(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】植物抽出物を含む生物農薬組成物およびその植物衛生的使用
(51)【国際特許分類】
A01N 65/48 20090101AFI20240717BHJP
A01P 7/04 20060101ALI20240717BHJP
A01N 65/24 20090101ALI20240717BHJP
A01N 35/02 20060101ALI20240717BHJP
A01N 65/44 20090101ALI20240717BHJP
A01N 65/20 20090101ALI20240717BHJP
A01M 1/20 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
A01N65/48
A01P7/04
A01N65/24
A01N35/02
A01N65/44
A01N65/20
A01M1/20 A
(21)【出願番号】P 2022544148
(86)(22)【出願日】2020-01-20
(86)【国際出願番号】 ES2020070037
(87)【国際公開番号】W WO2021148684
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2023-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】522287776
【氏名又は名称】キミテック バイオグループ ソシエダッド リミターダ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア モレノ フェリクス
(72)【発明者】
【氏名】レメサル ゴンザレス エフレン
(72)【発明者】
【氏名】フリオ トーレス ルイス フェルナンド
(72)【発明者】
【氏名】サンタナ メリダス オマール
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ベヘラーノ マリア
(72)【発明者】
【氏名】ヒメネス ガルシア サルヴァドール
【審査官】三須 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-528479(JP,A)
【文献】特表2012-519197(JP,A)
【文献】特開2012-067083(JP,A)
【文献】特開2002-255717(JP,A)
【文献】特開2007-001869(JP,A)
【文献】"Behavioral Response of Bemisia tabaci(Hemiptera:Aleyrodidae) to 20 Plant Extracts",Journal of Economic Entomology ,2015年,108(4),p.1890-1901
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A01P
A01M
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- ショウガ(Zingiber officinale Roscoe)の根または根茎の精油、オレオレジン、水性抽出物、アルコール性抽出物、または水アルコール性抽出物、
および
- シンナムアルデヒドまたはシンナムアルデヒド源、
によって形成される相乗的生物活性コア
と、
- 固体、液体または液状の、もしくは加水分解または部分加水分解された状態のダイズレシチン
から選択される第2の構成成分とを含む生物農薬組成物。
【請求項2】
生物活性コア中の各構成成分の%質量/質量での濃度が、以下の範囲:
- ショウガの根または根茎の精油、オレオレジン、水性抽出物、アルコール性抽出物、または水アルコール性抽出物:0.1~99.
9%、および
- シンナムアルデヒドまたはシンナムアルデヒド源:0.1~99.
9%
であり、
前記生物農薬組成物中の前記第2の構成成分の%質量/質量での濃度が、1~30%である、請求項1に記載の生物農薬組成物。
【請求項3】
シンナムアルデヒド源が、ニッケイ属種(Cinnamomum sp.)
からの抽出物/精油である、請求項2に記載の生物農薬組成物。
【請求項4】
シンナムアルデヒドおよび/またはシンナムアルデヒド源が、遊離形態である、請求項3に記載の生物農薬組成物。
【請求項5】
シンナムアルデヒドが、カプセル化剤によってカプセル化された形態で存在する、請求項3に記載の生物農薬組成物。
【請求項6】
カプセル化剤が、マルトデキストリン、シクロデキストリン、レシチン、植物油および/またはシリカ賦形剤から選択され、前記シリカ賦形剤が、シリカゲル、コロイド状シリカおよび二酸化ケイ素
から選択される、請求項
5に記載の生物農薬組成物。
【請求項7】
前記第2の構成成分が、
- 植物学的抽出物またはその画分、
- 発酵された微生物から得られた抽出物
またはその画分、
- ゲラニアール(シトラールA)、ネラール(シトラールB)、サポニン、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、酢酸ベンジル、オイゲノール、1,8-シネオール、チモール、ゲラニオール、酢酸ゲラニルから選択される純粋化合物、ならびに
- 短鎖および長鎖飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、
及び脂肪酸誘導体から選択される脂肪酸、
から選択される1種または複数の活性要素を
さらに含む、請求項1~
6のいずれか1項に記載の生物農薬組成物。
【請求項8】
植物学的抽出物が、以下の属:シシウド属種(Angelica sp.)、バンレイシ属種(Annona sp.)、ヨモギ属種(Artemisia sp.)、カルム属種(Carum sp.)、アカザ属種(Chenopodium sp.)、シトラス属種(Citrus sp.)、コーヒーノキ属種(Coffea sp.)、クロクス属種(Crocus sp.)、クアスタマメ属種(Cyamopsis sp.)、オガルカヤ属種(Cymbopogon sp.)、エニシダ属種(Cytisus sp.)、ユーリコマ属種(Eurycoma sp.)、イチジク属種(Ficus sp.)、カラクサケマン属種(Fumaria sp.)、フクロソウ属種(Geranium sp.)、イチョウ属種(Ginkgo sp.)、ヒマワリ属種(Helianthus sp.)、ヒソップ属種(Hyssopus sp.)、タイワンアブラギリ属種(Jatropha sp.)、ラヴァンデュラ属種(Lavandula sp.)、ハッカ属種(Mentha sp.)、ワサビノキ属種(Moringa sp.)、ニゲラ属種(Nigella sp.)、メボウキ属種(Ocimum sp.)、オリーブ属種(Olea sp.)、ケシ属種(Papaver sp.)、テンジクアオイ属種(Pelargononium sp.)、ワニナシ属種(Persea sp.)、パセリ属種(Petroselinum sp.)、ミツバグサ属種(Pimpinella sp.)、サクラ属種(Prunus sp.)、クアッシア属種(Quassia sp.)、レタマ属種(Retama sp.)、ダイオウ属種(Rheum sp.)、ローズマリー属種(Rosmarinus sp.)、サルビア属種(Salvia sp.)、キダチハッカ属種(Satureja sp.)、ショエノカウロン属種(Schoenocaulon sp.)、レイリョウコウ属種(Trigonella sp.)、イブキジャコウソウ属種(Thymus sp.)およびブドウ属種(Vitis sp.)に属する植物由来の農工業の残留物、鱗茎、種子、葉、袋果、花および/または完全な地上物から選択される、請求項7に記載の生物農薬組成物。
【請求項9】
抽出物が、バチルス属種(Bacillus sp.)、シュードモナス属種(Pseudomonas sp.)、トリコデルマ属種(Trichoderma sp.)、コリネバクテリウム属種(Corynebacterium sp.)、アスペルギルス属種(Aspergillus sp.)による基質の発酵から得られる選択された発酵物である、請求項7に記載の生物農薬組成物。
【請求項10】
発酵基質が、以下の属:ショウガ属種(Zingiber sp.)、シトラス属種(Citrus sp.)、クアスタマメ属種(Cyamopsis sp.)、クロクス属種(Crocus sp.)、ヒマワリ属種(Helianthus sp.)、パセリ属種(Petroselinum sp.)、ケシ属種(Papaver sp.)、ダイオウ属種(Rheum sp.)、サルビア属種(Salvia sp.)、レタマ属種(Retama sp.)、ラヴァンデュラ属種(Lavandula sp.)、サクラ属種(Prunus sp.)、ワニナシ属種(Persea sp.)、ウコン属種(Curcuma sp.)およびイブキジャコウソウ属種(Thymus sp.)に属する植物由来の農工業の残留物、鱗茎、種子、葉、袋果、花および/または完全な地上物から選択される、請求項9に記載の生物農薬組成物。
【請求項11】
純粋化合物が、以下の供給源:
- シトラール、ゲラニアールおよびネラール異性体については、オガルカヤ属種(Cymbopogon sp.)およびハマビワ属種(Litsea sp.)、コウスイボク属種(Aloysia sp.)、メボウキ属種(Ocimun sp.)、セイヨウヤマハッカ属種(Melissa sp.)およびシトラス属種に含まれる種、
- オイゲノールについては、ニッケイ属種、フトモモ属種、ウコン属種(Curcuma sp.)、ショウガ属種およびメボウキ属種(Ocimum sp.)に含まれる種、
- サポニンについては、クアスタマメ属種、キラヤ属種(Quillaja sp.)、レイリョウコウ属種、サボンソウ属種(Saponaria sp.)、クロクス属種、ユッカ属種(Yucca sp.)、フダンソウ属種(Beta sp.)、キヅタ属種(Hedera sp.)、ヒメハギ属種(Polygala sp.)およびサクラソウ属種(Primula sp)に含まれる種、
- ベンジルアルコールについては、ニッケイ属種およびソケイ属種(Jasminum sp.)に含まれるもの、
- 1,8シネロール(ユーカリプトール)については、ユーカリ属種(Eucalyptus sp.)、サルビア属種、タイム属種、ウコン属種、ローズマリー属種(Rosmarinus sp.)、ヨモギ属種(Artemisia sp.)に含まれる種、
- ゲラニオールについては、バラ属種(Rosa sp.)、オガルカヤ属種、フクロソウ属種(Geranium sp.)およびペラルゴニウム属種(Pelargonium sp.)に含まれるもの、
- 脂肪酸については、ワニナシ属種、ダイズ属種(Glycine sp.)、ヒマワリ属種、オリーブ属種(Olea sp.)に含まれる種および脂肪種子、
- 構造活性相関(SAR)を経た純粋化合物および/もしくは類似体の全合成、半合成または生体模倣合成、ならびに生体内変化および/または生物変換のプロセスにおいてアスペルギルス属種などの糸状菌、細菌および昆虫から選択される任意の生物によって産生されるもの
のいずれかから得られる、請求項7に記載の生物農薬組成物。
【請求項12】
第2の構成成分が、遊離形態またはカプセル化形態で使用される、請求項7~11のいずれか1項に記載の生物農薬組成物。
【請求項13】
生物農薬組成物中の第2の構成成分が、組成物の総体積に対する質量の以下の濃度範囲:5~25%で、生物活性コアと組み合わされる、請求項1~12のいずれか1項に記載の生物農薬組成物。
【請求項14】
生物農薬組成物が、アジュバント、乳化剤、分散剤、香味剤、保存剤、消泡剤、チキソトロープ剤、カプセル化マトリックス、脂肪酸、リン脂質、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1種の不活性物質を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の生物農薬組成物。
【請求項15】
アジュバントが、オルガノシロキサンの群由来のオルガノシリコーン化合物である、請求項14に記載の生物農薬組成物。
【請求項16】
チキソトロープ剤が、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶性セルロース、および他のセルロース誘導体から選択される、請求項14に記載の生物農薬組成物。
【請求項17】
カプセル化マトリックスが、マルトデキストリン、シクロデキストリン、レシチン、植物油および/またはシリカ賦形剤から選択され、前記シリカ賦形剤が、シリカゲル、コロイド状シリカおよび二酸化ケイ素
から選択される、請求項14に記載の生物農薬組成物。
【請求項18】
- ショウガ(Zingiber officinale)、セイロンニッケイ(Cinnamomum verum)、およびダイズレシチン、
- ショウガ、セイロンニッケイ、キダチハッカ水アルコール性抽出物およびダイズレシチン、
- ショウガ、セイロンニッケイ、ダイズレシチン、オルガノシロキサン型シリコーン誘導体、β-シクロデキストリンおよび高分子アジュバント、
- ショウガ、シナニッケイ(Cinnamomum cassia)、アボカド、レモングラス、ダイズレシチン、Tween-80、オルガノシロキサン型シリコーン誘導体、カルボキシメチルセルロース、β-シクロデキストリンおよび高分子アジュバント、
- ショウガ、セイロンニッケイ、アボカド、アスペルギルス属種、ダイズレシチン、オルガノシロキサン型シリコーン誘導体および高分子アジュバント、
- ショウガ、シナニッケイ、セイヨウハッカ(Mentha piperita)、ダイズレシチン、オルガノシロキサン型シリコーン誘導体および高分子アジュバント、
- ショウガ、シナニッケイ、チンネベリーセンナ、ダイズレシチン、オルガノシロキサン型シリコーン誘導体および高分子アジュバント、
- ショウガ、シナニッケイ、フェヌグリーク、酢酸ベンジル、ダイズレシチン、オルガノシロキサン型シリコーン誘導体および高分子アジュバント、
- ショウガ、セイロンニッケイ、シトラール、安息香酸ベンジル、ダイズレシチン、オルガノシロキサン型シリコーン誘導体および高分子アジュバント、
- ショウガ、セイロンニッケイ、ゲラニオール、酢酸ベンジル、ダイズレシチン、オルガノシロキサン型シリコーン誘導体および高分子アジュバント、
- ショウガ、セイロンニッケイ、ケシ(Papaver somniferum)、ダイズレシチン、オルガノシロキサン型シリコーン誘導体および高分子アジュバント、
- ショウガ、セイロンニッケイ、キダチハッカ精油、キダチハッカ抽出物、ダイズレシチン、オルガノシロキサン型シリコーン誘導体および高分子アジュバント、ならびに
- ショウガ、E-シンナムアルデヒド、酢酸ゲラニル、ダイズレシチン、オルガノシロキサン型シリコーン誘導体および高分子アジュバント
を含む生物農薬組成物から選択される、請求項1~17のいずれか1項に記載の生物農薬組成物。
【請求項19】
生物活性コアの各構成成分の濃度が、質量/体積濃度の範囲:
- ショウガの根または根茎の精油、オレオレジン、水性抽出物、アルコール性抽出物、または水アルコール性抽出物:0.01~0.99%、
および
- シンナムアルデヒドまたはシンナムアルデヒド源:0.01~0.99%、
である、請求項1~18のいずれか1項に記載の組成物を含有する最終適用溶液。
【請求項20】
生物活性コアの構成成分:
- ショウガの根または根茎の精油、オレオレジン、水性抽出物、アルコール性抽出物、または水アルコール性抽出物、
- シンナムアルデヒドまたはシンナムアルデヒド源
の、水性媒体中での混合を含む、請求項1に記載の生物農薬組成物を得るための方法。
【請求項21】
少なくとも1種の第2の構成成分および/または少なくとも1種の不活性物質が添加される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
生物活性コアの構成成分の混合が、500~4000rpmの速度で、水性媒体中で行われる、請求項20~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
混合の温度が、20~40℃で、60~120分の時間である、請求項20~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
飛行有害生物の防除のための、請求項1~18のいずれか1項に記載の生物農薬組成物の使用。
【請求項25】
ベミシア属種(Bemisia sp.)「種群」(バイオタイプ)ジアレウロデス属種(Dialeurodes sp.)、トリアレウロデス属種(Trialeurodes sp.)、エンカルシア属種(Encarsia sp.)、マーラットコナジラミ属種(Aleurolobus sp.)、アレウロトリクス属種(Aleurothrixus sp.)、アレウロジクス属種(Aleurodicus sp.)、アレイロデス属種(Aleyrodes sp.)、パラベミシア属種(Parabemisia sp.)、パラレイロデス属種(Paraleyrodes sp.)、オーチャモプラタス属種(Orchamoplatus sp.)、シフォニヌス属種(Siphoninus sp.)
