(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】装置の状態を監視する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
F15B 20/00 20060101AFI20240717BHJP
F04B 51/00 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
F15B20/00 D
F04B51/00
(21)【出願番号】P 2022511293
(86)(22)【出願日】2020-08-20
(86)【国際出願番号】 EP2020073337
(87)【国際公開番号】W WO2021032838
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2023-03-08
(31)【優先権主張番号】102019212631.6
(32)【優先日】2019-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519044656
【氏名又は名称】プツマイスター エンジニアリング ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】PUTZMEISTER ENGINEERING GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】カール ビーゼナック
(72)【発明者】
【氏名】ベンヤミン ヘルツレ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル シェーファー
(72)【発明者】
【氏名】ボルフ-ミヒャエル ペーツォルト
(72)【発明者】
【氏名】ヤン-マルティン ファイト
(72)【発明者】
【氏名】ビルヘルム エフ.ホフマン
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-105766(JP,A)
【文献】特開2005-098230(JP,A)
【文献】特開平10-281113(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0220358(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 20/00-21/12
F15B 11/00-11/22;21/14
F04B 49/00-51/00
F04B 9/00-15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置(1)の状態を監視するための方法であって、
装置(1)は、
油圧液体(HF)を受容するための第1駆動シリンダ(10a)と、
該第1駆動シリンダ(10a)内に可動的に配置された第1駆動ピストン(11a)と、を有し、
前記方法は、
前記第1駆動ピストン(11a)の速度を検出するステップと、
前記第1駆動ピストン(11a)の検出速度と前記第1駆動ピストン(11a)の予想速度との間の差を計算するステップと、
前記第1駆動ピストン(11a)の検出速度と前記第1駆動ピストン(11a)の予想速度との間で計算された差に応じて不良状態を決定するステップと、
を有
し、
前記装置(1)は、濃厚物質(DS)を圧送するための装置(1)であり、さらに、
濃厚物質(DS)を受容及び送出するための第1圧送シリンダ(12a)と、該第1圧送シリンダ(12a)内に可動的に配置された第1圧送ピストン(13a)と、前記第1駆動ピストン(11a)と前記第1圧送ピストン(13a)とを運動連結するために、前記第1駆動ピストン(11a)及び前記第1圧送ピストン(13a)に固定された第1ピストンロッド(14a)と、
欠陥のない状態で、前記第1駆動ピストン(11a)と共に、前記第1駆動シリンダ(10a)内の駆動ポンプ側容積(V1)を前記第1駆動シリンダ(10a)内の揺動容積(V2)に対してシールするピストンシール(15)と、
前記第1ピストンロッド(14a)と共に、第1駆動シリンダ(10a)を周囲に対してシールするロッドシール(16)と、を有し、
前記方法はさらに、
前記ピストンシール(15)の欠陥の形及び/又は前記ロッドシール(16)の欠陥の形での不良状態を、前記第1駆動ピストン(11a)の検出速度と前記第1駆動ピストン(11a)の予想速度との間で計算された差に応じて決定するステップを有し、
