(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】左心耳閉鎖のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/12 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
A61B17/12
(21)【出願番号】P 2022139882
(22)【出願日】2022-09-02
(62)【分割の表示】P 2018545199の分割
【原出願日】2017-02-24
【審査請求日】2022-09-02
(32)【優先日】2016-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516209360
【氏名又は名称】アトリキュア, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ロバート エル. クラーク ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】アラン エル. ブラッドリー
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー ダブリュー. フン
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-523764(JP,A)
【文献】国際公開第2014/164028(WO,A1)
【文献】特開2013-085859(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0119884(US,A1)
【文献】特開2015-195838(JP,A)
【文献】特開2006-212240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00 - 17/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的組織を閉じるための装置であって、
細長い本体であって、前記細長い本体は、前記細長い本体を通る管腔を備え、前記細長い本体は、遠位端部において先端部を備え、前記先端部は、第1の先端管腔と側部開口部とを備え、前記第1の先端管腔は、前記細長い本体の前記管腔
と連通しており、前記側部開口部は、前記先端部の側壁に沿って延在する、細長い本体と、
スネアと前記スネアに解放可能に結合されている縫合糸ループとを備えるスネアループアセンブリであって、前記スネアループアセンブリは、前記先端部から延在し、前記スネアは、移動可能な近位端部と、前記細長い本体に解放可能に結合されている遠位端部とを備え、前記スネアの前記移動可能な近位端部は、前記第1の先端管腔から延在し、前記スネアの前記遠位端部は、前記側部開口部から延在する、スネアループアセンブリと、
前記遠位端部が解放された後、前記スネアの前記遠位端部を前記細長い本体の前記管腔内に引き込むように構成されているハンドルであって、前記ハンドルは、軌道部とスネア制御部とロックとを備え、前記スネア制御部は、前記軌道部に結合されており、前記ロックは、エンドプレートとロック係合部分とを有し、前記軌道部は、第1の部分と第2の部分とを備え、前記ロックは、前記エンドプレートが前記軌道部内に位置付けられている場合に、前記軌道部の前記第2の部分に沿った前記スネア制御部の移動を制限するように構成されており、前記ロックは、前記ロック係合部分を係合解除することにより
、前記軌道部から除去されるように構成され
ており、前記ロックが前記軌道部から除去されることにより、前記軌道部の前記第2の部分に沿った前記スネア制御部の移動を可能にする
、ハンドルと
を備える、装置。
【請求項2】
前記先端部は、第2の先端管腔を備え、前記第2の先端管腔は、前記細長い本体の前記管腔
と連通しており、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記縫合糸ループは、縫合糸結び目を備え、前記縫合糸結び目は、前記第2の先端管腔を通して延在する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記装置は、前記先端部において、前記スネアの前記遠位端部に結合されているシャトルをさらに備え、前記シャトルは、前記スネアの前記遠位端部を前記細長い本体に解放可能に結合する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記シャトルが前記細長い本体に結合されている場合に、前記スネアの前記遠位端部は、前記側部開口部内に位置付けられている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記シャトルは、展開構成において、前記スネアの前記遠位端部を前記細長い本体に固定的に結合する、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記シャトルは、前記展開構成において、前記細長い本体の側壁に結合されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記シャトルは、前記細長い本体の前記管腔の直径よりも小さい最大寸法を有する、請求項4に記載の装置。
【請求項9】
前記スネアの遠位端部が前記細長い本体に結合されている場合に、前記スネアの
遠位部分は、前記側部開口部内に位置付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記ハンドルは、解放アセンブリをさらに備え、前記解放アセンブリは、前記スネアの前記遠位端部を前記細長い本体から解放することと、前記ロックを解放することを行うように構成されており、前記ロックを解放することにより、前記ロックが前記軌道部から除去されることを可能にし、これにより、前記軌道部の前記第2の部分に沿った前記スネア制御部の移動を可能にする、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2016年2月26日に出願された、「DEVICES AND METHODS FOR LEFT ATRIAL APPENDAGE CLOSURE」と題された、米国仮出願第62/300,608号に対する優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書で開示される技術革新は、概して、外科的、低侵襲的、または血管内のアプローチを使用して、左心耳等の組織を結紮するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
心房細動は、何百万人もの患者を苦しめるよく起こる問題である。心房細動は、左心耳内に血栓または凝固物の形成をもたらすことが多い。これは、血栓が遠隔臓器に動いて塞栓し、これが脳卒中等の有害事象を引き起こす可能性があるため、問題になる。この理由から、心房細動を有する大部分の患者は、血栓の形成を防止するのを助けるために、1つ以上の抗凝血剤で治療される。しかし、抗凝血剤は、特に高齢者には、自身の健康リスクをもたらす可能性がある。出血等のこうしたリスクは、ユーザに大きな生活習慣の変更を余儀なくさせることが多い。
【0004】
左心耳内の血栓形成の潜在的な問題に対処するために、いくつかの方法が開発されている。そのような方法の1つは、左心耳が心房に接合する根元または入口部の首に沿って左心耳を縫合することを含む。このようにして、心耳への血流が遮断され、そこに血栓が形成されるリスクが排除される。他の方法も検討されている。これらの方法は、心耳の根元をステープル留めすることと、心耳に空間占有部材または閉塞部材を充填することと、を含む。心耳の脆弱性及びその破裂傾向を考慮すると、ステープル留めは好ましくないが、閉塞装置は、心耳への全ての血流を効果的に防止することはできない。
【0005】
これらの処置の大部分は、典型的には、開胸手術を介して行われるが、一部は、最小侵襲的技法を使用して行われる場合もある。開胸手術は、特にリスクが高い人、または開胸処置を別様に受けている人に対して、これらの処置の利用可能性を制限する可能性がある。さらに、開胸手術は、全身麻酔を必要とし、よく知られているいくつかのリスクがあるため、一部の人にとってはより望ましくないものとなっている場合がある。したがって、胸を開く必要性を回避するために、最小侵襲的、血管内、またはこれらの技法の組み合わせを使用して左心耳を閉じるための追加の装置及び方法が望ましいだろう。
【0006】
しかし、時には、左心耳の閉鎖は、他の心臓処置中に同時に行われる処置であり、開胸処置中に閉鎖を行うことは、低侵襲的処置と比較して利益を提供し得る。例えば、開胸処置中に閉鎖を行うと、機器が心臓にアクセスしやすくなり、こうした機器のより良い制御または操作が可能になり得る。さらに、開胸アプローチを使用することにより、処置中の心臓及び周囲組織のより良好な視野が提供され得る。よって、特に、こうした装置が標準的な装置を超える付加的な利点を提供する場合、開胸外科的処置において使用するための追加の装置が望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
左心耳を閉じるための装置、システム、及び方法を本明細書に記載する。概して、標的組織を閉じるための本明細書に記載される装置は、細長い本体であって、細長い本体を通る管腔を備える細長い本体を備える。スネアループアセンブリが提供される場合があり、スネア及びスネアに解放可能に連結された縫合糸ループを備え得る。スネアループアセンブリは、細長い本体から少なくとも部分的に延在し得る。シャトルは、スネアの遠位部分に接続され得、かつ細長い本体に解放可能に連結され得る。シャトルは、管腔内に収まる構成を備え得る。
【0008】
いくつかの変形例では、細長い本体は、細長い本体の側壁に略L字形凹部を備え得る。スネアの遠位部分は、シャトルが細長い本体に連結されたときに凹部内に位置付けられ得る。
【0009】
いくつかの例では、装置は、シャトルを細長い本体に解放可能に連結するように構成されたロックワイヤを備え得る。シャトルは、スネア管腔を備え得、スネア管腔の近位部分は、オフセットされた長円形部を備え得る。
【0010】
いくつかの変形例では、細長い本体の遠位部分は、角面取り部を備え得る。先端部は、細長い本体の遠位部分に連結され得る。先端部は、先端管腔を備えてもよく、先端部の近位部分は、先端面取り部を備え得る。先端面取り部は、30度であり、先端管腔からオフセットされ得る。
【0011】
装置は、追加機能を含んでもよい。細長い本体は、シャトル凹部を備え得、シャトルは、シャトルが細長い本体に連結されたときにシャトル凹部内に配設され得る。いくつかの変形例では、装置は、シャトルが細長い本体に固定して連結される第1の構成と、シャトルが管腔内に位置付けられる第2の構成と、を備え得る。いくつかの例では、シャトルは、管腔の直径よりも小さい最大寸法を有し得る。細長い本体の管腔の直径は、約1.60mm以下であり得る。
【0012】
いくつかの例では、本明細書に記載される装置は、細長い本体、スネアループアセンブリ、シャトル、及びハンドルを備え得る。スネアループアセンブリは、スネア及びスネアに解放可能に連結された縫合糸ループを備え得る。スネアループアセンブリは、細長い本体から少なくとも部分的に延在し得る。シャトルは、細長い本体に解放可能に連結され得、かつスネアの遠位部分に接続され得る。ハンドルは、細長い本体に取り付けられ得る。ハンドルは、軌道部と、軌道部に連結されたスネア制御部と、ハンドル内に収容された解放アセンブリと、を備え得る。スネア制御部は、軌道部の近位部分に沿ったスネア制御部の動きを制限するように構成されたリミッタを備え得、解放アセンブリは、細長い本体からシャトルを解放し、かつリミッタを係脱して軌道部の近位部分に沿ったスネア制御部の動きを可能にするように構成され得る。
【0013】
いくつかの変形例では、装置は、縫合糸ループを締め付けるための縫合糸制御部を備え得る。縫合糸制御部は、ハンドルの開口部を介して解放アセンブリに係合し、かつ解放アセンブリからリミッタを係脱するように構成された近位部分を備え得る。解放アセンブリは、縫合糸制御部の解放アセンブリへの係合後に解放アセンブリの動きを制限するように構成された可撓性ラッチを備え得る。リミッタは、軌道部の長さに沿って延在し得、かつ/またはロックワイヤは、シャトルを細長い本体に解放可能に連結するように構成され得る。
【0014】
いくつかの変形例では、本明細書に記載される装置は、細長い本体と、スネアループアセンブリと、シャトルと、軌道部に沿ったスネア制御部の動きを制限するように構成されたロックを備えるハンドルと、を備え得る。スネアループアセンブリは、スネアと、スネアに解放可能に連結された縫合糸ループと、を備え得、スネアループアセンブリは、細長い本体から少なくとも部分的に延在し得る。シャトルは、細長い本体に解放可能に連結され得、かつスネアの遠位部分に接続され得る。ハンドルは、細長い本体に取り付けられ得、かつ軌道部と、軌道部に連結されたスネア制御部と、細長い本体からシャトルを解放し、かつ軌道部に沿ったスネア制御部の動きを可能にするように構成された解放アセンブリと、をさらに備え得る。
【0015】
これらの変形例のうちのいくつかでは、装置は、縫合糸ループを締め付けるように構成された縫合糸制御部をさらに備え得る。縫合糸制御部は、ハンドルの開口部を介して解放アセンブリに係合し、かつ解放アセンブリからロックを係脱するように構成された近位部分を備え得る。いくつかの変形例では、ロックは、軌道部の長さに沿って延在しているストッパを備え得る。ロックは、開口部を備えるロック係合部分をさらに備え得、開口部は、解放アセンブリに解放可能に連結され得る。いくつかの変形例では、解放係合部分は、ストッパの底面から延在している場合がある。解放アセンブリは、解放係合部分を備え得、ロック係合部分は、解放係合部分に解放可能に連結され得る。いくつかの変形例では、解放係合部分は、基部と、突起と、を備え得、突起は、ロック係合部分及び解放係合部分を解放可能に連結するようにロックの開口部内に収まるように構成され得る。いくつかの例では、ロックは、エンドプレートをさらに備え得る。さらに、いくつかの変形例では、装置は、シャトルを細長い本体に解放可能に連結するように構成されたロックワイヤを備え得る。
【0016】
標的組織を閉じる方法も本明細書に記載する。一般に、本方法は、標的組織に向かって装置を前進させることを含み得る。装置は、細長い本体と、スネア及び縫合糸ループを備えるスネアループアセンブリと、スネアに接続され、かつ細長い本体に解放可能に連結されたシャトルと、を備え得る。スネアループアセンブリは、標的組織の周りで閉じられ得る。縫合糸ループは、スネアループアセンブリから解放され得る。シャトルは、細長い本体から解放され得る。シャトルは、細長い本体の管腔内に引き込まれ得る。縫合糸ループは、標的組織の周りに締め付けられ得る。方法はまた、装置を体から引き抜くことを含み得る。
【0017】
1つの変形例では、縫合糸ループの締め付け前に、シャトルの引き込みを行ってもよい。いくつかの例では、本方法は、閉じたスネアループアセンブリを開くことをさらに含み得る。縫合糸ループの締め付けは、シャトルを細長い本体から解放する前に行われてもよい。縫合糸ループの締め付けは、閉じたスネアループアセンブリを開いた後に行われてもよい。いくつかの変形例では、閉じたスネアループアセンブリを開くことは、スネアの遠位端部分を細長い本体から離れて自由に曲げることをさらに含み得る。いくつかの変形例では、最大シャトル直径は、細長い本体の管腔の直径より小さい場合がある。いくつかの例では、装置は、細長い本体に取り付けられたハンドルをさらに備え得、ハンドルは、軌道部と、軌道部に連結されたスネア制御部と、軌道部に沿ったスネア制御部の動きを制限するように構成されたロックと、を備え得る。ハンドルは、細長い本体からシャトルを解放し、かつ軌道部に沿ったスネア制御部の動きを可能にするように構成された解放アセンブリをさらに備え得る。これらの例のうちのいくつかでは、軌道部は、第1の部分と、第2の部分と、を含み得、ロックは、軌道部の第2の部分に沿ったスネア制御部の動きを制限し得る。
【0018】
これらの方法は、追加の変形例を含み得る。いくつかの変形例では、縫合糸ループは、縫合糸制御部を介して締め付けられ得る。これらの変形例のうちのいくつかでは、装置は、細長い本体に連結されたハンドルをさらに備え得、シャトルを引き込むことは、縫合糸制御部の一部分をハンドルの開口部を通して挿入すること、解放アセンブリを縫合糸制御部の挿入部分に係合すること、及び解放アセンブリからロックを係脱すること、をさらに含み得る。これらの変形例のうちのいくつかでは、ハンドルは、スネア制御部と、第1の部分及び第2の部分を有する軌道部と、を備え得、シャトルを引き込むことは、軌道部の第2の部分からロックを取り外すこと、及び軌道部の第2の部分に沿ってスネア制御部を動かすこと、をさらに含み得る。
【0019】
本方法のさらなる変形例では、スネア制御部は、軌道部に沿ったスネア制御部の動きを制限するように構成されたリミッタを備え得る。解放アセンブリは、シャトルを細長い本体から解放し、かつ軌道部に沿ったスネア制御部の動きを可能にするように構成され得る。軌道部は、第1の部分及び第2の部分を備え得、リミッタは、軌道部の第2の部分に沿ったスネア制御部の動きを制限するように構成されたロックであり得る。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
標的組織を閉じるための装置であって、
細長い本体であって、前記細長い本体を通る管腔を備える細長い本体と、
