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特許7522186杭引き上げチャックおよびこれを利用した杭引き上げ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】杭引き上げチャックおよびこれを利用した杭引き上げ装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 13/00 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
E02D13/00 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022513483
(86)(22)【出願日】2020-08-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-23
(86)【国際出願番号】 KR2020011284
(87)【国際公開番号】W WO2021040362
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-07-06
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-09
(31)【優先権主張番号】10-2019-0106730
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522074051
【氏名又は名称】キム,キュ サン
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キム,キュ サン
【合議体】
【審判長】居島 一仁
【審判官】有家 秀郎
【審判官】西田 秀彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-100260(JP,A)
【文献】特表2020-515750(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0243668(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D7/00-13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
杭の内径に挿入され、一定の高さごとに直径方向に向き合って貫通する拡張口設置用ポケットが形成されるチャックハウジングと、
前記ポケットに配置されて半径方向に移動可能に設置される一対の拡張口、および、
前記チャックハウジングの内部に挿入され、一端が前記拡張口のいずれか一つに連結され、他端が前記拡張口の他の一つに連結され、いずれか一つの前記拡張口に対する反力を利用して他の一つの前記拡張口を移動させて前記杭をチャッキングするチャッキングシリンダを含む、杭引き上げチャック。
【請求項2】
前記拡張口は、前記ポケットに挿入されて移動するボスと、前記ボスに一体となって前記チャックハウジングの外側に位置する噛み合い板、および前記噛み合い板に付着されて前記杭の内径と接触する圧着用ゴム板を含む、請求項1に記載の杭引き上げチャック。
【請求項3】
請求項1に記載された杭引き上げチャック、および前記杭の内径に挿入され、前記杭引き上げチャックの下端に連結されて前記杭が地面に落ちる場合、地面に落ちた前記杭が引っかかって離脱しないように支持する杭前倒れ防止用鋼管を含む、杭引き上げ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は土木または建築工事中に杭を引き上げるのに使われる杭引き上げ装置に関し、特に油圧で杭をチャッキングして引き上げることができ、引き上げ中に前倒れが防止されて安全事故を未然に予防できるようにした、前倒れ防止が可能な杭引き上げ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に杭を現場で引き上げる方法として、図1の(イ)のように、ワイヤ101で罠を作って杭100の上部にかけて引き上げる方法がある。この場合、ワイヤ101が杭100から抜ける場合、引き上げ中の杭100が前倒れとなって安全事故を起こし得る。さらに他の引き上げ方法として、図1の(ロ)のように、杭100の先端にあるボルト孔にアイボルトを回してロックしワイヤ101をかけて引き上げる方法が知られている。しかし、この場合にもアイボルトが緩む場合、引き上げ中の杭100が前倒れとなって安全事故を起し得る。したがって、引き上げ中に前倒れの恐れがない杭引き上げ装置が要求される。
【0003】
本発明の背景となる技術としては、韓国登録実用新案登録番号第20-0283330号の、「杭引き上げ用装置」が提案されている。これは杭の一定部分に多数個の固定片が突出した二つの装着器を対称となるように設置してワイヤで締結した後、起重機のロープの一端に固定されたフックに前記ワイヤをかけてロープを引き寄せて容易に杭を引き上げることができるようにしたものである。しかし、前記背景技術はワイヤが解ける場合、引き上げ中に前倒れが発生して安全事故にあう恐れがある短所を有する。
【0004】
本発明の他の背景技術としては、韓国登録特許登録番号第10-1743358号の、「パイル引き上げ機構」が提案されている。これは締結バンドを杭に固定させた後、締結バンドの下側に位置した引き上げリング体を引き上げワイヤで持ち上げるようにしたものである。しかし、前記背景技術は締結バンドの締結力が解除される場合、パイルの引き上げ中に前倒れが発生して安全事故が発生し得る短所を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】韓国登録実用新案登録番号第20-0283330号
