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特許7522179医療装置を水密封止するためのジャケット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】医療装置を水密封止するためのジャケット
(51)【国際特許分類】
   A61B 46/10 20160101AFI20240717BHJP
   A61F 13/00 20240101ALI20240717BHJP
【FI】
A61B46/10
A61F13/00 F
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022500958
(86)(22)【出願日】2020-07-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2020068930
(87)【国際公開番号】W WO2021004983
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-06-28
(31)【優先権主張番号】19185814.1
(32)【優先日】2019-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501205108
【氏名又は名称】エフ ホフマン-ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォン カンペンハウゼン、ハラルド
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公開第2460394(GB,A)
【文献】特表2017-534429(JP,A)
【文献】特開2018-138116(JP,A)
【文献】米国特許第5817038(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 46/00―50/39
A61F 13/00―15/02
A61M 5/00― 5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置(112)を水密封止するためのジャケット(110)であって、前記ジャケット(110)が少なくとも1つの可撓性エンベロープ(114)を備え、前記可撓性エンベロープ(114)が少なくとも1つの第1の側面(116)と、少なくとも1つの対向する第2の側面(120)と、を備え、前記第1の側面(116)が、
前記医療装置(112)を取り囲むように構成されている、少なくとも1つの第1の封止リップ(124)、及び
前記医療装置(112)を取り囲むように構成され、前記第1の封止リップ(124)から離間している、少なくとも1つの第2の封止リップ(126)、
を備え、
前記可撓性エンベロープ(114)が少なくとも1つのエンベロープ接触封止端部(150)をさらに備え、前記エンベロープ接触封止端部(150)が前記可撓性エンベロープ(114)の前記対向する第2の側面(120)に固定的に接続可能であり、
前記第2の封止リップ(126)が前記第1の封止リップ(124)を取り囲む、
ジャケット(110)。
【請求項2】
前記可撓性エンベロープ(114)が少なくとも1つの低弾性セクションを備える、請求項1に記載のジャケット(110)。
【請求項3】
前記医療装置(112)が医療装置高さhmdを有し、前記第1の封止リップ(124)の圧縮状態において、前記第1の封止リップ(124)が第1の封止リップ高さを有し、前記第1の封止リップ高さが前記医療装置高さhmdよりも大きい、請求項1又は2に記載のジャケット(110)。
【請求項4】
前記第2の封止リップ(126)が少なくとも1つの第1の部分(134)及び少なくとも1つの第2の部分(136)を備える、請求項1からのいずれか一項に記載のジャケット(110)。
【請求項5】
前記第1の部分(134)が前記可撓性エンベロープ(114)の外縁(138)に沿って少なくとも部分的に延びる、請求項に記載のジャケット(110)。
【請求項6】
前記第1の部分(134)の第1の部分端部(146)が前記第2の部分(136)の第2の部分端部(144)にそれぞれ接触し、前記第1の部分(134)の前記第1の部分端部(146)が前記可撓性エンベロープ(114)の長手方向軸(148)に対して両側に位置する、請求項又はに記載のジャケット(110)。
【請求項7】
前記第1の部分(134)が皮膚接触部分(178)であり、前記第2の部分(136)は、前記可撓性エンベロープ(114)の前記対向する第2の側面(120)に接触するように構成され、かつ前記第1の部分(134)の隣に配置されるように構成され、それによって形状嵌合接続を確立するインターロック部分(180)である、請求項からのいずれか一項に記載のジャケット(110)。
【請求項8】
前記エンベロープ接触封止端部(150)が前記可撓性エンベロープ(114)の残りの部分の材料よりも弾性がある材料から作製されている、請求項1からのいずれか一項に記載のジャケット(110)。
【請求項9】
前記第1の封止リップ(124)及び前記第2の封止リップ(126)の一方又は両方が、膨張可能な封止リップ、圧縮可能な封止リップの一方又は両方である、請求項1からのいずれか一項に記載のジャケット(110)。
【請求項10】
前記第1の側面(116)が少なくとも1つの接着材料を少なくとも部分的に含む、請求項1からのいずれか一項に記載のジャケット(110)。
【請求項11】
前記可撓性エンベロープ(114)が少なくとも1つの透明材料から少なくとも部分的に作製されている、請求項1から10のいずれか一項に記載のジャケット(110)。
【請求項12】
前記第1の側面(116)が少なくとも1つの第1の色で少なくとも部分的に着色され、前記対向する第2の側面(120)が少なくとも1つの第2の色で少なくとも部分的に着色され、前記第1の色が前記第2の色とは異なる、請求項1から11のいずれか一項に記載のジャケット(110)。
【請求項13】
少なくとも1つの湿度センサをさらに備える、請求項1から12のいずれか一項に記載のジャケット(110)。
【請求項14】
医療装置(112)を水密封止するためのジャケット(110)であって、前記ジャケット(110)が少なくとも1つの可撓性エンベロープ(114)を備え、前記可撓性エンベロープ(114)が少なくとも1つの第1の側面(116)と、少なくとも1つの対向する第2の側面(120)と、を備え、前記第1の側面(116)が、
前記医療装置(112)を取り囲むように構成されている、少なくとも1つの第1の封止リップ(124)、及び
前記医療装置(112)を取り囲むように構成され、前記第1の封止リップ(124)から離間している、少なくとも1つの第2の封止リップ(126)、
を備え、
前記可撓性エンベロープ(114)が少なくとも1つのエンベロープ接触封止端部(150)をさらに備え、前記エンベロープ接触封止端部(150)が前記可撓性エンベロープ(114)の前記対向する第2の側面(120)に固定的に接続可能であり、
前記医療装置(112)が医療装置高さh md を有し、前記第1の封止リップ(124)の圧縮状態において、前記第1の封止リップ(124)が第1の封止リップ高さを有し、前記第1の封止リップ高さが前記医療装置高さh md よりも大きい、
ジャケット(110)。
【請求項15】
医療装置(112)を水密封止するためのジャケット(110)であって、前記ジャケット(110)が少なくとも1つの可撓性エンベロープ(114)を備え、前記可撓性エンベロープ(114)が少なくとも1つの第1の側面(116)と、少なくとも1つの対向する第2の側面(120)と、を備え、前記第1の側面(116)が、
前記医療装置(112)を取り囲むように構成されている、少なくとも1つの第1の封止リップ(124)、及び
前記医療装置(112)を取り囲むように構成され、前記第1の封止リップ(124)から離間している、少なくとも1つの第2の封止リップ(126)、
を備え、
前記可撓性エンベロープ(114)が少なくとも1つのエンベロープ接触封止端部(150)をさらに備え、前記エンベロープ接触封止端部(150)が前記可撓性エンベロープ(114)の前記対向する第2の側面(120)に固定的に接続可能であり、
前記第2の封止リップ(126)が少なくとも1つの第1の部分(134)及び少なくとも1つの第2の部分(136)を備え、
前記第1の部分(134)が皮膚接触部分(178)であり、前記第2の部分(136)は、前記可撓性エンベロープ(114)の前記対向する第2の側面(120)に接触するように構成され、かつ前記第1の部分(134)の隣に配置されるように構成され、それによって形状嵌合接続を確立するインターロック部分(180)である、
ジャケット(110)。
【請求項16】
医療装置(112)を水密封止するためのジャケット(110)であって、前記ジャケット(110)が少なくとも1つの可撓性エンベロープ(114)を備え、前記可撓性エンベロープ(114)が少なくとも1つの第1の側面(116)と、少なくとも1つの対向する第2の側面(120)と、を備え、前記第1の側面(116)が、
前記医療装置(112)を取り囲むように構成されている、少なくとも1つの第1の封止リップ(124)、及び
前記医療装置(112)を取り囲むように構成され、前記第1の封止リップ(124)から離間している、少なくとも1つの第2の封止リップ(126)、
を備え、
前記可撓性エンベロープ(114)が少なくとも1つのエンベロープ接触封止端部(150)をさらに備え、前記エンベロープ接触封止端部(150)が前記可撓性エンベロープ(114)の前記対向する第2の側面(120)に固定的に接続可能であり、
前記エンベロープ接触封止端部(150)が前記可撓性エンベロープ(114)の残りの部分の材料よりも弾性がある材料から作製されている、
ジャケット(110)。
【請求項17】
医療装置(112)を水密封止するためのジャケット(110)であって、前記ジャケット(110)が少なくとも1つの可撓性エンベロープ(114)を備え、前記可撓性エンベロープ(114)が少なくとも1つの第1の側面(116)と、少なくとも1つの対向する第2の側面(120)と、を備え、前記第1の側面(116)が、
前記医療装置(112)を取り囲むように構成されている、少なくとも1つの第1の封止リップ(124)、及び
前記医療装置(112)を取り囲むように構成され、前記第1の封止リップ(124)から離間している、少なくとも1つの第2の封止リップ(126)、
を備え、
前記可撓性エンベロープ(114)が少なくとも1つのエンベロープ接触封止端部(150)をさらに備え、前記エンベロープ接触封止端部(150)が前記可撓性エンベロープ(114)の前記対向する第2の側面(120)に固定的に接続可能であり、
前記ジャケット(110)が、少なくとも1つの湿度センサをさらに備える、
ジャケット(110)。
【請求項18】
医療装置を水密封止するための方法であって、
a) 少なくとも1つの医療装置(112)を使用者の四肢(164)の皮膚部位(168)に取り付けるステップと、
b) 第1の封止リップ(124)及び第2の封止リップ(126)が前記医療装置(112)を取り囲むように、請求項1から17のいずれか一項に記載の前記ジャケット(110)を前記皮膚部位(168)上に配置するステップと、
c) 前記可撓性エンベロープ(114)を前記四肢(164)の周りに巻き付け、前記エンベロープ接触封止端部(150)を前記可撓性エンベロープ(114)の前記対向する第2の側面(120)に固定的に接続するステップと、
を含む、方法。
【請求項19】
医療装置(112)を水密封止するためのジャケット(110)を用いて医療装置を水密封止するための方法であって、
前記ジャケット(110)が少なくとも1つの可撓性エンベロープ(114)を備え、前記可撓性エンベロープ(114)が少なくとも1つの第1の側面(116)と、少なくとも1つの対向する第2の側面(120)と、を備え、前記第1の側面(116)が、
