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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】反転可能なヘッドレスト
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/856 20180101AFI20240717BHJP
   B60N 2/888 20180101ALI20240717BHJP
【FI】
B60N2/856
B60N2/888
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021562907
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-27
(86)【国際出願番号】 CN2020078185
(87)【国際公開番号】W WO2020220826
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2023-01-30
(31)【優先権主張番号】201910350795.1
(32)【優先日】2019-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520187333
【氏名又は名称】ヤンフェン インターナショナル シーティング システムズ カンパニー, リミテッド
【住所又は居所原語表記】No.669 Kang An Rd., Kangqiao Industrial Zone, Pudong New Area, Shanghai 201315 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ツァォ, ヤオウェイ
(72)【発明者】
【氏名】シュ, ミン
(72)【発明者】
【氏名】リー, シャ
(72)【発明者】
【氏名】シュウ, トンハイ
【審査官】永冨 宏之
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2014-0057763(KR,A)
【文献】国際公開第2016/171138(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/856
B60N 2/888
B60N 2/841
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドレスト本体及びヘッドレストロッドを含む反転可能なヘッドレストであって、
前記ヘッドレスト本体は、前記ヘッドレストロッドの水平ロッドに巻き付けられてヒンジ接続され、
前記ヘッドレストロッドの2本の垂直ロッドは、シートに挿入されており、
前記反転可能なヘッドレストは、
前記ヘッドレストロッドの前記水平ロッドに固定され、前記ヘッドレスト本体内に位置し、ヘッドレスト本体係止部、ヘッドレスト本体回転歯部及び反転済みヘッドレスト本体係止部が配置された固定歯と、
前記ヘッドレストロッドの前記水平ロッドに嵌設され、前記ヘッドレスト本体内に位置し、一端が前記固定歯に作用し、他端が前記ヘッドレスト本体に作用するねじりばねと、
前記ヘッドレスト本体に軸方向に配置された回転歯であって、回転歯部を有し、前記回転歯部が前記固定歯の前記ヘッドレスト本体係止部に嵌合したとき、前記ヘッドレスト本体が初期使用位置に係止され、前記回転歯部が前記固定歯の前記ヘッドレスト本体回転歯部に嵌合したとき、前記ヘッドレスト本体が反転可能な位置にあり、前記回転歯部が前記固定歯の前記反転済みヘッドレスト本体係止部に嵌合したとき、前記ヘッドレスト本体が平坦な位置に係止される回転歯と、
一端が前記回転歯に作用し、他端が前記ヘッドレスト本体に作用し、前記回転歯の前記回転歯部と、前記固定歯の、前記ヘッドレスト本体係止部、前記ヘッドレスト本体回転歯部及び前記反転済みヘッドレスト本体係止部との間に常に所定の接触圧が存在するように、前記回転歯の前記回転歯部を押圧するように構成されている弾性リセット素子と、
をさらに含むことを特徴とする反転可能なヘッドレスト。
【請求項2】