前記装置がさらに、
油圧液体(HF)を受容するための第2駆動シリンダ(10b)と、該第2駆動シリンダ(10b)内に可動的に配置された第2駆動ピストン(11b)と、濃厚物質(DS)を受容及び送出するための第2圧送シリンダ(12b)と、該第2圧送シリンダ(12b)内に可動的に配置された第2圧送ピストン(13b)と、前記第2駆動ピストン(11b)と前記第2圧送ピストン(13b)とを運動連結するために第2駆動ピストン(11b)及び前記第2圧送ピストン(13b)に固定された第2ピストンロッド(14b)と、を有し、
前記第1駆動シリンダ(10a)内で前記第1駆動ピストン(11a)は、前記駆動ポンプ側容積(V1)を前記揺動容積(V2)から仕切り、
前記第2駆動シリンダ(10b)内で前記第2駆動ピストン(11b)は、駆動ポンプ側容積(V1)を揺動容積(V2)から仕切り、
前記第1駆動シリンダ(10a)内の揺動容積(V2)と前記第2駆動シリンダ(10b)内の揺動容積(V2)は、前記第1駆動ピストン(11a)が前記第2駆動ピストン(11b)に対して逆位相で動くように、油圧液体(HF)の交換のための揺動接続部(60)を介して互いに接続され、
前記方法はさらに、
前記第2駆動ピストン(11b)の速度を検出するステップを有し、前記第1駆動ピストン(11a)の予想速度は、前記第2駆動ピストン(11b)の検出速度に等しい、
方法。
【請求項2】
不良状態は、
前記第1駆動ピストン(11a)の検出速度と前記第1駆動ピストン(11a)の予想速度との間の差が該当する数値を超える場合、及び/又は
前記第1駆動ピストン(11a)の検出速度と前記第1駆動ピストン(11a)の予想速度との間の差の経時的変化が該当する数値を超える場合に決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
装置(1)はさらに、
前記第1駆動シリンダ(10a)内で前記第1駆動ピストン(11a)を動かすための油圧液体(HF)の駆動容積流(AVF)を生成するように構成された駆動ポンプ(20)を有し、
前記方法はさらに、
生成された駆動容積流(AVF)に応じて予想速度を計算するステップを有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法はさらに、
駆動ポンプ側の駆動容積流(AVF)を導入するステップと、
前記第1駆動ピストン(11a)の検出速度と前記第1駆動ピストン(11a)の予想速度との間で計算された差に応じて前記駆動ポンプ側の駆動容積流(AVF)を導入する間に、前記ピストンシール(15)の欠陥の形での不良状態を検出するステップと、を有する、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
前記方法はさらに、
揺動容積側の駆動容積流を導入するステップと、
第1駆動ピストン(11a)の検出速度と第1駆動ピストン(11a)の予想速度との間で計算された差に応じて前記揺動容積側の駆動容積流を導入する間に、前記ロッドシール(
16)の欠陥の形での不良状態を検出するステップと、を有する、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記方法はさらに、
前記第1駆動ピストン(11a)と前記第2駆動ピストン(11b)の振動運動の行程が所望の数値を有するように、油圧液体(HF)を、前記第1駆動シリンダ(10a)内の揺動容積(V2)と、前記第2駆動シリンダ(10b)内の揺動容積(V2)と、前記揺動接続部(60)の容積とから形成された揺動容積に供給又は排出するステップを有する、請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
供給又は排出の頻度、及び/又は供給又は排出の頻度の経時的変化、及び/又は供給又は排出された容積が所定の数値を超えるとき、不良状態を決定するステップを有する、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
装置が、請求項1~
7の何れか一項に記載の