前記医療装置(112)を取り囲むように構成されている、少なくとも1つの第1の封止リップ(124)、及び
前記医療装置(112)を取り囲むように構成され、前記第1の封止リップ(124)から離間している、少なくとも1つの第2の封止リップ(126)、
を備え、
前記可撓性エンベロープ(114)が少なくとも1つのエンベロープ接触封止端部(150)をさらに備え、前記エンベロープ接触封止端部(150)が前記可撓性エンベロープ(114)の前記対向する第2の側面(120)に固定的に接続可能であり、
前記方法が、
a) 少なくとも1つの医療装置(112)を使用者の四肢(164)の皮膚部位(168)に取り付けるステップと、
b) 第1の封止リップ(124)及び第2の封止リップ(126)が前記医療装置(112)を取り囲むように、前記ジャケット(110)を前記皮膚部位(168)上に配置するステップと、
c) 前記可撓性エンベロープ(114)を前記四肢(164)の周りに巻き付け、前記エンベロープ接触封止端部(150)を前記可撓性エンベロープ(114)の前記対向する第2の側面(120)に固定的に接続するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置を水密封止するためのジャケット及び医療装置を水密封止するための方法に関する。本発明による装置及び方法は、主に、使用者又は患者の腕などの使用者又は患者の四肢に装着される医療装置を収容するために使用することができる。本装置は、医療装置を特に水分から保護するように構成することができる。したがって、本発明は、特にシャワー又は入浴中及び水泳中に適用することができる。他の用途も一般に実現可能である。
【背景技術】
【0002】
薬剤を使用者に送達すること、具体的にはインスリン送達は、疾患の予防及び処置、特に真性糖尿病の処置において重要な役割を果たす。注射ペン又はシリンジを使用することに加えて、インスリン送達は、具体的には、インスリンポンプを使用することによって行われることがある。特に、使用者は、一般に、常に自分の身体にインスリンポンプを着用する必要がある。例えば、インスリンなどの薬剤を送達するための一般的なポンプは、複数の薬剤リザーバを備える。一例として、流体送達装置が国際公開第2011/046950A1号パンフレットに開示されている。流体送達装置は、流体リザーバを有するハウジングを備える。針は、係合位置において流体リザーバと流体連通しており、供給位置及び保管位置において流体リザーバと流体連通していない。付勢部材の近位端は、ハウジングに連結され、付勢部材の遠位端は、流体リザーバに力を送達するように構成されている。ピストン部材は、付勢部材を通って延在し、付勢部材の遠位端に連結されている。ピストン部材は、付勢部材が流体リザーバに力を送達しないようにロック位置でハウジングに対して固定され、ピストン部材は、付勢部材が流体リザーバに力を送達するように解放位置でハウジングに対して移動可能である。針を保管位置から供給位置に移行させることで、ピストンをロック位置から解放位置に移行させる。
【0003】
さらに、医療技術及び診断の分野では、試料、特に体液などの流体試料中の1つ又は複数の分析物の存在及び/又は濃度を決定するための、及び/又は試料の少なくとも1つのパラメータを決定するための多数の装置及び方法が知られている。迅速かつ簡単な測定を行うために、いくつかのタイプの試験要素が知られており、これらは、主に、分析物を検出するか又はパラメータを決定するための検出反応を行うように適合された、1つ又は複数の試験化学物質の使用、すなわち、1つ又は複数の化学物質、1つ又は複数の化合物、又は1つ又は複数の化学混合物の使用に基づく。試験化学物質は、しばしば、試験物質、試験試薬、試験化学物質、又は検出物質とも呼ばれる。体液のサンプルが狙い通りに使用者から採取され、分析物の濃度に関して試験される、いわゆるスポット測定に加えて、連続測定がますます確立されるようになっている。したがって、最近では、例えば間質組織中のグルコースの連続測定(連続モニタリング(CM)とも呼ばれる)が、糖尿病状態を管理、監視及び制御するための別の重要な方法として確立されている。本プロセスでは、活性センサ領域が測定部位に直接適用され、この領域は、一般に間質組織に配置され、例えば、酵素(例えば、グルコースオキシダーゼ、GOD)を使用することによってグルコースを電荷に変換し、この電荷は、グルコース濃度に関連し、測定変数として使用することができる。そのような経皮的測定システムの例は、米国特許第6,360,888B1号又は米国特許第2008/0242962A1号に記載されている。したがって、現在の連続モニタリングシステムは、典型的には経皮システム又は皮下システムであり、以下では両方の表現が同等に使用される。これは、実際のセンサ又はセンサの少なくとも測定部分が使用者の皮膚の下に配置されることを意味する。
【0004】
一般に、サンプル中の1つ又は複数の分析物の存在及び/又は濃度を決定する医療用ポンプ及び装置は、電気的構成要素を含む。さらに、これらの装置は、バッテリ又は蓄電池などのエネルギー源を必要とすることがある。さらに、そのような装置は、使用者又は患者の皮膚部位に取り付けられるように構成されることがある。その結果、これらの装置を周囲環境から、特に湿気及び水などの液体との接触から保護するための対策を講じなければならない。
【0005】
米国特許第5817038A号は、創傷、切開、経皮処置部位、及び関連する医療機器を水分及び他の汚染物質から支持及び保護するためのシステムについて記載している。本発明は、防水外側カバーと、少なくとも1つの吸水性ダムと、肢又は四肢の周りに展開可能な機器支持スリーブとのアセンブリである。防水外側カバーは、使用者の四肢の周りに環状封止を提供する少なくとも1つの防水クロージャを有する柔軟なチューブ又はスリーブである。吸水性ダムは、四肢の周りの封止のすぐ内側に取り外し可能に配置されて、水に曝されている間に封止を破る水分を吸収し、防水スリーブが取り外されるときに、保持された水分を捕捉する。支持スリーブは、防水カバー内で機器を四肢に固定する。本システムの取り付けは面倒であり、様々なストラップを固定する必要があるため、使用者自身で容易に成し遂げることができない。
【0006】
米国特許第7658719A1号は、包帯バッグについて記載している。包帯バッグは、日常的な着用のために患者に医療器具を保持する機能と、特にカテーテル及びその挿入部位のための防水包帯として働く機能との二重の機能を提供する。包帯バッグは、バッグ及び2つの接着剤層を含む。バッグは、第1の縁部に沿って開く。1つの接着剤層は、バッグの前側の他の3つの縁部に沿って配置されている。第2の接着剤層は、バッグの後側の第1の縁部に沿って配置されている。バッグは、第2の接着剤層を使用して挿入部位の近くで患者の腕に取り付けられる。カテーテルチューブ及びポートは、バッグ内に配置されている。次いで、バッグを折り畳んで、前側の第1の接着剤層が腕に面して挿入部位を覆い、挿入部位及び医療器具のための防水包帯を形成するようにする。このソリューションは、装置を最初にバッグに挿入する必要があり、バッグに入れた後は、例えば、輸液ポンプのような経皮的装置、グルコース測定装置のような分析物測定装置、又は皮膚への直接取り付けを必要とする任意の他の医療装置に必要とされるように、装置を皮膚に直接取り付けることができないため、皮膚に取り付ける医療装置には使用できない。
医療装置を周囲環境から保護するための最先端の装置の利点にもかかわらず、いくつかの技術的課題が残っている。具体的には、使用者又は患者の四肢への装置の取り付け及び医療装置の収容は、煩雑な場合がある。さらに、患者又は使用者は、装置を取り付けるために別の人からの追加の助けを必要とする場合がある。
【0007】
解決すべき課題
したがって、本発明の目的は、この種の公知の装置及び方法の欠点を少なくとも部分的に回避し、上述の課題に少なくとも部分的に対処する、医療装置を水密封止するための、好ましくは皮膚に取り付けられた医療装置のためのジャケット、及び医療装置を水密封止する方法を提供することである。具体的には、使用者又は患者による簡単な取り扱いプロセスを可能にする装置及び方法が開示される。
【発明の概要】
【0008】
この問題は、独立請求項の特徴を有する、医療装置を水密封止するためのジャケット及び医療装置を水密封止するための方法によって対処される。単独で又は任意の組合せで実現され得る有利な実施形態は、従属請求項及び本明細書全体にわたって列挙されている。
【0009】
以下で使用される場合、用語「有する(have)」、「備える(comprise)」若しくは「含む(include)」又はそれらの任意の文法上の変形は、非排他的に使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入される特徴に加えて、この文脈で説明されるエンティティにさらなる特徴が存在しない状況と、1つ又は複数のさらなる特徴が存在する状況との両方を指すことができる。例として、表現「AはBを有する」、「AはBを備える」及び「AはBを含む」は、両方とも、Bの他に他の要素がAに存在しない状況(すなわち、AがBのみから排他的に構成される状況)、並びにBの他に1つ又は複数のさらなる要素、例えば要素C、要素C及びD又はさらなる要素が存在する状況を指すことができる。
【0010】
さらに、特徴又は要素が1回又は2回以上存在し得ることを示す用語「少なくとも1つ」、「1つ又は複数」或いは同様の表現は、典型的には、それぞれの特徴又は要素を導入するときに1回のみ使用されることに留意されたい。以下では、ほとんどの場合、それぞれの特徴又は要素に言及するとき、それぞれの特徴又は要素が1回又は複数回存在する可能性があるという事実にもかかわらず、「少なくとも1つ」或いは「1つ又は複数」という表現は繰り返されない。
【0011】
さらに、以下で使用される場合、用語「好ましくは」、「より好ましくは」、「特に」、「より特に」、「具体的に」、「より具体的に」又は同様の用語は、代替の可能性を制限することなく、任意選択の特徴と併せて使用される。したがって、これらの用語によって導入される特徴は、任意選択の特徴であり、特許請求の範囲を何ら限定することを意図するものではない。本発明は、当業者が認識するように、代替の特徴を使用することによって実行されてもよい。同様に、「本発明の一実施形態において」又は同様の表現によって導入される特徴は、本発明の.代替の実施形態に関するいかなる制限もなく、本発明の範囲に関するいかなる制限もなく、そのように導入された特徴を本発明の他の任意選択又は非任意選択の特徴と組み合わせる可能性に関するいかなる制限もなく、任意選択の特徴であることが意図されている。
【0012】
本明細書で使用される「患者」及び「使用者」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、ヒト又は動物が、それぞれ、健康な状態であるか、或いは1つ又は複数の疾患に罹患している可能性があるという事実とは無関係に、ヒト又は動物を指すことができるが、これらに限定されない。一例として、患者又は使用者は、糖尿病に罹患しているヒト又は動物であってもよい。しかしながら、追加的又は代替的に、本発明は、他のタイプの使用者又は患者又は疾患に適用されてもよい。
【0013】
本発明の第1の態様では、医療装置を水密封止するためのジャケットが開示される。ジャケットは、少なくとも1つの可撓性エンベロープを含む。可撓性エンベロープは、少なくとも1つの第1の側面及び少なくとも1つの対向する第2の側面を備える。第1の側面は、
● 医療装置の周囲を取り囲むように構成されている少なくとも1つの第1の封止リップと、
● 医療装置を取り囲むように構成され、第1の封止リップから離間している少なくとも1つの第2の封止リップと
を備える。
【0014】
可撓性エンベロープは、少なくとも1つのエンベロープ接触封止端部をさらに備える。エンベロープ接触封止端部は、可撓性エンベロープの対向する第2の側面に固定的に接続可能である。