前記ヘッドレスト本体回転歯部は、前記ヘッドレスト本体係止部と前記反転済みヘッドレスト本体係止部との間に位置していることを特徴とする請求項1に記載の反転可能なヘッドレスト。
【請求項3】
前記ヘッドレスト本体係止部は、扇形切り欠きで形成され、
前記扇形切り欠きは、凸円弧と、前記凸円弧の両端に位置する第1の係止直線辺及び係止凹円弧辺とで形成され、
前記第1の係止直線辺は、前記ヘッドレスト本体回転歯部に隣接し、
前記第1の係止直線辺と前記係止凹円弧辺とは、第1の係止凹角を形成し、
前記ヘッドレスト本体回転歯部は、凸円弧で形成され、
前記凸円弧の一端は、前記第1の係止直線辺に接続され、
前記反転済みヘッドレスト本体係止部は、直線辺と前記凸円弧の他端とで形成された第2の係止凹角で形成され、
前記回転歯部は、第1の係止円弧と、摺動可能に嵌合する凹円弧と、第2の係止円弧とで構成され、
前記第1の係止円弧の一端は、前記摺動可能に嵌合する凹円弧の一端に接続され、
前記第2の係止円弧は、前記摺動可能に嵌合する凹円弧の他端に接続されて前記摺動可能に嵌合する凹円弧の他端と共に係止凸角を形成し、
前記ヘッドレスト本体が使用状態で係止されると、前記回転歯部の前記係止凸角は、前記ヘッドレスト本体係止部の前記第1の係止凹角に挿入され、前記第2の係止円弧は、前記第1の係止直線辺に係止接触し、前記第1の係止円弧は、前記係止凹円弧辺に係止接触し、
前記回転歯が係止解除されると、前記回転歯部の前記係止凸角は、前記ヘッドレスト本体係止部の前記第1の係止凹角から完全に離脱するまで徐々に離脱し、前記第2の係止円弧は、前記第1の係止直線辺との係止接触から完全に離脱するまで徐々に係止接触から離脱し、前記第1の係止円弧は、前記係止凹円弧辺との係止接触から完全に離脱するまで徐々に係止接触から離脱し、
前記ヘッドレスト本体の反転過程において、前記回転歯の摺動可能に嵌合する凹円弧は、前記ヘッドレスト本体回転歯部の前記凸円弧に摺接し、
前記ヘッドレスト本体が反転されて完全に平坦になった後に、前記回転歯部の前記係止凸角は、前記反転済みヘッドレスト本体係止部の前記第2の係止凹角に挿入され、前記回転歯部の前記第2の係止円弧は、反転済みヘッドレスト本体係止部の直線辺に係止接触し、
前記ヘッドレスト本体が反転されて完全に平坦になった後に使用状態に復帰させる必要がある場合には、まず前記回転歯が係止解除され、前記回転歯部の前記係止凸角は、前記反転済みヘッドレスト本体係止部の前記第2の係止凹角から完全に離脱するまで徐々に離脱し、前記回転歯部の前記第2の係止円弧は、前記反転済みヘッドレスト本体係止部の前記直線辺との係止接触から完全に離脱するまで徐々に係止接触から離脱する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の反転可能なヘッドレスト。
【請求項4】
前記ヘッドレスト本体に配置された回転軸をさらに含み、前記回転歯は前記回転軸に固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の反転可能なヘッドレスト。
【請求項5】
前記回転軸に固定された係止解除ハンドルをさらに含み、
前記ヘッドレスト本体は、ヘッドレスト前半部とヘッドレスト後半部とで構成され、
前記弾性リセット素子は、リセット引っ張りばねであり、
前記リセット引っ張りばねの一端は、前記係止解除ハンドルに作用し、
前記リセット引っ張りばねの他端は、ヘッドレスト後半部に作用し、
前記リセット引っ張りばねは、前記係止解除ハンドル及び前記回転軸により前記回転歯を回転駆動する、
ことを特徴とする請求項4に記載の反転可能なヘッドレスト。
【請求項6】
前記回転歯を回転駆動して係止解除する係止解除機構をさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の反転可能なヘッドレスト。
【請求項7】
前記係止解除機構は、係止解除プルストラップであり、
前記係止解除プルストラップの一端は、前記回転歯に接続され、
前記係止解除プルストラップの他端は、前記ヘッドレスト本体の適切な位置から延出し、前記係止解除プルストラップを引っ張ることにより、前記回転歯を回転駆動して係止解除する、
ことを特徴とする請求項6に記載の反転可能なヘッドレスト。
【請求項8】
前記ヘッドレスト本体は、ヘッドレスト前半部とヘッドレスト後半部とで構成され、