【文献】韓国登録特許登録番号第10-1743358号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、油圧で杭をチャッキングして引き上げることができ、引き上げ中にチャッキングが解除されても前倒れが防止されて安全事故を未然に予防できるようにした、前倒れ防止が可能な杭引き上げ装置を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施例に係る杭引き上げチャックは、杭の内径に挿入され、一定の高さごとに直径方向に向き合って貫通する拡張口設置用ポケットが形成されるチャックハウジングと、前記ポケットに配置されて半径方向に移動可能に設置される一対の拡張口と、一端が前記拡張口のいずれか一つに連結され、他端が前記拡張口の他の一つに連結され、前記拡張口を移動させて前記杭をチャッキングするチャッキングシリンダを含む。
また、前記拡張口は前記ポケットに挿入されて移動するボスと、前記ボスに一体となって前記チャックハウジングの外側に位置する噛み合い板と、前記噛み合い板に付着されて前記杭の内径と接触する圧着用ゴム板を含む。
一方、本発明のさらに他の実施例に係る杭引き上げ装置は、杭の内径に挿入され、一定の高さごとに直径方向に向き合って貫通する拡張口設置用ポケットが形成されるチャックハウジングと、前記ポケットに配置されて半径方向に移動可能に設置される一対の拡張口と、一端が前記拡張口のいずれか一つに連結され、他端が前記拡張口の他の一つに連結され、前記拡張口を移動させて前記杭をチャッキングするチャッキングシリンダを含む杭引き上げチャックと、前記杭の内径に挿入され、前記杭引き上げチャックの下端に連結されて前記杭が地面に落ちる場合、引っかかって離脱しないように支持する鋼管を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明の前倒れ防止が可能な杭引き上げ装置によると、杭引き上げチャックに供給された油圧で拡張口を拡張させて杭をチャッキングして引き上げることができる。
【0013】
また、杭引き上げチャックに杭前倒れ防止用鋼管が追加的に設置される場合やバランスプレートに杭前倒れ防止用リングプレートが追加的に設置される場合、引き上げ中に前倒れが防止されて安全事故を未然に予防することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施例に係る杭引き上げ装置の斜視図である。
図2図1に図示された杭引き上げチャックの斜視図であって、拡張口作動前、後の状態図である。
図3図1に図示された杭引き上げチャックの斜視図であって、拡張口作動前、後の状態図である。
図4図2の平面図である。
図5図2の終端面図である。
図6図1に図示された杭引き上げ装置の一部分解斜視図である。
図7図1の杭引き上げ装置を通じての杭の引き上げ状態図である。
図8】本発明の杭引き上げ装置を通じての杭チャッキング前、後の状態図である。
図9】本発明の杭引き上げ装置を通じての杭チャッキング前、後の状態図である。
図10】(イ)、(ロ)は、本発明の第2実施例に係る杭引き上げ装置の斜視図および正面図である。
図11】(イ)、(ロ)は、本発明の第3実施例に係る杭引き上げ装置の斜視図および正面図である。
図12】本発明の第4実施例に係る杭引き上げ装置の正面図である。
図13】本発明の第4実施例に係る杭引き上げ装置の斜視図である。
図14】本発明に適用される杭引き上げチャックを多数直列で連結して構成されたパイルの回転貫入装置を図示した斜視図である。
図15】(イ)、(ロ)は、本発明の杭引き上げ装置に適用される杭前倒れ防止用リングプレートがバランスプレートに直接連結された状態を示す斜視図および正面図である。
図16】(イ)、(ロ)は、従来の現場でパイルを引き上げる多様な方法を図示した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下において、本発明は添付された図面に提示された実施例を参照して詳細に説明されるが、提示された実施例は本発明の明確な理解のための例示的なものであり、本発明はこれに制限されない。
【0016】
図1に図示された本発明に係る杭引き上げ装置10は、杭100を油圧力でチャッキングして引き上げできるようにしたものである。また、杭引き上げ装置10は引き上げ時に前倒れが防止されるようにすることによって、さらに安全な引き上げができるようにしたものである。
【0017】
ここで、杭100は中空を有するものであって、PHCパイル、鋼管杭などとなり得る。
【0018】
図1および図7でのように、杭引き上げ装置10は引き上げ装備500に連結されるバランスプレート20が備えられる。ここで、引き上げ装備500の例としては周知のクレーン装備を挙げることができる。
【0019】
バランスプレート20は一定の厚さを有する板状形であって、中央上部に形成された引き上げホール20a、下部に対称的に連結された第1引き上げケーブル21を含む。引き上げホール20aは引き上げ装備に備えられたフックがすぐに連結されるか、図示された通り、引き上げロープ15が連結され得る。本実施例でバランスプレート20は四角の形態で構成したが、このような形態に限定されるものではない。
【0020】
バランスプレート20に複数の第1引き上げケーブル21を媒介として杭引き上げチャック30が連結されている。杭引き上げチャック30は杭100の上部内径部に挿入されて油圧力で杭100を握りしめるようになっている。
【0021】
この時、第1引き上げケーブル21の下端は上部拡張リング25に連結され、上部拡張リング25は杭引き上げチャック30の上端に溶接またはボルト結合され得る。したがって、この場合、第1引き上げケーブル21は上部拡張リング25を媒介として杭引き上げチャック30を引き上げることになる。
【0022】