スネア及び前記スネアに解放可能に連結された縫合糸ループを備えるスネアループアセンブリであって、前記細長い本体から少なくとも部分的に延在している、スネアループアセンブリと、
前記スネアの遠位部分に接続され、かつ前記細長い本体に解放可能に連結されたシャトルであって、前記管腔内に収まる構成を備える、シャトルと、を備える、装置。
(項目2)
前記細長い本体が、前記細長い本体の側壁に略L字形凹部を備える、項目1に記載の装置。
(項目3)
前記スネアの前記遠位部分が、前記シャトルが前記細長い本体に連結されたときに前記凹部内に位置付けられる、項目2に記載の装置。
(項目4)
前記シャトルを前記細長い本体に解放可能に連結するように構成されたロックワイヤをさらに備える、項目1に記載の装置。
(項目5)
前記シャトルが、スネア管腔を備え、前記スネア管腔の近位部分が、オフセットされた長円形部を備える、項目4に記載の装置。
(項目6)
前記細長い本体の遠位部分が、角面取り部を備える、項目1に記載の装置。
(項目7)
前記細長い本体の前記遠位部分に連結された先端部をさらに備え、前記先端部が、先端管腔を備え、前記先端部の近位部が、先端面取り部を備える、項目6に記載の装置。
(項目8)
前記先端面取り部が、30度であり、かつ前記先端管腔からオフセットされている、項目7に記載の装置。
(項目9)
前記細長い本体が、シャトル凹部を備え、前記シャトルが、前記シャトルが前記細長い本体に連結されたときに前記シャトル凹部内に配設される、項目1に記載の装置。
(項目10)
前記細長い本体の前記管腔の直径が、約1.60mm以下である、項目1に記載の装置。
(項目11)
前記装置が、前記シャトルが前記細長い本体に固定的に連結される第1の構成と、前記シャトルが前記管腔内に位置付けられる第2の構成と、を備える、項目1に記載の装置。
(項目12)
前記シャトルが、前記管腔の直径よりも小さい最大寸法を有する、項目1に記載の装置。
(項目13)
標的組織を閉じるための装置であって、
細長い本体と、
スネア及び前記スネアに解放可能に連結された縫合糸ループを備えるスネアループアセンブリであって、前記細長い本体から少なくとも部分的に延在している、スネアループアセンブリと、
前記細長い本体に解放可能に連結されたシャトルであって、前記スネアの遠位部分に接続されている、シャトルと、
前記細長い本体に取り付けられたハンドルであって、前記ハンドルが、軌道部、前記軌道部に連結されたスネア制御部、及び前記ハンドル内に収容された解放アセンブリを備え、前記スネア制御部が、前記軌道部の近位部分に沿った前記スネア制御部の動きを制限するように構成されたリミッタを備え、前記解放アセンブリが、前記細長い本体から前記シャトルを解放し、かつ前記近位部分前記軌道部に沿った前記スネア制御部の動きを可能にするように前記リミッタを係脱するように構成されている、ハンドルと、を備える、装置。
(項目14)
前記縫合糸ループを締め付けるための縫合糸制御部をさらに備える、項目13に記載の装置。
(項目15)
前記縫合糸制御部が、前記ハンドルの開口部を介して前記解放アセンブリに係合し、かつ前記解放アセンブリから前記リミッタを係脱するように構成された近位部分を備える、項目14に記載の装置。
(項目16)
前記解放アセンブリが、前記解放アセンブリへの前記縫合糸制御部の係合後に前記解放アセンブリの動きを制限するように構成された可撓性ラッチを備える、項目14に記載の装置。
(項目17)
前記リミッタが、前記軌道部の長さに沿って延在している、項目13に記載の装置。
(項目18)
前記シャトルを前記細長い本体に解放可能に連結するように構成されたロックワイヤをさらに備える、項目13に記載の装置。
(項目19)
標的組織を閉じる方法であって、
前記標的組織に向かって装置を前進させることであって、前記装置が、細長い本体、スネア及び縫合糸ループを備えるスネアループアセンブリ、ならびに前記スネアに接続され、かつ前記細長い本体に解放可能に連結されたシャトルを備える、前進させることと、
前記標的組織の周りで前記スネアループアセンブリを閉じることと、
前記スネアループアセンブリから前記縫合糸ループを解放することと、
前記シャトルを前記細長い本体から解放することと、
前記シャトルを前記細長い本体の管腔内に引き込むことと、
前記標的組織の周りで前記縫合糸ループを締め付けることと、を含む、方法。
(項目20)
前記シャトルを引き込むことが、前記縫合糸ループの締め付け前に行われる、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記閉じたスネアループアセンブリを開くことをさらに含む、項目19に記載の方法。
(項目22)
前記縫合糸ループを締め付けることが、前記シャトルを前記細長い本体から解放する前に行われる、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記縫合糸ループを締め付けることが、前記閉じたスネアループアセンブリを開いた後に行われる、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記閉じたスネアループアセンブリを開くことが、前記スネアの前記遠位端部分を前記細長い本体から離れて自由に曲げることをさらに含む、項目21に記載の方法。
(項目25)
最大シャトル直径が、前記細長い本体の前記管腔の直径よりも小さい、項目19に記載の方法。
(項目26)
前記縫合糸ループが、縫合糸制御部を介して締め付けられる、項目19に記載の方法。
(項目27)
前記装置が、前記細長い本体に連結されたハンドルをさらに備え、前記シャトルを引き込むことが、前記縫合糸制御部の一部分を前記ハンドルの開口部を通して挿入すること、解放アセンブリを前記縫合糸制御部の前記挿入部分に係合させること、及び前記解放アセンブリからロックを係脱すること、を含む、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記ハンドルが、スネア制御部と、第1の部分及び第2の部分を有する軌道部と、を備え、前記シャトルを引き込むことが、前記軌道部の第2の部分から前記ロックを取り外すこと、及び前記スネア制御部を前記軌道部の前記第2の部分に沿って動かすこと、をさらに含む、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記装置が、前記細長い本体に取り付けられたハンドルをさらに備え、前記ハンドルが、軌道部と、前記軌道部に連結されたスネア制御部と、前記スネア制御部の前記軌道部に沿った動きを制限するように構成されたロックと、を備え、前記ハンドルが、前記細長い本体から前記シャトルを解放し、かつ前記軌道部に沿った前記スネア制御部の動きを可能にするように構成された解放アセンブリをさらに備える、項目19に記載の方法。
(項目30)
前記軌道部が、第1の部分及び第2の部分を備え、前記ロックが、前記軌道部の前記第2の部分に沿った前記スネア制御部の動きを制限する、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記装置を体から引き抜くことをさらに含む、項目19に記載の方法。
(項目32)
標的組織を閉じるための装置であって、
細長い本体と、
スネア及び前記スネアに解放可能に連結された縫合糸ループを備えるスネアループアセンブリであって、前記細長い本体から少なくとも部分的に延在している、スネアループアセンブリと、
前記細長い本体に解放可能に連結されたシャトルであって、前記スネアの遠位部分に接続されている、シャトルと、
前記細長い本体に取り付けられたハンドルであって、前記ハンドルが、軌道部及び前記軌道部に連結されたスネア制御部を備え、前記ハンドルが、前記スネア制御部の前記軌道部に沿った動きを制限するように構成されたロック、及び前記シャトルを前記細長い本体から解放し、かつ前記軌道部に沿った前記スネア制御部の動きを可能にするように構成された解放アセンブリをさらに備える、ハンドルと、を備える、装置。
(項目33)
前記縫合糸ループを締め付けるように構成された縫合糸制御部をさらに備える、項目32に記載の装置。
(項目34)
前記縫合糸制御部が、前記ハンドルの開口部を介して前記解放アセンブリに係合し、かつ前記解放アセンブリから前記ロックを係脱するように構成された近位部分を備える、項目33に記載の装置。
(項目35)
前記ロックが、前記軌道部の長さに沿って延在しているストッパを備える、項目32に記載の装置。
(項目36)
前記ロックが、開口部を備えるロック係合部分をさらに備え、前記開口部が、前記解放アセンブリに解放可能に連結される、項目35に記載の装置。
(項目37)
前記解放係合部分が、前記ストッパの底面から延在している、項目36に記載の装置。
(項目38)
前記解放アセンブリが、解放係合部分を備え、前記ロック係合部分が、前記解放係合部分に解放可能に連結される、項目36に記載の装置。
(項目39)
前記解放係合部が、基部と、突起と、を備え、前記突起が、前記ロック係合部分及び前記解放係合部分を解放可能に連結するように前記ロックの前記開口部内に収まるように構成されている、項目38に記載の装置。
(項目40)
前記ロックが、エンドプレートをさらに備える、項目36に記載の装置。
(項目41)
前記シャトルを前記細長い本体に解放可能に連結するように構成されたロックワイヤをさらに備える、項目32に記載の装置。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】種々の解剖学的構造を示す心臓の断面図を提供する。
【
図2】左心耳を閉じるために使用され得る例示的な閉鎖装置の斜視図である。
【
図3A】スネアループアセンブリを有する閉鎖装置の例示的な変形例の遠位端部の図である。
【
図5A】引き込み可能なスネアを有する閉鎖装置の変形例の斜視図である。
【
図5B】引き込み可能なスネアを有する閉鎖装置の変形例の斜視図である。
【
図6A】閉鎖装置の細長い本体及び先端部の変形例の側面図である。
【
図7】
図7A及び7Bは、閉鎖装置の細長い本体及び先端部の変形例の断面図である。
【
図8】閉鎖装置の先端部の近位端部の斜視図である。
【
図9】
図9A及び9Bは、引き込み可能なスネアのためのシャトルの変形例の斜視図である。
【
図10】閉鎖装置の先端部の管腔内のシャトルの変形例の断面図である。
【
図11A】本明細書に記載される閉鎖装置と共に使用するためのハンドルアセンブリの例示的な変形例の斜視図である。
【
図11B】本明細書に記載される閉鎖装置と共に使用するためのハンドルアセンブリの例示的な変形例の斜視図である。
【
図11D】本明細書に記載される閉鎖装置と共に使用するためのハンドルアセンブリの例示的な変形例の斜視図である。
【
図11E】本明細書に記載される閉鎖装置と共に使用するためのハンドルアセンブリの例示的な変形例の斜視図である。
【
図12】ハンドルアセンブリと共に使用するための縫合糸制御部の斜視図を示す。
【
図13A】閉鎖装置のハンドルアセンブリの変形例の断面斜視図である。
【
図13B】閉鎖装置のハンドルアセンブリの変形例の断面斜視図である。
【
図14A】閉鎖装置のハンドルアセンブリの別の変形例の断面斜視図である。
【
図14C】閉鎖装置のハンドルアセンブリの別の変形例の断面斜視図である。
【
図15A】閉鎖装置のハンドルアセンブリのさらに別の変形例の断面斜視図である。
【
図16A】組織閉鎖プロセスの1つの変形例についてのフローチャートである。
【
図16B】
図16Aに対応するスネアループアセンブリ及びハンドルアセンブリの斜視図である。
【
図16C】
図16Aに対応するスネアループアセンブリ及びハンドルアセンブリの斜視図である。
【
図16D】
図16Aに対応するスネアループアセンブリ及びハンドルアセンブリの斜視図である。
【
図16E】
図16Aに対応するスネアループアセンブリ及びハンドルアセンブリの斜視図である。
【
図16F】
図16Aに対応するスネアループアセンブリ及びハンドルアセンブリの斜視図である。
【
図16G】
図16Aに対応するスネアループアセンブリ及びハンドルアセンブリの斜視図である。
【
図17A】組織閉鎖プロセスの別の変形例についてのフローチャートである。
【
図17B】
図17Aに対応するスネアループアセンブリ及びハンドルアセンブリの斜視図である。
【
図17C】
図17Aに対応するスネアループアセンブリ及びハンドルアセンブリの斜視図である。
【
図17D】
図17Aに対応するスネアループアセンブリ及びハンドルアセンブリの斜視図である。
【
図17E】
図17Aに対応するスネアループアセンブリ及びハンドルアセンブリの斜視図である。
【
図17F】
図17Aに対応するスネアループアセンブリ及びハンドルアセンブリの斜視図である。
【
図17G】
図17Aに対応するスネアループアセンブリ及びハンドルアセンブリの斜視図である。
【
図18】部分的に引き込み可能なシャトルを有する閉鎖装置の変形例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
組織、例えば、左心耳を閉じるための装置、システム、及び方法を本明細書に記載する。心臓が関連する解剖学的構造である場合、関連する心臓解剖学的構造を簡単に特定及び記載することが有用であり得る。
図1は、心臓(100)の断面図である。左心房(102)及び左心室(104)を示す。左心房(102)と左心室(104)との間には、一対の僧帽弁弁尖(106)によって画定される僧帽弁(二尖弁としても知られている)がある。弁尖は、乳頭筋(110)に連結された腱索(108)に連結されている。乳頭筋は、心室壁(112)に接合する。左心耳(114)は、左心房(102)の壁に隣接して示され、かつ左心房(102)の壁から形成される。
【0022】
見て分かるように、左心耳(114)は、心膜(116)の境界内に位置し、心室壁(112)に非常に近接している。左心耳は、典型的には、円錐に近似する管状形状を有し、左心房(102)に接合するオリフィスの平面内にわずかな狭小または首を有する。心房細動の患者では、左心耳(114)は、血栓症形成の最も一般的な場所であり、時には、それが脱落して致死的な脳卒中を引き起こす可能性がある。脳卒中は心房細動の主な合併症であるため、心房細動の治療を受ける患者では左心耳が左心房から除外されることが多く、将来の脳卒中のリスクを低減するために、僧帽弁手術等の他の外科的処置の際に除去または除外されることが多い。本明細書に記載される装置及びシステムは、解剖学的小孔の平面に沿った左心耳の首または基部における左心耳の適切な閉鎖を確実にするのに役立つ。このようにして、全身循環からの左心耳全体の除外を促進し得る。
【0023】
I.装置
閉鎖装置及びこれら閉鎖装置を使用して組織を閉じるための方法を本明細書に記載する。一般に、閉鎖装置は、細長い本体と、組織を捕捉及び保持するために細長い本体から少なくとも部分的に延在し得るスネアループアセンブリと、を備える。スネアループアセンブリは、典型的には、スネア等の閉鎖要素と、スネアに解放可能に連結された縫合糸ループと、を備える。スネアループアセンブリは、組織を一時的もしくは永久的に閉じ、結紮するか、または別様に締め付けるために組織の周りに閉じられ得、縫合糸ループは、締め付けられ、かつスネアから解放されて、閉じた構成で組織を保持し得るか、または別様に維持し得る。縫合糸ループが締め付けられる前または後のいずれかに、スネアループアセンブリは、細長い本体内に引き込まれて、閉じ込められた本体空間からの閉鎖装置の取り外しを促進し得る。閉鎖装置は、スネアループアセンブリの時期尚早な引き込みを防止する1つ以上の機構を含み得る。
【0024】
図2は、左心耳を閉鎖するために使用され得る閉鎖装置(200)の1つの例示的な変形例を図示する。スネアループアセンブリ(202)、細長い本体(204)、及びハンドル(206)を示す。上述したように、ハンドル(206)は、閉じた構成と、開いた展開構成と、引き込み構成との間でスネアループアセンブリ(202)を動かすために、細長い本体(204)を介してスネアループアセンブリ(202)を制御及び作動させるために使用され得る。開いた構成にあるとき、スネアループアセンブリ(202)及び細長い本体(204)は、(例えば、スネアループアセンブリ(202)及び細長い本体(204)がループ(208)内に配置された組織を完全に取り囲み得るように)連続的なループ(208)を形成し得る。開いた構成から閉じた構成に動かされたとき、スネアループアセンブリ(202)の一部または全部が細長い本体(204)内に引っ込められるにつれて、ループ(208)のサイズが低減され得る。最後に、引き込み位置において、ループ(208)(例えば、スネア及び保持部材)は、細長い本体(204)内に完全に提供され得る。代替的に、引き込み位置において、ループ(208)の実質的な部分は、ループ(208)の小部分が細長い本体(204)の外側に留まるように、細長い本体内に提供され得る。
【0025】
本明細書に記載される閉鎖装置は、最小侵襲的(例えば、胸郭の上、下、または通した小切開を通して、肋軟骨または剣状突起内の切開を通して、ポートを介して、血管系を介して等)かつ外科的(例えば、胸骨正中切開術、ミニ胸骨切開術、開胸術、胸腔鏡検査等)アプローチを使用して、左心耳に前進するのに好適であり得る。
【0026】
図3Aは、スネアループアセンブリ(302)及び先端部(306)を有する細長い本体(304)を備える閉鎖装置(300)の例示的変形例の遠位区分を示す。
図3Aに示すように、スネアループアセンブリ(302)は、スネア(308)、縫合糸ループ(310)、及び保持部材(312)を備え得、スネアループアセンブリ(302)の少なくとも一部分が細長い本体(304)から(例えば、先端部(306)を介して)延在するように、細長い本体(304)に対して配設され得る。スネアループアセンブリ(302)は、