【0015】
本明細書で使用される「ジャケット」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、特に、別の要素の少なくとも一部の周りに配置することができる任意の物体を指すことができるが、これに限定されない。具体的には、本発明によるジャケットは、他の物体、特に四肢の上に置かれるか又はその周りに巻き付けられるように構成されていてもよい。したがって、ジャケットは、外皮(covering)として、具体的には他の要素の一部を外部環境から遮蔽する保護外皮として機能することができる。ジャケットは、他の要素上に取り付けられ、他の要素の少なくとも1つの表面を覆うように構成されていてもよい。具体的には、ジャケットは、他の要素と直接接触するように構成されていてもよい。したがって、ジャケットは、カバー、外皮又はコートと呼ばれることもある。
【0016】
本明細書で使用される「封止」という用語は、広義の用語であり、当業者にはその通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定することなく、少なくとも1つの開口部を隠す、及び/又は封止されるべき1つ又は複数の物体を完全に若しくは部分的に取り囲む物体又はプロセスを指すことができる。本明細書で使用される「水密封止」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、開口部及び/又は物体への水及び/又は湿気の浸透が防止されるか、又は少なくとも大幅に低減されるように、少なくとも1つの開口部を隠す、及び/又は封止されるべき1つ又は複数の物体を、湿気及び/又は水から完全に若しくは部分的に取り囲む、物体又はプロセスを指すことができるが、これらに限定されない。好ましくは、本発明による封止は、水源が、水しぶき、雨、シャワー、浴槽、水深3メートルまで、又は水深1メートルまでの深さでの、好ましくは5分まで、10分まで、20分まで、又は30分までの時間にわたっての水泳である場合に、ジャケットの使用中に水が医療装置に接触することを防止する封止である。
【0017】
本明細書で使用される「医療装置」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、特に、少なくとも1つの治療目的を実行するように構成された任意の装置を指すことができるが、これに限定されない。医療装置は、具体的には、医療処置を行うためなど、1つ又は複数の治療目的を行うためなど、互いに相互作用することが可能な1つの構成要素又は2つ以上の構成要素のアセンブリを含むことができる。医療装置は、一般に、医療システム又は医療キットの少なくとも一方であってもよく、又はそれを含んでいてもよい。
【0018】
医療装置は、一般に、薬物及び/又は治療薬などの少なくとも1つの薬剤を使用者に送達するために使用されてもよい。したがって、医療装置は、1つ又は複数の医療処置の一部として使用することができる。したがって、医療装置は、具体的には、少なくとも1つの薬剤を使用者に送達するための投薬装置であってもよい。少なくとも1つの薬剤をユーザに送達するための医療装置は、例示的に、医療ポンプ、具体的にはインスリンポンプ、医療ポンプの遠隔制御ユニットからなる群から選択されてもよい。しかしながら、医療装置の他の実施形態も実現可能である。
【0019】
さらに、医療装置は、体液中の少なくとも1つの分析物を検出するための医療装置であってもよい。本明細書中でさらに使用される場合、用語「検出する」とは、少なくとも1つの分析物の存在及び/又は量及び/又は濃度を決定するプロセスを指す。したがって、検出は、少なくとも1つの分析物の存在又は少なくとも1つの分析物の非存在を単に決定する定性的検出であってもよく、若しくはそれを含んでもよく、並びに/或いは少なくとも1つの分析物の量及び/又は濃度を決定する定量的検出であってもよく、若しくはそれを含んでもよい。検出の結果として、少なくとも1つの測定信号など、検出の結果を特徴付ける少なくとも1つの信号を生成することができる。
【0020】
具体的には、医療装置は、好ましくは、使用者又は患者の皮膚に装着又は取り付けられるように適合された医療装置、特に経皮的医療装置であってもよい。本明細書で使用される場合、用語「経皮的医療装置」とは、皮膚に装着されるように適合された医療装置を指し、この医療装置の一部が身体組織内に少なくとも部分的に配置され、好ましくは、患者又は使用者の皮膚に経皮的に挿入され、より好ましくは、挿入された部分が皮膚に装着された医療装置の残りの部分と物理的に接触している。皮膚に経皮的に挿入されるように適合された部分は、「経皮的に位置決めされた部分」又は「経皮的に位置決め可能な部分」と呼ばれることもある。例えば、医療装置は、患者又は使用者の皮膚に装着されてもよく、経皮的に挿入可能なセンサ又は針若しくはカニューレを備える。適切な医療装置には、Dexcom G5若しくはG6連続グルコースモニタリング(CGM)システム、又はAbbott Freestyle Libreグルコースモニタリングシステムなどの連続グルコース測定装置を含むグルコースセンサなどの分析物センサが含まれる。Insulet’s Omnipod Insulin Management Systemパッチポンプ又はRoche Accu-Chek Solo Micropump Systemなどの経皮的に配置可能な輸液カニューレ又は針を通して薬物を送達するインスリンポンプなどの皮膚取り付け可能な薬物送達ポンプ装置も含まれる。さらに、「経皮的医療装置」という用語には、医療装置の経皮的に挿入された部分を皮膚の中又は下に完全に埋め込むことができ、Senseonics Eversense Eversense連続グルコースモニタリングシステムの場合のように、皮膚に装着された医療装置の部分と無線で通信することができる医療装置も包含される。本発明の経皮的医療装置は、一般に、5mm以下、好ましくは2mm以下、より好ましくは1.5mm以下の、挿入方向に垂直な方向の幅を提供することなどによって、経皮挿入が実現可能であるように寸法決めされていてもよい。医療装置は、100mm未満、又は50mm未満の長さ、例えば30mm以下の長さ、例えば5mm~30mmの長さを有することができる。医療装置は、100mm未満、又は50mm未満の幅、例えば30mm以下の幅、例えば5mm~30mmの幅を有することができる。医療装置は、40mm未満、又は30mm未満の高さ、例えば20mm以下の高さ、例えば5mm~20mmの高さを有することができる。しかし、他の寸法も実現可能であることに留意されたい。医療装置を経皮的医療装置としてさらに使用可能にするために、医療装置は、生体適合性表面、すなわち、少なくとも使用期間の間、使用者、患者又は身体組織にいかなる有害な影響も与えない表面を、完全に又は部分的に提供することができる。
【0021】
本明細書で使用される「エンベロープ」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。具体的には、この用語は、取り囲む又は包囲する構造として具現化することができる細長い物体を指すことができるが、これに限定されない。エンベロープは、具体的には、医療装置などの物体を少なくとも部分的に包囲する3次元構造であってもよい。物体の表面とエンベロープの表面との間の距離は、一定の値であってもよい。具体的には、エンベロープの表面は、物体の表面と直接接触していてもよい。本明細書で使用される場合、「少なくとも部分的に包囲する」という用語は、一般に、1つの物体Aが、物体Bの少なくとも1つの位置又はセクションにおいて別の物体Bの周囲を囲む状況を指すことができる。
【0022】
上記で概説したように、エンベロープは、可撓性エンベロープである。本明細書で使用される「可撓性エンベロープ」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、例えば、10N以下の力などの、両手でエンベロープを保持又は伸ばし、両手を互いに対して動かす間に通常発生する力によって屈曲可能又は変形可能であってもよい任意のエンベロープを指すことができるが、これに限定されない。具体的には、可撓性エンベロープは、少なくとも1つのプラスチック又は可鍛性材料、及び/又は少なくとも1つの弾性材料などの少なくとも1つの変形可能な材料から作製されてもよく、又はそれを含んでいてもよい。可撓性エンベロープは、好ましくは可逆的に変形し、加えられた応力が除去されると、少なくとも部分的に又は好ましくは完全にその元の形状に戻る。
【0023】
本明細書で使用される「側面」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は特に、任意の物体の外側を形成する異なる表面を指すことができるが、これに限定されない。「第1の側面」及び「第2の側面」という用語は、命名された要素に番号付け又はランク付けすることなく、順序を指定することなく、またいくつかの種類の第1の側面及び第2の側面が存在し得る可能性を排除することなく、単に命名法と考えられてもよい。さらに、1つ又は複数の第3の側面などの追加の側面が存在してもよい。第1の側面及び第2の側面は、具体的にはそれぞれ、可撓性エンベロープの長手方向側面を指すことができる。したがって、可撓性エンベロープの短手方向側面はそれぞれ、第1の側面及び第2の側面を横切る方向に、具体的には垂直に延在することができる。第2の側面は、具体的には、可撓性エンベロープの前側を指すことがあり、第1の側面は、具体的には、可撓性エンベロープの後側を指すことがある。好ましくは、具体的には可撓性エンベロープのジャケットが取り付けられた、すなわち巻きつけられた状態において、具体的には可撓性エンベロープのジャケットが、使用者又は患者の四肢に固定的に接続されている場合に、第1の側面は、使用者又は患者の皮膚部位に面することができ、第2の側面は、患者又は使用者の外部環境に面することができる。
【0024】
さらに、第1の側面は、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、少なくとも1つの第1の色で着色されてもよく、第2の側面は、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、少なくとも1つの第2の色で着色されてもよい。第1の色は、第2の色と異なってもよい。したがって、使用者又は患者による第1の側面及び第2の側面の認識が容易になり、ジャケットの取り扱いが向上する可能性がある。
【0025】
可撓性エンベロープは、少なくとも1つの基材を含んでもよい。本明細書でさらに使用される場合、「基材」という用語は、その上若しくは中に配置された1つ又は複数の他の要素を担持するのに適した任意の要素を指すことができる。一例として、基材は、その厚さを少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、又はさらに少なくとも20倍以上超える横方向の広がりを有する基材などの平坦な基材であってもよい。具体的には、基材は、細長い形状を有することができる。具体的には、基材は、丸みを帯びた端部を有することができる。より具体的には、基材は、楕円形のグラウンドの形状を有してもよい。しかしながら、他の形状も実現可能である。以下でさらに詳細に説明される第1の封止リップ及び第2の封止リップが基材に取り付けられてもよい。具体的には、第1の封止リップ及び/又は第2の封止リップは、基材に固定的に張り付けられてもよい。本明細書でさらに使用される場合、「固定的に張り付けられる」という用語は、第1の封止リップ及び/又は第2の封止リップが基材に接触し、これらの要素を互いから取り外すために第1の封止リップ及び/又は第2の封止リップ及び/又は基材に追加の力を加えることなく、第1の封止リップ及び/又は第2の封止リップが基材から外れないように基材上に取り付けられるという事実を指す。具体的には、第1の封止リップ及び/又は第2の封止リップは、材料係合によって、例えば第1の封止リップ及び/又は第2の封止リップを基材に直接接着することによって、基材に接着されてもよい。代替として、基材と、第1の封止リップ及び第2の封止リップの一方又は両方とは、単一部品として製造されてもよい。
