(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】KV3モジュレーター
(51)【国際特許分類】
A61K 31/497 20060101AFI20240717BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240717BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20240717BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20240717BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20240717BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20240717BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240717BHJP
A61P 25/30 20060101ALI20240717BHJP
A61P 27/16 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
A61K31/497
A61P25/00
A61P25/16
A61P25/18
A61P25/22
A61P25/24
A61P25/28
A61P25/30
A61P27/16
(21)【出願番号】P 2022547757
(86)(22)【出願日】2020-02-06
(86)【国際出願番号】 GB2020050268
(87)【国際公開番号】W WO2021156584
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2023-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】512151089
【氏名又は名称】アウトイフオンイ トヘラペウトイクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ジュセッペ アルバロ
(72)【発明者】
【氏名】アゴスティーノ マラスコ
【審査官】中西 聡
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/076877(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/182851(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/083994(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/103604(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/109484(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/079422(WO,A1)
【文献】WANG, C. et al.,Revisiting the SAR of the Antischistosomal Aryl Hydantoin (Ro 13-3978),Journal of Medicinal Chemistry,2016年,59(23),pp. 10705-10718
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K、A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
Science Direct
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品としての使用のための、式(I):
【化1】
(式中:
R
1は、H又はメチルであり;
R
2及びR
3は双方ともメチルであるか、又はR
2及びR
3は、それらが結合している炭素原子と一緒になった、スピロシクロプロピル環であり;
R
4は、メチルもしくはエチルであり;
R
5は、Hもしくはメチルであり;
又はR
4及びR
5は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C
3-C
4スピロカルボシクリルを形成する)
の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和
物、並びに、医薬として許容し得る担体又は賦形剤、を含む医薬組成物であって、
(i)該式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和
物が、1日あたり2~400mgで投与されるか、
(ii)該式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和
物が、少なくとも3ヶ月の期間投与されるか、
(iii)該式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和
物が、1日あたり1回もしくは2回、1日あたり1~500mgで経口投与されるか、又は、
(iv)該式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和
物が、成人ヒト対象に投与される、
前記医薬組成物。
【請求項2】
前記式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和
物が、1日あたり2~400mgで投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和
物が、少なくとも3ヶ月の期間投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和
物が、1日あたり1回もしくは2回、1日あたり1~500mgで経口投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和
物が、成人ヒト対象に投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
18歳未満の年齢のヒト対象に投与される、医薬品としての使用のための、式(I):
【化2】
(式中:
R
1は、H又はメチルであり;
R
2及びR
3は双方ともメチルであるか、又はR
2及びR
3は、それらが結合している炭素原子と一緒になった、スピロシクロプロピル環であり;
R
4は、メチルもしくはエチルであり;
R
5は、Hもしくはメチルであり;
又はR
4及びR
5は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C
3-C
4スピロカルボシクリルを形成する)
の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和
物、並びに、医薬として許容し得る担体又は賦形剤を含む
、医薬組成物。
【請求項7】
式(I):
【化3】
(式中:
R
1は、H又はメチルであり;
R
2及びR
3は双方ともメチルであるか、又はR
2及びR
3は、それらが結合している炭素原子と一緒になった、スピロシクロプロピル環であり;
R
4は、メチルもしくはエチルであり;
R
5は、Hもしくはメチルであり;
又はR
4及びR
5は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C
3-C
4スピロカルボシクリルを形成する)
の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和
物、並びに、医薬として許容し得る担体又は賦形剤を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
5,5-ジメチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン
【化4】
を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
5,5-ジメチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン
【化5】
の医薬として許容し得る塩を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
(5R)-5-エチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン
【化6】
を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
(5R)-5-エチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン
【化7】
の医薬として許容し得る塩を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
(5R)-5-エチル-3-(5-スピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イルオキシピラジン-2-イル)イミダゾリジン-2,4-ジオン
【化8】
を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
(5R)-5-エチル-3-(5-スピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イルオキシピラジン-2-イル)イミダゾリジン-2,4-ジオン
【化9】
の医薬として許容し得る塩を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
聴覚障害、統合失調症、うつ状態及び気分障害、双極性障害、物質乱用障害、不安障害、睡眠障害、聴覚過敏及び音量感覚障害、メニエール病、平衡障害、及び内耳の障害、衝動制御障害、パーソナリティ障害、注意欠陥多動性障害、自閉症スペクトラム障害、摂食障害、認知障害、失調症、疼痛(神経障害性疼痛、炎症性疼痛、及び種々の疼痛など)、レビー小体型認知症、並びにパーキンソン病からなる群から選択される疾患又は障害の予防又は治療における使用のための、請求項1~13のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項15】
統合失調症、聴覚障害、疼痛、及び脆弱X症候群からなる群から選択される疾患又は障害の予防又は治療における使用のための、請求項1~13のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項16】
式(I):
【化10】
(式中:
R
1は、H又はメチルであり;
R
2及びR
3は双方ともメチルであるか、又はR
2及びR
3は、それらが結合している炭素原子と一緒になった、スピロシクロプロピル環であり;
R
4は、メチルもしくはエチルであり;
R
5は、Hもしくはメチルであり;
又はR
4及びR
5は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C
3-C
4スピロカルボシクリルを形成する)
の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和
物の、医薬品の生産における使用方法であって、
(i)該式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和
物が、1日あたり2~400mgで投与されるか、
(ii)該式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和
物が、少なくとも3ヶ月の期間投与されるか、
(iii)該式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和
物が、1日あたり1回もしくは2回、1日あたり1~500mgで経口投与されるか、又は、
(iv)該式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和
物が、成人ヒト対象に投与される、
前記使用方法。
【請求項17】
前記式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和
物が、1日あたり2~400mgで投与される、請求項16に記載の使用方法。
【請求項18】
前記式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和
物が、少なくとも3ヶ月の期間投与される、請求項16に記載の使用方法。
【請求項19】
前記式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和
物が、1日あたり1回もしくは2回、1日あたり1~500mgで経口投与される、請求項16に記載の使用方法。
【請求項20】
前記式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和
物が、成人ヒト対象に投与される、請求項16に記載の使用方法。
【請求項21】
式(I):
【化11】
(式中:
R
1は、Hもしくはメチルであり;
R
2及びR
3は双方ともメチルであるか、又はR
2及びR
3は、それらが結合している炭素原子と一緒になった、スピロシクロプロピル環であり;
R
4は、メチルもしくはエチルであり;
R
5は、Hもしくはメチルであり;
又はR
4及びR
5は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C
3-C
4スピロカルボシクリルを形成する)
の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和
物の、医薬品の生産における使用方法であって、
該式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和
物が、18歳未満の年齢のヒト対象に投与される、前記使用方法。
【請求項22】
前記式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和
物が、式(I):
【化12】
(式中:
R
1は、Hもしくはメチルであり;
R
2及びR
3は双方ともメチルであるか、又はR
2及びR
3は、それらが結合している炭素原子と一緒になった、スピロシクロプロピル環であり;
R
4は、メチルもしくはエチルであり;
R
5は、Hもしくはメチルであり;
又はR
4及びR
5は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C
3-C
4スピロカルボシクリルを形成する)
の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和
物である、
請求項16~21のいずれか1項に記載の使用方法。
【請求項23】
前記式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和
物が、5,5-ジメチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン
【化13】
である、請求項16~22のいずれか1項に記載の使用方法。
【請求項24】
前記式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和
物が、5,5-ジメチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン
【化14】
の医薬として許容し得る塩である、請求項16~22のいずれか1項に記載の使用方法。
【請求項25】
前記式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和
物が、(5R)-5-エチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン
【化15】
である、請求項16~22のいずれか1項に記載の使用方法。
【請求項26】
前記式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和
物が、(5R)-5-エチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン
【化16】
の医薬として許容し得る塩である、請求項16~22のいずれか1項に記載の使用方法。
【請求項27】
前記式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和
物が、(5R)-5-エチル-3-(5-スピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イルオキシピラジン-2-イル)イミダゾリジン-2,4-ジオン
【化17】
である、請求項16~22のいずれか1項に記載の使用方法。
【請求項28】
前記式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和
物が、(5R)-5-エチル-3-(5-スピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イルオキシピラジン-2-イル)イミダゾリジン-2,4-ジオン
【化18】
の医薬として許容し得る塩である、請求項16~22のいずれか1項に記載の使用方法。
【請求項29】
前記医薬品は、聴覚障害、統合失調症、うつ状態及び気分障害、双極性障害、物質乱用障害、不安障害、睡眠障害、聴覚過敏及び音量感覚障害、メニエール病、平衡障害、及び内耳の障害、衝動制御障害、パーソナリティ障害、注意欠陥多動性障害、自閉症スペクトラム障害、摂食障害、認知障害、失調症、疼痛(神経障害性疼痛、炎症性疼痛、及び種々の疼痛など)、レビー小体型認知症、並びにパーキンソン病からなる群から選択される疾患又は障害の予防又は治療用である、請求項16~28のいずれか1項に記載の使用方法。
【請求項30】
前記医薬品は、統合失調症、聴覚障害、疼痛、及び脆弱X症候群からなる群から選択される疾患又は障害の予防又は治療用である、請求項16~28のいずれか1項に記載の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、新規化合物、それを含有する医薬組成物、並びに療法、特に、聴覚消失及び耳鳴を含む聴覚障害、及び統合失調症、物質乱用障害、疼痛、及び脆弱X症候群の予防又は治療におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
(本発明の背景)
Kv3電位開口型カリウムチャネルファミリーには4種のメンバー、Kv3.1、Kv3.2、Kv3.3、及びKv3.4がある。Kv3チャネルは、形質膜の脱分極により-20mVより正の電圧に活性化される。さらに、該チャネルは、膜の再分極と同時に急速に不活性化する。これらの生物物理的性質により、ニューロン活動電位の脱分極相のピークに向かってチャネルが開口して再分極を開始することが確実になる。Kv3チャネルにより媒介される活動電位の迅速な停止は、ニューロンがより急速に回復して、閾値下膜電位に到達するのを可能にし、そこからさらなる活動電位を引き起こすことができる。結果として、特定のニューロンにおけるKv3チャネルの存在は、高頻度で発火するそれらの能力に貢献している(Rudyらの文献2001)。Kv3.1~3サブタイプは中枢神経系において優勢である一方で、Kv3.4チャネルは、骨格筋及び交感神経細胞でも見られる(Weiserらの文献1994)。Kv3.1~3チャネルサブタイプは、介在ニューロンのサブクラスにより、皮質及び海馬脳領域において(例えば、Chowらの文献1999;Martinaらの文献1998;McDonaldらの文献2006;Changらの文献2007)、視床において(例えば、Kastenらの文献2007)、小脳において(例えば、Saccoらの文献2006;Puenteらの文献2010)、及び聴性脳幹核において(Liらの文献2001)差次的に発現されている。
【0003】
テトラエチルアンモニウム(TEA)が、低ミリモル濃度で該チャネルを阻害することが示されており(Rudyらの文献2001)、かつイソギンチャク、アネモニア・スルカタ(Anemonia sulcata)由来の降圧物質(blood-depressing substance)(BDS)毒素(Diochotらの文献1998)が、Kv3チャネルを高い親和性で選択的に阻害することが示されている(Yeungらの文献2005)。
【0004】
Kv3チャネルは、運動制御のために重要な脳の領域である小脳の機能の重要な決定因子である(Johoらの文献2009)。Kv3サブタイプのうちの1つ以上が欠失したマウスの特性評価によって、Kv3.1の非存在が、増加した自発運動活性、変化した脳波活動、及び断片化された睡眠パターンを生じさせることが示されている(Johoらの文献1999)。Kv3.2の欠失は、発作閾値の低減及び変化した皮質脳波活動をもたらす(Lauらの文献2000)。Kv3.3の欠失は、軽度失調症及び運動障害と関連する(McMahonらの文献2004)。Kv3.1及びKv3.3の二重欠失は、自発性発作、失調症、及びエタノールの作用に対する増加した感受性を特徴とする重症の表現型を生じさせる(Espinosaらの文献2001;Espinosaらの文献2008)。Kv3.1遺伝子(KCNC1)の自然突然変異は、進行性ミオクローヌスてんかんを引き起こす(Muonaらの文献2014)。ヒトにおけるKv3.3遺伝子(KCNC3)の変異が、脊髄小脳失調症の形態(SCA13)と関連付けられている(Figueroaらの文献2010)。
【0005】
双極性障害、統合失調症、不安、及びてんかんは、抑制性介在ニューロン及びガンマ-アミノ酪酸(GABA)伝達の低下した機能と関連付けられている中枢神経系の重篤な障害である(Reynoldsらの文献2004;Benesらの文献2008;Brambillaらの文献2003;Aroniadou-Anderjaskaらの文献2007;Ben-Ariの文献2006)。皮質及び海馬においてKv3チャネルを発現するパルブアルブミン陽性バスケット細胞は、局所回路内部でフィードバック抑制を生じさせるのに重要な役割を果たす(Markramらの文献2004)。これらの回路において、グルタミン酸作動性錐体ニューロンへの抑制性入力よりも興奮性シナプス入力が比較的優位であることから、抑制性入力を供給する介在ニューロンの高速発火は、バランスの取れた阻害を確実とするのに必須である。さらに、抑制性入力の正確なタイミングは、例えば、認知機能と関連付けられているガンマ周波数電場電位振動の発生において、ネットワーク同期を維持するのに必要である(Fisahnらの文献2005;Engelらの文献2001)。特に、ガンマ振動の減少が、統合失調症の患者で観察されており(Spencerらの文献2004)、証拠によって、死去する前の少なくとも2ヶ月間抗精神病薬を摂取していなかった統合失調症の患者の背外側前頭前皮質において、Kv3.2の発現が減少することは示唆されないものの、Kv3.1の発現が減少することが示唆される(Yanagiらの文献2014)。したがって、Kv3チャネルの正のモジュレーターが、脳における特定の群の高速発火ニューロンの発火能力を高めることが期待され得る。これらの作用は、これらのニューロン群の異常な活性に関連する障害に有益となり得る。加えて、Kv3.2チャネルは、CNSにおける主要な概日ペースメーカーである視交叉上核(SCN)のニューロンにより発現されることが示されている(Schulzらの文献2009)。
【0006】
Kv3ファミリーの電位開口型イオンチャネルは、聴性脳幹核において高レベルで発現されており(Liらの文献2001)、そこでこれらは、蝸牛からより高次の脳の領域へと聴覚情報を伝達するニューロンの高速発火を可能とする。聴性脳幹ニューロンにおけるKv3.1及びKv3.3チャネルのリン酸化が、騒音への曝露の間に保護的な役割を果たし得る騒音レベルへの迅速な生理的適応に貢献することが提唱されている(Desaiらの文献2008;Songらの文献2005)。中枢聴覚ニューロン(central auditory neuron)におけるKv3.1チャネル発現の喪失が、聴覚障害のマウスで観察され(von Hehnらの文献2004);さらに、Kv3.1発現の低下は、高齢マウスにおける聴覚の喪失と関連している可能性があり(Jungらの文献2005)、かつKv3チャネル機能の喪失も、騒音-外傷誘発性聴覚消失の結果として起こることがある(Pilatiらの文献2012)。さらに、聴性脳幹ネットワークの病理学的可塑性が、異なる種類の聴覚消失を患う多くの人々が被っている症状の一因であるように思われる。近年の研究により、Kv3.1チャネルの機能及び発現の調節が、聴覚ニューロン興奮性の制御において主要な役割を果たしていることが示されており(Kaczmarekらの文献2005;Andersonらの文献2018;Glaitらの文献2018;Olsenらの文献2018、Chambersらの文献2017)、これは、この機序が、耳鳴を生じさせる可塑的な変化のいくつかを説明し得ることを示唆する。耳鳴は、脳幹から聴覚皮質までの中枢聴覚伝導路での適応変化の結果として、騒音性聴覚消失の後に起こることがある(Robertsらの文献2010)。Kv3.1及び/又はKv3.2チャネルは、これらの回路の多くで発現されており、これらの回路の機能を制御し得るGABA作動性抑制性介在ニューロンの機能の一因となる。
【0007】
Kv3.1及び/又はKv3.2モジュレーターが、疼痛の治療に有用であることが知られている(WO2017/098254)。最も広い意味では、疼痛は、急性疼痛及び慢性疼痛に分類することができる。急性疼痛は、自己限定的であり、かつ一般に最長で数週間を超えない治療を必要とする疼痛と定義され、例えば、術後疼痛又は骨折などの急性筋骨格痛が挙げられる(米国食品医薬品局、2014)。慢性疼痛は、最初の外傷が回復してから1ヶ月を超えて持続する疼痛又は3ヶ月を超えて持続する疼痛のいずれかとして定義することができる。慢性疼痛には明確な原因が存在しないことが多く、多くの別の健康問題、例えば、疲労、うつ状態、不眠症、気分変動、及び運動の減少が、慢性疼痛に伴うことが多い。
【0008】
慢性疼痛は、以下の群:神経障害性疼痛、慢性筋骨格痛、及び種々の慢性疼痛に細分化することができる。神経障害性疼痛は、通常、組織傷害に伴うものであり、切断、卒中、糖尿病、又は多発性硬化症などの、神経系(末梢神経系及び/又は中枢神経系)への損傷によって開始されるか又は引き起こされる。慢性筋骨格痛は、変形性関節炎及び慢性腰痛などの疾患の症状であることがあり、筋組織に対する損傷並びにある領域に対する外傷、例えば、骨折、捻挫、及び脱臼の後に起こることがある。種々の慢性疼痛は、全ての他の種類の長期疼痛を包含し、非神経障害性疼痛状態、例えば、がん性疼痛及び線維筋痛症、並びに頭痛及び腱炎を含む。
【0009】
慢性疼痛は、臨床徴候のうちで最も厄介かつ管理が難しいものであり続ける高度に不均質の状態である(McCarbergらの文献2008;Woolfの文献2010;Finnerupらの文献2015)。長年の研究及び医薬品開発にもかかわらず、重要な副作用及び依存症リスクがなく、有効性でオピオイドに匹敵し得る治療の特定における進歩はほとんどない。電位開口型イオンチャネルが、特定の疼痛徴候、とりわけ、神経障害性疼痛状態の管理の重要な標的とされてきた。さらに、特定のイオンチャネルにおける遺伝子変異が、いくつかの慢性疼痛障害と結び付けられている(Bennettらの文献2014)。医薬の標的として調査中の電位開口型イオンチャネルの例としては:ナトリウムチャネル(とりわけ、NaV1.7)-Sunらの文献2014;Dib-Hajjらの文献2013;N型カルシウムチャネル-Zamponiらの文献2015;Kv7カリウムチャネル-Devulderの文献2010;Wickendenらの文献2009;及びSLACK-Luらの文献2015が挙げられる。
【0010】
これらのアプローチの根底にある仮説は、慢性疼痛状態が、末梢感覚ニューロン、とりわけ、有痛性の感覚刺激の伝達に関与するニューロン、例えば、後根神経節のC線維及び脊髄内の特定の回路などの増加した興奮性及び/又は異常な発火と関連するということである(Baranauskasらの文献1998;Cerveroの文献2009;Woolfらの文献2011;Baronらの文献2013)。神経障害性及び炎症性慢性疼痛の動物モデルは、因果関係の証明は未だなされていないものの、本仮説の主な裏付けとなるものを提供する(Cerveroの文献2009)。
【0011】
過剰興奮性を標的とする薬物、例えば、ナトリウムチャネルブロッカー(例えば、CNV1014802、ラモトリギン、カルバマゼピン、及び局所麻酔薬)、Kv7の正のモジュレーター(例えば、フルペルチン(flupertine)、及びレチガビン)、並びにN型カルシウムチャネルモジュレーター(例えば、N型カルシウムチャネルのα2δサブユニットと相互作用するガバペンチン、及びイモガイ毒素から誘導されるジコニチド(ziconitide))などは、炎症性疼痛及び/又は神経障害性疼痛のモデルにおいてエフィカシーを示す。しかしながら、これらの薬物の間で、臨床的エフィカシー、例えば、エフィカシーと中枢神経系に対する副作用の増加した負荷との釣り合いをとることのエビデンスは混乱している。動物モデルにおけるエフィカシーとヒトにおけるエフィカシーとの不一致は、さまざまな因子が原因でありそうであるが、とりわけ、ヒトにおいて達成可能な薬物濃度(低い認容性を原因とする)及びヒト疼痛状態の不均質性が、主な原因でありそうである。疼痛徴候については、疼痛緩和を、低減された耐性又はタキフィラキシーで、かつ低減された乱用傾向及び/又は依存症リスクで達成することができる標的を特定する必要性もある。
【0012】
したがって、疼痛の薬理学的管理を向上させることは、低減された副作用負荷、低減された耐性又はタキフィラキシー、及び低減された乱用傾向及び/又は依存症リスクと共に、良好なエフィカシーを提供することが可能な機序に焦点を合わせている。
【0013】
