IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ラッドオフ エス.アール.エル.の特許一覧

<>
  • 特許-換気デバイス 図1
  • 特許-換気デバイス 図1A
  • 特許-換気デバイス 図1B
  • 特許-換気デバイス 図2
  • 特許-換気デバイス 図3
  • 特許-換気デバイス 図4
  • 特許-換気デバイス 図5
  • 特許-換気デバイス 図6
  • 特許-換気デバイス 図7
  • 特許-換気デバイス 図7A
  • 特許-換気デバイス 図7B
  • 特許-換気デバイス 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】換気デバイス
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0043 20190101AFI20240717BHJP
   F24F 11/74 20180101ALI20240717BHJP
   F24F 11/77 20180101ALI20240717BHJP
   F24F 110/68 20180101ALN20240717BHJP
【FI】
F24F1/0043 416
F24F11/74
F24F11/77
F24F110:68
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021577886
(86)(22)【出願日】2020-07-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-01
(86)【国際出願番号】 EP2020068615
(87)【国際公開番号】W WO2021004867
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-07-03
(31)【優先権主張番号】102019000010956
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】521566885
【氏名又は名称】ラッドオフ エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】カシッタ,ドメニコ
(72)【発明者】
【氏名】カシッタ,ジョヴァンニ ピエロ
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-028477(JP,A)
【文献】特開2009-139049(JP,A)
【文献】特開2015-190687(JP,A)
【文献】特開2016-205747(JP,A)
【文献】特開2018-017461(JP,A)
【文献】特表2017-531774(JP,A)
【文献】特表2022-515646(JP,A)
【文献】実開昭59-167343(JP,U)
【文献】国際公開第2019/050484(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109000324(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0043
F24F 11/00 - 11/89
F24F 7/007
F24F 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖空間における空気を処置するためのデバイス(100)であって、
閉鎖空間に配設するために適した出口(10)、後部で前記出口から突出した外側管(14)、及び前記出口の内部かつ前記外側管の内部に軸方向に配設され、第1の軸方向導管(D1)を画定する内側管(16)、を伴う第1のモジュール(1)であって、前記出口には、前記第1のモジュールの内側管と外側管との間の第1の空隙(G1)に向けて、空気を内部から導入するための開口部(12)が設けられた、第1のモジュール(1)と、
前記閉鎖空間の外部に配設するために適した出口(20)、前記出口から前に向けて突出した外側管(24)、及び前記出口及び内側管(26)の内部に配設されたシャンク部(25)、を伴う第2のモジュール(2)であって、前記内側管(26)は前記シャンク部から前に向けて突出し、かつ前記外側管の内部に軸方向に配設されて、第2の軸方向導管(D2)を画定し、前記第2のモジュールの前記出口(20)には、前記第2のモジュールの前記内側管と前記外側管との間の空隙に向けて、空気を外部から導入するための開口部(22)が設けられる、第2のモジュール(2)と、
