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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】多軸ターンテーブル
(51)【国際特許分類】
   B23Q 1/50 20060101AFI20240717BHJP
   B23Q 1/01 20060101ALI20240717BHJP
   B23Q 1/64 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
B23Q1/50 B
B23Q1/01 T
B23Q1/64 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022533523
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-06
(86)【国際出願番号】 CN2020132119
(87)【国際公開番号】W WO2021135758
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】201911419330.3
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517012970
【氏名又は名称】科徳数控股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】KEDE NUMERICAL CONTROL CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No.8 Huanghai Street, Economic and Technological Development Zone, Dalian, Liaoning 116600 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 虎
(72)【発明者】
【氏名】▲デン▼ ▲シン▼
(72)【発明者】
【氏名】▲韋▼ 志鴻
(72)【発明者】
【氏名】孫 宏▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】李 亜鵬
(72)【発明者】
【氏名】張 海波
(72)【発明者】
【氏名】杜 長林
(72)【発明者】
【氏名】郭 翠娟
(72)【発明者】
【氏名】張 国▲帥▼
(72)【発明者】
【氏名】王 軍
(72)【発明者】
【氏名】王 峰
(72)【発明者】
【氏名】李 迎華
(72)【発明者】
【氏名】劉 紹毅
(72)【発明者】
【氏名】鞠 茲丹
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109514286(CN,A)
【文献】米国特許第03700228(US,A)
【文献】特開平08-206942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 1/00-41/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、ロッカーアームと、前記ロッカーアームを駆動して前記ベースにおいて第1回転軸線を中心に揺動させることができる第1駆動装置と、を含む多軸ターンテーブルであって、
前記ロッカーアームに、スイングアーム及び第2駆動装置が設置され、前記第2駆動装置がロッカーアームにおいてスイングアームを駆動して第2回転軸線を中心に揺動させることができ、前記スイングアームに、テーブル及びテーブルを駆動して第3回転軸線を中心に回転させるための第3駆動装置が設けられ、前記第2回転軸線と前記第3回転軸線は互いに平行であり、
前記第1駆動装置及び前記第2駆動装置はいずれもモータ及び減速機を含み、前記第3駆動装置はトルクモータダイレクトドライブ動力機構であり、
前記第1回転軸線と前記第2回転軸線は交差し、
前記ロッカーアームの両端とも前記第1駆動装置が設けられること、或いは、前記ロッカーアームの一端が第1支持軸受を介して前記ベースに設置され、前記ロッカーアームの前記一端に前記第1駆動装置が設けられることを特徴とする、多軸ターンテーブル。
【請求項2】
前記スイングアームの揺動角の範囲は0°から180°であることを特徴とする、請求項1に記載の多軸ターンテーブル。
【請求項3】
スイングアームの揺動角が0°から180°まで変化するのに伴って、前記第3回転軸線から前記第1回転軸線までの法線距離はまず単調増加してから単調減少し、又はまず単調減少してから単調増加することを特徴とする、請求項2に記載の多軸ターンテーブル。
【請求項4】
