたように、手持ち型デバイスは、他の波長をブロックしながら、特定の光波長または波長帯域の通行を可能にするように構成された1つまたは複数の光学フィルタを含むことができる。そういったフィルタを画像化デバイス520(
図6)と画像化されるべきエリアとの間に配置することによって、特定の波長または波長の帯域は、画像において分離され、その波長または波長帯域の光を放出するエリアの視覚化を可能にする。例えば、手持ち型デバイスは、指定の波長を通すように構成されたノッチフィルタ、mCherryフィルタ(本明細書で使用されるとき、mCherryフィルタは、緑色(約500~550nm波長の放出光)および赤色(約600~660nm波長の放出光)を伝送するフィルタを指すことがある)、または、他のタイプの光学スペクトルフィルタのうちの1つまたは複数を含むことができる。mCherryフィルタのスペクトルは、
図20に示され、より多くの情報は、https://www.chroma.com/products/parts/59022mで見い出される場合がある。
【0103】
1つまたは複数のフィルタは、異なった光源、異なった化合物または色素等々を使用するときに、ユーザが1つまたは複数のフィルタ間を切り替えることができるように構成されることがある。そういったフィルタの切替えは、ユーザの選んだモードなど、手持ち型デバイスの他のユーザ定義の設定に基づいて、自動的に実行できる。
【0104】
手持ち型デバイスは、フィルタが手動や自動の様式で迅速に切り替わるのを可能にするように構成された構成要素を含むことができる。例えば、本開示の一実施形態に係るフィルタホイールが示される。フィルタホイールは、手持ち型デバイスに、画像化デバイス(例えば、画像化デバイス)と画像化されるべきエリアとの間に配置できる。例えば、フィルタホイールは、手持ち型デバイスの遠位端部において、画像化デバイスの遠位にすることができる。例えば、
図10および
図11に例証されたように、フィルタ195は、フィルタが蛍光励起光源160の上側に配置される第1の構成と、フィルタ195がカメラセンサ190の上側に配置される第2の位置と、の間で回転できる。
【0105】
フィルタホイールは、白色光および赤外線(WL/IR)画像化を支持するように構成された第1の光学フィルタと、蛍光(FL)画像化を支持するように構成された第2の光学フィルタと、を含む。第1のフィルタおよび第2のフィルタは、それのまわりをフィルタホイールが回転可能であるフィルタホイールの回転軸線ARを挟んで互いに対向配置される。上で議論されたように、画像化デバイスは、オフセット位置にすることができ、したがって、第1のフィルタおよび第2のフィルタの個々は、ユーザの要望通りに、画像化デバイスの前方に交互に配置できる。フィルタホイールは、ユーザによる手動で回転でき、あるいは、自動化できる。より詳細に下で議論されるように、
図18~
図23に関連して、ユーザは、使用される化合物や色素および/または外科窩に適用される励起光の波長に基づいて、第1のフィルタおよび第2のフィルタの一方を選ぶことができる。追加的または代替的に、フィルタホイールの回転は、ユーザが把持できる周面をフィルタホイールに設けるなどによって、手動で実行できる。フィルタホイールは、2つのフィルタを含むように説明されるが、フィルタホイールの他の実施形態は、3つのフィルタ、4つのフィルタ、または、フィルタホイール上に嵌合できる任意の所望の数の所望のフィルタを含むことができる。
【0106】
例示的な実施形態では、第1のフィルタは、675nmから825nmの波長を有する光をブロックすると共に675nmより小さいおよび825nmより大きい波長の通行を可能にする、ように構成されたノッチフィルタを含む。異なった実施形態では、第1のフィルタは、690nmから840nmの波長を有する光をブロックすると共に690nmより小さいおよび825nmより大きい波長の通行を可能にする、ように構成されたノッチフィルタを含むことができる。第2のフィルタは、
図18~
図23に関連して下で議論される特性を有するmCherryフィルタを含むことができる。
【0107】
図18~
図23は、本開示の様々な実施形態に係る手持ち型デバイスの潜在的使用シナリオの例を提供する。ここで
図18を参照すると、この使用シナリオでは、組織は、760nmの励起光波長を提供する光源(例えば、手持ち型デバイスの1つまたは複数のLEDなど)で照明される。組織は、ICGなどのIR色素で処置される。画像化デバイスなどの画像化デバイスに進入する光をフィルタ濾過するために配置されたフィルタは、760nmノッチフィルタを含み、画像化センサによるキャプチャから励起光をフィルタ濾過する。フィルタは、675nmから825nmの間のノッチを有する。
図18のチャートに見られるように、ICG処置された組織から放出される光は、835nmの放出波長を有し、斯くしてノッチフィルタを通り抜けて、画像センサによってキャプチャされ、以って、ICG処置された組織を明らかにする画像を生成する。
【0108】
ここで