前記第1の軸方向導管(D1)から空気を抽出し、閉鎖空間に空気を導入するために、前記第1のモジュールにおける前記内側管の、前記第1の軸方向導管(D1)の前端部に配設された、第1のファン(V1)と、
前記第2のモジュールにおける前記内側管の前記第2の軸方向導管(D2)から空気を抽出し、この空気を外部へ排出するために、前記第2のモジュールの前記シャンク部(25)に配設された、第2のファン(V2)と、
前記第1のモジュールにおける前記第1の空隙(G1)に配設され、内部から外部へ空気を通過させるための第1の導管(31)、及び外部から内部へ空気を通過させるための第2の導管(36)が設けられた、熱交換器(3)と、
前記閉鎖空間に導入された空気を濾過するために、前記第1のファンの前で、前記第1のモジュールにおける前記第1の軸方向導管(D1)に配設された、フィルタ(Z)と、
前記閉鎖空間でラドンガスの存在を検出するのに適したラドン検出器(R)と、
前記閉鎖空間におけるラドンガス濃度の情報を受け取るために、前記ラドン検出器(R)に接続された、制御ユニット(7)であって、前記ラドン検出器(R)によって検出されたラドンガス濃度を、記憶された閾値と比較するための比較器(70)を備え、前記ラドン検出器(R)が、前記閉鎖空間において、前記比較器(70)の前記閾値よりも高いラドンガス濃度を検出したときに、前記ファン(V1、V2)を起動させるために、前記ファン(V1、V2)に接続された、制御ユニット(7)と、
を備え、
前記第1のモジュール(1)及び前記第2のモジュール(2)は、伸縮自在に連結され、2つのモジュール(1、2)が、内部を外部から分離し、かつ前記デバイスが設置される壁の厚さに対して調整するために摺動できるよう、前記第2のモジュールにおける外側管(24)は、前記第1のモジュールにおける外側管(14)の上を摺動し、前記第2のモジュールの前記内側管(26)は、前記第1のモジュールにおける前記内側管(16)の内部に配設されて、第2の空隙(G2)を形成する、デバイス(100)。
【請求項2】
前記フィルタ(Z)の前方に、前記第1の軸方向導管(D1)に配設され、空気を外部から前記フィルタに向けて搬送するために、先端を前記フィルタ(Z)に向けられたテーパー形状を有する、コンベア(6)を備える、請求項1に記載のデバイス(100)。
【請求項3】
前記第1のモジュールは、後部分において前記外側管から突出たシャンク部(17)と、下部分に突出して前記第2のモジュールにおける前記内側管(26)の上を摺動するカラー(19)と、を備える、請求項1または2に記載のデバイス(100)。
【請求項4】
前記熱交換器(3)は、前記第1のモジュールの前記内側管(16)に配設された複数の形材(30)を備え、前記形材(30)で前記熱交換器の前記第1の導管(31)は画定され、前記形材(30)には、外側に突出したタブ(32)が設けられ、前記熱交換器の前記第2の導管(36)は、前記形材の外部に画定される、請求項1~3のうちいずれか一項に記載のデバイス(100)。
【請求項5】
前記第1のモジュールの前記内側管(16)は、八角形断面を有し、前記熱交換器(3)は、前記第1のモジュールにおける前記内側管(16)の4つの非隣接側部に、4つの第1の導管(31)と、前記第1のモジュールにおける前記内側管(16)の、追加の4つの非連接側部に、同じ角度で離隔して配設された、4つの第2の導管(36)と、を備える、請求項4に記載のデバイス(100)。
【請求項6】
前フランジ(4)及び後フランジ(5)を備え、それぞれは前記熱交換器(3)の前端部及び後端部に配設され、前記前フランジ(4)は、前記第1の導管(31)へ向かう空気フローを可能にし、前記熱交換器の前記第2の導管(36)に向かう空気フローを塞ぎ、前記後フランジ(5)は、前記第2の導管(36)へ向かう空気フローを可能にし、前記熱交換器の前記第1の導管(31)に向かう空気フローを塞ぐ、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