前記ヘッドレスト後半部には、係止解除プルストラップ拡張孔が形成されており、
前記係止解除プルストラップは、前記係止解除プルストラップ拡張孔を介して前記ヘッドレスト後半部から延出している、
ことを特徴とする請求項7に記載の反転可能なヘッドレスト。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートヘッドレストの技術分野に関し、特に、反転可能なヘッドレストに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用シートのヘッドレストは、自動車の快適性や安全性を向上させるために配置される装置である。自動車用シートの一般的なヘッドレストは、高さを調整する機能しかないため、後列の乗員の視界を妨げて抑圧感を与え、運転者が後方車両を確認する視線を妨げる場合もある。
【0003】
そこで、本出願人は、2006年11月24日、公開番号CN200971065Yの反転可能なヘッドレストの実用新案を中国国家知識産権局に出願した。当該実用新案は、ヘッドレスト発泡体、ヘッドレストロッド及びヘッドレストガイドスリーブを含む。ヘッドレストロッドの上端は、ヘッドレスト発泡体に固定され、ヘッドレストロッドの下端は、ヘッドレストガイドスリーブを貫通している。ヘッドレストロッドの下端に、反転可能な係止切り欠きが配置されている。ヘッドレストガイドスリーブは、ガイドスリーブ本体と、ガイドスリーブ本体に配置されたピン軸と、ピン軸を貫通する反転可能な部材と、反転可能な部材に配置され、反転可能な係止切り欠きに嵌合して係止される係止部材とを含む。ガイドスリーブは、ヘッドレスト発泡体が最も高い位置に引っ張られたときに、ロッドの係合解除を防止してヘッドレストを前方に反転することにより、後列の乗員に対してより良好な視界を提供するように構成されている。
【0004】
当該実用新案が出願されて以来、業界では反転可能なヘッドレストを有するシートが次々に発明されている。しかしながら、これらのシートに使用されている反転可能なヘッドレストは、構造が複雑であり、製造コストが高く、外力が作用した場合に係止が不確実である。
【0005】
そこで、本出願人は、2017年11月29日、公開番号CN108016338Aの反転可能な機構の特許を中国国家知識産権局に出願した。この反転可能な機構は、支持アセンブリと、支持アセンブリに軸方向に配置された回転可能なカムと、カム及び支持アセンブリに接続されたカムリセット素子と、支持アセンブリに軸方向に配置され、カムによって駆動されて前進及び後進することによって係止状態と係止解除状態とを切り替えられる係止爪片と、支持アセンブリに軸方向に配置され、係止歯板が配置された回転軸であって、係止爪片が係止状態にあるときに、係止爪片の係止爪と係止歯板の係止溝とが係止されて噛合することにより、回転軸と支持アセンブリとの相対的な回転が係合歯板によって制限され、係止爪片が係止解除位置にあるときには、係止爪片の係止爪と係止歯板の係止溝との係止が解除されて噛合せず、回転軸と支持アセンブリとが相対的に回転可能である回転軸と、係止歯板及び支持アセンブリに接続され、係止歯板及び回転軸を支持アセンブリに対して回転駆動する回転軸リセットねじりバネと、を含む。
【0006】
また、これらの自動車用シートの反転可能なヘッドレストは、同様の構造を有し、いずれも全てヘッドレストフレーム、反転可能な収納コア部材及び係止解除機構で形成されている。しかしながら、これらのシートヘッドレストは、自動車が前方又は後方から大きく衝撃を受けたときに自動的に係止解除される危険性があり、乗客の安全性に対する要件を満たしていない。さらに、従来の反転可能なヘッドレストは、いずれも構造が複雑で、コストが高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】中国実用新案登録公報第200971065号
【文献】中国公開特許公報第108016338号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、従来の反転可能なヘッドレストに存在する、自動車が前方又は後方から大きく衝撃を受けたときに自動的に係止解除され、構造が複雑で、コストが高いという技術的課題を解決するために、安全性に優れ、構造が簡単で、コストが低い反転可能なヘッドレストを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明が解決しようとする技術的課題は、以下の技術手段により実施することができる。