近年、Kv3.4チャネルが、慢性疼痛の治療のための興味深い標的とされている。Kv3.4チャネルは、後根神経節のニューロン上に発現され(Ritterらの文献2012;Chienらの文献2007)、そこでは、Kv3.4チャネルは、主に、感覚性C線維上に発現される(Chienらの文献2007)。Kv3チャネルはまた、脊髄におけるニューロンの特定のサブセットによっても発現される。具体的には、Kv3.1b(Deucharsらの文献2001;Brookeらの文献2002)、Kv3.3(Brookeらの文献2006)、及びKv3.4サブユニット(Brookeらの文献2004)が、常に感覚の処理に関わる回路に関連しているわけではないものの、齧歯動物の脊髄において同定されている。Kv3チャネルが、運動ニューロンを含む脊髄ニューロンの発火性を形づくっていそうである。
【0014】
また、最近の研究により、DRG侵害受容器に発現されたKv3.4チャネルが、グルタミン酸作動性のシナプス伝達に対して著しい影響力を有することが示された(Muqeemらの文献2018)。動物モデルデータは、有痛性刺激に対する過敏症に関連する、脊髄傷害後のDRGニューロンにおけるKv3.4チャネル表面発現の下方制御を示唆する(Ritterらの文献2015;Zemelらの文献2017;Zemelらの文献2018)。同様に、脊髄結紮後の齧歯動物のDRGにおいて、Kv3.4発現の下方制御が存在することが観察されている(Chienらの文献2007)。この後者の研究はまた、アンチセンスオリゴヌクレオチドをラットへ髄腔内投与してKv3.4の発現を抑制すると、機械的刺激に対する過敏症がもたらされることを示した。Kv3.4チャネル不活性化が、該チャネルのプロテインキナーゼC依存性リン酸化に影響を受ける可能性があること、及びこの生理学的な機序が、DRGニューロンが有痛性刺激に応答するその発火特性を変化させることを可能にするかもしれないことが示されている(Ritterらの文献2012)。これらの研究は、機械的異痛症の出現と低減したKv3.4チャネル発現又は機能との間の因果関係を示唆する。SC又はDRGニューロンにおけるKv3.1、Kv3.2、又はKv3.3発現の評価は、これらの研究のうちのいずれにおいても実施されておらず、これら2つのサブタイプの発現は、DRGニューロン上で明示的には実証されていない(しかしながら、上で言及したように、これらは、脊髄の特定の領域内に大量に存在する)。上で報告されたインビボでの研究は、特定の神経障害性疼痛状態の治療に対する新規のアプローチとしてのKv3.4の調節の論理的根拠を提供する。
【0015】
レビー小体型認知症(DLB)及びパーキンソン病(PD)は、結合性の喪失及びニューロンの細胞死に繋がる、レビー小体におけるタンパク質、アルファ-シヌクレインの蓄積と関連する重篤な神経変性障害である。DLBの症状としては、進行性失認、特に、計画及び注意に関する困難性が挙げられる。幻視もまた好発し、約60%の患者でみられる。PDは、初めは、主にドーパミンニューロンの喪失を原因とする運動障害と関連する。現在のところ、Kv3チャネルをDLB又はPDへと直接結びつける研究は存在しないものの、皮質及び大脳基底核回路におけるKv3チャネル、特に、Kv3.1の位置及び役割は、これらのチャネルのモジュレーターが、単独又は現行の治療、例えば、DLBに対するアセチルコリンエステラーゼ阻害剤又はPDに対するL-DOPAとの組み合わせのいずれかで、DLB又はPDの症状を向上し得ることを示唆する。
【0016】
特許出願第WO2011/069951号、第WO2012/076877号、第WO2012/168710号、第WO2013/175215号、第WO2013/083994号、第WO2013/182850号、第WO2017/103604号、第WO2018/020263、及び第WO2018/109484号は、Kv3.1及びKv3.2のモジュレーターである化合物を開示する。さらに、そのような化合物の有用性が、発作、活動亢進、睡眠障害、精神障害、聴覚障害、及び双極性障害の動物モデルで実証されている。
【0017】
特許出願WO2013/182851号は、特定の化合物によるKv3.3チャネルの調節を開示する。
【0018】
特許出願第WO2013/175211号は、Kv3.1、Kv3.2及び/又はKv3.3チャネルの調節が、急性の騒音曝露から生ずる永続的聴覚消失の確立を予防又は制限するのに有益であることが見出されていることを開示する。そのような予防の利益は、Kv3.1、Kv3.2及び/又はKv3.3モジュレーターの投与が中止された後でさえ観察され得る。
【0019】
特許出願第WO2017/098254号は、Kv3.1、Kv3.2、及び/又はKv3.3チャネルの調節が、疼痛、特に、神経障害性又は炎症性疼痛の予防又は治療において有益であることを開示する。
【0020】
特許出願WO2019/222816は、Kv3.1及び/又はKv3.2チャネルのモジュレーターであると言われている、一般式:
【化1】
の「メタ-連結された」ピリジニル化合物を開示する。
【0021】
特許出願WO2020/000065は、Kv3.1及び/又はKv3.2チャネルのモジュレーターであると言われている、一般式:
【化2】
の「メタ-連結された」ジアジン及びトリアジン化合物を開示する。
【0022】
Kv3.1、Kv3.2及び/又はKv3.3の別のモジュレーター、特に、Kv3.1及び/又はKv3.2のモジュレーターの特定の必要性が依然存在する。そのようなモジュレーターは、高いインビボでのポテンシー、チャネル選択性、向上した安全性プロファイル、又は所望の薬物動態学的パラメーター、例えば、インビボでの治療効果に必要とされる用量を減少させる高い脳アベイラビリティ及び/又は低いクリアランス速度を示す可能性がある。別のモジュレーターは、公知モジュレーターとは別の代謝産物を有することによって利益を提供し得る。バランスの取れたKv3.1、Kv3.2及び/又はKv3.3モジュレーター性を有する化合物、例えば、Kv3.1及びKv3.2を同じ又は類似の程度調節する化合物が、望ましいことがある。特定の治療効能のために、Kv3.1、Kv3.2及び/又はKv3.3チャネルに対して異なるモジュレーター作用を有する化合物、例えば、チャネルゲーティング又はチャネル不活性化のキネティクスを変化させ、かつインビボで該チャネルの負のモジュレーターとしての挙動を示し得る化合物を特定する必要性もある。
【発明の概要】
【0023】
(発明の概要)
本発明は、式(I):
【化3】
(式中:
R
1は、H又はメチルであり;
R
2及びR
3は双方ともメチルであるか、又はR
2及びR
3は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、スピロシクロプロピル環であり;
R
4は、メチル又はエチルであり;
R
5は、H又はメチルであり;
或いはR
4及びR
5は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C
3-C
4スピロカルボシクリルを形成する)
の化合物を提供する。
【0024】
式(I)の化合物は、それらの塩及び/又は溶媒和物の形態で提供されてもよい。好適には、式(I)の化合物は、それらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物、並びに/又はそれらの誘導体の形態で提供されてもよい。本発明の一実施態様において、式(I)の化合物は、医薬として許容し得る塩の形態で提供される。
【0025】
式(I)の化合物は、医薬品として、特に、聴覚消失及び耳鳴を含む聴覚障害、並びに統合失調症、物質乱用障害、疼痛、又は脆弱X症候群の予防又は治療における使用のための医薬品として用いられ得る。
【0026】
さらに、聴覚消失及び耳鳴を含む聴覚障害、並びに、聴覚消失及び耳鳴を含む聴覚障害、並びに統合失調症、物質乱用障害、疼痛、又は脆弱X症候群の予防又は治療のための方法が提供される。
【0027】
式(I)の化合物は、聴覚消失及び耳鳴を含む聴覚障害、並びに統合失調症、物質乱用障害、疼痛、又は脆弱X症候群の予防又は治療のための医薬品の生産に用いられ得る。
【0028】
式(I)の化合物及び医薬として許容し得る担体又は賦形剤を含有する医薬組成物も提供される。
【0029】
式(I)の化合物及び式(I)の化合物の調製における使用のための新規の中間体を調製するためのプロセスも提供される。
【0030】
更に、式(I)の化合物のプロドラッグ誘導体も提供される。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(発明の詳細な説明)
本発明は、式(I):
【化4】
(式中:
R
1は、H又はメチルであり;
R
2及びR
3は双方ともメチルであるか、又はR
2及びR
3は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、スピロシクロプロピル環であり;
R
4は、メチル又はエチルであり;
R
5は、H又はメチルであり;
或いはR
4及びR
5は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C
3-C
4スピロカルボシクリルを形成する)
の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物及び/もしくはそれらの誘導体を提供する。
【0032】
R1、R2、R3、R4、R5を含む基の相対立体化学及び性質に関する以下に述べる実施態様は、状況にふさわしい場合には(すなわち、化学的に理にかなっている場合には)互いに独立に、完全に組み合わせ可能であり、さらなる発明の実施態様を形成するものと想定される。そのような実施態様は、式(I)の化合物の合成に有用である可能性がある中間体、例えば、式(II)、式(IV)、式(VI)、式(VII)、及び式(XVI)の化合物にも同様に適用される。
【0033】
式(I)の化合物は、任意に、医薬として許容し得る塩及び/又は溶媒和物の形態で提供され得る。本発明の一実施態様において、式(I)の化合物は、医薬として許容し得る塩の形態で提供される。本発明の第2の実施態様において、式(I)の化合物は、医薬として許容し得る溶媒和物の形態で提供される。本発明の第3の実施態様において、式(I)の化合物は、塩や溶媒和物の形態ではない。
【0034】
一実施態様において、R1は、Hである。第2の実施態様において、R1は、メチルである。
【0035】
一実施態様において、R
2は、メチルであり、かつR
3は、メチルである。別の実施態様において、R
2及びR
3は、以下の部位:
【化5】
が形成されるような、スピロシクロプロピルである。
【0036】
一実施態様において、R4は、メチルである。第2の実施態様において、R4は、エチルである。
【0037】
一実施態様において、R5は、水素である。第2の実施態様において、R5は、メチルである。
【0038】
一実施態様において、R4及びR5は、同じ(すなわち、メチル)である。
【0039】
R
4とR
5が異なる実施態様において、これらは、以下の立体化学配置:
【化6】
を有し得る。
【0040】
本実施態様において、例えば、R4は、メチルであり、かつR5は、Hであるか、R4は、エチルであり、かつR5は、Hであるか、又はR4は、エチルであり、かつR5は、メチルである。
【0041】
或いは、R
4とR
5が異なる実施態様において、これらは、以下の立体化学配置:
【化7】
を有し得る。
【0042】
本実施態様において、例えば、R4は、メチルであり、かつR5は、Hであるか、R4は、エチルであり、かつR5は、Hであるか、又はR4は、エチルであり、かつR5は、メチルである。
【0043】
一実施態様において、R4及びR5は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、スピロシクロプロピルを形成する。
【0044】
別の実施態様において、R4及びR5は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、スピロシクロブチルを形成する。
【0045】
一実施態様において、式(I)の化合物は、以下:
5,5-ジメチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン;
3-[5-[(3,3-ジメチル-2H-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]ピラジン-2-イル]-5,5-ジメチル-イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(5R)-5-エチル-5-メチル-3-(5-スピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イルオキシピラジン-2-イル)イミダゾリジン-2,4-ジオン;
5,5-ジメチル-3-(5-スピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イルオキシピラジン-2-イル)イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(5R)-5-エチル-5-メチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(5R)-3-[5-[(3,3-ジメチル-2H-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]ピラジン-2-イル]-5-エチル-5-メチル-イミダゾリジン-2,4-ジオン;
5,5-ジメチル-3-[5-[(3,3,7-トリメチル-2H-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]ピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(5R)-5-エチル-5-メチル-3-[5-[(3,3,7-トリメチル-2H-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]ピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(5R)-5-エチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(5R)-5-エチル-3-(5-スピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イルオキシピラジン-2-イル)イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(5R)-3-[5-[(3,3-ジメチル-2H-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]ピラジン-2-イル]-5-エチル-イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(5R)-5-エチル-3-[5-[(3,3,7-トリメチル-2H-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]ピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン;
7-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタン-6,8-ジオン
からなる群から選択されるか、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物、並びに/もしくはそれらの誘導体である。
【0046】
一実施態様において、式(I)の化合物は:
6-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]-4,6-ジアザスピロ[2.4]ヘプタン-5,7-ジオン
又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物、並びに/もしくはそれらの誘導体である。
【0047】
一実施態様において、式(I)の化合物は:
(5S)-5-エチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン
又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物、並びに/もしくはそれらの誘導体である。
【0048】
前記化合物が、C1-3アルキル基を含む場合、それが、単独であろうとより大きな基の一部を形成していようと、該アルキル基は、直鎖状、分岐状、又は環状であり得る。C1-3アルキルの例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、及びシクロプロピルである。「プロピル」への言及は、n-プロピル、イソプロピル、及びシクロプロピルを含む。
【0049】
本明細書で使用される「ハロ」又は「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素原子を指す。ハロの特定の例は、フッ素、塩素、及び臭素であり、例えば、塩素又は臭素である。
【0050】
本明細書で使用される「C
3-4スピロカルボシクリル」という用語は、3又は4個の炭素原子を含む環状環系、すなわち、シクロプロピル又はシクロブチル基を意味し、ここで、該環状環系は、以下のように:
【化8】
二級炭素が、該環状環内の3~4個の炭素原子のうちの1つとなるように、スピロ中心を介して該二級炭素に結合している。
【0051】
医薬で使用するために、式(I)の化合物の塩は、医薬として許容し得るものでなくてはならないことが認識されるであろう。医薬として許容し得る好適な塩は当業者には明らかであろう。医薬として許容し得る塩には、Berge、Bighley、及びMonkhouseの文献(J.Pharm.Sci. (1977) 66, pp 1-19)に記載されるものがある。そのような医薬として許容し得る塩には、無機酸、例えば、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、又はリン酸などと形成される酸付加塩、及び有機酸、例えば、コハク酸、マレイン酸、酢酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、又はナフタレンスルホン酸と形成される酸付加塩がある。医薬として許容し得ない塩を、例えば、式(I)の化合物の単離において使用することができ、これは、本発明の範囲に含まれる。
【0052】
式(I)の化合物のいくつかは、1当量以上の酸と酸付加塩を形成し得る。本発明は、その範囲内に、可能性のある化学量論的形態及び非化学量論的形態の全てを含む。
【0053】
式(I)の化合物は、結晶性形態又は非晶性形態で調製でき、結晶性の場合、例えば、水和物として、任意に溶媒和されていてよい。本発明は、その範囲内に、化学量論的溶媒和物(例えば、水和物)、並びに、可変量の溶媒(例えば、水)を含む化合物を含む。
【0054】
本発明が、式(I)の化合物の医薬として許容し得る誘導体を含むこと、及びそれらが、本発明の範囲内に含まれることが理解されるであろう。
【0055】
本明細書で用いられる、「医薬として許容し得る誘導体」は、受容者に投与されると式(I)の化合物又はその活性代謝産物若しくは残基を(直接的又は間接的に)提供できる式(I)の化合物の任意の医薬として許容し得るエステル又はそのようなエステルの塩を含む。
【0056】
医薬として許容し得るプロドラッグは、例えば、以下に示されるように基「L」によって、ヒダントインの二級窒素を官能基化することによって形成され得る:
【化9】
(式中、R
4及びR
5は、上述の通りである)。
【0057】
本発明の一実施態様において、式(I)の化合物は、基Lによりヒダントインの二級窒素を介して官能基化され、ここで、Lは、以下:
a)-PO(OH)O-・M+(式中、M+は、医薬として許容し得る一価の対イオンである)、
b)-PO(O-)2・2M+、
c)-PO(O-)2・D2+(式中、D2+は、医薬として許容し得る二価の対イオンである)、
d)-CH(RX)-PO(OH)O-・M+(式中、RXは、水素又はC1-3アルキルである)、
e)-CH(RX)-PO(O-)2・2M+、
f)-CH(RX)-PO(O-)2・D2+、
g)-SO3
-・M+、
h)-CH(RX)-SO3
-・M+、及び
i)-CO-CH2CH2-CO2・M+
から選択される。
【0058】
本発明が、幾何異性、互変異性、及び光学異性形態、並びにその混合物(例えば、ラセミ混合物)の全てを含む式(I)の異性体及びそれらの医薬として許容し得る誘導体の全てを包含することを理解すべきである。追加のキラル中心が式(I)の化合物に存在する場合、本発明は、その範囲内に、可能性のある全てのジアステレオ異性体を、その混合物も含めて含む。異なる異性体形態は、従来の方法により互いに区別して分離又は分割でき、或いは、ある異性体を、従来の合成方法により、又は立体特異的合成若しくは不斉合成により得ることができる。
【0059】
本開示は、(i)所与の原子番号の全原子が、自然界で優勢である質量数(又は質量数(複数)の混合)を有する形態(本明細書では、「天然同位体形態(natural isotopic form)」と称される)又は(ii)1つ以上の原子が、同じ原子番号を有するが、自然界で優勢である原子の質量数とは異なる質量数を有する原子によって置き換えられている形態(本明細書では、「非天然変種同位体形態(unnatural variant isotopic form)」と称される)のいずれであろうと、本明細書において提供される本発明の化合物の全ての同位体形態を含む。原子が、質量数(複数)の混合物として天然に存在し得ることが理解されている。「非天然変種同位体形態」という用語はまた、自然界であまり見られない質量数を有する所与の原子番号の原子(本明細書では、「まれな同位体」と称される)の比率が、天然に存在する比率と比較して増加している、例えば、該原子番号の原子の数で>20%、>50%、>75%、>90%、>95%、又は>99%のレベルまで増加している実施態様を含む(後者の実施態様は、「同位体濃縮された変種形態」と呼ばれる)。また、「非天然変種同位体形態」という用語は、まれな同位体の比率が、天然に存在する比率と比較して減少している実施態様も含む。同位体形態は、放射活性形態(すなわち、これらは、放射性同位体を組み込んでいる)及び非放射活性形態を含み得る。放射活性形態は、典型的には、同位体濃縮された変種形態であろう。
【0060】
従って、化合物の非天然変種同位体形態は、1種以上の原子において1種以上の人工の同位体又はまれな同位体、例えば、重水素(2H又はD)、炭素-11(11C)、炭素-13(13C)、炭素-14(14C)、窒素-13(13N)、窒素-15(15N)、酸素-15(15O)、酸素-17(17O)、酸素-18(18O)、リン-32(32P)、硫黄-35(35S)、塩素-36(36Cl)、塩素-37(37Cl)、フッ素-18(18F)、ヨウ素-123(123I)、ヨウ素-125(125I)などを含有し得るか、又は1種以上の原子において自然界で優勢である比率と比較して増加した比率の該同位体を含有し得る。
【0061】
放射性同位体を含む非天然変種同位体形態は、例えば、薬物及び/又は基質組織分布研究に使用され得る。放射性同位体トリチウム、すなわち、3H、及び炭素-14、すなわち、14Cは、それらの組み込みの容易さ及び検出の手段が整っていることを考慮すると、この目的のために特に有用である。重水素、すなわち、2H又はDを組み込んだ非天然変種同位体形態は、より高い代謝的安定性、例えば、増加したインビボ半減期又は低下した必要用量に起因するある治療上の利点を生じさせることがあり、したがって、ある状況では好ましいことがある。さらに、陽電子放出同位体、例えば、11C、18F、15O、及び13Nなどを組み込んだ非天然変種同位体形態が調製されることがあり、基質受容体占有率を調査するための陽電子放出組織分布(PET)研究において有用であり得る。
【0062】
一実施態様において、本発明の化合物は、天然同位体形態で提供される。
【0063】
一実施態様において、本発明の化合物は、非天然変種同位体形態で提供される。具体的な実施態様において、該非天然変種同位体形態は、重水素(すなわち、2H又はD)が、化学構造において本発明の化合物の1以上の原子において水素が指定されている場所に組み込まれている形態である。一実施態様において、本発明の化合物の原子は、放射活性ではない同位体形態である。一実施態様において、本発明の化合物の1つ以上の原子は、放射活性の同位体形態である。好適には、放射性同位体は、安定同位体である。好適には、非天然変種同位体形態は、医薬として許容し得る形態である。
【0064】
一実施態様において、化合物の単一の原子が、非天然変種同位体形態で存在する本発明の化合物が提供される。別の実施態様において、2つ以上の原子が、非天然変種同位体形態で存在する本発明の化合物が提供される。
【0065】
非天然同位体変種形態は、一般に、当業者に公知の従来技術又は本明細書に記載されるプロセス、例えば、本明細書に添えられる天然同位体形態を調製するための実施例に記載されているものに類似のプロセスによって調製することができる。従って、非天然同位体変種形態は、該実施例に採用されている通常の試薬の代わりに適切な同位体変種(又は標識)試薬を用いることによって調製することができる。式(I)の化合物は医薬組成物において使用されることを意図されているので、それらがそれぞれ実質的に純粋な形態で、例えば、少なくとも純度60%、より好適には少なくとも純度75%、好ましくは少なくとも純度85%、特に少なくとも純度98%で(%は、重量対重量の基準である)提供されることが好ましいことは容易に理解されるであろう。化合物の純粋ではない調製物を、医薬組成物において用いられるより純度の高い形態を調製するのに用いてもよい。
【0066】
式(I)の化合物は医薬組成物において使用されることを意図されているので、それらがそれぞれ実質的に純粋な形態で、例えば、少なくとも純度60%、より好適には少なくとも純度75%、好ましくは少なくとも純度85%、特に少なくとも純度98%で(%は、重量対重量の基準である)提供されることが好ましいことは容易に理解されるであろう。化合物の純粋ではない調製物を、医薬組成物において用いられるより純度の高い形態を調製するのに用いてもよい。
【0067】
一般に、式(I)の化合物は、当業者に公知である有機合成技法にしたがって、並びに以下に述べる代表的な方法、実施例にある方法、及びその改良法により製造できる。
【0068】
特許出願第WO2011/069951号、第WO2012/076877号、第WO2012/168710号、第WO2013/175215号、第WO2013/083994号、第WO2013/182850号、第WO2017/103604号、第WO2018/020263号、及び第WO2018/109484は、本発明の化合物の製造において有用であり得る中間体の合成ための方法を提供する。
【0069】
(一般的合成スキーム)
以下のスキームは、本発明の化合物及びそのような化合物の合成における中間体への合成経路を詳細に示す。以下のスキームにおいて、反応性基は、当業者に周知の確立された技術によって保護基で保護し、脱保護することができる。
【0070】
式(I)の化合物、並びにその塩及び溶媒和物は、以下に概要を示す一般方法によって調製され得る。以下の説明において、基R1、R2、R3、R4、及びR5は、特に断りのない限り、式(I)の化合物に対して既に定義したような意味を有する。
【0071】
(スキーム1a)
【化10】
(工程(i):)
式(I)の化合物を、金属を触媒とするクロスカップリング反応によって調製することができる。本反応においては、通常X=Brである式(II)のハロ-ピラジン誘導体及び式(III)のヒダントインを、酸化銅(I)などの金属触媒の存在下、適当な溶媒中で、例えば、N,N-ジメチルアセトアミド中で、慣用の加熱又はマイクロ波加熱を行って反応させる。
【0072】
(スキーム1b)
【化11】
R
4及びR
5が、Hではない式(I)の化合物は、芳香族求核置換によって調製することができる。本反応において、通常Y=Clである式(IV)のハロ-ピラジン誘導体及び式(V)のフェノールを、炭酸カリウムなどの適当な塩基の存在下、適当な溶媒中、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド中又はアセトニトリル中で、慣用の加熱又はマイクロ波加熱を行って反応させる。
【0073】
(スキーム1c)
【化12】
(工程(ii):)
式(I)の化合物は、適当な溶媒、例えば、ジクロロメタン中での、カルボニル化剤、例えば、優先的に同じ溶媒中に予め希釈され、かつ2回目は0℃で添加されるトリホスゲンを用いる、適当な塩基、例えば、トリエチルアミンの存在下での式(VI)の化合物の環化によって調製することができる。或いは、式(I)の化合物は、酢酸エチルなどの適当な溶媒中で、トリエチルアミン又はDIPEAなどの塩基の存在下、カルボニルジイミダゾールなどのカルボニル化剤を用いる式(VI)の化合物の環化によって調製することができる。
【0074】
(工程(i):)
式(VI)の化合物は、式(VII)の化合物の脱保護によって調製することができる。ここで、PGは、保護基であり、好適には、該保護基は、BOCであり、BOCは、酸性条件、例えば、TFA下、適当な溶媒、例えば、ジクロロメタン中、約0℃~室温で除去し得る。
【0075】
(スキーム1d)
【化13】
(工程(ii):)
式(I)の化合物は、メタノールなどの適当な溶媒中で、0℃~室温の範囲の温度で、式(XVII)のウレア及びナトリウムメトキシドなどの適当な塩基の反応によって調製することができる。
【0076】
(工程(i):)
式(XVII)のウレアは、適当な溶媒、例えば、ジクロロメタン又は酢酸エチル中で、カルボニル化剤、例えば、優先的に同じ溶媒中に予め希釈されたトリホスゲンを用いる、適当な塩基、例えば、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンの存在下、0℃~室温の範囲の温度での式(XVI)のアニリン及び式(IX)のアミノエステル(塩酸塩など)の反応によって調製することができる。
【0077】
(スキーム2a)
【化14】
(工程(ii):)
式(IV)の化合物は、メタノールなどの適当な溶媒中で、0℃~室温の範囲の温度で、式(VIII)のウレア及びナトリウムメトキシドなどの適当な塩基の反応によって調製することができる。
【0078】
(工程(i):)