図19を参照すると、組織は、780nmの波長を有する光源で照明される。690nmの短い通過波長と840nmの長い通過波長を有するノッチフィルタは、画像化デバイスに戻る光をフィルタ濾過するために使用される。組織は、ICGなどのIR色素で処置され、780nm光源によって励起されると、835nmのピーク強度波長を有する光を放出し、ノッチフィルタを通り抜けて画像化デバイスによってキャプチャされ、再び、ICG処置された組織を、得られた画像において明らかにする。
【0109】
図20~
図23は、使用シナリオ例であり、手持ち型デバイスは、腫瘍対正常のコントラストを改善するために蛍光画像化用に使用される。ここで
図20を参照すると、被験者は、PpIX形成を腫瘍組織に誘導するために、アミノレブリン酸(ALA)の診断用量が与えられることがある。組織は、405nmの波長を有する光源で照明される。クロマmCherryフィルタは、画像化デバイスによってキャプチャされた光をフィルタ濾過するために使用される。
図20に示されたように、PpIXは、mCherryフィルタの赤色透過帯域内で635nmの波長を有する光を放出し、斯くして、画像化デバイスによってキャプチャでき、PpIX形成が誘導された組織を、得られた画像において明らかにする。
【0110】
図21~
図23は、
図20の例に類似した例を提示しており、腫瘍対正常のコントラストを改善するために、様々な変更がmCherryフィルタにされている。
図21では、mCherryフィルタは、緑色帯域透過を減少させるように修正される。透過量は、例えば、約10%から約60%の間で減少させることができ、示された例では、約50%だけ減少させることができる。
図22では、mCherryフィルタは、赤色透過帯域を600~725nmに広げるように修正される(
図20および
図21に示された約600~675nmから)。
図23では、mCherryフィルタは、緑色帯域透過を50%減少させることと赤色帯域透過を725nmに広げることの双方のために修正される。
【0111】
本開示の実施形態によれば、
図18および
図19に関連して議論された白色光および赤外線画像化モードから
図20~
図23に関連して議論された蛍光画像化モードへの変更は、フィルタホイール195を回転させることによって達成でき、したがって、所望のフィルタ(例えば、ノッチフィルタまたはmCherryフィルタ)は、画像化デバイスの前方に配置されて、手持ち型デバイスに戻る光波長をフィルタ濾過する。制御器など、手持ち型デバイスの制御器は、スイッチ、ボタン等々を含むことができ、光源を760nmまたは780nmのLEDから405nmのLEDや白色LEDに切り替える。本開示の幾つかの実施形態では、フィルタホイールは、手持ち型デバイスの選ばれたモード、例えば、制御器でのユーザによる入力、に基づいて、1つのフィルタから別のフィルタに、自動的に回転するように構成できる。
【0112】
手持ち型デバイスは、上で説明されたそれらに加えて、画像化モードを提供するように更に構成できる。例えば、手持ち型デバイスは、画像センサ、光源、およびフィルタが画像化表面の地形的マッピング用の3次元画像化を提供するように構成されるモードを含むことができる。3次元画像化の使用に関する追加の詳細は、2019年1月17日に出願された「Systems Methods, and Devices for Three-Dimensional Imaging, Measurement, and Display of Wounds and Tissue Specimens」と題する仮出願第62/793,837号に見い出すことができ、それの全内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0113】
別の画像化モードの例として、手持ち型デバイスは、組織の蛍光寿命画像化を提供するように構成できる。PpIXなどのフルオロフォアは、励起源がいったん除去されると、可視蛍光光がどんなに速く消失するかを規定する蛍光放出減衰プロファイルを有する。斯くして、励起源が除去または停止された直後に画像をキャプチャすることによって、異なったフルオロフォアは、特定のフルオロフォアを励起した励起源が除去された後に、各独特のフルオロフォアの画像キャプチャ時間を仕立てることによって、分離して画像化できる。例えば、PpIXおよび別のフルオロフォアがそれぞれ9nsおよび5nsの減衰時間を有する場合、PpIXは、励起源が除去された後に、5から9nsの間に画像をキャプチャすることによって、分離して画像化できる。こんな具合に、蛍光寿命画像化は、フルオロフォアからの蛍光の指数減衰率における差異に基づくそれらのそれぞれの蛍光寿命記号によって複数の独特のフルオロフォアの検出を可能にできる。そういった時間分解した蛍光画像化方法は、様々な励起波長LEDをパルス処理することおよび関心あるフルオロフォア寿命を検出するために画像化センサをゲート処理することによって、達成できる。組織の蛍光寿命画像化は、健康組織や疾患組織を、でなければ、微生物などの他の生物学的構成要素および本質的蛍光薬剤もしくは薬物も含む異なった組織構成要素間で識別および区別するために使用できる。
【0114】