図3Aに開いた構成で示されており、細長い本体(304)から延在しているスネアループアセンブリ(302)の一部分は、ループ(314)を通る穴部(316)を有するループ(314)を形成し得る。ループ(314)及び対応する穴部(316)は、スネアループアセンブリ(302)の1つ以上の構成要素(例えば、スネア)によって画定され得、かつ左心耳等の組織を包囲するのに適し得る。一般に、スネア(308)は、スネアループアセンブリ(302)を開閉するために使用され得る。いくつかの例では、保持部材(312)は、縫合糸ループ(310)及びスネア(308)を解放可能に連結するように構成され得、縫合糸ループ(310)への十分な力の適用時に、縫合糸ループ(310)をスネアループアセンブリ(302)から解放するように構成され得る。
【0027】
スネアループアセンブリは、スネアループの遠位部分が細長い本体の先端部から解放されることを可能にして、スネアループが先端部の管腔内に引き込まれることを可能にするシャトルをさらに備え得る。スネアループを先端部内に引き込むことにより、装置のプロファイルが減少し、本体からの装置の取り外しが改善される。例えば、スネアを細長い本体内に引き込むことにより、シャトルが先端部から解放された後に装置が体から除去されるときに、スネアが組織に引っかかる、かつ/または組織を損傷することが防止され得る。シャトルは、スネアループを先端部に解放可能に接続するように機能し得る。ユーザは、ハンドルを介したシャトルの解放を制御し得る。
図5Aは、先端部(503)、シャトル(516)、ならびに近位部分(512)及び遠位部分(514)を備える引き込み可能なスネアを備える細長い本体(502)を有する閉鎖装置(500)の斜視図である。シャトル(516)は、スネアの遠位部分(514)に接続され得、かつ細長い本体(502)の先端部(503)に解放可能に連結され得る。先端部(503)を備えるように図示されているが、細長い本体(502)は必要ではない。先端部を使用しない変形例では、シャトルは、細長い本体の側壁に(例えば、細長い本体の遠位部分または端部で)連結され得る。
【0028】
閉塞装置が心膜腔等の閉じ込められた本体空間を通して前進されると、これらの狭い空間内もしくは中を通るスネアループアセンブリの前進もしくは操作により、細長い本体から突出するスネアの端部等のスネアの一部分が、スネアの他の部分よりもかなりの程度まで曲がり、かつ湾曲する場合がある。スネアループを形成するために、スネアは、細長い本体の先端部を離れるときに曲がる場合がある。スネアの曲がりは、スネアの先端部に対する摩擦によって細長い本体に対してスネアに接続された構成要素内にずれまたは傾斜を誘発し得る。
【0029】
例えば、スネアに接続された従来のシャトルは、スネアの曲がりによって生成された力のために、先端部の凹部から上方にずれるか、または傾斜することがある。こうしてスネアの曲がり部分が先端部の側壁に接触する不均一な干渉が生成される。その結果、摩擦力は、先端部に対するシャトルの位置ずれを生じさせ得、装置の組み立て及び動作を困難にし得る。さらに、いくつかの例では、スネアループアセンブリを閉じ込められた空間内で曲げるか、または操作することにより、スネアと先端部との間に挟み込まれる可能性のある、組織からの望ましくない干渉が生じ得る。したがって、本明細書に記載される装置は、スネアが細長い本体に対してこすれるか、または当接することなく自由に湾曲することを可能にするように構成され得、干渉、位置ずれ及び組織挟み込みを低減することができる。
【0030】
さらに、従来のスネアループは、ループ内に配設された組織の周りからスネアループをより容易に取り外すことができるように、スネアループの遠位部分を先端部から取り外すことができるという点で解放可能であり得る。しかし、スネアループの遠位部分の解放後、組織を取り囲んでいたスネアの一部分及びシャトルは、細長い本体の外部に露出したままである。スネア及びシャトルのこの露出部分は、閉鎖装置が標的組織から離れて動かされるときに、解剖学的特徴部または縫合糸と相互作用し、かつこれら上で引っかかる場合がある。したがって、本明細書の下に記載される装置は、スネアの一部分またはシャトルが露出したままでないように、スネア及びシャトルが細長い本体内に完全に引き込むことを可能にするように構成され得る。他の変形例では、本明細書に記載される装置は、スネアループの略全体(例えば、処置中に露出したスネアループの大部分、露出したスネアループの2/3、露出したスネアループの5/6等)、よってスネアが、シャトル及びスネアの小部分が細長い本体の外側に残存するために、細長い本体内に引き込むことを可能にするように構成され得る。
【0031】
細長い本体及びスネアループアセンブリを有することに加えて、本明細書で記載される閉鎖装置は、典型的には、細長い本体及び/またはスネアループアセンブリの操作及び前進を制御するための1つ以上の機構を備える。例えば、ハンドルまたは他の制御機構(例えば、外科用マスタースレーブロボットシステム)を使用して、細長い本体を通してスネアループアセンブリを制御及び作動させ得る。ハンドルもしくは他の制御機構は、送達もしくは「閉じた」構成と、展開もしくは「開いた」構成との間で、及びその逆でスネアループアセンブリを変更し得る。さらに、ハンドルまたは他の制御機構は、スネアループアセンブリを引き込まれた構成へと動かすことができる。
【0032】
スネアループアセンブリを閉じた構成で配置することにより、スネアループアセンブリの標的位置への低プロファイル前進を可能にし得、かつ/またはスネアループアセンブリが標的組織の周りで閉じることを可能にし得る。反対に、スネアループアセンブリを開いた構成で配置することにより、スネアループアセンブリを1つ以上の標的組織の周りに配置することを可能にし得、かつ/またはスネアループアセンブリがスネアループアセンブリによって先に閉じられた1つ以上の標的組織を解放することを可能にし得る。したがって、本明細書に記載される装置は、スネアループアセンブリからの縫合糸ループの解放、ならびにスネアの解放及び引き込みを制御するハンドル及び/または1つ以上の他の制御機構をさらに含み得る。閉鎖装置は、シャトルの先端部からの解放前に、操作者がスネア及びシャトルを引き込むことを防止する機構をさらに含み得る。
【0033】
閉鎖装置は、下により詳細に記載されるように、1つ以上の追加の特徴を含み得る。いくつかの変形例では、面取り部は、細長い本体の遠位部分に追加され得、細長い本体の遠位部分は、先端部により覆われているか、または部分的に覆われており、狭い公差のために先端部に亀裂が生じるのを防止し得る。他の変形例では、先端部の高さを細長い本体に対して増加させて、先端部に対する応力を低減し、隙間を増大させ、かつ細長い本体が先端部内で歪むための余地を提供し得る。よって、閉鎖装置の製造可能性及び信頼性が改善される。これら及び他の特徴を、以下により詳細に記載しよう。本明細書に記載される閉鎖装置は、これらの特徴と、参照により記載及び/または組み込まれる他の特徴との任意の組み合わせを含み得ることは、評価されるべき点である。
【0034】
本明細書に記載される閉鎖装置は、「Tissue Ligation Devices and Methods Therefor」と題された、2014年3月3日に出願された、米国特許出願第14/195,797号に記載されているもの等の任意の好適な要素または要素の組み合わせを含み得、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される閉鎖装置の個々の構成要素を、以下により詳細に記載しよう。
【0035】
細長い本体
上に簡単に述べたように、本明細書に記載される閉鎖装置は、概して、細長い本体を備え得る。細長い本体は、細長い本体を介したスネアループアセンブリの制御を可能にしながら、スネアループアセンブリの遠位端部及びハンドルまたは作動機構を接続し得る。具体的には、スネアループアセンブリ構成要素のうちのいくつかの少なくとも一部分は、細長い本体内に収容され得、かつ細長い本体を介してハンドルに接続され得る。いくつかの変形例では、細長い本体の少なくとも一部分は、可撓性であり得、これが、細長い本体が体を通るのを促進するのを助け得る。
【0036】
細長い本体は、概して、その遠位端部に先端部を備え得る。いくつかの変形例では、細長い本体の先端部は、細長い本体とは別に形成され得、かつ装置の組み立て中に細長い本体に取り付けられ得る。例えば、いくつかの変形例では、先端部及び細長い本体は、滑り嵌め及び/または接着剤によって取り付けられ得る。他の変形例では、先端部分は、単一の装置として細長い本体と一体的に形成され得る。先端部分は、閉鎖装置のためのいくつかの有用な機能を果たし得る。いくつかの例では、先端部は、非外傷性であるように構成され得、これは、細長い本体の近位端部が体内で動かされたときに組織に損傷を与えるリスクを低減するよう作用し得る。他の例では、先端部は、下により詳細に記載するように、スネアの特定の部分が、細長い本体に対して他の部分を適所に保持しながら、細長い本体の管腔を通過することを可能にし得る。
【0037】
先端部は、細長い本体と同じ数の管腔を有し得るが、そうである必要はない。実際、いくつかの変形例では、先端部は、細長い本体の1つ以上の管腔を2つ以上の副管腔へと分割し得る。他の変形例では、先端部は、細長い本体の1つ以上の管腔のサイズまたは形状を変えてもよい。
【0038】
細長い本体は、異なる特性、例えば、異なる直径、断面形状、剛性、材料等を有する様々な区分または部分を備えることができ、閉鎖装置の運転可能性及び操縦可能性を高め得る。
【0039】
細長い本体は、任意の好適な長さを含んでもよく、細長い本体の長さは、行われる処置の種類に応じて変り得る。細長い本体は、任意の好適な材料、例えば、1つ以上のポリマー(例えば、ポリエーテルブロックアミド、ポリエチレン、シリコーン、ポリ塩化ビニル、ラテックス、ポリウレタン、PTFE、ナイロン等)から作製され得る。最小侵襲的処置の間、細長い本体は、装置が外科的処置において使用されるときよりも、標的組織に到達するために体を通ってさらなる距離を動かなければならない場合がある。よって、装置を最小侵襲的処置において使用するときには、より長い細長い本体を使用することが望ましく、装置を外科的処置において使用するときには、より短い細長い本体を使用することが望ましい場合がある。
【0040】
さらに、細長い本体は、例えば、円形、楕円形、D字形、三角形等の任意の好適な断面形状を含んでもよい。いくつかの実施形態では、細長い本体の断面形状は、その長さに沿って変り得る。いくつかの変形例では、細長い本体は、複数の部分を有するものとして記載され得、各部分は、特定の断面形状に対応している。例えば、細長い本体は、第1の断面形状(例えば、円形)を有する近位部分と、第2の断面形状(例えば、D字形)を有する遠位部分と、を備え得る。当然ながら、細長い本体は、任意の好適な数の部分、例えば、2つ、3つ、または4つの部分を備えることができ、各部分の長さは、他の部分と同じであるか、または異なるとしてもよい。
【0041】
細長い本体はまた、任意の好適な外径を備えてもよく、いくつかの例では、細長い本体の外径も、その長さに沿って変り得る。例えば、最小侵襲的処置の間に閉鎖装置が使用される例では、13フレンチ経皮チューブ内を通り得るように、細長い本体の外径を制限することが望ましい場合がある。
【0042】
細長い本体は、異なる直径または異なる断面形状を含む細長い本体の部分を接続する1つ以上の移行部をさらに備え得る。これらの移行部は、任意の好適な長さを有し得る。
【0043】
管腔
本明細書に記載される細長い本体は、任意の好適な数の管腔を有し得る。本明細書で使用される場合、「管腔」は、細長い本体もしくは閉鎖装置の他の部分の長さを通って、もしくは部分的に通って、(例えば、ハンドルを通って)延在している任意のボアもしくは通路を指し得る。管腔が全体的に含まれる必要はない(すなわち、管腔は、1つ以上のスロット、切り込み、間隙、または管腔の長さの一部もしくは全部に沿った他の開口部を含み得る)ことが理解されるべきである。細長い本体は、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ以上の管腔を備え得る。管腔のうちのいくつかまたは全部は、細長い本体全体を通って(すなわち、細長い本体の近位端部から細長い本体の遠位端部まで)延在し得る。他の管腔は、細長い本体の一部分のみを通過してもよい(例えば、細長い本体に沿って一方の端部から中間点へと、または細長い本体に沿って2つの中間点の間)。
【0044】
スネアループアセンブリの様々な構成要素は、細長い本体の任意の管腔または複数の管腔内に収容され得る。例えば、いくつかの変形例では、スネアループアセンブリの構成要素の全てを単一の管腔内に収容してもよい。他の変形例では、スネアループアセンブリの異なる部分は、異なる管腔内に少なくとも部分的に収容され得る。例えば、縫合糸ループの自由端部は、第1の管腔を通ってハンドルに移動し得、スネアの自由端部は、第2の管腔を通ってハンドルに移動し得る。いくつかの変形例では、細長い本体内に収容された余分な縫合糸がある場合があり、この余分な縫合糸は、任意の好適な管腔内に収容され得る。例えば、余分な縫合糸は、縫合糸ループの自由端部と同じ管腔内に、スネアの自由端部と同じ管腔内に、または全く異なる管腔内に保持されてもよい。
【0045】
本明細書に示す管腔は、細長い本体内の特定の位置に図示されているが、管腔は、細長い本体内の任意の位置に位置付けられ得る(すなわち、それらの中心が動かされ、それらの位置がずれる可能性がある)が、突き抜けを防止するために管腔の間の最小壁厚を維持することが望ましい場合がある。例えば、いくつかの変形例では、細長い本体が押し出し成形された後、もしくは別様に製造された後に、細長い本体を加熱して、閉鎖装置に他の要素を取り付けるか、挿入するか、もしくは結合する必要がある場合がある。細長い本体を加熱することにより、管腔の位置がずれるか、またはサイズが変更されることがある。いくつかの例では、2つの管腔を分離する材料の一部分は、管腔が収束するか、または別様に一緒になって2つではなく1つの管腔を形成するように切断してもよい。
【0046】
この突き抜けの可能性を低減するために、押し出し成形及び/または加熱中の管腔間の最小間隔を維持することが望ましい場合がある。さらに、上に記載されるように、いくつかの変形例では、細長い本体の一部分は、細長い本体の一部分を切断、シェービング、スカイビング、または別様に除去することによって作成され得るD字形断面を備え得る。これらの変形例では、管腔間の最小壁厚を維持することにより、細長い本体が切断されてD字形を形成するときに管腔が加熱中にずれて切断されるのを防止することができる。したがって、いくつかの変形例では、管腔間に少なくとも約0.005’’(0.127mm)の壁厚を維持することが望ましい場合がある。
【0047】
さらに、いくつかの変形例では、管腔は、管腔の内面と管腔内に収容された構成要素との間の摩擦力を低減するように設計された内張りまたはコーティングを備え得る。細長い本体を作製するために必要とされる管腔の小サイズ、それらの相対的な位置、使用される材料、及び精度は、異なるロット及び/または異なる製造業者の間で製造のばらつき(例えば、管腔の内側の異なる摩擦特性)の原因になり得る。こうしたばらつきは、ユーザ体験の一貫性を損なう可能性があり、閉鎖装置への不満及び/または不適切な使用を招く可能性がある。例えば、縫合糸管腔の内面と縫合糸との間の摩擦力が変化する場合、ユーザは、縫合糸を締め付けるために、装置が使用されるたびに異なる量の力を加えることを要求され得る。これにより、組織の周りでの縫合糸の過度の締め付け、または過少の締め付けの原因となる可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、縫合糸管腔は、摩擦低減内張りまたはコーティング(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))を備え得る。細長い本体の管腔のいずれか及び/または全部に摩擦低減内張りを含めることが望ましい場合があり、そうすることにより、より一貫性のある予測可能なユーザ体験が得られる可能性がある。
【0048】
先端部
いくつかの変形例では、細長い本体の先端部を細長い本体とは別に形成してもよく、細長い本体の遠位端部上で先端部をスライドさせることによって、先端部を細長い本体に連結し得る。また、
図6A及び6Bは、閉鎖装置(600)の細長い本体(604)及び先端部(602)の変形例の側面図及び斜視図である。この変形例では、先端部(602)及び細長い本体(604)は、細長い本体(604)が先端部(602)の空洞(610)内に固定される滑り嵌めを提供するように構成されている。細長い本体(604)の遠位端部分(606)は、角面取り部(608)を備える場合があり、角面取り部(608)は、細長い本体(604)の遠位端部分(606)と応力が集中し得る先端部(602)との間の接点を除去することによって、先端部(602)が亀裂または損傷するのを防止する助けとなり得る。
【0049】
1つの特定の変形例では、細長い本体(604)の最外径は0.148インチ±0.002インチ(3.7592mm±0.0508mm)であり得、遠位端部(606)の高さは、0.096インチ±0.002インチ(0.24384mm±0.0508mm)であり得、先端部の空洞を画定する先端部(602)の内径は、0.148インチ+0.002/-0.001インチ(3.7592mm+0.0508/-0.0254mm)であり得、先端部の内側高さは、0.099インチ±0.002インチ(2.5146mm±0.0508mm)であり得る。
【0050】