式(VIII)のウレアは、適当な溶媒、例えば、ジクロロメタン又は酢酸エチル中で、カルボニル化剤、例えば、優先的に同じ溶媒中に予め希釈されたトリホスゲンを用いる、適当な塩基、例えば、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンの存在下で、0℃~室温の範囲の温度での、通常Y=Clである市販の式(X)のハロ-ピラジン誘導体及び式(IX)のアミノエステル(塩酸塩など)の反応によって調製することができる。
【0079】
(スキーム2b)
【化15】
(工程(ii):)
式(IV)の化合物は、適当な溶媒、例えば、ジクロロメタン中での、カルボニル化剤、例えば、優先的に同じ溶媒中に予め希釈され、かつ2回目は0℃で添加されるトリホスゲンを用いる、適当な塩基、例えば、トリエチルアミンの存在下での式(XI)の化合物の環化によって調製することができる。
【0080】
(工程(i):)
式(XI)の化合物は、通常Y=Clである式(X)のアニリン及び式(XII)のアミノ酸(遊離塩基又は塩酸塩として)から、カップリング剤、例えば、T3Pの存在下、酢酸エチル、アセトニトリル、又はそれらの混合物などの適当な溶媒中でのアミドカップリングによって調製することができる。
【0081】
(スキーム3)
【化16】
(工程(ii):)
式(IV)の化合物は、金属を触媒とするクロスカップリング反応によって調製することができる。本反応においては、通常X=Brである式(II)のハロ-ピラジン誘導体及び式(XIII)のアミドを、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)などの金属触媒、ジシクロヘキシル-[2-(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)フェニル]ホスファン(XPhos)などの適当なリガンド、及び炭酸セシウムなどの適当な塩基の存在下で、適当な溶媒中で、例えば、1,4-ジオキサン中で、慣用の加熱又はマイクロ波加熱を行って反応させる。或いは、本反応においては、通常X=Brである式(II)のハロ-ピラジン誘導体及び式(XIII)のアミドを、ヨウ化銅(I)などの金属触媒、N,N'-ジメチルエタン-1,2-ジアミンなどの適当なリガンド、及び炭酸カリウムなどの適当な塩基の存在下で、適当な溶媒中で、例えば、1-ブタノール中で、慣用の加熱又はマイクロ波加熱を行って反応させる。式(IV)の化合物の調製のためのさらに別の選択肢は、通常X=Brである式(II)のハロ-ピラジン誘導体及び式(XIII)のアミドを、酢酸パラジウム(II)などの金属触媒、Xantphosなどの適当なリガンド、及び炭酸セシウムなどの適当な塩基の存在下、適当な溶媒中で、例えば、1,4-ジオキサン中で、慣用の加熱又はマイクロ波加熱を行って反応させることである。
【0082】
(工程(i):)
式(XIII)の化合物は、式(XIV)のN-保護(例えば、BOC)アミノ酸及びヘキサメチルジシラザンなどのアミンから、塩基、例えば、DIPEA及び、カップリング剤、例えば、HATU又はTBTUの存在下、N,N-ジメチルホルムアミドなどの溶媒中でのアミドカップリングによって調製することができる。
【0083】
(スキーム4)
【化17】
(工程(i):)
通常X=Brである式(II)の化合物は、芳香族求核置換によって調製することができる。本反応においては、通常X=Z=Brである式(XV)のハロ-ピラジン誘導体及び式(V)のフェノールを、炭酸カリウムなどの塩基の存在下、適当な溶媒中で、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド中で、慣用の加熱又はマイクロ波加熱を行って反応させる。
【0084】
(スキーム5)
【化18】
(工程(i):)
式(XVI)のアニリンは、金属を触媒とするクロスカップリング反応によって調製することができる。本反応においては、通常Z=Brである式(XVIII)のハロ-ピラジン誘導体及び式(V)のフェノールを、ヨウ化銅(I)などの金属触媒、ピコリン酸のような適当なリガンドの存在下、適当な溶媒中で、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド又はN,N-ジメチルアセトアミド中で、慣用の加熱又はマイクロ波加熱を行って反応させる、任意に、炭酸カリウム又は炭酸セシウムなどの適当な塩基を使用することができる。
【0085】
(スキーム6)
【化19】
上記スキーム6において、PG
1及びPG
2は、適当な保護基を表す。工程(i)~工程(iii)におけるPG
1は、工程(iv)~(vii)におけるPG
1と異なっていてもよい。適当な保護基には、ベンジル、テトラヒドロピラニル、又はメチルオキシメチルが含まれる。好適には、PG
2は、PG
1と同じであり、例えば、双方ともベンジルである。
【0086】
(PG1及びPG2が、双方ともベンジルであるスキームの説明)
(工程(vii):)
式(V)のフェノールは、式(XIX)のベンジル化された化合物から、脱保護、例えば、パラジウム-炭素などの金属触媒及び水素雰囲気又はギ酸アンモニウムなどの水素源を、エタノール又はメタノールなどの適当な溶媒中で、室温からリフラックスの範囲の温度で用いるものなどによって調製することができる。
【0087】
(工程(vi):)
式(XIX)のベンジル化された化合物は、式(XX)のジオールから、カリウムtert-ブトキシドなどの塩基及び炭酸ジメチルなどの適当な溶媒を用いて、室温からリフラックスの範囲の温度で調製することができる。
【0088】
(工程(v):)
式(XX)のジオールは、式(XXI)のラクトンから、THFなどの適当な溶媒中で、0℃から室温の範囲の温度でリチウムアルミニウムヒドリドなどの還元剤を用いて調製することができる。
【0089】
(工程(iv):)
式(XXI)のラクトンは、式(XXII)のフェノールから、炭酸カリウムなどの塩基の存在下、アセトニトリルもしくはTHF又はその混合物などの適当な溶媒中で、室温からリフラックスの範囲の温度で、ベンジルブロミドなどのベンジル化剤を用いて調製することができる。
【0090】
(工程(iii):)
式(XXII)のフェノールは、Rxが、メチル又はエチルなどの適当なアルキル性の基である式(XXIII)のジベンジル化されたエステルから、エタノール又はメタノールなどの適当な溶媒中で、室温からリフラックスの範囲の温度で、パラジウム-炭素などの金属触媒及び水素雰囲気又はギ酸アンモニウムなどの水素源を用いて調製することができる。
【0091】
(工程(ii):)
Rxが、メチル又はエチルなどの適当なアルキル性基である式(XXIII)のジベンジル化されたエステルは、式(XXIV)のジベンジル化されたブロモ誘導体から、前もって形成させた、Rxが、メチル又はエチルなどの適当なアルキル性基である式(XXVI)の有機亜鉛誘導体を、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム(0)などの金属触媒錯体の存在下、THFもしくはDMF又はそれらの混合物などの適当な溶媒中で、室温からリフラックスの範囲の温度で用いることによって調製することができる。
【0092】
(工程(i):)
式(XXIV)のジベンジル化されたブロモ誘導体は、市販の式(XXV)の誘導体から、炭酸カリウムなどの塩基の存在下、アセトニトリルもしくはTHFもしくはアセトン又はそれらの混合物などの適当な溶媒中で、室温からリフラックスの範囲の温度でベンジルブロミドなどのベンジル化剤を用いて調製することができる。
【0093】
PG1及び/又はPG2が、テトラヒドロピラニル又はメチルオキシメチルなどの保護基である場合、通常の保護/脱保護条件が適用される:
・テトラヒドロピラニルでのフェノールの保護条件は、C:Py・p-MePhSO3Hなどの触媒の存在下、ジクロロメタンなどの適当な溶媒中、0℃~リフラックスの範囲の温度でのフェノールのジヒドロ-2H-ピランとの反応を含む。
・フェノールからのテトラヒドロピラニル保護基の切断条件は、硫酸又はp-MePhSO3H又はHClなどの酸の存在下で、メタノール又はエタノールなどの適当な溶媒中、0℃~リフラックスの範囲の温度でのTHPで保護されたフェノールの反応を含む。
・メチルオキシメチルでのフェノールの保護条件は、炭酸カリウムなどの塩基の存在下、テトラヒドロフラン又はアセトニトリルなどの適当な溶媒中、0℃~リフラックスの範囲の温度でのフェノールのクロロメチルメチルエーテルとの反応を含む。
・フェノールからのメチルオキシメチル保護基の切断条件は、硫酸又はp-MePhSO3H又はHClなどの酸の存在下、メタノール又はエタノールなどの適当な溶媒中、0℃~リフラックスの範囲の温度でのMOMで保護されたフェノールの反応を含む。
【0094】
(スキーム7)
【化20】
(工程(i):)
Rxが、メチル又はエチルなどの適当なアルキル性基である式(XXVI)の有機亜鉛誘導体は、THFなどの適当な溶媒中で、1,2-ジブロモエタン及びクロロトリメチルシランの存在下、亜鉛(0)の還流懸濁液に、市販の式(XXVII)のブロモエステルを添加することにより調製することができる。
【0095】
(本発明のプロセス)
本発明のさらなる態様により、式(I)の化合物及びそれらの誘導体の調製のためのプロセス、並びに式(I)の化合物の合成における中間体を調製するためのプロセスが提供される。
【0096】
本発明のプロセスは、上述のものであり、多工程スキームの任意の個々の工程を含む。
【0097】
(中間体)
本発明はまた、式(I)の化合物の合成における新規の中間体に関する。そのような新規の中間体には、式(II)、式(IV)、式(VI)、式(VII)、式(VIII)、式(XI)、式(XVI)、及び式(XVII)の化合物が含まれる。また、式(XIX)~式(XXIV)の中間体も興味深い。そのような中間体の医薬として許容し得る塩などの塩もまた、本発明によって提供される。
【0098】
したがって、本発明の中間体は、以下:
-式(II)の化合物:
【化21】
(式中、R
1、R
2、及びR
3は、既に定義された通りであり、Xは、ハロ(Brなど)である);
-式(IV)の化合物:
【化22】
(式中、R
1、R
2、及びR
3は、既に定義された通りであり、Yは、ハロ(Clなど)である);
-式(VI)の化合物:
【化23】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、及びR
5は、既に定義された通りである);
-式(VII)の化合物:
【化24】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、及びR
5は、既に定義された通りであり、PGは、BOCなどの適当な保護基である);
-式(XVI)の化合物:
【化25】
(式中、R
1、R
2、及びR
3は、既に定義された通りである)
を含む。
【0099】
(Kv3.1、Kv3.2、及び/又はKv3.3調節)
本発明の式(I)の化合物は、Kv3.1のモジュレーターである。式(I)の化合物は、Kv3.2及び/又はKv3.3のモジュレーターでもあり得る。本発明の化合物は、それらのKv3.1及び/又はKv3.2及び/又はKv3.3チャネルに対するモジュレーター性を決定する生物学的実施例1のアッセイで試験され得る。
【0100】
本明細書で使用される「モジュレーター」は、哺乳動物細胞に組換えで発現させたヒトKv3.1及び/又はヒトKv3.2及び/又はヒトKv3.3チャネルにより媒介される全細胞電流の少なくとも10%の増強、好適には、少なくとも20%の増強を生じさせる能力を有する化合物を指す。
【0101】
「Kv3.1、Kv3.2、及び/又はKv3.3」という用語は、「Kv3.1及び/又はKv3.2及び/又はKv3.3」と同じことを意味するものと解釈されるべきであり、「Kv3.1/Kv3.2/Kv3.3」と称されることもある。
【0102】
一実施態様において、前記モジュレーターは、哺乳動物細胞に組換えで発現させたヒトKv3.1チャネルにより媒介される全細胞電流の少なくとも10%の増強、好ましくは、少なくとも20%の増強をもたらす能力を有する。好適には、該モジュレーターのpEC50は、4~7の範囲である(例えば、5~6.5)。
【0103】
一実施態様において、前記モジュレーターは、哺乳動物細胞に組換えで発現させたヒトKv3.2チャネルにより媒介される全細胞電流の少なくとも10%の増強、好ましくは、少なくとも20%の増強をもたらす能力を有する。好適には、該モジュレーターのpEC50は、4~7の範囲である(例えば、5~6.5)。
【0104】
一実施態様において、前記モジュレーターは、哺乳動物細胞に組換えで発現させたヒトKv3.3チャネルにより媒介される全細胞電流の少なくとも10%の増強、好ましくは、少なくとも20%の増強をもたらす能力を有する。好適には、該モジュレーターのpEC50は、4~7の範囲である(例えば、5~6.5)。
【0105】
別の実施態様において、前記モジュレーターは、哺乳動物細胞に組換えで発現させたヒトKv3.1及びKv3.2チャネルにより媒介される全細胞電流の少なくとも10%の増強、好ましくは、少なくとも20%の増強をもたらす能力を有する。
【0106】
別の実施態様において、前記モジュレーターは、哺乳動物細胞に組換えで発現させたヒトKv3.1及びKv3.3チャネルにより媒介される全細胞電流の少なくとも10%の増強、好ましくは、少なくとも20%の増強をもたらす能力を有する。
【0107】
別の実施態様において、前記モジュレーターは、哺乳動物細胞に組換えで発現させたヒトKv3.2及びKv3.3チャネルにより媒介される全細胞電流の少なくとも10%の増強、好ましくは、少なくとも20%の増強をもたらす能力を有する。
【0108】
さらなる実施態様において、前記モジュレーターは、哺乳動物細胞に組換えで発現させたヒトKv3.1、Kv3.2、及びKv3.3チャネルにより媒介される全細胞電流の少なくとも10%の増強、好ましくは、少なくとも20%の増強をもたらす能力を有する。
【0109】
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物及び/もしくは誘導体は、Kv3.1チャネルもしくはKv3.2チャネル又はKv3.1チャネル及びKv3.2チャネルのモジュレーターが必要とされる疾患又は障害の治療又は予防に有用である可能性がある。本明細書で使用される、Kv3.1もしくはKv3.2又はKv3.1及びKv3.2のモジュレーターは、これらのチャネルの性質を、正方向又は負方向のいずれかに変化させる化合物である。本発明の特定の態様において、式(I)の化合物は、正のモジュレーターである。本発明の化合物は、それらのモジュレーター性を決定する生物学的実施例1のアッセイで試験され得る。
【0110】
本発明の一実施態様において、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物及び/もしくはそれらの誘導体は、Kv3.2チャネルの調節に対してよりもKv3.1チャネルの調節に対して選択的である。「選択的」によって、化合物が、Kv3.2チャネルに対してよりもKv3.1チャネルに対して、例えば、少なくとも2倍、5倍、又は10倍の活性を示すことが意味される。化合物の活性は、好適には、Ec50値によって示されるそのポテンシーによって定量化される。
【0111】
本発明の別の実施態様において、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物及び/もしくはそれらの誘導体は、Kv3.1チャネルの調節よりもKv3.2チャネルの調節に対して選択的である。ここでも、「選択的」によって、化合物が、Kv3.1チャネルに対してよりもKv3.2チャネルに対して、例えば、少なくとも2倍、5倍、又は10倍の活性を示すことが意味される。
【0112】
本発明の特定の実施態様において、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物及び/もしくはそれらの誘導体は、Kv3.1及びKv3.2チャネルの調節間で同程度の活性を示し、例えば、一方のチャネルに対する活性が、他方のチャネルに対するものの2倍未満、例えば、1.5倍未満又は1.2倍未満である。
【0113】
特定の障害において、Kv3.3もしくはKv3.1、又はKv3.3及びKv3.1のモジュレーターであって、該2つのチャネル間で特定の選択性プロファイルを示す前記モジュレーターを利用することが有益である可能性がある。例えば、化合物は、Kv3.1チャネルの調節よりもKv3.3チャネルの調節に対して選択的であり得、例えば、Kv3.1チャネルに対してよりもKv3.3チャネルに対して少なくとも2倍、5倍、又は10倍の活性を示し得る。
【0114】
本発明の別の実施態様において、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物及び/もしくはそれらの誘導体は、Kv3.3チャネルの調節よりもKv3.1チャネルの調節に対して選択的である。ここでも、「選択的」によって、化合物が、Kv3.3チャネルに対してよりもKv3.1チャネルに対して、例えば、少なくとも2倍、5倍、又は10倍の活性を示すことが意味される。
【0115】
本発明の特定の実施態様において、化合物は、Kv3.3及びKv3.1チャネルの調節間で同程度の活性を示すことがあり、例えば、各チャネルの活性は、他方のチャネルに対するものの2倍未満、例えば、1.5倍未満又は1.2倍未満である。
【0116】
特定の障害において、Kv3.3もしくはKv3.2、又はKv3.3及びKv3.2のモジュレーターであって、該2つのチャネル間で特定の選択性プロファイルを示す、該モジュレーターを利用することが有益である可能性がある。化合物は、Kv3.2チャネルの調節よりもKv3.3チャネルの調節に対して選択的であり得、Kv3.2チャネルよりもKv3.3チャネルに対して、例えば、少なくとも2倍、5倍、又は10倍の活性を示し得る。
【0117】
本発明の別の実施態様において、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物及び/もしくはそれらの誘導体は、Kv3.3チャネルの調節よりもKv3.2チャネルの調節に対して選択的である。ここでも、「選択的」によって、化合物が、Kv3.3チャネルよりもKv3.2チャネルに対して、例えば、少なくとも2倍、5倍、又は10倍の活性を示すことが意味される。
【0118】
別の特定の実施態様において、化合物は、Kv3.3及びKv3.2チャネルの調節間で同程度の活性を示し得、例えば、各チャネルに対する活性が、他方のチャネルに対するものの2倍未満、例えば、1.5倍未満又は1.2倍未満である。
【0119】
本発明のなおさらなる特定の実施態様において、化合物は、Kv3.3、Kv3.2、及びKv3.1チャネルの調節間で同程度の活性を示し得、例えば、各チャネルに対する活性は、任意の他のチャネルに対するものの2倍未満、例えば、1.5倍未満又は1.2倍未満である。化合物の活性は、好適には、EC50値によって示されるそのポテンシーによって定量化される。
【0120】
(治療方法)
本発明はまた、Kv3.1、Kv3.2、及び/又はKv3.3のモジュレーターが必要とされる疾患又は障害、例えば、本明細書において以下で触れられる疾患及び障害の治療又は予防における使用のための式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくはそれらの誘導体を提供する。
【0121】
本発明は、Kv3.1、Kv3.2、及び/又はKv3.3のモジュレーターが必要とされる疾患又は障害、例えば、本明細書において以下で触れられる疾患及び障害を治療又は予防する方法であって、それを必要としている対象に有効量の式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくは誘導体を投与することを含む、前記方法を提供する。
【0122】
本発明はまた、Kv3.1、Kv3.2、及び/又はKv3.3のモジュレーターが必要とされる疾患又は障害、例えば、本明細書において以下で触れられる疾患及び障害の治療又は予防のための医薬品の生産における式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくは誘導体の使用を提供する。
【0123】
一実施態様において、医薬品としての使用のための式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物、並びに/又はそれらの誘導体が提供される。
【0124】
本明細書で使用される「治療」又は「治療すること」という用語は、疾患状態又はその症状の管理、緩和、低減、又は調節を含む。
【0125】
「予防」という用語は、対象の疾病若しくは障害の症状を予防すること又は罹患している対象の疾病若しくは障害の症状の再発を予防することを意味するように本明細書において使用され、病気の完全な予防に限定されない。
【0126】
好適には、対象は、ヒトである。
【0127】
Kv3.1及び/又はKv3.2チャネルの調節により媒介され得る疾患又は障害は、以下のリストから選択され得る。以下に列記された疾患の後の括弧内の数は、アメリカ精神医学会(American Psychiatric Association)によって公表されている「精神障害の診断及び統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)」、第4版(DSM-IV)及び/又は「疾病の国際分類(International Classification of Diseases)」、第10版(ICD-10)における分類コードを指す。
【0128】
本発明の一実施態様において、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物及び/もしくは誘導体は、聴覚障害、統合失調症、うつ状態及び気分障害、双極性障害、物質乱用障害、不安障害、睡眠障害、聴覚過敏及び音量感覚障害(disturbances of loudness perception)、メニエール病、平衡障害、及び内耳の障害、衝動制御障害、パーソナリティ障害、注意欠陥多動性障害、自閉症スペクトラム障害、摂食障害、認知障害、失調症、疼痛(神経障害性疼痛、炎症性疼痛、及び種々の疼痛など)、レビー小体型認知症、並びにパーキンソン病からなる群から選択される疾患又は障害の治療又は予防に有用である可能性がある。
【0129】
本発明の一実施態様において、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物及び/もしくは誘導体は、聴覚消失及び耳鳴を含む聴覚障害、統合失調症、物質乱用障害、疼痛(神経障害性疼痛、炎症性疼痛、及び種々の疼痛など)、レビー小体型認知症、並びにパーキンソン病からなる群から選択される疾患又は障害の治療又は予防に有用である可能性がある。
【0130】
本発明の一実施態様において、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物及び/もしくは誘導体は、脆弱X症候群、レット障害、及びアルツハイマー病からなる群から選択される疾患又は障害の治療又は予防に有用である可能性がある。
【0131】
本発明は、聴覚障害、統合失調症、うつ状態及び気分障害、双極性障害、物質乱用障害、不安障害、睡眠障害、聴覚過敏及び音量感覚障害、メニエール病、平衡障害、及び内耳の障害、衝動制御障害、パーソナリティ障害、注意欠陥多動性障害、自閉症スペクトラム障害、摂食障害、認知障害、失調症、疼痛(神経障害性疼痛、炎症性疼痛、及び種々の疼痛など)、レビー小体型認知症、並びにパーキンソン病からなる群から選択される疾患又は障害の予防又は治療のための方法であって、それを必要としている対象に、有効量の式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくは誘導体を投与することを含む、前記方法を提供する。
【0132】
本発明はまた、聴覚障害、統合失調症、うつ状態及び気分障害、双極性障害、物質乱用障害、不安障害、睡眠障害、聴覚過敏及び音量感覚障害、メニエール病、平衡障害、及び内耳の障害、衝動制御障害、パーソナリティ障害、注意欠陥多動性障害、自閉症スペクトラム障害、摂食障害、認知障害、失調症、疼痛(神経障害性疼痛、炎症性疼痛、及び種々の疼痛など)、レビー小体型認知症、並びにパーキンソン病からなる群から選択される疾患又は障害の治療又は予防のための医薬品の生産における、式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくはそれらの誘導体の使用を提供する。
【0133】
本発明の特定の実施態様において、聴覚障害の治療又は予防における使用のための、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくはそれらの誘導体が提供される。聴覚障害としては、聴覚神経障害、聴覚処理障害、突発性聴覚消失、騒音性聴覚消失、物質誘発性聴覚消失、及び60歳超、65歳超、70歳超、又は75歳超の成人の聴覚消失(老人性難聴)を含む聴覚消失、並びに耳鳴が挙げられる。
【0134】
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくはそれらの誘導体は、メニエール病、平衡障害、及び内耳の障害の治療又は予防に有用である可能性がある。
【0135】
本発明の特定の実施態様において、統合失調症の治療又は予防における使用のための、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくはそれらの誘導体が提供される。統合失調症としては、亜型の妄想型(295.30)、解体型(295.10)、緊張型(295.20)、非定型型(295.90)、及び残遺型(295.60);統合失調症様障害(295.40);亜型の双極型及び鬱型を含む統合失調性感情障害(295.70);亜型のエロトマニア型、誇大型、嫉妬型、被害型、身体型、混合型、及び特定不能型を含む妄想性障害(297.1);短期精神病性障害(298.8);共有精神病性障害(297.3);妄想を伴う亜型及び幻覚を伴う亜型を含む、全身病状を原因とする精神病性障害;妄想を伴う亜型(293.81)及び幻覚を伴う亜型(293.82)を含む、物質誘発性精神病性障害;並びに特定不能の精神病性障害(298.9)が挙げられる。
【0136】
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくはそれらの誘導体は、大鬱病エピソード、躁病エピソード、混合エピソード、及び軽躁エピソードを含むうつ状態及び気分障害;大鬱病性障害、気分変調性障害(300.4)、特定不能の鬱病性障害(311)を含む鬱病性障害;双極性I型障害、双極性II型障害(軽躁エピソードを伴う再発性の大鬱病エピソード)(296.89)、気分循環性障害(301.13)、及び特定不能の双極性障害(296.80)を含む双極性障害;鬱病的特徴を有する亜型、大鬱病様エピソードを有する亜型、躁病的特徴を有する亜型、及び混合特徴を有する亜型を含む全身病状を原因とする気分障害(293.83)を含む他の気分障害)、物質誘発性気分障害(鬱病的特徴を有する亜型、躁病的特徴を有する亜型、及び混合特徴を有する亜型を含む)、並びに特定不能の気分障害(296.90);季節性感情障害の治療又は予防に有用である可能性がある。
【0137】
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくはそれらの誘導体は、てんかん(これらに限定されないが、局在関連てんかん、全般てんかん、全般発作及び局所発作双方を伴うてんかんなどを含む)、レノックス・ガストー症候群に伴う発作、疾患又は状態の合併症としての発作(例えば、脳症、フェニルケトン尿症、若年性のゴーシェ疾患、ルントボルク進行性ミオクローヌスてんかん、卒中、頭部外傷、ストレス、ホルモンの変化、薬物使用又は離脱、アルコール使用又は離脱、睡眠遮断、発熱、感染症などに伴う発作)、本態性振戦、肢静止不能症候群、部分及び全般発作(強直性発作、間代性発作、強直間代性発作、脱力発作、ミオクローヌス発作、欠神発作を含む)、二次性全身性発作、側頭葉てんかん、欠神てんかん(小児期、若年性、ミオクローヌス性、光及びパターン誘発性のものを含む)、重篤なてんかん性脳症(低酸素関連性のもの及びラスムッセン症候群を含む)、熱性痙攣、持続性部分てんかん、進行性ミオクローヌスてんかん(ウンフェルリヒト・ルントボルク病及びラフォラ病を含む)、頭部傷害に関連するものを含む外傷後発作/てんかん、単純反射てんかん((感光性(photosensive)、体性感覚、及び固有受容性、聴原性及び前庭性のものを含む)、てんかんによく関連する代謝障害、例えば、ピリドキシン依存性てんかん、メンケスのねじれ毛病、クラッベ病、アルコール及び薬物乱用(例えば、コカイン)を原因とするてんかん、てんかんに伴う皮質奇形(例えば、二重皮質症候群又は皮質下帯状異所性灰白質)、発作又はてんかんに関連する染色体異常(chromosomal anomalies)、例えば、部分的モノソミー(15Q)/アンジェルマン症候群)の治療又は予防に有用である可能性がある。
【0138】