方法を実施するために構成されていることを特徴とする装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に濃厚物質を圧送するための装置の状態を監視するための方法、及び特に濃厚物質を圧送するための装置に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明の課題は、信頼性良く状態の検出を可能にする、特に濃厚物質を圧送するための装置の状態を監視するための方法、及び特に濃厚物質を圧送するための装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の方法は、特に例えば液体コンクリートの形の濃厚物質を圧送するための装置の状態を監視するために用いられる。装置は、例えばコンクリートポンプであり得る。
【0004】
この装置は、例えば油圧オイルの形の油圧液体を受容するための従来の第1駆動シリンダを有する。
【0005】
この装置はさらに、第1駆動シリンダ内に可動的に、特に長手方向に可動的に配置された従来の第1駆動ピストンを有する。
【0006】
この方法は、次のステップを有する。
【0007】
第1駆動ピストンの、特に第1駆動シリンダの長手方向における速度を検出する。検出速度は駆動ピストンの瞬間速度であってよく、これは例えば連続的に検出することができ、又は駆動ピストンの特定の位置のみ検出することができる。加えて第1駆動ピストンの速度プロファイルも検出できる。第1の速度は、例えば従来の変位測定システムによって検出することができ、それによって第1駆動ピストンの位置を決定することができる。次に、確定された位置を経時的に導出することにより第1の速度を計算できる。第1の速度は、駆動シリンダの2つの定義されたポイント間の行程時間に基づいて確定することもできる。
【0008】
第1駆動ピストンの検出速度と第1駆動ピストンの予想速度との間の差を計算する。予想速度とは、例えば第1駆動ピストンが不良なく機能するときに持つべき、特に所定の位置で理論的に持つべき速度をいう。予想速度は、例えばピストンジオメトリ、シリンダジオメトリ、既知の又は測定された駆動容積流など、装置の特性の知識に基づいて確定でき、若しくは事前に知られている。
【0009】
第1駆動ピストンの検出速度と第1駆動ピストンの予想速度との間で計算された差、若しくは計算された差の値に応じて、装置若しくは装置のコンポーネントの不良状態(fault state)を決定する。
【0010】
速度が行程時間から導出される場合、それぞれの予想値と比較した行程時間及び/又は行程時間の変化を不良基準として用いることができる。
【0011】
通常、第1駆動ピストン及び第1圧送ピストンはそれぞれ特定の行程の純粋に並進的な振動運動を実行する。
【0012】
上記の装置の従来の要素に関しては、関連する専門文献も参照されたい。
【0013】
一実施形態によれば、不良状態は、第1駆動ピストンの検出速度と第1駆動ピストンの予想速度との間の差が該当する数値を超える場合に決定される。代替的又は追加的に、不良状態は、第1駆動ピストンの検出速度と第1駆動ピストンの予想速度との間の差の経時的変化若しくは導出が該当する数値を超える場合に決定される。それぞれ該当する数値は、絶対値又は相対値であることができる。
【0014】
例えば、検出された第1駆動ピストンの速度と第1駆動ピストンの予想速度との間の差が、予想速度又は測定速度の所定のパーセント値を超える場合に、不良状態を決定することができる。所定のパーセント値は、例えば予想速度又は測定速度の0.1%~10%の範囲であることができる。同様に不良状態は、第1駆動ピストンの検出速度と第1駆動ピストンの予想速度との間の差の、単位時間、例えば60秒あたりの経時的変化若しくは導出が、予想速度又は測定速度の所定のパーセント値を超える場合に決定できる。所定のパーセント値は、例えば予想速度又は測定速度の0.1%~10%の範囲であることができる。
【0015】
一実施形態によれば、装置はさらに、第1駆動シリンダ内で第1駆動ピストンを動かすための油圧液体の駆動容積流を生成するように構成された従来の駆動ポンプを有する。これについては関連する先行技術も参照されたい。この場合、予想速度は、生成された駆動容積流に応じて計算でき、この目的のために油圧回路の典型的に知られているジオメトリ及びこれに伴う容積が考慮される。
【0016】