【0010】
反転可能なヘッドレストは、ヘッドレスト本体及びヘッドレストロッドを含み、ヘッドレスト本体は、ヘッドレストロッドの水平ロッドに巻き付けられてヒンジ接続され、ヘッドレストロッドの2本の垂直ロッドが、シートに挿入されており、さらに、
ヘッドレストロッドの水平ロッドに固定され、ヘッドレスト本体内に位置し、ヘッドレスト本体係止部、ヘッドレスト本体回転歯部及び反転済みヘッドレスト本体係止部が配置された固定歯と、
ヘッドレストロッドの水平ロッドに嵌設され、ヘッドレスト本体内に位置し、一端が固定歯に作用し、他端がヘッドレスト本体に作用するねじりばねと、
ヘッドレスト本体に軸方向に配置された回転歯であって、回転歯部を有し、回転歯部が固定歯のヘッドレスト本体係止部に嵌合したとき、ヘッドレスト本体が初期使用位置に係止され、回転歯部が固定歯のヘッドレスト本体回転歯部に嵌合したとき、ヘッドレスト本体が反転可能な位置にあり、回転歯部が固定歯の反転済みヘッドレスト本体係止部に嵌合したとき、ヘッドレスト本体が平坦な位置に係止される回転歯と、
一端が回転歯に作用し、他端がヘッドレスト本体に作用し、回転歯の回転歯部と、固定歯のヘッドレスト本体係止部、ヘッドレスト本体回転歯部及び反転済みヘッドレスト本体係止部との間に常に所定の接触圧が存在するように、回転歯の回転歯部を押圧するように構成されている弾性リセット素子と、を含む。
【0011】
本発明の1つの例示的な実施形態では、ヘッドレスト本体回転歯部は、ヘッドレスト本体係止部と反転済みヘッドレスト本体係止部との間に位置している。
【0012】
本発明の1つの例示的な実施形態では、ヘッドレスト本体係止部は、扇形切り欠きで形成され、扇形切り欠きは、凸円弧と、凸円弧の両端に位置する第1の係止直線辺及び係止凹円弧辺とで形成され、第1の係止直線辺は、ヘッドレスト本体回転歯部に隣接し、第1の係止直線辺と係止凹円弧辺とは、第1の係止凹角を形成し、ヘッドレスト本体回転歯部は、凸円弧で形成され、凸円弧の一端は、第1の係止直線辺に接続され、反転済みヘッドレスト本体係止部は、直線辺と凸円弧の他端とで形成された第2の係止凹角で形成され、回転歯部は、第1の係止円弧と、摺動可能に嵌合する凹円弧と、第2の係止円弧とで構成され、第1の係止円弧の一端は、摺動可能に嵌合する凹円弧の一端に接続され、第2の係止円弧は、摺動可能に嵌合する凹円弧の他端に接続されて、摺動可能に嵌合する凹円弧の他端と共に係止凸角を形成し、
ヘッドレスト本体が使用状態で係止されると、回転歯部の係止凸角は、ヘッドレスト本体係止部の第1の係止凹角に挿入され、第2の係止円弧は、第1の係止直線辺に係止接触し、第1の係止円弧は、係止凹円弧辺に係止接触し、
回転歯が係止解除されると、回転歯部の係止凸角は、ヘッドレスト本体係止部の第1の係止凹角から完全に離脱するまで徐々に離脱し、第2の係止円弧は、第1の係止直線辺との係止接触から完全に離脱するまで徐々に係止接触から離脱し、第1の係止円弧は、係止凹円弧辺との係止接触から完全に離脱するまで徐々に係止接触から離脱し、
ヘッドレスト本体の反転過程において、回転歯の摺動可能に嵌合する凹円弧は、ヘッドレスト本体回転歯部の凸円弧に摺接し、
ヘッドレスト本体が反転されて完全に平坦になった後に、回転歯部の係止凸角は、反転済みヘッドレスト本体係止部の第2の係止凹角に挿入され、回転歯部の第2の係止円弧は、反転済みヘッドレスト本体係止部の直線辺に係止接触し、そして
ヘッドレスト本体が反転されて完全に平坦になった後に使用状態に復帰させる必要がある場合には、まず回転歯が係止解除され、回転歯部の係止凸角は、反転済みヘッドレスト本体係止部の第2の係止凹角から完全に離脱するまで徐々に離脱し、回転歯部の第2の係止円弧は、反転済みヘッドレスト本体係止部の直線辺との係止接触から完全に離脱するまで徐々に係止接触から離脱する。
【0013】
本発明の1つの例示的な実施形態では、反転可能なヘッドレストは、ヘッドレスト本体に配置された回転軸をさらに含み、回転歯は回転軸に固定されている。
【0014】