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくはそれらの誘導体は、物質使用障害、例えば、物質依存症、物質渇望、及び物質乱用;物質誘発性障害、例えば、物質中毒、物質離脱、物質誘発性せん妄、物質誘発性持続性認知症、物質誘発性持続性健忘障害、物質誘発性精神病性障害、物質誘発性気分障害、物質誘発性不安障害、物質誘発性性機能障害、物質誘発性睡眠障害、及び幻覚剤持続性知覚障害(フラッシュバック);アルコール関連障害、例えば、アルコール依存(303.90)、アルコール乱用(305.00)、アルコール中毒(303.00)、アルコール離脱(291.81)、アルコール中毒性せん妄、アルコール離脱性せん妄、アルコール誘発性持続性認知症、アルコール誘発性持続性健忘障害、アルコール誘発性精神病性障害、アルコール誘発性気分障害、アルコール誘発性不安障害、アルコール誘発性性機能障害、アルコール誘発性睡眠障害、及び特定不能のアルコール関連障害(291.9);アンフェタミン(又はアンフェタミン様)関連障害、例えば、アンフェタミン依存(304.40)、アンフェタミン乱用(305.70)、アンフェタミン中毒(292.89)、アンフェタミン離脱(292.0)、アンフェタミン中毒性せん妄、アンフェタミン誘発性精神病性障害、アンフェタミン誘発性気分障害、アンフェタミン誘発性不安障害、アンフェタミン誘発性性機能障害、アンフェタミン誘発性睡眠障害、及び特定不能のアンフェタミン関連障害(292.9);カフェイン関連障害、例えば、カフェイン中毒(305.90)、カフェイン誘発性不安障害、カフェイン誘発性睡眠障害、及び特定不能のカフェイン関連障害(292.9);大麻関連障害、例えば、大麻依存(304.30)、大麻乱用(305.20)、大麻中毒(292.89)、大麻中毒性せん妄、大麻誘発性精神病性障害、大麻誘発性不安障害、及び特定不能の大麻関連障害(292.9);コカイン関連障害、例えば、コカイン依存(304.20)、コカイン乱用(305.60)、コカイン中毒(292.89)、コカイン離脱(292.0)、コカイン中毒性せん妄、コカイン誘発性精神病性障害、コカイン誘発性気分障害、コカイン誘発性不安障害、コカイン誘発性性機能障害、コカイン誘発性睡眠障害、及び特定不能のコカイン関連障害(292.9);幻覚剤関連障害、例えば、幻覚剤依存(304.50)、幻覚剤乱用(305.30)、幻覚剤中毒(292.89)、幻覚剤持続性知覚障害(フラッシュバック)(292.89)、幻覚剤中毒性せん妄、幻覚剤誘発性精神病性障害、幻覚剤誘発性気分障害、幻覚剤誘発性不安障害、及び特定不能の幻覚剤関連障害(292.9);吸入剤関連障害、例えば、吸入剤依存(304.60)、吸入剤乱用(305.90)、吸入剤中毒(292.89)、吸入剤中毒性せん妄、吸入剤誘発性持続性認知症、吸入剤誘発性精神病性障害、吸入剤誘発性気分障害、吸入剤誘発性不安障害、及び特定不能の吸入剤関連障害(292.9);ニコチン関連障害、例えば、ニコチン依存症(305.1)、ニコチン離脱(292.0)、及び特定不能のニコチン関連障害(292.9);オピオイド関連障害、例えば、オピオイド依存(304.00)、オピオイド乱用(305.50)、オピオイド中毒(292.89)、オピオイド離脱(292.0)、オピオイド中毒性せん妄、オピオイド誘発性精神病性障害、オピオイド誘発性気分障害、オピオイド誘発性性機能障害、オピオイド誘発性睡眠障害、及び特定不能のオピオイド関連障害(292.9);フェンシクリジン(又はフェンシクリジン様)関連障害、例えば、フェンシクリジン依存(304.60)、フェンシクリジン乱用(305.90)、フェンシクリジン中毒(292.89)、フェンシクリジン中毒性せん妄、フェンシクリジン誘発性精神病性障害、フェンシクリジン誘発性気分障害、フェンシクリジン誘発性不安障害、及び特定不能のフェンシクリジン関連障害(292.9);鎮静薬、睡眠薬、又は抗不安薬関連障害、例えば、鎮静薬、睡眠薬、又は抗不安薬依存(304.10)、鎮静薬、睡眠薬、又は抗不安薬乱用(305.40)、鎮静薬、睡眠薬、又は抗不安薬中毒(292.89)、鎮静薬、睡眠薬、又は抗不安薬離脱(292.0)、鎮静薬、睡眠薬、又は抗不安薬中毒性せん妄、鎮静薬、睡眠薬、又は抗不安薬離脱性せん妄、鎮静薬、睡眠薬、又は抗不安薬持続性認知症、鎮静薬、睡眠薬、又は抗不安薬持続性健忘障害、鎮静薬、睡眠薬、又は抗不安薬誘発性精神病性障害、鎮静薬、睡眠薬、又は抗不安薬誘発性気分障害、鎮静薬、睡眠薬、又は抗不安薬誘発性不安障害、鎮静薬、睡眠薬、又は抗不安薬誘発性性機能障害、鎮静薬、睡眠薬、又は抗不安薬誘発性睡眠障害、及び特定不能の鎮静薬、睡眠薬、又は抗不安薬関連障害(292.9);多剤関連障害、例えば、多剤依存(304.80);並びにタンパク質同化ステロイド、硝酸塩吸入剤、及び亜酸化窒素などの他の(又は未知の)物質関連障害を含む物質関連障害の治療又は予防に有用である可能性がある。
【0139】
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくはそれらの誘導体は、パニック発作を含む不安障害;広場恐怖症を伴わないパニック障害(300.01)及び広場恐怖症を伴うパニック障害(300.21)を含むパニック障害;広場恐怖症;パニック障害の病歴のない広場恐怖症(300.22)、亜型の動物型、自然環境型、血液-注射-損傷型、状況型、及び他の型を含む、特定恐怖症(300.29、かつての単純恐怖症)、社会恐怖症(社会不安障害、300.23)、強迫性障害(300.3)、心的外傷後ストレス障害(309.81)、急性ストレス障害(308.3)、全般性不安障害(300.02)、全身病状を原因とする不安障害(293.84)、物質誘発性不安障害、分離不安障害(309.21)、不安を伴う適応障害(309.24)、及び特定不能の不安障害(300.00)の治療又は予防に有用である可能性がある。
【0140】
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくはそれらの誘導体は、原発性睡眠障害、例えば、睡眠異常、例えば、原発性不眠症(307.42)、原発性過眠症(307.44)、ナルコレプシー(347)、呼吸関連睡眠障害(780.59)、概日リズム睡眠障害(307.45)、及び特定不能の睡眠異常(307.47);原発性睡眠障害、例えば、睡眠時随伴症、例えば、悪夢障害(307.47)、睡眠時驚愕障害(307.46)、睡眠時遊行障害(307.46)、及び特定不能の睡眠時随伴症(307.47);別の精神障害に関連する睡眠障害、例えば、別の精神障害に関連する不眠症(307.42)及び別の精神障害に関連する過眠症(307.44);全身病状を原因とする睡眠障害、特に、神経障害、神経障害性疼痛、下肢静止不能症候群、心及び肺疾患などの疾患と関連する睡眠障害;並びに亜型の不眠症型、過眠症型、睡眠時随伴症型、及び混合型を含む、物質誘発性睡眠障害;睡眠時無呼吸及び時差ぼけ症候群を含む睡眠障害の治療又は予防に有用である可能性がある。
【0141】
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくはそれらの誘導体は、脆弱X症候群及び自閉症を含む聴覚過敏及び音量感覚障害の治療又は予防に有用である可能性がある。
【0142】
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくはそれらの誘導体は、間欠性爆発性障害(312.34)、窃盗症(312.32)、病的賭博(312.31)、放火症(312.33)、抜毛症(312.39)、特定不能の衝動制御障害(312.3)、過食、買い物嗜癖、強迫性性行動、及び強迫性ため込みを含む衝動制御障害の治療又は予防に有用である可能性がある。
【0143】
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくはそれらの誘導体は、性的欲求障害、例えば、性的欲求低下障害(302.71)、及び性嫌悪障害(302.79);性的興奮障害、例えば、女性の性的興奮障害(302.72)及び男性の勃起障害(302.72);オルガズム障害、例えば、女性のオルガズム障害(302.73)、男性のオルガズム障害(302.74)、及び早漏症(302.75);性的疼痛障害、例えば、性交疼痛症(302.76)及び腟痙(306.51);特定不能の性機能障害(302.70);性的倒錯、例えば、露出症(302.4)、フェティシズム(302.81)、接触性愛(302.89)、小児性愛(302.2)、性的マゾヒズム(302.83)、性的サディズム(302.84)、服装倒錯性フェティシズム(302.3)、窃視症(302.82)、及び特定不能の性的倒錯(302.9);性同一性障害、例えば、小児の性同一性障害(302.6)及び青年又は成人の性同一性障害(302.85);並びに特定不能の性障害(302.9)を含む性機能障害の治療又は予防に有用である可能性がある。
【0144】
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくはそれらの誘導体は、亜型の妄想性パーソナリティ障害(301.0)、スキゾイドパーソナリティ障害(301.20)、統合失調型パーソナリティ障害(301,22)、反社会性パーソナリティ障害(301.7)、境界型パーソナリティ障害(301,83)、演技性パーソナリティ障害(301.50)、自己愛性パーソナリティ障害(301,81)、回避性パーソナリティ障害(301.82)、依存性パーソナリティ障害(301.6)、強迫性パーソナリティ障害(301.4)、及び特定不能のパーソナリティ障害(301.9)を含むパーソナリティ障害の治療又は予防に有用である可能性がある。
【0145】
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくはそれらの誘導体は、亜型の注意欠陥/多動性障害混合型(314.01)、注意欠陥/多動性障害不注意優勢型(314.00)、注意欠陥/多動性障害多動-衝動型(314.01)、及び特定不能の注意欠陥/多動性障害(314.9)を含む注意欠陥多動性障害;多動性障害;破壊的行動障害、例えば、亜型の小児期発症型(321.81)、青年期発症型(312.82)及び特定不能の発症(312.89)、反抗挑戦性障害(313.81)、及び特定不能の破壊的行動障害を含む行為障害;並びにチック障害、例えば、トゥレット障害(307.23)の治療又は予防に有用である可能性がある。
【0146】
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくはそれらの誘導体は、自閉症性障害(299.00)、アスペルガー障害(299.80)、レット障害(299.80)、小児期崩壊性障害(299.10)、及び特定不能の広汎性障害(299.80、非定型自閉症を含む)を含む自閉症スペクトラム障害の治療又は予防に有用である可能性がある。
【0147】
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくはそれらの誘導体は、摂食障害、例えば、亜型の制限型及び過食/パージング型を含む神経性食欲不振症(307.1);亜型のパージング型及び非パージング型を含む神経性過食症(307.51);肥満症;強迫性摂食障害;過食障害;並びに特定不能の摂食障害(307.50)の治療又は予防に有用である可能性がある。
【0148】
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくはそれらの誘導体は、他の疾患、例えば、統合失調症、双極性障害、うつ状態、認知障害、例えば、アルツハイマー病と関連する他の精神障害及び精神病的状態における認知障害の治療を含む認知の強化に有用である可能性がある。或いは、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくはその溶媒和物は、認知障害、例えば、統合失調症、双極性障害、うつ状態、他の精神障害などの疾患に伴い得る認知障害など、及び認知障害、例えば、アルツハイマー病と関連する精神病的状態の予防に有用である可能性がある。
【0149】
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくはそれらの誘導体は、失調症、特に、脊髄小脳失調症、特に、R420H、R423H、又はF448L変異に伴う失調症を含む失調症の治療又は予防に有用である可能性がある。
【0150】
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくはそれらの誘導体は、侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、又は種々の疼痛を含む疼痛の治療又は予防に有用である可能性がある。
【0151】
侵害受容性疼痛は、組織、例えば、皮膚、筋肉、内臓器官、関節、腱、又は骨の侵害性の損傷又は傷害に対する通常の応答を表す。本発明の一部を形成する侵害受容性疼痛の例としては、体性疼痛:筋骨格のもの(関節痛、筋筋膜痛)もしくは皮膚のもの(これは、多くの場合高度に局在化している);又は内臓痛:中空器官又は平滑筋が挙げられる。
【0152】
神経障害性疼痛は、体性感覚神経系における原病巣又は原疾患によって開始されるか又は引き起こされる疼痛である。知覚障害は、異常知覚(しびれ)として知覚される欠損から、過敏症(痛覚過敏又は異痛症)及び異常感覚(刺痛及び他の感覚)にまでわたる。本発明の一部を形成する神経障害性疼痛の例としては、糖尿病性神経障害、帯状疱疹後神経痛、脊髄損傷疼痛、幻肢(切断後)痛、及び卒中後中枢性疼痛が挙げられるが、これらに限定されない。神経障害性疼痛の別の原因としては、外傷、化学療法、及び重金属曝露が挙げられる。
【0153】
炎症性疼痛は、組織炎症の部位で放出される種々のメディエーターによる侵害受容性疼痛経路の活性化及び鋭敏化の結果として起こる。炎症性疼痛におけるキープレーヤーとしてとして意味づけられてきたメディエーターは、浸潤白血球、血管内皮細胞、又は組織常在性マスト細胞によって放出される、炎症促進性サイトカイン、例えば、IL-1-アルファ、IL-1-ベータ、IL-6、及びTNF-アルファ、ケモカイン、活性酸素種、血管作用性アミン、脂質、ATP、酸、及び他の因子である。本発明の一部を形成する炎症性疼痛の原因の例としては、虫垂炎、関節リウマチ、炎症性腸疾患、及び帯状疱疹が挙げられる。
【0154】
種々の疼痛は、簡単には分類できない疼痛状態又は障害を指す。これらの障害の具体的な療法は良く知られているものの、それらの根本的な機序の現在の理解は、未だ初歩的なものである;種々の疼痛には、がん性疼痛、片頭痛及び他の原発性頭痛、並びに線維筋痛症型の広範囲にわたる疼痛が含まれる。
【0155】
好適には、Kv3.1及び/又はKv3.2及び/又はKv3.3チャネルのモジュレーターにより媒介され得る具体的な疼痛徴候は、神経障害性疼痛及び/又は炎症性疼痛である。
【0156】
疼痛は、主観的状態であり、かつ臨床の現場においては、患者の自己評価によって測定される傾向がある。したがって、疼痛閾値を測定して数量化することが難しいことがある。慢性疼痛には、典型的には、主観的11ポイント評定尺度が使用され、そこでは、0が無痛であり、10が、想定できる最悪の疼痛である。対象は、一般に、所与の期間、通常1日の間の自身の最悪の疼痛を記録する。最小平均ベースラインスコアも記録され、薬物療法に対する反応が、ベースラインに対して相対的に測定され、例えば、ベースラインスコアからの少なくとも10%、20%、30%、40%、又は50%の疼痛の低減が観察され得る。
【0157】
薬品に対する個体の反応は、異なり得るために、全ての個体が、ベースラインスコアからの疼痛の低減を経験するわけではない可能性もある。したがって、好適には、低減は、試験した個体の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は全てで観察される。
【0158】
したがって、本発明の一実施態様において、ベースラインスコアからの少なくとも10%、20%、30%、40%、又は50%の疼痛の低減が、それを必要としている対象への、Kv3.1/Kv3.2/Kv3.3モジュレーター、例えば、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体の投与時に観察される。
【0159】
Kv3.1/Kv3.2/Kv3.3モジュレーターの投与は、予想される疼痛の発症の前又は疼痛の発症の後とすることができる。疾患又は障害の進展が、対象が被る疼痛の増加に繋がり得ると予想される場合、Kv3.1/Kv3.2/Kv3.3モジュレーター、例えば、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体を、投与することができる。対象が既に疼痛を被っている場合、Kv3.1/Kv3.2/Kv3.3モジュレーター、例えば、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体を、それを必要としている対象に投与してもよい。
【0160】
それを必要としている対象の治療は、治療が必要とされる限りは、例えば、1日、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、6ヶ月、1年、1年超、2年超、5年超、又は10年超続けてもよい。したがって、本発明の一実施態様において、治療的有効量のKv3.1/Kv3.2/Kv3.3モジュレーター、例えば、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体は、それを必要としている対象に、1日~1ヶ月、1週間~3ヶ月、1ヶ月~6ヶ月、3ヶ月~1年、又は1年超投与される。
【0161】
対象における疼痛の低減は、外部刺激、例えば、機械的又は熱的刺激(例えば、低温刺激)(実験セクションに記載されているようなもの)に対する反応を評価することによって測定可能である。該低減は、反転百分率(影響されていない疼痛部位と共に、影響された疼痛部位の投与前及び投与後閾値を測定することにより計算される、例えば、実験セクションのデータ解析部分に、より詳細に記載されるようなもの)としてか、又は影響を受けた疼痛部位の引っ込め閾値(withdrawal threshold)を測定することかのいずれかにより検討することができる。好ましくは、反転百分率計算が用いられる。
【0162】
したがって、本発明の一実施態様において、疼痛(例えば、神経障害性疼痛又は炎症性疼痛)への感受性が、治療的有効量のKv3.1/Kv3.2/Kv3.3モジュレーター、例えば、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体の投与時に、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、又は90%超反転される。好適には、疼痛への感受性が、80%超、又は90%超反転される。
【0163】
Kv3.1/Kv3.2/Kv3.3モジュレーターを受ける対象は、二次的利益、例えば、機能、気分、睡眠、生活の質の向上、非稼働時間(time off work)の低減のうちの1つ以上を経験することがある。
【0164】
特定の実施態様において、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくはそれらの誘導体は、神経障害性疼痛の治療又は予防に有用である可能性がある。
【0165】
特定の実施態様において、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくはそれらの誘導体は、炎症性疼痛の治療又は予防に有用である可能性がある。
【0166】
特定の実施態様において、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくはそれらの誘導体は、種々の疼痛の治療又は予防に有用である可能性がある。
【0167】
一実施態様において、急性騒音性聴覚消失の予防における使用のための、式(I)の化合物が提供される。
【0168】
一実施態様において、急性騒音性聴覚消失の予防のための方法であって、それを必要としている対象に式(I)の化合物を投与することを含む、前記方法が提供される。
【0169】
一実施態様において、急性騒音性聴覚消失の予防のための医薬品の生産における式(I)の化合物の使用が提供される。
【0170】
急性騒音性聴覚消失は、事象、例えば、大きな騒音又は爆発音への曝露によって引き起こされ得る。未来の事象が急性騒音性聴覚消失を起こし得ると予測されるこれらの場合において、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体を、急性騒音性聴覚消失を予防又は低減するために、該事象の前に投与してもよい。化合物(I)又はそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物及び/もしくは誘導体の投与は、任意の急性騒音性聴覚消失を予防し得るか、又は急性騒音性聴覚消失の重症度を低減させ得るか、又は急性騒音性聴覚消失から生じる他の症状、例えば、耳鳴を緩和し得る。
【0171】
「急性聴覚消失」は、数時間又は数日の間に急速に起こる聴覚消失と定義される。例えば、聴覚消失は、数分、数時間、又は数日の間に(例えば、最長で1日、例えば、最長で2日、3日、4日、5日、6日、又は7日の間に)起こり得る。急性聴覚消失は、典型的には、大きな音又は爆発音への曝露により起こるものである。大きな音又は爆発音への曝露によって引き起こされる聴覚消失は、本明細書では、「騒音誘発性聴覚消失(noise-induced induced hearing loss)」と称される。したがって、「急性騒音性聴覚消失」は、大きな音又は爆発音への曝露によって引き起こされる、数時間又は数日の間に急速に起こる聴覚消失である。
【0172】
急性聴覚消失の重要な症状としては、下記のものが挙げられる:
1.可聴閾の変化、すなわち、他の音が全く存在しない状態で聞くことができる純音の最低の音レベルの上昇;
2.耳鳴;及び
3.中枢性聴覚処理の低下、例えば、損なわれた聴覚の時間的処理及び/又は音声理解。
【0173】
「大きな」騒音又は爆発音は、少なくとも90dB、例えば、少なくとも100dB、少なくとも110dB、少なくとも120dB、又は少なくとも130dBであり得る。
【0174】
一実施態様において、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体の投与は、騒音性急性聴覚消失を引き起こすことが予期される事象の前に開始される。例えば、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体の投与は、騒音性急性聴覚消失を引き起こすことが予期される事象の最高で2週間前、例えば、最高で1週間、6日、5日、4日、3日、2日、24時間、12時間、6時間、5時間、4時間、3時間、2時間、1時間、30分、又は最高で15分前に開始されてもよい。式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体は、騒音性急性聴覚消失を引き起こすことが予期される事象の前の複数の機会に投与されてもよい。
【0175】
一実施態様において、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくはそれらの誘導体は、急性騒音性聴覚消失を引き起こすことが予期される騒音又は爆発音への曝露の可能性の前に、永続的耳鳴の発生を予防又は低減するために;可聴閾の永続的シフトの発生を予防又は低減するために;或いは、例えば、聴覚の時間的処理及び/又は音声理解を含む持続的に劣化する中枢性聴覚処理の発生を予防又は低減するために投与される。
【0176】
事前の投与は、対象が、急性騒音性聴覚消失を引き起こすことが予期される騒音又は爆発音に曝露される恐れがあると考えられる状況で行われ得るが、そのような曝露が最終的に起こる状況に限定されないことが認識されるであろう。
【0177】
一実施態様において、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体の投与は、騒音性急性聴覚消失を引き起こすことが予期される事象の間に開始される。式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体は、騒音性急性聴覚消失を引き起こすことが予期される事象の間の複数の機会に投与されてもよい。
【0178】
一実施態様において、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体は、初めは、永続的耳鳴の発生を予防又は低減するために;可聴閾の永続的シフトの発生を予防又は低減するために;或いは、例えば、聴覚の時間的処理及び/又は音声理解を含む持続的に劣化する中枢性聴覚処理の発生を予防又は低減するために、急性騒音性聴覚消失を引き起こすことが予期される騒音又は爆発音の間投与される。
【0179】
一実施態様において、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体の投与は、急性騒音性聴覚消失を引き起こすことが予期される事象の後に開始される。
【0180】
従って、一実施態様において、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体は、初め、永続的耳鳴の発生を予防又は低減するために;可聴閾の永続的シフトの発生を予防又は低減するために;或いは、例えば、聴覚の時間的処理及び/又は音声理解を含む持続的に劣化する中枢性聴覚処理の発生を予防又は低減するために、急性騒音性聴覚消失を引き起こすことが予期される騒音又は爆発音の後に投与される。
【0181】
式(I)の化合物が、急性騒音性聴覚消失を引き起こすことが予期される事象の後に投与される場合、そのような投与は、通常、「急性期」の間、すなわち、聴覚消失が確立されてしまう前に始められる。
【0182】
一実施態様において、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体の投与は、騒音性急性聴覚消失を引き起こすことが予期される事象の最高で2ヶ月後、例えば、急性騒音性聴覚消失を引き起こすことが予期される事象の最高で1ヶ月、2週間、1週間、6日、5日、4日、3日、2日、24時間、12時間、6時間、5時間、4時間、3時間、2時間、1時間、30分、又は最高で15分後に開始されてもよい。式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体は、騒音性急性聴覚消失を引き起こすことが予期される事象の後の複数の機会に投与されてもよい。
【0183】
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくはそれらの誘導体は、最高で7日(例えば、最高で1日、最高で2日、最高で3日、最高で4日、最高で5日、最高で6日、又は最高で7日)の期間にわたるか、1~2週間(例えば、7~8日、7~9日、7~10日、7~11日、7~12日、7~13日、又は7~14日)、2~4週間(例えば、2~3週間又は2~4週間)か、又は1~2ヶ月(例えば、4~6週間又は4~8週間)投与されてもよい。
【0184】
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体は、急性騒音性聴覚消失を引き起こすことが予期される騒音又は爆発音の最高で1日前、例えば、最高で2日前、最高で3日前、最高で5日前、最高で1週間前、最高で2週間前、又は最高で1ヶ月前に初めて投与され得る。急性騒音性聴覚消失を引き起こすことが予期される騒音又は爆発音への曝露の前の任意の時点で開始された投与は、典型的には、急性騒音性聴覚消失を引き起こすことが予期される騒音又は爆発音への曝露の後、最高で2ヶ月間、例えば、その後最高で1ヶ月間、3週間、最高で2週間、最高で1週間、最高で5日、最高で3日、最高で2日、又は最高で1日継続される。
【0185】
一実施態様において、可聴閾の永続的シフトの発生の予防又は低減に使用するための式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物及び/又は誘導体が提供され、ここで、該可聴閾の永続的シフトは、少なくとも10dB、例えば、少なくとも15dB、少なくとも20dB、少なくとも30dB、少なくとも40dB、又は完全に低減される。
【0186】
(医薬組成物)
治療における使用のために、本発明の化合物は、通常医薬組成物として投与される。本発明はまた、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくは誘導体、並びに医薬として許容し得る担体又は賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0187】
一実施態様において、聴覚障害、統合失調症、うつ状態及び気分障害、双極性障害、物質乱用障害、不安障害、睡眠障害、聴覚過敏及び音量感覚障害、メニエール病、平衡障害、及び内耳の障害、衝動制御障害、パーソナリティ障害、注意欠陥多動性障害、自閉症スペクトラム障害、摂食障害、認知障害、失調症、疼痛(神経障害性疼痛、炎症性疼痛、及び種々の疼痛など)、レビー小体型認知症、並びにパーキンソン病からなる群から選択される疾患又は障害の治療又は予防における使用のための、式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくは誘導体を含む医薬組成物が提供される。
【0188】
さらなる実施態様において、聴覚障害、統合失調症、うつ状態及び気分障害、双極性障害、物質乱用障害、不安障害、睡眠障害、聴覚過敏及び音量感覚障害、メニエール病、平衡障害、及び内耳の障害、衝動制御障害、パーソナリティ障害、注意欠陥多動性障害、自閉症スペクトラム障害、摂食障害、認知障害、失調症、疼痛(神経障害性疼痛、炎症性疼痛、及び種々の疼痛など)、レビー小体型認知症、並びにパーキンソン病からなる群から選択される疾患又は障害の予防又は治療のための方法であって、それを必要としている対象に、有効量の式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくは誘導体を含む医薬組成物を投与することを含む、前記方法が提供される。
【0189】
本発明はまた、聴覚障害、統合失調症、うつ状態及び気分障害、双極性障害、物質乱用障害、不安障害、睡眠障害、聴覚過敏及び音量感覚障害、メニエール病、平衡障害、及び内耳の障害、衝動制御障害、パーソナリティ障害、注意欠陥多動性障害、自閉症スペクトラム障害、摂食障害、認知障害、失調症、疼痛(神経障害性疼痛、炎症性疼痛、及び種々の疼痛など)、レビー小体型認知症、並びにパーキンソン病からなる群から選択される疾患又は障害の治療又は予防のための医薬品の生産における、式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくはそれらの誘導体を含む医薬組成物の使用を提供する。
【0190】
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物及び/もしくはそれらの誘導体は、任意の使いやすい方法によって、例えば、経口、非経口、頬側、舌下、鼻腔内、直腸、又は経皮投与によって投与されてもよく、医薬組成物を、それに合わせて適合させる。他の可能な投与経路としては、鼓室内及び蝸牛内が挙げられる。
【0191】
経口投与された場合に活性である式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物及び/もしくはそれらの誘導体は、液体又は固体として、例えば、シロップ剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、カプセル剤、又はロゼンジ剤として製剤化できる。
【0192】
