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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】パーソナルケアデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61C 17/22 20060101AFI20240717BHJP
   A61C 17/34 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
A61C17/22 E
A61C17/34 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021564199
(86)(22)【出願日】2020-05-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-01
(86)【国際出願番号】 IB2020054212
(87)【国際公開番号】W WO2020222214
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2021-10-27
(31)【優先権主張番号】19172250.3
(32)【優先日】2019-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508117514
【氏名又は名称】ブラウン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】トビアス、シュバルツ
(72)【発明者】
【氏名】ユリウス、ホッペルト
(72)【発明者】
【氏名】リッカルド、デッシ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン、エルザサー
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0314677(US,A1)
【文献】国際公開第2018/193347(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107753134(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106420095(CN,A)
【文献】特開2001-135382(JP,A)
【文献】実公昭37-028874(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 17/22 - 17/40
A46B 13/00 - 15/00
H01R 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーソナルケアデバイスであって、
ユーザの手で把持することができるハンドルであって、長手方向軸を有する、ハンドルと、
キャリアと接続された処置ヘッドであって、前記キャリアが、前記ハンドル内に延在し、復元ばね力に対してピボット軸を中心としたピボット運動のために前記ハンドルに取り付けられている、処置ヘッドと、
前記キャリア上に取り付けられた電気エネルギー消費ユニットと、
前記ハンドルに対して固定して取り付けられたエネルギー源から前記電気エネルギー消費ユニットへ電気エネルギーを伝達するために、前記ハンドルと前記キャリアとの間に配置された、少なくとも1つの電気コネクタと、を備え、
前記電気コネクタは、前記復元ばね力の少なくとも一部を提供するために、ばね定数を有する弾性金属シート要素として実現され、
前記弾性金属シート要素が、S字形又はZ字形であって、第1の水平アームと、第2の水平アームと、前記第1の水平アーム及び前記第2の水平アームを接続する横断アームと、を有し、
前記弾性金属シート要素の前記第2の水平アームが、塑性変形され定位置に前記第2の水平アームを保持するプラスチック製コネクタフィンガが延在する、切欠きを有する、パーソナルケアデバイス。
【請求項2】
前記弾性金属シート要素が、前記キャリアの休止位置に予圧される、請求項1に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項3】
前記弾性金属シート要素が、前記第1の水平アームから垂直に延在する突出部を有し、前記突出部が、はんだ付接続によって、前記キャリア又はハンドルのうちの1つの接触要素の接触領域へと固定して接続されている、請求項1又は2に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項4】