【0026】
可撓性エンベロープ、特に基材は、少なくとも1つの弾性材料、具体的には、天然ゴムを含むゴム、ラテックス、シリコーンポリマ、シリコーンコポリマ、少なくとも1つのシリコーンコポリマを含むエラストマー、少なくとも1つのポリ尿素コポリマを含むエラストマー、ポリジメチルシロキサンのコポリマを含むエラストマー、ジメチルシロキサンと尿素とのコポリマを含むエラストマーからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含むことができる。
【0027】
さらに、可撓性エンベロープは、少なくとも1つの低弾性セクションを備えることができる。好ましくは、可撓性エンベロープの低弾性セクションは、医療装置の領域を覆い、好ましくは第1の封止リップの領域も覆う。医療装置の領域、好ましくは第1の封止リップの領域も覆う可撓性エンベロープの低弾性セクションの低弾性特性は、医療装置が皮膚上に配置される場所において、医療装置を安定的に包むことを可能にする場合がある。好ましくは、低弾性セクションは、可撓性エンベロープの他のセクションよりも弾性が低く、最大100ニュートン、最大50ニュートン、又は最大10ニュートン、好ましくは10~50ニュートンの力で可撓性エンベロープ表面に平行に伸ばされたときに、このセクションがセクションの長さの10%まで、又は5%までしか変形されないような弾性を有することができる。可撓性エンベロープの他のセクションは、最大100ニュートン、最大50ニュートン、又は最大10ニュートン、好ましくは10~50ニュートンの力で可撓性エンベロープ表面に平行に伸ばされたときに、このセクションが、セクションの長さの少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、又は少なくとも75%、少なくとも100%、又は少なくとも150%まで変形されるような、高い弾性を有することができる。好ましくは、低弾性セクションは、第1の封止リップによって囲まれる内部空間の中心点から半径内にある領域に対応する領域を覆うことができる。具体的には、半径は、第1の封止リップの内部空間の中心点と第1の封止リップとの間のメジアン距離の少なくとも1.1倍、好ましくは1.2倍、より好ましくは1.5倍、最も好ましくは2倍を超えてもよい。
【0028】
さらに、皮膚に面する第1の側面は、少なくとも1つの接着材料を少なくとも部分的に含んでもよい。具体的には、第2の封止リップによって囲まれた内部領域が接着材料で覆われていてもよい。さらに、具体的には、第1の封止リップ及び/又は第2の封止リップは、接着材料で覆われていてもよい。具体的には、使用者又は患者の皮膚部位に対して接触領域を形成する第1の封止リップ及び/又は第2の封止リップのセクションは、接着材料で覆われてもよい。さらに、エンベロープ接触封止端部の第1の側面は、エンベロープ接触封止端部が可撓性エンベロープの第2の側面に固定的に接続することを可能にするために接着材料で覆われてもよい。接着材料は、具体的には水不溶性接着材料であってもよい。接着剤材料は、具体的には、可撓性エンベロープ接触端部を使用者又は患者の四肢の周囲に巻き付けるために可撓性エンベロープ接触端部に張力をかけるプロセスのために、ジャケットと使用者又は患者の皮膚部位との間の良好な接着を可能にすることができる。
【0029】
可撓性エンベロープは、少なくとも1つの透明な材料から少なくとも部分的に作製されてもよい。透明材料は、少なくとも1つの光学的に透明な材料であってもよい。具体的には、透明材料は、使用中に医療装置を覆う少なくとも1つの領域内にあってもよい。具体的には、可撓性エンベロープのある領域は、透明材料から作製されてもよい。この領域は、具体的には、第1の封止リップによって囲まれている領域、又はジャケットの取り付け後に第1の封止リップによって囲まれた領域を覆う可撓性エンベロープのすべての領域に対応することができる。したがって、医療装置は、ジャケットが使用者又は患者の四肢に取り付けられている間、視覚的に検査可能であってもよい。これは、一方ではジャケットの取り付け/位置決めのために有益であり、医療装置上に表示される任意の視覚情報(例えば、医療装置上に表示されるアラーム、メッセージ又は他の情報、点滅するLEDなど)を検査又は読み取るために有益である。
【0030】
可撓性エンベロープは、使用者又は患者の四肢の周囲に巻き付けられるように構成されていてもよい。四肢は、腕、具体的には上腕、胃、肩、腰、背中、又は脚からなる群から選択されてもよい。具体的には、四肢は、上腕であってもよい。可撓性エンベロープは、具体的には200mm~2000mm、好ましくは300mm~1500mm、より好ましくは400mm~600mmの長さを含むことができる。さらに、可撓性エンベロープは、30mm~300mm、好ましくは30mm~200mm、より好ましくは50mm~100mmの幅を含むことができる。さらに、基材は、0.1mm~10mm、好ましくは0.5mm~5mm、より好ましくは1mm~3mmの厚さを含むことができる。しかしながら、他の寸法も実現可能である。当業者は、可撓性エンベロープの寸法が、一般に、四肢のサイズ並びに本発明によるジャケットで保護されるべき医療装置のサイズ及び位置に依存することを理解するであろう。
【0031】
本明細書で使用される「封止リップ」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、少なくとも1つの開口部を完全に又は部分的に隠すように、並びに/或いは1つ又は複数の物体を水分、埃及び/又は泥などの環境の影響から封じ込めるために完全に若しくは部分的に取り囲むように構成された任意の要素を指すことができるが、これに限定されない。具体的には、封止リップは、少なくとも1つの要素を環境の影響から封じ込めるために少なくとも2次元で少なくとも部分的に取り囲むように構成されていてもよい。
【0032】
「第1の封止リップ」及び「第2の封止リップ」という用語は、命名された要素に番号付け又はランク付けすることなく、順序を特定することなく、またいくつかの種類の第1の封止リップ及び第2の封止リップが存在し得る可能性を排除することなく、単に命名法と考えられてもよい。さらに、1つ又は複数の第3の封止リップなどの追加の封止リップが存在してもよい。
【0033】
第1の封止リップ及び第2の封止リップはそれぞれ、可撓性エンベロープ上、具体的には基材上に突出部を形成することができる。したがって、第1の封止リップ及び第2の封止リップはそれぞれ、可撓性エンベロープ、具体的には基材の表面から突出することができる。
【0034】
可撓性エンベロープ、具体的には基材の長手方向軸を横切る、具体的にはこれに垂直の断面図において、第1の封止リップ及び第2の封止リップは、それぞれ断面プロファイルを画定することができる。断面プロファイルは、球状に成形されてもよく、又は楕円形として成形されてもよい。しかしながら、他の形状も実現可能である。第1の封止リップ及び/又は第2の封止リップは、1mm~100mm、好ましくは2mm~60mm、より好ましくは5mm~30mm、より好ましくは5mm~15mmの高さを有することができる。当業者であれば、封止リップの寸法は、一般に、可撓性エンベロープのサイズ、四肢のサイズ、並びに本発明によるジャケットで保護される医療装置のサイズ及び位置に依存することを理解するであろう。「高さ」という用語は、基材の表面と、断面プロファイルにおいて基材の表面から最も遠い第1の封止リップ又は第2の封止リップの点との間の距離を指すことができる。具体的には、第1の封止リップの第1の封止リップ高さは、第2の封止リップの第2の封止リップ高さと同一であってもよい。しかしながら、代替的に、第1の封止リップの第1の封止リップ高さは、第2の封止リップの第2の封止リップ高さと異なっていてもよい。具体的には、第1の封止リップ高さ及び/又は第2の封止リップ高さは、それぞれ一定であってもよく、変動の許容範囲は、例えば20%以下又は10%以下であってもよい。しかしながら、他の実施形態も同様に実現可能である。さらに、第1の封止リップ及び/又は第2の封止リップは、それぞれ円周方向の封止リップであってもよい。したがって、第1の封止リップ及び/又は第2の封止リップは、それぞれ、可撓性エンベロープ上、具体的には基材上に閉じた封止ラインを画定することができる。
【0035】
第1の封止リップ、第2の封止リップの一方又は両方は、少なくとも1つの弾性材料を含むことができる。具体的には、第1の封止リップ及び第2の封止リップの一方又は両方は、天然ゴムを含むゴム、ラテックス、シリコーンポリマ、シリコーンコポリマ、少なくとも1つのシリコーンコポリマを含むエラストマー、少なくとも1つのポリ尿素コポリマを含むエラストマー、ポリジメチルシロキサンのコポリマを含むエラストマー、ジメチルシロキサンと尿素とのコポリマを含むエラストマーからなる群から選択される少なくとも1つの材料から製造されてもよい。
【0036】
上記で概説したように、第1の封止リップ及び第2の封止リップは、それぞれ、医療装置を取り囲むように構成されている。第2の封止リップは、第1の封止リップをさらに取り囲むことができる。本明細書で使用される「物体を取り囲む」という用語は、広義の用語であり、当業者にはその通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、特に、第2の物体が第1の物体によって少なくとも部分的に、好ましくは完全に、少なくとも2次元で囲まれるように、第2の物体に対して具現化され、配置されている第1の物体の特性を指すが、これに限定されない。したがって、第1の物体は、第2の物体を少なくとも2次元で取り巻くことができる。具体的には、第1の封止リップ及び第2の封止リップは、それぞれ、医療装置を横方向に取り囲むように構成されていてもよい。したがって、第1の封止リップ及び第2の封止リップはそれぞれ、医療装置の側面に位置することができる。したがって、第1の封止リップ及び第2の封止リップはそれぞれ、医療装置を包み込むか又は取り巻くことができる。第1の封止リップ及び第2の封止リップはそれぞれ、上述したように円周方向の封止リップであってもよい。
【0037】
上面図において、第1の封止リップは、円形、楕円形、多角形、矩形からなる群から選択される形状を有していてもよい。しかしながら、他の形状も同様に実現可能である。好ましくは、第1の封止リップの形状は、医療装置が皮膚に取り付けられて上から見たときの医療装置の外形に基づく。好ましくは、第1の封止リップは、使用中に医療装置の外形と接触している。代替として、医療装置の外縁と第1の封止リップの内縁との間には、最大10mm、好ましくは最大5mmの横方向の距離であってもよい。第1の封止リップは、上面図において、120mm未満、又は100mm未満の長さ、例えば50mm未満、30mm未満、20mm未満の長さ、又は例えば10mm~40mmの長さを有することができる。さらに、第1の封止リップは、上面図において、10~30mmの幅など、120mm未満、100mm未満、80mm未満、60mm未満、40mm未満、30mm未満の幅を有することができる。
【0038】