、またはテトラロイロデス属種(Tetraleurodes sp.)に属する
コナジラミの防除のための、請求項24に記載の生物農薬組成物の使用。
【請求項26】
生物農薬組成物が、
- 予防的、および/または
- 治癒的
に使用される、請求項24~25のいずれか1項に記載の生物農薬組成物の使用。
【請求項27】
生物農薬組成物が、単独で、または他の植物衛生製品もしくは有害生物および病害の防除システムと組み合わせて適用される、請求項24~26のいずれか1項に記載の生物農薬組成物の使用。
【請求項28】
他の植物衛生製品または有害生物防除システムが、数ある中でも、殺虫剤、殺線虫剤、殺ダニ剤、殺真菌剤、殺細菌剤、除草剤、植物成長調節剤、誘導因子、肥料、土壌調整剤およびベイトの任意の種類を意味する、請求項27に記載の生物農薬組成物の使用。
【請求項29】
適用が、茎葉散布による、請求項24~28のいずれか1項に記載の生物農薬組成物の使用。
【請求項30】
適用が、食品用途および非食品用途のための農作物における適用である、請求項24~29のいずれか1項に記載の生物農薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業および植物生命工学の分野、より具体的には、植物材料に由来する生物農薬の分野、具体的には、有害生物および病害を防除する抽出物および脂肪酸などの天然物質を含む生化学的生物農薬の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
主に収穫前および収穫後の保護のための農業部門における化学植物保護剤の大量使用は、食物連鎖における毒性残留物の主な供給源の1つを構成する。世界人口の増加は、食物の需要に関する農業生産の増加に直接関連している。
現在、植物衛生製品および合成肥料の使用は、作物の保護およびそれらの正しい栄養、ならびに開発プロセスのために利用可能な主なツールを構成する。しかしながら、これらの化学製品の過剰な使用は、有害生物の抵抗性の発達、環境汚染、他の生物における毒性、およびヒトの健康に対する危険性につながる。
多国籍化学企業(従来の農業)は、高残留性と単一の特異的な作用機構を有する個々の分子の化学合成に基づく製品を適用することによって、有害生物、病害または栄養問題に対処している。これは、製品の交差抵抗性の迅速な出現(有害生物および病害)または有効性の喪失(肥料)だけでなく、環境およびヒトの健康に対する負の影響も引き起こす。
化学殺虫剤の集中的な使用から生じる深刻な問題は、これらの種類の化合物の使用におけるより厳格な法律制定をもたらした(例えば、2009/128/EC指令)。したがって、市場および消費者の需要に関連する現在の法律によって益々制限的に課せられる飼料の安全性の立法基準に起因して、作物保護に対処する新たな生物製品の開発における必要性の増加を招いている。
【0003】
これに関して、天然作物保護製品(生物農薬)の開発は、広く複雑な化学組成に関する高い多機能性を伴う現実的な選択肢を提供する。有害生物および病害における交差抵抗性の出現を遅らせるか、または予防する、技術的に実証された主な問題は、合成製品の連続使用と関連していた。
これまで、開発され市販されている生物農薬の大部分は、健全なおよび有効な活性成分が多量に廉価で均質で追跡可能で豊富でなければならないのと同時に、再生可能資源からの原材料の利用可能性の欠如に関する著しい制限を有している。
微生物(真菌、細菌、酵母)の二次代謝産物、植物起源(植物、藻類、農工業副産物)の抽出物、およびそれらに由来する化合物は、確実に最も研究されており、生物農薬の開発のための原材料の多量の供給源である。
植物は、二次代謝産物が主に由来し、植物と有害生物との間の何百万年もの共進化の結果として、生物農薬活性を有する化学物質の天然工場である。これらの物質は、多くの多機能性をもたらすさまざまな化学クラスに分けることによって特徴付けられる。これらとしては、テルペン、ステロール、アルカロイド、ポリフェノール(フラボン、イソフラボン、クマリン、リグナン、イリドイド、フェニルプロパノイド)、グルコシノレート、イソチオシアネート、脂肪酸、エステルおよび精油が挙げられる。
【0004】
異なる蒸留および/またはCO2を含む低極性での溶媒抽出プロセス(超臨界抽出)による芳香性植物、薬効植物および/または香味植物からほとんどが得られる精油(AE)は、特記するのに値する。AEは、シソ科(Lamiaceae)にほとんどが属する多数の植物種の最も揮発性の部分を表し、モノテルペン、セスキテルペンおよび芳香族化合物の複雑な混合物を含む。疑う余地なく、これらの化合物は、生物農薬の開発において最も幅広く使用されている天然構成成分である。有害生物および病害の防除のための「潜在的」な生物農薬としてのAEの適用に言及する論文は、植物に由来する植物保護化合物における全科学刊行物の70%超を占める。しかしながら、これらの刊行物の95%は、実験室でのアッセイのみであり、実際のスケールアッププロセスに言及しているものはほとんどない(Green Pesticides Handbook. Essential Oils for Pest Control. ISBN: 13-978-1-4987-5938-0,2017)。
【0005】
本発明は、先行技術に存在する制限を克服する。これは、飛行有害生物、主にコナジラミ(半翅目:コナジラミ科(Hemiptera:Aleyrodidae))の種群の植物処理において使用され得る新たな生物農薬組成物の開発からなる。同時に、本発明の生物農薬組成物は、従来の農業および有機システムにおいて現在使用されている化学合成製品および/または天然製品の有効性に関して、容易に入手可能で、拡張可能で、かつ有効である。それらは、交差抵抗性の発生を弱める、植物毒性を示さない、および環境に配慮するという利点も提示する。
従来の殺虫剤は、化学合成によって得られ、同じまたは密接に関連する化学群に一般に属する、1種または2種の活性分子を含有する。一般的な受容体における標的部位に非常に特異的に影響を及ぼすそのような分子は、交差抵抗性の出現と結果として生じる有効性の喪失の主要な原因である(IRAC、2019年;https://bit.ly/33t9FF8)。同様に、ほとんどが3~5個の活性分子を含有する植物抽出物に由来する市場の天然溶液のほとんどは、抵抗性の発生の危険性という結果を伴って、優位である。
【0006】
生物農薬の場合において、それらの化学組成の複雑性(いくつかの分子が異なる化学群に属する)は、それらに、異なる作用機構によるそれらの作用を発揮させ、このようにして、抵抗性の出現を最小化し、それらの長期有効性を増加させる。
本発明の特許請求の範囲に記載される組成物は、複雑な化学組成を示す。それらは、共通して、非常に多様な化学クラスに属する活性分子で構成される相乗的生物活性コアを有する。そのような複雑性は、全体的な作用機序および有効性の観点で、考案される多機能性に直接関連する。化学的に異なる分子は、異なる作用部位で作用する同じ作用機序(例えば、忌避)に影響を与えることができる。これらの場合において、交差抵抗性の発生の危険性は極めて低い。
【0007】
殺虫剤抵抗性対策委員会(IRAC、2019年;https://bit.Iy/33t9 FF8)は、「交差抵抗性の出現の持続可能なおよび有効な管理のための異なる作用機構(MoA)を有する化合物の交互、連続またはローテーション」を推奨している。化学殺虫剤および非常に単純な化学組成の生物農薬(主にある特定の分子のもの)の場合において、これは、異なる作用機構を有する代替の異なる製品を含むだろう(異なる合成化学品および/または合成製品と生物農薬)。本発明の組成物の場合において、これは、代替の作用機構が処方を作り上げる多種多様な異なる分子によって引き起こされるので、必須ではないだろう。本明細書に開示される生物農薬組成物についての従来技術も市場も存在せず、ここで、商業スケールにおける最終製剤は、以下を可能にする、相乗的、協同的および/または強化する効果を示す。
- 活性成分の薬量、したがって、使用される製剤の負荷を低減する。
- 物理的効果(接触およびひっくり返り由来の死亡)、およびコナジラミの摂食および生理学的挙動を制御する化学受容体に対する効果(摂食阻害剤、忌避剤および産卵の阻害剤)を組み合わせる2つ以上の作用機構により作用する。
- 活性成分の制御放出。
- それらの性質および多機能性に起因してコナジラミ群の有害生物に対する交差抵抗性の出現を排除または最小化する。
- 製品に、現在の法律制定に従う「ゼロ残留」という表示を付ける。製剤は、通常天然に存在し、迅速な分解を示す、植物の二次代謝産物を含有する。
- 保証のタイムフレームを削除する。
- 製品に安全という表示を付ける。人間および有益生物(「非対象」)は、開示される製剤を作り上げる二次代謝産物に天然で曝露されている。
【0008】
天然殺虫剤の分類に入る市販製剤の関連する例は以下である。
・ Requiem(登録商標)(Bayer):これは、およそ25%のアリタソウ(Chenopodium ambrosioides)抽出物の構成成分、具体的には、α-テルピネン、p-シメンおよびリモネンの配合物を含有する。
・ Pre-VAM(登録商標)(Gold Agri SA. Ltd.):6~10%のオレンジ油と最大で90%のリモネンを含有する。
・ Pyrecris(登録商標)(SEIPASA):2%の天然ピレトリンを含有する。
・ Agroneem(商標)(Ajay Bio Tech India Limited Body Incorporate)。これは、ニーム油(インドセンダン(Azadirachta indica))の主要構成成分のアザジラクチンを含有する。
【0009】
これらの製剤は、異なるコナジラミ有害生物の防除において有効であることが示されている。しかしながら、本明細書に開示される組成物は、以下の点で、そのような製剤に対する明白な利点を示す。
・ 化学的同一性。
・ 作用機構(MoA)の種類および代替。
・ 交差抵抗性管理(CRM)。
・ 有効性。
類似の性質の製剤に対する開示される組成物の利点の比較を表1に示す。
【0010】
【0011】
しかしながら、合成製品および商業界におけるそれらの普及に対するそれらの成功を決定する生物農薬間の差および区別がある。Pre-VAM(登録商標)(Gold Agri SA. Ltd.)は、オレンジ油からなる天然製剤であり、米国、カナダ、欧州および他の国において植物保護としての使用のために承認されている。その有効性にもかかわらず、本発明の特許請求の範囲に記載される組成物と比較していくつかの不利益がある。提案される作用機構を有するその単一成分組成物中の大部分の存在(95%超のd-リモネン)は、抵抗性を生じる危険性を増加させる。加えて、オレンジ油の高い揮発性および不安定性は、開放圃場条件においてそれを適用することを困難にする(Green Pesticides Handbook. Essential oil for pest control. Chapter 15. Orange oil. Nollet & Singh, Eds. CRC Press, ISBN 978-1 -4987-5938-0)。他方で、同様に単純な化学組成のPirecris(登録商標)およびAgroneem(商標)のような製剤(formulated/formulate)は、神経系(Pirecris(登録商標))または消化酵素(Agroneem(商標))での毒性作用機構によって作用する。これは、抵抗性の出現の危険性がより高いが、有益な(「非標的」)生物に対する効果の可能性を増加させる。
【発明の概要】
【0012】
発明の開示
本発明の以下の用語を、下記に、より完全に定義する。
「生物農薬組成物または植物保護組成物」は、本明細書において互換的に使用される用語である。それらは、生きているかまたは天然に存在する任意の生物学的実体として定義され得、副産物および/またはそれらに由来する化学物質を含み、我々が植物有害生物および/または植物病害と呼ぶすべてを防除/制御する。
「粗抽出物、植物抽出物または植物学的抽出物」は、本明細書において互換的に使用される用語である。
請求項1において挙げられる選択肢のいずれか:「精油、オレオレジン、水性、アルコール性または水アルコール性抽出物」は、ショウガ(Zingiber officinale Roscoe)の根または根茎から得られる生成物である。これらの生成物は、それらの抽出プロセスから得られる粗生成物であってもよく、または、クロマトグラフィー法、液体-液体分離、蒸発、結晶化または蒸留によって誘導される分別によって得られ得るそれらの画分であってもよい。さらにまた、これらの生成物は、純粋物質または物質の混合物であってもよい。
【0013】
本明細書における「シンナムアルデヒド源」は、シンナムアルデヒドを含むか、またはシンナムアルデヒドが得られ得る、化合物の任意の混合物を含む。
本明細書において「生物活性コア」は「第1の構成成分」と等しい。
本明細書において、「活性要素」は「活性成分」と等しい。
本明細書において、「カプセル化剤」は「カプセル化マトリックス」と等しい。
「最終適用溶液」は、適用の準備が整った希釈された生物農薬組成物を指す。
「追加の物質および共製剤物」は、本明細書において互換的に使用される用語である。それらは、殺有害生物組成物の一部を形成し得る不活性物質を指し、その目的は、それらの有効性を増加させることである。そのような物質の例は、アジュバント、分散剤、浸透剤、乳化剤、安定剤、フレーバー、消泡剤および/または保存剤である。
「純粋化合物」は、生物農薬組成物中で第2の活性構成成分として作用し、半純粋画分の部分として合成プロセスによって得られ得るか、またはそれを含有する天然供給源から純粋状態で単離され得る、任意の天然化合物を指す。
【0014】
本明細書において使用される任意の他の用語は、本発明が関連する先行技術の通常の意味を有するものとする。
本発明が解決する技術的課題は、コナジラミの群に含まれる有害生物の植物保護処理において使用される生物農薬組成物の開発である。組成物は、生物活性コア(ショウガ(Zingiber officinale)の根または根茎の精油、オレオレジン、水性、アルコール性または水アルコール性抽出物、およびシンナムアルデヒドまたはシンナムアルデヒド源からなる)を含む。さらに、生物活性コアの構成成分が、驚くべきことに、コナジラミ種群に対する抗飛行昆虫活性に対する増強および/または協同効果を示すことを見出した。
したがって、本発明は、
● ショウガの根または根茎の精油、オレオレジン、水性、アルコール性または水アルコール性抽出物、および
● シンナムアルデヒドまたはシンナムアルデヒド源
を含む相乗的生物活性コアを含む、生物農薬組成物を開示する。
【0015】
生物活性コア中の各構成成分の%w/wでの濃度は、以下の範囲:
● ショウガの根または根茎の精油、オレオレジン、水性、アルコール性または水アルコール性抽出物:0.1~99.9%(w/w)、好ましくは10~90%(w/w)、より好ましくは20~80%(w/w)、さらにより好ましくは30~70%(w/w)、最も好ましくは40~60%(w/w)、および
● シンナムアルデヒドまたはシンナムアルデヒド源:0.1~99.9%(w/w)、好ましくは10~90%(w/w)、より好ましくは20~80%(w/w)、さらにより好ましくは30~70%(w/w)、最も好ましくは40~60%(w/w)
である。
シンナムアルデヒドは、トランス、シス、または異性体の混合物であり得る。
【0016】
生物活性コアの構成成分としてのシンナムアルデヒドは、
- それを含有するニッケイ属種(Cinnamomun sp.)の種から単離/精製された高純度(≧95%)の化合物、
- 全合成、半合成または生体模倣合成によって得られる高純度(≧95%)の化合物、
- 生体内変化および/または生物変換のプロセスにおいて任意の生物(例、アスペルギルス属種(Aspergillus sp.)のような糸状菌、細菌および昆虫)によって産生される化合物
として得られる。