前記弾性金属シート要素が、前記第1の水平アームから垂直に延在する突出部を有し、前記突出部が、はんだ付接続によって、前記キャリア又はハンドルのうちの1つの接触要素の接触領域へと固定して接続されており、
前記弾性金属シート要素が、前記弾性金属シート要素の前記第2の水平アームから垂直に延在する突出部を有し、前記突出部が、接触要素の側面に当接するか、又は前記弾性金属シート要素が、前記接触要素の突出部に当接する凹部を備える、請求項1又は2に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項5】
前記突出部が、前記接触要素のスロット内に配置され、前記スロットが前記突出部の前記延在方向に対して直角に延在し、前記スロットが一方に開放側を有する、請求項3又は4に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項6】
前記スロットが、前記開放側で面取りされている、請求項5に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項7】
前記弾性金属シート要素が、CuNiSigから作製される、請求項1~6のいずれか一項に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項8】
前記弾性金属シート要素が、0.1mm~0.2mmの範囲のシート厚を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項9】
前記弾性金属シート要素の前記ばね定数が、0.1N/mm~0.55N/mmの範囲である、請求項1~8のいずれか一項に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項10】
前記弾性金属シート要素の前記第1の水平アーム及び前記第2の水平アームが、前記弾性金属シート要素を接触要素と接続するように機能し、前記横断アームが、有効長に沿ってばね機能を提供する、請求項1~9のいずれか一項に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項11】
前記弾性金属シート要素の前記横断アームの幅が、1mm~5mmの範囲である、請求項1~10のいずれか一項に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項12】
ばね定数を有する少なくとも1つのばね要素を備え、前記ばね要素が、前記キャリアがその休止位置から枢動された場合、前記キャリアと前記ハンドルとの間に作用する前記復元ばね力を前記ばね要素が加えるように、前記キャリアと前記ハンドルとの間に配置されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項13】
機械式ストッパ要素が、前記ハンドルに対する前記キャリアの休止位置を画定するため前記ハンドルに設けられている、請求項1~12のいずれか一項に記載のパーソナルケアデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エネルギー源と、駆動ユニットなどの電気エネルギー消費ユニットと、エネルギー源及び電気エネルギー消費ユニットを接続するための電気コネクタと、を有し、特には、エネルギー源及びエネルギー消費ユニットが互いに対して移動可能に取り付けられる、電動歯ブラシなどのパーソナルケアデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
互いに対して移動する2つの電気部品間の電気的接続は、この電気的接続が、2つの電気部品の反復的な相対移動に起因する疲労に対して一定の耐性を有しなければならないために、技術的課題を生じることが一般に知られている。フレキシブル・フラット・ケーブル(flexible flat cable:FFC)を使用してもよく、接続継手にはストレインリリーフ手段を搭載してもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示の目的とは、エネルギー源と、相対運動のために取り付けられたエネルギー消費デバイスとの間に電気コネクタを備える、パーソナルケアデバイスを提供することであって、この電気コネクタは、反復的な相対運動のストレスに耐えるのに特に適しており、更に、この電気コネクタはまた、パーソナルケアデバイスの自動組立を可能にするのに適していてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様によれば、パーソナルケアデバイス、特には電動歯ブラシが提供される。