他の可能な画像化モードは、白色光画像化、赤外線画像化、および蛍光画像化の様々な組合せを含むことができる。例えば、1つの可能な画像化モードでは、白色光およびIR光源の双方は、組織を照明するために使用される。ICGなどの赤外色素は、IR光源によって励起でき、得られたIRイメージは、IRイメージを解剖学的コンテキストに示すために、白色光画像上に重合せできる。
【0115】
別の画像化モードでは、白色光照明は、405nm光照明によって追随される。WL/IR用の画像化フィルタは、白色光照明中に使用され、FLフィルタは、405nm照明中に使用される。白色光および蛍光の逐次画像は、キャプチャされ、腫瘍位置(FL画像)のための解剖学的コンテキスト(白色光画像)を提供するために重合せできる。
【0116】
本開示の利益を有する当業者によって理解されるであろうことは、本開示が外科的マージンの腫瘍および/または残存癌細胞の手術中および/またはインビトロでの可視化のための様々な例示的なデバイス、システム、および方法を提供する、ということである。本開示の様々な態様の更なる修正および代替の実施形態は、この説明に鑑みて、当業者には明らかになるであろう。
【0117】
更にまた、デバイスおよび方法は、例証および/または動作を明確にするために、図面から省略された追加の構成要素またはステップを含むことがある。したがって、この説明は、単なる例証として解釈されるべきであり、また、本開示を実施する一般的な方法を当業者に教示する目的のためである。理解されるべきは、本明細書に示されて説明された様々な実施形態が例示として解釈されるべきである、ということである。要素および材料、ならびに、これらの要素および材料の配置は、本明細書で例証されて説明されたそれらのために、置換でき、部品およびプロセスは、逆にすることができ、本開示の或る種の特徴は、独立して利用でき、全ては、本明細書の説明の利益を得た後に、当業者に明らかになるとおりであろう。変更は、本明細書で説明された要素において行うことができ、本開示の精神および範囲や、次の特許請求の範囲であってそれらの等価物を含むもの、から逸脱することがない。
【0118】
理解されるべきは、本明細書に記載された特定例および実施形態が制限ではなく、構造、寸法、材料、および方法論の修正を行うことができ、本開示の範囲から逸脱しない、ということである。
【0119】
更にまた、この説明の用語は、本開示を限定することを意図していない。例えば、空間的な相対用語、「下」、「下方」、「下側」、「上方」、「上側」、「底部」、「右」、「左」、「近位」、「遠位」、「前面」および同種のものなどは、図に例証されたように、1つの要素または特徴の、別の要素または特徴に対する関係を説明するために使用されることがある。これらの空間的な相対用語が意図されるのは、図面に示された位置および配向に加えて、使用または動作におけるデバイスの異なった位置(即ち、場所)および配向(即ち、回転配置)を包含する、ということである。
【0120】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的上、別段の表示が無い限り、明細書および特許請求の範囲で使用される数量、百分率もしくは割合、および他の数値を表す全ての数字は、用語「約」によって、既にそうでない場合に、全ての例で修正される、と理解されるべきである。したがって、反対の表示が無い限り、次の明細書および添付の特許請求の範囲に記載された数値パラメータは、本開示によって得られることが求められる所望の特性に応じて変化する可能性のある近似値である。最低限でも、また、「特許請求の範囲」の範囲に対する均等の原則の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは、伝えられた重要な数字の数に鑑みて、通常の丸める技法を適用することによって、少なくとも解釈されるべきである。
【0121】
本開示の広い範囲を記載する数値範囲およびパラメータが近似値であるにもかかわらず、特定の例に記載された数値は、できる限り正確に伝えられる。しかしながら、どの数値も、それらのそれぞれの試験測定値で見い出される標準偏差から必然的に生じる或る種の誤差を本質的に含む。その上、本明細書に開示される全ての範囲は、その中に包摂される任意および全てのサブ範囲を包含することが理解されるべきである。
【0122】
留意されたいのは、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるときに、単数形「a」、「an」および「the」、ならびに、任意の語の任意の単数的な使用は、明白に明解に1つの指示対象に限定されない限り、複数の指示対象を含む、ということである。本明細書で使用されるとき、用語「含む」およびそれの文法的な変形は、限定でないことが意図され、したがって、明細中の項目の列挙は、明細項目に対して代用または追加できる他の似たような項目を排除することではない。
【0123】
理解されるべきは、本開示は、その様々な例示的な実施形態に関して詳細に説明されてきたが、そういったものに限定されると考えるべきではなく、多くの修正が可能であるように、添付の特許請求の範囲の広い範囲から逸脱することがなく、それらが包含する等価なものを含む、ということである。