本発明の1つの例示的な実施形態では、反転可能なヘッドレストは、回転軸に固定された係止解除ハンドルをさらに含み、弾性リセット素子は、リセット引っ張りばねであり、リセット引っ張りばねの一端は、係止解除ハンドルに作用し、リセット引っ張りばねの他端は、係止解除ハンドルに作用し、かつ係止解除ハンドル及び回転軸により回転歯に間接的に作用し、リセット引っ張りばねは、係止解除ハンドル及び回転軸により回転歯を回転駆動する。
【0015】
本発明の1つの例示的な実施形態では、反転可能なヘッドレストは、回転歯を回転駆動して係止解除する係止解除機構をさらに含む。
【0016】
本発明の1つの例示的な実施形態では、係止解除機構は、係止解除プルストラップであり、係止解除プルストラップの一端は、回転歯に接続され、係止解除プルストラップの他端は、ヘッドレスト本体の適切な位置から延出し、係止解除プルストラップを引っ張ることにより、回転歯を回転駆動して係止解除する。
【0017】
本発明の1つの例示的な実施形態では、ヘッドレスト本体は、ヘッドレスト前半部とヘッドレスト後半部とで構成され、ヘッドレスト後半部には、係止解除プルストラップ拡張孔が形成されており、係止解除プルストラップは、係止解除用ストラップ拡張孔を介してヘッドレスト後半部から延出している。
【0018】
上記技術手段により、ヘッドレストの使用時、ヘッドレスト本体は、回転歯部の係止凸角によりヘッドレスト本体係止部の第1の係止凹角に挿入されて、第2の係止円弧及び第1の係止直線辺に係止接触する。第1の係止円弧は、自己係止のために係止凹円弧辺に係止接触する。ヘッドレスト本体は、自己係止性に優れ、自動車が前方又は後方から大きく衝撃を受けたときに自動的に係止解除する危険性がない。
【0019】
ヘッドレスト本体が反転されて完全に平坦になった後に、回転歯部の係止凸角は、反転済みヘッドレスト本体係止部の第2の係止凹角に挿入され、回転歯部の第2の係止円弧は、自己係止のために反転済みヘッドレスト本体係止部の直線辺に係止接触する。ヘッドレスト本体は、自己係止性に優れ、自動車が前方又は後方から大きく衝撃を受けたときに自動的に係止解除する危険性がない。
【0020】
本発明のヘッドレスト本体の反転過程においては、回転歯の摺動可能に嵌合する凹円弧がヘッドレスト本体回転歯部の凸円弧に摺接し、隙間をなくして柔軟な反転が可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の反転可能なヘッドレストは、部品が少なく、構造が簡単でコストが低いなどの利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明に係る通常使用状態にある反転可能なヘッドレストの概略図である。
図2図2は、本発明に係る反転可能なヘッドレストが反転されて完全に平坦になった状態の概略図である。
図3図3は、本発明に係る反転可能なヘッドレストの内部構造の概略図である。
図4図4は、一方向から見た本発明に係る反転可能なヘッドレストの概略分解図である。
図5図5は、別の方向から見た本発明に係る反転可能なヘッドレストの概略分解図である。
図6図6は、ヘッドレスト本体を取り外した後に一方向から見た本発明に係る反転可能なヘッドレストの概略分解図である。
図7図7は、ヘッドレスト本体を取り外した後に別の方向から見た本発明に係る反転可能なヘッドレストの概略分解図である。
図8図8は、本発明に係る反転可能なヘッドレストの通常使用時における回転歯と固定歯との位置関係の概略図である。
図9図9は、本発明に係る反転可能なヘッドレストが係止解除状態にある場合の回転歯と固定歯との位置関係の概略図である。
図10図10は、本発明に係る反転可能なヘッドレストが反転状態にある場合の回転歯と固定歯との位置関係の概略図である。
図11図11は、本発明に係る反転可能なヘッドレストが反転されて完全に平坦になった場合の回転歯と固定歯との位置関係の概略図である。
図12図12は、本発明に係る反転可能なヘッドレストの通常使用時における内部の概略図である。
図13図13は、本発明に係る反転可能なヘッドレストが係止解除状態にある場合の内部の概略図である。
図14図14は、本発明に係る反転可能なヘッドレストが反転された状態にある場合の内部の概略図である。