このパーソナルケアデバイスは、ユーザの手で把持することができるハンドルであって、長手方向軸を有する、ハンドルと、キャリアと接続された処置ヘッドであって、このキャリアがハンドル内に延在し、復元ばね力に対してピボット軸を中心としたピボット運動のためにハンドルに取り付けられている、処置ヘッドと、キャリア上に取り付けられた電気エネルギー消費ユニット、特にはリニアアクチュエータなどの駆動ユニットである、電気エネルギー消費ユニットと、ハンドルに対して固定して取り付けられたエネルギー源から電気エネルギー消費ユニットへの電気エネルギーを伝達するために、ハンドルとキャリアとの間に配置された、少なくとも1つの電気コネクタと、を有する。この電気コネクタは、復元ばね力の少なくとも一部を提供するために、ばね定数を有する弾性金属シート要素として実現される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本開示は、例示的実施形態の詳細な説明及び図面の参照により、更に明瞭にされる。図中、
図1図1は、例示的なパーソナルケアデバイスの図である。
図2図2は、本開示によるパーソナルケアデバイスの例示的実施形態の概略図である。
図3A図3A図3Dは、電気コネクタの例示的実施形態の異なる図である。
図3B図3A図3Dは、電気コネクタの例示的実施形態の異なる図である。
図3C図3A図3Dは、電気コネクタの例示的実施形態の異なる図である。
図3D図3A図3Dは、電気コネクタの例示的実施形態の異なる図である。
図4A図4Aは、完全に接続される前の非負荷組立状態にある、例示的な電気コネクタの図である。
図4B図4Bは、電気コネクタが最終位置にある、図4Aで示されたコネクタ要素の後の組立状態の図である。
図5図5は、電気コネクタをコネクタ要素と接続する前の最終空間位置にある際の、コネクタ要素及び電気コネクタの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書の文脈において、「パーソナルケア」とは、皮膚及びその付属器(すなわち、毛及び爪)並びに、歯及び口腔(舌、歯茎などを含む)の育成(又はケア)を意味するものとし、一方では、疾病の予防並びに健康の維持及び増強(「ケア」)を目指し、また一方では、皮膚及びその付属器の美容的処置並びに外観の改善を目指すものである。これは、ウェルビーイングの維持及び強化を含む。これは、スキンケア、ヘアケア、口腔ケア、及びネイルケアを含む。これは、顎ひげケア、シェービング、及び脱毛など、その他の整容動作も更に含む。したがって、「パーソナルケアデバイス」とは、このような育成又は整容動作を実行するための任意のデバイス、例えば、皮膚マッサージデバイス又は皮膚ブラシなどの(美容)皮膚処置デバイス;湿式かみそり;電気シェーバー又はトリマー;電動脱毛器;及び手動又は電動の歯ブラシ、(電気)フロスサー、(電気)洗浄器、(電気)舌クリーナー、又は(電気)歯肉マッサージ器などの口腔ケアデバイスを意味する。これは、本提案のパーソナルケアシステムが、このような育成又はデバイスの領域のうちの1つ又は複数の領域で、これらの育成又はデバイスの領域のうちのそれ以外の1つ又は複数においてよりも、より顕著な利点を有し得ることを除外するものでない。図に関連する以下の説明では、提案されるパーソナルケアデバイスの詳細を示すために、電動歯ブラシが選定されている。詳細が電動歯ブラシに特定されない限り、提案される技術は、任意の他のパーソナルケアデバイスにおいて用いられ得る。
【0007】
本開示によるパーソナルケアデバイスは、パーソナルケアデバイスのハンドルに対してピボット運動するように取り付けられた、エネルギー消費ユニットを備える。パーソナルケアデバイスは、エネルギー消費ユニットが取り付けられたキャリアを備え、このキャリアは、ハンドルに対して当該運動をするように、特にはピボット軸の周りをピボット運動するように取り付けられる。キャリアはハンドル内に延在してもよいが、キャリアの一部分、又はキャリアと本質的に移動不能に接続された部分は、ハンドルの内側空洞の外側に延在してもよい(この外側延在部はパーソナルケアデバイスの処置ヘッドであってもよい)。パーソナルケアデバイスのハンドルは長手方向軸を有してもよく、そして、ピボット軸はハンドルの長手方向軸に対してほぼ直角に配置されてもよい。エネルギー源は、ハンドルに、又はハンドルに対して固定して、取り付けられる。