本明細書で使用される場合、「高さ」という用語は、医療装置の2つの長手方向表面間の距離を指すことができる。具体的には、医療装置は、医療装置高さを有することができる。第1の封止リップが圧縮状態にあってもよいジャケットの取り付け状態において、封止リップの第1の高さは、好ましくは、医療装置高さよりも大きい。このようにして、環境からの医療装置の封止が改善される。したがって、可撓性エンベロープが使用者又は患者の四肢の周りに巻き付けられているジャケットの取り付け状態では、医療装置は、一方の長手方向側面が使用者又は患者の皮膚部位によって、医療装置のもう一方の長手方向側面が可撓性エンベロープ、具体的には基材の少なくとも1つの表面によって、及び短手方向側面が第1の封止リップによって横方向に囲まれていてもよい。このようにして、医療装置のしっかりとした封止を達成することができ、同時に、医療装置が配置された皮膚上の場所で確実に動作し続けることができるようにすることができる。この配置は、皮膚に装着又は取り付けられるすべての医療装置、特に経皮的装置にとって特に有利であり、なぜならば、医療装置、特に経皮的に配置された部分を含む医療装置を、ジャケットを付けるとき及びジャケットを取り外すときときにも所定の位置に残しておくことができるためである。したがって、本発明の多用途で取り付けが容易なジャケットは、ジャケットの人間工学的で迅速な取り付け及び取り外しを可能にし、さらに、従来技術で利用可能な医療装置カバーの場合のように、ジャケットを付けるために医療装置を取り外して再度取り付ける必要性を回避する。したがって、着用快適性、使用の安全性、具体的には湿気及び水との接触に対する医療装置の保護が、本発明のジャケットによって提供される。同時に、ジャケットをしっかり巻き付けることにより、医療装置が所定の位置に留まり、適切な操作を保護することも確実にする。最後に、使用者は、四肢の周りのジャケットの巻き付けの締め付けを適合させることができるため、使用者は、従来技術の装置から知られている不快な着用状態を回避しながら、自分の着用の好みに応じてジャケットの取り付けを最適化することができる。
【0039】
第1の封止リップは、基材の第1の側面とともに、医療装置のための開放区画を形成することができる。本明細書で使用される「区画」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、特に、物体の任意の内部空間を指すことができるが、これに限定されない。具体的には、内部空間は、医療装置を受け入れ、保持し、又は収容することができる。内部空間は、例えば、ポンプである医療装置と流体接続している輸液セットなどの別の装置を受け入れ、保持、又は収容するように構成されてもよく、輸液セットは、皮膚に取り付けられ、患者の体内に薬物を注入することができる針を備える。本明細書で使用される「開放区画」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、特に、区画の少なくとも1つの側からアクセス可能な任意の区画を指すことができるが、これに限定されない。例示的には、区画は、いくつかの側壁及び底部を有することができる。しかしながら、区画の上側は、開いていてもよい。したがって、上側は、開放側と呼ばれることがある。
【0040】
上記で概説したように、第2の封止リップは、第1の封止リップから離間している。本明細書で使用される「何かから離間している」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、1つの要素の別の要素に対する配置を指すことができ、2つの要素は互いに距離を置いて配置されている。したがって、1つの要素及び別の要素は、非接触方式で配置されてもよい。具体的には、第1の封止リップ及び第2の封止リップは、1つのレベルにおいて、特に基材の1つのレベルにおいて互いに距離を置いて配置されてもよい。具体的には、第2の封止リップは、好ましくは第1の封止リップを取り囲む。したがって、第2の封止リップは、第1の封止リップを囲む、具体的には取り巻くことができる。可撓性エンベロープの上面図において、第1の封止リップは、第1のメジアン径を有することができ、第2の封止リップは、第2のメジアン径を有することができる。第1のメジアン径は、第2のメジアン径よりも小さくてもよい。
【0041】
具体的には、第2の封止リップは、少なくとも1つの第1の部分及び少なくとも1つの第2の部分を備えることができる。「第1の部分」及び「第2の部分」という用語は、命名された要素に番号付け又はランク付けすることなく、順序を指定することなく、またいくつかの種類の第1の部分及び第2の部分が存在し得る可能性を排除することなく、単に命名法と考えられてもよい。さらに、1つ又は複数の第3の部分などの追加の部分が存在してもよい。
【0042】
本明細書で使用される「部分」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、物体の任意の構成要素を指すことができるが、これに限定されない。構成要素は、物体のさらなる構成要素と相互作用するように構成されていてもよい。具体的には、第1の部分及び第2の部分は、1つ又は複数の目的を実行するために、例えば第1の部分及び第2の部分によって囲まれた内部空間を遮蔽するために、互いに相互作用することが可能であってもよい。
【0043】
第2の部分は、具体的にはジャケットが取り付け状態にあるときに、第1の部分の少なくとも1つのセクションと形状嵌合接続を確立するように構成されていてもよい。「形状嵌合接続」という用語は、一般に、機械的インターロックを介した2つ以上の構成要素間の接続を指すことができる。具体的には、第1の部分は、第1の部分形状を有してもよく、第2の部分は、第2の部分形状を有してもよく、第1の部分形状と第2の部分形状は互いに相補的であってもよい。具体的には、第1の部分は、皮膚接触部分であってもよい。具体的には、第1の部分の皮膚に面する側が皮膚接触部分であってもよい。第1の部分は、皮膚接触封止リップを形成することができる。第1の部分は、使用者又は患者の皮膚部位に接触するように構成されていてもよい。第2の部分は、インターロック部分であってもよい。具体的には、第2の部分の皮膚に面する側がインターロック部分であってもよい。第2の部分は、インターロック封止リップを形成することができる。第2の部分は、可撓性エンベロープの第2の側面に接触するように、かつ第2の封止リップの第1の部分の隣に配置されるように構成されてもよく、それによって形状嵌合接続を確立する。したがって、第2の部分は、少なくとも部分的に第1の部分を囲むように構成されていてもよい。形状嵌合接続は、第1の部分及び第2の部分の形状嵌合コネクタによって囲まれた内部の封止、具体的には水密封止を提供することができる。反対に、接触封止端部を第2の側面に取り付けることで、ジャケットが、具体的には巻き付けられた状態で、所定の位置に留まることを確実にすることができる。
【0044】
具体的には、第1の部分及び第2の部分は、それぞれ、少なくとも1つの磁性材料を含むことができる。第1の部分及び第2の部分は、それぞれ、第1の部分の場合は、使用者又は患者の皮膚部位など、第2の部分の場合は、可撓性エンベロープの第2の側面など、別の物体の表面に接触するように構成されている支持面を有することができる。さらに、第1の部分及び第2の部分は、それぞれ、支持面に隣接する横方向表面を有することができる。より具体的には、第1の部分の第1の横方向表面は、少なくとも1つの第1の磁性材料を備えてもよく、可撓性エンベロープの第2の部分の第2の横方向表面は、好ましくは第1の磁性材料とは反対の磁気極性の少なくとも1つの相補的な第2の磁性材料を備えてもよい。したがって、第1の磁気材料及び第2の磁気材料は、具体的には、使用者又は患者の四肢にジャケットを取り付けている間の形態閉鎖性を改善することができる。さらに、第1の磁性材料及び第2の磁性材料は、具体的には医療装置に対して、使用者又は患者の四肢へのジャケットの正しい配置を改善することができる。
【0045】
ジャケットの第1の端部の皮膚接触側は、皮膚に接着する接着剤でコーティングされていてもよい。これにより、使用者又は患者が片手で又は他の人の助けを借りずにジャケットを取り付けることが容易になる。
【0046】
具体的には、第1の部分は、可撓性エンベロープの外縁に沿って少なくとも部分的に延びることができる。第1の部分は、可撓性エンベロープの外縁と位置合わせされていてもよい。しかしながら、代替的に、第1の部分は、可撓性エンベロープの外縁までの距離に沿って延びていてもよい。第1の部分は、外縁の50%~80%、具体的には外縁の60%~70%を覆ってもよい。第1の部分は、少なくとも2つの第1の部分端部を有することができる。具体的には、第1の部分の第1の部分端部は、可撓性エンベロープの長手方向軸に対して両側に位置することができる。エンベロープ接触封止端部に対向する可撓性エンベロープの端部は、第1の部分を有することができる。可撓性エンベロープ接触封止端部は、第1の部分から自由であってもよい。
【0047】
第2の部分は、第1の部分の延在方向を横切る方向に延在することができる。さらに、第2の部分は、可撓性エンベロープ、具体的には基材の延在方向を横切る方向に延在することができる。具体的には、可撓性エンベロープの上面図において、第2の部分は湾曲形状、具体的にはアーチ形状を有してもよい。しかしながら、他の形状も実現可能である。当業者であれば、本明細書及び図を通しての教示から理解するように、可撓性エンベロープ及び第2の封止リップのそれぞれの部分の形状は、好ましくは、ジャケットを取り付けた後、第2の封止リップのインターロック部分が第2の封止リップの第1の部分とインターロックして、例えば図1Eから明らかなようにジャケットの封止を向上させるような形状である。
【0048】
第2の部分は、少なくとも2つの第2の部分端部を有することができる。具体的には、第1の部分の第1の部分端部は、第2の部分の第2の部分端部にそれぞれ接触してもよい。具体的には、第1の部分の第1の部分端部は、第2の部分の第2の部分端部にそれぞれしっかりと接合されていてもよい。したがって、第2の封止リップの第1の部分及び第2の部分は、別個の部分又は部品であってもよい。しかしながら、他の実施形態も実現可能である。したがって、第1の部分及び第2の部分は、単一の部品として製造されてもよい。具体的には、第1の部分及び第2の部分は、第1の部分端部及び第2の部分端部の連続的な、具体的には融合された部分を形成してもよい。
【0049】
さらに、第1の封止リップ及び第2の封止リップの一方又は両方は、膨張可能な封止リップであってもよい。したがって、第1の封止リップ及び/又は第2の封止リップは、可撓性エンベロープの中空構成要素として製造されてもよい。第1の封止リップ及び/又は第2の封止リップは、具体的には、空気で膨張可能であるように構成されていてもよい。具体的には、第1の封止リップ及び第2の封止リップの両方が膨張可能な封止リップであってもよく、第1の封止リップと第2の封止リップは、可撓性エンベロープのチャネルを介して互いに流体接続されていてもよい。チャネルは、第1の封止リップと第2の封止リップとの間の接続を形成することができる。具体的には、チャネルは、2つの端部を有することができ、2つの端部のうちの一方は、第1の封止リップの点につながり、2つの端部のうちのもう一方は、第2の封止リップの点につながる。第1の封止リップ及び第2の封止リップの一方又は両方は、ジャケットのロック可能な口金を介して充填可能であってもよい。ロック可能な口金は、具体的には、可撓性エンベロープの短手方向側面の一方又は可撓性エンベロープの第2の側面に配置されてもよい。したがって、膨張可能な封止リップを有するジャケットは、ジャケットが非膨張状態で保管されているときに、使用者又は患者によって省スペースで運搬可能かつ保管可能である場合があるという利点と関連付けられてもよい。代替として、膨張可能な封止リップを有するジャケットは、膨張状態で製造され、販売されてもよい。代替として、第1の封止リップ及び第2の封止リップの一方又は両方は、圧縮可能なゲル又は材料(例えば、寒天、シリコンなど)で充填されてもよい。したがって、第1の封止リップ及び第2の封止リップの一方又は両方は、圧縮可能な封止リップであってもよい。「圧縮可能」という用語は、一般に、圧力変化、具体的には応力変化に応答して相対的な体積を変化させる物体又は材料の特性を指すことができる。具体的には、相対的な体積の変化は、体積の減少を指してもよい。具体的には、材料の密度が低下してもよい。