いくつかの変形例では、いったん細長い本体の遠位端部分が先端部の空洞内に配置されると、細長い本体の外面と先端部の内面(すなわち、空洞の面)との間に間隙または隙間が形成され得る。細長い本体と先端部との間に形成された間隙または隙間は、細長い本体と先端部との間の一貫性のある信頼可能な収まりを提供する助けとなり得、かつ細長い本体が先端部内で歪むためのより大きい空間を提供することによって、先端部上にかかる応力を低減し得る。いくつかの変形例では、間隙または隙間は、先端部の内側(及びいくつかの変形例では、外径)を増加させることによって形成することができ、他の変形例では、例えば、D字形先端部を使用する場合、先端部の高さが増加され得る間、先端部の直径を一定に保つことができる。
【0051】
また、
図7A及び7Bは、先端部(702)の空洞内に位置付けられた細長い本体(704)の変形例の断面図である。
図7A及び7Bに示すように、先端部(702)及び細長い本体(704)は、それらの間に隙間(712)を有し得る。細長い本体(704)は、第1の管腔(706)、第2の管腔(708)、第3の管腔(710)、及び角面取り部(714)を備え得る。先端部(702)及び細長い本体(704)の少なくとも一部分(例えば、遠位部分)は、各々が高さ(703、705)を有するD字形断面形状を有し得る。いくつかの変形例では、先端部(702)の高さ(703)は、先端部と細長い本体との間に(例えば、先端部(702)の平面または直線底面と細長い本体部(704)との間に)隙間(712)が形成されるように、細長い本体(704)の遠位部分の高さ(705)よりも大きい場合がある。先端部は、任意の好適な高さを有し得るが、閉鎖処置中に閉鎖装置と共に使用され得る他の構成要素、例えば、ガイドワイヤ及び/またはガイド/送達カニューレを妨害しないように、先端部をサイズ決め及び構成することが有用であり得る。例えば、いくつかの変形例では、先端部の高さは、先端部及びガイドワイヤが送達カニューレの管腔内に収まり(例えば、積み重ね)得るように選択することができる。よって、いくつかの変形例では、ガイドワイヤの直径と組み合わされた先端部の高さ及び厚さは、送達カニューレの管腔の直径未満、例えば、約0.174インチの管腔直径を有する13フレンチ送達カニューレであり得る。
【0052】
例えば、いくつかの変形例では、約0.115インチ(2.921mm)~約0.125インチ(3.175mm)の範囲の外側高さを有する先端部(702)を利用することが有用であり得る。さらに、上述したように、先端部及び細長い本体の遠位端部の直径/高さは、それらの間に好適な間隙または隙間、例えば、約0.001インチ(0.0254mm)と約0.012インチ(0.305mm)との間の隙間が生成されるように選択することができる。例えば、いくつかの変形例では、先端部の外側高さは、約0.120’’(3.048mm)であり得、先端部(702)の内側高さ(703)は、約0.099インチ±0.002インチ(2.515mm±0.0508mm)と0.104インチ±0.002インチ(2.642mm±0.0508mm)との間であり得、細長い本体の遠位端部の高さは、約0.094インチ(2.388mm)と約0.098インチ(2.489mm)との間であり得る。例えば、
図7Aに示すように、いくつかの変形例では、先端部(702)の高さ(703)は、約0.106インチ(2.692mm)であり得、細長い本体(704)の遠位端部が先端部(702)内に位置付けられたときに約0.012インチ(0.330mm)の隙間(712)高さを提供し得る。他の変形例、例えば、
図7Bに示す変形例では、先端部(702)の高さ(703)は、約0.104インチ(2.642mm)であり得、細長い本体(704)に対して約0.008インチ(0.2032mm)の隙間(712)高さを提供し得る。前述は、単なる例であり、約0.001インチ(0.0254mm)と約0.012インチ(0.305mm)との間の隙間を生じる細長い本体の先端部と遠位端部との高さの任意の組み合わせ(例えば、上に含まれる範囲内の値から選択された各々についての高さの任意の組み合わせ)を使用することができる。
【0053】
先端部の前面はまた、細長い本体の管腔に対応し得るが、必ずしもそうである必要はない、1つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上)の管腔を備え得る。先端管腔は、互いに異なる直径及び/または断面形状を有し得る。例えば、
図7A及び7Bに図示する実施形態を参照すると、先端部(702)は、細長い本体の第1、第2、及び第3の管腔(706、708、710)に対応する第1、第2、及び第3の管腔を備え得る。全ての管腔は円形断面形状を有するものとして図示されているが、これを実際に有する必要はなく、管腔は、任意の好適な断面形状(例えば、楕円形、正方形、長方形、それらの組み合わせ等)を有し得る。各管腔は、異なる直径または同じ直径を有し得る。
【0054】
図8は、対応する先端面取り部(804)及び第2の先端管腔(806)を有する第1の先端管腔(802)を有する前面(808)を備える先端部(800)の近位端部分の斜視図を図示する。いくつかの例では、スネアアセンブリが開閉されたときに、先端部は、保持部材に対してすれるか、またはこすれることがある。しかし、引き込み可能なスネアが占める空間及びシャトルが占める凹部による、すれを低減するために、先端部の第1の管腔の直径を単純に増加することは困難であり得る。これらの例では、スネアループアセンブリが開閉するときのすれを低減するために、第1の先端管腔(802)に先端面取り部(804)を追加することが望ましい場合がある。先端面取り部(804)は、任意の好適な角度を有してもよく、例えば、第1の先端管腔(802)の中心からオフセットされた30度の面取り、または約20度~約60度の面取りであり得る。一変形例では、第1の先端管腔(802)の直径は、およそ0.063インチ(1.60mm)であり得る。
【0055】
スネアループアセンブリ
上述したように、本明細書に記載される閉鎖装置のスネアループアセンブリを使用して、1つ以上の標的組織を一時的に閉鎖または制限することができる。概して、スネアループアセンブリは、閉鎖要素、例えば、スネアと、閉鎖要素に解放可能に取り付けられた縫合糸ループと、を備える。いくつかの変形例では、スネアループアセンブリは、閉鎖要素及び縫合糸ループを少なくとも一時的に接続する保持部材を備え得る。
【0056】
スネアを備えるスネアループアセンブリの変形例では、スネアは、少なくとも部分的に動くことができ、スネアループアセンブリを、開いた構成と、閉じた構成と、引き込み構成との間で変更することができる。概して、スネアの一部分は、細長い本体内に収容され得、スネアの別の部分は、細長い本体の遠位端部の外側に延在して、スネアループアセンブリのループ及び穴部を少なくとも部分的に画定し得る。
【0057】
いくつかの変形例では、スネアの一端部は、閉鎖装置の1つ以上の部分に対して解放可能に固定されるがるが、他端部は、細長い本体を通って前進されるか、または引き込まれ得る。スネアの自由端部の動きは、細長い本体の外側に配設されたスネアループアセンブリの量を変更する場合があり、よって、ループ及びそれによって画定された穴部のサイズ(例えば、直径、円周、面積等)を変更し得る。具体的には、細長い本体を通るスネアの自由端部の前進は、スネアループアセンブリのループ及び穴部のサイズを増加し得、スネアの自由端部の引き込みは、スネアループアセンブリのループ及び穴部のサイズを低減し得る。スネアの自由端部は、任意の好適な方法で操作することができる。いくつかの変形例では、スネアをハンドルの1つ以上の部分に直接取り付け得る。他の変形例では、ハイポチューブ、ロッド、または他の剛性構造をスネアの自由端部に取り付け得る。この構造は、次にハンドルによって動かされ得、細長い本体を通してスネアを前進させるかまたは引っ込めることを促進する助けとなり得る。
【0058】
引き込み構成では、スネアの固定端部が解放され、スネア及びシャトルの全体が、例えば、
図16F及び17Fに例示されるように、細長い本体の管腔内に引き込まれる。スネアの遠位(固定)端部に連結され得るシャトルは、先端部内の管腔及び細長い本体の管腔(例えば、
図7A~7Bに図示される細長い本体(704)の第1の管腔(706)、
図8に図示される第1の先端管腔(802))を通って収まるように構成され得る。
【0059】
本明細書に記載される閉鎖要素もしくはスネアは、任意の好適な材料または材料の組み合わせから作製され得る。例えば、いくつかの変形例では、スネアは、形状記憶合金(例えば、ニッケルチタン合金等)等の形状記憶材料から作製され得るか、またはステンレス鋼、ポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、それらの組み合わせ等から作製され得る。スネアが形状記憶材料から作製される変形例では、スネアは、スネアループアセンブリが開いた構成で配置されたときに特定の形状または構成をとるように構成され得るが、細長い本体内に少なくとも部分的に引っ込められて、スネアループアセンブリを閉じた構成で配置することもできる。例えば、スネアループアセンブリが開いた構成で配置されたとき、スネアは、略円形、涙形、楕円形もしくは楕円体、または三角形のループを形成し得る。
【0060】
さらに、いくつかの変形例では、スネアループアセンブリは、細長い本体に対して傾斜していてもよい。
図3A及び3Bに示すように、スネアループアセンブリ(302)の平面は、細長い本体(304)の遠位端部に対して略垂直であるが、スネアループアセンブリ(302)の平面は、
図3B~3Fに図示されるように、広範囲の角度(α)にわたって変化され得る。例えば、スネアループアセンブリ(302)の平面と細長い本体(304)の遠位端部との間に形成される角度(α)は、約5度~約85度(
図3C)であり得、約90度(
図3A及び3B)であり得、約95度~約175度(
図3D)であり得、約180度(
図3E)であり得、または約185度~約270度(
図3F)であり得る。いくつかの変形例では、スネアループアセンブリ(302)の平面と細長い本体(302)の遠位端部との間に形成される角度(α)は、約5度~約45度であり得る。細長い本体に対するスネアの傾斜付けは、閉鎖装置が体内で動かされたときに傾斜付けによりスネアが組織に対してより良好に位置付けられ得るため、組織を捕捉する際にスネアを助け得る。いくつかの変形例では、角度(α)は、予め設定されていてもよく、他の変形例では、角度(α)は、所定の範囲内で調整可能である。
【0061】
縫合糸ループ
本明細書に記載されるスネアループアセンブリはまた、組織を閉じた状態で維持するための縫合糸ループを備え得る。概して、縫合糸ループは、下により詳細に記載されるように、例えば、保持部材を介してスネアに解放可能に取り付けられ得る。さらに、縫合糸ループは、縫合糸結び目を備え得るが、そうである必要はない。この縫合糸結び目は、滑り結び目(例えば、一方向滑り結び目)またはMeltzerの結び目を含むがこれに限定されない、任意の好適な結び目であり得る。いくつかの変形例では、結び目の少なくとも一部分を細長い本体の先端部内に保持し得る。他の変形例では、縫合糸結び目は、細長い本体の先端部から少なくとも部分的に延在しているか、または先端部の外側に位置付けられ、かつ細長い本体に対して固定された関係で一時的に保持され得る。縫合糸ループが縫合糸結び目を備える場合、縫合糸ループは、ループ部分、縫合糸結び目、及び縫合糸結び目から延在する尾部を備え得る。ループ部分の直径を低減するために、縫合糸尾部を、縫合糸結び目を通して引っ張ることができる。
【0062】
縫合糸ループが滑り結び目を備える変形例では、縫合糸ループのサイズを変更するために、縫合糸を滑り結び目を通して前進させるか、または引っ込めてもよい。縫合糸結び目が細長い本体の先端部内またはそれに対して保持される例では、縫合糸結び目は、縫合糸ループのサイズが変更される間は動かないことがある。これは、閉鎖装置が組織を損傷するのを防止する助けとなり得る。いくつかの変形例では、縫合糸ループは、一方向性ロック構造を備え得る。これらの変形例では、一方向ロック構造は、縫合糸に沿って一方向に前進することができるが、第2の方向への動きを阻止する任意の構造であり得る。これらの変形例では、ロック構造は、縫合糸結び目を適所にロックするのを助けるために、縫合糸ループの一部分にわたって前進され得る。例えば、いくつかの変形例では、一方向ロック構造は、少なくとも部分的に縫合糸の周りに配置されるビードまたは機械的構造を備え得る。これらの変形例では、ビードは、ビードを縫合糸に沿って一方向に前進させるが、反対方向への動きを防止または阻止することを可能にする1つ以上の歯または突出部を備え得る。ロック構造は、本明細書に記載される閉鎖装置のうちの1つを介して前進させることができるか、または閉鎖装置から縫合糸ループを解放した後に別の装置によって前進させることができる。
【0063】
縫合糸ループは、組織除外または閉鎖に有用な任意の好適な材料から作製され得る。例えば、それは、生分解性材料(例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸-グリコール酸等)から作製され得るか、または非生分解性材料(例えば、金属、鋼、ポリエステル、ナイロン、プロピレン、シルク、それらの組み合わせ等)から作製され得る。
【0064】
組織を閉じるために縫合糸ループが締め付けられると、組織が縫合糸ループの縫合糸結び目内に引っ張られる可能性があり得る。過剰に多くの組織が縫合糸結び目内に引っ張られると、縫合糸結び目は、縫合糸ループがさらに締め付けられるのを防止するような形で、詰まるか、または詰め込む可能性がある。いくつかの変形例では、縫合糸ループは、縫合糸結び目の一部分を遮蔽する助けとなる1つ以上の綿撒糸またはチューブ区分を備え得る。
【0065】
保持部材
本明細書に記載されるスネアループアセンブリが、スネア及び縫合糸ループを解放可能に連結する保持部材を備えるとき、保持部材は、二重管腔チューブ等の任意の好適な部材であり得る。いくつかの変形例では、1つの管腔は、その長さに沿って切り込み、穿孔、または他の開口部を有し得、展開準備ができたときにそれらを通して縫合糸を通過させることを可能にし得る。切り込みは、保持部材の全長に沿って延在している必要はない、または連続している必要はない。いくつかの変形例では、切り込みは、保持部材内に縫合糸を捕捉及び保持する助けとなる、その長さに沿った突片またはアームを有し得る。他の変形例では、切り込みは、縫合糸を一時的にタックまたは保持し得る、生分解性ポリマーを用いて離間した位置で覆うことができる。当然ながら、さらに他の変形例では、保持部材は、切り込みを備えておらず、代わりに、直ぐ上に記載される突片またはタック等のいくつかの他の種類の保持機構を備える。さらに他の変形例では、保持部材内に切り込みもしくは開口部がなく、保持部材を取り外すか、もしくは引っ込める際に縫合糸ループが解放される。
【0066】
余分な縫合糸の管理
閉鎖装置の動作において、スネアアセンブリから縫合糸ループを時期尚早に解放することなく、スネアループアセンブリを開閉することができることが望ましい場合がある。スネアループアセンブリのループ及びそれによって画定される穴部のサイズは、スネアループアセンブリが開閉されるにつれて変化するので、この穴部のサイズの変化に対応するために、かつ縫合糸がスネアループアセンブリから時期尚早に解放されることを防止するために、縫合糸ループのサイズを変更する必要がある場合がある。いくつかの変形例では、スネアループアセンブリを開くことにより、縫合糸ループのサイズを増加させるために縫合糸を滑り結び目を通して引っ張ることができる。しかし、これは、縫合糸を破断または切断させるのに十分な力を縫合糸ループに提供し得る。
【0067】
この望ましくない結果を防止する助けとなるために、他の変形例では、縫合糸ループは、スネアループアセンブリが開いた構成にあるときに、スネアループがスネアループアセンブリのループによって画定される穴部のサイズと同じか、またはそれより大きくサイズ決めされ得る。このようにして、縫合糸が装置上に装填され、かつ縫合糸ループのサイズが変化しない間、縫合糸は結び目を通して並進しない。よって、スネアループアセンブリが開いた構成または閉じた構成のいずれかに動かされると、縫合糸ループは、縫合糸結び目を通して追加の縫合糸を前進させる必要なく、同様のサイズを想定することができる。
【0068】
しかし、縫合糸ループをそのようなサイズに予めサイズ決めすると、スネアが開いた構成と閉じた構成の両方にあるときに縫合糸ループ内に余分なたるみが生じることがある。余分な縫合糸が解剖学的構造、器具、もしくは他の障害物に絡まるか、または捕捉されることを防止する助けとなるために、縫合糸ループ内のたるみの一部もしくは全部は、スネアループアセンブリが開いた時、かつ/または閉じたときに、細長い本体の内側に保持され得る。このように、本明細書に記載される閉鎖装置は、任意の好適な方法で使用することができる1つ以上の余分な縫合糸管理特徴部を備え得る。本明細書に記載される閉鎖装置は、任意の好適な縫合糸管理特徴部、例えば、「Tissue Ligation Devices and Controls Therefor」と題され、2010年4月1日に出願された、米国特許出願第12/752,873号に記載されているもののいずれかを備え得、その全体的な内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0069】
引き込み可能なスネア