本明細書では、「固定して取り付けられる」とは、この固定して取り付けられた物体が、ハンドルに対して移動できないことを意味する。これは、取付構造がハンドルに固定されるように、組立プロセスでハンドルの内側空洞中へ挿入される取付構造上に、物体(本明細書では、エネルギー源)が取り付けられてもよいことを含む。キャリアは、パーソナルケアデバイスの処置ヘッドと接続されてもよく、この場合、処置ヘッドは、取り外し可能であり、特には繰り返し取り外し可能かつ再び取り付け可能であるが、本質的にはパーソナルケアデバイスの使用中にキャリアに対して移動可能でないように配置されてもよい。キャリアは、ピボット軸に対してトルクを生み出す力成分を有する処置ヘッドに力が加えられた場合、ピボット軸の周りをピボット運動するように配置されてもよい。いくつかの実施形態では、エネルギー消費ユニットは、処置ヘッドの少なくとも一部を運動させるための駆動ユニットである。駆動ユニットは、処置ヘッドの少なくとも一部分が接続される駆動シャフトを有してもよい。駆動ユニットは、DCモータ又は共振アクチュエータ(すなわち、駆動シャフトを介した線状又は回転振動運動のうちの少なくとも1つを提供する、共振ばね質量タイプのモータ)を備えてもよい。
【0008】
エネルギー源とエネルギー消費ユニットとを電気的に接続するために、少なくとも1つの電気コネクタは、エネルギー源からエネルギー消費デバイスに電気エネルギーを伝達するために、ハンドルとキャリアとの間に配置される。本開示による電気コネクタの数は限定されないが、いくつかの実施形態では、2つのこのような電気コネクタは、1つの閉じた電子回路を確立するために利用される。電気コネクタは、ばね定数を有する弾性金属シート要素として実現され、この弾性金属シート要素は、キャリアがその休止位置からハンドルに対して移動する場合、特に圧縮されることにより、弾性金属シート要素は、ばね定数及び圧縮距離に従って復元ばね力を提供する。パーソナルケアデバイスは、ピボット運動につながる外力が処置ヘッドに作用しない場合、キャリアの休止位置を画定するための機械式ストッパ要素を備えてもよい。弾性金属シート要素は、キャリアがその休止位置にある場合に付勢力又は予圧力を特に提供してもよく、この付勢力は、キャリアがピボット運動を開始する前に外力によって克服される必要がある。
【0009】
弾性金属シート要素は、特定の形態をとってもよい。いくつかの実施形態では、弾性金属シート要素は、第1の本質的な水平アーム及び第2の本質的な水平なアームを有し、これらの水平アームは、本質的にZ字形(又はS字形)構造となるように横断アームで接続される。水平アームは、自動組立を支持する構造体を搭載してもよい。例えば、第1又は第2の水平アームは、コネクタ要素内のスロットを通って延在し、はんだ付接続によって導電領域へとそこで結合される、少なくとも1つの垂直に延在する突出部を備えてもよい。コネクタ要素は、特に、プリント回路基板(printed circuit board:PCB)であってもよい。スロットは、突出部及びスロットが組立プロセスで互いに対して相対的に移動することを可能にするために、一方の側で開放されてもよく、これにより、突出部は、組立プロセスにおいてその開放端を介してスロットに入る。スロットの開放端は、スロットと突出部との間の電位基準が釣り合うように面取りされてもよい。例えば、第1又は第2の水平アームは、コネクタ要素の側面に当接する、少なくとも1つの垂直に延在する突出部を備えてもよい。例えば、第1又は第2の水平アームは、コネクタ要素からのホルダ要素(例えば、ホルダフィンガ)がそれを通って延在する、少なくとも1つの切欠きを備えてもよい。例えば、組立プロセスにおいて、切欠き及びホルダ要素は、端部のホルダ要素が切欠きを通って延在するように、互いに対して移動させてもよい。ホルダ要素がプラスチックから作製される場合、ホルダ要素の突起部は、弾性金属シート要素を定位置に固定的して保持するために塑性変形されてもよい。はんだ付接続継手は、少なくとも2つの水平アームのうちの1つに、例えば、コネクタ要素上の導電領域で、又は導電性ワイヤで実現されてもよい。切欠きは、2つの水平アームのうち少なくとも1つに設けられてもよい。プラスチックホルダ要素を塑性変形させ、はんだ付接続を確立するプロセスは、自動化の影響を受けやすい。
【0010】
説明したように、弾性金属シート要素の水平アームは、位置決め及び保持という目的のために機能してもよく、横断アームは、次いで、ばね機能を提供してもよい。
【0011】