【0050】
本明細書で使用される「端部」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、特に、要素の外部環境に隣接する任意の細長い要素の最後の部分を指すことができるが、これに限定されない。要素の上面図において、端部は、要素の外縁から開始して要素の中間部分までの要素の長さの最大50%に相当してもよい。具体的には、要素の上面図において、端部は、要素の外縁から開始して要素の内部部分までの要素の長さの最大30%、好ましくは20%、より好ましくは10%に相当してもよい。本明細書で使用される「エンベロープ接触封止端部」という用語は、広義の用語であり、当業者にはその通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、エンベロープ接触封止端部とは異なる可撓性エンベロープの一部と接触するように構成された可撓性エンベロープの端部を指すことができるが、これに限定されない。具体的には、以下でさらに詳細に説明するように、エンベロープ接触封止端部は、可撓性エンベロープの一部に固定的に接続可能であってもよい。具体的には、可撓性エンベロープの上面図において、可撓性エンベロープは2つの対向する端部を有することができる。一方の端部は、第2の封止リップの少なくとも一部、具体的には第2の封止リップの第1の部分の少なくとも一部を有することができる。もう一方の端部は、エンベロープ接触封止端部に対応することができる。
【0051】
上記で概説したように、エンベロープ接触封止端部は、可撓性エンベロープの第2の側面に固定的に接続可能である。本明細書で使用される「接続可能」という用語は、広義の用語であり、当業者にはその通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、特に、別の物体に物理的に近接して配置可能かつ固定可能である物体の特性を指すが、これに限定されない。特に、別の物体に接続可能な物体は、他の物体に接続されたときに他の物体と直接的又は間接的に物理的に接触することができる。本明細書で使用される「固定的に接続可能」という用語は、広義の用語であり、当業者にはその通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、物体及び他の物体が、これらの物体を互いから取り外すために物体又は他の物体に追加の力を加えることなく、物体が他の物体から外れないように、又はその逆となるように、互いに接触している少なくとも1つの物体及び少なくとも1つの他の物体の状態を指すことができる。
【0052】
具体的には、エンベロープ接触封止端部は、可撓性エンベロープの第2の側面と結合可能であってもよい。本明細書で使用される「結合可能」という用語は、広義の用語であり、当業者にはその通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、非嵌合状態とも呼ばれる切断状態から、嵌合状態とも呼ばれる又は結合状態とも呼ばれる接続状態にされ、そして切断状態に戻るように構成された1つ又は複数の構成要素の特性を指すことができるが、これに限定されない。切断状態では、構成要素は完全に分解されていてもよく、例えば、構成要素は互いに距離を置いて配置されていてもよく、互いに接触していなくてもよい。しかしながら、代替的に、切断状態では、構成要素間の接触が残っている場合がある。
【0053】
さらに、エンベロープ接触封止端部は、可撓性エンベロープの第2の側面と解放可能に又は非解放可能に接続可能であってもよい。本明細書でさらに使用されるように、機械的接続の文脈における「解放可能」という用語は、機械的接続が、非嵌合状態とも呼ばれる切断状態から、嵌合状態とも呼ばれる接続状態にされ、少なくとも1回、好ましくは数回、切断状態に戻され得るという事実を指す。したがって、機械的接続は、随意に閉じられ、解放されてもよい。具体的には、機械的接続は、いかなる工具も使用することなく、単に手動操作によって解放可能であってもよい。一例として、エンベロープ接触封止端部と可撓性エンベロープの第2の側面との間の接続を開放するために、せいぜい20N、せいぜい10Nなどの、せいぜい50Nの力が必要とされる場合がある。力は、使用者又は患者の片手又は指又は指先によって加えられてもよい。
【0054】
具体的には、エンベロープ接触封止端部は、接着材料によって第2の側面に固定的に接続可能であってもよい。接着材料は、可撓性エンベロープの第1の側面、具体的には、エンベロープの封止端部に接触する領域に位置してもよく、接着材料は、可撓性エンベロープの第2の側面に取り付けられるように構成されていてもよい。具体的には、接着材料は、表面に数回取り付け可能及び表面から取り外し可能であるように構成されていてもよい。
【0055】
具体的には、エンベロープ接触封止端部は、可撓性エンベロープの残りの部分の材料よりも弾性があり、好ましくは伸縮可能な材料で作製されてもいてよい。「弾性」という用語は、一般に、最大100ニュートン、最大50ニュートン、又は最大10ニュートン、好ましくは10~50ニュートンの力で表面に平行に伸ばしたときに、物体の少なくとも1つのセクションの長さなどの寸法の少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、又は少なくとも75%、少なくとも100%、又は少なくとも150%まで変形可能な材料で作製された任意の物体の特性を指すことができる。これにより、力が除去されると、物体は、元のサイズ及び形状に戻ることができる。「伸縮可能」という用語は、一般に、少なくとも1つの方向に伸長可能である任意の要素の特性を指すことができる。具体的には、エンベロープ接触封止端部は、可撓性エンベロープの延在方向に、エンベロープ接触封止端部の初期長さの少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも100%、最も好ましくは少なくとも150%伸縮可能であってもよい。さらに、残りの部分は、可撓性エンベロープの延在方向に、エンベロープ接触封止端部の初期長さの少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも100%、最も好ましくは少なくとも150%伸縮可能であってもよい。
【0056】
さらに、追加的又は代替的に、エンベロープ接触封止端部は、面ファスナによって第2の側面に固定的に接続可能であってもよい。「面ファスナ」という用語は、一般に、少なくとも第1の構成要素と少なくとも第2の構成要素との組立体であって、第1の構成要素の第1の表面が第2の構成要素の対向する第2の表面に取り付け可能なものを指す場合がある。第1の表面は、複数の小さいフックを備えていてもよく、第2の表面は、複数の小さいループを備えていてもよく、逆もまた同様である。第1の表面及び第2の表面を一緒に押し付けた場合に、フックがループに引っかかることができる。結果として、第1の構成要素及び第2の構成要素は、互いに固定的に接続可能であってもよい。しかしながら、第1の構成要素は、例えば第1の表面と第2の表面とを互いに引き離すか又は引き剥がすことなどによって、第2の構成要素から分離可能であってもよい。したがって、面ファスナは、フックアンドパイルファスナ又はタッチファスナと呼ばれることもある。具体的には、エンベロープ接触封止端部は、可撓性エンベロープの第1の側面上の領域がフックを構成してもよく、可撓性エンベロープの第2の側面上の領域がループを構成してもよく、又はその逆であってもよい。好ましくは、可逆的又は不可逆的な固定接続は、Velcro、接着剤、磁石、ジップファスナ、フック、フック留め穴(eye)などの当業者に公知の固定接続手段によって形成される。
【0057】
さらに、追加的又は代替的に、エンベロープ接触封止端部は、少なくとも1つの第3の封止リップを備えていてもよい。具体的には、第3の封止リップは、可撓性エンベロープの第1の側面に面する皮膚上に位置することができる。より具体的には、第3の封止リップは、可撓性エンベロープの外縁に沿って延びてもよく、又は第2の封止リップと平行に延びてもよいが、第1の封止リップと第2の封止リップとの間に位置決めされ得る。第3の封止リップは、エンベロープ接触封止端部に位置することができる。さらに、第3の封止リップの端部は、第2の封止リップの第1の部分の第1の部分端部と直接接触していてもよい。具体的には、第3封止リップと第2封止リップは、単一部品として形成されていてもよい。第3の封止リップは、可撓性エンベロープの第2の側面に接触するように構成されていてもよい。第3の封止リップの導入は、水又は湿気などの作用物質が医療装置に到達するのを防ぐために、さらなる封止障壁を導入することができる。
【0058】
さらに、ジャケットは、少なくとも1つの湿度センサをさらに備えることができる。本明細書でさらに使用される「湿度センサ」という用語は、具体的には、環境内の湿気の存在を検出するように構成されたセンサを指すことができる。具体的には、湿度センサは、環境内への水の侵入を検出するように構成することができる。湿気の存在が検出された場合、警告信号を発することができる。具体的には、湿度センサは、第1の封止リップと第2の封止リップとの間に配置されていてもよい。したがって、湿度センサは、第2の封止リップによって取り囲まれている可撓性エンベロープの領域内に配置されていてもよい。さらに、湿度センサは、第1の封止リップ内に配置されていてもよい。したがって、湿度センサは、第1の封止リップによって取り囲まれている可撓性エンベロープの領域内に配置されていてもよい。具体的には、湿度センサは、少なくとも2つの電極を備えることができる。2つの電極間の導電性接続が、例えば水などの導電性流体を介して形成される場合、電気信号が生成されてもよく、次いで、音響、振動又は視覚アラームをトリガすることができる。しかしながら、湿度センサの他の実施形態も生成されてもよい。さらに、湿度センサは、少なくとも1つの信号変換器を有することができる。
【0059】
ジャケットは、使用中に水又は湿気がジャケットに入った場合に、水又は湿気を吸収することができるシリカなどの湿気を吸収するための手段をさらに備えてもよい。湿気を吸収するそのような手段は、第1の封止リップと第2の封止リップとの間の第1の側面の基材上に、好ましくは閉じたリングの形状で配置されていてもよい。
【0060】
本発明のさらなる態様では、医療装置を水密封止するための方法が開示される。
【0061】
本方法は、独立請求項に記載され、以下に列挙される方法ステップを含む。方法ステップは、所与の順序で実行されてもよい。しかしながら、方法ステップの他の順序も実現可能である。さらに、方法ステップのうちの1つ又は複数は、並行して、及び/又は適時に重複する様式で実行されてもよい。さらに、方法ステップのうちの1つ又は複数が繰り返し実行されてもよい。さらに、列挙されていない追加の方法ステップが存在してもよい。
【0062】
本方法は以下のステップ、すなわち、
a)使用者の四肢の皮膚部位に少なくとも1つの医療装置を取り付けるステップと、
b)上述したように又は以下でより詳細にさらに説明するように、第1の封止リップ及び第2の封止リップが医療装置を取り囲むように、ジャケットを皮膚部位上に配置するステップと、
c)可撓性エンベロープを四肢の周りに巻き付け、エンベロープ接触封止端部を可撓性エンベロープの反対側の第2の側面に固定的に接続するステップと、
を含む。
【0063】
四肢は、腕、具体的には上腕、胃、肩、背中、腰、脚からなる群から選択されてもよい。しかし、他の四肢も実現可能である。四肢の周りの可撓性エンベロープの巻き付けは、具体的には、封止端部に接触するエンベロープに張力をかけることによって行うことができる。方法ステップb)は、使用者又は患者の皮膚部位上の第1の封止リップを平滑化するステップをさらに含むことができる。したがって、第1の封止リップは、皮膚部位への密接な接続を形成することができる。方法ステップc)は、上述したような又は以下でより詳細にさらに説明するような、形状嵌合接続の形成を含むことができる。