【請求項7】
前記後フランジ(5)には、前記熱交換器の前記第1の導管(31)を、前記第1のモジュールの前記内側管(16)と前記第2のモジュールの前記外側管(14)との間の空隙(G2)に連通される、連通導管(55)が設けられ、前記前フランジ(4)には、空気を前記第1のモジュールにおける前記第1の軸方向導管(D1)に導入するために、前記熱交換器の前記第2の導管(36)を、前記第1のモジュールにおける前記内側管の開口部(16a)に連通させる、連通導管(45)が設けられた、請求項6に記載のデバイス(100)。
【請求項8】
前記閉鎖空間における空気の圧力値の情報を送るために、前記制御ユニット(7)に接続された圧力センサ(6)を備え、前記制御ユニット(7)は、前記閉鎖空間の圧力を増加させるために、前記第1のファン(V1)の速度を、前記第2のファン(V2)の速度よりも高くなるよう調整するよう好適に構成される、請求項1~7のうちいずれか一項に記載のデバイス(100)。
【請求項9】
湿度センサ、温度センサ、ならびにPM10及びPM2.5粒子センサを備える、請求項1~8のうちいずれか一項に記載のデバイス(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
産業的特許のための本発明は、閉鎖空間における空気を処置するため、詳細には閉鎖空間におけるラドン濃度を減少させるために使用されるデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
公知のように、ラドンは地殻に散在するウラニウムのアルファ崩壊によって発生するラジウムの、アルファ崩壊によって形成される天然の希バスである。
【0003】
ラドンの有害作用は、ラドンの放射性崩壊によって発生するポロニウム、及びビスマスによって生成される。吸い込んだ場合、ポロニウム及びビスマスは気管支上皮に蓄積され、多量の放射線量のアルファ線を放出し、肺癌及び白血病の発症を促し得る。
【0004】
ラドンガスの主な源は地面であり、そこからラドンは解放され、環境に分散される。ラドンは閉鎖場所に蓄積し、人の健康に対して危険である。詳細には、建物の地階は、非常に高いラドン濃度を有し得る。なぜなら地面からラドンが直接侵入するため、及び建物の地階は一般的に換気が悪いためである。
【0005】
比較的規模は小さいが、ラドンの他の源は、水及び建設材料、特に凝灰石または花崗岩などの火山源による水及び建設材料によるものである場合がある。
【0006】
閉鎖空間におけるラドン濃度が高いほど、癌に罹患するリスクは高くなる。さらに、標準温度及び標準圧力で、ラドンは無臭かつ無色のガスであり、したがってその存在は特別なデバイスを用いなければ検出できない、ということに留意しなければならない。
【0007】
空気中のラドン濃度を判断するために使用されるデバイスは、計測中に電力を供給される必要がある検出器に基づく能動型、または電力を供給される必要のない検出器に基づく受動型、とすることができる。能動型デバイスは、空間のラドン濃度をリアルタイムで計測し、一方で受動型デバイスは、計測タイム後のみにラドン濃度を計測する。一般的に、閉鎖空間におけるラドンの蓄積を防止するために、換気が使用される。
【0008】
換気は、(単に窓及びドアを開放することによる)自然な方法、またはファンなどの換気デバイスを使用した強制的方法で実現することができる。
【0009】
自然換気は、不十分または非効率的なソリューションである場合が多く、さらに閉鎖空間を加熱または冷却するために、多くのコストがかかる。
【0010】
強制換気は通常:
-第1の管であって、この第1の管の中に汚染された空気を導入するための、閉鎖空間に配設するのに適した入口、及び汚染された空気を閉鎖空間の外部に排出するための、閉鎖空間の外部に配設するのに適した出口、を備えた、第1の管と;
-第2の管であって、この第2の管の中に清潔な空気を導入するための、閉鎖空間の外部に配設するのに適した入口、及び清潔な空気を閉鎖空間に導入するための、閉鎖空間に配設するのに適した出口、を備えた、第2の管と;
-管の内側に空気を通過させるために、第1の管及び第2の管に配設された、ファンと;
-閉鎖空間の空気中のラドン濃度を検出するための、検出器と;