弾性金属シート要素は、例えば、Wieland-K55としてWieland-Werke AG社(Ulm、Germany)より市販されている、CuNi3Si1Mg材料から作製されてもよい。この材料は、一方で良好な導電率を提供し、他方では弾性要素(すなわち、ばね要素)として機能する良好な機械的特性を有する。これは、好適な材料の単なる一例にすぎない。
【0012】
パーソナルケアデバイスは、少なくとも1つの更なるばね要素(すなわち、弾性金属シート要素(複数可)以外の更なるばね要素)、特には2つのばね要素を備えてもよい。これらのばね要素は、ハンドルとキャリアとの間に配置され、少なくとも1つのばね要素は、キャリアがその休止位置から枢動された場合、キャリアとハンドルとの間に復元ばね力を提供する。この少なくとも1つのばね要素は、キャリアとハンドルとの間の総復元ばね力が、主に少なくとも1つのばね要素によって提供されるように、指定されてもよい。例えば、少なくとも1つのばね要素は、総復元ばね力の約50%超を提供してもよく、特には総復元ばね力の約66%超を提供してもよく、更に特には総復元ばね力の約80%超を提供してもよく、より更に特には総復元ばね力の約90%超を提供してもよい。少なくとも1つのばね要素は、高精度及び低製造公差のために設計されてもよく、例えば、ばね要素は、ばね鋼から作製された矩形棒要素として設計されてもよい。したがって、弾性金属シート要素の製造公差は、ある程度補償され得る。
【0013】
弾性金属シート要素はキャリアの休止状態に付勢力又は予圧力を提供することが述べられている。この付勢力は、0.1N~0.6Nの範囲、特には0.2N~0.5Nの範囲、更に特には0.3N~0.4Nの範囲であってもよい。
【0014】
弾性金属シート要素は、0.1mm~0.2mmの範囲、特には0.125mm~0.175mmの範囲、更に特には約0.15mmの厚さを有する金属シートから作製されてもよい。
【0015】
弾性金属シート要素のばね定数は、0.1N/mm~0.55N/mmの範囲、特には0.2N/mm~0.45N/mmの範囲、更に特には約0.32N/mmの範囲であってもよい。
【0016】
図1は、電動歯ブラシとして実現される例示的なパーソナルケアデバイス1の図である。パーソナルケアデバイス1は、ハンドル20、及び本明細書でブラシヘッドとして実現される処置ヘッド10を有する。処置ヘッド10は、交換可能であってもよい(すなわち、繰り返し取り外し可能かつ再び取り付け可能、特には、衛生上の理由又は異なる処置を提供する理由から、新しい処置ヘッド又は異なる処置ヘッドと交換可能)。処置ヘッド10は、特にはハンドル20の内側空洞中に配置された駆動ユニットによって、動作に駆動されるように配置された、機能ヘッド11(本明細書では、剛毛キャリア)を有してもよい。処置ヘッドは、中空ハンドル20内に延在するキャリアを処置ヘッド10に接続するためのハウジング12を有してもよい。他の実施形態では、処置ヘッド10は独立して移動可能な機能ヘッドを備えず、処置ヘッド10は完全に動作へと駆動されるが、これは、処置ヘッド10が1つの動作へと駆動されることを除外するものではなく、一方で機能ヘッド11は別の動作に駆動される。
【0017】
図2は、本明細書によるパーソナルケアデバイス1Aの例示的構造配置の概略図である。パーソナルケアデバイス1Aは、処置ヘッド10Aと、ハンドルハウジング21Aを有するハンドル20Aと、キャリア30Aと、取付構造40Aと、本明細書では駆動ユニットとして実現されるエネルギー消費ユニット50Aと、エネルギー源60Aと、電気コネクタ100Aと、を備える。処置ヘッド10Aは、機能ヘッド11A及びハウジング12Aを備え、このハウジングは、キャリア30Aに固定して接続されたアダプタ要素31Aと結合される(アダプタ要素31Aはまた、キャリア30Aと一体であってもよい)。処置ヘッド10Aの固定接続は、処置ヘッド10Aがアダプタ要素31Aから取り外され得ることを除外するものではない。キャリア30Aは取付構造40Aにピボット運動可能に取り付けられており、これにより、キャリア30Aは、キャリア30Aに本質的に移動不能に取り付けられた処置ヘッド10Aへ外力Fが加えられた場合、取付構造40Aに対してピボット軸Pの周りをピボット運動することができる。ここで、処置力Fはピボット軸Pに対してトルクを発生させる。取付構造40Aは、例えばスナップ接続211A又は212Aなどの手段でハンドルハウジング21Aに固定して取り付けられており(例えば、クランプは別法であってもよい)、これにより、取付構造40Aは、ハンドルハウジング21Aに対して本質的に動くことができず、ハンドルハウジング21A及び取付構造40Aを1つの単一要素とみなすことができる。