スイングアームの揺動角が0°から90°まで変化するのに伴って、前記第3回転軸線から前記第1回転軸線までの法線距離は単調増加し、スイングアームの揺動角が90°から180°まで変化するのに伴って、前記第3回転軸線から前記第1回転軸線までの法線距離は単調減少することを特徴とする、請求項3に記載の多軸ターンテーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は工作機械技術分野に関し、具体的には、多軸ターンテーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示すように、現在、一般的な2軸回転軸ターンテーブルは、通常1つの揺動回転軸と1つの回転軸で構成され、その2つの回転軸は一般的に交差又は一定の距離でオフセットして配置され、設計と製造が完了すると変更することができない。従来のターンテーブルはテーブルのテーブル面の寸法に相当するワークの加工に適しており、小さいワークを加工する場合、加工領域に近づけるために、長さがより大きい工具を使用する必要があり、又は主軸がオーバーハングをより長く突き出すことにより、工具システムの剛性低下が生じ、ワークの表面品質の低下さらには寸法のバラツキを引き起こし、従来のターンテーブルは加工部品の寸法に限界が存在し、汎用性及び融通性が不足している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、多軸ターンテーブルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明が提供する技術的解決手段は以下のとおりである。
【0005】
ベースと、ロッカーアームと、前記ロッカーアームを駆動して前記ベースにおいて第1回転軸線を中心に揺動させることができる第1駆動装置と、を含む多軸ターンテーブルであって、前記ロッカーアームに、スイングアーム及びロッカーアームにおいてスイングアームを駆動して第2回転軸線を中心に揺動させることができる第2駆動装置が設置され、前記スイングアームに、テーブル及びテーブルを駆動して第3回転軸線を中心に回転させるための第3駆動装置が設けられ、前記第2回転軸線と第3回転軸線は互いに平行であるか又は互いに異なる面である多軸ターンテーブルである。
【0006】
さらに、前記第1回転軸線と第2回転軸線は交差するか又は互いに異なる面である。
【0007】
さらに、前記スイングアームの揺動角の範囲は0°から180°である。前記スイングアームの揺動角は、前記第3回転軸線と第2回転軸線のテーブルの平面内における接続線と第1回転軸線との間の挟角である。
【0008】
さらに、スイングアームの揺動角が0°から180°まで変化するのに伴って、第3回転軸線から第1回転軸線までの法線距離はまず単調増加してから単調減少し、又はまず単調減少してから単調増加する。
【0009】
さらに、スイングアームの揺動角が0°から90°まで変化するのに伴って、第3回転軸線から第1回転軸線までの法線距離は単調増加し、スイングアームの揺動角が90°から180°まで変化するのに伴って、第3回転軸線から第1回転軸線までの法線距離は単調減少する。
【0010】
さらに、前記第1駆動装置及び第2駆動装置はいずれもモータ及び減速機を含み、前記第3駆動装置はトルクモータダイレクトドライブ動力機構である。
【発明の効果】
【0011】
従来技術に比べて、本発明に記載の多軸ターンテーブルは以下の利点を有する。
【0012】
(1)本発明の多軸ターンテーブルは、従来の2軸回転軸ターンテーブルと比較して、揺動可能なスイングアームを導入しており、第3回転軸線から第1回転軸線までの法線距離を連続的に調整することができ、ワークの大きさに関わらず、揺動角を調整することにより、ワーク加工領域を第1回転軸線の近くにできるだけ集中させ、工具のオーバーハング又は主軸のオーバーハングは基本的に非常に狭い範囲で安定し、工具システムは良好で安定した剛性を有し、よってワークは一貫して安定した表面品質を得ることができる。
【0013】
(2)ワーク加工領域を第1回転軸線の近くにできるだけ集中させるため、加工領域が集中し、各軸の補償に追従する運動距離が大幅に減少し、より高い制御特性及び加工精度を有する。
【0014】
(3)ワークは基本的に第1回転軸線の一方の側にオフセットされ、もう一方の側は直線軸等の基礎部材の空間を節約することができ、干渉領域が小さくなり、近接性に優れ、機械全体の高い剛性を得ることに役立つ。
【0015】
(4)古い設備の改造において、本発明を応用することで3軸ストロークを変更する必要がなく、工作機械の加工範囲を拡張し、加工精度を向上させることができる。
【0016】
(5)本発明の多軸ターンテーブルは、航空分野のインペラ、ブリスクの加工に適するがそれに限定されず、さらに歯車、プロペラに応用することができ、ガスタービン、船舶用プロペラ、水用ポンプ、ファン等の産業において幅広い応用の将来性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は従来技術における2軸回転軸ターンテーブルの構造概略図である。
図2図2は本発明の実施例1の構造概略図である。
図3図3は本発明の実施例1のテーブル面の投影概略図である。
図4図4は本発明の実施例1のワーク加工状態の概略図である。
図5図5図4のA-A断面の概略図である。
図6図6は本発明の実施例2の構造概略図である。
図7図7は本発明の実施例3の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施例1)