液体製剤は、一般的に、好適な液体担体(複数可)、例えば、水、エタノール、若しくはグリセリンなどの水性溶媒、又はポリエチレングリコール若しくは油などの非水性溶媒中の有効成分(式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくは誘導体など)の懸濁液又は溶液からなるものである。製剤は、懸濁化剤、保存剤、着香剤、及び/又は着色剤も含んでよい。
【0193】
錠剤の形態の組成物は、ステアリン酸マグネシウム、スターチ、ラクトース、スクロース、及びセルロースなどの、固体製剤の製造にルーチンに使用される任意の好適な医薬担体(複数可)を利用して製造できる。
【0194】
カプセルの形態の組成物は、ルーチンのカプセル化手順を利用して製造でき、例えば、有効成分(式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくは誘導体など)を含むペレットを標準的な担体を利用して製造でき、次いで硬質ゼラチンカプセルに充填できる。或いは、分散液又は懸濁液を、任意の好適な医薬担体(複数可)、例えば水性ゴム、セルロース、シリケート、又は油を利用して製造でき、次いで該分散液又は懸濁液を軟質ゼラチンカプセルに充填できる。
【0195】
典型的な非経口組成物は、滅菌水性担体又は非経口的に許容し得る油、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、レシチン、落花生油、又はゴマ油中の有効成分(式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物(例えば、塩)及び/もしくは誘導体など)の溶液又は懸濁液からなる。或いは、溶液を凍結乾燥して、次いで投与の直前に好適な溶媒により再構成することができる。
【0196】
鼻腔内投与用の組成物は、簡便には、エアロゾル剤、ドロップ剤、ゲル剤、及び散剤として製剤化できる。エアロゾル製剤は、典型的には、医薬として許容し得る水性又は非水性溶媒中の有効成分の溶液又は微細懸濁液を含み、通常、噴霧装置と共に使用するためのカートリッジ又はリフィルの形態をとり得る密閉容器中の滅菌形態の一回量又は多用量で提供される。或いは、密閉容器は、一回量鼻腔内吸入器又は計量バルブを備えたエアロゾルディスペンサーなどの使い捨て分注装置であってもよい。剤形がエアロゾルディスペンサーを含む場合、それは、圧縮ガス、例えば空気、又はフルオロクロロハイドロカーボン又はヒドロフルオロカーボンなどの有機噴射剤とすることができる噴射剤を含むであろう。エアロゾル剤形は、ポンプアトマイザーの形態もとり得る。
【0197】
頬側又は舌下投与に好適な組成物には、錠剤、ロゼンジ剤、及び香錠があり、有効成分は、糖及びアラビアゴム、トラガカント、又はゼラチン及びグリセリンなどの担体と共に製剤化される。
【0198】
直腸投与用の組成物は、簡便には、ココアバターなどの従来の坐剤基剤を含む坐剤の形態である。
【0199】
経皮投与に好適な組成物には、軟膏剤、ゲル剤、及びパッチ剤がある。一実施態様において、該組成物は、錠剤、カプセル剤、又はアンプル剤などの単位用量形態である。
【0200】
該組成物は、投与の方法によって、重量で0.1%~100%、例えば重量で10~60%の活性物質を含むことがある。該組成物は、投与の方法によって、重量で0%~99%、例えば重量で40%~90%の担体を含むことがある。該組成物は、投与の方法によって、0.05mg~1000mg、例えば1.0mg~500mgの活性物質を含むことがある。該組成物は、投与の方法によって、50mg~1000mg、例えば、100mg~400mgの担体を含むことがある。上述の障害の治療に利用される化合物の投与量は、障害の重篤度、患者の体重、及び他の類似因子により通常変わるものである。しかしながら、一般的な基準として、好適な単位用量は、0.05mg~1000mg、より好適には1.0mg~500mgでよく、そのような単位用量は、1日2回以上、例えば、1日2回又は3回投与され得る。そのような療法は、数週間又は数ヶ月継続され得る。
【0201】
対象に提供される用量は、通常、安全かつ有効な用量であり、すなわち、所望の利益と望ましくない副作用との許容し得る釣合いである。
【0202】
本発明は、さらなる態様において、さらなる医薬として許容し得る有効成分(複数可)と共に式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体を含む組合せ(例えば、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る誘導体を含む組合せ)を提供する。
【0203】
本発明は、さらなる医薬として許容し得る有効成分(複数可)との組み合わせでの使用のための式(I)の化合物を提供する。
【0204】
前記化合物が、他の治療薬剤と組み合わせて用いられる場合、該化合物は、任意の簡便な経路で、順次又は同時のいずれかで投与されてもよい。或いは、該化合物を、別々に投与してもよい。
【0205】
上で言及された組合せは、簡便には、医薬製剤の形態での使用のために提供されることがあり、したがって、医薬として許容し得る担体又は賦形剤と共に上で定義されたような組合せを含む医薬製剤は、本発明のさらなる態様を含む。そのような組み合わせの個々の成分は、別々又は組み合わせた医薬製剤で、順次又は同時のいずれかで投与できる。組み合わせの個々の成分は、同じ又は異なる経路により、別々に投与することもできる。
【0206】
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る誘導体が、同じ疾患状態に対して活性な第2の治療薬剤と組み合わせて用いられる場合、各化合物の用量は、該化合物が単独で用いられる場合のものとは異なり得る。好適な用量は、当業者によって容易に認識されるであろう。
【0207】
好適には、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体は、経口投与される。
【0208】
好適には、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体は、1日あたり2~400mg、例えば、1日あたり2~300mg、特に、1日あたり5~250mgで投与される。
【0209】
好適には、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体は、1日あたり1回又は2回投与される。
【0210】
好適には、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体は、少なくとも3ヶ月の期間投与される。
【0211】
望ましくは、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体は、1日あたり1回又は2回、1日あたり2~400mg、例えば、1日あたり2~300mg、特に、1日あたり5~250mgで経口投与される。
【0212】
ヒト対象は、成人、例えば、18~65歳の成人などであり得る。あるいは、ヒト対象は、66歳以上であり得る。式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体は、4~17歳などの18歳未満の年齢のヒト対象に投与され得る。18歳未満の年齢のヒト対象への投与は、進行性ミオクローヌスてんかん及び脆弱X症候群の文脈において特に関連性がある。
【0213】
便宜上及び患者のコンプライアンスの助けとなるように、パッチ又はインプラントなどの送達技術を用いて、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体を、長期間、例えば、少なくとも1週間又は少なくとも4週間にわたって送達してもよい。
【実施例】
【0214】
(実験)
本発明を、以下に記載する化合物によって説明する。以下の実施例は、本発明の特定の化合物の実験室的合成を説明するものであり、化合物やプロセスに関し本発明の範囲を限定することは全く意図しない。特定の試薬、溶媒、温度、及び期間が用いられるが、類似の結果を生じさせるのに使用することができる許容し得る等価な選択肢が多く存在することが理解される。本発明は、そのような等価物を含むことを意図している。
【0215】
(分析機器)
特に断りのない限り、出発材料、試薬、及び溶媒は、商業的な供給業者から得て、さらに精製することなく用いた。特に断りのない限り、キラル中心を有する化合物は全て、ラセミ体である。反応が、より完全に記載された以前の反応に類似のやり方で行われたとして記載されている場合、用いられた一般的な反応条件は、本質的に同じである。用いられたワークアップ条件は、本技術分野において標準的な種類のものであるが、ある反応と別の反応とで改変を行うこともあった。出発材料は、必ずしも言及されているバッチから調製されなかった可能性がある。合成された化合物は、例えば、85%~99%の範囲のさまざまな純度を有し得る。場合により、モル数及び収率の計算は、これに合わせた。
【0216】
HPLC-質量スペクトル(HPLC-MS)は、正のエレクトロスプレーイオン化モード及び酸性のグラジエント条件で動作する、HPLC装置Agilent 1100シリーズと連結されたAgilent 1100 シリーズLC/MSD質量分析計で測定した。
【0217】
品質管理(3分間法):酸性条件下でのLC/MS-ES+を、Zorbax SB C18カラム(1.8μm、3×50mm)で行った。移動相:A:(H2O+0.05体積%TFA)/B:(CH3CN+0.05体積%TFA)。グラジエント:t=0分、0%(B)、2.5分で0~95%(B)、0.2分間95%(B)、0.2分で95~100%(B)、0.4分間100%(B)、0.1分で100%~0%(B)。停止時間4分。カラムT=60℃。流速:1.5ml/分。質量範囲ES+:(100~1000amu、F=60)。UV検出波長:DAD 1A=220.8、DAD 1B=254.8。記載される化合物の分析的な特性評価において、本方法の使用は、「QC_3_MIN」で示される。
【0218】
キラル管理:酸性条件下でのLC/MS-ES+を、CHIRALCEL(登録商標) OD-H(250×4,6mm-5um)で行った。移動相:A:(H2O+0.05体積%TFA)/B:(CH3CN+0.05体積%TFA)。グラジエント:t=0~6分、35%(B)、t=6~40分、35%~50%(B)、t=40~45分、50%~70%(B)、t=45~50分、70%~35%(B)、t=50~55分、35%(B)。停止時間60分。カラムT=40℃。流速:1.0ml/分。UV検出波長:DAD 1A=220.8、DAD 1B=254.8。
【0219】
プロトン磁気共鳴(NMR)スペクトルを、Varianの機器において300、400、500、又は600MHzで、又はBrukerの機器において400MHzでのいずれかで記録した。化学シフトは、残留溶媒のシグナルを内部標準として用いてppm(δ)で報告される。分裂パターンを、s(一重線)、br.s(ブロードな一重線)、d(二重線)、t(三重線)、q(四重線)、dd(二重線の二重線)、dt(三重線の二重線)、及びm(多重線)と表す。NMRスペクトルは、25~60℃の範囲の温度で記録された。
【0220】
2D NMR NOESY実験を、f1及びf2の双方において3355Hzのスペクトル幅を用いて、500msの混合時間で取得した。合計で256回のインクリメントを集め、線形予測法を用いて1Kに加工した(それぞれについて8回スキャン)。データを、双方の次元にサインベルシフトを用い、f1にlb=0.3Hzを用いて処理した。いくつかの調製において、精製は、Biotage自動フラッシュクロマトグラフィー(SP1及びSP4)又はFlash Master Personalシステムを用いて行った。
【0221】
フラッシュクロマトグラフィーは、シリカゲル230~400メッシュ(Merck AG Darmstadt, ドイツによって供給)又はシリカゲル300~400メッシュ(Sinopharm Chemical Reagent社によって供給)、Varian Mega Be-Siプレパックドカートリッジ、プレパックドBiotageシリカカートリッジ(例えば、Biotage SNAPカートリッジ)で行った。
【表1】
【0222】
(化合物実施例)
(中間体1)
(2-ブロモ-5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシ-ピラジン)
【化26】
N,N-ジメチルホルムアミド(14mL)中の7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-オール(中間体156、WO2012076877、1.11g、6,30mmol)、2,5-ジブロモピラジン(1.5g、6,30mmol)、及び炭酸カリウム(1.31g、9.46mmol)の混合物を、120℃で3時間撹拌した。冷却後、反応混合物を、MTBE(100ml)で希釈し、ブライン(50ml)で洗浄した。相を分離し、水層を、MTBE(100ml)及びEtOAc(100ml)で洗浄した。全ての有機相を集め、Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、蒸発させた。残渣を、カラムとしてSNAP 100g及び溶離液として100:0~90:10のシクロヘキサン:酢酸エチルを用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(Biotage System)によって精製して、2-ブロモ-5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシ-ピラジン(1.8g)を白色固体として得た。
LC/MS: QC_3_MIN: Rt=2.705分; m/z 333 & 335 [M+H]+。
【0223】
前述の方法を用いて、7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-オールの代わりに適当なフェノールを用いて、以下の化合物を調製した。最終生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカカートリッジ;シクロヘキサン/EtOAc又は他の適当な溶媒系)によって精製した。
【表2】
【0224】
(中間体5経路1)
(3-(5-クロロピラジン-2-イル)-5,5-ジメチル-イミダゾリジン-2,4-ジオン)
【化27】
0℃の酢酸エチル(30mL)中の炭酸ビス(トリクロロメチル)(950mg、3.20mmol)の溶液に、酢酸エチル(12mL)中の5-クロロピラジン-2-アミン(0.75g、5.79mmol)/N,N-ジイソプロピルエチルアミン(6.05ml、34.74mmol)の溶液を滴下し、反応混合物を、15分間同温度で撹拌した。反応混合物を0℃に維持しながら、過剰のホスゲンを除去するために真空引きした(5分間)。酢酸エチル(8mL)/ジクロロメタン(2mL)中の4-(ジメチルアミノ)ピリジン(710mg、5.81mmol)の溶液を添加し、反応混合物を、5分間同温度で撹拌した。その後、メチル 2-アミノ-2-メチル-プロパノエート塩酸塩(1.4g、9.1mmol)を0℃で添加し、反応混合物を、30分間同温度で撹拌した。反応を、HCl(100ml)の0.2N溶液でクエンチし、2相を分離した。有機層を、ブライン(100ml)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、蒸発させて、ウレア中間体を得た。
【0225】
該ウレアを、ジクロロメタン(20mL)に溶解させ、0℃で、ナトリウムメトキシド(315mg、5.83mmol)を添加した。反応混合物を、15分間同温度で撹拌し;反応を、NH4Clの飽和溶液でクエンチして、pHを3~4とした。混合物を酢酸エチル(50ml)で抽出し;相を分離し、有機層を、ブライン(50ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、蒸発させた。残渣を、カラムとしてSNAP 30g及び溶離液として95:5~40:60の水:アセトニトリルを用いて、C-18相での逆相フラッシュクロマトグラフィー(Biotage System)によって精製した。適当な画分を合わせ、乾固するまで蒸発させて、3-(5-クロロピラジン-2-イル)-5,5-ジメチル-イミダゾリジン-2,4-ジオン(220mg)を、淡褐色固体として得た。
LC/MS: QC_3_MIN: Rt=1.649分; m/z 241 & 243 [M+H]+。
【0226】
前述の方法を用いて、2,2-ジメチルグリシンメチルエステル塩酸塩の代わりに適当なアミノエステル塩酸塩を用いて、以下の化合物を調製した。最終生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカカートリッジ;シクロヘキサン/EtOAc又は他の適当な溶媒系)によって精製するか、又は適当な溶媒中でトリチュレートするか、又は適当な溶媒から結晶化させた。
【表3】
【0227】
(中間体5経路2)
(3-(5-クロロピラジン-2-イル)-5,5-ジメチル-イミダゾリジン-2,4-ジオン)
【化28】
アセトニトリル(10mL)中の5-クロロピラジン-2-アミン(500mg、3.86mmol)及び2-アミノ-2-メチル-プロパン酸塩酸塩(646mg、4.63mmol)の溶液に、酢酸エチル中のプロピルホスホン酸無水物溶液≧50重量%(3.68g、5.78mmol)を、室温でゆっくり添加した。反応混合物を、80℃で6時間撹拌した。反応混合物を、酢酸エチル(10ml)で希釈し、pHを約8に到達させつつ、NaOHの1N水溶液を添加した。2相を分離し、有機相を、ブライン(10ml)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、真空下濃縮し、粗体を、カラムとしてSNAP 25g及び溶離液として99/1~90/10のDCM:MEOHを用いて、シリカゲル(BIOTAGE SYSTEM)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、2-アミノ-N-(5-クロロピラジン-2-イル)-2-メチル-プロパンアミド(190mg)を黄色固体として得た。
LC/MS: QC_3_MIN: Rt=1.181分; m/z 215 & 217 [M+H]+。
【0228】
ジクロロメタン(5mL)中の2-アミノ-N-(5-クロロピラジン-2-イル)-2-メチル-プロパンアミド(190mg、0.88mmol)及びトリエチルアミン(268mg、2,6555mmol)の溶液に、0℃で、ジクロロメタン(4mL)中の炭酸ビス(トリクロロメチル)(105,07mg、0,3541mmol)の溶液を、ゆっくり添加し、反応混合物を、30分間同温度で撹拌した。反応混合物を、DCM(10mL)中に希釈し、HClの0.2N水溶液(10mL)及びブライン(10mL)で洗浄した。有機相を、真空下濃縮し、粗体を、カラムとしてSNAP 25g及び溶離液として80/20~0/100のCヘキサン/EtOAcを用いて、シリカゲル(Biotage system)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、3-(5-クロロピラジン-2-イル)-5,5-ジメチル-イミダゾリジン-2,4-ジオン(130mg)を白色固体として得た。
LC/MS: QC_3_MIN: Rt=1.598分; m/z 241 & 243 [M+H]+。
【0229】
(中間体7)
(tert-ブチル N-[(1R)-1-カルバモイルプロピル]カルバメート)
【化29】
乾燥N,N-ジメチルホルムアミド(8mL)中の[ジメチルアミノ-(3-オキシドトリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イウム-1-イル)メチレン]-ジメチル-アンモニウム テトラフルオロボレート(1,1084g、3,4415mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0,7939g、6,1431mmol)、及び(2R)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸(0,5000g、2,4601mmol)の混合物を、室温で10分間撹拌した。ヘキサメチルジシラザン(0,5960g、3,6928mmol)を添加し、混合物を18時間撹拌した。
【0230】
反応混合物を、MTBE(30mL)及びブライン(20mL)中で分離した。有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去した。得られたオイルを、MTBE(3mL)中でトリチュレートし、得られた沈殿物を、MTBEで洗浄し、真空で乾燥させて、tert-ブチル N-[(1R)-1-カルバモイルプロピル]カルバメート(0,3000g、1,4833mmol、60,294%)を白色固体として得た。
LC/MS: QC_3_MIN: m/z 147 [M-tBu+H]+。
【0231】
前述の方法を用いて、(2R)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸の代わりに適当な保護アミノ酸を用いて、以下の化合物を調製した。
【表4】
【0232】
(中間体9(経路1))
(tert-ブチル N-[(1R)-1-[[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]カルバモイル]プロピル]カルバメート)
【化30】
1,4-ジオキサン(2mL)中の2-ブロモ-5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシ-ピラジン(中間体1、50mg、0.15mmol)、tert-ブチル N-[(1R)-1-カルバモイルプロピル]カルバメート(中間体7、46mg、0.23mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(10.3mg、0.011mmol)、ジシクロヘキシル-[2-(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)フェニル]ホスファン(XPhos)(5.4mg、0.011mmol)、及び炭酸セシウム(73mg、0.22mmol)の混合物を、窒素雰囲気下80℃で3時間撹拌した。
【0233】
反応を、酢酸エチルとブラインとの間に分配した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、乾固するまで蒸発させた。残渣を、SNAP 10gカラム並びに溶離液として100/0~0/100のシクロヘキサン及びEtOAcを用いて、シリカゲル(Biotage system)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。適当な画分を合わせ、乾固するまで蒸発させて、tert-ブチル N-[(1R)-1-[[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]カルバモイル]プロピル]カルバメート(10mg)を得た。
LC/MS: QC_3_MIN: Rt=2.696分; m/z 455 [M+H]+。
【0234】
(中間体9(経路2))
(tert-ブチル N-[(1R)-1-[[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]カルバモイル]プロピル]カルバメート)
【化31】
アルゴンを流した後の1,4-ジオキサン(150mL)中の2-ブロモ-5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシ-ピラジン(中間体1、16g、48.0mmol)、tert-ブチル N-[(1R)-1-カルバモイルプロピル]カルバメート(中間体7、10g、49.4mmol)、炭酸セシウム(24.16g、74.17mmol)の混合物に、ジアセトキシパラジウム(0.555g、2.47mmol)及び(5-ジフェニルホスファニル-9,9-ジメチル-キサンテン-4-イル)-ジフェニル-ホスファン(2.15g、3.71mmol)を添加した。真空/アルゴンのサイクルを3回実施し、反応混合物を95℃で1.5時間撹拌した。反応混合物を、外付けの氷浴を用いて冷却し、その後、真空下濾過して、炭酸セシウムを除去した。濾液を集め、EtOAc(150ml)で希釈し、NH
4Clの飽和水溶液(100ml)、次いでNaClの飽和水溶液(100ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、乾固するまで蒸発させた。残渣を、2×SNAP 100gカラム(200gシリカ)及び溶離液として0~40%のシクロヘキサン/EtOAcを用いて、シリカゲル(Biotage system)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、tert-ブチル N-[(1R)-1-[[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]カルバモイル]プロピル]カルバメート(16.8g)を黄色固体として得た。
【0235】
前述の方法(経路1又は経路2のいずれか)を用いて、2-ブロモ-5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシ-ピラジン(中間体1)の代わりに適当なブロモピラジンを用いて、以下の化合物を調製した。最終生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカカートリッジ;シクロヘキサン/EtOAc又は他の適当な溶媒系)によって精製した。
【表5】
【0236】
(中間体13)
((2R)-2-アミノ-N-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]ブタンアミド)
【化32】
ジクロロメタン(2mL)中のtert-ブチル N-[(1R)-1-[[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]カルバモイル]プロピル]カルバメート(中間体9、16mg、0.035mmol)及び2,2,2-トリフルオロ酢酸(0.50mL、6.53mmol)の混合物を、室温で2時間撹拌した。
【0237】
反応混合物を、ジクロロメタン(20ml)で希釈し、pHを8に到達させつつNaHCO3の飽和水溶液を添加した。相を分離し、有機層を、ブライン(20ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、蒸発させて、(2R)-2-アミノ-N-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]ブタンアミド(13mg)を得て、それを、さらに精製することなく次の工程で用いた。
LC/MS: QC_3_MIN: Rt=2.009分; m/z 355 [M+H]+。
【0238】
前述の方法を用いて、tert-ブチル N-[(1R)-1-[[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]カルバモイル]プロピル]カルバメート(中間体9)の代わりに適当なBocアミンを用いて、以下の化合物を調製した。
【表6】
【0239】
(中間体17)
((5R)-5-エチル-5-メチル-イミダゾリジン-2,4-ジオン)
【化33】
1-ブタノール(5mL)中のtert-ブチル N-[(1R)-1-カルバモイル-1-メチル-プロピル]カルバメート(中間体8、100mg、0,4624mmol)及び炭酸カリウム(191,71mg、1,3871mmol)の混合物を、窒素雰囲気下95℃で1晩撹拌した。冷却後、炭酸カリウムを濾過して取り除き、反応混合物を、酢酸エチル(30ml)で希釈し、0.1N HCl水溶液(30ml)で洗浄し、次に、ブライン(30ml)で洗浄した。相を分離し、有機層を集め、Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、蒸発させて、(5R)-5-エチル-5-メチル-イミダゾリジン-2,4-ジオン(60mg、0,4221mmol、91,283%)を得た。
LC/MS: QC_3_MIN: m/z 285 [2M+H]+。
【0240】
(中間体18)
(tert-ブチル N-(1-カルバモイルシクロブチル)カルバメート)
【化34】
中間体7に関して説明した方法を用いて、(2R)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸の代わりに1-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)シクロブタンカルボン酸を用いて、中間体18を調製した。
LC/MS: QC_3_MIN: m/z 159 [M-tBu+H]+。
【0241】
(中間体19)
(tert-ブチル N-[1-[[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]カルバモイル]シクロブチル]カルバメート)
【化35】
1-ブタノール(1mL)中の2-ブロモ-5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシ-ピラジン(中間体1、50mg、0.1501mmol)、tert-ブチル N-(1-カルバモイルシクロブチル)カルバメート(中間体18、64mg、0.2987mmol)、炭酸カリウム(62mg、0,4486mmol)、ヨウ化銅(I)(2.9mg、0.0152mmol)、及びN,N'-ジメチルエタン-1,2-ジアミン(0.0065mL,0.0601mmol)の混合物を、窒素雰囲気下95℃で4時間撹拌した。冷却後、反応混合物を、酢酸エチル(30ml)で希釈し、0.1M HCl水溶液(30ml)で洗浄し、その後、ブライン(30ml)で洗浄した。相を分離し、有機層を集め、Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、蒸発させた。残渣を、カラムとしてSNAP 10g及び溶離液として100:0~30:70のシクロヘキサン:酢酸エチルを用いて、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(Biotage System)によって精製して、tert-ブチル N-[1-[[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]カルバモイル]シクロブチル]カルバメート(18mg)を得た。