一実施形態によれば、装置は濃厚物質を圧送するための装置であり、さらに濃厚物質を受容及び送出するための従来の第1圧送シリンダ、第1圧送シリンダ内に可動的に、特に長手方向に可動的に配置された従来の第1圧送ピストン、第1駆動ピストンと第1圧送ピストンとを運動連結するために第1駆動ピストン及び圧送ピストンに固定された従来の第1ピストンロッド、欠陥のない状態若しくは正規の状態で第1駆動ピストンと共に、第1駆動シリンダ内で第1容積若しくは駆動ポンプ側容積を第1駆動シリンダ内で第2容積若しくは揺動容積(swing volume)に対してシールするピストンシール、並びに第1ピストンと共に、第1駆動シリンダを周囲に対してシールするピストンシールを有する。この場合には、ピストンシールの欠陥の形及び/又はロッドシールの欠陥の形での不良状態が、第1駆動ピストンの検出速度と第1駆動ピストンの予想速度との間で計算された差に応じて決定される。
【0017】
一実施形態によれば、この方法はさらに以下のステップを有する。即ち、駆動ポンプ側の駆動容積流を導入し、駆動ポンプ側の駆動容積流を導入する間に、ピストンシールの欠陥の形での不良状態を、第1駆動ピストンの検出速度と第1駆動ピストンの予想速度との間で計算された差に応じて決定する。
【0018】
一実施形態によれば、この方法はさらに以下のステップを有する。即ち、揺動容積側の駆動容積流を導入し、揺動容積側の駆動容積流の導入する間に、ロッドシールの欠陥の形での不良状態を、第1駆動ピストンの検出速度と第1駆動ピストンの予想速度との間で計算された差に応じて決定する。
【0019】
一実施形態によれば、濃厚物質を圧送するための装置は、さらに次のものを有する。即ち、油圧液体を受容するための第2駆動シリンダ、第2駆動シリンダ内に可動的に配置された第2駆動ピストン、濃厚物質を受容及び送出するための第2圧送シリンダ、第2圧送シリンダ内に可動的に配置された第2圧送ピストン、並びに第2駆動ピストンと第2圧送ピストンとを運動連結するために第2駆動ピストン及び第2圧送ピストンに固定された第2ピストンロッド。第1駆動ピストンは、第1駆動シリンダ内で第1容積若しくは駆動ポンプ側容積を第2容積若しくは揺動容積から分離する。同様に、第2駆動ピストンは、第2駆動シリンダ内で第1容積若しくは駆動ポンプ側容積を第2容積若しくは揺動容積から分離する。第1駆動シリンダ内の揺動容積と第2駆動シリンダ内の揺動容積は、第1駆動ピストンが第2駆動ピストンに対して逆位相で動くように、油圧液体を交換するための揺動接続部を介して互いに接続されている。この場合に、第2駆動ピストンの速度が検出され、第1駆動ピストンの予想速度は第2駆動ピストンの検出速度に等しい。換言すれば、第1駆動ピストンの検出速度は、第2駆動ピストンの検出速度と比較され、検出速度が所定の数値を超えて異なる場合、若しくは検出速度の差の経時的変化が所定の数値を超える場合に、不良状態が決定される。ピストンシール又はロッドシールの摩耗を排除できる場合には、ピストン速度が異なれば、残余部分の油圧システム(特に油圧ポンプ)の不良/摩耗も検知できる。
【0020】
一実施形態によれば、油圧液体は揺動容積に供給され、又は揺動容積から排出される。揺動容積は、第1駆動シリンダ内の揺動容積と、第2駆動シリンダ内の揺動容積と、揺動接続部の容積とから形成されている。供給又は排出は、第1駆動ピストンと第2駆動ピストンの振動運動の可能な若しくは最大の行程が所望の数値を有するように行われる。揺動接続部により、第1駆動シリンダと第2駆動シリンダは互いに逆位相の振動運動を実行し、それぞれの最大行程は揺動容積に依存する。したがって揺動容積を変更することによって行程を調整できる。
【0021】
一実施形態によれば、不良状態は、供給又は排出の頻度が所定の数値を超えた場合に決定される。頻度に対する所定の数値は、例えば一連のテストによって経験的に決定することができる。例えば1時間あたり1回以下の供給若しくは排出の頻度は不良がないと定義でき、1時間あたり1回を超える供給若しくは排出の頻度は不良があると定義できる。代替的又は追加的に、装置の不良状態は、供給又は排出の頻度の経時的変化又は導出が所定の数値を超える場合に検出することができる。例えば装置の不良状態は、単位時間、例えば60秒あたりの供給若しくは排出の頻度の経時的変化が、予想された頻度又は測定された頻度の所定のパーセント値を超える場合に検出できる。所定のパーセント値は、例えば予想された頻度又は測定された頻度の0.1%~10%の範囲にあることができる。代替又は追加として、供給又は排出された容積が所定の数値を超えた場合に装置の不良状態を検出することができる。容積に対する所定の数値は、例えば一連のテストによって経験的に決定することができる。
【0022】