【0064】
医療装置を水密封止するための提案されたジャケット、及び医療装置を水密封止するための提案された方法は、公知の装置及び方法よりも多くの利点を提供する。したがって、本発明による医療装置を水密封止するためのジャケットは、具体的には安価であり、容易に取り付けることができる。具体的には、患者は、ジャケットを取り付けるためのいかなる助けも必要としない。加えて、ジャケットは、患者の皮膚部位上に医療装置をよりよく固定する役割を果たすように構成することができる。
【0065】
可撓性エンベロープは、患者の四肢に巻き付けられるように構成されていてもよい。第1の封止リップ及び第2の封止リップは、それぞれ、皮膚に接触することができるため、水又は他の流体の進入を回避することができる。ジャケットの第1の端部の皮膚接触側は、皮膚に接着する接着剤でコーティングされていてもよい。これにより、使用者又は患者が片手で又は他の人の助けを借りずにジャケットを取り付けることが容易になる。エンベロープ接触封止端部は、可撓性エンベロープを患者の皮膚部位に固定するために使用されてもよい。エンベロープ接触封止端部は、エンベロープに接着することができる。
【0066】
医療装置を水密封止するための提案されたジャケットは、使用者又は患者の四肢に装着され得る医療装置を収容するのに適している場合がある。ジャケットは、特に湿気及び水に対して医療装置に保護をもたらすように構成されていてもよい。好ましくは、ジャケットは、水源が、水しぶき、雨、シャワー、浴槽、又は水泳である場合に、ジャケットの使用中に水が医療装置に接触することを防止する封止を提供する。水泳の場合、封止は、水深3メートルまで、又は水深1メートルまでの水泳深度で、好ましくは最大5分、最大10分、最大20分、又は最大30分の水泳時間にわたって、水が医療装置に接触することから保護する。
【0067】
上記で概説したように、第1の封止リップが圧縮状態にあってもよいジャケットの取り付け状態において、封止リップの第1の高さは、好ましくは医療装置高さよりも大きい。したがって、環境からの医療装置の封止を向上させることができる。具体的には、医療装置のしっかりとした封止を達成することができると同時に、医療装置が配置された皮膚上の場所で医療装置が動作し続けることができることを確実にする。この配置は、皮膚に装着又は取り付けられるすべての医療装置、特に経皮的装置にとって特に有利であり、なぜならば、医療装置、特に経皮的に配置された部分を含む医療装置を、ジャケットを付けるとき及びジャケットを取り外すときときにも所定の位置に残しておくことができるためである。したがって、本発明の多用途で取り付けが容易なジャケットは、ジャケットの人間工学的で迅速な取り付け及び取り外しを可能にし、さらに、従来技術で利用可能な医療装置カバーの場合のように、ジャケットを付けるために医療装置を取り外して再度取り付ける必要性を回避する。したがって、着用快適性、使用の安全性、具体的には湿気及び水との接触に対する医療装置の保護が、本発明のジャケットによって提供される。同時に、ジャケットをしっかり巻き付けることにより、医療装置が所定の位置に留まり、適切な操作を保護することも確実にする。最後に、使用者は、四肢の周りのジャケットの巻き付けの締め付けを適合させることができるため、使用者は、従来技術の装置から知られている不快な着用状態を回避しながら、自分の着用の好みに応じてジャケットの取り付けを最適化することができる。
【0068】
要約すると、さらなる可能な実施形態を除外することなく、以下の実施形態が想定され得る。
【0069】
実施形態1:医療装置を水密封止するためのジャケットであって、ジャケットが少なくとも1つの可撓性エンベロープを備え、可撓性エンベロープが少なくとも1つの第1の側面と、少なくとも1つの対向する第2の側面とを備え、第1の側面が、
● 医療装置の周囲を取り囲むように構成されている少なくとも1つの第1の封止リップと、
● 医療装置を取り囲むように構成され、第1の封止リップから離間している少なくとも1つの第2の封止リップと、
を備え、
可撓性エンベロープが少なくとも1つのエンベロープ接触封止端部をさらに備え、エンベロープ接触封止端部が可撓性エンベロープの対向する第2の側面に固定的に接続可能である、
ジャケット。
【0070】
実施形態2:第2の封止リップが第1の封止リップを取り囲む、実施形態1に記載のジャケット。
【0071】
実施形態3:可撓性エンベロープが少なくとも1つの低弾性セクションを備える、実施形態1から2のいずれか一項に記載のジャケット。
【0072】
実施形態4:低弾性セクションが少なくとも1つの塑性成形可能な材料を含み、塑性成形可能な材料が、熱可塑性材料、具体的にはポリエチレン、具体的にはポリプロピレン、具体的にはポリスチレン、具体的にはポリ塩化ビニルからなる群から選択される、実施形態3に記載のジャケット。
【0073】
実施形態5:セクションが医療装置を包み込むように構成された可撓性エンベロープの領域に対応する、実施形態3から4のいずれか一項に記載のジャケット。
【0074】
実施形態6:第1の封止リップが、医療装置のためのレセプタクルを形成する、実施形態1から5のいずれか一項に記載のジャケット。
【0075】
実施形態7:第1の封止リップが、医療装置を横方向に取り囲むように構成されている、実施形態1から6のいずれか一項に記載のジャケット。
【0076】
実施形態8:上面図において、第1の封止リップが、円形、楕円形、多角形、矩形、又は医療装置の形状に一致する形状からなる群から選択される形状を有する、実施形態1から7のいずれか一項に記載のジャケット。
【0077】
実施形態9:医療装置が医療装置高さを有し、第1の封止リップの圧縮状態において、第1の封止リップが第1の封止リップ高さを有し、第1の封止リップ高さが医療装置高さよりも大きい、実施形態1から8のいずれか一項に記載のジャケット。
【0078】
実施形態10:第2の封止リップが、少なくとも1つの第1の部分及び少なくとも1つの第2の部分を含む、実施形態1から9のいずれか一項に記載のジャケット。
【0079】
実施形態11:第1の部分が可撓性エンベロープの外縁に沿って少なくとも部分的に延びる、実施形態10に記載のジャケット。
【0080】
実施形態12:第2の部分が第1の部分の延在方向を横切る方向に延在する、実施形態10から11のいずれか一項に記載のジャケット。
【0081】
実施形態13:第2の部分が、湾曲形状、具体的にはアーチ形状を有する、実施形態10から12のいずれか一項に記載のジャケット。
【0082】
実施形態14:第1の部分の第1の部分端部が第2の部分の第2の部分端部にそれぞれ接触し、第1の部分の第1の部分端部が可撓性エンベロープの長手方向軸に対して両側に位置する、実施形態10からら13のいずれか一項に記載のジャケット。
【0083】
実施形態15:第1の部分が第1の部分形状を有し、第2の部分が第2の部分形状を有し、第1の部分形状と第2の部分形状が互いに相補的である、実施形態10から14のいずれか一項に記載のジャケット。
【0084】
実施形態16:第1の部分及び第2の部分がそれぞれ少なくとも1つの磁性材料を含む、実施形態10から15のいずれか一項に記載のジャケット。
【0085】
実施形態17:第1の封止リップ及び第2の封止リップの一方又は両方が、少なくとも1つの弾性材料を含む、実施形態1から16のいずれか一項に記載のジャケット。
【0086】
実施形態18:第1の封止リップ及び第2の封止リップの一方又は両方が、シリコーンポリマ、シリコーンコポリマ、少なくとも1つのシリコーンコポリマを含むエラストマー、少なくとも1つのポリ尿素コポリマを含むエラストマー、ポリジメチルシロキサンのコポリマを含むエラストマー、ジメチルシロキサンと尿素とのコポリマを含むエラストマーからなる群から選択される少なくとも1つの材料から製造される、実施形態1から17のいずれか一項に記載のジャケット。
【0087】
実施形態19:第1の封止リップ及び第2の封止リップの一方又は両方が、膨張可能な封止リップ及び/又は圧縮可能な封止リップである、実施形態1から18のいずれか一項に記載のジャケット。
【0088】
実施形態20:第1の封止リップ及び第2の封止リップの両方が膨張可能な封止リップであり、第1の封止リップと第2の封止リップが可撓性エンベロープのチャネルを介して互いに流体接続されている、実施形態19に記載のジャケット。
【0089】
実施形態21:第1の封止リップ及び第2の封止リップの一方又は両方が、ジャケットのロック可能な口金を介して充填可能である、実施形態19から20のいずれか一項に記載のジャケット。
【0090】
実施形態22:第1の側面が少なくとも1つの接着材料を少なくとも部分的に含む、実施形態1から21のいずれか一項に記載のジャケット。
【0091】
実施形態23:可撓性エンベロープが、好ましくは使用中に医療装置を覆う領域において、少なくとも部分的に少なくとも1つの透明な材料から作製されている、実施形態1から22のいずれか一項に記載のジャケット。
【0092】
実施形態24:第1の側面が少なくとも1つの第1の色で少なくとも部分的に着色され、対向する第2の側面が少なくとも1つの第2の色で少なくとも部分的に着色され、第1の色が第2の色と異なる、実施形態1から23のいずれか一項に記載のジャケット。
【0093】
実施形態25:少なくとも1つの湿度センサをさらに含む、実施形態1から24のいずれか一項に記載のジャケット。
【0094】
実施形態26:湿度センサが第1の封止リップ内に配置されている、実施形態25に記載のジャケット。
【0095】
実施形態27:湿度センサが第1の封止リップと第2の封止リップとの間に配置されている、実施形態25から26のいずれか一項に記載のジャケット。
【0096】
実施形態28:エンベロープ接触封止端部が、対向する第2の側面に機械的に固定的に接続可能である、実施形態26から27のいずれか一項に記載のジャケット。
【0097】
実施形態29:エンベロープ接触封止端部が、接着材料によって対向する第2の側面に固定的に接続可能である、実施形態1から28のいずれか一項に記載のジャケット。
【0098】
実施形態30:エンベロープ接触封止端部が、面ファスナによって対向する第2の側面に固定的に接続可能である、実施形態1から29のいずれか一項に記載のジャケット。
【0099】
実施形態31:エンベロープ接触封止端部が、可撓性エンベロープの残りの部分の材料よりも弾性があり、具体的には伸縮可能である材料から作製されている、実施形態1から30のいずれか一項に記載のジャケット。
【0100】
実施形態32:エンベロープ接触封止端部が少なくとも1つの第3の封止リップを含み、第3の封止リップが可撓性エンベロープの第1の側面に位置し、第3の封止リップが可撓性エンベロープの対向する第2の側面に接触するように構成されている、実施形態1から31のいずれか一項に記載のジャケット。
【0101】
実施形態33:医療装置が、少なくとも1つの薬剤を使用者に送達するための投薬装置、体液中の少なくとも1つの分析物を検出するための医療装置からなる群から選択される、実施形態1から32のいずれか一項に記載のジャケット。
【0102】
実施形態34:医療装置を水密封止するための方法であって、以下:
a)少なくとも1つの医療装置を使用者の四肢の皮膚部位に取り付けるステップと、
b)第1の封止リップ及び前記第2の封止リップが前記医療装置を取り囲むように、実施形態1から34のいずれか一項に記載のジャケットを皮膚部位上に配置するステップと、
c)可撓性エンベロープを四肢の周りに巻き付け、エンベロープ接触封止端部を可撓性エンベロープの対向する第2の側面に固定的に接続するステップと
を含む方法。
【0103】
実施形態35:方法ステップb)が、皮膚部位上の第1の封止リップを平滑化することをさらに含む、実施形態35に記載の方法。
【0104】