-空気中のラドン濃度に従ってファンを起動させるように、ファン及びセンサに接続された、制御ユニットと、
を備えたデバイスによって行なわれる。
【0011】
先行技術のこのようなデバイスは、扱いにくく、かつ設置が複雑であるため、相応しくない。実際、2本の別個の管で構成されると、閉鎖空間を画定する壁に2本の貫通穴をドリルで開けなければならず、かつ複雑で高価な設置作業を必要とする。さらに、このようなデバイスは多用途ではなく、異なる厚さの壁に対して調整できない。
【0012】
さらに、2つの別個のモジュール(空気抽出モジュール及び空気送達モジュール)で構成される先行技術のデバイスは、低い効率、大きいエネルギー消費、及び頻繁な保守作業のため、相応しくない。
【0013】
欧州特許出願公開第3045831号明細書は、最小のエネルギー消費で、閉鎖室内における特定の微気候を維持する課題を解決する、小型換気システムを開示している。このデバイスは管状の本体を有し、その中にフィルタ、加熱器を伴う3容量熱交換器、ならびに、第1及び第2のファンが取り付けられている。両方のファンは別々に動作する。第1のファンは空気を導入するときに、及び第2のファンは空気を部屋から排出するときに動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】欧州特許出願公開第3045831号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目標は、効率的かつ実用的で低エネルギー消費の、閉鎖空間で空気を処置するデバイスを開示することによって、先行技術の欠点を改善することである。
【0016】
追加の目標は、扱いにくくなく、設置が容易、多用途、及び異なる壁厚に適合できるような、閉鎖空間で空気を処置するデバイスを開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
これらの目的は、添付の独立請求項1に列挙された特性を伴う本発明によって実現される。
【0018】
有利な形態は、従属請求項から明らかになる。
【0019】
本発明によるデバイスは、独立請求項1によって定義される。
【0020】
本発明によるデバイスの利点は明白である。デバイスの両端部における2つのファンを提供することにより、閉鎖空間から空気を抽出すること、及び閉鎖空間に空気を導入することを、これらの空気フローを混合することなく、同時に可能にする。
【0021】
明確にするために、本発明によるデバイスの説明を、添付の図面を参照して続ける。これらの図面は単に例示であり、値を限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】内部から外部への空気フローを示す、本発明によるデバイスの軸方向断面図である。
図1A図1の円Aで囲まれた箇所の詳細拡大図である。
図1B図1の円Bで囲まれた箇所の詳細拡大図である。
図2図1のデバイスにおける第1のモジュールの軸方向断面図である。
図3図1のデバイスにおける第2のモジュールの軸方向断面図である。
図4図2の面IV-IVに沿った断面図である。
図5図2の面V-Vに沿った断面図である。
図6図1の断面VI-VIに沿った断面図である。
図7】外部から内部への空気フローを示す、図6の断面VII-VIIに沿った軸方向図である。
図7A図7の円Aで囲まれた箇所の詳細拡大図である。
図7B図7の円Bで囲まれた箇所の詳細拡大図である。
図8】本発明のデバイスの電気接続を示す、ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面を参照すると、全体的に参照番号(100)で表わされる、本発明によるデバイスが開示される。
【0024】
デバイス(100)は、閉鎖空間におけるラドンガス濃度を減少/排除するために、閉鎖された屋内空間を屋外空間から分離する壁に設置するのに好適である。
【0025】
図1図2、及び図3を参照すると、デバイス(100)は、管状の第1のモジュール(1)及び第2のモジュール(2)を備える。
【0026】
第1のモジュール(1)及び第2のモジュール(2)は、軸方向に摺動するよう伸縮自在に連結され、デバイスが設置される壁の厚さに応じてデバイス(100)の軸方向長さを変化させる。
【0027】