生物活性コアの構成成分としてのシンナムアルデヒド源は、コアを含有する植物種から、好ましくは、ニッケイ属種(Cinnamomum sp.)からのエキス抽出物/精油であってもよい。これらの属の種を含有するシンナムアルデヒドの具体例は、セイロンニッケイ(C.verum.)(異名シナモン(Cinnamomum zeylanicum))、シナニッケイ(C.cassia)、サイゴンニッケイ(C.loureirii)、ジャワニッケイ(C.burmannii)、タマラニッケイ(C.tamala)、C.オスモフロエウム(C.osmophloeum)、C.ベジョルゴタ(C.bejolghota)、C.デュビウム(C.dubium)、C.リブロラム(C.rivulorum)、C.シトリオドラム(C.citriodorum)およびクスノキ(C.camphora)である。
【0017】
シンナムアルデヒドおよび/またはシンナムアルデヒド源は、遊離形態で使用されてもよく、および/またはカプセル化剤中にカプセル化されていてもよい。
カプセル化剤は、マルトデキストリン、シクロデキストリン、レシチン、植物油および/またはシリカ賦形剤から選択されてもよく、シリカ賦形剤は、シリカゲル、コロイド状シリカおよび二酸化ケイ素を含み、好ましくは、シクロデキストリンが使用される。
シンナムアルデヒド源のカプセル化形態は、その生物活性を増加させ、活性成分または活性要素の制御放出を促進する。
【0018】
本発明の特定の実施形態において、生物農薬組成物は、第2の構成成分をさらに含む。この第2の構成成分は、1種または複数の活性要素または活性成分であってもよい。第2の構成成分としての活性成分は、
● 植物学的抽出物または抽出物の画分、
● 微生物の発酵から得られる抽出物、または前記抽出物の画分、
● ゲラニアール(シトラールA)、ネラール(シトラールB)、サポニン、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、酢酸ベンジル、オイゲノール、1,8-シネオール、チモール、ゲラニオール、酢酸ゲラニル、ならびに短鎖および長鎖飽和脂肪酸、好ましくは長鎖不飽和脂肪酸、脂肪酸誘導体(例えば、メチル化脂肪酸、脂肪酸のメチルエステル、FAME、「脂肪酸メチルエステル」)、より好ましくは長鎖飽和脂肪酸および/または不飽和脂肪酸から選択される脂肪酸から選択される純粋化合物、ならびに
● レシチン、好ましくは、卵、ヒマワリ、ナタネ、トウモロコシ、ワタ、ピーナッツまたはダイズ由来のレシチン
の1種または複数から選択される。
植物学的抽出物は、
● 水性、アルコール性および水アルコール性抽出物、ならびに/または
● 精油
から選択されてもよい。
【0019】
植物学的抽出物の起源は、以下の属:ネギ属種(Allium sp.)、シシウド属種(Angelica sp.)、バンレイシ属種(Annona sp.)、ヨモギ属種(Artemisia sp.)、カルム属種(Carum sp.)、カシア属種(Cassia sp.)、アカザ属種(Chenopodium sp.)、シトラス属種(Citrus sp.)、コーヒーノキ属種(Coffea sp.)、クロクス属種(Crocus sp.)、ウコン属種(Curcuma sp.)、クアスタマメ属種(Cyamopsis sp.)、オガルカヤ属種(Cymbopogon sp.)、エニシダ属種(Cytisus sp.)、ユーカリ属種(Eucalyptus sp.)、ユーリコマ属種(Eurycoma sp.)、イチジク属種(Ficus sp.)、ウイキョウ属種(Foeniculum sp.)、カラクサケマン属種(Fumaria sp.)、フクロソウ属種(Geranium sp.)、イチョウ属種(Ginkgo sp.)、ヒマワリ属種(Helianthus sp.)、ヒソップ属種(Hyssopus sp.)、タイワンアブラギリ属種(Jatropha sp.)、ラヴァンデュラ属種(Lavandula sp.)、ハッカ属種(Mentha sp.)、ワサビノキ属種(Moringa sp.)、ニゲラ属種(Nigella sp.)、メボウキ属種(Ocimum sp.)、オリーブ属種(Olea sp.)、ケシ属種(Papaver sp.)、テンジクアオイ属種(Pelargononium sp.)、ワニナシ属種(Persea sp.)、パセリ属種(Petroselinum sp.)、ミツバグサ属種(Pimpinella sp.)、サクラ属種(Prunus sp.)、クアッシア属種(Quassia sp.)、レタマ属種(Retama sp.)、ダイオウ属種(Rheum sp.)、ローズマリー属種(Rosmarinus sp.)、サルビア属種(Salvia sp.)、キダチハッカ属種(Satureja sp.)、ショエノカウロン属種(Schoenocaulon sp.)、フトモモ属種(Syzygium sp.)、レイリョウコウ属種(Trigonella sp.)、イブキジャコウソウ属種(Thymus sp.)およびブドウ属種(Vitis sp.)、好ましくは、種:ニンニク(Allium sativum)、セイヨウトウキ(Angelica archangelica)、チェリモヤ(Annona cherimola)、ニガヨモギ(Artemisia absinthium)、ヒメウイキョウ(Carum carvi)、チンネベリーセンナ(Cassia angustifolia)、センナ(Cassia senna)、アリタソウ(Chenopodium ambrosioides)、ダイダイ(Citrus aurantium)、レモン(Citrus lemon)、スイートオレンジ(Citrus sinensis)、アラビアコーヒーノキ(Coffea arabica)、クロクス・コルシカス(Crocus corsicus)、サフラン(Crocus sativus)、クロクス・スペキオスス(Crocus speciosus)、クロクス・ベルヌス(Crocus vemus)、クルクマ・アロマティカ(Curcuma aromatica)、ウコン(Curcuma longa)、レモングラス(Cymbopogon citratus)、クラスタマメ(Cyamopsis tetragonoloba)、イーストインディアンレモングラス(Cymbopogon flexuosus)、パルマロサグラス(Cymbopogon martinii)、コウスイガヤ(Cymbopogon nardus)、エニシダ(Cytisus scoparius)、ユーカリプタス・カマルドゥレンシス(Eucalyptus camaldulensis)、ユーカリプタス・グロブルス(Eucalyptus globulus)、ユーリコマ・ロンギフォリア(Eurycoma longifolia)、イチジク(Ficus carica)、カラクサケマン(Fumaria officinalis)、ウイキョウ(Foeniculum vulgare)、ゼラニウム・マクロリズム(Geranium macrorrhizum)、イチョウ(Ginkgo biloba)、ヒマワリ(Helianthus annuus)、キクイモ(Helianthus tuberosum)、ヒソップ(Hyssopus officinalis)、ナンヨウアブラギリ(Jatropha curcas)、ラベンダー(Lavandula angustifolia)、ラベンダー×インターメディエート(Lavanda x Intermediate)、ラヴァンデュラ・ルイシエリ(Lavandula luisieri)、セイヨウハッカ(Mentha piperita)、オランダハッカ(Mentha spicata)、ワサビノキ(Moringa oleifera)、ブラッククミン(Nigella sativa)、スイートバジル(Ocimum basilicum)、オリーブ(Olea europaea)、ヒナゲシ(Papaver rhoeas)、ケシ(Papaver somniferum)、ペラルゴニウム・シトリオドラム(Pelargonium citriodorum)、ペラルゴニウム・グラヴィオレン(Pelargonium graveolens)、アボカド(Persea americana)、ペルセア・インディカ(Persea indica)、パセリ(Petroselinum sativum(異名P.クリスプム(P.crispum))、アニス(Pinpinella anisum)、プラナス・パーシカ(Prunus persica)、クアッシア・アマラ(Quassia amara)、レタマ・モノスペルマ(Retama monosperma)、レタマ・スファエロカルパ(Retama sphaerocarpa)、ルバーブ(Rheum rhabarbarum)、ダイオウ(Rheum officinale)、ローズマリー(Rosmarinus officinalis)、スパニッシュセージ(Salvia lavandulifolia)、コモンセージ(Salvia officinalis)、キダチハッカ(Satureja montana)、サバジラ(Schoenocaulon officinale)、クローブ(Syzygium aromaticum)、フェヌグリーク(Trigonella foenum-graecum)、コモンタイム(Thymus vulgaris)、チムス・ジギス(Thymus zygis)およびヨーロッパブドウ(Vitis vinifera)に属する植物由来の農工業の廃棄物、鱗茎、種子、葉、袋果、花および/または全地上物から選択されてもよい。
【0020】
発酵産物は、植物基質の存在下での微生物(真菌または細菌)の発酵プロセスから、および低温殺菌プロセスによる生微生物の除去の際に生じる、抽出物または発酵液(ニートまたは有機溶媒で前に抽出)を指す。
微生物発酵から得られる抽出物は、バチルス属種(Bacillus sp.)、シュードモナス属種(Pseudomonas sp.)、トリコデルマ属種(Trichoderma sp.)、コリネバクテリウム属種(Corynebacterium sp.)およびアスペルギルス属種、好ましくは、クロコウジカビ(Aspergillus niger)、トリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianum)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、コリネバクテリウム・エフィシエンス(Corynebacterium efficiens)およびバチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)による基質の発酵から得られる抽出物から選択されてもよい。
【0021】
発酵基質は、以下の属:ショウガ属種(Zingiber sp.)、シトラス属種、クアスタマメ属種、クロクス属種、ヒマワリ属種、パセリ属種、ケシ属種、ダイオウ属種、サルビア属種、レタマ属種、ラヴァンデュラ属種、サクラ属種、ワニナシ属種、ターメリック属(Turmeric sp.)およびタイム属種に属する植物、好ましくは、マッシュルーム(Agaricus bisporus)、クラスタマメ、ヒマワリ、シトラス×シネシス(Citrus x sinensis)およびダイズ(Glycine max)由来の農工業の残留物、鱗茎、種子、葉、袋果、花および/または全地上物の中から選択されてもよい。
【0022】
純粋化合物は、以下の供給源:
● シトラール、ゲラニアールおよびネラール異性体については、オガルカヤ属種[例:数ある中でも、レモングラス(C.citratus)、パルマロサグラス(C.martinii)、イーストインディアンレモングラス(C.flexuosus)、シトロネラジャワ(C.winterianus)、コウスイガヤ(C.nardus)]、ハマビワ属種(Litsea sp.)(例:数ある中でも、リツエアクベバ(L cubeba)、L.シトラテ(L citrate))、コウスイボク属種(例:数ある中でも、レモンバーベナ(A.citrodora))、メボウキ属種(Ocimun sp.)(例:数ある中でも、インドメボウキ(O.gratissimum))、セイヨウヤマハッカ属種(Melissa sp.)(例:数ある中でも、レモンバーム(M.officinalis))およびシトラス属種に含まれる種、オイゲノールについては、ニッケイ属種[例:数ある中でも、セイロンニッケイ(異名、シナモン)、シナニッケイ、C.シトリオドラム、クスノキ]、フトモモ属種(例:数ある中でも、チョウジ(S.aromaticum))、ウコン属種(例:数ある中でも、ウコン(C.longa))、ショウガ属種(例:数ある中でも、ショウガ(Z.officinale)など)およびメボウキ属種(例:数ある中でも、カミメボウキ(O.tenuifiorum))に含まれる種、
● サポニンについては、クアスタマメ属種(例:数ある中でも、クラスタマメ(C.tetragonoloba))、キラヤ属種(Quillaja sp.)(例:数ある中でも、シャボンノキ(Q.saponaria))、レイリョウコウ属種(例:数ある中でも、フェヌグリーク(T.foenum-graceum))、サボンソウ属種(Saponaria sp.)(数ある中でも、サボンソウ(S.officinalis))、クロクス属種(例:数ある中でも、サフラン(C.sativus))、ユッカ属種(Yucca sp.)(例:数ある中でも、Y.シジゲラ(Y.schidigera))、フダンソウ属種(Beta sp.)(例:数ある中でも、ビート(B.Vulgaris))、キヅタ属種(Hedera sp.)(例:数ある中でも、セイヨウキヅタ(H.helix))、ヒメハギ属種(Polygala sp.)およびサクラソウ属種(Primula sp)に含まれる種、ベンジルアルコールについては、ニッケイ属種(例:シナニッケイ)およびソケイ属種(Jasminum sp.)(例:数ある中でも、ソケイ(J.grandiflorum))に含まれるもの、
● 1,8シネロール(ユーカリプトール)については、ユーカリ属種(例:数ある中でも、E.グロブルス(E.globulus)、E.カマルドゥレンシス(E.camaldulensis))、サルビア属種(例:数ある中でも、コモンセージ(S.officinalis)、グリークセージ(S.fructicosa))、タイム属種(例:数ある中でも、コモンタイム(T.vulgaris)、T.ジギス(T.zigys)、T・カピタツス(T.capitatus))、ウコン属種(例:数ある中でも、ウコン(C.Loriga))、ローズマリー属種(例:数ある中でも、ローズマリー(R.officinalis))、ヨモギ属種(例:数ある中でも、オウシュウヨモギ(A.vulgaris))に含まれる種、ゲラニオールについては、バラ属種(Rosa sp.)(例:数ある中でも、R.ダマスケナ(R.damascena)、R.アルバ(R.alba)、R.ガリカ(R.gallica))、オガルカヤ属種(例:数ある中でも、レモングラス、パルマロサグラス、イーストインディアンレモングラス、シトロネラジャワ、コウスイガヤ)、フクロソウ属種(数ある中でも、G.プラテンセ(G.pretense)、G.マクロリズム(G.macrorrhizum))およびペラルゴニウム属種(Pelargonium sp.)(例;数ある中でも、P.ヒルスツム(P.hirsutum))に含まれる種、
● 脂肪酸については、ワニナシ属種(例:数ある中でも、アボカド(P.americana))、ダイズ属種(Glycine sp.)(例:数ある中でも、ダイズ(G.max))、ヒマワリ属種(例:数ある中でも、ヒマワリ(H.annuus))、オリーブ属種(例:オリーブ(Olea europaea))によって包含される種および他の脂肪種子、
● 構造活性相関(SAR)を経た純粋化合物および/もしくは類似体の全合成、半合成または生体模倣合成、ならびに
● 生体内変化および/または生物変換のプロセスにおいてアスペルギルス属種などの糸状菌、細菌および昆虫から選択される任意の生物によって産生されるもの
のいくつかから得ることができる。
【0023】
レシチンは、
● 固体レシチン、
● 液体または液状レシチン、および
● 加水分解または部分加水分解レシチン
から選択される。
【0024】
第2の構成成分は、遊離形態またはカプセル化形態で使用されてもよい。