冒頭に記載した、特に濃厚物質を圧送するための装置は、上記の方法を実施するために構成されている。
【0023】
以下に本発明を図面に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は濃厚物質を圧送するための本発明による装置を示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、濃厚物質DSを圧送するための本発明による装置1を示している。装置1は、例えばコンクリートポンプを具体化することができる。
【0026】
装置1は、油圧液体HFを受容するための第1駆動シリンダ10aを有する。
【0027】
装置1はさらに、第1駆動シリンダ10a内に長手方向に可動的に配置された第1駆動ピストン11aを有する。
【0028】
装置1はさらに、液体コンクリートの形の濃厚物質DSを受容及び送出するための第1圧送シリンダ12aを有する。
【0029】
装置1はさらに、第1圧送シリンダ12a内に長手方向に可動的に配置された第1圧送ピストン13aを有する。
【0030】
装置1はさらに、第1圧送ピストン13aと運動連結するために第1駆動ピストン11aに固定された第1ピストンロッド14aを有する。
【0031】
装置1はさらに、油圧液体HFを受容するための第2駆動シリンダ10bを有する。
【0032】
装置1はさらに、第2駆動シリンダ10b内に長手方向に可動的に配置された第2駆動ピストン11bを有する。
【0033】
装置1はさらに、濃厚物質DSを受容及び送出するための第2圧送シリンダ12bを有する。
【0034】
装置1はさらに、第2圧送シリンダ12b内に長手方向可動的に配置された第2圧送ピストン13bを有する。
【0035】
装置1はさらに、第2圧送ピストン13bと運動連結するために第2駆動ピストン11bに固定された第2ピストンロッド14bを有する。
【0036】
第1駆動シリンダ10a内で第1駆動ピストン11aは駆動ポンプ側容積V1を揺動容積V2から分離する。同様に、第2駆動シリンダ10b内で第2駆動ピストン10bが駆動ポンプ側容積V1を揺動容積V2から分離する。第1駆動シリンダ10a内の揺動容積V2と第2駆動シリンダ10b内の揺動容積V2は、第1駆動ピストン11aが第2駆動ピストン11bに対して逆位相で動くように、油圧液体HFを交換するための揺動接続部60を介して互いに接続されている。
【0037】
装置1はさらに、欠陥のない状態で第1駆動ピストン11a若しくは第2駆動ピストン11bと共に、駆動ポンプ側容積V1を揺動容積V2に対してシールするピストンシール15を有する。さらに、第1ピストンロッド14a若しくは第2ピストンロッド14bと共に、第1駆動シリンダ10a若しくは第2駆動シリンダ10bを周囲に対してシールするロッドシール16が設けられている。
【0038】
装置1はさらに、油圧液体HFの駆動容積流AVFを生成するように構成された駆動ポンプ20を有する。駆動ポンプ20は、第1駆動シリンダ10a内で第1駆動ピストン11aを動かし、第2駆動シリンダ10b内で第2駆動ピストン11bを動かすために、ポンプ接続部30a及び30bを介して駆動ポンプ側容積V1と接続されている。駆動ポンプ20は、選択的にポンプ接続部30a又はポンプ接続部30bのいずれかを介して駆動容積流AVFを送り込むことができ、その結果、第1駆動ピストン11a又は第2駆動ピストン11bのいずれかが右方向に移動し、次にそれぞれ他方の駆動ピストンが揺動接続部60を介する連結に基づいて左方に移動する。
【0039】
駆動ポンプ20は、アクティブなポンプ接続部30a又は30bを介して駆動される駆動ピストン11a又は11bが所望の反転点まで右方に移動するように制御される。次に揺動接続(swing connection)に基づいて、他方の駆動ピストン11a又は11bが反対側の反転ポイントまで左方に移動する。したがって第1駆動ピストン11aと第2駆動ピストン11bは、それぞれ2つの反転ポイントの間で振動する純粋な並進的な振動運動を実行する。
【0040】
これまでに述べた先行技術から知られている要素及び機能に関しては、関連する専門文献も参照されたい。
【0041】
駆動シリンダ10a及び10bの位置を検出するために、付属の位置センサ17a及び17bが設けられている。位置センサ17a及び17bによって検出されたピストン位置の経時的導出により、第1駆動ピストン11a若しくは第2駆動ピストン11bのそれぞれの瞬間速度が検出される。