図2を参照すると、第1のモジュールは、閉鎖空間に配設するのに適した出口(10)を備える。出口(10)は、側壁(11)に開口部(12)が設けられた、実質的に円筒形である。開口部(12)は、空気が内部から通過するように、格子を形成する。
【0028】
出口(10)は、後位置において出口から突出する外側管(14)に接合された、後壁(13)を有する。外側管(14)の径は、出口(10)の径よりも小さく、外側管(14)の長さは、出口の長さよりも大きい。
【0029】
出口(10)は、内側管(16)に接合された、テーパー形状を伴う前壁(15)を有する。内側管(16)は、出口(10)の内側、かつ外側管(14)の内側に同軸で延びる。内側管(16)の長さは、外側管(14)の長さよりも小さい。
【0030】
外側管(14)は、後位置に配設され、外側管よりも小さい径を有する、シャンク部(17)を有する。シャンク部(17)は、シャンク部から径方向に突出した後フランジ(5)によって、外側管(14)に接合される。シャンク部(17)は、内側に突出したカラー(19)を有する。
【0031】
第1の軸方向導管(D1)は、内側管(16)に配設され、第1のファン(V1)、フィルタ(Z)、及びコンベア(6)を収容する。
【0032】
第1のファン(V1)は、出口の前壁(15)の近くにおいて、内側管(16)の前端部に配設される。第1のファン(V1)は、空気を内側管の第1の軸方向導管(D1)から抽出し、この空気を出口(10)の前壁から放出するよう、構成される。
【0033】
フィルタ(Z)は、第1のファン(V1)の前に配設され、第1のファン(V1)によって外部から内部に抽出された空気を濾過するために好適である。有利には、フィルタ(Z)は、2.5μm未満の空気力学的径の粒子を濾過するよう構成された、アンチ微粒子フィルタである。このように空気は、閉鎖空間に導入される前に濾過される。
【0034】
コンベア(6)は、フィルタ(Z)の前に配設される。このコンベアにはテーパーが付いており、先端をフィルタ(Z)に向けられた円錐形、またはピラミッド形である。
【0035】
第1の環状空隙(G1)は、内側管(16)と外側管(14)との間に形成され、そこには熱交換器(3)が配設される。
【0036】
図3を参照すると、第2のモジュールは、外部に配設するのに適した出口(20)を有する。出口(20)は、側壁に開口部(22)が設けられた、実質的に円筒形である。開口部(22)は、空気が外部から通過するように、格子を形成する。
【0037】
出口(20)は、出口と同じ径を有する外側管(24)に接続される。第2のモジュールにおける外側管(24)の内径は、第1のモジュールにおける外側管(14)の外径よりも僅かに大きく、それによって第1のモジュールにおける外側管は、第2のモジュールにおける外側管に挿入することができ、これら2本の管は、一方が他方の上を摺動できる。
【0038】
第2のモジュールの出口(20)は、「U」型のように折り込まれた後端部を有し、出口(20)の内部に同軸で配設された、テーパー形状のシャンク部(25)に接合される。シャンク部(25)は、内側管(26)から径方向に突出した壁(27)によって、内側管(26)に接続される。内側管(26)は、外側管(24)の内部に同軸で延びる。内側管(26)の長さは、外側管(24)の長さよりも小さい。第2の軸方向導管(D2)は、内側管(26)の内部に配設される。
【0039】
第2のモジュールにおける内側管(26)の外径は、第1のモジュールにおける内側管(16)の内径よりも小さい。上記を考慮すると、第2のモジュールの内側管(26)は、第1のモジュールの内側管(16)に挿入され、第2の環状空隙(G2)は、2本の内側管(26、16)の間に形成される。第1のモジュールにおけるシャンク部のカラー(19)は、第2のモジュールにおける内側管(26)の上を摺動し、それによって第2のモジュールの内側管(26)を、軸方向中央に置く。
【0040】
第2のファン(V2)は、内側管(26)の後端部の近くで、第2のモジュールにおけるシャンク部(25)の内部に配設される。第2のファン(V2)は、空気を第2のモジュールにおける内側管の第2の軸方向導管(D2)から抽出し、この抽出された空気をシャンク部(25)から外部に放出するよう、構成される。
【0041】