生物農薬組成物中の第2の構成成分の濃度は、組成物の総体積に対する質量の以下の濃度範囲:1~30%(w/v)、好ましくは5~25%(w/v)、さらにより好ましくは10~20%(w/v)で、生物活性コアと組み合わされる。
生物農薬組成物は、アジュバント、乳化剤、分散剤、フレーバー、保存剤、消泡剤、チキソトロープ剤、カプセル化のマトリックス、脂肪酸、リン脂質、およびそれらの混合物の中から選択され得る少なくとも1種の不活性物質をさらに含んでいてもよい。
アジュバントは、オルガノシロキサンの群由来のオルガノシリコーンであってもよい。
【0025】
チキソトロープ剤は、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶性セルロース、および他のセルロース誘導体、好ましくは、ガムおよびゲルであり得る。
カプセル化のマトリックスは、マルトデキストリン、シクロデキストリン、レシチン、植物油および/またはシリカ賦形剤の中から選択されてもよく、シリカ賦形剤は、シリカゲル、コロイド状シリカおよび二酸化ケイ素を含み、好ましくは、シクロデキストリンであってもよい。
本発明の特定の実施形態において、生物農薬組成物は、生物活性コア、レシチン、ならびに任意に第2の構成成分および/または不活性物質と称される他の物質を含む。
【0026】
本発明の特定の実施形態において、生物農薬組成物は、
- ショウガおよびセイロンニッケイ(Cinnamomum verum)、
- ショウガ、セイロンニッケイおよびダイズレシチン、
- ショウガ、E-シンナムアルデヒドおよびアボカド、
- ショウガ、セイロンニッケイおよびオルガノシロキサン型シリコーン誘導体、
- ショウガ、セイロンニッケイ、キダチハッカ水アルコール性抽出物およびダイズレシチン、
- ショウガ、セイロンニッケイ、ダイズレシチン、オルガノシロキサン型シリコーン誘導体、β-シクロデキストリンおよび高分子アジュバント、
- ショウガ、シナニッケイ(Cinnamomum cassia)、アボカド、レモングラス、ダイズレシチン、Tween-80、オルガノシロキサン型シリコーン誘導体、カルボキシメチルセルロース、β-シクロデキストリンおよび高分子アジュバント、
- ショウガ、セイロンニッケイ、アボカド、アスペルギルス属種、ダイズレシチン、オルガノシロキサン型シリコーン誘導体および高分子アジュバント、
- ショウガ、シナニッケイ、セイヨウハッカ、ダイズレシチン、オルガノシロキサン型シリコーン誘導体および高分子アジュバント、
- ショウガ、シナニッケイ、チンネベリーセンナ、ダイズレシチン、オルガノシロキサン型シリコーン誘導体および高分子アジュバント、
- ショウガ、シナニッケイ、フェヌグリーク、酢酸ベンジル、ダイズレシチン、オルガノシロキサン型シリコーン誘導体および高分子アジュバント、
- ショウガ、セイロンニッケイ、シトラール、安息香酸ベンジル、ダイズレシチン、オルガノシロキサン型シリコーン誘導体および高分子アジュバント
- ショウガ、セイロンニッケイ、酢酸ベンジル、ゲラニオール、ダイズレシチン、オルガノシロキサン型シリコーン誘導体および高分子アジュバント、
- ショウガ、セイロンニッケイ、ケシ、ダイズレシチン、オルガノシロキサン型シリコーン誘導体および高分子アジュバント、
- ショウガ、セイロンニッケイ、キダチハッカ精油、キダチハッカ抽出物、ダイズレシチン、オルガノシロキサン型シリコーン誘導体および高分子アジュバント、ならびに
- ショウガ、E-シンナムアルデヒド、酢酸ゲラニル、ダイズレシチン、オルガノシロキサン型シリコーン誘導体および高分子アジュバント
を含む生物活性組成物から選択される。
【0027】
本発明は、溶媒、好ましくは水性、より好ましくは水で希釈された、上記で定義された生物農薬組成物を含む最終適用溶液にも関する。
最終適用溶液中の生物活性コアの各構成成分の濃度は、
- ショウガの根または根茎の精油、オレオレジン、水性、アルコール性または水アルコール性抽出物:0.01~0.99%(w/v)、好ましくは0.05~0.95%(w/v)、好ましくは0.1~0.9%(w/v)、より好ましくは0.2~0.8%(w/v)、最も好ましくは0.3~0.7%(w/v)、最も好ましくは0.4~0.6%(w/v)、および
- シンナムアルデヒドまたはシンナムアルデヒド源:0.01~0.99%(w/v)、好ましくは0.05~0.95%(w/v)、好ましくは0.1~0.9%(w/v)、最も好ましくは0.2~0.8%(w/v)、最も好ましくは0.3~0.7%(w/v)、最も好ましくは0.4~0.6%(w/v)
の範囲である。
【0028】
開示される生物農薬組成物の主な技術的利点は、
- それらが、
〇 本発明内で得られる値および先行技術において報告されている値の両方を考慮した、個々の活性要素(抽出物、油、分子)、
〇 公知の他の天然および合成化合物ならびに/または製剤
と比較して、飛行昆虫の防除において、低用量で、高い有効性および特異性を示す
ことである。
それらは、飛行昆虫に対する複数の非毒性の作用機序(接触-抗食物-産卵忌避)を有する。
交差抵抗性の発生の排除および/または妨害。
選択された植物種は、作物における高い生物学的多様性および持続可能性を示し、プロセスの最初のステップにおいて材料の利用可能性を確実にする。
活性成分の場合において、それらは、
- それらの天然での出現、
- それらの食品および医薬使用、
- 天然のヒト曝露の歴史および環境
を考慮して、ヒトおよび動物または植物に対して毒性であると予測されない。
【0029】
いくつかの場合において、いくつかの生物農薬組成物の構成成分としての抽出物を得ることは、わずかな商業的価値を有するか、商業的価値を有さない植物材料の査定に対する代替手段を構成し、農業食品産業の処理において残留物として管理される。
開示される最適化された抽出および製剤プロセスは、きれいで、速く、効率的で容易に拡張可能であり、市場における製品の最終コストの低減をもたらす。
本発明のさらなる目的は、生物活性コアの構成成分:
- ショウガの根または根茎の精油、オレオレジン、水性、アルコール性または水アルコール性抽出物、
- シンナムアルデヒドまたはシンナムアルデヒド源
を水性媒体中で混合することを含む、本発明の生物農薬組成物を得るプロセスを構成する。
【0030】
生物活性コアを得るためのプロセスの前のステップにおいて、ショウガの精油、オレオレジン、水性、アルコール性または水アルコール性抽出物は、浸漬、浸出、煮出し、注入、クレベンジャーの水蒸気蒸留;超音波により、マイクロ波により、超臨界流体により支援された抽出;ソックスレー抽出、噴出、エントレインメント(直接、間接、加圧および/または真空)、または溶媒抽出(温または冷)、好ましくは、コロイドミル多機能分散システムにおける溶媒抽出によって得てもよい。
あるいは、シンナムアルデヒド源は、上記に示される種の蒸留によって得ることができる。シンナムアルデヒドは、生物活性コアを製剤化する前にカプセル化されてもよい。
構成成分の添加の所与の順序は、ショウガの根または根茎の精油、オレオレジン、水性、アルコール性もしくは水アルコール性抽出物が、最初に水、続いてシンナムアルデヒドまたはシンナムアルデヒド源に添加されることを必要とする(実施例1)。
【0031】
任意に、生物農薬組成物は、順序付けられた混合から、相乗的生物活性コア、少なくとも1種の第2の構成要素および/または少なくとも1種の不活性物質の具体的な割合で得られる。それらは、その後、規則に従った方法で、各構成成分の添加後の撹拌期間で、混合物に添加される。
生物活性コアの構成成分の混合は、500~4000rpm、好ましくは、1500~3000rpmの範囲の速度で行われる。混合は、水性媒体中で起こる。
混合物の温度は、20~40℃、好ましくは、24~35℃であり、時間について、30~120分、好ましくは、40~100分で構成される。
生物農薬組成物を製造するプロセスは、当技術分野においてこれらのタスクを行うために通常使用される装置または反応器において行われ得る。
本発明のさらなる目的は、飛行有害生物の防除のための生物農薬組成物の使用を構成する。
【0032】
特に、コナジラミ群、好ましくは、ベミシア属種(Bemisia sp.)「種群(complex)」(バイオタイプ)、ジアレウロデス属種(Dialeurodes sp.)、トリアレウロデス属種(Trialeurodes sp.)、エンカルシア属種(Encarsia sp.)、マーラットコナジラミ属種(Aleurolobus sp.)、アレウロトリクス属種(Aleurothrixus sp.)、アレウロジクス属種(Aleurodicus sp.)、アレイロデス属種(Aleyrodes sp.)、パラベミシア属種(Parabemisia sp.)、パラレイロデス属種(Paraleyrodes sp.)、オーチャモプラタス属種(Orchamoplatus sp.)、シフォニヌス属種(Siphoninus sp.)およびテトラロイロデス属種(Tetraleurodes sp.)に属するものである。
生物農薬組成物の要素は、相乗的、相加的、多価的および/または強力に作用する。
【0033】
生物農薬は、制御された放出機構によって長期の効果を有する。
生物農薬組成物は、作物の損失の危険性を伴う高い蔓延状況に対して、
- 予防的に、および/または
- 治癒的に
使用され得る。
加えて、生物農薬は、単独で、または他の植物保護製品もしくは有害生物および病害の防除システムと組み合わせて適用され得る。
他の植物保護製品または有害生物防除システムとは、数ある中でも、殺虫剤、殺線虫剤、殺ダニ剤、殺真菌剤、殺細菌剤、除草剤、植物成長調節剤、誘導因子、肥料、土壌調整剤およびベイトの任意の種類を意味する。
生物農薬組成物の適用は、茎葉散布によってであり得る。
別の特定の実施形態において、生物農薬組成物の適用は、従来の農業、有機農業または環境保護農業、好ましくは、園芸作物、圃場作物および鑑賞作物ならびにガーデニング、ならびに公園およびスポーツ施設のいずれかで、食品および非食品農作物に対して行われる。
【0034】
別の特定の実施形態において、適用は、温室および開放圃場においてだけでなく、庭、ならびにスポーツおよびレクリエーション施設のグリーン領域において行われる。
生物農薬組成物の用量は、製剤の種類、防除される有害生物による攻撃の種類および強度、作物、ならびに使用の国に応じて、増加または減少させてもよい。
機構および作用機序の定義
作用機序(MoA)は、生物農薬がその効果を生じる具体的な物理的および/または生化学的相互作用を指す。
【0035】
作用機序および作用機構を決定するために、開発されたおよび/または科学文献が出典の一連のマイクロアッセイ(インビトロおよびインビボ)(例えば、選択対非選択のアッセイ、直接散布、摂取毒性、Y管オルファクトメーターバイオアッセイ、プライミングバイオアッセイ、顕微鏡など)を用いた。好ましくは、以下のバイオアッセイが実施される。
・ 接触アッセイからの死亡率:目的は、局所適用による、成体の死亡率およびコナジラミの未成熟状態に対する異なる物質の用量の効果を評価することである。
・ 定着阻害アッセイ:標的は、コナジラミ成体の挙動(定着)に対する異なる物質の用量の効果を評価することである。これは、同じ昆虫学的ボックス(選択トライアル)または異なる(非選択)ボックスに位置する処理植物および未処理植物に対する飛行昆虫の優先傾向に基づく。
・ 産卵阻害アッセイ:標的は、コナジラミ成体の産卵に対する物質の異なる用量の効果を評価することである。これは、同じ昆虫学的ボックス(選択トライアル)または異なる(非選択)ボックスに位置する処理植物および未処理植物の表面における飛行昆虫の産卵についての優先傾向に基づく。
・ 空間忌避アッセイ:目的は、その宿主植物に対するコナジラミ成体の優先傾向を阻害する物質の能力を測定することである(オルファクトメーターアッセイ)。
【0036】
以下を、アッセイのプロトコールにおいて考慮した。
・ 生物農薬組成物の活性要素のそれぞれを、別々に、それらの間に組み合わせを試験する。
・ 生物農薬組成物のそれぞれをアッセイする。
・ 開示される組成物を作り上げる要素のそれぞれについて、および生物農薬組成物のそれぞれについて、用量反応アッセイを実施し、CE/LD50(研究された効果の50%が生じる用量)を算出した。
得られた結果を考慮して、評価された活性要素および/または生物農薬組成物が2つの主な作用機序によって作用することが結論付けられる。
【0037】
作用機序1:ノックダウン効果。この作用機序に関与する作用機構は、
● 飛行昆虫の気道閉塞(窒息死)、
● 外骨格のワックス層の構造破壊(脱水死)、
● 細胞膜の構造破壊(浸透圧ショック)
である。
作用機序2:飛行昆虫の嗅覚受容体および味覚に対する作用。この作用機序に関与する作用機構は、
● 摂食阻害効果:組成物の構成成分の味覚受容体との相互作用による摂食の阻害、
● 忌避効果:カプセル化揮発性構成成分の制御放出、および嗅覚受容体とのそれらの相互作用による強い忌避効果、
● 産卵の阻害:組成物の構成成分が成体の化学受容体と相互作用することによる著しい産卵の低減
である。
生物活性コアの要素のそれぞれについての作用機構および作用機序を表2にまとめる。
【0038】
【0039】
生物活性コアの成分は、作用機構の観点で、多くの多機能性に関連する複雑な化学組成を示す。提案される作用機構の組み合わせ(物理的および挙動的)は、生物活性コアの有効性を決定し、交差抵抗性の出現の危険性を最小化する。この有効性は、少なくとも1種の第2の活性構成成分、ならびに組成物の安定性の増加および活性成分の制御放出の促進に寄与する不活性共製剤物(物質)の添加によって増強される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図5】接触アッセイからのインビトロ死亡率の設計。
【
図6】接触アッセイからの死亡率におけるコナジラミ成体の顕微鏡観察。A.膜の構造破壊;B.気門の遮断(窒息状態)。
【
図7】空間忌避アッセイのために設計されたY-オルファクトメーター。
【
図9】生物活性コア構成成分間の相互作用のアイソボログラフィック分析。
【
図10】純粋(A)およびカプセル化(B)シナモン精油のクロマトグラム(GC-MS-MS)。
【
図11】接触からの死亡率に対するコア生物活性要素の用量反応曲線(%M)。
【
図12】定着阻害についてのコア生物活性要素の用量反応曲線(%SI)。
【
図13】産卵の阻害についてのコア生物活性要素の用量反応曲線(%IO)。
【
図14】相乗的、ブーストおよび協同的混合物の研究のためのギブス三角形方法論。上側の三角形は、構成成分A、BおよびCの間で生じた相乗的組み合わせの数を示す。下側の三角形は、組み合わせにおける成分A、BおよびCのそれぞれの割合を示す。
【
図15】ナスにおけるコナジラミに対するWF_F4組成物の圃場トライアルにおける実験設計および実験分布および試料採取区。
【発明を実施するための形態】
【0041】
適用例
以下の図面、図、表および実施例は、本発明の実例の目的で示され、その限定を示すものではない。
【実施例】
【0042】
(実施例1)
生物活性コアの入手
本特許の枠組み内に開示される生物農薬組成物のいくつかの例を表3に含める。
具体的な一例として、生物活性コア(組成物M0、表3)は、水中に10.5%のショウガの根/根茎の水アルコール性抽出物、およびシンナムアルデヒド源として15%のセイロンニッケイJ.Presl.(異名C.ゼラニカム・ブルーメ(C.zeylanicum Blume))の精油(CAS 8015-91-6)を含む。精油は、遊離形態(100%精油)で組み込むことができ、および/またはカプセル剤で部分的もしくは完全にカプセル化することができる。具体的な一例において、カプセル化剤はβ-シクロデキストリンである。上記に記載の一般的なステップに従う入手するためのプロセスを下記に詳述する。
【0043】
生物活性コア要素の混合は、650リットルの総容積および560リットルの有効容積を有するステンレス鋼反応器(