LC/MS: QC_3_MIN: Rt=2.675分; m/z 467 [M+H]+。
【0242】
(中間体20)
(1-アミノ-N-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]シクロブタンカルボキサミド)
【化36】
中間体13に関して説明した方法を用いて、tert-ブチル N-[(1R)-1-[[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]カルバモイル]プロピル]カルバメート(中間体9)の代わりにtert-ブチル N-[1-[[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]カルバモイル]シクロブチル]カルバメート(中間体19)を用いて、中間体20を調製した。
LC/MS: QC_3_MIN: Rt=1.979分; m/z 367 [M+H]+。
【0243】
(中間体21)
(tert-ブチル N-(1-カルバモイルシクロプロピル)カルバメート)
【化37】
中間体7に関して説明した方法を用いて、(2R)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸の代わりに1-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)シクロプロパンカルボン酸を用いて、中間体21を調製した。
【0244】
(中間体22)
(tert-ブチル N-[1-[[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]カルバモイル]シクロプロピル]カルバメート)
【化38】
1,4-ジオキサン(1mL)中のジシクロヘキシル-[2-(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)フェニル]ホスファン(12mg、0.0252mmol)、tert-ブチル N-(1-カルバモイルシクロプロピル)カルバメート(中間体21、67mg、0.3346mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(22mg、0.0240mmol)、2-ブロモ-5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシ-ピラジン(中間体1、79.518mg、0.2387mmol)及び炭酸セシウム(116mg、0.3560mmol)の混合物を、窒素雰囲気下95℃で2時間撹拌した。追加のtert-ブチル N-(1-カルバモイルシクロプロピル)カルバメート(中間体21、67mg、0.3346mmol)及びトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(22mg、0.0240mmol)を添加し、反応混合物を、95℃で窒素下さらに2時間撹拌し、それに続き、さらなるジシクロヘキシル-[2-(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)フェニル]ホスファン(12mg、0.0252mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(22mg、0.0240mmol)、及び炭酸セシウム(58mg)を添加し、混合物を、窒素下さらに2時間撹拌した。その後、反応混合物を、水(10mL)、NH
4Cl(10mL)でクエンチし、酢酸エチル(20mL)で抽出した。その後、有機層を、ブライン(15mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、その後、真空下濃縮した。粗体を、カラムとしてSNAP 10g及び溶離液としてシクロヘキサン:酢酸エチル90:10~70:30を用いて、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(Biotage System)によって精製して、tert-ブチル N-[1-[[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]カルバモイル]シクロプロピル]カルバメート(55mg)を黄色固体として得た。
LC/MS: QC_3_MIN: Rt=2.634分; m/z 453 [M+H]+。
【0245】
(中間体23)
(1-アミノ-N-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]シクロプロパンカルボキサミド)
【化39】
tert-ブチル N-[1-[[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]カルバモイル]シクロプロピル]カルバメート(中間体22、55mg、0.1215mmol)を、ジクロロメタン(4mL)に溶解させ、0℃に冷却した。2,2,2-トリフルオロ酢酸(1154.7mg、10.026mmol)(0.8mL)を滴下し、反応を、室温で1時間撹拌した。その後、反応混合物を、0℃に冷却し、pHが8に達するまでNaHCO
3を添加した。その後、混合物を室温まで昇温させ、DCM(10mL)で抽出した。有機層を、Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、減圧濃縮して、1-アミノ-N-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]シクロプロパンカルボキサミド(40mg)を黄色オイルとして得た。
LC/MS: QC_3_MIN: Rt=1.935分; m/z 353 [M+H]+。
【0246】
(中間体24)
(1,3-ジベンジルオキシ-2-ブロモ-ベンゼン)
【化40】
アセトン(200mL)中の2-ブロモベンゼン-1,3-ジオール(20g、105.8mmol)の溶液に、炭酸カリウム(43.87g、317.4mmol)を添加し、それに続き、ベンジルブロミド(40.72g、238.1mmol)(28ml)を添加し、反応混合物を、1.5時間還流させた。冷却後、反応混合物を真空下濾過し、濾液を、乾固するまで濃縮した。酢酸エチル(100ml)で希釈した残渣を、水(100ml)で洗浄し、次いで、ブライン(100ml)で洗浄した。相を分離し、有機層を、Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣を、イソプロパノール(8体積)中に懸濁させ、混合物を、80℃で加熱し、その温度で1時間撹拌した(クリアな溶液を得た)。その後、混合物を、室温に到達させ(1時間で)、得られた懸濁液を濾過した。固体を、氷冷イソプロパノールで洗浄し、その後、乾燥させて、表題化合物1,3-ジベンジルオキシ-2-ブロモ-ベンゼン(34g)を、淡桃色の固体として得た。
LC/MS: QC_3_MIN: Rt=2.688分。
【0247】
(中間体25)
(ブロモ-(1-メトキシカルボニルシクロプロピル)亜鉛)
【化41】
2つ口丸底フラスコ内に、活性化亜鉛粉末(6.84g、104.6mmol)を加え、該粉末を、真空下加熱した。系を、アルゴン下とし、乾燥テトラヒドロフラン(58mL)を添加した。その後、1,2-ジブロモエタン(2.18g、11.62mmol)を添加し、混合物を、還流加熱した。クロロトリメチルシラン(505mg、4.65mmol)を一回で添加し、混合物を、リフラックス温度で撹拌し続けた。乾燥テトラヒドロフラン(12mL)中のメチル 1-ブロモシクロプロピルカルボキシレート(10.4g、58.1mmol)の溶液を、同温度でゆっくり添加し、反応混合物を、1.5時間還流させた。反応混合物を、室温まで冷却し、亜鉛を沈降させて、THF中0.83M(理論値)のブロモ-(1-メトキシカルボニルシクロプロピル)亜鉛溶液(70mL)を得て、それを、さらにワークアップすることなく次の工程で用いた。
【0248】
(中間体26)
(メチル 1-(2,6-ジベンジルオキシフェニル)シクロプロパンカルボキシレート)
【化42】
70℃で前もって加熱したN,N-ジメチルホルムアミド(150mL)中の1,3-ジベンジルオキシ-2-ブロモ-ベンゼン(中間体24、16g、43.33mmol)及びビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム(0)(221mg、0.43mmol)の溶液に、THF中0.83M(理論値)のブロモ-(1-メトキシカルボニルシクロプロピル)亜鉛溶液(中間体25、60ml)を、(カニューレを通して)添加し、反応混合物を、同温度で40分間撹拌した。冷却後、反応混合物を、約30mlまで真空下濃縮し、残渣を、酢酸エチル(450ml)で希釈し、1NのHCl水溶液(2×100ml)で2回洗浄し、その後、氷冷ブライン(3×100ml)で3回洗浄した。相を分離し、有機層を、濾紙及びセルロースを用いて組み立てたGoochフィルターで真空下濾過し、酢酸エチルで洗浄した。濾液を、Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、蒸発させて、表題化合物メチル 1-(2,6-ジベンジルオキシフェニル)シクロプロパンカルボキシレート(15.5g)を得て、それを、さらに精製することなく次の工程で用いた。
LC/MS: QC_3_MIN: Rt=2.606分; m/z 389 [M+H]+。
【0249】
(中間体27)
(4-ヒドロキシスピロ[ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-2-オン)
【化43】
反応を、各回約20gの出発材料を用いて別々に3回行った。
(一般手順:)
エタノール(200ml)中のメチル 1-(2,6-ジベンジルオキシオヘニル)シクロプロパンカルボキシレート(methyl 1-(2,6-dibenzyloxyohenyl)cyclopropanecarboxylate)(中間体26、20.4g、52.52mmol)及びパラジウム炭素(5重量%、1.02g)の混合物に、ギ酸アンモニウム(16.56g、262.6mmol)を添加し、反応混合物を、80℃で1時間撹拌した。冷却後、触媒をセルロースパッドで濾過して取り除き、濾液を、約20mlまで真空下濃縮した。
【0250】
3回の反応から得た残渣を合わせ、酢酸エチル(400ml)で希釈し、水(2×300ml)で2回洗浄した。2相を分離し、有機相を、ブライン(300ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空下濃縮して、4-ヒドロキシスピロ[ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-2-オン(27.55g)(約10~15%の未環化メチル 1-(2,6-ジヒドロキシフェニル)シクロプロパンカルボキシレート中間体を含有)を得て、それを、さらに精製することなく次の工程で用いた。
LC/MS: QC_3_MIN: Rt=1.707分。
【0251】
(中間体28)
(4-ベンジルオキシスピロ[ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-2-オン)
【化44】
アセトニトリル(200mL)/テトラヒドロフラン(50mL)中の4-ヒドロキシスピロ[ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-2-オン(中間体27、28.5g、161.8mmol)(約10~15%の未環化メチル 1-(2,6-ジヒドロキシフェニル)シクロプロパンカルボキシレート中間体を含有)の溶液に、炭酸カリウム(33.54g、242,7mmol)を添加し、反応混合物を70℃で1.5時間撹拌した。その後、反応混合物を、室温に冷却し、ベンジルブロミド(27.67g、161.8mmol)を、ゆっくり添加した。反応混合物を、60℃で5時間撹拌した。冷却後、反応混合物を、真空下濾過し、固体を廃棄し、濾液を50mlまで濃縮し、酢酸エチル(250ml)で希釈し、ブライン(2×100ml)で2回洗浄した。相を分離し、有機層を、Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、蒸発させて、表題化合物4-ベンジルオキシスピロ[ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-2-オン(42,4g)を得て、それを、さらに精製することなく次の工程で用いた。
LC/MS: QC_3_MIN: Rt=2.389分; m/z 267 [M+H]+。
【0252】
(中間体29)
(3-ベンジルオキシ-2-[1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル]フェノール)
【化45】
乾燥テトラヒドロフラン(300mL)中の4-ベンジルオキシスピロ[ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-2-オン(中間体28、42.4g、159.2mmol)の溶液に、THF中1Mのリチウムアルミニウムヒドリド溶液(79.6ml、79,6mmol)を、0℃でゆっくり添加し、反応混合物を同温度で30分間撹拌した。反応を、氷、水(400ml)、及び1MのHCl水溶液(160ml)でクエンチし、その後、酢酸エチル(700ml)で希釈した。相を分離し、水層を、酢酸エチル(500ml)で逆抽出した。合わせた有機相を、ブライン(600ml)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、蒸発させて、表題化合物3-ベンジルオキシ-2-[1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル]フェノール(43g)を得て、それを、さらに精製することなく次の工程で用いた。
LC/MS: QC_3_MIN: Rt=2.148分; m/z 271 [M+H]+、m/z 293 [M+Na]+、m/z 253 [M-OH]+。
【0253】
(中間体30)
(4-ベンジルオキシスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン])
【化46】
炭酸ジメチル(430mL)中の3-ベンジルオキシ-2-[1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル]フェノール(中間体29、43g、159.1mmol)の溶液に、カリウムtert-ブトキシド(35.7g、318.1mmol)を、ゆっくり添加し、反応混合物を、85℃で3.5時間撹拌した。反応混合物を、室温まで冷却し、150mLまで真空下濃縮し、MTBE(400ml)で希釈し、水(400ml)で洗浄した。相を分離し、水層を、MTBE(250ml)で逆抽出した。合わせた有機層を、ブライン(350ml)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、濃縮して、表題化合物4-ベンジルオキシスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン](40g)を得て、それを、さらに精製することなく次の工程で用いた。
LC/MS: QC_3_MIN: Rt=2.457分; m/z 253 [M+H]+。
【0254】
(中間体31(中間体85、WO2012/076877))
(1スピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-オール)
【化47】
各回20gの出発材料を用いて反応を2回行った。エタノール(160ml)中の4-ベンジルオキシスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン](中間体30、20g、79.27mmol)及びギ酸アンモニウム(24.99g、396.34mmol)の混合物に、パラジウム炭素(5重量%、2.0g)を添加し、反応混合物を80℃で10分間撹拌した。冷却後、触媒をセルロースパッドで濾過して取り除き、濾液を、約20mlまで真空下濃縮した。2回の反応で得られた残渣を合わせ、混合物を、酢酸エチル(300ml)で希釈し、水(3×200ml)で3回洗浄し、その後、ブライン(200ml)で洗浄した。2相を分離し、有機相を、Na
2SO
4で乾燥し、真空下濃縮した。残渣を、溶離液として99:1~85:15のシクロヘキサン:酢酸エチルを用いて、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(Biotage System)によって精製して、スピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-オール(17,75g)を白色固体として得た。
LC/MS: QC_3_MIN: Rt=1.723分; m/z 163 [M+H]+。
【0255】
(中間体32)
(tert-ブチル N-[(1S)-1-カルバモイルプロピル]カルバメート)
【化48】
中間体7の合成と同じ方法によって、(2R)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸の代わりに(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸を用いて、表題化合物を合成した。
LC/MS: QC_3_MIN: m/z 147 [M-tBu+H]+、m/z 427 [2M+Na]+
【0256】
(中間体33)
(tert-ブチル N-[(1S)-1-[[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]カルバモイル]プロピル]カルバメート)
【化49】
中間体9の合成に使用した「経路1」の方法によって、tert-ブチル N-[(1R)-1-カルバモイルプロピル]カルバメート(中間体7)の代わりにtert-ブチル N-[(1S)-1-カルバモイルプロピル]カルバメート(中間体32)を用いて、表題化合物を合成した。
LC/MS: QC_3_MIN: Rt=2.65分; m/z 455 [M+H]+。
【0257】
(中間体34)
((2S)-2-アミノ-N-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]ブタンアミド)
【化50】
中間体13の合成に使用したものと同じ方法によって、tert-ブチル N-[(1R)-1-[[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]カルバモイル]プロピル]カルバメート(中間体9)の代わりにtert-ブチル N-[(1S)-1-[[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]カルバモイル]プロピル]カルバメート(中間体33)を用いて、表題化合物を合成した。
LC/MS: QC_3_MIN: Rt=1.98分; m/z 355 [M+H]+。
【0258】
(実施例1経路1)
(5,5-ジメチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン)
【化51】
N,N-ジメチルアセトアミド(1mL)中の2-ブロモ-5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシ-ピラジン(中間体1、30mg、0.069mmol)の溶液に、5,5-ジメチルイミダゾリジン-2,4-ジオン(44.4mg、0.345mmol)及び酸化銅(I)(5mg、0.035mmol)を添加した。フラスコに、窒素ガスを流し、1晩135℃で撹拌したままとした。反応を、EtOAc(10mL)で希釈し、先ず、塩化アンモニウムの飽和水溶液(20mL)で洗浄し、次いで、ブライン(20mL)で洗浄した。有機層を集め、硫酸ナトリウムで乾燥させ、乾固するまで蒸発させた。その後、残渣を、溶離液として80:20~40:60のシクロヘキサン:酢酸エチルを用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーを用いて精製して、5,5-ジメチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン(17mg)を白色固体として得た。
【化52】
【0259】
前述の方法を用いて、2-ブロモ-5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシ-ピラジン(中間体1)の代わりに適当なブロモピラジンで置き換え、かつ5,5-ジメチルイミダゾリジン-2,4-ジオンを適当なヒダントインを用いて、以下の化合物を調製した。最終生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカカートリッジ;シクロヘキサン/EtOAc又は他の適当な溶媒系)及び/又は逆相クロマトグラフィー(C-18カートリッジ;水/アセトニトリル又は他の適当な溶媒系)によって精製した。
【表7】
【0260】
(実施例1経路2)
(5,5-ジメチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン)
【化53】
アセトニトリル(1mL)中の3-(5-クロロピラジン-2-イル)-5,5-ジメチル-イミダゾリジン-2,4-ジオン(中間体5、20mg、0.083mmol)及び7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-オール(中間体156 WO2012076877、22mg、0.125mmol)の溶液に、炭酸カリウム(17.2mg、0.12mmol)を添加した。反応混合物を、1晩60℃で撹拌し、その後、3時間80℃で撹拌した。反応混合物を、真空下濃縮し、粗体を、カラムとしてSNAP 10g及び溶離液として80/20~20/80のCヘキサン/EtOAcを用いて、シリカゲル(BIOTAGE SYSTEM)でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。画分は、まだ純粋ではなく、これらを、カラムとしてSNAP C-18及び溶離液として95/5~5/95のH2O/ACNを用いて、逆相クロマトグラフィーによって精製して、5,5-ジメチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン(9.4mg)を白色固体として得た。
LC/MS: QC_3_MIN: Rt=2.224分; m/z 381 [M+H]+。
【0261】
前述の方法を用いて、7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-オールの代わりに適当なフェノールを用い、かつ3-(5-クロロピラジン-2-イル)-5,5-ジメチル-イミダゾリジン-2,4-ジオン(中間体5)を用いるか、又はそれの代わりに適当なクロロピラジン中間体を用いて、以下の化合物を調製した。最終生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカカートリッジ;シクロヘキサン/EtOAc又は他の適当な溶媒系)及び/又は逆相クロマトグラフィー(C-18カートリッジ;水/アセトニトリル又は他の適当な溶媒系)によって精製した。
【表8】
【0262】
(実施例9(経路1))
((5R)-5-エチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン)
【化54】
ジクロロメタン(2mL)中の(2R)-2-アミノ-N-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]ブタンアミド(中間体13、13mg、0.037mmol)及びN,N-ジエチルエタンアミン(11mg、0.11mmol)の混合物を、0℃に冷却した。ジクロロメタン(0.5mL)中の炭酸ビス(トリクロロメチル)(4,5mg、0.015mmol)の溶液を滴下し、反応混合物を1時間同温度で撹拌した。追加のジクロロメタン(0.5mL)中の炭酸ビス(トリクロロメチル)(1.5mg)を添加し、撹拌を30分間継続した。混合物を、室温まで昇温させた。反応混合物を、ジクロロメタン(20ml)で希釈し、有機相を、0.1N HCl水溶液(20ml)で洗浄し、その後、ブライン(20ml)で洗浄した。相を分離し、有機層を、Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、蒸発させた。残渣を、SNAP C-18カラムを用いて、90:10~0:100の水:アセトニトリルで溶出させて、逆相クロマトグラフィーによって精製した。適当な画分を合わせ、乾固するまで蒸発させて、(5R)-5-エチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン(7.5mg)を白色固体として得た。
LC/MS: QC_3_MIN: Rt=2.305分; m/z 381 [M+H]+。エナンチオマー純度は、キラル管理法を用いて>95%と確認された。
【0263】
(実施例9(経路2))
((5R)-5-エチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン)
【化55】
酢酸エチル(500mL)中の(2R)-2-アミノ-N-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]ブタンアミド(中間体13、21g、59.26mmol)の溶液に、1-1'-カルボニルジイミダゾール(10.57g、65.18mmol)を、各回約2gの5回で添加し、室温で4時間撹拌した。反応を、氷でクエンチし、0.2NのHCl水溶液(250ml)を添加した。2相を分離し、有機層を、0.2N HCl水溶液(250ml)及びブライン(200ml)で洗浄し、その後、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、乾固するまで蒸発させた。粗体を、各約4.2gの4つのアリコートに分割し、各アリコートを、カラムとしてSNAP(100G)及び溶離液として80/20~20/80のシクロヘキサン/酢酸エチルを用いて、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。各試行から得た所望の画分を集め、溶媒乾固するまで蒸発させた。得られた薄黄色固体を、シクロヘキサン/酢酸エチル(1/1、3体積)(90ml)の溶液中に懸濁させ、2時間50℃で撹拌した。その後、混合物を、室温まで放冷し、真空下濾過した。湿ったケーキを、氷冷シクロヘキサン(15ml)で洗浄し、固体を集め、乾燥して、表題化合物(5R)-5-エチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン(13.6g)を白色固体として得た。
【化56】
【0264】
前述の方法(経路1又は経路2のいずれか)を用いて、(2R)-2-アミノ-N-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]ブタンアミド(中間体13)の代わりに適当なブタンアミドを用いて、以下の化合物を調製した。最終生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカカートリッジ;シクロヘキサン/EtOAc又は他の適当な溶媒系)及び/又は逆相クロマトグラフィー(C-18カートリッジ;水/アセトニトリル又は他の適当な溶媒系)によって精製した。
【表9】
【0265】
(実施例15)
((5S)-5-エチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン)
【化57】
中間体9の合成に使用した「経路1」の方法によって、(2R)-2-アミノ-N-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]ブタンアミド(中間体13)の代わりに(2S)-2-アミノ-N-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]ブタンアミド(中間体34)を用いて、表題化合物を合成した。
LC/MS: QC_3_MIN: Rt=2.29分; m/z 381 [M+H]+。
【0266】
(生物学的実施例)
(生物学的実施例1:Kv3.1、Kv3.2、及びKv3.3チャネル調節の測定)
本発明の化合物の電位開口型カリウムチャネルサブタイプKv3.3/Kv3.2/Kv3.1を調節する能力は、以下のアッセイを利用して決定できる。類似の方法を利用して、本発明の化合物の他のチャネルサブタイプを調節する能力を調べることができる。
【0267】
(細胞生物学)
ヒトKv3.3チャネル(hKv3.3)に対する化合物の効果を評価するために、ヒトKv3.3チャネルを発現している安定な細胞系を、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)-K1細胞をpBacMire_KCNC-3ベクターにより形質移入して作製する。細胞を、10%ウシ胎児血清(Gibco)、1×非必須アミノ酸(Invitrogen社製)、及び400μg/mLのジェネティシン(G418)を追加したDMEM/F12(Gibco)中で培養した。空気中5%のCO2を含む加湿環境中37℃で、細胞を増殖及び維持する。
【0268】
ヒトKv3.2チャネル(hKv3.2)に対する化合物の効果を評価するために、ヒトKv3.2チャネル(hKv3.2)を発現している安定な細胞系を、CHO-K1細胞をpCIH5-hKv3.2ベクターにより形質移入して作製する。細胞を、10%ウシ胎児血清、1×非必須アミノ酸(Invitrogen社製)、及び500μg/mlのハイグロマイシン-B(Invitrogen社製)を追加したDMEM/F12培地中で培養する。空気中5%のCO2を含む加湿環境中37℃で、細胞を増殖及び維持する。
【0269】