図2から図5に示すように、多軸ターンテーブルは、ベース1と、ロッカーアーム2と、前記ロッカーアーム2を駆動して前記ベース1において第1回転軸線1aを中心に揺動させることができる第1駆動装置7と、を含み、前記ロッカーアーム2は第1支持軸受3及び第2支持軸受5を介してベース1に設置され、前記ロッカーアーム2に、スイングアーム4及びロッカーアーム2においてスイングアーム4を駆動して第2回転軸線2aを中心に揺動させることができる第2駆動装置8が設置され、前記スイングアーム4に、テーブル6及びテーブル6を駆動して第3回転軸線3aを中心に回転させるための第3駆動装置9が設けられ、前記第2回転軸線2aと第3回転軸線3aは互いに平行であるか又は互いに異なる面であり、両者の間は一定の距離でオフセットし、好ましくは両者は互いに平行である。
【0019】
前記第1回転軸線1aと第2回転軸線2aは交差するか又は互いに異なる面であり、即ち、第1回転軸線1aと第2回転軸線2aは交差するか又は両者の間に一定の距離が存在し、好ましくは両者は交差して設置される。
【0020】
前記スイングアーム4の揺動角αの範囲は0°から180°である。前記スイングアーム4の揺動角αは、前記第3回転軸線3aと第2回転軸線2aのテーブル6の平面内における接続線L23と第1回転軸線との間の挟角である。
【0021】
スイングアーム4の揺動角αが0°から180°まで変化するのに伴って、スイングアーム4が第2回転軸線2aを中心に回転する時、テーブル6の第3回転軸線3aから第1回転軸線1aまでの法線距離Lは、揺動角αに伴って関数規則に従って線形曲線変化する。第3回転軸線3aから第1回転軸線1aまでの法線距離Lを連続的に調整することができ、ワーク10の大きさに関わらず、揺動角を調整することにより、ワーク加工領域を第1回転軸線の近くにできるだけ集中させ、工具11のオーバーハング又は主軸のオーバーハングは基本的に非常に狭い範囲で安定し、工具システムは良好で安定した剛性を有し、よってワークは一貫して安定した表面品質を得ることができる。好ましい実施例として、第3回転軸線3aから第1回転軸線1aまでの法線距離Lはまず単調増加してから単調減少し、又はまず単調減少してから単調増加する。より好ましい実施例として、スイングアームの揺動角が0°から90°まで変化するのに伴って、第3回転軸線3aから第1回転軸線1aまでの法線距離Lは単調増加し、スイングアームの揺動角が90°から180°まで変化するのに伴って、第3回転軸線から第1回転軸線までの法線距離は単調減少する。つまり、第3回転軸線3aと第2回転軸線2aのテーブル6の平面内における接続線L23が第3象限にある場合、第3回転軸線3aから第1回転軸線1aまでの法線距離Lは単調増加又は減少し、対応して、第4象限にある場合、第3回転軸線3aから第1回転軸線1aまでの法線距離Lは単調減少又は増加する。
【0022】
前記第1駆動装置7及び第2駆動装置8はいずれもモータ及び減速機を含み、前記第3駆動装置9はトルクモータダイレクトドライブ動力機構である。本実施例のロッカーアーム2は両端支持構造のスイングアームであり、ロッカーアーム2の両端はいずれも第1支持軸受3を介してベース1に設置され、そのうちの一端に第1駆動装置7が設けられ、ロッカーアーム2を駆動して揺動させる。
【0023】
本実施例は加工領域を集中させることにより、各軸の補償に追従する運動距離が大幅に減少し、より高い制御特性を有する。ワークは基本的に第1回転軸線の一方の側にオフセットされ、もう一方の側は直線軸等の基礎部材の空間を節約することができ、干渉領域が小さくなり、近接性に優れ、機械全体の高い剛性を得ることに役立つ。同時に、古い設備の改造において、本発明を応用することで3軸ストロークを変更する必要がなく、工作機械の加工範囲を拡張することができる。本実施例は航空分野のインペラ、ブリスクの加工に適するがそれに限定されず、さらに歯車、プロペラに応用することができ、ガスタービン、船舶用プロペラ、水用ポンプ、ファン等の産業において幅広い応用の将来性を有する。
【0024】
(実施例2)
図6に示すように、本実施例と実施例1との相違点は、前記ロッカーアーム2の両端にいずれも対応する第1駆動装置7が設けられ、両側からロッカーアームを駆動して運動させることである。本実施例のその他の構成は実施例1と同様である。
【0025】
(実施例3)
図7に示すように、本実施例と実施例1との相違点は、前記ロッカーアーム2の一端が第1支持軸受3を介してベース1に設置され、ロッカーアーム2の該端部に第1駆動装置7が設けられることである。本実施例のその他の構成は実施例1と同様である。
【0026】
前述した実施例は、本発明の好ましい実施態様を説明するものに過ぎず、本発明の保護範囲を限定するものではなく、本発明の主旨から逸脱しない前提で、当業者が本発明の技術案に対してなされた変形及び改良は、いずれも本発明の特許請求の範囲に収まる。
【符号の説明】
【0027】
1 ベース
2 ロッカーアーム
3 第1支持軸受
4 スイングアーム
5 第1支持軸受
6 テーブル
7 第1駆動装置
8 第2駆動装置
9 第3駆動装置
10 ワーク
11 主軸及び工具
1a 第1回転軸線
2a 第2回転軸線
3a 第3回転軸線
α 揺動角
L 法線距離
L23 第3回転軸線と第2回転軸線の接続線のテーブル6の平面内に投影する距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7