上述したように、いくつかの変形例では、本明細書に記載される閉鎖装置は、引き込み可能なスネアを備え得る。いくつかの変形例では、スネアは、スネアを2つの別のスネア部分に分離するために、その長さに沿って解放可能に構成され得、ならびに細長い本体の管腔を通って引き込み可能であるように構成され得る。他の変形例では、閉鎖装置は、細長い本体に対して固定された端部を有するスネアを備え得、閉鎖装置は、スネアの固定端部を解放し、かつスネアの先に固定された端部を細長い本体内に引き込むようにさらに構成され得る。いくつかの変形例では、閉鎖装置は、細長い本体の側壁(またはその先端部)から解放可能な固定遠位部分を有するスネアを備え得る。例えば、閉鎖装置は、スネアの遠位端部に連結されたシャトルが細長い本体に固定して連結されている第1の構成と、シャトル及びスネアの遠位端部が細長い本体の管腔内に位置付けられている第2の構成と、を備え得る。これらの変形例では、スネアの固定端部は、シャトルに連結され得るか、または連結されていなくてもよく、任意の好適な方法で閉鎖装置から解放され得る。
【0070】
図4は、閉鎖装置の変形例の分解斜視図である。
図4は、先端部(402)、窓またはロックワイヤ凹部(422)を備えるシャトル(420)、及びロックワイヤ(424)を備える閉鎖装置(400)の遠位部分の斜視図を示す。
図4に示すように、先端部(402)は、後面(412)及び前面(414)を有するシャトル凹部(408)と、第1及び第2の管腔(404、406)と、シャトル凹部(408)の前面(414)と先端部(428)の前面との間に延在しているL字形凹部(410)と、ロックワイヤ管腔(418)と、を備え得る。また、シャトル凹部(408)内にさらに配設された軌道部(416)を
図4に示す。シャトル(420)が先端部(402)に連結されると、シャトルは、シャトル凹部(408)及び任意選択的に軌道部(416)内に位置付けられ得る。シャトル(420)は、下に詳細に記載するように、略L字形凹部(410)内に位置付けられ得るスネアの遠位部分(図示せず)に接続され得る。
【0071】
ロックワイヤ(424)は、先端部(402)及びシャトル(420)を通ってロックワイヤ管腔(418)まで延在するように構成され得る。ロックワイヤ(424)に(例えば、その近位端部に)十分な力が加えられると、ロックワイヤ(424)が引き込まれ得、シャトル(420)が先端部(402)から解放され得る。いくつかの変形例では、ロックワイヤ(424)は、シャトル及び/もしくは細長い本体に対する動きを阻止し得る1つ以上の湾曲部(426)もしくはコイルを備え得る。シャトル(420)が先端部(402)に連結されている間、ロックワイヤ(424)内の湾曲部(426)は、シャトル(420)の窓またはロックワイヤ凹部(422)内に配設されるように構成され得る。ロックワイヤ(424)内の湾曲部(426)は、湾曲部(426)がロックワイヤ凹部(422)の側壁に接触し得るときに、低レベルの力によりロックワイヤ(424)が引き込まれることを防止して(すなわち、時期尚早の解放リスクまたは不注意による解放のリスクを低減し得る)、ロックワイヤが十分な力を伴わずにさらに引き込まれることを防止し得る。ロックワイヤ(424)を解放するために、ユーザは、湾曲部(426)をまっすぐにするのに十分な近位の力(例えば、制御部を介して)を加えることができる。
【0072】
上述したように、スネアは、細長い本体に取り付けられた先端部から、または細長い本体の側壁から解放可能であり得、かつ細長い本体の管腔を通して引き込み可能であり得る固定遠位部分を有し得る。
図5A及び5Bは、引き込み可能なスネアを有する閉鎖装置(500)の遠位部分の斜視図である。
図5Cは、
図5Aに示す閉鎖装置(500)の平面図である。
図5Aに示すように、閉鎖装置(500)は、先端部(503)を有する細長い本体と、先端部(503)から少なくとも部分的に延在しているスネアループアセンブリ(501)と、を備え得る。スネアループアセンブリ(501)は、近位部分(512)及び遠位部分(514)を備えるスネアと、例えば、保持部材(図示せず)を介してスネア(512、514)に解放可能に連結された縫合糸ループ(図示せず)と、を備え得る。シャトル(516)は、スネアの遠位部分(514)に接続され得、かつ細長い本体の先端部(503)に解放可能に連結され得る。例えば、先端部(503)は、シャトル凹部(509)と、その側壁に略L字形凹部(510)と、を備え得る。シャトル(516)が先端部(503)に連結されると、シャトル(516)は、シャトル凹部(509)内に位置付けられ得、スネアの遠位部分(514)は、L字形凹部(510)内に位置付けられ得る。
【0073】
図5Bに示すように、閉鎖装置(500)は、細長い本体(502)の遠位部分に連結された先端部(503)を備える細長い本体(502)を備え得る。スネアループアセンブリは、スネアの近位部分(512)及びスネアの遠位部分(514)のみが
図5Bに示されているが、スネア及び縫合糸ループを備え得る。スネアの近位部分(512)は、組織の周りに配置され得る穴部を画定するループを形成するように、先端部(503)の第1の管腔(504)から延在し得る。縫合糸ループが縫合糸結び目(図示せず)を備えるとき、縫合糸結び目及び縫合糸ループの尾部は、第2の管腔(506)内に位置付けられ得、かつ/またそれを通して延在し得る。
【0074】
スネアの近位部分(512)は、第1の管腔(504)を通して延在してもよく、ハンドルアセンブリ(図示せず)に動作可能に接続され得る。ハンドルアセンブリは、スネアループアセンブリによって形成される穴部のサイズ(例えば、直径、円周)を制御するように、スネアの近位端部を(例えば、示される近位部分に近位に)前進する及び引き込むことができる。縫合糸ループ(図示せず)がスネアに連結されているので、スネアの近位端部の動きが、縫合糸ループの一部を第1の管腔(504)内に出入りさせることができる。さらに、縫合糸ループが余分な量の縫合糸を有するようにサイズ決めされている変形例では、余分な縫合糸の一部もしくは全部が、先端部(503)の第1管腔(504)もしくは細長い本体の管腔内に保持され得るか、または別様に維持され得る。
【0075】
先端部(503)は、シャトル凹部(509)に遠位かつ近位のロックワイヤ管腔(508)、よってシャトル(516)がシャトル凹部(509)内に位置付けられたときのシャトル(516)をさらに備え得る。ロックワイヤ管腔(508)は、ロックワイヤ(520)が細長い本体から先端部(503)を通して延在し、シャトル(516)の窓もしくはロックワイヤ凹部(518)を通して、かつロックワイヤ管腔(508)を通して位置付けられたときに、先端部(503)に対してシャトル(516)を固定するように構成され得る。窓(518)はまた、先端部(503)の側部へと開いていてもよく、ロックワイヤ(520)の湾曲部が少なくとも部分的に窓(518)内に延在して、シャトル(516)に対するロックワイヤ(520)の近位の動きを阻止することを可能にし得る。
【0076】
スネアの近位部分(512)は、ハンドルアセンブリに動作可能に接続され得、スネアの遠位部分(514)は、シャトル(516)に接続され得る。概して、シャトル(516)は、スネアの遠位部分(514)を閉鎖装置の先端部(503)に連結するように構成された構造であり得る。シャトル(516)は、スネアの遠位部分(514)に連結され得、かつ閉鎖装置の先端部(503)に解放可能に連結され得、よって先端部(503)に対してスネアの遠位部分(514)を固定するように構成され得る。シャトル(516)が先端部(503)に連結されると、スネアの遠位部(514)は、先端部(503)に対して固定され、スネアの近位端部(及び近位部分(512))は、スネア及びスネアループアセンブリを開閉するために(例えば、ハンドルアセンブリ等の制御部を介して)前進されるか、または引っ込められ得る。
【0077】
図5A~5Cに示すように、スネアの遠位部分(514)は、シャトル(516)が先端部(503)に連結された(例えば、先端部(503)のシャトル凹部(509)内に位置付けられた)ときに、略L字形凹部(510)内に位置付けられ得る。略L字形凹部(510)は、第1の面(511)と、第1の面(511)に対して横断する第2の面(513)と、を備え得る。いくつかの変形例では、第2の面(513)は、第1の面(511)に対して垂直(すなわち、およそ90度の角度)であり得、他の変形例では、第2の面(513)は、第1の面(511)から離れて傾斜され得る。例えば、角度は、スネアの遠位部分(514)との第2の面(513)の干渉を防止し、別様に第2の管腔(506)を妨害しないか、または突き抜けない任意の好適な角度であり得る。例えば、第1の面(511)と第2の面(513)との間の角度は、鈍角、例えば、約100度、約105度、約110度、約90度~約105度、約95度~約110度等であり得る。いくつかの変形例では、第2の面(513)は、スネアの遠位部分(514)の少なくとも一部分が閉じ込められることなく静止し得るシェルフを形成し得る。L字形凹部(510)は、凹部(510)内に位置付けられたスネアの遠位部分(514)が先端部(503)(例えば、先端部の長手方向軸)から離れて自由に湾曲し得るように構成され得る。このようにして、スネアループアセンブリは、凹部(510)の面によって拘束されることなく、開いた構成から閉じた構成に、またはその逆に移行することができる。
【0078】
互いに対して垂直であるか、または鈍角を形成する第1及び第2の面(511、513)を有する凹部(510)を利用することは、従来のU字型凹部と比較していくつかの利点を提供し得る。例えば、従来のU字形凹部は、スネアの遠位部分が自由に湾曲することを可能にせず、よって、干渉、位置ずれ、及び組織挟み込みを起こしやすい。対照的に、スネアの遠位部分(514)は凹部(510)の面によって拘束されることなく先端部(503)の中心長手方向軸から湾曲し、かつ離れて動くことができるので、遠位部分(514)は、先端部(503)またはシャトル(516)からの干渉に遭遇しない。よって、シャトル(516)を先端部(503)の上下に傾斜させ、かつ先端部(503)のロックワイヤ管腔とシャトル(516)との間の位置ずれを生じさせるようにシャトル(516)に別様に力を加え得る摩擦力及び/もしくは障害物を最小にするか、または防止する。したがって、記載される凹部(510)を利用することにより、凹部(510)の面とスネアの遠位部分(514)との間の干渉を防止または最小にすることができ、ロックワイヤ管腔の開口部のより良好でより一貫した位置合わせを提供することによって閉鎖装置の製造をより容易にし得る。さらに、記載される凹部(510)を利用することにより、組織が細長い本体の先端部(503)と凹部(510)内に位置付けられたスネアの遠位部(514)との間に捕捉される、もしくは挟み込まれるのを防止する、又は最小にすることができる。特に、スネアの遠位部分(514)は先端部(503)から干渉することなく自由に湾曲し得るので、遠位部分(514)と先端部(503)との間の組織の挟み込みが実質的に低減され得る。したがって、引き込み可能なスネアの位置合わせ及び収まりが改善されるので、処置中の閉鎖装置の使い易さ及び閉鎖装置の組み立ての両方が改善され得る。
【0079】
別の変形例では、凹部は、シャトル凹部の前面から先端部の前面までの幅の増加を含むチャネルの形態であり得る。例えば、これらの変形例では、シャトル凹部に隣接するか、またはシャトル凹部のチャネルの近位部分(例えば、シャトル凹部の前面に位置合わせされた)は、先端部の遠位端部に隣接する、または遠位端部にあるにあるチャネルの遠位端部(例えば、先端部の前面と位置合わせされた)よりも狭い場合がある。よって、凹部は、テーパ状チャネルの形態であり得る。先端部(502)の長手方向軸に沿って遠位に幅が増加する凹部を利用することで、シャトル凹部(509)内にシャトル(516)を保持する助けとなり得るが、依然としてスネアの遠位部分(514)が自由に湾曲する(例えば、凹部の壁によって拘束されることなく)ことを可能にし得る。
【0080】
図5Cは、シャトル(516)が位置付けられ得るシャトル凹部(509)を有する先端部(503)の平面図を示す。示すように、ロックワイヤ(520)は、ロックワイヤ管腔及びシャトル(516)の窓またはロックワイヤ凹部(518)内に位置付けられ得る。スネアの遠位部分(514)は、先端部(503)の凹部(510)の第1及び第2の面(511、513)と接触していてもよく、別様に、先端部(503)からの干渉または接触なしに遠位部分(514)を操作することを可能にするように邪魔を取り除かれ得る。シャトル(516)がシャトル凹部(509)内の細長い本体の先端部(503)に連結されたとき、シャトル(516)と先端部(503)との間の隙間は、合計約0.004インチ(0.102mm)であり得る。例えば、いくつかの変形例では、シャトルは、約0.060インチ+0.001/-0.002インチ(1.524mm+0.0254/-0.0508mm)の幅及び約0.183インチ±0.003インチ(4.648mm±0.0762mm)の長さを有し得、シャトル凹部(509)は、約0.070インチ±0.003インチ(1.778mm±0.0762mm)の幅及び約0.190インチ±0.003インチ(4.826mm±0.0762mm)の長さを有し得、シャトルの各側上で約0.003インチ(0.0762mm)~約0.0075インチ(0.1905mm)のシャトル隙間、及びシャトルの近位端部及び遠位端部で約0.0005インチ(0.0127mm)~約0.0065インチ(0.1651mm)のシャトル隙間を生じ得る。いくつかの変形例では、シャトルの各側上のシャトル隙間は、約0.005インチ(0.127mm)であり得、近位端部及び遠位端部の各々上のシャトル隙間は、約0.0035インチ(0.0889mm)であり得る。
【0081】
シャトル
上の記載するように、いくつかの変形例では、スネアループの遠位部分が細長い部分の先端部から解放され、かつ先端部及び/または細長い本体の管腔内に引き込まれることを可能にするように、スネアループアセンブリ内にシャトルを提供し得る(例えば、スネアの遠位部分または端部に連結される)。スネアの直径は、概して、先端または細長い体腔の直径よりも小さくてもよく、よって管腔内を容易に通過し得るが、他のシャトル構成の1つの欠点は、それらが管腔内に引き込むことができず、よって先端部及び/または細長い本体内へのスネアの引き込みを防止することである。その結果、他のシャトル構成を有する装置を使用するとき、シャトル及びそこに取り付けられたスネアループは、閉鎖装置が標的組織から引き込まれたときに解剖学的特徴部及び展開された縫合糸上で捕捉されるリスクがある。
【0082】
他の装置とは対照的に、本明細書に記載される閉鎖装置は、先端部及び/または細長い本体内の管腔を通して収まるように構成されたシャトルを備え得る。例えば、標的組織を閉じるための装置は、細長い本体を通る管腔を備える細長い本体と、スネア及びスネアに解放可能に連結された縫合糸ループを備えるスネアループアセンブリと、スネアの遠位部分に接続され、かつ細長い本体の管腔内に収まるような構成を備え得る細長い本体に解放可能に連結されたシャトルと、を備え得る。言い換えれば、シャトルは、先端部及び/または細長い本体の管腔内に引き込むように構成され得る。
【0083】
例えば、シャトルが細長い本体の先端部から(例えば、先端部内のシャトル凹部から)解放された後、スネアループ及びシャトルは、閉鎖装置内に部分的にもしくは完全に引き込まれ、そのためスネアもしくはシャトルのどの部分も管腔から延在していないか、またはスネア及び/またはシャトルの小部分のみが管腔から延在している。いくつかの変形例では、閉塞装置は、スネア及びシャトルの全体が先端部及び/又はは細長い本体の管腔内に引き込まれ得るように構成され得るが、他の変形例では、閉塞装置は、シャトルの全部もしくは一部分が先端部/細長い本体の外側に留まる(すなわち、管腔内に引き込まれない)ようにスネアが管腔内に部分的に引き込むように構成され得る。この部分的なもしくは完全な引き込みにより、展開された縫合糸上での組織の挟み込み及び/もしくは引っかかりの可能性を低減する。さらに、スネアの部分的または完全な引き込みは、スネアが解剖学的特徴部上で捕捉されるリスクも低減する。このようにして、本明細書に記載される閉鎖装置は、標的組織から引き込まれ得、かつより安全に体から除去され得る。
【0084】
上述のように、いくつかの変形例では、本明細書に記載される閉鎖装置は、閉鎖装置の先端部及び/または細長い本体の管腔内に部分的に引き込むように構成されたシャトルを備え得る。例えば、
図18は、部分的に引き込まれたスネアを有する閉鎖装置(1800)の変形例の斜視図である。閉鎖装置(1800)は、先端部(1802)、第1の管腔(1804)、及び第2の管腔(1806)を備える細長い本体(1801)と、シャトル(1816)と、スネア(1814)(スネアの遠位部分のみを図示する)と、を備え得る。シャトル(1816)は、スネア(1814)の遠位部分に接続され得る。
図18に図示されていないが、スネア(1814)は、縫合糸ループの展開前に、例えば、保持部材を介して縫合糸ループに解放可能に連結され得る。縫合糸ループが縫合糸結び目(図示せず)を備えるとき、縫合糸結び目及び縫合糸ループの尾部は、第2の管腔(1806)内に位置付けられ得、かつ/または延在し得る。先端部(1802)は、先端部(1802)及び細長い本体部(1801)に対してシャトル(1816)を固定し得るロックワイヤを受け入れるように構成され得るロックワイヤ管腔(1808)をさらに備え得る。先端部(1802)は、シャトル(1816)が先端部(1802)に連結されたときにシャトル(1816)が位置付けられ得、かつ収容され得るシャトル凹部(1812)を備え得る。先端部(1802)は、先端部(1802)の側壁に略L字形凹部(1810)をさらに備え得る。
【0085】