実施形態36:四肢が、腕、具体的には上腕、胃、肩、背中からなる群から選択される、実施形態35から36のいずれか一項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0105】
さらなる任意選択の特徴及び実施形態は、好ましくは従属請求項と併せて、実施形態の後続の説明においてより詳細に開示される。実施形態では、それぞれの任意選択の特徴は、当業者が理解するように、分離された形で、並びに任意の実現可能な組合せで実現することができる。本発明の範囲は、好ましい実施形態によって限定されない。実施形態は、図に概略的に示されている。実施形態では、これらの図における同一の参照番号は、同一又は機能的に同等の要素を指す。
【0106】
図1A】本発明によるジャケットの例示的な実施形態の上面図である。
図1B】本発明によるジャケットの例示的な実施形態の断面図である。
図1C】本発明によるジャケットの例示的な実施形態の断面図である。
図1D】本発明によるジャケットの例示的な実施形態の断面図である。
図1E】本発明によるジャケットの例示的な実施形態の断面図である。
図2A】本発明によるジャケットのさらなる例示的な実施形態の上面図である。
図2B】本発明によるジャケットのさらなる例示的な実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0107】
図1A図1Eは、本発明によるジャケット110の例示的な実施形態を上面図(図1A)及び様々な断面図(図1B図1E)で示す。
【0108】
図1Aは、医療装置112を水密封止するためのジャケット110を、取り付け前の状態の上面図で示す。医療装置112も図1Aに示されている。しかしながら、医療装置112自体は、ジャケット110の一部でなくてもよい。ジャケット110は、少なくとも1つの可撓性エンベロープ114を備える。可撓性エンベロープ114は、少なくとも1つの第1の側面116、具体的には、少なくとも1つの皮膚に面する第1の側面117と、少なくとも1つの第2の側面120、具体的には、皮膚とは反対向きであってもよい、具体的には少なくとも1つの対向する第2の側面118と、を含む。したがって、第2の側面120は、外側に面する第2の側面121とも呼ばれることがある。図1Aに示す上面図では、皮膚に面する第1の側面117が示されている。皮膚に面する第1の側面117及び対向する第2の側面118は、それぞれ、可撓性エンベロープ114の長手方向の側面122に相当していてもよい。可撓性エンベロープ114は、具体的には、楕円形状などの細長い形状を有することができる。しかしながら、他の形状も実現可能である。さらに、可撓性エンベロープ114は、少なくとも1つの弾性材料から少なくとも部分的に作製されていてもよい。
【0109】
可撓性エンベロープ114は、医療装置112を取り囲むように構成された少なくとも1つの第1の封止リップ124と、第1の封止リップ124及び医療装置112を取り囲むように構成された少なくとも1つの第2の封止リップ126と、を備える。第2の封止リップ126は、第1の封止リップ124から離間している。具体的には、可撓性エンベロープ114は、少なくとも1つの基材128を含むことができ、第1の封止リップ124及び第2の封止リップ126は、それぞれ、基材128の表面130に接着されるなどによって基材128に取り付けられていてもよい。
【0110】
図1Aに示すような上面図において、第1の封止リップ124は、矩形形状を有してもよい。しかしながら、医療装置の上面形状に近い又は同一の形状などの他の形状も実現可能であってもよい。第1の封止リップ124は、医療装置112のための開放区画132を形成することができる。
【0111】
具体的には、第2の封止リップ126は、第1の部分134及び第2の部分136を含むことができる。第1の部分134は、可撓性エンベロープ114の外縁138に沿って少なくとも部分的に延びることができる。具体的には、第1の部分134は、可撓性エンベロープ114の外縁138と位置合わせされていてもよい。第2の部分136は、第1の部分134の第1の延在方向140を横切る方向に延在することができる。さらに、第2の部分136は、可撓性エンベロープ114の第2の延在方向142を横切る方向に延在することができる。第1の部分134の第1の延在方向140は、可撓性エンベロープ114の第2の延在方向142に対応していてもよい。具体的には、図1Aに示すような可撓性エンベロープ114の上面図において、第2の部分136は、アーチ形状を有することができる。第2の部分136は、少なくとも2つの第2の部分端部144を有することができる。第1の部分134は、少なくとも2つの第1の部分端部146を有することができる。第1の部分134の第1の部分端部146は、第2の部分136の第2の部分端部144にそれぞれしっかりと接合されていてもよい。第1の部分134の第1の部分端部146は、可撓性エンベロープ114の長手方向軸148に対して両側に位置することができる。
【0112】
可撓性エンベロープ114は、少なくとも1つのエンベロープ接触封止端部150をさらに備える。エンベロープ接触封止端部150の皮膚に面する第1の側面117は、ジャケット110の取り付け中などに、可撓性エンベロープ114の外側に面する第2の側面121に固定的に接続可能である。具体的には、図1Aに示すような可撓性エンベロープ114の上面図において、可撓性エンベロープ114は、2つの対向する端部152を有することができる。1つの第1の端部154は、第2の封止リップ126の少なくとも一部、具体的には第2の封止リップ126の第1の部分134の少なくとも一部を有することができる。1つの第2の端部156は、エンベロープ接触封止端部150に対応することができる。
【0113】
図1Bには、図1Aに示した線A-Aに沿った断面図が示されている。断面図は、第2の封止リップ126、具体的には第2の封止リップの第1の部分134及び第2の部分136を示す。図1Bに示すような断面図において、第2の封止リップ126は、丸いグラウンドの形状を有してもよい。具体的には、第1の部分134の第1の部分高さhp1は、第2の部分136の第2の部分高さhp2と同一であってもよい。
【0114】
図1Cには、図1Aに示した線B-Bに沿った断面図が示されている。断面図は、第1の封止リップ124を示す。上記で概説したように、第1の封止リップ124は、医療装置112を取り囲む。具体的には、第1の封止リップ124は、医療装置112のための開放区画132を形成することができる。したがって、医療装置112は、医療装置112の一方の長手方向側面158において、可撓性エンベロープ114の表面130によって囲まれていてもよい。医療装置112の短手方向側面160において、医療装置112は、第1の封止リップ124によって囲まれていてもよい。医療装置112は、医療装置高さhmpを有することができる。ジャケットを取り付けた後の圧縮状態において、医療装置高さhmpは、第1の封止リップ124の第1の封止リップ高さhsI1よりも小さくてもよい。
【0115】
図1Dには、図1Aに示す線C-Cに沿った断面図が示されている。断面図は、第2の封止リップ136、具体的には第2の封止リップ136の第1の部分134を示す。図1Dに見られるように、第2の封止リップ136は、可撓性エンベロープ114の外縁138と位置合わせされていてもよい。
【0116】
図1Eには、ジャケット110のさらなる断面図が示されている。図1Eにおいて、ジャケット110は、取り付け状態162で示されている。したがって、図1Eは、皮膚に取り付け可能な医療装置112を着用している使用者又は患者の四肢164、具体的には腕166の断面図を示し、ジャケット110は、四肢164の周りに巻き付けられている。
【0117】
医療装置112は、四肢164の皮膚部位168に取り付けられてもよい。具体的には、医療装置112は、挿入可能な要素170を有することができる。挿入可能な要素170は、少なくとも部分的に、四肢164の皮膚内又は皮膚下に位置してもよい。
【0118】
可撓性エンベロープ114は、四肢164を完全に取り巻くことができる。それによって、第1の封止リップ124は、医療装置112を取り囲むことができる。第2の部分136は、第1の部分134の少なくとも1つのセクション176と形状嵌合接続を確立するように構成されていてもよい。具体的には、第1の部分134は、皮膚部位168に接触するように構成された皮膚接触部分178であってもよい。第2の部分136は、可撓性エンベロープ114の第2の側面120に接触するように、かつ第1の部分134の隣に、具体的には第1の部分の横方向表面182の隣に配置されるように構成され、それによって形状嵌合接続を確立するインターロック部分180であってもよい。エンベロープ接触封止端部150の皮膚に面する第1の側面117は、可撓性エンベロープの外側に面する第2の側面120に固定的に接続可能である。
【0119】
したがって、図1Eに示すように、可撓性エンベロープ114を四肢164の周りに巻き付けるとき、第2の封止リップの第2の部分136は、皮膚部位168に接触する第1の封止リップ124の上に引っ張られてもよい。その後、エンベロープ接触封止端部150が医療装置112及び第1の封止リップ124を覆うように、エンベロープ接触封止端部150が四肢164の周りにさらに巻き付けられてもよい。具体的には、エンベロープ接触封止端部150は、可撓性エンベロープ114の医療装置112とは反対側の部分上の四肢の周りに巻き付けられてもよい。第2の部分136と第1の部分134とのインターロックが行われてもよい。その後、エンベロープ接触封止端部150は、可撓性エンベロープ114の第2の側面に固定的に取り付けられてもよい。したがって、エンベロープ接触封止端部150は、可撓性エンベロープ114の第2の側面120上に配置され得る。
【0120】
図2A図2Bは、本発明によるジャケット110のさらなる例示的な実施形態を上面図(図2A)及び断面図(図2B)で示す。図2A及び図2Bに示すジャケット110は、図1A図1Eに示すジャケット110に少なくとも部分的に対応する。したがって、上記の図1A~1Eの説明を参照することができる。
【0121】
図2A及び図2Bに示すように、第1の側面116、具体的にはエンベロープ接触封止端部150は、少なくとも1つの第3の封止リップ172を備えることができる。第3の封止リップ172は、可撓性エンベロープ114の外縁138に沿って延びることができる。さらに、第3の封止リップ172の第3の端部174は、第2の封止リップ126の第1の部分134の第1の端部154と直接接触していてもよい。具体的には、第3の封止リップ172と第2の封止リップ126は、単一部品として形成されてもよい。図2Bに示すように、第3の封止リップ172は、可撓性エンベロープ114の第2の側面120に接触するように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0122】
110 ジャケット
112 医療装置
114 可撓性エンベロープ
116 第1の側面
117 皮膚に面する第1の側面
118 対向する第2の側面
120 第2の側面
121 外側に面する第2の側面
122 長手方向側面
124 第1の封止リップ
126 第2の封止リップ
128 基材
130 表面
132 開放区画
134 第1の部分
136 第2の部分
138 外縁
140 第1の延在方向
142 第2の延在方向
144 第2の部分端部
146 第1の部分端部
148 長手方向軸
150 エンベロープ接触封止端部
152 端部
154 第1の端部
156 第2の端部
158 長手方向側面
160 短手方向側面
162 取り付け状態
164 四肢
166 腕
168 皮膚部位
170 挿入可能な要素
172 第3の封止リップ
174 第3の端部
176 セクション
178 皮膚接触部分
180 インターロック部分
182 横方向表面
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B