図15図15は、本発明に係る反転可能なヘッドレストが反転されて完全に平坦になった場合の内部の概略図である。
図16図16は、本発明に係る反転可能なヘッドレストにおける係止解除片と、回転歯と回転軸との組み立て概略図である。
図17図17は、本発明に係る反転可能なヘッドレストにおける係止解除片と、回転歯と、回転軸と、係止解除プルストラップとの組み立て概略図である。
図18図18は、本発明に係る反転可能なヘッドレストにおける係止解除片と、回転歯と、回転軸と、係止解除プルストラップと、リセット引っ張りばねがヘッドレスト後半部に組み立てられた場合の概略図である。
図19図19は、本発明に係る反転可能なヘッドレストの固定歯とヘッドレストロッドの水平ロッドとの組み立て概略図である。
図20図20は、本発明に係る反転可能なヘッドレストにおける固定歯と、ねじりばねとヘッドレストロッドの水平ロッドとを組み立てた後に一方向から見た場合の概略図である。
図21図21は、本発明に係る反転可能なヘッドレストにおける固定歯と、ねじりばねと、ヘッドレストロッドの水平ロッドとを組み立てた後に別の方向から見た場合の概略図である。
図22図22は、ヘッドレスト前半部を取り外した後に一方向から見た本発明に係る反転可能なヘッドレストの概略分解図である。
図23図23は、ヘッドレスト前半部を取り外した後に別の方向から見た本発明に係る反転可能なヘッドレストの概略分解図である。
図24図24は、ヘッドレスト前半部を取り外した後にさらに別の方向から見た本発明に係る反転可能なヘッドレストの概略分解図である。
図25図25は、ヘッドレスト前半部を取り外した後にさらにもう1つの別の方向から見た本発明に係る反転可能なヘッドレストの概略分解図である。
図26図26は、本発明に係る反転可能なヘッドレストの通常使用時における内部構造の概略図である。
図27図27は、本発明に係る反転可能なヘッドレストが反転されて完全に平坦になった場合の内部構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面及び具体的な実施形態を参照して本発明を説明する。
【0024】
図1図3を参照すると、反転可能なヘッドレストは、ヘッドレスト本体100及びヘッドレストロッド200を含む。
【0025】
ヘッドレストロッド200は、基本的には従来の技術と同様であり、水平ロッド210と、2本の垂直ロッド220、230とを含む。水平ロッド210の左端及び右端は、一体成形又は溶接により垂直ロッド220、230の上端に接続されている。
【0026】
ヘッドレスト本体100は、基本的には従来の技術と同様であり、互いにスナップ嵌めされたヘッドレスト前半部110と、ヘッドレスト後半部120とによって形成されている。ヘッドレスト前半部110及びヘッドレスト後半部120には、ヒンジ用の半円溝111、121が配置されている。ヘッドレスト前半部110とヘッドレスト後半部120とがヘッドレストロッド200にスナップ嵌めされると、ヘッドレスト前半部110の半円溝111とヘッドレスト後半部120の半円溝部121が水平ロッド210にヒンジ結合される。これにより、ヘッドレスト本体100全体は、水平ロッド210周りに反転可能となる。また、垂直ロッド220、230を貫通させるための半孔112、122が、ヘッドレスト前半部110及びヘッドレスト後半部120にそれぞれ設けられている。ヘッドレスト前半部110とヘッドレスト後半部120とがスナップ嵌めされた後、垂直ロッド220、230は、半孔112、122を介してヘッドレスト本体100の外部に延出する。
【0027】
ヘッドレスト本体100は、垂直ロッド220、230の下端をシートバック300に挿入することにより、シートバック300に装着できる。
【0028】
また、ヘッドレスト前半部110及びヘッドレスト後半部120には、ヘッドレスト反転と係止-係止解除機構を装着するように構成された半空洞113、123がさらに設置されている。ヘッドレスト前半部110とヘッドレスト後半部120とがスナップ嵌めされた後、ヘッドレスト反転と係止-係止解除機構400は、半空洞113、123で構成された装着空洞内に位置する。
【0029】