図2図6のように、杭引き上げチャック30はチャックハウジング32、チャックハウジング32に設置された少なくとも一対の拡張口34および一対の拡張口34を半径方向に拡張させるチャッキングシリンダ36で構成される。
【0023】
チャックハウジング32は杭100の内径より小さい外径を有する円筒部321、円筒部321に内側に一定の高さごとに直径方向に向き合って貫通して形成された拡張口設置用角形ポケット322、円筒部321の上、下部に形成された上、下部フランジ323、324を有する。上、下部フランジ323、324は、杭引き上げチャック30が一つ以上互いに連結される場合にボルト結合するために、それぞれ円形配列された締結ホール323a、324aを有する。一対の拡張口34は、チャックハウジング32の拡張口設置用角形ポケット322に配置されて半径方向に移動可能に設置されている。図6のように、拡張口34は多角の断面を有する角形ボス341、引き上げ対象体である杭100の内径と同一の曲率半径を有し、角形ボス341に一体となっている噛み合い板342で構成される。チャッキングシリンダ36は一端が一対の拡張口34のうちいずれか一つにヒンジ連結され他端が他の一つにヒンジ連結されている。したがって、チャッキングシリンダ36の拡張作動時に半径方向に拡張口34を移動させて杭100をチャッキングするようになっている。拡張口34には圧着用ゴム板343がさらに付着されて構成され得る。
【0024】
この時、チャッキングシリンダ36に供給される圧油は、図5のように、圧油管路31を通じてなされ得、圧油管路31は例として引き上げ装備500の油圧システムに連結され得る。したがって、引き上げ装備500の操作者はチャッキングシリンダ36を制御して杭を引き上げることができる。
【0025】
このように構成された杭引き上げ装置10は、図1および図7のように、引き上げ装備500にバランスプレート20が連結された状態で、杭引き上げチャック30が図8のように杭100の上部側内径部に挿入される。
【0026】
その後、杭引き上げチャック30のチャッキングシリンダ36に圧油が供給されると、図9のようにチャッキングシリンダ36に連結された拡張口34が半径方向に移動して杭100を握りしめることになる。
【0027】
この状態で、引き上げ装備500を駆動させてバランスプレート20を持ち上げると、第1引き上げケーブル21を媒介として杭引き上げチャック30が該当杭100を引き上げることになる。この時、チャッキングシリンダ36のチャッキング力が維持されることによって引き上げられた杭100を望む位置に移動させることができる。
【0028】
杭100を望む位置に移動完了した後には、チャッキングシリンダ36を反対に動作させて拡張口34を元の位置に復帰させることによって、杭引き上げチャック30が杭100から容易に抜け出ることになる。チャッキングシリンダ36の元の位置への復帰は圧油の供給方向を変えてなされ得る。
【0029】
このように、本発明によると、ワイヤで罠を作って引き上げる方式ではないので、ワイヤの緩みがなくなって前倒れの心配がなくなる。また、杭先端にあるボルト孔にアイボルトを回してロックしワイヤをかけて引き上げる方式でもないので、アイボルトのゆるみがなくなって前倒れの心配がなくなるのである。
【0030】
一方、本発明の杭引き上げ装置10には、図10のように、杭100の内径に挿入され得る外径と一定の長さを有して杭引き上げチャック30の下端に杭前倒れ防止用鋼管40がさらに連結されて構成され得る。
【0031】
したがって、杭100の中に杭前倒れ防止用鋼管40を挿入して杭100が杭引き上げ装置10を離脱しても前倒れしない。この時、杭100は地面から通常1~2m程度の距離を維持して引き上げられるため、杭100が引き上げの途中で地面に落ちても、杭100の内部に挿入された杭前倒れ防止用鋼管40が杭100を離脱しないように支持して前倒れ防止が可能となる。
【0032】
また、本発明の杭引き上げ装置10には図11のように、杭100の外径を収容する貫通した杭前倒れ防止ホール52を有し、複数の第2引き上げケーブル22を媒介としてバランスプレート20に連結される杭前倒れ防止用リングプレート50がさらに設置され得る。この場合も杭100が地面から通常1~2m程度の距離を維持して引き上げられるので、杭100が引き上げの途中で地面に落ちても、杭100が杭前倒れ防止用リングプレート50にかかって離脱しないように支持することによって前倒れ防止が可能となる。
【0033】
もちろん、本発明の杭引き上げ装置10は引き上げ中の前倒れ防止のために、杭前倒れ防止用鋼管40と杭前倒れ防止用リングプレート50が図12および図13のように設置されてもよい。
【0034】
他方で、本発明に適用された杭引き上げチャック30は図14のように、多数個を直列で結合させて杭を回転貫入させる装置として活用され得る。この時、杭引き上げチャック30の最上部には回転貫入のためにドライビングヘッド29が追加的にさらに設置され得る。この時、ドライビングヘッド29は内部に油圧を発生させてチャッキングシリンダ36を作動させる油圧ポンプなどが設置される。
【0035】
また、図15のように、バランスプレート20は杭引き上げチャック30の上部に直接連結され得、この時、杭前倒れ防止用リングプレート50は第2引き上げケーブル22を媒介としてバランスプレート20に連結され得る。
【0036】
以上、本発明が提示された実施例を参照して詳細に説明されたが、この分野で通常の知識を有する者は提示された実施例を参照して本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で多様な変形および修正発明ができるであろう。本発明はこのような変形および修正発明によって制限されず、ただし、下記に添付された特許請求の範囲によって制限される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16