コネクタ要素41Aは、取付構造40Aの一部であるか、又は取付構造40Aに取り付けられている。これは、キャリア40Aがコネクタ要素そのものであることを除外するものではない。本明細書では、コネクタ要素41Aは、取付構造40Aに固定して取り付けられたPCBである。更に、エネルギー源60A、例えば電池又は蓄電池は、取付構造40Aにも取り付けられる。電気コネクタ100Aは、キャリア30Aが、その休止位置からハンドル20Aに対して(すなわち、取付構造40Aに対して)ピボット軸Pの周りを枢動すると、復元ばね力を提供するばね定数を有する弾性金属シート要素として(すなわち、電流伝導ばね要素として)実現される。電気コネクタ100Aは、一方の端部に、はんだ付接続411Aによってコネクタ要素41A上の導電領域と導電結合された突出部101Aを有する。他端では、電気コネクタ100Aは、突出部801Aによってコネクタ要素80Aと接続される。コネクタ要素80Aは、駆動ユニットのコイルを担持するコイルボビンであってもよい。コネクタ要素80Aは、キャリア30Aと固定して接続されている。これは、キャリア側のコネクタ要素がキャリア30A自体によって実現されることを除外するものではない。突出部801Aは、導電性であってもよく、コイル(すなわち、エネルギー消費ユニット50A)との導電接続を確立してもよい。しかし、電気コネクタ100Aは、別の様式でエネルギー消費ユニット50Aと導電接続されてもよく、例えば、導電性ワイヤは電気コネクタ100Aの下部水平アームの周りに巻かれてもよく、及び/又はワイヤは電気コネクタ100Aではんだ付けされてもよい。更なる電気コネクタは、エネルギー源60Aとエネルギー消費ユニット50Aとの間の導電回路を完成するために、キャリア30Aと取付構造40Aとの間に配置されてもよい。
【0018】
示された例では、ばね要素70Aはキャリア30Aと取付構造40Aとの間に延在し、このばね要素70Aは、総復元ばね力が得られるように、ばね定数を有し、電気コネクタ100Aによって与えられる復元ばね力に加えられた復元ばね力を提供する。ばね要素70Aは、本明細書では、キャリア30Aの側面上のピボット軸受314Aに、取付構造40Aの側面上に要素401Aをクランプすることによって固定される。
【0019】
機械式ストッパ要素213Aは、非負荷状態のキャリア30Aの休止位置を画定するために、ハンドル20Aに設けられてもよい。
【0020】
図3A図3Dは、本開示による例示的な電気コネクタ200の様々な図である。図3Aは電気コネクタ200,の斜視図であり、図3Bは側面図であり、図3Cは上面図であり、図3Dは正面図である。
【0021】
電気コネクタ200は、切断され、図示するような形状に曲げられた、金属シートから作製される。弾性金属シート要素(すなわち、電気コネクタ)200は、一般的に、Z字形又はS字形を有する(視野角に応じる)。図3A図3Dは、キャリアがその休止位置にある場合、組み立てられた状態となり得る形状の弾性金属シート要素200を示す。この休止位置では、弾性金属シート要素200は、第1の水平アーム210と、第2の水平アーム220と、2つの水平アーム210、220を接続する横断アーム230と、を有する。横断アーム230は、約180度の湾曲部240及び250によって、水平アーム210及び220に接続される。湾曲部240、250の曲率は、本質的に円形である。第1の水平アーム210と横断アーム230とを接続する第1の湾曲部240の半径R1は、横断アーム230と第2の水平アーム220とを接続する第2の湾曲部250の半径R2よりも大きい。半径R1及びR2は、以下で更に説明される理由により異なる。第1の水平アーム210は、第1の水平アーム210から垂直上方に延在する突出部211を備える。第2の水平アーム220は、切欠き221及び凹部222を備える。弾性金属シート要素200のこれらの補助構造、すなわち突出部211、切欠き221、及び凹部222は、単なる例示であって、他の補助構造は、弾性金属シート要素200をそれぞれのコネクタ要素と位置決め及び接続する目的で、当業者が使用することができる。例えば、凹部222の代わりに又は凹部222に加えて、第2の水平アーム220は、第2の水平アーム220から垂直方向に下方に延在し得る1つ又は複数の突出部を備えてもよい。第2の水平アームは、上面図において、第2の水平アーム220の部分225が第1の水平アーム210又は横断アーム230によって覆われていないように、長さL2を有する。切欠き221は、この非被覆部225内に配置される。これにより、切欠き221は比較的自由にアクセス可能となる。