図1)において行われる。これは、PT100センサーによりタンク内部の温度を制御するための熱交換流体が循環する二重ジャケットを有する。反応器は、2つの撹拌機を備える:中央のディスクのcowlesスターラー(1500rpmの最大速度)および反応器の底部に位置する高速乳化機(3,000rpm、ultra-turrax型)。両方の撹拌機は、各成分および混合プロセスの間の時間について具体的な速度および回転の制御を達成するように、独立して制御される。加えて、反応器は、生成物中で形成され、気-液界面の形成を防止する起泡を除去するために使用される真空ポンプに接続される。酸素の存在下での作業を防止し、それによって酸化プロセスを防止するための不活性ガス注入システムも特徴とする。サイロに、反応器は、自動クリーニングのためのクリーニングシステムの定位置の洗浄を特徴とする。
【0044】
反応器の特徴を考慮して(
図1)、生物活性コアの要素は、表4に詳述されるような温度および各撹拌機の回転変数を調整して、ある特定の順序で注意深く添加される。
【0045】
【0046】
【0047】
(実施例2)
生物農薬組成物の入手
各生物農薬組成物は、それに含まれる活性要素および共製剤物の性質に基づいた具体的な混合順序に従って製剤化される。生物活性コアの要素は、2つの方法で、最終組成物中で用いられる。
(1)それらは、生物農薬組成物を製剤化するプロセスの間に、個々に、対応する順序で含められる。
(2)それは、事前に混合され、次いで、生物農薬組成物に応じた対応する比および順序で、最終製剤化に添加される。
【0048】
手順は、以下の一般的なステップからなる。
a.原材料の選択
◆活性要素
- 生物活性コア(第1の構成成分)
- 第2の構成成分
◆不活性物質
- 乳化剤
- アジュバント
- 安定剤
- 保存剤
- カプセルの材料
- フレーバー
- 消泡剤
b.活性成分のカプセル化(適用される場合)
c.製剤化(成分の混合)
【0049】
本特許の枠組み内に開示される生物農薬組成物のいくつかの例を表3に列挙する。変形(組成物M1、M2、M3、M4、WF_f4、ADI-23、PW-1.5およびMxM5)のそれぞれを得るための手順の例を下記に詳述する。このプロセスは、表3に列挙される組成物(MxM14、MxM15、MxM22、MxM19、MxM12、MxM16およびMxM25)の残りについて詳細に及ぶ。
【0050】
2.1 生物活性コア+第2の構成成分としてレシチンによって形成される生物農薬組成物
生物農薬組成物(組成物M1、表3)の一例。生物活性コア(7.5%のショウガの水アルコール性抽出物、およびシンナムアルデヒド源として10%のセイロンニッケイの精油)を、乳化剤および活性増強剤として17.5%のダイズレシチン(CAS:8002-43-5)と配合して、組成物M1(表3)を作製する。
実施例1に記載された反応器の特徴を考慮して、生物活性コアの要素およびダイズレシチンは、表5に詳述されるような温度および各撹拌機の回転変数を調整して、ある特定の順序で注意深く添加される。
【0051】
【0052】
2.2 生物活性コア+第2の構成成分としてアボカド抽出物によって形成される生物農薬組成物
生物農薬組成物(組成物M2、表3)の例。生物活性コア(7.5%のショウガ水アルコール性抽出物、およびシンナムアルデヒド源として5%のシンナムアルデヒド(CAS 104-55-2))を、20%のアボカド水アルコール抽出物(第2の構成成分)と混合して、組成物M2(表3)を作製する。
実施例1に記載された反応器の特徴を考慮して、生物活性コアの要素および第2の構成要素(アボカド水アルコール抽出物)は、表6に詳述されるような温度および各撹拌機の回転変数を調整して、ある特定の順序で注意深く添加される。
【0053】
【0054】
2.3 生物活性コア+不活性物質によって形成される生物農薬組成物
生物農薬組成物(組成物M3、表3)の例。生物活性コア(12.5%のショウガ水アルコール性抽出物、およびシンナムアルデヒド源として12.5%のセイロンニッケイ精油)を、10%のオルガノシロキサン型のシリコーン誘導体(アジュバント)と混合して、組成物M3(表3)を作製する。
実施例1に記載された反応器の特徴を考慮して、生物活性コアの要素およびアジュバント(オルガノシリコーン誘導体)は、表7に詳述されるような温度および各撹拌機の回転変数を調整して、ある特定の順序で注意深く添加される。
【表7】
【0055】
2.4 生物活性コアおよび2種の第2の構成成分によって形成される生物農薬組成物
生物農薬組成物(組成物M4、表3)の例。生物活性コア(1%のショウガ水アルコール性抽出物、およびシンナムアルデヒド源として12.5%のセイロンニッケイ精油)を、20%のキダチハッカ水アルコール性抽出物および17.5%のダイズレシチン(第2の構成成分)と配合して、組成物M4(表3)を作製する。
実施例1に記載された反応器の特徴を考慮して、生物活性コアの要素およびアジュバント(オルガノシリコーン誘導体)は、表8に詳述されるような温度および各撹拌機の回転変数を調整して、ある特定の順序で注意深く添加される。
【0056】
【0057】
2.5 生物活性コア、ダイズレシチン、不活性物質および/または第2の活性構成成分によって形成される生物農薬組成物
2.5.1. 組成物WF F4
生物農薬組成物の一例。生物活性コア(7.5%のショウガ水アルコール性抽出物、およびシンナムアルデヒド源として16.0%のセイロンニッケイ精油)を、17.5%のダイズレシチン(乳化剤および増強剤の機能を有する第2の構成成分)、13%のオルガノシリコーンアジュバントおよび10%の分散剤として作用する高分子アジュバントと配合する。この特定の場合において、13%のセイロンニッケイ精油は遊離で、3%のセイロンニッケイ精油は10%のβ-シクロデキストリンにカプセル化されて添加されて、組成物WF_F4(表3)を作製する。
実施例1に記載された反応器の特徴を考慮して、生物活性コアの要素、ダイズレシチンおよび残りの不活性物質は、表9に詳述されるような温度および各撹拌機の回転変数を調整して、ある特定の順序で注意深く添加される。
【0058】
【0059】
2.5.2. ADI-23組成物
生物農薬組成物の一例。生物活性コア(7%のショウガ水アルコール性抽出物、およびシンナムアルデヒド源として2.5%のシナニッケイ精油)を、13.5%のアボカド由来の水アルコール性抽出物、10%のレモングラス由来の精油、17.5%のダイズレシチン(乳化剤および増強剤の機能を有する第2の構成成分)および不活性物質と配合する。この特定の場合において、アボカド抽出物およびレモングラス精油も第2の構成成分として見なされる。
実施例1に記載された反応器の特徴を考慮して、生物活性コアの要素、第2の構成成分および残りの不活性物質は、表10に詳述されるような温度および各撹拌機の回転変数を調整して、ある特定の順序で注意深く添加される。
【0060】
【0061】
2.5.3. 組成物PW-1.5
生物農薬組成物の一例。生物活性コア(3%のショウガ水アルコール性抽出物、およびシンナムアルデヒド源として2.5%のセイロンニッケイ精油)を、7%のアボカド水アルコール性抽出物、47.7%のクロコウジカビ発酵から得られた産物、17.5%のダイズレシチンおよび不活性物質と混合する。この特定の場合において、アボカド抽出物およびアスペルギルス属発酵産物およびレシチンは第2の構成成分として見なされる。実施例1に記載された反応器の特徴を考慮して、生物活性コアの要素、第2の構成成分および残りの不活性物質は、表11に詳述されるような温度および各撹拌機の回転変数を調整して、ある特定の順序で注意深く添加される。
【0062】
【0063】
2.5.4. 組成物MxM5
生物農薬組成物の一例。生物活性コア(1%のショウガ水アルコール性抽出物、およびシンナムアルデヒド源として0.5%のセイロンニッケイ精油)を、12.5%のシトラール、20%の安息香酸ベンジル、17.5%のダイズレシチン(乳化剤をブーストする)および不活性物質と配合する。この特定の場合において、純粋化合物のシトラールおよび安息香酸ベンジルは第2の構成成分として見なされる。実施例1に記載された反応器の特徴を考慮して、生物活性コアの要素、第2の構成成分および不活性物質は、表12に詳述されるような温度および各撹拌機の回転変数を調整して、ある特定の順序で注意深く添加される。
【0064】
【0065】
(実施例3)
第2の構成成分を得る方法論
実施例2に記載された植物材料を、異なる抽出プロセスに付して、第2の構成成分を得、これは両方とも、生物活性コア、および第2の構成成分として使用されるものを作り上げる。
A)水性、アルコール性v/o水アルコール性抽出物
水は、水性抽出のために用いられる。アルコール抽出の場合において、溶媒抽出、好ましくは、エタノール、イソプロパノールまたはベンジルアルコールが用いられる。抽出方法は、浸漬(冷または温、静止または振とう)、注入、浸出、煮出し、還流、超音波、マイクロ波、ソックスレー、および好ましくは、操作の原理がローター/固定子システムであるコロイドミルを用いる進歩した多機能分散技術による抽出の中から選択される。抽出物の化学プロファイルは、質量分析と組み合わせたガスクロマトグラフィー(GC-MS)および質量分析と組み合わせた液体クロマトグラフィー(LC-MS)によって決定される。
B)精油
油は、水蒸気蒸留、非極性溶媒(例、アセトン、ヘキサン、ジクロロメタン、石油エーテル)における浸漬、超臨界流体による抽出、および好ましくは、認証UNE EN ISO 9001:215の下で欧州薬局方(Ph. Eur. 8.0. 2013, ISBN: 978-92-871-7525-0, 3513 pp.)に記載される方法論に従う水蒸気蒸留によって、得られる。精油の化学プロファイルは、質量分析と組み合わせたガスクロマトグラフィー(GC-MS)によって決定される。水蒸気蒸留プロセスの典型的な図を
図2に示す。
【0066】
C.発酵
実施例1~2で述べたものから選択される元の植物材料であるシトラス属の乾燥固体テーリング(樹皮、外皮、果肉)、および/またはその抽出プロセスからのテーリングを、発酵プロセスおよびその後の抽出に付す。それを行うために、10~15%のパーセンテージの原材料を、F3-100発酵槽(Bionet、Murcia、スペイン)において、水中で、異なる選択された微生物(バチルス属種、シュードモナス属種、トリコデルマ属種およびアスペルギルス属種)の1種とともに、28~30℃で120時間、インキュベートする。インキュベーション後、発酵物を5000rpmで5分間遠心分離し(Hitachi Himac CR22N)、メッシュフィルターまたは線維性フィルターを通して濾過する。得られる液体は、製剤において使用できる状態である。一般的なプロセスを
図3のフローチャートに詳述する。
【0067】
D.生物学的標的化化学分別
本発明の枠組み内で、それを必要とする水性、アルコール性および/または水アルコール性抽出物のバイオアッセイが誘導する化学分別が行われる。これは、専門の文献において周知の従来および進化した抽出/分離技法を用いることによって達成される。これらとしては、液-液抽出、真空液体クロマトグラフィー(VLC)、カラムクロマトグラフィー(CC)、固相クロマトグラフィー(例:シリカ、Sephadex)、分取高速液体クロマトグラフィー(pHPLC)および超臨界流体が挙げられる。アボカド抽出物から生物活性画分を得る具体例を
図4に記載する。
【0068】
(実施例4)
シンナムアルデヒドカプセル化プロセス
このプロセスは、生物活性コアにおけるカプセル化シンナムアルデヒド源のため、および生物農薬組成物の任意のカプセル化された第2の構成成分のために合致している。
カプセル化プロセスは、実施例1に記載されるものと同一の反応器において行われる(
図1)。
【0069】
以下に、シンナムアルデヒド源としてのセイロンニッケイのカプセル化プロセスを下記に記載する。これは、450リットルの水を25℃の反応器に添加することによって行われる。その後、45Kgのβ-シクロデキストリン(カプセル化剤)を、ゆっくりと導入し、激しい撹拌(3000rpmのTurraxシェーカーおよび1000rpmのCowlesシェーカー)下で30分間保つ。次いで、Turrax撹拌機を停止し、Cowles撹拌機を500rpmに設定し、20Kgのセイロンニッケイ精油をゆっくりと添加する。混合を、撹拌条件下で2時間維持する。この時間の後、混合物を、反応器から取り出し、この目的のために準備されたステンレス鋼タンク中、10℃で24時間静置する。次いで、混合物を、ふるい(42μm)にポンプ(真空)で送り、液体から固体粒子を分離する。液体部分を保存し、新たなカプセル化プロセスのために、および/または製剤化プロセスにおける水として使用する。固体を、1cmの厚さのステンレス鋼トレイに広げ、35℃の制御された温度で、12%湿度まで24時間超の間乾燥し、生物農薬組成物の製剤プロセスにおいて使用できる状態にする。
【0070】
(実施例5)
生物農薬組成物の希釈
混合物で構成される多くの製品に従って、具体的な混合の順番を行って、不適合性を回避する。
最終適用溶液の調製は、少なくとも1種の溶媒、好ましくは、水中で特許請求の範囲に記載される生物農薬組成物を希釈することによって行われる。希釈剤の量および希釈の大きさは、培養物の種類、必要とされる最終適用溶液の体積、飛行昆虫種、および適用の時の蔓延/損害のレベルに依存する。規則として、最終適用溶液は、以下のステップに従って行われる。
・ pH(5~7)および水の硬度(軟水)を調整する。
・ 製剤を含む製品の所与の溶媒の体積(例 タンクの1/3)で事前混合を行う。2種以上の製品が添加される場合、最初に固体化合物を添加し、次いで、液体化合物を添加する。各タンクの仕様および特徴に従って、事前混合物を撹拌し、最終使用者によって保持される。事前混合の時間は、各使用者の条件、および作製する最終適用溶液の要素の数に依存する。
・ 選択されたアジュバントを添加する(適用される場合)。
・ 1回分の適切な量の溶媒でタンクを完成させ、撹拌を保つ。
開示される生物農薬組成物は、50倍~10000倍の範囲で希釈される。実施例1および2に示される調製物の希釈の例を下記に示す。
【0071】
5.1 実施例1に示される組成物の希釈
生物活性コアのみを含有する生物農薬組成物(組成物M0、表3)の例を実施例1に示す。異なる希釈係数を適用することによる最終適用溶液中の要素の最終濃度のいくつかの例を表13に示す。
【表13】
【0072】
5.2 実施例2に示される組成物の希釈
実施例2は、生物活性コアを含む生物農薬組成物の異なる例を示す。
一例は、生物活性コアおよびレシチンを含有する生物農薬組成物M1(表3、実施例2.1)である。異なる希釈係数を適用することによる最終適用溶液中の要素の最終濃度のいくつかの例を表14に示す。
【0073】
【0074】
別の例は、生物活性コアおよび第2の構成成分を含有する生物農薬組成物M2(表3、実施例2.2)である。異なる希釈係数を適用することによる最終適用溶液中の要素の最終濃度のいくつかの例を表15に示す。
【表15】
【0075】
別の例は、生物活性コアおよび不活性物質を含有する生物農薬組成物M3(表3、実施例2.3)である。異なる希釈係数を適用することによる最終適用溶液中の要素の最終濃度のいくつかの例を表16に示す。
【表16】
【0076】
別の例は、生物活性コアおよび2種の第2の構成成分を含有する生物農薬組成物M4(表3、実施例2.4)である。異なる希釈係数を適用することによる最終適用溶液中の要素の最終濃度のいくつかの例を表17に示す。
【表17】
【0077】
別の例は、生物活性コア、ダイズレシチンおよび不活性物質を含有する生物農薬組成物WF_F4(表3、実施例2.5.1.)である。異なる希釈係数を適用することによる最終適用溶液中の要素の最終濃度のいくつかの例を表18に示す。
【表18】
【0078】
別の例は、生物活性コア、3種の他の第2の構成成分、および不活性物質を含有する生物農薬組成物ADI-23(表3、実施例2.5.2)である。異なる希釈係数を適用することによる最終適用溶液中の要素の最終濃度のいくつかの例を表19に示す。
別の例は、生物活性コア、3種の他の活性要素(発酵プロセスに由来するそれらからの1種)、および不活性物質を含有する生物農薬組成物PW-1.5(表3、実施例2.5.3)である。異なる希釈係数を適用することによる最終適用溶液中の要素の最終濃度のいくつかの例を表20に示す。
【0079】
【0080】
【0081】