【0042】
制御ユニット50は、装置1の動作を制御する。
【0043】
本発明によれば、第1駆動ピストン11a及び/又は第2駆動ピストン11aの速度は、位置センサ17a又は17bによって検出され、次に第1駆動ピストン11a及び/又は第2駆動ピストン11bの検出速度と、第1駆動ピストン11a及び/又は第2駆動ピストン11bとの間の差が計算され、最後に計算された差に応じて不良状態が確認される。
【0044】
例えば不良状態は、検出速度と予想速度との間の差が該当する数値を超える場合、及び/又は検出速度と予想速度との間の差の経時的変化が該当する数値を超える場合に検出できる。
【0045】
予想速度は、例えば生成された駆動容積流AVFに依存して計算できる。
【0046】
両駆動ピストン11a又は11bのうちの一方の予想速度は、他方の駆動ピストン11a又は11bの測定された速度に一致することもできる。換言すれば、第1駆動ピストン11aの検出速度を第2駆動ピストン11bの検出速度と比較して、検出速度が互いに所定の数値を超えて異なる場合、若しくは検出速度の経時的変化が所定の数値を超える場合に不良状態が決定される。
【0047】
不良状態は、ピストンシール15の欠陥及び/又はロッドシール16の欠陥に対応することがある。例えばピストンシールの欠陥は、駆動ポンプ側の駆動容積流AVFを導入する間に、検出速度と予想速度との間で計算された差に応じて検出することができる。同様に、ロッドシール15の欠陥は、揺動容積側の駆動容積流AVFを導入する間に、検出速度と予想速度との間で計算された差に応じて検出することができる。
【0048】
駆動ピストン11a又は11bの行程若しくは反転位置が該当する目標値に一致しない場合には、油圧液体HFを、第1駆動シリンダ10a内の揺動容積V2と、第2駆動シリンダ10b内の揺動容積V2と、揺動接続部60の容積とから形成された揺動容積に供給又は排出することにより、行程を調整することができる。油圧液体HFの揺動容積への供給又は排出は、先行技術から知られている従来の要素によって行うことができる。これらの要素は、例として参照符号18が付されている。
【0049】
この場合には、供給又は排出の頻度及び/又は供給又は排出された容積が所定の数値を超えると、不良状態を検出することができる。
【0050】
装置は、言うまでもなく従来技術から知られている他の要素、例えば圧送シリンダ12a及び12bを濃厚物質圧送管若しくは濃厚物質源などと接続するためのスイッチング手段などを有することができる。これらの要素はよく知られているので、それらの説明は省略する。
【0051】
状態若しくは摩耗を検出するための本発明による方法は、別の変数、例えば油圧及び/又は油圧液体の温度を考慮に入れることによって補完することができる。加えて、測定された変数の履歴を評価することができる。
【0052】
本発明は、装置1の要素の摩耗を決定することを可能にし、それにより要素の故障を警告し、若しくは故障を防ぐことを可能にする。こうすることにより、必要なサービスを的確に計画できるので、装置1の可用性が向上する。さらに、摩耗箇所を自動的に特定することによりサービスコストを大幅に削減することができる。
なお、本発明の態様(構成)として以下に示すものがある。
[態様1]
装置(1)の状態を監視するための方法であって、
装置(1)は、
油圧液体(HF)を受容するための第1駆動シリンダ(10a)と、
該第1駆動シリンダ(10a)内に可動的に配置された第1駆動ピストン(11a)と、を有し、
前記方法は、
前記第1駆動ピストン(11a)の速度を検出するステップと、
前記第1駆動ピストン(11a)の検出速度と前記第1駆動ピストン(11a)の予想速度との間の差を計算するステップと、
前記第1駆動ピストン(11a)の検出速度と前記第1駆動ピストン(11a)の予想速度との間で計算された差に応じて不良状態を決定するステップと、
を有する方法。
[態様2]
不良状態は、
前記第1駆動ピストン(11a)の検出速度と前記第1駆動ピストン(11a)の予想速度との間の差が該当する数値を超える場合、及び/又は
前記第1駆動ピストン(11a)の検出速度と前記第1駆動ピストン(11a)の予想速度との間の差の経時的変化が該当する数値を超える場合に決定される、態様1に記載の方法。
[態様3]
装置(1)はさらに、