図18に示す変形例では、スネア(1814)は、第1の管腔(1804)内に完全にもしくは部分的に引き込まれ得、シャトル(1816)は、第1の管腔(1804)内に部分的に引き込まれ得る。例えば、スネアの直径は、第1の管腔(1804)の直径より小さくてもよく、シャトル(1816)の少なくとも一部分の最大横断寸法(スネアの長手方向軸に対して横断する)(例えば、高さ、幅、または直径)は、第1の管腔(1804)の直径よりも大きくてもよい。例えば、シャトル(1816)は、スネア(1814)の遠位部分及び第2の遠位部分(1817)に連結された第1の近位部分(1815)を備え得る。いくつかの変形例では、第1の近位部分(1815)は、第1の管腔(1804)の直径(及び/または高さ/幅)よりも小さい最大横断寸法を有し得、第2の部分(1817)は、第1の管腔(1804)の直径(及び/または高さ/幅)よりも大きい最大横断寸法を有し得る。他の変形例では、シャトル(1816)の第1の部分は、第1の管腔(1804)の断面積よりも小さい断面積を有し得、シャトル(1816)の第2の部分は、シャトル(1816)の第2の部分が第1の管腔(1804)内に収まり得ないように、第1の管腔(1804)の断面積よりも大きい断面積を有し得る。さらに他の変形例では、シャトル(1816)の第2の部分は、第1の管腔(1804)の直径(または幅)よりも大きい幅を備え得、シャトルの第2の部分が第1の管腔(1804)内に引き込まれることを防止し得る。よって、いくつかの変形例では、スネア(1814)の遠位部分は、第1の管腔(1804)内に部分的に(示すように)または完全に引き込まれ得、シャトル(1816)は、第1の管腔(1804)内に部分的にのみ引き込まれ得る(またはいくつかの変形例では、完全に露出したままであるが、細長い本体/先端部の遠位端部のより近位に/単に遠位に位置付けられる)。
【0086】
他の変形例では、本明細書で詳細に記載されるように、本明細書に記載される閉鎖装置は、閉鎖装置の先端部及び/または細長い本体の管腔内に完全に引き込むようにサイズ決め及び形状決めされるシャトルを備え得る。これらの変形例では、シャトルの最大横断寸法は、先端部及び/または細長い本体の管腔の直径(及び/または高さ/幅)よりも小さくてもよい。例えば、
図9A及び9Bは、先端部及び/または細長い本体の管腔内に完全に引き込むように構成されたシャトルの変形例の斜視図である。上に記載するように、シャトルは、スネアの遠位部分に接続され得、かつ細長い本体の先端部に解放可能に連結され得る。シャトル(900)は、第1の管腔(902、910)、第2の管腔(904)、窓またはロックワイヤ凹部(906)、及び突出部(908)を備え得る。第1の管腔(902、910)は、遠位部分(902)及び近位部分(910)がロックワイヤ凹部(906)によって分離された状態のロックワイヤ管腔を備え得る。ロックワイヤ(図示せず)は、ロックワイヤ管腔(902、910)及びロックワイヤ凹部(906)を通して前進されるか、または別様にそれら内に配設されて、シャトル(900)を細長い本体に解放可能に連結し得る。突出部(908)は、先端部のシャトル凹部(例えば、シャトル凹部(408)の軌道部(416))内の対応する軌道部に係合するように構成され得る。この係合により、スネアループに外力が加えられたときに、先端部に対するシャトル(900)の回転を最小にすることができる。
【0087】
ユーザは、スネアが完全に引き込まれたときに、閉鎖装置を使用してシャトル(900)を細長い本体の管腔内に引っ張ることができる。シャトルは、管腔内に収まる構成を備え得る。シャトルは、異なる特性、例えば、異なる直径、断面積、断面形状、材料等を有する様々な区分または部分を備えてもよく、管腔でのシャトルの収まり及びスライド可能性を改善し得る。例えば、シャトルの断面の少なくともいくつかの部分は、管腔の形状に対応し得る。いくつかの変形例では、シャトルの少なくとも一部分の曲率半径は、管腔の曲率半径と同じであり得る。シャトルは、シャトルが細長い本体に解放可能に連結され、かつ管腔内に収まることを可能にする任意の好適な長さを含み得る。シャトルはまた、ロックワイヤ管腔及び任意選択的に窓またはロックワイヤ凹部等のロックワイヤに連結するための任意の好適な構成を備え得る。例えば、シャトル(900)は、約0.015インチ(0.381mm)~約0.025インチ(0.635mm)の幅を含むロックワイヤ凹部(906)を備え得る。
【0088】
図10は、閉鎖装置の先端部の管腔内のシャトルの変形例の断面図である。上述のように、いくつかの変形例では、シャトル(1000)は、先端部(例えば、
図18の第1の管腔(1804))の管腔(1010)の直径よりも小さいシャトル直径を含み得る。この構成は、スネアが完全に引き込まれたときに、シャトル(1000)が管腔内に完全に引き込むことを可能にする。例えば、1つの変形例では、シャトル(1000)は、約0.015インチ(0.381mm)~約0.030インチ(0.762mm)の半径を含み得る。いくつかの変形例では、シャトル(1000)は、約0.030インチ(0.762mm)の半径を含み得る。これらの変形例では、管腔は、約0.031インチ(0.80mm)の半径を含み得、よって、シャトル(1000)の半径は、管腔(1010)の半径より小さくてもよい。これらの変形例では、管腔(1010)内に引き込まれたシャトル(1000)は、隙間嵌めを有する。隙間嵌めは、管腔のサイズ(例えば、直径、高さ、幅)とシャトルのサイズ(例えば、シャトルの最大部分の寸法(高さ、幅、直径))との間の正の差であり得る。他の変形例では、シャトルの直径は、管腔(1010)の直径に等しくてもよく、かつもしくは管腔(1010)の直径よりもわずかに大きくてもよいが、シャトルは、管腔(1010)内に収まるために、圧縮するか、もしくは別様にサイズを低減するように構成され得る。
【0089】
シャトル(1000)は、第1の管腔(1002)、第2の管腔(1004)、及び突出部(1008)を備え得る。第2の管腔(1004)は、スネア管腔を備えてもよく、
図10は、スネア管腔の遠位部分を図示する。スネア管腔は、シャトル(1000)がスネアの遠位部分に連結されるように、スネアの一部分を収容し得る。第2の管腔(1004)の近位部分は、オフセットされた長円形状(1006)を含み得、第2の管腔の遠位部分は、円形状を含み得る。1つの変形例では、スネア管腔の近位部分は、オフセットされた長円形状を含む。スネアの端部は、長円形状(1006)内に収まるように構成された平らな部分(図示せず)を含み得る。これらの変形例では、長円形部分及び円形部分を有する管腔の使用は、スネアの平らな部分が第2の管腔(1004)から引き抜かれるか、またはこれを突き抜けて(例えば、長円形部分から円形部分に)、シャトル(1000)から出てくることを防止する助けとなり得る。平らな部分は、スネアが第2の管腔(1004)を通って引っ張られるのを防止し、ならびにスネアがシャトルに対して回転することを防止するために、長円形状(1006)にさらに接合され得る。長円形状(1006)は、スネアの平らな部分をシャトル(1000)に接合するために、エポキシ等の接着剤で充填され得る。第1の管腔(1002)は、ロックワイヤ管腔を備えてもよく、かつロックワイヤを通過させるようにサイズ決め及び形状決めされ得る。いくつかの変形例では、細長い本体の管腔(1010)の直径は、約0.063インチ(1.60mm)以下であり得る。シャトルの直径は、約0.061インチ(1.56mm)以下であり得る。
【0090】
シャトルは、例えば、1つ以上の金属(例えば、ステンレス鋼)、1つ以上の剛性プラスチック、1つ以上のポリマー等の任意の好適な材料もしくは複数の材料から形成され得る。いくつかの変形例では、シャトルは、先端部もしくは細長い本体の一部分と同じ材料もしくは複数の材料から形成され得るが、そうである必要はない。いくつかの変形例では、シャトルは、ポリエーテルイミド(例えば、Ultem(登録商標))、ポリカーボネート、及びステンレス鋼のうちの1つ以上から形成され得る。
【0091】
ハンドル
上に記載するように、本明細書に記載される閉鎖装置は、ハンドルまたは他の制御機構を備え得る。ハンドルは、任意の好適な形状もしくは構成、例えば、参照により先に組み込まれた「Tissue Ligation Devices and Controls Therefor」と題された、2010年4月1日に出願された、米国特許出願第12/752,873号、またはその全体的な内容が参照により本明細書に組み込まれる「Tissue Ligation Devices and Methods Therefor」と題された、2014年3月3日に出願された、米国特許出願第14/195,797号に記載されるもののうちのいずれかを有し得る。
【0092】
ハンドルは、多くの目的に役立ち得る。当然ながら、ハンドルは、ユーザがハンドルを使用して装置及びその構成要素上で保持し、かつ制御することができるので、装置とユーザとの間のインタフェースを提供し得る。ハンドルを使用して、細長い本体を介してスネアループアセンブリを制御及び作動させ得、細長い本体を誘導し得、かつ/またはハンドルを介して制御される引きワイヤを使用して細長い本体の形状を修正し得る。ハンドルは、ユーザが閉鎖要素からの縫合糸ループの解放を制御することを可能にし得、視覚化ツールが使用されている変形例では、それは、視覚化ツール用の電子構成要素または他の構成要素を収容するために使用され得る。ハンドルは、スライダ、ノブ、スイッチ、ラッチ、押しボタン等を含む組織を閉じるための装置の使用を促進するための任意の好適な要素を備えることができ、スネアループアセンブリの任意の構成要素に連結されて、構成要素を引っ張る、押す、開く、閉じる、展開する、または別様に使用することができる。
【0093】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される閉鎖装置のハンドルは、閉鎖装置の縫合糸ループの一部分(例えば、縫合糸ループの尾部)に加えられる張力を管理するための張力機構を備え得る。閉鎖装置を使用して縫合糸ループを組織の周りに配置して締め付けるとき、縫合糸ループが締め付けられたときに縫合糸に加えられる張力を管理することが望ましい場合がある。
【0094】
記載される閉鎖装置がシャトル及びロックワイヤを介して細長い本体に一時的に固定されたスネアを備える場合、ハンドルは、ロックワイヤを引っ込めることを可能にする機構を備えることができ、ロックワイヤは、任意の好適な方法で引っ込められ得る。現在の解決策では、スネアを完全に引き込むための機構、及び任意選択的に、ユーザエラーによって開始されるスネアループの時期尚早な引き込みを防止する安全装置を備えるシャトルを提供しない。下に詳細に記載されるハンドルアセンブリ及び変形例は、シャトル及びスネアループが、先端部及び/もしくは細長い本体を通して、もしくはそれら内に、ユーザエラーを防止するのを助け得る所望の順序で、完全に引き込まれることを可能にする。例えば、標的組織を閉じるための装置は、細長い本体と、スネア及びスネアに解放可能に連結されたスネアループを備えるスネアループアセンブリと、細長い本体に解放可能に連結するように構成されたシャトルと、スネア制御部の軌道部に沿った動きを制限するように構成され得るリミッタを有するロックもしくはスネア制御部を備えるハンドルと、を備え得る。
【0095】
図11A~11B及び11D~11Eは、本明細書に記載される閉鎖装置と共に使用するためのハンドルアセンブリの例示的な変形例の斜視図である。ハンドルアセンブリ(1100)のハンドル(1104)は、細長い本体(1102)に取り付けられ得る。ハンドル(1104)は、スネア(図示せず)の動きを制御するように構成されたスネア制御部(1106)と、その側面、上部、または底部上に形成され得る軌道部(1108)と、ロック(1110)と、を備え得る。ハンドルアセンブリ(1100)は、縫合糸ループを締め付けるように構成された縫合糸制御部(1112)をさらに備え得る。縫合糸制御部(1112)は、第1の開口部(1118)及び第2の開口部(1120)を介してハンドル(1104)に解放可能に連結され得る。スネア制御部(1106)は、スライダを備え得、軌道部(1108)内に、またはその上に連結され得、かつスライド可能に配設され得る。軌道部(1108)は、第1の部分(1109)及び第2の部分(1116)を備え得、ロック(1110)は、軌道部の第2の部分(1116)に沿ったスネア制御部(1106)の動きを制限するように構成され得る。装置は、スネア制御部(1106)が、ロック(1110)が係合されているかどうかにかかわらず(すなわち、ロックが係合されているとき、かつロックが係脱されているとき)、スネアループアセンブリを開閉するように軌道部の第1の部分(1109)に沿って自由に動く/スライドすることができるが、ロック(1110)が係合されたときに軌道部の第2の部分(1116)に沿って動く/スライドすることを防止され得るように構成され得る。ハンドル(1104)は、軌道部の第2の部分(1116)の少なくとも一部分と位置合わせされた側部開口部(1114)をさらに備え得る。
【0096】
ロック(1110)は、シャトルを細長い本体(1102)から解放する前にスネアの引き込みを物理的に制限することができる。例えば、ロック(1110)は、軌道部の長さに沿って延在しているストッパ(1115)を備え得る。例えば、ストッパ(1115)は、軌道部の第2の部分(1116)の上及び/もしくは第2の部分内に収まり得、かつスネア制御部(1106)が軌道部の第2の部分(1116)に沿って、もしくは第2の部分内で動くことを防止し得る。いくつかの変形例では、ストッパ(1115)は、軌道部の第2の部分(1116)を覆う長方形のプレートを備え得、他の変形例では、ストッパは、軌道部内に収まるか、これを覆うか、もしくは別様に阻止し、かつ/もしくはスネア制御部(1106)が軌道部の第2の部分(1116)に沿って近位に動くことを防止する円筒状もしくは他の形状の要素を備え得る。
【0097】
さらに、いくつかの変形例では、ロック(1110)は、縫合糸の解放後まで軌道部(1108)の第2の部分(1116)に沿ったスネア制御部(1106)の動きを制限するように構成された解放係合部分(1111)をさらに備え得る。これらの変形例では、解放係合部分(1111)は、ハンドルの解放アセンブリに解放可能に連結され得る。下により詳細に記載されるように、解放アセンブリは、細長い本体(1102)からシャトル(図示せず)を解放するように構成されてもよく、かつ縫合糸の解放後までロック(1110)を適所に、または軌道部(1108)上に保持し得る。いくつかの変形例では、解放係合部分(1111)は、ストッパの下側(例えば、底面)から延在し得る(例えば、およそ90度の角度で)突出部を備えてもよく、かつ解放アセンブリの一部分に解放可能に連結し得る開口部(1113)を備え得る。
【0098】
図11Aは、軌道部(1108)の第2の部分(1116)に沿ったスネア制御部(1106)の動きを制限する、軌道部(1108)の第2の部分(1116)を覆うロック(1110)を図示する。
図11Bは、軌道部(1108)の第2部分(1116)に沿ったスネア制御部(1106)の動きを可能にするように、第2の部分(1116)から取り外されたロック(1110)を図示する。
図11Cは、
図11Bに示すハンドルアセンブリの平面図である。
図11Dは、軌道部(1108)に沿って第2の部分(1116)に隣接する位置に動かされたスネア制御部(1106)を例示する。
図11Eは、軌道部(1108)の近位端部に動かされたスネア制御部(1106)を例示する。スネア制御部(1106)は、スネア制御部(1106)が軌道部(1108)の第2の部分(1116)に沿って軌道部(1108)の近位端部等に動くときに、スネア及びシャトルを細長い本体(1102)内に引き込むように構成されている。
【0099】
縫合糸制御部(1112)の近位部分は、ハンドルの開口部(1114)を通して解放アセンブリに係合して、ロック(1110)を軌道部(1108)から解放し、かつ軌道部(1108)の第2の部分(1116)に沿ったスネア制御部(1106)の動きを可能にするように構成され得る。さらにまたは代替的に、縫合糸制御部(1112)は、シャトルを細長い本体(1102)に解放可能に連結するロックワイヤを引き込むために解放アセンブリに係合するように構成され得る。さらにまたは代替的に、縫合糸制御部(1112)は、シャトルを細長い本体(1102)から解放するように解放アセンブリに係合するように構成され得る。いくつかの変形例では、閉鎖装置は、縫合糸制御部(1112)が解放アセンブリに係合したときに、ロック(1110)が解放され、ロックワイヤが同時に引き込まれ、それによりシャトルを細長い本体(1102)から解放するように構成され得る。よって、いくつかの変形例では、ロック(1110)は、軌道部(1108)から解放され得、よって、ハンドル(1104)及びシャトルは、細長い本体から同時に解放され得る。
【0100】
図12は、
図11A~11Dに関して記載されるハンドルアセンブリ(1100)等のハンドルアセンブリと共に使用するための縫合糸制御部(1200)の斜視図を示す。縫合糸制御部は、ユーザの手によって把持または保持されるように構成された本体(1202)と、1つ以上の突出部と、を備え得る。例えば、縫合糸制御部は、ハンドル内に挿入され得る第1のより長い細長い部分(1204)と、縫合糸に連結され得る第2のより短い細長い部分(1206)と、を備え得る。第1の部分(1204)は、第1の部分がハンドルの側部開口部(例えば、