別の例は、生物活性コア、2種の第2の構成成分(純粋化合物およびダイズレシチン)、および不活性物質を含有する生物農薬組成物MxM5(表3、実施例2.5.4)である。異なる希釈係数を適用することによる最終適用溶液中の要素の最終濃度のいくつかの例を表21に示す。
【表21】
【0082】
(実施例6)
一般的な実験室アッセイプロトコール
6.1. 標的飛行昆虫種
ほとんどの有効性および作用機構のアッセイのための生物学的標的として利用された有害生物種を表22に詳述する。
【表22】
標的を、園芸作物におけるそれらの発生の経済的重要性、合成殺虫剤に対する抵抗性の発生、ウイルスを伝達するそれらの能力、およびコナジラミ群に属する関連する有害生物の管理のための研究モデルとしてのそれらの広範な使用を考慮して、選択した。
【0083】
6.2. 生物学的標的の飼育および維持
集団を確立するために、それぞれの種の異なる成体集団を試料採取した(表22)。集団は、見せ掛けの作物の最高濃度の1つが存在するAlmeria県の異なる温室の代表である。標的のそれぞれの代表的なプールを、それらの1種の宿主植物(インゲンマメ(Phaseolus vulgaris L))において確立した。確立された集団を、以下の環境条件:22℃±1℃、60~70%の相対湿度および16:8時間の光周期(明:暗)下で、ウォークインの気候チャンバー中で維持した。
6.3. 参照製品
下記に記載する異なるバイオアッセイは、コナジラミ防除のための現在市場で商品化されている異なる推奨製品を含んだ(表23)。それらは、本発明の特許請求の範囲に記載される生物農薬組成物のための有効性の陽性対照として用いることが意図される。
【0084】
【0085】
6.4. コナジラミの防除のためのマイクロアッセイ(インビトロおよびインビボ)
試験プロトコールを、試験される物質の異なる作用機序および作用機構の間を判別するために開発した。生物活性コア(ショウガ+シンナムアルデヒド源)および本発明の異なる生物農薬組成物を、選択された有害生物に対する有効性トライアルにおいて試験した。それらについて、ペトリ皿におけるインビトロアッセイ、およびインビボアッセイを、再現可能なインプラントモデルを使用して行った。
組成物の使用のアッセイの種類の一般的な記載を本発明のフレームワーク内で用いた。
【0086】
アッセイを3つの大きな群に分けられる。
● 接触からの死亡率:局所適用による短期および中期(0~24時間)のコナジラミに対する製品の殺虫能力。ここで、我々は、2つの作用機構の間を判別する。
・ 飛行昆虫のクチクラおよび膜に対する効果(浸透圧ショック)。
・ 飛行昆虫の呼吸器官に対する効果(窒息)。
● 飛行昆虫の挙動に対する効果:味覚および嗅覚受容体と相互作用することによる中期および長期(24時間~7日)のコナジラミの防除に対する効果。
・ 真の忌避剤:飛行昆虫は、物質と直接接触することなく、処理領域から離れて移動する(嗅覚受容体)。
・ 着地阻害剤:飛行昆虫は、物質と直接接触した後、処理領域から離れて移動する(味覚および嗅覚受容体)。
● 摂食阻害剤または妨害剤:
・摂食の阻害。飛行昆虫は、製品と接触するが、摂食せず、最後に処理領域から離れて移動する(味覚受容体)。
・産卵の阻害。飛行昆虫は、処理領域と接触するが、産卵が阻害される(嗅覚および味覚受容体)。
【0087】
提案されるトライアルのそれぞれについて用いられる方法論を下記に記載する。
● 接触からの死亡率
試験の目的は、局所適用によるコナジラミ成体の死亡率において異なる用量の試験される物質の効果を評価することである。
試験は、10cmの高さおよび5cmの直径のプラスチックスクリューキャップのキャニスターにおいて行われる。蓋の中央に、2cm
2の開口部を穿孔し、長さが0.77×0.27mm(長手方向:横方向)の多孔質の微細な布で覆う。リーフディスク(5.7cm
2)を、宿主植物(インゲンマメ(Phaseolus vulgaris))から切断し、支持に加えてトライアルの時間の間(24時間)ディスクに必要な水分を提供する1cm厚さの寒天の層(12%w/v)で事前にコーティングされたジャーの底部に置いた(ビーム側の下)。吸虫瓶で事前に捕捉された15頭の成体個体を、各ジャーに導入した(
図5)。飛行昆虫を有するジャーを、有害生物の死亡率を直ちに減少させ、ジャーの底のディスク上でのその定住を促進するために、4℃で1分間インキュベートする。その後、処理される物質(生物活性コア、生物農薬組成物、参照製品)を、携帯型散布器を使用して、ジャーの底の定着した飛行昆虫に対して均一に散布する。製品が適用されたら、ジャーを、飛行昆虫の飼育のために記載される同じ条件下、気候チャンバーにおいて保つ。それぞれの成体死亡率トライアルは、処理のそれぞれについて20個のジャー(反復)および対照(水)について20個のジャー(反復)からなる。同じ時に、アッセイのそれぞれを、アッセイについて3回反復する。
【0088】
生物活性コアの異なる組み合わせ(表3)を、0.01~0.5%の初期濃度の最終適用溶液でアッセイする。生物農薬組成物(表3)および参照製品を、推奨される用量の範囲(水1リットルあたり1~5mLの製剤)で適用する。トライアル(24時間)の最後に、死亡および生きている飛行昆虫の数を、ルーペを使用して立体視的に計数する。ノックダウン効果の決定の場合において、計数は、処理が適用された2、4、6、8、16および24時間後に順次行う。飛行昆虫は、昆虫学的ブラシに触れた時に移動の兆候を示さない場合、死亡と見なされる。死亡率は、対照に対する%で表され、データをアボットの式を使用して補正した。
【数1】
式中、
X=処理における死亡率パーセント(%)、および
Y=対照における死亡率パーセント(%)
である。
【0089】
データを、分散分析(ANOVA、p<0.05)およびLSD事後検定を使用して比較して、手段間の差を検証した。この目的のために、統計学パッケージIBM(登録商標)SPSS Statistics(登録商標)を使用した。非正規性のデータの場合において、ウィルコクソンの多重順位ノンパラメトリック検定を適用する(p<0.05)。有意な死亡率パーセント(>70%)を有する処理を、用量反応研究のために選択する。所望の効果の50%が生じる用量(EC
50)を、Log-用量に基づくプロビット回帰分析によって算出する。
死亡した飛行昆虫を、死亡が起こった機構を識別するために、顕微鏡下で綿密に観察する(
図6)。本発明のフレームワーク内で、機構は、以下の通り、異なった。
● わずかに黄色がかった色で、その無傷の形状および構造を保持している死亡飛行昆虫:窒息状態が主要な作用機構として提案される。
● 茶色で、その形状および構造を失っている(崩壊および/または挫滅)死亡飛行昆虫:膜/クチクラの衰えに起因する浸透圧ショックが主要な作用機構として提案される。
【0090】
その後の実行例は、生物農薬組成物、濃度、生物、および各特定の実験について用いられたより具体的な詳細を説明する。
飛行昆虫の挙動に対する効果:直接忌避
オルファクトメーター方法論を直接忌避研究のために用いた。
本明細書において言及される研究は、
図7に示されるY管オルファクトメーターを用いる。10cmの高さおよび5cmの直径の2つのプラスチックスクリューキャップのジャーを準備した。蓋の中央に、2cm
2の開口部を穿孔し、長さが0.77×0.27mm(長手方向:横方向)の多孔質の微細な布で覆う。リーフディスク(5.7cm
2)を、宿主植物(インゲンマメ)から切断し、支持に加えてトライアルの期間の間(24時間)ディスクに必要な水分を提供する1cm厚さの寒天の層(水中に12%w/v)で事前にコーティングされたジャーの底部に置いた(ビーム側の下)。
【0091】
試験される物質(生物農薬組成物)で処理されたジャーの1つを、上側アームの一方に設置し、他方に同一の水処理ディスクを有するジャーを設置した(対照)。下側アームにより、飛行昆虫を放つ。実験は、以下の環境条件:22℃±1℃、60~70%の相対湿度および16:8時間の光周期(明:暗)下で、ウォークインの気候チャンバー中でインキュベートする。各トライアルにおいて、3つのオルファクトメーターを用い、反復と見なした。24時間後、処理および対照についての飛行昆虫の定着を計数し、忌避指数(%RI)を、以下の式を使用して、試験された各物質について算出する。
【0092】
【数2】
式中、
T:処理チャンバー内の生きている飛行昆虫(処理ディスクおよび/またはジャーの壁に定着)の数
C:対照チャンバー内の生きている飛行昆虫(対照ディスクおよび/またはジャーの壁に定着)の数
である。
%RIの平均を、IBM(登録商標)SPSS Statistics(登録商標)統計学パッケージを使用して、ウィルコクソンの符号付き順位検定の多重順位ノンパラメトリック検定によって分析した(p<0.05)。
その後の実行例は、生物農薬組成物、濃度、生物、および各特定の実験について用いられたより具体的な詳細を説明する。
【0093】
飛行昆虫の挙動に対する効果:摂食阻害効果(関接忌避)
本発明のフレームワーク内で、我々は、飛行昆虫のその摂食、定着および産卵を阻害する挙動に対して作用する抗食物性の任意の物質を考慮した。定着阻害を、間接忌避効果と見なす。
植物における定着阻害バイオアッセイ(選択)
この種類のアッセイは、宿主植物(インゲンマメ)におけるコナジラミ成体の定着に対する試験物質の効果を決定する。これは、同じボックスに設置された処理および対照の宿主植物に対する成体の優先傾向に基づく。上部に蓋を有する50×35cm(高さ×幅)の長方形のメタクリレートの昆虫学的ボックスを、バイオアッセイ開発のために設計した。長さが0.77×0.27mm(長手方向:横方向)の細孔のメッシュで覆われた25cmの直径のベント穴をキャップ中に作る。完全に発育した2葉期の宿主植物(側面の残りおよび頂端部の葉を除去した)をそれぞれ有する2つの同一のポットを準備した。携帯型散布器を用いて、植物の一方を試験される溶液(生物活性コア、生物農薬組成物)で処理し、他方を、水(対照)で処理し、葉の両面における製品の良好な被覆を確実にする。両方の植物(処理および対照)を同じ昆虫学的ボックスに設置する。次いで、100頭の成体コナジラミの個体を有するジャーを、ボックスの底部にて、2つの植物の間の等距離のポイントに設置する。実験設計は、
図8において観察することができる。
【0094】
その後、ボックスに蓋をし、上記に記載される同じ条件下、気候チャンバーにおいてインキュベートする。各忌避アッセイは、スクリーニングの変形のそれぞれについて5つのボックス(反復)からなる。トライアル(24時間)の最後に、処理および対照植物に定着した生きている個体の数を計数する。加えて、死亡率トライアルと同じ方法で、両方の表面上の死亡した個体の数を計数する。これらのデータを使用して、以下の式に従って定着阻害率(%SI)を算出する。
【数3】
式中、
T:処理植物に定着した飛行昆虫
C:対照植物に定着した飛行昆虫
である。
【0095】
データを、統計学パッケージIBM(登録商標)SPSS Statistics(登録商標)を使用して、ウィルコクソンのノンパラメトリック多重順位検定によって分析した(p<0.05)。定着阻害パーセント(>60%)を有する処理を、用量反応研究のために選択した。所望の効果の50%が生じる用量(EC50)を、回帰分析(Log-用量プロビット)によって算出した。
その後の実行例は、生物農薬組成物、濃度、生物、および各特定の実験について用いられたより具体的な詳細を説明する。
【0096】
産卵阻害バイオアッセイ
このアッセイは、同じボックスに設置された宿主植物(インゲンマメ)における処理および対照有害生物の成体の産卵に対する異なる物質の効果を決定する(選択のアッセイ)。
実験を、メタクリレートの昆虫学的ボックスにおいて行い、植物における定着阻害バイオアッセイと同じ方法で進めた(
図8)。
実験の最後に、小葉上の定着した成体を取り出し、卵を、ルーペで立体視的に計数する。得られたデータを使用して、産卵阻害指数(%IO)を、以下の式に従って算出する。
【数4】
式中、
T=処理において産み付けられた卵の数、および
C=対照において産み付けられた卵の数
である。
データを、IBM(登録商標)SPSS Statistics(登録商標)統計学パッケージを使用し、ウィルコクソンの多重順位ノンパラメトリック検定を使用して分析した(p<0.05)。定着阻害パーセント(>60%)を有する処理を、用量反応研究のために選択した。所望の効果の50%が生じる用量(EC
50)を、Log-用量プロビットに基づく回帰分析によって算出した。
その後の実行例は、生物農薬組成物、濃度、生物、および各特定の実験について用いられたより具体的な詳細を説明する。
【0097】
(実施例7)
圃場トライアルのための一般的プロトコール
本明細書における生物農薬組成物のコナジラミ防除活性の評価のための圃場トライアルのプロトコール(開放圃場)および半圃場(温室)のプロトコールを、THE EPO/EPPOガイドライン(i EPP/EPPO Bulletin, 2012, 42 (3), 367-381)に従って設計する。
トライアルのそれぞれにおける実験設計を、その後の実行例において詳細に説明する。
【0098】
(実施例8)
生物活性コアの生物農薬活性および相乗効果
コナジラミに対する特許請求の範囲に記載される生物活性コアおよびその構成成分の殺虫活性(死亡率)および摂食阻害活性(忌避および産卵の阻害)を表24に示す。2つの濃度におけるコアを作り上げる個々の要素の有効性の結果は、以下を提示する。
・ 最大は、成分がスクリーニングプロセスの間に試験される最高用量に対応する。
・ 最小は、成分が最終適用溶液中で見出され得る用量(%w/v)の1つに対応する。
【0099】
生物活性コアの場合において、ある特定の割合[(A)+(B)]で要素を組み合わせる場合、この用量(%w/v)は、コアが最終適用溶液中にある用量である。研究されるすべての標的および作用機構について、我々は、生物活性コアで達成された有効性が、別々の要素を適用した場合に得られる予測されるレベルよりも大きく、かつ驚くべきことにそのレベルに勝ったことを観察した。このことは、配合における相乗的および/またはブースト効果の存在を確認する(実施例9)。この効果は、以下の通り現れる。
・ 個々の作用機構のそれぞれについて活性の有意な増加:死亡率-忌避-産卵。
・ 個々の構成成分において使用されるものと比較して、混合物の有効性の有効用量の有意な減少。
【0100】
【0101】
(実施例9)
生物活性コアの相乗効果の実証
本発明の主な利点の1つは、生物活性コアを作り上げる活性要素の組み合わせによって達成されるコナジラミの群に属する飛行昆虫の防除における相乗効果(死亡率、忌避および産卵の阻害)である。厳密にいえば、相乗作用は、以下のような混合物中の2種以上の構成成分の間の相互作用として数学的に定義される。
● 個々の構成成分の効果の和から生じるよりもより高い効果が、混合物中の同じ用量で得られる(増強の相乗作用)。
● 個々の構成成分の効果の追加から生じるのと等しい効果が、混合物中で見出される同じ割合で得られる(追加の相乗作用)。
しかしながら、この定義は、以下の場合において、厳密な意味で適用することは非常に困難である。
● しばしば定量化されないそれらの複雑な化学組成に由来する異なる効果に起因する、植物抽出物の混合物。
● 異なる作用機構を有する組成物。相乗効果は、応答における直線性を仮定して公知の作用機構に対して研究せざるを得ない。
しかしながら、相乗的組み合わせの異なる適用は、植物医薬分野(Phytomedicine, Vol. 8 (5), pp. 401-409. 2001)および殺有害生物組成物(Neth. J. PlantPath. 70,1964;米国特許出願公開第005837652号およびスペイン国特許出願公開第2.153.503号)において存在する。個々の構成成分に関して混合物において達成される相乗効果は、2つの方法で現れる。
● 個々の作用機構のそれぞれについて活性の有意な増加:死亡率-忌避 産卵。
● それらが個々に使用される場合の用量と比較して、混合物中の要素の有効性の有効用量(EC50)の有意な減少。
【0102】
本特許の枠組み内での相乗効果の実証のために、我々は2つの方法を使用した。