前記第1駆動シリンダ(10a)内で前記第1駆動ピストン(11a)を動かすための油圧液体(HF)の駆動容積流(AVF)を生成するように構成された駆動ポンプ(20)を有し、
前記方法はさらに、
生成された駆動容積流(AVF)に応じて予想速度を計算するステップを有する、態様1又は2に記載の方法。
[態様4]
前記装置(1)は、濃厚物質(DS)を圧送するための装置(1)であり、さらに、
濃厚物質(DS)を受容及び送出するための第1圧送シリンダ(12a)と、該第1圧送シリンダ(12a)内に可動的に配置された第1圧送ピストン(13a)と、前記第1駆動ピストン(11a)と前記第1圧送ピストン(13a)とを運動連結するために、前記第1駆動ピストン(11a)及び前記第1圧送ピストン(13a)に固定された第1ピストンロッド(14a)と、
欠陥のない状態で、前記第1駆動ピストン(11a)と共に、前記第1駆動シリンダ(10a)内の駆動ポンプ側容積(V1)を前記第1駆動シリンダ(10a)内の揺動容積(V2)に対してシールするピストンシール(15)と、
前記第1ピストンロッド(14a)と共に、第1駆動シリンダ(10a)を周囲に対してシールするロッドシール(16)と、を有し、
前記方法はさらに、
前記ピストンシール(15)の欠陥の形及び/又は前記ロッドシール(16)の欠陥の形での不良状態を、前記第1駆動ピストン(11a)の検出速度と前記第1駆動ピストン(11a)の予想速度との間で計算された差に応じて決定するステップを有する、態様1~3の何れか一項に記載の方法。
[態様5]
前記方法はさらに、
駆動ポンプ側の駆動容積流(AVF)を導入するステップと、
前記第1駆動ピストン(11a)の検出速度と前記第1駆動ピストン(11a)の予想速度との間で計算された差に応じて前記駆動ポンプ側の駆動容積流(AVF)を導入する間に、前記ピストンシール(15)の欠陥の形での不良状態を検出するステップと、を有する、態様4に記載の方法。
[態様6]
前記方法はさらに、
揺動容積側の駆動容積流を導入するステップと、
第1駆動ピストン(11a)の検出速度と第1駆動ピストン(11a)の予想速度との間で計算された差に応じて前記揺動容積側の駆動容積流を導入する間に、前記ロッドシール(15)の欠陥の形での不良状態を検出するステップと、を有する、態様4又は5に記載の方法。
[態様7]
前記装置がさらに、
油圧液体(HF)を受容するための第2駆動シリンダ(10b)と、該第2駆動シリンダ(10b)内に可動的に配置された第2駆動ピストン(11b)と、濃厚物質(DS)を受容及び送出するための第2圧送シリンダ(12b)と、該第2圧送シリンダ(12b)内に可動的に配置された第2圧送ピストン(13b)と、前記第2駆動ピストン(11b)と前記第2圧送ピストン(13b)とを運動連結するために第2駆動ピストン(11b)及び前記第2圧送ピストン(13b)に固定された第2ピストンロッド(14b)と、を有し、
前記第1駆動シリンダ(10a)内で前記第1駆動ピストン(11a)は、駆動ポンプ側容積(V1)を揺動容積(V2)から仕切り、
前記第2駆動シリンダ(10b)内で前記第2駆動ピストン(11b)は、駆動ポンプ側容積(V1)を揺動容積(V2)から仕切り、
前記第1駆動シリンダ(10a)内の揺動容積(V2)と前記第2駆動シリンダ(10b)内の揺動容積(V2)は、前記第1駆動ピストン(11a)が前記第2駆動ピストン(11b)に対して逆位相相で動くように、油圧液体(HF)の交換のための揺動接続部(60)を介して互いに接続され、
前記方法はさらに、
前記第2駆動ピストン(11b)の速度を検出するステップを有し、前記第1駆動ピストン(11a)の予想速度は、前記第2駆動ピストン(11b)の検出速度に等しい、態様4~6の何れか一項に記載の方法。
[態様8]
前記方法はさらに、
前記第1駆動ピストン(11a)と前記第2駆動ピストン(11b)の振動運動の行程が所望の数値を有するように、油圧液体(HF)を、前記第1駆動シリンダ(10a)内の揺動容積(V2)と、前記第2駆動シリンダ(10b)内の揺動容積(V2)と、前記揺動接続部(60)の容積とから形成された揺動容積に供給又は排出するステップを有する、態様7に記載の方法。
[態様9]
供給又は排出の頻度、及び/又は供給又は排出の頻度の経時的変化、及び/又は供給又は排出された容積が所定の数値を超えるとき、不良状態を決定するステップを有する、態様8に記載の方法。
[態様10]
装置が、態様1~9の何れか一項に記載の実施するために構成されていることを特徴とする装置(1)。