図11Aに図示される側部開口部(1114))内に挿入されたときに、第2の部分(1206)が、第1の部分(1204)が解放アセンブリに係合することを妨害しない、または別様に防止しないように、第2の部分(1206)よりも長い場合がある。さらに、第1の部分(1204)は、第1の部分(1204)が側部開口部を通して前進されて解放アセンブリに係合することができるように、側部開口部の直径よりも小さい直径を含み得る。他の変形例では、縫合糸制御部(1200)は、縫合糸に連結してスネアループアセンブリから解放し、かつ/もしくは縫合糸を締め付け、かつハンドルの側部開口部内に挿入されて解放アセンブリに係合し得るように(例えば、シャトルを解放し、かつロックをアンロックするように)単一の突出部もしくは細長い部分を備え得る。
図11Aに図示するように、縫合糸制御(1200)は、(例えば、1つ以上の突出部を遠位端面内の開口部を通して挿入することによって)ハンドルの遠位端面に連結することもできる。さらに、縫合糸制御部(1200)は、円筒形突出部により図示されているが、1つ以上の突出部は、任意の好適な断面形状、例えば、楕円形、正方形、長方形、六角形等を有し得る。
【0101】
図13A~13Bは、閉鎖装置のハンドルアセンブリ(1300)の変形例の断面斜視図である。軌道部(1308)及びロック(1310)の下側等の、ハンドルアセンブリ(1300)の内側部分の下側を例示するために、ハンドル(1302)の底部カバーは、
図13A~13Bに示さない。ハンドル(1302)は、解放アセンブリ(1320)に係合するようにハンドル(1302)内に縫合糸制御部(図示せず)の少なくとも一部分を誘導するための開口部(1304)を備え得る。
図11A~11Dに関して上に記載するように、軌道部(1308)、例えば、軌道部の第2の部分に沿ったスネア制御部の動きは、ロックがハンドルに連結され、かつ軌道部(1308)上または内に位置付けられたときに、ロック(1310)によって制限され得る。ハンドル(1302)は、解放アセンブリ(1320)の動き経路を画定し、かつ縫合糸制御部の一部分が解放アセンブリ(1320)に係合するときに解放アセンブリ(1320)を直線経路に沿ってハンドルの対向側に向かって横方向に誘導する解放アセンブリハウジング(1316)と、解放アセンブリハウジング軌道部(1318)と、をさらに備え得る。
【0102】
図13Aに示すように、ロック(1310)は、その近位端部のエンドプレート(1312)と、ロック係合部分(1314)と、を備え得る。ロック係合部分(1314)は、解放係合部分の少なくとも一部分を受け入れるように構成された開口部を備え得る。縫合糸制御部の少なくとも一部分を開口部(1304)内に挿入することによって、ロック係合部分(1314)を解放アセンブリ(1320)の一部分(例えば、解放係合部分)から係脱することによって、軌道部(1308)からロック(1310)をアンロックし得る。縫合糸制御部の少なくとも一部分を開口部(1304)内に挿入することによって、ロックワイヤを近位方向に引っ張り、これにより、シャトルのロックワイヤ管腔からロックワイヤを引き込み、かつシャトルを細長い本体から解放することができる。ロックされていないロック(1310)は、軌道部(1308)から手動で取り外すことができ、スネア制御部が軌道部(1308)の第2部分に沿って動くことができるように軌道部の第2の部分を取り除くことができる。エンドプレート(1312)は、軌道部(1308)の切り込みまたはチャネル(1309)に連結するように構成され得るL字形構造を備え得る。
【0103】
解放アセンブリ(1320)は、ロック(1310)のロック係合部分(1314)に解放可能に連結するように構成された解放係合部分(1324)を備え得る。解放係合部分(1324)がロック係合部分(1314)に連結されたとき、ロックにより、スネア制御部が軌道部の第2の部分に沿って、もしくはこれを介して動くのが阻止され得るか、もしくは別様に防止され得るため、スネア制御部の動きが制限され得る。よって、解放係合部分(1324)がロック係合部分(1314)に連結されたとき、スネア及びシャトルは、先端部及び/または細長い本体の管腔内に完全に引き込まれないことがある。
【0104】
いくつかの変形例では、解放係合部分(1324)は、基部(1323)及びそこから延在している突起部(1325)を備え得、突起部(1325)は、ロック係合部分(1314)内の開口部内に収まるように構成(例えば、サイズが決められた及び成型された)され得る。いくつかの変形例では、突出部(1325)は、円形断面形状を含み得、突出部(1325)の直径は、基部(1323)の長さ/幅/直径よりも小さくすることができるが、突出部(1325)の長さまたは高さは、基部(1323)の高さよりも大きくてもよい。基部(1323)は、任意の好適な断面形状、例えば、正方形、長方形、円形、楕円形等を有してもよい。他の変形例では、解放係合部分(1324)は、別個のまたは識別可能な基部を有さない円形断面形状を含む細長い部材を備え得る。細長い部材の直径は、細長い部材の長手方向軸に沿って(例えば、細長い部材の近位端部から遠位端部まで)一定であり得る。これらの変形例では、細長い部材及び/または係合部分(1324)全体が、ロック係合部分(1314)の開口部内に収まるように構成され得る。いくつかの変形例では、突出部(1325)及び/または解放係合部分(1324)全体は、非円形断面形状、例えば、正方形、長方形、楕円形、六角形、八角形等を有し得る。いくつかの実施形態では、解放係合部分(1324)は、その外面上に(例えば、長さに沿って、かつ/またはその周囲の周りに)1つ以上の切り込み、溝、及び/またはくぼみを備えてもよく、いくつかの例では、解除係合部(1324)とロック(1310)のロック係合部分(1314)との間の接触を確立または維持することを助け得る。基部及び突出部を備える変形例では、切り込み、溝、及び/またはくぼみは、突出部(1325)上に、任意選択的に基部(1323)上にあり得る。
【0105】
解除アセンブリ(1320)はまた、ロックワイヤの近位端部を解放アセンブリ(1320)に連結し得る、ロックワイヤ係合部分(1322)(例えば、ロックワイヤを巻き付けることができるポスト、ネジ等)を備え得る。上に記載するように、ロックワイヤの遠位端部は、シャトルを細長い本体に解放可能に連結し得る、シャトル及び先端部または細長い本体内のロックワイヤ管腔内に配設され得る。
【0106】
図13Aは、ハンドル(1302)の開口部(1304)を通る縫合糸制御部の少なくとも一部分の前進前の解放アセンブリ(1320)を例示する。よって、
図13Aのロック(1310)は、係合されており、ユーザは、管の第2の部分を通してスネア制御部を引き込んで、スネア及びシャトルを装置の管腔内に引き込むことが防止される。ロックが係合されると、ロック(1310)のストッパは、ロック(1310)のロック係合部分(1314)とハンドル(1302)の解放係合部分(1324)との連結を介して軌道部(1308)に連結され得る。この構成では、エンドプレート(1312)は、軌道部(1308)の切り込み(1309)にも連結され得る。
【0107】
図13Bは、縫合糸制御部が開口部(1304)を通して前進され、かつ解放アセンブリ(1320)に係合して、ロックワイヤ及びロック(明瞭化のためにロックは取り外されている)を解放した後のハンドルアセンブリ(1300)を例示する。具体的には、解放アセンブリ(1320)は、解放可能なアセンブリハウジング(1316)内の解放可能なアセンブリハウジング軌道部(1318)の第2の端部(開口部(1304)に隣接する第1の端部に対向する)に誘導されて、ロック(1310)のロック係合部分(1314)から解放係合部分(1324)を切り離した。したがって、ロック(1310)は、軌道部(1308)から取り外され、それにより軌道部(1308)の第2の部分に沿ったスネア制御部の動きを可能にし得る。解放アセンブリハウジング(1316)に沿った解放アセンブ(1320)の動きがまた、ロックワイヤを引き込んで、閉鎖装置の遠位端部で細長い本体からシャトルを解放する。よって、いくつかの変形例では、スネア制御部の動きは、縫合糸が解放され、縫合糸制御部が縫合糸から切り離され(例えば、切断され)、かつ縫合糸制御部の少なくとも一部分が解放アセンブリに係合する(例えば、ハンドルの長手方向軸に対して横断する方向に押す、動く)ように開口部を通して前進されるまで、ロックにより制限され得る。したがって、このようにして、スネアループ及びシャトルの時期尚早な引き込み(例えば、スネアループアセンブリからの縫合糸ループの解放前及び/またはシャットルの細長い本体からの解放前)が防止され得る。スネアループアセンブリから縫合糸ループを解放する前にシャトルの解放及び引き込みを防止することはいくつかの変形例において有用であり得るが、全ての例で、シャトルの解放及び引き込み前に縫合糸ループをスネアループアセンブリから展開する必要はない。
【0108】
図14A及び14Cは、閉鎖装置のハンドルアセンブリ(1400)の別の変形例の断面斜視図である。この変形例では、
図13Aに示すロック(1310)の代わりに、スネア制御部(1412)は、縫合糸制御部(1422)が(例えば、側部開口部を介して)ハンドル内に挿入されるまで、軌道部(1404)に沿ったスネア制御部の動きを制限するように構成されたリミッタ(1416)を備え得る。
図14Bは、
図14Aに示すハンドルアセンブリの側断面図である。ハンドル(1402)の底部カバーは、軌道部(1404)及びスネア制御部(1412)の下側等の、ハンドルアセンブリ(1400)の内側部分の下側を例示するために、
図14A、14B、及び14Cに示さない。
【0109】
ハンドル(1402)は、ハンドル(1402)内で解放アセンブリ(1418)に係合する縫合糸制御部(1422)を稼働及び誘導するための開口部(図示せず)を備え得る。ハンドル(1402)は、縫合糸制御部(1422)が解放アセンブリ(1418)に係合する間に、解放アセンブリハウジング軌道部(1408)に沿った解放アセンブリ(1418)の動きを誘導するための解放アセンブリハウジング(1406)をさらに備え得る。スネア制御部(1412)は、スライダ(1413)と、ばねを介してスライダ(1413)に連結され、かつスライダ(1413)を軌道部(1404)にスライド可能に連結する軌道部係合部分(1414)と、スネアの近位端部をスネア制御部(1412)のスネア軌道部係合部分(1414)に連結するスネアカプラ(1415)(例えば、ブラケット等)と、スネア軌道部係合部分(1414)の近位部分に連結されるか、またはこれと一体的に形成され、かつ軌道部(1404)に沿ったスネア制御部の動きを制限するように構成されたリミッタ(1416)と、を備え得る。スライダ(1413)は、装置を使用中にユーザの手(例えば、親指)によって前進及び後退されるように構成され得る。
【0110】
リミッタ(1416)は、軌道部(1404)に沿ったスネア制御部(1412)の動きを介して、細長い本体内へのスネア及びシャトルの引き込みを提供するのに十分なハンドルの長さに沿って(例えば、その長手方向軸に沿って)延在し得る。リミッタ(1416)は、
図15Aに示すように、解放アセンブリ(1418)から係脱されたときにスライダ(1512)がユーザに向かって上方に面するとき(示す構成での解放アセンブリ下で)、リミッタ(1416)が解放アセンブリ(1418)(及び解放アセンブリハウジング(1406)上を走行することを可能にするように、解放アセンブリ(1418)に対して非重なり平行平面上に提供され得る。解放アセンブリ(1418)は、シャトルを細長い本体から解放し、かつ軌道部に沿ったスネア制御部(1412)の動きを可能にするように構成され得る。
【0111】
縫合糸制御部(1422)は、縫合糸ループを締め付けるように構成されてもよく、かつ近位部分を備え得る。近位部分は、ハンドルの開口部を介して解放アセンブリ(1418)に係合するように構成されてもよく、かつ突出部(1424)を備え得る。突出部(1424)が解放アセンブリ(1418)に係合したとき、リミッタ(1416)は、解放アセンブリ(1418)から係脱され得る。例えば、
図14Cに示すように、解放アセンブリ(1418)は、係合部分(1420)を備え得、縫合糸制御部(1422)は、解放アセンブリ(1418)に係合して、解放アセンブリ(1418)からリミッタ(1416)を係脱するように構成され得る。具体的には、係合部分(1420)は、リミッタ(1416)から係脱して、軌道部(1404)に沿ったスネア制御部(1412)の動きを可能にし得る。いくつかの変形例では、リミッタ(1416)を係脱することは、例えば、リミッタ(1416)の近位の動きを阻止する又は別様に防止する第1の位置から、リミッタ(1416)の近位の動きをもはや阻止しないか、もしくは別様に防止しない第2の位置まで、ハンドル(1402)の長手方向軸に対して横断する方向に、係合部分(1420)を動かすことを含み得る。この変形例では、係合部分(1420)は、物理的な停止または障壁としての役割を果たし得る。よって、解放アセンブリ(1418)を縫合糸制御部(1422)の少なくとも一部分に係合させることで、リミッタ(1416)が係合部分(1420)の近位の位置に動くことができるように、リミッタ(1416)の経路から係合部分(1420)を動かすことができる。
図14Cに示す変形例では、係合部分(1420)は、リミッタ(1416)から係脱されており、かつハンドル(1402)の別の開口部に位置付けられ得る。
【0112】
解放アセンブリ(1418)に係合するように構成された縫合糸制御部(1422)は、シャトルを細長い本体から解放することができる。いくつかの変形例では、縫合糸制御部(1422)は、同時に解放アセンブリ(1418)の係合部分(1420)をリミッタ(1416)から係脱し、シャトルを細長い本体から解放することができる。
【0113】
ハンドル(1402)は、ハンドル(1402)内への縫合糸制御部(1422)の挿入中に解放アセンブリ(1418)の動きを可能にするように構成され、かつ解放アセンブリ(1418)への縫合糸制御部(1422)の係合後に解放アセンブリの動きを制限するように構成された可撓性ラッチ(1410)をさらに備え得る。
図14Aに示すように、縫合糸制御部(1422)がハンドル(1402)内に挿入されると、可撓性ラッチ(1410)は、解放アセンブリ(1418)に係合し得、かつ解放アセンブリ(1418)が解放アセンブリハウジング軌道部(1408)の端部に押されることを可能にするのに十分湾曲し得る。しかし、
図14Cに示すように、突出部(1424)が開口部に完全に挿入されると、可撓性ラッチ(1410)は、元の位置に戻り得、かつ解放アセンブリ(1418)が開口部に向かって解放アセンブリハウジング軌道部(1408)に沿って逆に動くことを防止するような方法で、解放アセンブリ(1418)の第1の側面(すなわち、縫合糸制御部(1422)が挿入されるハンドルの開口部に最も近い面)に係合し得る。
【0114】
図15Aは、閉鎖装置のハンドルアセンブリ(1500)の変形例の断面斜視図である。
図15Bは、
図15Aに示すハンドルアセンブリの側断面図である。
図15A~15Bは、縫合糸制御部(1522)の係合により、解放アセンブリ(1518)がスネア制御部(1512)のリミッタ(1516)から係脱された後の、軌道部(1504)の端部へのスネア制御部(1512)の動きを例示する。縫合糸制御部(1522)は、いったん挿入されるとハンドル(1502)内に留まる必要はなく、単なる図示のために
図15A~15Bに提供されている。
【0115】
スネア制御部(1512)は、ユーザとインタフェースするように構成されたスライダ(1513)または他の要素と、スネア制御部(1512)を軌道部(1504)にスライド可能に連結する軌道部係合部分(1514)と、スネアカプラ(1515)と、リミッタ(1516)と、を備え得る。縫合糸制御部(1522)は、ハンドル(1502)の開口部(図示せず)内に挿入可能な突出部(1524)を備え得、解放アセンブリ(1518)に係合し得る。ハンドル(1502)は、縫合糸制御部(1522)が開口部を介してハウジング(1502)内に挿入されると、解放アセンブリ(1518)をハウジング軌道部(図示せず)に沿って誘導し得る解放アセンブリハウジング(1506)を備え得る。軌道部(1504)の全長に沿ったスネア制御部(1512)の動きを可能にするようにリミッタ(1516)から係脱された係合部分(1520)を示す。さらに、ハンドル(1502)は、
図14A~14Cに関して上に記載されるラッチ(1410)と同様のラッチ(1510)を備え得る。
【0116】
II.方法
本明細書に記載される閉鎖装置は、組織、例えば、左心耳を閉じるのに有用であり得る。閉鎖装置は、経皮的または外科的技法(例えば、胸骨正中切開術、ミニ胸骨切開術、開胸術、胸腔鏡検査)を使用して左心耳にアクセスすることができる。位置合わせ部材を有する1つ以上のガイドを左心耳まで前進させることができる。これらのガイドは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「Devices,Systems,and Methods for Closing the Left Atrial Appendage」と題された、2008年3月25日に出願された、米国特許第8,771,297号に記載されているもの等、任意の好適なガイドであり得る。例えば、位置合わせ部材を有する第1及び第2のガイドを使用して処置を誘導することができる。位置合わせ部材は、任意の好適な位置合わせ部材(例えば、相互接続要素、1つ以上の真空部材、放射線不透過性またはエコー源性マーカー、可聴応答を生成するように構成された部材、磁石等)であってもよい。いくつかの変形例では、位置合わせ部材は、ガイドの遠位端部に配置された磁石であってもよい。これらのガイドは、追加のツール及び/または装置(例えば、閉鎖装置)を左心耳に導くために使用され得る。
【0117】