(1)アイソボル法、作用機構から独立しているので、最も広く使用されるものの1つ。方法論は、Phytomedicine, Vol. 8 (5), pp. 401-409. 2001に記載されている。
(2)以下の式を用いるLimpel(Proc. North. Weed Control Conf., v. 16, pp 48 - 53, 1962)によって提案された方法論。
【数5】
式中、
E=所与の用量での要素(A)および(B)の混合物の予測される有効性パーセンテージである
X=所与の用量での成分(A)の有効性パーセンテージ
Y=所与の用量での成分(B)の有効性パーセンテージ
である。
【0103】
コナジラミに対する生物活性コアの相乗効果の実証:
a)アイソボル法
表25において、タバココナジラミ(Bemisia tabaci)の死亡率に対する異なる生物活性コアの組み合わせの効果を局所適用についてのアッセイにおいて示すことができる。
用量は、最終適用溶液中の成分の濃度(%w/v)を指す。すべての場合において、要素の異なる組み合わせは、別々の要素よりも高い有効性を有していた。これらの結果から、EC50を、以下の希釈を適用することによって、組み合わせのそれぞれについて算出した。
・ 用量(A)+用量(B):表25において表される%Mに等しい
・ [用量(A)+用量(B)]/2
・ [用量(A)+用量(B)]/4
・ [用量(A)+用量(B)]/8
・ [用量(A)+用量(B)]/16
【0104】
【0105】
図9は、相乗性コアを作り上げる構成成分の一連の組み合わせについての観察値(点線)および予測される相加値(黒色実線)から算出したEC
50値による外れ値プロットを示す(表25中の値)。
個々の構成成分の直線上で繋がれているEC
50は、相加効果を生じるであろうそれらの間のすべての可能な組み合わせを含む(アイソボル)。点は、組み合わせのそれぞれの実験EC
50を表す。凹型の曲線が、低用量の両方の化合物(別々の要素の有効用量と比べて)が高い死亡率をもたらすことを示すように見える(相乗作用の特徴)場合に、相互作用プロファイル(A+B)を見ることができる。
【0106】
(b)Limpel法
Limpel(Proc. North. Weed Control Salvi, v. 16th, 48-53,1962)によって提案された方法論は、上記に記載した式を用いる(Limpel法)。表24における値を採用すると、
・ X=35.7%(0.06%の成分Aの死亡率パーセントに対応する)
・ Y=2.3%(0.024%の成分Bの死亡率パーセントに対応する)
である。
我々は、式:
E(予測値)=35.7+2.2-(35.7×2.2)/100=37.12%の死亡率
において置き換えた。
表23において表される観察値は74.3%の死亡率であり、予測値よりも有意に高く、相乗作用の存在を表す。
【0107】
(実施例10)
シンナムアルデヒド源の制御放出
多くの場合における忌避活性は、飛行昆虫の化学受容体と相互作用する揮発性化合物の存在に起因する。それらの揮発性に起因して、これらの化合物は、数時間後に、非常に短期の有効性の喪失を有する。加えて、それらの低い水溶性およびそれらの光による酸化に対する傾向は、それらの製剤を複雑にする。シクロデキストリン複合化(カプセル化)は、これらの種類の物質の保護および制御放出のために最も広く使用されている技術の1つである。
本明細書に開示される生物農薬組成物の多くは、活性成分の制御放出を確実にするために、少なくとも1種のカプセル化構成成分を有する。本発明において、カプセル化は、そのカプセル化効率(>60%)およびそのスケールアップの容易さのために、共沈法を使用して行われる。
【0108】
β-シクロデキストリン(W7)は、得られる結果(表26)を使用して、マトリックスとして好ましく選択された。プロセスを実施例4に詳述されるようにして行った。80%のカプセル化が得られた。化学的見地からのカプセル化の有効性は、ガスクロマトグラフィー-質量分析(GC-MS)分析に続いた。プロセスのクロマトグラフ追跡(GC-MS)を
図10に示す。カプセル化プロセスは、抽出物からのいくつかの生物活性構成成分の保持およびそれらの制御放出に有利に働く。
表26において、コナジラミ(タバココナジラミ)の挙動(忌避および産卵の阻害)に対する遊離およびカプセル化セイロンニッケイ精油(シンナムアルデヒド源の例として採用)の活性を示す。実施例4において提案される方法論によるβ-シクロデキストリン(W7)でのカプセル化は、有効性および制御放出において最良の結果を示した。
【0109】
【0110】
(実施例11)
生物活性コアが原因の作用機構の定義。
この実施例の目的は、コナジラミ防除に対する最終効果を達成するために、生物活性コアの作用機構に対する要素の個々の寄与を実証することである。
表27は、生物活性コア(ショウガの根/根茎の水アルコール性抽出物、およびシンナムアルデヒド源としてセイロンニッケイからの葉の精油)および組成物MO(表3の生物活性コアによって形成される生物農薬組成物)の個々の構成成分の異なる濃度のコナジラミに対する殺虫活性を示す。
【0111】
【0112】
接触からの死亡率、定着阻害および産卵阻害についての生物活性コアの要素の用量反応曲線を
図11、12および13にそれぞれ示す。見ることができるように、表2にまとめるように、ショウガ由来の水アルコール性抽出物は、接触効果からの死亡率への強い寄与を有するが、セイロンニッケイ(シンナムアルデヒド源)の葉由来の精油は、摂食阻害効果(定着阻害および産卵阻害)に対してより寄与する。
【0113】
(実施例12)
レシチンの増強および/または協同効果
本発明の枠組み内で、生物農薬組成物、特に、生物活性コアの活性増強剤としてのレシチンの使用を開示する。
生物活性コアを作り上げる要素およびダイズレシチンの間の異なる組み合わせを、強化および/または協同効果を研究するために、設計した。異なる構成成分の致死下濃度を、組み合わせの設計のために選択した。ギブス三角形方法論(三角形スクリーニング製剤手法)を
図14に示されるようにして用いた。
この実施例において、構成成分A(ショウガの根の水アルコール性抽出物)、B(セイロンニッケイの葉由来の精油)およびC(ダイズレシチン)の間の相乗的組み合わせを、表28に従って、コナジラミに対する接触からの死亡率のそれらの致死下濃度で開始して、研究する。上側の三角形は、異なる組み合わせを示し、下側の三角形は、各組み合わせの異なる比を示す。
【0114】
生物農薬組成物中で用いられる生物活性コアとダイズレシチンとの組み合わせの1つの例示的かつ非限定的なコナジラミの有効性を表28に示す。組み合わせ「33」は、最終適用溶液中の以下の濃度:A:0.02%、B:0.06%、C:0.07%に相当する、300/3の比(ギブス三角形を参照されたい)でのA+B+Cの組み合わせに相当する。
【0115】
【0116】
(実施例13)
コナジラミに対する生物農薬組成物の検証
表29は、すべての生物農薬組成物(表3)、および比較目的のために陽性対照として使用される参照製品のコナジラミに対する活性を示す。すべての生物農薬組成物は、コナジラミの防除において高い有効性を示し、これは、対照と比較した場合に統計学的に有意である。組成物は、コナジラミの防除のために現在市場に存在する参照製品(化学および天然)に対して、類似および/または優れた有効性を示す。
【0117】
【0118】
(実施例14)
コナジラミに対する生物活性コアの忌避効果(直接忌避)
生物活性コア(表3の組成物M0)の直接忌避効果を表30に示す。用いられる方法論は、実施例6.4に詳述される。見ることができるように、生物活性コアは、コナジラミ成体に対して強い忌避効果を示す。
【表30】
【0119】
(実施例15)
温室アッセイにおけるコナジラミ集団の動態に対するWF_F4組成物の効果
15.1 背景
研究は、ナス(ソラヌム・メロンゲナ(Solanum melongena))におけるコナジラミに対する組成物WF_F4(7.5%のショウガ根の水アルコール性抽出物および16%のセイロンニッケイの葉由来の精油)の温室の有効性を評価するために実施した。成体数および卵数の低減に対する効果を有効性の変数として使用した。用いられる実験設計は、7つの処理を有するブロックおよび処理あたり3反復で無作為化した。
【0120】
トライアルは、2019年の間にRoquetas de Mar(Almeria、スペイン)において行った。Almeriaは、世界的に最も高く温室が集中しており、欧州における主要な園芸供給元の1つである。ナス作物は、Almeriaにおける温室面積のおよそ5%を占める。コナジラミ(タバココナジラミおよびオンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum))は、この作物を攻撃する主な有害生物であると考えられる。
前述のすべてについて、試験するために選択された領域は、そのような有効性トライアルを実施するための代表として見なされる。
15.2. 目的
・ ナスにおけるコナジラミ成体(タバココナジラミ(B.tabaci))の低減におけるWF_F4組成物の有効性を評価すること。
・ ナスにおけるコナジラミの卵(タバココナジラミ)の低減におけるWF_F4組成物の有効性を評価すること。
・ 組成物WF4_F4と化学および天然に存在する参照製品の有効性を比較すること。
・ 主要作物におけるWF_F4組成物の植物毒性および有益(非標的)昆虫に対するその効果を評価すること。
【0121】
15.3. 参照製品
コナジラミ防除のために使用される3つの市販の参照製品を陽性対照として使用した(表31)。Requiem(登録商標)は、米国および他の国において登録された天然製剤である。
【表31】
【0122】
15.4. 処理
用いられる処理および用量を表32において詳述する。
【表32】
【0123】
15.5. アッセイ概要
作物について
・ 種:ソラヌム・メロンゲナ(ナス)
・ 植物間の距離(m):0.75
・ 列の距離(m):3
・ 栽植密度:10000植物/ha
・ 灌水システム:ドロップ
区について
・ 国:スペイン
・ 場所:Roquettes de Mar(Almeria)
・郵便番号:04740
・ コーディネーター(N/W):36,442272-2,515594
・ 区の幅(m):3
・ 区の長さ(m):4
・ 実験区のサイズ:12m2
・ 反復:3
・ 処理:7
・ 区の数:21
・ 圃場トライアルの面積:300m2
【0124】
15.6. 実験設計
無作為化ブロック実験設計を用いた。実験区の設計および空間分布のグラフィカル提示を
図15において示す。
15.7. 適用スキーム
表33は、適用の特徴を詳述する。単回適用を行った。
【表33】
【0125】
15.8 有効性の変数およびデータの記録
有効性の変数および試料採取の時を表34に示す。
【表34】
データの記録日は以下の通りであった。
1. DAA-0:2019年8月6日(適用時)
2. DAA-1:2019年8月7日(適用1日後)
3. DAA-3:2019年8月9日(適用3日後)
4. DAB-6:2019年8月12日(適用6日後)
各試料採取時に、4植物を無作為に選択し、3枚の葉を各植物から試料採取した。成体の数を、選択した葉の両面(ビームおよび下面)上の生きている飛行昆虫を計数することによって決定した。卵について、試料採取されたそれぞれの葉から、2cm
2のディスクを採取し、卵を、立体ルーペの助けで計数した。
【0126】
15.9. 成長に対する効果
有効性の変数に加えて、以下のデータを取得した。
・ 植物毒性(あれば)によって損傷を受けた面積パーセント。
・ 有益な(非標的)昆虫に対する視覚的効果(内部診断)。
15.10. データ処理および統計分析
データ(葉あたりの成体の数および卵の数)を、それぞれの処理および反復における12の独立した測定の平均として表した。観察データ(平均)を、下記に示すHenderson-Tilton式を使用して、対照と比べて表した。
【0127】
【数6】
式中、
Ta=適用後の処理における成体/卵の数
Tb=適用前の処理における成体/卵の数
Ca=適用後の対照における成体/卵の数
Cb=適用前の対照における成体/卵の数
である。
補正した有効性値を、一元配置分散分析(ANOVA)(p<0.05)を使用して比較した。平均の比較のために、最小有意差(LSD)事後検定を用いた。IBM(登録商標)SPSS Statistics(登録商標)を分析のために使用した。
【0128】
15.11. 結果および議論
コナジラミの成体および卵の数に対するWF_F4組成物および参照製品の補正された有効性をそれぞれ表35および36に示す。
【表35】
【0129】
【0130】
得られたデータは、コナジラミの防除における明確な製品の有効性を示す。組成物WF_F4は、最長で適用6日後まで、コナジラミの成体および卵の数の非常に有意なレベルの低減を示す。組成物WF_F4を用いて得られた結果は、化学および天然の参照製品の両方の有効性よりも明らかに優れていた。
植物毒性の症状は、試験された用量のいずれかで組成物WF_F4および参照製品によって処理された植物において検出されなかった。また、野生生物に対する有益な効果は、実験全体を通して観察されなかった。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕- ショウガ(Zingiber officinale Roscoe)由来の根または根茎の精油、オレオレジン、水性、アルコール性または水アルコール性抽出物、および
- シンナムアルデヒドまたはシンナムアルデヒド源
によって形成される相乗的生物活性コアを含む生物農薬組成物。
〔2〕生物活性コア中の各構成成分の%質量/質量での濃度が、以下の範囲:
- ショウガ由来の根または根茎の精油、オレオレジン、水性、アルコール性または水アルコール性抽出物:0.1~99.9%、好ましくは10~90%、より好ましくは20~80%、さらにより好ましくは30~70%、最も好ましくは40~60%、および
- シンナムアルデヒドまたはシンナムアルデヒド源:0.1~99.9%、好ましくは10~90%、より好ましくは20~80%、さらにより好ましくは30~70%、最も好ましくは40~60%
である、前記〔1〕に記載の生物農薬組成物
〔3〕シンナムアルデヒド源が、それを含有する植物種、好ましくはニッケイ属種(Cinnamomum sp.)、最も好ましくは、セイロンニッケイ(C.verum.)、異名シナモン(Cinnamomum zeylanicum)、シナニッケイ(C.cassia)、サイゴンニッケイ(C.loureirii)、ジャワニッケイ(C.burmannii)、タマラニッケイ(C.tamala)、C.オスモフロエウム(C.osmophloeum)、C.ベジョルゴタ(C.bejolghota)、C.デュビウム(C.dubium)、C.リブロラム(C.rivulorum)、C.シトリオドラム(C.citriodorum)およびクスノキ(C.camphora)の抽出物/精油である、前記〔2〕に記載の生物農薬組成物。
〔4〕シンナムアルデヒドおよび/またはシンナムアルデヒド源が、遊離形態で存在するか、および/またはカプセル化剤中にカプセル化されている、前記〔3〕に記載の生物農薬組成物。
〔5〕カプセル化剤が、マルトデキストリン、シクロデキストリン、レシチン、植物油および/またはシリカ賦形剤から選択され、前記シリカ賦形剤が、シリカゲル、コロイド状シリカおよび二酸化ケイ素を含み、好ましくは、シクロデキストリンである、前記〔4〕に記載の生物農薬組成物。
〔6〕生物農薬組成物が、
- 植物学的抽出物またはその画分、
- 発酵された微生物またはその画分から得られた抽出物、
- ゲラニアール、シトラールA、ネラール、シトラールB、サポニン、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、酢酸ベンジル、オイゲノール、1,8-シネオール、チモール、ゲラニオール、酢酸ゲラニル、ならびに短鎖および長鎖飽和脂肪酸、好ましくは長鎖不飽和脂肪酸、脂肪酸誘導体、例えば、メチル化脂肪酸、脂肪酸メチルエステル、FAME、より好ましくは長鎖飽和脂肪酸および/または不飽和脂肪酸から選択される脂肪酸から選択される純粋化合物、ならびに