【0022】
以下では、弾性金属シート要素200の例示的な幾何学的値が提供される:
-第1の水平アームの長さL1: 5.25mm
-第2の水平アームの長さL2: 15.1mm
-横断アームの長さL3: 8.5mm
-第1の湾曲部の半径R1: 0.85mm
-第2の湾曲部の半径R2: 0.55mm
-金属シートの厚さd: 0.15mm
-横断アームの幅w3: 1.79mm。
【0023】
図4Aは、コネクタ要素320B上に既に設置されている、弾性金属シート要素200Bの中間状態を示す。このコネクタ要素320Bは、本明細書では、駆動ユニットのコイル用のプラスチックホルダ(すなわち、ボビン)の一部である。図4Aは、特定の形状、すなわち非負荷状態にある弾性金属シート要素200Bを示す。金属シートは、正確な平坦な形状に圧断された(又はレーザー切断された)後に、弾性金属シート要素200Bが平坦な形状へと戻る代わりにその特定形状を取るように、その弾性限度を超えて金属シートを歪ませる、それぞれの曲げ機械及びプレス機械によって塑性変形される。図4Bは、コネクタ要素310B(本明細書では、PCB)が、取付構造においてその最終位置に取り付けられた(矢印M1に従って最初に下へ移動させ、次いでこれを図4Bの矢印M2に従って横へ移動させることによる)後の形状である、弾性金属シート要素200Bを示す。弾性金属シート要素200Bは、第2の水平アーム220Bから垂直方向に下方に延在する、2つの突出部223B及び224Bを有することが分かる。保持要素321Bは、第2の水平アーム220B内の切欠きを通って延在する。コネクタ要素320Bの突出部322Bは、第2の水平アーム220Bの凹部に当接する。弾性金属シート要素200B及びコネクタ要素320Bの補助構造は、コネクタ要素320B上の弾性金属シート要素200Bの正確な自動位置決めを可能にするように働く。これは示されていないが、第2の水平アームは、エネルギー消費ユニット(本明細書では、駆動ユニットのコイルである)との導電接続を確立するために、接触要素にはんだ付けされてもよい。
【0024】
図4Bから、弾性金属シート要素200Bは圧縮され、したがってキャリアと取付構造との間に予応力(又は、予圧)を与えることが、明らかとなる。弾性金属シート要素200Bの特定の形状は、製造公差にもかかわらず、弾性金属シート要素が常に圧縮される必要があるように選択される。一旦圧縮状態になると、上方に延在する突出部211Bは、コネクタ要素310Bが突出部211Bに向かって水平に移動され、したがって突出部211Bが組立プロセスにおいてこのスロットと自動的に位置合わせされる場合、コネクタ要素310B内の開放スロットによって捕捉される。予圧に起因して、突出部211Bは、突出部211Bのコネクタ要素310Bへの自動はんだ付けが可能になるように、規定の様式でコネクタ要素310Bの上面を越えて延在する。弾性金属シート要素200Bは、特定の形状を有する。製造プロセスの種類に起因して、特定の形状は、ある特定の許容範囲内でのみ達成される。
【0025】
図5は、電気コネクタ200Bのコネクタ要素310B及び第1の水平アーム210Bの一部の上面図である。これらの2つの物体は、その最終的な空間関係で示されており、すなわち、コネクタ要素310Bが既に矢印M2の方向に移動された場合で示される。これは図5に示されていないが、一方でコネクタ要素310Bの方向M2への水平移動はまた、取付構造で固定して取り付けられるように、コネクタ要素310Bを取付構造と結合する役割を果たす。電気コネクタ200Bの突出部211Bは、ここで、コネクタ要素310Bのスロット311B内に位置付けられ、スロット311Bは、横向フィンガ312Bによって形成される。スロット311Bは、一方の側(本明細書では、通常の文書の向きに対して左側)に開いている。開放側は、コネクタ要素310Bが方向M2へと移動される場合、突出部211Bをスロット内に導くことを支持する、面取部313Bを備える。次の製造工程では、突出部211Bは、コネクタ要素314B上に設けられた導電領域314Bにはんだ付けされてもよい。導電領域314Bは、エネルギー源と導電結合される。これは、電気コネクタを導電接続する他の手段、例えば、電気コネクタの一部の周りに巻かれた導電性ワイヤを使用してもよいことを除外するものではない。
【0026】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5