図6を参照すると、熱交換器(3)は複数の形材(30)を有し、それらは好ましくはアルミニウムで作られ、第1のモジュールの内側管(16)に固定される。各形材(30)は、実質的にU形状の断面を有し、内部から外部へ空気を通過させるための第1の導管(31)を画定するように、第1モジュールの内側管(16)に接合される。
【0042】
各形材(30)には、形材(30)から外側に突出したタブ(32)が設けられる。タブの機能は、形材の外部に流れる空気の熱交換を最大にするためにある。
【0043】
形材(30)を、延長部(33)によって第1のモジュールの外側管(14)に固定し、形材と外側管(14)との間の空隙(34)を画定することができる。タブ(32)は、空隙(34)に配設される。なぜなら、空隙(34)を通過する外部からの空気を、熱交換のために露出させなければならないからである。この場合、形材(30)は、H型の断面を有することができる。
【0044】
さらに形材(30)は、外部から内部へ空気を通過させるために、第2の導管(36)が2つの形材(30)の間に設けられるように、角度的に離隔される。
【0045】
第1のモジュールの内側管(16)は、八角形の断面を有する。このように、熱交換器(3)は、内側管(16)の4つの非隣接側部に、90°の等角度で離隔して配設された、4つの形材(30)を備える。このように、4つの第1の導管(31)は、内部から外部へ空気を通過させるために設けられ、4つの第2の導管(36)は、外部から内部へ空気を通過させるために設けられる。
【0046】
図2を参照すると、熱交換器(3)は、後フランジ(5)と前フランジ(4)との間に配設される。前フランジ(4)及び後フランジ(5)は、空気分散板として作用する。
【0047】
図4図1A、及び図7Aを参照すると、前フランジ(4)には、熱交換器の第1の導管(31)に対応した開口部(40)が設けられ、前フランジ(4)は、第2の導管(36)及び熱交換器の空隙(34)を塞ぐ。上記を考慮すると、前フランジ(4)にぶつかる、内部からの空気は、熱交換器の第1の導管(31)に独占的に導入される。
【0048】
図5図1B、及び図7Bを参照すると、後フランジ(5)には、第2の導管(36)及び熱交換器の空隙(34)に対応した開口部(50、51)が設けられ、後フランジ(5)は、熱交換器の第1の導管(31)のみを塞ぐ。上記を考慮すると、後フランジ(5)にぶつかる、外部からの空気は、第2の導管(33)及び熱交換器の空隙(34)に導入され、第1の導管(31)には導入されない。
【0049】
図1Bを参照すると、第1のモジュールにおける内側管(16)の後端部は、シャンク部(17)から離れていることに、留意しなければならない。連通導管(55)は、後フランジ(5)に実現され、熱交換器の第1の導管(31)を、第1のモジュールの内側管(16)と、第2のモジュールの内側管(26)との間における第2の空隙(G2)に、連通させる。
【0050】
図7Bを参照すると、開口部(16a)は、フィルタ(Z)とコンベア(6)との間の前フランジ(4)に対応して、第1のモジュールの内側管(16)に実現される。連通導管(45)は、前フランジ(4)に実現され、コンベア(6)が空気をフィルタ(Z)に向けて搬送するよう、コンベア(6)とフィルタ(Z)との間の第1の軸方向導管(D1)に向けて、外部からの空気を流すために、熱交換器の第2の導管(36)を、第1のモジュールにおける内側管の開口部(16a)と連通される。
【0051】
図1図1A、及び図1Bは、第2のファン(V2)を作動させて得られた、内部から外部への空気フローを表わす。このような空気フローは、矢印で図示され、Foで示される。
【0052】
内部からの空気は、第1のモジュールにおける出口(10)の開口部(12)に導入され、第1のモジュールの内側管(16)と外側管(14)との間の、第1の空隙(G1)に達して、前フランジ(4)にぶつかる。次に空気は、前フランジの開口部(40)に導入され、熱交換器の第1の導管(31)に流れ込み、後フランジ(5)の連通導管(55)を通過して、第1のモジュールの内側管(16)と第2のモジュールの内側管(26)との間の第2の空隙(G2)に導入されて、S形状の曲がった軌跡を追って、第1のモジュールにおける第1の軸方向導管(D1)に達する。コンベア(6)は、空気がフィルタ(Z)に向かうのを防止する。