- レシチン、好ましくは、卵、ヒマワリ、ナタネ、トウモロコシ、ワタ、ピーナッツまたはダイズ由来のレシチン
から選択される1種または複数の活性要素である第2の構成成分を含む、前記〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載の生物農薬組成物。
〔7〕植物学的抽出物が、
- 水性、アルコール性および水アルコール性抽出物、ならびに/または
- 精油
から選択される、前記〔6〕に記載の生物農薬組成物。
〔8〕植物学的抽出物が、以下の属:フトモモ属種(Syzygium sp.)、レイリョウコウ属種(Trigonella sp.)、イブキジャコウソウ属種(Thymus sp.)およびブドウ属種(Vitis sp.)に属する植物、好ましくは、種:ニンニク(Allium sativum)、セイヨウトウキ(Angelica archangelica)、チェリモヤ(Annona cherimola)、ニガヨモギ(Artemisia absinthium)、ヒメウイキョウ(Carum carvi)、チンネベリーセンナ(Cassia angustifolia)、センナ(Cassia senna)、アリタソウ(Chenopodium ambrosioides)、ダイダイ(Citrus aurantium)、レモン(Citrus limon)、スイートオレンジ(Citrus sinensis)、アラビアコーヒーノキ(Arabian coffea)、イエロー・コルシカス(Yellow corsicus)、イエロー・サチブス(Yellow sativus)、イエロー・バーミリオン(Yellow Vermillion)、クロクス・ビューティフル(Crocus beautiful)、クルクマ・トンガ(Curcuma tonga)、レモングラス(Cymbopogon citratus)、クラスタマメ(Cyamopsis tetragonoloba)、イーストインディアンレモングラス(Cymbopogon flexuosus)、パルマロサグラス(Cymbopogon martinii)、コウスイガヤ(Cymbopogon nardus)、エニシダ(Cytisus scoparius)、ユーカリプタス・カマルドゥレンシス(Eucalyptus camaldulensis)、ユーカリプタス・グロブルス(Eucalyptus globulus)、ユーリコマ・ロンギフォリア(Eurycoma longifolia)、イチジク(Ficus carica)、カラクサケマン(Fumaria officinalis)、ツベロスム(tuberosum)、ヒソップ(Hyssopus officinalis)、ナンヨウアブラギリ(Jatropha curcas)、ラベンダー(Lavandula angustifolia)、オラン×インターメディア(Oran x intermedia)、ラヴァンデュラ・ルイシエリ(Lavandula luisieri)、メンタ・ピペリタ・ラバルバルム(Mentha piperita rhabarbarum)、ダイオウ(Rheum officinale)、ローズマリー(Rosmarinus officinalis)、スパニッシュセージ(Salvia lavandulifolia)、コモンセージ(Salvia officinalis)、キダチハッカ(Satureja montana)、サバジラ(Schoenocaulon officinale)、クローブ(Syzygium aromaticum)、フェヌグリーク(Trigonella foenum-graecum)、コモンタイム(Thymus vulgaris)、チムス・ジギス(Thymus zygis)およびヨーロッパブドウ(Vitis vinifera)由来の農工業の残留物、鱗茎、種子、葉、袋果、花および/または完全な地上物から選択される、前記〔7〕に記載の生物農薬組成物。
〔9〕抽出物が、バチルス属種(Bacillus sp.)、シュードモナス属種(Pseudomonas sp.)、トリコデルマ属種(Trichoderma sp.)、コリネバクテリウム属種(Corynebacterium sp.)およびアスペルギルス属種(Aspergillus sp.)、好ましくは、クロコウジカビ(Aspergillus niger)、トリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianum)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、コリネバクテリウム・エフィシエンス(Corynebacterium efficiens)およびバチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)による基質の発酵から得られる選択された発酵物である、前記〔6〕に記載の生物農薬組成物。
〔10〕発酵基質が、以下の属:ショウガ属種(Zingiber sp.)、シトラス属種(Citrus sp.)、クアスタマメ属種(Cyamopsis sp.)、クロクス属種(Crocus sp.)、ヒマワリ属種(Helianthus sp.)、パセリ属種(Petroselinum sp.)、ケシ属種(Papaver sp.)、ダイオウ属種(Rheum sp.)、サルビア属種(Salvia sp.)、レタマ属種(Retama sp.)、ラヴァンデュラ属種(Lavandula sp.)、サクラ属種(Prunus sp.)、ワニナシ属種(Persea sp.)、ターメリック属(Turmeric sp.)およびイブキジャコウソウ属種(Thymus sp.)に属する植物、好ましくは、マッシュルーム(Agaricus bisporus)、クラスタマメ、ヒマワリ(Helianthus annus)、シトラス×シネシス(Citrus x sinensis)およびダイズ(Glycine max)由来の農工業の残留物、鱗茎、種子、葉、袋果、花および/または完全な地上物から選択される、前記〔9〕に記載の生物農薬組成物。
〔11〕純粋化合物が、以下の供給源:
- シトラール、ゲラニアールおよびネラール異性体については、オガルカヤ属種(Cymbopogon sp.)およびハマビワ属種(Litsea sp.)、コウスイボク属種(Aloysia sp.)、メボウキ属種(Ocimun sp.)、セイヨウヤマハッカ属種(Melissa sp.)およびシトラス属種に含まれる種、
- オイゲノールについては、ニッケイ属種、フトモモ属種、ウコン属種(Curcuma sp.)、ショウガ属種およびメボウキ属種(Ocimum sp.)に含まれる種、
- サポニンについては、クアスタマメ属種、キラヤ属種(Quillaja sp.)、レイリョウコウ属種、サボンソウ属種(Saponaria sp.)、クロクス属種、ユッカ属種(Yucca sp.)、フダンソウ属種(Beta sp.)、キヅタ属種(Hedera sp.)、ヒメハギ属種(Polygala sp.)およびサクラソウ属種(Primula sp)に含まれる種、
- ベンジルアルコールについては、ニッケイ属種およびソケイ属種(Jasminum sp.)に含まれるもの、
- 1,8シネロール(ユーカリプトール)については、ユーカリ属種(Eucalyptus sp.)、サルビア属種、タイム属種、ウコン属種、ローズマリー属種(Rosmarinus sp.)、ヨモギ属種(Artemisia sp.)に含まれる種、
- ゲラニオールについては、バラ属種(Rosa sp.)、オガルカヤ属種、フクロソウ属種(Geranium sp.)およびペラルゴニウム属種(Pelargonium sp.)に含まれるもの、
- 脂肪酸については、ワニナシ属種、ダイズ属種(Glycine sp.)、ヒマワリ属種、オリーブ属種(Olea sp.)に含まれる種および他の脂肪種子、構造活性相関(SAR)研究による純粋化合物および/もしくは類似体の全合成、半合成または生体模倣合成、ならびに生体内変化および/または生物変換のプロセスにおいてアスペルギルス属種などの糸状菌、細菌および昆虫の中から選択される任意の生物によって産生されるもの
のいずれかから得られる、前記〔6〕に記載の生物農薬組成物。
〔12〕レシチンが、固体ダイズレシチン、液体または液状ダイズレシチン、および加水分解または部分加水分解ダイズレシチンから選択される、前記〔6〕に記載の生物農薬組成物。
〔13〕第2の構成成分が、遊離形態またはカプセル化形態で使用される、前記〔6〕~〔12〕のいずれか1項に記載の生物農薬組成物。
〔14〕生物農薬組成物中の第2の構成成分が、組成物の総体積に対する質量の以下の濃度範囲:1~30%、好ましくは、5~25%、さらにより好ましくは、10~20%で、生物活性コアと組み合わされる、前記〔1〕~〔13〕のいずれか1項に記載の生物農薬組成物。
〔15〕生物農薬組成物が、アジュバント、乳化剤、分散剤、香味剤、保存剤、消泡剤、チキソトロープ剤、カプセル化マトリックス、脂肪酸、リン脂質、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1種の不活性物質を含む、前記〔1〕~〔14〕のいずれか1項に記載の生物農薬組成物。
〔16〕アジュバントが、オルガノシロキサンの群由来のオルガノシリコーン化合物である、前記〔15〕に記載の生物農薬組成物。
〔17〕チキソトロープ剤が、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶性セルロース、および他のセルロース誘導体、好ましくは、ガムおよびゲルから選択される、前記〔15〕に記載の生物農薬組成物。
〔18〕カプセル化マトリックスが、マルトデキストリン、シクロデキストリン、レシチン、植物油および/またはシリカ賦形剤から選択され、前記シリカ賦形剤が、シリカゲル、コロイド状シリカおよび二酸化ケイ素を含み、シクロデキストリンが好ましく使用される、前記〔15〕に記載の生物農薬組成物。
〔19〕- ショウガ(Zingiber officinale)およびセイロンニッケイ(Cinnamomum verum)、
- ショウガ、セイロンニッケイおよびダイズレシチン、
- ショウガ、E-シンナムアルデヒドおよびアボカド(Persea americana)、
- ショウガ、セイロンニッケイおよびオルガノシロキサン型シリコーン誘導体、
- ショウガ、セイロンニッケイ、キダチハッカ水アルコール性抽出物およびダイズレシチン、
- ショウガ、セイロンニッケイ、ダイズレシチン、オルガノシロキサン型シリコーン誘導体、β-シクロデキストリンおよび高分子アジュバント、
- ショウガ、シナニッケイ(Cinnamomum cassia)、アボカド、レモングラス、ダイズレシチン、Tween-80、オルガノシロキサン型シリコーン誘導体、カルボキシメチルセルロース、β-シクロデキストリンおよび高分子アジュバント、
- ショウガ、セイロンニッケイ、アボカド、アスペルギルス属種、ダイズレシチン、オルガノシロキサン型シリコーン誘導体および高分子アジュバント、
- ショウガ、シナニッケイ、セイヨウハッカ(Mentha piperita)、ダイズレシチン、オルガノシロキサン型シリコーン誘導体および高分子アジュバント、
- ショウガ、シナニッケイ、チンネベリーセンナ、ダイズレシチン、オルガノシロキサン型シリコーン誘導体および高分子アジュバント、
- ショウガ、シナニッケイ、フェヌグリーク、酢酸ベンジル、ダイズレシチン、オルガノシロキサン型シリコーン誘導体および高分子アジュバント、
- ショウガ、セイロンニッケイ、シトラール、安息香酸ベンジル、ダイズレシチン、オルガノシロキサン型シリコーン誘導体および高分子アジュバント、
- ショウガ、セイロンニッケイ、酢酸ベンジル、ゲラニオール、ダイズレシチン、オルガノシロキサン型シリコーン誘導体および高分子アジュバント、
- ショウガ、セイロンニッケイ、ケシ(Papaver somniferum)、ダイズレシチン、オルガノシロキサン型シリコーン誘導体および高分子アジュバント、
- ショウガ、セイロンニッケイ、キダチハッカ精油、キダチハッカ抽出物、ダイズレシチン、オルガノシロキサン型シリコーン誘導体および高分子アジュバント、ならびに
- ショウガ、E-シンナムアルデヒド、酢酸ゲラニル、ダイズレシチン、オルガノシロキサン型シリコーン誘導体および高分子アジュバント
を含む生物農薬組成物から選択される、前記〔1〕に記載の生物農薬組成物。
〔20〕生物活性コアの各構成成分の濃度が、質量/体積濃度の範囲:
- ショウガの由来の根または根茎由来の精油、オレオレジン、水性、アルコール性または水アルコール性抽出物:0.01~0.99%、好ましくは0.05~0.95%、好ましくは0.1~0.9%、より好ましくは0.2~0,8%、さらにより好ましくは0.3~0.7%、より好ましくは0.4~0.6%、および
- シンナムアルデヒドまたはシンナムアルデヒド源:0.01~0.99%、好ましくは0.05~0.95%、好ましくは0.1~0.9%、より好ましくは0.2~0.8%、さらにより好ましくは0.3~0.7%、最も好ましくは0.4~0.6%
である、前記〔1〕~〔19〕のいずれか1項に記載の組成物を含有する最終適用溶液。
〔21〕生物活性コアの構成成分:
- ショウガの根または根茎の精油、オレオレジン、アルコール性または水アルコール性の水性抽出物、
- シンナムアルデヒドまたはシンナムアルデヒド源
の、水性媒体中での混合を含む、前記〔1〕に記載の生物農薬組成物を得るための方法。
〔22〕少なくとも1種の第2の構成成分および/または少なくとも1種の不活性物質が添加される、前記〔21〕に記載の方法。
〔23〕生物活性コアの構成成分の混合が、500~4000rpm、好ましくは、1500~3000rpmの速度で、水性媒体中で行われる、前記〔21〕~〔22〕のいずれか1項に記載の方法。
〔24〕混合の温度が、20~40℃、好ましくは、24~35℃で、60~120分、好ましくは、40~100分の時間である、前記〔23〕に記載の方法。
〔25〕飛行有害生物の防除のための、前記〔1〕~〔20〕のいずれか1項に記載の生物農薬組成物の使用。
〔26〕コナジラミ、好ましくはベミシア種(Bemisia sp.)「種群」(バイオタイプ)、ジアレウロデス属種(Dialeurodes sp.)、トリアレウロデス属種(Trialeurodes sp.)、エンカルシア属種(Encarsia sp.)、マーラットコナジラミ属種(Aleurolobus sp.)、アレウロトリクス属種(Aleurothrixus sp.)、アレウロジクス属種(Aleurodicus sp.)、アレイロデス属種(Aleyrodes sp.)、パラベミシア属種(Parabemisia sp.)、パラレイロデス属種(Paraleyrodes sp.)、オーチャモプラタス属種(Orchamoplatus sp.)、シフォニヌス属種(Siphoninus sp.)およびテトラロイロデス属種(Tetraleurodes sp.)に属するものの防除のための、前記〔25〕に記載の生物農薬組成物の使用。
〔27〕生物農薬組成物が、
- 予防的、および/または
- 治癒的
に使用される、前記〔25〕~〔26〕のいずれか1項に記載の生物農薬組成物の使用。
〔28〕生物農薬組成物が、単独で、または他の植物衛生製品もしくは有害生物および病害の防除システムと組み合わせて適用される、前記〔25〕~〔27〕のいずれか1項に記載の生物農薬組成物の使用。
〔29〕他の植物衛生製品または有害生物防除システムが、数ある中でも、殺虫剤、殺線虫剤、殺ダニ剤、殺真菌剤、殺細菌剤、除草剤、植物成長調節剤、誘導因子、肥料、土壌調整剤およびベイトの任意の種類を意味する、前記〔28〕に記載の生物農薬組成物の使用。
〔30〕適用が、茎葉散布による、前記〔25〕~〔29〕のいずれか1項に記載の生物農薬組成物の使用。
〔31〕適用が、従来の有機農業または環境保護農業、好ましくは、園芸作物、大規模作物、鑑賞作物およびガーデニング、ならびに公園およびスポーツ施設に関わらず、食品用途および非食品用途のための農作物における適用である、前記〔25〕~〔30〕のいずれか1項に記載の生物農薬組成物の使用。