ヒトKv3.1チャネル(hKv3.1)に対する化合物の効果を評価するために:ヒト胎児由来腎臓(HEK)-hKv3.1細胞系を、HEK-293細胞をヒトKv3.1(NM_004976.4)を有する発現ベクターで形質移入して作製する。細胞を、10%熱非働化FBS、2mM L-グルタミン、1%ペニシリン-ストレプトマイシン、及び0.6mg/mLのジェネティシン(G418)を追加したMEMを用いて培養する。HEK-hKv3.1b細胞を、T175cm2フラスコ内で、37℃、5% CO2で、G418選択用抗生物質(0.6mg/ml)を含有するMEM増殖培地を用いて増殖させた。細胞を、3~4日毎に、DPBSを用いて剥離させ、2回フラスコを洗浄し、その後、TrypLEを用いて該細胞を移動させて、2~4×106細胞/フラスコの密度で再度蒔いた。
【0270】
(IonWorks Quattro(商標)実験のための細胞調製)
実験当日に、細胞をインキュベーターから取り出し、培地を取り除く。細胞を、カルシウム及びマグネシウムを含まない5mlのDulbeccoのPBS(DPBS)により洗浄して、3mlのVersene(Invitrogen社製、イタリア)の添加により剥離させ、それに続いて37℃で5分間短時間のインキュベートをする。フラスコを軽くたたいて細胞を移動させ、カルシウム及びマグネシウムを含む10mlのDPBSを加えて、細胞懸濁液を調製する。次いで、細胞懸濁液を15mlの遠心分離管に入れ、1200rpmで2分間遠心分離する。遠心分離の後、上清を除き、細胞のペレットを5mlのピペットを使用してカルシウム及びマグネシウムを含む4mlのDPBSに再懸濁させ、ペレットを粉砕する。次いで、細胞懸濁液体積を補正して、アッセイのために1mlあたりおよそ300万個の細胞の細胞濃度を得る。
細胞に加える溶液は全て、事前に37℃に温める。
【0271】
(電気生理学)
(Ionworks)
実験を、室温で、PatchPlate(商標)PPCを用いたIonWorks Quattro(商標)平面アレイ電気生理学技術(Molecular Devices社製)を使用して実施する。刺激プロトコル及びデータ取得を、マイクロコンピューター(Dell Pentium 4)を使用して実施する。平面電極ホール抵抗(planar electrode hole resistance)(Rp)を、各ウェルの間に10mVの電圧ステップを印加して決定する。これらの測定を、細胞添加前に実施する。細胞添加及びシール形成の後、-80mVから-70mVの電圧ステップを160ms印加することにより、シール試験を実施する。この後、アムホテリシン-B溶液を、電極の細胞内面に加えて、細胞内へのアクセスを得る。細胞を-70mVに維持する。50msの過分極(10mV)プレパルスを印加してリーク電流を誘発し、それに続いて試験パルスの前に保持電位での20msの期間をおくことにより、リーク減算を全ての実験において実施する。
【0272】
hKv3.2及びhKv3.1アッセイでは、-70mVの保持電位から、-15mVでの第1の試験パルスを100ms印加し、-70mVで100msの後、+40mVでの第2のパルスを50ms印加した。次いで、細胞を-100mVで100ms維持し、-70mV~+40mVの別のパルス(期間50ms)を印加して、その後、電圧を-40mVに200msの間制限した。
【0273】
hKv3.3アッセイでは、-70mVの保持電位から、0mVへの第1の試験パルスを500ms印加し、-70mVでさらに100msの後、40mVへの第2のパルスを200ms印加する。これらのより長い試験パルスを用いて、hKv3.3チャネルの不活性化を試験する。試験パルスプロコトルは、被験化合物の非存在下(先読み取り)及び存在下(後読み取り)で実施できる。先読み取りと後読み取りとを、化合物の添加とそれに続く3分のインキュベーションにより分けることができる。
【0274】
(溶液及び薬物)
細胞内液は以下を含む(mM):グルコン酸カリウム100、KCl 54、MgCl2 3.2、HEPES 5、KOHによりpH 7.3に調整。アムホテリシン-B溶液を、50mg/mlのDMSO中のストック溶液として調製し、細胞内液で0.1mg/mlの最終使用濃度に希釈する。外液は、Dulbeccoのリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)であり、以下を含む(mM):CaCl2 0.90、KCl 2.67、KH2PO4 1.47、MgCl.6H2O 0.493、NaCl 136.9、Na3PO4 8.06、pHは7.4。
【0275】
本発明における使用の化合物(又はN-シクロヘキシル-N-[(7,8-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3-キノリニル)メチル]-N'-フェニルウレアなどの参考化合物)を、10mMのストック濃度でジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させる。これらの溶液を、Biomek FX(Beckman Coulter社製)を使用し384化合物プレート中でさらにDMSOで希釈する。各希釈液(1μL)を別の化合物プレートに移し、0.05%プルロン酸を含む外液(66μL)を加える。本発明の化合物が入った各プレートからの3.5μLを加え、IonWorks Quattro(商標)実験の間、細胞と共にインキュベートする。最終アッセイ希釈度は200であり、最終化合物濃度は50μM~50nMの範囲である。
【0276】
(データ解析)
化合物の非存在下でのシール抵抗(>20MΩ)とピーク電流振幅(>500pA、40mVの電圧ステップで)の両方を使用して記録を分析及びフィルター処理し、不適切な細胞をさらなる分析から除く。hKv3.2及びhKv3.1アッセイでは、-15mV電圧ステップで測定される薬物添加前と添加後の間の惹起された電流の一対比較を利用して、各化合物の正の調節効果を決定する。Kv3チャネルにより媒介される外向き電流を測定し、-15mV電圧パルスの最後の10msにわたる電流の平均強度から、-15mVステップの直前の10ms期間にわたる-70mVでの平均ベースライン電流を引いて決定する。次いで、被験化合物を加えた後のこれらのKv3チャネル電流を、化合物を加える前に記録される電流と比較する。データは、参考化合物(50μMのN-シクロヘキシル-N-[(7,8-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3-キノリニル)メチル]-N'-フェニルウレア)の最大効果及びビヒクル対照(0.5%DMSO)の効果に対して標準化される。標準化されたデータを、ActivityBase又はExcelソフトウェアを使って解析する。参考化合物により生み出される最大増加の50%まで電流を増やすのに要する化合物の濃度(EC50)を、ActivityBaseにおいて4パラメータロジスティック関数を利用して濃度-反応データのフィッティングにより決定する。hKv3.3アッセイでは、薬物添加前と添加後の間の惹起された電流の一対比較を、ピーク電流及び0mv試験パルスの期間(500ms)にわたる電流の減衰(不活性化)を考慮して0mVステップで測定する。
【0277】
N-シクロヘキシル-N-[(7,8-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3-キノリニル)メチル]-N'-フェニルウレアは、ASINEX社から入手される(登録番号:552311-06-5)。
【表10】
【0278】
RE1~RE4の試験によって示されるように、ピラジン環の組み入れは、Kv3.1モジュレーターのpEC50及びmaxRに対して不利益な影響を与える可能性がある。
【表11】
+n=10。n=18の場合は、pEC50は、5.56であり、maxR%は、152であった。
【0279】
実施例1と比較したRE5~RE9の試験によって示されるように、実施例1におけるパラ-ピラジン環の組み入れは、予想に反して、Kv3.1アッセイにおいて高いpEC50及び高いmaxRをもたらす。RE10は、中央のメタ-ピラジン環が、実施例1のパラ-ピラジンと比較してpEC50及びmaxRを大幅に減少させていることを示す。
【表12】
+n=10。n=18の場合には、pEC50は、5.56であり、maxR%は、152であった。
*n=4。n=22の場合には、pEC50は、5.90であり、maxR%は、146であった。
$n=2。n=26の場合には、pEC50は、5.63であり、maxR%は、147であった。
【表13】
【表14】
【0280】
試験された式(I)の化合物の実施例は全て、上に示されており、Kv3.1アッセイにおいて良好なpEC50及びmaxRの性質を示す。対照化合物についてのKv3.1データの以前の開示は、測定回数が少ないために僅かに異なることがある。
【0281】
記載されるhKv3.1、hKv3.2、及びhKv3.3アッセイからのデータの二次分析を利用して、脱分極電圧パルスの開始からの電流の立ち上がり速度に対する化合物の効果を調査できる。化合物の効果の大きさは、-15mVの脱分極電圧パルスの開始後のKv3.1、Kv3.2、及びKv3.3電流の立ち上がりの、以下に示す式を利用する非線形フィットから得られる時定数(Tauact)から決定できる。
Y=(Y0-Ymax)*exp(-K*X)+Ymax
(式中、
Y0は、脱分極電圧パルスの開始時の電流値であり;
Ymaxはプラトー電流であり;
Kは速度定数であり、かつTauactは、活性化時定数であり、Kの逆数である)。
【0282】
同様に、-15mV脱分極電圧パルスの終了時のチャネルの閉口時にKv3.1、Kv3.2、又はKv3.3電流が減衰するのにかかる時間に対する化合物の効果も調査できる。この後者の場合、チャネル閉口に対する化合物の効果の大きさは、脱分極電圧パルスの終了直後の、電流の減衰(「テール電流」)の非線形フィットの時定数(Taudeact)から決定できる。
【0283】
Kv3.1、Kv3.2、及びKv3.3チャネルは、ニューロンが高頻度で活動電位を発火することができるように、非常に速やかに活性化及び不活性化しなければならない(Rudyらの文献2001)。活性化の緩徐化は、活動電位再分極の始まりを遅らせそうである。不活性化の緩徐化は、ニューロンの興奮性を低下させニューロンがさらなる活動電位を発火できるまでの時間を遅らせる過分極電流を生みだす可能性がある。チャネル活性化及び不活性化に対するこれら2つの緩徐化の効果を合わせると、高頻度で発火するニューロンの能力の促進よりはむしろ低下をもたらすようである。そのため、Kv3.1及び/又はKv3.2及び/又はKv3.3チャネルに対するこの緩徐化効果を有する化合物は、ニューロン発火の緩徐化につながる、該チャネルの負のモジュレーターとして効果的に振る舞うであろう。この後者の効果は、WO2011/069951に開示された化合物のいくつかで示されているが、その場合、インビトロで電気生理学的技術を利用する、ラットの脳の皮質における「高速発火」介在ニューロンから作られた記録からTauactの顕著な増加が観察され得る。関連化合物の添加は、300Hzの脱分極パルスのトレインに反応してニューロンが発火する能力を低下させる。
【0284】
したがって、特定の化合物は、リコンビナント細胞アッセイにおいて正のモジュレーターとして作用すると確認され得るが、Tauactの値を著しく増加させるこれらの化合物は、ネイティブ組織のニューロンが高頻度で発火する能力を低下させることができる。
【0285】
(生物学的実施例2:血液及び脳組織結合の決定)
(材料及び方法)
抗凝固剤としてK3-EDTAを用いて実験の週に採取されたSprague Dawleyラット全血を、等張リン酸バッファー1:1(v/v)で希釈する。-20℃で凍結して保管したSprague Dawleyラット全脳を解凍して、人工脳脊髄液(CSF)1:2(w/v)にホモジナイズする。
【0286】
適当な量の試験化合物を、DMSOに溶解させ、10ミリモル溶液を得る。その後、166.7マイクロモル作業溶液を得るために、さらなる希釈物を、MilliQ水中50%のアセトニトリルを用いて調製する。本作業溶液を使用して、血液をスパイクし、全血中に0.5マイクロモルの終濃度を得る。同様に、作業溶液を使用して、脳試料をスパイクし、全脳中に5マイクロモルの終濃度を得る。これらのスパイクした血液及び脳調製物から、対照試料(n=3)を直ちに抽出し、被験物質の初期回収率を算出するのに用いる。
【0287】
2つのハーフウェルを半透膜で分離した状態で、150μLの化合物不含バッファー(血液の場合は等張リン酸バッファー又は脳の場合人工CSFバッファー)を、一方のハーフウェルに入れ、150μLのスパイクしたマトリックス(血液又は脳)を、他方のハーフウェルに充填する。37℃で5時間の平衡化期間の後に、50μLの透析したマトリックス(血液又は脳)を、50μLの対応する化合物不含バッファーに添加し、かつバッファーに対しても、マトリックス(血液又は脳)に対するバッファーの体積が同じとなるように、逆の操作を行う。その後、試料を、ロリプラム(正のイオン化モード用の対照)又はジクロフェナク(負のイオン化モード用の対照)を内部標準として含有する300μLのアセトニトリルを用いるタンパク質析出によって抽出して、3000rpmで10分間遠心分離する。上清を採取し(100μL)、MilliQ水中27%のAcN(200μL)で希釈し、その後、HPLC-MS/MS又はUPLC-MS/MSシステム内に注入して、存在する試験化合物の濃度を決定する。
【0288】
(分析)
その後、血液及び脳組織結合を、以下の式を用いて決定する:
Afu=バッファー/血液、又はAfu=CSF/脳
(式中、Afu=見かけの非結合画分;バッファー=バッファー区画で決定された分析物/内部標準の比率;血液=血液区画で決定された分析物/内部標準の比率;脳=脳区画で決定された分析物/内部標準の比率である)
【数1】
(式中:fucr=補正された非結合画分;D=マトリックス希釈係数(血液ではD=2、脳ではD=3)である)。
従って:
%結合率=(1-fucr)×100
%非結合率=100-%結合率。
【0289】
(脳/血液分配比(Kbb)決定)
血液/脳関門(BBB)を自由に通過可能な化合物については、血液及び脳内での非結合濃度は、定常状態分布条件下では等価であろう。したがって、Kbb値は:
Fu(血液)/Fu(脳)
として計算でき、これは、排出ポンプ輸送体が関与しないとすれば、脳中濃度対血中濃度比(Ct(脳)/Ct(血液))と等価であると期待される。
【0290】
(結果)
実施例1、9、及び10、並びに特定の対照化合物を上述の方法で試験し、非結合脳分率を決定した。結果は、以下の通りであった:
【表15】
*水中18%のAcNで希釈した上清
【0291】
本発明のピラジン化合物は、それらのピリジン対照化合物と比較して増加した非結合脳分率を示した。
【0292】
(生物学的実施例3:インビボでの薬物動態学的パラメーターの決定)
(材料及び方法)
成体雄性ラット(Charles River社、イタリア)に、試験化合物を、1mg/kg(5ml/kg、水中5%v/vのDMSO、0.5%w/vのHPMC中)で経口投与、及び0.5mg/kg(2ml/kg、生理食塩水中5%v/vのDMSO、40%w/vのPEG400中)で静脈内投与する。経口投与の後に、血液試料を、深いイソフルオラン麻酔下、各ラット(1時点あたりラット1頭)の門脈及び心臓から採取する。静脈内投与の後に、連続的な血液試料を、各ラットの外側尾静脈から採取する。ラットのさらなる群(試験化合物1種あたりn=1)は、上記したような1mg/kgでの試験化合物の経口投与のすぐ前に、PgP輸送阻害剤であるエラクリダール(3mg/kg)の単回の静脈内投与を受ける。血液及び脳試料を、これらの動物への投与の0.5時間後である単一の時点に採取する。全ての場合において、血液試料は、カリウムEDTAチューブ内に採取される。
【0293】
血液及び脳試料を、アセトニトリルを用いるタンパク質析出に基づく方法、及びそれに続く最適化された分析法でのHPLC/MS-MS分析を用いて、試験化合物の濃度についてアッセイすることができる。
【0294】
(解析)
経口又は静脈内いずれかでの投与後の種々の時点での血液中(ng/mlとして表す)及び脳内(ng/gとして表す)の試験化合物の濃度を、WinNonLin Professionalバージョン4.1を用いる非コンパートメント薬物動態モデルを用いて解析する。以下のパラメーターが得られる:
【0295】
静脈内投与:経時的最高濃度(Cmax)、経時的積分濃度(AUC)、クリアランス(Clb)、分布容積(Vss)、及び半減期(t1/2)。
【0296】
経口投与:Cmax、最高濃度の時間(Tmax)、AUC、バイオアベイラビリティ(F%)、吸収された画分(Fa%)、血液対脳比(AUC BB)、及びエラクリダールの存在下でのAUC BBの倍数変化。
【0297】
本発明の化合物は、脳組織における良好なアベイラビリティを示すことが期待され得る。
【0298】
(生物学的実施例4: ヒト肝細胞におけるインビトロ代謝安定性試験)
(方法)
本試験の目的は、性別混合型ヒト凍結保存肝細胞における代謝安定性を決定することであった。テストステロン及び7-ヒドロキシクマリンを、それぞれ、第I相及び第II相代謝の陽性対照として使用した。
【0299】
インキュベーション培地を、ウィリアム培地E、HEPESバッファー1M、及びL-グルタミン200mMを、それぞれ以下の比率:88%、10%、及び2%(それぞれ、440mL、50mL、及び10mL)で合わせることによって調製した。得られた培地を、使用前にカルボゲン(5% CO2、95% O2)で30分間バブリングした。凍結保存肝細胞を解凍し、37℃であらかじめ温めておいたインキュベーション培地中に懸濁させた。細胞を遠心分離し、培地中に再懸濁させ、血球計数器(Burker’s chamber)を用いて計数した。細胞生存率を、トリパンブルー排除試験を用いて測定した。
【0300】
試験化合物を、DMF中に別々に溶解させ、50mMのストック溶液を得た。これらを、水/アセトニトリル50/50(v/v)中にさらに希釈し、対応する50uM作業溶液を得た。50mMのテストステロン溶液及び5mMの7-ヒドロキシ-クマリン溶液を得るために、テストステロン及び7-ヒドロキシ-クマリンを、DMF中に溶解させた。次いで、1mMのテストステロン作業溶液及び500uMの7-ヒドロキシ-クマリン作業溶液を得るため、これらの溶液を、インキュベーション培地中に希釈した。
【0301】
0.5uM、10uM、及び5uMの終濃度をそれぞれ得るために、各作業溶液、すなわち50uMの試験化合物、1mMのテストステロン及び500uMの7-ヒドロキシ-クマリンを10uL、990uLの0.5×106細胞懸濁液に添加した。各インキュベーションにおける有機溶媒の濃度は、一定かつ<1%(v/v)であった。
【0302】
試験化合物を、別々に、0.5uMで、0、5、10、15、20、30、45、60、90、120、150、及び180分間(12の時点)37℃で24ウェルプレート中で性別混合型ヒト凍結保存肝細胞とともにインキュベートした。各時点において、ロボット処理プロセッサーは、各ウェルから50uLのインキュベーション混合物を吸引し、それを、対応する内部標準150ng/mLと共に100uLのアセトニトリルが入った冷蔵された96ウェルプレート内に分注して、反応を停止させた。次いで、一定分量の水(120uL)を添加して、有機溶媒含量を37%に平衡化させた。試料は、LC MS/MS分析前に遠心分離(約3500gで10分間)された。
【0303】
陽性対照であるテストステロン及び7-ヒドロキシ-クマリンを、単回(n=1)で、それぞれ10及び5uMで、0、5、10、15、20、30、45、60、90、120、150、及び180分間(12の時点)、性別混合型ヒト凍結保存肝細胞と共に被験物質に対して上で報告したものと同じ条件でインキュベートして、肝細胞系における第I相及び第II相代謝を示した。各時点において、ロボット処理プロセッサーは、各ウェルから50uLのインキュベーション混合物を吸引し、内部標準としてのロリプラムと共に100uLのアセトニトリルが入った冷蔵された96ウェルプレート内にそれを分注し、反応を停止させた。次いで、一定分量の水(120uL)を添加して、有機溶媒含量を37%で平衡化させた。試料は、LC MS/MS分析前に遠心分離(約3500gで10分間)された。
【0304】
代謝安定性を、対時間で、残存試験化合物の内部標準とのピーク面積比から計算した。
【0305】
固有クリアランス(CLint)を、インキュベーションの実際の体積V(mL)、インキュベーションにおける肝細胞の量M(百万細胞)、及び肝臓のgあたりの肝細胞数(hepatocellularity number)Hn(ヒトの場合120)を用いて、一次の除去定数k(分
-1)(対時間で、残存被験物質の内部標準とのピーク面積比の自然対数をプロットすることによってGraphPadから得られる)から決定した。
【数2】
【0306】
CLintの値は、ml/分/g肝臓として表された。
【表16】
【0307】
実施例9及び10は、ピリジン対照化合物RE11及びRE13と比較して低いクリアランスを示した。
【0308】
(生物学的実施例5: エームズ試験)
(方法)
このインビトロ試験の目的は、サルモネラ・チフィリウム(Salmonella typhimurium)(TA1535、TA1537、TA98、及びTA100)並びに大腸菌(Escherichia coli) WP2 uvrA (pKM101)の細菌株においてインビトロで遺伝子変異を誘導する被験物質の可能性を評価することであった。試験方法は、細菌の変異原性試験のために確立された手順に基づくものであった。また、アッセイは、外来性の哺乳動物酸化的代謝系(S9-mix)の存在下及び非存在下で行われた。
【0309】
この試験は、国内及び国際ガイドラインに従って設計され、新規薬物の毒性試験のための規制当局の要件を満たしていた。この試験の設計は、以下の試験ガイドラインに合致している:
・医薬品のヒト臨床試験の運営及び製造販売承認のための非臨床安全性試験に関するICHガイドラインM3(R2)(CPMP/ICH/286/95、2009年6月)。
・ヒトへの使用が意図される医薬品の遺伝毒性試験及びデータ解釈についてのICHトピックS2(R1)ガイダンス。2012年6月。
【0310】
【0311】
菌株TA1535、TA100、及びWP2 uvrA pKM101は、塩基置換変異を検出する。菌株TA1537及びTA98は、フレームシフト変異を検出する。
【0312】
細菌接種材料を用いて、10mlの栄養ブロス(NB2、プラスミドコピー数を維持するために、pKM101プラスミドを含有する菌株であるS.チフィリウム菌株TA98及びTA100並びに大腸菌WP2 uvrA(pKM101)の場合にはアンピシリンを含有)中に新鮮な培養液を調製した。細菌を、振盪インキュベーター内で37±2℃で10~12時間培養して、1~2×109細胞/mLを得た。
【0313】
細菌懸濁液を、上層寒天(栄養素要求性に必要とされる微量のアミノ酸を含有)に、100uLの体積で添加した。
【0314】
(哺乳動物の酸化的代謝系)
Molecular Toxicology Incorporated, USA (MolTox(商標)のフェノバルビタール、5 6ベンゾフラボン誘導性ラット肝臓ミトコンドリア後画分(S9)を、外来性の酸化的代謝系として使用した。約-80℃で凍結されたアリコートとして保管されたS9画分のバッチを、使用直前に解凍した。S9混合物を、リン酸バッファーpH 7.4中にNADP(3.15mg/mL)、グルコース-6-リン酸(1.5mg/mL)、並びにMgCl2(81.3mg/mL)及びKCl(123mg/mL)を含有する2%v/vの生理食塩水溶液を含むNADPH発生系へのS9(10% v/v) の添加によって調製した。S9混合物の存在下での処置には、S9混合物を、500uL/プレートの最終体積で用いた。S9混合物の非存在下での処置には、S9混合物の代わりに等体積の無菌リン酸バッファーpH 7.4を添加した。
【0315】
(陽性対照製剤)
以下の陽性対照(Trinova Biochem GmbH, Giessen, Germany及びSigma Aldrich, Milano, Italyを通じてMolTox(商標)によって供給)を用いて、以下のように製剤化した:
【表18】
陽性対照は、凍結された(約-20℃)ストック溶液から調製され、使用の間周囲温度で保管された。
【0316】
(被験物質)
試験は、S9混合物の非存在下及び存在下で処置を受ける、ビヒクル(DMSO)対照用の4枚の複製プレート並びに被験物質及び陽性対照用の2枚の複製プレートからなっていた。5ug/プレートから5000ug/プレートまでのさまざまな被験物質濃度を、以下のように試験した:
【表19】
ビヒクル、被験物質、及び陽性対照製剤を、100 uL/プレートの体積でプレートに添加した。
【0317】
(プレート処置及びインキュベーション)
上層寒天に、微量のヒスチジン及びビオチン又はトリプトファンを追加し、分割し(2ml/プレート)、46±2℃で維持した。適当な細菌懸濁液を、2mlの上層寒天に添加し、それに続き、被験物質又はビヒクル/陽性対照溶液、及び無菌のリン酸バッファーpH 7.4又はS9混合物を添加した。この最終処置混合物を、最少寒天プレート(Vogel Bonnerプレート)の上に注ぎ、暗所で約64時間37±2℃でインキュベートした。
【0318】
(プレート採点及び分析)
インキュベーション期間の最後に、プレートを、被験物質の析出に関して(目視での検査によって)評価した。プレートを、コロニー計数器ProtoCOL3 Synbiosisを用いて細菌コロニー形成に関して電子的に採点した。被験物質の析出が生じた場合には、各菌株についての細菌コロニー計数を手動で行い、手動の採点を妨害しない最低処置濃度で終了とした。
【0319】
採点に続けて、毒性の兆候(すなわち、バックグラウンド菌叢の増殖低下/減少、ピン・ドット/偽復帰変異体コロニー(pin dot/pseudorevertant colonies)の存在、及び/又はコロニー数の減少)に関してプレートを検査した。
【0320】
いずれかの処置濃度のデータが、用量関連反応に関連して、TA98、TA100、及びWP2 uvrA (pKM101)については同時のビヒクル対照値の2倍以上、TA1535及びTA1537については同時のビヒクル対照値の3倍以上の反応を示す場合、該結果は、陽性とみなされるべきである。これらの基準を部分的にのみ満たしている結果、又はいずれかの菌株のデータが、用量関連反応を示すものの、詳述したような2倍又は3倍の閾値を超えない場合は、不確かであるとみなされる。
【0321】
以下の承認基準:
1.試験される最高濃度は、5000ug/プレートとするか、ビヒクル中での試験品の溶解度に制限されるべきである;
2.試験品の溶解度が、制限因子となる場合、プレート採点に選択される最高濃度は、インキュベーション期間の終了時に処置プレート上に試験品の析出が認められかつ、採点を妨害しない最低の濃度となるであろう
を、適用した。
【0322】
毒性が制限因子である場合、遺伝子変異に関して評価可能な最高濃度は、プレート採点の期間内で有意な細菌毒性の兆候が認められる最低の濃度となるであろう。
(結果)
【表20】
【0323】
ある条件下での分解物であることが示されているRE6/RE11に関連するアニリンは、変異原性を示すことが分かった。この知見は、RE6/RE11の将来の開発におけるリスクを示し、また、関連するアニリンを生成するであろう化合物(例えば、(5R)-5-エチル-3-(6-スピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イルオキシ-3-ピリジル)イミダゾリジン-2,4-ジオン、すなわちRE13)に関するリスクも示す。関連するアニリンに基づいて区別され得る化合物は、有利である。
【0324】
実施例1、9、及び10に関するアニリンは、非変異原性であり、これは、関連するアニリンを生成するであろう本発明の他の化合物に当てはまることが期待し得る。
【0325】
(追加の動物モデル)
特許出願第WO2011/069951号、第WO2012/076877号、第WO2012/168710号、第WO2013/083994号、第WO2013/175215号、及び第WO2013/182851号(化合物の可能性のある有用性を説明し、化合物の試験のための動物モデルを提供する目的のために全てが引用により組み込まれる)は、発作、活動亢進、睡眠障害、精神障害、聴覚障害、及び双極性障害の動物モデルにおいてKv3.1及びKv3.2のモジュレーターである化合物の活性を実証している。
【0326】
特許出願第WO2013/175211号(化合物の可能性のある有用性を説明し、化合物の試験のための動物モデルを提供する目的のために引用により組み込まれる)は、チンチラでの急性騒音性聴覚消失のモデルにおいてKv3.1及びKv3.2のモジュレーターである化合物のエフィカシーを実証し、また、中枢性聴覚処理欠損のモデル及び耳鳴のモデルにおいて該化合物のエフィカシーを評価している。
【0327】
Glaitらの文献2018、Andersonらの文献2018、及びChamberらの文献2018は、聴覚関連モデルにおいてKv3.1及びKv3.2のモジュレーターのエフィカシーを実証している。
【0328】
特許出願第WO2017/098254号(化合物の可能性のある有用性を説明し、化合物の試験のための動物モデルを提供する目的のために引用により組み込まれる)は、神経障害性疼痛及び炎症性疼痛のモデルにおいてKv3.1及びKv3.2のモジュレーターである化合物のエフィカシーを実証している。
【0329】
明細書及び下記の特許請求の範囲全体で、文脈から別の意味が要求されない限り、「含む(comprise)」という言葉並びに「含む(comprises)」及び「含んでいる(comprising)」などの変形体は、述べられた整数、工程、整数の群、又は工程の群の包含を意味するが、他の整数、工程、整数の群、又は工程の群を排除しないと理解されるであろう。
【0330】
本明細書及び特許請求の範囲がその一部をなしている本出願は、後願に関する優先権の基礎として使用され得る。そのような後願の特許請求の範囲は、本明細書に記載の任意の特徴又は特徴の組み合わせを対象とすることがある。それらは、製品、組成物、プロセス、又は使用クレームの形態をとることがあり、例として、非限定的に、下記の特許請求の範囲を含み得る。
【0331】
(本発明の条項:)
(条項1)
式(I):
【化58】
(式中:
R
1は、H又はメチルであり;
R
2及びR
3は双方ともメチルであるか、又はR
2及びR
3は、それらが結合している炭素原子と一緒になった、スピロシクロプロピル環であり;