【0053】
第1のモジュールにおける第1の軸方向導管(D1)に含まれた空気は、第2のモジュールにおける第2の軸方向導管(D2)で、第2のファン(V2)から抽出され、シャンク部(25)から外部へ排出される。
【0054】
図7図7A、及び図7Bは、第1のファン(V1)を作動させて得られた、外部から内部への空気フローを表わす。このような空気フローは、矢印で図示され、Fiで示される。
【0055】
外部からの空気は、第2のモジュールにおける出口(20)の開口部(22)に導入され、後フランジ(5)にぶつかる。次に空気は、後フランジの開口部(50、51)に導入され、第2の導管(36)、及び熱交換器の空隙(34)に流れ込む。
【0056】
熱交換器の第2の導管(36)に流れ込む空気は、前フランジの連通導管(45)に達し、第1のモジュールにおける内側管(16)の開口部(16a)を通過して、コンベア(6)とフィルタ(Z)との間で、第1のモジュールにおける第1の軸方向導管(D1)に導入される。コンベア(6)は、空気をフィルタ(Z)に向けて搬送する。
【0057】
第1のモジュールにおける第1の軸方向導管(D1)に含まれた空気は、第1のファン(V1)によって抽出され、内部に導入されて、第1のモジュールにおける出口(10)の後壁から排出される。
【0058】
外部から内部への空気フロー(Fi)は、内部から外部への空気フロー(Fo)に対して向流であることに、留意しなければならない。このように、熱交換器(3)は最大効率で動作し、内部からの空気と外部からの空気との間の、温度交換を可能にする。
【0059】
第1のファン(V1)の機能は、空気フロー(Fi)を外部から閉鎖空間の内部へ導入することである。第2のファン(V2)の機能は、空気フロー(Fo)を閉鎖空間から抽出して、空気フロー(Fo)を外部へ排出することである。2つの空気フローによって追尾される軌跡は、図1及び図7に示される。ファン(V1)及び(V2)が動作中に、デバイス(100)は常に分離された2つの空気フロー(Fi、Fo)を同時に生成する。
【0060】
前フランジ(4)及び後フランジ(5)は、空気分散板として作用することを考慮しなければならない。前フランジ(4)は、空気フロー(Fo)を熱交換器の形材(30)の内部に搬送し、その一方で後フランジ(5)は、空気フロー(Fi)を形材(30)の外部に搬送する。
【0061】
熱交換器(3)の機能は、内部からの空気フロー(Fo)から熱を吸収し、外部からの空気フロー(Fi)に熱を解放することである。熱交換器(3)によって、閉鎖空間に導入された空気は、閉鎖空間における、いかなる突然の温度変化も促さない。
【0062】
図8を参照すると、デバイス(100)は、ラドン検出器(R)、及びラドン検出器(R)に接続された制御ユニット(7)を備える。ラドン検出器(R)は独立しており、空気抽出/送達システムから分離される。上記を考慮すると、ラドン検出器(R)を、閉鎖空間の任意の箇所に設置して、閉鎖空間におけるラドンガスの存在を検出することができる。
【0063】
ラドン検出器(R)は、シンチレーションセル、固体検出器、または電離箱など、任意のアクティブ計測デバイスであってよい。アクティブ計測デバイスの使用は、閉鎖空間におけるラドンガス濃度の、リアルタイムの監視を提供する。
【0064】
制御ユニット(7)は、ラドン検出器(R)から、閉鎖空間におけるラドンガス濃度の情報を受け取るよう構成される。制御ユニット(7)は比較器(70)を備え、ラドン検出器(R)によって検出されたラドンガス濃度を、比較器(70)に記憶された閾値と比較する。
【0065】
制御ユニット(7)は、ラドン検出器(R)によって検出されたラドンガス濃度に従って作動される、ファン(V1、V2)に接続される。
【0066】
制御ユニット(7)は、ラドン濃度が閾値よりも高いときに、ファン(V1、V2)を同時に起動させて動かすよう構成される。
【0067】
より正確には、ラドン検出器(R)が閾値よりも高いラドンガス濃度を閉鎖空間で検出したときに、制御ユニット(7)は、空気を内部から抽出するために第2のファン(V2)を起動させ、空気を閉鎖空間に導入するために第1のファン(V1)を起動させるよう、構成される。
【0068】