図4~26を参照すると、こられの図に示されるヘッドレスト反転と係止-係止解除機構400は、固定歯410、ねじりばね420、リセット引っ張りばね430、係止解除ハンドル440、回転歯450、回転軸460、鋼線プルリング470及び係止解除プルストラップ480を含む。
【0030】
特に図18図20を参照すると、固定歯410及びねじりばね420は、水平ロッド210に嵌設され、固定歯410は、溶接により水平ロッド210に接続されている。ねじりばね420の一端は、固定歯410に作用し、ねじりばねの他端は、ヘッドレスト本体100のヘッドレスト後半部120に作用する。ねじりばね420の役割は、ヘッドレスト本体100をリセットすることである。
【0031】
回転軸460は、半空洞129内に位置し、回転軸の両端は、ヘッドレスト後半部120に軸方向に配置されている。特に図16を参照すると、係止解除ハンドル440及び回転歯450は回転軸460に溶接されている。
【0032】
リセット引っ張りばね430の一端は、係止解除ハンドル440に掛止され、リセット引っ張りばねの他端は、ヘッドレスト後半部120に掛止されている。係止解除プルストラップ480の一端は、鋼線プルリング470により回転歯450に接続されている。ヘッドレスト後半部120には、係止解除プルストラップ拡張孔124がさらに形成され、係止解除プルストラップ480の一端は、係止解除用ストラップ拡張孔124を介してヘッドレスト後半部120から延出している。係止解除プルストラップ480を引くことにより、回転歯450及び回転軸460を回転駆動して係止解除することができる。係止解除過程において、リセット引っ張りばね430が伸長してエネルギーを蓄積する。係止解除プルストラップ480を緩めることにより、リセット引っ張りばね430は回転軸460により逆方向に回転して回転歯450を係止状態に復帰させることができる。
【0033】
本発明の特徴は以下のとおりである。固定歯410にヘッドレスト本体係止部411、ヘッドレスト本体回転歯部412及び反転済みヘッドレスト本体係止部413が設置されている。ヘッドレスト本体回転歯部412は、ヘッドレスト本体係止部411と反転済みヘッドレスト本体係止部413との間に位置している。また、回転歯450には回転歯部451が配置されている。
【0034】
特に図8図15を参照すると、回転歯部451が固定歯410のヘッドレスト本体係止部411に嵌合したとき、ヘッドレスト本体100は初期使用位置に係止される。回転歯部451が固定歯410のヘッドレスト本体回転歯部412に嵌合したとき、ヘッドレスト本体100は反転可能な位置にある。回転歯部451が固定歯410の反転済みヘッドレスト本体係止部413に嵌合したとき、ヘッドレスト本体100は平坦な位置に係止される。
【0035】
ヘッドレスト本体係止部411は扇形切り欠きで形成されている。扇形切り欠きは、凸円弧411aと、凸円弧411aの両端に位置する第1の係止直線辺411b及び係止凹円弧辺411cとで形成されている。第1の係止直線辺411bは、ヘッドレスト本体回転歯部412に隣接し、第1の係止直線辺411bと係止凹円弧辺411cとは、第1の係止凹角411dを形成している。
【0036】
ヘッドレスト本体回転歯部412は、凸円弧412aで形成され、凸円弧412aの一端は、第1の係止直線辺411bに接続されている。
【0037】
反転済みヘッドレスト本体係止部413は、直線辺413aと凸円弧412aの他端とで形成された第2の係止凹角413bで形成されている。
【0038】
回転歯部451は、第1の係止円弧451a、摺動可能に嵌合する凹円弧451b、第2の係止円弧451cとで構成されている。第1の係止円弧451aの一端は、摺動可能に嵌合する凹円弧451bの一端に接続され、第2の係止円弧451cは、摺動可能に嵌合する凹円弧451bの他端に接続され、摺動可能に嵌合する凹円弧451bの他端と共に係止凸角451dを形成している。
【0039】
特に図8及び図12を参照すると、ヘッドレスト本体100が使用状態で係止されたとき、回転歯部451の係止凸角451dは、ヘッドレスト本体係止部411の第1の係止凹角411dに挿入され、第2の係止円弧451cは、第1の係止直線辺411bに係止接触し、第1の係止円弧451aは、係止凹円弧辺411cに係止接触している。
【0040】