例えば、いくつかの変形例では、第1のガイドを左心耳内に前進させることができ、第2のガイドを左心耳に隣接する心膜腔内に前進させることができる。これらのガイドのいずれかは、透視視覚化、超音波視覚化、またはそれらのいくつかの組み合わせ等、様々な視覚化技術のうちのいずれかの下で前進させることができる。いったん第1及び第2のガイド部材が左心耳に前進されると、1つ以上の位置付け及び/もしくは安定化要素(例えば、バルーンもしくは他の拡張可能な構造)を、第1のガイド上で、もしくはそれと共に(例えば、第1のガイドに連結されうるか、もしくは第1のガイドの一部であり得る)、左心耳内に前進させることができる。同様に、閉鎖装置は、第2のガイド上で左心耳の外部まで前進させることができる。閉鎖装置は、上に記載される閉鎖装置のうちのいずれであってもよいことが理解されるべきである。
【0118】
左心耳内に配置されたとき、位置付け要素を使用して、閉鎖装置のスネアループを位置付けるのを助け得る。いくつかの変形例では、拡張可能な構造は、左心耳の開口部内もしくはその近くで膨張するか、または別様に拡張されてもよく、スネアループは、拡張可能な構造に遠位の左心耳の周りで閉じられてもよい。他の変形例では、拡張可能な部材は、左心耳の内側で拡張され得る。これらの変形例では、拡張可能な部材は、左心耳の基部の近くに閉鎖装置を位置付けるのを助け得る得る。
【0119】
拡張可能な部材が拡張状態にある間、スネアループは開かれてもよく、かつ左心耳の一部分の周りに配置され得る。いったん左心耳の周りに配置されると、スネアループは、左心耳の周りで閉じられ得る。
【0120】
細長い本体の遠位端部は、標的組織(例えば、左心耳)に向かって体内に前進され得る。前進中、スネアループアセンブリは、スネアループアセンブリが組織もしくは他の障害物を引っかけるか、またはそれらの上で引っかかることを防止するのに役立つように閉じた構成にすることができる。いったん細長い本体の遠位端部が標的組織の、またはその近くの位置に到達すると、スネアループアセンブリを展開構成に開くことができる。次に、スネアループアセンブリを前進させ、動かし、または別様に操作して、標的組織の少なくとも一部分を取り囲むことができる。次に、スネアループアセンブリは、取り囲まれた組織の周りで閉じられて、標的組織を閉じ、結紮し、または別様に制限することができる。スネアループアセンブリは、必要に応じて、再度開けられ、再位置付けられ、かつ再度閉じられ得る。
【0121】
いくつかの例では、縫合糸ループまたは他の制限装置を締め付けて閉鎖装置から解放して、標的組織を閉じた形態に維持することができる。閉鎖装置を体から除去するために、スネアループアセンブリ(例えば、スネア及び任意選択的に保持部材)を再び開けて、スネアループアセンブリ及び細長い本体を引っ込めることができるように、標的組織を解放することができる(縫合糸ループまたは他の制限装置は、適所に留まり得る)。スネアループアセンブリは、細長い本体内への引き込みのために解放され得る。閉鎖装置が引き込み装置もしくは機構を備える変形例では、引き込み装置もしくは機構を使用して、スネア及びシャトルを細長い本体から解放し、かつスネア及びシャトルを細長い本体内に引き込むことができる。
【0122】
本明細書に記載される装置を使用するいくつかの変形例では、本方法は、スネア及びシャトルのどの部分も細長い本体の外側に露出されたままではない、もしくは小部分だけが細長い本体の外側に露出されたままであるように、スネア及びシャトルを細長い本体内に完全に引き込むことを含み得る。本明細書に記載される方法は、先端部からシャトルを解放するために操作者がスネア及びシャトルを時期尚早に引き込むことを防止する方法で、スネアからの縫合糸ループの解放ならびに先端部からのスネア及びシャトルの引き込みを確実にすることができる。
図16A~16G及び17A~17Gは、これらの概念をより明確に示し得る。
図16A~16Gでは、シャトルは、縫合糸ループの締め付け前に解放され、かつ引き込まれる。
図17A~17Gでは、シャトルは、縫合糸ループの締め付け後に解放され、かつ引き込まれる。
【0123】
図16Aは、本明細書に記載される装置を使用した組織閉鎖プロセスの1つの変形例についてのフローチャート(1600)である。
図16B~16Gは、
図16Aの様々なステップに対応するスネアループアセンブリ及びハンドルの斜視図である。フローチャート(1600)は、標的組織(1602)に向かって閉鎖装置を前進させることから始まる。いったん所望の位置まで前進されると、スネアループアセンブリは、
図16B及び16Cに例示するように、標的組織(1604)の周りで閉じられ得る。
図16Bは、先端部(1622)を備える細長い本体(1620)、及び先端部(1622)のシャトル凹部内に位置付けられたシャトル(1626)を備えるスネアループアセンブリ(1624)を例示する。スネアループアセンブリ(1624)は、縫合糸ループ及び保持部材なしで図示されているが、スネアループアセンブリは、縫合糸ループ及び保持部材の両方を備えていてもよい。スネアループアセンブリ(1624)は、閉じた位置で例示されており、スネアループアセンブリの位置(及びスネアループアセンブリによって形成された穴部のサイズ)は、
図16Cに示すハンドル(1628)のユーザ動作によって修正され得る。スネア制御部(1630)は、軌道部に沿ってスライドすることができるが、図示される(及び
図11A~11D及び13A~13Bに関してより詳細に記載される)ロック(1632)、または
図14A~14B及び15A~15Bに関してより詳細に説明されるリミッタによって、スネアループアセンブリ(1624)及びシャトル(1626)の細長い本体(1620)及び/もしくは先端部(1622)内への引き込みを開始をすることが防止され得る。スネアループアセンブリ(1624)は、標的組織が適切に結紮されることを確実にするために必要に応じて開閉することができる。ハンドル(1628)は、縫合糸ループを締め付け、軌道部からロック(1632)を解放し、かつ/またはシャトル(1626)を解放するための縫合糸制御部(1634)をさらに備え得る。
【0124】
スネアループアセンブリ(1624)が標的組織に対して適切に位置決めされるように決定され、かつ標的組織の周りで閉じられた後、縫合糸ループ(図示せず)は、スネアループアセンブリ(1624)から解放され得る(1606)。ユーザは、スネアループアセンブリ(1624)から縫合糸ループを解放するために、ハンドル(1628)の基部から縫合糸制御部(1634)を引っ張り出すことができる。次に、縫合糸制御部(1634)の少なくとも一部分は、ハンドル(1628)内の開口部(例えば、側開口部)内に挿入されて、ハンドル(1628)内で解放アセンブリに係合し、細長い本体(1620)からシャトル(1626)を解放し(1608)、かつロック(1632)をアンロックし得る。
図16D及び16Eは、細長い本体(1620)の先端部(1622)のシャトル凹部から解放されたシャトル、及び軌道部からアンロック及び取り外されたロック(1632)を図示する。次に、細長い本体(1620)の外側に留まっているシャトル(1626)及びスネアループアセンブリ(1624)の一部分は、先端部(1622)及び細長い本体(1620)内に部分的または完全に引き込まれ得る。
【0125】
図16Eの例示的な変形例では、縫合糸制御部(1634)をハンドル(1628)から取り外し、かつ縫合糸制御部(1634)の挿入部分をハンドル(1628)内に提供された解放アセンブリ(図示せず)に係合させるために縫合部制御部(1634)の一部分をハンドルの開口部内に挿入することによって、シャトル(1626)を細長い本体(1620)から解放することができる。例えば、縫合糸制御部(1634)が解放アセンブリに係合するか、または別様に解放アセンブリを動かすと、シャトル(1626)を先端部(1622)に連結するロックワイヤが引き込み得、シャトル(1626)を細長い本体(1620)の先端部(1622)から解放し得る。縫合糸制御部(1634)の解放アセンブリとの係合により、いくつかの変形例では、ロック(1632)またはリミッタをさらに同時に解放/アンロックすることができる。ロック(1632)の取り外しまたはリミッタの係脱により、スネア制御部(1630)がハンドル(1628)の軌道部に沿ってさらに近位に動くことが可能になり得る。スネア制御部(1630)を軌道部の端部に近位に動かすと、スネアループ(例えば、細長い本体の外側に留まるスネア及び保持部材の部分)及びシャトルを管腔内に引き込むことができる。
【0126】
次に、
図16F及び16Gは、先端部(1622)の管腔(1636)及び/または細長い本体(1620)の対応する管腔内へ等、細長い本体(1620)内へのシャトル(1626)の引き込み(1610)を例示する。例えば、先端部(1622)を備える変形例では、シャトル(1626)の引き込みにより、スネアループの一部分が細長い本体の管腔内に位置付けられ得、スネアループの一部分が先端部(1622)の管腔内に位置付けられ得る、またはスネアループの全体が細長い本体(1620)の管腔内に位置付けられ得る。シャトルの解放後、スネアループは、もはやループ構成を有しなくてもよいことが理解されるべきである。引き込み後、シャトルは、先端部(1622)の管腔内、細長い本体部(1620)の管腔内、部分的に先端部(1622)及び細長い本体部(1620)の両方の管腔内、または部分的に先端部(1622)の管腔内に位置付けられ得、かつ部分的に装置の遠位端部から延在し得る。先端部が使用されない変形例では、シャトル(1626)の引き込みは、スネアループ及びシャトルが、細長い本体の管腔内に位置付けられることをもたらし得る。スネアループアセンブリ(1624)及びシャトル(1626)の先端部(1622)及び/または細長い本体(1620)内への引き込みは、ロック(1632)によって先に覆われている、またはリミッタによって先に阻止されている軌道部の端部分(第2の部分)に沿ってスネア制御部(1630)をスライドさせることによって制御され得る。
図16Gは、シャトル(1626)及びスネアループアセンブリ(1624)を細長い本体(1620)及び先端部(1622)内に完全に引き込むための軌道部の端部分における(例えば、軌道部の近位端部における)スネア制御部(1630)を示し、
図16Fは、先端部(1622)の管腔(1636)及び/または細長い本体(1620)内の対応する管腔内に完全に引き込まれたスネアループ及びシャトルを図示する。
【0127】
いったんシャトル及びスネアが細長い本体内に引き込まれると、例えば、「Tissue Ligation Devices and Tensioning Devices Therefor」と題された、2012年6月7日に出願された、米国特許出願第13/490,919号に記載されている引っ張り装置のうちのいずれかを使用して、縫合糸ループを標的組織の周りに締め付け得るか、またはさらに締め付けるができ(1612)、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。最後に、閉鎖装置を体から引き抜くことができる(1614)。
図16A~16Gに例示するように、スネアループアセンブリ(1624)及びシャトル(1626)は、シャトル(1626)が先端部(1622)から解放されるまで引き込まれ得ない。このようにして、時期尚早な引き込みが防止され、それによって閉鎖装置の操作性及び安全性が改善される。
【0128】
図17Aは、組織閉鎖プロセスの別の変形例のフローチャート(1700)である。
図17B~17Gは、
図17Aの様々なステップに対応するスネアループアセンブリ及びハンドルの斜視図である。フローチャート(1700)は、標的組織に向かって閉鎖装置を前進させることから始まる(1702)。いったん所望の位置まで前進すると、スネアループアセンブリを標的組織の周りで閉じてもよい(1704)。
【0129】
図17Bは、先端部(1722)を備える細長い本体(1720)、及び先端部(1722)のシャトル凹部内に位置付けられたシャトル(1726)を備えるスネアループアセンブリ(1724)を例示する。スネアループアセンブリ(1724)は、開位置に例示されており、かつ
図17Cに示すハンドル(1728)のユーザ動作によって修正され得る。この構成では、スネア制御部(1730)は軌道部に沿ってスライドし得るが、ロック(1732)によるスネアループアセンブリ(1724)及びシャトル(1726)の引き込み動作を開始することが防止される。
図14A~14B及び15A~15Bに関して記載されるリミッタは、代替的に、スネア制御部(1730)に連結されて、スネアループアセンブリの時期尚早な引き込みを防止し得る。スネアループアセンブリ(1724)は、標的組織が適切に結紮されることを確実にするために、必要に応じて開閉することができる。ハンドル(1728)は、縫合糸ループを締め付けるための縫合糸制御部(1734)をさらに備え得る。
【0130】
スネアループアセンブリ(1724)が適切に位置付けられていると判断された後、縫合糸ループは、スネアループアセンブリ(1724)から解放されてもよい(1706)。ユーザは、スネアループアセンブリ(1724)から縫合糸ループを解放するために、ハンドル(1728)の基部から縫合糸制御部(1734)を引っ張り出すことができる。次に、
図17Bに示すように、閉じたスネアループアセンブリ(1724)を開けることができる(1708)。スネアループアセンブリを開いた(1708)後、縫合糸ループを標的組織の周りに締め付け得る(1710)。次に、シャトル(1726)は、
図17D及び17Eに例示するように、細長い本体(1720)から解放され得る(1712)。先端部(1722)のシャトル凹部からのシャトル(1726)の解放は、
図17Dに示され、かつスネアループアセンブリ(1724)及びシャトル(1726)を先端部(1722)及び細長い本体(1720)内に引き込むことを可能にする。
【0131】
図17Eの例示的な変形例では、シャトル(1726)は、ハンドル(1728)から縫合糸制御部(1734)を取り外し、かつ縫合糸制御部(1734)をハンドルの開口部内に挿入して、ハンドル(1728)内に提供された解放アセンブリ(図示せず)に接触させることによって、細長い本体(1720)から解放され得る。例えば、上に記載されるように、縫合糸制御部(1734)は、ロックワイヤを引き込んで、シャトル(1726)を細長い本体(1720)から解放することができる解放アセンブリに係合し得る。縫合糸制御部(1734)の解放アセンブリとの係合により、いくつかの変形例では、ロック(1732)をさらに同時に解放/アンロックすることができる。次に、スネア制御部(1730)をハンドル(1728)の軌道部に沿ってさらに近位に動かすことを可能にするために、ロック(1632)を軌道部から取り外すことができる。
【0132】
次に、
図17F及び17Gは、先端部(1722)の管腔(1736)及び細長い本体(1720)内の対応する管腔内へ等、細長い本体(1720)内へのシャトル(1726)の引き込み(1714)を例示する。スネアループアセンブリ(1724)及びシャトルは、ロック(1732)によって先に覆われた軌道部の端部分(第2の部分)に沿って近位にスネア制御部(1730)をスライドさせるか、または別様に動かすことによって、スネアループアセンブリ(1724)及びシャトルを先端部(1722)及び細長い本体(1720)内に引き込む(1714)ことができる。
図17Gは、シャトル(1726)及びスネアループアセンブリ(1724)を細長い本体(1720)内に完全に引き込むための軌道部の端部分(例えば、近位端部)におけるスネア制御部(1730)を示す。
【0133】
最後に、閉鎖装置を体から引き抜くことができる(1716)。
図17A~17Gに例示するように、スネアループアセンブリ(1724)及びシャトル(1726)は、シャトル(1726)が先端部(1722)から解放されるまで引き込まれ得ない。このようにして、時期尚早な引き込みが防止され得、それにより閉鎖装置の操作性及び安全性が改善される。
【0134】
III.システム
組織、例えば左心耳を閉じるためのシステムを本明細書に記載する。概して、本システムは、本明細書に記載される閉鎖装置のうちのいずれかを、1つ以上の追加の構成要素と共に備え得る。例えば、本システムは、ガイド装置を通る管腔を備えるガイド装置を備え得る。管腔は、本明細書に記載される閉鎖装置の細長い本体を受け入れるようにサイズ決め及び構成され得る。いくつかの実施形態では、本システムは、血管系を通って左心耳にアクセスするように適合されたサイズ及び長さを有し、かつ位置合わせ部材を備える第1のガイドワイヤと、胸骨下領域から心膜腔にアクセスするように適合されたサイズ及び長さを有し、かつ位置合わせ部材を備える第2のガイドワイヤと、閉鎖装置と、を備え得る。位置合わせ部材は、任意の好適な位置合わせ部材であり得る。例えば、位置合わせ部材は、放射線不透過性もしくはエコー源性マーカー、可聴応答を生成するように構成された部材、1つ以上の相互接続部材、1つ以上の真空部材、または磁石を含み得る。本システムは、使用のための指示書をさらに備え得る。
【0135】
前述の実装は、明瞭化及び理解のために、例示及び実施例によってある程度詳細に記載されているが、特定の変更及び修正が実施されてもよく、添付の特許請求の範囲内に該当することを意図していることが明らかであろう。さらに、本明細書に記載される装置の構成要素及び特性を任意の組み合わせで使用できることが理解されるべきである。特定の図に関する特定の要素または特性の記載は、限定することを意図するものではなく、その要素が他の記載される要素のいずれかと組み合わせて使用することができないことを示唆するものと解釈されるべきではない。