反対に、ラドン検出器(R)が閾値以下のラドンガス濃度を閉鎖空間で検出したときに、制御ユニット(7)は、ファン(V1、V2)を停止される。
【0069】
制御ユニット(7)は、当初のラドンガス濃度を減少させるためにもたらされる、入ってくる/出てゆく空気フローに従って、ファン(V1、V2)を様々な回転速度で起動させるように構成される。任意の場合において、制御ユニット(7)は、第1のファン(V1)が、第2のファン(V2)よりも高い回転速度で起動させるよう構成される。上記を考慮すると、第1のファン(V1)によって外部から内部へ提供される空気フロー(Fi)は、第2のファン(V2)によって内部から外部へ提供される空気フロー(Fi)よりも高い。
【0070】
制御ユニット(7)は、閉鎖空間における圧力を上昇させるよう、第1のファン(V1)の速度を調整するように構成される。
【0071】
閉鎖空間から空気フローを抽出するよりも多く、閉鎖空間に空気フローを導入することは、閉鎖空間の圧力増加を促し、それは地面からのラドンガスの上昇(所謂煙突効果)を制限して、閉鎖空間におけるラドンガスの蓄積を防止する。
【0072】
有利には、デバイス(100)は、圧力センサ(P)を備える。圧力センサ(P)は、閉鎖空間における空気の圧力値の情報を制御ユニット(7)に送るよう、制御ユニット(7)に接続される。
【0073】
任意選択で、デバイス(100)は、例えば湿度センサ、温度センサ、ならびに/またはPM10及びPM2.5粒子センサ(図示せず)など、他のセンサを備える。
【0074】
ラドン検出器(R)が、制御ユニット(7)の比較器(70)に記憶された閾値よりも高いラドンガス濃度を検出したとき、以下の処置が同時に実行される:
-第1のファン(V1)が起動され、外部から内部への空気フロー(Fi)を生成する。
-第1のファン(V1)は、第2の管における出口の開口部(22)に対応して、空気を抽出する。
-後フランジ(5)の提供により、空気フロー(Fi)は、熱交換器(3)における形材(30)の外部分に流れ込み、形材(30)を加熱する。
-空気フロー(Fi)は、前フランジ(4)の連通導管(45)を介して第1のモジュールの軸方向導管(D1)に流れ込み、コンベア(6)によってフィルタ(Z)に向けて搬送される。
-第1のファン(V1)は、第1のモジュールにおける出口(10)の前壁を介して、空気フロー(Fi)を閉鎖空間に導入する。
-第2のファン(V2)が起動され、Fo<Fiで、内部から外部への空気フロー(Fo)を生成する。
-第2のファン(V2)は、第1のモジュールにおける出口の開口部(12)に対応して、空気を抽出する。
-前フランジ(4)の提供により、空気フロー(Fo)は、熱交換器(3)における形材(30)の第1の導管(31)に流れ込み、熱を解放する。
-空気フロー(Fo)は、後フランジの連通導管(55)を介して、第1のモジュールの内側管(16)と、第2のモジュールの内側管(26)との間の空隙(G2)に搬送され、第2のファン(V2)に向けて、第2のモジュールにおける内側管の第2の軸方向導管(D2)に搬送される。
-第2のファン(V2)は、第2のモジュールにおける出口のシャンク部(25)を介して、外部へ空気フロー(Fo)を解放する。
【0075】
2つの空気フロー(Fo及びFi)は、ファン(V1、V2)の動作中に決して交わらない。
【0076】
ラドン検出器(R)が、制御ユニット(7)の比較器(70)に記憶された閾値以下のラドンガス濃度を検出したとき、制御ユニット(7)はファン(V1、V2)をオフにする。
【0077】
外部から内部への空気の導入中、ファン(V1)の速度は、内部の圧力を増加させるよう調整される。実際、高い圧力値はラドンガスの形成を妨げる。
【0078】
デバイス(100)は、先行技術のデバイスよりも小型である。なぜならそれは、2つの別個のモジュールの代わりに、一方を他方の内部に同軸に配設された2つのモジュール(1、2)を備えるからである。それによって先行技術よりも設置を簡略化する。本デバイスの革新的な態様は、閉鎖空間の衛生を向上させ、かつ、粒子と人の健康に有害なラドン粒子との間のクラスタを防ぐ、粒子フィルタ(Z)の提供によって提示される。
図1
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図7A
図7B
図8