R
4は、メチルもしくはエチルであり;
R
5は、Hもしくはメチルであり;
又はR
4及びR
5は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C
3-C
4スピロカルボシクリルを形成する)
の化合物、又はそれらの塩及び/もしくは溶媒和物及び/もしくは誘導体。
(条項2)
R
1が、Hである、条項1記載の化合物。
(条項3)
R
1が、メチルである、条項1記載の化合物。
(条項4)
R
2及びR
3が、スピロシクロプロピル環である、条項1~3のいずれか1項記載の化合物。
(条項5)
R
2が、メチルであり、かつR
3が、メチルである、条項1~3のいずれか1項記載の化合物。
(条項6)
R
4が、メチルである、条項1~5のいずれか1項記載の化合物。
(条項7)
R
4が、エチルである、条項1~5のいずれか1項記載の化合物。
(条項8)
R
5が、Hである、条項1~7のいずれか1項記載の化合物。
(条項9)
R
5が、メチルである、条項1~7のいずれか1項記載の化合物。
(条項10)
R
4及びR
5が、異なる場合、それらが、以下の立体化学配置:
を有する、条項1~9のいずれか1項記載の化合物。
【化59】
(条項11)
R
4及びR
5が、異なる場合、それらが、以下の立体化学配置:
を有する、条項1~9のいずれか1項記載の化合物。
【化60】
(条項12)
R
4及びR
5が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、スピロシクロプロピルを形成する、条項1~5のいずれか1項記載の化合物。
(条項13)
R
4及びR
5が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、スピロシクロブチルを形成する、条項1~5のいずれか1項記載の化合物。
(条項14)
以下:
5,5-ジメチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン;
3-[5-[(3,3-ジメチル-2H-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]ピラジン-2-イル]-5,5-ジメチル-イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(5R)-5-エチル-5-メチル-3-(5-スピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イルオキシピラジン-2-イル)イミダゾリジン-2,4-ジオン;
5,5-ジメチル-3-(5-スピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イルオキシピラジン-2-イル)イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(5R)-5-エチル-5-メチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(5R)-3-[5-[(3,3-ジメチル-2H-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]ピラジン-2-イル]-5-エチル-5-メチル-イミダゾリジン-2,4-ジオン;
5,5-ジメチル-3-[5-[(3,3,7-トリメチル-2H-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]ピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(5R)-5-エチル-5-メチル-3-[5-[(3,3,7-トリメチル-2H-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]ピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(5R)-5-エチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(5R)-5-エチル-3-(5-スピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イルオキシピラジン-2-イル)イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(5R)-3-[5-[(3,3-ジメチル-2H-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]ピラジン-2-イル]-5-エチル-イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(5R)-5-エチル-3-[5-[(3,3,7-トリメチル-2H-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]ピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン;
7-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタン-6,8-ジオン;
6-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]-4,6-ジアザスピロ[2.4]ヘプタン-5,7-ジオン;
(5S)-5-エチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン;
からなる群から選択される、条項1記載の化合物、又はそれらの塩及び/もしくは溶媒和物、並びに/又はそれらの誘導体。
(条項15)
5,5-ジメチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオンである、条項1記載の化合物。
(条項16)
3-[5-[(3,3-ジメチル-2H-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]ピラジン-2-イル]-5,5-ジメチル-イミダゾリジン-2,4-ジオンである、条項1記載の化合物。
(条項17)
(5R)-5-エチル-5-メチル-3-(5-スピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イルオキシピラジン-2-イル)イミダゾリジン-2,4-ジオンである、条項1記載の化合物。
(条項18)
5,5-ジメチル-3-(5-スピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イルオキシピラジン-2-イル)イミダゾリジン-2,4-ジオンである、条項1記載の化合物。
(条項19)
(5R)-5-エチル-5-メチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオンである、条項1記載の化合物。
(条項20)
(5R)-3-[5-[(3,3-ジメチル-2H-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]ピラジン-2-イル]-5-エチル-5-メチル-イミダゾリジン-2,4-ジオンである、条項1記載の化合物。
(条項21)
5,5-ジメチル-3-[5-[(3,3,7-トリメチル-2H-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]ピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオンである、条項1記載の化合物。
(条項22)
(5R)-5-エチル-5-メチル-3-[5-[(3,3,7-トリメチル-2H-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]ピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオンである、条項1記載の化合物。
(条項23)
(5R)-5-エチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオンである、条項1記載の化合物。
(条項24)
(5R)-5-エチル-3-(5-スピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イルオキシピラジン-2-イル)イミダゾリジン-2,4-ジオンである、条項1記載の化合物。
(条項25)
(5R)-3-[5-[(3,3-ジメチル-2H-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]ピラジン-2-イル]-5-エチル-イミダゾリジン-2,4-ジオンである、条項1記載の化合物。
(条項26)
(5R)-5-エチル-3-[5-[(3,3,7-トリメチル-2H-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]ピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオンである、条項1記載の化合物。
(条項27)
7-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタン-6,8-ジオンである、条項1記載の化合物。
(条項28)
6-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]-4,6-ジアザスピロ[2.4]ヘプタン-5,7-ジオンである、条項1記載の化合物。
(条項29)
(5S)-5-エチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオンである、条項1記載の化合物。
(条項30)
条項1~29のいずれか1項記載の式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物。
(条項31)
医薬品としての使用のための、条項1~30のいずれか1項記載の化合物。
(条項32)
聴覚障害、統合失調症、うつ状態及び気分障害、双極性障害、物質乱用障害、不安障害、睡眠障害、聴覚過敏及び音量感覚障害、メニエール病、平衡障害、及び内耳の障害、衝動制御障害、パーソナリティ障害、注意欠陥多動性障害、自閉症スペクトラム障害、摂食障害、認知障害、失調症、疼痛(神経障害性疼痛、炎症性疼痛、及び種々の疼痛など)、レビー小体型認知症、並びにパーキンソン病からなる群から選択される疾患又は障害の予防又は治療における使用のための、条項31記載の化合物。
(条項33)
統合失調症の予防又は治療における使用のための、条項31記載の化合物。
(条項34)
聴覚障害の予防又は治療における使用のための、条項31記載の化合物。
(条項35)
疼痛の予防又は治療における使用のための、条項31記載の化合物。
(条項36)
脆弱X
症候群の治療における使用のための、条項31記載の化合物。
(条項37)
聴覚障害、統合失調症、うつ状態及び気分障害、双極性障害、物質乱用障害、不安障害、睡眠障害、聴覚過敏及び音量感覚障害、メニエール病、平衡障害、及び内耳の障害、衝動制御障害、パーソナリティ障害、注意欠陥多動性障害、自閉症スペクトラム障害、摂食障害、認知障害、失調症、疼痛(神経障害性疼痛、炎症性疼痛、及び種々の疼痛など)、レビー小体型認知症、並びにパーキンソン病からなる群から選択される疾患又は障害の予防又は治療のための方法であって、それを必要としている対象に、有効量の条項1~30のいずれか1項記載の化合物を投与することを含む、前記方法。
(条項38)
統合失調症の予防又は治療のための方法であって、それを必要としている対象に、条項1~30のいずれか1項記載の化合物を投与することを含む、前記方法。
(条項39)
聴覚障害の予防又は治療のための方法であって、それを必要としている対象に、条項1~30のいずれか1項記載の化合物を投与することを含む、前記方法。
(条項40)
疼痛の予防又は治療のための方法であって、それを必要としている対象に、条項1~30のいずれか1項記載の化合物を投与することを含む、前記方法。
(条項41)
脆弱X
症候群の治療のための方法であって、それを必要としている対象に、条項1~30のいずれか1項記載の化合物を投与することを含む、前記方法。
(条項42)
聴覚障害、統合失調症、うつ状態及び気分障害、双極性障害、物質乱用障害、不安障害、睡眠障害、聴覚過敏及び音量感覚障害、メニエール病、平衡障害、及び内耳の障害、衝動制御障害、パーソナリティ障害、注意欠陥多動性障害、自閉症スペクトラム障害、摂食障害、認知障害、失調症、疼痛(神経障害性疼痛、炎症性疼痛、及び種々の疼痛など)、レビー小体型認知症、並びにパーキンソン病からなる群から選択される疾患又は障害の予防又は治療のための医薬品の生産における、条項1~30のいずれか1項記載の化合物の使用。
(条項43)
統合失調症の予防又は治療のための医薬品の生産における、条項1~30のいずれか1項記載の化合物の使用。
(条項44)
聴覚障害の予防又は治療のための医薬品の生産における、条項1~30のいずれか1項記載の化合物の使用。
(条項45)
疼痛の予防又は治療のための医薬品の生産における、条項1~30のいずれか1項記載の化合物の使用。
(条項46)
脆弱X
症候群の治療のための医薬品の生産における、条項1~30のいずれか1項記載の化合物の使用。
(条項47)
条項1~30のいずれか1項記載の化合物、及び医薬として許容し得る担体又は賦形剤を含む医薬組成物。
(条項48)
さらなる医薬として許容し得る有効成分との組み合わせでの使用のための、条項1~30のいずれか1項記載の化合物。
(条項49)
式(II)又は(XVI):
【化61】
(式中、R
1、R
2、及びR
3は、条項1で定義されるとおりであり、Xは、ハロ(Brなど)である)
の化合物。
(条項50)
式(XVI):
【化62】
(式中、R
1、R
2、及びR
3は、条項1で定義されるとおりである)
の化合物。
(条項51)
式(IV):
【化63】
(式中、R
4及びR
5は、条項1で定義されるとおりであり、Yは、ハロ(Clなど)である)
の化合物。
(条項52)
ヒダントインの二級窒素を介してか、又はトリアゾロンの二級窒素を介して、基Lで官能基化されており、Lが、以下:
a)-PO(OH)O
-・M
+(式中、M
+は、医薬として許容し得る一価の対イオンである)、
b)-PO(O
-)
2・2M
+、
c)-PO(O
-)
2・D
2+(式中、D
2+は、医薬として許容し得る二価の対イオンである)、
d)-CH(R
X)-PO(OH)O
-・M
+(式中、R
Xは、水素又はC
1-3アルキルである)、
e)-CH(R
X)-PO(O
-)
2・2M
+、
f)-CH(R
X)-PO(O
-)
2・D
2+、
g)-SO
3
-・M
+、
h)-CH(R
X)-SO
3
-・M
+、及び
i)-CO-CH
2CH
2-CO
2・M
+
からなる基から選択される、条項1~30のいずれか1項記載の式(I)の化合物の誘導体、又はそれらの塩及び/もしくは溶媒和物。
(条項53)
天然同位体形態である、条項1~36のいずれか1項記載の化合物。
(条項54)
経口投与のための、条項1~48、52又は53のいずれか1項記載の化合物、方法、使用、組成物、又は誘導体。
(条項55)
1日あたり2~400mg、例えば、1日あたり2~300mg、特に、1日あたり5~250mgでの投与のための、条項1~48又は52~54のいずれか1項記載の化合物、方法、使用、組成物、又は誘導体。
(条項56)
1日あたり1回又は2回の投与のための、条項1~48又は52~55のいずれか1項記載の化合物、方法、使用、組成物、又は誘導体。
(条項57)
1日あたり1回の投与のための、条項56記載の化合物。
(条項58)
1日あたり2回の投与のための、条項56記載の化合物。
(条項59)
少なくとも3ヶ月の期間の投与のための、条項1~48又は52~58のいずれか1項記載の化合物、方法、使用、組成物、又は誘導体。
(条項60)
ヒト対象への投与のための、条項1~48又は52~58のいずれか1項記載の化合物、方法、使用、組成物、又は誘導体。
(条項61)
ヒト成人、例えば、18~65歳のヒト成人などへの投与のための、条項60記載の化合物、方法、使用、組成物、又は誘導体。
(条項62)
66歳以上の年齢のヒトへの投与のための、条項60記載の化合物、方法、使用、組成物、又は誘導体。
(条項63)
4歳~17歳などの18歳未満の年齢のヒト対象への、条項60記載の化合物、方法、使用、組成物、又は誘導体。
(条項64)
式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び/もしくは誘導体が、パッチ又は留置用剤によって送達される、条項1~48、52、53、又は59~63のいずれか1項記載の化合物、方法、使用、組成物、又は誘導体。
【0332】
(引例)
本明細書で引用された、特許及び特許出願を含むが、それらに限定されない刊行物の全ては、各個別の刊行物が、完全に述べられているかのように本明細書に引用により組み込まれているものと具体的且つ個別に示されているかのように引用により本明細書に組み込まれる。
【表21】
本件出願は、以下の態様の発明を提供する。
(態様1)
式(I):
(化1)
(式中:
R
1
は、H又はメチルであり;
R
2
及びR
3
は双方ともメチルであるか、又はR
2
及びR
3
は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、スピロシクロプロピル環であり;
R
4
は、メチル又はエチルであり;
R
5
は、H又はメチルであり;
或いはR
4
及びR
5
は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C
3
-C
4
スピロカルボシクリルを形成する)
の化合物、又はそれらの塩及び/もしくは溶媒和物及び/もしくは誘導体。
(態様2)
R
1
が、Hである、態様1記載の化合物。
(態様3)
R
1
が、メチルである、態様1記載の化合物。
(態様4)
R
2
及びR
3
が、スピロシクロプロピルである、態様1~3のいずれか1項記載の化合物。
(態様5)
R
2
が、メチルであり、かつR
3
が、メチルである、態様1~3のいずれか1項記載の化合物。
(態様6)
R
4
が、メチルである、態様1~5のいずれか1項記載の化合物。
(態様7)
R
4
が、エチルである、態様1~5のいずれか1項記載の化合物。
(態様8)
R
5
が、Hである、態様1~7のいずれか1項記載の化合物。
(態様9)
R
5
が、メチルである、態様1~7のいずれか1項記載の化合物。
(態様10)
R
4
及びR
5
が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、スピロシクロプロピルを形成する、態様1~5のいずれか1項記載の化合物。
(態様11)
R
4
及びR
5
が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、スピロシクロブチルを形成する、態様1~5のいずれか1項記載の化合物。
(態様12)
以下:
5,5-ジメチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン;
3-[5-[(3,3-ジメチル-2H-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]ピラジン-2-イル]-5,5-ジメチル-イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(5R)-5-エチル-5-メチル-3-(5-スピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イルオキシピラジン-2-イル)イミダゾリジン-2,4-ジオン;
5,5-ジメチル-3-(5-スピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イルオキシピラジン-2-イル)イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(5R)-5-エチル-5-メチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(5R)-3-[5-[(3,3-ジメチル-2H-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]ピラジン-2-イル]-5-エチル-5-メチル-イミダゾリジン-2,4-ジオン;
5,5-ジメチル-3-[5-[(3,3,7-トリメチル-2H-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]ピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(5R)-5-エチル-5-メチル-3-[5-[(3,3,7-トリメチル-2H-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]ピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(5R)-5-エチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(5R)-5-エチル-3-(5-スピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イルオキシピラジン-2-イル)イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(5R)-3-[5-[(3,3-ジメチル-2H-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]ピラジン-2-イル]-5-エチル-イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(5R)-5-エチル-3-[5-[(3,3,7-トリメチル-2H-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]ピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン;
7-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタン-6,8-ジオン;
6-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]-4,6-ジアザスピロ[2.4]ヘプタン-5,7-ジオン;
(5S)-5-エチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオン
からなる群から選択される態様1記載の化合物、又はそれらの塩及び/もしくは溶媒和物、並びに/又はそれらの誘導体。
(態様13)
5,5-ジメチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオンである、態様1記載の化合物。
(態様14)
3-[5-[(3,3-ジメチル-2H-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]ピラジン-2-イル]-5,5-ジメチル-イミダゾリジン-2,4-ジオンである、態様1記載の化合物。
(態様15)
(5R)-5-エチル-5-メチル-3-(5-スピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イルオキシピラジン-2-イル)イミダゾリジン-2,4-ジオンである、態様1記載の化合物。
(態様16)
5,5-ジメチル-3-(5-スピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イルオキシピラジン-2-イル)イミダゾリジン-2,4-ジオンである、態様1記載の化合物。
(態様17)
(5R)-5-エチル-5-メチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオンである、態様1記載の化合物。
(態様18)
(5R)-3-[5-[(3,3-ジメチル-2H-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]ピラジン-2-イル]-5-エチル-5-メチル-イミダゾリジン-2,4-ジオンである、態様1記載の化合物。
(態様19)
5,5-ジメチル-3-[5-[(3,3,7-トリメチル-2H-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]ピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオンである、態様1記載の化合物。
(態様20)
(5R)-5-エチル-5-メチル-3-[5-[(3,3,7-トリメチル-2H-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]ピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオンである、態様1記載の化合物。
(態様21)
(5R)-5-エチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオンである、態様1記載の化合物。
(態様22)
(5R)-5-エチル-3-(5-スピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イルオキシピラジン-2-イル)イミダゾリジン-2,4-ジオンである、態様1記載の化合物。
(態様23)
(5R)-3-[5-[(3,3-ジメチル-2H-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]ピラジン-2-イル]-5-エチル-イミダゾリジン-2,4-ジオンである、態様1記載の化合物。
(態様24)
(5R)-5-エチル-3-[5-[(3,3,7-トリメチル-2H-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]ピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオンである、態様1記載の化合物。
(態様25)
7-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタン-6,8-ジオンである、態様1記載の化合物。
(態様26)
6-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]-4,6-ジアザスピロ[2.4]ヘプタン-5,7-ジオンである、態様1記載の化合物。
(態様27)
(5S)-5-エチル-3-[5-(7-メチルスピロ[2H-ベンゾフラン-3,1'-シクロプロパン]-4-イル)オキシピラジン-2-イル]イミダゾリジン-2,4-ジオンである、態様1記載の化合物。
(態様28)
医薬品としての使用のための、態様1~27のいずれか1項記載の化合物。
(態様29)
聴覚障害、統合失調症、うつ状態及び気分障害、双極性障害、物質乱用障害、不安障害、睡眠障害、聴覚過敏及び音量感覚障害、メニエール病、平衡障害、及び内耳の障害、衝動制御障害、パーソナリティ障害、注意欠陥多動性障害、自閉症スペクトラム障害、摂食障害、認知障害、失調症、疼痛(神経障害性疼痛、炎症性疼痛、及び種々の疼痛など)、レビー小体型認知症、並びにパーキンソン病からなる群から選択される疾患又は障害の予防又は治療における使用のための、態様1~28のいずれか1項記載の化合物。
(態様30)
聴覚障害、統合失調症、うつ状態及び気分障害、双極性障害、物質乱用障害、不安障害、睡眠障害、聴覚過敏及び音量感覚障害、メニエール病、平衡障害、及び内耳の障害、衝動制御障害、パーソナリティ障害、注意欠陥多動性障害、自閉症スペクトラム障害、摂食障害、認知障害、失調症、疼痛(神経障害性疼痛、炎症性疼痛、及び種々の疼痛など)、レビー小体型認知症、並びにパーキンソン病からなる群から選択される疾患又は障害の予防又は治療のための医薬品の生産における、態様1~27のいずれか1項記載の化合物の使用。
(態様31)
聴覚障害、統合失調症、うつ状態及び気分障害、双極性障害、物質乱用障害、不安障害、睡眠障害、聴覚過敏及び音量感覚障害、メニエール病、平衡障害、及び内耳の障害、衝動制御障害、パーソナリティ障害、注意欠陥多動性障害、自閉症スペクトラム障害、摂食障害、認知障害、失調症、疼痛(神経障害性疼痛、炎症性疼痛、及び種々の疼痛など)、レビー小体型認知症、並びにパーキンソン病からなる群から選択される疾患又は障害の予防又は治療のための方法であって、それを必要としている対象に、有効量の態様1~27のいずれか1項記載の化合物を投与することを含む、前記方法。
(態様32)
態様1~27のいずれか1項記載の化合物、及び医薬として許容し得る担体又は賦形剤を含む医薬組成物。
(態様33)
前記化合物が、経口投与される、態様1~32のいずれか1項記載の化合物、使用、方法、又は組成物。
(態様34)
前記化合物が、1日あたり2~400mg、例えば、1日あたり2~300mg、特に、1日あたり5~250mgで投与される、態様1~33のいずれか1項記載の化合物、使用、方法、又は組成物。
(態様35)
前記化合物が、1日あたり1回又は2回投与される、態様1~34のいずれか1項記載の化合物、使用、方法、又は組成物。
(態様36)
前記化合物が、1日あたり1回投与される、態様35記載の化合物、使用、方法、又は組成物。
(態様37)
前記化合物が、1日あたり2回投与される、態様35記載の化合物、使用、方法、又は組成物。
(態様38)
前記化合物が、少なくとも3ヶ月の期間投与される、態様1~37のいずれか1項記載の化合物、使用、方法、又は組成物。
(態様39)
前記化合物が、1日あたり1回又は2回、1日あたり2~400mg、例えば、1日あたり2~300mg、特に、1日あたり5~250mgで経口投与される、態様1~32のいずれか1項記載の化合物、使用、方法、又は組成物。
(態様40)
式(II)又は式(XVI):
(化2)
(式中、R
1
、R
2
及びR
3
は、態様1で定義されるとおりであり、Xは、ハロ(Brなど)である)
の化合物。
(態様41)
式(IV):
(化3)
(式中、R
4
及びR
5
は、態様1で定義されるとおりであり、Yは、ハロ(Clなど)である)
の化合物。