特に図9及び図13を参照すると、係止解除プルストラップ480が回転歯450を引っ張って係止解除すると、回転歯部451の係止凸角451dは、ヘッドレスト本体係止部411の第1の係止凹角411dから完全に離脱するまで徐々に離脱し、第2の係止円弧451cは、第1の係止直線辺411bとの係止接触から完全に離脱するまで徐々に係止接触から離脱し、第1の係止円弧451aは、係止凹円弧辺411cとの係止接触から完全に離脱するまで徐々に係止接触から離脱する。
【0041】
特に図10及び図14を参照すると、ヘッドレスト本体100の反転過程において、回転歯450の摺動可能に嵌合する凹円弧451bは、ヘッドレスト本体回転歯部412の凸円弧412aに摺接している。
【0042】
特に図11及び図15を参照すると、ヘッドレスト本体100が反転されて完全に平坦になった後、回転歯部451の係止凸角451dは、反転済みヘッドレスト本体係止部413の第2の係止凹角413bに挿入されており、回転歯部451の第2の係止円弧451cは、反転済みヘッドレスト本体係止部413の直線辺413aに係止接触している。
【0043】
ヘッドレスト本体100が完全に平坦に反転された後に使用状態に復帰させる必要がある場合には、まず係止解除プルストラップ480により回転歯450を引っ張って係止解除し、回転歯部451の係止凸角451dは、反転済みヘッドレスト本体係止部413の第2の係止凹角413bから完全に離脱するまで徐々に離脱し、回転歯部451の第2の係止円弧451cは、反転済みヘッドレスト本体係止部413の直線辺413aとの係止接触から完全に離脱するまで徐々に係止接触から離脱する。ねじりばね420の駆動により、ヘッドレスト本体100は逆向きに反転して初期使用状態となる。
【0044】
上記移動プロセスにおいて、リセット引っ張りばね430は、係止解除ハンドル440により回転軸460を駆動して常に初期移動方向にねじり力を維持し、回転歯の回転歯部と、固定歯410のヘッドレスト本体係止部411、ヘッドレスト本体回転歯部412及び反転済みヘッドレスト本体係止部413との間に常に所定の接触圧が存在するように、回転軸460により回転歯450の回転歯部451を押圧して、自己係止能力を高め、反転時のヘッドレスト本体100の騒音を除去する。
【0045】
なお、係止解除プルストラップ480は、回転歯450を回転駆動することができるものであれば、他の係止解除機構に置き換えてもよく、例えば、係止解除ケーブルや係止解除ボタンが本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【0046】
また、ヘッドレスト反転及び係止-係止解除機構400は、さらに他の変更を行ってよく、リセット引っ張りばね430は、圧縮ばねや弾性ゴムなどの他の弾性リセット素子で置き換えて回転歯450に直接作用させてもよい。なお、回転軸460及び係止解除ハンドル440も同様に取り外してよく、回転歯450をヘッドレスト後半部120に軸方向に直接配置してよい。
【0047】
本発明の反転可能なヘッドレストは、部品が少なく、構造が簡単で、コストが低いなどの利点を有する。
【符号の説明】
【0048】
100 ヘッドレスト本体
110 ヘッドレスト前半部
120 ヘッドレスト後半部
111、121 半円溝
112、122 半孔
113、123、129 半空洞
124 係止解除プルストラップ拡張孔
200 ヘッドレストロッド
210 水平ロッド
220、230 垂直ロッド
300 シートバック
400 ヘッドレスト反転と係止-係止解除機構
410 固定歯
411 ヘッドレスト本体係止部
411a、412a 凸円弧
411b 第1の係止直線辺
411c 係止凹円弧辺
411d 第1の係止凹角
412 ヘッドレスト本体回転歯部
413 反転済みヘッドレスト本体係止部
413a 直線辺
413b 第2の係止凹角
420 ねじりばね
430 リセット引っ張りばね
440 係止解除ハンドル
450 回転歯
451 回転歯部
451a 第1の係止円弧
451b 摺動可能に嵌合する凹円弧
451c 第2の係止円弧
451d 係止凸角
460 回転軸
470 鋼線プルリング
480 係止解除プルストラップ
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